インクジェットカートリッジ
【課題】 ヘッドサイズに影響しないとともに、泡バッファ室の形成に追加工程を必要とせず、フィルタ変形防止機能も有する泡バッファ室の形成により、インク吐出時の流路内のインク振動を抑え安定した吐出状態を保ち、常に高品位な画像を得る。
【解決手段】 インクを吐出するための吐出口とインクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を有する記録素子基板と、該記録素子基板に供給するインクを貯溜するインク収容部が保持可能で、該吐出口に連通するインク流路を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、インク収容部と前記インク流路の接続はフィルタ保持部とインク流路を構成しインク収容部に当接される凸部を有し、該凸部に気体を存在させるバッファ室を設ける。
【解決手段】 インクを吐出するための吐出口とインクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を有する記録素子基板と、該記録素子基板に供給するインクを貯溜するインク収容部が保持可能で、該吐出口に連通するインク流路を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、インク収容部と前記インク流路の接続はフィルタ保持部とインク流路を構成しインク収容部に当接される凸部を有し、該凸部に気体を存在させるバッファ室を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、紙や布などの記録媒体に対しインクを吐出させて記録を行うインクジェット記録ヘッド、インクジェットカートリッジ及びこの記録ヘッドを用いたプリント装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来プリンタ、複写機、ファクシミリ等のプリント装置は、画像情報に基づき被記録材上にドットパターンからなる画像を記録していくよう構成されている。前記プリント装置は、そのプリント方式により、インクジェット方式、ワイヤドット式、サーマル式、レーザービーム式等に分けることができ、そのうちインクジェット式はインクジェット記録ヘッドを備え、その液路にインクを吐出させるために利用される吐出エネルギーを発生するエネルギー変換手段を有し、インクをインク供給口から液室を介して上記液路に導き、ここでインクにエネルギー変換手段から与えられた吐出エネルギーによりインクを飛翔液滴として被記録材に向けて飛翔させ、その着弾により記録が行われるよう構成されている。中でも熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録ヘッドは、記録用のインク滴を吐出して飛翔液滴を形成するためのインク吐出口を高密度に配列することが可能であるほか、全体的にコンパクト化も容易であること等の利点があるため実用化されている。
【０００３】
近年においては高速記録の要求からインクジェット記録ヘッドに配列されるノズル数も多ノズル化されるようになりインク流路を流れるインク流量も高流量化してきている。
【０００４】
インクジェット記録ヘッドにおいては、インク吐出口へのゴミ詰まりを防止する為インク流路にゴミ等をトラップするフィルタを設けることが一般的に用いられているが、インク流路を流れるインク流量の増加とともにインク供給不足による吐出不良を防止する為、フィルタ面積を大きくとるか薄くしてフィルタによる圧力損失を低減させる必要がある。しかしながらフィルタ面積を大きく構成したり薄くすると、フィルタの変形が起き易くなり変形による吐出不良が発生する危険性がある。さらにインクジェット方式では流体であるインクを取り扱うために、特に高密度に多ノズル配列されたインクジェット記録ヘッドにおいては単位時間あたりのインク流量が多くなり、吐出が停止された時のタンク系のインクが前方へ移動しようとする慣性力も大きく、この慣性力によりノズルに正圧がかかりメニスカスが飛び出した状態になる。このときに次の印字信号が入ると小さなインク滴が飛び散る、いわゆるスプラッシュ状の印字になってしまう。このようにインク振動によりメニスカス振動を大きく乱すと画像品位の劣化を発生させることがある。
【０００５】
図５は従来のインクジェット記録ヘッドで所定の吐出をしたときの吐出パルスに対するインク流路内の圧力振動波形を示した図であり、図６は図１中のA区間（吐出開始前）、B区間（吐出動作中）、C区間（吐出停止後）のメニスカスの様子を示すノズル断面図である。吐出停止後の流路内の圧力振動振幅が大きく正圧とになっており、この振動が次の吐出時のメニスカス振動を乱すことになる。詳しくは図５中のA区間では図６（A）に示すように安定したメニスカスMを形成しており、この状態でB区間のように吐出動作を行うと図６（B）のように良好な液滴50を生じる。そして吐出停止した直後のC区間に入ると、吐出口51に向けての液移動の慣性により流路52内圧力が大きく正圧となり、図6（C）に示すように吐出口形成面に盛り上がった状態でメニスカスMが形成されたり、最悪は吐出口51よりインクが垂れ落ちる。したがって、図６（C）の状態で次の吐出を開始すると小さなインク滴が飛び散り、前にも述べたように良好な印字は行えない。このような現象を解決する方法とし、フィルタ径やインク流路の変更により流抵抗調整を行い、メニスカス振動を安定させることも行われている。また液室または流路にバッファ室を設け気泡を持たせることで圧力振動を吸収する方法がある。これは圧力振動を抑える手段として完全であり、多くのインクジェット記録ヘッドにおいて採用されている。この中で圧力振動を抑える手段として泡バッファ室を液室に形成する方法が（特開平６−２１０８７２）にある。この場合、共通液室にバッファ室を設けるためバッファ容積や形状に自由度がなくなってしまう。またノズル近傍に気泡が存在するため気泡の成長によりインク不吐出が発生する危険性が高くなる。また、流路形成部材の結合によりインク流路から連通路を引き出し外部に泡バッファを形成する方法が（特開２００２−１４４６０２）にある。しかしながらこの場合部品点数とともに流路部材接合のための工程が必要となるためコストが上がってしまう。インク流路に連通する貫通路を設けてバッファ室を構成する手段もあるが、貫通部を閉塞させる部材および工程が必要となり、前記に同じくコストが上がってしまう。またインク流路および液室から外部に連通路を引き出しバッファ室の形成を行い、吐出口を有する記録素子基板でシールする方法もあるが、記録素子基板を大きくする必要がありインクジェット記録ヘッドが大きくなるとともに前記同様コストが上がってしまう。
