説明

インクジェットプリンタ

【課題】インク循環式のインクジェットプリンタにおいて、インクの温度が低く粘度が高い状態でも、空気が混入したインクがインクジェットヘッドに供給されるのを防止する。
【解決手段】循環ポンプ11により下タンク7から上流側流路ブロック130の流路131〜137を介して上タンク3に還流されるインクの粘度が、上タンク3から下流側流路ブロック90の流路91〜97を介してインクジェットヘッド5に供給されるインクの粘度よりも高いときに、この粘度差に伴い上流側流路ブロック130の流路131〜137と下流側流路ブロック90の流路91〜97との間で生じるインク流量差を、温度調整器25による通路131〜137の加熱効率と温度調整器17による通路91〜97の加熱効率との違いにより減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク循環経路を有するインクジェットプリンタに係り、特に、インク循環経路を介してインクタンクからインクジェットヘッドに、両者のインク液面の水頭差に応じた圧力でインクを供給するインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドから印刷用紙にインクを吐出することで画像を形成するインクジェットプリンタが広く用いられている。そして、インクジェットプリンタの中には、インクジェットヘッドよりも高所に配置したインクタンクを大気に連通させた状態で、インクタンクからインクジェットヘッドにインクを供給するようにしたものがある。
【0003】
この種のインクジェットプリンタでは、インクタンクのインク液面との水頭差に応じた圧力でインクがインクジェットヘッドのノズルに供給されるので、インクタンクのインク液面をコントロールすることで、ノズルに安定した圧力でインクを供給することができる。なお、インクジェットヘッドに供給されたインクの余剰分は回収され、ポンプによってインクタンクに還流される。したがって、この種のインクジェットプリンタは、インクタンクからインクジェットヘッドを経て再びインクタンクにインクを循環させる循環型のインク供給経路を有している(例えば、特許文献1)。
【0004】
ところで、インクジェットプリンタで用いるインクは、低温であるほど粘度が高くなる特性を有している。インクの粘度が高いとノズルからインクを適正な吐出速度で吐出できなくなる。そこで、インク循環経路を有するインクジェットプリンタにおいて、インクの温度が低い場合にインクを加熱し、適正な吐出速度でノズルから吐出できる粘度にするようにしたものもある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−219580号公報
【特許文献2】特開2008−37020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インクの温度が適正な温度よりも低温になる理由は、例えば、印刷動作が長時間行われずインク循環経路におけるインクの循環が停止することにある。このとき、インクの温度が下がる程度は、インク循環経路自身やその周辺の構造、あるいは、インク循環経路のどこでインクを加熱するかによって等、様々な要因によって異なる。したがって、適正な温度よりも下がったインクを加熱する場合、インク循環経路の全体に亘ってインクの温度が適正な温度に上がるまでの間は、インク循環経路上の場所によってインクの粘度にばらつきが生じる可能性がある。
【0007】
インク循環経路上でインクの粘度にばらつきが生じると、インク循環経路を循環するインクの流量が場所によってばらつくことになる。このようなインク流量のばらつきは、例えば、大気に連通するインクタンクのインク液面の位置を不安定にし、空気の混入したインクがインクジェットヘッドに供給される要因になりかねない。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、インク循環経路上の大気に連通したインクタンクからインクジェットヘッドに、両者のインク液面の水頭差に応じた圧力でインクを供給するインクジェットプリンタにおいて、空気が混入したインクがインクジェットヘッドに供給されるのを、インクの温度が低い場合であっても、より高い精度で防止することができるインクジェットプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
インクタンク(例えば、図1の上タンク3)と、該インクタンクから供給されたインクを用いてインク吐出動作を行うインクジェットヘッド(例えば、図1のインクジェットヘッド5)と、該インクジェットヘッドと前記インクタンクとの間でインクの循環を行うためのインク循環経路(例えば、図1のインク循環経路15)とを備えるインクジェットプリンタ(例えば、図1のインクジェットプリンタ1)において、
前記インク循環経路から前記インクタンクに供給される上流側のインク(例えば、図1の循環ポンプ11により下タンク7から上タンク3に還流されるインク)の粘度が前記インクタンクから前記インクジェットヘッドに供給される下流側のインク(例えば、図1の上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインク)の粘度よりも高い粘度差が生じているときに、該粘度差に伴い前記上流側のインクと前記下流側のインクとの間で生じる流量差を減少させる流量差減少手段(例えば、図1の下流側流路ブロック90、上流側流路ブロック130、及び、温度調整器17,25のヒータ171,251)を備える、
ことを特徴とする。
【0010】
上記発明では、インク循環経路からインクタンクに供給される上流側のインクの粘度がインクタンクからインクジェットヘッドに供給される下流側のインクの粘度よりも高い粘度差が生じると、上流側のインクの流路抵抗が下流側のインクの流路抵抗よりも大きくなる。この流路抵抗差は、上流側のインクの流量が下流側のインクの流量よりも低くなる流量差をもたらす。そして、このような流量差は、インクタンクのインク残量不足をもたらし、やがては、下流側のインクに対するインクタンクの空気層の空気混入をもたらす。
【0011】
しかし、少なくとも上述した粘度差が生じているときに、流量差減少手段が上流側のインクと下流側のインクとの上記流量差を減少させることから、インクタンクのインク残量不足やそれに伴う下流側のインクへの空気混入を、インクの温度が低い場合でも、より高精度に防止することができる。
【0012】
また、上記発明において、前記インクタンクのインク液面の上限値を検出する上限値検出手段(例えば、図1の液面センサ35)と、該上限値検出手段の検出結果に基づいて前記インク液面の前記上限値への到達を周期的に監視する上限値監視手段(例えば、図9のステップS25、S27、図10のステップS31、S33)とをさらに備え、前記流量差減少手段(例えば、図6のステップS3、S5、S7、又は、図8のステップS3、S5、S7A)が前記インク流量差を減少させているときに前記上限値監視手段は、前記監視の周期を、前記流量差減少手段が前記インク流量差を減少させていないときの通常周期よりも長い周期に変更することを特徴とする。
【0013】
上記発明では、流量差減少手段が上流側のインクと下流側のインクとの上記流量差を減少させている間は、インクタンクのインク残量が増加する傾向となる。したがって、上流側のインクと下流側のインクとの上記粘度差が解消するまでの間は、インクタンクのインク液面が上限値を一時的に超えることも想定される。
【0014】
