説明

インクジェット印刷用インクのトリスアゾ染料

液体媒体と、式(1):
【化1】


{式中、Aは場合により置換されたアルケニル、ホモ環式またはヘテロ環式基であり;L1及びL2は、それぞれ独立して場合により置換されたアリールまたはヘテロアリールであり;並びにm及びnは、m+nが1または2であるように、それぞれ独立して0または1であり;ここで、(i)式(1)の化合物は、場合により金属キレートの形態であり;及び(ii)L1及びL2の少なくともひとつは、スルホ、カルボキシ、C1-4アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有する}のトリスアゾ化合物またはその塩とを含む組成物を支持体に施すことを含む、支持体に画像を印刷するためのプロセス。組成物及び式(1)を含む組成物についても請求する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、化合物、その製造プロセス、それらから誘導した組成物、及びインクジェット印刷(ink jet printing:IJP)におけるそれらの使用に関する。IJPは、ノズルを支持体に接触させないでインク液滴が細いノズルから支持体上に噴射される非-衝撃印刷法である。
【0002】
IJPで使用される染料及びインクに対しては多くの厳しい性能要件がある。例えば、これらは、優れた耐水堅牢度、耐光性及び光学密度をもつ、はっきりした、にじみのない画像を提供するのが望ましい。支持体に施したときにぼやけないようにするためにインクが早く乾燥することが求められることが多いが、クラスターがプリンタを止めてしまうので、インクジェットノズルのチップにクラスト(外皮)ができないようにしなければならない。また、このインクは細いノズルを塞いでしまう沈殿物を形成も分解もすることなく、長期間の貯蔵でも安定でなければならない。
【0003】
日本特許第58-174459号は、一度結合させた(once-coupled)1,8-ジヒドロキシナフタレンを含む特定のジスアゾ染料及び、インクジェット印刷におけるそれらの使用について記載する。
【0004】
日本特許第57-36693号及び米国特許第4,395,288号は、1,8-ジヒドロキシナフタレンを含む特定のテトラアゾ染料及び、インクジェット印刷におけるそれらの使用について記載する。
【0005】
1916年に発行された米国特許第1,209,154号は、一端に1,8-ジヒドロキシナフタレン基ともう一端に1,3-ジアミノベンゼン基とを含む特定のトリスアゾ染料の合成について記載する。これらの染料は、綿の従来型の染色で使用される。
【0006】
1959年に発行された英国特許第809279号は、一度結合させた1,8-ジヒドロキシナフタレンと3,3’-ジメトキシ-1,1’-ジフェニルリンカーとを含む特定のトリスアゾ染料の銅錯体の合成について記載する。これらの染料は、綿の従来型の染色で使用される。
【0007】
意外にも、本発明のトリスアゾ染料は、インクジェットインクとして使用したときに非常に優れた特性をもち、優れた耐光性及び耐オゾン性並びに操作性を備えた、ニュートラルブラックの高い光学密度(optical density:OD)の印刷物を製造することが知見された。
【0008】
本発明に従って、支持体上に画像を印刷するためのプロセスであって、液体媒体と、式(1):
【0009】
【化1】

【0010】
{式中、Aは場合により置換されたアルケニル、ホモ環式またはヘテロ環式基であり;
L1及びL2は、それぞれ独立して場合により置換されたアリールまたはヘテロアリールであり;並びに
m及びnは、m+nが1または2であるように、それぞれ独立して0または1であり;
ここで、
(i)式(1)の化合物は、場合により金属キレートの形態であり;及び
(ii)L1及びL2の少なくともひとつは、スルホ、カルボキシ、C1-4アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有する}のトリスアゾ化合物またはその塩とを含む組成物を前記支持体に施すことを含む、前記プロセスを提供する。
【0011】
好ましくは、本組成物はインクジェットプリンタによって支持体に施す。インクジェットプリンタは、細いオリフィスを通して支持体に噴射する液滴の形態で支持体に組成物を施すのが好ましい。好ましいインクジェットプリンタは、圧電性インクジェットプリンタ及びサーマルインクジェットプリンタである。サーマルインクジェットプリンタでは、プログラムされた熱パルスがオリフィスに隣接するレジスタによってリザーバ中のインクに施され、これによって支持体とオリフィスとの間を相対的に移動する間に紙の方へ向けられた小さな液滴の形態で組成物を噴射する。圧電性インクジェットプリンタでは、小さな結晶の振動によってオリフィスから組成物が噴射される。
【0012】
画像は、好ましくはテキスト、写真、フォトリアリスティックな画像、またはこれらの組み合わせであるのが好ましい。
支持体は、紙、プラスチック、金属またはガラスであるのが好ましく、より好ましくはコーティング紙またはコーティングプラスチックなどの処理済み支持体、特に普通紙が好ましい。本プロセスの好都合な点のひとつは、普通紙でも非常に優れた印刷結果を提供できるという能力である。
【0013】
好ましい紙は、酸性、アルカリ性または中性の特徴をもつ。市販されている処理紙の例としては、HP Premium Coated Paper(商標)、HP Photopaper(商標)、HP Printing paper(商標)(Hewlett Packard Incより市販);Stylus Pro 720 dpi Coated Paper(商標)、Epson Photo Quality Glossy Film(商標)、Epson Photo Quality Glossy Paper(商標)(全てSeiko Epson Corpより市販);Canon HR 101 High Resolution Paper(商標)、Canon GP 201 Glossy Paper(商標)、Canon HG 101及びHG 201 High Gloss Film(商標)、Canon PR 101(商標)(全てCanon Incより市販);Kodak Premium Photopaper、Kodak Premium InkJetpaper(商標)(Kodakより市販);Konica Inkjet Paper QP(商標) Professional Photo Glossy、Konica Inkjet Paper QP(商標) Professional Photo 2-sided Glossy、Konica Inkjet Paper QP(商標) Premium Photo Glossy、Konica Inkjet Paper QP(商標) Premium Photo Silky(商標)(Konicaより市販)及びXerox Acid Paper(Xeroxより市販)が挙げられる。
【0014】
本明細書において、遊離酸形で示される全ての基は、塩の形も包含する。さらに、本明細書で示される式は、全ての互変異性体も網羅する。
式(1)の化合物が塩の形態であるとき、好ましい塩は、アルカリ金属塩、特にリチウム、ナトリウム及びカルシウム塩、アンモニウム及び置換アンモニウム塩並びにこれらの混合物である。特に好ましい塩は、アンモニア及び揮発性アミン類との塩である。遊離酸の形態は、公知の方法を使用して塩に転換することができる。たとえば、本組成物のアルカリ金属塩を水に溶解し、鉱酸で酸性化し、溶液のpHをアンモニアまたはアミンで9〜9.5に調節し、次いで透析によってアルカリ金属カチオンを除去することによって、アルカリ金属塩をアンモニアまたはアミンとの塩に転換させることができる。
【0015】
Aによって表される好ましい、場合により置換されたホモ環式またはヘテロ環式基は、場合により置換されたアリール、ヘテロアリール及び非芳香族環式基である。
A、L1及びL2によって表される、好ましい、場合により置換されたアリール基は、それぞれ独立して、場合により置換されたフェニル、ビフェニルまたはナフチルである。本発明のもう一つの態様では、Aは場合により置換されたヘテロアリールであるのが好ましい。A、L1及びL2によって表される、好ましい、場合により置換されたヘテロアリール基は、5-〜7-員環を含む任意の複素環または置換複素環である。同様に、Aによって表される好ましい非芳香族ヘテロ環式基は、好ましくは少なくともひとつの二重結合を含む、5-〜7-員環を含む。
【0016】
ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル及びフラザニル基が挙げられる。
【0017】
非芳香族環式基の例としては、ピリドニル、ピラゾロニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルフォリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル及びテトラヒドロピラニルが挙げられるが、ピリドニルが特に好ましい。
【0018】
好ましい、場合により置換されたアルケニル基は式(2)のもの及びその互変異性体:
【0019】
【化2】

