説明

インクジェットプリンタの内部支持部を備えた受像部材

【課題】インク受像部材を、速く、冷えた状態から動作温度に達成させる。
【解決手段】壁の薄い受像部材200は、円筒型の壁204の内面204bに対して固定して取り付けられた少なくとも1つの環状支持部材216を含んでおり、これにより、受像部材200は、転写定着ローラ300と共に形成されたニップにおいて適切な圧力を加えることができ、ニップにおいて受像部材200から媒体にインク画像を転写できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、加熱した受像部材を備えた画像処理装置に関し、詳細には、インク画像を受け取る前に、所定の温度に加熱した回転受像部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ドロップ・オン・デマンド・インクジェット印刷システムは、抵抗器といった圧電素子または熱変換器と共に実施されるインクジェット排出器によって、印字ヘッド内で発生した圧力パルスに応じて、印字ヘッドノズルからインク滴を排出する。印字ヘッドは、複数のインクジェット排出器を備えており、排出器は、一方の端部ではインク管を介してインク供給マニホールドに、もう一方の端部では開口板のノズルに、流動的に接続されている。インク滴は、ノズルを介して排出される。ノズルは、開き口と呼ばれる場合もある。
【0003】
典型的な圧電性インクジェット印刷システムでは、電気信号を圧電変換器に用いるので、変換器が拡張してしまう。この拡張によって、変換器に隣接して位置付けられた仕切り板が、マニホールドから受け取ったインクによって充填された圧力室に押される。仕切り板が動くことにより、圧力室の外に、および、開き口を介して、液体インク滴が排出される。ピクセルと呼ばれる排出された滴は、印字ヘッドの反対側の受像部材に付いて、インク画像を形成する。インク滴が排出された個々の管は、インクマニホールドからインク管を介して毛管作用によって再充填される。
【0004】
間接型プリンタとして知られている相転移プリンタまたは固体インクプリンタの中には、受像部材が、離型剤によって被覆された回転ドラムまたは回転ベルトであり、インクが、常温で通常固体である相転移材料であるものもある。これらの固体インクプリンタでは、インク画像は、回転受像部材から紙などの記録媒体に転写される。この転写は、概して、回転受像部材、および、転写定着ローラとも呼ばれる回転圧力ローラ、によって形成されたニップにおいて行われる。転写定着ローラと記録媒体とのうちの1つまたは両方が、記録媒体が転写定着ニップに入る前に加熱されてもよい。一枚の紙がニップを介して運搬されると、完全に形成された画像は、受像部材から転写され、紙に定着する。ニップにおける熱および圧力を用いてニップを通過する記録媒体に画像を転写して定着させるこの技術は、通常、特に固体インク技術によって技術的によく知られている用語では、「転写定着」として知られている。
【0005】
印刷動作の間、固形の相転移インクが溶けて、インクジェット排出器によって排出される液体インクとなる。相転移インクは、固体インクの化学的な配合によって決定される所定の融解温度よりも高温で加熱すると、融解する。プリンタ内の1つまたはそれ以上の加熱器が、受像部材の表面を熱して、画像処理ドラムのインク滴が媒体シートに転写定着される前に液体状態に保つ。加熱器の通常の実施形態は、加熱器を通過する電流に応じて受像部材の表面を熱する電熱器である。受像部材は、回転ドラムとして構成されており、回転ドラムは、印刷用のまだ現れていないインク画像を形成するインク滴を受け取る前に、平均温度をほぼ60°Cに加熱したものである。
【0006】
多くの場合、間接型固体インクプリンタの受像部材を、受像部材から媒体シートにインク画像を転写しやすい動作温度よりも低い温度に冷却してもよい。例えば、プリンタが停止していれば、加熱器は動作を停止し、受像部材の温度は、プリンタの周りの環境の周囲温度に下がる。最新のプリンタはまた、電力消費量を低減するために、プリンタを使用していない時に加熱器および他の部品の動作を停止する省電力モードを含んでいる。
【0007】