【０００６】
またバッファ室構成として、バッファ室内の気体とインクの界面が液室および流路形成空間に近接する場合、インク吐出およびインク吸引動作による圧力変動により、バッファ室内の気体がインク流路および液室に混入し印字不良を引き起こす危険性がある。
【特許文献１】特開平６−２１０８７２号公報
【特許文献２】特開２００２−１４４６０２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は上述の課題を解決すべく成されたもので、コスト優位性を確保し、コンパクト化されたインクジェットカートリッジであって、フィルタ変形による印字不良を引き起こすことが無く、さらにインクの吐出に伴うインク振動によるインク吐出不安定さを抑制するインクジェットカートリッジおよび該インクジェットカートリッジを搭載する記録装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
インクを吐出するための吐出口とインクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を有する記録素子基板と、該記録素子基板に供給するインクを貯溜するインク収容部が保持可能で、該吐出口に連通するインク流路を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、インク収容部と前記インク流路の接続はフィルタ保持部とインク流路を構成しインク収容部に当接される凸部を有し、該凸部に気体を存在させるバッファ室を設けたことを特徴とするインクジェット記録ヘッドを提案する。
【０００９】
前記バッファ室は一方を前記フィルタに近接する突形状とし、一方を前記吐出口に向けて開口され内部に気体を存在させるバッファ室であることが好ましい。
【００１０】
さらに前記バッファ室は両端を開口する開放空間であり、一方を吐出口に向けて開口し、対向側開口部は前記フィルタに当接していることが好ましい。
【００１１】
加えて前記バッファ室断面積は吐出口側開口部からバッファ室中央に向かい段階的に広くなるよう構成され、前記バッファ室の吐出口側開口部の狭部空間にはインクが保持されていることが好ましい。
【００１２】
また、前記フィルタと前記記録素子基板に設けられた吐出口は前記インク流路を介して直線的に連結され、前記フィルタと吐出口が対向して構成されているこが好ましい。
【００１３】
（作用）
上記の構成により、インクジェット記録ヘッドおよび該インクジェット記録ヘッドを搭載する記録装置において、コスト優位性を確保すると共にコンパクト性に優れ、フィルタ変形による印字不良を引き起こすことが無く、さらにインクの吐出に伴うインク振動によるインク吐出不安定さを抑制し常に高品位な画像を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【００１４】
以上で説明したように、本発明のインクジェットカートリッジは、インク収容容器のフィルタが取付けられた煙突部内に気体を存在させる泡バッファ室を形成し、泡バッファ室がフィルタに近接または当接する構成であることから、コスト優位性を確保すると共にコンパクト性に優れ、フィルタ変形による印字不良を引き起こすことが無く、さらにインクの吐出に伴うインク振動によるインク吐出不安定さを抑制し常に高品位な画像を得る効果がる。さらには、泡バッファ室の一方を記録素子基板に向けた開口部を形成してインク供給路連通し、もう一方も開口する貫通構造としてフィルタに当接し、さらに記録素子基板側開口面積をバッファ室空間断面積より小さい細管部を構成することで、泡バッファ室内に環境変化に対してもより安定して気体を存在させることが可能となる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【００１６】
（第１の実施形態）
図３は本発明における第１の実施形態に係るインクジェットカートリッジの構成を示す模式図であり、図３（a）模式的分解斜視図、図３（b）は組み立てた状態の斜視図である。インクジェットカートリッジＨ１００１に搭載されている記録素子基板は、電気信号に応じてインクに対して膜沸騰を生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体を用いたバブルジェット（登録商標）方式の記録ヘッドであり、電気熱変換体とインク吐出口とが対向するように配置された、いわゆるサイドシュータ型のインクジェット記録ヘッドである。本実施においては電気熱変換体を用いた方式で行ったが、電気信号を圧力振動に変換するピエゾ素子を用いてインク吐出を行うインクジェット記録装ヘッドにも有効な手段である。
【００１７】
インクジェットカートリッジＨ１００１は、図３（ａ）の分解斜視図に示すように、記録素子基板Ｈ１１００とインク収容容器Ｈ１００３から構成されており、記録素子基板Ｈ１１００は、インク収容容器Ｈ１００３に接着によって取付け固定される。電気フレキケーブルＨ１３００はTAB（Tape Automated Bonding）テープ上に配線を形成して構成されたものであり、可撓性を有しており、折り曲げを行いインク収容容器に接着固定される。
