説明

インクジェット描画装置、及びインクジェット描画装置の制御方法

【課題】液状体が配置された被描画媒体の適切な位置に適切な量の硬化光を照射できるインクジェット描画装置、及びインクジェット描画装置の制御方法を提供する。
【解決手段】インクジェット描画装置は、光硬化型の液状体を、媒体保持手段に保持された被描画媒体に向けて吐出する吐出ヘッドと、液状体の硬化光を被描画媒体に向けて射出する硬化光射出手段と、吐出ヘッド及び硬化光射出手段を保持するヘッド保持手段と、被描画媒体と吐出ヘッドとを相対移動させるとともに、吐出ヘッドから液状体を吐出して被描画媒体に着弾させる吐出走査における吐出走査方向にヘッド保持手段と媒体保持手段とを相対移動させる相対走査手段と、相対走査手段の駆動源の出力を検出する駆動出力検出手段と、硬化光射出手段を制御する硬化光射出制御手段と、を備え、硬化光射出制御手段は、駆動出力検出手段の検出結果に基づいて、硬化光射出手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体を液滴として吐出して被描画媒体上に着弾させることによって、被描画媒体上に液状体を配置し、配置した液状体を硬化させることによって被描画媒体上に画像を描画するインクジェット描画装置、及び当該インクジェット描画装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出し、任意の位置に精度よく着弾させることによって、任意の位置に任意の量の液状体を配置するインクジェット装置が知られている。このようなインクジェット装置は、配置した液状体を硬化させることによって、精密な形状を有する機能膜や、精細な画像などを形成することができる製膜装置として用いられる。
特許文献1には、粘度調整されたインクをインクジェットヘッドの吐出口から吐出して被印刷物に塗着し、塗着されたインクの滲み開始前に当該インクの一部または全部を硬化する工程を有することで、小さい文字や記号をマーキング可能な電子部品の製造方法及び電子部品の製造装置が開示されている。
【0003】
しかし、特許文献1に開示された方法では、インクなどの液状体を硬化させるための紫外線などの硬化光が、当該硬化光を照射することが必要な部分以外にも照射されていた。例えば、インクジェットヘッドの吐出口の周辺に硬化光が照射されると、吐出口内の液状体の硬化が進行し、適切な吐出が損なわれる可能性がある。また、被印刷媒体に照射されると、照射された硬化光によって供給される熱エネルギーに起因する熱膨張などによって、照射された部分のみが変形する可能性がある。このため、硬化光が照射される領域は、必要な範囲に限定できることが好ましい。
特許文献2には、印刷部の情報を取得するリニアエンコーダーと、リニアエンコーダーによって取得された印刷部の位置情報に基づいて、UV照射手段のUV照射範囲が印刷部からUVインクが吐出された範囲内となるようにUV照射手段からのUV照射を制御するUV照射範囲制御手段と、を備えることによって不要な部分にUV光を照射することを防止することができるインクジェットプリンタ及びその制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−80687号公報
【特許文献2】特許第3855724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示されたような装置又は方法では、リニアエンコーダーに不具合が発生した場合には、印刷部の誤った位置情報に基づいてUV光の照射が実施されるため、不適切な位置にもUV光が照射される可能性が高いという課題があった。また、UV光照射手段の移動装置に不具合が発生した場合には、照射対象物に対するUV光照射手段の移動速度が不適切になることに起因して、照射対象位置に対するUV光の照射時間が不適切になり、照射されるUV光の光量が不適切になるという課題があった。特に、同じ部分に硬化光が照射され続けた場合には、過多に照射された硬化光に起因する温度上昇などによって、被描画媒体が損なわれる可能性が高いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかるインクジェット描画装置は、光硬化型の液状体を配置して描画する対象物である被描画媒体を保持する媒体保持手段と、前記液状体を、前記媒体保持手段に保持された前記被描画媒体に向けて吐出する吐出ヘッドと、前記液状体の硬化を促進する硬化光を前記媒体保持手段に保持された前記被描画媒体に向けて射出する硬化光射出手段と、前記吐出ヘッドと、前記硬化光射出手段と、を保持するヘッド保持手段と、前記被描画媒体と前記吐出ヘッドとを相対移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記液状体を吐出して前記被描画媒体に着弾させる吐出走査における前記吐出ヘッドと前記被描画媒体との相対移動方向である吐出走査方向に前記ヘッド保持手段と前記媒体保持手段とを相対移動させる相対走査手段と、前記相対走査手段の駆動源の出力を検出する駆動出力検出手段と、前記硬化光射出手段を制御して前記硬化光を射出させる硬化光射出制御手段と、を備え、前記硬化光射出制御手段は、前記駆動出力検出手段の検出結果に基づいて、前記硬化光射出手段を制御し、前記硬化光射出手段を、前記硬化光を射出する射出状態、又は前記硬化光を射出しない射出停止状態にすることを特徴とする。
【0008】
本適用例にかかるインクジェット描画装置によれば、硬化光射出制御手段は、駆動出力検出手段による相対走査手段の駆動源の出力の検出結果に基づいて、硬化光射出手段を制御する。駆動源の出力は、当該駆動源が稼働した結果として出力されるものであり、駆動源の稼働状態、すなわち相対走査手段の稼働状態が反映される。硬化光射出手段は、相対走査手段によって、被描画媒体が保持される媒体保持手段と相対移動させられるため、相対走査手段の駆動源が稼働することによって、相対移動させられる。したがって、駆動源の稼働状態を検出することによって、硬化光射出手段の被描画媒体に対する相対移動状態を検出することができる。硬化光射出手段の相対移動状態は、例えば、硬化光射出手段の相対移動速度や、相対移動速度を積分した相対移動距離や、元の相対位置と相対移動距離とから求まる相対移動中又は相対移動後の相対位置などである。硬化光射出手段は、被描画媒体の所定の位置に臨んで硬化光を射出することによって、臨んだ部分に硬化光を照射する。したがって、硬化光射出手段の適切な稼働状態は、硬化光射出手段の被描画媒体に対する相対移動状態によって定まる。このため、駆動源の出力の検出結果に基づいて硬化光射出手段を制御することで、硬化光射出手段を、適切な稼働状態で稼働させることができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかるインクジェット描画装置において、前記硬化光射出制御手段は、前記駆動源の出力が第一の出力値以上の場合に、前記硬化光射出手段を、前記射出状態にすることが好ましい。
【0010】
このインクジェット描画装置によれば、硬化光射出制御手段によって制御されて、駆動源の出力が第一の出力値以上の場合に、硬化光射出手段が射出状態にされる。
吐出走査においては、相対走査手段は、吐出走査開始で、停止状態から加速状態となり、定速走査状態となり、減速状態となり、最後に、停止状態となる。相対走査手段が停止状態となって、吐出走査が終了する。吐出ヘッドからの液状体の吐出、及び吐出ヘッドと一体に移動させられる硬化光射出手段からの硬化光の射出は、相対走査手段が定速走査状態の際に実施する。
相対走査手段の駆動源の出力は、相対走査手段が定速走査状態の場合には、相対走査手段が停止状態の場合にくらべて、大きくなる。相対走査手段の駆動源の出力が一定の値より小さい場合は、相対走査手段が定速走査状態ではないため、硬化光射出手段からの硬化光の射出を実施しないことが、すなわち、硬化光射出手段を射出停止状態にすることが好ましい場合である。駆動源の出力が第一の出力値以上の場合に、硬化光射出手段を射出状態にすることで、硬化光射出手段を射出停止状態にすることが好ましい場合にもかかわらず、硬化光射出手段が射出状態にされることを抑制することができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかるインクジェット描画装置において、前記硬化光射出制御手段は、前記駆動源の出力が第一の出力値未満から前記第一の出力値以上になった場合に、前記硬化光射出手段を前記射出停止状態から前記射出状態にし、前記駆動源の出力が前記第一の出力値以上から前記第一の出力値未満になった場合に、前記硬化光射出手段を、前記射出状態から前記射出停止状態にすることが好ましい。
【0012】
このインクジェット描画装置によれば、駆動源の出力が第一の出力値未満から第一の出力値以上になった場合に、硬化光射出手段が射出状態にされ、駆動源の出力が第一の出力値以上から第一の出力値未満になった場合に、硬化光射出手段が射出停止状態にされる。
吐出走査においては、相対走査手段は、吐出走査開始で、停止状態から加速状態となり、定速走査状態となり、減速状態となり、最後に、停止状態となる。相対走査手段が停止状態となって、吐出走査が終了する。吐出ヘッドからの液状体の吐出、及び吐出ヘッドと一体に移動させられる硬化光射出手段からの硬化光の射出は、相対走査手段が定速走査状態の際に実施する。
相対走査手段の駆動源の出力は、相対走査手段が定速走査状態の場合には、相対走査手段が停止状態の場合にくらべて、大きくなる。駆動源の出力が第一の出力値未満から第一の出力値以上になる際に、駆動源の出力が第一の出力値未満の場合は、例えば、相対走査手段が定速走査状態に至っていない状態であって、硬化光射出手段を射出停止状態にすることが、好ましい場合である。駆動源の出力が第一の出力値未満から第一の出力値以上になった場合に、硬化光射出手段を射出状態にすることで、硬化光射出手段を射出停止状態にすることが好ましい場合にもかかわらず、硬化光射出手段が射出状態になることを抑制することができる。
駆動源の出力が第一の出力値以上から第一の出力値未満になる際に、駆動源の出力が第一の出力値未満の場合は、例えば、相対走査手段が定速走査状態から減速状態になった状態であって、硬化光射出手段を射出停止状態にすることが、好ましい場合である。駆動源の出力が第一の出力値以上から第一の出力値未満になった場合に、硬化光射出手段を射出停止状態にすることで、硬化光射出手段を射出停止状態にすることが好ましい場合にもかかわらず、硬化光射出手段が射出状態のままであることを抑制することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかるインクジェット描画装置において、前記硬化光射出制御手段は、前記駆動源の出力が第一の出力値未満から前記第一の出力値以上になった場合に、前記駆動源の出力が前記第一の出力値未満から前記第一の出力値以上になった時点から所定の遅延時間後に、前記硬化光射出手段を前記射出停止状態から前記射出状態にすることが好ましい。
