インクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置、その塗布装置の運転方法および画像形成システム
【課題】処理剤液の粘度上昇による処理剤液塗布量の増加を有効に抑制することのできるインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置を提供する。
【解決手段】被記録媒体Wに処理剤液22を塗布する塗布ローラ31、塗布ローラ31との間で被記録媒体Wを挟持すると共に、被記録媒体Wを塗布ローラ側に押圧する加圧ローラ33、
塗布ローラ31と処理剤液22を収容し、塗布ローラ31と加圧ローラ33のニップ部付近に開口部38を有する第1の容器26、第1の容器26よりも気密性が高い第2の容器43、
第1の容器26から第2の容器43に延びた退避経路44、退避経路44の途中に設けられた開閉弁45、第2の容器43から第1の容器26に向けて延びた戻し経路54,46を備えたことを特徴とする。
【解決手段】被記録媒体Wに処理剤液22を塗布する塗布ローラ31、塗布ローラ31との間で被記録媒体Wを挟持すると共に、被記録媒体Wを塗布ローラ側に押圧する加圧ローラ33、
塗布ローラ31と処理剤液22を収容し、塗布ローラ31と加圧ローラ33のニップ部付近に開口部38を有する第1の容器26、第1の容器26よりも気密性が高い第2の容器43、
第1の容器26から第2の容器43に延びた退避経路44、退避経路44の途中に設けられた開閉弁45、第2の容器43から第1の容器26に向けて延びた戻し経路54,46を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク滴の吐出を行い被記録媒体上に画像を形成するインクジェットプリンタの画像滲みを抑制する滲み抑制剤などの処理剤液を画像形成に先立って被記録媒体上に塗布するインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置、その塗布装置の運転方法および画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成は、低騒音、低ランニングコストに加えて、カラー化が容易といった利点を有していることから、近年、急速に普及してきている。しかし、専用紙以外の被記録媒体に画像を形成すると、滲み、濃度、色調や裏写りなどといった初期の品質問題に加えて、耐水性、耐候性といった画像の堅牢性に関わる問題を有しているため、これらの問題を解決する提案がなされている。
【0003】
それらの解決手段として、被記録媒体である用紙にインク滴が着弾する前にインクを凝集させる機能を有する処理剤液を塗布して、画質を改善する方法がある。この処理剤液を塗布する方法として、ローラを用いて被記録媒体の全面に塗布する方法が例えば特開平7−156538号公報(特許文献1)に開示されている。
【0004】
図10は、ローラを用いて被記録媒体に処理剤液を塗布する従来の処理剤液塗布装置の概略構成図である。
同図に示すように、モータなどの駆動源(図示せず)によって回転駆動するプラテンローラ201の周面には、押さえチャック202を用いて被記録媒体(用紙) 203が巻き付けられている。
【0005】
一方、処理剤液タンク204内には処理剤液205が貯留されており、処理剤液205は攪拌・供給ローラ206、移送・薄膜化ローラ207a,207bによって塗布ローラ208のローラ面に薄膜状に転写される。
【0006】
そして、塗布ローラ208は回転するプラテンローラ201に巻き付けられている被記録媒体203上に押し付けられながら回転し、被記録媒体203の表面に処理剤液205を塗布する。処理剤液205を塗布した被記録媒体203の部分がインクジェット記録ヘッド209と対向する位置に来ると、インクジェット記録ヘッド209からインク滴が吐出されて、記録が行なわれる。
【0007】
このように、画像品質を向上させるための処理剤液205を塗布ローラ208で被記録媒体203の記録領域に塗布する方法は、噴射ヘッドを用いて処理剤液を被記録媒体に吹き付けて処理を行なう方法に比べて、比較的粘度の高い処理剤液205を被記録媒体203上に薄く塗布することができ、画像の滲みなどを一段と低減できるという特長を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の処理剤液塗布装置では、処理剤液を処理剤液塗布装置内に貯留して長期間放置しておくと、処理剤液中の水分あるいは有機溶剤が蒸発して、処理剤液の粘度が上昇する点については配慮されていなかった。
図11は、処理剤液の粘度と被記録媒体A4サイズあたりの処理剤液の塗布量との関係を示す特性図である。この図から明らかなように、処理剤液の粘度上昇により処理剤液の塗布量が増加する傾向にある。
【0009】
処理剤液の塗布量が増加すると被記録媒体上において処理剤液が滲んで、被記録媒体を搬送するローラとの摩擦力が低下して、被記録媒体の走行不良を引き起こす原因となる。また、処理剤液の乾燥が十分に行なわれず、後工程において画像が他の被記録媒体に転写して、画像品質を低下したり、さらに画像形成システムの高速化に支障をきたすなどの問題がある。
【0010】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解消し、処理剤液の粘度上昇による処理剤液塗布量の増加を有効に抑制することのできるインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置ならびにその運転方法を提供することができ、また適切な前処理が行なわれて品質の高い画像が得られる画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、第1の発明は、
画像形成前の被記録媒体に処理剤液を塗布する塗布ローラと、
その塗布ローラとの間で前記被記録媒体を挟持・搬送すると共に、その被記録媒体を塗布ローラ側に押圧して塗布ローラ上の前記処理剤液を被記録媒体に転写する加圧ローラと、
前記塗布ローラと前記処理剤液を収容し、前記塗布ローラと前記加圧ローラのニップ部付近に開口部を有する第1の容器を備えたインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置において、
前記第1の容器よりも気密性が高く、前記第1の容器に収容されている量の処理剤液を収容できる第2の容器と、
前記第1の容器から第2の容器に向けて延びた退避経路と、
その退避経路の途中に設けられた第1の開閉弁と、
前記第2の容器から第1の容器に向けて延びた戻し経路を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
前記目的を達成するため、第2の発明は、
画像形成前の被記録媒体に処理剤液を塗布する塗布ローラと、
その塗布ローラとの間で前記被記録媒体を挟持・搬送すると共に、その被記録媒体を塗布ローラ側に押圧して塗布ローラ上の前記処理剤液を被記録媒体に転写する加圧ローラと、
前記塗布ローラと前記処理剤液を収容し、前記塗布ローラと前記加圧ローラのニップ部付近に開口部を有する第1の容器を備えたインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置の運転方法において、
前記第1の容器よりも気密性が高く、前記第1の容器に収容されている量の処理剤液を収容できる第2の容器と、
前記第1の容器から第2の容器に向けて延びた退避経路と、
その退避経路の途中に設けられた第1の開閉弁と、
前記第2の容器から第1の容器に向けて延びた戻し経路と、
前記戻し経路の途中に設けられた処理剤液を前記第1の容器に供給する供給経路と、
その供給経路の前記戻し経路との連結点とは反対側に着脱可能に接続された処理剤液を充填したカートリッジと、
前記第1の容器内の前記処理剤液量を検知する第1の液量検知センサと、
前記第2の容器内の前記処理剤液量を検知する第2の液量検知センサを備え、
前記第2の容器内に処理剤液がないことを前記第2の液量検知センサで確認すると、前記カートリッジに充填されている処理剤液を前記供給経路を通して前記第1の容器に供給し、
前記第1の液量検知センサにより規定量の処理剤液が第1の容器に供給されたことを検知してから、前記カートリッジからの処理剤液の供給を停止し、
前記第2の容器内に処理剤液があることを前記第2の液量検知センサで確認すると、その第2の容器内にある処理剤液を前記戻し経路を通して第1の容器に戻し、
前記第2の容器内の処理剤液が無くなったことを前記第2の液量検知センサで検知し、そのとき前記第1の液量検知センサにより前記第1の容器内の処理剤液が規定量に達したか否かを検知し、不足しておればその不足分の処理剤液を前記カートリッジから補給することを特徴とするものである。
【0013】
前記目的を達成するため、第3の発明は、
被記録媒体の搬送方向に沿って、搬送方向上流側に画像形成前の被記録媒体に対して処理剤液を塗布する処理剤液塗布装置が設置され、その処理剤液塗布装置の被記録媒体の搬送方向下流側に処理済の被記録媒体上にインク滴を吐出して画像を形成するインクジェットプリンタが設置された画像形成システムにおいて、
前記処理剤液塗布装置が前記第1の発明に係る処理剤液塗布装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は前述のような構成になっており、処理剤液の粘度上昇による処理剤液塗布量の増加を有効に抑制することのできるインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置ならびにその運転方法を提供することができ、また適切な前処理が行なわれて品質の高い画像が得られる画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの流れを示すフローチャートである。
