説明

インクジェットヘッド、インクジェット記録装置、インクジェットヘッドの検査方法及びプログラム

【課題】 電気的接続状態を簡単かつ迅速に検査することができるインクジェットヘッド、インクジェット記録装置、インクジェットヘッドの検査方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】 被記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録装置の装置本体部に設けられるインクジェットヘッドであって、前記インクが入れられる複数のインク室45を有する圧電部44と、前記複数のインク室45に設けられ、前記圧電部44を駆動するための駆動電極部と、前記駆動電極部に対向して前記圧電部44に設けられた検出電極部60と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッド、インクジェット記録装置、インクジェットヘッドの検査方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクを吐出して、被記録媒体にインク滴を着弾させるインクジェット記録装置が利用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
これらインクジェット記録装置の中には、インクを吐出させるためのインクジェットヘッドを備えているものがある。インクジェットヘッドとしては、インク室を有する圧電プレートと、インク室に設けられた電極部とを備えているものが知られている。
【0004】
このような構成のもと、電極部に電圧を印加して、圧電プレートを変形させると、インク室の容積が変化し、これにより、インク室に入れられたインクが吐出される。
【0005】
ここで、圧電プレートや電極部などの電気的な接続が害される場合がある。例えば、圧電プレートの破損や、電極部の腐食、電極部に電圧を印加するためのワイヤの経年劣化やショートなどによるものである。
【特許文献1】特開2005−212365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような構成では、圧電プレートや電極部などの電気的な接続状態が良好であるか否かの検査が困難であるという問題がある。
【0007】
そこで、試験的に印字してみて、電気的接続状態の良否を判断することが考えられる。しかし、印字することにより適正にインクが吐出されているか否かを目視により確認することはできるものの、それが電気的接続状態の良否に起因するものであるか否かまでは判別することはできない。なぜなら、例えば、インクを吐出するノズルが被記録媒体と接触することによって、そのノズルの角度等に不具合が生じたり、また、インク室に適正にインクが充填されていなかったりするような非電気的な原因によってインクが適正に吐出されない場合もあるからである。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電気的接続状態を簡単かつ迅速に検査することができるインクジェットヘッド、インクジェット記録装置、インクジェットヘッドの検査方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明第1の態様は、 被記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録装置の装置本体部に設けられるインクジェットヘッドであって、前記インクが入れられる複数のインク室を有する圧電部と、前記複数のインク室に設けられ、前記圧電部を駆動するための駆動電極部と、前記駆動電極部に対向して前記圧電部に設けられた検出電極部とを備えることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0010】
かかる第1の態様では、駆動電極部に電圧を印加すると、検出電極部にその電圧が現れる。そのため、検出電極部に現れた電圧を検出することができる。
【0011】
本発明第2の態様は、第1の態様において、前記検出電極部の電圧を検出する検出部を備えることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0012】
かかる第2の態様では、検出電極部に現れる電圧を確実に検出することができる。
【0013】
本発明第3の態様は、第2の態様において、前記駆動電極部に電圧を印加する駆動手段と、前記駆動手段によって前記駆動電極部に電圧を印加して、そのときの前記検出部の出力と閾値とを比較し、電圧の異常を判定する判定手段とを備えることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0014】
かかる第3の態様では、各部品の電気的接続状態を迅速かつ高精度に検査することができる。
【0015】
本発明第4の態様は、第1の態様から第3の態様のうちいずれか一つの態様において、前記駆動電極部の少なくともいずれか一つが前記検出電極部として兼用され、兼用された前記検出電極部への接続を、前記検出部とグランドとに選択的に切り替える切替部を備えることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0016】
かかる第4の態様では、部品点数を減少させることができ、製造コストを削減することができる。
【0017】
本発明第5の態様は、第4の態様において、前記検出電極部の電圧検出時に、前記切替部によって前記検出電極部と前記検出部とを接続し、前記インクの吐出時に、前記切替部によって前記検出電極部と前記グランドとを接続する制御部を備えることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0018】
かかる第5の態様では、検出電極部の接続を迅速かつ確実に切り換えることができる。
【0019】
本発明第6の態様は、第1の態様から第5の態様のうちいずれか一つの態様において、複数の前記駆動電極部に対して、前記検出電極部が一つであることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0020】
かかる第6の態様では、いくつかの駆動電極部をまとめて、グループごとに検出電極部を設けることによって、一括で電圧検出を行うことができる。