【0020】
{式中、Yは電子吸引基であり;
Y1はH、アルキル、アリール、ORまたはN(R)2であり、ここでRはそれぞれ独立してH、場合により置換されたアルキルまたは場合により置換されたアリールであり;及び
X1は、N、O及びSから選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む}である。
【0021】
Yは好ましくは、CN、CO2H、CO2R、CON(R)2、COR及び-SO2N(R)2から選択され、ここでRはそれぞれ独立して上記定義のごときである。Rが場合により置換されたアルキルであるとき、これは好ましくはC1-8-アルキルであり、より好ましくはC1-4-アルキルである。Rが場合により置換されたアリールであるとき、これは好ましくはフェニルまたはナフチルであり、より好ましくはフェニルである。Rが場合により置換されたアルキルまたはアリールであるとき、場合によって有してもよい置換基は好ましくは、水溶性基、特にSO3H、SO2NH2、CO2HまたはPO3H2及びその塩から選択される。
【0022】
Y1がアルキルであるとき、これは好ましくはC1-8-アルキルであり、より好ましくはC1-4-アルキルである。Y1がアリールであるとき、これは好ましくはフェニルである。
X1は好ましくは、OR、CO2RまたはNRであり、ここでRは上記定義のごときである。
【0023】
より好ましくは、YはCO2R1であり、Y1はOR1であり、且つX1はOR1であり、ここでR1はそれぞれ独立してHまたはC1-4-アルキルである。
A、L1及びL2の上に存在しても良い任意選択の置換基は、好ましくは、OH、SO3H、CN、カルボンアミド、PO3H2、CO2H、NO2、NH2、場合により置換されたアルキル(特に、スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノまたはヒドロキシ基を場合により有するC1-4-アルキル)、場合により置換されたアルコキシ(特に、スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、C1-4-アルキル、アミノまたはヒドロキシを場合により有するC1-4-アルコキシ)、場合により置換されたアリール(特にフェニルまたは、スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ及び、スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシを場合により有する一つ若しくは二つのC1-4-アルキル基を有するNから選択される1〜3個の置換基を有するフェニル)、場合により置換されたアミン(特に、スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有する一つまたは二つのC1-4-アルキル基を有するN)並びに場合により置換されたアシルアミン(特にC1-4-アシルアミノ)から選択される。
【0024】
好ましくは、Aは、0〜5個の置換基、より好ましくは1〜4個の置換基、特に1、2または3個の置換基を有する。好ましい態様では、Aは1,3-ジアミノフェニルではない。
Aにより表される、場合により置換されたフェニル及びナフチル基の例としては、2,4-ジヒドロキシフェニル、3-スルホ-4,6-ジアミノフェニル、2-ヒドロキシ-4-ジエチルアミノフェニル2-スルホ-4-ジエチルアミノフェニル、1-ヒドロキシ-3,6-ジスルホナフチル及び1,8-ジヒドロキシ-3,6-ジスルホナフチルを挙げることができる。Aにより表される、好ましい、場合により置換されたヘテロアリール基としては、5-〜7-員環を含む任意の複素環または置換された複素環があり、より好ましくは、場合により置換されたピリジル、ピラゾリルまたは1,2,4-トリアゾリルがある。
【0025】
好ましくは、L1及びL2はそれぞれ独立して、一つ以上のアリーレン基、より好ましくは、一つ若しくは二つの場合により置換されたフェニレン若しくはナフチレン基であるか、またはこれらを含む。L1及びL2が2個以上のアリーレン基であるか、またはこれらを含むとき、前記アリーレン基は場合により、共有結合またはO、S、N、C、H及びこれらの組み合わせから選択される1〜10個の原子を含む基、たとえば-O-、-NR2-、-NR2-CO-、-NR2CONR2-、-S-、-SO-、-SO2-、-SO2NR2-若しくは-CR2=CR2-(ここで、R2はそれぞれ独立してHまたはC1-4-アルキルである)によって接続される。
【0026】
好ましくは、L1及びL2は、それぞれ独立して、場合により置換されたフェニレンまたはナフチレンであり、ここでL1及びL2の少なくとも一つは、スルホ、カルボキシ、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくとも一つの置換基を有する。好ましくは、L1及びL2はそれぞれ独立して、L1及びL2の少なくとも一つが、スルホ及びカルボキシから選択される少なくとも一つの置換基を有するように、0〜3個の置換基、より好ましくは1または2個の置換基を有する。より好ましくは、L1及びL2の少なくとも一つは、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくとも一つの置換基を有する。
【0027】
好ましくは、L1は、スルホ及びカルボキシから選択される置換基を有する。
好ましくは、L2は、スルホ、カルボキシ、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくとも一つの置換基を有する。
【0028】
L1及びL2により表される、場合により置換されたフェニレン及びナフチレンの例としては、2-スルホフェニレン、2-カルボキシフェニレン、2,5-ジヒドロキシエチルオキシフェニレン、2,5-ジメトキシフェニレン、2,5-ジスルホフェニレン、2,5-ジエトキシフェニレン、2-メチル-5-メトキシフェニレン及び7-スルホナフチレンが挙げられる。
【0029】
式(1)の化合物が金属キレートの形態であるとき、この金属は、ホウ素または遷移金属であるのが好ましく、より好ましくはMn、Fe、Cr、Co、Ni、CuまたはZnであり、特にCo、NiまたはCuである。この金属は、1:2〜2:1の比、好ましくは1:2、2:3、1:1、2:2または2:1の金属対式(1)の化合物との比で、式(1)の化合物と錯体形成させることができる。しかしながら、本出願人は、式(1)の化合物が金属キレートの形態でないときでも、この化合物がインクジェット印刷用の有用な着色剤であることを知見した。そのような非金属化(unmetalised)染料は、たとえば遷移金属を含まないため、対応する金属キレートよりも製造が安価で且つ容易であり、環境により優しい。
【0030】
式(1)の化合物は黒色であるのが好ましい。
上記の好ましさを念頭において、式(1)の化合物は、好ましくは、式中、
Aは場合により置換されたピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ピリドニル、ピラゾロニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルまたはテトラヒドロピラニルであり;
L1は、スルホ及びカルボキシから選択される置換基を場合により有するフェニルまたはナフチルであり;
L2は、スルホ、カルボキシ、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくとも一つの置換基を有するフェニルまたはナフチルであり;並びに
m及びnは、それぞれ独立して、m+nが1または2であるように0または1であり;
ここで、前記場合によって有してもよい置換基は、OH;SO3H;CN;カルボンアミド(carbonamido);PO3H2;CO2H;NO2;NH2;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するC1-4-アルキル;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、C1-4-アルキル、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するC1-4-アルコキシ;フェニルまたはスルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ及び、スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有する一つ若しくは二つのC1-4-アルキル基を有するNから選択される1〜3個の置換基を場合により有するフェニル;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するひとつまたは二つのC1-4-アルキル基を有するN;並びにC1-4-アシルアミノから選択される、式(1)の化合物である。
【0031】
上記の好ましさを念頭において、式(1)の化合物は、式中、
Aはカルボンアミド及びC1-4-アルキルから選択される少なくともひとつの置換基を有するピリドニルであり;
L1は、少なくともひとつのスルホ置換基を有するフェニルであり;
L2は、スルホ、カルボキシC1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有するフェニルであり;並びに
m及びnが両方とも1である、式(1)の化合物がさらに好ましい。
【0032】
本発明の第二の側面に従って、上記定義のごとき式(1)のトリスアゾ化合物またはその塩を提供する、但し;
(i)式(1)の化合物は、場合により金属キレートの形態であり;
(ii)L1及びL2はそれぞれ独立して、場合により置換されたフェニレンまたはナフチレンであり;
(iii)L1及びL2上に存在する場合によって有してもよい置換基は、OH、SO3H、CN、カルボンアミド、PO3H2、CO2H、NO2、NH2、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアミン及び場合により置換されたアシルアミンから選択され;
(iv)L1及びL2の少なくともひとつは、スルホ、カルボキシ、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有し;及び
(v)L1がメトキシ基を有するとき、Aは1,3-ジアミノフェニルではない。
【0033】
本発明の第二の側面に従う化合物の好ましい例は、本発明の第一の側面に関し上記のごときであるが、但し、Lにより表される両方の基がスルホ、カルボキシ及びC1-4-アルコキシ-OHを含まないとき、Aは1,3-ジアミノフェニルではない。
【0034】
本発明の第三の側面に従って、本発明の第一の側面に関連して定義したような式(1)のトリスアゾ化合物またはその塩と、低融点固体または水及び有機溶媒を含む液体媒体を含む組成物を提供し、ここで、式(1)の化合物は、式(3)の化合物:
【0035】
【化3】