【図2】その画像形成システムに用いられる処理剤液塗布装置の概略構成図である。
【図3】その処理剤液塗布装置における塗布手段の概略構成図である。
【図4】その処理剤液塗布装置の供給パンへの処理剤液の供給ならびに循環系統を説明するための図である。
【図5】その処理剤液塗布装置のリザーブタンク内に処理剤液が無い状態からの処理剤液の供給動作を説明するための図である。
【図6】その処理剤液塗布装置のリザーブタンク内に処理剤液が有る状態から供給パンへの処理剤液の供給動作を始めるときの手順を説明するための図である。
【図7】その処理剤液塗布装置の供給パン内にある処理剤液の循環動作の手順を説明するための図である。
【図8】その処理剤液塗布装置の供給パン内にある処理剤液の退避動作の手順を説明するための図である。
【図9】その処理剤液塗布装置内での供給パン、リザーブタンク、フィルタ部などの各部品の設置状態を説明するための図である。
【図10】従来の処理剤液塗布装置の概略構成図である。
【図11】処理剤液の粘度と被記録媒体A4サイズあたりの処理剤液の塗布量との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を図面とともに説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムの流れを示すフローチャートである。
【0017】
同図に示しているように、給紙装置100から繰り出された例えば長尺状の連続紙などからなる被記録媒体Wは、最初、処理剤液塗布装置101に送り込まれ、被記録媒体Wの表裏にそれぞれ前記抑制剤などの処理剤液が塗布されて前処理が行われる。次に処理された被記録媒体Wは第1のインクジェットプリンタ102aに送り込まれて、被記録媒体Wの表側にインク滴を吐出して所望の画像が形成され、その後に反転装置103により被記録媒体Wの表裏が反転され、引き続き被記録媒体Wは第2のインクジェットプリンタ102bに送り込まれて、被記録媒体Wの裏側にインク滴を吐出して所望の画像が形成される。
このようにして被記録媒体Wの両面に印刷が施された後、後処理装置(図示せず)に送られて所定の後処理がなされるシステムになっている。
【0018】
図2はこの画像形成システムに用いられる処理剤液塗布装置101の概略構成図であり、処理剤液の塗布時の状態を示している。
同図に示すように、ローラの端部に軸受け(図示せず)を有し、回転自在のガイドローラ1が処理剤液塗布装置101内に多数本設置されて、被記録媒体Wの搬送パスを確保している。
【0019】
図中の符号2はモータなどの駆動源(図示せず)で回転駆動するFIローラ(フィードインローラ)であり、FIローラ2にはばね(図示せず)の引張力でFIニップローラ(フィードインニップローラ)4が押し付けられるようになっている。
【0020】
被記録媒体WはFIローラ2とFIニップローラ4の間で弾性的に挟持されており、前記駆動源によりFIローラ2を回転することで、この処理剤液塗布装置101の内部に前記給紙装置100から被記録媒体Wを引き込むことができる。
【0021】
また、FIローラ2とFIニップローラ4から送り出された被記録媒体Wは若干弛ませてエアループALを形成している。
エアループALを経た被記録媒体Wは、パスシャフト5とエッジガイド6の間を通る。図示していないが、被記録媒体Wの搬送方向(矢印方向)と直交する方向に2本のパスシャフト5が配置され、被記録媒体Wがそのパスシャフト5の間をSの字状に通る。このパスシャフト5に一対の板状エッジガイド6が支持されており、エッジガイド6の間隔は被記録媒体Wの幅寸法と同寸に設定されている。
【0022】
そのためパスシャフト5とエッジガイド6の働きにより、被記録媒体Wの幅方向の走行位置が規制され、安定した走行が可能となる。なお、エッジガイド6は、パスシャフト5に例えばねじなどの固定手段によって固定されており、使用する被記録媒体Wの幅寸法に応じてエッジガイド6の位置が調整可能になっている。
【0023】
パスシャフト5とエッジガイド6の間を通過した被記録媒体Wは、固定状態にあるテンションシャフト7により走行安定化のための張力が付加される。
【0024】
テンションシャフト7を通過した被記録媒体Wは、モータなどの駆動源(図示せず)で回転駆動するインフィードローラ8とフィードニップローラ9の間を通る。フィードニップローラ9は図示していないが、インフィードローラ8の軸方向に沿って複数個配置されており、各フィードニップローラ9はばね10によりインフィードローラ8側に押し付けられている。
【0025】
インフィードローラ8とフィードニップローラ9の間を通過した被記録媒体Wは、回転自在な1本の第1のダンサーローラ11の下側から巻き掛けられている。
【0026】
第1のダンサーローラ11はローラ端部に設けた軸受け(図示せず)を介して第1の可動フレーム12に回転自在に取り付けられて、第1のダンサーユニット17を構成している。従ってこの第1のダンサーユニット17は被記録媒体Wで吊り下げられた状態になっている。
【0027】
この第1のダンサーユニット17は、重力方向Aに沿って移動可能になっている。第1のダンサーユニット17の位置を検出する第1のダンサーユニット位置検出手段(図示せず)が設けられており、この位置検出手段の出力に応じて前記インフィードローラ8の駆動源を駆動制御することで、第1のダンサーユニット17の位置が調整できる構成になっている。
【0028】
第1のダンサーユニット17を通過した被記録媒体Wは、それの表面側に処理剤液を塗布する表面塗布手段13f、ならびに被記録媒体Wの裏面側に処理剤液を塗布する裏面塗布手段13rを順次通過することにより、被記録媒体Wの両面に処理剤液が塗布される。処理剤液の塗布手段13については、後で説明する。
【0029】
裏面塗布手段13rを通過した被記録媒体Wは、モータなどの駆動源(図示せず)で回転駆動するアウトフィードローラ14とフィードニップローラ9の間を通る。フィードニップローラ9は図示していないが、アウトフィードローラ14の軸方向に沿って複数個配置されており、各フィードニップローラ9はばねによりアウトフィードローラ14側に押し付けられている。
【0030】
アウトフィードローラ14とフィードニップローラ9の間を通過した被記録媒体Wは、回転自在な第2のダンサーローラ15a,15bならびに両ダンサーローラ15a,15bの間に配置されたガイドローラ1にわたってW型に巻き掛けられている。
【0031】
2本のダンサーローラ15a,15bはそれぞれローラ端部に設けた軸受け(図示せず)を介して第2の可動フレーム16に回転自在に取り付けられて、第2のダンサーユニット18を構成している。従ってこの第2のダンサーユニット18も被記録媒体Wによって吊り下げられた状態になっている。
【0032】
この第2のダンサーユニット18も重力方向Aに沿って移動可能になっており、第2のダンサーユニット18の位置を検出する第2のダンサーユニット位置検出手段(図示せず)が設けられており、この位置検出手段の出力に応じて前記アウトフィードローラ14の駆動源を駆動制御することで、第2のダンサーユニット18の位置が調整できる構成になっている。
【0033】
図3は、前記塗布手段13の概略構成図である。
後述するように処理剤液22は、供給パン26に供給される。処理剤液22としては、水溶性の色材を凝集させるか又は不溶化させる機能を有する水溶性の凝集剤を水あるいは有機溶剤に溶解又は分散させた液が用いられる。
【0034】
供給パン26内の処理剤液22の量は、供給パン26に付設されている液面検知センサ27により検知され、印刷の繰り返しにより処理剤液22が消費されて、供給パン26内の処理剤液22の液面位置が規定の高さより下がると、処理剤液22が供給パン26に供給される。供給パン26内の処理剤液22の液面位置が規定の高さに達すると、液面検知センサ27の検知信号に基づいて処理剤液22の供給が停止することにより、供給パン26内の処理剤液22の液量を一定に保持している。
【0035】
供給パン26に貯留されている処理剤液22は、モータ28により駆動されるスクイーズローラ29の回転により汲み上げられる。このスクイーズローラ29としては、例えばアニロックスローラやワイヤーバーなどのように、ローラ周面に溝加工を施したものを用いると、汲み上げ時に処理剤液22の粘度、印刷速度の影響などを受け難く、液量コントロールが容易であるという特長を有している。
【0036】
スクイーズローラ29により汲み上げられた処理剤液22は、余剰分をメータリングブレード30により掻き落され、規定量が塗布ローラ31とのニップ部に運ばれる。このメータリングブレード30の材質として、ステンレス鋼などの金属、またはプラスチック、ゴムなどが考えられるが、スクイーズローラ29の磨耗、余剰液の掻き落し機能、耐用寿命などの観点からプラスチック材が望ましい。
【0037】
スクイーズローラ29と塗布ローラ31のニップ部に運ばれた処理剤液22は、両ローラ29,31の間で軸方向に均一に引き伸ばされて薄膜化されつつ、塗布ローラ31に転写される。塗布ローラ31は、周面をゴムなどの弾性体で覆われており、モータ32により回転駆動される。
【0038】
塗布ローラ31に転写された処理剤液22は、塗布ローラ31と加圧ローラ33の間で挟持・搬送される被記録媒体Wに塗布される。
加圧ローラ33は、揺動可能なアーム34のほぼ中央位置に軸受け(図示せず)を介して回転自在に支持されており、搬送移動する被記録媒体Wに従動して回転する。アーム34の揺動中心35とは反対側の端部に引張ばね36が接続されており、てこの原理により加圧ローラ33を塗布ローラ31側に押し付けている。
【0039】
