説明

インクジェット捺染装置

【課題】実際にセットされているセットトレイの種類が装置が認識しているセットトレイの種類と異なっている場合に、当該セットトレイの種類の不一致を把握して被捺染材の捺染不良を未然に防止するインクジェット捺染装置の提供。
【解決手段】複数種類のセットトレイが付け替え可能なトレイ取付部32と、前記トレイ取付部32に取り付けられているセットトレイの種類を被捺染材Tがセットされた状態で検出可能な検出器5と、前記検出器5によって検出されたセットトレイの種類と、予め認識しているセットトレイの種類との一致と不一致を判別する判別部7と、前記判別部7の判別結果に基づいて所定の動作を実行させる制御部19とを備えている装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布帛すなわち被捺染材に対してインクジェット方式で捺染を行うインクジェ
ット捺染装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からTシャツ等の布帛の表面に対して、捺染ヘッドから各色のインクを吐出して所
望の画像を印捺するインクジェット捺染装置が開発され、広く使用されている。そして、
該インクジェット捺染装置には、Tシャツ等の布帛をセットして前記捺染ヘッドのノズル
開口面と当該布帛との間隔を所定のギャップに規定するセットトレイが設けられている。
【0003】
前記セットトレイは、印捺する布帛の形状や大きさの違い、印捺する画像の大きさや印
捺する方向の違いあるいは同時に複数枚の布帛に印捺する場合と一枚の布帛に印捺する場
合のような印捺の態様の違い等に応じて、形状や大きさ等の違う複数種のセットトレイを
付け替えて使用できるようになっている。そして、これらの複数種のセットトレイは、そ
れぞれの印捺の目的に応じてユーザーによって適宜、当該印捺の目的に合うセットトレイ
に付け替えて使用されていた。
【0004】
ユーザーが実際にセットしたセットトレイとインクジェット捺染装置が認識しているセ
ットトレイが異なる場合には、ユーザーが想定していたのと違う位置や向きに画像が印捺
されたり、捺染ヘッドから吐出されたインクが該セットトレイを外れて該セットトレイ周
辺の環境を汚損することがあった。
また、セットトレイの交換時等において生ずる前記セットトレイの誤認に基づく捺染不
良を改善する技術として、下記の特許文献1に示す技術が提供されている。この技術は、
前回のセットトレイの種類の記憶情報と今回のセットトレイの種類の指定情報とを比較し
、前回と今回のセットトレイの種類が異なっている場合に報知してユーザーに知らせ、前
記捺染不良の発生を未然に防止するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−51114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1では前記セットトレイの種類の違いの判断はユーザーの
入力情報だけに基づくことになる。従って、前記ユーザーの入力情報に誤りがあった場合
やセットトレイの誤装着があった場合には、セットトレイの種類の正確な判断はできず、
前述した捺染不良を発生することになる。
【0007】
本発明の目的は、実際にセットされているセットトレイの種類がインクジェット捺染装
置が認識しているセットトレイの種類と異なっている場合に、当該セットトレイの種類の
不一致を把握して被捺染材の捺染不良を未然に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係るインクジェット捺染装置の第1の態様は、複数
種類のセットトレイが付け替え可能なトレイ取付部と、前記トレイ取付部に取り付けられ
ているセットトレイの種類を被捺染材がセットされた状態で検出可能な検出器と、前記検
出器によって検出されたセットトレイの種類と、予め認識しているセットトレイの種類と
の一致と不一致を判別する判別部と、前記判別部の判別結果に基づいて所定の動作を実行
させる制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
ここで、「所定の動作」とは、判別結果が「一致」の場合はそのまま捺染を開始し、判
別結果が「不一致」場合はその状態で捺染を実行することによる不良発生を未然に防止す
るために予め設定されている動作をいう。
【0009】
ここで「被捺染材」とは、捺染の対象となる「布地」を意味し、綿、絹、羊毛等の天然
繊維やナイロン等の化学繊維あるいはこれらを混ぜた複合繊維の織物、編物、不織布等が
含まれ、ロール状に巻かれた長尺のものと、所定の長さにカットされたものの両方が含ま
れる。更に、縫製後のTシャツ等の衣類や縫製後のハンカチ、スカーフ、タオル、カーテ
ン、シーツ、ベッドカバー等のファニチャーの類の他、縫製前の状態のパーツとして存在
する裁断前後の布地等も含まれる。
【0010】
本態様によれば、トレイ取付部に取り付けられているセットトレイの種類を、被捺染材
が当該セットトレイにセットされた状態で検出可能な検出器を設けたことによって、実際
に使用に供されているセットトレイの種類を、被捺染材がセットされている状態で検出し
て特定することができる。従って、前記検出したセットトレイの種類と予め認識している
セットトレイの種類とを比較して両者が一致している場合は、そのまま捺染開始工程に移
行することが可能であり、使い勝手を向上できる。また、両者が不一致の場合は捺染不良
品の発生を未然に防止することができる。
【0011】
本発明に係るインクジェット捺染装置の第2の態様は、前記第1の態様において、被捺
染材にインクを吐出して印捺画像を形成する捺染ヘッドと、前記セットトレイを、被捺染
