説明

インクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物とその製造方法、及びそれを利用した光電変換素子の製造方法

【課題】厚さ5マイクロメートル以上の厚膜形成が可能なインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物及びその製造方法と、前記半導体酸化物インクを利用した曲面型染料感応太陽電池などの光電変換素子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の半導体酸化物インク組成物は、半導体酸化物と溶媒を含む全体溶液からなり、全体溶液100重量部に対して半導体酸化物0.1〜20重量部を含有することを特徴とし、光電変換素子の製造方法は、半導体酸化物インク組成物を準備する段階と、金属性インク組成物を準備する段階と、電導性基板の上に各々半導体酸化物厚膜及び金属グリードをコーティングして作動電極を製造する段階と、異なる一つの電導性基板の上に金属性インク組成物をプリンティングして触媒電極をコーティングし相対電極を製造する段階と、半導体酸化物厚膜と金属グリード、そして触媒電極を同時に乾燥及び焼結する段階とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物とその製造方法、及びそれを利用した光電変換素子の製造方法に係り、更に詳しくは、インクジェット印刷に適合した半導体酸化物インクを製造し、これを利用して曲面型染料感応太陽電池などの光電変換素子を効率的に製造するようにしたインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物とその製造方法、及びそれを利用した光電変換素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、親環境エネルギー分野に対する関心が集中するに従って太陽電池のような光電変換素子に対する研究が多く進められている。その中でも染料感応太陽電池は、美しい色感と外部と内部が半透明に見えるように視覚的な長所を反映しながら、建物の滑らかな曲面に沿って設置することができるため、建物一体型太陽光発電(BIPV)に適合することで知られている。
【0003】
更に、最近は高効率クリーン自動車であるHEVの車体の上面にシリコン太陽電池パネルの設置されたサンルーフが採用されているが、不透明な特性によりサンルーフ固有の開放感を生かすことができないという短所を持つため、開放感とエアロダイナミック曲面設計が共に考慮された染料感応太陽電池の採用された自動車用サンルーフの開発に期待が寄せられている。
【0004】
通常、染料感応太陽電池の基本構造は作動電極と相対電極を接合した構造を有し、電池内部には光を吸収して電子を放出する染料、放出された電子を外部電極に移動させる役割をする多孔質ナノ粒子で構成された半導体酸化物、染料から放出された電子を補う電解質などが構成され、酸化された電解質は相対電極により還元されるように構成されている。
【0005】
以下、図1を参照して染料感応太陽電池の基本的な製造方法を説明する。
まず、作動電極はITO(Indium doped Tin Oxide)やFTO(Fluorine doped Tin Oxide)のような透明電極(透明電動層)がコーティングされた電導性基板を洗浄して使用する(ST1)。
洗浄された電導性基板上に二酸化チタン、ZnO、SnO、Nbなどの半導体酸化物電極をスクリーン印刷技法によりコーティングした後(ST2)、乾燥及び焼結させる(ST3)。
【0006】
一般的に染料感応太陽電池の場合、二酸化チタンナノ粒子の効率が最も良いことが知られているが、1回のコーティング厚さが薄いため、所定の厚さとなるまでコーティングと焼結を反復進行して電極を形成する。単位セルサイズの染料感応太陽電池では使用されないが、大面積の場合には効率を高めるためにシルバーグリードを挿入することが一般的であり(ST4)、酸化物電極と同様にスクリーン印刷後に乾燥及び焼結過程を経た後(ST5)、24時間染料につけて染料を吸着させると、最終的に作動電極の製造が完了する(ST6)。
【0007】
相対電極もやはり透明電極がコーティングされた電導性基板を洗浄して使用し、洗浄した電導性基板上に白金をコーティングした後(ST7)、乾燥及び焼結させ(ST8)、大面積の場合はシルバーグリードを形成させる。
以上で製造された2つの電極はサリン、エポキシ、ガラスフリットなどの接着特性を有する有機物または無機物を使用して接合させた後(ST9)、2つの電極の間に電解質を注入することで染料感応太陽電池が製造される(ST10)。
前記焼結工程の温度は材料によって異なるが、400℃乃至800℃の温度範囲で5分乃至2時間焼結することが一般的であり、場合によってそれ以上焼結することもある。
このように一般的な染料感応太陽電池は、平面基板に各種構成物質をスクリーン印刷技法にて各々コーティングして製造される。
【0008】
スクリーン印刷技法を利用して電導性基板の上に所望の形状を作るためには、プラスチックや金属ファイバー製の稠密メッシュからなるスクリーンの開口部に基板を接触させた後、ペーストを詰め込んでスクイージーを一定圧力で押しながらコーティング層を形成する。一つの物質をコーティングした後に乾燥及び焼結工程を施さない場合、次のスクリーン印刷工程時に既形成されたコーティング層が損傷するため、最小3〜6回の乾燥及び焼結工程を施す必要があり、製造工程が複雑でコストアップになるという短所がある。
【0009】
更に、曲面基板を使用して染料感応太陽電池を製造する際、スクリーン印刷技法を利用すると、基板中央部と両先端部のコーティング層の厚さにバラツキが発生し、これを克服するためにスクイージーの圧力を増加させてコーティングすると、一定張力で固定されたメッシュが破損するという問題が発生するため、曲率がある基板にはスクリーン印刷技法を適用することが困難という問題がある。
従って、自動車ルーフのようなR1,R2(即ち、2種)の曲率を有する曲面型染料感応太陽電池の製造時には従来と異なる工程を適用しなければならない。
【0010】
最近、LCDやOLEDなどの技術が発展し、ディスプレーや半導体製造工程に適用されるインクジェット印刷法が関心を持たれているが、これはスクリーン印刷技法とは異なり非接触式コーティング方式として、複雑なパターンも早くコーティング可能であるという長所を有している。