加圧ローラ33と引張ばね36の間に設けられた偏芯カム37はアーム34に接触しており、処理剤液22を塗布しないときには、偏芯カム37の回転により引張ばね36の弾性に抗して、加圧ローラ33を塗布ローラ31から離れる方向に移動させることができる。
【0040】
供給パン26の上端部は内側に収容している塗布ローラ31を覆うように形成され、加圧ローラ33が離接する位置付近に開口部38が設けられており、この開口部38には処理剤液22の水分あるいは有機溶剤の蒸発を抑制するためのシャッター39が開閉可能に設けられている。そして図3に示しているように、加圧ローラ33が塗布ローラ31側に移動している間はー39は開き、加圧ローラ33が塗布ローラ31から離れている間はシャッター39は閉じる機構になっている。
塗布ローラ31は、被記録媒体Wに処理剤液22を転写した後、クリーナブレード40により清掃され、次の処理剤液22の塗布に備えられる。
【0041】
図3に示されているように、加圧ローラ33の周辺適所には複数のガイドローラ1a〜1eが回転自在に配置されており、そのうちの1つのガイドローラ1eはモータ41によって回転駆動される搬送ローラ42と対向して設けられている。
【0042】
給紙装置100(図1参照)から供給された長尺状の被記録媒体Wは、ガイドローラ1eと搬送ローラ42の間で挟持され、モータ41によって回転駆動される搬送ローラ42とガイドローラ1eとによって引っ張られ、各ガイドローラ1a〜1eに沿って搬送される。
【0043】
そして被記録媒体Wは、塗布ローラ31によって処理剤液22が塗布された後、インクジェットプリンタ102(図1参照)へ送られる。
【0044】
図4は、供給パン26への処理剤液22の供給ならびに循環系統を説明するための図である。
図3に示しているように、塗布ローラ31と加圧ローラ33のニップ部での被記録媒体Wの挟持・搬送ならびに被記録媒体Wのへの処理剤液22の塗布のためには供給パン26の上部を開口しておく必要があり、シャッター39が付設されていても完全な密閉構造(密閉系)にすることは難しい。
【0045】
そのため本実施形態では、ほぼ密閉構造となっているリザーブタンク43を併設している。このリザーブタンク43は、供給パン26に貯留されている処理剤液22が収容可能な空間部を有している。
図4に示しているように、このリザーブタンク43と供給パン26は退避経路44で連通しており、退避経路44のリザーブタンク43の手前に電磁弁45が付設されている。
【0046】
供給パン26とリザーブタンク43の間で水頭差が生じるように、供給パン26に対してリザーブタンク43は低い位置に設置されている。長時間処理剤液22を使用しないときには、前記電磁弁45を開放することで、前記水頭差を利用して供給パン26に溜まっている処理剤液22を気密性の高いリザーブタンク43に移送させて、処理剤液22の乾燥による粘度上昇を抑える構成になっている。
【0047】
なお、電磁弁45を開放する契機は、処理剤液塗布装置内の被記録媒体Wの架け替え、印刷パターンの変更といった通常の印刷ジョブ間の作業時間よりも長い時間、例えば1時間以上にわたって印刷が停止されているといった場合であり、供給パン26に処理剤液22を充填する待ち時間が毎回の印刷停止毎に発生しないようにしている。
【0048】
また、電磁弁45は通電しない場合には開放となるノーマルクローズドタイプ(常開型)のものを使用しており、処理剤液塗布装置の電源を遮断した場合には必ず供給パン26内の処理剤液22を自動的にリザーブタンク43に移送させて、気密性の低い供給パン26内に長期間にわたって処理剤液22が放置されない構成となっている。
【0049】
図4に示しているように、前記退避経路44の途中から循環経路46が分岐しており、循環経路46の先端は供給パン26に連結されている。循環経路46の途中にはフィルタ部47が介在されており、退避経路44と循環経路46の連結点からフィルタ部47の間に電磁弁48が付設され、一方、フィルタ部47の出口側に循環ポンプ49が配置されている。
【0050】
循環経路46の供給パン26との連結点と循環ポンプ49の間には供給経路50が連結されており、供給経路50の自由端部側には処理剤液22を充填した密閉構造のカートリッジ51が交換可能に取り付けられている。また、供給経路50の途中には、供給ポンプ52と電磁弁53が設けられている。
【0051】
また、リザーブタンク43とフィルタ部47を連通する循環供給経路54が設けられており、循環供給経路54の途中には電磁弁55が付設されている。さらに、リザーブタンク43には液面検知センサ56が設けられており、リザーブタンク43内の処理剤液22の液量を監視している。
なお、前記退避経路44、循環経路46、供給経路50ならびに循環供給経路54は管体で構成されている。
【0052】
次に処理剤液塗布装置内の各系統の動作を図5ないし図8を用いて説明する。
(処理剤液22の供給動作)
図5は、リザーブタンク43内に処理剤液22が無い状態からの処理剤液22の供給動作を説明するための図であり、供給パン26に処理剤液22を供給している途中の状態を示している。
【0053】
この場合同図に示すように、電磁弁45,48,55を閉じ(図中、電磁弁45,48,55を黒で塗っている)、循環ポンプ49を停止している(図中、循環ポンプ49を黒で塗っている)。そして電磁弁53を開いて(図中、電磁弁53を白抜きしている)、供給ポンプ52を駆動する(図中、供給ポンプ52を白抜きしている)ことにより、カ−トリッジ51内の処理剤液22が供給経路50ならびに循環経路46の一部を通り、供給パン26に供給される。
【0054】
供給パン26に供給される処理剤液22の液量が規定値に達したか否かは液面検知センサ27(図3参照)によって監視され、処理剤液22の液量が規定値に達すると、液面検知センサ27からの検知出力に基づいて供給ポンプ52を停止し、電磁弁53を閉じる。
【0055】
印刷の繰り返しにより供給パン26内の処理剤液22の液量が少なくなったことを液面検知センサ27が検知すると、再び電磁弁53を開き、供給ポンプ52を駆動してカ−トリッジ51内の処理剤液22を供給パン26に補給する。
【0056】
図6は、リザーブタンク43内に処理剤液22が有る状態から供給パン26への処理剤液22の供給動作を始めるときの手順を説明するための図であり、リザーブタンク43内の処理剤液22を供給パン26に供給する途中の状態を示している。
【0057】
この場合同図に示すように、電磁弁45,48,53を閉じ(図中、電磁弁45,48,53を黒で塗っている)、供給ポンプ52を停止している(図中、供給ポンプ52を黒で塗っている)。そして電磁弁55を開いて(図中、電磁弁55を白抜きしている)、循環ポンプ49を駆動する(図中、循環ポンプ49を白抜きしている)ことにより、リザーブタンク43内の処理剤液22が循環供給経路54ならびに循環経路46の一部を通り、供給パン26に供給される。
【0058】
この供給時に処理剤液22はフィルタ部47を通過することにより、処理剤液22に含まれている紙粉などの異物が除去され、リフレッシュした処理剤液22を供給パン26に供給することができる。処理剤液22中に紙粉が混ざると、処理剤液22が糊状となり、粘度が上がるため、紙粉などの異物は度ある毎に処理剤液22から排除する必要がある。
【0059】
リザーブタンク43内の処理剤液22の排出が終了したか否かは液面検知センサ56によって監視され、処理剤液22の排出が終了すると電磁弁55を閉じ、循環ポンプ49を停止する。
【0060】
リザーブタンク43からの処理剤液22の移送が終了した時点で、供給パン26内に規定量の処理剤液22が供給されたか否かが液面検知センサ27の監視で判断され、規定量に達しておればそれで処理剤液22の供給動作を終了する。規定量に達していなければ、図5を用いて説明した手順で、カ−トリッジ51から処理剤液22の補給を行なう。
【0061】
リザーブタンク43内に処理剤液22がある場合は、先にリザーブタンク43内の処理剤液22を供給パン26に移送し、供給パン26内の処理剤液22の液量が不足しておれば、その不足分だけカ−トリッジ51から補給する手順をとる。
【0062】
リザーブタンク43内に処理剤液22があるにもかかわらず、先にカ−トリッジ51側から供給パン26に処理剤液22を供給する方法を採用すると、系内に余剰の処理剤液22が増えて、リザーブタンク43から処理剤液22が溢れ出る恐れがあり好ましくない。
【0063】
(処理剤液22の循環動作)
図7は、処理剤液22の循環動作を説明するための図であり、退避経路44の一部と循環経路46を通して供給パン26内の処理剤液22を循環している途中の状態を示している。
【0064】
この場合同図に示すように、電磁弁45,53,55を閉じ(図中、電磁弁45,53,55を黒で塗っている)、供給ポンプ52を停止している(図中、供給ポンプ52を黒で塗っている)。そして電磁弁48を開いて(図中、電磁弁48を白抜きしている)、循環ポンプ49を駆動する(図中、循環ポンプ49を白抜きしている)ことにより、供給パン26内の処理剤液22を退避経路44の一部と循環経路46を通して循環させ、その途中でフィルタ部47を通り、処理剤液22に含まれている紙粉などの異物が除去され、リフレッシュした処理剤液22を供給パン26に戻すことができる。
この処理剤液22の循環動作は、印刷中、所定の時間間隔をおいて適宜実施される。
【0065】
(処理剤液22の退避動作)
図8は、処理剤液22の退避動作を説明するための図であり、退避動作途中の状態を示している。
【0066】
