説明

インクジェットインクの製造方法、インクジェットインクおよび被覆顔料分散物

【課題】本発明の目的は、安価な製造方法であって、分散安定性、射出安定性、光沢性に優れるインクジェットインクを与えるインクジェットインクの製造方法を提供することにある。
【解決手段】顔料および水を含有する水性インクジェットインクを製造するインクジェットインクの製造方法であって、平均粒子径が500nm以下である高分子化合物の粒子が水に分散された高分子化合物分散物と、該顔料と、水とを含有する顔料混合物を分散処理して、該顔料が該高分子化合物で被覆された被覆顔料粒子を分散含有する被覆顔料分散物を作製する被覆顔料形成工程、および該被覆顔料分散物を用い、水性インクジェットインクを製造するインク化工程を有することを特徴とするインクジェットインクの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録方式に用いられるインクジェットインクの製造方法に関し特に水性インクジェットインクの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水性顔料インクジェットインクの保存安定性を向上する目的や、画像の耐久性を向上させる目的のため、カプセル化顔料技術が知られている。この技術は主に水不溶性樹脂を用いて、顔料表面に水不溶性樹脂を堆積させるなどしてカプセル化した技術である。
【0003】
転相法と呼ばれている方法は、樹脂をメチルエチルケトンなどの溶剤に溶解し、顔料、水、樹脂中和量相当のアルカリを加え、分散し、その後メチルエチルケトンを減圧下留去して分散体を得る方法である(特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、この方法では、メチルエチルケトンの留去工程に製造上の課題が存在する。メチルエチルケトンの留去条件によってインク中での顔料分散体の保存安定性が異なり制御が難しい。
【0005】
このためメチルエチルケトンの留去をより温和な条件で行うため製造時間がかかり製造コストが高くなる。また、減圧装置が必要であり装置負荷がある。さらに、顔料によっては、メチルエチルケトンを用いること自体が顔料の分散安定性を大きく劣化してしまうことが判ってきた。
【0006】
さらに、分散体からメチルエチルケトンを全量留去することは難しく、分散液中に数%残留してしまう。メチルエチルケトンを他の溶剤に変えた場合も同様の課題は解決できていない。
【0007】
カプセル化顔料技術には、他にアルカリ可溶性樹脂で分散後、pHを制御して顔料表面に堆積させる方法も知られているが、堆積の制御が難しく、処理も煩雑である。
【0008】
さらに、顔料を、重合性基を有する活性剤で分散後、モノマーを供給して顔料表面で重合を行いカプセル化する方法も開示されているが、重合制御が困難であり実用的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−217916号公報
【特許文献2】特開2009−84493号公報
【特許文献3】特開2010−202765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、安価な製造方法であって、分散安定性、射出安定性、光沢性に優れるインクジェットインクを与えるインクジェットインクの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0012】
1.顔料および水を含有する水性インクジェットインクを製造するインクジェットインクの製造方法であって、平均粒子径が500nm以下である高分子化合物の粒子が水に分散された高分子化合物分散物と、該顔料と、水とを含有する顔料混合物を分散処理して、該顔料が該高分子化合物で被覆された被覆顔料粒子を分散含有する被覆顔料分散物を作製する被覆顔料形成工程、および該被覆顔料分散物を用い、水性インクジェットインクを製造するインク化工程を有することを特徴とするインクジェットインクの製造方法。
【0013】
2.前記高分子化合物の粒子の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする前記1に記載のインクジェットインクの製造方法。
【0014】
3.前記分散処理される顔料混合物が、沸点100℃以下のケトン系またはエステル系溶剤を5質量%以下含有するかまたは含有しないことを特徴とする前記1または2に記載のインクジェットインクの製造方法。
【0015】
4.前記高分子化合物が、下記一般式1で表される繰り返し単位を、高分子化合物に対して30質量%以上、80質量%以下含有することを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載のインクジェットインクの製造方法。
【0016】
一般式1
−(CH−CR(L−L−Ar))−
(式中Rは水素原子またはメチル基、Lは、−COO−、−CONH−、−OCO−または−NHCO−を表し、Lは2価の連結基を表し、Arは芳香族環を表す。)
5.前記水性インクジェットインクが、アルカンジオールまたはグリコールエーテルを含有することを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載のインクジェットインクの製造方法。
【0017】
6.前記水性インクジェットインクが、塩ビを可塑化もしくは溶解することが可能な溶剤を含有することを特徴とする前記1から5のいずれか1項に記載のインクジェットインクの製造方法。
【0018】
7.前記水性インクジェットインクが、樹脂を含有することを特徴とする前記1から6のいずれか1項に記載のインクジェットインクの製造方法。
【0019】
8.前記1から7のいずれか1項に記載のインクジェットインクの製造方法により、製造されたことを特徴とするインクジェットインク。
【0020】
9.前記1から8のいずれか1項に記載のインクジェットインクの製造方法に用いられる被覆顔料分散物であって、顔料、平均粒子径が500nm以下の自己分散性高分子化合物の粒子および水を含有する顔料混合物を分散処理して作製した被覆顔料分散物であることを特徴とする被覆顔料分散物。
【発明の効果】
【0021】
本発明の上記手段により、安価な製造方法であって、分散安定性、射出安定性、光沢性に優れるインクジェットインクを与えるインクジェットインクの製造方法、それにより製造されたインクジェットインク、それに用いられる被覆顔料分散物が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、顔料および水を含有する水性インクジェットインクを製造するインクジェットインクの製造方法であって、平均粒子径が500nm以下である高分子化合物の粒子が水に分散された高分子化合物分散物と、該顔料と、水とを含有する顔料混合物を分散処理して、該顔料が該高分子化合物で被覆された被覆顔料粒子を分散含有する被覆顔料分散物を作製する被覆顔料形成工程、および該被覆顔料分散物を用い、水性インクジェットインクを製造するインク化工程を有することを特徴とする。
【0023】