しかし、インクジェット印刷法は1マイクロメートル以内の薄膜形成は可能であるが、それより厚い薄膜形成が難しいため、染料感応太陽電池に使用される半導体酸化物電極のように1マイクロメートル以上の厚膜を形成するためには、適合した半導体酸化物インクを開発して使用しなければならずインクジェット印刷法を染料感応太陽電池の製造工程に適用するのは困難という問題がある。
特に、インクジェット印刷法は曲面型染料感応太陽電池の製造に適したものではないため、半導体酸化物の厚膜形成が可能なインクの開発と合わせて、これを利用した染料感応太陽電池の製造工程の開発が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2008−547195号公報
【特許文献2】特開2006−019278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、厚さ5マイクロメートル以上の厚膜形成が可能なインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物及びその製造方法と、前記半導体酸化物インクを利用した曲面型染料感応太陽電池などの光電変換素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するためになされた本発明は、半導体酸化物と溶媒を含む全体溶液からなり、前記全体溶液100重量部に対して半導体酸化物0.1〜20重量部を含有することを特徴とする。
【0014】
前記半導体酸化物は二酸化チタン、ZnO、SnO、Nbのうちいずれか一つであることを特徴とする。
【0015】
前記溶媒は水またはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、グリセロール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ニトロメタン、エチルアセテート、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、n−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−テルピネオール、キシレン、クロロホルム、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、アセトンの中から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を混合してなることを特徴とする。
【0016】
前記半導体酸化物粒子の表面改質のために、シラン類カップリング試薬及びキレート試薬の中から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を混合して製造した物質を全体溶液100重量部に対して0.01〜50重量部更に含むことを特徴とする。
【0017】
前記溶媒分散性及び基板との結合力の増進のために、エチレンオキシド系化合物、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドがランダムあるいは交互に配列された混成共重合体、BYK社のDisperbykシリーズ、メチル−β−シクロデキストリン、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリスチレンスルホン酸(PSSA)、ポリ(ソジウム−4−スチレンスルホン酸)(PSSNa)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)、アセチルアセトン、セルロース系化合物及びアクリレート系化合物の中から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を混合して製造した添加剤を半導体酸化物含量対比0.5〜300%の重量比で更に添加することを特徴とする。
【0018】
前記全体溶液に、アルギン酸、アラビア・ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、カードラン、ゼラチン、グアーガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、ペクチン、タマリンドガム、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、メチルセルロースの中から選択されるいずれか一つの粘度調節剤を更に添加することを特徴とする。
【0019】
前記半導体酸化物の平均二次粒子サイズは1マイクロメートル以下であることを特徴とする。
【0020】
前記全体溶液の粘度は1cp〜30cpであり、表面張力は20〜70ダイン/cmであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、半導体酸化物と溶媒を含む全体溶液100重量部に対して半導体酸化物0.1〜20重量部を使用して製造することを特徴とする。
【0022】
前記半導体酸化物をゾル形態で使用する場合、全体溶液100重量部に対して0.5〜90重量部を使用することを特徴とする。
【0023】
前記半導体酸化物粒子の表面改質のために、シラン類カップリング試薬とキレート試薬の中から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を混合して製造した物質を、全体溶液100重量部に対して0.01〜50重量部更に添加し、室温〜120℃の温度で0.1〜12時間撹拌することを特徴とする。
【0024】
前記全体溶液にアルギン酸、アラビア・ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、カードラン、ゼラチン、グアーガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、ペクチン、タマリンドガム、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、メチルセルロースの中から選択されるいずれか一つの粘度調節剤を更に添加して全体溶液の粘度を1cp〜30cpに製造することを特徴とする。