この場合同図に示すように、電磁弁48,53,55を閉じ(図中、電磁弁48,53,55を黒で塗っている)、循環ポンプ49ならびに供給ポンプ52を停止している(図中、循環ポンプ49ならびに供給ポンプ52を黒で塗っている)。そして電磁弁45を開く(図中、電磁弁45を白抜きしている)ことにより、供給パン26とリザーブタンク43の水頭差を利用し、退避経路44を通して供給パン26内の処理剤液22をリザーブタンク43に移送して、処理剤液22の乾燥による粘度上昇を抑えている。
【0067】
なお、退避後の印刷要求に伴い処理剤液22を供給パン26に戻す動作は、図6を用いて説明したリザーブタンク43からの供給パン26への処理剤液22の供給動作と同じである。
【0068】
図9は、処理剤液塗布装置内での供給パン26、リザーブタンク43、フィルタ部47などの各部品の設置状態を説明するための図である。
【0069】
この実施形態の場合、処理剤液塗布装置は装置本体57と、付属筐体58に分かれており、装置本体57がインクジェットプリンタ使用者から見て手前側に、付属筐体58はその奥側に配置される。
【0070】
この図に示すように、供給パン26はダンサーユニット17,18などと共に装置本体57内に設置されている。一方、リザーブタンク43、フィルタ部47、カートリッジ51ならびにポンプ49,52などの各部品は付属筐体58内に設置されている。そして装置本体57と付属筐体58の間は、退避経路44ならびに循環経路46で接続されている。
【0071】
なお、この図で示している符号59は廃液電磁弁、60は廃液タンクである。処理剤液22を使用しているうちにその品質が低下する傾向にあるから、定期的あるいは必要に応じて処理剤液22を廃棄して、新しい処理剤液22を入れ替える必要がある。そのために廃液電磁弁59ならびに廃液タンク60が設けられている。
なお、図4〜8では図面が煩雑になるため、廃液電磁弁59ならびに廃液タンク60の表示を省略している。
【0072】
図1では被記録媒体Wの両面に画像を形成する場合について説明したが、片面に画像を形成する場合には、図1に示す反転装置103ならびに第2のインクジェットプリンタ102bは使用しないで、図2に示す処理剤液塗布装置101の裏面塗布手段13rの加圧ローラ33を塗布ローラ31から離せば、そのままのシステムで片面印刷が可能である。
【0073】
また、に1つの表面塗布手段を設けて、被記録媒体Wの表面に処理剤液を塗布して、片面印刷することもできる。さらに、処理剤液塗布装置内に2つの表面塗布手段を連続して設け、被記録媒体Wの表面に処理剤液を2度塗りして、片面印刷することもできる。
【0074】
前記実施形態では、被記録媒体Wの搬送手段として搬送ローラ42を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば搬送トラクタなど他の搬送手段を用いることもできる。
【0075】
前記実施形態では図4に示すように、循環経路46の途中にフィルタ部47を設けたが、供給パン26と退避経路44からの循環経路46の分岐点の間にフィルタ部47を設けてもよい。
【0076】
ここで、請求項に記載の構成と前記実施形態での構成との対応関係について説明する。
請求項に記載の第1の容器は、前記実施形態での供給パン26に対応する。
請求項に記載の第2の容器は、前記実施形態でのリザーブタンク43に対応する。
請求項に記載の第1の開閉弁は、前記実施形態での電磁弁45に対応する。
請求項に記載の戻し経路は、前記実施形態での循環供給経路54ならびに循環経路46の一部に対応する。
請求項に記載のポンプは、前記実施形態での循環ポンプ49に対応する。
請求項に記載のバイパス経路は、前記実施形態での退避経路44からフィルタ部47に延びた部分の循環経路46に対応する。
請求項に記載の第2の開閉弁は、前記実施形態での電磁弁48に対応する。
請求項に記載の第3の開閉弁は、前記実施形態での電磁弁55に対応する。
請求項に記載の第1の液量検知センサは、前記実施形態での液面検知センサ27に対応する。
請求項に記載の第2の液量検知センサは、前記実施形態での液面検知センサ56に対応する。
【符号の説明】
【0077】
22:処理剤液、
26:供給パン、
29:スクイーズローラ、
31:塗布ローラ、
33:加圧ローラ、
43:リザーブタンク、
44:退避経路、
45:、電磁弁
46:循環経路、
47:フィルタ部、
48:電磁弁、
49:循環ポンプ、
50:供給経路、
51:カートリッジ、
52:供給ポンプ、
53:電磁弁、
54:循環供給経路、
55:電磁弁、
56:液面検知センサ、
100:給紙装置、
101:処理剤液塗布装置、
102:インクジェットプリンタ、
W:被記録媒体、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開平7−156538号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク滴の吐出を行い被記録媒体上に画像を形成するインクジェットプリンタの画像滲みを抑制する滲み抑制剤などの処理剤液を画像形成に先立って被記録媒体上に塗布するインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置、その塗布装置の運転方法および画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成は、低騒音、低ランニングコストに加えて、カラー化が容易といった利点を有していることから、近年、急速に普及してきている。しかし、専用紙以外の被記録媒体に画像を形成すると、滲み、濃度、色調や裏写りなどといった初期の品質問題に加えて、耐水性、耐候性といった画像の堅牢性に関わる問題を有しているため、これらの問題を解決する提案がなされている。
【0003】
それらの解決手段として、被記録媒体である用紙にインク滴が着弾する前にインクを凝集させる機能を有する処理剤液を塗布して、画質を改善する方法がある。この処理剤液を塗布する方法として、ローラを用いて被記録媒体の全面に塗布する方法が例えば特開平7−156538号公報(特許文献1)に開示されている。
【0004】
図10は、ローラを用いて被記録媒体に処理剤液を塗布する従来の処理剤液塗布装置の概略構成図である。
同図に示すように、モータなどの駆動源(図示せず)によって回転駆動するプラテンローラ201の周面には、押さえチャック202を用いて被記録媒体(用紙) 203が巻き付けられている。
【0005】
一方、処理剤液タンク204内には処理剤液205が貯留されており、処理剤液205は攪拌・供給ローラ206、移送・薄膜化ローラ207a,207bによって塗布ローラ208のローラ面に薄膜状に転写される。
【0006】
そして、塗布ローラ208は回転するプラテンローラ201に巻き付けられている被記録媒体203上に押し付けられながら回転し、被記録媒体203の表面に処理剤液205を塗布する。処理剤液205を塗布した被記録媒体203の部分がインクジェット記録ヘッド209と対向する位置に来ると、インクジェット記録ヘッド209からインク滴が吐出されて、記録が行なわれる。
【0007】
このように、画像品質を向上させるための処理剤液205を塗布ローラ208で被記録媒体203の記録領域に塗布する方法は、噴射ヘッドを用いて処理剤液を被記録媒体に吹き付けて処理を行なう方法に比べて、比較的粘度の高い処理剤液205を被記録媒体203上に薄く塗布することができ、画像の滲みなどを一段と低減できるという特長を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の処理剤液塗布装置では、処理剤液を処理剤液塗布装置内に貯留して長期間放置しておくと、処理剤液中の水分あるいは有機溶剤が蒸発して、処理剤液の粘度が上昇する点については配慮されていなかった。
図11は、処理剤液の粘度と被記録媒体A4サイズあたりの処理剤液の塗布量との関係を示す特性図である。この図から明らかなように、処理剤液の粘度上昇により処理剤液の塗布量が増加する傾向にある。
【0009】
処理剤液の塗布量が増加すると被記録媒体上において処理剤液が滲んで、被記録媒体を搬送するローラとの摩擦力が低下して、被記録媒体の走行不良を引き起こす原因となる。また、処理剤液の乾燥が十分に行なわれず、後工程において画像が他の被記録媒体に転写して、画像品質を低下したり、さらに画像形成システムの高速化に支障をきたすなどの問題がある。
【0010】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解消し、処理剤液の粘度上昇による処理剤液塗布量の増加を有効に抑制することのできるインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置ならびにその運転方法を提供することができ、また適切な前処理が行なわれて品質の高い画像が得られる画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、第1の発明は、
画像形成前の被記録媒体に処理剤液を塗布する塗布ローラと、
その塗布ローラとの間で前記被記録媒体を挟持・搬送すると共に、その被記録媒体を塗布ローラ側に押圧して塗布ローラ上の前記処理剤液を被記録媒体に転写する加圧ローラと、
前記塗布ローラと前記処理剤液を収容し、前記塗布ローラと前記加圧ローラのニップ部付近に開口部を有する第1の容器を備えたインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置において、
前記第1の容器よりも気密性が高く、前記第1の容器に収容されている量の処理剤液を収容できる第2の容器と、
前記第1の容器から第2の容器に向けて延びた退避経路と、
その退避経路の途中に設けられた第1の開閉弁と、
前記第2の容器から第1の容器に向けて延びた戻し経路を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