【0021】
本発明第7の態様は、被記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録装置の装置本体部に設けられ、前記インクが入れられる複数のインク室を有する圧電部と、前記複数のインク室に設けられ、前記圧電部を駆動するための駆動電極部とを備えるインクジェットヘッドの検査方法であって、前記駆動電極部に電圧を印加するステップと、前記駆動電極部に電圧を印加した状態で、前記駆動電極部に対向して前記圧電部に設けられた検出電極部の電圧を検出するステップとを含むことを特徴とするインクジェットヘッドの検査方法にある。
【0022】
かかる第7の態様では、駆動電極部に電圧を印加すると、検出電極部にその電圧が現れる。そして、検出電極部に現れた電圧が検出される。これにより、電気的接続状態を簡単かつ迅速に検査することができる。
【0023】
本発明第8の態様は、被記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録装置の装置本体部に設けられ、前記インクが入れられる複数のインク室を有する圧電部と、前記複数のインク室に設けられ、前記圧電部を駆動するための駆動電極部とを備えるインクジェットヘッドのコンピュータに、前記駆動電極部に電圧を印加するステップと、前記駆動電極部に電圧を印加した状態で、前記駆動電極部に対向して前記圧電部に設けられた検出電極部の電圧を検出するステップとを実行させることを特徴とするプログラムにある。
【0024】
かかる第8の態様では、駆動電極部に電圧を印加すると、検出電極部にその電圧が現れる。そして、検出電極部に現れた電圧が検出される。これにより、電気的接続状態を簡単かつ迅速に検査するプログラムを用いて、コンピュータによって検査を実行することができる。
【0025】
本発明第9の態様は、被記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録装置の装置本体部に設けられるインクジェットヘッドであって、前記インクが入れられる複数のインク室を有する圧電部と、前記複数のインク室に設けられ、前記圧電部を駆動するための駆動電極部と、前記駆動電極部に電圧を印加する駆動手段と、前記駆動電極部と前記駆動手段を接続する駆動配線パターンに対向して検出電極部とを備えることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0026】
かかる第9の態様では、駆動配線パターンに電圧を印加すると、駆動配線パターンにその電圧が現れる。そのため、駆動配線パターンに現れた電圧を検出することができる。
【0027】
本発明第10の態様は、第9の態様において、前記検出電極部の電圧を検出する検出部を備えることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0028】
かかる第10の態様では、配線パターンにおいて検出電極部に現れる電圧を確実に検出することができる。
【0029】
本発明第11の態様は、第9の態様又は第10の態様において、前記駆動手段によって前記駆動電極部に電圧を印加して、そのときの前記検出部の出力と閾値とを比較し、電圧の異常を判定する判定手段とを備えることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0030】
かかる第11の態様では、配線パターンにおいて各部品の電気的接続状態を迅速かつ高精度に検査することができる。
【0031】
本発明第12の態様は、第9の態様から第11の態様のうちいずれか一つの態様において、前記駆動配線パターンがプリント基板の一つの配線層に形成され、前記検出電極部が前記駆動配線パターンに対向した異なる配線層に形成されることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0032】
かかる第12の態様では、既存の技術で安価に実現できる。
【0033】
本発明第13の態様は、第9の態様から第12の態様のうちいずれか一つの態様において、複数の前記駆動配線パターンに対して、前記検出電極部が一つであることを特徴とするインクジェットヘッドにある。
【0034】
かかる第13の態様では、検出電極部の構造が単純であり容易に実現できる。
【0035】
本発明第14の態様は、第1の態様から第5の態様か第9の態様から第13の態様のうちいずれか一つの態様において記載されているインクジェットヘッドと、前記装置本体部とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置にある。
【0036】
かかる第14の態様では、第1の態様から第5の態様か第9の態様から第13の態様のうちいずれか一項に記載のインクジェットヘッドと同等の効果を奏するインクジェット記録装置を提供することができる。
【0037】
本発明第15の態様は、被記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録装置であって、前記インクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドが取り付けられる装置本体部とを備えており、前記インクジェットヘッドが、前記インクが入れられる複数のインク室を有する圧電部と、前記複数のインク室に設けられ、前記圧電部を駆動するための駆動電極部と、前記駆動電極部に対向して前記圧電部に設けられた検出電極部とを備え、前記装置本体部が、前記検出電極部の電圧を検出する検出部を備えることを特徴とするインクジェット記録装置にある。
【0038】
かかる第15の態様では、駆動電極部に電圧を印加すると、検出電極部にその電圧が現れる。そして、検出部によって、検出電極部に現れた電圧が検出される。これにより、電気的接続状態を簡単かつ迅速に検査することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、検出電極部が設けられていることから、検出電極部の電圧を検出することができ、電気的接続状態を簡単かつ迅速に検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録装置について、図面を参照して説明する。
