説明

インクジェットプリントヘッド

【課題】本発明は、インクジェットプリントヘッドに関し、より詳細には、インクの噴射過程で発生するインクの逆流現象を効果的に減少させるインクジェットプリントヘッドに関する。
【解決手段】本発明によるインクジェットプリントヘッドは、第1のリストリクターと圧力室が形成される第1の基板と、マニホールドと第2のリストリクターが形成される第2の基板と、を含み、上記第1のリストリクターは上記マニホールド及び上記第2のリストリクターと連結され、上記第2のリストリクターは上記第1のリストリクター及び上記圧力室と連結されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリントヘッドに関し、より詳細には、インクの噴射過程で発生するインクの逆流現象を効果的に減少させるインクジェットプリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリントヘッドは、電気信号を物理的な力に変換して、貯蔵されたインクを水滴サイズで吐出する装置である。
【0003】
このようなインクジェットプリントヘッドは、大量生産が可能であることから、事務用プリンターのみならず産業用プリンターにも用いられている。例えば、インクジェットプリントヘッドは、紙にインクを吐出して出力物を印刷する事務室でのみならず、印刷回路基板(PCB)上に液状の金属物質を吐出して回路パターンを直接形成する製造工場でも用いられている。
【0004】
一般的に用いられるインクジェットプリントヘッドは、多数の圧力室とノズルを有することができる。このようなインクジェットプリントヘッドは、多数のノズルから同一色のインク又は互いに異なる色のインクを同時に吐出することができるため、印刷速度が速い上、鮮明な印刷が可能である。
【0005】
しかしながら、このような構造は、圧力室間の間隔が非常に小さいため、任意の圧力室で発生した吐出圧力が隣り合う圧力室に影響を及ぼす混線現象(crosstalk)が生じやすい。
【0006】
したがって、高速印刷と鮮明な印刷品質を提供し且つ混線現象を軽減させることができるインクジェットプリントヘッドの開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのもので、高速印刷と鮮明な印刷品質を提供し且つ混線現象を軽減させることができるインクジェットプリントヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の一実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、第1のリストリクターと圧力室が形成される第1の基板と、マニホールドと第2のリストリクターが形成される第2の基板と、を含み、上記第1のリストリクターは上記マニホールド及び上記第2のリストリクターと連結され、上記第2のリストリクターは上記第1のリストリクター及び上記圧力室と連結されることができる。
【0009】
本発明の一実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1のリストリクターの長さは、上記第2のリストリクターの長さより長く形成されることができる。
【0010】
本発明の一実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1のリストリクターの幅は、上記第2のリストリクターの幅より大きく形成されることができる。
【0011】
本発明の一実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1のリストリクター及び上記第2のリストリクターの幅は、上記圧力室の幅より小さく形成されることができる。
【0012】
本発明の一実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1の基板と上記第2の基板との接合時、上記第1のリストリクターと上記マニホールドとが重なる第1の領域は、上記第1のリストリクターと上記第2のリストリクターとが重なる第2の領域より大きいことができる。
【0013】
本発明の一実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1の基板と上記第2の基板との接合時、上記第2の領域は、上記第2のリストリクターと上記圧力室とが重なる第3の領域より小さいことができる。
【0014】
本発明の一実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1の基板と上記第2の基板との接合時、上記第1のリストリクターと上記第2のリストリクターとが重なる第2の領域は、上記第2のリストリクターと上記圧力室とが重なる第3の領域より小さいことができる。
【0015】
本発明の一実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1のリストリクターの体積は、上記第2のリストリクターの体積より大きいことができる。
【0016】
本発明の一実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、上記第2の基板に上記圧力室と前記ノズルとを連結するバッファー空間がさらに形成されることができる。
【0017】