【００１８】
インクを保持し負圧を発生するインク吸収体Ｈ１００４は、圧縮された状態でインク収容容器Ｈ１００３内に挿入される。その後インク収容容器Ｈ１００３内にインク注入され、フタＨ１００５はインク収容容器Ｈ１００３に溶着固定される。
【００１９】
図４は、使用頻度の高いブラックのインク用の第１の記録素子基板Ｈ１１００の構成を説明するために一部破断して示す斜視図である。第１の記録素子基板Ｈ１１００には、例えば、厚さ０．５〜１ｍｍのＳｉ基板Ｈ１１１０に、インク流路である長溝状の貫通口である共通液室Ｈ１１０２が形成されている。共通液室Ｈ１１０２を挟んだ両側には、電気熱変換素子Ｈ１１０３がそれぞれ１列ずつ並べて配置されて形成されており、さらに電気熱変換素子Ｈ１１０３に電力を供給するＡｌなどからなる不図示の電気配線が形成されている。これら電気熱変換素子Ｈ１１０３と電気配線とは成膜技術により形成されている。電気熱変換素子Ｈ１１０３は、各列千鳥状に配列されて、すなわち各列の吐出口の位置が、その並び列方向に直交する方向に並ばないように少しずれて配置されている。さらに、この電気配線に電力を供給するための電極部Ｈ１１０４が電気熱変換素子Ｈ１１０３の両外側の側辺に沿って配列して形成されており、電極部Ｈ１１０４上にはＡｕなどからなるバンプＨ１１０５が形成されている。
【００２０】
そして、Ｓｉ基板Ｈ１１１０上の、これらが形成された面上には、電気熱変換素子Ｈ１１０３に対応したインク流路を形成するインク流路壁Ｈ１１０６とその上方を覆う天井部とを有し、天井部に吐出口Ｈ１１０７が開口された、樹脂材料からなる構造体がフォトリソ技術によって形成されている。吐出口１１０７は、電気熱変換素子Ｈ１１０３に対向して設けられており、吐出口群Ｈ１１０８を形成している。この第１の記録素子Ｈ１１００において、インク流路Ｈ１１０２から供給されたインクは各電気熱変換素子Ｈ１１０３の発熱によって発生した気泡の圧力によって、各電気熱変換素子Ｈ１１０３に対向する吐出口１１０７から吐出される。
【００２１】
記録素子基板Ｈ１１００のそれぞれの共通液室１１０２がインク収容容器Ｈ１００３のインク供給路Ｈ１００６にそれぞれ連通するように接続され、インク収容容器Ｈ１００３に対して精度良く位置するように接着固定される。
【００２２】
電気フレキケーブルＨ１３００は、記録素子基板Ｈ１１００に対してインクを吐出するための電気信号を印加する電気信号経路を形成するものである。電気フレキケーブルＨ１３００には、記録素子基板Ｈ１１００に対応する開口部が形成されている。この開口部の縁付近には、それぞれの記録素子基板Ｈ１１００の電極部Ｈ１１０４に接続される電極端子（不図示）が形成され、記録素子基板Ｈ１１００への接合側端部の反対側に、本体と電気的に接合されるコンタクトパッドＨ１３０１が形成されている。電気フレキケーブルＨ１３００は裏面で接着剤によってインク収容容器Ｈ１００３に接着固定され、さらに、インク収容容器Ｈ１００３の一側面側に折り曲げられ、インク収容容器Ｈ１００３の側面に接着固定されている。電気フレキケーブルＨ１３００と記録素子基板Ｈ１１００の電気的な接続は、例えば、記録素子基板Ｈ１１００と電気フレキケーブルＨ１３００の電極端子とを熱超音波圧着法により電気接合させることにより行われている。そして、第１の記録素子基板Ｈ１１００と電気フレキケーブルＨ１３００との電気接続部分は、封止剤によって封止されており、これによって電気接続部分がインクによる腐食や外的衝撃から保護されている。
【００２３】
図１は図３に示すインクジェットカートリッジの記録素子基板Ｈ１１００部における吐出口配列方向の断面を示す模式的断面図である。インクを保持するインク吸収体Ｈ１００５とインク供給路Ｈ１００６の間には、ゴミなどの異物進入を防止する為フィルタＨ１００７が構成されている。フィルタＨ１００７はインク容器Ｈ１００３に溶着固定され、フィルタ取付部はインク収容容器内で凸となる煙突部Ｈ１００８を有しており、フィルタＨ１００７はインク吸収体Ｈ１００５に圧接される。煙突部Ｈ１００８内部にはインク供給路Ｈ１００６と共に内部に気体を存在させる泡バッファ室Ｈ１００９が設けられている。このとき泡バッファ室Ｈ１００９は一方を記録素子基板Ｈ１１００側に向けてインク流路Ｈ１００６に連通し、もう一方は閉塞され泡バッファ室Ｈ１００９を閉塞空間としている。このように泡バッファ室Ｈ１００９を構成した場合、インク吐出時または不図示のインクジェット記録装置によるインク吸引動作時におけるインク流路Ｈ１０１０内のインク流動方向に対し、泡バッファ室Ｈ１００９は略平行に形成され、かつインク流動方向と同一方向に向けて開口部が構成されるためインク吐出及びインク吸引時における泡バッファ室Ｈ１００９内へのインク侵入を回避することが可能となる。これによってインク流路Ｈ１０１０内には気体を存在させる閉塞空間が形成され、インク吐出時に発生する圧力振動を抑制することが可能となる。図７は本実施形態におけるインク吐出時の流路内圧力振動波形を示すもので、インク吐出後の圧力振動が抑制されていることがわかる。さらに泡バッファ室Ｈ１００９はフィルタＨ１００７に近接する凸形状を形成し、インク吸収体Ｈ１００５との圧接等によるフィルタＨ１００７の変形を防止し、安定したインク供給を行うことが可能となる。本実施例においてはインク収容容器とインク吐出部構成する記録素子基板Ｈ１１００が一体的に構成されたインクジェットカートリッジを用いて行ったが、これに限られたものではなくインク収容部が分離可能に構成されるインクジェットカートリッジに適用することが可能である。
【００２４】
また本実施形態においては単色のインクジェットカートリッジの供給路に泡バッファ室を形成する構成を示したが、泡バッファ室は複数のカラーインク供給路を持つインクジェットカートリッジにも同様に形成することが可能である。
【００２５】