材をセットするセット位置と、前記捺染ヘッドによる捺染実行領域を挟んで存する被捺染
材の捺染開始位置との間で移動させる移動部とを備え、前記検出器によるセットトレイの
種類の検出は、セットトレイを前記セット位置から前記捺染開始位置へ移動させる際に実
行されることを特徴とするものである。
ここで、「捺染開始位置」とは、被捺染材への印捺の為にセットトレイが移動を開始す
る位置を意味する。
【0012】
本態様によれば、前記第1の態様の作用、効果に加えて、セットトレイを、被捺染材を
セットするセット位置と前記捺染ヘッドによる捺染実行領域を挟んで存する被捺染材の捺
染開始位置との間で移動させる移動部を設けたことによって、被捺染材の捺染を実行する
上で必然的に採ることになるセットトレイのセット位置から捺染開始位置までの移動の際
に前記検出器によるセットトレイの種類の検出が同時に実行されるようになる。
従って、被捺染材の捺染に必要な時間を拡大することなく、前記セットトレイの必然の
移動工程を利用して効率良くセットトレイの種類を検出でき、以ってセットトレイの不一
致を判別することが可能になる。
【0013】
本発明に係るインクジェット捺染装置の第3の態様は、前記第2の態様において、前記
制御部は、前記判別部の判別結果が不一致であるときは、捺染は実行せず、前記所定動作
の一つとしてセットトレイを前記セット位置に戻す制御を実行することを特徴とするイン
クジェット捺染装置。
【0014】
本態様によれば、前記判別部の判別結果が「不一致」であるときは、捺染は実行せず、
セットトレイを前記セット位置に戻すようになっているので、セットトレイの種類の不一
致が判別されたときに必要になるセットトレイの交換作業の開始を早期に着手することが
でき、以って正しいセットトレイを使用した被捺染材の捺染に速やかに移行することが可
能になる。
【0015】
本発明に係るインクジェット捺染装置の第4の態様は、前記第2の態様または第3の態
様において、前記セットトレイは、被捺染材がセットされた状態における当該被捺染材が
占める領域の外側であって該セットトレイの移動方向における一方側と他方側に位置する
第1被検出部を備え、前記検出器によるセットトレイの種類の検出は、前記セットトレイ
を前記セット位置から捺染開始位置に移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミング
に基づいて実行されることを特徴とするものである。
ここで、「検出タイミング」とは、第1検出部の有無を検出するタイミングを意味する
が、その検出タイミングは一度の検出でセットトレイの種類を検出する場合に限らず、第
1検出部を二度以上の複数回の検出をしたことでセットトレイの種類を検出する場合も含
む意味で使われている。
【0016】
本態様によれば、セットトレイに被捺染材がセットされた状態の当該被捺染材が占める
領域の外側であって該セットトレイの移動方向における一方側と他方側に位置する第1被
検出部を備え、前記検出器によるセットトレイの種類の検出は、前記セットトレイを前記
セット位置から捺染開始位置に移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングに基づ
いて実行される。従って、セットトレイの移動方向の位置検出を、前記第1検出部の前記
検出タイミングによって行うことができる。これにより、セットトレイを移動方向に移動
させるだけで、当該セットトレイの大きさや形状等の構成の違いを正確に特定することが
可能になる。
【0017】
本発明に係るインクジェット捺染装置の第5の態様は、前記第4の態様において、前記
セットトレイに被捺染材がセットされた状態の当該被捺染材が占める領域の外側であって
該セットトレイの移動方向と交差する方向おける少なくとも一方側に位置する第2被検出
部を備え、前記検出器によるセットトレイの種類の検出は、前記セットトレイを前記セッ
ト位置から捺染開始位置に移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングと、前記検
出器を前記第2被検出部を通過する方向に移動させることで得られる検出情報とに基づい
て実行されることを特徴とするものである。
【0018】
本態様によれば、セットトレイの移動方向を前後方向としたときの左右の幅方向の位置
検出を、前記第2検出部の検出情報によって行うことができる。これにより、セットトレ
イの移動方向の長さは同じで、幅方向に長さが異なる種類の違いを検出することが可能に
なる。
従って、前記第1検出部に対する前記検出タイミング情報と、前記第2検出部に対する
前記検出情報に基づいて、前記第4の態様よりも多い種類のセットトレイを付け替える構
造のインクジェット捺染装置において、セットトレイの大きさや形状等の違いを正確に特
定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置の概略の構成を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置の概略の構成を示す側断面図。
【図3】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置の概略の構成を示す平面図。
【図4】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置の捺染ヘッドと検出器の配設位置を示すキャリッジの底面図。
【図5】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置で使用するセットトレイの種類を示す斜視図。
【図6】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する手順の一例を示す平面図。