上記の目的を達成するための本発明の他の実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、マニホールドと第2のリストリクターと圧力室が形成される第1の基板と、第1のリストリクターと第3のリストリクターとノズルが形成される第2の基板と、を含み、上記第1のリストリクターは上記マニホールド及び上記第2のリストリクターと連結され、上記第3のリストリクターは上記第2のリストリクター及び上記圧力室と連結されることができる。
【0018】
本発明の他の実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1のリストリクターの長さは、上記第2のリストリクターの長さより長く形成されることができる。
【0019】
本発明の他の実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1のリストリクターの幅は、上記第2のリストリクターの幅より大きく形成されることができる。
【0020】
本発明の他の実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1のリストリクター、上記第2のリストリクター及び上記第3のリストリクターの幅は、上記圧力室の幅より小さく形成されることができる。
【0021】
本発明の他の実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1の基板と上記第2の基板との接合時、上記第1のリストリクターと上記マニホールドとが重なる第1の領域は、上記第1のリストリクターと上記第2のリストリクターとが重なる第2の領域より大きいことができる。
【0022】
本発明の他の実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1の基板と上記第2の基板との接合時、上記第2の領域は、上記第2のリストリクターと上記第3のリストリクターとが重なる第3の領域より大きいことができる。
【0023】
本発明の他の実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1の基板と上記第2の基板との接合時、上記第1の領域は、上記第3のリストリクターと上記圧力室とが重なる第4の領域より大きいことができる。
【0024】
本発明の他の実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1の基板と上記第2の基板との接合時、上記第1のリストリクターと上記第2のリストリクターとが重なる第2の領域又は上記第2のリストリクターと上記第3のリストリクターとが重なる第3の領域は、上記第3のリストリクターと上記圧力室とが重なる第4の領域より小さいことができる。
【0025】
本発明の他の実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第1のリストリクターの体積は、上記第2のリストリクターの体積又は上記第3のリストリクターの体積より大きいことができる。
【0026】
本発明の他の実施形態によるインクジェットプリントヘッドにおいて、上記第3のリストリクターの体積は、上記第2のリストリクターの体積より大きいことができる。
【0027】
本発明の他の実施形態によるインクジェットプリントヘッドは、上記第2の基板に上記圧力室と前記ノズルとを連結するバッファー空間がさらに形成されることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、圧力室で発生する圧力がマニホールドに伝達されることを効果的に遮断することができるため、混線現象による印刷品質の低下現象を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分離斜視図である。
【図2】図1に示される第1の基板の底面図である。
【図3】図1に示される第2の基板の平面図である。
【図4】図1に示されるインクジェットプリントヘッドの結合斜視図である。
【図5】図4に示されるインクジェットプリントヘッドのA−A断面図である。
【図6】図5に示されるインクジェットプリントヘッドの結合面(B−B断面)を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッドのA−A断面図である。
【図8】図7に示されるインクジェットプリントヘッドの結合面(B−B断面)を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドのA−A断面図である。
【図10】図9に示されるインクジェットプリントヘッドの結合面(B−B断面)を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分離斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
下記で本発明を説明する上で、本発明の構成要素を指す用語は、それぞれの構成要素の機能を考慮して名づけられたもので、本発明の技術的構成要素を限定する意味に解釈されるべきではない。
【0032】
インクジェットプリントヘッドは、圧力室に貯蔵されたインクを、アクチュエーターから発生した圧力を用いてノズルから外部に吐出することができる。ここで、圧力室に貯蔵されたインクの相当量はノズルから外部に吐出されるが、一部はマニホールドの方に逆流することがある。