この構成によれば、インクジェット記録ヘッドおよび該インクジェット記録ヘッドを搭載する記録装置において、コスト優位性を確保すると共にコンパクト性に優れ、フィルタ変形による印字不良を引き起こすことが無く、さらにインクの吐出に伴うインク振動によるインク吐出不安定さを抑制し常に高品位な画像を得ることが可能となる
（第２の実施形態）
図２は本発明の第２の実施形態におけるインクジェットカートリッジを示す模式的断面図であり、泡バッファ室Ｈ２００９が第１の実施形態におけるインクジェット記録ヘッドと異なる構成となっている。第１の実施形態と同じ構成部については同一の符号を付し説明を省略する。図２において泡バッファ室Ｈ２００９は、一方を記録素子基板Ｈ１１００側に向けた開口部を形成しインク流路Ｈ１００６に連通し、もう一方をフィルタＨ１００７側に向けて開口する貫通構造となっている。また泡バッファ室Ｈ２００９はフィルタＨ１００７に当接し、インクをメニスカス保持したフィルタＨ１００７によって閉栓される。さらに泡バッファ室Ｈ２００９は記録素子基板Ｈ１１００側開口面積をバッファ室空間断面積より小さい細管部Ｈ２０１０が形成されている。そしてインク注入時または初期吸引動作によって泡バッファ室Ｈ２００９内を減圧させた後、吸引停止と共に泡バッファ室Ｈ２００９内負圧が解消され細管部Ｈ２０１０にインクが引き込まれ、インクが保持される。泡バッファ室Ｈ２００９内における気体とインクの界面は通常は細管部Ｈ２０１０内に存在し、細管部Ｈ２０１０容積および初期インク保持量は、通常使用時および物流時の減圧や温度変化による泡バッファ室Ｈ２０１０内減圧動作によってインク供給路Ｈ１００６に放出されないよう調整されている。さらには、振動や環境温度変化により泡バッファ室Ｈ２００９側に細管部Ｈ２０１０内インク界面が移動する場合においても泡バッファ室内へインクが入り込まないよう細管部容積およびインク保持量は調整されていると共に、段階的に開口断面積が変化さしていることで、イレギュラー的な細管部内Ｈ２０１０内インク移動に対しても開口部断面積変化部のメニスカス力によって泡バッファ室Ｈ２０１０内にインクが進入することを防止することが可能である。
【００２６】
この構成によればインクジェット記録ヘッドおよび該インクジェット記録ヘッドを搭載する記録装置において、コスト優位性を確保すると共にコンパクト性に優れ、フィルタ変形による印字不良を引き起こすことが無く、さらにインクの吐出に伴うインク振動によるインク吐出不安定さを抑制し常に高品位な画像を得るとともに、更に泡バッファ室内により安定して気体を存在させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明の第一の実施形態におけるインクジェットカートリッジを示す模式的断面図である。
【図２】本発明の第２の実施形態におけるインクジェットカートリッジを示す模式的断面図である。
【図３】本発明の実施形態におけるインクジェットカートリッジの模式図であり、図３（ａ）は分解斜視図、図３（ｂ）は組み立てた状態の斜視図である。
【図４】図３のインクジェットカートリッジにおける記録素子基板を一部を破断して示す模式的斜視図である。
【図５】従来からのインクジェット記録ヘッドで所定の吐出をしたときの吐出パルスに対するインク流路内の圧力振動波形を示した図である。
【図６】図５中のＡ区間（吐出開始前）、Ｂ区間（吐出動作中）、Ｃ区間（吐出停止直後）のメニスカスの状態を示すノズル断面図である。
【図７】本発明のインクジェット記録ヘッドの流路内圧力振動波形を示す図である。
【符号の説明】
【００２８】
３５０ インク液滴
３５１ 吐出口
３５２ 液流路
３５３ ヒーター
３７１ 液流路
Ｈ１００１ インクジェットカートリッジ
Ｈ１００２、Ｈ２００２ 液体吐出ヘッドユニット
Ｈ１００３ インク収容容器
Ｈ１００４ インク吸収体
Ｈ１００５ フタ
Ｈ１００６ インク供給路
Ｈ１００７ フィルタ
Ｈ１００８ 煙突部
Ｈ１００９、Ｈ２００９ 泡バッファ室
Ｈ２０１０ 細管部
Ｈ１１００ 記録素子基板
Ｈ１１０２ 共通液室
Ｈ１１０３ 電気熱変換素子
Ｈ１１０４ 電極部
Ｈ１１０５ バンプ
Ｈ１１０６ インク流路壁
Ｈ１１０７ 吐出口
Ｈ１１０８ 吐出口群
Ｈ１１１０ Ｓｉ基板
Ｈ１２００ 第１のプレ−ト
Ｈ１２０１ 液体供給路
Ｈ１２０２ ビス止め部
Ｈ１３００ 電気電気フレキケーブル
Ｈ１３０１ 電極パッド
【技術分野】
【０００１】
本発明は、紙や布などの記録媒体に対しインクを吐出させて記録を行うインクジェット記録ヘッド、インクジェットカートリッジ及びこの記録ヘッドを用いたプリント装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来プリンタ、複写機、ファクシミリ等のプリント装置は、画像情報に基づき被記録材上にドットパターンからなる画像を記録していくよう構成されている。前記プリント装置は、そのプリント方式により、インクジェット方式、ワイヤドット式、サーマル式、レーザービーム式等に分けることができ、そのうちインクジェット式はインクジェット記録ヘッドを備え、その液路にインクを吐出させるために利用される吐出エネルギーを発生するエネルギー変換手段を有し、インクをインク供給口から液室を介して上記液路に導き、ここでインクにエネルギー変換手段から与えられた吐出エネルギーによりインクを飛翔液滴として被記録材に向けて飛翔させ、その着弾により記録が行われるよう構成されている。中でも熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録ヘッドは、記録用のインク滴を吐出して飛翔液滴を形成するためのインク吐出口を高密度に配列することが可能であるほか、全体的にコンパクト化も容易であること等の利点があるため実用化されている。
【０００３】
近年においては高速記録の要求からインクジェット記録ヘッドに配列されるノズル数も多ノズル化されるようになりインク流路を流れるインク流量も高流量化してきている。
【０００４】