【0036】
でも、その塩でもない。
式(1)の化合物においてAにより表される基は、1,3-ジアミノフェニルではないのが好ましい。
【0037】
本組成物は、好ましくは、
(a)本発明の第一の側面に関して定義したような式(1)の化合物またはその塩0.01〜30部;及び
(b)低融点の固体または、水と有機溶媒とを含む液体媒体を70〜99.99部
を含み、ここで全ての部は重量であり、且つ(a)+(b)の部の数=100である。
【0038】
本プロセスは、好ましくは、上記組成物を使用する。
成分(a)の部数は、好ましくは0.1〜20であり、より好ましくは0.5〜15であり、特に1〜5部である。成分(b)の部数は、好ましくは99.9〜80であり、より好ましくは99.5〜85であり、特に99〜95部である。
【0039】
成分(a)は、成分(b)に完全に溶解するのが好ましい。成分(a)は、20℃で成分(b)中、少なくとも10%の溶解性をもつのが好ましい。これによって、インクを製造するのに使用し得る液体染料濃縮物を製造することができ、且つ、貯蔵の間に液体媒体が蒸発しても、染料が沈殿する可能性が減少する。
【0040】
水対有機溶媒の重量比は、好ましくは99:1〜1:99であり、より好ましくは99:1〜50:50であり、特に95:5〜80:20である。
水と有機溶媒との混合物中に含まれる有機溶媒は、水混和性の有機溶媒または、そのような溶媒の混合物であるのが好ましい。好ましい水混和性有機溶媒としては、C1-4-アルカノール類、好ましくはメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、シクロペンタノール及びシクロヘキサノール;線状アミド類、好ましくはジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド;ケトン類及びケトン-アルコール類、好ましくはアセトン、メチルエーテルケトン、シクロヘキサノン及びジアセトンアルコール;水混和性エーテル類、好ましくはテトラヒドロフラン及びジオキサン;ジオール類、好ましくは2〜12個の炭素原子をもつジオール類、たとえばペンタン-1,5-ジオール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール及びチオジグリコール並びにオリゴ-及びポリ-アルキレングリコール類、好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;チオール類、好ましくはグリセロール及び1,2,6-ヘキサントリオール;ジオール類のモノ-C1-4-アルキルエーテル類、好ましくは2〜12個の炭素原子をもつジオールのモノ-C1-4-アルキルエーテル類、特に2-メトキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)-エタノール、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2-[2-(2-エトキシエトキシ)-エトキシ]-エタノール及びエチレングリコールモノアリルエーテル;環式アミド類、好ましくは2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、カプロラクタム及び1,3-ジメチルイミダゾリドン;環式エステル類、好ましくはカプロラクトン;スルホキシド類、好ましくはジメチルスルホキシド及びスルホランが挙げられる。好ましくは、液体媒体は水と、2種以上、特に2〜8種の水溶性有機溶媒とを含む。
【0041】
特に好ましい水溶性有機溶媒としては、環式アミド類、特に2-ピロリドン、N-メチル-ピロリドン及びN-エチル-ピロリドン;ジオール類、特に1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、チオジグリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール;並びにジオール類のモノ- C1-4-アルキル及びC1-4-アルキルエーテル類、より好ましくは2〜12個の炭素原子をもつジオール類のモノ- C1-4-アルキルエーテル類、特に((2-メトキシ-2)-エトキシ)-2-エトキシエタノールがある。
【0042】
場合により、この液体媒体は酸化体(oxidant)を含む。
好ましい低融点固体は、60℃〜125℃の範囲の融点をもつ。好適な低融点固体としては、長鎖脂肪酸またはアルコール類、好ましくはC18-24-鎖をもつもの、及びスルホンアミド類が挙げられる。式(1)の化合物は、低融点固体に溶解させることができるか、その中に微細に分散させることができる。
【0043】
通常、この液体媒体は、さらに一種以上の界面活性剤、たとえばアニオン性及び/または非イオン性界面活性剤を含む。アニオン界面活性剤の例としては、スルホネート界面活性剤、たとえばスルホスクシネート類[Aerosol(商標)OT、A196;AY及びGP、CYTEC製]及びスルホネート類[Aerosol(商標)DPOS-45、OS、CYTEC製;Witconate(商標)C50H、WITCO製;Dowfax(商標)8390、DOW製];並びにフルオロ界面活性剤[Fluorad(商標)FC99C、3M製]が挙げられる。非-イオン性界面活性剤の例としては、フルオロ界面活性剤[Fluorad(商標)FC170C、3M製];アルコキシレート界面活性剤[Tergitol(商標)シリーズ15S-5、15S-7及び15S-9、Union Carbide製];並びにオルガノシリコーン界面活性剤[Silwet(商標)L-77及びL-76-9、WITCO製]が挙げられる。
【0044】
一種以上の緩衝剤を場合により、この液体媒体に配合して、インクのpHを調節することができる。緩衝剤は、有機ベースの生物学的緩衝剤または無機的緩衝剤であってもよく、有機ベースが好ましい。好ましく用いられる緩衝剤の例としては、Aldrich Chemical(Milwaukee,ウィスコンシン州)などの会社より販売されているトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、4-モルホリンエタンスルホン酸(MES)、4-モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、及びベータ-ヒドロキシ-4-モルホリンプロパンスルホン酸(MOPSO)が挙げられる。さらに、使用される緩衝剤は、本発明の実施では約3〜約9個の範囲のpH、好ましくは約4〜約6、最も好ましくは約4〜約5の範囲のpHを提供しなければならない。
【0045】
インクジェットインクで通常使用される一種以上の殺生物剤を場合によりインクに使用することができ、これらの例としては、Huls America(Piscataway,N.J.)製のNuosept(商標)95、Zeneca(Wilmington,Del.)製のProxel(商標)GXL;及び商標Ucarcide 250のもと、Union Carbide Company(Bound Brook,N.J.)製のグルタアルデヒドがある。
【0046】
本発明に従ったインクは、場合により一種以上の金属キレート化剤も含むことができる。そのようなキレート化剤を使用して、インクに含まれる遷移金属カチオンを結合させる。好ましい金属キレート化剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレンジアミン五酢酸(DPTA)、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸(CDTA)、エチレンジニトリロ四酢酸(EGTA)または他のキレート化剤が挙げられる。
【0047】
一態様において、本発明に従うインクは、約3〜約5、好ましくは約3.5〜約4.5のpHをもつ。もう一つの態様では、本組成物のpHは、4〜11が好ましく、7〜10がより好ましい。場合により本組成物は、緩衝剤を含む。
【0048】
25℃における本組成物の粘度は、好ましくは50cP未満であり、より好ましくは20cP未満であり、特に5cP未満である。
本発明に従った組成物をインクジェット印刷用インクとして使用するとき、本組成物は、百万分の500部未満、より好ましくは百万分の100部未満のハロゲン化物イオンの濃度であるのが好ましい。本組成物は、二価及び三価金属が百万分の100部未満であるのが好ましく、百万分の50部未満がより好ましい。ここで部は、本組成物の総重量に対する重量部である。本出願人は、組成物を精製してこれらの不都合なイオンの濃度を低下させることによって、インクジェット印刷用ヘッド、特にサーマルインクジェットプリンタでのノズル閉塞を軽減させることを知見した。同様に、二価及び三価金属が低レベルであることも好ましい。
【0049】
本発明の化合物は、その魅力的な黒の陰影(black shade)のため、本組成物中で単独の着色剤として使用することができる。しかしながら、所望により、またはやや異なる陰影が特定の利用目的に関して必要な場合、本発明の化合物と一緒に一種以上のさらなる着色剤とを混合して(その溶解性を改善することによって)ノズル閉塞を軽減させることができる。追加の着色剤は染料であるのが好ましい。追加の着色剤を本組成物に配合するとき、これらはブラック、マゼンタ、シアン及びイエロー着色剤並びにこれらの組み合わせから選択するのが好ましい。
【0050】
追加の好適な黒の着色剤としては、C.I.Food Black2、C.I.Direct Black 19、C.I.Reactive Black 31、PRO-JET(商標)Fast Black2、C.I.Direct Black 195;C.I.Direct Black1 68;及びLexmark(たとえば欧州特許第0 539,178A2号、実施例1、2、3、4及び5)、Orient Chemicals(たとえば欧州特許第0 347 803A2号、5〜6頁、アゾ染料3、4、5、6、7、8、12、13、14、15及び16)及びSeiko Epson Corporationによる特許に記載の黒色染料が挙げられる。
【0051】
追加の好適なマゼンタ着色剤としては、PRO-JET(商標)Fast Magenta2が挙げられる。
追加の好適なイエロー着色剤としては、C.I.Direct Yellow1 42;C.I.Direct Yellow 132;C.I.Direct Yellow 86;PRO-JET(商標)Yellow OAM;PRO-JET(商標)Fast Yellow2;C.I.Direct Yellow 85;C.I.Direct Yellow 173;及びC.I.Acid Yellow 23が挙げられる。
【0052】
追加の好適なシアン着色剤としては、フタロシアニン着色剤、C.I.Direct Blue 199及びC.I.Acid Blue 99が挙げられる。
本組成物は、インクジェット印刷用インクで慣用的に使用される追加の成分、たとえば粘度及び表面張力変性剤、腐食防止剤、殺生物剤、コゲーション軽減剤(kogation reducing agent)及び、イオンまたは非-イオン性であってもよい界面活性剤も含むことができる。
【0053】
本発明の第四の側面では、本出願人は、式(4):
【0054】
【化4】