【0041】
図1は、本発明の第1の実施形態としてのインクジェット記録装置を示したものである。
【0042】
インクジェット記録装置1は、本体としての装置本体部2と、色ごとに設けられた複数のインクジェットヘッド3とを備えている。
【0043】
装置本体部2は、直方体形状の筐体6を備えている。筐体6内には、その幅方向(長手方向)Wに延びる一対のガイドレール8が設けられている。これらガイドレール8には、複数のインクジェットヘッド3が固定されたキャリッジ7が設けられている。すなわち、キャリッジ7は、ガイドレール8によって、幅方向Wに往復動可能に支持されている。
【0044】
キャリッジ7は、平板状の基台7aを備えている。基台7aには、インクジェットヘッド3が固定されている。また、基台7aには、この基台7aから立ち上げられた立ち上がり壁部7bが設けられている。立ち上がり壁部7bには、配線基板5が設けられている。配線基板5には、図7に示すように、画像データを印字データに変換する画像データ処理部9と、後述するCPU63の検査結果を出力する検査結果出力部10とが搭載されている。
【0045】
また、図1に示すように、筐体6内の幅方向Wの一端部には、モータ11が設けられている。モータ11の出力軸は、筐体6の奥行方向(短手方向)Dに向けられている。モータ11の出力軸には、プーリ12が設けられている。一方、筐体6内の幅方向の他端部にもプーリ13が対向配置されている。そして、プーリ12,13にわたって、タイミングベルト14が設けられている。タイミングベルト14には、キャリッジ7が固定されている。
【0046】
このような構成のもと、モータ11を駆動すると、プーリ12,13及びタイミングベルト14を介して、キャリッジ7が幅方向Wに往復動するようになっている。
【0047】
また、筐体6内の他端部には、インクを供給するインクカートリッジ17が設けられている。インクカートリッジ17は、キャリッジ7に取り付けられたインクジェットヘッド3に、フレキシブルチューブからなるインク供給管18を介して接続されている。そして、インクカートリッジ17から、インク供給管18を介して、インクジェットヘッド3に各種インクを供給するようになっている。
【0048】
さらに、筐体6の一端部の前面及び後背面には、互いに対向して配置された不図示の開口部が設けられている。筐体6内の一端部のうち、前面の開口部に対向する位置には、長手方向Wに延びる一対の搬出ローラ22が設けられている。一方、後背面の開口部に対向する位置には、長手方向Wに延びる一対の搬入ローラ21が設けられている。
【0049】
このような構成のもと、後背面の開口部から用紙(被記録媒体)Sが挿入され、搬入ローラ21及び搬出ローラ22を駆動することにより、用紙Sが前面の開口部から排出されるようになっている。
【0050】
また、インクジェットヘッド3は、図2に示すように、長方形状の取付基盤25を備えている。取付基盤25は、キャリッジ7の基台7aに不図示のネジを介して取り付けられている。取付基盤25の上面には、後述するインクジェットヘッドチップ26が取り付けられている。インクジェットヘッドチップ26の上面には、その長手方向の全長にわたって延びる長方形状の流路基板27が設けられている。流路基板27の上面のうち、その長手方向の中央部には、連結部30が設けられている。
【0051】
また、取付基盤25には、この取付基盤25から立ち上げられた長方形状のベースプレート31が設けられている。ベースプレート31は、アルミニウムなどからなっている。ベースプレート31の一方の主面(インクジェットヘッドチップ26側に配された主面)には、配線基板35が設けられている。配線基板35には、インクジェットヘッドチップ26の種々の制御を行う制御回路32が搭載されている。
【0052】
また、ベースプレート31に上端には、一方の主面側に延びる支持部37が設けられている。支持部37には、インクを貯留する貯留室を有する圧力調整部38が設けられている。圧力調整部38の下部には、貯留室と連通するインク連通管39が設けられている。インク連通管39は、Oリングを介して、流路基板27の連結部30に連結されている。
【0053】
一方、圧力調整部38の上部には、貯留室と連通するインク取込口42が設けられている。インク取込口42には、インク供給管18が取り付けられている。
【0054】
このような構成のもと、インクカートリッジ17からインク供給管18を介して、インクが供給されると、そのインクは、インク取込口42を介して圧力調整部38内の貯留室に取り込まれ、さらに、所定量のインクが、インク連通管39及び流路基板27を介して、インクジェットヘッドチップ26に供給されるようになっている。
【0055】
インクジェットヘッドチップ26は、図3から図6に示すように、長方形状の圧電セラミックプレート(圧電部)44を備えている。圧電セラミックプレート44は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなるものである。圧電セラミックプレート44の上面には、その短手方向に延びる長溝(インク室)45が形成されている。長溝45は、横断面が矩形状に形成されており、圧電セラミックプレート44の長手方向の全長にわたって複数配列されている。すなわち、長溝45は、側壁46によってそれぞれ区分けされている。長溝45の底面は、図4に示すように、圧電セラミックプレート44の前方側から短手方向の略中央部まで延びる前方平坦面44aと、この前方平坦面44aの後部から後方側に向かって深さが漸次浅くなるような傾斜面44bと、この傾斜面44bの後部から後方側に向かって延びる後方平坦面44cとからなっている。
【0056】
なお、長溝45の後端部は、封止部48(図5に示す)により封止されている。
【0057】
長溝45内には、板状に延びる駆動電極部50が設けられている。すなわち、側壁46の両主面の上端部にそれぞれ駆動電極部50が蒸着により設けられている。駆動電極部50は、ワイヤ47(図5に示す)により、制御回路32に電気的に接続されている。
【0058】
また、圧電セラミックプレート44の前面には、ポリイミドからなるノズルプレート51が設けられている。ノズルプレート51の一方の主面は、圧電セラミックプレート44への接合面とされ、他方の主面には、インクの付着等を防止するための撥水性を有する撥水膜が塗布されている。