インクジェット記録ヘッドにおいては、インク吐出口へのゴミ詰まりを防止する為インク流路にゴミ等をトラップするフィルタを設けることが一般的に用いられているが、インク流路を流れるインク流量の増加とともにインク供給不足による吐出不良を防止する為、フィルタ面積を大きくとるか薄くしてフィルタによる圧力損失を低減させる必要がある。しかしながらフィルタ面積を大きく構成したり薄くすると、フィルタの変形が起き易くなり変形による吐出不良が発生する危険性がある。さらにインクジェット方式では流体であるインクを取り扱うために、特に高密度に多ノズル配列されたインクジェット記録ヘッドにおいては単位時間あたりのインク流量が多くなり、吐出が停止された時のタンク系のインクが前方へ移動しようとする慣性力も大きく、この慣性力によりノズルに正圧がかかりメニスカスが飛び出した状態になる。このときに次の印字信号が入ると小さなインク滴が飛び散る、いわゆるスプラッシュ状の印字になってしまう。このようにインク振動によりメニスカス振動を大きく乱すと画像品位の劣化を発生させることがある。
【０００５】
図５は従来のインクジェット記録ヘッドで所定の吐出をしたときの吐出パルスに対するインク流路内の圧力振動波形を示した図であり、図６は図１中のA区間（吐出開始前）、B区間（吐出動作中）、C区間（吐出停止後）のメニスカスの様子を示すノズル断面図である。吐出停止後の流路内の圧力振動振幅が大きく正圧とになっており、この振動が次の吐出時のメニスカス振動を乱すことになる。詳しくは図５中のA区間では図６（A）に示すように安定したメニスカスMを形成しており、この状態でB区間のように吐出動作を行うと図６（B）のように良好な液滴50を生じる。そして吐出停止した直後のC区間に入ると、吐出口51に向けての液移動の慣性により流路52内圧力が大きく正圧となり、図6（C）に示すように吐出口形成面に盛り上がった状態でメニスカスMが形成されたり、最悪は吐出口51よりインクが垂れ落ちる。したがって、図６（C）の状態で次の吐出を開始すると小さなインク滴が飛び散り、前にも述べたように良好な印字は行えない。このような現象を解決する方法とし、フィルタ径やインク流路の変更により流抵抗調整を行い、メニスカス振動を安定させることも行われている。また液室または流路にバッファ室を設け気泡を持たせることで圧力振動を吸収する方法がある。これは圧力振動を抑える手段として完全であり、多くのインクジェット記録ヘッドにおいて採用されている。この中で圧力振動を抑える手段として泡バッファ室を液室に形成する方法が（特開平６−２１０８７２）にある。この場合、共通液室にバッファ室を設けるためバッファ容積や形状に自由度がなくなってしまう。またノズル近傍に気泡が存在するため気泡の成長によりインク不吐出が発生する危険性が高くなる。また、流路形成部材の結合によりインク流路から連通路を引き出し外部に泡バッファを形成する方法が（特開２００２−１４４６０２）にある。しかしながらこの場合部品点数とともに流路部材接合のための工程が必要となるためコストが上がってしまう。インク流路に連通する貫通路を設けてバッファ室を構成する手段もあるが、貫通部を閉塞させる部材および工程が必要となり、前記に同じくコストが上がってしまう。またインク流路および液室から外部に連通路を引き出しバッファ室の形成を行い、吐出口を有する記録素子基板でシールする方法もあるが、記録素子基板を大きくする必要がありインクジェット記録ヘッドが大きくなるとともに前記同様コストが上がってしまう。
【０００６】
またバッファ室構成として、バッファ室内の気体とインクの界面が液室および流路形成空間に近接する場合、インク吐出およびインク吸引動作による圧力変動により、バッファ室内の気体がインク流路および液室に混入し印字不良を引き起こす危険性がある。
【特許文献１】特開平６−２１０８７２号公報
【特許文献２】特開２００２−１４４６０２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明は上述の課題を解決すべく成されたもので、コスト優位性を確保し、コンパクト化されたインクジェットカートリッジであって、フィルタ変形による印字不良を引き起こすことが無く、さらにインクの吐出に伴うインク振動によるインク吐出不安定さを抑制するインクジェットカートリッジおよび該インクジェットカートリッジを搭載する記録装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
インクを吐出するための吐出口とインクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を有する記録素子基板と、該記録素子基板に供給するインクを貯溜するインク収容部が保持可能で、該吐出口に連通するインク流路を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、インク収容部と前記インク流路の接続はフィルタ保持部とインク流路を構成しインク収容部に当接される凸部を有し、該凸部に気体を存在させるバッファ室を設けたことを特徴とするインクジェット記録ヘッドを提案する。
【０００９】
前記バッファ室は一方を前記フィルタに近接する突形状とし、一方を前記吐出口に向けて開口され内部に気体を存在させるバッファ室であることが好ましい。
【００１０】
さらに前記バッファ室は両端を開口する開放空間であり、一方を吐出口に向けて開口し、対向側開口部は前記フィルタに当接していることが好ましい。
【００１１】
加えて前記バッファ室断面積は吐出口側開口部からバッファ室中央に向かい段階的に広くなるよう構成され、前記バッファ室の吐出口側開口部の狭部空間にはインクが保持されていることが好ましい。
【００１２】
また、前記フィルタと前記記録素子基板に設けられた吐出口は前記インク流路を介して直線的に連結され、前記フィルタと吐出口が対向して構成されているこが好ましい。
【００１３】
（作用）
