説明

インクジェットプリンタ及びプリント方法

【課題】凹凸がなく、平坦度が高く光沢感のある高精細な画像をプリントできる、インクジェットプリンタおよびプリント方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、顔料、紫外線により硬化する紫外線硬化樹脂および光重合開始剤からなり粘度が20mPa・sec以上(室温25℃)のUV硬化型インクに、揮発性有機溶剤が添加されて、3mPa・sec以上18mPa・sec(室温25℃)以下の粘度を有するインクを、複数の吐出口から噴射して前記メディア11表面にインク滴を着弾させるインクジェットヘッド13と、前記メディア表面に着弾された前記インク滴を加熱して、該インク滴に含まれる前記揮発性有機溶剤を揮発除去する加熱手段17と、前記メディア表面の前記揮発性有機溶剤が揮発除去された前記インク滴に、紫外線を照射して、該インク滴を硬化させるUV照射手段16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドからインク滴を噴射させて、複数のインク滴の配列からなる画像を印刷するインクジェットプリンタに用いられるインクおよびインクジェットプリンタ並びにプリント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタに用いられるインクとして、ソルベントインクとUV(紫外線)硬化型インクが挙げることができる。ソルベントインクは、主に顔料及びバインダー樹脂を揮発性溶剤で分散させたものであり、インクジェットヘッドからインクをメディア(印刷媒体)表面に噴射し、メディア下部にあるヒーターによって揮発性溶剤を揮発させることにより、メディア表面にインクを定着させて画像をプリントする。
一方、UV(紫外線)硬化型インクは、顔料、紫外線硬化樹脂(モノマーあるいは/及びオリゴマー)および重合開始剤等からなるものであり、インクジェットヘッドからUVインクをメディア上に噴射した後、紫外線照射手段により紫外線を照射して樹脂を硬化させて、メディア表面にインクを定着させて画像をプリントする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/094150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソルベントインクを用いてプリントしたものは、噴射されるインクの粘度が低いため、塗布されたインクの厚さが薄く、表面も平坦であるため、光沢感が出て良いという利点がある。しかし、揮発性有機溶剤の含有量が80wt%(重量百分率)を超えて高いため、メディアに着弾した時点でインクの滲みが出るので、画像の精細さに欠けるという問題があった。また、メディアとして塩化ビニール、ゴムあるいは専用の紙を用いる必要があり、メディアの材料の選択性が狭いという欠点もある。
本出願人により、特許文献1において、支持体を予備加熱するピリヒーターと、支持体上のプラテン(記録媒体)に着弾したインクを早期に加熱するヒーターとを備えたインクジェットプリンタによって、インクの滲みを防止することが開示されている。
一方、UV硬化型インクは、VOC(揮発性有機化合物)を含まないため、環境に優しく、さらにインクの粘度が高いため、噴射されたインクの広がりが無く、高精細な画像を得ることができる。しかし、粘度が高いため、インクジェットヘッドにおいて目詰まりが発生するという問題があり、インクジェットヘッドからインクを安定に吐出させるために、例えば、インクジェットヘッドを加熱して吐出するインクの粘度を下げる対策がなされている。しかし、メディア表面に着弾したインクは、温度が下がり、粘度が直ちに上昇するので、噴射されたインクが広がりにくく表面に凹凸が生じる。さらに、インクジェットヘッドと一体的に設置されたUVランプにより直ちにUV照射されて硬化するため、凹凸がそのまま固定され、画質がマット状になりやすく、またヘッドの走査方向に硬化縞が発生しやすいという欠点があった。そこで、UV硬化型インクに有機溶剤を加えて低粘度化してインク滴表面の凹凸を軽減することが考えられるが、インク滴の厚さが薄くなりUV感度が低下することが懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、インクジェットプリンタにおいて、凹凸がなく、平坦度が高く光沢感のある高精細な画像をプリントできる、インク、インクジェットプリンタおよびプリント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
少なくとも、顔料、紫外線により硬化する紫外線硬化樹脂および光重合開始剤からなり粘度が20mPa・sec以上(室温25℃)のUV硬化型インクに、揮発性有機溶剤が添加されて、3mPa・sec以上18mPa・sec(室温25℃)以下の粘度を有することを特徴とするインク。