本発明では特に、水に分散された高分子化合物の粒子を用いることで、高分子化合物で被覆された顔料を作製する安価な製造方法であって、この方法により製造した被覆顔料分散物を用いてインクを作製することで分散安定性、射出安定性、光沢性に優れるインクジェットインクを与えるインクジェットインクの製造方法が提供できる。
【0024】
(インクジェットインク)
(高分子化合物分散物)
本発明に係る高分子化合物分散物は、水に、平均粒子径が500nm以下である、高分子化合物の粒子が分散された分散物である。
【0025】
本発明において、平均粒子径とは、光散乱方式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能である。具体的にはゼータサイザー1000(マルバーン社製)を用いて測定した値をいう。
【0026】
本発明においては、インクジェットインクの保存安定性、射出安定性、プリント後の光沢性および後述する被覆顔料分散物の分散安定性の面から、平均粒子径が500nm以下である必要があるが、100nm以下であることが更に好ましく、5nm以上50nm以下である場合が最も好ましい。
【0027】
本発明に係る高分子化合物としては、高分子化合物を粒子としたとき、自己分散性粒子を生成するものが好ましく用いられる。
【0028】
自己分散性粒子とは、活性剤や他の分散剤を用いることなく水中に安定に分散できる粒子である。
【0029】
即ち、本発明の高分子化合物の粒子としては、自己分散性高分子化合物粒子が、好ましく用いられる。本発明の高分子化合物の粒子には、活性剤や他の分散剤が実質含有してないことが好ましい。
【0030】
自己分散性高分子化合物粒子は、ウレタン系高分子化合物粒子、ポリエステル系高分子化合物粒子、アクリル系高分子化合物粒子などを用いることができる。中でも、分散安定性の観点で、アクリル系高分子化合物粒子を好ましく用いることができる。
【0031】
自己分散性高分子化合物は、高分子化合物として、スチレン系モノマー、アクリレート系モノマーなどの疎水性構成単位と、カルボキシ基や水酸基を有するアクリル系モノマーなどの親水性構成単位とを含んで構成された高分子化合物を用いることで得られる。
【0032】
自己分散性高分子粒子は、乳化重合法、溶液重合法などにより重合した高分子を分散することで得ることができる。
【0033】
たとえば、好ましい具体例としては、自己分散に必要な適当な酸価のアクリル共重合体を溶液重合で合成し、この樹脂の酸性基の中和量前後のアルカリを添加したうえで分散することで自己分散性高分子粒子を作製することができる。
【0034】
自己分散性高分子化合物粒子の高分子化合物に用いられる、モノマーとしては、下記のものを挙げることができ、これらのモノマーの共重合体が高分子化合物として用いられる。
【0035】
たとえば、スチレン、メチルスチレンなどのスチレン誘導体、アクリル酸エステル(エステル部の例としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシルなど)、メタクリル酸エステル(エステル部の例としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシルなど)、酸性基及びその無水物モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸およびアクリルアミドが挙げられる。
【0036】
本発明においては、以下の一般式1のアクリル酸エステル、もしくはメタクリル酸エステルを用いることはインク安定性上特に好ましい。
【0037】
さらに好ましくは、一般式1のモノマーを高分子化合物中に総量として30質量%以上80質量%以下含有することは特に好ましい。
【0038】
一般式1
−(CH−CR(L−L−Ar))−
式中Rは水素原子もしくはメチル基、Lは、−COO−,−CONH−,−OCO−,−NHCO−を表し、Lは2価の連結基を表し、Arは芳香族環を表す。
【0039】
が表す2価の連結基としては、具体的にはアルキレン基(炭素数1−10)、アルケニレン基、(炭素数1−10)、−CO−、−NR−(Rは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)、−O−、−S−、−SO−、−SO−から選ばれる連結基が好ましい。また、前記2価の連結基を2つ以上組み合わせてもよい。特に好ましい連結基はメチレン、エチレン、プロピレン、オキシエチレン、オキシエトキシエチレン基である。
【0040】
Arで表される芳香族環としては、フェニル基、縮環型芳香環化合物、芳香環が縮環したヘテロ環化合物、または2以上のベンゼンが連結した化合物に由来する1価の基が好ましく用いられる。
【0041】
具体的な例としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、トリフェニルメタン、フタルイミド、アクリドン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、ジフェニルメタン、又はカルバゾールに由来する1価の基が好ましい。Arは置換基を有していてもよい。
【0042】
置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、ハロゲン基、シアノ基等を挙げることがでる。
【0043】
自己分散に必要な適当な酸価は、共重合に用いる酸性基及びその無水物モノマーの量で調整できる。酸価は40以上120未満の範囲から選択することができ、好ましくは、65〜90の範囲である。
【0044】
高分子の重量平均分子量は、画像耐久性、射出正、光沢性などの面から、1万〜15万の範囲に調整することが好ましく、より好ましくは2万以上10万以下である。
【0045】
高分子化合物のガラス転移温度(Tg)は、0℃〜120℃の範囲で調整することが、インク保存安定性、光沢、射出安定性上好ましい。50℃〜100℃の範囲に調整することが特に好ましい。
【0046】
高分子化合物分散物を得る方法として以下の方法が好ましい。
【0047】
高分子化合物、高分子化合物の酸性基の中和量前後のアルカリ、イオン交換水の混合物を種々の分散方法で分散することができる。このとき、必要に応じて補助溶剤を加える。
【0048】
アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、もしくは他の有機アミン(ジメチルアミノエタノールなど)を用いることができる。
【0049】
補助溶剤としては、中和前の樹脂を10質量%以上の濃度で溶解可能な溶剤を用いることが好ましい。たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、グリコールエーテル類(ジエチレングリコールメチル、ジエチレングリコールブチル、ジプロピレングリコールメチル、ジプロピレングリコールプロピルなど)、アミド系溶剤(ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド)、2−PDN、N−メチルピロリドンなど。これ以外にもアルコール系(メタノール、エタノール、i−プロピルアルコール)を用いることができる。補助溶剤は、必要に応じて分散後に、常圧もしくは減圧下、加熱して全量もしくは一部を留去することができる。補助溶剤は、高分子化合物の2倍量から10倍量の範囲で用いることが好ましい。
