インクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法
【課題】インクの誤吐出を抑制するインクジェットヘッドを提供する。
【解決手段】一つの実施の形態に係るインクジェットヘッドは、基部と、ノズルプレートと、複数の第1のノズルと、複数の第2のノズルとを具備している。前記基部は、インクが供給される複数の圧力室と、電圧を印加されると変形して前記圧力室のインクを加圧する複数の駆動素子と、を有する。前記ノズルプレートは、前記基部に取り付けられる。前記複数の第1のノズルは、前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形することで前記圧力室のインクが吐出する。前記複数の第2のノズルは、前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、前記第1のノズルよりも開口面積が大きく、前記インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形した際に前記圧力室のインクを留める。
【解決手段】一つの実施の形態に係るインクジェットヘッドは、基部と、ノズルプレートと、複数の第1のノズルと、複数の第2のノズルとを具備している。前記基部は、インクが供給される複数の圧力室と、電圧を印加されると変形して前記圧力室のインクを加圧する複数の駆動素子と、を有する。前記ノズルプレートは、前記基部に取り付けられる。前記複数の第1のノズルは、前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形することで前記圧力室のインクが吐出する。前記複数の第2のノズルは、前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、前記第1のノズルよりも開口面積が大きく、前記インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形した際に前記圧力室のインクを留める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタのインクジェットヘッドは、駆動素子とノズルプレートとを備えている。駆動素子は、例えば二つの圧電材を貼り合わせて形成され、複数の溝状の圧力室が形成されている。各圧力室を隔てる柱部は、駆動素子に電圧が印加されるとシェアモード変形し、圧力室のインクを加圧する。加圧された圧力室のインクは、ノズルプレートに設けられたノズルから吐出される。
【0003】
駆動素子の柱部がシェアモード変形すると、インク吐出が指示された圧力室のみならず、この圧力室に隣接する他の圧力室にも影響が及ぶ。圧力室と他の圧力室とを隔てる柱部がシェアモード変形することにより、他の圧力室のインクが加圧されて誤吐出が起こるおそれがある。
【0004】
インクの誤吐出を防止するため、例えば、インクの吐出に用いる圧力室と、インク供給の無い空気チャンネルとを交互に配置するインクジェットヘッドが用いられる。圧力室と空気チャンネルとが互いに隣接することにより、インクの誤吐出が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−94037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インクジェットヘッドに圧力室を形成する加工と、インクジェットヘッドに空気チャンネルを形成する加工とは、方法が異なる。このため、インクジェットヘッドに空気チャンネルを形成すると、インクジェットヘッドの加工工程が複雑になり、製造コストや歩留まりが悪化するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、インクの誤吐出を抑制するインクジェットヘッドと、インクの誤吐出を抑制するインクジェットヘッドの製造方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの実施の形態に係るインクジェットヘッドは、
基部と、ノズルプレートと、複数の第1のノズルと、複数の第2のノズルとを具備している。前記基部は、インクが供給される複数の圧力室と、電圧を印加されると変形して前記圧力室のインクを加圧する複数の駆動素子と、を有する。前記ノズルプレートは、前記基部に取り付けられる。前記複数の第1のノズルは、前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形することで前記圧力室のインクが吐出する。前記複数の第2のノズルは、前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、前記第1のノズルよりも開口面積が大きく、前記インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形した際に前記圧力室のインクを留める。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に係るインクジェットヘッドの斜視図。
【図2】第1の実施形態のインクジェットヘッドを図1のF2−F2線に沿って示す断面図。
【図3】第1の実施形態のインクジェットヘッドを図2のF3−F3線に沿って示す断面図。
【図4】第1の実施形態のノズルプレートの一部を示す断面図。
【図5】第1の実施形態の柱部がシェアモード変形したインクジェットヘッドを示す断面図。
【図6】ノズルの径と、電極に電圧を印加した際にノズルからインクが吐出する範囲と、の関係を示すグラフ。
【図7】第1の実施形態において第1および第2のノズルが形成される前のノズルプレートを示す断面図。
【図8】第2の実施の形態に係るノズルプレートの一部を示す断面図。
【図9】第2の実施形態において第1および第2のノズルが形成される前のノズルプレートを示す断面図。
【図10】第3の実施の形態に係るノズルプレートの一部を示す断面図。
【図11】第4の実施の形態に係るレーザ加工機のマスクを示す平面図。
【図12】第4の実施形態のノズルプレートの一部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、第1の実施の形態について、図1から図7を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態に係るインクジェットヘッド10の斜視図である。図2は、図1のF2−F2線に沿ってインクジェットヘッド10を示す断面図である。図3は、図2のF3−F3線に沿ってインクジェットヘッド10を示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、インクジェットヘッド10は、いわゆるエンドシュータ方式のインクジェットヘッドであって、基部13と、蓋部材14と、ノズルプレート15とを備えている。図2に示すように、蓋部材14は、基部13の上面13aに取り付けられている。ノズルプレート15は、基部13の前面13bに取り付けられている。
【0012】
基部13は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)製の2枚の圧電板17,18を互いの分極方向を反対向きとするように貼り合わせて形成されている。図3に示すように、基部13に、複数の第1の圧力室21と、複数の第2の圧力室22と、複数の柱部23とが設けられている。複数の第1の圧力室21は、幾つかの圧力室の一例である。複数の第2の圧力室22は、余の圧力室の一例である。
【0013】
複数の第1の圧力室21は、それぞれ溝状に形成され、基部13の長手方向に互いに平行に並んで設けられている。第1の圧力室21は、それぞれ基部13の上面13aと前面13bとに開口している。第1の圧力室21は、蓋部材14と、ノズルプレート15とによって塞がれている。図3に示す第1の圧力室21の幅L1は、例えば85μmである。第1の圧力室21の深さL2は、例えば300μmである。
【0014】
複数の第2の圧力室22は、第1の圧力室21と同じ形状に形成され、第1の圧力室21と交互に配置されている。第2の圧力室22は、蓋部材14と、ノズルプレート15とによって塞がれている。図3に示す第2の圧力室22の幅L3は、例えば85μmである。第2の圧力室22の深さは、第1の圧力室21の深さL2と同じく300μmである。