【0014】
このインクジェット描画装置によれば、駆動源の出力が第一の出力値未満から第一の出力値以上になった時点から所定の遅延時間後に、硬化光射出手段が射出状態にされる。
吐出走査においては、相対走査手段は、吐出走査開始で、停止状態から加速状態となり、定速走査状態となり、減速状態となり、最後に、停止状態となる。相対走査手段が停止状態となって、吐出走査が終了する。吐出ヘッドからの液状体の吐出、及び吐出ヘッドと一体に移動させられる硬化光射出手段からの硬化光の射出は、相対走査手段が定速走査状態の際に実施する。
相対走査手段の駆動源の出力は、相対走査手段が定速走査状態の場合には、相対走査手段が停止状態の場合にくらべて、大きくなる。駆動源の出力が第一の出力値未満から第一の出力値以上になる際に、駆動源の出力が第一の出力値未満の場合は、例えば、相対走査手段が定速走査状態に至っていない状態であって、硬化光射出手段を射出停止状態にすることが好ましい場合である。
駆動源の出力が第一の出力値未満から第一の出力値以上になる時点は、相対走査手段が定速走査状態に至る時点より一定時間前の時点である。吐出ヘッドが吐出を開始できる時点は、適切な描画を実施するためには、相対走査手段が定速走査状態になった時点である。したがって、相対走査手段が定速走査状態になった時点から一定時間遅らせて吐出を開始することが好ましい。硬化光射出手段が射出状態であることが必要となる時点は、硬化光射出手段が、吐出されて着弾した液状体に臨む位置に至る時点である。したがって、硬化光射出手段が射出状態であることが必要となる時点は、吐出ヘッドが吐出を開始できる時点から一定時間遅れた時点である。このように、硬化光射出手段が射出状態であることが必要となる時点は、駆動源の出力が第一の出力値未満から第一の出力値以上になる時点から、一定時間後の時点である。
駆動源の出力が第一の出力値未満から第一の出力値以上になった時点から所定の遅延時間後に、硬化光射出手段を射出状態にすることで、硬化光射出手段が射出状態であることが必要となる時点より前に硬化光射出手段が射出状態となっている時間を、抑制することができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかるインクジェット描画装置において、前記硬化光射出制御手段は、前記硬化光射出手段を前記射出状態にした時点から所定の時間が経過した時点で、前記硬化光射出手段を、前記射出状態から前記射出停止状態にすることが好ましい。
【0016】
このインクジェット描画装置によれば、硬化光射出制御手段は、硬化光射出手段を、当該硬化光射出手段を射出状態にした時点から所定の時間が経過した時点で、射出停止状態にする。
吐出走査においては、相対走査手段は、吐出走査開始で、停止状態から加速状態となり、定速走査状態となり、減速状態となり、最後に、停止状態となる。相対走査手段が停止状態となって、吐出走査が終了する。このように相対走査手段の稼働状態が変化する時間は、1回の吐出走査において略一定であり、硬化光射出手段を射出状態に保つことが必要な時点も、略一定である。したがって、硬化光射出手段を射出状態にした時点から射出停止状態にする時点までの時間は略一定である。このため、硬化光射出手段を射出状態にした時点から所定の時間が経過した時点で、射出停止状態にすることで、適切な時点において、硬化光射出手段を射出停止状態にすることができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかるインクジェット描画装置において、前記硬化光射出制御手段は、前記駆動源の出力が第二の出力値以上になった場合に、前記硬化光射出手段を、前記射出状態から前記射出停止状態にすることが好ましい。
【0018】
このインクジェット描画装置によれば、駆動源の出力が第二の出力値以上になった場合に、硬化光射出手段を、射出停止状態にする。相対走査手段に不具合が発生した場合には、駆動源に過度の負荷がかかることによって、駆動源の出力が通常にくらべて大きくなる。駆動源の出力が第二の出力値以上になった場合に、硬化光射出手段を、射出停止状態にすることで、相対走査手段に不具合が発生した状態で、硬化光射出手段が硬化光を射出し続けることを抑制することができる。
【0019】
[適用例7]上記適用例にかかるインクジェット描画装置は、前記相対走査手段の駆動源が電動機であり、前記駆動出力検出手段は、電流測定手段であり、前記駆動源の出力は、前記電動機に供給される駆動電力の電流値であることが好ましい。
【0020】
このインクジェット描画装置によれば、相対走査手段の駆動源が電動機であり、駆動源の出力は、電動機に供給される駆動電力の電流値である。電動機に供給される駆動電力の電流値は、電動機に加わる負荷によって変動する。このため、電流値を検出することによって、電動機の稼働状態を検出することができる。
【0021】
[適用例8]上記適用例にかかるインクジェット描画装置において、前記第一の出力値は、前記吐出走査において前記ヘッド保持手段と前記被描画媒体との相対移動速度が所定の一定速度である場合に前記電動機に供給される駆動電力の電流値に、1より小さい所定の正の値を乗じた電流値であることが好ましい。
【0022】
このインクジェット描画装置によれば、第一の出力値は、吐出走査においてヘッド保持手段と被描画媒体との相対移動速度が所定の一定速度である場合に電動機に供給される電流値に、1より小さい所定の値を乗じた電流値である。
吐出走査においては、相対走査手段は、吐出走査開始で、停止状態から加速状態となり、定速走査状態となり、減速状態となり、最後に、停止状態となる。相対走査手段が停止状態となって、吐出走査が終了する。硬化光射出手段からの硬化光の射出は、相対走査手段が定速走査状態の際に実施する。定速走査状態では、ヘッド保持手段と被描画媒体との相対移動速度が所定の一定速度である。
検出した電流値が、吐出走査においてヘッド保持手段と被描画媒体との相対移動速度が所定の一定速度である場合に電動機に供給される電流値と等しい場合は、相対走査手段が定速走査状態である。電動機が停止状態の場合、供給される電流値は略0であるため、検出した電流値を、一定速度である場合に電動機に供給される電流値より少し小さい値と比較することで、相対走査手段が定速走査状態になったことを検出することができる。第一の出力値が、吐出走査においてヘッド保持手段と被描画媒体との相対移動速度が所定の一定速度である場合に電動機に供給される電流値に、1より小さい所定の値を乗じた電流値であることによって、検出した電流値を第一の出力値と比較することで、相対走査手段が定速走査状態であるか否かを判定することができる。なお、相対走査手段が定速走査状態であるか否かを正確に判定するためには、相対走査手段が定速走査状態である場合に電動機に供給される電流値に乗ずる1より小さい所定の値は、1に近いことが望ましい。当該1より小さい所定の値は、相対走査手段が定速走査状態である場合に電動機に供給される電流値の変動範囲を考慮して、1に近い値に設定することが好ましい。
【0023】
[適用例9]上記適用例にかかるインクジェット描画装置は、前記相対走査手段の駆動源が電動機であり、前記駆動出力検出手段は、電流測定手段であり、前記駆動源の出力は、前記電動機に供給される駆動電力の電流値であって、前記第二の出力値は、前記電動機が拘束された状態の拘束電流より小さい電流値であって、前記吐出走査において前記ヘッド保持手段と前記被描画媒体との相対移動速度が所定の一定速度である場合に前記電動機に供給される駆動電力の電流値より大きい電流値であることが好ましい。
【0024】
このインクジェット描画装置によれば、第二の出力値は、電動機の拘束電流より小さい電流値であって、ヘッド保持手段と被描画媒体との相対移動速度が所定の一定速度である場合に電動機に供給される駆動電力の電流値より大きい電流値である。検出された電流値が第二の出力値より大きい場合には、硬化光射出手段を、射出停止状態にする。
検出された電流値が、電動機の拘束電流より小さい第二の出力値より、大きい場合には、硬化光射出手段を、射出停止状態にする。これにより、電動機に大きな負荷がかけられて強制的に停止又は略停止させられることによって、拘束電流又は拘束電流に近い電流値の電流が流れた場合に、硬化光射出手段を、射出停止状態にすることができる。
検出された電流値が、ヘッド保持手段と被描画媒体との相対移動速度が所定の一定速度である場合に電動機に供給される駆動電力の電流値より大きい第二の出力値より大きい場合には、硬化光射出手段を、射出停止状態にする。このため、相対走査手段が定速走査状態の場合には、検出された電流値が第二の出力値より大きいことによって硬化光射出手段が射出停止状態にされることを、実質的になくすることができる。
【0025】
[適用例10]本適用例にかかるインクジェット描画装置の制御方法は、光硬化型の液状体を配置して描画する対象物である被描画媒体を保持する媒体保持手段と、前記液状体を、前記媒体保持手段に保持された前記被描画媒体に向けて吐出する吐出ヘッドと、前記液状体の硬化を促進する硬化光を前記媒体保持手段に保持された前記被描画媒体に向けて射出する硬化光射出手段と、前記吐出ヘッドと、前記硬化光射出手段と、を保持するヘッド保持手段と、前記被描画媒体と前記吐出ヘッドとを相対移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記液状体を吐出して前記被描画媒体に着弾させる吐出走査における前記吐出ヘッドと前記被描画媒体との相対移動方向である吐出走査方向に前記ヘッド保持手段と前記媒体保持手段とを相対移動させる相対走査手段と、を備えるインクジェット描画装置の制御方法であって、前記相対走査手段の駆動源の出力を検出する駆動出力検出工程と、前記駆動出力検出工程における検出結果に基づいて、前記硬化光射出手段を制御して、前記硬化光射出手段を、前記硬化光を射出する射出状態、又は前記硬化光を射出しない射出停止状態にする射出手段制御工程と、を有することを特徴とする。
【0026】