【0059】
また、ノズルプレート51には、その長手方向に所定の間隔(長溝45のピッチと同等の間隔)を空けて複数のノズル開口部52が形成されている。ノズル開口部52は、ポリイミドフィルムなどのノズルプレート51に、例えば、エキシマレーザ装置を用いて形成される。これらノズル開口部52は、それぞれ長溝45に一致して配置されている。
【0060】
さらに、圧電セラミックプレート44の上面には、長方形状のインク室プレート55が設けられている。インク室プレート55の短手方向の長さ寸法は、圧電セラミックプレート44の短手方向の長さ寸法よりも短くなっている。そして、インク室プレート55の前端面と、圧電セラミックプレート44の前端面とは面一になっている。
【0061】
インク室プレート55には、その長手方向に延びる矩形状の開口部56が形成されている。この開口部56は、圧電セラミックプレート44の長手方向の全体の長溝45にわたって延ばされている。すなわち、全ての長溝45が開口部56を介して外方に開放されている。
【0062】
また、圧電セラミックプレート44の後背面には、長方形状のノズル支持プレート57が嵌合接着されている。
【0063】
このような構成のもと、圧力調整部38内の貯留室から、インク連通管39及び連結部30を介して所定量のインクが流路基板27に供給されると、それらインクは、開口部56を介して、長溝45内に送り込まれるようになっている。すなわち、長溝45は、インクが入れられるインク室として機能するものである。
【0064】
また、圧電セラミックプレート44の下面には、長方形状の検出電極60が設けられている。検出電極60の短手方向の長さ寸法は、圧電セラミックプレート44の短手方向の長さ寸法よりも短くなっている。そして、検出電極60の前端面60aと、圧電セラミックプレート44の前端面とは面一になっている。すなわち、検出電極60は、駆動電極部50の前端部と対向して配置されている。検出電極60は、不図示のワイヤを介して制御回路32に電気的に接続されている。
【0065】
制御回路32は、図7に示すように、CPU(Central Processing Unit:判定手段、制御部)63を備えている。CPU63には、検出電極60に現れる電圧を検出する電圧検出回路(検出部)64が接続されている。電圧検出回路64は、検出電極60に接続されている。また、電圧検出回路64は、入力信号を増幅させる信号増幅回路65と、入力信号のピーク値を保持するピークホールド回路66と、アナログ信号をディジタル信号に変換するADコンバータ67とを備えている。信号増幅回路65は、検出電極60とピークホールド回路66とに接続されている。また、ADコンバータ67は、ピークホールド回路66とCPU63とに接続されている。
【0066】
また、CPU63には、検査結果出力部10が接続されている。検査結果出力部10は、例えば、モニタやLEDなどによる表示部や、音声により通知するための音声信号処理部などからなるものである。
【0067】
また、CPU63には、一つの出力端子69cと複数の入力端子69a,69bとの接続を選択的に切り替えるセレクトスイッチ69が接続されている。すなわち、CPU63には、セレクトスイッチ69の一の入力端子69aと、切替信号を入力するための切替端子69dとが並列に接続されている。また、セレクトスイッチ69の他の入力端子69bには、印字データ駆動信号を出力する画像データ処理部9が接続されている。さらに、セレクトスイッチ69の出力端子69cには、圧電セラミックプレート44を駆動するための駆動回路(駆動手段)68に接続されている。駆動回路68は、ワイヤ47を介して、駆動電極部50に接続されている。
【0068】
次に、このように構成された本実施形態におけるインクジェット記録装置1の動作について説明する。
【0069】
最初に、用紙Sに印字する場合について説明する。なお、ここでは、インクジェット記録装置1の検査モードはオフになっているものとする。この場合、画像データ処理部9と駆動回路68とは、セレクトスイッチ69を介して接続されている。この状態で、画像データ処理部9から出力された印字データ駆動信号が駆動回路68に入力される。そして、駆動回路68は、印字データ駆動信号に応じた所定の駆動電極部50に選択的に電圧を印加する。
【0070】
その結果、図3に示す側壁46が歪み、長溝45の容積が拡大する。これにより、圧力調整部38内の貯留室に一時的に貯留されたインクが、流路基板27を介して、長溝45に送り込まれる。
【0071】
それから、さらに駆動回路68が、所定の駆動電極部50に選択的に電圧を印加すると、長溝45の容積が縮小し、長溝45内に送り込まれたインクがノズル開口部52を介して吐出される。これにより、用紙Sの表面にインク滴が着弾する。
【0072】
すなわち、装置本体部2の後方側から前方側へ奥行方向Dに用紙Sを送り出しながら、キャリッジ7を幅方向Wに移動させ、適正なタイミングでインクを吐出することにより、用紙Sに所定の印字が行われる。
【0073】
次いで、インクジェットヘッド3の各種部品(圧電セラミックプレート44、駆動電極部50及び駆動回路68など)の電気的接続状態を検査する場合について説明する。
【0074】
図8は、駆動電極部50に電圧を印加したときの各種部品を等価回路として示す説明図である。
【0075】
駆動電極部50は、側壁46を挟んで対向配置されており、これら一対の駆動電極部50が側壁46を介してコンデンサC1として機能する。また、駆動電極部50と検出電極60とは、圧電セラミックプレート44の底面部を挟んで対向配置されており、これら一対の駆動電極部50と検出電極60とが底面部を介してコンデンサC2として機能する。すなわち、駆動電極部50に電圧を印加すると、コンデンサC2による容量結合により、駆動電極部50に印加された電圧が検出電極60に現れる。そこで、電気的接続状態の良好性が害されたときに、所定の駆動電極部50に選択的に電圧を印加したときに現れる検出電極60の電圧を、電圧検出回路64によって順次検出(スキャン)していくことにより、いずれの長溝45で良好性が害されているかが直ちに判別できる。
【0076】
以下、電圧検出時のCPU63の処理について説明する。
【0077】