【0015】
複数の柱部23は、第1の圧力室21と第2の圧力室22との間にそれぞれ形成されている。柱部23は、第1の圧力室21と第2の圧力室22とを隔てるとともに、第1の圧力室21および第2の圧力室22のそれぞれの側面を形成する。図3に示す柱部23の幅L4は、85μmである。
【0016】
図3に太線で示すように、第1の圧力室21および第2の圧力室22の内面を電極25が覆っている。電極25は、例えばニッケル薄膜によって形成されているが、これに限らず、例えば金や銅で形成されていても良い。柱部23の両側面に電極25が形成されることで、柱部23は駆動素子として機能する。
【0017】
図1に示すように、基部13の上面13aに複数の配線27が設けられている。複数の配線27は、例えば上面13aに形成されたニッケル薄膜を、レーザーパターニングすることによって形成されている。図2に太線で示すように、複数の配線27は、上面13aの後端と複数の電極25との間に亘ってそれぞれ設けられる。配線27の一端は、電極25に接続されている。
【0018】
一方、配線27の他端は、例えばICに電気的に接続される。このICは、インクジェットプリンタの制御部から入力される信号に基づいて、配線27を介して電極25に電圧を印加し、柱部23をシェアモード変形させる。
【0019】
蓋部材14は、例えば接着によって基部13の上面13aに取り付けられている。蓋部材14に、インク供給経路28が設けられている。インク供給経路28は、複数の第1の圧力室21および複数の第2の圧力室22にそれぞれ開口するとともに、インクタンクに連結される。インクタンクのインクは、インク供給経路28を通って第1の圧力室21および第2の圧力室22にそれぞれ供給される。図2に示す蓋部材14の前壁14aの厚みL5は、1mmである。
【0020】
ノズルプレート15は、ポリイミド製の矩形のフィルムによって形成されている。なお、ノズルプレート15の材料はこれに限らず、レーザ加工が可能な材料であれば良い。ノズルプレート15の厚みは、例えば50μmである。ノズルプレート15は、例えば接着によって、基部13の前面13bに取り付けられている。ノズルプレート15の内面15aは、第1の圧力室21および第2の圧力室22に面している。
【0021】
図3に二点鎖線で示すように、ノズルプレート15に、複数の第1のノズル31と、複数の第2のノズル32とが設けられている。複数の第1のノズル31は、複数の第1の圧力室21に対応し、ノズルプレート15の長手方向に並んで配置されている。複数の第1のノズル31は、複数の第1の圧力室21に開口している。
【0022】
複数の第2のノズル32は、複数の第2の圧力室22に対応し、第1のノズル31と交互に配置されている。複数の第2のノズル32は、複数の第2の圧力室22に開口している。図4は、ノズルプレート15の一部を示す断面図である。図4に示すように、第2のノズル32は、ノズルプレート15の内面15aに向かうに従って径が拡大するように形成されている。
【0023】
第1のノズル31の開口面積は、第2のノズル32の開口面積よりも小さい。例えば、第1のノズル31の径D1は20μmであり、第2のノズル32の径D2は40μmである。なお、各ノズル開口面積は、各圧力室にインクを供給した場合に表面張力によってインクの液面Sが形成される位置での各ノズルの断面積であって、例えば最小の断面積である。同じく、各ノズルの径は、各圧力室にインクを供給した場合にインクの液面Sが形成される位置での各ノズルの径である。
【0024】
前記構成のインクジェットヘッド10は、例えば以下のように印字を行なう。なお、このインクジェットヘッド10は、第1のノズル31から例えば3ピコリットルのインクを吐出することで印字を行なうように設計されている。
【0025】
ユーザの操作によって、インクジェットプリンタの制御部は、配線27に接続されたICに印字信号を入力する。ICは、この印字信号に基づき、配線27を介して第1の圧力室21の電極25に、例えば21Vの駆動パルス電圧を印加する。21Vの駆動パルス電圧は、所定のインク吐出電圧の一例である。
【0026】
図5は、柱部23がシェアモード変形したインクジェットヘッド10を示す断面図である。図5に示すように、電極25に駆動パルス電圧が印加されると、柱部23がシェアモード変形し、第1の圧力室21の容積が膨張する。これに伴い、第1の圧力室21に隣接する第2の圧力室22の容積が縮小する。なお、電極25に電圧が印加された際に、第1の圧力室21の容積が縮小し、第2の圧力室22の容積が膨張しても良い。
【0027】
第2の圧力室22の容積が縮小することで、第2の圧力室22のインクが加圧される。加圧された第2の圧力室22のインクは、表面張力によって第2のノズル32から吐出せずに、第2のノズル32で留まる。すなわち、第2の圧力室22のインクは、電極25に21Vの駆動パルスが印加された柱部23が変形した際に、第2のノズル32によって留まる。
【0028】
第1の圧力室21の電極25に印加されていた電圧が解除されることで、柱部23が元の形状に戻り、第1の圧力室21の容積が縮小する。これにより、第1の圧力室21に供給されるインクが加圧される。加圧された第1の圧力室21のインクは、第1のノズル31から吐出される。すなわち、第1の圧力室21のインクは、電極25に21Vの駆動パルス電圧が印加された柱部23が変形することで、第1のノズル31から吐出される。
【0029】
電極25に21Vの駆動パルス電圧を印加することで、第1のノズル31から3ピコリットルのインクが吐出される。前記構成のインクジェットヘッド10が設計通りに3ピコリットルのインクを吐出するための最適な駆動パルス電圧は、21Vである。なお、ユーザの設定やその他の条件により、電極25には例えば20V〜22Vの範囲の駆動パルス電圧が印加される。20Vの駆動パルス電圧は第1の電圧の一例であり、22Vの駆動パルス電圧は第2の電圧の一例である。
【0030】
図6は、ノズルの径と、電極25に電圧を印加した際にノズルからインクが吐出する範囲と、の関係を示すグラフである。図6中で、「印加電圧」は電極25に印加する電圧を表す。さらに、グラフ中の実線は、当該ノズル径のノズルからインクが吐出する印加電圧の範囲を示す。すなわち、電極25に実線の範囲の電圧が印加されると、柱部23がシェアモード変形することで圧力室のインクが加圧され、ノズルからインクが吐出される。一方、電極25に実線の範囲外の電圧が印加されると、圧力室のインクが加圧されても、ノズルからインクが吐出されずに留まる。
【0031】
図6に示すように、電極25に21Vの電圧を印加すると、ノズル径が20μmのノズルからインクが吐出する一方、ノズル径が40μmのノズルではインクが吐出せずに留まる。したがって、上述の通り、電極25に21Vの駆動パルス電圧を印加すると、第1の圧力室21のインクが第1のノズル31から吐出する一方、第2の圧力室22のインクは第2のノズル32で留まる。
【0032】
さらに、電極25に20V〜22Vの範囲の駆動パルス電圧が印加された場合であっても、第1の圧力室21のインクは第1のノズル31から吐出する。一方、第2の圧力室22のインクは吐出せずに第2のノズル32に留まる。なお、図6に示すように、第2のノズル32のノズル径が50μmの場合であっても同様である。
【0033】
次に、前記構成のインクジェットヘッド10の製造方法の一例について説明する。まず、例えば熱硬化性の接着剤を、例えばスクリーン印刷によって一方の圧電板17に塗布する。なお、これに限らず、例えばスピンコータ、スプレー塗布、および刷毛塗りのような、他の方法で接着剤を塗布しても良い。接着剤を塗布した圧電板17に他方の圧電板18を積層する。例えばオートクレーブ装置によって接着剤を熱硬化させることにより、基部13を形成する。なお、接着剤は後の工程で熱硬化させても良い。
【0034】
次に、基部13に、複数の第1の圧力室21と、複数の第2の圧力室22とを形成する。複数の第1および第2の圧力室21,22は、例えば、ICウェハーの切断に用いられているダイシングソーのダイヤモンドホイールによって、基部13を切削することで形成される。第1および第2の圧力室21,22が形成されることで、複数の柱部23が形成される。