【0033】
このような現象は、マニホールドを介して供給されるインクの流れを不安定にするため、インクジェットプリントヘッドの印刷品質を落とす可能性がある。
【0034】
なお、インクジェットプリントヘッドは、多数の基板を積層して製作されることができる。このような構造は、それぞれの基板にマニホールド、圧力室、ノズル等を分離して形成することができるため、製作が容易である。
【0035】
しかしながら、プリンター装置が次第に小型化及び薄型化されるに伴い、少ない数の基板でインクジェットプリントヘッドを製作することができる技術が必要となっている。
【0036】
本発明は、上記のような問題点と必要性とを同時に満足させるためのもので、圧力室のインクがマニホールドの方に逆流することを最小化し且つ少ない数の基板で製作することができるインクジェットプリントヘッドを提供することを目的とする。
【0037】
図1は、本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分離斜視図であり、図2は、図1に示される第1の基板の底面図であり、図3は、図1に示される第2の基板の平面図であり、図4は、図1に示されるインクジェットプリントヘッドの結合斜視図であり、図5は、図4に示されるインクジェットプリントヘッドのA−A断面図であり、図6は、図4に示されるインクジェットプリントヘッドの結合面(B−B断面)を示す図であり、図7は、本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッドのA−A断面図であり、図8は、図7に示されるインクジェットプリントヘッドの結合面(B−B断面)を示す図であり、図9は、本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッドのA−A断面図であり、図10は、図9に示されるインクジェットプリントヘッドの結合面(B−B断面)を示す図であり、図11は、本発明の第4の実施形態によるインクジェットプリントヘッドの分離斜視図である。
【0038】
図1から図6を参照して本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッドを説明する。
【0039】
本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッド100は、第1の基板10と第2の基板20とを含み、アクチュエーター80をさらに含むことができる。
【0040】
第1の基板10は、インクジェットプリントヘッド100の一部分を形成し、単結晶のシリコン基板からなることができる。しかしながら、第1の基板10は、必要に応じてSOI(Silicon On Insulator)基板からなることができる。この場合、第1の基板10は、シリコン基板と多数の絶縁部材が積層された積層構造物であることができる。
【0041】
第1の基板10は、第1のリストリクター40と、圧力室50と、アクチュエーター80と、を含むことができる。具体的には、第1の基板10の第1の面12にはアクチュエーター80が形成され、第2の面14には第1のリストリクター40と圧力室50が形成されることができる。また、第1の基板10にはインク供給路90が形成されることができる。インク供給路90は、第1の基板10の厚さ方向(図1のZ軸方向)に長く形成されることができる。
【0042】
第1のリストリクター40は、第1の基板10の第2の面14に形成されることができる。第1のリストリクター40は、図2に示されるように、圧力室50とX軸方向に一定の距離を置いて形成され、Y軸方向に多列に形成されることができる。ここで、Y軸方向に配列される多数の第1のリストリクター40は、隣り合う圧力室50とそれぞれ対応するように形成されることができる。なお、本実施形態には第1の基板10に四つの第1のリストリクター40と圧力室50が形成されたことが示されているが、必要に応じてその数が増減されることができる。
【0043】
第1のリストリクター40は、所定の長さL1と幅W1を有することができる。ここで、第1のリストリクター40の長さL1は、圧力室50の長さLpより小さく、第1のリストリクター40の幅W1は、圧力室50の幅Wpより小さいことができる。このように形成された第1のリストリクター40は、マニホールド30から圧力室50に供給されるインクの流量を調節することができる。
【0044】
圧力室50は、第1の基板10の第2の面14に形成されることができる。具体的には、圧力室50は、第2の基板20の第2のリストリクター42と部分的に重なり、ノズル60又はバッファー空間70と重なるように形成されることができる。即ち、圧力室50は、第1の基板10と第2の基板20とが結合した状態で、第2のリストリクター42とノズル60又はバッファー空間70と連結されることができる。
【0045】
圧力室50は、所定の体積を有することができる。具体的には、圧力室50は、アクチュエーター80の一回作動によって吐出されることができるインク滴の体積と等しいか又はそれより大きい体積を有することができる。ここで、前者はインクの定量吐出に有利であり、後者はインクジェットプリントヘッド100の連続吐出に有利であることができる。
【0046】