【0006】
(構成2)
前記揮発性有機溶剤の含有率は、30重量%以上90重量%以下であることを特徴とする構成1記載のインク。
【0007】
(構成3)
前記揮発性有機溶剤は、n−ヘキサンであることを特徴とする構成1または2記載のインク。
【0008】
(構成4)
メディアを支持する支持体と、
請求項1から3いずれか1項記載のインクを、複数の吐出口から噴射して前記メディア表面にインク滴を着弾させるインクジェットヘッドと、
前記メディアの裏面側および表面側の少なくとも一方に位置し、前記メディア表面に着弾された前記インク滴を加熱して、該インク滴に含まれる前記揮発性有機溶剤を揮発除去する加熱手段と、
前記メディア表面の前記揮発性有機溶剤が揮発除去された前記インク滴に、紫外線を照射して、該インク滴を硬化させるUV照射手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【0009】
(構成5)
請求項1から3いずれか1項記載のインクを、インクジェットヘッドの複数の吐出口から噴射してメディア表面にインク滴を着弾させ、
前記メディア表面に着弾したインク滴を、前記メディアの裏面側および表面側の少なくとも一方に位置する加熱手段により加熱して、該インク滴に含まれる揮発性有機溶剤を揮発除去した後、
前記インク滴に、UV照射手段により紫外線を照射して、該インク滴を硬化させて前記メディア表面に定着させ、
前記メディア表面に複数のインク滴の配列からなる画像をプリントすることを特徴とするプリント方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のインクによれば、インクジェットプリンタに用いた場合、粘度が3mPa・sec以上18mPa・sec以下であるので、インクジェットヘッドから目詰まりすることなく良好に噴射される。また、メディア(印刷媒体)に着弾した複数のインク滴の表面は、なだらかな凹凸となり、さらに、揮発性有機溶剤を揮発除去することにより表面は平坦になり、紫外線により硬化および定着させることにより、高光沢かつ高画質な画像を得ることができる。また、20mPa・sec以上の高粘度の紫外線硬化樹脂を用いているので、揮発性有機溶剤を加熱手段で揮発除去することにより、インクの滲みを防止でき高精細な画像を得ることができ、また、着弾したインク滴の厚さが大きいので紫外線硬化感度に優れるという利点がある。
本発明と同様な粘度と有機溶剤を含むソルベントインクにおいては、使用できるメディアは、塩化ビニール、ゴムあるいはソルベントインク専用の紙に限定されていたが、本発明のインクによれば、PET、PP、PC、アクリル等のプラスチック、金属あるいはガラス等にプリントすることができ、メディアの選択性が広がる。
【0011】
本発明のインクジェットプリンタによれば、メディアの裏面側および表面側の少なくとも一方に配置された加熱手段を備えているので、上記のような本発明のインクを用いて、メディアに噴射されたインク滴に含まれる揮発性有機溶剤を直ちに揮発除去してインク滴の滲みを止めることができ、また、表面の凹凸を無くすことができるので表面を平坦にすることができる。そして、その平坦化したインク滴を、UV照射手段により硬化および定着させることができるので、光沢のある高精細な画像を得ることができる。
【0012】
本発明のプリント方法によれば、加熱手段によりインク滴を加熱して、インク滴に含まれる揮発性有機溶剤を揮発除去した後、UV照射手段により紫外線を照射して、インク滴を硬化させてメディア表面に定着させるので、インク滴の表面を平坦にすることができ、光沢感のある高精細な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態であるインクジェットプリンタを示す要部概略上面図。
【図2】本発明の一実施形態であるインクジェットプリンタを示す概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るインク、インクジェットプリンタおよびプリント方法について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明のインクについて説明する。
<インク>
本発明のインクは、モノマー(55〜88重量%)およびオリゴマー(0〜15重量%)、光重合開始剤(6〜13重量%)、増感剤(3〜30重量%)、色剤(顔料)(3〜6重量%)および添加剤(1〜8重量%;分散剤、レベル剤、重合禁止剤)からなり、粘度(25℃)が30〜300mPa・secの高粘度のUV硬化型インクに、粘度0.32(20℃)、沸点69℃のn−ヘキサンを60〜85重量%添加して、25℃での粘度が10mPa・secにしたことを特徴とするものである。