【0050】
分散方法としては、ボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミル、超音波などを用いて分散することができる。
【0051】
高分子化合物分散物を得る好ましい具体的方法としては、高分子化合物をなるべく少量の補助溶剤に溶解する、補助溶剤量は、高分子化合物の3倍から6倍が好ましい。別途、イオン交換水、高分子化合物中和量のアルカリの混合物を用意し、撹拌下、前記、高分子化合物の補助溶剤溶液を少しずつ添加する。この時、高分子化合物/補助溶剤/イオン交換水の比率は、1/3〜6/3〜10の範囲が好ましい。この混合物を前記分散方法で分散する。分散は、一定時間ごとに平均粒子径を測定し、平均粒子径がほぼ一定になる時点で終了することが好ましい。分散時は、発熱するので、氷水などで冷却しながら行う。得られた分散液は、必要に応じて補助溶剤を常圧もしくは減圧下、加熱して全量もしくは一部を留去する。本発明では、顔料分散後に、溶剤留去工程がない簡便な方法が特徴であるため、補助溶剤として、沸点が100℃以下の溶剤を用いた場合は、用いた補助溶剤を常圧もしくは減圧下、加熱して全量もしくは一部を留去することが好ましい。
【0052】
合成した高分子化合物をこの樹脂の酸性基の中和量前後のアルカリを添加したうえで分散する。主分散媒としてはイオン交換水が好ましく、必要に応じて補助溶剤を加える。補助溶剤としては、中和前の樹脂を10質量%以上の濃度で溶解可能な溶剤を用いることが好ましい。たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、グリコールエーテル類(ジエチレングリコールメチル、ジエチレングリコールブチル、ジプロピレングリコールメチル、ジプロピレングリコールプロピルなど)、アミド系溶剤(ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド)、2−PDN、N−メチルピロリドンなど。これ以外にもアルコール系(メタノール、エタノール、i−プロピルアルコール)を用いることができる。補助溶剤は、必要に応じて分散後に、常圧もしくは減圧下、加熱して全量もしくは一部を留去することができる。
【0053】
用いるアルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、もしくは他の有機アミン(ジメチルアミノエタノールなど)を用いることができる。
【0054】
分散方法としては、超音波分散、スクリューミキサー、ビーズミルなどで分散できる。
【0055】
(顔料)
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
【0056】
具体的な有機顔料を以下に例示する。
【0057】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0058】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー155等が挙げられる。
【0059】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0060】
白色有機顔料としては、特開平11−129613号に示される有機化合物塩や特開平11−140365号、特開2001−234093号に示されるアルキレンビスメラミン誘導体が挙げられる。白色有機顔料の具体的な商品としては、ShigenoxOWP、ShigenoxOWPL、ShigenoxFWP、ShigenoxFWG、ShigenoxUL、ShigenoxU(以上、ハッコールケミカル社製、何れも商品名)などが挙げられる。
【0061】
有機顔料は、種々の表面処理をしたものを用いることができる。結晶形状、酸性処理、塩基性処理、自己分散顔料のように表面を酸化処理したものも用いることができる。
【0062】
無機顔料としては、金属酸化物からなる顔料、および下記の白色顔料が主に好適に用いることができる。
【0063】
白色顔料はインク組成物を白色にするものであればよく、通常、この分野に用いられる白色顔料を用いることが出来る。このような白色顔料としては、例えば白色無機顔料や白色有機顔料、白色の中空ポリマー微粒子を用いることができる。白色無機顔料としては、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。特に酸化チタンは隠蔽性及び着色性、分散粒径が好ましい白色顔料として知られている。
【0064】
上記白色の中空ポリマー微粒子としては、米国特許第4,089,800号明細書に開示されている、実質的に有機重合体で作られた熱可塑性を示す微粒子などが挙げられる。
【0065】
(被覆顔料形成工程)
本発明の、顔料および水を含有する水性インクジェットインクを製造するインクジェットインクの製造方法であって、平均粒子径が500nm以下である高分子化合物の粒子が水に分散された高分子化合物分散物と、該顔料と、水とを含有する顔料混合物を分散処理して、該顔料が該高分子化合物で被覆された被覆顔料粒子を分散含有する被覆顔料分散物を作製する被覆顔料形成工程について説明する。
【0066】
(顔料混合物)
顔料混合物は、顔料と、上記高分子化合物分散物と、水とを混合することで得られる。
【0067】
本発明に係る被覆顔料形成工程については、以下のように推定される。
【0068】
一般的に、顔料分散工程は、濡れ、解砕、分散安定化の3工程からなると推定されている。顔料分散工程の解砕は分散の中心的工程であり、顔料を含む混合物にエネルギーを加えることで、粒子衝突や、ずりが与えられ、解砕されていくが、この時、混合物中の分散剤が解砕された顔料表面に吸着し、分散安定化がなされていくと考えられる。
【0069】
本発明に係る分散処理を施す工程では、顔料を含む混合物にエネルギーを加えることで、顔料の解砕とともに、平均粒子径が500nm以下である高分子化合物の粒子が更に微細な粒子に細分化されているものと考えている。また、解砕された顔料粒子に、細分化された高分子化合物の粒子が衝突、合一するなどして、顔料表面に高分子化合物が堆積していき、最終的に高分子化合物で被覆された被覆顔料粒子を形成するものと考えている。
【0070】
このようなメカニズムを想定すると、解砕された顔料表面に衝突、合一するなどして堆積していく高分子粒子は、その粒子系が小さいほど好ましいと考えられる。高分子の粒子径が小さいほど、高分子が、顔料と合一した時の安定化が大きいと考えられること、堆積していく高分子の量の均一性が測れると考えられるからである。解砕後の顔料の粒子径が通常50nmから200nm程度であることからすると、顔料表面に堆積していく高分子粒子は、10nmから100nm程度が好ましいと考えられる。本発明の顔料分散プロセスで、このような少粒子の高分子分散物を形成させるには、分散前の高分子化合物の平均粒子径が、500nm以下である必要があるものと推測している。さらに、平均粒径として、100nm以下が好ましく、さらに、5nm以上50nm以下が最も好ましい理由も、上記細分化がよりし易く均一に被覆するためと推測される。