なお、図1及び図5には圧力室50が第1の基板10の第2の面14にのみ形成されたことが示されている。しかしながら、圧力室50は、第1の基板10を完全に貫通する形態に形成されることができる。
【0047】
アクチュエーター80は、第1の基板10の第1の面12に形成されることができる。具体的には、アクチュエーター80は、第1の基板10の第1の面12において圧力室50と対応する位置に形成されることができる。
【0048】
アクチュエーター80は、圧電素子と上下部電極部材とを含むことができる。具体的には、アクチュエーター80は、上部電極部材と下部電極部材を挟んで圧電素子が配置された積層構造物であることができる。
【0049】
このように形成されたアクチュエーター80は、電気信号に応じて引張及び収縮し圧力室50に圧力を提供することができる。
【0050】
第2の基板20は、インクジェットプリントヘッド100の残りの部分を形成し、単結晶のシリコン基板からなることができる。しかしながら、第2の基板20は、必要に応じてSOI(Silicon On Insulator)基板からなることができる。この場合、第2の基板20は、シリコン基板と多数の絶縁部材が積層された積層構造物であることができる。
【0051】
第2の基板20は、マニホールド30と、第2のリストリクター42と、ノズル60と、バッファー空間70と、を含むことができる。具体的には、第2の基板20の第1の面22には、マニホールド30と第2のリストリクター42とバッファー空間70が形成されることができる。そして、ノズル60は、第2の基板20を上下貫通する形態に形成されることができる。
【0052】
マニホールド30は、第2の基板20の第1の面22に形成されることができる。マニホールド30は、図3に示されるように、Y軸方向に長く伸びている形状を有し、第2のリストリクター42と一定の間隔を置いて形成されることができる。
【0053】
マニホールド30は、第1のリストリクター40と部分的に重なるように形成されることができる。具体的には、マニホールド30は、第1の基板10と第2の基板20との結合状態で第1のリストリクター40と連結されることができる。
【0054】
また、マニホールド30は、第1の基板10のインク供給路90と連結されることができる。これにより、マニホールド30は、多量のインクを収容し、収容されたインクを圧力室50に供給することができる。
【0055】
第2のリストリクター42は、第2の基板20の第1の面22に形成されることができる。第2のリストリクター42は、図3に示されるように、マニホールド30及びノズル60とX軸方向に一定の距離を置いて形成され、Y軸方向に多列に形成されることができる。ここで、Y軸方向に配列される多数の第2のリストリクター42は、隣り合うノズル60とそれぞれ対応するように形成されることができる。
【0056】
第2のリストリクター42は、第1のリストリクター40及び圧力室50と部分的に重なるように形成されることができる。具体的には、第2のリストリクター42は、第1の基板10と第2の基板20との結合状態で第1のリストリクター40及び圧力室50と連結されることができる。このように形成された第2のリストリクター42は、第1のリストリクター40と共にマニホールド30から圧力室50に連結される一つの流路を形成することができる。
【0057】
第2のリストリクター42は、所定の長さL2と幅W2を有することができる。ここで、第2のリストリクター42の長さL2は圧力室50の長さLpより小さく、第2のリストリクター42の幅W2は圧力室50の幅Wpより小さいことができる。このように形成された第2のリストリクター42は、マニホールド30から圧力室50に供給されるインクの流量を調節することができる。
【0058】
なお、図3には第2のリストリクター42の長さL2及び幅W2が第1のリストリクター40の長さL1及び幅W1と同一であることが示されているが、これは必要に応じて変わることができる。また、第2のリストリクター42の体積は、第1のリストリクター40より小さいことができる。
【0059】
ノズル60は、第2の基板20に形成されることができる。具体的には、ノズル60は、第2の基板20の厚さ方向(図1のZ軸方向)に長く形成されることができる。
【0060】
ノズル60は、第1の基板10の圧力室50と重なるように形成されることができる。具体的には、ノズル60は、第1の基板10と第2の基板20との結合状態で圧力室50に連結されることができる。より具体的には、ノズル60が形成された領域は、第1の基板10と第2の基板20との結合状態で圧力室50が形成された領域に完全に含まれることができる。
【0061】
バッファー空間70は、第2の基板20の第1の面22に形成され、ノズル60の一部分であることができる。
【0062】
バッファー空間70は、部分縮小される形状であることができる。例えば、バッファー空間70は、截頭角柱状又は截頭円柱状であることができる。このように形成されたバッファー空間70は、圧力室50のインクがノズル60から円滑に吐出されるようにすることができる。
【0063】
このように構成されたインクジェットプリントヘッド100は、図4に示されるように第1の基板10と第2の基板20との結合によって形成され、図5及び図6に示される断面構造と結合面を有することができる。
【0064】
以下では、図5及び図6を参照して本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッド100の結合構造を説明する。