例えば、上記のような、n−ヘキサンを添加する前の粘度が約30mPa・sec(25℃)であるUV硬化型インクに、インク全体における含有量が75重量%となるようにn−ヘキサンを添加して、粘度が8mPa・secのインクとしたものを挙げることができる。
なお、モノマーおよびオリゴマーは紫外線により硬化する、紫外線硬化樹脂である。
【0015】
本発明のインクは、モノマーおよび/またはオリゴマー、光重合開始剤、増感剤、色剤および添加剤からなるUV硬化型インクの粘度は、20mPa・sec以上(室温25℃)のものを用い、揮発性有機溶剤の含有率を適宜調整して、インクの粘度を、3mPa・sec以上18mPa・sec以下に調整する。UV硬化型インクの粘度は、20mPa・sec以上(室温25℃)が望ましいが、より好ましくは、50mPa・sec(室温25℃)以上である。20mPa・sec(室温25℃)未満では、滲みが激しく、その速度も大きい。20mPa・sec(室温25℃)以上50mPa・sec(室温25℃)未満では、滲みが見られるが、滲む速度は小さく、紫外線照射されて硬化するまでに画像の精細さが欠ける程ではなく、紫外線照射するまでの時間を制御することにより、高精細な画像を得ることが可能である。50mPa・sec(室温25℃)以上では、滲みは目立たず、100mPa・sec(室温25℃)以上では、ほとんど滲みは無く、1000mPa・sec(室温25℃)以上では、全く滲みは無い。
【0016】
揮発性有機溶剤の含有率は、30重量%以上90重量%以下であることが望ましく、さらには、50重量%以上70重量%以下が望ましい。
また、n−ヘキサンに代わりに他の揮発性有機溶剤であってもよく、接触角がUV硬化型インクより小さく、粘度は、5mPa・sec以下、好ましくは2mPa・sec以下で、かつ、沸点が、200℃以下好ましくは160℃以下の、揮発性有機溶剤から適宜選択することができる。例えば、イソパラフィン系炭化水素(出光興産 IPソルベント1016、IPソルベント1620等)、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジプロピレングリコール、モノメチルエーテルアセテート等のエステル類等を挙げることができる。また、一種類に限らず複数の揮発性有機溶剤を混合して用いてもよい。
【0017】
顔料、モノマーおよび/またはオリゴマー、及び光重合開始剤としては、いずれも特に限定されるものではなく、各種従来公知のものを適宜選択して用いることができる。また、増感剤、分散剤、レベリング剤、重合禁止剤等、各種添加剤等も公知のものを適宜選択して用いることができる。
【0018】
本発明のインクは、揮発性有機溶剤を含有していることで、室温におけるインク粘度を低くすることができる。さらに、UV硬化前に揮発性有機溶剤を速やかに揮発除去することにより、インク滴の表面の平坦度が高く光沢感のある高画質の画像をプリントすることができる。
【0019】
次に、本発明のインクジェットプリンタおよびプリント方法について説明する。図1は、本発明の一実施形態を示すインクジェットプリンタの要部概略上面図であり、図2は、その側面図である。
<インクジェットプリンタ>
本発明のインクジェットプリンタ10は、メディア(記録媒体)11を支持するプラテン(支持体)12と、X方向(紙面左右方向)移動しがならメディア11表面にインクを複数の吐出口から噴射してインク滴を着弾させるインクジェットヘッド13と、メディア11の裏面側に位置し、メディア11表面に着弾されたインク滴を加熱して、インク滴に含まれる揮発性有機溶剤を揮発除去するプリントヒーター(加熱手段)17と、メディア11の移動方向(Y方向)前方に配され、メディア1表面の揮発性有機溶剤が揮発除去されたインク滴に、紫外線を照射して、該インク滴を硬化させるUV照射手段16と、を備えるものである。
【0020】
インクジェットヘッド13は、その下面に並んで配されたノズル(図示せず)からピエゾ(piezo)方式等によりインク滴を噴射させる構造を有しており、ユニット架台14に固定され、走行手段(図示せず)により、ガイドレール15上をX方向に走行可能となっている。走行手段は、電動モータ及び該モータ制御用の電子回路等から構成されている。
【0021】
使用するインクは、上記本発明の実施形態に示した、顔料、紫外線により硬化する紫外線硬化樹脂および光重合開始剤からなり粘度が20mPa・sec以上(室温25℃)のUV硬化型インクに、揮発性有機溶剤が添加されて、3mPa・sec以上18mPa・sec以下の粘度を有することを特徴とするインクを用いる。
【0022】
メディア11は、プラテン12により支持されるとともに、ピンチローラ(図示せず)及び送りローラ(図示せず)によって挟まれ、インクジェットヘッド13がインク滴を噴射しながらメディア11のX方向の一端から他端まで走行し終わると同時に、ローラが回転することによりY方向へ搬送される。また、メディア11は、PET、PP、PCおよびアクリル等のプラスチック素材、金属、ガラス、塩化ビニール、ゴム素材あるいはソルベントインク専用紙等のほぼ全ての素材からなるものを用いることができる。
