インクジェット噴霧吸入用溶液

【課題】 インクジェット方式の噴霧装置で良好に噴霧できると共に、カビ等によるノズル目詰まりがなく、長期間安定して噴霧可能なシソの実溶液等の噴霧吸入用溶液。
【解決手段】シソの実エキス、エタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択された少なくとも1種の1価アルコール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群より選択された少なくとも1種の多価アルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系およびショ糖脂肪酸エステル系界面活性剤を含む群より選択された少なくとも1種の非イオン系界面活性剤を含有し、表面張力が30〜50dyne/cm、粘度が5センチポアズ以下であるシソの実溶液。インクジェット方式により人の口および鼻に当てた吸入マスク内に噴霧される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧されることによって、吸入する人に主に薬効成分の摂取や栄養分の補給等の身体的効果を与えることが可能な噴霧吸入用溶液に関し、特にインクジェット方式により噴霧するのに好適な吸入用溶液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式の噴霧装置による溶液の噴霧の例として、ハーブの香り等の成分(アロマ成分)を抽出したハーブ溶液(香料液)の噴霧が知られている(例えば特許文献1の図2参照)。
【0003】
この特許文献1のインクジェット方式の噴霧装置は、インクジェットプリンタと同様なピエゾタイプやサーマルタイプの噴霧ヘッドを使用している。例えばピエゾタイプの噴霧装置(芳香出力装置)は、香料放出器および消香液放出器とを交互に並べた噴霧ヘッドを備え、各香料放出器のキャビティにヘッドの香料液格納部からの香料液を導き、キャビティの一端に設けられたピエゾ素子によって香料液に圧力を掛けて、キャビティに設けられたノズルから香料液の液滴を空気中に霧状に放出するものである(消香液放出器も同様である)。
【0004】
ところで、シソ(紫蘇)の実エキスやシソ葉エキス、シソエキス(実および葉を含むシソ全体からの抽出エキス)は、多くの薬効成分を含み、例えばヒスタミン遊離抑制作用によって、花粉症の症状を緩和する効果がある。そこで、シソ溶液(シソのエキスまたはこれを溶解した溶液)を人の口および鼻に当てた吸入マスク(吸入具)内に噴霧し、シソ溶液の霧を口および鼻から吸入して、シソに含まれる薬効成分を摂取させることが考えられており、最適な吸入量を供給するために、その吸入具の噴霧装置に放出量を精密に管理可能なインクジェット方式のものを用いることが考えられている。
【特許文献1】特開平10−146385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、無添加のシソ溶液をインクジェット方式の噴霧装置によって噴霧する場合、表面張力や粘度といった物性値をインクジェット方式で噴霧するのに適したものにしていないと、無添加のハーブ溶液(香料液)のときと同様、シソ溶液を液滴の大きさが細かく、かつ揃った良好な霧に噴霧できない恐れがある。またシソ溶液の防腐対策や防カビ対策を十分に取らないと、溶液に腐食沈殿物やカビが発生して、噴霧装置のノズルを目詰まりを招き、長期間安定して噴霧することができない上、薬効成分の変質により摂取の効果を損なうことになる。さらにシソ溶液の乾燥濃縮による沈殿物の析出によっても、ノズルの目詰まりを招く事態が生じる。
【0006】
同様な問題は、L−カルニチン等の栄養補助食品(サプリメント)を含有したサプリメント溶液を人の口および鼻に当てた吸入マスク(吸入具)内に噴霧し、サプリメント溶液の霧を口および鼻から吸入して摂取させることによって、人に栄養分を補給させることが考えられているが、その吸入具の噴霧装置に供給量を精密に管理可能なインクジェット方式のものを用いる場合には、その放出口が微細であるため、目詰まりは特に問題となる。
【0007】
したがって、本発明は、吸入マスク等の内側に噴霧されることによって、吸入する人にシソ等の天然産物に含まれる薬効成分の摂取やサプリメントの栄養分の補給といった主に身体的効果を与えることが可能な噴霧吸入用溶液であって、インクジェット方式の噴霧装置によって良好な霧に噴霧できると共に、カビ等によるノズルの目詰まりを生じることなく、長期間安定して噴霧することが可能な噴霧吸入用溶液を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は本発明のインクジェット噴霧吸入用溶液によって達成される。