【0035】
次に、第1および第2の圧力室21,22の各内面に、電極25を形成する。さらに、基部13の上面13aに配線27を形成する。電極25および配線27は、例えば無電解メッキ法を用いて形成される。次に、レーザ照射によりパターニングを行い、電極25および配線27以外の部位からニッケル薄膜を除去する。
【0036】
基部13に電極25および配線27を形成した後、熱硬化性の接着剤を用いて、基部13の上面13aに蓋部材14を取り付けるとともに、基部13の前面13bに第1および第2のノズル31,32が形成される前のノズルプレート15を取り付ける。接着剤を熱硬化させることにより、基部13に蓋部材14およびノズルプレート15を固定する。なお、ここで同時に圧電板17,18に塗布された接着剤を熱硬化させても良い。
【0037】
図7は、第1および第2のノズル31,32が形成される前のノズルプレート15を示す断面図である。ノズルプレート15の外面15bに、あらかじめ保護フィルム35が貼り付けられている。保護フィルム35は、例えばポリエステルによって形成される。保護フィルム35の厚さは、例えば15μmである。保護フィルム35は、ノズルプレート15の外面15bの全体を覆っている。
【0038】
次に、このノズルプレート15にエキシマレーザのレーザ光を照射して複数の第1のノズル31と、複数の第2のノズル32とを形成する。以下に、第1のノズル31と第2のノズル32とを形成する工程について、具体的に説明する。
【0039】
まず、レーザ加工機40を、ノズルプレート15の第1のノズル31が形成される位置と対向させる。このレーザ加工機40は、第1および第2のノズル31,32を形成するための共通のマスク41を有しており、マスク41に開口した一つの照射口からエキシマレーザのレーザ光を照射する。なお、図7においてレーザ加工機40は模式的に示されており、レーザ加工機40とノズルプレート15との大小関係、およびレーザ加工機40とノズルプレート15との間の距離は、図7に示すものとは異なる。
【0040】
図7に示すように、第1のノズル31を形成するために、レーザ加工機40のレーザ光の集光点C1を、ノズルプレート15の内部に設定する。集光点C1は、ノズルプレート15の外面15bに近い位置に設定される。
【0041】
レーザ加工機40からノズルプレート15に向かって、レーザ光を、例えば200回照射する。これにより、ノズルプレート15に、第1のノズル31が形成される。集光点C1がノズルプレート15の内部に設定されることにより、図4に示すように、第1のノズル31がノズルプレート15の内部で括れる形状に形成される。レーザ加工機40を移動させ、複数の第1のノズル31を順次形成する。
【0042】
次に、図7に示すように、第2のノズル32を形成するために、レーザ加工機40のレーザ光の集光点C2を、インクジェットヘッド10の外に設定する。集光点C2は、ノズルプレート15の外面15bに近い位置に設定される。
【0043】
レーザ加工機40からノズルプレート15に向かって、レーザ光を、例えば300回照射する。これにより、ノズルプレート15に、第2のノズル32が形成される。集光点C2がインクジェットヘッド10の外に設定されることにより、図4に示すように、第2のノズル32の開口面積が、第1のノズル31の開口面積よりも大きくなる。さらに、第2のノズル32が、ノズルプレート15の内面15aに向かうに従って径が拡大するように形成される。レーザ加工機40を移動させ、複数の第2のノズル32を順次形成する。
【0044】
このような工程により、ノズルプレート15に複数の第1のノズル31と、複数の第2のノズル32とが形成される。なお、第1および第2のノズル31,32を形成する工程はこれに限らない。例えば、第1のノズル31よりも第2のノズル32を先に形成しても良いし、あらかじめ第1および第2のノズル31,32が形成されたノズルプレート15を基部13に接着しても良い。さらに、複数の照射口を有するレーザ加工機を用いて、複数の第1のノズル31を一括して形成した後、複数の第2のノズル32を一括して形成しても良い。
【0045】
次に、保護フィルム35をノズルプレート15から剥がして除去する。以上により、インクジェットヘッド10が製造される。
【0046】
上記構成のインクジェットヘッド10によれば、第1の圧力室21のインクを吐出するために柱部23をシェアモード変形させたとしても、第2の圧力室22のインクは表面張力によって第2のノズル32で留まる。これにより、インクの誤吐出を抑制することができる。また、第2のノズル32が設けられることで、第2の圧力室22の洗浄を容易に行なうことができる。
【0047】
上記構成のインクジェットヘッド10は、第2のノズル32の開口面積を第1のノズル31の開口面積より大きくすることで、インクの誤吐出を抑制する。このため、第1および第2のノズル31,32以外の部分は従来のインクジェットヘッドと同じ部品を使うことができ、製造コストの増加を抑制できる。
【0048】
第1のノズル31と第2のノズル32とは、交互に配置されている。これにより、第1の圧力室21のインクを吐出する際に、隣接する圧力室に及ぼす影響を考慮する必要がなくなり、インクジェットヘッド10を高速駆動することができる。
【0049】
さらに、電極25に20V〜22Vの範囲の駆動パルス電圧が印加された場合であっても、第1の圧力室21のインクが第1のノズル31から吐出する一方、第2の圧力室22のインクは吐出せずに第2のノズル32に留まる。これにより、例えば印刷条件の設定により電極25に印加する電圧が変動しても、インクの誤吐出を防止できる。
【0050】
レーザ加工機40のレーザ光の集光点C1をノズルプレート15の内部に設定することで、第1のノズル31が形成される。一方、レーザ加工機40のレーザ光の集光点C2をインクジェットヘッド10の外に設定することで、第2のノズル32が形成される。このようにレーザの集光点の位置を変えることにより、第1のノズル31と第2のノズル32とが作り分けられる。これにより、第1のノズル31と第2のノズル32とを形成するためのマスク41の変更が不要となり、インクジェットヘッド10の製造工程を簡略化することができる。さらに、共通のレーザ加工機40で第1および第2のノズル31,32を作り分けることができ、専用のレーザ加工機やマスクの導入が不要となる。
【0051】
レーザ加工機40のレーザ光の集光点C2をインクジェットヘッド10の外に設定することで、第2のノズル32の開口面積を第1のノズル31の開口面積よりも大きく形成することができる。したがって、開口面積の大きいノズルを容易に形成することができる。
【0052】
次に、図8および図9を参照して、第2の実施の形態について説明する。なお、以下に開示する複数の実施形態において、第1の実施形態のインクジェットヘッド10と同一の機能を有する構成部分には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図8は、ノズルプレート15の一部を示す断面図である。図8に示すように、第2のノズル32Aは、ノズルプレート15の外面15bに向かうに従って形が拡大するように形成されている。
【0054】
第2のノズル32Aにおいて、インクの液面Sは、第2のノズル32Aとノズルプレート15の外面15bとの境目に形成される。したがって、図8に示すように、第2のノズル32Aの開口面積は、第2のノズル32Aの最大の断面積である。第2のノズル32Aの開口面積は、第1のノズル31の開口面積よりも大きい。例えば、第2のノズル32Aの径D3は50μmである。
【0055】
電極25に21Vの駆動パルス電圧が印加されることで、柱部23がシェアモード変形し、第2の圧力室22の容積が縮小する。第1の実施形態と同様に、第2の圧力室22の容積が縮小することで第2の圧力室22のインクが加圧されたとしても、第2の圧力室22のインクは第2のノズル32によって留まる。
【0056】
図9は、第1および第2のノズル31,32Aが形成される前のノズルプレート15を示す断面図である。図9に示すように、第2のノズル32Aを形成する際に、レーザ加工機40のレーザ光の集光点C3を、第2の圧力室22の内部に設定する。集光点C3は、ノズルプレート15の内面15aに近い位置に設定される。