図9は、検査モードにおけるCPU63の処理を示すフローチャートである。
【0078】
筐体6に設けられた不図示の操作部が操作され、インクジェット記録装置1の検査モードがオンされると、操作部から検査開始信号が出力される。CPU63は、操作部からの検査開始信号を読み取り(ステップS1)、検査開始信号がアクティブでないと判定した場合には(ステップS2:NO)、ステップS1を繰り返す。一方、CPU63は、検査開始信号がアクティブであると判定した場合には(ステップS2:YES)、切替端子69dを介して、検査切替信号をセレクトスイッチ69に入力し、CPU63と駆動回路68とを選択的に接続する(ステップS3)。それから、CPU63は、変数Nに1を代入する(ステップS4)。すなわち、CPU63は、不図示のメモリの所定の領域を変数Nとして確保し、その所定の領域に1を書き込む。
【0079】
そして、CPU63は、検査データ駆動信号を出力し、駆動回路68を介して、1番目(N番目)の長溝45内の駆動電極部50に電圧を印加して、1番目(N番目)のノズルを駆動する(ステップS5)。そして、CPU63は、電圧検出回路64の検出結果を読み出す(ステップS6)。すなわち、検出電極60に電圧が現れると、検出電極60から信号増幅回路65に検出信号が入力され、その検出信号は、信号増幅回路65によって増幅され、ピークホールド回路66によって、そのピーク値がホールドされる。さらに、ホールドされたアナログ信号は、ADコンバータ67によってディジタル信号に変換される。このときのADコンバータ67の出力をCPU63が読み出す。
【0080】
それから、CPU63は、読み出した検出結果が、あらかじめ入力された第一の閾値よりも大きく、かつ、あらかじめ入力された第二の閾値よりも小さいか否かを判定する(ステップS7)。すなわち、CPU63は、読み出した検出結果が、第一の閾値を越え第二の閾値未満であるという条件を満たすか否かを判定する。閾値は例えば、正常な状態を基準としてあらかじめ入力され、メモリに記憶されており、第一の閾値は第二の閾値よりも小さく設定される。
【0081】
なお、ワイヤ47の断線など、各種部品がオープンしている場合には、検出電極60に現れる電圧は第一の閾値よりも小さくなり、隣接するワイヤ47がショートしていて複数の駆動電極部50が同時に駆動された場合は第二の閾値よりも大きくなり、いずれの場合も電気的接触状態が良好でないことになる。
【0082】
それから、CPU63は、読み出した検出結果が、上記条件を満たしていると判定した場合には(ステップS7:YES)、1番目(N番目)のノズルは正常であると判定する(ステップS8)。反対に、CPU63は、読み出した検出結果が、上記条件を満たしていないと判定した場合には(ステップS7:NO)、1番目(N番目)のノズルは異常であると判定する(ステップS9)。
【0083】
そして、CPU63は、1番目(N番目)のノズルの検出結果をメモリに個別に記憶する(ステップS10)。
【0084】
さらに、CPU63は、変数Nを1つインクリメントし(ステップS11)、その変数Nが、あらかじめ入力された全ノズル数よりも大きいか否かを判定する(ステップS12)。CPU63は、変数Nが全ノズル数よりも小さいと判定した場合には(ステップS12:NO)、ステップS5に戻って処理を繰り返す。これにより、残りのノズルについても順次検査していく。一方、CPU63は、変数Nが全ノズル数よりも大きいと判定した場合には(ステップS12:YES)、セレクトスイッチ69に印字切替信号を入力する(ステップS13)。これにより、全ノズルの検査が終了し、検査モードがオフになる。すなわち、CPU63は、セレクトスイッチ69を介して、画像データ処理部9と駆動回路68とを選択的に接続する。
【0085】
そして、CPU63は、個別に記憶された検出結果を、検査結果出力部10に入力する(ステップS14)。これにより、検査結果が出力される。例えば、検査結果が、モニタに表示されたり、所定のLEDを点灯させたり、音声によって通知されたりする。
【0086】
以上より、本実施形態におけるインクジェット記録装置1によれば、圧電セラミックプレート44の下面に検出電極60が設けられていることから、駆動電極部50に電圧を印加したときに、C2の容量結合により検出電極60に電圧が現れ、この電圧を検出することができる。そのため、インクジェットヘッド3の各種部品の電気的接続状態を簡単かつ迅速に検査することができる。
【0087】
また、検出電極60に電圧検出回路64が接続されていることから、検出電極60に現れる電圧を確実に検出することができる。
【0088】
さらに、CPU63が、電圧検出回路64の出力と、あらかじめ記憶された閾値とを比較することから、電気的接続状態を確実に検査することができる。
【0089】
また、第一の閾値と第二の閾値とを設けていることから、電気的接続状態をより高精度に検査することができる。
【0090】
また、検出電極60が駆動電極部50の基端部側に対向配置されていると、駆動電極部50の先端部側の異常を検出し難くなるが、本実施形態においては、図5に示すように検出電極60が駆動電極部50の先端部と対向配置されていることから、電気的接続状態をさらに精度よく検査することができる。
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0091】
図10から図12は、本発明の第2の実施形態を示したものである。
【0092】
図10から図12において、図1から図9に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは異なる点についてのみ説明する。
【0094】
本実施形態におけるインクジェットヘッド3Aは、例えば水性インクを使用するタイプのものである。水性インクは、長溝45に入れられた状態で駆動電極部50に電圧が印加されると、電気分解してしまい、これにより、長溝45内の駆動電極部50同士がショートしてしまう。そこで、長溝45の一つおきにインクを入れるようにし、インクが入れられない長溝45の駆動電極部50のみに電圧を印加して、インクが入れられた長溝45の駆動電極部50はグランドに接続するようにする。
【0095】
具体的には、以下のような構成となっている。
【0096】
