説明

インクジェット捺染装置及び捺染物の製造方法

【課題】布帛の幅方向で発生する歪や皺に起因する印捺画像の乱れを防止し、布帛の一方の面だけでなく、他方の面からも印捺画像を視認できる捺染物を提供できるようにする。
【解決手段】本発明に係るインクジェット捺染装置1は、被捺染材Tの一方の面7にインクCを吐出して所望の印捺画像を形成する捺染ヘッド3と、前記捺染ヘッド3の存する捺染実行領域4に被捺染材Tを搬送し、印捺後の捺染物を外部に排出する搬送手段11と、前記被捺染材Tが前記捺染実行領域4に位置して印捺を実行しているときに当該被捺染材Tの幅方向Bにテンションをかけるテンション付与機構17とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布帛すなわち被捺染材に対してインクジェット方式で捺染を行うインクジェット捺染装置及び捺染物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から布帛の一方の面である表側の面にインクを吐出して図柄等の画像を印捺する際に、布帛の性質上、発生し易い歪や皺を矯正するために布帛の長さ方向すなわち搬送方向にテンションをかけた状態で印捺を行う捺染技術が下記の特許文献1に記載されている。
また、この場合、印捺時に布帛にかかっていたテンションを印捺後に取り去ると当該布帛の一方の面に形成した画像が長さ方向に収縮してしまう。そこで、このようなテンションがかかった状態での捺染では、画像を長さ方向に引き伸ばすデータ処理が必要になってくる。
【0003】
また、布帛の一方の面である表側の面にインクを吐出して図柄等の画像を印捺する際に、該インクを当該布帛の他方の面である裏側の面にまで深く浸透させて、該他方の面からも当該画像が視認できるようにする捺染技術も知られている。
この場合、前記一方の面にインクを吐出するのに先立って該一方の面にインクの浸透を促進させるための補助剤として浸透液を付与する技術が下記の特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−203752号公報
【特許文献2】米国特許第2011/0879825号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、布帛に発生する歪や皺は布帛の長さ方向だけでなく、布帛の幅方向でも発生し、該幅方向で発生した歪や皺は、前記特許文献1に示すように布帛の長さ方向にテンションをかけただけでは矯正することができない。
また、布帛にテンションをかけたときの伸びは、布帛の材質、織り方、糸の太さ、織り目の間隔等によって変化するため、前記印捺画像のデータ処理を行うに当たっては、印捺を行う当該布帛の伸びの違いを勘案した複雑なデータ処理が必要になってくる。
【0006】
また、前記特許文献2に開示されている浸透液をインクの印捺前の収縮状態の布帛に対して付与する構成の場合には、該浸透液が当該布帛の一方の面から他方の面にかけて深く浸透できなかったり、当該浸透液の浸透にムラができ、インク滲み等を発生させる場合があった。
また、その場合には完成した捺染物に形成された印捺画像を捺染物の表裏両面から同じように視認することはできなくなる。
【0007】
本発明の課題は、布帛の幅方向で発生する歪や皺に起因する印捺画像の乱れを低減できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係るインクジェット捺染装置の第1の態様は、被捺染材の一方の面にインクを吐出して所望の印捺画像を形成する捺染ヘッドと、前記捺染ヘッドの存する捺染実行領域に被捺染材を搬送し、印捺後の捺染物を外部に排出する搬送手段と、前記被捺染材が前記捺染実行領域に位置して印捺を実行しているときに当該被捺染材の幅方向にテンションをかけるテンション付与機構と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
ここで「被捺染材」とは、捺染の対象となる「布地」を意味し、綿、絹、羊毛等の天然繊維やナイロン等の化学繊維あるいはこれらを混ぜた複合繊維の織物、編物、不織布等が含まれ、ロール状に巻かれた長尺のものと、所定の長さにカットされたものの両方が含まれる。更に、縫製後のハンカチ、スカーフ、タオル、カーテン、シーツ、ベッドカバー等のファニチャーの類の他、縫製前の状態のパーツとして存在する裁断前後の布地等も含まれる。
【0010】
本態様によれば、被捺染材の一方の面にインクを吐出して印捺画像を形成しているときに被捺染材は幅方向にテンションがかけられて幅方向に伸びた状態になっている。従って、前記被捺染材が幅方向に伸びることによって被捺染材の幅方向で発生している歪や皺が矯正されるから、当該歪や皺に起因する印捺画像の乱れが防止される。
【0011】