【図7】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する動作の流れの一例を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施例2に係るインクジェット捺染装置の概略の構成を示す平面図。
【図9】本発明の実施例2に係るインクジェット捺染装置で使用するセットトレイの種類を示す斜視図。
【図10】本発明の実施例2に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する手順の一例を示す平面図。
【図11】本発明の実施例2に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する動作の流れの一例を示すフローチャート。
【図12】本発明の実施例2に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する手順の他の一例を示す平面図。
【図13】本発明の実施例2に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する動作の流れの他の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1から図7に示す実施例1と、図8から図13に示す実施例2を例にとって、
本発明のインクジェット捺染装置1の構成と、該インクジェット捺染装置1を使用するこ
とによって実行されるインクジェット捺染方法について順番に説明する。
尚、以下の説明では被捺染材(以下、「布帛」ともいう)Tとして、胴部と袖部が筒状
に縫製されたTシャツを例にとり、該Tシャツに印捺画像Gを形成する表側の面を第一の
面9、該第一の面9と反対側の裏側の面を第二の面11として説明する。
【0021】
[実施例1](図1から図7参照)
本実施例1のインクジェット捺染装置1A(1)は、複数種類のセットトレイ3が付け
替え可能なトレイ取付部32と、トレイ取付部32に取り付けられているセットトレイ3
の種類を被捺染材Tがセットされた状態で検出可能な検出器5と、検出器5によって検出
されたセットトレイ3の種類と、予め認識しているセットトレイ3’の種類との一致と不
一致を判別する判別部7と、前記判別部7の判別結果に基づいて所定の動作を実行させる
制御部19とを備えている。
【0022】
更に実施例1のインクジェット捺染装置1Aは、被捺染材Tにインクを吐出して印捺画
像Gを形成する捺染ヘッド13と、前記セットトレイ3を、被捺染材Tをセットするセッ
ト位置Sと、前記捺染ヘッド13による捺染実行領域15を挟んで存する被捺染材Tの捺
染開始位置Kとの間で移動させる移動部17とを備えている。そして、前記検出器5によ
るセットトレイ3の種類の検出は、セットトレイ3を前記セット位置Sから前記捺染開始
位置Kへ移動させる際に実行されるようになっている。
【0023】
更に具体的には、一部繰り返しになるが、前記被捺染材Tの第1の面9にインクを吐出
して所望の印捺画像Gを形成する捺染ヘッド13と、前記被捺染材Tをセットし、前記被
捺染材Tの第二の面11を支持するセットトレイ3と、該セットトレイ3を、被捺染材T
をセットするセット位置Sと、前記捺染ヘッド13の存する捺染実行領域15を挟んで存
する被捺染材Tの捺染開始位置Kとの間で往復移動させる移動部17と、を備えている。
【0024】
そして、前記制御部19は、前記判別部7の判別結果が「不一致」であるときは、捺染
は実行せず、前記所定動作の一つとしてセットトレイ3を前記セット位置Sに戻す制御を
実行するように構成されている。また、本実施例では、前記判別部7が「不一致」と判別
したときは、更にセットトレイ3の種類の不一致をユーザーに報知するようになっている

【0025】
また、実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aにあっては、図1に示すように前記
捺染ヘッド13は、セットトレイ3の前記移動方向Aと交差する方向である走査方向Bに
移動可能な状態で装置本体2に保持されている。具体的には、該捺染ヘッド13は装置本
体2内において前記走査方向Bに往復移動可能なキャリッジ21に搭載されている。そし
て、当該キャリッジ21に前記検出器5が設けられている。
【0026】
ここで、本実施例1では、セットトレイ3が前記移動方向Aに移動し、前記検出器5は
前記移動方向Aに対しては固定されている構造が採用されているが、これに限定されない
。セットトレイ3を前記移動方向Aに移動させずに位置を固定し、前記検出器5即ちキャ
リッジ21を保持する装置本体2側を前記方向Aに移動させて前記セット位置Sに対応す
る状態と前記捺染開始位置Kに対応する状態を実現するようにしてもよい。
要するに、セットトレイ3と検出器5の前記方向Aに対する関係は相対的に移動する関
係であればよい。よって、セットトレイ3と検出器5の双方が移動して前記セット位置S
に対応する状態と前記捺染開始位置Kに対応する状態を実現するようにしてもよい。
【0027】
更に、本実施例1では、前記セットトレイ3は、被捺染材Tがセットされた状態におけ
る当該被捺染材Tが占める領域の外側であって該セットトレイ3の移動方向Aにおける前
側と後側に位置する第1被検出部25,25を備えている。即ち、第1被検出部25,2
5は、セットトレイ3に被捺染材Tがセットされた状態における当該被捺染材Tが捺染ヘ
ッド13側に露呈状態で占める領域の周縁部の外側であって該セットトレイ3の移動方向
Aにおける前側と後側に位置している。そして、前記検出器5によるセットトレイ3の種
類の検出は、前記セットトレイ3を前記セット位置Sから捺染開始位置Kに移動させる際