【0025】
前記溶媒分散性及び基板との結合力のために、エチレンオキシド系化合物、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドがランダムあるいは交互に配列された混成共重合体、BYK社のDisperbykシリーズ、メチル−β−シクロデキストリン、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリスチレンスルホン酸(PSSA)、ポリ(ソジウム−4−スチレンスルホン酸)(PSSNa)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)、アセチルアセトン、セルロース系化合物及びアクリレート系化合物の中から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を混合して製造した添加剤を製造し、これを二酸化チタン含量対比0.5〜300%の重量比で更に添加することを特徴とする。
【0026】
前記半導体酸化物の追加的な粒子表面改質のために、ボールミル、ビーズミル、超音波、高圧均質機の中のいずれか1種の分散装備を利用して分散させることを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、半導体酸化物インク組成物を準備するか、または半導体酸化物インク組成物を製造して準備する段階と、金属性インク組成物を製造して準備する段階と、電導性基板の上に前記半導体酸化物インク組成物と金属性インク組成物を同時にインクジェットプリンティングして各々半導体酸化物厚膜及び金属グリードをコーティングして作動電極を製造する段階と、異なる一つの電導性基板の上に金属性インク組成物をインクジェットプリンティングして触媒電極をコーティングして相対電極を製造する段階と、前記半導体酸化物厚膜と金属グリード、そして触媒電極を同時に乾燥及び焼結する段階と、を含むことを特徴とする。
【0028】
前記電導性基板は平面若しくは曲面形態からなることを特徴とする。
【0029】
前記半導体酸化物厚膜の厚さは1マイクロメートル以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、インクジェット印刷法を利用した光電変換素子用半導体酸化物厚膜の形成が可能であり、これを利用して曲面型染料感応太陽電池を含む光電変換素子を製造することができる。特に、インクジェット印刷法は非接触式により工程が簡単で、設備費用、製造費用を下げることができ、材料を所望するパターン位置に積層することができるため、基本的に材料の無駄がない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】既存の平面型染料感応太陽電池の製造工程を表す順序図である。
【図2】本発明によるインクジェット印刷法を利用した曲面型染料感応太陽電池の製造工程を表す順序図である。
【図3】本発明によって製造した曲面型染料感応太陽電池の一実施例を図示した図面である。
【図4】本発明で使用するインクジェット印刷機の基本的な構造を表す構成図であり、曲面基板を支持する固定枠を有する支持台を装着したインクジェット印刷機を表す図面である。
【図5】本発明で使用するインクジェット印刷機の基本的な構造を表す構成図であり、曲面基板と同一曲率を有する支持台を装着したインクジェット印刷機を表す図面である。
【図6】本発明により製造された二酸化チタンインクに含まれた二酸化チタン粒子のサイズを表す図面である。
【図7】本発明により製造された二酸化チタン厚膜の表面写真である。
【図8】本発明により製造された二酸化チタン厚膜のXRDデータである。
【図9】本発明によってインクジェット印刷法にて製造された二酸化チタン厚膜の厚さプロファイルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、二酸化チタン、ZnO、SnO、Nbなどの半導体酸化物ゾルまたは半導体酸化物ナノ粒子若しくはナノワイヤーを通してインクジェット印刷用半導体酸化物インクを製造するために、酸性物質やキレート試薬などを利用して半導体酸化物粒子の表面を改質し、分散剤及び溶媒を適切に混合して最終的には溶媒分散性が優れ、平均二次粒子サイズ、粘度及び表面張力などを考慮したインクジェット印刷用半導体酸化物インクを提供する。
更に、本発明では前記のような半導体酸化物インクを利用して厚さ1マイクロメートル以上の厚膜形成が可能であり、最終的に工程費用及び時間が短縮された曲面型染料感応太陽電池を含む光電変換素子を製造することのできる工程方法を提供する。
【0033】
以下、本発明について3段階に分けて説明する。
まず、半導体酸化物ゾルまたはナノ粒子を製造するための1段階、インクジェット印刷用に適合した半導体酸化物インクを製造するための2段階、そして製造した半導体酸化物インクを使用し曲面型染料感応太陽電池をインクジェット印刷法を利用して製造する3段階に分けて説明する。
【0034】
本発明では二酸化チタンの合成を通した半導体酸化物インクとその製造方法及びそれを利用した染料感応太陽電池の製造を代表的に説明しているが、本発明はこれに限定されず、半導体酸化物厚膜形成が必要な光電変換素子などにすべて適用される。
【0035】
以下、本発明を各段階別に分けて詳しく説明する。
第1段階
第1段階では本発明で使用される二酸化チタンの合成方法とインクジェット印刷に適合した二酸化チタンインクを製造する段階を説明する。但し、現在商用化された二酸化チタン粒子や二酸化チタン分散液またはペーストを使用する場合、二酸化チタン合成工程は省略することができ、溶液形態である場合は溶媒を除去して使用することができる。
本発明で使用された二酸化チタンナノ粒子の合成方法は、従来公知の技術(例えば、大韓民国公開特許第2001−38061号と第2001−23137号など)と大きく異なるものではない。
【0036】
まず、零下30〜30℃の温度でチタンイソプロポキシド、チタンイソブトキシド、四塩化チタンのような前駆体と水またはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、グリセロール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエタノールなどの中から選択されるいずれか1種または2種以上を混合した溶媒を1:15〜1:30のモル比で混合して混合溶媒を準備する。