前記目的を達成するため、第2の発明は、
画像形成前の被記録媒体に処理剤液を塗布する塗布ローラと、
その塗布ローラとの間で前記被記録媒体を挟持・搬送すると共に、その被記録媒体を塗布ローラ側に押圧して塗布ローラ上の前記処理剤液を被記録媒体に転写する加圧ローラと、
前記塗布ローラと前記処理剤液を収容し、前記塗布ローラと前記加圧ローラのニップ部付近に開口部を有する第1の容器を備えたインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置の運転方法において、
前記第1の容器よりも気密性が高く、前記第1の容器に収容されている量の処理剤液を収容できる第2の容器と、
前記第1の容器から第2の容器に向けて延びた退避経路と、
その退避経路の途中に設けられた第1の開閉弁と、
前記第2の容器から第1の容器に向けて延びた戻し経路と、
前記戻し経路の途中に設けられた処理剤液を前記第1の容器に供給する供給経路と、
その供給経路の前記戻し経路との連結点とは反対側に着脱可能に接続された処理剤液を充填したカートリッジと、
前記第1の容器内の前記処理剤液量を検知する第1の液量検知センサと、
前記第2の容器内の前記処理剤液量を検知する第2の液量検知センサを備え、
前記第2の容器内に処理剤液がないことを前記第2の液量検知センサで確認すると、前記カートリッジに充填されている処理剤液を前記供給経路を通して前記第1の容器に供給し、
前記第1の液量検知センサにより規定量の処理剤液が第1の容器に供給されたことを検知してから、前記カートリッジからの処理剤液の供給を停止し、
前記第2の容器内に処理剤液があることを前記第2の液量検知センサで確認すると、その第2の容器内にある処理剤液を前記戻し経路を通して第1の容器に戻し、
前記第2の容器内の処理剤液が無くなったことを前記第2の液量検知センサで検知し、そのとき前記第1の液量検知センサにより前記第1の容器内の処理剤液が規定量に達したか否かを検知し、不足しておればその不足分の処理剤液を前記カートリッジから補給することを特徴とするものである。
【0013】
前記目的を達成するため、第3の発明は、
被記録媒体の搬送方向に沿って、搬送方向上流側に画像形成前の被記録媒体に対して処理剤液を塗布する処理剤液塗布装置が設置され、その処理剤液塗布装置の被記録媒体の搬送方向下流側に処理済の被記録媒体上にインク滴を吐出して画像を形成するインクジェットプリンタが設置された画像形成システムにおいて、
前記処理剤液塗布装置が前記第1の発明に係る処理剤液塗布装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は前述のような構成になっており、処理剤液の粘度上昇による処理剤液塗布量の増加を有効に抑制することのできるインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置ならびにその運転方法を提供することができ、また適切な前処理が行なわれて品質の高い画像が得られる画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの流れを示すフローチャートである。
【図2】その画像形成システムに用いられる処理剤液塗布装置の概略構成図である。
【図3】その処理剤液塗布装置における塗布手段の概略構成図である。
【図4】その処理剤液塗布装置の供給パンへの処理剤液の供給ならびに循環系統を説明するための図である。
【図5】その処理剤液塗布装置のリザーブタンク内に処理剤液が無い状態からの処理剤液の供給動作を説明するための図である。
【図6】その処理剤液塗布装置のリザーブタンク内に処理剤液が有る状態から供給パンへの処理剤液の供給動作を始めるときの手順を説明するための図である。
【図7】その処理剤液塗布装置の供給パン内にある処理剤液の循環動作の手順を説明するための図である。
【図8】その処理剤液塗布装置の供給パン内にある処理剤液の退避動作の手順を説明するための図である。
【図9】その処理剤液塗布装置内での供給パン、リザーブタンク、フィルタ部などの各部品の設置状態を説明するための図である。
【図10】従来の処理剤液塗布装置の概略構成図である。
【図11】処理剤液の粘度と被記録媒体A4サイズあたりの処理剤液の塗布量との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を図面とともに説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムの流れを示すフローチャートである。
【0017】
同図に示しているように、給紙装置100から繰り出された例えば長尺状の連続紙などからなる被記録媒体Wは、最初、処理剤液塗布装置101に送り込まれ、被記録媒体Wの表裏にそれぞれ前記抑制剤などの処理剤液が塗布されて前処理が行われる。次に処理された被記録媒体Wは第1のインクジェットプリンタ102aに送り込まれて、被記録媒体Wの表側にインク滴を吐出して所望の画像が形成され、その後に反転装置103により被記録媒体Wの表裏が反転され、引き続き被記録媒体Wは第2のインクジェットプリンタ102bに送り込まれて、被記録媒体Wの裏側にインク滴を吐出して所望の画像が形成される。
このようにして被記録媒体Wの両面に印刷が施された後、後処理装置(図示せず)に送られて所定の後処理がなされるシステムになっている。
【0018】
図2はこの画像形成システムに用いられる処理剤液塗布装置101の概略構成図であり、処理剤液の塗布時の状態を示している。
同図に示すように、ローラの端部に軸受け(図示せず)を有し、回転自在のガイドローラ1が処理剤液塗布装置101内に多数本設置されて、被記録媒体Wの搬送パスを確保している。
【0019】
図中の符号2はモータなどの駆動源(図示せず)で回転駆動するFIローラ(フィードインローラ)であり、FIローラ2にはばね(図示せず)の引張力でFIニップローラ(フィードインニップローラ)4が押し付けられるようになっている。
【0020】
被記録媒体WはFIローラ2とFIニップローラ4の間で弾性的に挟持されており、前記駆動源によりFIローラ2を回転することで、この処理剤液塗布装置101の内部に前記給紙装置100から被記録媒体Wを引き込むことができる。
【0021】
また、FIローラ2とFIニップローラ4から送り出された被記録媒体Wは若干弛ませてエアループALを形成している。
エアループALを経た被記録媒体Wは、パスシャフト5とエッジガイド6の間を通る。図示していないが、被記録媒体Wの搬送方向(矢印方向)と直交する方向に2本のパスシャフト5が配置され、被記録媒体Wがそのパスシャフト5の間をSの字状に通る。このパスシャフト5に一対の板状エッジガイド6が支持されており、エッジガイド6の間隔は被記録媒体Wの幅寸法と同寸に設定されている。
【0022】
そのためパスシャフト5とエッジガイド6の働きにより、被記録媒体Wの幅方向の走行位置が規制され、安定した走行が可能となる。なお、エッジガイド6は、パスシャフト5に例えばねじなどの固定手段によって固定されており、使用する被記録媒体Wの幅寸法に応じてエッジガイド6の位置が調整可能になっている。
【0023】
パスシャフト5とエッジガイド6の間を通過した被記録媒体Wは、固定状態にあるテンションシャフト7により走行安定化のための張力が付加される。
【0024】
テンションシャフト7を通過した被記録媒体Wは、モータなどの駆動源(図示せず)で回転駆動するインフィードローラ8とフィードニップローラ9の間を通る。フィードニップローラ9は図示していないが、インフィードローラ8の軸方向に沿って複数個配置されており、各フィードニップローラ9はばね10によりインフィードローラ8側に押し付けられている。
【0025】
インフィードローラ8とフィードニップローラ9の間を通過した被記録媒体Wは、回転自在な1本の第1のダンサーローラ11の下側から巻き掛けられている。
【0026】
第1のダンサーローラ11はローラ端部に設けた軸受け(図示せず)を介して第1の可動フレーム12に回転自在に取り付けられて、第1のダンサーユニット17を構成している。従ってこの第1のダンサーユニット17は被記録媒体Wで吊り下げられた状態になっている。
【0027】
この第1のダンサーユニット17は、重力方向Aに沿って移動可能になっている。第1のダンサーユニット17の位置を検出する第1のダンサーユニット位置検出手段(図示せず)が設けられており、この位置検出手段の出力に応じて前記インフィードローラ8の駆動源を駆動制御することで、第1のダンサーユニット17の位置が調整できる構成になっている。
【0028】
第1のダンサーユニット17を通過した被記録媒体Wは、それの表面側に処理剤液を塗布する表面塗布手段13f、ならびに被記録媒体Wの裏面側に処理剤液を塗布する裏面塗布手段13rを順次通過することにより、被記録媒体Wの両面に処理剤液が塗布される。処理剤液の塗布手段13については、後で説明する。
【0029】
裏面塗布手段13rを通過した被記録媒体Wは、モータなどの駆動源(図示せず)で回転駆動するアウトフィードローラ14とフィードニップローラ9の間を通る。フィードニップローラ9は図示していないが、アウトフィードローラ14の軸方向に沿って複数個配置されており、各フィードニップローラ9はばねによりアウトフィードローラ14側に押し付けられている。
【0030】
アウトフィードローラ14とフィードニップローラ9の間を通過した被記録媒体Wは、回転自在な第2のダンサーローラ15a,15bならびに両ダンサーローラ15a,15bの間に配置されたガイドローラ1にわたってW型に巻き掛けられている。
【0031】
2本のダンサーローラ15a,15bはそれぞれローラ端部に設けた軸受け(図示せず)を介して第2の可動フレーム16に回転自在に取り付けられて、第2のダンサーユニット18を構成している。従ってこの第2のダンサーユニット18も被記録媒体Wによって吊り下げられた状態になっている。