の前記第1被検出部25,25の検出タイミングに基づいて実行される。
【0028】
以下、実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aを構成している前述した諸部材につ
いて具体的に説明する。
【0029】
捺染ヘッド13は、一例として装置本体2の向って左側に位置するインクカートリッジ
41からチューブ等を介して供給されるインクを被捺染材Tの第一の面9に向けて吐出し
て直接、捺染を実行する捺染実行部材である。そして、本実施例ではキャリッジ21の走
査方向Bに往復移動しながらインクを吐出する、いわゆるシリアル型の捺染ヘッド13が
一例として採用されている。
セットトレイ3は、一例として矩形平板状の部材で、その上面に被捺染材Tをセットす
る平坦なセット面23が形成されている。該セット面23は、被捺染材Tの第二の面11
を直接、支持する部位であり、被捺染材Tを皺を伸ばしてセットできるように全面が平坦
面に形成されている。
【0030】
前記セット面23の外周の前後には左右方向に延びる枠体28の一部を成す構造で前記
第1被検出部25,25が一対形成されている。尚、前記セット面23の外周の左右には
前後方向に延びる枠体28の一部を成す第2被検出部27,27が同じく一対形成されて
いる。該第2被検出部27,27は、後述する実施例2でセットトレイ3の種類の検出に
利用するものである。
すなわち、第1検出部25,25と第2検出部27,27は四角形の枠体28で一体に
構成されている。この枠体28は、セットトレイ3にセットされた状態で皺伸ばしが行わ
れた被捺染材Tのその皺伸ばし状態を保持するために周囲に嵌めて取り付けられるもので
ある。その枠体28を本発明では検出器5の検出部として利用している。
第1被検出部25,25と第2被検出部27,27は、光の反射率の高い適宜の材料、
例えば金属等によって形成されている。このうち第1被検出部25,25は当該セットト
レイ3の移動方向Aに沿う、長さ方向の位置検出に使用され、第2被検出部27,27は
当該セットトレイ3の幅方向の位置検出に使用される。
【0031】
尚、前記セットトレイ3の種類としては、本実施例では、図5(A)〜(C)に示す3
種類のセットトレイ3が一例として使用でき、このうち図5(A)に示すセットトレイ3
Aは、サイズの大きな被捺染材Tや印捺画像Gが広い範囲に及ぶ時に好適な大サイズのセ
ットトレイ3である。
また、図5(B)に示すセットトレイ3Bは、サイズの小さな被捺染材Tや印捺画像G
が狭い範囲で済む時に好適な小サイズのセットトレイ3である。更に、図5(C)に示す
セットトレイ3Cは、幅寸法が前記図5(A)に示すセットトレイ3Aと同じで、長さ寸
法が前記図5(A)に示すセットトレイ3Aの半分程度の大きさのセットトレイ3を前後
方向に2枚、組み合わせて配置したものである。セットトレイ3Cは、サイズの小さな被
捺染材Tや印捺画像Gの小さな被捺染材Tを2枚同時にセットして捺染を行う時に好適な
形状違いのセットトレイ3である。
【0032】
移動部17は、インクジェット捺染装置1Aの装置本体2の前方から奥部側にかけて移
動方向Aに沿って延びる支持ベース29と、該支持ベース29の上方の一例として左右方
向の中央部において、移動方向Aに沿って往復移動可能に設けられているスライダーと所
定高さの支柱とを有する支持台31と、該支持台31を駆動する一例としてタイミングベ
ルト43を使用した駆動機構と、を備えることによって一例として構成されている。
【0033】
また、前記支持台31の上面には前述したセットトレイ3が一例としてセンター基準合
わせで着脱可能な状態でトレイ取付部32に取り付けられている。そして、該セットトレ
イ3はセットされた被捺染材Tと共に前記支持台31と一体になって移動方向Aに沿って
移動し、前述したセット位置Sと捺染開始位置Kとの間で往復移動できるように構成され
ている。
【0034】
検出器5としては、一例として反射式の光センサが適用でき、一例として図4に示すよ
うに捺染ヘッド13の側傍のキャリッジ21の底面に配設されている。
また、該検出器5から下方に向けて照射された光は、前述した第1被検出部25と第2
被検出部27に当たって反射し、再び検出器5に戻ってきた光を検知することによってセ
ットトレイ3の長さ方向と幅方向の位置検出が実行されてセットトレイ3の種類が特定で
きるように構成されている。
【0035】
判別部7は、前記検出器5から送られてきたセットトレイ3の種類情報33と、ユーザ
ーによって設定された設定情報35等に基づいてインクジェット捺染装置1Aが予め認識
しているセットトレイ3’の種類とを比較して、両者の一致と不一致を判別する部位であ
る。
そして、該判別部7によってセットトレイ3の一致が確認された場合には、当該セット
トレイ3を使用した被捺染材Tに対する捺染が実行され、該判別部7によってセットトレ
イ3の不一致が確認された場合には、不一致特定情報37として制御部19に送られる。
【0036】
制御部19は、前記判別部7から不一致特定情報37が送られてきた時の処理を実行す
る。具体的には、セットトレイ3の種類の不一致が確認された時には、当該セットトレイ
3を使用する捺染の実行を停止してセットトレイ3の種類の不一致をユーザーに知らせる
音声や表示による報知処理を実行する。
また、前記報知処理と同時に捺染実行領域15または捺染開始位置Kに存するセットト
レイ3をセット位置Sに戻してセットトレイ3の交換を促す排出処理を実行する。
【0037】
次に、このようにして構成される実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aを使用す
ることによって実行されるインクジェット捺染方法をセットトレイ3の種類の検出と判別