上記の構成により、インクジェット記録ヘッドおよび該インクジェット記録ヘッドを搭載する記録装置において、コスト優位性を確保すると共にコンパクト性に優れ、フィルタ変形による印字不良を引き起こすことが無く、さらにインクの吐出に伴うインク振動によるインク吐出不安定さを抑制し常に高品位な画像を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【００１４】
以上で説明したように、本発明のインクジェットカートリッジは、インク収容容器のフィルタが取付けられた煙突部内に気体を存在させる泡バッファ室を形成し、泡バッファ室がフィルタに近接または当接する構成であることから、コスト優位性を確保すると共にコンパクト性に優れ、フィルタ変形による印字不良を引き起こすことが無く、さらにインクの吐出に伴うインク振動によるインク吐出不安定さを抑制し常に高品位な画像を得る効果がる。さらには、泡バッファ室の一方を記録素子基板に向けた開口部を形成してインク供給路連通し、もう一方も開口する貫通構造としてフィルタに当接し、さらに記録素子基板側開口面積をバッファ室空間断面積より小さい細管部を構成することで、泡バッファ室内に環境変化に対してもより安定して気体を存在させることが可能となる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【００１６】
（第１の実施形態）
図３は本発明における第１の実施形態に係るインクジェットカートリッジの構成を示す模式図であり、図３（a）模式的分解斜視図、図３（b）は組み立てた状態の斜視図である。インクジェットカートリッジＨ１００１に搭載されている記録素子基板は、電気信号に応じてインクに対して膜沸騰を生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体を用いたバブルジェット（登録商標）方式の記録ヘッドであり、電気熱変換体とインク吐出口とが対向するように配置された、いわゆるサイドシュータ型のインクジェット記録ヘッドである。本実施においては電気熱変換体を用いた方式で行ったが、電気信号を圧力振動に変換するピエゾ素子を用いてインク吐出を行うインクジェット記録装ヘッドにも有効な手段である。
【００１７】
インクジェットカートリッジＨ１００１は、図３（ａ）の分解斜視図に示すように、記録素子基板Ｈ１１００とインク収容容器Ｈ１００３から構成されており、記録素子基板Ｈ１１００は、インク収容容器Ｈ１００３に接着によって取付け固定される。電気フレキケーブルＨ１３００はTAB（Tape Automated Bonding）テープ上に配線を形成して構成されたものであり、可撓性を有しており、折り曲げを行いインク収容容器に接着固定される。
【００１８】
インクを保持し負圧を発生するインク吸収体Ｈ１００４は、圧縮された状態でインク収容容器Ｈ１００３内に挿入される。その後インク収容容器Ｈ１００３内にインク注入され、フタＨ１００５はインク収容容器Ｈ１００３に溶着固定される。
【００１９】
図４は、使用頻度の高いブラックのインク用の第１の記録素子基板Ｈ１１００の構成を説明するために一部破断して示す斜視図である。第１の記録素子基板Ｈ１１００には、例えば、厚さ０．５〜１ｍｍのＳｉ基板Ｈ１１１０に、インク流路である長溝状の貫通口である共通液室Ｈ１１０２が形成されている。共通液室Ｈ１１０２を挟んだ両側には、電気熱変換素子Ｈ１１０３がそれぞれ１列ずつ並べて配置されて形成されており、さらに電気熱変換素子Ｈ１１０３に電力を供給するＡｌなどからなる不図示の電気配線が形成されている。これら電気熱変換素子Ｈ１１０３と電気配線とは成膜技術により形成されている。電気熱変換素子Ｈ１１０３は、各列千鳥状に配列されて、すなわち各列の吐出口の位置が、その並び列方向に直交する方向に並ばないように少しずれて配置されている。さらに、この電気配線に電力を供給するための電極部Ｈ１１０４が電気熱変換素子Ｈ１１０３の両外側の側辺に沿って配列して形成されており、電極部Ｈ１１０４上にはＡｕなどからなるバンプＨ１１０５が形成されている。
【００２０】
そして、Ｓｉ基板Ｈ１１１０上の、これらが形成された面上には、電気熱変換素子Ｈ１１０３に対応したインク流路を形成するインク流路壁Ｈ１１０６とその上方を覆う天井部とを有し、天井部に吐出口Ｈ１１０７が開口された、樹脂材料からなる構造体がフォトリソ技術によって形成されている。吐出口１１０７は、電気熱変換素子Ｈ１１０３に対向して設けられており、吐出口群Ｈ１１０８を形成している。この第１の記録素子Ｈ１１００において、インク流路Ｈ１１０２から供給されたインクは各電気熱変換素子Ｈ１１０３の発熱によって発生した気泡の圧力によって、各電気熱変換素子Ｈ１１０３に対向する吐出口１１０７から吐出される。
【００２１】
記録素子基板Ｈ１１００のそれぞれの共通液室１１０２がインク収容容器Ｈ１００３のインク供給路Ｈ１００６にそれぞれ連通するように接続され、インク収容容器Ｈ１００３に対して精度良く位置するように接着固定される。
【００２２】
電気フレキケーブルＨ１３００は、記録素子基板Ｈ１１００に対してインクを吐出するための電気信号を印加する電気信号経路を形成するものである。電気フレキケーブルＨ１３００には、記録素子基板Ｈ１１００に対応する開口部が形成されている。この開口部の縁付近には、それぞれの記録素子基板Ｈ１１００の電極部Ｈ１１０４に接続される電極端子（不図示）が形成され、記録素子基板Ｈ１１００への接合側端部の反対側に、本体と電気的に接合されるコンタクトパッドＨ１３０１が形成されている。電気フレキケーブルＨ１３００は裏面で接着剤によってインク収容容器Ｈ１００３に接着固定され、さらに、インク収容容器Ｈ１００３の一側面側に折り曲げられ、インク収容容器Ｈ１００３の側面に接着固定されている。電気フレキケーブルＨ１３００と記録素子基板Ｈ１１００の電気的な接続は、例えば、記録素子基板Ｈ１１００と電気フレキケーブルＨ１３００の電極端子とを熱超音波圧着法により電気接合させることにより行われている。そして、第１の記録素子基板Ｈ１１００と電気フレキケーブルＨ１３００との電気接続部分は、封止剤によって封止されており、これによって電気接続部分がインクによる腐食や外的衝撃から保護されている。