「冷えた」受像部材を備えたプリンタが印刷ジョブを受け取ると、制御装置は、加熱器を作動させて、インク排出器が受像部材に滴を排出してインク画像を形成する前に受像部材の温度を所定の動作温度に上げることができる。受像部材を動作温度に加熱するための所要時間は、プリンタが印刷ジョブを受け取ってから初めの印刷ページを作り出すまでの遅延時間となる。1つの代表的な例では、「冷えた」受像部材を備えたプリンタは、少数の印刷ページ(例えば、1または2ページ)を含んだ印刷ジョブを受け取る。受像部材を動作温度に熱するための所要時間は、小数のページを有する印刷ジョブを実行するためにかかる総時間のうちのかなりの部分に相当する。したがって、プリンタが「冷えた」受像部材を備えているときに必要な印刷開始までの時間を縮小する間接型インクジェットプリンタの動作を改良することが、有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、相転移インクジェットプリンタの受像部材を、部材が動作温度により速く達することができるように開発した。受像部材は、第1端部と第2端部との間の長さと、相転移インク画像を受け取って運搬するように構成された外面および受像部材の内容積を規定する内面を形成する厚みとを有する、第1端部および第2端部を有する円筒型の壁と、円筒型の壁の内面の少なくとも一部分に固定して係合された受像部材、の内容積に位置付けられた第1環状支持部材と、加熱器が加熱器によって発生する熱を円筒型の壁の内面の方へ向けることができる位置に、円筒型の壁の内容積の中に位置付けられた加熱器とを含んでいる。第1環状支持部材の長さは、円筒型の壁の長さよりも短い。
【0009】
もう1つの実施形態では、インク受像転写ローラを、プリンタが「冷えた」状態から印刷動作をより速く開始できるように開発した。インク受像部材および転写ローラは、相転移インク画像を受け取って運搬するように構成された外面、および、受像部材の内容積を規定する内面を有する、円筒型の壁を有するインク受け取り部材と、円筒型の壁の内容積の中に位置付けられ、円筒型の壁の内面に固定して係合された複数の環状支持部材と、加熱器が加熱器によって発生した熱を円筒型の壁の内面の方へ向けることができる位置に、円筒型の壁の内容積の中に位置付けられた加熱器と、受像部材の円筒型の壁の外面と係合して動くように構成された転写定着ローラとを含んでいる。転写定着ローラは、外面、第1端部、および、第2端部を有する第2円筒型の壁と、第2円筒型の壁の外面に形成された被覆部とを含み、被覆部には、第2円筒型の壁の第1端部と第2端部とからほぼ等距離の位置にある第1の厚みと、第2円筒型の壁の第1端部および第2端部における第2の厚みとがある。第1の厚みは、第2の厚みよりも大きい。
【0010】
インク受像転写システムのもう1つの実施形態では、さらに、プリンタが「冷えた」状態から印刷動作をより速く開始できる。システムは、相転移インク画像を受け取って運搬するように構成された外面、および、受像部材の内容積を規定する内面を有する、円筒型の壁を有する受像部材と、円筒型の壁の内容積の中に位置付けられた環状支持部材であって、環状支持部材が円筒型の壁の内面に固定して係合されている環状支持部材と、加熱器が加熱器によって発生した熱を円筒型の壁の内面の方へ向けることができる位置に、円筒型の壁の内容積の中に位置付けられた加熱器と、受像部材の円筒型の壁の外面と係合して動くように構成された転写定着ローラとを含んでいる。転写定着ローラは、外面、第1端部、および、第2端部、を有する第2円筒型の壁と、第2円筒型の壁の外面に形成された被覆部とを含んでいる。被覆部には、第1位置および第2位置における第1の厚みと、第1端部、第2端部、および、第2円筒型の壁の中央周辺表面領域における第2の厚みがあり、第1位置は、第2円筒型の壁の第1端部と、第2円筒型の壁の中央周辺表面領域との間にあり、第2位置は、第2円筒型の壁の第2端部と第2円筒型の壁の中央周辺表面領域との間にある。第1の厚みは、被覆部の第2の厚みよりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、受像部材および転写定着ローラの構成の横断面図であり、加熱素子については、明瞭にするために削除した。
【図2】図2は、加熱素子を含んだ図1の受像部材の横断面図である。
【図3】図3は、図2の線3‐3に沿って切断した、1および図2の受像部材の横断面図である。
【図4】図4は、受像部材および転写定着ローラのもう1つの構成の横断面図である。加熱素子については、明瞭にするために削除した。
【図5】図5は、図4の受像部材の横断面図である。加熱素子については、明瞭にするために削除し、環状支持部材を作り出すために機械加工された領域を示している。
【図6】図6は、受像部材のもう1つの構成の横断面図である。加熱素子については、明瞭にするために削除した。
【図7】図7は、図6の構成のC型の輪の図である。