【0065】
本発明の第1の実施形態によるインクジェットプリントヘッド100は、図5に示されるように二つのリストリクター40、42を含むことができる。第1のリストリクター40はマニホールド30と第2のリストリクター42とを連結し、第2のリストリクター42は第1のリストリクター40と圧力室50とを連結することができる。
【0066】
第1のリストリクター40は、所定の高さh1を有することができる。ここで、第1のリストリクター40の高さh1は、圧力室50の高さhpと等しいか又はそれより小さいことができる。前者は第1の基板10に第1のリストリクター40と圧力室50を一つの工程によって形成するのに容易であり、後者は第1のリストリクター40によるインクの逆流現象を軽減させるのに効果的であることができる。
【0067】
第2のリストリクター42は、所定の高さh2を有することができる。ここで、第2のリストリクター42の高さh2は、第1のリストリクター40の高さh1と等しいことができる。又は、第2のリストリクター42の高さh2は、マニホールド30の高さhmと等しいか又はそれより小さいことができる。前者は第2の基板20に第2のリストリクター42とマニホールド30を一つの工程によって形成するのに容易であり、後者は第2のリストリクター42によるインクの逆流現象を軽減させるのに効果的であることができる。
【0068】
なお、第1のリストリクター40は、図6に示されるようにマニホールド30と重なる(又は連結される)第1の領域S1を有し、第2のリストリクター42と重なる第2の領域S2を有することができる。また、第2のリストリクター42は、第1のリストリクター40と重なる第2の領域S2を有し、圧力室50と重なる第3の領域S3を有することができる。
【0069】
ここで、第1の領域S1は、マニホールド30のインクが第1のリストリクター40に供給されるための入口として用いられるため、インクの円滑な供給のために他の領域S2、S3に比べて相対的に大きく形成されることができる。
【0070】
同様に、第3の領域S3は、リストリクター40、42から供給されるインクが圧力室50に供給される出口として用いられるため、第1の領域S1と等しいか又はそれより小さく形成されることができる。
【0071】
但し、第2の領域S2は、圧力室50のインクがマニホールド30に逆流することを遮断するための構成であるため、第1の領域S1又は第2の領域S2に比べて相対的に小さく形成されることができる。しかしながら、これは一つの例示であるため、必要に応じて第2の領域S2も第1の領域S1及び第3の領域S3と等しいサイズに形成されることができる。
【0072】
このように構成されたインクジェットプリントヘッド100は、第1のリストリクター40と第2のリストリクター42が互いに異なる基板10、20にそれぞれ形成されているため、圧力室50のインクがマニホールド30に逆流することを効果的に遮断することができる。
【0073】
即ち、図5に示されるインクジェットプリントヘッド100は、インクの流路が上下方向(図5基準方向)に数回繰り返し形成された構造であるため、インクの逆流を遮断するのに容易である。
【0074】
また、本実施形態は、マニホールド30と圧力室50とリストリクター40、42が複数の領域S1、S2、S3で互いに重なるため、これらの領域S1、S2、S3の面積を調節してインクの供給量とインクの逆流現象を調節することができるという長所がある。
【0075】
以下では、図7及び図8を参照して本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッド100を説明する。
【0076】
本発明の第2の実施形態によるインクジェットプリントヘッド100は、第2のリストリクター42の形状において第1の実施形態と区別されることができる。
【0077】
即ち、第2のリストリクター42の高さh2は、図7に示されるように第1のリストリクター40の高さh1より大きく、第2のリストリクター42の幅W2は、図8に示されるように第1のリストリクター40の幅W1より大きいことができる。また、第1の領域S1と第2の領域S2と第3の領域S3は、下記の条件式1を満足することができる。
【0078】
[式1]
S1<S2<S3
【0079】
このように構成されたインクジェットプリントヘッド100は、マニホールド30から圧力室50へのインクの流路が次第に広くなる構造であるため、当該マニホールド30から当該圧力室50へのインクの供給は円滑に行われることができる。逆に、圧力室50からマニホールド30へのインクの流路は次第に狭くなる構造であるため、当該圧力室50から当該マニホールド30へのインク逆流を効果的に遮断することができる。
【0080】
以下では、図9及び図10を参照して本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッド100を説明する。
【0081】
本発明の第3の実施形態によるインクジェットプリントヘッド100は、第3のリストリクター44をさらに備えている点で、前述した実施形態と区別されることができる。
【0082】
本実施形態において、第1の基板10の第2の面には、マニホールド30、第2のリストリクター42、圧力室50が形成されることができる。そして、第2の基板10の第1の面には、第1のリストリクター40、第3のリストリクター44、ノズル60及びバッファー空間70が形成されることができる。