【0071】
被覆顔料分散物は、顔料混合物を分散処理することで得られる。即ち、顔料混合物に分散エネルギーを付与することで、高分子化合物で被覆された顔料粒子を作製することができる。
【0072】
分散処理は、顔料混合物中の顔料の固形分濃度を概ね5質量%から25質量%の範囲として、分散処理を行うことで行うことが好ましく、分散時間、分散コストなどの面から、10質量%から20質量%の範囲で用いることが特に好ましい。
【0073】
顔料混合物に用いられる高分子化合物分散物は、複数の種類のものを組み合わせ用いてもよい。
【0074】
高分子化合物分散物の顔料混合物への添加量は、顔料の固形分濃度を基準にして、0.2倍から1.5倍の範囲で選択することが好ましい。なかでも、0.3倍から1倍の範囲で選択することが、インク保存性と、射出安定性上特に好ましい。
【0075】
分散処理に用いられる、分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各種分散手段が挙げられる。
【0076】
これらの中でも特に、湿式分散機(ビーズミル)を好ましく用いることができる。このとき、ビーズとしては、粒子径0.1mmから5mmのものを用いることができる。中でも、0.1mmから1mmが好ましい。ビーズは、ジルコニア製が好ましく、特に、イットリウム安定化タイプが特に好ましい。ビーズ充填率は、50%以上85%以下で用いることが好ましく、さらに、75〜85%で用いることが好ましい。分散液は、分散エネルギーにより昇温してしまうので、分散機を冷却して使用することが好ましい。分散液温度を3℃〜30℃に制御するのが好ましく、5℃〜20℃がより好ましい。
【0077】
本発明において、高分子化合物で被覆された顔料は、電子顕微鏡によりその断面写真を観察することで、確認できる。顔料表面は、高分子化合物で、一部被覆されていてもよいが、全面に被覆されている状態が好ましい態様である。
【0078】
顔料分散物の主媒体は水であるが、必要に応じて有機溶剤、活性剤、pH調整剤、防カビ剤などを添加しても良い。
【0079】
有機溶剤としては、前記の高分子化合物分散物製造時の補助溶剤に上げたものを用いることができる。顔料分散工程後に、留去しなければならない有機溶剤の使用は極力少量にすることが好ましい。特に、沸点100℃以下の、例えばメチルエチルケトンのような、ケトン系、イステル系の有機溶剤の添加量は、5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下であることが好ましい。
【0080】
分散処理後の被覆顔料分散物は、pH調整剤などでpH調整することができる。好ましいpH調整範囲は、6.5〜9.5の範囲のである。
【0081】
また、分散処理後、遠心分離装置及びろ過フィルターを単独もしくは併用して使用し粗大粒子、ゴミなどを除去することは好ましい。
【0082】
得られた被覆顔料分散物は、必要に応じて熟成工程を経て該被覆顔料分散物に、インクジェットインクに必要な成分を含有する下述するレッドダウン液を添加調整するインク化工程でインク化される。
【0083】
熟成工程は、顔料分散体の安定化を向上させる工程であり、15℃から60℃の環境で、1日から30日の範囲で保管することができる。熟成工程後、再度、遠心分離装置及びろ過フィルターを単独もしくは併用して使用し粗大粒子を除くことは好ましい。
【0084】
(インク化工程)
インク化工程で、用いられるレッドダウン液には種々の有機溶剤、活性剤、樹脂、pH調整剤、防かび剤などを添加することができる。
【0085】
(有機溶剤)
本発明のインクジェットインクには低表面張力溶剤を添加することが好ましい。低表面張力溶剤を添加することで、塩化ビニルシートをはじめ種々の樹脂基材や、印刷本紙などのインク吸収速度が遅い紙支持体に対しても、インク混じりを一層抑えることができ、高画質な印字画像を得られる。低表面張力溶剤は、塩化ビニルなどに対してインクの濡れ性を改善する作用がある。
【0086】
本発明においては、低表面張力溶剤として、グリコールエーテルもしくはアルカンジオールを添加することは好ましい。
【0087】
下記に本発明のインクに好適な低表面張力溶剤の一例を示す。なお、括弧内の数値は、溶剤の表面張力(mN/m)を表す。
【0088】
グリコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル(28.2)、エチレングリコールモノブチルエーテル(27.4)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(31.8)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(33.6)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(32.1)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(25.9)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(28.8)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(30.0)等が挙げられる。
【0089】
また、アルカンジオールとしては、1,2−アルカンジオールあるいは1,3−アルカンジオールが好ましい。例えば、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール(28.1)、1,2−ヘプタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
【0090】
また、塩化ビニル等の記録媒体を溶解もしくは軟化あるいは膨潤しうる作用を有する溶剤を添加することにより、塩化ビニルとインク固形分との接着性がより一層向上し、優れた画像の接着性、耐擦性が得られる観点から好ましい。
【0091】
このような溶剤としては、窒素もしくはイオウ原子を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、乳酸エステル、アルキレングリコールジエーテル、アルキレングリコールモノエーテルモノエステル及びジメチルスルフォキシド等が挙げられる。
【0092】
窒素原子を含有する環状溶剤としては、環状アミド化合物、特には5〜7員環が好ましく、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン1,3−ジメチルイミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミドゾリジノン、ε−カプロラクタム、メチルカプロラクタム、2−アザシクロオクタノン等が挙げられる。環状アミド以外の窒素原子を含有する環状溶剤としてはホルミルモルホリン、イオウ原子を含有する環状溶剤としては、環状アミド化合物が好ましく、5−7員環が好ましく、例えば、スルホラン等が挙げられる。環状エステル溶剤としてはγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンが挙げられ、乳酸エステルとしては、乳酸ブチル、乳酸エチルなどが挙げられる。アルキレングリコールジエーテルとしては、ジエチレングリコールジエチルエーテルが挙げられる。アルキレングリコールモノエーテルモノエステルとしては、ジエチレングリコールモノエチルモノアセテートが挙げられる。