本発明に係るインクジェット捺染装置の第2の態様は、前記第1の態様において、前記テンション付与機構は、被捺染材の種類に応じて被捺染材にかけるテンションの大きさを調整し得るように構成され、前記テンション付与機構によって付与するテンションの大きさを制御する制御部を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
本態様によれば、被捺染材の種類、例えばや材質、厚さ等の性状の違いに応じて被捺染材にかけるテンションの大きさを調整できるから、被捺染材に無理なテンションをかけることなく、当該被捺染材の性状に適合した大きさのテンションをかけた状態で印捺が実行されるようになる。
従って、被捺染材の幅方向での伸びを考慮して画像データを補正するデータ処理が不要にできる又は簡素化が図れるようになる。
【0013】
本発明に係るインクジェット捺染装置の第3の態様は、前記第1の態様または第2の態様において、前記テンション付与機構は、被捺染材の左右の側縁部下方に配置されている軸方向が被捺染材の搬送方向と平行なテンションローラー対と、前記テンションローラー対を被捺染材の幅方向にテンションがかかるように回転させる駆動源と、を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
本態様によれば、捺染実行領域を通過する被捺染材は、左右の側縁部下方に配置されているテンションローラー対に接触することによって、当該テンションローラー対の回転が伝達されて幅方向にテンションがかかって伸びた状態になる。
従って、構造が簡単ながら被捺染材の幅方向に確実に必要なテンションをかけることが可能になる。
【0015】
本発明に係るインクジェット捺染装置の第4の態様は、前記第1の態様または第2の態様において、前記テンション付与機構は、前記捺染実行領域を挟んで被捺染材の搬送方向に配置されている軸方向が被捺染材の幅方向と平行なクラウン形状のクラウンローラー対と、前記クラウンローラー対を構成する上流側に位置する第1クラウンローラーと下流側に位置する第2クラウンローラーとの間にテンションがかかるように第1クラウンローラーと第2クラウンローラーとを回転させる駆動源と、を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
本態様によれば、捺染実行領域を通過する被捺染材は、捺染実行領域の上流位置に位置する第1クラウンローラーと、捺染実行領域の下流位置に位置する第2クラウンローラーとに接触することによって、当該第1クラウンローラーと第2クラウンローラーとの回転が伝達され、加えて第1クラウンローラーと第2クラウンローラーのクラウン形状が作用して被捺染材の搬送方向と幅方向の両方にテンションがかかってそれぞれの方向に伸びた状態になる。
従って、被捺染材に搬送方向のテンションを付与するテンションローラーを備えるインクジェット捺染装置であれば、部品点数を増やすことなく当該テンションローラーの形状をクラウン形状にするだけの簡単な構成によって被捺染材に幅方向のテンションを付与することが可能になる。
【0017】
本発明に係るインクジェット捺染装置の第5の態様は、前記第1の態様または第2の態様において、前記テンション付与機構は、前記捺染実行領域を挟んで被捺染材の搬送方向の上流位置と下流位置にそれぞれ幅方向の左右に一対ずつ配置されている軸方向が被捺染材の搬送方向に対して傾斜している二対の傾斜ローラー対と、前記二対の傾斜ローラー対を構成する上流側に位置する第1傾斜ローラー対と下流側に位置する第2傾斜ローラー対との間にテンションがかかるように第1傾斜ローラー対と第2傾斜ローラー対を回転させる駆動源と、を備えていることを特徴とするものである。
【0018】
本態様によれば、捺染実行領域を通過する被捺染材は、捺染実行領域の上流位置の左右に配置されている第1傾斜ローラー対と、捺染実行領域の下流位置の左右に配置されている第2傾斜ローラー対とに接触することによって、当該第1傾斜ローラー対と第2傾斜ローラー対との回転が伝達され、前記第1傾斜ローラー対と第2傾斜ローラー対の傾斜角度に対応した比率で被捺染材の搬送方向と幅方向の両方にテンションがかかってそれぞれの方向に伸びた状態になる。
従って、搬送方向と幅方向で伸び率の異なる被捺染材に対して第1傾斜ローラー対と第2傾斜ローラー対の傾斜角度を変えるだけの簡単な構成によってそれぞれの方向に適切なテンションをかけて印捺を実行できるようになる。
【0019】
本発明に係るインクジェット捺染装置の第6の態様は、前記第1の態様から第5の態様のいずれか1つの態様において、前記テンション付与機構のテンション付与作用部を被捺染材の他方の面に接触させてテンションをかけた状態にする接触位置と、前記テンション付与作用部を被捺染材の他方の面から離反させてテンションをかけない状態にする退避位置との間とで移動させる昇降機構が設けられており、前記制御部によって前記テンション付与作用部の接触位置と退避位置との切り替えを制御するように構成されていることを特徴とするものである。