本適用例にかかるインクジェット描画装置の制御方法によれば、射出制御工程において、駆動出力検出工程における相対走査手段の駆動源の出力の検出結果に基づいて、硬化光射出手段を制御する。駆動源の出力は、当該駆動源が稼働した結果として出力されるものであり、駆動源の稼働状態、すなわち相対走査手段の稼働状態が反映される。硬化光射出手段は、相対走査手段によって、被描画媒体が保持される媒体保持手段と相対移動させられるため、相対走査手段の駆動源が稼働することによって、相対移動させられる。したがって、駆動源の稼働状態を検出することによって、硬化光射出手段の被描画媒体に対する相対移動状態を検出することができる。硬化光射出手段の相対移動状態は、例えば、硬化光射出手段の相対移動速度や、相対移動速度を積分した相対移動距離や、元の相対位置と相対移動距離とから求まる相対移動中又は相対移動後の相対位置などである。硬化光射出手段は、被描画媒体の所定の位置に臨んで硬化光を射出することで、臨んだ部分に硬化光を照射する。したがって、硬化光射出手段の適切な稼働状態は、硬化光射出手段の被描画媒体に対する相対移動状態によって定まる。このため、駆動源の出力の検出結果に基づいて硬化光射出手段を制御することで、硬化光射出手段を、適切な稼働状態で稼働させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は、液滴吐出装置の全体構成の概略を示す斜視図。(b)は、全体構成の概略を示す平面図。
【図2】(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図。(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図。(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図。
【図3】キャリッジユニットの概略構成を示す平面図。
【図4】液滴吐出装置における紫外線照射の制御に関わる電気的構成と信号の流れを示す機能構成ブロック図。
【図5】(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図。(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(c)は、液滴を主走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図。
【図6】(a)は、キャリッジユニットの走査速度の時間変化を示す説明図。(b)は、駆動電流の時間変化をキャリッジユニットの走査速度の時間変化に対応させて示すとともにUVLEDの点灯時点及び消灯時点を示す説明図。
【図7】(a)は、キャリッジユニットをX軸方向に平行な方向から見た側面形状、及びキャリッジユニットと被描画媒体との位置関係を示す説明図。(b)は、被描画媒体上のヘッド対向領域と、ヘッド対向領域との位置関係を示す説明図。(c)は、1回の吐出走査における着弾対象領域の始端及び終端と、UV光照射領域の始端及び終端との位置関係を示す説明図。
【図8】(a)は、キャリッジユニットの走査速度の時間変化を示す説明図。(b)は、駆動電流の時間変化をキャリッジユニットの走査速度の時間変化に対応させて示すとともにUVLEDの点灯時点及び消灯時点を示す説明図。(c)は、1回の吐出走査における着弾対象領域の始端及び終端と、UV光照射領域の始端及び終端との位置関係を示す説明図。
【図9】(a)は、キャリッジユニットの走査速度の時間変化を示す説明図。(b)は、駆動電流の時間変化をキャリッジユニットの走査速度の時間変化に対応させて示すとともにUVLEDの点灯時点及び消灯時点を示す説明図。(c)は、1回の吐出走査における着弾対象領域の始端及び終端と、UV光照射領域の始端及び終端との位置関係を示す説明図。
【図10】(a)は、キャリッジユニットの走査速度の時間変化を示す説明図。(b)は、駆動電流の時間変化をキャリッジユニットの走査速度の時間変化に対応させて示すとともにUVLEDの点灯時点及び消灯時点を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、インクジェット描画装置、及びンクジェット描画装置の制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態は、インクジェット方式の液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドを用いて、被描画媒体上に画像を描画する液滴吐出装置を例に説明する。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと被描画媒体とを相対移動させると共に、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液の液滴を吐出して、被描画媒体上の所定の位置に着弾させることによって、所定の画像を形成する装置である。機能液は、硬化光を照射することによって硬化する光硬化型の機能液を用いる。硬化光は、例えば紫外線であって、機能液は、紫外線硬化型の機能液である。
なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
液滴吐出装置が、インクジェット描画装置に相当する。機能液が、液状体に相当する。
【0029】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出装置1の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の全体構成の概略を示す説明図である。図1(a)は、液滴吐出装置の全体構成の概略を示す斜視図であり、図1(b)は、全体構成の概略を示す平面図である。
【0030】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッド機構部2と、媒体機構部3と、保守装置部5と、吐出装置制御部7と、を備えている。ヘッド機構部2は、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド20を有している。液滴吐出装置1は、また、図示省略した機能液供給部や、吐出検査装置部を備えている。液滴吐出ヘッド20が吐出する機能液は、機能液供給部から液滴吐出ヘッド20に供給される。吐出装置制御部7は、上記した各機構部などを総括的に制御する。液滴吐出ヘッド20が、吐出ヘッドに相当する。
【0031】
ヘッド機構部2は、キャリッジユニット22と、キャリッジ走査機構62とを、備えている。キャリッジユニット22は、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、紫外線を照射する紫外線照射部95とを備えている。キャリッジ走査機構62は、キャリッジユニット22が吊設されたキャリッジ枠65を備え、キャリッジ枠65をY軸方向に移動させることで、キャリッジユニット22をY軸方向に移動させる。
【0032】
キャリッジ走査機構62は、支持柱63と、支持梁64と、ガイド部66と、駆動モーター67と、駆動プーリー67aと、従動プーリー67bと、ベルト62aと、キャリッジ枠65と、エンコーダー68と、を備えている。
支持梁64は、2つの支持柱63に掛け渡されるように設けられ、Y軸方向に延在している。ガイド部66は、支持梁64に固定されており、Y軸方向に延在している。駆動モーター67は、支持梁64のY軸方向における一方の端近くで、支持梁64に固定されている。駆動モーター67の出力軸には、駆動プーリー67aが固定されており、駆動プーリー67aが、駆動モーター67によって回動駆動される。従動プーリー67bは、支持梁64のY軸方向における、駆動モーター67が固定された端と反対側の端近くで、支持梁64に、回動可能に固定されている。従動プーリー67bの回動軸の軸方向は、駆動プーリー67aの回動軸(駆動モーター67の出力軸)の軸方向と、略平行である。ベルト62aは、駆動プーリー67aと従動プーリー67bとの間に掛け渡されており、駆動プーリー67aが回動することによって、駆動される。ベルト62aは、ガイド部66と並行してY軸方向に延在している。エンコーダー68は、支持梁64に固定されており、ガイド部66と略平行にY軸方向に延在している。
【0033】
ベルト62aには、キャリッジ枠65が固定されている。キャリッジ枠65は、ガイド部66に、Y軸方向に摺動自在に係合している。キャリッジ枠65は、駆動モーター67によってベルト62aが駆動させられることによって、ガイド部66に沿ってY軸方向に駆動される。キャリッジ枠65のY軸方向の位置は、エンコーダー68によって検出される。
キャリッジ枠65を、キャリッジ走査機構62によってY軸方向に移動させることで、キャリッジ枠65に吊設されたヘッドユニット21が有する液滴吐出ヘッド20を、Y軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。
キャリッジ走査機構62が、相対走査手段に相当する。キャリッジ枠65が、ヘッド保持手段に相当する。駆動モーター67が、駆動源に相当する。
【0034】
媒体機構部3は、媒体載置台31と、スライド台31aと、媒体移動機構33と、を備えている。
媒体移動機構33は、X軸ガイド35とX軸リニアモーター(図示省略)と、を備えている。X軸ガイド35は、2つの支持柱63の間で、支持梁64の下方に配設されており、Y軸方向と直交するX軸方向に略平行に延在している。
スライド台31aは、X軸方向に摺動自在に、X軸ガイド35に支持されている。X軸リニアモーターは、X軸ガイド35と略平行に配設されており、スライド台31aは、X軸リニアモーターによって、X軸方向に移動させられる。また、移動した任意の位置に保持させられる。媒体載置台31は、図示省略した媒体回動機構によって、X軸方向及びY軸方向と直交するZ軸方向に平行な軸まわりの方向に回動可能に、スライド台31aの上に固定されて、支持されている。
【0035】
媒体移動機構33によって、スライド台31aをX軸方向に移動させることで、スライド台31aに固定されて支持された媒体載置台31を、X軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。すなわち、媒体載置台31に保持された被描画媒体を、X軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。
媒体載置台31が、媒体保持手段に相当する。
【0036】