【図8】図8は、受像部材を備えた間接型印刷システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで用いられるような「プリンタ」という用語は、目的に応じて記録媒体に着色剤を用いて画像を作り出す、デジタル複写機、製本機、ファクシミリ装置、多機能機械などといった、任意の機器を含んでいる。受像部材に画像を形成し、次に、画像を記録媒体に転写するプリンタを、本文書では間接型プリンタとして示す。間接型プリンタは、通常、中間転写部材、転写定着部材、または、注入部材を用いて、受像部材から記録媒体への画像の転写を促進する。一般的には、このような印刷システムは、通常、受像部材に着色剤を用いて画像を形成する、印字ヘッドといった着色剤塗布器を含んでいる。
【0013】
間接型固体インクプリンタ、または、相転移インクプリンタは、常温時に固体であるインクを使用する。固体インクは、インクが融解し、続いて液体インクが印字ヘッドに送られて受像部材へと排出されうる温度に加熱される。インクは、記録媒体に転写できる受像部材において、十分に高い温度のままである。間接型相転移インクプリンタに用いられる1つのタイプの受像部材が、円筒型の画像処理ドラムである。画像処理ドラムは、インク滴用の受像面を形成する円筒型の壁の外面を有した中空である。画像処理ドラムは、1つまたはそれ以上の環状支持部材を含み、環状支持部材は、円筒型の壁の長さにわたって画像処理ドラムに加えられる圧力を分散するために、円筒型の壁の内面と接するように位置付けられている。画像処理ドラムは、通常、金属製の円筒型の壁によって形成されている。一実施形態では、ドラムは、アルマイトから形成されているが、他の金属および同様の材料を用いてもよい。
【0014】
ここで用いられるように、用語「環状支持部材」とは、画像処理ドラムの内部の円筒型の壁と係合して画像処理ドラム内に位置付けられた支持部材のことである。画像処理ドラムは、内半径と、外半径と、画像処理ドラム内の円筒型の壁の長さと共に長手方向に伸びる長さとを含んでいる。長さは、内半径と外半径との間で一定であってもよく、あるいは、厚みは、内半径よりも外半径においてより大きくてもよい。各環状支持部材の長さは、画像処理ドラムの円筒型の壁の全長よりも短い。環状支持部材の寸法は、ドラム転写定着ロールニップの端から端までほぼ一定のニップ圧力を得るために必要な剛性に基づいて選択される。環状支持部材が硬すぎれば、ニップ圧力がより高い領域が、環状支持部の位置において生じる。環状支持部材が十分に硬くなければ、ニップ圧力がより低い領域が、環状支持部の位置において生じる。ドラム転写定着ロールのニップ圧力の分散を決定する様々な要因には、ドラムおよび転写定着ロールの長さ、ドラムの壁の厚みおよび材料、転写定着ロールの壁の厚みおよび材料、転写定着ロールの頂部、および、多数の環状支持部材が含まれている。長さ345mmで厚さ4.5mmの、外直径が161mmのアルミニウムドラムに関して、長さ4mmで厚さ12mmの、鋼からなる単一の環状支持部材では、ニップ圧力の均一性が優れている。環状支持部材の長さは、2mmから30mmである。環状支持部材の厚みは、2mmから20mmである。環状支持部材の各種寸法の選択は、画像処理ドラムの長さ全体に圧力を分散すると共に、画像処理ドラムに位置付けられた加熱器もまた、従来の画像処理ドラムよりも短い時間、ドラムの外面を動作温度まで加熱するための十分な支持部を提供するようになされる。環状支持部材の様々な構成は、輪状部、輪、肋骨状部、中空円筒、C型の輪、および、他の同様の形状の構造を含んでいる。
【0015】
図8は、間接型固体インクプリンタ100を示している。プリンタ100は、(少なくとも1つの環状支持部材および転写定着ローラ150を備えた、ドラム、画像処理ドラム、または、印刷ドラムとも呼ばれる)受像部材140を含んでいる。作動装置アセンブリ124は、受像部材140と係合したり係合を解除したりして転写定着ローラ150を動かし、ニップ144を選択的に形成する。一実施形態では、作動装置アセンブリ124が、レバーアーム、カム軸、カム、および、歯車を含んでいる。歯車は、転写定着ローラ150を動かすために、制御装置122からの信号に反応する電気モータによって駆動される。もう1つの実施形態では、油圧負荷システム124が、転写定着ローラ150を動かすために制御装置122からの信号に反応する電気モータによって、動作される。プリンタ100は、固体インクスティックによって充填される固体インク供給部112を含んでいる。