【0037】
そして、このように混合した混合溶媒に硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸などの中から選択されるいずれか1種または2種以上を混合した物質を、前記前駆体対比1:0.05〜1:1のモル比で混合した後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリエチルビニルシランなどのシラン類カップリング試薬及びクエン酸、酢酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ポリ(4−スチレンスルホン酸)、デシル硫酸ナトリウム、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸ピリジニウム、カンファースルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルホサリチル酸、2−ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、シュウ酸、グルコン酸、ホスホン酸、エチレンジアミン四酢酸、アセト酢酸エチル、2,3−ブタンジオン、ジアセトンアルコール、クロロ酢酸イソプロピル、硝酸鉄、塩化鉄、リン酸トリエチル、オクチルエーテル、アセチルアセトンなどの試薬の中から選択されるいずれか1種または2種以上を混合した混合物を、前記前駆体対比1:0.01〜1:0.5のモル比で添加して、その後に合成される二酸化チタン(半導体酸化物)の粒子表面を改質できるようにする。
【0038】
次に、前記のように混合した混合物を室温〜200℃範囲の温度で1〜24時間撹拌して二酸化チタンゾルを製造する。
ここで、撹拌工程後に反応が完了すると、蒸留濃縮装置を利用して溶媒を一部除去してゾル形態で使用するか、もしくは水またはエタノールを数回反復添加してpHが7となるまで洗浄し、二酸化チタンゾルから溶媒を除去して二酸化チタンナノ粒子を収得して使用する。
前記のように合成された二酸化チタンゾルまたはナノ粒子は、焼結後、XRD結果を通して確認した結果、大部分がアナターゼであることが分かった。
【0039】
第2段階
本段階では第1段階で製造された二酸化チタンゾル若しくはナノ粒子、または商用化された二酸化チタン粒子や二酸化チタン分散液及び二酸化チタンペーストを利用して溶媒分散性が向上し、平均二次粒子サイズ、粘度、表面張力などが考慮されたインクジェット印刷に適合した半導体酸化物インクを製造する工程を説明する。
二酸化チタンゾルまたは粒子の使用量(若しくは含量)に制限はないが、好ましくは、使用する全体溶液(具体的には半導体酸化物インク溶液)100重量部に対して、二酸化チタンゾルの場合0.5〜90重量部で使用し、二酸化チタン粒子の場合は0.1〜20重量部で使用する。
【0040】
溶媒は例えば、水またはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、グリセロール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシブタノール、ニトロメタン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、n−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−テルピネオール、キシレン、クロロホルム、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、アセトンなどの中から選択されるいずれか1種または2種以上の混合した溶媒を使用する。
【0041】
このとき、二酸化チタンの追加的な表面改質のために、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリエチルビニルシランなどのシラン類カップリング試薬及びクエン酸、酢酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ポリ(4−スチレンスルホン酸)、デシル硫酸ナトリウム、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸ピリジニウム、カンファースルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルホサリチル酸、2−ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、シュウ酸、ラウリン酸、グルコン酸、ホスホン酸、エチレンジアミン四酢酸、アセト酢酸エチル、2,3−ブタンジオン、ジアセトンアルコール、クロロ酢酸イソプロピル、硝酸鉄、塩化鉄、リン酸トリエチル、オクチルエーテルなどのキレート試薬の中から選択されるいずれか1種または2種以上の混合物を、全体溶液100重量部に対して0.01〜50重量部で更に混合した後、室温〜120℃の温度の窒素雰囲気(または大気)で0.1〜12時間撹拌して使用することができ、或いはボールミル、ビッドミル、超音波、高圧均質機などの分散装備を使用することもできる。
【0042】
二酸化チタンの追加的な表面改質のために添加する試薬が0.01重量部未満の場合、表面改質効果が微々たるものであり、50重量部を超過すると固体試薬の場合、溶解させることが難しく不利である。
【0043】