ヘッド機構部2において、キャリッジ枠65に吊設されたヘッドユニット21が有する液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25(図2参照)を下側に向けて、保持されている。媒体載置台31に保持された被描画媒体を、X軸方向の液滴吐出ヘッド20が対向可能な位置まで移動して停止し、上方にある液滴吐出ヘッド20(ヘッドユニット21)のY軸方向の移動に同調して、機能液を液滴として吐出する。X軸方向に移動する被描画媒体又は検査用媒体と、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド20とを相対的に制御することにより、被描画媒体又は検査用媒体上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する平面形状の描画を実施することが可能である。
キャリッジユニット22において、ヘッドユニット21のY軸方向の両側には、紫外線硬化型機能液を硬化させるための紫外線照射部95が、1つずつ配設されている。紫外線硬化型の機能液を用いて描画した画像を、紫外線照射部95を用いて硬化させることができる。紫外線照射部95が、硬化光射出手段に相当する。液滴吐出ヘッド20(ヘッドユニット21)のY軸方向の移動に同調して、機能液を液滴として吐出する工程が、吐出走査に相当する。
【0037】
吐出装置制御部7は、液滴吐出ヘッド20や、紫外線照射部95や、キャリッジ走査機構62の駆動モーター67や、媒体移動機構33のX軸リニアモーターなどと電気的に接続されている。吐出装置制御部7が備える制御部から制御信号を送り、液滴吐出ヘッド20や、紫外線照射部95や、駆動モーター67や、X軸リニアモーターなどを稼動させる。
【0038】
保守装置部5は、各種保守装置を備えている。保守装置は、液滴吐出ヘッド20の各種の保守を実施する装置である。液滴吐出ヘッド20の保守を実施する際には、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)が、キャリッジ走査機構62を用いて保守装置部5に臨む位置に移動させられ、保守作業が実施される。
【0039】
<液滴吐出ヘッド>
次に、液滴吐出ヘッド20について、図2を参照して説明する。図2は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図である。図2(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図であり、図2(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図であり、図2(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図である。図2に示したX軸、及びZ軸は、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態において、図1に示したX軸、又はZ軸と一致している。
【0040】
図2(a)に示したように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25を備えている。ノズル基板25には、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aが2列形成されている。吐出ノズル24から機能液を液滴として吐出し、対向する位置にある描画対象物などに着弾させることで、当該位置に機能液を配置する。ノズル列24Aは、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態で、図1に示したX軸方向に延在している。ノズル列24Aにおいて吐出ノズル24は等間隔のノズルピッチで並んでおり、2列のノズル列24A間で、吐出ノズル24の位置がX軸方向に半ノズルピッチずれている。したがって、液滴吐出ヘッド20としては、X軸方向に半ノズルピッチ間隔で機能液の液滴を配置することができる。ノズルピッチは、例えば140μmであり、半ノズルピッチは、70μmである。
【0041】
図2(b)及び(c)に示すように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25に圧力室プレート51が積層されており、圧力室プレート51に振動板52が積層されている。
圧力室プレート51には、液滴吐出ヘッド20に供給される機能液が常に充填される液たまり55が形成されている。液たまり55は、振動板52と、ノズル基板25と、圧力室プレート51の壁とに囲まれた空間である。機能液は、機能液供給部から液滴吐出ヘッド20に供給され、振動板52の液供給孔53を経由して液たまり55に供給される。また、圧力室プレート51には、複数のヘッド隔壁57によって区切られた圧力室58が形成されている。振動板52と、ノズル基板25と、2個のヘッド隔壁57とによって囲まれた空間が圧力室58である。
【0042】
圧力室58は吐出ノズル24のそれぞれに対応して設けられており、圧力室58の数と吐出ノズル24の数とは同じである。圧力室58には、2個のヘッド隔壁57の間に位置する供給口56を経由して、液たまり55から機能液が供給される。ヘッド隔壁57と圧力室58と吐出ノズル24と供給口56との組は、液たまり55に沿って1列に並んでおり、1列に並んだ吐出ノズル24がノズル列24Aを形成している。図2(b)では図示省略したが、図示した吐出ノズル24を含むノズル列24Aに対して液たまり55に関して略対称な位置に、1列に並んで配設された吐出ノズル24がもう1列のノズル列24Aを形成している。当該ノズル列24Aに対応するヘッド隔壁57と圧力室58と供給口56との組が、1列に並んでいる。
【0043】
振動板52の圧力室58を構成する部分には、それぞれ圧電素子59の一端が固定されている。圧電素子59の他端は、固定板(図示省略)を介して液滴吐出ヘッド20全体を支持する基台(図示省略)に固定されている。
圧電素子59は、電極層と圧電材料とを積層した活性部を有している。圧電素子59は、電極層に駆動電圧を印加することで、活性部が長手方向(図2(b)又は(c)における振動板52の厚さ方向)に縮む。電極層に印加されていた駆動電圧が解除されることで、活性部が元の長さに戻る。
【0044】
電極層に駆動電圧が印加されて、圧電素子59の活性部が縮むことで、圧電素子59の一端が固定された振動板52が圧力室58と反対側に引張られる力を受ける。振動板52が圧力室58と反対側に引張られることで、振動板52が圧力室58の反対側に撓む。これにより、圧力室58の容積が増加することから、機能液が液たまり55から供給口56を経て圧力室58に供給される。次に、電極層に印加されていた駆動電圧が解除されると、活性部が元の長さに戻ることで、圧電素子59が振動板52を押圧する。振動板52が押圧されることで、圧力室58側に戻る。これにより、圧力室58の容積が急激に元に戻る。すなわち増加していた容積が減少することから、圧力室58内に充填されていた機能液に圧力が加わり、当該圧力室58に連通して形成された吐出ノズル24から機能液が液滴となって吐出される。
【0045】
<キャリッジユニット>
次に、ヘッド機構部2が備えるキャリッジユニット22の概略構成について、図3を参照して説明する。図3は、キャリッジユニットの概略構成を示す平面図である。図3に示したX軸方向及びY軸方向は、キャリッジユニット22が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸方向又はY軸方向と一致している。
【0046】
図3に示したように、キャリッジユニット22は、ヘッドユニット21と、2個の紫外線照射部95と、を備えている。
ヘッドユニット21は、ユニットプレート23と、ユニットプレート23に搭載された9個の液滴吐出ヘッド20と、を有している。
液滴吐出ヘッド20は、図示省略したヘッド保持部材を介してユニットプレート23に固定されている。固定された液滴吐出ヘッド20は、ヘッド本体がユニットプレート23に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル基板25が、ユニットプレート23の面より突出した位置に位置している。図3は、ノズル基板25の側から見た図である。9個の液滴吐出ヘッド20は、X軸方向に分かれて、それぞれ3個ずつの液滴吐出ヘッド20を有するヘッド組20Aを3群、形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド20のノズル列24Aは、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、X軸方向に延在している。
【0047】
液滴吐出ヘッド20は、X軸方向において、互いに隣り合う液滴吐出ヘッド20の、一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が半ノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。一つのヘッドユニット21が備える9個の液滴吐出ヘッド20のY軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル24は、X軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。すなわち、Y軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド20が有するそれぞれのノズル列24Aを構成する吐出ノズル24から吐出された液滴は、設計上では、X軸方向に半ノズルピッチの等間隔に並んで一直線上に着弾する。
【0048】
ノズル列24Aは、例えば180個の吐出ノズル24を有しており、液滴吐出ヘッド20は、360個の吐出ノズル24を有している。9個の液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21は、3240個の吐出ノズル24を有している。一つのヘッドユニット21が備える9個の液滴吐出ヘッド20が有する18列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列を「ユニットノズル列240A」と表記する。ユニットノズル列240Aは、3240個の吐出ノズル24を有している。ユニットノズル列240Aのそれぞれの吐出ノズル24から一滴ずつ吐出させて、Y軸方向が同じ位置になるように着弾させると、3240個の点が半ノズルピッチのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
【0049】