しかし、流量差減少手段により上記インク流量差が減少されている間は、上限値検出手段の検出結果に基づく上限値監視手段の監視が、流量差減少手段がインク流量差を減少させていないときの通常周期よりも長い周期で行われる。そのため、上限値監視手段の監視周期の到来後にインクタンクのインク液面が一時的に上限値を超えた場合に、次の監視周期の到来までの間に上流側のインクと下流側のインクとの上記粘度差が解消して流量差減少手段が上記インク流量差を減少させない状態に復帰し、インク液面が上限値以内に戻る可能性を、高めることができる。
【0015】
よって、インクタンクのインク液面が上限値に達したことに対する上限値監視手段の監視感度を下げて、インクタンクのインク液面が継続的でなく一時的に上限値に達したことに対して、上限値監視手段が過敏に反応するのを防ぐことができる。
【0016】
なお、本発明の第1の変形例として、請求項2に記載した本発明において、前記上流側のインクと前記下流側のインクとの各温度または両温度の温度差を検出する温度検出手段(例えば、図9のステップS21、S23)をさらに備え、前記流量差減少手段(例えば、図6のステップS3、S5、S7、又は、図8のステップS3、S5、S7A)は前記温度検出手段の検出結果に基づいて前記粘度差の有無を判別し、前記上限値監視手段は前記温度検出手段の検出結果に基づいて前記監視の周期を前記通常周期と前記特別周期とのいずれか一方の周期とすることを特徴とするインクジェットプリンタとしてもよい。
【0017】
上記発明では、上限値監視手段の監視周期を通常周期と特別周期のどちらにするかが、上流側及び下流側の各インクの粘度と相関関係のある、温度検出手段の検出する上流側及び下流側の各インクの温度又は両インクの温度差に基づいて決定される。したがって、上流側と下流側の各インクの温度又は両インクの温度差を指標に、上流側と下流側の各インクに上記粘度差が生じているかどうかを正確に把握し、それに基づいて、上流側と下流側の各インクの流量差を減少させるか否かや、インクタンクのインク液面の上限値に関する監視周期を、精度よく判別、決定することができる。
【0018】
また、本発明の第2の変形例として、請求項2に記載した本発明又は上記第1の変形例に係る本発明において、前記上限値よりも高い前記インクタンクのインク液面の限界値を検出する限界値検出手段(例えば、図1の液面センサ37)と、該限界値検出手段の検出結果に基づいて前記インク液面の前記限界値への到達を周期的に監視する限界値監視手段(例えば、図10のステップS35)とをさらに備えることを特徴とするインクジェットプリンタとしてもよい。
【0019】
上記発明では、流量差減少手段が上流側と下流側のインクの上記流量差を減少させることに伴って、インクタンクのインク液面が上限値を一時的に超えても、インクタンクのインク液面が限界値に達した場合は限界値監視手段によってそのことが把握される。したがって、インクタンクからインクがオーバーフローする前にそれを予防する対策を講じられるようにすることができる。
【0020】
さらに、本発明の第3の変形例として、請求項1又は2に記載した本発明、若しくは、上記第1の変形例又は第2の変形例に係る本発明において、前記流量差減少手段は前記粘度差が生じているときに、通常は大気に連通している前記インクタンクを大気から遮断することを特徴とするインクジェットプリンタとしてもよい。
【0021】
上記発明では、上流側と下流側の各インクに上記粘度差が生じてインクタンクが大気から遮断されると、密閉状態となったインクタンクの空気層が限界まで減圧されるのにしたがい下流側のインクがインクジェットヘッドに供給されにくくなる。
【0022】
そのため、インクタンクのインク残量の減少度合いが増加度合いに対して相対的に鈍化し、上流側のインクがインクタンクに供給されることによりインクタンクのインク残量が増加する傾向になる。これにより、インクタンクのインク残量不足やそれに伴う下流側のインクへの空気混入を、インクの温度が低い場合でも、簡便な構成でより高精度に防止することができる。
【0023】
また、上記発明において、
前記流量差減少手段は、
前記インク循環経路において前記上流側のインクが通過する上流側流路(例えば、図2(a)の流路131〜137)を内部に有する上流側流路ブロック(例えば、図2(a)の上流側流路ブロック130)と、
前記インク循環経路において前記下流側のインクが通過する下流側流路(例えば、図2(b)の流路91〜97)を内部に有する下流側流路ブロック(例えば、図2(b)の下流側流路ブロック90)と、
前記上流側流路を通過するインクを加熱する上流側加熱手段(例えば、図1の温度調整器25)と、
前記下流側流路を通過するインクを加熱する下流側加熱手段(例えば、図1の温度調整器17)と、
を有しており、
前記上流側加熱手段と前記下流側加熱手段とは、互いに等しい熱エネルギーを出力するように構成されており、
前記上流側流路と前記下流側流路とは、互いに等しい流路断面積で構成されており、
前記上流側流路ブロックは、前記下流側流路を通過するインクに対して前記下流側流路ブロックが前記下流側加熱手段からの熱エネルギーを伝達する効率よりも高い効率で、前記上流側流路を通過するインクに対して前記上流側加熱手段からの熱エネルギーを伝達するように構成されている、
ことを特徴とする。
【0024】
上記発明では、上流側加熱手段と下流側加熱手段とがそれぞれ出力する互いに等しい熱エネルギーによって、上流側流路ブロックの上流側流路を通過するインクが、下流側流路ブロックの下流側流路を通過するインクよりも、高い熱伝達効率で熱エネルギーを受け取って効率良く加熱されることになる。したがって、上流側のインクが下流側のインクよりも早く加熱されて、上流側のインクの粘度が下流側のインクの粘度よりも早く下がることになる。
【0025】
そのため、インクタンクのインク残量の減少度合いが増加度合いに対して相対的に鈍化し、上流側のインクがインクタンクに供給されることによりインクタンクのインク残量が増加する傾向になる。これにより、インクタンクのインク残量不足やそれに伴う下流側のインクへの空気混入を、インクの温度が低い場合でも、可動部品やその制御手段を用いずに簡便な構成で、より高精度に防止することができる。
【0026】
しかも、上流側流路ブロックと下流側流路ブロックとでは、互いの流路断面積が同じであることから、上流側と下流側の各インクの上記粘度差が解消した後に、上流側と下流側の各インクには、流路断面積の差による流量差が生じない。このため、上流側と下流側の各インクに上記粘度差がない定常状態において、流量差減少手段の構造的な要因で両インクの間に流量差が生じてしまうのを、防ぐことができる。
【0027】
さらに、上記発明において、
前記上流側流路は、
少なくとも1つの上流側大流量流路(例えば、図2(a)の流路133,135)と、
流路断面積が前記上流側大流量流路よりも小さく、かつ、該上流側大流量流路よりも前記上流側加熱手段から遠ざけて配置された少なくとも1つの上流側小流量流路(例えば、図2(a)の流路131,137)と、
を含んでおり、
前記下流側流路は、
少なくとも1つの下流側小流量流路(例えば、図2(b)の流路93,95)と、
流路断面積が前記下流側小流量流路よりも大きく、かつ、該下流側小流量流路よりも前記下流側加熱手段から遠ざけて配置された少なくとも1つの下流側大流量流路(例えば、図2(b)の流路91,97)と、
を含んでおり、
前記上流側大流量流路及び前記上流側小流量流路の総流路断面積は、前記下流側大流量流路及び前記下流側小流量流路の総流路断面積と等しい、
ことを特徴とする。
【0028】
上記発明では、上流側流路ブロックと下流側流路ブロックとの間で、それぞれの流路の流路断面積と対応する上流側及び下流側の各加熱手段からの距離との違いにより、各流路を通過する上流側及び下流側の各インクの加熱効率が相違することになる。このため、上流側ブロック及び下流側ブロックをそれぞれ熱伝達率が異なる材料で形成する等の手当を行うことなく簡便な構成で、インクタンクのインク残量不足やそれに伴う下流側のインクへの空気混入を、インクの温度が低い場合でも、より高精度に防止することができる。