【0093】
本発明においては、インクジェットヘッドからのインク射出安定性、メンテナンス性及び形成した画像の光沢の観点から、溶剤の1つとして、水溶性アルカノールアミン類を、インク全質量の0.30質量%以上、2.0質量%以下含有することが好ましく、より好ましくは、0.3質量以上、1.8質量%以下含有することである。
【0094】
本発明に好ましく適用することのできる水溶性アルカノールアミン類としては、N,N−ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、N−メチルアミノエタノールを挙げることができる。
【0095】
その他には、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、等が挙げられる。
【0096】
本発明においては、有機溶剤の使用量はインクジェットインク全質量の10質量%以上、50質量%以下で好ましく使用できる。
【0097】
(樹脂)
本発明に用いることができる樹脂は、インクに溶解しているもの、インク中に分散しているものの双方を用いることができる。
【0098】
インクに溶解しているものの例としては、水溶性樹脂を用いることができる。水溶性樹脂とは、10質量%以上が水に溶解するものであり、水溶性樹脂組成としては種々のものを用いることができる。
【0099】
一般的な水溶性アクリル樹脂はもとより、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリエーテル樹脂、水溶性ポリビニルアルコール、水溶性ポリビニルピロリドンを用いることができる。
【0100】
水溶性樹脂は水溶性になるよう、カルボン酸基、スルホン酸基などのアニオン性基を樹脂内に部分構造として有することができる。また、ポリオキシアルキレン基などのノニオン性基を水溶性樹脂内に部分構造として有することもできる。
【0101】
水溶性樹脂の重量平均分子量は1000以上10万以下の範囲から選択することが好ましい。より好ましくは、5000以上7万以下である。また、水溶性樹脂のガラス転移温度は、室温以下のものから150℃以下のものを用いることができる。好ましくは、0℃から100℃のものを用いることができる。
【0102】
上記の水溶性樹脂は、単独で用いてもよいし、複数種のものを併用してもよい。
【0103】
水溶性樹脂として特に好ましいのは、水溶性アクリル樹脂である。
【0104】
水溶性アクリル樹脂としては、以下のものを特に好ましく用いることができる。アクリル樹脂をはじめとするビニル系共重合樹脂は、周知のごとく非常に多数のモノマーから自由に設計することができ、重合がし易く、また低コストで製造できるという利点を有している。特に、先に述べたように、インクに添加する際に求められる多数の要求に答えるには、設計自由度の大きいアクリル樹脂が適している。
【0105】
水溶性アクリル樹脂がインクに溶解するメカニズムとしては、本発明者らの検討によると、樹脂の酸性基の乖離に伴う水溶性の部分と、樹脂中のノニオン性の親水性構造部分及びインク中の有機溶剤の可溶化促進が主なものである。この中でも特に樹脂の酸性基の乖離に伴う水溶性の部分の役割が大きく、すなわち酸価は樹脂のインク溶解性に影響する。
【0106】
樹脂の酸価としては、被膜強度、メンテナンス性の面から、50mgKOH/g以上、120mgKOH/g以下が好ましい。
【0107】
酸価の調整は、酸性分の導入量を調整することで行うことができる。
【0108】
水溶性アクリル樹脂の重量平均分子量としては、被膜強度、射出安定性の面から、20000以上、100,000以下であることが好ましい。
【0109】
中でも、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルもしくはアルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルを含み、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルもしくはアルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルの総量が、水溶性アクリル樹脂組成中で10質量%以上80質量%以下の水溶性アクリル樹脂が好ましい。
【0110】
本発明者らの検討では、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルもしくはアルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルを含み、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルもしくはアルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルの総量が10質量%以上、80質量%未満の場合、塩化ビニルなどの非吸収性基材に対して特に高い画像耐久性を得るのに特に有効である。
【0111】
アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸cyclo−ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
【0112】
アルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸cyclo−ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
【0113】
これらは、アルキル基の炭素数が9以上のアクリル酸アルキルエステルもしくはアルキル基の炭素数が9以上のメタクリル酸アルキルエステルに比べて、射出がより安定で、メンテナンス性に特に優れている。
【0114】
水溶性アクリル樹脂は、インク中に安定に溶解するために、酸性基部分の全部あるいは一部をアルカリで中和したモノマーを用いることができる。中和塩基としては、アルカリ金属含有塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等や、アミン類(例えば、アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン等)を用いることができる。特に、沸点が200℃未満のアミン類で中和することは、画像耐久性を向上することができる観点から好ましく、特に、アンモニアで中和した酸モノマーは、印字した後の乾燥性が速く、プリント後、直ちに印字物を重ねることができ、加えてインク混じりを防止できる観点からも好ましい。また、対塩としてN,N−ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、N−メチルアミノエタノールを用いることは、射出安定性上好ましい。