【0032】
この第2のダンサーユニット18も重力方向Aに沿って移動可能になっており、第2のダンサーユニット18の位置を検出する第2のダンサーユニット位置検出手段(図示せず)が設けられており、この位置検出手段の出力に応じて前記アウトフィードローラ14の駆動源を駆動制御することで、第2のダンサーユニット18の位置が調整できる構成になっている。
【0033】
図3は、前記塗布手段13の概略構成図である。
後述するように処理剤液22は、供給パン26に供給される。処理剤液22としては、水溶性の色材を凝集させるか又は不溶化させる機能を有する水溶性の凝集剤を水あるいは有機溶剤に溶解又は分散させた液が用いられる。
【0034】
供給パン26内の処理剤液22の量は、供給パン26に付設されている液面検知センサ27により検知され、印刷の繰り返しにより処理剤液22が消費されて、供給パン26内の処理剤液22の液面位置が規定の高さより下がると、処理剤液22が供給パン26に供給される。供給パン26内の処理剤液22の液面位置が規定の高さに達すると、液面検知センサ27の検知信号に基づいて処理剤液22の供給が停止することにより、供給パン26内の処理剤液22の液量を一定に保持している。
【0035】
供給パン26に貯留されている処理剤液22は、モータ28により駆動されるスクイーズローラ29の回転により汲み上げられる。このスクイーズローラ29としては、例えばアニロックスローラやワイヤーバーなどのように、ローラ周面に溝加工を施したものを用いると、汲み上げ時に処理剤液22の粘度、印刷速度の影響などを受け難く、液量コントロールが容易であるという特長を有している。
【0036】
スクイーズローラ29により汲み上げられた処理剤液22は、余剰分をメータリングブレード30により掻き落され、規定量が塗布ローラ31とのニップ部に運ばれる。このメータリングブレード30の材質として、ステンレス鋼などの金属、またはプラスチック、ゴムなどが考えられるが、スクイーズローラ29の磨耗、余剰液の掻き落し機能、耐用寿命などの観点からプラスチック材が望ましい。
【0037】
スクイーズローラ29と塗布ローラ31のニップ部に運ばれた処理剤液22は、両ローラ29,31の間で軸方向に均一に引き伸ばされて薄膜化されつつ、塗布ローラ31に転写される。塗布ローラ31は、周面をゴムなどの弾性体で覆われており、モータ32により回転駆動される。
【0038】
塗布ローラ31に転写された処理剤液22は、塗布ローラ31と加圧ローラ33の間で挟持・搬送される被記録媒体Wに塗布される。
加圧ローラ33は、揺動可能なアーム34のほぼ中央位置に軸受け(図示せず)を介して回転自在に支持されており、搬送移動する被記録媒体Wに従動して回転する。アーム34の揺動中心35とは反対側の端部に引張ばね36が接続されており、てこの原理により加圧ローラ33を塗布ローラ31側に押し付けている。
【0039】
加圧ローラ33と引張ばね36の間に設けられた偏芯カム37はアーム34に接触しており、処理剤液22を塗布しないときには、偏芯カム37の回転により引張ばね36の弾性に抗して、加圧ローラ33を塗布ローラ31から離れる方向に移動させることができる。
【0040】
供給パン26の上端部は内側に収容している塗布ローラ31を覆うように形成され、加圧ローラ33が離接する位置付近に開口部38が設けられており、この開口部38には処理剤液22の水分あるいは有機溶剤の蒸発を抑制するためのシャッター39が開閉可能に設けられている。そして図3に示しているように、加圧ローラ33が塗布ローラ31側に移動している間はー39は開き、加圧ローラ33が塗布ローラ31から離れている間はシャッター39は閉じる機構になっている。
塗布ローラ31は、被記録媒体Wに処理剤液22を転写した後、クリーナブレード40により清掃され、次の処理剤液22の塗布に備えられる。
【0041】
図3に示されているように、加圧ローラ33の周辺適所には複数のガイドローラ1a〜1eが回転自在に配置されており、そのうちの1つのガイドローラ1eはモータ41によって回転駆動される搬送ローラ42と対向して設けられている。
【0042】
給紙装置100(図1参照)から供給された長尺状の被記録媒体Wは、ガイドローラ1eと搬送ローラ42の間で挟持され、モータ41によって回転駆動される搬送ローラ42とガイドローラ1eとによって引っ張られ、各ガイドローラ1a〜1eに沿って搬送される。
【0043】
そして被記録媒体Wは、塗布ローラ31によって処理剤液22が塗布された後、インクジェットプリンタ102(図1参照)へ送られる。
【0044】
図4は、供給パン26への処理剤液22の供給ならびに循環系統を説明するための図である。
図3に示しているように、塗布ローラ31と加圧ローラ33のニップ部での被記録媒体Wの挟持・搬送ならびに被記録媒体Wのへの処理剤液22の塗布のためには供給パン26の上部を開口しておく必要があり、シャッター39が付設されていても完全な密閉構造(密閉系)にすることは難しい。
【0045】
そのため本実施形態では、ほぼ密閉構造となっているリザーブタンク43を併設している。このリザーブタンク43は、供給パン26に貯留されている処理剤液22が収容可能な空間部を有している。
図4に示しているように、このリザーブタンク43と供給パン26は退避経路44で連通しており、退避経路44のリザーブタンク43の手前に電磁弁45が付設されている。
【0046】
供給パン26とリザーブタンク43の間で水頭差が生じるように、供給パン26に対してリザーブタンク43は低い位置に設置されている。長時間処理剤液22を使用しないときには、前記電磁弁45を開放することで、前記水頭差を利用して供給パン26に溜まっている処理剤液22を気密性の高いリザーブタンク43に移送させて、処理剤液22の乾燥による粘度上昇を抑える構成になっている。
【0047】
なお、電磁弁45を開放する契機は、処理剤液塗布装置内の被記録媒体Wの架け替え、印刷パターンの変更といった通常の印刷ジョブ間の作業時間よりも長い時間、例えば1時間以上にわたって印刷が停止されているといった場合であり、供給パン26に処理剤液22を充填する待ち時間が毎回の印刷停止毎に発生しないようにしている。
【0048】
また、電磁弁45は通電しない場合には開放となるノーマルクローズドタイプ(常開型)のものを使用しており、処理剤液塗布装置の電源を遮断した場合には必ず供給パン26内の処理剤液22を自動的にリザーブタンク43に移送させて、気密性の低い供給パン26内に長期間にわたって処理剤液22が放置されない構成となっている。
【0049】
図4に示しているように、前記退避経路44の途中から循環経路46が分岐しており、循環経路46の先端は供給パン26に連結されている。循環経路46の途中にはフィルタ部47が介在されており、退避経路44と循環経路46の連結点からフィルタ部47の間に電磁弁48が付設され、一方、フィルタ部47の出口側に循環ポンプ49が配置されている。
【0050】
循環経路46の供給パン26との連結点と循環ポンプ49の間には供給経路50が連結されており、供給経路50の自由端部側には処理剤液22を充填した密閉構造のカートリッジ51が交換可能に取り付けられている。また、供給経路50の途中には、供給ポンプ52と電磁弁53が設けられている。
【0051】
また、リザーブタンク43とフィルタ部47を連通する循環供給経路54が設けられており、循環供給経路54の途中には電磁弁55が付設されている。さらに、リザーブタンク43には液面検知センサ56が設けられており、リザーブタンク43内の処理剤液22の液量を監視している。
なお、前記退避経路44、循環経路46、供給経路50ならびに循環供給経路54は管体で構成されている。
【0052】
次に処理剤液塗布装置内の各系統の動作を図5ないし図8を用いて説明する。
(処理剤液22の供給動作)
図5は、リザーブタンク43内に処理剤液22が無い状態からの処理剤液22の供給動作を説明するための図であり、供給パン26に処理剤液22を供給している途中の状態を示している。
【0053】
この場合同図に示すように、電磁弁45,48,55を閉じ(図中、電磁弁45,48,55を黒で塗っている)、循環ポンプ49を停止している(図中、循環ポンプ49を黒で塗っている)。そして電磁弁53を開いて(図中、電磁弁53を白抜きしている)、供給ポンプ52を駆動する(図中、供給ポンプ52を白抜きしている)ことにより、カ−トリッジ51内の処理剤液22が供給経路50ならびに循環経路46の一部を通り、供給パン26に供給される。
【0054】
供給パン26に供給される処理剤液22の液量が規定値に達したか否かは液面検知センサ27(図3参照)によって監視され、処理剤液22の液量が規定値に達すると、液面検知センサ27からの検知出力に基づいて供給ポンプ52を停止し、電磁弁53を閉じる。
【0055】
印刷の繰り返しにより供給パン26内の処理剤液22の液量が少なくなったことを液面検知センサ27が検知すると、再び電磁弁53を開き、供給ポンプ52を駆動してカ−トリッジ51内の処理剤液22を供給パン26に補給する。
【0056】
図6は、リザーブタンク43内に処理剤液22が有る状態から供給パン26への処理剤液22の供給動作を始めるときの手順を説明するための図であり、リザーブタンク43内の処理剤液22を供給パン26に供給する途中の状態を示している。
【0057】
この場合同図に示すように、電磁弁45,48,53を閉じ(図中、電磁弁45,48,53を黒で塗っている)、供給ポンプ52を停止している(図中、供給ポンプ52を黒で塗っている)。そして電磁弁55を開いて(図中、電磁弁55を白抜きしている)、循環ポンプ49を駆動する(図中、循環ポンプ49を白抜きしている)ことにより、リザーブタンク43内の処理剤液22が循環供給経路54ならびに循環経路46の一部を通り、供給パン26に供給される。