インクスティックは、インク融解ユニット114に達するまで、固体インク供給部112の供給路を進む。インク融解ユニット114は、インク融解ユニット114に突き当たるインクスティックの部分を、インクスティックが融解する温度まで加熱する。液化したインクは、重力、ポンプ作用、または、それらの両方によって、1つまたはそれ以上の印字ヘッド116に供給される。プリンタの制御装置122は、複製される画像データを用いて、印字ヘッド116用の発射信号を発生させ、印刷画像用の画像ピクセルとして受像部材140にインクを排出する。紙または他の記録基板といった記録媒体120は、シートフィーダ118から、受像部材140上の画像が媒体に転写されうる位置に供給される。画像転写プロセスを促進するために、媒体120は、転写定着ローラ150と回転受像部材140との間のニップ144に供給される。ニップ144では、転写定着ローラ150は、受像部材140に対して媒体120を押圧して、受像部材140から媒体120にインクを転写する。
【0016】
図1は、受像部材200および転写定着ローラ300の断面を示している。加熱素子については、明瞭にするために削除した。受像部材200は、円筒型の壁204、第1支持部材またはエンドベル208、第2支持部材またはエンドベル212、第1環状支持部材216、第2環状支持部材220、および、第3環状支持部材224を含んでいる。一実施形態では、円筒型の壁は、アルミニウムまたは他の適切な材料から形成され、外面204aおよび内面204b、第1端部205および第2端部206を含んでいる。外面204aは、1つまたはそれ以上の印字ヘッドから、インクによって形成された画像を受け取って、画像を記録媒体に転写するように構成されている。円筒型の壁204は、第1エンドベル208によって第1端部205において、第2エンドベル212によって第2端部206において支持されている。エンドベルの両方は、円筒型の壁204を十分に支持する十分な厚みおよび強度を有するアルミニウムまたは他の材料によって形成されていてもよい。
【0017】
図1〜図3の実施形態では、環状支持部材216〜224は、それぞれ、受像部材200における円筒型の壁の内面204bと係合する外周を有する円形の輪状部から形成されている。第1環状支持部材216は、円筒型の壁204の第1端部205と第2端部206との間のほぼ中心点に位置する、円筒型の壁204の内面204bに付けられている。任意の適切な付着技術が用いられるが、図1の実施形態では、第1環状支持部材216は、仮付け溶接によって形成される溶接部216aによって、円筒型の壁204に付着されている。第2環状支持部材220は、溶接部220aによって、第1環状支持部材216と第1端部205との間の円筒型の壁204の内面204bに固定して付着されている。第3環状支持部材224は、溶接部224aによって、第1環状支持部材216と第2端部206との間の円筒型の壁204に付けられている。第2環状支持部材220および第3環状支持部材224は、第1環状支持部材216からほぼ等距離にある。環状支持部材216、220、224は、アルミニウム、ステンレス鋼、または同様のものといった円筒型の壁204を支持するには十分な強度を有する任意の材料から形成されていてもよい。
【0018】
転写定着ローラ300は、中空鋼製の円筒304、第1エンドキャップ308、第2エンドキャップ312、内部保護層320、および、外部保護層316を含んでいる。鋼製の円筒は、第1端部305、第2端部306、および、外面304aを有している。第1エンドキャップ308は、鋼製の円筒304の第1端部305を支持し、第2エンドキャップ312は、鋼製の円筒304の第2端部306を支持している。外面304aは、一実施形態では高弾性ウレタンによって形成された内部保護層320によって、均一に被覆されている。一実施形態では低弾性ウレタンによって形成された外部保護層316は、内部保護層320を覆っている。転写定着ローラ300と受像部材200との間の圧力を均一にするために、外部保護層316が頂部に被せられている。これによって、外部保護層は、鋼製の円筒304の第1端部305および第2端部306におけるよりも、中心においてより厚くなっている。保護層の厚みは、第1端部305から中心へと次第に大きくなり、中心から第2端部306へと次第に小さくなる。
【0019】