【0055】
のアミンをジアゾ化し、得られたジアゾニウム塩と式A-Hの化合物とをカップリングさせることを含む、上記定義のごとき式(1)の化合物の製造プロセスも考案した。
式(4)の化合物は、式:CH3CONH-L1N=N-L2NH2の化合物をジアゾ化し、得られたジアゾニウム塩を好適な1,8-ジヒドロキシナフタレン化合物にカップリングさせ、そして加水分解によりCH3CO基を除去することによって製造することができる。式:CH3CONH-L1N=N-L2NH2の化合物は、式:CH3CONH-L1-NH2のアミンをジアゾ化し、式:H-L2-NH2のアミンにカップリングさせることにより製造することができる。
【0056】
好ましくは、このジアゾ化は、酸性条件下、ジアゾ化剤、特に亜硝酸ナトリウムを使用して実施する。さらに好ましくは、このジアゾ化は、0〜5℃の温度で実施する。上記プロセスにおいて、A、L1、L2、m及びnは、上記定義のごときである。
【0057】
本発明のさらなる側面により、本発明に従った組成物、化合物またはプロセスにより印刷した紙、オーバーヘッドプロジェクター用スライドまたはテキスタイル材料を提供する。
【0058】
本発明のさらなる側面として、一つ以上のチャンバ及び組成物を含む、場合により詰め替え可能な、インクジェットプリンタカートリッジを提供し、ここで前記組成物は前記チャンバの少なくとも一つに含まれ、且つ前記組成物は本発明の第三の側面に定義のごときである。
【0059】
本発明の化合物及び組成物は、テキスト及び画像をインクジェット印刷するのに特に適した、魅力的なニュートラルブラックの陰影の印刷物を提供する。本発明の組成物は優れた貯蔵安定性をもち、インクジェットプリンタで使用される非常に細いノズルを閉塞する傾向が低い。さらに、得られた画像は優れた光学密度、耐光性、耐水堅牢度(wet-fastness)、及び酸化性の大気汚染物質(たとえば、オゾン)の存在下での耐退色性(resistance to fading)を有する。
【0060】
本発明を、以下の実施例によりさらに説明する。ここで、他に記載しない限り、全ての部及び割合は重量である。略語「Ac」はCH3CO-を意味する。
【0061】
実施例1
【0062】
【化5】

【0063】
の製造
【0064】
中間体2,5-ジ-(2-アセトキシエトキシ)アニリンの製造
ステップ1−1,4-ビス(2-アセトキシエトキシ)ヒドロキノンの製造
ヒドロキノンビス-(2-ヒドロキシエチル)エーテル(179g)、酢酸(100ml)及び無水酢酸(300ml)を、還流下で一晩、撹拌し加熱した。室温に冷却し、水(2l)に浸漬した後、生成物を濾過により単離し、水洗し、乾燥し、次いでエタノールから再結晶させると、生成物212gが得られた。
【0065】
ステップ2−2-ニトロ-1,4-ビス-(2-アセトキシエトキシ)ヒドロキノンの製造
ステップ1の生成物(211.5g)を酢酸(1800ml)に溶解させた。次いで、硝酸(51.9ml)と酢酸(200ml)との混合物を、温度を20℃未満に保持しながら20分かけて添加した。室温で一晩撹拌した後、この溶液を水(9l)に浸漬した後、生成物を濾過により単離し、水洗し、エタノールから再結晶させると、生成物209gが得られた。
【0066】
ステップ3−2,5-ジ-(2-アセトキシエトキシ)アニリンの製造
2-ニトロ-1,4-ビス-(2-アセトキシエトキシ)ヒドロキノン(115g)を50℃でエタノールに溶解し、パラジウム触媒(2g,5%Pd/C)の存在下、水素で還元した。水素の取り込みが停止したら、溶液を選別して触媒を除去し、濾液を室温に放冷した。結晶質固体を濾過により単離し、真空下で乾燥すると、生成物90gが得られた。
【0067】
ステージ1−モノアゾ-4-(4-アセチルアミノ-2-スルホ-3-フェニルアゾ)-2,5-ジ-(2-アセトキシエトキシ)アニリンの製造
【0068】
【化6】