の過程を中心に説明する。
即ち、このインクジェット捺染装置1Aは、被捺染材Tがセットされたセットトレイ3
を、検出器5による後側(移動方向の奥側)の第1検出部25の検出可能位置となる第1
位置P1(図6(A))に移動させるセットトレイ第1移動工程と、第1位置P1に移動
したセットトレイ3を、セットトレイ3Cの前側(移動方向の手前側)の第1検出部25
の検出可能位置となる第2位置P2(図6(B)(i))に移動させるセットトレイ第2
移動工程と、前記各移動工程で検出した検出情報に基づいてセットトレイ3の種類を特定
する種類特定工程と、前記種類特定工程で特定したセットトレイ3の種類と、予め認識し
ているセットトレイ3’の種類とを比較して両者の一致と不一致を判別する判別工程と、
実行可能に構成されている。
【0038】
以下、図6及び図7に基づいてセットトレイ3の種類の検出手順の一例と、検出時の動
作の流れの一例について詳しく説明する。
セット位置Sに位置しているセットトレイ3のセット面23上に被捺染材Tをセットし
、皺を伸ばし、枠体28をセットトレイ3に嵌めた後、ユーザーは使用するセットトレイ
3の種類等を設定(設定情報35)して捺染の実行指令を出す。
そして、前記捺染の実行指令を受けて図7に示す流れでセットトレイ3の検出、判別動
作が開始され、図7中のステップS1でキャリッジ21を走査方向の第1位置Q1に移動
させる。
【0039】
次に、ステップS2に移行して移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の第1
位置P1に移動させる。ここで、移動方向の第1位置P1では、大サイズのセットトレイ
3Aを使用した時と形状違いのセットトレイ3Cを使用した時には、図6(A)の(i)
に示すように検出器5の下方にこれらのセットトレイ3A、3Cの後側の第1被検出部2
5が位置するように設定されている。
一方、小サイズのセットトレイ3Bを使用した時には、図6(A)の(ii)に示すよ
うに、検出器5の下方に該セットトレイ3Bの第1被検出部25が未だ到達していない状
態となる。
【0040】
次に、図7に戻り、ステップS3に移行し、走査方向の第1位置Q1に位置している検
出器5が第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われる。そして、第1被検出部2
5の検出が確認された場合には、ステップS4に移行し、再び移動部17を駆動してセッ
トトレイ3を移動方向の第2位置P2まで移動させる。
尚、移動方向の第2位置P2では、形状違いのセットトレイ3Cを使用した時には、図
6(B)の(i)に示すように検出器5によって該セットトレイ3Cの第1被検出部25
及び前後のセットトレイ3C間の隙間が確認される。一方、大サイズのセットトレイ3A
を使用した時には、図6(B)の(ii)に示すように第1被検出部25や前記隙間は存
在しないからこれらは確認されない。
【0041】
次に、図7に戻り、ステップS5で第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われ
、第1被検出部25が検出された場合には、ステップS6に移行して形状違いのセットト
レイ3Cと特定される。
また、前記ステップS5で第1被検出部25が検出されなかったと判断された場合には
、ステップS7に移行して大サイズのセットトレイ3Aと特定される。
【0042】
更に、前記ステップS3で第1被検出部25が検出されなかったと判断された場合には
、ステップS8に移行して小サイズのセットトレイ3Bと特定される。
次に、ステップS9に移行して予め認識しているセットトレイ3’と一致するか否かの
判断が行われ、予め認識しているセットトレイ3’と一致すると判断された場合には、ス
テップS10に移行して移動部17を駆動してセットトレイ3を捺染開始位置Kまで移動
させて捺染を実行する。
【0043】
一方、前記ステップS9で予め認識しているセットトレイ3’と一致していないと判断
された場合には、ステップS11に移行して当該セットトレイ3の不一致を報知し、移動
部17を逆方向に駆動してセットトレイ3を当初のセット位置Sに戻す。
このように本実施例に係るインクジェット捺染装置1Aを用いれば、セットトレイ3の
セット位置Sから捺染開始位置Kまでの移動の過程で、セットトレイ3の種類の検出と判
別が行われるから、セットトレイ3の種類の検出と判別のために別途、時間を取らせるこ
となく、効率の良いセットトレイ3の種類の検出と判別が実行される。これにより、セッ
トトレイ3の不一致に起因する捺染不良の発生を未然に防止することができる。
【0044】
[実施例2](図8から図11参照)
実施例2に係るインクジェット捺染装置1Bは、前述した実施例1に係るインクジェッ
ト捺染装置1Aと同様の構成を有しており、検出することのできるセットトレイ3の種類
を一種類多くしたことと、該セットトレイ3の種類の拡大に伴って必要になってくるセッ
トトレイ3の検出方法と判別方法のみが前記実地例1と相違している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する検出可能なセットトレイ3の種類と、実施例
2に係るインクジェット捺染装置1Bを使用することによって実行されるインクジェット
捺染方法をセットトレイ3の種類の検出と判別の過程を中心に説明する。
【0045】
即ち、このインクジェット捺染装置1Bは、検出器5が搭載されたキャリッジ21を検
出位置となる走査方向の第1位置Q1に移動させるキャリッジ第1移動工程と、被捺染材
Tがセットされたセットトレイ3を検出位置となる移動方向の第1位置P1に移動させる