【0020】
本態様によれば、テンション付与機構によるテンションの大きさの制御に加えて、テンションをかけるか、かけないかの切り替えを制御部によって行うことができるようになる。従って、被捺染材の搬送と印捺画像の形成とを別々に行う送り構成のインクジェット捺染装置では、被捺染材の搬送時にはテンション付与作用部を退避位置に移動させて被捺染材に負荷をかけないようにして被捺染材の搬送を円滑にすることが可能になる。
一方、印捺画像形成時にはテンション付与作用部を接触位置に移動させて被捺染材の幅方向にテンションをかけた状態で印捺するようにすることが可能になる。
【0021】
本発明に係るインクジェット捺染装置の第7の態様は、前記第1の態様から第6の態様のいずれか1つの態様において、前記被捺染材にテンションが付与された状態で前記被捺染材に浸透液を付着させる付着部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
本態様によれば、被捺染材にテンションが付与された状態で浸透液を付着させることによって、被捺染材の繊維間の隙間が広がって、浸透液の浸透が確実に行われるようになる。従って、被捺染材の一方の面に吐出されたインクの他方の面に向けての移動が促進されるから、表裏両面から印捺画像を鮮明に視認し得る捺染物を安定して製造できるようになる。
【0023】
本発明の第8の態様となる捺染物の製造方法は、前記第1の態様から第7の態様のいずれか一つの態様のインクジェット捺染装置を使用して被捺染材の一方の面に捺染を実行する捺染物の製造方法であって、前記被捺染材が搬送手段によって搬送されて捺染実行領域に位置している時、当該被捺染材の幅方向にテンションをかけた状態で被捺染材の一方の面にインクを吐出して所望の印捺画像を形成するようにしたことを特徴とするものである。
【0024】
本態様によれば、捺染物の製造に当たって、前記第1の態様から第7の態様のいずれか一つの態様のインクジェット捺染装置の作用効果を享受でき、布帛の幅方向で発生する歪や皺に起因する印捺画像の乱れや布帛の表面側のみでのインクの定着を防止し、複雑なデータ処理を施さなくても布帛の表裏両面からインク滲みを抑えた所定品質の印捺画像を視認できる捺染物を製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置の要部の概略構成を示す側断面図。
【図2】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置の要部の概略構成を示すテンションローラー対が接触位置に位置している時(A)と退避位置に位置している時(B)の正面図。
【図3】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置の要部の概略構成を示す平面図。
【図4】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置の動作の流れを示すフローチャート。
【図5】本発明の実施例2に係るインクジェット捺染装置の要部の概略構成を示す側断面図。
【図6】本発明の実施例2に係るインクジェット捺染装置の要部の概略構成を示す平面図。
【図7】本発明の実施例3に係るインクジェット捺染装置の要部の概略構成を示す側断面図。
【図8】本発明の実施例3に係るインクジェット捺染装置の要部の概略構成を示す平面図。
【図9】本発明の実施例4に係るインクジェット捺染装置の要部の概略構成を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施例1から実施例4に基づいて本発明に係るインクジェット捺染装置1の構造と、該インクジェット捺染装置1を使用することによって実行される捺染物の製造方法について説明する。
当該のインクジェット捺染装置1は、被捺染材(以下、「布帛」ともいう)Tの一方の面(以下、「表側の面」ともいう)7にインクCを吐出して所望の印捺画像を形成する捺染ヘッド3と、前記捺染ヘッド3の存する捺染実行領域4に被捺染材Tを搬送し、印捺後の捺染物を外部に排出する搬送手段11と、前記被捺染材Tが前記被捺染実行領域4を通過している時、当該被捺染材Tの幅方向Bにテンションをかけるテンション付与機構17と、を備えることによって基本的に構成されている。
そして、本発明では、幅方向Bまたは搬送方向Aと幅方向Bの両方に伸びる性質の被捺染材Tが適用でき、一例として生地の伸縮性に富むポリエステルとウレタンを含む混紡生地製の被捺染材Tが好適である。
【0027】
また、前記テンション付与機構17は、被捺染材Tの種類、すなわち素材、厚さ、織り方、繊維の太さ、織り目の間隔等の性状の違いに応じて被捺染材Tにかけるテンションの大きさを調整し得るように構成することが可能である。