紫外線照射部95は、支持枠(図示省略)と、UVLED(Ultraviolet Light Emitting Diode)96と、LED筐体97と、を備えている。UVLED96は、紫外線を射出するLEDである。
LED筐体97は、ユニットプレート23のY軸方向の側面に支持枠を介して固定されている。LED筐体97は、略直方体形状の外形を有し、内部に略直方体形状で一面が開口した筐体室が形成されている。筐体室は、媒体載置台31に臨む側が開口している。筐体室には、UVLED96が、開口側に紫外線を射出する状態で固定されている。複数のUVLED96が、X軸方向に並んで配設されている。複数のUVLED96は、X軸方向において、ヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20が機能液を配置可能な幅を包含する範囲に、紫外線を照射することができる。
液滴吐出ヘッド20が、吐出ヘッドに相当する。紫外線照射部95、又はUVLED96が、硬化光射出手段に相当する。
【0050】
上述したように、紫外線照射部95は、Y軸方向(吐出走査方向)において、9個の液滴吐出ヘッド20を挟んで両側に、9個の液滴吐出ヘッド20に関して略対称な状態で、配設されている。
ヘッドユニット21がY軸方向に走査されて機能液を吐出する際には、液滴吐出ヘッド20に並んで配設されたUVLED96から、略並行して、紫外線を照射させる。
走査方向において、ヘッドユニット21の後側に位置するUVLED96から紫外線を射出することで、吐出されて着弾させられた機能液に、着弾した直後に紫外線を照射することができる。機能液に紫外線を照射することで、機能液を硬化させることができる。機能液の硬化率に影響を及ぼす要因は、走査速度、UVLED96の照射領域のY軸方向における幅、UVLED96の射出強度、などである。これらの要因について、適切な値に設定することで、着弾させられた機能液を適切な硬化率に硬化させることができる。
【0051】
<紫外線照射の制御>
次に、液滴吐出装置1における紫外線照射の制御に関わる構成について、図4を参照して説明する。図4は、液滴吐出装置における紫外線照射の制御に関わる電気的構成と信号の流れを示す機能構成ブロック図である。
【0052】
上述したように、液滴吐出装置1が備えるヘッド機構部2は、キャリッジユニット22と、キャリッジ走査機構62とを、備えている。キャリッジユニット22は、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、紫外線を照射する紫外線照射部95とを備えている。キャリッジ走査機構62は、キャリッジユニット22を走査させる駆動源としての駆動モーター67と、キャリッジユニット22の位置を検出するエンコーダー68と、を備えている。
【0053】
図4に示すように、吐出装置制御部7は、データ処理部71と、吐出制御部72と、キャリッジ走査制御部73と、紫外線照射制御部74と、を備えている。キャリッジ走査機構62は、上述した駆動モーター67と、エンコーダー68と、に加えて、電流計69を備えている。
吐出制御部72は、液滴吐出ヘッド20と、電気的に接続されており、液滴吐出ヘッド20を制御して機能液を吐出させる。キャリッジ走査制御部73は、キャリッジ走査機構62の駆動モーター67と、電気的に接続されており、駆動モーター67を制御してキャリッジユニット22を移動させる。紫外線照射制御部74は、紫外線照射部95のUVLED96と、電気的に接続されており、UVLED96を制御して紫外線を射出させる。
エンコーダー68は、吐出制御部72及びキャリッジ走査制御部73に、電気的に接続されており、キャリッジユニット22の位置情報を送出する。電流計69は、駆動モーター67及び紫外線照射制御部74と、電気的に接続されており、駆動モーター67の駆動電流を計測して、計測結果を紫外線照射制御部74に送出する。
電流計69が、駆動出力検出手段、又は電流測定手段に相当する。
【0054】
描画する画像の画像データは、入力装置を介して液滴吐出装置1に入力され、液滴吐出装置1が備える記憶装置に記憶され、データ処理部71に送出される。データ処理部71は、画像データを描画用の各データに展開して、吐出制御部72、キャリッジ走査制御部73、及び紫外線照射制御部74に送信する。
キャリッジ走査制御部73は、データ処理部71から、画像データをキャリッジユニット22の位置に展開したキャリッジ走査データを取得する。キャリッジ走査制御部73は、また、エンコーダー68からキャリッジユニット22の位置情報を取得する。キャリッジ走査制御部73は、キャリッジ走査データ及びキャリッジユニット22の位置情報に基づいて、駆動モーター67を制御してキャリッジユニット22を走査させる。すなわち、液滴吐出ヘッド20及びUVLED96を吐出走査方向であるY軸方向に走査させる。エンコーダー68は、走査させられたキャリッジユニット22の位置情報を、キャリッジ走査制御部73にフィードバックする。
【0055】
吐出制御部72は、データ処理部71から、画像データを機能液の液滴の吐出位置に展開した液滴吐出データを取得する。吐出制御部72は、また、エンコーダー68からキャリッジユニット22の位置情報を取得する。キャリッジユニット22の位置情報は、液滴吐出ヘッド20の位置情報であり、この情報から、液滴吐出ヘッド20のそれぞれの吐出ノズル24の位置情報が得られる。吐出制御部72は、吐出データ及びキャリッジユニット22の位置情報に基づいて、吐出データで指定された吐出位置に位置した吐出ノズル24から、機能液の液滴を吐出させる。
【0056】
紫外線照射制御部74は、データ処理部71から、画像データを硬化光の照射位置に展開した紫外線照射データを取得する。紫外線照射制御部74は、また、電流計69から、駆動モーター67の駆動電流値を取得する。駆動モーター67の駆動電流は、駆動モーター67に駆動電圧が印加されることによって発生し、駆動モーター67の負荷状態によって異なる。このため、駆動電流によって、駆動モーター67の稼働状態を検出することができ、キャリッジユニット22の状態を検出することができる。キャリッジユニット22の状態は、キャリッジユニット22の移動速度や、移動速度を積分した移動距離や、元の位置と移動距離とから求まる移動中又は移動後の位置などである。
紫外線照射制御部74は、紫外線照射データ及び駆動電流値に基づいて、UVLED96を制御して、紫外線照射データで規定された照射位置に向けて、紫外線を射出させる。紫外線照射制御部74が、硬化光射出制御手段に相当する。
【0057】
<着弾位置>
次に、液滴吐出ヘッド20の吐出ノズル24の配列と、それぞれの吐出ノズル24から吐出された液滴の着弾位置と、の関係について、図5を参照して説明する。図5は、吐出ノズルと、それぞれの吐出ノズルから吐出された液滴の着弾位置と、の関係を示す説明図である。図5(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図であり、図5(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図5(c)は、液滴を吐出走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図5(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図である。図5に示したX軸方向及びY軸方向は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸方向又はY軸方向と一致している。Y軸方向が吐出走査方向であって、図5に示した矢印aの方向に吐出ノズル24(液滴吐出ヘッド20)を相対移動させながら、任意の位置において機能液の液滴を吐出することによって、Y軸方向の任意の位置に液滴を着弾させることができる。
【0058】
図5(a)に示すように、ノズル列24Aを構成する吐出ノズル24は、X軸方向にノズルピッチPの中心間距離で配列されている。上述したように、2列のノズル列24Aをそれぞれ構成する吐出ノズル24同士は、X軸方向において、相互に、ノズルピッチPの1/2ずつ位置がずれている。
【0059】
図5(b)に示すように、着弾位置を示す着弾点91と、着弾した液滴の濡れ広がり状態を示す着弾円91Aとで、着弾した1滴の液滴の状態を示している。2列のノズル列24Aの全部の吐出ノズル24から、図5(b)に二点鎖線で示した仮想線L上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの1/2の中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が形成される。
【0060】
図5(c)に示すように、一つの吐出ノズル24から連続して液滴を吐出させることによって、Y軸方向に着弾円91Aが連なる直線が形成される。Y軸方向における着弾点91間の中心間距離の最小値を、最小着弾距離dと表記する。最小着弾距離dは、吐出走査方向の相対移動速度(mm/sec)と、吐出ノズル24の最小吐出間隔(sec)との積である。
【0061】
図5(d)に示すように、二点鎖線で示した仮想線L1,L2,L3上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの1/2の中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が、Y軸方向に並列した着弾面が形成される。図5(d)に示した仮想線L1,L2,L3間の距離が最小着弾距離dの場合のそれぞれの着弾点91が、液滴吐出装置1によって機能液の液滴を配置可能な位置である。
【0062】
画像の描画に際しては、画像の情報に従って、図5(d)に示したそれぞれの着弾点91の位置について、液滴を配置する位置を定める。例えば、当該配置位置、及び配置位置に液滴を吐出する吐出ノズル24を指定した配置表を形成し、配置表に従って機能液を着弾させることによって、画像の情報によって規定される画像を描画する。なお、図5(d)に示した例では、着弾円91Aの間に隙間が存在するが、ノズルピッチPや最小着弾距離dに対して、吐出する液滴の1滴あたりの吐出重量を適切に定めることによって、隙間なく機能液を配置することが可能である。
【0063】
<紫外線照射時間>