図2は、加熱器240を含む受像部材200の横断面図を示し、図3は、図2の線3‐3に沿って切断した受像部材200および加熱器240の横断面図を示している。加熱器240は、第1端部および第2端部を有する取り付け軸250と、2対の雲母支持部254と、2つの反射体258と、ニクロムコイル262がそれぞれに巻き付けられた8つのガラス管266とを含んでいる。取り付け軸250は、円筒型の壁204の中心軸に沿って伸びており、第1エンドベル208に付着している軸受け270によって第1端部において支持され、第2エンドベル212の中心を貫いて第2端部に伸びている。2対の雲母支持部254は、取り付け軸250に接続しており、円筒型の壁204の内面204bへと伸びている。第1対の雲母支持部254は、第1端部と加熱器取り付け軸250の中心との間にあり、一方、第2対の雲母支持部254は、加熱器取り付け軸250の中心と第2端部との間にある。4つのガラス管266が、各一対の雲母支持部254間に伸びている。ガラス管266には、それぞれ、円筒型の壁204の内面204bへと熱を発するニクロムコイル262が巻き付けられている。金属反射体258が、ニクロムコイル262と加熱器取り付け軸250との間の各一対の雲母支持部254に取り付けられており、円筒型の壁204の内面204aの部分に熱を集中させる。
【0020】
受像部材200が作動すると、電流が、熱を発生させることによって反応するニクロムコイルへと流れる。熱は、円筒型の壁204の内面204bに向けられ、円筒型の壁204および円筒型の壁の外面204aの温度は、熱によって上昇する。円筒型の壁204が、外面204aに排出された相転移インクが後に記録媒体に転写するためにドラムの所定の位置に留まれる規定の動作温度に達すると、印字ヘッド(図示せず)は、円筒型の壁204が印字ヘッドを通りすぎて回転しながら、円筒型の壁204の外面204aにインクを排出する。インク画像がドラムに形成された後、制御装置は作動装置を動作させて、転写定着ローラを画像処理ドラムと接するように動かし、これにより、転写定着ローラ300の外部保護層316は、円筒型の壁204の外面204aと共にニップ350を形成する。一枚の紙といった記録媒体が、受像部材200と転写定着ローラ300との間のニップ350を介して供給される。インクは、ニップ350を通過すると、受像部材200から記録媒体上に移動する。
【0021】
図4は、受像部材400および転写定着ローラ500のもう1つの構成を示している。受像部材400は、円筒型の壁404、第1支持部材またはエンドベル408、第2支持部材またはエンドベル412、および、環状支持部材416を含んでいる。円筒型の壁404は、第1端部405、第2端部406、内面404a、および、外面404bを有しており、アルミニウムまたは他の適切な材料によって形成されている。円筒型の壁404は、第1エンドベル408によって第1端部405に支持されており、第2エンドベル412によって第2端部406に支持されている。環状支持部材416は、円筒型の壁404の内面404bに付けられており、第1端部405および第2端部406から等距離にある。
【0022】
転写定着ローラ500は、ニップ550において受像部材400と境を接している。転写定着ローラ500は、中空鋼製の円筒504、第1エンドキャップ508、第2エンドキャップ512、内部保護層520、および、外部保護層516を含んでいる。鋼製の円筒504には、第1端部505、第2端部506、および、外面がある。鋼製の円筒504は、エンドキャップ508によって第1端部505に、エンドキャップ512によって第2端部506に支持されている。外面504aは、一実施形態では高弾性ウレタンによって構成された内部保護層520によって均一に被覆されている。一実施形態では低弾性ウレタンによって形成された外部保護層516は、内部保護層520の外側を覆っている。外部保護層516には、第1端部516a、第2端部516b、中心516c、および、2つの頂部516d、516eがある。外部保護層516には、第1端部516aおよび第2端部516bにおいて第1の厚みがあり、環状支持部材416によって支持された円筒型の壁404の部分と外部保護層516とが接する中心516cにおいて、第2の厚みがある。図示した構成では、第2の厚みは第1の厚みとほぼ等しいが、他の構成では、第2の厚みが、第1の厚みよりも小さくても、または、それよりも大きくてもよい。外部保護層516は、各端部および中心から次第に厚くなり、転写定着ローラ500の中心からほぼ等距離に位置する2つの頂部516d、516eを形成している。外部保護層516には、第1の厚みおよび第2の厚みより大きな第3の厚みが、頂部516d、516eにある。
【0023】