【0029】
なお、本発明の第4の変形例として、請求項3又は4に記載した本発明において、前記上流側加熱手段と前記下流側加熱手段とは同一の加熱手段により構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタとしてもよい。そのように構成すれば、上流側加熱手段と下流側加熱手段とを兼用とすることで、それらの配設スペースやインクジェットプリンタ全体の小型化を図ることができる。
【0030】
また、上記発明において、
前記流量差減少手段は、
前記インク循環経路において前記インクタンクに流入するインクを加熱する上流側加熱手段(例えば、図1の温度調整器25)と、
前記インク循環経路において前記インクタンクから前記インクジェットヘッドに流出するインクを加熱する下流側加熱手段(例えば、図1の温度調整器17)と、
を有しており、
前記上流側加熱手段は、少なくとも前記粘度差が生じているときに、前記下流側加熱手段よりも高い熱エネルギーを出力する、
ことを特徴とする。
【0031】
上記発明では、上流側加熱手段と下流側加熱手段との出力熱エネルギーの差によって、上流側と下流側の各インクの加熱効率を異ならせて、上流側のインクを下流側のインクよりも早く加熱し、上流側のインクの粘度を下流側のインクの粘度よりも早く下げることになる。
【0032】
そのため、インクタンクのインク残量の減少度合いが増加度合いに対して相対的に鈍化し、上流側のインクがインクタンクに供給されることによりインクタンクのインク残量が増加する傾向になる。これにより、インクタンクのインク残量不足やそれに伴う下流側のインクへの空気混入を、インクの温度が低い場合でも、より高精度に防止することができる。
【0033】
なお、本発明の第5の変形例として、請求項1又は2に記載した本発明、若しくは、上記第1の変形例、第2の変形例、又は、第3の変形例に係る本発明において、前記上流側のインクを前記インク循環経路から前記インクタンクに給送するメインポンプ(例えば、図1の循環ポンプ11)をさらに備え、前記流量差減少手段は、前記粘度差が生じているときに前記メインポンプと並行して前記上流側のインクを前記インク循環経路から前記インクタンクに給送するサブポンプ(例えば、図7の補助ポンプ11A)を有していることを特徴とするインクジェットプリンタとしてもよい。
【0034】
上記発明では、上流側と下流側の各インクに上記粘度差が生じると、メインポンプの作動と並行するサブポンプの追加作動によって、上流側のインクの流量が増加する。そのため、インクタンクのインク残量の減少度合いが増加度合いに対して相対的に鈍化し、上流側のインクがインクタンクに供給されることによりインクタンクのインク残量が増加する傾向になる。これにより、インクタンクのインク残量不足やそれに伴う下流側のインクへの空気混入を、インクの温度が低い場合でも、より高精度に防止することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、空気が混入したインクがインクジェットヘッドに供給されるのを、インクの温度が低い場合であっても、より高い精度で防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成を示す説明図である。
【図2】(a),(b)は本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタのインク流路と温度調整器のヒータとの構造及び位置関係を示す説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態の変形例に係るインクジェットプリンタのインク流路と温度調整器のヒータとの構造及び位置関係を示す説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態の他の変形例に係るインクジェットプリンタのインク流路と温度調整器のヒータとの構造及び位置関係を示す説明図である。
【図5】本発明の第3及び第4実施形態に係るインクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るインクジェットプリンタの制御ユニットによるウォームアップ動作に関連する処理の概要を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成を示す説明図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタの制御ユニットによるウォームアップ動作に関連する処理の概要を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第5実施形態に係るインクジェットプリンタの制御ユニットによる上タンクのインク液面の監視周期判定処理の概要を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第5実施形態に係るインクジェットプリンタの制御ユニットによる上タンク液面監視処理の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成を示す説明図である。図1に示す本実施形態のインクジェットプリンタ1は、水性インクを用いて印刷を行うものであり、上タンク3からインクジェットヘッド5を経て下タンク7に至るインク流路9と、下タンク7から循環ポンプ11を経て上タンク3に至るインク流路13とにより構成される、インク循環経路15を有している。
【0038】
前記上タンク3(請求項中のインクタンクに相当)は、大気開放弁31を介して大気と連通する空気層33を内部に有している。この空気層33は、循環ポンプ11の作動によりインク循環経路15を循環するインクの圧力に生じる脈動に対する緩衝や、インクジェットヘッド5に設けられるノズルのインクメニスカスの圧力を安定させるためのバッファとして設けられる。また、上タンク3には、内部のインク液面の上限値とその上の限界値とをそれぞれ検出する2つの液面センサ35,37(請求項中の上限値検出手段及び限界値検出手段に相当)が設けられている。
【0039】
前記インク流路9の途中には温度調整器17(請求項中の下流側加熱手段に相当)が設けられている。この温度調整器17は、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインク(請求項中の下流側のインクに相当)の温度を、インクジェットヘッド5においてインクが適切な吐出速度で吐出される適温に調節するものである。そのために温度調整器17は、加熱用のヒータ171と冷却用のファン173及びヒートシンク、並びに、インク流路9を通過するインクの温度を検出する温度センサ175を有している。
【0040】
前記インクジェットヘッド5は、ノズルが設けられたブロックを複数有しており、上タンク3よりも下方に配置されている。インクジェットヘッド5の各ノズルには、上タンク3のインク液面とノズルのインクメニスカスとの水頭差に応じた圧力で、インク流路9を介して上タンク3からインクが供給される。
【0041】
前記下タンク7は、インクジェットヘッド5の下方に配置されており、インクジェットヘッド5から余剰のインクが自重により回収される。この下タンク7は、大気開放弁71を介して大気と連通する空気層73を内部に有している。この空気層73は、インク循環経路15におけるインクの循環停止中に、大気圧によりノズルのインクメニスカスの圧力を安定させるために設けられている。また、下タンク7には、大気開放弁71と二股に圧力調整器75が接続されている。この圧力調整器75は、例えばベローズで構成され、必要に応じて下タンク7の空気層73に負圧をかけるように構成されている。