溶媒分散性及び基板との結合力を更に増進させるために、トリトンX−100、トリトンX−200などのようなエチレンオキシド系化合物(またはポリエチレンオキシド系化合物)、BASF社のプルロニック(Pluronic)シリーズであるP123、F127、F68、L64などのようなポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドがランダムあるいは交互に配列された混成共重合体、BYK社のDisperbykシリーズ(例えば、Disperbyk−106、Disperbyk−111、Disperbyk−180、Disperbyk−2001)、メチル−β−シクロデキストリン、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリスチレンスルホン酸(PSSA)、ポリ(ソジウム−4−スチレンスルホン酸)(PSSNa)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)、アセチルアセトンなど、そしてメチルセルロース、エチルセルロース、2−ヒドロキシエチルセルロース、スルホエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロースのようなセルロース系化合物、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコールジメチルアクリレートなどのようなアクリル系化合物の中から選択されるいずれか1種または2種以上を混合して添加剤を製造し、これを二酸化チタン含量対比0.5〜300%の重量比で追加添加して使用することができる。
【0044】
このとき、前記の添加剤の含量が二酸化チタン重量対比0.5%未満である場合、添加剤の含量が非常に少なく分散効果が低く、添加剤含量が300%を超過すると、不純物として作用する可能性がありむしろ不利である。
【0045】
万一、前記の方法で製造された半導体酸化物インクの粘度を調節する必要がある場合には、アルギン酸、アラビアゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、カードラン、ゼラチン、グアーガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、ペクチン、タマリンドガム、キサンタンゴム、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、メチルセルロースなどの中から選択されるいずれか1種の粘度調節剤を追加で添加して使用することができ、若しくは、3本ロールミルのような工程を経て粘度を調節することも可能である。
【0046】
このように本発明では二酸化チタン、ZnO、SnO、Nbなどの半導体酸化物ゾルまたはナノ粒子を合成し、酸性物質若しくはキレート試薬を利用して半導体酸化物の表面を改質した後、分散性を増進させるための分散剤とインクジェット印刷に適合した溶媒を混合して半導体酸化物厚膜形成用インクを製造する。
【0047】
本発明で使用される半導体酸化物は種類に関係なくすべて使用することができる。例えば、球形、針状形、ワイヤー形などすべての種類の半導体酸化物を使用することができ、また、例えば、直接合成した二酸化チタンゾルの他に、既に溶媒に分散されている二酸化チタン溶液やペーストもすべて使用することができるが、好ましくは前述したように、半導体酸化物ゾルの合成後に厚膜形成用インクを製造するのが有利である。
本発明では二酸化チタンゾルの合成について説明したが、ZnOやSnOなどの半導体酸化物ゾルの合成時に各々ZnClとSnClなどの前駆体を使用すること以外には二酸化チタンゾルの合成法と類似し、これに限定されない。
【0048】
二酸化チタン合成の場合、すでに知られているチタン前駆体、即ち、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラエトキシド、四塩化チタン、チタンテトラヒドロキシドなどを使用して合成が可能であり、二酸化チタンの表面を改質する物質の場合、一般的な表面改質物質用酸性物質は全て使用することができる。
代表的な酸性化合物としては、4−ヒドロキシ安息香酸や酢酸などがこれに属する。また、これら以外に無機物の粒子を改質できる試薬である2,3−ブタンジオン、ジアセトンアルコールなども使用可能である。
【0049】
溶媒は先に述べたように、インクジェット印刷時に溶媒蒸発によるノズルの詰まりを防止するために、沸点が高いエチレングリコールやα−テルピネオール及びガラス基板の表面に湿潤性の改善のためにエタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類の中から選択されるいずれか1種または2種以上を混合したものを使用することができる。
【0050】
インクジェット印刷用二酸化チタンインク組成物は大きく2種の基本特性を満足する必要があるが、まず半導体酸化物インクの製造後、二酸化チタンの平均二次粒子サイズが1マイクロメートル以下でなければならず、好ましくは200ナノメートル以下が適当である。
二酸化チタンの平均二次粒子サイズが1マイクロメートルを超過すると、インクジェット印刷機のノズルが詰まり印刷が困難となる。
本発明で言う二次粒子サイズは、次のものを意味する。即ち、一般的な二酸化チタン粒子は数ナノメートル若しくは数十ナノメートルの粒子サイズを有するが、これを利用してインクを製造すると、これらの凝集現象により粒子が互いにひとかたまりになり塊を形成する。このときの粒子サイズを意味する。
【0051】
そして、半導体酸化物インクの粘度は1cp〜30cpの範囲ならば使用可能であるが、粘度が1cp未満の場合、均一な液滴を形成するのは困難で均一なコーティングが難しく、30cpを超過すると、噴射速度が遅くなり、噴射自体が困難となる。インクの温度を上げると粘度が低下するため、噴射は可能であるが、工程に有利とは言えない。
最後に、半導体酸化物インクの表面張力は20〜70ダイン/cm未満の場合、メニスカスがインクジェット印刷機のノズル表面の下に形成され、インク残りなどが生成されて不利であり、70ダイン/cmを超過すると、インクがノズルから分離される時の抵抗が大きくなるため、噴射速度が遅くなって不利である。
【0052】
第3段階
第3段階では、第2段階で製造したインクジェット印刷用二酸化チタンインクを使用してR1、R2などの2種類の曲率(例えば、横方向と縦方向の曲率)を有する基板上にインクジェット印刷工程を利用して半導体酸化物厚膜を形成する染料感応太陽電池の製造方法を説明する。
本実施例ではインクジェット印刷方式中、電気的信号を通して必要な瞬間のみインクを噴射してインク節減などの長所を有するDOD(Drop−On−Demand)方式を使用するが、その他連続噴射方式や静電気力インクジェット方式を使用しても構わない。
電導性基板としては、そのR1及びR2の曲率が車両のルーフと同一曲率を有するものを使用することが好ましい。
【0053】