セットトレイ第1移動工程と、移動方向の第1位置P1に移動したセットトレイ3を検出
位置となる移動方向の第2位置P2に移動させるセットトレイ第2移動工程と、走査方向
の第1位置Q1に移動したキャリッジ21を検出位置となる走査方向の第2位置Q2に移
動させるキャリッジ第2移動工程と、前記各移動工程で検出した検出情報に基づいてセッ
トトレイ3の種類を特定する種類特定工程と、前記種類特定工程で特定したセットトレイ
3の種類と、予め認識しているセットトレイ3’の種類とを比較して両者の一致と不一致
を判別する判別工程と、を実行可能に構成されている。
【0046】
従って、前述した実施例1中で述べたインクジェット捺染装置1Aが実行する各工程に
、キャリッジ第2移動工程を付加した点が前記実施例1との主な相違点になっている。
また、セットトレイ3の種類としては、前記実施例1で述べた図5中の(A)〜(C)
と同様の構成の図9(A)に示す大サイズのセットトレイ3A、図9(B)に示す小サイ
ズのセットトレイ3B及び図9(C)に示す形状違いのセットトレイ3Cに、図9(D)
に示す前記図9(A)に示す大サイズのセットトレイ3Aの幅寸法を半分程度にした幅狭
のセットトレイ3Dを追加した構成になっている。
【0047】
以下、図10及び図11に基づいてセットトレイ3の種類の検出手順の一例と、検出時
の動作の流れの一例について説明する。
セット位置Sに位置しているセットトレイ3のセット面23上に被捺染材Tをセットし
、皺を伸ばし、枠体28をセットトレイ3に嵌めた後、ユーザーは使用するセットトレイ
3の種類等を設定(設定情報35)して捺染の実行指令を出す。
そして、前記捺染の実行指令を受けて図11に示すセットトレイ3の検出、判別動作が
開始され、図11中のステップS101でキャリッジ21を走査方向の第1位置Q1に移
動させる。
【0048】
次に、ステップS102に移行して移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の
第1位置P1に移動させる。尚、移動方向の第1位置P1では、大サイズのセットトレイ
3Aを使用した時と形状違いのセットトレイ3Cを使用した時と幅狭のセットトレイ3D
を使用した時には、図10(A)の(i)に示すように検出器5の下方にこれらのセット
トレイ3A、3C、3Dの第1被検出部25が位置するように設定されている。
一方、小サイズのセットトレイ3Bを使用した時には、図10(A)の(ii)に示す
ように検出器5の下方に該セットトレイ3Bの第1被検出部25が未だ到達していない状
態となる。
【0049】
次に、図11に戻り、ステップS103に移行し、走査方向の第1位置Q1に位置して
いる検出器5が第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われる。そして、第1被検
出部25の検出が確認された場合には、ステップS104に移行し、移動部17を駆動し
て当該セットトレイ3を前記第1被検出部25の検出が解除される所定ストロークZだけ
捺染開始位置K側に移動させる(図10(B))。
【0050】
次に、ステップS105に移行し、キャリッジ21を駆動して走査方向の第2位置Q2
にキャリッジ21を移動させる。因みに本実施例では走査方向の第2位置Q2を、大サイ
ズのセットトレイ3Aを使用した場合に検出器5が第2被検出部27にかからないホーム
ポジション側の外方領域に設定しているため、当該走査方向の第2位置Q2への移動の途
中で必ず当該セットトレイ3の第2被検出部27を検出できるように構成されている。
従って、図10(B)の(i)に示すようにセットトレイ3の幅寸法が狭い場合には早
いタイミングで前記第2被検出部27が検出され、図10(B)の(ii)に示すように
セットトレイ3の幅寸法が広い場合には遅いタイミングで前記第2被検出部27が検出さ
れるようになっている。
【0051】
次に、図11に戻り、ステップS106で前記第2被検出部27の検出位置が所定の位
置か否かの判断が行われる。尚、本実施例では大サイズのセットトレイ3Aを使用した時
の第2被検出部27の検出位置を所定の位置に設定している。
そして、前記ステップS106で第2被検出部27の検出位置が所定の位置であると判
断された場合には、ステップS107に移行してキャリッジ21を駆動し、当該キャリッ
ジ21を走査方向の第1位置Q1に再び移動させる。
【0052】
次に、ステップS108に移行して移動部17を駆動し、セットトレイ3を移動方向の
第2位置P2まで移動させる。
尚、移動方向の第2位置P2では、形状違いのセットトレイ3Cを使用した時には、図
10(C)の(i)に示すように検出器5によって該セットトレイ3Cの第1被検出部2
5及び前後のセットトレイ3C間の隙間が確認される。一方、大サイズのセットトレイ3
Aを使用した時には、図10(C)の(ii)に示すように第1被検出部25や前記隙間
は存在しないからこれらは確認されない。
【0053】
次に、図11に戻り、ステップS109で第1被検出部25を検出したか否かの判断が
行われ、第1被検出部25が検出された場合には、ステップS110に移行して形状違い
のセットトレイ3Cと特定される。
また、前記ステップS109で第1被検出部25が検出されなかったと判断された場合
には、ステップS111に移行して大サイズのセットトレイ3Aと特定される。
【0054】
また、前記ステップS106で第2被検出部27の検出位置が所定の位置ではないと判
断された場合には、ステップS112に移行して幅狭のセットトレイ3Dと特定される。

更に、前記ステップS103で第1被検出部25が検出されなかったと判断された場合
には、ステップS113に移行して小サイズのセットトレイ3Bと特定される。
【0055】