【0083】
また、本実施形態によるインクジェットプリントヘッド100は、図10に示されるように、マニホールド30と第1のリストリクター40とが重なる第1の領域S1と、第1のリストリクター40と第2のリストリクター42とが重なる第2の領域S2と、第2のリストリクター42と第3のリストリクター44とが重なる第3の領域S3と、第3のリストリクター44と圧力室50とが重なる第4の領域S4と、を含むことができる。
【0084】
ここで、第3の領域S3は、他の領域S1、S2、S4に比べて相対的に小さな面積を有することができる。これは、圧力室50からマニホールド30の方へのインクの逆流を遮断するのに効果的であることができる。しかしながら、他の領域S1、S2、S4は、同一の面積を有することができる。
【0085】
また、第3のリストリクター44は、図10に示されるように、第1のリストリクター40の幅W1及び第2のリストリクター42の幅W2より小さいことができる。しかしながら、必要に応じて、第1のリストリクター40の幅W1又は第2のリストリクター42の幅W2を他のリストリクターに比べて小さくすることができる。また、第3のリストリクター42の体積は、第1のリストリクター40より小さいことができる。
【0086】
このように構成されたインクジェットプリントヘッド100は、多数のリストリクター40、42、44を備えるため、圧力室50のインクがマニホールド30に逆流することをより効果的に遮断することができる。
【0087】
また、本実施形態によると、相対的に大きな体積を有するマニホールド30と圧力室50が第1の基板10に形成されるため、第2の基板20の厚さを第1の基板10に比べて薄く形成することができ、第1のリストリクター40と第3のリストリクター44の高さを調節することが容易になる。
【0088】
以下では、図11を参照して本発明の第4の実施形態によるインクジェットプリントヘッド100を説明する。
【0089】
本発明の第4の実施形態によるインクジェットプリントヘッド100は、マニホールド30とインク供給路90において前述した実施形態と区別されることができる。即ち、インクジェットプリントヘッド100は、図11に示されるように、複数のマニホールド30と複数のインク供給路90とを備えることができる。
【0090】
インク供給路90は、第1の基板10に形成され、圧力室50の配列形態と同一にY軸に沿って一定間隔で配列されることができる。ここで、インク供給路90の配列数及び間隔は、第2の基板20に形成される圧力室50の配列数及び間隔と同一であることができる。
【0091】
マニホールド30は、第2の基板20に形成され、インク供給路90の配列形態と同一にY軸に沿って一定間隔で配列されることができる。ここで、マニホールド30の配列数及び間隔は、第1の基板10に形成されるインク供給路90の配列数及び間隔と同一であることができる。
【0092】
このような構造は、一対の圧力室50及びノズル60に一対のインク供給路90及びマニホールド30が一対一で対応するため、インクの逆流による混線(crosstalk)現象を最小化することができる。
【0093】
また、本構造は、それぞれの圧力室50にインクを個別に供給することができるため、精密なインク吐出が可能であり、これにより、高解像度の印刷品質を達成することができる。
【0094】
なお、本実施形態では、図11に示されるようにインク供給路90にフィルター部材95がさらに形成され、これにより、インクに含まれた異物を除去することができる。
【0095】
したがって、本実施形態によると、ノズル60が異物で詰まる現象を予め予防することができる。
【0096】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想の要旨を外れない範囲で本発明を多様に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0097】
100 インクジェットプリントヘッド
10 第1の基板
12 (第1の基板の)第1の面
14 (第1の基板の)第2の面
20 第2の基板
22 (第2の基板の)第1の面
24 (第2の基板の)第2の面
30 マニホールド
40 第1のリストリクター
42 第2のリストリクター
44 第3のリストリクター
50 圧力室
60 ノズル
70 バッファー空間
80 アクチュエーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のリストリクター及び圧力室が形成される第1の基板と、
マニホールド、第2のリストリクター、及びノズルが形成される第2の基板と
を含み、
前記第1のリストリクターは前記マニホールド及び前記第2のリストリクターと連結され、
前記第2のリストリクターは前記第1のリストリクター及び前記圧力室と連結され、
前記圧力室は前記第2のリストリクター及び前記ノズルと連結される、インクジェットプリントヘッド。
【請求項2】
前記第1のリストリクターの長さは、前記第2のリストリクターの長さより長く形成される、請求項1に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項3】