【0058】
この供給時に処理剤液22はフィルタ部47を通過することにより、処理剤液22に含まれている紙粉などの異物が除去され、リフレッシュした処理剤液22を供給パン26に供給することができる。処理剤液22中に紙粉が混ざると、処理剤液22が糊状となり、粘度が上がるため、紙粉などの異物は度ある毎に処理剤液22から排除する必要がある。
【0059】
リザーブタンク43内の処理剤液22の排出が終了したか否かは液面検知センサ56によって監視され、処理剤液22の排出が終了すると電磁弁55を閉じ、循環ポンプ49を停止する。
【0060】
リザーブタンク43からの処理剤液22の移送が終了した時点で、供給パン26内に規定量の処理剤液22が供給されたか否かが液面検知センサ27の監視で判断され、規定量に達しておればそれで処理剤液22の供給動作を終了する。規定量に達していなければ、図5を用いて説明した手順で、カ−トリッジ51から処理剤液22の補給を行なう。
【0061】
リザーブタンク43内に処理剤液22がある場合は、先にリザーブタンク43内の処理剤液22を供給パン26に移送し、供給パン26内の処理剤液22の液量が不足しておれば、その不足分だけカ−トリッジ51から補給する手順をとる。
【0062】
リザーブタンク43内に処理剤液22があるにもかかわらず、先にカ−トリッジ51側から供給パン26に処理剤液22を供給する方法を採用すると、系内に余剰の処理剤液22が増えて、リザーブタンク43から処理剤液22が溢れ出る恐れがあり好ましくない。
【0063】
(処理剤液22の循環動作)
図7は、処理剤液22の循環動作を説明するための図であり、退避経路44の一部と循環経路46を通して供給パン26内の処理剤液22を循環している途中の状態を示している。
【0064】
この場合同図に示すように、電磁弁45,53,55を閉じ(図中、電磁弁45,53,55を黒で塗っている)、供給ポンプ52を停止している(図中、供給ポンプ52を黒で塗っている)。そして電磁弁48を開いて(図中、電磁弁48を白抜きしている)、循環ポンプ49を駆動する(図中、循環ポンプ49を白抜きしている)ことにより、供給パン26内の処理剤液22を退避経路44の一部と循環経路46を通して循環させ、その途中でフィルタ部47を通り、処理剤液22に含まれている紙粉などの異物が除去され、リフレッシュした処理剤液22を供給パン26に戻すことができる。
この処理剤液22の循環動作は、印刷中、所定の時間間隔をおいて適宜実施される。
【0065】
(処理剤液22の退避動作)
図8は、処理剤液22の退避動作を説明するための図であり、退避動作途中の状態を示している。
【0066】
この場合同図に示すように、電磁弁48,53,55を閉じ(図中、電磁弁48,53,55を黒で塗っている)、循環ポンプ49ならびに供給ポンプ52を停止している(図中、循環ポンプ49ならびに供給ポンプ52を黒で塗っている)。そして電磁弁45を開く(図中、電磁弁45を白抜きしている)ことにより、供給パン26とリザーブタンク43の水頭差を利用し、退避経路44を通して供給パン26内の処理剤液22をリザーブタンク43に移送して、処理剤液22の乾燥による粘度上昇を抑えている。
【0067】
なお、退避後の印刷要求に伴い処理剤液22を供給パン26に戻す動作は、図6を用いて説明したリザーブタンク43からの供給パン26への処理剤液22の供給動作と同じである。
【0068】
図9は、処理剤液塗布装置内での供給パン26、リザーブタンク43、フィルタ部47などの各部品の設置状態を説明するための図である。
【0069】
この実施形態の場合、処理剤液塗布装置は装置本体57と、付属筐体58に分かれており、装置本体57がインクジェットプリンタ使用者から見て手前側に、付属筐体58はその奥側に配置される。
【0070】
この図に示すように、供給パン26はダンサーユニット17,18などと共に装置本体57内に設置されている。一方、リザーブタンク43、フィルタ部47、カートリッジ51ならびにポンプ49,52などの各部品は付属筐体58内に設置されている。そして装置本体57と付属筐体58の間は、退避経路44ならびに循環経路46で接続されている。
【0071】
なお、この図で示している符号59は廃液電磁弁、60は廃液タンクである。処理剤液22を使用しているうちにその品質が低下する傾向にあるから、定期的あるいは必要に応じて処理剤液22を廃棄して、新しい処理剤液22を入れ替える必要がある。そのために廃液電磁弁59ならびに廃液タンク60が設けられている。
なお、図4〜8では図面が煩雑になるため、廃液電磁弁59ならびに廃液タンク60の表示を省略している。
【0072】
図1では被記録媒体Wの両面に画像を形成する場合について説明したが、片面に画像を形成する場合には、図1に示す反転装置103ならびに第2のインクジェットプリンタ102bは使用しないで、図2に示す処理剤液塗布装置101の裏面塗布手段13rの加圧ローラ33を塗布ローラ31から離せば、そのままのシステムで片面印刷が可能である。
【0073】
また、に1つの表面塗布手段を設けて、被記録媒体Wの表面に処理剤液を塗布して、片面印刷することもできる。さらに、処理剤液塗布装置内に2つの表面塗布手段を連続して設け、被記録媒体Wの表面に処理剤液を2度塗りして、片面印刷することもできる。
【0074】
前記実施形態では、被記録媒体Wの搬送手段として搬送ローラ42を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば搬送トラクタなど他の搬送手段を用いることもできる。
【0075】
前記実施形態では図4に示すように、循環経路46の途中にフィルタ部47を設けたが、供給パン26と退避経路44からの循環経路46の分岐点の間にフィルタ部47を設けてもよい。
【0076】
ここで、請求項に記載の構成と前記実施形態での構成との対応関係について説明する。
請求項に記載の第1の容器は、前記実施形態での供給パン26に対応する。
請求項に記載の第2の容器は、前記実施形態でのリザーブタンク43に対応する。
請求項に記載の第1の開閉弁は、前記実施形態での電磁弁45に対応する。
請求項に記載の戻し経路は、前記実施形態での循環供給経路54ならびに循環経路46の一部に対応する。
請求項に記載のポンプは、前記実施形態での循環ポンプ49に対応する。
請求項に記載のバイパス経路は、前記実施形態での退避経路44からフィルタ部47に延びた部分の循環経路46に対応する。
請求項に記載の第2の開閉弁は、前記実施形態での電磁弁48に対応する。
請求項に記載の第3の開閉弁は、前記実施形態での電磁弁55に対応する。
請求項に記載の第1の液量検知センサは、前記実施形態での液面検知センサ27に対応する。
請求項に記載の第2の液量検知センサは、前記実施形態での液面検知センサ56に対応する。
【符号の説明】
【0077】
22:処理剤液、
26:供給パン、
29:スクイーズローラ、
31:塗布ローラ、
33:加圧ローラ、
43:リザーブタンク、
44:退避経路、
45:、電磁弁
46:循環経路、
47:フィルタ部、
48:電磁弁、
49:循環ポンプ、
50:供給経路、
51:カートリッジ、
52:供給ポンプ、
53:電磁弁、
54:循環供給経路、
55:電磁弁、
56:液面検知センサ、
100:給紙装置、
101:処理剤液塗布装置、
102:インクジェットプリンタ、
W:被記録媒体、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開平7−156538号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成前の被記録媒体に処理剤液を塗布する塗布ローラと、
その塗布ローラとの間で前記被記録媒体を挟持・搬送すると共に、その被記録媒体を塗布ローラ側に押圧して塗布ローラ上の前記処理剤液を被記録媒体に転写する加圧ローラと、
前記塗布ローラと前記処理剤液を収容し、前記塗布ローラと前記加圧ローラのニップ部付近に開口部を有する第1の容器を備えたインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置において、
前記第1の容器よりも気密性が高く、前記第1の容器に収容されている量の処理剤液を収容できる第2の容器と、
前記第1の容器から第2の容器に向けて延びた退避経路と、
その退避経路の途中に設けられた第1の開閉弁と、
前記第2の容器から第1の容器に向けて延びた戻し経路を備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置において、
前記第2の容器は前記第1の容器よりも低い位置に設置され、
前記退避経路の途中に設けられた前記第1の開閉弁は常開型の電磁弁であり、
前記戻し経路の途中にポンプが設けられていることを特徴とするインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置。
【請求項3】
請求項1に記載のインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置において、
前記戻し経路上または退避経路上に、前記処理剤液中の異物を除去するフィルタ部が設けられていることを特徴とするインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置。
【請求項4】
請求項1に記載のインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置において、
前記退避経路の途中から前記戻し経路の途中に延びたバイパス経路を設け、