【0057】
集光点C3を設定した後、レーザ加工機40からノズルプレート15に向かって、レーザ光を、例えば300回照射する。これにより、ノズルプレート15に、第2のノズル32Aが形成される。集光点C3が第2の圧力室22の内部に設定されることにより、図8に示すように、第2のノズル32Aの開口面積が、第1のノズル31の開口面積よりも大きくなる。さらに、第2のノズル32Aが、ノズルプレート15の外面15bに向かうに従って径が拡大するように形成される。
【0058】
前記構成のインクジェットヘッド10によれば、第1の実施形態のインクジェットヘッド10と同様に、インクの誤吐出を抑制することができる。
【0059】
次に、図10を参照して、第3の実施の形態について説明する。図10は、ノズルプレート15の一部を示す断面図である。図10に示すように、第2のノズル32Bは、ノズルプレート15の内部で括れた形状に形成されている。
【0060】
第2のノズル32Bを形成する際に、レーザ加工機40のレーザ光の集光点C4は、ノズルプレート15の内部であって、第2の圧力室22に近い位置に設定される。このため、第2の実施形態と同様に、第2のノズル32Aにおいて、インクの液面Sは、第2のノズル32Aとノズルプレート15の外面15bとの境目に形成される。したがって、図10に示すように、第2のノズル32Bの開口面積は、第2のノズル32Bの最大の断面積である。第2のノズル32Bの開口面積は、第1のノズル31の開口面積よりも大きい。例えば、第2のノズル32Bの径D4は50μmである。
【0061】
前記構成のインクジェットヘッド10によれば、第2の実施形態のインクジェットヘッド10と同様に、インクの誤吐出を抑制することができる。
【0062】
次に、図11および図12を参照して、第3の実施の形態について説明する。図11は、レーザ加工機40Aのマスク41Aを示す平面図である。図12は、ノズルプレート15の一部を示す断面図である。
【0063】
図11に示すように、マスク41Aは、複数の第1の照射口44と、複数の第2の照射口45とを有している。第1の照射口44は、第1のノズル31と対応して設けられている。第2の照射口45は、第2のノズル32と対応して設けられており、第1の照射口44と交互に配置されている。第2の照射口45の開口面積は、第1の照射口44の開口面積よりも大きい。
【0064】
ノズルプレート15に第1および第2のノズル31,32Cを形成する際に、複数の第1の照射口44から、レーザ光を例えば200回照射する。同時に、複数の第2の照射口45から、レーザ光を例えば200回照射する。これにより、複数の第1のノズル31と、複数の第2のノズル32Cとが一括して形成される。
【0065】
図12に示すように、第2の照射口45から照射されたレーザ光によって形成された第2のノズル32Cの開口面積は、第1のノズル31の開口面積よりも大きい。例えば、第2のノズル32Cの径D5は、40μmである。
【0066】
前記構成のインクジェットヘッド10によれば、第1の実施形態のインクジェットヘッド10と同様に、インクの誤吐出を抑制することができる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10…インクジェットヘッド、13…基部、15…ノズルプレート、15a…内面、15b…外面、21…第1の圧力室、22…第2の圧力室、23…柱部、31…第1のノズル、32,32A,32B,32C…第2のノズル、40,40A…レーザ加工機、41,41A…マスク、44…第1の照射口、45…第2の照射口。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタのインクジェットヘッドは、駆動素子とノズルプレートとを備えている。駆動素子は、例えば二つの圧電材を貼り合わせて形成され、複数の溝状の圧力室が形成されている。各圧力室を隔てる柱部は、駆動素子に電圧が印加されるとシェアモード変形し、圧力室のインクを加圧する。加圧された圧力室のインクは、ノズルプレートに設けられたノズルから吐出される。
【0003】
駆動素子の柱部がシェアモード変形すると、インク吐出が指示された圧力室のみならず、この圧力室に隣接する他の圧力室にも影響が及ぶ。圧力室と他の圧力室とを隔てる柱部がシェアモード変形することにより、他の圧力室のインクが加圧されて誤吐出が起こるおそれがある。
【0004】
インクの誤吐出を防止するため、例えば、インクの吐出に用いる圧力室と、インク供給の無い空気チャンネルとを交互に配置するインクジェットヘッドが用いられる。圧力室と空気チャンネルとが互いに隣接することにより、インクの誤吐出が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−94037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インクジェットヘッドに圧力室を形成する加工と、インクジェットヘッドに空気チャンネルを形成する加工とは、方法が異なる。このため、インクジェットヘッドに空気チャンネルを形成すると、インクジェットヘッドの加工工程が複雑になり、製造コストや歩留まりが悪化するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、インクの誤吐出を抑制するインクジェットヘッドと、インクの誤吐出を抑制するインクジェットヘッドの製造方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの実施の形態に係るインクジェットヘッドは、
基部と、ノズルプレートと、複数の第1のノズルと、複数の第2のノズルとを具備している。前記基部は、インクが供給される複数の圧力室と、電圧を印加されると変形して前記圧力室のインクを加圧する複数の駆動素子と、を有する。前記ノズルプレートは、前記基部に取り付けられる。前記複数の第1のノズルは、前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形することで前記圧力室のインクが吐出する。前記複数の第2のノズルは、前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、前記第1のノズルよりも開口面積が大きく、前記インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形した際に前記圧力室のインクを留める。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に係るインクジェットヘッドの斜視図。
【図2】第1の実施形態のインクジェットヘッドを図1のF2−F2線に沿って示す断面図。
【図3】第1の実施形態のインクジェットヘッドを図2のF3−F3線に沿って示す断面図。
【図4】第1の実施形態のノズルプレートの一部を示す断面図。
【図5】第1の実施形態の柱部がシェアモード変形したインクジェットヘッドを示す断面図。
【図6】ノズルの径と、電極に電圧を印加した際にノズルからインクが吐出する範囲と、の関係を示すグラフ。
【図7】第1の実施形態において第1および第2のノズルが形成される前のノズルプレートを示す断面図。
【図8】第2の実施の形態に係るノズルプレートの一部を示す断面図。
【図9】第2の実施形態において第1および第2のノズルが形成される前のノズルプレートを示す断面図。
【図10】第3の実施の形態に係るノズルプレートの一部を示す断面図。
【図11】第4の実施の形態に係るレーザ加工機のマスクを示す平面図。
【図12】第4の実施形態のノズルプレートの一部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、第1の実施の形態について、図1から図7を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態に係るインクジェットヘッド10の斜視図である。図2は、図1のF2−F2線に沿ってインクジェットヘッド10を示す断面図である。図3は、図2のF3−F3線に沿ってインクジェットヘッド10を示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、インクジェットヘッド10は、いわゆるエンドシュータ方式のインクジェットヘッドであって、基部13と、蓋部材14と、ノズルプレート15とを備えている。図2に示すように、蓋部材14は、基部13の上面13aに取り付けられている。ノズルプレート15は、基部13の前面13bに取り付けられている。