【0042】
さらに、下タンク7には、内部のインク液面の下限値を検出する液面センサ77が設けられている。また、下タンク7には補給用インク流路19と開閉弁21とを介して補給用インクタンク23が接続されている。液面センサ77により下タンク7のインク液面が下限値まで減ったことが検出されると、開閉弁21が適宜開放され、補給用インクタンク23内のインクが補給用インク流路19を介して下タンク7に適量供給される。
【0043】
前記循環ポンプ11(請求項中のメインポンプに相当)は、下タンク7のインクをインク流路13を介して上タンク3に還流させる。このインク流路13の途中には温度調整器25(請求項中の上流側加熱手段に相当)が設けられている。この温度調整器25は、循環ポンプ11により下タンク7から上タンク3に還流されるインク(請求項中の上流側のインクに相当)の温度を、インクジェットヘッド5においてインクが適切な吐出速度で吐出される適温に調節するものである。そのために温度調整器25は、上述した温度調整器17と同様に、加熱用のヒータ251と冷却用のファン253及びヒートシンク、並びに、インク流路13を通過するインクの温度を検出する温度センサ255を有している。
【0044】
上述した本実施形態のインクジェットプリンタ1では、印刷ジョブの発生を待つ待機中には、インク循環経路15におけるインクの循環が停止され、印刷ジョブが発生しウォームアップまたは印刷動作中となった場合には、インク循環経路15におけるインクの循環が行われる。そして、これらの各動作中にインクジェットヘッド5のインクメニスカスに適正な負圧がかかるように、上タンク3や下タンク7の大気開放弁31,71が開閉されると共に、圧力調整器75が作動される。
【0045】
上述した構成のインクジェットプリンタ1において印刷ジョブ待ちの待機中が続くと、インク循環経路15中のインクの温度が適温より低い温度に低下する。そのため、次に印刷ジョブが発生してインク循環経路15におけるインクの循環が再開された場合に、温度調整器17や温度調整器25の温度センサ175,255で検出されるインクの温度が適温に満たないと、インクジェットプリンタ1がウォームアップ動作に入る。このウォームアップ動作では、上タンク3の大気開放弁31が閉じられて、上タンク3の空気層33が大気から遮断される。したがって、ウォームアップ動作中に上タンク3からインクジェットヘッド5にインクが供給されると、それと同量以上のインクが下タンク7から上タンク3に供給されない限り、上タンク3の空気層33に負圧がかかり、上タンク3からインクジェットヘッド5へのインクの供給に制動がかけられることになる。この結果、上タンク3においては、大気開放弁31が開放されている場合に比べて、インクジェットヘッド5に供給されるインク量が減ることになる。これを利用して、ウォームアップ動作中における上タンク3のインクが減る度合いを下げ、あるいは、上タンク3のインクがむしろ下タンク7からのインクの供給により増えるようにして、空気層33の空気がインクに混入してインクジェットヘッド5に供給されてしまうのを抑制することもできる。
【0046】
また、ウォームアップ動作では、インク循環経路15を流れるインクが温度調整器17,25のヒータ171,251によって適温に加熱される。インクが適温に加熱されると、ウォームアップ動作を終えてインクジェットプリンタ1は印刷動作に入り、インクジェットヘッド5のノズルからインクを吐出して印刷ジョブによる印字を行う。
【0047】
次に、インク流路9,13とこれらにそれぞれ取り付けられる温度調整器17,25のヒータとの構造や位置関係を、図2の説明図を参照して説明する。図2(a)は上タンク3よりもインク循環経路15のインク循環方向における上流側に位置するインク流路13と温度調整器25のヒータ251との構造と位置関係の一例を示す説明図である。また、図2(b)は上タンク3よりもインク循環経路15のインク循環方向における下流側に位置するインク流路9と温度調整器17のヒータ171との構造と位置関係の一例を示す説明図である。
【0048】
図2(a)に示すように、インク流路13は、4つの流路131〜137(請求項中の上流側流路に相当)が内部に形成された上流側流路ブロック130を有しており、この上流側流路ブロック130の側面に、温度調整器25のヒータ251が取り付けられている。このヒータ251からの距離が近い上流側流路ブロック130の中央寄りの2つの流路133,135(請求項中の上流側大流量流路に相当)に比べて、ヒータ251からの距離が遠い上流側流路ブロック130の両端寄りの2つの流路131,137(請求項中の上流側小流量流路に相当)は、小さい流路断面積で構成されている。
【0049】
また、図2(b)に示すように、インク流路9は、4つの流路91〜97(請求項中の下流側流路に相当)が内部に形成された下流側流路ブロック90を有しており、この下流側流路ブロック90の側面に、温度調整器17のヒータ171が取り付けられている。このヒータ171からの距離が近い下流側流路ブロック90の中央寄りの2つの流路93,95(請求項中の下流側小流量流路に相当)に比べて、ヒータ171からの距離が遠い下流側流路ブロック90の両端寄りの2つの流路91,97(請求項中の下流側大流量流路に相当)は、大きい流路断面積で構成されている。
【0050】
なお、下流側流路ブロック90の中央寄りの流路93,95は、上流側流路ブロック130の両端寄りの流路131,137と流路断面積が同じである。また、下流側流路ブロック90の両端寄りの2つの流路91,97は、上流側流路ブロック130の中央寄りの2つの流路133,135と流路断面積が同じである。したがって、上流側流路ブロック130と下流側流路ブロック90とは、互いの総流路断面積が等しくなるように構成されている。よって、上流側流路ブロック130の各流路131〜137を通過するインクの粘度と下流側流路ブロック90の各流路91〜97を通過するインクの粘度と差がなければ、流路131〜137を流れるインクの総流量と流路91〜97を流れるインクの総流量とは等しくなる。
【0051】
本実施形態のインクジェットプリンタ1では、インク流路9,13のインクをそれぞれ加熱する際に、温度調整器17のヒータ171と温度調整器25のヒータ251とが等しい量の熱エネルギーを出力する。なお、本実施形態では、下流側流路ブロック90、上流側流路ブロック130、及び、温度調整器17,25のヒータ171,251によって、請求項中の流量差減少手段が構成されている。
【0052】
そして、図2(a)に示す上流側流路ブロック130では、流路断面積が大きく、かつ、インクとの接触面積が大きい流路133,135の方が、流路断面積が小さく、かつ、インクとの接触面積が小さい流路131,137よりも、ヒータ251からの熱伝達効率が高い。したがって、温度調整器25のヒータ251によるインクの加熱中に、上流側流路ブロック130においては、流路断面積及びインクとの接触面積の大きい流路133,135を通過するインクの方が、流路断面積及びインクとの接触面積の小さい流路131,137を通過するインクよりも、効率良く加熱されて早く温度上昇し、粘度が早く下がって流路133,135を通過する際の流路抵抗が早く下がる。
【0053】
これに対して、図2(b)に示す下流側流路ブロック90では、流路断面積が小さく、かつ、インクとの接触面積が小さい流路93,95の方が、流路断面積が大きく、かつ、インクとの接触面積が大きい流路91,97よりも、ヒータ171からの熱伝達効率が高い。したがって、温度調整器17のヒータ171によるインクの加熱中に、下流側流路ブロック90では、流路断面積及びインクとの接触面積の小さい流路93,95を通過するインクの方が、流路断面積及びインクとの接触面積の大きい流路91,97を通過するインクよりも、効率良く加熱されて早く温度上昇し、粘度が早く下がって流路93,95を通過する際の流路抵抗が早く下がる。