次に、染料感応太陽電池モジュールの製造方法を説明する。FTOがコーティングされた2つの曲面基板10,20を洗浄して準備し(S10)、互いに異なるインクジェットヘッドに前記第2段階で製造した二酸化チタンインクと、シルバーインク、そしてPtインクを各々入れた後、作動電極の製造のために二酸化チタンインクとシルバーインクを定められたパターンプログラムに従って一つの曲面基板10上に噴射させる(S11)。
前記シルバーインクと白金インクは二酸化チタンの代りにシルバーまたは白金のような金属物質を使用することを除けば、二酸化チタンインクの製造工程と同一の工程により製造することができる。
継続して、相対電極の製造のために異なる一つの曲面基板20上にPtインクを噴射した後(S12)、400〜500℃の温度範囲で焼結させる(S13)。
【0054】
図4及び図5は通常のインクジェット印刷機の構造を図示した図面である。
、図4に示す通り、曲面形態の電導性基板の上に半導体酸化物インクをインクジェット印刷する際に、電導性基板を固定枠132の中に挿入した状態で支持台130に前記電導性基板を載せ、インクジェット印刷機を利用して半導体酸化物厚膜をコーティング形成する。
図5に示す通り、電導性基板と同一の曲率を有する支持台135上に電導性基板を載せた後、インクジェット印刷機を利用して半導体酸化物厚膜をコーティング形成し、真空装備を通してコーティングする際に基板が動かないように固定する。
【0055】
ここで、半導体酸化物インクはインクジェット印刷機のノズル120を通して電導性基板の上にコーティングされ、ノズル120を通して供給される半導体酸化物インクはドライバー100により駆動されるトランスデューサー110により所定温度でヒーティングされ維持される。
トランスデューサー110はピエゾ若しくはヒーターなどからなる。
既存のスクリーン印刷は接触方式であるため、一つの層をコーティングした後に焼結させなければ、次のコーティング工程時に層変形が起こるため数回の焼結工程を経なければならなかったが、本発明で適用するインクジェット印刷法は非接触式であるためすべてのコーティング層を積層した後、最後に一度だけ焼結工程を経れば良いため、工程時間の短縮及び費用節減の効果を得ることができる。
【0056】
焼結工程が完了すると、N−719などの商用化された染料に作動電極部分を入れて二酸化チタン厚膜の表面に染料を吸着させる(S14)。
その後、相対電極と作動電極を生理食塩水、エポキシ、ガラスフリット及びUV−硬化剤などを利用して接着させた後(S15)、電池内部に電解質を注入して(S16)モジュール製造を仕上げる。
万一、相対電極と作動電極の接着剤としてUV−硬化剤を使用する場合には、UV硬化用ランプとUV−硬化剤を噴射できるディスペンサーをインクジェット印刷機内に装着して使用可能であるため、工程時間及び費用節減効果において更に有利となる。
【0057】
前記のように非接触式のインクジェット印刷法を利用した方法において染料感応太陽電池を製造することによって、既存のスクリーン印刷法のように焼結工程を数回経る必要がなくなり有利である。また、平面基板はもちろんのこと曲面基板にも均一な厚さをコーティングすることができるため、自動車車体上面のような部分に適用でき車両用太陽電池ルーフの製造が可能である。
更に、このように製造された染料感応太陽電池は自動車用ガラス、例えば、ドアガラス、フロントガラス及びサンルーフなどのような全部分に適用可能である。
前記方法にて製造された曲面型染料感応太陽電池の例を図3に並列タイプモジュール構造で図式化したが、これに限定されずに直列タイプ、モノリスタイプなどどの太陽電池構造も製造可能である。
【0058】
次に、本発明の一実施例による曲面型染料感応太陽電池の製造過程について説明する。
まず、半導体酸化物インク組成物として二酸化チタンインクを製造し、金属性インク組成物としてシルバーインクと白金インクを製造して準備する。
そして、作動電極及び相対電極用電導性基板を洗浄して準備した後(S10)、作動電極用電導性基板の上に前記二酸化チタンインクとシルバーインクを同時にインクジェットプリンティングして、各々二酸化チタン厚膜13及びシルバーグリッド14を同時にコーティングして(S11)作動電極を製造する。
【0059】
継続して、相対電極用電導性基板の上に白金インクをインクジェットプリンティングして(S12)、触媒電極23をコーティングし相対電極を製造する。
二酸化チタン厚膜13とシルバーグリード14、そして白金電極23を同時に乾燥及び焼結して(S13)、作動電極を染料に浸し二酸化チタン厚膜に染料を吸着させる(S14)。
そして、前述した接着剤などを利用して作動電極と相対電極を接合させた後(S15)、電池内部に電解質17を注入して(S16)染料感応太陽電池の製造を完了する。
二酸化チタン厚膜13は厚さ1マイクロメートル以上でコーティング可能であり、電導性基板は曲面形態からなっているが、均一なプリンティングがなされる。
【0060】
[実施例1]
チタンイソプロポキシド、水、エタノール、硝酸を1:1.5:20:0.08のモル比で混合して室温で4時間撹拌した後、60℃の真空オーブンで12時間乾燥して溶媒を除去した。
次に、ろ過装置を利用してpHが中性になるまで水とエタノールで数回洗浄し、60℃の真空オーブンで再び24時間乾燥させた。
前記の方法で収得した二酸化チタンナノ粒子をエタノールに10wt%となるように添加した後、分散剤であるDisperbyk−180を二酸化チタン重量対比2wt%添加し、湿式ビーズミルを通して1時間循環させて分散した。
【0061】
その後、メチルセルロース1wt%(溶媒は水とエタノールを5:5の重量比で混合)溶液を二酸化チタン重量対比5wt%で添加し、ホーンタイプの超音波分散器を利用して20分間分散させた後、3本ロールミルを利用して粘度を8cpsに調節した。
前記の通り製造したインクジェット印刷用二酸化チタンインクを利用して曲面型電導性基板の上に二酸化チタン厚膜を成形した結果、7マイクロメートルの厚さを有する二酸化チタン厚膜を形成することができた。
そして、前記の二酸化チタンインクを利用して100mm×100mmサイズの半通過型染料感応太陽電池モジュールを製造した結果、3.5%の光電変換効率を得ることができた。
【0062】
[実施例2]
チタンイソプロポキシド、水、エタノール、アセチルアセトンを1:1.5:30:0.05のモル比で混合して室温で6時間撹拌した後、60℃の真空オーブンで12時間乾燥して溶媒を除去した。