【0069】
4-アミノ-3-スルホアセトアニリド(174g;0.6mol)をpH9で、水(2.5l)中で撹拌し、亜硝酸ナトリウム(45.54g;0.66mol)を添加した。この溶液を、濃塩酸(180ml)を含む氷/水に撹拌しながら添加した。10℃未満で1.5時間撹拌した後、スルファミン酸を添加して、過剰量の亜硝酸を破壊した。2,5-ジ-(2-アセトキシエトキシ)アニリン(178.2g;0.6mol)をアセトン(1000ml)に溶解し、0〜10℃で上記ジアゾニウム塩の懸濁液に添加し、続いてピリジン(30ml)をゆっくりと添加した。室温で一晩撹拌した後、沈殿した生成物を濾別し、水洗した。湿気のあるペーストをアセトン中で撹拌し、濾過し、乾燥(50℃)すると、橙色固体(210g;64%)が得られた。
【0070】
ステップ2−ビスアゾ中間体の製造
【0071】
【化7】

【0072】
ステージ1からのモノアゾ生成物(24.75g;0.05mol)を、pH10で撹拌しながら、水(300ml)に溶解し、これに亜硝酸ナトリウム(6.90g;0.1mol)とアセトン(200ml)とを添加した。次いで、得られた混合物を、室温で撹拌しながら0.10M塩酸(70ml)に添加した。1時間撹拌した後、スルファミン酸を添加して、過剰量の亜硝酸を破壊した。次いで得られたジアゾニウム塩を、必要により2Nの水酸化ナトリウムを添加して保持したpH7〜8で、0〜10℃でクロモトロプ酸の撹拌溶液(20.00g;0.05mol)に添加した。一晩撹拌した後、25%(w/v)塩化リチウムを添加して生成物を沈殿させ、次いで濾過し、30%(w/v)塩化リチウム溶液で洗浄した。得られた湿ったペーストを水(700ml)に懸濁させ、水酸化リチウム水和物(25.00g;0.60mol)を添加して、70℃で溶液を添加した。3時間後、濃塩酸を添加して溶液をpH6〜7に中和した。20%(w/v)塩化リチウムをゆっくりと添加して生成物を沈殿させ、濾過し、25%(w/v)塩化リチウム溶液で洗浄した。湿ったペーストを水に溶解し、低伝導度で透析した。この溶液を蒸発乾涸させると(70℃)、黒色粉末(25.5g;67%)が得られた。
【0073】
ステージ3−表記染料の製造
ステージ2のアミノジスアゾ化合物(12.00g;0.0158mol)を、pH9で撹拌しながら水(250ml)に溶解し、これにカルソレン油(calsolene oil)(1ml)と亜硝酸ナトリウム(1.20g;0.0174mol)を添加した。次いで、得られた溶液を0〜10℃で撹拌しながら、濃塩酸(5ml)を含む氷/水(100g)に添加した。0〜10℃で1時間撹拌した後、スルファミン酸を添加して、過剰量の亜硝酸を破壊した。得られたジアゾニウム塩を、0〜10℃で1-(4-スルホフェニル)-3-カルボキシ-5-ピラゾロン(5.39g;0.19mol)の水(100ml)中の撹拌溶液に添加し、次いでpH7に調整した。一晩撹拌した後、この溶液をアセトン(3l)に撹拌しながら注ぎ、濾過し、アセトンで洗浄した。固体を水に溶解し、低伝導度で透析にかけると、蒸発(80℃)後に黒色粉末が得られた(11.61g;68.8%;λmax612nm及びεmax82232;マススペクトル(M-H)-ve 1037)。
【0074】
実施例2
【0075】
【化8】

【0076】
の製造
4-アミノ-3-スルホアセトアニリドの代わりに4-ミノ-3-カルボキシアセトアニリドを使用した以外には、実施例1の方法を繰り返した。得られた化合物は、602nmでλmax及びεmax79,227であった。
【0077】
実施例3
【0078】
【化9】

【0079】
の製造
2,5-ジ-(2-アセトキシエトキシ)アニリンの代わりに、2,5-ジ-(メトキシ)アニリンを使用した以外には、実施例2の方法を繰り返した。得られた化合物は、601nmでλmaxを有していた。
【0080】
実施例4
【0081】
【化10】

【0082】
の製造
2,5-ジ-(2-アセトキシエトキシ)アニリンの代わりに、1-アミノ-7-スルホナフタレンを使用した以外には、実施例1の方法を繰り返した。得られた化合物は、604nmでλmax及びεmax69,419であった。
【0083】
実施例5〜38
それぞれの場合において他に示さない限り(N/A)、(表1を参照して)1-(4-スルホフェニル)-3-カルボキシ-5-ピラゾロンの代わりにA欄に示される化合物を使用し、4-アミノ-3-スルホアセトアニリドの代わりにL1欄に示される化合物を使用し、2,5-ジ-(2-アセトキシエトキシ)アニリンの代わりにL2欄に示される化合物を使用した以外には、実施例1の一般的な方法に従って、表1に示される実施例5〜38を繰り返した。最終の染料構造は、表1のそれぞれの実施例に関して示す。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
【表3】

【0087】
【表4】

【0088】
【表5】

【0089】
【表6】

【0090】
【表7】

【0091】
実施例39
【0092】
【化11】

【0093】
の製造
【0094】
ステージ1
モノアゾ中間体の製造:
【0095】
【化12】

【0096】
実施例1(ステージ1)の如く製造した、4-アミノ-3-スルホアセトアニリドジアゾニウム塩(0.2mol)を、必要により2N水酸化リチウムを添加して保持したpH6〜7及び0〜10℃で、水(400ml)中のクロモトロプ酸(80.0g;0.2mol)の撹拌溶液に添加した。一晩撹拌した後、水酸化リチウム水和物(80g;2mol)を添加し、溶液を70〜80℃で4時間加熱した。この溶液を室温に冷却し、次いで、濃塩酸を添加してpH3に調節した。次いでこの溶液をアセトンに注ぎ、次いで液体をデカンテーションした。得られた油状物をpH8で水に溶解すると、上記モノアゾ中間体の0.1827molar溶液796.0gが得られた。
【0097】
ステージ2
ジスアゾ中間体の製造:
【0098】
【化13】