そして、その場合には前記テンション付与機構17によって付与するテンションの大きさを制御する制御部15が備えられる。また、この制御部15では前記搬送手段11による被捺染材Tの送り量の制御や前記捺染ヘッド3から吐出されるインクCの吐出タイミングや吐出量の制御等も併せて行われる。
【0028】
また、前記搬送手段11としては、一対のニップローラーによって構成される搬送用ローラー13を一例として使用でき、この他当該インクジェット捺染装置1には、被捺染材Tを所定量ずつ繰り出す図示しない繰出しローラー、印捺後の被捺染材Tを巻き取る図示しない巻取りローラー及び搬送中の被捺染材Tの弛みを取って案内する図示しないガイドローラーが前記搬送手段11の一部として備えられている。
【0029】
[実施例1](図1から図4参照)
図1に実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aの要部の概略構成が図示されている。以下、この実施例1を例にとって、本発明のインクジェット捺染装置1を構成する前述した構成部材を更に具体的に説明して行く。
捺染ヘッド3は、図示しないインクカートリッジ等からチューブ等を介して供給されるインクCを被捺染材Tの一方の面7に吐出して直接捺染を実行する部材である。該捺染ヘッド3には、図示しないキャリッジに搭載されて被捺染材Tの搬送方向Aと交差する幅方向Bに往復移動しながらインクCを吐出する、いわゆるシリアル型の捺染ヘッド3と、被捺染材Tの幅方向の捺染範囲を一挙に捺染する、いわゆるライン型の捺染ヘッド3とがあり、これらのいずれのタイプの捺染ヘッド3を使用することも可能である。
【0030】
そして、該捺染ヘッド3の被捺染材Tに対する対向面には各色のインクCを吐出するノズル口が例えば幅方向Bに配列されて所定長さのノズル列6が形成されている。
また、捺染実行領域4には前記ノズル列6が形成されている前記捺染ヘッド3の下方領域Mに被捺染材Tを挟んで被捺染材Tの他方の面9を支承して被捺染材Tの一方の面7と前記記録ヘッド3のノズル列6が形成されているノズル形成面との間のギャップを規制する支承部材10が設けられている。
【0031】
更に、本実施例では、前記テンション付与機構17が被捺染材Tの左右の側縁部19、21に配置されている軸23の方向が被捺染材Tの搬送方向Aと平行なテンションローラー対25と、該テンションローラー対25を被捺染材Tの幅方向Bにテンションがかかるように回転させる駆動モータ31と、該駆動モータ31の回転を前記テンションローラー対25に伝える駆動伝達機構32と、を備えることによって構成されている。
テンションローラー対25は、図2及び図3中、左方に位置する第1テンションローラー27と、図2及び図3中、右方に位置する第2テンションローラー29とを備えることによって構成されており、一例として搬送方向Aに長い同寸法の円筒形ローラーによって第1テンションローラー27と第2テンションローラー29は形成されている。また、前記第1テンションローラー27と第2テンションローラー29には、それぞれ回転方向が逆方向で同じ大きさ(同速度で同じ回転角度)の回転が前記駆動モータ31から駆動伝達機構32を介して伝達されるようになっている。
【0032】
尚、駆動伝達機構32としては、ベルトやギア輪列、あるいはこれらを組み合わせた機構が一例として適用可能である。
また、前記第1テンションローラー27と第2テンションローラー29には、被捺染材Tの左右の側縁部19、21を保持してそれぞれ幅方向Bの外方にテンションをかけるのに必要なグリップ力が求められる。当該グリップ力の付与手段としては、前記第1テンションローラー27と第2テンションローラー29の外周面に粘着性を有する粘着剤33を図示のように塗布したり、粘着シートを貼設する手段、当該外周面にグリップ力を高める凹凸パターンを形成したり、第1テンションローラー27と第2テンションローラー29の外周面を摩擦係数の大きなゴム材等によって形成する手段等が採用可能である。
【0033】
また、本実施例では前記第1テンションローラー27と第2テンションローラー29の外周面が直接、被捺染材Tの他方の面9に接触して被捺染材Tにテンションを付与するテンション付与作用部になっている。
また、本実施例のインクジェット捺染装置1Aには、前記第1テンションローラー27と第2テンションローラー29を、被捺染材Tの他方の面9に接触させてテンションをかけた状態にする接触位置Eと、被捺染材Tの他方の面9から離反させてテンションをかけない状態にする退避位置Fとの間とで移動させる図中、矢印で示す昇降機構35が設けられている。
【0034】
昇降機構35としては、ラック・ピニオン機構やリンク機構あるいはカム機構等を利用した機構が一例として採用でき、該昇降機構35によって左右の第1テンションローラー27と第2テンションローラー29は同時に昇降動して前記接触位置Eと退避位置Fを切り替えるように構成されている。