【0012】
基部13は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)製の2枚の圧電板17,18を互いの分極方向を反対向きとするように貼り合わせて形成されている。図3に示すように、基部13に、複数の第1の圧力室21と、複数の第2の圧力室22と、複数の柱部23とが設けられている。複数の第1の圧力室21は、幾つかの圧力室の一例である。複数の第2の圧力室22は、余の圧力室の一例である。
【0013】
複数の第1の圧力室21は、それぞれ溝状に形成され、基部13の長手方向に互いに平行に並んで設けられている。第1の圧力室21は、それぞれ基部13の上面13aと前面13bとに開口している。第1の圧力室21は、蓋部材14と、ノズルプレート15とによって塞がれている。図3に示す第1の圧力室21の幅L1は、例えば85μmである。第1の圧力室21の深さL2は、例えば300μmである。
【0014】
複数の第2の圧力室22は、第1の圧力室21と同じ形状に形成され、第1の圧力室21と交互に配置されている。第2の圧力室22は、蓋部材14と、ノズルプレート15とによって塞がれている。図3に示す第2の圧力室22の幅L3は、例えば85μmである。第2の圧力室22の深さは、第1の圧力室21の深さL2と同じく300μmである。
【0015】
複数の柱部23は、第1の圧力室21と第2の圧力室22との間にそれぞれ形成されている。柱部23は、第1の圧力室21と第2の圧力室22とを隔てるとともに、第1の圧力室21および第2の圧力室22のそれぞれの側面を形成する。図3に示す柱部23の幅L4は、85μmである。
【0016】
図3に太線で示すように、第1の圧力室21および第2の圧力室22の内面を電極25が覆っている。電極25は、例えばニッケル薄膜によって形成されているが、これに限らず、例えば金や銅で形成されていても良い。柱部23の両側面に電極25が形成されることで、柱部23は駆動素子として機能する。
【0017】
図1に示すように、基部13の上面13aに複数の配線27が設けられている。複数の配線27は、例えば上面13aに形成されたニッケル薄膜を、レーザーパターニングすることによって形成されている。図2に太線で示すように、複数の配線27は、上面13aの後端と複数の電極25との間に亘ってそれぞれ設けられる。配線27の一端は、電極25に接続されている。
【0018】
一方、配線27の他端は、例えばICに電気的に接続される。このICは、インクジェットプリンタの制御部から入力される信号に基づいて、配線27を介して電極25に電圧を印加し、柱部23をシェアモード変形させる。
【0019】
蓋部材14は、例えば接着によって基部13の上面13aに取り付けられている。蓋部材14に、インク供給経路28が設けられている。インク供給経路28は、複数の第1の圧力室21および複数の第2の圧力室22にそれぞれ開口するとともに、インクタンクに連結される。インクタンクのインクは、インク供給経路28を通って第1の圧力室21および第2の圧力室22にそれぞれ供給される。図2に示す蓋部材14の前壁14aの厚みL5は、1mmである。
【0020】
ノズルプレート15は、ポリイミド製の矩形のフィルムによって形成されている。なお、ノズルプレート15の材料はこれに限らず、レーザ加工が可能な材料であれば良い。ノズルプレート15の厚みは、例えば50μmである。ノズルプレート15は、例えば接着によって、基部13の前面13bに取り付けられている。ノズルプレート15の内面15aは、第1の圧力室21および第2の圧力室22に面している。
【0021】
図3に二点鎖線で示すように、ノズルプレート15に、複数の第1のノズル31と、複数の第2のノズル32とが設けられている。複数の第1のノズル31は、複数の第1の圧力室21に対応し、ノズルプレート15の長手方向に並んで配置されている。複数の第1のノズル31は、複数の第1の圧力室21に開口している。
【0022】
複数の第2のノズル32は、複数の第2の圧力室22に対応し、第1のノズル31と交互に配置されている。複数の第2のノズル32は、複数の第2の圧力室22に開口している。図4は、ノズルプレート15の一部を示す断面図である。図4に示すように、第2のノズル32は、ノズルプレート15の内面15aに向かうに従って径が拡大するように形成されている。
【0023】
第1のノズル31の開口面積は、第2のノズル32の開口面積よりも小さい。例えば、第1のノズル31の径D1は20μmであり、第2のノズル32の径D2は40μmである。なお、各ノズル開口面積は、各圧力室にインクを供給した場合に表面張力によってインクの液面Sが形成される位置での各ノズルの断面積であって、例えば最小の断面積である。同じく、各ノズルの径は、各圧力室にインクを供給した場合にインクの液面Sが形成される位置での各ノズルの径である。
【0024】
前記構成のインクジェットヘッド10は、例えば以下のように印字を行なう。なお、このインクジェットヘッド10は、第1のノズル31から例えば3ピコリットルのインクを吐出することで印字を行なうように設計されている。
【0025】
ユーザの操作によって、インクジェットプリンタの制御部は、配線27に接続されたICに印字信号を入力する。ICは、この印字信号に基づき、配線27を介して第1の圧力室21の電極25に、例えば21Vの駆動パルス電圧を印加する。21Vの駆動パルス電圧は、所定のインク吐出電圧の一例である。
【0026】
図5は、柱部23がシェアモード変形したインクジェットヘッド10を示す断面図である。図5に示すように、電極25に駆動パルス電圧が印加されると、柱部23がシェアモード変形し、第1の圧力室21の容積が膨張する。これに伴い、第1の圧力室21に隣接する第2の圧力室22の容積が縮小する。なお、電極25に電圧が印加された際に、第1の圧力室21の容積が縮小し、第2の圧力室22の容積が膨張しても良い。
【0027】
第2の圧力室22の容積が縮小することで、第2の圧力室22のインクが加圧される。加圧された第2の圧力室22のインクは、表面張力によって第2のノズル32から吐出せずに、第2のノズル32で留まる。すなわち、第2の圧力室22のインクは、電極25に21Vの駆動パルスが印加された柱部23が変形した際に、第2のノズル32によって留まる。
【0028】
第1の圧力室21の電極25に印加されていた電圧が解除されることで、柱部23が元の形状に戻り、第1の圧力室21の容積が縮小する。これにより、第1の圧力室21に供給されるインクが加圧される。加圧された第1の圧力室21のインクは、第1のノズル31から吐出される。すなわち、第1の圧力室21のインクは、電極25に21Vの駆動パルス電圧が印加された柱部23が変形することで、第1のノズル31から吐出される。
【0029】
電極25に21Vの駆動パルス電圧を印加することで、第1のノズル31から3ピコリットルのインクが吐出される。前記構成のインクジェットヘッド10が設計通りに3ピコリットルのインクを吐出するための最適な駆動パルス電圧は、21Vである。なお、ユーザの設定やその他の条件により、電極25には例えば20V〜22Vの範囲の駆動パルス電圧が印加される。20Vの駆動パルス電圧は第1の電圧の一例であり、22Vの駆動パルス電圧は第2の電圧の一例である。
【0030】
図6は、ノズルの径と、電極25に電圧を印加した際にノズルからインクが吐出する範囲と、の関係を示すグラフである。図6中で、「印加電圧」は電極25に印加する電圧を表す。さらに、グラフ中の実線は、当該ノズル径のノズルからインクが吐出する印加電圧の範囲を示す。すなわち、電極25に実線の範囲の電圧が印加されると、柱部23がシェアモード変形することで圧力室のインクが加圧され、ノズルからインクが吐出される。一方、電極25に実線の範囲外の電圧が印加されると、圧力室のインクが加圧されても、ノズルからインクが吐出されずに留まる。
【0031】