【0054】
このように、上流側流路ブロック130では流路断面積及びインクとの接触面積が大きい流路133,135を通過するインクの加熱が先行するのに対して、下流側流路ブロック90では流路断面積及びインクとの接触面積が小さい流路91,97を通過するインクの加熱が先行する。そして、温度調整器17のヒータ171が出力する熱エネルギーと温度調整器25のヒータ251が出力する熱エネルギーとが等しいので、上流側流路ブロック130の通路131〜137を通過するインクの方が、下流側流路ブロック90の通路91〜97を通過するインクよりも早く加熱されて、粘度が早く下がる。このため、インク循環経路15の全体に亘ってインクが適温に加熱されるまでの間は、上流側流路ブロック130の流路131〜137を通過するインクの流量が、下流側流路ブロック90の流路91〜97を通過するインクの流量よりも高くなる。
【0055】
したがって、インク循環経路15の全体に亘ってインクが適温に加熱されるまでの間、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインクよりも、下タンク7から上タンク3に供給されるインクの方が多くなる。よって、ウォームアップ動作中に上タンク3のインクが減り空気層33の空気がインクに混入してインクジェットヘッド5に供給されてしまうことがない。
【0056】
このように構成された本実施形態のインクジェットプリンタ1によれば、インク循環経路15のインクの温度が適温よりも下がってヒータ171,251による加熱が行われる場合に、下タンク7から上タンク3に供給されるインクの流量を、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインクの流量よりも多くすることができる。
【0057】
このため、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインクよりも、下タンク7から上タンク3に供給されるインクの方が、より低い温度に下がって粘度が高くなっても、上タンク3から気泡混じりのインクがインクジェットヘッド5に供給されてしまうのを、防止することができる。
【0058】
また、下流側流路ブロック90と上流側流路ブロック130とを上述したような構成としたので、それぞれ熱伝達率が異なる材料で形成しなくても、それぞれの流路91〜97,131〜137を通過するインクの加熱効率を異ならせて、各インクの温度上昇やそれに伴う粘度低下の速さを異ならせることができる。
【0059】
なお、上述した実施形態では、下流側流路ブロック90に取り付けてインク流路9のインクを加熱するヒータ171と、上流側流路ブロック130に取り付けてインク流路13のインクを加熱するヒータ251とを個別に設けるものとした。しかし、例えば、図3の説明図に示す変形例のように、下流側流路ブロック90と上流側流路ブロック130とを並べて配置し、両者に共通のヒータ27を取り付けるようにしてもよい。このように構成しても、上述した実施形態のインクジェットプリンタ1と同様の効果を得ることができる。また、下流側流路ブロック90と上流側流路ブロック130とでヒータ27を兼用とすることで、ヒータ27の配設スペースやインクジェットプリンタ1全体の小型化を図ることができる。
【0060】
また、上述した実施形態では、下流側流路ブロック90と上流側流路ブロック130とがそれぞれ、流路断面積が異なる2種類の流路91,97、93,95、131,137、133,135を内部に有する構成のものとした。しかし、図4の説明図に示す他の変形例のように、下流側流路ブロック90と上流側流路ブロック130とがそれぞれ、同じ流路断面積の流路91a〜97a、131a〜137aを内部に有する構成のものとしてもよい。
【0061】
その場合には、各流路ブロック90,130とも、流路91a〜97a、131a〜137aを一方の側面に偏らせて配置し、下流側流路ブロック90の流路91a〜97aから離れた側面と、上流側流路ブロック130の流路131a〜137aから近い側面とに、ヒータ27を取り付けるようにすればよい。
【0062】
このように構成すれば、ヒータ27から相対的に離れている下流側流路ブロック90の各流路91a〜97aよりも、ヒータ27に相対的に近い上流側流路ブロック130の各流路131a〜137aの方が、ヒータ27からの熱伝達効率が高くなる。したがって、上述した実施形態の変形例に係るインクジェットプリンタ1と同様の効果を得ることができる。
【0063】
勿論、図4の説明図に示す構成の下流側流路ブロック90と上流側流路ブロック130とのそれぞれの側面に、図1を参照して説明した上述の実施形態と同様に、個別のヒータ171,251を取り付けるように構成してもよい。その場合でも、上述した実施形態のインクジェットプリンタ1と同様の効果を得ることができる。
【0064】
さらに、上述した実施形態及びその各変形例では、下流側流路ブロック90と上流側流路ブロック130とがそれぞれ、複数の流路91a〜97a、131a〜137aを内部に有する構成とした。しかし、例えば、図4の説明図に示す下流側流路ブロック90の複数の流路91a〜97aを貫通させて1つの流路とし、かつ、上流側流路ブロック130の複数の流路131a〜137aを貫通させて1つの流路として、互いの流路断面積を等しくする構成としてもよい。このように構成しても、ヒータ27から相対的に離れる下流側流路ブロック90の流路よりも、ヒータ27に相対的に近い上流側流路ブロック130の各流路の方が、ヒータ27からの熱伝達効率が高くなる。したがって、図4の説明図に示す下流側流路ブロック90及び上流側流路ブロック130を有する変形例のインクジェットプリンタ1と同様の効果を得ることができる。
【0065】
次に、本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。本実施形態のインクジェットプリンタ1は、インク流路9,13が下流側流路ブロック90や上流側流路ブロック130を有していない点と、温度調整器17,25のヒータ171,251がそれぞれ異なる量の熱エネルギーを出力する点が、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ1と異なっている。
【0066】
そして、本実施形態のインクジェットプリンタ1では、ウォームアップ動作中に、ヒータ251がヒータ171よりも高い熱エネルギーを出力するように構成している。これにより、インク流路9を通過するインクよりもインク流路13を通過するインクが高い熱エネルギーで加熱されて早く温度上昇し、粘度が早く下がってインク流路13を通過する際の流路抵抗が早く下がる。
【0067】
したがって、ウォームアップ動作によりインク循環経路15の全体に亘ってインクが適温に加熱されるまでの間、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインクよりも、下タンク7から上タンク3に供給されるインクの方が多くなる。よって、ウォームアップ動作中に上タンク3のインクが減り空気層33の空気がインクに混入してインクジェットヘッド5に供給されてしまうことがない。
【0068】
このように構成された本実施形態のインクジェットプリンタ1によっても、上述した第1実施形態のインクジェットプリンタ1と同様の効果を得ることができる。
【0069】
なお、上述した第2実施形態では、印刷ジョブの入力によりインクジェットプリンタ1が待機動作からウォームアップ動作に移行した際に、適温よりも低い温度に低下したインクを加熱するのに当たり、ヒータ251がヒータ171よりも高い熱エネルギーを出力して、インク流路9を通過するインクよりもインク流路13を通過するインクを高い熱エネルギーで加熱する構成とした。