本発明は、インクジェット方式により噴霧され、噴霧されることによって人が吸入する吸入用噴霧溶液であって、人に主に身体的効果を与える液状もしくは液溶性の精製物と、水と、エタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択された少なくとも1種の1価アルコールと、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群より選択された少なくとも1種の多価アルコールと、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤およびショ糖脂肪酸エステル系界面活性剤を含む群より選択された少なくとも1種の非イオン系界面活性剤とを含有し、表面張力が30〜50dyne/cm、粘度が5センチポアズ以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記精製物が、シソの実エキス、シソの葉エキス、シソエキス、ガラナエキスを含む群より選択された少なくとも1種の天然産物エキスである。本発明の他の態様によれば、前記精製物が、L−カルニチン、コエンザイムQ10、DHA46%を含む群より選択された少なくとも1種のサプリメントである。前記噴霧吸入用溶液中の前記精製物の含有量が有効成分量で0.1〜50.0wt%である。また前記噴霧吸入用溶液中の前記1価アルコールの含有量が5.0〜8.0wt%であり、前記多価アルコールの含有量が5.0〜10.0wt%であり。前記噴霧吸入用溶液中の前記非イオン系界面活性剤の含有量が0.05〜5.0wt%である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の噴霧吸入用溶液は、人に主に身体的効果与える液状もしくは液溶性の精製物と、水と、エタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択された少なくとも1種の1価アルコールと、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群より選択された少なくとも1種の多価アルコールと、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤およびショ糖脂肪酸エステル系界面活性剤を含む群より選択された少なくとも1種の非イオン系界面活性剤とを含有し、表面張力が30〜50dyne/cm、粘度が5センチポアズ以下の水溶液としたので、インクジェット方式の噴霧装置を用いて良好に噴霧できると共に、カビ等によるノズルの目詰まりを生じることなく、長期間安定した噴霧を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の噴霧吸入用溶液について詳述する。本発明では、人に主に身体的効果を与える液状もしくは液溶性の精製物と、水、1価アルコール、多価アルコールおよび非イオン系界面活性剤とを加えて、表面張力が30〜50dyne/cm、粘度が5センチポアズ以下である噴霧吸入用溶液を調製するものである。
【0012】
人に主に身体的効果を与える液状もしくは液溶性の精製物としては、例えばシソの実エキス、シソの葉エキス、シソエキス(実および葉を含むシソ全体からの抽出液)、ガラナエキス(ガラナの種子からのアルコール抽出液、水抽出液)等の天然産物エキスや、L−カルニチン、コエンザイムQ10、DHA46%等のサプリメント(栄養補助食品)を含むサプリメントである。
【0013】
天然産物の抽出液であるシソのエキス(シソの実エキス、シソの葉エキス、シソエキス)は、例えばヒスタミン遊離抑制作用があり、花粉症の症状を緩和する効果がある。ガラナエキスは、脳の記憶に関係する海馬領域の神経細胞に作用して、記憶の増強、記憶減退防止を図る効果がある。
【0014】
本発明において、液状もしくは液溶性の精製物として抽出液を用いることができる天然産物としては、イチョウの葉、柿の葉、ドクダミ、プロポリス、ローヤルリーゼリなど、従来から薬効が知られているものを広く挙げることができる。これらは、アルコールや水など適当な抽出媒体により抽出して、薬効成分を初めとする抽出物を含む抽出液の形態で、液状精製物として供給する。天然産物を原料とする精製物としては、他に梅の実エキス(梅干から滲出した液体分)等も用いることができ、これはそのまま供給することができる。
【0015】
天然産物を原料とする精製物は、供給するにあたって精製し、噴霧装置のノズルの目詰まりの原因の一つになるたんぱく質等の不純物を除去する。精製は、薬効性を有する例えばポリフェノールを除去しないように、蒸留法、再結晶法など一般的な手法を用いることが好ましい。天然産物エキスには、シソの実エキスの中のポリフェノールのような主成分だけではなく、極微量もしくは未知の有効成分を有する可能性を考慮し、化学的な析出ではなく、物理的抽出を行う方が望ましく、同様の理由から、抽出液に含まれる水分、油分等を含めてエキスとする。本発明の実施例では、一番簡単な濃縮/ろ過法を用いた。これは、天然産物の濃縮によりたんぱく質等の不純物を析出させ、これを濾過して不純物を除去し、ろ液を採取するものである。この精製法によれば、例えばシソの実エキスの中のポリフェノールの量を、精製前の20.000mg/gから精製後の19.522mg/gとほぼ完全に保存することができる。
【0016】