【００２３】
図１は図３に示すインクジェットカートリッジの記録素子基板Ｈ１１００部における吐出口配列方向の断面を示す模式的断面図である。インクを保持するインク吸収体Ｈ１００５とインク供給路Ｈ１００６の間には、ゴミなどの異物進入を防止する為フィルタＨ１００７が構成されている。フィルタＨ１００７はインク容器Ｈ１００３に溶着固定され、フィルタ取付部はインク収容容器内で凸となる煙突部Ｈ１００８を有しており、フィルタＨ１００７はインク吸収体Ｈ１００５に圧接される。煙突部Ｈ１００８内部にはインク供給路Ｈ１００６と共に内部に気体を存在させる泡バッファ室Ｈ１００９が設けられている。このとき泡バッファ室Ｈ１００９は一方を記録素子基板Ｈ１１００側に向けてインク流路Ｈ１００６に連通し、もう一方は閉塞され泡バッファ室Ｈ１００９を閉塞空間としている。このように泡バッファ室Ｈ１００９を構成した場合、インク吐出時または不図示のインクジェット記録装置によるインク吸引動作時におけるインク流路Ｈ１０１０内のインク流動方向に対し、泡バッファ室Ｈ１００９は略平行に形成され、かつインク流動方向と同一方向に向けて開口部が構成されるためインク吐出及びインク吸引時における泡バッファ室Ｈ１００９内へのインク侵入を回避することが可能となる。これによってインク流路Ｈ１０１０内には気体を存在させる閉塞空間が形成され、インク吐出時に発生する圧力振動を抑制することが可能となる。図７は本実施形態におけるインク吐出時の流路内圧力振動波形を示すもので、インク吐出後の圧力振動が抑制されていることがわかる。さらに泡バッファ室Ｈ１００９はフィルタＨ１００７に近接する凸形状を形成し、インク吸収体Ｈ１００５との圧接等によるフィルタＨ１００７の変形を防止し、安定したインク供給を行うことが可能となる。本実施例においてはインク収容容器とインク吐出部構成する記録素子基板Ｈ１１００が一体的に構成されたインクジェットカートリッジを用いて行ったが、これに限られたものではなくインク収容部が分離可能に構成されるインクジェットカートリッジに適用することが可能である。
【００２４】
また本実施形態においては単色のインクジェットカートリッジの供給路に泡バッファ室を形成する構成を示したが、泡バッファ室は複数のカラーインク供給路を持つインクジェットカートリッジにも同様に形成することが可能である。
【００２５】
この構成によれば、インクジェット記録ヘッドおよび該インクジェット記録ヘッドを搭載する記録装置において、コスト優位性を確保すると共にコンパクト性に優れ、フィルタ変形による印字不良を引き起こすことが無く、さらにインクの吐出に伴うインク振動によるインク吐出不安定さを抑制し常に高品位な画像を得ることが可能となる
（第２の実施形態）
図２は本発明の第２の実施形態におけるインクジェットカートリッジを示す模式的断面図であり、泡バッファ室Ｈ２００９が第１の実施形態におけるインクジェット記録ヘッドと異なる構成となっている。第１の実施形態と同じ構成部については同一の符号を付し説明を省略する。図２において泡バッファ室Ｈ２００９は、一方を記録素子基板Ｈ１１００側に向けた開口部を形成しインク流路Ｈ１００６に連通し、もう一方をフィルタＨ１００７側に向けて開口する貫通構造となっている。また泡バッファ室Ｈ２００９はフィルタＨ１００７に当接し、インクをメニスカス保持したフィルタＨ１００７によって閉栓される。さらに泡バッファ室Ｈ２００９は記録素子基板Ｈ１１００側開口面積をバッファ室空間断面積より小さい細管部Ｈ２０１０が形成されている。そしてインク注入時または初期吸引動作によって泡バッファ室Ｈ２００９内を減圧させた後、吸引停止と共に泡バッファ室Ｈ２００９内負圧が解消され細管部Ｈ２０１０にインクが引き込まれ、インクが保持される。泡バッファ室Ｈ２００９内における気体とインクの界面は通常は細管部Ｈ２０１０内に存在し、細管部Ｈ２０１０容積および初期インク保持量は、通常使用時および物流時の減圧や温度変化による泡バッファ室Ｈ２０１０内減圧動作によってインク供給路Ｈ１００６に放出されないよう調整されている。さらには、振動や環境温度変化により泡バッファ室Ｈ２００９側に細管部Ｈ２０１０内インク界面が移動する場合においても泡バッファ室内へインクが入り込まないよう細管部容積およびインク保持量は調整されていると共に、段階的に開口断面積が変化さしていることで、イレギュラー的な細管部内Ｈ２０１０内インク移動に対しても開口部断面積変化部のメニスカス力によって泡バッファ室Ｈ２０１０内にインクが進入することを防止することが可能である。
【００２６】
この構成によればインクジェット記録ヘッドおよび該インクジェット記録ヘッドを搭載する記録装置において、コスト優位性を確保すると共にコンパクト性に優れ、フィルタ変形による印字不良を引き起こすことが無く、さらにインクの吐出に伴うインク振動によるインク吐出不安定さを抑制し常に高品位な画像を得るとともに、更に泡バッファ室内により安定して気体を存在させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明の第一の実施形態におけるインクジェットカートリッジを示す模式的断面図である。
【図２】本発明の第２の実施形態におけるインクジェットカートリッジを示す模式的断面図である。
【図３】本発明の実施形態におけるインクジェットカートリッジの模式図であり、図３（ａ）は分解斜視図、図３（ｂ）は組み立てた状態の斜視図である。
【図４】図３のインクジェットカートリッジにおける記録素子基板を一部を破断して示す模式的斜視図である。
【図５】従来からのインクジェット記録ヘッドで所定の吐出をしたときの吐出パルスに対するインク流路内の圧力振動波形を示した図である。