【0115】
その他、市販の樹脂で以下のものを用いることもできる。例えば、BASF社製のJONCRYLシリーズのJONCRYL67、678、586、611、680、682、683、690、819、JDX−C3000、JDX−C3080、52J、57J、60J、PDX6650、61J、62J、63J、70J、HPD−96J、PDX−6137A、501J、354J、6610、JDX−6500、PDX−6102B、PDX6124、JDX−6108等を挙げることができる。
【0116】
次に、インク分散性樹脂について説明する。
【0117】
インク分散性樹脂としては、疎水性樹脂を、界面活性剤を使用してインク中に分散したもの、あるいは、酸性モノマー由来の部分で分散可能とするいわゆるソープフリータイプを用いることができる。また、樹脂は溶液系などで重合したものをインク中に分散するものであっても良いし、いわゆるエマルジョン重合により重合したものでもよい。
【0118】
インク分散性樹脂としては、アクリル樹脂などのビニル系樹脂が好ましいが、他にポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン系樹脂あるいはこれらの複合樹脂を用いることができる。
【0119】
インク分散樹脂の粒子径としては、平均粒子径が、20nm程度のものから300nm程度のものを用いることができる。好ましくは、記録剤の顔料の平均粒子径の1/2程度から2倍程度のものを用いることが本発明の効果上好ましい。
【0120】
インク分散樹脂のガラス転移温度としては、30℃以上、100℃未満のものを用いることができる。
【0121】
インク分散樹脂の酸価としては、60gKOH/g未満のものを用いることが好ましい。
【0122】
インク分散樹脂は、その構造中に部分的に架橋したものを用いることは好ましい。中でも、アクリル樹脂などのビニル系樹脂で、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルもしくはアルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルを含み、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルもしくはアルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルの総量が、水溶性アクリル樹脂組成中で40質量%以上90質量%未満であるものが特に好ましい。これらのインク分散性樹脂は、本発明のインクに含有する水溶性アクリル樹脂と併用する場合、特別な高温での処置をしなくとも高い耐久性の画像皮膜が形成でき、高光沢で高い光学濃度が得られ好ましい。アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルもしくはアルキル基の炭素数が2〜8のメタクリル酸アルキルエステルの具体例は、前記水溶性アクリル樹脂の説明で記したものを用いることができる。
【0123】
その他、市販の樹脂で以下のものを用いることもできる。例えば、BASF社製のJONCRYLシリーズとして、JONCRYL7100、390、711、PDX−7157、PDX−7182、PDX−7163、7001、1532、741、450、840、8380、8300、74J、8383、142、1919、734、540、PDX7677、7600、775、1915、537J、PDX−7692、7611、PDX−7630A、352J、538J、8311、7640、631、790、780等を挙げることができる。
【0124】
上記のような樹脂を添加することは、種々のメディアに対して画像耐久性を向上でき好ましい。
【0125】
しかしながら、樹脂を添加することでインク粘度が増大し射出しにくくなる、あるいはインク保存時に粘度が増大するなどの問題があり使用しにくい側面があった。
【0126】
また、水溶性樹脂を添加することは、インク着弾後の増粘性を制御でき、特に非吸収性メディアにプリントする際に液よりを防止することができ画質が向上し好ましい。
【0127】
しかしながら、水溶性樹脂をインクに添加するとインク保存性が劣化することがあり使用量が制限されてきた。
【0128】
本発明の、顔料分散体を用いた場合保存安定性が大きく改善しているため、樹脂を用いることは、上記のインク性能上の利点を生かしつつ、インク保存性を良好な状態に維持できるため特に好ましい。
【0129】
(その他の添加剤)
本発明のインクジェットインクには、界面活性剤として、シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤を添加することが好ましい。
【0130】
シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤の添加することにより、塩化ビニルシートをはじめ種々の樹脂基材や、印刷本紙などのインク吸収速度が遅い紙支持体に対しても、インク混じりを一層抑えることができ、高品位な印字画像が得られる。また、低表面張力溶剤と併用することが、特に好ましい。
【0131】
シリコーン系の界面活性剤としては、好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物であり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK345、BYK347、BYK348などが挙げられる。
【0132】
フッ素系の界面活性剤としては、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。この中でも、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
【0133】
フッ素系の界面活性剤のうち、ある種のものはDIC社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、またファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、それぞれ市販されている。
【0134】
また、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC社製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロンS−141、同145等を挙げることができ、また、両性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンS−131、同132等を挙げることができる。
【0135】
シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤と共に、下記に示す界面活性剤を併用することも可能である。