次に、駆動モーター67の駆動電流値に基づいて、UVLED96を制御して紫外線を照射させる照射時間及び紫外線が照射されるUV光照射領域について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、駆動電流の時間変化を、キャリッジユニットの走査速度と関連させて示し、駆動電流に対応してUVLEDの点灯時点及び消灯時点を示す説明図である。図6(a)は、キャリッジユニットの走査速度の時間変化を示す説明図であり、図6(b)は、駆動電流の時間変化をキャリッジユニットの走査速度の時間変化に対応させて示すとともにUVLEDの点灯時点及び消灯時点を示す説明図である。図7は、ヘッド対向領域(着弾対象領域)と、照射部対向領域(UV光照射領域)との位置関係を、キャリッジユニットと対比して示す説明図である。図7(a)は、キャリッジユニットをX軸方向に平行な方向から見た側面形状、及びキャリッジユニットと被描画媒体との位置関係を示す説明図であり、図7(b)は、被描画媒体上のヘッド対向領域と、照射部対向領域との位置関係を示す説明図であり、図7(c)は、1回の吐出走査における着弾対象領域の始端及び終端と、UV光照射領域の始端及び終端との位置関係を示す説明図である。図7に示したX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、キャリッジユニット22が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸方向、Y軸方向、又はZ軸方向と一致している。
【0064】
図6(a)に示したように、時点T1に駆動モーター67が始動し、キャリッジユニット22が加速される。キャリッジユニット22は、時点T1から時点T3の間に加速されて、時点T3から定速走査状態となる。このときの走査速度を、定速走査速度VCと表記する。キャリッジユニット22は、時点T3から時点T4の間は一定速度で走査され、時点T4から減速されて、時点T6で停止する。
【0065】
図6(b)に示したように、駆動モーター67には、キャリッジユニット22の走査速度の変化にしたがって、異なる電流値の駆動電流が流れる。時点T1から時点T3の間は、キャリッジユニット22が加速されており、駆動モーター67にかかる負荷が大きいため、大きな電流が流れる。キャリッジユニット22が加速されている場合における最大電流値を、加速度電流値AAと表記する。キャリッジユニット22の速度が、定速走査速度VCになると、加速時より負荷が減少するため、駆動電流値が小さくなる。キャリッジユニット22が定速走査速度VCで走査されている場合の駆動電流値を、定速走査電流値ACと表記する。時点T4からの減速時には、駆動モーター67を停止させるために、減速させる方向の負荷がかけられる。この場合、駆動モーター67には、電源による電圧は印加されていないため、駆動電流は流れない。この場合の電流値を、図6(b)では、加速時の電流と反対方向の電流として表記した。加速時には、瞬時に加速度電流値AAが流れるため、時点T3の後に、電流値が定速走査電流値ACより僅かに小さくなる時間が存在する。当該時間は、加速度電流値AAが流れる瞬時よりさらに短い時間である。
【0066】
UVLED96を点灯又は消灯させる基準の電流値を照射境界値A1と表記する。照射境界値A1としては、定速走査電流値ACより小さい電流値を設定する。図6(b)に示した照射境界値A1は、キャリッジユニット22が定速走査速度VCで走査されている場合の駆動電流値よりわずかに小さい値に設定されている。
キャリッジユニット22が加速されている際の駆動電流の電流値は、時点T2で、照射境界値A1以上となる。紫外線照射制御部74は、時点T2において、UVLED96を点灯させる。キャリッジユニット22が減速されている際の電流値は、時点T5で、照射境界値A1未満となる。紫外線照射制御部74は、時点T5において、UVLED96を消灯させる。したがって、UVLED96は、駆動電流の電流値が、照射境界値A1未満から照射境界値A1以上となる時点で点灯され、照射境界値A1以上から照射境界値A1未満となる時点で消灯される。あるいは、UVLED96は、駆動電流の電流値が、照射境界値A1以上の場合に点灯状態にされる。照射境界値A1が、第一の出力値に相当する。
【0067】
図7(a)に示したように、キャリッジユニット22が備えるヘッドユニット21と、2個の紫外線照射部95とが、並んで被描画媒体100に対向している。
図7(b)に示すように、被描画媒体100におけるヘッドユニット21が対向する領域をヘッド対向領域120と表記し、紫外線照射部95が対向する領域を、照射部対向領域190と表記する。
ヘッド対向領域120は、媒体載置台31に支持された被描画媒体100における、ヘッドユニット21が備える9個の液滴吐出ヘッド20が対向する範囲を、長方形で表した領域である。ユニットノズル列240Aから吐出されて着弾した機能液は、X軸方向において、ヘッド対向領域120の幅の範囲に位置している。照射部対向領域190は、媒体載置台31に支持された被描画媒体100における、紫外線照射部95によって同時に紫外線を照射可能な領域である。
【0068】
図7(c)に示すように、キャリッジユニット22が走査されて、ヘッド対向領域120がY軸方向に走査された軌跡の領域を着弾対象領域220と表記する。照射部対向領域190がY軸方向に走査された軌跡の領域をUV光照射領域290と表記する。ヘッドユニット21の両側にそれぞれ配設された紫外線照射部95のうち、吐出走査に際して、稼働させられる紫外線照射部95は、ヘッドユニット21に対して進行方向の後側の紫外線照射部95である。走査方向が図7(a)に矢印c1で示した方向の場合、矢印c1の後側の紫外線照射部95が、稼働させられる。
【0069】
ヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20は、時点T3から時点T4の定速走査期間に吐出を実施して、着弾領域始端221から着弾領域終端222の間の着弾対象領域220に、機能液の液滴を着弾させる。着弾させた機能液によって、着弾対象領域220内に、画像40を形成する。
矢印c1の後側の紫外線照射部95は、時点T2から時点T5の期間に紫外線を射出して、照射領域始端291から照射領域終端292の間のUV光照射領域290に、紫外線を照射する。照射境界値A1が、キャリッジユニット22が定速走査速度VCで走査されている場合の駆動電流値よりわずかに小さい値に設定されているため、時点T5の方が時点T4より遅くなっている。これにより、照射領域終端292が、着弾領域終端222に対して、キャリッジユニット22の走査方向における下流側(前側)に位置している。このため、着弾対象領域220は、UV光照射領域290に包含されており、吐出走査において、着弾対象領域220に着弾した機能液に、紫外線が照射される。
【0070】
なお、被描画媒体100の1点には、紫外線照射部95が対向しており、照射部対向領域190に位置している間に紫外線が照射される。当該照射時間とUVLED96から射出される紫外線の強度との積が、照射される光量であり、充分な光量を照射するためには、当該照射時間が必要である。このため、時点T2は、照射部対向領域190の走査方向における先端が、照射領域始端291に一致した時点である。時点T5は、照射部対向領域190の走査方向における後端が、照射領域終端292に一致した時点である。
UV光照射領域290には、着弾させられた機能液を適切な硬化率に硬化させることができる光量の紫外線が照射される。UV光照射領域290のY軸方向(吐出走査方向)の前後には、着弾させられた機能液を適切な硬化率に硬化させることができる光量には満たない光量の紫外線が照射される領域が存在する。
【0071】
被描画媒体100の1点には、ヘッドユニット21が有する吐出ノズル24のいずれかが適切な吐出位置に位置した時点において、当該吐出ノズル24から液滴を吐出することで、機能液を着弾させる。上述した例では、ヘッドユニット21が有する吐出ノズル24は、3240個である。1個のヘッド対向領域120の範囲では、図3を参照して説明した吐出ノズル24の位置に対応する、被描画媒体100の3240点に、機能液を着弾させることができる。
着弾対象領域220の全面に機能液の液滴を着弾させるためには、ヘッド対向領域120を最小着弾距離dの間隔で連ねて、それぞれのヘッド対向領域120において、ヘッドユニット21が有する全ての吐出ノズル24から吐出を実施させる。時点T3において吐出ノズル24からの吐出を開始させる場合、時点T3は、ヘッド対向領域120の走査方向における先端が、着弾領域始端221に一致した時点から、吐出ノズル24の最小吐出間隔(sec)の1/2が経過した時点である。時点T4において吐出ノズル24からの吐出を停止させる場合、時点T4は、ヘッド対向領域120の走査方向における後端が、着弾領域終端222に一致する時点である。
【0072】
上述したように、ヘッドユニット21の両側にそれぞれ配設された紫外線照射部95のうち、ヘッドユニット21に対して進行方向の後側の紫外線照射部95を稼働したが、両側にそれぞれ配設された紫外線照射部95の両方を稼動してもよい。両方の紫外線照射部95を稼働させる場合、キャリッジユニット22に設けられた2個の紫外線照射部95で、点灯させる時点及び消灯させる時点を異ならせてもよい。
【0073】
<紫外線照射時間の他の例1>
次に、紫外線を照射する領域が、上述したUV光照射領域290とは異なるUV光照射領域294となる、紫外線照射時間の例について、図8を参照して説明する。図8は、駆動電流の時間変化を、キャリッジユニットの走査速度と関連させて示し、駆動電流に対応してUVLEDの点灯時点及び消灯時点を示す説明図、及び1回の吐出走査における着弾対象領域の始端及び終端と、UV光照射領域の始端及び終端との位置関係を示す説明図である。図8(a)は、キャリッジユニットの走査速度の時間変化を示す説明図であり、図8(b)は、駆動電流の時間変化をキャリッジユニットの走査速度の時間変化に対応させて示すとともにUVLEDの点灯時点及び消灯時点を示す説明図であり、図8(c)は、1回の吐出走査における着弾対象領域の始端及び終端と、UV光照射領域の始端及び終端との位置関係を示す説明図である。図8(c)に示したX軸方向、及びY軸方向は、キャリッジユニット22が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸方向、又はY軸方向と一致している。
【0074】
図8(a)に示したキャリッジユニット22の走査速度の時間変化、及び図8(b)に示した駆動モーター67の駆動電流の電流値の時間変化は、図6(a)を参照して説明したキャリッジユニット22の走査速度の時間変化、又は図6(b)を参照して説明した駆動モーター67の駆動電流の電流値の時間変化と同様である。