【0099】
亜硝酸ナトリウム(1.52g;0.022mol)をステージ1からの撹拌溶液(100ml,0.02mol)に添加し、次いでこれを、濃塩酸(6ml)を含む氷/水(100ml)に滴下添加した。2時間撹拌した後、スルファミン酸を添加して過剰量の亜硝酸を破壊した。得られたジアゾニウム塩を、必要により2N水酸化リチウムを添加して保持したpH8〜9及び0〜10℃で、水(50ml)中の1-ヒドロキシ-3-スルホ-7-アミノナフタレン(5.96g;0.022mol)の撹拌溶液に添加した。一晩撹拌した後、アセトンを添加して生成物を沈殿させ、濾過し、アセトン洗浄すると、乾燥後に黒色固体(30.5g;0.02mol)が得られた。
【0100】
ステージ3:表記染料の製造
ステージ2からの生成物(0.01mol)を、pH9で、水(150ml)中に溶解し、亜硝酸ナトリウム(0.77g;0.011mol)を添加した。得られた懸濁液を、0〜10℃で濃塩酸(6ml)を含む氷/水(100g)に添加した。2時間撹拌した後、スルファミン酸を添加して過剰量の亜硝酸を破壊した。得られたジアゾニウム塩を、必要により2N水酸化リチウムを添加して保持したpH9〜10及び0〜10℃で、水(25ml)中の1-エチル-6-ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド(2.45g;0.0125mol)の撹拌溶液に添加した。一晩撹拌した後、アセトンを添加して生成物を沈殿させ、濾過し、洗浄すると、乾燥後に黒色固体が得られた(1.01g;10%;λmax598nm,631nm;(M-3H)-ve 324)。
【0101】
実施例40〜44
(表2を参照して)1-エチル-6-ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミドの代わりにA欄に示される化合物を使用し、ガンマ酸の代わりにL1欄に示されるアミンを使用し、4-アミノ-3-スルホアセトアニリドの代わりにL2欄に示されるアミンを使用した以外には、実施例39の一般的な方法に従って、表2に示される実施例40〜44を繰り返した。最終の染料構造は、表2のそれぞれの実施例に関して示す。
【0102】
【表8】

【0103】
【表9】

【0104】
実施例45
【0105】
【化14】

【0106】
の製造
【0107】
ステージ1
モノアゾ中間体の製造:
【0108】
【化15】

【0109】
実施例1(ステージ1)のごとく製造した4-アミノ-3スルホアセトアニリドジアゾニウム塩(0.1mol)を、必要により2N水酸化リチウムを添加して保持したpH9〜10及び0〜10℃で、1-ヒドロキシ-6-アミノ-3,5-ナフタレンジスルホン酸(35.09g;0.11mol)の撹拌溶液に添加した。一晩撹拌した後、この溶液をpH8に調節し、30%(w/v)塩化リチウムを添加して生成物を沈殿させ、濾過し、40%(w/v)塩化リチウム溶液で洗浄した。得られた溶液をpH10で水に溶解すると、上記モノアゾ中間体0.085molの溶液688.7gが得られた。
【0110】
ステージ2
ジスアゾ中間体の製造:
【0111】
【化16】

【0112】
亜硝酸ナトリウム(6.3g;0.091mol)をステージ1からの撹拌溶液(0.084mol)に添加し、これを、0〜10℃で、濃塩酸(40ml)を含む氷/水(200g)に添加した。1.5時間撹拌した後、スルファミン酸を添加することにより、過剰量の亜硝酸を破壊した。次いで得られたジアゾニウム塩を、必要により2N水酸化リチウムを添加して保持したpH7〜8及び0〜10℃で、クロモトロプ酸(36.96g;0.092mol)の撹拌溶液に添加した。一晩撹拌した後、30%(w/v)塩化リチウムを添加して生成物を沈殿させ、次いで濾過し、35%(w/v)塩化リチウム溶液で洗浄した。得られた湿ったペーストを水に溶解すると、上記ジスアゾ中間体0.084molを含む溶液1150mlが得られた。
【0113】
ステップ3
加水分解したジスアゾ中間体の製造:
【0114】
【化17】

【0115】
水酸化リチウム水和物(50g;1.24mol)を、ステージ2からの撹拌溶液(0.073mol)(1000ml)に添加し、次いでこれを70〜80℃で2.5時間加熱した。濃塩酸でこの溶液をpH9に調節し、次いで一晩冷却すると、上記ジスアゾ中間体0.072molを含む溶液1279.0gが得られた。
【0116】
ステージ4 表記化合物の製造
亜硝酸ナトリウム(0.84g;0.012mol)をステージ3からの撹拌溶液(0.01mol)(165ml)に添加し、次いでこれを、濃塩酸(6ml)を含む氷/水(100g)に0〜10℃で添加した。2時間撹拌した後、スルファミン酸を添加して過剰量の亜硝酸を破壊した。次いで得られたジアゾニウム塩を、必要により2N水酸化リチウムを添加して保持したpH5〜7及び0〜10℃で、1-エチル-6-ヒドロキシ-4-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド(2.40g;0.012mol)の水(100ml)中の撹拌溶液に滴下添加した。一晩撹拌した後、15%(w/v)塩化リチウムを添加して、生成物を沈殿させ、次いで濾過し、20%(w/v)塩化リチウム溶液で洗浄した。湿ったペーストを水(400ml)に溶解し、撹拌しながらアセトン(4000ml)で希釈し、次いで濾過し、アセトンで洗浄した。この固体を水に溶解し、次いで低伝導率で透析すると、蒸発乾涸(60℃)の後に黒色粉末が得られた(8.15g;75%;λmax588nm;εmax132812;マススペクトル(M-2H)-ve 527)。
【0117】
実施例46〜59−混合物
表3に記載の以下の混合物を製造することができる。表中、括弧内の数字は、関連する化合物の重量部数である。
【0118】
【表10】

【0119】
実施例60−インク配合物
以下の構成に従ってインクを製造することができる。ここで染料は、上記実施例のそれぞれの化合物または混合物である。2-ピロリドン5部;チオジグリコール5部、Surfynol(商標)1部(Air Products Inc.,アメリカ);染料3部;水86部。
【0120】
表4及び5に記載のインクをさらに製造することができる。ここで第一欄に記載の染料は、同じ番号の上記実施例で製造した化合物または混合物である。第二欄に引用した数字は、関連する成分の部数を指し、全ての部は重量である。インクは、サーマルまたは圧電性インクジェット印刷によって紙に施すことができる。
【0121】
以下の略号を表4及び5において使用する。
PG=プロピレングリコール;DEG=ジエチレングリコール;NMP=N-メチルピロリドン;DMK=ジメチルケトン;IPA=イソプロパノール;MEOH=メタノール;2P=2-ピロリドン;MIBK=メチルイソブチルケトン;P12=プロパン-1,2-ジオール;BDL=ブタン-2,3-ジオール;CET=トリス(2-アミノエチル)アミン緩衝液;PHO=Na2HPO4及びTBT=三級ブタノール;TDG=チオジグリコール。
【0122】
【表11】

【0123】
【表12】

【0124】
実施例61〜66−印刷試験例
実施例60の第一段落に記載のインクは、Hewlett Packard DeskJet 560C(商標)を使用して種々の紙にインクジェット印刷した。それぞれの印刷物のCIE色座標(a,b,L,彩度及び色相H)は、Gretag Spectrolinoスペクトロデンシトメーター(商標)を使用し、0゜/45゜測定幾何学、20nmスペクトル間隔、400〜700nmのスペクトル範囲で、イルミナントD50を使用し、2゜(CIE1931)のオブザーバー角度と状態Aの密度操作で測定した。10mm×10mmより大きいサイズの印刷物上のべた一色の区画を対角線上に横切って、2回以上の測定を実施した。得られた印刷物の特性を表6に示す。ここでインクを製造するのに使用した染料の実施例の番号は、左手側の欄に示し、RODは、相対光学密度(Relative Optical Density)である。表6、7及び8に記載の支持体は、以下のようであった。
【0125】
【表13】