【0023】
プリントヒーター(加熱手段)17は、プラテンの内部であって、メディア11の裏面側に配置され、メディア11表面に着弾したインク滴を加熱して、インク滴に含まれる揮発性有機溶剤を揮発除去する。プリントヒーター17としては、電熱式ヒーター、赤外線ヒーター、電磁誘導(IH)ヒーターを用いることができ、インクが噴射されてメディア表面に着弾すると同時にインクに含まれる揮発性有機溶剤が揮発除去されるように、プラテンの温度を一定に保っている。プリントヒーターの加熱温度の下限は、メディア11がUV照射手段位置に送られるまでに揮発性有機溶剤が十分揮発除去される温度が望ましく、例えば35℃程度である。上限は、メディアの耐熱温度とヒーターの高温化による人体への安全性より決定することが望ましく、例えば80℃程度である。
また、加熱手段の位置は、メディア裏面側に限られず、メディアの表面側あるいは両側であってもよい。メディアの表面側に加熱手段を設ける場合、加熱手段は、インクジェットヘッドと同じガイドレール15上、あるいはY方向(プラテン搬送方向)前方にガイドレール15とは分離独立した状態で固設された位置とすることができる。なお、加熱手段をインクジェットヘッドと同じガイドレール上に設ける場合であって、片方向印刷する場合は、インクジェットヘッドの走行方向後方に加熱手段を設置する。詳しくは、インクジェットヘッドをX方向右側に走行させながらインクを吐出する場合は、インクジェットヘッドの紙面左側に設置し、X方向左側に走行させながらインクを吐出する場合は、インクジェットヘッドの紙面右側に設置する。さらに、双方向印刷する場合は、インクジェットヘッドの走行方向前方および後方、すなわちインクジェットヘッドの紙面左右両側に設置する。
【0024】
UV照射手段16は、UVLED(Ultra Violet Light Emitting Diodeの略;紫外線発光ダイオード)が内蔵されており、ユニット架台14に、インクジェットヘッド13と共に、該インクジェットヘッド13のメディア11移動方向(Y方向)前方側に配置され、移動手段(図示せず)により、X方向に走行可能となっている。UV照射手段16は、インクジェットヘッド13から、インク滴が着弾した後、搬送ローラによって搬送されたメディア11表面に、紫外線を照射してメディア表面のインク滴を硬化させて、定着させる。
UV照射手段16としては、特に限定されるものではないが、電流や発光パルス幅を変更することにより、自由に照射光量の調整やON/OFF制御が可能で消費電力が少ないUVLEDランプを用いるのが最も適している。しかし、シャッターを設けることにより、UV光量を変化できることで、メタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀などの他のランプを用いることもできる。
【0025】
上記のように、本発明のインクジェットプリンタ10は、プラテン(支持体)12上に支持されたメディア11表面に、上記本発明のインクをインクジェットヘッド13から噴射し、メディア11表面に着弾したUVインク滴を、メディアの裏面側に位置するプリントヒーターによってインク滴に含まれる揮発性有機溶剤を揮発除去し、次に、UV照射手段16により紫外線を照射して、該UVインク滴を硬化させてメディア11表面に定着させ、メディア11表面に複数のUVインク滴の配列からなる画像を作製するものである。本発明のインクジェットプリンタによれば、インク滴の表面を平坦にできるので光沢感があり、また、本発明のインクを用いているのでインク滴の滲みが無く、高精細な画像を得ることができる。
【0026】
上記実施形態におけるインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッド13およびUV照射手段16が、共にユニット架台に固定されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、UV照射手段が、インクジェットヘッドから分離、独立した状態で、Y方向前方に位置する別のガイドレールに固定されてX方向に走行できるように構成されていてもよく、あるいは、Y方向前方に位置しプラテンのX方向全幅に亘るUVランプを固設する構成としてもよい。UVランプとしては、ブラックライト、殺菌灯等の放電管を挙げることができる。
【0027】
<プリント方法>
次に、本発明のインクおよびインクジェットプリンタ10を用いたプリント方法について図1および図2を参照して説明する。