栄養補助食品のサプリメントについて述べると、例えばL−カルニチンは、細胞内の脂肪を脂肪燃焼工場であるミトコンドリアに運ぶ役目をするが、50歳以上でL−カルニチンの自己生成機能は半減する。このL−カルニチンは、筋肉で不足すると疲労し易くなり、脳で不足すると痴呆症につながる。したがって、L−カルニチンを摂取すれば、それらを回避する効果がある。コエンザイムQ10は、人の肝臓や腎臓で作られ、その代表的な働きは脂肪燃焼によるダイエット効果と持久力アップである。これらのサプリメントの多くは、液溶性の固形サプリメントまたはサプリメント濃度が高い濃縮液の形のサプリメント液として入手することができる。
【0017】
噴霧吸入用溶液中の精製物の含有量は、多くすることによって、効率よく薬効成分を摂取し、または栄養分を補給できるようにするために、有効成分量で上限を50wt%とすることができる。精製物の含有量が50wt%を超えると、精製物が固形である場合に完全に溶けきらず、液状であっても溶液の粘度が高くなり、良好に噴霧できなくなる。精製物の下限は特に限定されないが、好ましくは0.1wt%である。0.1wt%未満では、効率よい薬効成分の摂取や栄養分の補給ができない。好ましくは、精製物の含有量は、有効成分量で0.1〜50wt%とする。
【0018】
ここで、天然産物の液状もしくは液溶性の精製物の有効成分量とは、シソの実エキスを例にとって説明すれば、例えばシソの実30グラムをアルコール90グラムで抽出し、ろ過等によって精製して、抽出液100グラムと、絞りカス20グラムを得たら、抽出液中の抽出分量、つまりシソの実エキス中の有効成分量を10wt%とするものである。抽出液に含まれるものならば、元の抽出源のシソの実の水分、油分等でも、有効成分内として扱う。
【0019】
エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールは、液状もしくは液溶性の精製物を溶かして混和する溶剤として使用する。この1価アルコールのエチルアルコールおよびイソプロピルアルコールは、精製物の可溶性が高く、水との相溶性が高く、粘度が低い。またアルコールであるので、カビやバクテリアなどの微生物を殺菌する作用が強い。これらのアルコールは、粘度の低下に伴って一定の疎水性を示し、溶剤でありながら界面活性作用を発揮する性質もあるので、溶液の濡れ性を高めることができ、インクジェット方式で噴霧する観点から有利である。
【0020】
液状もしくは液溶性の精製物を十分に溶解、混和して、噴霧吸入用溶液にバクテリアやカビ、藻類等の微生物が発生するのを防止するには、これらのアルコールの含有量は最低5.0wt%以上必要である。アルコールの含有量が5wt%未満であると、微生物の繁殖によって溶液の成分の分離、凝集、沈降が生じ、ノズルの目詰まりを招く。アルコールの含有量は多くてもよいが、引火点が高く危険なので、消防法により安全性の面から上限が8.0wt%に制限される。
【0021】
多価アルコールであるグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールは、蒸気圧が低く、また水分を吸収し易いが、放出はしづらい性質を持ち、噴霧吸入用溶液の乾燥を防ぐ保湿剤の作用がある。ノズルの先端から水分が蒸発して噴霧吸入用溶液が乾燥すると、溶液の濃縮により固形物が析出し、ノズルの目詰まりを発生するが、上記した多価アルコールを加えておくことによって、溶液の乾燥を防いで、ノズルの目詰まりを防止することができる。
【0022】
これらの多価アルコールの含有量は5.0〜10.0wt%とする。多価アルコールの含有量が5.0wt%未満であると、噴霧吸入用溶液の乾燥を防ぐ効果が少なく、また10.0wt%を超えると溶液の粘度の増加を招き、ノズルから噴霧しづらくなる。好ましくは、多価アルコールの含有量は5.0〜7.0wt%である。
【0023】
非イオン系界面活性剤は、噴霧吸入用溶液の濡れ性を向上するために加える。一般にインクジェット方式の噴霧装置は、ピエゾ素子またはヒータを備えたキャビティとノズル等からなる放出部と、噴霧する溶液を収容した収納部とを一体に組込んでカートリッジ化しており、収納部の溶液は液通路を通って放出部のキャビティに導かれている。カートリッジの液通路や溶液収納部内は、綿状、スポンジ状に形成されているが、溶液の濡れ性が低いと、これら綿等内への溶液の浸透性が悪く、液通路を流れる溶液の流れが低下し、安定した噴霧ができなくなる。また隣接した放出部のノズル吐出口周辺部に溶液の液溜まりができ、液溜り同士の連絡によるノズルの閉塞が生じる。
【0024】
このような噴霧する溶液の濡れ性が低いことによる弊害を防ぐには、非イオン系界面活性剤を添加して溶液の濡れ性を適度に高めればよい。その溶液の濡れ性の程度を物性値で示すと、表面張力が25〜50dyne/cm程度、粘度が5センチポイズ程度以下である。そのためには、非イオン系界面活性剤の含有量は0.1〜5.0wt%程度とすることがよい。非イオン系界面活性剤の含有量が0.1wt%未満であると、噴霧吸入用溶液の表面張力および粘度が高く、濡れ性が低くなって、良好に噴霧できなくなる。一方、濡れ性を向上させるためには5.0wt%を超えてもよいが、人が摂取するので極力多くしない観点から、上限は5.0wt%とする。好ましくは0.1〜1.0wt%である。