【0070】
しかし、待機動作からウォームアップ動作への移行時にインク流路9,13の各インク温度を実測し、上タンク3よりも上流側に当たるインク流路13のインク温度の方が低かった場合にのみ、ヒータ251がヒータ171よりも高い熱エネルギーを出力して、インク流路9を通過するインクよりもインク流路13を通過するインクを高い熱エネルギーで加熱する構成とすることもできる。
【0071】
そこで、そのように構成した本発明の第3実施形態に係るインクジェットプリンタ1について、図5及び図6を参照して説明する。
【0072】
図5は本発明の第3実施形態に係るインクジェットプリンタの電気的構成を、後述する本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタの電気的構成と兼用して示すブロック図である。本実施形態のインクジェットプリンタ1は、全体制御用の制御ユニット29を有している。この制御ユニット29は、ROM29cに格納されたプログラムをCPU29aがRAM29bの作業領域を使用しながら実行することで、各種の制御処理を実行する。
【0073】
前記制御ユニット29には、温度調整器17,25の各温度センサ175,255、上タンク3及び下タンク7の各液面センサ35,37,77及び各大気開放弁31,71、圧力調整器75、循環ポンプ11、温度調整器17,25のヒータ171,251及びファン173,253、並びに、開閉弁21が接続されている。なお、図5中の補助ポンプ11Aは、後述する第4実施形態のインクジェットプリンタ1に設けられた要素であり、本実施形態のインクジェットプリンタ1には存在しない。
【0074】
次に、制御ユニット29のCPU29aが実行するウォームアップ動作に関連する処理の概要を、図6のフローチャートにより説明する。まず、CPU29aは、印刷ジョブの入力を待ち受ける(ステップS1でNO)。印刷ジョブが入力された場合は(ステップS1でYES)、ウォームアップが必要か否かを確認する(ステップS3)。この確認は、温度調整器17,25の各温度センサ175,255の検出結果に基づいて、インク循環経路15のインク温度が適温よりも低いか否かを判断することで行う。
【0075】
ウォームアップが必要でない場合は(ステップS3でNO)、後述するステップS15に進む。ウォームアップが必要である場合は(ステップS3でYES)、温度センサ175,255の検出結果に基づいて、インク循環経路15のインク循環方向における上タンク3よりも上流側、つまり、インク流路13のインク温度が、上タンク3よりも下流側、つまり、インク流路9のインク温度よりも低いか否かを確認する(ステップS5)。
【0076】
インク流路13のインク温度がインク流路9のインク温度よりも低い場合は(ステップS5でYES)、インク流路13の温度調整器25のヒータ251を、インク流路9の温度調整器17のヒータ171よりも高い熱エネルギーを出力するように作動させる(ステップS7)。一方、インク流路13のインク温度がインク流路9のインク温度よりも低くない場合は(ステップS5でNO)、インク流路13の温度調整器25のヒータ251を、インク流路9の温度調整器17のヒータ171と同じ熱エネルギーを出力するように作動させる(ステップS9)。
【0077】
次に、CPU29aは、温度調整器17,25の各温度センサ175,255の検出結果に基づいて、インク循環経路15のインク温度が適温まで上昇したか否かを確認する(ステップS11)。適温まで上昇していない場合は(ステップS11でNO)、ステップS5にリターンし、適温まで上昇した場合は(ステップS11でYES)、ウォームアップを終了し(ステップS13)、印刷動作を開始する(ステップS15)。そして、印刷動作が終了したならば(ステップS17でYES)、一連の処理を終了する。
【0078】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、図6のフローチャートにおけるステップS3乃至ステップS7が、請求項中の流量差減少手段に対応する処理となっている。
【0079】
上述した本実施形態のインクジェットプリンタ1によれば、インク循環経路15のインクの温度が適温よりも下がって、ウォームアップ動作としてヒータ171,251による加熱が行われる際、インク流路13のインク温度がインク流路9のインク温度よりも低ければ、ヒータ251によるインク流路13のインク加熱を高い熱エネルギーで行うことで、下タンク7から上タンク3に供給されるインクの流量を、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインクの流量よりも多くすることができる。
【0080】
このため、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインクよりも、下タンク7から上タンク3に供給されるインクの方が、より低い温度に下がって粘度が高くなっても、上タンク3から気泡混じりのインクがインクジェットヘッド5に供給されてしまうのを、防止することができる。
【0081】
以上に説明した第3実施形態のインクジェットプリンタ1では、待機動作からウォームアップ動作への移行時に、インク流路9のインク温度よりもインク流路13のインク温度が高いときに、インク流路9のインクよりもインク流路13のインクをヒータ251により高い熱エネルギーで加熱し、インク流路13のインク粘度をインク流路9のインク粘度よりも下げて、インク流路13のインク流量をインク流路9のインク流量よりも高くする構成とした。
【0082】
しかし、ヒータ251の加熱量を高くしてインク流路13のインク粘度を早く下げることでインク流路13のインク流量を高くする代わりに、補助ポンプを用いてインク流路13のインク流量を高くする構成とすることもできる。
【0083】
そこで、そのように構成した本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタ1について、図5、図7及び図8を参照して説明する。
【0084】
図7は本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成を示す説明図である。本実施形態のインクジェットプリンタ1では、上述した第3実施形態のインクジェットプリンタ1に補助ポンプ11A(請求項中のサブポンプに相当)を追加している。この補助ポンプ11Aは、インク流路13のバイパス流路13Aに接続されており、バイパス流路13Aは補助ポンプ11Aの吐出側において、逆止弁111を介してインク流路13に合流している。
【0085】
本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタの電気的構成は、図5のブロック図に示すとおりである。図5に示すように、上述した補助ポンプ11Aは制御ユニット29に接続されている。
【0086】
次に、制御ユニット29のCPU29aが実行するウォームアップ動作に関連する処理の概要を、図8のフローチャートにより説明する。本実施形態のCPU29aは、図6を参照して説明した第3実施形態のCPU29aが行う処理と同様に、ステップS1及びステップS3の処理を行う。そして、ウォームアップが必要である場合は(ステップS3でYES)、ヒータ171,251によるインク流路9,13のインクの加熱と循環ポンプ11の作動によるインク循環経路15のインクの循環とによるウォームアップを開始する(ステップS4)。
【0087】