本発明のプリント方法は、上記のような本発明のインクとインクジェットプリンタを用いて行うものであり、インクをインクジェットヘッド13の複数の吐出口から噴射して、メディア11表面にインク滴を着弾させ、メディア11表面に着弾したインク滴を、メディアの裏面側に位置する加熱手段により加熱して、該インク滴に含まれる揮発性有機溶剤を揮発除去した後、インク滴に、UV照射手段16により紫外線を照射して、該インク滴を硬化させてメディア11表面に定着させ、メディア11表面に複数のインク滴の配列からなる画像をプリントすることを特徴とするものである。
【0028】
インクジェットヘッドユニットに、本発明の、粘度が約4mPa・secのインクを充填し、インクジェットヘッドをX方向へ走行させてメディア上にインク滴を噴射する。この場合、本発明のインクは、目詰まりの心配が無いため、特に、インクジェットヘッドにヒーター等の加熱手段を設ける必要がないが、インクジェットヘッドやインクを温水で加熱して吐出時の粘度を下げることができる。
【0029】
次に、メディア11上に噴射されたインク滴を、メディアの裏面側に位置しメディア表面を40℃〜80℃に保持するプリントヒーターで直ちに加熱し揮発性有機溶剤を蒸発除去する。これにより、粘度が30mPa・secの高粘度なUV硬化型インクからなるインク滴になるので、滲みを防止することができる。
【0030】
次に、メディア11はプラテン12によりY方向へ搬送される。揮発性有機溶剤が揮発除去されたメディア表面のインク滴に、メディアのY方向前方にあるUV照射手段16により紫外線を照射し、硬化させてメディア11表面に定着させる。これにより、メディア11表面に複数のインク滴の配列からなる画像が形成される。
【0031】
以上、本発明のインク、インクジェットプリンタおよびプリント方法について説明してきたが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 インクジェットプリンタ
11 メディア
12 プラテン
13 インクジェットヘッド
14 ユニット架台
15 ガイドレール
16 UV照射手段
17 プリントヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアを支持する支持体と、
少なくとも、顔料、紫外線により硬化する紫外線硬化樹脂および光重合開始剤からなり粘度が20mPa・sec以上(室温25℃)のUV硬化型インクに、揮発性有機溶剤が添加されて、3mPa・sec以上18mPa・sec(室温25℃)以下の粘度を有するインクを、複数の吐出口から噴射して前記メディア表面にインク滴を着弾させるインクジェットヘッドと、
前記メディアの裏面側および表面側の少なくとも一方に位置し、前記メディア表面に着弾された前記インク滴を加熱して、該インク滴に含まれる前記揮発性有機溶剤を揮発除去する加熱手段と、
前記メディア表面の前記揮発性有機溶剤が揮発除去された前記インク滴に、紫外線を照射して、該インク滴を硬化させるUV照射手段と、
を備える
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記揮発性有機溶剤の含有率は、30重量%以上90重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記揮発性有機溶剤は、n−ヘキサンであることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
少なくとも、顔料、紫外線により硬化する紫外線硬化樹脂および光重合開始剤からなり粘度が20mPa・sec以上(室温25℃)のUV硬化型インクに、揮発性有機溶剤が添加されて、3mPa・sec以上18mPa・sec(室温25℃)以下の粘度を有するインクを、インクジェットヘッドの複数の吐出口から噴射してメディア表面にインク滴を着弾させ、
前記メディア表面に着弾したインク滴を、前記メディアの裏面側および表面側の少なくとも一方に位置する加熱手段により加熱して、該インク滴に含まれる揮発性有機溶剤を揮発除去した後、
前記インク滴に、UV照射手段により紫外線を照射して、該インク滴を硬化させて前記メディア表面に定着させ、
前記メディア表面に複数のインク滴の配列からなる画像をプリントする
ことを特徴とするプリント方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−116192(P2012−116192A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−289116(P2011−289116)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2009−135558(P2009−135558)の分割
【原出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】