ノズル開口部52は、長溝45に対して一つおきに対向して設けられている。すなわち、ノズル開口部52に対向する長溝45aと、対向しない長溝45bとが交互に配されている。また、インク室プレート55の開口部56には、その短手方向の全長にわたって板状に延びる格子部72が架けられている。格子部72は、インク室プレート55の長手方向に長溝45の一つ分の間隔を空けて複数配列されている。そのため、長溝45は、上方が開放された長溝45aと、格子部72によって蓋をされた長溝45bとに分けられている。
【0097】
すなわち、長溝45aは、ノズル開口部52が対向し、かつ、上方が開放されており、一方、長溝45bは、ノズル開口部52が対向しておらず、かつ、上方が閉じられている。
【0098】
このような構成のもと、開口部56を介して、インクを送り込むと、上方が開放された長溝45aのみにインクが入れられ、上方が閉じられた長溝45bにはインクが入れられない。そこで、長溝45a内の駆動電極部50aをグランドに接続し、長溝45b内の駆動電極部50bに電圧を印加する。これにより、インクの電気分解によりショートすることなく、適正にインクが吐出される。
【0099】
図12は、所定の駆動電極部50bに電圧を印加し、他の駆動電極部50aをグランドGに接続したときの各種部品を等価回路として示す説明図である。
【0100】
駆動回路68によって、所定の駆動電極部50bに電圧を印加すると、コンデンサC2による容量結合によって、検出電極60に電圧が現れる。このときの電圧を、上記の実施形態1と同様にして、電圧検出回路64によって検出する。
【0101】
以上より、本実施形態におけるインクジェット記録装置1によれば、上記と同様の効果を奏することができるだけでなく、水性インクなどを適正に使用することができる。
(実施形態3)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0102】
図13から図15は、本発明の第3の実施形態を示したものである。
【0103】
図13から図15において、図1から図12に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0104】
この実施形態と上記第2の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは異なる点についてのみ説明する。
【0105】
本実施形態における駆動電極部50aは、検出電極部として兼用されるものである。すなわち、駆動電極部50aは、印字するときには、駆動電極部として機能し、検査モードのときには、検出電極部として機能する。そのため、上記第1及び第2の実施形態のような検出電極60は別体としては設けられていない。
【0106】
また、駆動電極部50aとグランドGとの間には、切替部73が設けられており、駆動電極部50aへの接続が、電圧検出回路64とグランドGとに切り替えられるようになっている。
【0107】
図15は、検査モードにおけるCPU63の制御部としての処理を示すフローチャートである。
【0108】
本実施形態におけるフローが、上記実施形態におけるフロー(図9に示す)と異なる点は、ステップS3とステップS4との間にステップS3aが追加され、さらに、ステップS12とステップS13との間にステップS12aが追加されている点である。
【0109】
すなわち、図14と図15においてCPU63は、検査切替信号をセレクトスイッチ69に入力し、CPU63と駆動回路68とを選択的に接続してから(ステップS3)、さらに、検出切替信号を切替部73に入力し、切替部73を介して、駆動電極部50aと電圧検出回路64とを接続する(ステップS3a)。それから、CPU63は、変数Nに1を代入する(ステップS4)。
【0110】
また、図14と図15においてCPU63は、変数Nが全ノズル数よりも大きいと判定した場合には(ステップS12:YES)、切替部73に印字切替信号を入力し、切替部73を介して、駆動電極部50aとグランドGとを接続する(ステップS12a)。それから、CPU63は、セレクトスイッチ69に印字切替信号を入力し(ステップS13)、セレクトスイッチ69を介して、画像データ処理部9と駆動回路68とを接続する。
【0111】
以上より、本実施形態におけるインクジェット記録装置1によれば、上記と同様の効果を奏することができるだけでなく、駆動電極部50aを検出電極として兼用していることから、部品点数を減少させることができ、コストを削減することができる。
【0112】
また図14に示すように、CPU63によって、切替部73を介して、駆動電極部50aの接続を電圧検出回路64又はグランドGに切り替えていることから、印字機能と検査機能とを簡易かつ確実に実行することができる。
(実施形態4)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0113】
図18と図19は、本発明の第4の実施形態を示したものである。
【0114】
図18と図19において、図1から図9に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0115】
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは異なる点についてのみ説明する。
【0116】
本実施形態における上記第1の実施形態と異なる点は、制御回路32が搭載されている配線基板35に検出電極60Bが設けられていることである。
【0117】
具体的には、以下のような構成となっている。
【0118】
配線基板35は基板の両面に配線パターンを形成できる2層基板を使用する。図示しない駆動電極部50と駆動回路68の接続は配線基板35に形成された駆動配線61とワイヤ47を介している。検出電極60Bは配線基板35の片面に形成し、駆動配線61に対向する反対面に形成する。また、駆動配線61の配線幅は全て同じにし、検出電極60Bは駆動電極部50に接続される全ての駆動配線61に同様に対向するような一つの長方形状とする。すなわち、検出電極60Bと各駆動配線61との間の電気的容量が同じになるようにパターン設計を行う。
【0119】