その後、実施例1と同一のインク製造方法を適用し、バインダーとしてはメチルセルロースの代りにエチルセルロースを使用した。
このように製造したインクジェット印刷用二酸化チタンインクを利用して曲面型電導性基板の上に二酸化チタン厚膜を成形した結果、7マイクロメートルの厚さを有する二酸化チタン厚膜を形成することができる。
そして、前記の二酸化チタンインクを利用して100mm×100mmサイズの半透過型染料感応太陽電池モジュールを製造した結果、モジュールの光電変換効率は4.5%を得ることができた。
【0063】
[実施例3]
実施例2のような混合比で半導体酸化物ゾルを製造した後、蒸発乾燥機を通してエタノールを除去した。
次に、収得した半導体酸化物ゾル100gは水とエタノールの混合溶媒200g(m図とエタノールは3:7のモル比で混合)に添加した後、さらにDisperbyk−2001を3g添加し、湿式ビーズミルを通して1時間循環させて分散した。
その後、蒸発乾燥機を通して溶媒を除去し、二酸化チタンゾルを2−メトキシエタノール200gに再び添加した。
【0064】
続けて、ホーンタイプの超音波分散器を利用して20分間分散させた後、ポリプロピレングリコールアクリレート10gを添加し、その後3本ロールミルを利用して粘度を12cpsに調節した。
前記のような方法で製造したインクジェット印刷用二酸化チタンインクを利用して曲面型電導性基板の上に二酸化チタン厚膜を成形した結果、10マイクロメートルの厚さを有する二酸化チタン厚膜を形成することができ、製造された染料感応太陽電池モジュールの光電変換効率は5.2%であった。
【0065】
[比較例1]
実施例3の方法で製造した二酸化チタンインクを利用して平面型の電導性基板の上に10マイクロメートルの厚さの二酸化チタン厚膜を形成して染料感応太陽電池モジュールを製造した結果、その光電変換効率は5.3%であった。
【0066】
[比較例2]
二酸化チタンペースト(T/SP)を利用しスクリーン印刷法にて比較例1と同一厚さの二酸化チタン厚膜を形成して平面型染料感応太陽電池モジュールを製造した結果、その光電変換効率は4.5%であった。
前記実施例と比較例を通して確認した結果、本発明の製造方法により製造した曲面型染料感応太陽電池の場合、既存の平面型染料感応太陽電池と同等或いはそれ以上の効率の得られることが分かった。
本発明の製造方法によって製造された曲面型光電変換素子は曲面型に設計製造されるドアガラス、フロントガラス、サンルーフなどの自動車用ガラスに適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
10,20 曲面基板
13 二酸化チタン厚膜
14 シルバーグリード
17 電解質
23 触媒電極(若しくは白金電極)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体酸化物と溶媒を含む全体溶液からなり、前記全体溶液100重量部に対して半導体酸化物0.1〜20重量部を含有することを特徴とするインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物。
【請求項2】
前記半導体酸化物は二酸化チタン、ZnO、SnO、Nbのうちいずれか一つであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物。
【請求項3】
前記溶媒は水またはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、グリセロール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ニトロメタン、エチルアセテート、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、n−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−テルピネオール、キシレン、クロロホルム、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、アセトンの中から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を混合してなることを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物。
【請求項4】
前記半導体酸化物粒子の表面改質のために、シラン類カップリング試薬及びキレート試薬の中から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を混合して製造した物質を全体溶液100重量部に対して0.01〜50重量部更に含むことを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物。
【請求項5】
前記溶媒分散性及び基板との結合力の増進のために、エチレンオキシド系化合物、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドがランダムあるいは交互に配列された混成共重合体、BYK社のDisperbykシリーズ、メチル−β−シクロデキストリン、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリスチレンスルホン酸(PSSA)、ポリ(ソジウム−4−スチレンスルホン酸)(PSSNa)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)、アセチルアセトン、セルロース系化合物及びアクリレート系化合物の中から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を混合して製造した添加剤を半導体酸化物含量対比0.5〜300%の重量比で更に添加することを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物。
【請求項6】