【0035】
次に、図4に示すフローチャートに従って、実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aの動作の流れを説明する。
先ず、ステップS1で昇降機構35を駆動してテンションローラー対25を下降させ、退避位置Fに移動させて被捺染材Tの搬送にテンションローラー対25からの負荷がかからないようにする。次に、ステップS2に移行し、搬送用ローラー13を駆動して被捺染材Tを捺染実行領域4に搬送する。
【0036】
続いて、ステップS3で搬送用ローラー13の駆動を停止し、ステップS4で昇降機構35を駆動してテンションローラー対25を上昇させ、接触位置Eに移動させる。
次に、ステップS5に移行し、テンション付与機構17を駆動して第1テンションローラー27と第2テンションローラー29をそれぞれ逆方向に回転させて被捺染材Tにテンションをかける。更に、ステップS6で当該被捺染材Tのテンションが所定の大きさになったか否かの判断が行われ、被捺染材Tのテンションが所定の大きさになった場合には、ステップS7に移行し、捺染ヘッド3からインクCを吐出して所望の捺染を実行する。
【0037】
尚、この時被捺染材Tは、テンション付与機構17によって付与されたテンションによって幅方向Bに伸び、被捺染材Tを構成している繊維間の隙間が広がっているから前記捺染ヘッド3から吐出されたインクCは、被捺染材Tの一方の面7の表面部に留まることなく被捺染材Tの繊維間の隙間に深く入り込むことができる。
一方、前記ステップS6で被捺染材Tのテンションが所定の大きさになっていないと判断された時には、ステップS5に戻り、被捺染材Tにテンションが更に加えられて所定の大きさになるまでステップS5とステップS6の処理が繰り返される。
【0038】
そして、このような構成の本実施例に係るインクジェット捺染装置1Aによれば、布帛Aの幅方向Bで発生する歪や皺に起因する印捺画像の乱れが低減される。また、布帛Aの表面側のみでのインクCの定着を防止し、複雑なデータ処理を施されなくても布帛Aの表裏両面7、9からインク滲みを抑えた所定品質の印捺画像を視認することができるようになる。
【0039】
[実施例2](図5及び図6参照)
図5に実施例2に係るインクジェット捺染装置1Bの要部の概略構成が図示され、図6に実施例2に係るインクジェット捺染装置1Bのクラウンローラー対37の平面配置態様が図示されている。
尚、本実施例のインクジェット捺染装置1Bは、テンション付与機構17の構成と配置態様が前記実施例1と相違しており、他の構成については前記実施例1と同様であるので、ここでは前記実施例1と同様の構成については説明を省略し、実施例1と相違するテンション付与機構17の配置態様を中心に説明する。
【0040】
即ち、本実施例ではテンション付与機構17が、前記捺染実行領域4を挟んだ被捺染材Tの搬送方向Aに配置されている軸23の方向が被捺染材Tの幅方向Bと平行なクラウン形状のクラウンローラー対37と、該クラウンローラー対37を構成する上流側に位置する第1クラウンローラー39と、下流側に位置する第2クラウンローラー41との間にテンションがかかるように第1クラウンローラー39と第2クラウンローラー41とを回転させる駆動モータ31と、を備えることによって基本的に構成されている。
【0041】
第1クラウンローラー39と第2クラウンローラー41は、中央部で径が大きく、両端部で径が小さいクラウン形状のローラーで、被捺染材Tの他方の面9における幅方向Bの広い範囲を支承できる長さに形成されている。クラウン形状のローラーを用いると前記径の大小によって搬送される被捺染材Tの平面度が低下するが、前記大小の径差は小さく設定されて前記径差に基づく前記平面度の低下による印捺品質の低下が目立たずに、実質的な影響が出ないように構成されている。
因みに、クラウン形状のローラーは、ベルトコンベヤー等においてベルトの斜行を防止する等の目的で採用されているローラーであり、該ローラーによって支持されるベルトを中央部から左右の両端部にかけて引っ張る方向にテンションを生じさせる機能を有している。
【0042】
また、本実施例では第1クラウンローラー39と第2クラウンローラー41のそれぞれの中央部に前記実施例1で採用したのと同じ粘着剤33が一例として塗布されており、被捺染材Tにテンションを付与する場合のグリップ力(保持力)を高めている。
また、本実施例では、第1クラウンローラー39と第2クラウンローラー41を被捺染材Tの搬送方向Aに沿う方向に回転するように設定しており、上流側の第1クラウンローラー39の回転速度よりも下流側の第2クラウンローラー41の回転速度を速くして両者の間に支持されている被捺染材Tに搬送方向Aと幅方向Bとの両方のテンションがかかるようにしている。
【0043】