【0136】
例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0137】
本発明のインクジェットインクには、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号および同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号および同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
【0138】
上記の記載における酸価、Tg、分子量の測定方法について下記に説明する。
【0139】
〈酸価の測定〉
上記樹脂を乾燥し、乾燥固化した樹脂の10gを300mlの三角フラスコに秤量し、次いで、エタノール:ベンゼン=1:2(体積比)の混合溶媒約50ml加えてインク分散性樹脂1を溶解した。次いで、フェノールフタレイン指示薬を用い、あらかじめ標定された0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、滴定に用いた水酸化カリウムエタノール溶液の量から、下記計算式(1)に従って、樹脂の酸価(mgKOH/g)を求める。
【0140】
計算式(1)
A=(B×f×5.611)/S
式中、Aは樹脂の酸価(mgKOH/g)、Bは滴定に用いた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは0.1mol/リットル水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Sはインク分散性樹脂1の質量(g)、5.611は、水酸化カリウムの式量(56.11/10)である。樹脂の種類によっては、上記エタノール:ベンゼン=1:2の混合溶媒約50mlに溶解しないものもあり、適宜、エタノール50ml、あるいは、エタノール:純水=1:1の混合溶媒約50mlのどちらか溶解するほうを選択して、他は同じ操作にて酸化の測定を行う。
【0141】
〈ガラス転移温度(Tg)の測定〉
DSC−7示差走査カロリメータ(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラ(パーキンエルマー社製)を用いて、下記の方法に準じてTgの測定を行う。
【0142】
測定手順として、樹脂の10.00mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットする。なお、リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。
【0143】
測定条件としては、測定温度0〜130℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd Heatにおけるデータをもとに解析を行った。なお、測定は窒素気流条件下で行った。
【0144】
ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度とする。
【0145】
〈重量平均分子量の測定〉
インク分散性樹脂1の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定する。
【0146】
測定条件は以下の通りである。
【0147】
溶媒: テトラヒドロフラン
カラム: 東ソー製TSKgel G4000+2500+2000HXL
カラム温度:40℃
注入量: 100μl
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13のサンプルによる校正曲線を使用する。13のサンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
【実施例】
【0148】
以下、実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0149】
(高分子化合物1の合成)
4頭フラスコに、窒素導入管、コンデンサー、温度計、滴下ロートを用意した。フラスコに、メチルエチルケトン230gを加え、窒素ガスを導入し、撹拌しながら30分加熱還流した。一方、メタクリル酸ベンジル62.5g、メタクリル酸メチル48.8g、メタクリル酸13.8g、AIBN 0.63gを室温で撹拌混合し溶解した。このモノマー/開始剤混合物を、前記滴下ロートから、2時間かけ滴化した。滴下中は、加熱還流を維持した。滴下終了後、さらに5時間加熱還流した。反応液を放冷後、撹拌しているヘキサン2kg中に少しずつ注加した。アメ状の重合物は、徐々に固化した。十分固化したところで、固体をろ過し、高分子化合物1を得た。重量平均分子量は34000であった。
【0150】
(高分子化合物分散物1の製造)
前記高分子1を20g、メチルエチルケトン80g、イオン交換水160g、1N水酸化ナトリウム溶液24.6gを混合し、氷水冷下、撹拌しながら超音波分散機にて30分かけて分散した。分散液はほぼ透明になった。この分散液をロータリーエバポレータにてメチルエチルケトンを留去した。この時のウォーターバスの温度は55℃であった。水も一部留去され、結果として固形分10%の高分子化合物分散物1を得た。平均粒子径は15nmであった。この高分子分散物には、活性剤、及び他の分散樹脂を含有してない、自己分散性高分子化合物粒子である。
【0151】
(高分子化合物分散物2〜10、比較1〜4の作製)
高分子化合物1の合成において、表1、表2に記載のモノマーを用いた他は、高分子化合物1の合成と同様にして、高分子化合物2〜10、比較1〜4を合成し、これらを用いて高分子化合物分散物1の作製と同様にして、高分子化合物分散物2〜10、比較1を作製した。これらもまた、活性剤、及び他の分散樹脂を含有してない、自己分散性高分子化合物粒子である。
【0152】
高分子化合物分散物比較2は、高分子化合物を粒子としてではなく、5mm径以上の結晶を有する塊として供給し混合した。高分子化合物分散物比較3は、高分子化合物分散物比較1に表2に記載の溶媒を添加して混合した。高分子化合物分散物比較4は、高分子化合物分散物比較1に表2に記載の溶媒を添加して、特開2010−202765号公報の実施例に記載のシアン顔料分散物C1のように、溶媒に溶解して混合する態様で混合し、分散の後、メチルエチルケトンを留去した。
【0153】
(被覆顔料分散物DC−1の製造)
シアン顔料(FASTOGEN Blue GNKA−SD)50g、前記高分子化合物分散物1(固形分10%)250g、イオン交換水200gを予備混合し、予備分散物1を調整した(簡易式ホモジナイザー(ウルトラタラックス)を使用した)。
【0154】
予備分散物1を、1Lポットに投入し、循環しながら卓上型スターミルミニツエア(アシザワ製)を用いて、ジルコニアYZTボール(0.5φ)を充填率80%で使用し分散した。
【0155】
分散終了後の分散液を60℃3日保存後、室温に戻し5μ金属メッシュフィルターにて分散液をろ過した。これにより、顔料固形分濃度10%の被覆顔料分散物DC−1を得た。平均粒子径は、130nmであった。
【0156】