なお図示しないが、配線基板35には多層の基板を使用して検出電極60Bを内層に形成しても良い。また図18を用いて、検出電極60Bと駆動配線61を配線基板35の反対面に設置する構造を説明したが、本発明はこの構造に限るものではなく、検出電極60Bと駆動配線61が直接触れずに絶縁の状態を保持し、且つ互いに対向する位置であれば、配線基板35上のどの部分に位置していても良い。
【0120】
以上より、本実施形態におけるインクジェット記録装置1によれば、上記と同様の効果を奏することができるだけでなく、検出電極60Bを安価な配線基板35上にパターン形成することから、コストを削減することができる。
【0121】
なお、上記第1から第4の実施形態においては、電圧検出時の閾値をあらかじめ入力しておくこととしたが、これに限ることはなく、全てのノズルについて電圧を検出、記憶した後、CPU63が、それら電圧の平均値を算出し、記憶した各電圧が、算出した平均値の許容範囲内に入っているか否かをCPU63が判定するようにしてもよい。許容範囲の値としては、あらかじめ入力するようにしてもよいし、固定値としてCPU63が付加してもよいし、又は、算出した平均値から所定の割合でCPU63が算出するようにしてもよい。
【0122】
また、閾値を二つ設けるとしたが、これに限ることはなく、一つであってもよい。すなわち、閾値を越えるか越えないかで電圧の異常を判定してもよい。
【0123】
また、圧電セラミックプレート44の下面の長手方向の全長にわたって検出電極60を設けるとしたが、これに限ることはなく、その設置位置は適宜変更可能である。例えば、長溝45の一つ一つに対応させて複数の検出電極を個別に設けることにより、電圧検出を一括で迅速に行うことができる。また、いくつかの長溝45の駆動電極部50をまとめてグループごとに検出電極を設け、一括で電圧検出を行った後、異常のあるグループのみでスキャン検出を行うようにしてもよい。この方法によって、まず電気的な異常が発生しているグループを特定し、その後にグループ内の各駆動電極部を検査することによって、迅速な異常検出が可能である。また実施形態4で示した駆動配線61のいくつかをまとめて、そのグループごとに検出電極を設けることも可能である。
【0124】
さらに、検出電極60の先端部に対応させて検出電極60を設けるとしたが、これに限ることはなく、その設置位置は適宜変更可能である。
【0125】
また、図16に示すように、例えば、圧電セラミックプレート44の前面に検出電極60Aを設けるようにしてもよい。すなわち、圧電セラミックプレート44の前面に一対のノズルプレート51を検出電極60Aを挟んで設けるようにしてもよい。このとき、各ノズルプレート51及び検出電極60Aの厚さ方向に貫通するノズル開口部52を形成することは言うまでもない。
【0126】
また、CPU63、セレクトスイッチ69及び電圧検出回路64をインクジェットヘッド3に設けるとしたが、これに限ることはなく、図17に示すように、それら部品をキャリッジ7側の配線基板5に設けてもよい。
【0127】
また、駆動電極部50への電圧の印加、及び、検出電極60の電圧の検出などの機能を実現するためのプログラムをコンピュータの読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、各種制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0128】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0129】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0130】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の第1の実施形態を示す図であって、筐体を透視した様子を示す斜視図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドを拡大して示す斜視図である。
【図3】図2のインクジェットヘッドチップを拡大して示した図であって、長手方向の一部を破断した様子を示す分解斜視図である。
【図4】図3のインクジェットヘッドチップの一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図5】図2のインクジェットヘッドチップを側面から見た様子を示す断面図である。
【図6】図2のインクジェットヘッドチップを正面から見た様子を示す断面図である。
【図7】図1のキャリッジ及びインクジェットヘッドの電気的接続関係を示す回路図である。
【図8】駆動電極部に電圧を印加したときの各種部品を等価回路として示す説明図である。
【図9】検査モードにおけるCPUの処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係るインクジェット記録装置の第2の実施形態を示す図であって、インクジェットヘッドチップの一部を破断した様子を示す分解斜視図である。
【図11】図10のインクジェットヘッドチップを正面から見た様子を示す断面図である。
【図12】所定の駆動電極部に電圧を印加し、他の駆動電極部をグランドに接続したときの各種部品を等価回路として示す説明図である。
【図13】本発明に係るインクジェット記録装置の第3の実施形態を示す図であって、所定の駆動電極部に電圧を印加し、他の駆動電極部をグランドに接続したときの各種部品を等価回路として示す説明図である。
【図14】本実施形態におけるキャリッジ及びインクジェットヘッドの電気的接続関係を示す回路図である。
【図15】本実施形態において、検査モードにおけるCPUの処理を示すフローチャートである。
【図16】図2の検出電極の変形例を示す断面図である。
【図17】図7の所定の部品をキャリッジ側に設けた様子を示す回路図である。
【図18】本実施形態4におけるキャリッジ及びインクジェットヘッドの電気的接続関係を示す回路図である。
【図19】本実施形態4における検出電極と駆動配線を側面から見た様子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0132】
1 インクジェット記録装置
2 装置本体部
3 インクジェットヘッド
44 圧電セラミックプレート(圧電部)
45 長溝(インク室)
50 駆動電極部
60 検出電極
63 CPU(判定手段、制御部)
64 電圧検出回路(検出部)