そして、このような構成の本実施例に係るインクジェット捺染装置1Bによっても、前記実施例1と同様の動作の流れで被捺染材Tに対する印捺が実行され、前記実施例1と同様の作用、効果を発揮することができる。
また、本実施例の場合には、被捺染材Tに搬送方向Aのテンションを付与するテンションローラーを備えるインクジェット捺染装置であれば、部品点数を増やすことなく、当該テンションローラーの形状をクラウン形状にするだけの簡単な構成によって被捺染材Tの搬送方向Aと併せて幅方向Bにもテンションを付与することが可能になる。
【0044】
[実施例3](図7及び図8参照)
図7に実施例3に係るインクジェット捺染装置1Cの要部の概略構成が図示され、図8に実施例3に係るインクジェット捺染装置1Cの第1傾斜ローラー対43と第2傾斜ローラー対49の平面配置態様が図示されている。
尚、本実施例のインクジェット捺染装置1Cは、テンション付与機構17の構成と配置態様が前記実施例1と相違しており、他の構成については前記実施例1と同様であるので、ここでは前記実施例1と同様の構成については説明を省略し、実施例1と相違するテンション付与機構17の構成と配置態様を中心に説明する。
【0045】
即ち、本実施例では、テンション付与機構17が、前記捺染実行領域4を挟んだ被捺染材Tの搬送方向Aの上流位置と下流位置にそれぞれ幅方向Bの左右に一対ずつ配置されている軸23の方向が被捺染材Tの搬送方向Aに対して傾斜している二対の傾斜ローラー対43、49と該二対の傾斜ローラー対43、49を構成している上流側に位置する第1傾斜ローラー対43と、下流側に位置する第2傾斜ローラー対49との間にテンションがかかるように第1傾斜ローラー対43と第2傾斜ローラー対49を回転させる駆動モータ31と、を備えることによって基本的に構成されている。
【0046】
前記第1傾斜ローラー対43は、図8中、左方に配置されている第1左傾斜ローラー45と、図8中、右方に配置されている第1右傾斜ローラー47とを備えることによって構成されており、前記第2傾斜ローラー対49は、図8中、左方に配置されている第2左傾斜ローラー51と、図8中、右方に配置されている第2右傾斜ローラー53とを備えることによって構成されている。
また、これら4本の傾斜ローラー45、47、51、53は、図8に示すように内側の端部が外側の端部よりも下流側に位置するように傾斜して設けられており、これらの傾斜角度θ(図8)は一例としてすべて同じになるように設定されている。前記傾斜角度θは図示しない公知の機構によって変更可能に構成されている。
【0047】
そして、本実施例では、上流側に位置する第1傾斜ローラー対43を構成している第1左傾斜ローラー45及び第1右傾斜ローラー47の回転速度よりも下流側に位置する第2傾斜ローラー対49を構成している第2左傾斜ローラー51及び第2右傾斜ローラー53の回転速度を速くして両者の間に支承されている被捺染材Tに搬送方向Aと幅方向Bとの両方のテンションがかかるようにしている。
また、前記被捺染材Tにかかる搬送方向Aと幅方向Bのテンションは、前記傾斜角度θを変えることによってその大きさが調整でき、前記傾斜角度θを45°に設定したとき、搬送方向Aと幅方向Bのテンションが等しくなる。
【0048】
そして、このような構成の本実施例に係るインクジェット捺染装置1Cによっても、前記実施例1と同様の動作の流れで被捺染材Tに対する印捺が実行され、前記実施例1と同様の作用、効果を発揮することができる。
また、本実施例の場合には、搬送方向Aと幅方向Bで伸び率の異なる被捺染材Tに対して第1傾斜ローラー対43と第2傾斜ローラー対49の傾斜角度θを変えるだけの簡単な構成によってそれぞれの方向A、Bに最適なテンションをかけて印捺を実行することが可能になる。
【0049】
[実施例4](図9参照)
図9に実施例4に係るインクジェット捺染装置1Dの要部の概略構成が図示されている。
尚、本実施例のインクジェット捺染装置1Dは、インクCの被捺染材Tに対する浸透を促進させる付着部材55を設けた点で前記実施例1と相違しており、他の構成については前記実施例1と同様であるので、ここでは前記実施例1と同様の構成については説明を省略し、実施例1と相違する付着部材55の構成を中心に説明する。
【0050】
即ち、本実施例では、前記被捺染材Tにテンションが付与された状態で前記被捺染材Tに浸透液Sを付着させる付着部材55が設けられている。
浸透液Sは、捺染ヘッド3から吐出されるインクCよりも粘度の低い液体であり、一例として被捺染材Tの一方の面7側の捺染実行領域4の上流位置に配置されている付着部材55の一例である吐出ノズル57から、前記捺染ヘッド3からのインクCの吐出に先立って吐出されるように構成されている。図示の例では、吐出ノズル57は捺染ヘッド3と別体の付着部材55に設けられているが、該吐出ノズル57は、捺染ヘッド3にインク吐出用のノズルと同様に設けることも可能である。