そして、インク流路13のインク温度がインク流路9のインク温度よりも低い場合は(ステップS5でYES)、補助ポンプ11Aを作動させて(ステップS7A)、次のステップS11に移行する。一方、インク流路13のインク温度がインク流路9のインク温度よりも低くない場合は(ステップS5でNO)、次のステップS11に移行する。なお、ステップS11以降の処理は、図6を参照して説明した第3実施形態のCPU29aが行う処理と同様である。
【0088】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、図8のフローチャートにおけるステップS3、ステップS5、及び、ステップS7Aが、請求項中の流量差減少手段に対応する処理となっている。
【0089】
上述した本実施形態のインクジェットプリンタ1によっても、インク循環経路15のインクの温度が適温よりも下がって、ウォームアップ動作としてヒータ171,251による加熱が行われる際、インク流路13のインク温度がインク流路9のインク温度よりも低ければ、インク流路13のバイパス流路13Aに設けた補助ポンプ11Aを作動させることで、下タンク7から上タンク3に供給されるインクの流量を、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインクの流量よりも多くすることができる。
【0090】
このように構成された第4実施形態のインクジェットプリンタ1によっても、第3実施形態のインクジェットプリンタ1と同様の効果を得ることができる。
【0091】
以上に説明した第1乃至第4実施形態及び第1実施形態の各変形例のインクジェットプリンタ1では、上タンク3の液面センサ35の検出結果に基づいて、上タンク3のインクが上限値に達したか否かの監視、つまり、オーバーフロー防止の監視を、制御ユニット29が周期的に行う。そして、上タンク3のインクが上限値を超えたら、制御ユニット29は、警報出力や上タンク3へのインクの流入停止等の対策を行う。また、制御ユニット29は、下タンク7の液面センサ77の検出結果に基づいて、下タンク7のインクが下限値まで低下したか否かの監視、つまり、インク残量及びインク補充の要否の監視を、所定のサンプリング周期毎に制御ユニット29が行う。そして、下タンク7のインクが下限値まで低下したら、制御ユニット29は、補給用インクタンク23から補給用インク流路及び開閉弁21を介してインクを下タンク7に補給させる。
【0092】
ところで、上述した各実施形態及びその変形例において行われる、下タンク7から上タンク3に供給されるインクの流量を、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインクの流量よりも多くする動作中には、上タンク3のインク液面が増加する傾向となる。そのため、上タンク3のインクが一時的に上限値を超える液面になる可能性がある。そのような上タンク3のインク液面の一時的な上限値オーバーを、監視中の制御ユニット29がその都度把握してしまうと、上タンク3へのインクの流入停止等の対策が制御ユニット29の制御等によって頻繁に行われてしまう可能性がある。また、この対策が行われると上タンク3のインク液面は上限値を下回る状態に復帰するが、この復帰の時点で、下タンク7から上タンク3に供給されるインクの流量を、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインクの流量よりも多くする動作が、依然として行われていれば、上タンク3のインクは再び上限値を超える液面になる。したがって、制御ユニット29が上タンク3のインクの監視を行う周期が短いと、上タンク3のインク液面が上限値を超える状態と、制御ユニット29が実行する対策により上限値を下回る状態に上タンク3のインク液面が復帰する状態とが頻繁に繰り返し発生する可能性がある。
【0093】
そこで、上述したような状態が発生するのを防止するように、下タンク7から上タンク3に供給されるインクの流量を、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインクの流量よりも多くする動作中に、上タンク3のインク液面が上限値に達したか否かの制御ユニット29による監視の周期を、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインクの流量よりも多くする動作中でないときの通常周期よりも、長くするようにしてもよい。
【0094】
また、上タンク3のインク液面が上限値に達したか否かの監視周期を長くするのに加えて、上限値よりも上の限界値に上タンク3のインク液面が達したか否かの監視を並行して行うようにしてもよい。
【0095】
以下、そのように構成した本発明の第5実施形態に係るインクジェットプリンタについて、図9及び図10を参照して説明する。図9は本発明の第5実施形態に係るインクジェットプリンタの制御ユニットによる上タンクのインク液面の監視周期判定処理の概要を示すフローチャートである。また、図10は本発明の第5実施形態に係るインクジェットプリンタの制御ユニットによる上タンクの液面監視処理の概要を示すフローチャートである。本実施形態では、制御ユニット29が、図9及び図10の各フローチャートに示す処理を、周期的に割込処理としてそれぞれ実行する。
【0096】
なお、以下に説明する第5実施形態のインクジェットプリンタでは、上述した監視周期を変更する処理を、第3及び第4実施形態のインクジェットプリンタにおいて追加して実行する場合を例に取って説明する。
【0097】
そして、図9に示すインク液面監視周期の判定処理では、CPU29aは、温度センサ175,255の検出結果に基づいて、インク循環経路15のインク温度がインクジェットヘッド5のノズルから適正な突出速度でインクを突出できる適正温度であるか否かを確認する(ステップS21)。適正温度である場合は(ステップS21でYES)、後述するステップS25に移行する。
【0098】
一方、適正温度よりも低い場合は(ステップS21でNO)、温度センサ175,255の検出結果に基づいて、インク循環経路15のインク循環方向における上タンク3よりも上流側、つまり、インク流路13のインク温度が、上タンク3よりも下流側、つまり、インク流路9のインク温度よりも低いか否かを確認する(ステップS23)。
【0099】
インク流路13のインク温度がインク流路9のインク温度よりも低くない場合と(ステップS23でNO)、インク循環経路15のインク温度が適正温度である場合は(ステップS21でYES)、上タンク3のインク液面の監視周期を通常周期に設定する(ステップS25)。インク流路13のインク温度がインク流路9のインク温度よりも低い場合は(ステップS23でYES)、上タンク3のインク液面の監視周期を、通常周期よりも長い周期(以下、「特別周期」という。)に設定する(ステップS27)。
【0100】
次に、図10の上タンク液面監視処理では、CPU29aは、図9のステップS25又はステップS27で設定した周期(通常周期または特別周期)が、前回の監視の実行から経過したか否かを確認する(ステップS31)。経過していない場合は(ステップS31でNO)、上タンク液面監視処理を終了する。経過した場合は(ステップS31でYES)、液面センサ35の検出結果に基づいて、上タンク3のインク液面が上限値に達したか否かを確認する(ステップS33)。
【0101】
上限値に達していない場合は(ステップS33でNO)、上タンク液面監視処理を終了する。上限値に達した場合は(ステップS33でYES)、液面センサ37の検出結果に基づいて、上タンク3のインク液面が限界値に達したか否かを確認する(ステップS35)。限界値に達した場合は(ステップS35でYES)、循環ポンプ11や補助ポンプ11Aの作動を停止させてインク循環経路15のインクの循環を停止させて(ステップS37)、上タンク液面監視処理を終了する。
【0102】