次に、ステップS114に移行して予め認識しているセットトレイ3’と一致するか否
かの判断が行われ、予め認識しているセットトレイ3’と一致すると判断された場合には
、ステップS115に移行し、移動部17を駆動してセットトレイ3を捺染開始位置Kま
で移動させて捺染を実行する。
一方、前記ステップS114で予め認識しているセットトレイ3’と一致していないと
判断された場合には、ステップS116に移行して当該セットトレイ3の不一致を報知し
、移動部17を逆方向に駆動してセットトレイ3を当初のセット位置Sに戻す。
【0056】
このように本実施例に係るインクジェット捺染装置1Bを用いれば、前述した実施例1
と同様の作用、効果が発揮され、更に検出できるセットトレイ3の種類の拡大によって、
サイズや形状、構成の異なる更に多くのセットトレイ3の検出と判別が可能なインクジェ
ット捺染装置1Bが適用できるようになる。
【0057】
[実施例2の変形例]
また、本実施例に係るインクジェット捺染装置1Bを使用する場合には、図12に示す
セットトレイ3の種類の検出手順を異ならせた他の一例と、図13に示す検出時の動作の
流れを異ならせた他の一例を採用することも可能である。
即ち、この場合には、ユーザーから捺染の実行指令を受けると、図13に示す流れでセ
ットトレイ3の検出、判別動作が開始され、図13中のステップS201でキャリッジ2
1を走査方向の第1位置Q1に移動させる。
【0058】
次に、ステップS202に移行して移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の
第1位置P1に移動させる。尚、移動方向の第1位置P1では、大サイズのセットトレイ
3Aを使用した時と形状違いのセットトレイ3Cを使用した時と幅狭のセットトレイ3D
を使用した時には、図12(A)の(i)に示すように検出器5の下方にこれらのセット
トレイ3A、3C、3Dの第1被検出部25が位置するように設定されている。
一方、小サイズのセットトレイ3Bを使用した時には、図12(A)の(ii)に示す
ように検出器5の下方に該セットトレイ3Bの第1被検出部25が未だ到達していない状
態となる。
【0059】
次に、図13に戻り、ステップS203に移行し、走査方向の第1位置Q1に位置して
いる検出器5が第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われる。そして、第1被検
出部25の検出が確認された場合には、ステップS204に移行し、移動部17を駆動し
てセットトレイ3を移動方向の第2位置P2に移動させる。次に、ステップS205に移
行し、検出器5が第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われる。
ステップS205で第1被検出部25を検出しなかったと判断された場合には、ステッ
プS206に移行し、キャリッジ21を駆動して走査方向の第2位置Q2にキャリッジ2
1を移動させる。
因みに本実施例では走査方向の第2位置Q2を、大サイズのセットトレイ3Aを使用し
た場合に検出器5が第2被検出部27にかからないホームポジション側の外方領域に設定
しているため、当該走査方向の第2位置Q2への移動の途中で必ず当該セットトレイ3の
第2被検出部27を検出できるように構成されている。
【0060】
従って、図12(C)の(i)に示すように、セットトレイ3の幅寸法が狭い場合には
早いタイミングで前記第2被検出部27が検出され、図12(C)の(ii)に示すよう
にセットトレイ3の幅寸法が広い場合には遅いタイミングで前記第2被検出部27が検出
されるようになっている。
次に、図13に戻り、ステップS207で前記第2被検出部27の検出位置が所定の位
置か否かの判断が行われる。尚、本実施例では大サイズのセットトレイ3Aを使用した時
の第2被検出部27の検出位置を所定の位置に設定している。
【0061】
そして、前記ステップS207で第2被検出部27の検出位置が所定の位置であると判
断された場合には、ステップS208に移行して大サイズのセットトレイ3Aと特定され
る。
また、前記ステップS207で第2被検出部27の検出位置が所定の位置でないと判断
された場合には、ステップS209に移行し、幅狭のセットトレイ3Dと特定される。
【0062】
また、前記ステップS205で第1被検出部25を検出したと判断された場合には、ス
テップS210に移行して形状違いのセットトレイ3Cと特定される。
更に、前記ステップS203で第1被検出部25を検出していないと判断された場合に
は、ステップS211に移行して小サイズのセットトレイ3Bと特定される。
【0063】
次に、ステップS212に移行して予め認識しているセットトレイ3’と一致するか否
かの判断が行われ、予め認識しているセットトレイ3’と一致すると判断された場合には
、ステップS213に移行し、移動部17を駆動してセットトレイ3を捺染開始位置Kま
で移動させて捺染を実行する。
一方、前記ステップS212で予め認識しているセットトレイ3’と一致していないと
判断された場合には、ステップS214に移行して当該セットトレイ3の不一致を告知し
、移動部17を逆方向に駆動してセットトレイ3を当初のセット位置Sに戻す。
【0064】
このような図12及び図13に示すセットトレイ3の検出と判別によっても、図10及
び図11に示す前述したセットトレイ3の検出と判別と同様の作用、効果が得られ、更に
図11中のステップS104とステップS107を省略したコンパクトな動作の流れが実
現されるので、セットトレイ3の検出と判別にかかる時間の短縮が図られる。
【0065】
[他の実施例]
本発明に係るインクジェット捺染装置1は、以上述べたような構成を有することを基本
とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を
行うことも勿論可能である。
例えば、検出器5は、走査方向Bに往復移動可能なキャリッジ21に搭載されるいわゆ
るシリアル型の捺染ヘッド13に対して適用する他、被捺染材Tの幅方向の捺染範囲を一
挙に捺染する、いわゆるライン型の捺染ヘッド13に対して適用することが可能である。
【0066】
また、検出器5は、捺染ヘッド13に隣接して設ける他、捺染ヘッド13と切り離して
インクジェット捺染装置1の装置本体2の適宜の個所に固定状態で設置することも可能で
ある。
そして、これらの場合には、キャリッジ21の移動は不要であるから、図7中のステッ
プS1を省略することが可能になる。
【0067】
また、検出器5をセットトレイ3の長さ方向と幅方向のいずれか一方、または双方に移
動させる動力と機構を別途設けることも可能であるし、検出器5を複数設けて、複数の検
出器5によってセットトレイ3の前記第1被検出部25と第2被検出部27の位置検出を
行う構成にすることも可能である。
この他、セットトレイ3の種類は前述した図5及び図9に示したものに限らず、円板状
、四角形以外の多角形平板状、幅方向に2組配設したもの等種々の形状、サイズ、構成の
セットトレイ3の種類が採用可能である。
また、前記制御部19では、セットトレイ3の種類の不一致をユーザーに知らせる告知
の態様として、アラーム音、音声、LEDの点灯や点滅、ディスプレイでの表示等の種々
の態様を単独で、あるいはこれらのいくつかを組み合わせて使用することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 インクジェット捺染装置、2 装置本体、3 セットトレイ、5 検出器、
7 判別部、9 第一の面、11 第二の面、13 捺染ヘッド、
15 捺染実行領域、17 移動部、19 制御部、21 キャリッジ、
23 セット面、25 第1被検出部、27 第2被検出部、28 枠体、
29 支持ベース、31 支持台、32 トレイ取付部、33 種類情報、
35 設定情報、37 不一致特定情報、41 インクカートリッジ、
43 タイミングベルト、T 被捺染材(布帛)、Ta 胴部、Tb 袖部、
G 印捺画像、A 移動方向、B 走査方向、S セット位置、K 捺染開始位置、
P1 (移動方向の)第1位置、P2 (移動方向の)第2位置、
Q1 (走査方向の)第1位置、Q2 (走査方向の)第2位置、
Z 所定ストローク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のセットトレイが付け替え可能なトレイ取付部と、
前記トレイ取付部に取り付けられているセットトレイの種類を被捺染材がセットされた
状態で検出可能な検出器と、
前記検出器によって検出されたセットトレイの種類と、予め認識しているセットトレイ
の種類との一致と不一致を判別する判別部と、
前記判別部の判別結果に基づいて所定の動作を実行させる制御部と、
を備えていることを特徴とするインクジェット捺染装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたインクジェット捺染装置において、
被捺染材にインクを吐出して印捺画像を形成する捺染ヘッドと、
前記セットトレイを、被捺染材をセットするセット位置と、前記捺染ヘッドによる捺染
実行領域を挟んで存する被捺染材の捺染開始位置との間で移動させる移動部と、を備え、
前記検出器によるセットトレイの種類の検出は、セットトレイを前記セット位置から前
記捺染開始位置へ移動させる際に実行されることを特徴とするインクジェット捺染装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記制御部は、前記判別部の判別結果が不一致であるときは、捺染は実行せず、前記所
定動作の一つとしてセットトレイを前記セット位置に戻す制御を実行することを特徴とす
るインクジェット捺染装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記セットトレイは、被捺染材がセットされた状態における当該被捺染材が占める領域
の外側であって該セットトレイの移動方向における一方側と他方側に位置する第1被検出
部を備え、
前記検出器によるセットトレイの種類の検出は、前記セットトレイを前記セット位置か
ら捺染開始位置に移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングに基づいて実行され
ることを特徴とするインクジェット捺染装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたインクジェット捺染装置において、
前記セットトレイに被捺染材がセットされた状態の当該被捺染材が占める領域の外側で
あって、該セットトレイの移動方向と交差する方向における少なくとも一方側に位置する
第2被検出部を備え、
前記検出器によるセットトレイの種類の検出は、
前記セットトレイを前記セット位置から捺染開始位置に移動させる際の前記第1被検
出部の検出タイミングと、
前記検出器を前記第2被検出部を通過する方向に移動させることで得られる検出情報
とに基づいて実行されることを特徴とするインクジェット捺染装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−47398(P2013−47398A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185606(P2011−185606)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】