【0126】
耐光堅牢度
耐光堅牢度を評価するために、印刷物をAtlas Ci5000ウェザロメーター(Weatherometer)(商標)中で100時間照射した。この結果を表7に示す。表中、インクを製造するのに使用した染料の実施例番号は左手側の欄に示されている。退色度は△Eで表し、数字が小さいと耐光堅牢度が高いことを表す。△Eは、印刷物のCIE色座標L、a、bにおける全体の変化として定義され、等式:△E=(△L2+△a2+△b2)0.5により表される。
【0127】
【表14】

【0128】
耐オゾン性
HP560(商標)インクジェットプリンタを使用して、示されている支持体上に実施例61〜66のインクを印刷した。次いで、この印刷した支持体を、Hampden Test Equipment製のオゾン試験キャビネットを使用して、オゾン安定性について評価した。この試験は、オゾン100万分の1部(part per million)の存在下、40℃及び50%相対湿度で24時間、実施した。印刷したインクのオゾンに対する耐性は、Gretag Spectrolino Spectrodensitometerを使用して、オゾンに暴露する前後の光学密度の差によって判断した。従って、ODの%損失が小さいほど、耐オゾン性が高い。結果を表8に示し、ここでインクを製造するのに使用した染料の実施例番号は、左手側の欄に示されている。これらの結果は、本発明の組成物をベースとするインクが優れた耐オゾン性を示すことをはっきりと実証している。
【0129】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に画像を印刷するためのプロセスであって、液体媒体と、式(1):
【化1】

{式中、Aは場合により置換されたアルケニル、ホモ環式またはヘテロ環式基であり;
L1及びL2は、それぞれ独立して場合により置換されたアリールまたはヘテロアリールであり;並びに
m及びnは、m+nが1または2であるように、それぞれ独立して0または1であり;
ここで、
(i)式(1)の化合物は、場合により金属キレートの形態であり;及び
(ii)L1及びL2の少なくともひとつは、スルホ、カルボキシ、C1-4アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有する}のトリスアゾ化合物またはその塩とを含む組成物を前記支持体に施すことを含む、前記プロセス。
【請求項2】
前記組成物をインクジェットプリンタによって支持体に施す、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記画像がテキスト、写真、フォトリアリスティックな画像またはそれらの組み合わせである、請求項1または2のいずれかひとつに記載のプロセス。
【請求項4】
前記支持体が紙、プラスチック、金属またはガラスである、請求項1〜3のいずれかひとつに記載のプロセス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかひとつに記載のプロセスであって、ここで
Aは場合により置換されたピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ピリドニル、ピラゾロニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルまたはテトラヒドロピラニルであり;
L1は、スルホ及びカルボキシから選択される置換基を場合により有するフェニルまたはナフチルであり;
L2は、スルホ、カルボキシC1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有するフェニルまたはナフチルであり;並びに
m及びnは、m+nが1または2であるようにそれぞれ独立して0または1であり;
ここで、前記場合によって有してもよい置換基は、OH;SO3H;CN;カルボンアミド;PO3H2;CO2H;NO2;NH2;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するC1-4-アルキル;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、C1-4-アルキル、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するC1-4-アルコキシ;フェニルまたはスルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ及び、スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するひとつ若しくは二つのC1-4-アルキル基を有するNから選択される1〜3個の置換基を場合により有するフェニル;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するひとつまたは二つのC1-4-アルキル基を有するN;並びにC1-4-アシルアミノから選択される、前記プロセス。
【請求項6】
式(1)のトリスアゾ化合物:
【化2】

{式中、Aは場合により置換されたアルケニル、ホモ環式またはヘテロ環式基であり;
L1及びL2は、それぞれ独立して場合により置換されたアリールまたはヘテロアリールであり;並びに
m及びnは、m+nが1または2であるように、それぞれ独立して0または1であり;
但し、
(i)式(1)の化合物は、場合により金属キレートの形態であり;
(ii)L1及びL2はそれぞれ独立して、場合により置換されたフェニレンまたはナフチレンであり;
(iii)L1及びL2上に存在する場合によって有してもよい置換基は、OH、SO3H、CN、カルボンアミド、PO3H2、CO2H、NO2、NH2、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアミン及び場合により置換されたアシルアミンから選択され;
(iv)L1及びL2の少なくともひとつは、スルホ、カルボキシ、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有し;及び
(v)L1がメトキシ基を有するとき、Aは1,3-ジアミノフェニルではない}またはその塩。
【請求項7】
Aが場合により置換されたピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ピリドニル、ピラゾロニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルまたはテトラヒドロピラニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Aが場合により置換されたピリドニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
L1が、スルホ及びカルボキシから選択される置換基を場合により有するフェニルまたはナフチルである、請求項6〜8のいずれかひとつに記載の化合物。
【請求項10】
L2が、スルホ、カルボキシ、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有するフェニルまたはナフチルである、請求項6〜9のいずれかひとつに記載の化合物。
【請求項11】
L2が、二つのC1-4-アルコキシ-OH置換基を有するフェニルである、請求項6〜10のいずれかひとつに記載の化合物。
【請求項12】
Aは場合により置換されたピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ピリドニル、ピラゾロニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルまたはテトラヒドロピラニルであり;
L1は、スルホ及びカルボキシから選択される置換基を場合により有するフェニルまたはナフチルであり;
L2は、スルホ、カルボキシ、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有するフェニルまたはナフチルであり;並びに
m及びnは、m+nが1または2であるようにそれぞれ独立して0または1であり;
ここで、前記場合によって有してもよい置換基は、OH;SO3H;CN;カルボンアミド;PO3H2;CO2H;NO2;NH2;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するC1-4-アルキル;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、C1-4-アルキル、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するC1-4-アルコキシ;フェニルまたはスルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ及び、スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するひとつ若しくは二つのC1-4-アルキル基を有するNから選択される1〜3個の置換基を有するフェニル;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するひとつまたは二つのC1-4-アルキル基を有するN;並びにC1-4-アシルアミノから選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項13】
Aはカルボンアミド及びC1-4-アルキルから選択される少なくともひとつの置換基を有するピリドニルであり;
L1は、少なくともひとつのスルホ置換基を有するフェニルであり;
L2は、スルホ、カルボキシC1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有するフェニルであり;並びに
m及びnが両方とも1である、場合により金属キレートの形態である、請求項6に記載の式(1)のトリスアゾ化合物またはその塩。
【請求項14】
本明細書に記載の実施例のいずれかひとつに記載の化合物。
【請求項15】
式(1)の化合物が式(3):
【化3】

でも、その塩でもない、請求項1に記載の式(1)の化合物またはその塩と、低融点固体または水及び有機溶媒を含む液体媒体とを含む組成物。
【請求項16】
式(1)の化合物は請求項6〜14のいずれかひとつの定義の通りである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
百万分の500部未満のハロゲン化物イオン濃度を有し、ここで部は、組成物の総重量に対する重量部を指す、請求項15または16に記載の組成物。
【請求項18】
百万分の50部未満の二価及び三価金属を有し、ここで部は、組成物の総重量に対する重量部を指す、請求項15〜17のいずれかひとつに記載の組成物。
【請求項19】
請求項15、16、17若しくは18に記載の組成物または、請求項6〜14のいずれかひとつに記載の化合物または、請求項1〜5のいずれかひとつに記載のプロセスによって印刷した紙、オーバーヘッドプロジェクタースライドまたはテキスタイル材料。
【請求項20】
ひとつ以上のチャンバ及び組成物を含む、場合により詰め替え可能なインクジェットプリンタカートリッジであって、前記組成物は前記チャンバの少なくともひとつに含まれ、且つ前記組成物は請求項15〜18のいずれかひとつに定義のごときである、前記カートリッジ。
【請求項21】
インクジェット印刷における、請求項1に記載の式(1)の化合物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に画像を印刷するためのプロセスであって、液体媒体と、式(1):
【化1】