尚、本実施例で使用する浸透液Sとしては、インクジェット捺染用のインクにおいて通常使用されている浸透剤や界面活性剤が使用できる。
【0051】
このような浸透剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル(日本乳化剤社製:ニューコール1006)、テトラエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル(日本乳化剤社製:ニューコール1004)などの多価アルコールのアルキルエーテル類、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
また、多価アルコールのアルキルエーテル類としては、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテルを一種または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
また、界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;サーフィノール61、82、104、440、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)、オルフィンE1010、オルフィンSTG、オルフィンY(何れも商品名、日信化学社製)等のアセチレングリコ−ル系界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両イオン性界面活性剤、KF−353A、KF6017、X−22−6551、AW−3(何れも商品名、信越化学工業社製)等のオルガノポリシロキサン系界面活性剤等を挙げることができる。
浸透液は、上記した浸透剤を、浸透液の全質量に対して概ね10〜30質量%、また、界面活性剤を概ね0.1〜3.0質量%含むことが好ましい。
【0053】
そして、このような構成の本実施例に係るインクジェット捺染装置1Dによっても、前記実施例1と同様の動作の流れで被捺染材Tに対する印捺が実行され、前記実施例1と同様の作用、効果を発揮することができる。
また、本実施例の場合には、浸透液Sの浸透が円滑になり、該浸透液Sによって被捺染材Tの一方の面7に吐出されたインクCの他方の面9に向けての移動が促進されるから、表裏両面から印捺画像を鮮明に視認し得る捺染物を確実に製造できるようになる。
【0054】
また、本発明の捺染物の製造方法は、前述した実施例1から実施例4に示すようなインクジェット捺染装置1A〜1Dを使用して被捺染材Tの一方の面7に捺染を実行する場合に適用される捺染物の製造方法である。
そして、本発明の捺染物の製造方法によれば、布帛Tの幅方向Bで発生する歪や皺に起因する印捺画像の乱れが低減された捺染物を製造することが可能になる。
また、浸透液を用いることによって布帛Tの表面側のみでのインクCの定着が防止された捺染物を製造することが可能になる。また、複雑なデータ処理を施さなくても布帛Tの表裏両面からインク滲みを抑えた所定品質の印捺画像を視認し得る捺染物を製造することが可能になる。
【0055】
[他の実施例]
本発明に係るインクジェット捺染装置1及び捺染物の製造方法は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
例えば、前記実施例2と実施例3では、クラウンローラー対37や第1傾斜ローラー対43及び第2傾斜ローラー対49が常時、被捺染材Tの他方の面9に接触していても被捺染材Tの搬送が可能であるので、前述した昇降機構35を省略することが可能である。
【0056】
また、前記実施例2で上流側に配置されている第1クラウンローラー39と前記実施例3で上流側に配置されている第1傾斜ローラー対43を被捺染材Tの搬送に影響がない範囲で前記搬送方向Aと逆方向の戻し方向に回転させることも可能である。
また、前記実施例4で設けた付着部材55を前記実施例2や実施例3に対して適用することも可能である。また、付着部材55を設置する位置は捺染実行領域4の上流位置に限らず、捺染実行領域4や捺染実行領域4の下流位置であっても構わない。
更に、浸透液Sを付着する面は被捺染材Tの一方の面7に限らず、他方の面9であってもよく、付着の態様は、吐出に限らず塗布であっても構わない。また、前記被捺染材Tの他方の面9に当接して直接、被捺染材Tにテンションを付与する部材は、ローラーに限らずベルトコンベヤー等であっても構わない。
【符号の説明】
【0057】
1 インクジェット捺染装置、3 捺染ヘッド、4 捺染実行領域、
6 ノズル列、7 一方の面(表側の面)、9 他方の面(裏側の面)、
10 支承部材、11 搬送手段、13 搬送用ローラー、15 制御部、
17 テンション付与機構、19 側縁部、21 側縁部、23 軸、
25 テンションローラー対、 27 第1テンションローラー、