前記退避経路のバイパス経路との連結点から前記第2の容器の間に前記第1の開閉弁を設け、
前記バイパス経路の途中に第2の開閉弁を設け、
前記戻し経路のバイパス経路の連結点と前記第2の容器との間に第3の開閉弁を設け、
前記戻し経路のバイパス経路の連結点と前記第1の容器との間に循環用ポンプを設けたことを特徴とするインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置。
【請求項5】
請求項1に記載のインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置において、
前記戻し経路の途中に処理剤液を前記第1の容器に供給する供給経路を設け、
その供給経路の前記戻し経路との連結点とは反対側に処理剤液を充填したカートリッジが着脱可能に接続されていることを特徴とするインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置。
【請求項6】
画像形成前の被記録媒体に処理剤液を塗布する塗布ローラと、
その塗布ローラとの間で前記被記録媒体を挟持・搬送すると共に、その被記録媒体を塗布ローラ側に押圧して塗布ローラ上の前記処理剤液を被記録媒体に転写する加圧ローラと、
前記塗布ローラと前記処理剤液を収容し、前記塗布ローラと前記加圧ローラのニップ部付近に開口部を有する第1の容器を備えたインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置の運転方法において、
前記第1の容器よりも気密性が高く、前記第1の容器に収容されている量の処理剤液を収容できる第2の容器と、
前記第1の容器から第2の容器に向けて延びた退避経路と、
その退避経路の途中に設けられた第1の開閉弁と、
前記第2の容器から第1の容器に向けて延びた戻し経路と、
前記戻し経路の途中に設けられた処理剤液を前記第1の容器に供給する供給経路と、
その供給経路の前記戻し経路との連結点とは反対側に着脱可能に接続された処理剤液を充填したカートリッジと、
前記第1の容器内の前記処理剤液量を検知する第1の液量検知センサと、
前記第2の容器内の前記処理剤液量を検知する第2の液量検知センサを備え、
前記第2の容器内に処理剤液がないことを前記第2の液量検知センサで確認すると、前記カートリッジに充填されている処理剤液を前記供給経路を通して前記第1の容器に供給し、
前記第1の液量検知センサにより規定量の処理剤液が第1の容器に供給されたことを検知してから、前記カートリッジからの処理剤液の供給を停止し、
前記第2の容器内に処理剤液があることを前記第2の液量検知センサで確認すると、その第2の容器内にある処理剤液を前記戻し経路を通して第1の容器に戻し、
前記第2の容器内の処理剤液が無くなったことを前記第2の液量検知センサで検知し、そのとき前記第1の液量検知センサにより前記第1の容器内の処理剤液が規定量に達したか否かを検知し、不足しておればその不足分の処理剤液を前記カートリッジから補給することを特徴とするインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置の運転方法。
【請求項7】
被記録媒体の搬送方向に沿って、搬送方向上流側に画像形成前の被記録媒体に対して処理剤液を塗布する処理剤液塗布装置が設置され、その処理剤液塗布装置の被記録媒体の搬送方向下流側に処理済の被記録媒体上にインク滴を吐出して画像を形成するインクジェットプリンタが設置された画像形成システムにおいて、
前記処理剤液塗布装置が請求項1ないし5のいずれか1項に記載の処理剤液塗布装置であることを特徴とする画像形成システム。
【請求項1】
画像形成前の被記録媒体に処理剤液を塗布する塗布ローラと、
その塗布ローラとの間で前記被記録媒体を挟持・搬送すると共に、その被記録媒体を塗布ローラ側に押圧して塗布ローラ上の前記処理剤液を被記録媒体に転写する加圧ローラと、
前記塗布ローラと前記処理剤液を収容し、前記塗布ローラと前記加圧ローラのニップ部付近に開口部を有する第1の容器を備えたインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置において、
前記第1の容器よりも気密性が高く、前記第1の容器に収容されている量の処理剤液を収容できる第2の容器と、
前記第1の容器から第2の容器に向けて延びた退避経路と、
その退避経路の途中に設けられた第1の開閉弁と、
前記第2の容器から第1の容器に向けて延びた戻し経路を備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置において、
前記第2の容器は前記第1の容器よりも低い位置に設置され、
前記退避経路の途中に設けられた前記第1の開閉弁は常開型の電磁弁であり、
前記戻し経路の途中にポンプが設けられていることを特徴とするインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置。
【請求項3】
請求項1に記載のインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置において、
前記戻し経路上または退避経路上に、前記処理剤液中の異物を除去するフィルタ部が設けられていることを特徴とするインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置。
【請求項4】
請求項1に記載のインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置において、
前記退避経路の途中から前記戻し経路の途中に延びたバイパス経路を設け、
前記退避経路のバイパス経路との連結点から前記第2の容器の間に前記第1の開閉弁を設け、
前記バイパス経路の途中に第2の開閉弁を設け、
前記戻し経路のバイパス経路の連結点と前記第2の容器との間に第3の開閉弁を設け、
前記戻し経路のバイパス経路の連結点と前記第1の容器との間に循環用ポンプを設けたことを特徴とするインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置。
【請求項5】
請求項1に記載のインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置において、
前記戻し経路の途中に処理剤液を前記第1の容器に供給する供給経路を設け、
その供給経路の前記戻し経路との連結点とは反対側に処理剤液を充填したカートリッジが着脱可能に接続されていることを特徴とするインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置。
【請求項6】
画像形成前の被記録媒体に処理剤液を塗布する塗布ローラと、
その塗布ローラとの間で前記被記録媒体を挟持・搬送すると共に、その被記録媒体を塗布ローラ側に押圧して塗布ローラ上の前記処理剤液を被記録媒体に転写する加圧ローラと、
前記塗布ローラと前記処理剤液を収容し、前記塗布ローラと前記加圧ローラのニップ部付近に開口部を有する第1の容器を備えたインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置の運転方法において、
前記第1の容器よりも気密性が高く、前記第1の容器に収容されている量の処理剤液を収容できる第2の容器と、
前記第1の容器から第2の容器に向けて延びた退避経路と、
その退避経路の途中に設けられた第1の開閉弁と、
前記第2の容器から第1の容器に向けて延びた戻し経路と、
前記戻し経路の途中に設けられた処理剤液を前記第1の容器に供給する供給経路と、
その供給経路の前記戻し経路との連結点とは反対側に着脱可能に接続された処理剤液を充填したカートリッジと、
前記第1の容器内の前記処理剤液量を検知する第1の液量検知センサと、
前記第2の容器内の前記処理剤液量を検知する第2の液量検知センサを備え、
前記第2の容器内に処理剤液がないことを前記第2の液量検知センサで確認すると、前記カートリッジに充填されている処理剤液を前記供給経路を通して前記第1の容器に供給し、
前記第1の液量検知センサにより規定量の処理剤液が第1の容器に供給されたことを検知してから、前記カートリッジからの処理剤液の供給を停止し、
前記第2の容器内に処理剤液があることを前記第2の液量検知センサで確認すると、その第2の容器内にある処理剤液を前記戻し経路を通して第1の容器に戻し、
前記第2の容器内の処理剤液が無くなったことを前記第2の液量検知センサで検知し、そのとき前記第1の液量検知センサにより前記第1の容器内の処理剤液が規定量に達したか否かを検知し、不足しておればその不足分の処理剤液を前記カートリッジから補給することを特徴とするインクジェットプリンタ用処理剤液塗布装置の運転方法。
【請求項7】
被記録媒体の搬送方向に沿って、搬送方向上流側に画像形成前の被記録媒体に対して処理剤液を塗布する処理剤液塗布装置が設置され、その処理剤液塗布装置の被記録媒体の搬送方向下流側に処理済の被記録媒体上にインク滴を吐出して画像を形成するインクジェットプリンタが設置された画像形成システムにおいて、
前記処理剤液塗布装置が請求項1ないし5のいずれか1項に記載の処理剤液塗布装置であることを特徴とする画像形成システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−91260(P2013−91260A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235088(P2011−235088)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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