図8(b)に示したように、キャリッジユニット22が加速されている際の駆動電流の電流値は、時点T2で、照射境界値A1以上となる。紫外線照射制御部74は、時点T2から、点灯遅延時間t1後の時点T21において、UVLED96を点灯させる。時点T21は、照射部対向領域190の走査方向における先端が、着弾領域始端221に略一致した時点である。紫外線照射制御部74がUVLED96を消灯させる時点は、上述した時点T5である。
図8(c)に示したように、時点T21において、UVLED96を点灯させることで、UV光照射領域294の照射領域始端295は、着弾対象領域220の着弾領域始端221に略一致している。紫外線照射部95は、時点T21から時点T5の期間に紫外線を射出して、照射領域始端295から照射領域終端292の間のUV光照射領域294に、紫外線を照射する。点灯遅延時間t1が、所定の遅延時間に相当する。
点灯遅延時間t1は、例えば、キャリッジユニット22におけるそれぞれの紫外線照射部95の位置や走査速度によって設定する。
【0075】
上述したように、ヘッドユニット21の両側にそれぞれ配設された紫外線照射部95のうち、ヘッドユニット21に対して進行方向の後側の紫外線照射部95を稼働したが、両側にそれぞれ配設された紫外線照射部95を稼動してもよい。両側の紫外線照射部95を稼働させる場合、キャリッジユニット22に設けられた2個の紫外線照射部95で、異なる点灯遅延時間t1を設定してもよい。
また、それぞれの紫外線照射部95において、UV光照射領域294のようなUV光照射領域が、被描画媒体100における着弾対象領域220と略一致する時点でUVLED96を消灯するようにしてもよい。
【0076】
<紫外線照射時間の他の例2>
次に、紫外線を照射する領域が、上述したUV光照射領域290及びUV光照射領域294とは異なるUV光照射領域296となる、紫外線照射時間の例について、図9を参照して説明する。図9は、駆動電流の時間変化を、キャリッジユニットの走査速度と関連させて示し、駆動電流に対応してUVLEDの点灯時点及び消灯時点を示す説明図、及び1回の吐出走査における着弾対象領域の始端及び終端と、UV光照射領域の始端及び終端との位置関係を示す説明図である。図9(a)は、キャリッジユニットの走査速度の時間変化を示す説明図であり、図9(b)は、駆動電流の時間変化をキャリッジユニットの走査速度の時間変化に対応させて示すとともにUVLEDの点灯時点及び消灯時点を示す説明図であり、図9(c)は、1回の吐出走査における着弾対象領域の始端及び終端と、UV光照射領域の始端及び終端との位置関係を示す説明図である。図9(c)に示したX軸方向、及びY軸方向は、キャリッジユニット22が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸方向、又はY軸方向と一致している。
【0077】
図9(a)に示したキャリッジユニット22の走査速度の時間変化、及び図9(b)に示した駆動モーター67の駆動電流の電流値の時間変化は、図6(a)を参照して説明したキャリッジユニット22の走査速度の時間変化、又は図6(b)を参照して説明した駆動モーター67の駆動電流の電流値の時間変化と同様である。
図9(b)に示したように、キャリッジユニット22が加速されている際の駆動電流の電流値は、時点T2で、照射境界値A1以上となる。紫外線照射制御部74は、時点T2において、UVLED96を点灯させる。紫外線照射制御部74は、時点T2から、設定照射時間t2後の時点T51において、UVLED96を消灯させる。時点T51は、照射部対向領域190の走査方向における後端が、着弾領域終端222に略一致した時点である。
図9(c)に示したように、時点T51において、UVLED96を消灯させることで、UV光照射領域296の照射領域終端298は、着弾対象領域220の着弾領域終端222に略一致している。紫外線照射部95は、時点T2から時点T51の期間に紫外線を射出して、照射領域始端291から照射領域終端298の間のUV光照射領域296に、紫外線を照射する。
【0078】
上述したように、ヘッドユニット21の両側にそれぞれ配設された紫外線照射部95のうち、ヘッドユニット21に対して進行方向の後側の紫外線照射部95を稼働したが、両側にそれぞれ配設された紫外線照射部95の両方を稼動してもよい。両方の紫外線照射部95を稼働させる場合、キャリッジユニット22に設けられた2個の紫外線照射部95で、異なる設定照射時間t2を設定してもよい。UVLED96を消灯させる時点が2個の紫外線照射部95の照射部対向領域190の走査方向における後端が、それぞれ着弾領域終端222に略一致した時点となるように、それぞれの紫外線照射部95を制御してもよい。
【0079】
<紫外線照射時間の他の例3>
次に、キャリッジ走査機構62に不具合が発生した際の紫外線照射時間の例について、図10を参照して説明する。図10は、駆動電流の時間変化を、キャリッジユニットの走査速度と関連させて示し、駆動電流に対応してUVLEDの点灯時点及び消灯時点を示す説明図である。図10(a)は、キャリッジユニットの走査速度の時間変化を示す説明図であり、図10(b)は、駆動電流の時間変化をキャリッジユニットの走査速度の時間変化に対応させて示すとともにUVLEDの点灯時点及び消灯時点を示す説明図である。
【0080】
上述したように、例えば、時点T1に駆動モーター67が始動し、キャリッジユニット22が加速される。キャリッジユニット22は、時点T1から時点T3の間に加速されて、時点T3から定速走査状態となる。定速走査状態となったキャリッジユニット22は、時点T3から時点T4の間は一定の定速走査速度VCで走査され、時点T4から減速されて、時点T6で停止する。
図10(a)に示した例では、時点T71において、キャリッジ走査機構62に異常が発生して、キャリッジ走査機構62が停止している。キャリッジユニット22は、時点T73において、停止させられている。キャリッジ走査機構62の異常は、例えば、駆動プーリー67aや、従動プーリー67bや、ベルト62aなどが、異物によって強制的に止められる場合などであり、駆動モーター67は、出力軸が拘束されて停止させられる。
【0081】
上述したように、駆動モーター67には、キャリッジユニット22の走査速度の変化にしたがって、異なる電流値の駆動電流が流れる。時点T1から時点T3の間は、キャリッジユニット22が加速されており、駆動モーター67にかかる負荷が大きいため、加速度電流値AAが流れる。キャリッジユニット22の速度が、定速走査速度VCになると、加速時より負荷が減少して、定速走査電流値ACの電流が流れる。
図10(b)に示したように、駆動モーター67の出力軸が拘束されて停止させられることによって、駆動モーター67に流れる駆動電流の電流値は、定速時電流値ACから、駆動モーター67の拘束電流に上昇する。
【0082】
緊急時にUVLED96を消灯させる基準の電流値を、停止境界値A2と表記する。停止境界値A2としては、定速字電流値ACより大きく、拘束電流の電流地より小さい電流値を設定する。図6(b)に示した停止境界値A2は、加速時電流値AAより大きく、拘束電流の電流値より小さい電流値に設定されている。
駆動モーター67が時点T71から時点T73にかけて停止される際の駆動電流の電流値は、時点T72において、停止境界値A2以上となる。紫外線照射制御部74は、時点T72において、UVLED96を消灯させる。停止境界値A2が、第二の出力値に相当する。
図10の時点T72以降のいずれかの時点において、駆動モーター67を停止する(駆動電圧を印加しない)ように制御してもよい。
【0083】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)液滴吐出装置1は、駆動モーター67の駆動電流を計測して、計測結果を紫外線照射制御部74に送出する電流計69を備えている。紫外線照射制御部74は、電流計69によって測定された駆動モーター67の駆動電流値によって、UVLED96を制御して紫外線を射出させる。駆動モーター67の駆動電流値は、駆動モーター67にかかっている負荷などによって異なるため、駆動モーター67の駆動電流値によって、駆動モーター67の駆動状態を判別することができる。駆動モーター67の駆動電流値によって、UVLED96を制御して紫外線を射出させることで、駆動モーター67の駆動状態に関連付けられた適切な機会にUVLED96に紫外線を射出させて、適切な位置に紫外線を照射することができる。
【0084】
(2)紫外線照射制御部74は、駆動モーター67の駆動電流の電流値が照射境界値A1以上となった時点T2において、UVLED96を点灯させている。また、電流値が照射境界値A1未満となった時点T5において、UVLED96を消灯させている。これにより、駆動モーター67が駆動している時間の全てにおいてUVLED96を点灯状態にさせる場合にくらべて、点灯状態にさせることが不必要な場合においてUVLED96を点灯状態にさせることを抑制することができる。
【0085】
(3)紫外線を照射する領域がUV光照射領域294となる紫外線照射時間は、時点T2から、点灯遅延時間t1後の時点T21において、UVLED96を点灯させることで、開始する。時点T21は、照射部対向領域190の走査方向における先端が、着弾領域始端221に略一致した時点であるこれにより、UV光照射領域294の照射領域始端295を、着弾対象領域220の着弾領域始端221に略一致させることができる。すなわち、着弾対象領域220に含まれない領域に紫外線を照射することを抑制することができる。
【0086】
(4)紫外線を照射する領域がUV光照射領域296となる紫外線照射時間は、時点T2においてUVLED96を点灯させることで開始し、点灯から設定照射時間t2後の時点T51において、UVLED96を消灯させることで終了する。時点T51は、照射部対向領域190の走査方向における後端が、着弾領域終端222に略一致した時点である。これにより、UV光照射領域296の照射領域終端298を、着弾対象領域220の着弾領域終端222に略一致させることができる。すなわち、着弾対象領域220に含まれない領域に紫外線を照射することを抑制することができる。
【0087】
(5)紫外線を照射する領域がUV光照射領域290となる紫外線照射時間は、時点T2においてUVLED96を点灯させることで開始しており、時点T2は、駆動モーター67の駆動電流の電流値が照射境界値A1以上となる時点である。照射境界値A1は、キャリッジユニット22が定速走査速度VCで走査されている場合の駆動電流値よりわずかに小さい値に設定されている。これにより、照射境界値A1と定速走査速度VCとの差が大きい場合にくらべて、時点T2を時点T3に近づけることができる。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0089】