図6に示すように、電極25に21Vの電圧を印加すると、ノズル径が20μmのノズルからインクが吐出する一方、ノズル径が40μmのノズルではインクが吐出せずに留まる。したがって、上述の通り、電極25に21Vの駆動パルス電圧を印加すると、第1の圧力室21のインクが第1のノズル31から吐出する一方、第2の圧力室22のインクは第2のノズル32で留まる。
【0032】
さらに、電極25に20V〜22Vの範囲の駆動パルス電圧が印加された場合であっても、第1の圧力室21のインクは第1のノズル31から吐出する。一方、第2の圧力室22のインクは吐出せずに第2のノズル32に留まる。なお、図6に示すように、第2のノズル32のノズル径が50μmの場合であっても同様である。
【0033】
次に、前記構成のインクジェットヘッド10の製造方法の一例について説明する。まず、例えば熱硬化性の接着剤を、例えばスクリーン印刷によって一方の圧電板17に塗布する。なお、これに限らず、例えばスピンコータ、スプレー塗布、および刷毛塗りのような、他の方法で接着剤を塗布しても良い。接着剤を塗布した圧電板17に他方の圧電板18を積層する。例えばオートクレーブ装置によって接着剤を熱硬化させることにより、基部13を形成する。なお、接着剤は後の工程で熱硬化させても良い。
【0034】
次に、基部13に、複数の第1の圧力室21と、複数の第2の圧力室22とを形成する。複数の第1および第2の圧力室21,22は、例えば、ICウェハーの切断に用いられているダイシングソーのダイヤモンドホイールによって、基部13を切削することで形成される。第1および第2の圧力室21,22が形成されることで、複数の柱部23が形成される。
【0035】
次に、第1および第2の圧力室21,22の各内面に、電極25を形成する。さらに、基部13の上面13aに配線27を形成する。電極25および配線27は、例えば無電解メッキ法を用いて形成される。次に、レーザ照射によりパターニングを行い、電極25および配線27以外の部位からニッケル薄膜を除去する。
【0036】
基部13に電極25および配線27を形成した後、熱硬化性の接着剤を用いて、基部13の上面13aに蓋部材14を取り付けるとともに、基部13の前面13bに第1および第2のノズル31,32が形成される前のノズルプレート15を取り付ける。接着剤を熱硬化させることにより、基部13に蓋部材14およびノズルプレート15を固定する。なお、ここで同時に圧電板17,18に塗布された接着剤を熱硬化させても良い。
【0037】
図7は、第1および第2のノズル31,32が形成される前のノズルプレート15を示す断面図である。ノズルプレート15の外面15bに、あらかじめ保護フィルム35が貼り付けられている。保護フィルム35は、例えばポリエステルによって形成される。保護フィルム35の厚さは、例えば15μmである。保護フィルム35は、ノズルプレート15の外面15bの全体を覆っている。
【0038】
次に、このノズルプレート15にエキシマレーザのレーザ光を照射して複数の第1のノズル31と、複数の第2のノズル32とを形成する。以下に、第1のノズル31と第2のノズル32とを形成する工程について、具体的に説明する。
【0039】
まず、レーザ加工機40を、ノズルプレート15の第1のノズル31が形成される位置と対向させる。このレーザ加工機40は、第1および第2のノズル31,32を形成するための共通のマスク41を有しており、マスク41に開口した一つの照射口からエキシマレーザのレーザ光を照射する。なお、図7においてレーザ加工機40は模式的に示されており、レーザ加工機40とノズルプレート15との大小関係、およびレーザ加工機40とノズルプレート15との間の距離は、図7に示すものとは異なる。
【0040】
図7に示すように、第1のノズル31を形成するために、レーザ加工機40のレーザ光の集光点C1を、ノズルプレート15の内部に設定する。集光点C1は、ノズルプレート15の外面15bに近い位置に設定される。
【0041】
レーザ加工機40からノズルプレート15に向かって、レーザ光を、例えば200回照射する。これにより、ノズルプレート15に、第1のノズル31が形成される。集光点C1がノズルプレート15の内部に設定されることにより、図4に示すように、第1のノズル31がノズルプレート15の内部で括れる形状に形成される。レーザ加工機40を移動させ、複数の第1のノズル31を順次形成する。
【0042】
次に、図7に示すように、第2のノズル32を形成するために、レーザ加工機40のレーザ光の集光点C2を、インクジェットヘッド10の外に設定する。集光点C2は、ノズルプレート15の外面15bに近い位置に設定される。
【0043】
レーザ加工機40からノズルプレート15に向かって、レーザ光を、例えば300回照射する。これにより、ノズルプレート15に、第2のノズル32が形成される。集光点C2がインクジェットヘッド10の外に設定されることにより、図4に示すように、第2のノズル32の開口面積が、第1のノズル31の開口面積よりも大きくなる。さらに、第2のノズル32が、ノズルプレート15の内面15aに向かうに従って径が拡大するように形成される。レーザ加工機40を移動させ、複数の第2のノズル32を順次形成する。
【0044】
このような工程により、ノズルプレート15に複数の第1のノズル31と、複数の第2のノズル32とが形成される。なお、第1および第2のノズル31,32を形成する工程はこれに限らない。例えば、第1のノズル31よりも第2のノズル32を先に形成しても良いし、あらかじめ第1および第2のノズル31,32が形成されたノズルプレート15を基部13に接着しても良い。さらに、複数の照射口を有するレーザ加工機を用いて、複数の第1のノズル31を一括して形成した後、複数の第2のノズル32を一括して形成しても良い。
【0045】
次に、保護フィルム35をノズルプレート15から剥がして除去する。以上により、インクジェットヘッド10が製造される。
【0046】
上記構成のインクジェットヘッド10によれば、第1の圧力室21のインクを吐出するために柱部23をシェアモード変形させたとしても、第2の圧力室22のインクは表面張力によって第2のノズル32で留まる。これにより、インクの誤吐出を抑制することができる。また、第2のノズル32が設けられることで、第2の圧力室22の洗浄を容易に行なうことができる。
【0047】
上記構成のインクジェットヘッド10は、第2のノズル32の開口面積を第1のノズル31の開口面積より大きくすることで、インクの誤吐出を抑制する。このため、第1および第2のノズル31,32以外の部分は従来のインクジェットヘッドと同じ部品を使うことができ、製造コストの増加を抑制できる。
【0048】
第1のノズル31と第2のノズル32とは、交互に配置されている。これにより、第1の圧力室21のインクを吐出する際に、隣接する圧力室に及ぼす影響を考慮する必要がなくなり、インクジェットヘッド10を高速駆動することができる。
【0049】
さらに、電極25に20V〜22Vの範囲の駆動パルス電圧が印加された場合であっても、第1の圧力室21のインクが第1のノズル31から吐出する一方、第2の圧力室22のインクは吐出せずに第2のノズル32に留まる。これにより、例えば印刷条件の設定により電極25に印加する電圧が変動しても、インクの誤吐出を防止できる。
【0050】
レーザ加工機40のレーザ光の集光点C1をノズルプレート15の内部に設定することで、第1のノズル31が形成される。一方、レーザ加工機40のレーザ光の集光点C2をインクジェットヘッド10の外に設定することで、第2のノズル32が形成される。このようにレーザの集光点の位置を変えることにより、第1のノズル31と第2のノズル32とが作り分けられる。これにより、第1のノズル31と第2のノズル32とを形成するためのマスク41の変更が不要となり、インクジェットヘッド10の製造工程を簡略化することができる。さらに、共通のレーザ加工機40で第1および第2のノズル31,32を作り分けることができ、専用のレーザ加工機やマスクの導入が不要となる。
【0051】
レーザ加工機40のレーザ光の集光点C2をインクジェットヘッド10の外に設定することで、第2のノズル32の開口面積を第1のノズル31の開口面積よりも大きく形成することができる。したがって、開口面積の大きいノズルを容易に形成することができる。