【0025】
非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系(C−1)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系(C−2)、ショ糖脂肪酸エステル系等が挙げられる。
【0026】
C−1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤
この界面活性剤は、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物であり、エチレンオキサイドを平均3.5〜20モルで付加結合させた化合物である。市販されている化合物としては、例えば川研ケミカル(株)のアセチノールE100(10モル付加)が挙げられる。下記に化合物C−1の一般式を示す。
【0027】
【化1】

【0028】
ただし、m+n=10である。
【0029】
C−2:ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤
この物質は、代表的なノニオン性(非イオン性)界面活性剤として知られている。親水性の高い界面活性剤であり、エチレンオキサイドを20モル付加結合された化合物である。したがってハーブ類のような精油を溶解するのに適しており、本発明に好適に用いることができる。下記に化合物C−2の一般式を示す。
【0030】
【化2】

【0031】
ただし、m+n=20である。
【0032】
C−3:ショ糖脂肪酸エステル系界面活性剤
この物質は、食品用ノニオン性界面活性剤として知られており、親水性と親油性のバランスの幅が他の界面活性剤に比べて広い特徴がある。下記に化合物C−3の一般式を示す。
【0033】
【化3】

【0034】
噴霧吸入用溶液は、インクジェット方式の噴霧装置によって口および鼻に当てた吸入マスク(吸入具)内に噴霧し、これを吸入することによって、人がシソの実等の天然産物が有する薬効成分を摂取し、あるいはL−カルニチン等のサプリメントが有する栄養分を補給することができる。
【0035】
インクジェット方式の噴霧装置には、インクジェットプリンタと同様なピエゾタイプやサーマルタイプの噴霧ヘッドを用いたものを使用することができる。
【実施例】
【0036】
実施例について説明する。本発明および比較例の噴霧吸入用溶液として、シソの実エキスを用いたシソの実溶液およびL−カルニチンを用いたサプリメント溶液を調製し、これをインクジェット方式の噴霧装置に用いて連続噴霧試験および長期放置試験を行い、ノズル吐出口の状態等を調べた。噴霧装置は、ノズル数256、吐出量5.0pL(ピコリットル)のインクジェットヘッドを備えたものを用いた。連続噴霧試験および長期放置試験の内容は次ぎのとおりである。
【0037】
連続噴霧試験:1日8時間の連続噴霧を6日間行い、各回の噴霧量および噴霧前後のノズル吐出口の状態を調べた。
【0038】
長期放置試験:初日に20秒間の噴霧を2回行い、その後1週間、2週間、4週間放置後に噴霧を行い、その各回の放置後の噴霧量および噴霧前後のノズル吐出口の状態を調べた。また噴霧吸入用溶液の腐食およびカビ発生等の有無を調査した。
【0039】
実施例1
・シソの実エキス(精製済み):1.0wt%(有効成分量換算)
・エタノール :8.0wt%
・グリセリン :5.0wt%
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤:1.0wt%
上記処方を水に加え、超音波分散しながら5分間十分に攪拌して、実施例1の噴霧吸入用溶液としてシソの実溶液を得た。この実施例1のシソの実溶液を測定したところ、表面張力は29.6dyne/cm、粘度は1.23cPであった。
【0040】
このシソの実溶液は6日間の連続噴霧試験で、ノズルの目詰まりを推測させる固形物質の析出および液溜りは確認されなかった。6日目の噴霧量は初期と同等の安定した値を示した。
【0041】
またシソの実溶液の1週間、2週間、4週間の長期放置試験で、ノズルの目詰まりを推測させる固形物質の析出および液溜りの発生は確認されず、4週間放置後の噴霧量は初期と同等の安定した値を示した。溶液の腐食およびカビ等の発生も確認されなかった。
【0042】
比較例1
・シソの実エキス(未精製):1.0wt%(有効成分量換算)
・エタノール :8.0wt%
・グリセリン :5.0wt%
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤:1.0wt%
上記の処方を水に加え、超音波分散しながら5分間十分に攪拌して、比較例1のシソの実溶液を得た。溶液の表面張力および粘度は、本実施例の溶液と同じ29.6dyne/cm、粘度は1.23cPであった。
【0043】
この比較例1のシソの実溶液は連続噴霧試験で、ノズルの吐出口周辺に固形物質が確認された。また1日目で噴霧量が徐々に減少し始め、間もなく噴霧しなくなった。
【0044】