【図６】図５中のＡ区間（吐出開始前）、Ｂ区間（吐出動作中）、Ｃ区間（吐出停止直後）のメニスカスの状態を示すノズル断面図である。
【図７】本発明のインクジェット記録ヘッドの流路内圧力振動波形を示す図である。
【符号の説明】
【００２８】
３５０ インク液滴
３５１ 吐出口
３５２ 液流路
３５３ ヒーター
３７１ 液流路
Ｈ１００１ インクジェットカートリッジ
Ｈ１００２、Ｈ２００２ 液体吐出ヘッドユニット
Ｈ１００３ インク収容容器
Ｈ１００４ インク吸収体
Ｈ１００５ フタ
Ｈ１００６ インク供給路
Ｈ１００７ フィルタ
Ｈ１００８ 煙突部
Ｈ１００９、Ｈ２００９ 泡バッファ室
Ｈ２０１０ 細管部
Ｈ１１００ 記録素子基板
Ｈ１１０２ 共通液室
Ｈ１１０３ 電気熱変換素子
Ｈ１１０４ 電極部
Ｈ１１０５ バンプ
Ｈ１１０６ インク流路壁
Ｈ１１０７ 吐出口
Ｈ１１０８ 吐出口群
Ｈ１１１０ Ｓｉ基板
Ｈ１２００ 第１のプレ−ト
Ｈ１２０１ 液体供給路
Ｈ１２０２ ビス止め部
Ｈ１３００ 電気電気フレキケーブル
Ｈ１３０１ 電極パッド
【特許請求の範囲】
【請求項１】
インクを吐出するための吐出口とインクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を有する記録素子基板と、該記録素子基板に供給するインクを貯溜するインク収容部が保持可能で、該吐出口に連通するインク流路を有するインクジェットカートリッジにおいて、インク収容部と前記インク流路の接続はフィルタ保持部とインク流路を構成しインク収容部に当接される凸部を介して行われ、該凸部内に気体を存在させるバッファ室を設けたことを特徴とするインクジェットカートリッジ。
【請求項２】
前記バッファ室は一方を前記フィルタに近接する突形状とし、一方を前記吐出口に向けて開口され、内部に気体を存在させるバッファ室であることを特徴とする請求項１記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項３】
前記バッファ室は両端を開口する開放空間であり、一方を吐出口に向けて開口し、対向側開口部は前記フィルタに当接していることを特徴とする請求項2記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項４】
前記バッファ室断面積は吐出口側開口部からバッファ室中央に向かい段階的に広くなるよう構成されていることを特徴とする請求項３記載のインクジェットカートリッジ
【請求項５】
前記バッファ室の吐出口側開口部の狭部空間にはインクが保持されていることを特徴とする請求項４記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項６】
前記フィルタと前記記録素子基板に設けられた吐出口は前記インク流路を介して直線的に連結され、前記フィルタと吐出口が対向して構成されていることを特徴とする請求項１から請求項５のいずれかに記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項１】
インクを吐出するための吐出口とインクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を有する記録素子基板と、該記録素子基板に供給するインクを貯溜するインク収容部が保持可能で、該吐出口に連通するインク流路を有するインクジェットカートリッジにおいて、インク収容部と前記インク流路の接続はフィルタ保持部とインク流路を構成しインク収容部に当接される凸部を介して行われ、該凸部内に気体を存在させるバッファ室を設けたことを特徴とするインクジェットカートリッジ。
【請求項２】
前記バッファ室は一方を前記フィルタに近接する突形状とし、一方を前記吐出口に向けて開口され、内部に気体を存在させるバッファ室であることを特徴とする請求項１記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項３】
前記バッファ室は両端を開口する開放空間であり、一方を吐出口に向けて開口し、対向側開口部は前記フィルタに当接していることを特徴とする請求項2記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項４】
前記バッファ室断面積は吐出口側開口部からバッファ室中央に向かい段階的に広くなるよう構成されていることを特徴とする請求項３記載のインクジェットカートリッジ
【請求項５】
前記バッファ室の吐出口側開口部の狭部空間にはインクが保持されていることを特徴とする請求項４記載のインクジェットカートリッジ。
【請求項６】
前記フィルタと前記記録素子基板に設けられた吐出口は前記インク流路を介して直線的に連結され、前記フィルタと吐出口が対向して構成されていることを特徴とする請求項１から請求項５のいずれかに記載のインクジェットカートリッジ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００７−７６２３６（Ｐ２００７−７６２３６Ａ）
【公開日】平成１９年３月２９日（２００７．３．２９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２６８６５９（Ｐ２００５−２６８６５９）
【出願日】平成１７年９月１５日（２００５．９．１５）
【出願人】（０００００１００７）キヤノン株式会社 (59,756)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年３月２９日（２００７．３．２９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年９月１５日（２００５．９．１５）
【出願人】（０００００１００７）キヤノン株式会社 (59,756)
【Ｆターム（参考）】
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