29 第2テンションローラー、31 駆動モータ(駆動源)、
32 駆動伝達機構、33 粘着剤、35 昇降機構、37 クラウンローラー対、
39 第1クラウンローラー、 41 第2クラウンローラー、
43 第1傾斜ローラー対、45 第1左傾斜ローラー、
47 第1右傾斜ローラー、49 第2傾斜ローラー対、
51 第2左傾斜ローラー、53 第2右傾斜ローラー、55 付着部材、
57 吐出ノズル、T 被捺染材(布帛)、C インク、S 浸透液、
A 搬送方向、B 幅方向、M 下方領域、E 接触位置、F 退避位置、
θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被捺染材の一方の面にインクを吐出して所望の印捺画像を形成する捺染ヘッドと、
前記捺染ヘッドの存する捺染実行領域に被捺染材を搬送し、印捺後の捺染物を外部に排出する搬送手段と、
前記被捺染材が前記捺染実行領域に位置して印捺を実行しているときに当該被捺染材の幅方向にテンションをかけるテンション付与機構と、を備えていることを特徴とするインクジェット捺染装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記テンション付与機構は、被捺染材の種類に応じて被捺染材にかけるテンションの大きさを調整し得るように構成され、
前記テンション付与機構によって付与するテンションの大きさを制御する制御部を備えていることを特徴とするインクジェット捺染装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記テンション付与機構は、被捺染材の左右の側縁部下方に配置されている軸方向が被捺染材の搬送方向と平行なテンションローラー対と、
前記テンションローラー対を被捺染材の幅方向にテンションがかかるように回転させる駆動源と、を備えていることを特徴とするインクジェット捺染装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記テンション付与機構は、前記捺染実行領域を挟んで被捺染材の搬送方向に配置されている軸方向が被捺染材の幅方向と平行なクラウン形状のクラウンローラー対と、
前記クラウンローラー対を構成する上流側に位置する第1クラウンローラーと下流側に位置する第2クラウンローラーとの間にテンションがかかるように第1クラウンローラーと第2クラウンローラーとを回転させる駆動源と、を備えていることを特徴とするインクジェット捺染装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記テンション付与機構は、前記捺染実行領域を挟んで被捺染材の搬送方向の上流位置と下流位置にそれぞれ幅方向の左右に一対ずつ配置されている軸方向が被捺染材の搬送方向に対して傾斜している二対の傾斜ローラー対と、
前記二対の傾斜ローラー対を構成する上流側に位置する第1傾斜ローラー対と下流側に位置する第2傾斜ローラー対との間にテンションがかかるように第1傾斜ローラー対と第2傾斜ローラー対を回転させる駆動源と、を備えていることを特徴とするインクジェット捺染装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記テンション付与機構のテンション付与作用部を被捺染材の他方の面に接触させてテンションをかけた状態にする接触位置と、前記テンション付与作用部を被捺染材の他方の面から離反させてテンションをかけない状態にする退避位置との間とで移動させる昇降機構が設けられており、
前記制御部によって前記テンション付与作用部の接触位置と退避位置との切り替えを制御するように構成されていることを特徴とするインクジェット捺染装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記被捺染材にテンションが付与された状態で前記被捺染材に浸透液を付着させる付着部材が設けられていることを特徴とするインクジェット捺染装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載されたインクジェット捺染装置を使用して被捺染材の一方の面に捺染を実行する捺染物の製造方法であって、
前記被捺染材が搬送手段によって搬送されて捺染実行領域に位置している時、当該被捺染材の幅方向にテンションをかけた状態で被捺染材の一方の面にインクを吐出して所望の印捺画像を形成するようにしたことを特徴とする捺染物の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−19075(P2013−19075A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153733(P2011−153733)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】