また比較例1のシソの実溶液の長期放置試験では、ノズルの吐出口の周辺に固形物質と推測されるものが確認され、1週間後にはノズルの目詰まりが生じて噴霧できなくなった。溶液の腐食およびカビ等の発生は確認されなかった。
【0045】
実施例2
・L−カルニチン:10.0wt%(有効成分量換算)
・エタノール :8.0wt%
・グリセリン :5.0wt%
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤:1.0wt%
上記処方を水に加え、超音波分散しながら5分間十分に攪拌して、実施例2の噴霧吸入用溶液としてL−カルニチン10%溶液のサプリメント溶液を得た。この実施例2のL−カルニチン溶液を測定したところ、表面張力は28.5dyne/cm、粘度は1.70cPであった。
【0046】
このL−カルニチン溶液は6日間の連続噴霧試験で、ノズルの目詰まりを推測させる固形物質の析出および液溜りは確認されなかった。6日目の噴霧量は初期と同等の安定した値を示した。
【0047】
またL−カルニチン溶液の1週間、2週間、4週間の長期放置試験で、ノズルの目詰まりを推測させる固形物質の析出および液溜りの発生は確認されず、4週間放置後の噴霧量は初期と同等の安定した値を示した。溶液の腐食およびカビ等の発生も確認されなかった。
【0048】
比較例2
・L−カルニチン:50.0wt%(有効成分量換算)
・エタノール :0.05wt%
・グリセリン :0(加えず)
・ショ糖脂肪酸エステル:0.5wt%
上記の処方を水に加え、超音波分散しながら5分間十分に攪拌して、比較例2のL−カルニチン溶液を得た。溶液の表面張力は29.3dyne/cm、粘度は9.53cPであった。
【0049】
この比較例2のL−カルニチン溶液は連続噴霧試験で、ノズルの吐出口周辺に固形物質の析出は確認されなかったが、溶液の吐出口周辺への広がりが認められ、3日目で噴霧量が徐々に減少し始め、間もなく噴霧しなくなった。
【0050】
また比較例2のL−カルニチン溶液の長期放置試験では、ノズルの吐出口の周辺に固形物質と推測されるものが確認され、1週間後にはノズルの目詰まりが生じて噴霧できなくなった。溶液の腐食およびカビ等の発生は確認されなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式により噴霧され、噴霧されることによって人が吸入する吸入用噴霧溶液であって、
人に主に身体的効果を与える液状もしくは液溶性の精製物と、
水と、
エタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択された少なくとも1種の1価アルコールと、
グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群より選択された少なくとも1種の多価アルコールと、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤およびショ糖脂肪酸エステル系界面活性剤を含む群より選択された少なくとも1種の非イオン系界面活性剤とを含有し、
表面張力が30〜50dyne/cm、粘度が5センチポアズ以下であることを特徴とするインクジェット噴霧吸入用溶液。
【請求項2】
前記精製物が、シソの実エキス、シソの葉エキス、シソエキス、ガラナエキスを含む群より選択された少なくとも1種の天然産物エキスであることを特徴とする請求項1の噴霧吸入用溶液。
【請求項3】
前記精製物が、L−カルニチン、コエンザイムQ10、DHA46%を含む群より選択された少なくとも1種のサプリメントであることを特徴とする請求項1記載の噴霧吸入用溶液。
【請求項4】
前記噴霧吸入用溶液中の前記精製物の含有量が有効成分量で0.1〜50.0wt%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の噴霧吸入用溶液。
【請求項5】
前記噴霧吸入用溶液中の前記1価アルコールの含有量が5.0〜8.0wt%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の噴霧吸入用溶液。
【請求項6】
前記噴霧吸入用溶液中の前記多価アルコールの含有量が5.0〜10.0wt%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の噴霧吸入用溶液。
【請求項7】
前記噴霧吸入用溶液中の前記非イオン系界面活性剤の含有量が0.05〜5.0wt%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の噴霧吸入用溶液。


【公開番号】特開2006−36725(P2006−36725A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222273(P2004−222273)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000004662)キヤノンセミコンダクターエクィップメント株式会社 (7)
【Fターム(参考)】