被覆顔料分散物DC−1の製造と同様にして、表1、表2に記載の高分子化合物分散物を用い、被覆顔料分散物DC−2〜14を製造した。
【0157】
(被覆顔料分散物DK−1〜12の製造)
被覆顔料分散物DC−1の製造において、顔料としてブラック顔料を用い、表3、表4に記載の条件にした他は、被覆顔料分散物DC−1の製造と同様にして同様にして、被覆顔料分散物DK−1〜12を製造した。
【0158】
(インク(IC−1〜14、IK−1〜12、IC−21〜31)の調製)
表1〜表6に示す最終インク組成になるように、溶剤、活性剤、イオン交換水と表1に記載の被覆顔料分散物を混合した。インクは1μフィルターにてろ過し、インクIC−1〜インクIC−14、インクIK−1〜インクIK−12、インクIC−21〜インクIC−31を得た。各インクの平均粒子径、粘度を測定した。結果を表1〜表6に示す。
【0159】
(インクの評価)
(分散安定性)
調整したインクを密栓瓶に入れ、60℃にて、20日間保存後、室温に戻したのち平均粒子径を測定し、調液直後の平均粒子径からの変化を評価し、分散安定性の指標とした。
【0160】
(射出安定性):ピエゾタイプヘッドKM512Mを用いて射出周波数13.3kHz、液滴速度6m/秒、環境条件:温度25℃相対湿度50%RHにてインク保存後のインクの評価を行った。30分連続射出評価後の各ノズルの射出状態を観察し、下記ランクで評価して、射出安定性の指標とした。3以上が、実用的に良好な範囲である。
5:50以上
5:全ノズル(512ノズル)で欠、曲がりが無く安定射出
4:全ノズル(512ノズル)で欠はないが、1%未満のノズルでわずかな曲がりがある
3:全ノズル(512ノズル)で欠はないが、1%以上5%未満のノズルでわずかな曲がりがある
2:5%未満のノズルで欠が発生
1:5%以上のノズルで欠が発生
(光沢性)
ピエゾタイプヘッドKM512M、描画装置EB−100,XY−100(コニカミノルタIJ製)を用いて、未処理塩ビ上(METAMARK)にベタ画像を描画した。印字の際にはステージを加温し、塩ビ表面温度を50℃に加温して印字した。印字後、50℃で5分後加熱を実施したのち20°光沢を測定し、光沢性の指標とした。3以上が、実用的に良好な範囲である。
5:50以上
4:40以上50未満
3:30以上40未満
2:20以上30未満
1:20未満
結果を表1〜表6に示す。
【0161】
【表1】

【0162】
【表2】

【0163】
【表3】

【0164】
【表4】

【0165】
【表5】

【0166】
【表6】

【0167】
BzMA:メタクリル酸ベンジル
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
BA:ブチルアクリレート
St:スチレン
2−PhOEtMA:2−フェノキシエチルアクリレート
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
2−PDN:2−ピロリジノン
1,2−HD:1,2−ヘキサンジオール
MPD:2−メチル−1,3−プロパンジオール
DMI:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
活性剤1(F):フタージェント100(株式会社ネオス製)
活性剤2(EOR):BYK−Dynwet800(BYK)
活性剤3(Si):BYK348(BYK)
ブラック顔料:カーボンブラック(Mitsubishi#950三菱化学製)
ラテックス:アクリルラテックス(2−EHA/MMA/MAA)Tg68℃、酸価52
表1〜表6から、本発明の製造方法により製造されたインクジェットインクは、特に溶媒を留去するなどの工程を経ることなく、安価な製造方法であって、分散安定性、射出安定性、光沢性に優れるインクジェットインクを与えることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料および水を含有する水性インクジェットインクを製造するインクジェットインクの製造方法であって、平均粒子径が500nm以下である高分子化合物の粒子が水に分散された高分子化合物分散物と、該顔料と、水とを含有する顔料混合物を分散処理して、該顔料が該高分子化合物で被覆された被覆顔料粒子を分散含有する被覆顔料分散物を作製する被覆顔料形成工程、および該被覆顔料分散物を用い、水性インクジェットインクを製造するインク化工程を有することを特徴とするインクジェットインクの製造方法。
【請求項2】
前記高分子化合物の粒子の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインクの製造方法。
【請求項3】
前記分散処理される顔料混合物が、沸点100℃以下のケトン系またはエステル系溶剤を5質量%以下含有するかまたは含有しないことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットインクの製造方法。
【請求項4】
前記高分子化合物が、下記一般式1で表される繰り返し単位を、高分子化合物に対して30質量%以上、80質量%以下含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェットインクの製造方法。
一般式1
−(CH−CR(L−L−Ar))−
(式中Rは水素原子またはメチル基、Lは、−COO−、−CONH−、−OCO−または−NHCO−を表し、Lは2価の連結基を表し、Arは芳香族環を表す。)
【請求項5】
前記水性インクジェットインクが、アルカンジオールまたはグリコールエーテルを含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェットインクの製造方法。
【請求項6】
前記水性インクジェットインクが、塩ビを可塑化もしくは溶解することが可能な溶剤を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェットインクの製造方法。
【請求項7】
前記水性インクジェットインクが、樹脂を含有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェットインクの製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェットインクの製造方法により、製造されたことを特徴とするインクジェットインク。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のインクジェットインクの製造方法に用いられる被覆顔料分散物であって、顔料、平均粒子径が500nm以下の自己分散性高分子化合物の粒子および水を含有する顔料混合物を分散処理して作製した被覆顔料分散物であることを特徴とする被覆顔料分散物。

【公開番号】特開2012−97238(P2012−97238A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248179(P2010−248179)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】