68 駆動回路(駆動手段)
73 切替部
G グランド
S 用紙(被記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録装置の装置本体部に設けられるインクジェットヘッドであって、
前記インクが入れられる複数のインク室を有する圧電部と、
前記複数のインク室に設けられ、前記圧電部を駆動するための駆動電極部と、
前記駆動電極部に対向して前記圧電部に設けられた検出電極部と
を備えることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記検出電極部の電圧を検出する検出部を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記駆動電極部に電圧を印加する駆動手段と、
前記駆動手段によって前記駆動電極部に電圧を印加して、そのときの前記検出部の出力と閾値とを比較し、電圧の異常を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記駆動電極部の少なくともいずれか一つが前記検出電極部として兼用され、
兼用された前記検出電極部への接続を、前記検出部とグランドとに選択的に切り替える切替部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記検出電極部の電圧検出時に、前記切替部によって前記検出電極部と前記検出部とを接続し、前記インクの吐出時に、前記切替部によって前記検出電極部と前記グランドとを接続する制御部を備えることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
複数の前記駆動電極部に対して、前記検出電極部が一つであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
被記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録装置の装置本体部に設けられ、前記インクが入れられる複数のインク室を有する圧電部と、前記複数のインク室に設けられ、前記圧電部を駆動するための駆動電極部とを備えるインクジェットヘッドの検査方法であって、
前記駆動電極部に電圧を印加するステップと、
前記駆動電極部に電圧を印加した状態で、前記駆動電極部に対向して前記圧電部に設けられた検出電極部の電圧を検出するステップと
を含むことを特徴とするインクジェットヘッドの検査方法。
【請求項8】
被記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録装置の装置本体部に設けられ、前記インクが入れられる複数のインク室を有する圧電部と、前記複数のインク室に設けられ、前記圧電部を駆動するための駆動電極部とを備えるインクジェットヘッドのコンピュータに、
前記駆動電極部に電圧を印加するステップと、
前記駆動電極部に電圧を印加した状態で、前記駆動電極部に対向して前記圧電部に設けられた検出電極部の電圧を検出するステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
被記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録装置の装置本体部に設けられるインクジェットヘッドであって、
前記インクが入れられる複数のインク室を有する圧電部と、
前記複数のインク室に設けられ、前記圧電部を駆動するための駆動電極部と、
前記駆動電極部に電圧を印加する駆動手段と、
前記駆動電極部と前記駆動手段を接続する駆動配線パターンに対向して設けられた検出電極部と
を備えることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項10】
前記検出電極部の電圧を検出する検出部を備えることを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッド。
【請求項11】
前記駆動手段によって前記駆動電極部に電圧を印加して、そのときの前記検出部の出力と閾値とを比較し、電圧の異常を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のインクジェットヘッド。
【請求項12】
前記駆動配線パターンがプリント基板の一つの配線層に形成され、前記検出電極部が前記駆動配線パターンに対向した異なる配線層に形成されることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項13】
複数の前記駆動配線パターンに対して、前記検出電極部が一つであることを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項14】
請求項1から請求項5のいずれか一項か請求項9から請求項13のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドと、
前記装置本体部とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項15】
被記録媒体にインクを吐出するインクジェット記録装置であって、
前記インクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドが取り付けられる装置本体部とを備えており、
前記インクジェットヘッドが、
前記インクが入れられる複数のインク室を有する圧電部と、
前記複数のインク室に設けられ、前記圧電部を駆動するための駆動電極部と、
前記駆動電極部に対向して前記圧電部に設けられた検出電極部とを備え、
前記装置本体部が、
前記検出電極部の電圧を検出する検出部を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−230222(P2008−230222A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293968(P2007−293968)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(501167725)エスアイアイ・プリンテック株式会社 (198)
【Fターム(参考)】