図5は、受像部材400を示している。受像部材400の円筒型の壁404は、旋盤によって研削するといった機械加工プロセスによって、円筒型の壁404の内側から環450、454を機械的に除去することにより、形成される。環状支持部材416は、環450、454が除去された後も残っている。
【0024】
図6は、受像部材600のもう1つの構成を示している。受像部材600は、円筒型の壁604、第1支持部材またはエンドベル608、第2支持部材またはエンドベル612、第1環状支持部材616、第2環状支持部材620、第3環状支持部材624、および、第1溝628、第2溝632、第3溝636を含んでいる。円筒型の壁604には、第1端部605、第2端部606、外面604a、および、内面604bがある。円筒型の壁604は、第1エンドベル608によって第1端部605に、第2エンドベル612によって第2端部606に支持されている。円筒型の壁604の内面604bは、第1エンドベル608と第2エンドベル612との間にほぼ中心点がある第1円形溝628を含んでいる。第2円形溝632および第3円形溝636は、第1円形溝628からほぼ等距離に、それぞれ第1端部605および第2端部606の方向に位置付けられている。
【0025】
第1円形溝628は、第1環状支持部材616を含んでいる。図6の実施形態では、第1環状支持部材616は、図7に示したように、2つの向かい合ったC型の輪616a、616bを含んでいる。C型の輪616aは、開口部618aを含んでおり、開口部は、輪616bにおいて形成された開口部618bの反対側に配置されている。C型の輪616a、616bは、第1円形溝628に位置付けられている。各C型の輪616は、受像部材600の内容積へと挿入されるときに縮み、C型の輪は、溝628に合うように膨張する。溝628に挿入された後、C型の輪616a、616bは、例えば、リベット、ボルト、または、溶接によって、互いに固められて、溝628に固定された単一の円形部材を形成する。第2環状支持部材620は、2つのC型の輪620a、620bを含み、輪は、第2円形溝632にはめ込まれ、環状支持部材616と同様に互いに固められている。第3環状支持部材624は、2つのC型の輪624a、624bを含み、輪は、第3円形溝636にはめ込まれ、環状支持部材616、620と同様に互いに固められている。
【0026】
環状支持部材が存在することによって、受像部材の円筒型の壁を、受像部材の構造的統合性を維持しながら、従来知られている間接型プリンタの受像部材の円筒型の壁よりも薄くすることができる。上述した実施形態では、円筒型の壁204、404、604の厚さは、従来知られている間接型プリンタに用いられている円筒型の壁の厚さがほぼ9ミリメートルであるのと比べると、約5ミリメートルである。より厚い壁を必要としたのは、プリンタの運転寿命の間に受像部材の歪みを被ることなく転写定着ローラと共に形成されるニップに適切な圧力を加えるためである。上述した実施形態のより薄い円筒型の壁の質量は少ない。したがって、これらの受像部材は、従来知られている加熱器において用いられているより厚い受像部材よりも、部材の加熱器によって発生した熱に速く反応することができる。環状支持部材によって、これらの受像部材のより薄い壁は、歪みを被ることなく転写ニップにおいて十分な圧力を作り出すことができる。頂部の外部保護層によって、さらに、受像部材と転写定着ローラとの間の圧力分散がニップの幅に沿って均一化される。ほぼ均一な圧力分散が望ましいのは、受像部材から記録媒体にインクを転写するときに、印刷媒体の画質が、受像部材と転写定着ローラとの間の一様ではない圧力によって低下しないようにするためである。受像部材の壁の厚みが小さくなると、壁は、転写定着ロールからの圧力によってさらに歪む。壁がより薄い受像部材に関して、より多数の環状支持部材および/またはより厚いまたはより長い環状支持部材によって、受像部材が転写定着ローラと係合するときの受像部材の歪みはより小さくなる。ニップ圧力が十分に一定であることと共に、多数の環状支持部材を最小化して、受像部材アセンブリのコストを最小限に抑える必要がある。
【0027】
開示した他の特性および機能の変形、または、それらの代案を、他の多くの様々なシステムまたは用途と組み合わせることが望ましいということが、理解されるだろう。現在では予見できないまたは予期しない本発明の様々な代案、変形例、変形形態、または、改良が、当業者によって後になされてもよく、これらは、以下の請求項に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相転移インクジェットプリンタに用いるための受像部材であって、