前記第1のリストリクターの幅は、前記第2のリストリクターの幅より大きく形成される、請求項1または2に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項4】
前記第1のリストリクター及び前記第2のリストリクターの幅は、前記圧力室の幅より小さく形成される、請求項1から3の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項5】
前記第1のリストリクターと前記マニホールドとが重なる第1の領域は、前記第1のリストリクターと前記第2のリストリクターとが重なる第2の領域より大きい、請求項1から4の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項6】
前記第2の領域は、前記第2のリストリクターと前記圧力室とが重なる第3の領域より小さい、請求項5に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項7】
前記第1のリストリクターと前記第2のリストリクターとが重なる第2の領域は、前記第2のリストリクターと前記圧力室とが重なる第3の領域より小さい、請求項1から4の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項8】
前記第1のリストリクターの体積は、前記第2のリストリクターの体積より大きい、請求項1から7の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項9】
前記第2の基板は、前記圧力室と前記ノズルとを連結するバッファー空間がさらに形成されている、請求項1から8の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項10】
マニホールドと第2のリストリクターと圧力室が形成される第1の基板と、
第1のリストリクターと第3のリストリクターとノズルが形成される第2の基板と
を含み、
前記第1のリストリクターは前記マニホールド及び前記第2のリストリクターと連結され、
前記第3のリストリクターは前記第2のリストリクター及び前記圧力室と連結される、インクジェットプリントヘッド。
【請求項11】
前記第1のリストリクターの長さは、前記第2のリストリクターの長さより長く形成される、請求項10に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項12】
前記第1のリストリクターの幅は、前記第2のリストリクターの幅より大きく形成される、請求項10または11に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項13】
前記第1のリストリクター、前記第2のリストリクター及び前記第3のリストリクターの幅は、前記圧力室の幅より小さく形成される、請求項10から12の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項14】
前記第1のリストリクターと前記マニホールドとが重なる第1の領域は、前記第1のリストリクターと前記第2のリストリクターとが重なる第2の領域より大きい、請求項10から13の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項15】
前記第2の領域は、前記第2のリストリクターと前記第3のリストリクターとが重なる第3の領域より大きい、請求項14に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項16】
前記第1の領域は、前記第3のリストリクターと前記圧力室とが重なる第4の領域より大きい、請求項14または15に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項17】
前記第1のリストリクターと前記第2のリストリクターとが重なる第2の領域又は前記第2のリストリクターと前記第3のリストリクターとが重なる第3の領域は、前記第3のリストリクターと前記圧力室とが重なる第4の領域より小さい、請求項10から13の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項18】
前記第1のリストリクターの体積は、前記第2のリストリクターの体積又は前記第3のリストリクターの体積より大きい、請求項10から17の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項19】
前記第3のリストリクターの体積は、前記第2のリストリクターの体積より大きい、請求項10から18の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。
【請求項20】
前記第2の基板は、前記圧力室と前記ノズルとを連結するバッファー空間がさらに形成されている、請求項10から19の何れか1項に記載のインクジェットプリントヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−111977(P2013−111977A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181127(P2012−181127)
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】