{式中、Aは場合により置換されたアルケニル、ホモ環式またはヘテロ環式基であり;
L1及びL2は、それぞれ独立して場合により置換されたアリールまたはヘテロアリールであり;並びに
m及びnは、m+nが1または2であるように、それぞれ独立して0または1であり;
ここで、
(i)式(1)の化合物は、金属キレートの形態ではなく;及び
(ii)L1及びL2の少なくともひとつは、スルホ、カルボキシ、C1-4アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有する}のトリスアゾ化合物またはその塩とを含む組成物を前記支持体に施すことを含む、前記プロセス。
【請求項2】
前記組成物をインクジェットプリンタによって支持体に施す、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記画像がテキスト、写真、フォトリアリスティックな画像またはそれらの組み合わせである、請求項1または2のいずれかひとつに記載のプロセス。
【請求項4】
前記支持体が紙、プラスチック、金属またはガラスである、請求項1〜3のいずれかひとつに記載のプロセス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかひとつに記載のプロセスであって、ここで
Aは場合により置換されたピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ピリドニル、ピラゾロニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルまたはテトラヒドロピラニルであり;
L1は、スルホ及びカルボキシから選択される置換基を場合により有するフェニルまたはナフチルであり;
L2は、スルホ、カルボキシ、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有するフェニルまたはナフチルであり;並びに
m及びnは、m+nが1または2であるようにそれぞれ独立して0または1であり;
ここで、前記場合によって有してもよい置換基は、OH;SO3H;CN;カルボンアミド;PO3H2;CO2H;NO2;NH2;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するC1-4-アルキル;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、C1-4-アルキル、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するC1-4-アルコキシ;フェニルまたはスルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ及び、スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するひとつ若しくは二つのC1-4-アルキル基を有するNから選択される1〜3個の置換基を有するフェニル;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するひとつまたは二つのC1-4-アルキル基を有するN;並びにC1-4-アシルアミノから選択される、前記プロセス。
【請求項6】
式(1)のトリスアゾ化合物:
【化2】

{式中、Aは場合により置換されたアルケニル、ホモ環式またはヘテロ環式基であり;
L1及びL2は、それぞれ独立して場合により置換されたアリールまたはヘテロアリールであり;並びに
m及びnは、m+nが1または2であるように、それぞれ独立して0または1であり;
但し、
(i)式(1)の化合物は、金属キレートの形態ではなく;
(ii)L1及びL2はそれぞれ独立して、場合により置換されたフェニレンまたはナフチレンであり;
(iii)L1及びL2上に存在する場合によって有してもよい置換基は、OH、SO3H、CN、カルボンアミド、PO3H2、CO2H、NO2、NH2、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアミン及び場合により置換されたアシルアミンから選択され;
(iv)L1及びL2の少なくともひとつは、スルホ、カルボキシ、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有し;及び
(v)L1がメトキシ基を有するとき、Aは1,3-ジアミノフェニルではない}またはその塩。
【請求項7】
Aが場合により置換されたピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ピリドニル、ピラゾロニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルまたはテトラヒドロピラニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Aが場合により置換されたピリドニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
L1が、スルホ及びカルボキシから選択される置換基を場合により有するフェニルまたはナフチルである、請求項6〜8のいずれかひとつに記載の化合物。
【請求項10】
L2が、スルホ、カルボキシ、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有するフェニルまたはナフチルである、請求項6〜9のいずれかひとつに記載の化合物。
【請求項11】
L2が、二つのC1-4-アルコキシ-OH置換基を有するフェニルである、請求項6〜10のいずれかひとつに記載の化合物。
【請求項12】
Aは場合により置換されたピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ピリドニル、ピラゾロニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルまたはテトラヒドロピラニルであり;
L1は、スルホ及びカルボキシから選択される置換基を場合により有するフェニルまたはナフチルであり;
L2は、スルホ、カルボキシ、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有するフェニルまたはナフチルであり;並びに
m及びnは、m+nが1または2であるようにそれぞれ独立して0または1であり;
ここで、前記場合によって有してもよい置換基は、OH;SO3H;CN;カルボンアミド;PO3H2;CO2H;NO2;NH2;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するC1-4-アルキル;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、C1-4-アルキル、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するC1-4-アルコキシ;フェニルまたはスルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ及び、スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するひとつ若しくは二つのC1-4-アルキル基を有するNから選択される1〜3個の置換基を有するフェニル;スルホ、カルボキシ、ホスファト、C1-4-アルコキシ、アミノ若しくはヒドロキシ基を場合により有するひとつまたは二つのC1-4-アルキル基を有するN;並びにC1-4-アシルアミノから選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項13】
Aはカルボンアミド及びC1-4-アルキルから選択される少なくともひとつの置換基を有するピリドニルであり;
L1は、少なくともひとつのスルホ置換基を有するフェニルであり;
L2は、スルホ、カルボキシ、C1-4-アルコキシ及びC1-4-アルコキシ-OHから選択される少なくともひとつの置換基を有するフェニルであり;並びに
m及びnが両方とも1である、請求項6に記載の式(1)のトリスアゾ化合物またはその塩、ただし、式(1)の化合物は金属キレートの形態ではない。
【請求項14】
本明細書に記載の実施例のいずれかひとつに記載の化合物。
【請求項15】
式(1)の化合物が式(3):
【化3】

でも、その塩でもない、請求項1に記載の式(1)の化合物またはその塩と、低融点固体または水及び有機溶媒を含む液体媒体とを含む組成物。
【請求項16】
式(1)の化合物は請求項6〜14のいずれかひとつの定義の通りである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
百万分の500部未満のハロゲン化物イオン濃度を有し、ここで部は、組成物の総重量に対する重量部を指す、請求項15または16に記載の組成物。
【請求項18】
百万分の50部未満の二価及び三価金属を有し、ここで部は、組成物の総重量に対する重量部を指す、請求項15〜17のいずれかひとつに記載の組成物。
【請求項19】
請求項15、16、17若しくは18に記載の組成物または、請求項6〜14のいずれかひとつに記載の化合物または、請求項1〜5のいずれかひとつに記載のプロセスによって印刷した紙、オーバーヘッドプロジェクタースライドまたはテキスタイル材料。
【請求項20】
ひとつ以上のチャンバ及び組成物を含む、場合により詰め替え可能なインクジェットプリンタカートリッジであって、前記組成物は前記チャンバの少なくともひとつに含まれ、且つ前記組成物は請求項15〜18のいずれかひとつに定義のごときである、前記カートリッジ。
【請求項21】
インクジェット印刷における、請求項1に記載の式(1)の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−506499(P2006−506499A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552857(P2004−552857)
【出願日】平成15年11月13日(2003.11.13)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004928
【国際公開番号】WO2004/046252
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(505334581)アベシア・インクジェット・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】