第1端部と第2端部との間の長さと、相転移インク画像を受け取って運搬するように構成された外面および前記受像部材の内容積を規定する内面を形成する厚みとを有する、前記第1端部および前記第2端部を有する円筒型の壁と、
前記円筒型の壁の前記内面の少なくとも一部分に固定して係合された前記受像部材の前記内容積に位置付けられ、前記円筒型の壁の長さよりも短い長さを有する第1環状支持部材と、
加熱器が前記加熱器によって発生する熱を前記円筒型の壁の前記内面の方へ向けることができる位置に、前記円筒型の壁の前記内容積の中に位置付けられた前記加熱器とを含む、受像部材。
【請求項2】
前記第1環状支持部材と前記円筒型の壁の前記第1端部との間に位置付けられ、前記円筒型の壁の前記内面に固定して係合されている、第2環状支持部材と、
前記第1環状支持部材と前記円筒型の壁の前記第2端部との間に位置付けられ、前記円筒型の壁の前記内面に固定して係合されている、第3環状支持部材とをさらに含む、請求項1に記載の受像部材。
【請求項3】
前記環状支持部材はさらに、前記円筒型の壁の前記内面に形成された溝に挿入され、前記溝に挿入された後で互いに固められた、C型の圧縮性の第1輪およびC型の圧縮性の第2輪であって、前記C型の圧縮性の第1輪の開口部は、前記C型の圧縮性の第2輪の開口部とは反対側の前記内容積の側面に位置付けられている、前記C型の圧縮性の第1輪および前記C型の圧縮性の第2輪を含む、請求項1に記載の受像部材。
【請求項4】
前記環状支持部材は、前記円筒型の壁の前記内面と係合する外周を有し、前記円筒型の壁の前記内面に溶接される、輪状部をさらに含む、請求項1に記載の受像部材。
【請求項5】
相転移インク画像を受け取って運搬するように構成された外面、および、前記受像部材の内容積を規定する内面を有する、円筒型の壁を有するインク受け取り部材と、
前記円筒型の壁の前記内容積の中に位置付けられ、前記円筒型の壁の前記内面に固定して係合された複数の環状支持部材と、
加熱器が前記加熱器によって発生した熱を前記円筒型の壁の前記内面の方へ向けることができる位置に、前記円筒型の壁の前記内容積の中に位置付けられた前記加熱器と、
前記受像部材の前記円筒型の壁の前記外面と係合して動くように構成された転写定着ローラとを含み、前記転写定着ローラは、
外面、第1端部、および、第2端部を有する第2円筒型の壁と、
前記第2円筒型の壁の前記外面に形成された被覆部とを含み、前記被覆部には、前記第2円筒型の壁の前記第1端部と前記第2端部とからほぼ等距離の位置にある第1の厚みと、前記第2円筒型の壁の前記第1端部および前記第2端部における第2の厚みとがあり、前記第1の厚みは、前記第2の厚みよりも大きい、インク受像転写機器。
【請求項6】
前記複数の環状支持部材における各環状支持部材は、前記複数の環状支持部材の中の次の環状支持部材から所定の距離に位置付けられている、請求項5に記載のインク受像転写機器。
【請求項7】
前記円筒型の壁の前記第1端部に位置付けられた第1支持部材と、
前記円筒型の壁の前記第2端部に位置付けられた第2支持部材とをさらに含む、請求項5に記載のインク受像転写機器。
【請求項8】
前記転写定着ローラの前記被覆部がほぼポリウレタンから構成されている、請求項5に記載のインク受像転写機器。
【請求項9】
前記複数の環状支持部材における少なくとも1つの環状支持部材が、前記円筒型の壁の前記内面に形成された溝に挿入され、前記溝に挿入された後で互いに固められた、C型の圧縮性の第1輪およびC型の圧縮性の第2輪であって、前記C型の圧縮性の第1輪の開口部は、前記C型の圧縮性の第2輪の開口部とは反対側の前記内容積の側面に位置付けられている、前記C型の圧縮性の第1輪および前記C型の圧縮性の第2輪をさらに含む、請求項5に記載のインク受像転写機器。
【請求項10】
前記複数の環状支持部材における少なくとも1つの環状支持部材は、前記円筒型の壁の前記内面と係合する外周を有し、前記円筒型の壁の前記内面に溶接される、輪状部をさらに含む、請求項5に記載のインク受像転写機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−103498(P2013−103498A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230855(P2012−230855)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】