【0052】
次に、図8および図9を参照して、第2の実施の形態について説明する。なお、以下に開示する複数の実施形態において、第1の実施形態のインクジェットヘッド10と同一の機能を有する構成部分には同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図8は、ノズルプレート15の一部を示す断面図である。図8に示すように、第2のノズル32Aは、ノズルプレート15の外面15bに向かうに従って形が拡大するように形成されている。
【0054】
第2のノズル32Aにおいて、インクの液面Sは、第2のノズル32Aとノズルプレート15の外面15bとの境目に形成される。したがって、図8に示すように、第2のノズル32Aの開口面積は、第2のノズル32Aの最大の断面積である。第2のノズル32Aの開口面積は、第1のノズル31の開口面積よりも大きい。例えば、第2のノズル32Aの径D3は50μmである。
【0055】
電極25に21Vの駆動パルス電圧が印加されることで、柱部23がシェアモード変形し、第2の圧力室22の容積が縮小する。第1の実施形態と同様に、第2の圧力室22の容積が縮小することで第2の圧力室22のインクが加圧されたとしても、第2の圧力室22のインクは第2のノズル32によって留まる。
【0056】
図9は、第1および第2のノズル31,32Aが形成される前のノズルプレート15を示す断面図である。図9に示すように、第2のノズル32Aを形成する際に、レーザ加工機40のレーザ光の集光点C3を、第2の圧力室22の内部に設定する。集光点C3は、ノズルプレート15の内面15aに近い位置に設定される。
【0057】
集光点C3を設定した後、レーザ加工機40からノズルプレート15に向かって、レーザ光を、例えば300回照射する。これにより、ノズルプレート15に、第2のノズル32Aが形成される。集光点C3が第2の圧力室22の内部に設定されることにより、図8に示すように、第2のノズル32Aの開口面積が、第1のノズル31の開口面積よりも大きくなる。さらに、第2のノズル32Aが、ノズルプレート15の外面15bに向かうに従って径が拡大するように形成される。
【0058】
前記構成のインクジェットヘッド10によれば、第1の実施形態のインクジェットヘッド10と同様に、インクの誤吐出を抑制することができる。
【0059】
次に、図10を参照して、第3の実施の形態について説明する。図10は、ノズルプレート15の一部を示す断面図である。図10に示すように、第2のノズル32Bは、ノズルプレート15の内部で括れた形状に形成されている。
【0060】
第2のノズル32Bを形成する際に、レーザ加工機40のレーザ光の集光点C4は、ノズルプレート15の内部であって、第2の圧力室22に近い位置に設定される。このため、第2の実施形態と同様に、第2のノズル32Aにおいて、インクの液面Sは、第2のノズル32Aとノズルプレート15の外面15bとの境目に形成される。したがって、図10に示すように、第2のノズル32Bの開口面積は、第2のノズル32Bの最大の断面積である。第2のノズル32Bの開口面積は、第1のノズル31の開口面積よりも大きい。例えば、第2のノズル32Bの径D4は50μmである。
【0061】
前記構成のインクジェットヘッド10によれば、第2の実施形態のインクジェットヘッド10と同様に、インクの誤吐出を抑制することができる。
【0062】
次に、図11および図12を参照して、第3の実施の形態について説明する。図11は、レーザ加工機40Aのマスク41Aを示す平面図である。図12は、ノズルプレート15の一部を示す断面図である。
【0063】
図11に示すように、マスク41Aは、複数の第1の照射口44と、複数の第2の照射口45とを有している。第1の照射口44は、第1のノズル31と対応して設けられている。第2の照射口45は、第2のノズル32と対応して設けられており、第1の照射口44と交互に配置されている。第2の照射口45の開口面積は、第1の照射口44の開口面積よりも大きい。
【0064】
ノズルプレート15に第1および第2のノズル31,32Cを形成する際に、複数の第1の照射口44から、レーザ光を例えば200回照射する。同時に、複数の第2の照射口45から、レーザ光を例えば200回照射する。これにより、複数の第1のノズル31と、複数の第2のノズル32Cとが一括して形成される。
【0065】
図12に示すように、第2の照射口45から照射されたレーザ光によって形成された第2のノズル32Cの開口面積は、第1のノズル31の開口面積よりも大きい。例えば、第2のノズル32Cの径D5は、40μmである。
【0066】
前記構成のインクジェットヘッド10によれば、第1の実施形態のインクジェットヘッド10と同様に、インクの誤吐出を抑制することができる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10…インクジェットヘッド、13…基部、15…ノズルプレート、15a…内面、15b…外面、21…第1の圧力室、22…第2の圧力室、23…柱部、31…第1のノズル、32,32A,32B,32C…第2のノズル、40,40A…レーザ加工機、41,41A…マスク、44…第1の照射口、45…第2の照射口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが供給される複数の圧力室と、電圧を印加されると変形して前記圧力室のインクを加圧する複数の駆動素子と、を有する基部と、
前記基部に取り付けられたノズルプレートと、
前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形することで前記圧力室のインクが吐出する複数の第1のノズルと、
前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、前記第1のノズルよりも開口面積が大きく、前記インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形した際に前記圧力室のインクを留める複数の第2のノズルと、
を具備することを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記第2のノズルは、前記第1のノズルと交互に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記第1のノズルは、前記インク吐出電圧より電圧が低い第1の電圧と、前記インク吐出電圧より電圧が高い第2の電圧と、の間の範囲の電圧が前記駆動素子に印加されることで前記第1の圧力室のインクを吐出し、
前記第2のノズルは、前記第1の電圧と前記第2の電圧との間の範囲の電圧が前記駆動素子に印加された際に前記第2の圧力室のインクを留めることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記第2のノズルは、前記ノズルプレートの一方の面に向かうに従って径が拡大するように形成されたことを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
インクが供給される複数の圧力室と、電圧を印加されると変形して前記圧力室のインクを加圧する複数の駆動素子と、を有する基部と、
前記基部に取り付けられたノズルプレートと、
前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形することで前記圧力室のインクが吐出する複数の第1のノズルと、
前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、前記第1のノズルよりも開口面積が大きく、前記インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形した際に前記圧力室のインクを留める複数の第2のノズルと、
を具備するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記ノズルプレートの内部に集光点を設定したレーザ加工によって、前記複数の第1のノズルを前記ノズルプレートに形成し、
前記第1のノズルを形成する際とは異なる位置に集光点を設定したレーザ加工によって、前記第1のノズルよりも開口面積が大きい前記複数の第2のノズルを前記ノズルプレートに形成する
ことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項6】
共通のレーザ加工機から照射されるレーザの集光点の位置を変えることにより、前記第1のノズルと前記第2のノズルを作ることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項7】
前記第2のノズルを形成する際のレーザ加工の集光点を、前記インクジェットヘッドの外に設定することを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記第2のノズルを形成する際のレーザ加工の集光点を、前記第2の圧力室の内部に設定することを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記第2のノズルを形成する際のレーザ加工の集光点を、前記ノズルプレートの内部であって前記第2の圧力室に近い位置に設定することを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項10】
インクが供給される複数の圧力室と、電圧を印加されると変形して前記圧力室のインクを加圧する複数の駆動素子と、を有する基部と、
前記基部に取り付けられたノズルプレートと、
前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形することで前記圧力室のインクが吐出する複数の第1のノズルと、
前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、前記第1のノズルよりも開口面積が大きく、前記インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形した際に前記圧力室のインクを留める複数の第2のノズルと、
を具備するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記第1のノズルを形成するレーザを照射する第1のレーザ照射口と、前記第1のレーザ照射口よりも開口面積が大きく形成されるとともに前記第2のノズルを形成するレーザを照射する第2のレーザ照射口と、を有するマスクを用いて、レーザ加工によって前記第1のノズルと前記第2のノズルとを一括して形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項1】
インクが供給される複数の圧力室と、電圧を印加されると変形して前記圧力室のインクを加圧する複数の駆動素子と、を有する基部と、
前記基部に取り付けられたノズルプレートと、
前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形することで前記圧力室のインクが吐出する複数の第1のノズルと、
前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、前記第1のノズルよりも開口面積が大きく、前記インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形した際に前記圧力室のインクを留める複数の第2のノズルと、
を具備することを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記第2のノズルは、前記第1のノズルと交互に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記第1のノズルは、前記インク吐出電圧より電圧が低い第1の電圧と、前記インク吐出電圧より電圧が高い第2の電圧と、の間の範囲の電圧が前記駆動素子に印加されることで前記第1の圧力室のインクを吐出し、
前記第2のノズルは、前記第1の電圧と前記第2の電圧との間の範囲の電圧が前記駆動素子に印加された際に前記第2の圧力室のインクを留めることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記第2のノズルは、前記ノズルプレートの一方の面に向かうに従って径が拡大するように形成されたことを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
インクが供給される複数の圧力室と、電圧を印加されると変形して前記圧力室のインクを加圧する複数の駆動素子と、を有する基部と、
前記基部に取り付けられたノズルプレートと、
前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形することで前記圧力室のインクが吐出する複数の第1のノズルと、
前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、前記第1のノズルよりも開口面積が大きく、前記インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形した際に前記圧力室のインクを留める複数の第2のノズルと、
を具備するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記ノズルプレートの内部に集光点を設定したレーザ加工によって、前記複数の第1のノズルを前記ノズルプレートに形成し、
前記第1のノズルを形成する際とは異なる位置に集光点を設定したレーザ加工によって、前記第1のノズルよりも開口面積が大きい前記複数の第2のノズルを前記ノズルプレートに形成する
ことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項6】
共通のレーザ加工機から照射されるレーザの集光点の位置を変えることにより、前記第1のノズルと前記第2のノズルを作ることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項7】
前記第2のノズルを形成する際のレーザ加工の集光点を、前記インクジェットヘッドの外に設定することを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記第2のノズルを形成する際のレーザ加工の集光点を、前記第2の圧力室の内部に設定することを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記第2のノズルを形成する際のレーザ加工の集光点を、前記ノズルプレートの内部であって前記第2の圧力室に近い位置に設定することを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項10】
インクが供給される複数の圧力室と、電圧を印加されると変形して前記圧力室のインクを加圧する複数の駆動素子と、を有する基部と、
前記基部に取り付けられたノズルプレートと、
前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形することで前記圧力室のインクが吐出する複数の第1のノズルと、
前記ノズルプレートに設けられ前記圧力室に開口し、前記第1のノズルよりも開口面積が大きく、前記インク吐出電圧を印加された前記駆動素子が変形した際に前記圧力室のインクを留める複数の第2のノズルと、
を具備するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記第1のノズルを形成するレーザを照射する第1のレーザ照射口と、前記第1のレーザ照射口よりも開口面積が大きく形成されるとともに前記第2のノズルを形成するレーザを照射する第2のレーザ照射口と、を有するマスクを用いて、レーザ加工によって前記第1のノズルと前記第2のノズルとを一括して形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−166462(P2012−166462A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29684(P2011−29684)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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