また、限界値に達していない場合は(ステップS35でNO)、インク循環経路15のインク循環方向における上タンク3よりも上流側、つまり、インク流路13のインク流量が、上タンク3よりも下流側、つまり、インク流路9のインク流量と等しくなるように、ヒータ171,251の出力を変更し、又は、補助ポンプ11Aの作動を停止させ(ステップS39)、上タンク液面監視処理を終了する。
【0103】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、図9のフローチャートにおけるステップS21及びステップS23が、請求項中の温度検出手段に対応する処理となっている。また、本実施形態では、図9中のステップS25及びステップS27と、図10のフローチャートにおけるステップS31及びステップS33が、請求項中の上限値監視手段に対応する処理となっている。さらに、本実施形態では、図10中のステップS35が、請求項中の限界値監視手段に対応する処理となっている。
【0104】
このように構成した本実施形態のインクジェットプリンタ1によれば、下タンク7から上タンク3に供給されるインクの流量を、上タンク3からインクジェットヘッド5に供給されるインクの流量よりも多くする動作中に、上タンク3のインク液面が一時的に上限値を超えたことが、制御ユニット29によって頻繁に把握されてしまうのを、監視周期の延長という感度を鈍化させる処理の実行によって、防止することができる。また、監視周期を通常周期とするかそれより長い特別周期とするかを、インク粘度との相関関係がある温度センサ175,255の検出結果(インク温度)に基づいて決定するので、状況に適した監視周期を適切に決定することができる。
【0105】
さらに、本実施形態のインクジェットプリンタ1によれば、上タンク3のインク液面が限界値に達したか否かを並行して監視するので、限界値を超えてインクが上タンク3からオーバーフローする前に、それに近い状況であることを制御ユニット29によって監視させ、インク循環経路15のインク循環を停止させる等の適切な対策を講じさせることができる。
【0106】
なお、本発明は、内部に空気層を有するタンクをインクジェットヘッドよりも上方に配置したインク循環方式のインクジェットプリンタの全般に、広く適用可能である。また、本発明を適用可能なインクジェットプリンタは水性インクを用いるものに限られず、溶剤インクやエマルションインク等の液体インクを用いるインクジェットプリンタにも本発明が適用可能であることは、言うまでもない。さらに、本発明は、インクジェット方式のカラープリンタとモノクロプリンタのどちらにも適用可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 インクジェットプリンタ
3 上タンク
5 インクジェットヘッド
7 下タンク
9 インク流路
11 循環ポンプ
11A 補助ポンプ
13 インク流路
13A バイパス流路
15 インク循環経路
17 温度調整器
19 補給用インク流路
21 開閉弁
23 補給用インクタンク
25 温度調整器
27 ヒータ
29 制御ユニット
29a CPU
29b RAM
29c ROM
31 大気開放弁
33 空気層
35 液面センサ
37 液面センサ
71 大気開放弁
73 空気層
75 圧力調整器
77 液面センサ
90 下流側流路ブロック
91〜97 流路
91a〜97a 流路
111 逆止弁
130 上流側流路ブロック
131〜137 流路
131a〜137a 流路
171 ヒータ
173 ファン
175 温度センサ
251 ヒータ
253 ファン
255 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクタンクと、該インクタンクから供給されたインクを用いてインク吐出動作を行うインクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドと前記インクタンクとの間でインクの循環を行うためのインク循環経路とを備えるインクジェットプリンタにおいて、
前記インク循環経路から前記インクタンクに供給される上流側のインクの粘度が前記インクタンクから前記インクジェットヘッドに供給される下流側のインクの粘度よりも高い粘度差が生じているときに、該粘度差に伴い前記上流側のインクと前記下流側のインクとの間で生じる流量差を減少させる流量差減少手段を備える、
ことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記インクタンクのインク液面の上限値を検出する上限値検出手段と、該上限値検出手段の検出結果に基づいて前記インク液面の前記上限値への到達を周期的に監視する上限値監視手段とをさらに備え、前記流量差減少手段が前記インク流量差を減少させているときに前記上限値監視手段は、前記監視の周期を、前記流量差減少手段が前記インク流量差を減少させていないときの通常周期よりも長い周期に変更することを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記流量差減少手段は、
前記インク循環経路において前記上流側のインクが通過する上流側流路を内部に有する上流側流路ブロックと、
前記インク循環経路において前記下流側のインクが通過する下流側流路を内部に有する下流側流路ブロックと、
前記上流側流路を通過するインクを加熱する上流側加熱手段と、
前記下流側流路を通過するインクを加熱する下流側加熱手段と、
を有しており、
前記上流側加熱手段と前記下流側加熱手段とは、互いに等しい熱エネルギーを出力するように構成されており、
前記上流側流路と前記下流側流路とは、互いに等しい流路断面積で構成されており、
前記上流側流路ブロックは、前記下流側流路を通過するインクに対して前記下流側流路ブロックが前記下流側加熱手段からの熱エネルギーを伝達する効率よりも高い効率で、前記上流側流路を通過するインクに対して前記上流側加熱手段からの熱エネルギーを伝達するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記上流側流路は、
少なくとも1つの上流側大流量流路と、
流路断面積が前記上流側大流量流路よりも小さく、かつ、該上流側大流量流路よりも前記上流側加熱手段から遠ざけて配置された少なくとも1つの上流側小流量流路と、
を含んでおり、
前記下流側流路は、
少なくとも1つの下流側小流量流路と、
流路断面積が前記下流側小流量流路よりも大きく、かつ、該下流側小流量流路よりも前記下流側加熱手段から遠ざけて配置された少なくとも1つの下流側大流量流路と、
を含んでおり、
前記上流側大流量流路及び前記上流側小流量流路の総流路断面積は、前記下流側大流量流路及び前記下流側小流量流路の総流路断面積と等しい、
ことを特徴とする請求項3記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記流量差減少手段は、
前記インク循環経路において前記インクタンクに流入するインクを加熱する上流側加熱手段と、
前記インク循環経路において前記インクタンクから前記インクジェットヘッドに流出するインクを加熱する下流側加熱手段と、
を有しており、
前記上流側加熱手段は、少なくとも前記粘度差が生じているときに、前記下流側加熱手段よりも高い熱エネルギーを出力する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−213044(P2011−213044A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85143(P2010−85143)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】