前記全体溶液に、アルギン酸、アラビア・ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、カードラン、ゼラチン、グアーガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、ペクチン、タマリンドガム、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、メチルセルロースの中から選択されるいずれか一つの粘度調節剤を更に添加することを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物。
【請求項7】
前記半導体酸化物の平均二次粒子サイズは1マイクロメートル以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物。
【請求項8】
前記全体溶液の粘度は1cp〜30cpであり、表面張力は20〜70ダイン/cmであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物。
【請求項9】
半導体酸化物と溶媒を含む全体溶液100重量部に対して半導体酸化物0.1〜20重量部を使用して製造することを特徴とするインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物の製造方法。
【請求項10】
前記半導体酸化物をゾル形態で使用する場合、全体溶液100重量部に対して0.5〜90重量部を使用することを特徴とする請求項9記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物の製造方法。
【請求項11】
前記半導体酸化物は二酸化チタン、ZnO、SnO、Nbのうちいずれか一つであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物の製造方法。
【請求項12】
前記半導体酸化物粒子の表面改質のために、シラン類カップリング試薬とキレート試薬の中から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を混合して製造した物質を、全体溶液100重量部に対して0.01〜50重量部更に添加し、室温〜120℃の温度で0.1〜12時間撹拌することを特徴とする請求項9記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物の製造方法。
【請求項13】
前記全体溶液にアルギン酸、アラビア・ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、カードラン、ゼラチン、グアーガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、ペクチン、タマリンドガム、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、メチルセルロースの中から選択されるいずれか一つの粘度調節剤を更に添加して全体溶液の粘度を1cp〜30cpに製造することを特徴とする請求項9記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物の製造方法。
【請求項14】
前記溶媒分散性及び基板との結合力のために、エチレンオキシド系化合物、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドがランダムあるいは交互に配列された混成共重合体、BYK社のDisperbykシリーズ、メチル−β−シクロデキストリン、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリスチレンスルホン酸(PSSA)、ポリ(ソジウム−4−スチレンスルホン酸)(PSSNa)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)、アセチルアセトン、セルロース系化合物及びアクリレート系化合物の中から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を混合して製造した添加剤を製造し、これを二酸化チタン含量対比0.5〜300%の重量比で更に添加することを特徴とする請求項9記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物の製造方法。
【請求項15】
前記半導体酸化物の追加的な粒子表面改質のために、ボールミル、ビーズミル、超音波、高圧均質機の中のいずれか1種の分散装備を利用して分散させることを特徴とする請求項9記載のインクジェット印刷用半導体酸化物インク組成物の製造方法。
【請求項16】
請求項1乃至8の半導体酸化物インク組成物を準備するか、または請求項9乃至15の製造方法により半導体酸化物インク組成物を製造して準備する段階と、
金属性インク組成物を製造して準備する段階と、
電導性基板の上に前記半導体酸化物インク組成物と金属性インク組成物を同時にインクジェットプリンティングして各々半導体酸化物厚膜及び金属グリードをコーティングして作動電極を製造する段階と、
異なる一つの電導性基板の上に金属性インク組成物をインクジェットプリンティングして触媒電極をコーティングして相対電極を製造する段階と、
前記半導体酸化物厚膜と金属グリード、そして触媒電極を同時に乾燥及び焼結する段階と、を含むことを特徴とする光電変換素子の製造方法。
【請求項17】
前記電導性基板は平面若しくは曲面形態からなることを特徴とする請求項16記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項18】
前記半導体酸化物厚膜の厚さは1マイクロメートル以上であることを特徴とする請求項16記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項19】
請求項16乃至18のうちいずれか一項の製造方法により製造されることを特徴とする光電変換素子。
【請求項20】
請求項19の光電変換素子を採用することを特徴とする自動車用ガラス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−102308(P2012−102308A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29560(P2011−29560)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】