(変形例1)前記実施形態においては、紫外線を照射する領域がUV光照射領域294となる紫外線照射時間は、時点T2から、点灯遅延時間t1後の時点T21において、UVLED96を点灯させることで、開始していた。紫外線を照射する領域がUV光照射領域296となる紫外線照射時間は、時点T2においてUVLED96を点灯させることで開始し、点灯から設定照射時間t2後の時点T51において、UVLED96を消灯させることで終了していた。紫外線照射時間は、点灯時点を基準時点から点灯の遅延時間が経過した時点とし、消灯時点を当該点灯時点から所定の時間経過した時点とする紫外線照射時間であってもよい。あるいは、紫外線照射時間は、点灯時点を基準時点から点灯の遅延時間が経過した時点とし、消灯時点を当該基準時点から所定の時間経過した時点とする紫外線照射時間であってもよい。この場合照射時間は、(設定照射時間t2−点灯遅延時間t1)である。
【0090】
(変形例2)前記実施形態においては、紫外線を照射する領域がUV光照射領域294となる紫外線照射時間は、時点T2から、点灯遅延時間t1後の時点T21において、UVLED96を点灯させることで、開始していた。時点T2は、駆動モーター67の駆動電流の電流値が照射境界値A1以上となる時点であり、照射境界値A1は、キャリッジユニット22が定速走査速度VCで走査されている場合の駆動電流値よりわずかに小さい値に設定されていた。しかし、点灯の遅延時間の起点は、例えば、駆動モーター67が起動する時点であってもよい。すなわち、第一の出力値は、駆動出力検出手段によって検出可能な範囲で、最も小さい値に設定してもよい。
【0091】
(変形例3)前記実施形態においては、紫外線を照射する領域がUV光照射領域296となる紫外線照射時間は、時点T2においてUVLED96を点灯させることで開始し、点灯から設定照射時間t2後の時点T51において、UVLED96を消灯させることで終了していた。時点T2は、駆動モーター67の駆動電流の電流値が照射境界値A1以上となる時点であり、照射境界値A1は、キャリッジユニット22が定速走査速度VCで走査されている場合の駆動電流値よりわずかに小さい値に設定されていた。しかし、硬化光射出手段を消灯させるまでの所定の時間の起点は、例えば、駆動モーター67が起動する時点であってもよい。すなわち、第一の出力値は、駆動出力検出手段によって検出可能な範囲で、最も小さい値に設定してもよい。
【0092】
(変形例4)前記実施形態においては、被描画媒体100の具体例は特に例示しなかったが、被描画媒体としては、膜を形成することによって画像を形成するような製品や、フィルター膜のような機能膜を形成することが必要な製品が挙げられる。
【0093】
(変形例5)前記実施形態においては、吐出走査において、キャリッジ走査機構62によってキャリッジユニット22をY軸方向に走査させることによって、液滴吐出ヘッド20及びUVLED96と、被描画媒体100と、を相対移動させていた。しかし、吐出ヘッド及び硬化光射出手段と被描画媒体とを相対移動させる相対走査手段が吐出ヘッド及び硬化光射出手段を走査させる手段であることは必須ではない。相対走査手段は、被描画媒体を保持する媒体保持手段を走査させる手段であってもよい。
【0094】
(変形例6)前記実施形態においては、駆動源の出力は、駆動モーター67の駆動電流の電流値であり、駆動出力検出手段は、電流計69であった。しかし、駆動源の出力は、他の物理量であってもよい。例えば、駆動モーター67の回転数であってもよい。
駆動源の出力が駆動モーターの回転数である場合、第一の出力値は、相対走査手段が定速でヘッド保持手段と媒体保持手段とを相対移動させている場合の回転数より小さい正の数の回転数に設定する。第二の出力値は、相対走査手段が定速でヘッド保持手段と媒体保持手段とを相対移動させている場合の回転数より大きく、駆動モーターの無負荷の場合の回転数より小さい値に設定する。
相対移動が停止させられる場合は、相対走査手段が拘束された場合や、駆動モーターの回転の伝達経路が損なわれて駆動モーターの回転数が空回りしている場合などである。相対走査手段が拘束された場合は、駆動モーターの回転数が第一の出力値より小さくなることを検出することによって、硬化光射出手段を停止させることができる。駆動モーターの回転の伝達経路が損なわれた場合には、駆動モーターの回転数が第二の出力値を超えることを検出することによって、硬化光射出手段を停止させることができる。
【0095】
(変形例7)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット21を備えており、ヘッドユニット21が備える液滴吐出ヘッド20が吐出する機能液は単一の機能液であった。しかし、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが吐出する液状体が同一であることは必須ではない。描画装置においては、色が異なるなど、複数種類の異なる液状体を吐出してもよい。色が異なる複数種類の液状体を吐出することでカラー描画も可能である。液状体の種類は、液滴吐出装置が複数のヘッドユニットを備えて、ヘッドユニットごとに異ならせてもよいし、ヘッド組ごとに異ならせてもよいし、液滴吐出ヘッドごとに異ならせてもよいし、ノズル列ごとに異ならせてもよい。吐出ノズルごとに液状体を個別に供給できる液滴吐出ヘッドを用いて、吐出ノズルごとに異なる液状体を吐出してもよい。なお、カラー描画を実施する際には、同じ着弾位置に、複数の、例えば色が異なる液状体を着弾させることができる構成のヘッドユニット又は液滴吐出ヘッドを用いたり、走査方法を用いたりすることで、より微細な描画が可能となる。
【0096】
(変形例8)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット21を1個備えていた。しかし、描画装置が備えるヘッドユニットが1個であることは必須ではない。描画装置が備えるヘッドユニットは、いくつであってもよい。
【0097】
(変形例9)前記実施形態においては、ヘッドユニット21は、液滴吐出ヘッド20を9個備えていたが、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが9個であることは必須ではない。ヘッドユニットが備える吐出ヘッドは、いくつであってもよい。
【0098】
(変形例10)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド20は、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aを2列備えていたが、吐出ヘッドが備えるノズル列は何列であってもよい。また、液滴吐出ヘッド20が備える吐出ノズル24は、ノズル列24Aの延在方向において互いの位置がずれていたが、吐出ヘッドは、ノズル列の延在方向において、略同一位置に位置する吐出ノズルを複数備える構成であってもよい。
【0099】
(変形例11)前記実施形態においては、UVLED96は、紫外線を射出するLEDであった。しかし、硬化光射出手段がLEDであることは必須ではない。硬化光射出手段は、メタルハライドランプのようなランプなどであってもよい。
【0100】
(変形例12)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド20が吐出する機能液は、紫外線硬化型の機能液であり、紫外線照射部95は、紫外線を射出するUVLED96を備えていた。しかし、上述した実施形態において説明した液滴吐出装置で用いる液状体が紫外線硬化型の液状体であることは必須ではない。熱硬化型の液状体など、他の硬化光を用いて処理することによって硬化させる液状体であってもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…液滴吐出装置、2…ヘッド機構部、3…媒体機構部、7…吐出装置制御部、20…液滴吐出ヘッド、21…ヘッドユニット、22…キャリッジユニット、24…吐出ノズル、31…媒体載置台、33…媒体移動機構、62…キャリッジ走査機構、65…キャリッジ枠、66…ガイド部、67…駆動モーター、67a…駆動プーリー、67b…従動プーリー、68…エンコーダー、69…電流計、71…データ処理部、72…吐出制御部、73…キャリッジ走査制御部、74…紫外線照射制御部、95…紫外線照射部、96…UVLED、100…被描画媒体、120…ヘッド対向領域、190…照射部対向領域、220…着弾対象領域、221…着弾領域始端、222…着弾領域終端、290…UV光照射領域、291…照射領域始端、292…照射領域終端、294…UV光照射領域、295…照射領域始端、296…UV光照射領域、298…照射領域終端。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化型の液状体を配置して描画する対象物である被描画媒体を保持する媒体保持手段と、
前記液状体を、前記媒体保持手段に保持された前記被描画媒体に向けて吐出する吐出ヘッドと、
前記液状体の硬化を促進する硬化光を前記媒体保持手段に保持された前記被描画媒体に向けて射出する硬化光射出手段と、
前記吐出ヘッドと、前記硬化光射出手段と、を保持するヘッド保持手段と、
前記被描画媒体と前記吐出ヘッドとを相対移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記液状体を吐出して前記被描画媒体に着弾させる吐出走査における前記吐出ヘッドと前記被描画媒体との相対移動方向である吐出走査方向に前記ヘッド保持手段と前記媒体保持手段とを相対移動させる相対走査手段と、
前記相対走査手段の駆動源の出力を検出する駆動出力検出手段と、
前記硬化光射出手段を制御して前記硬化光を射出させる硬化光射出制御手段と、を備え、
前記硬化光射出制御手段は、前記駆動出力検出手段の検出結果に基づいて、前記硬化光射出手段を制御し、前記硬化光射出手段を、前記硬化光を射出する射出状態、又は前記硬化光を射出しない射出停止状態にすることを特徴とするインクジェット描画装置。
【請求項2】
前記硬化光射出制御手段は、前記駆動源の出力が第一の出力値以上の場合に、前記硬化光射出手段を、前記射出状態にすることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット描画装置。
【請求項3】
前記硬化光射出制御手段は、前記駆動源の出力が第一の出力値未満から前記第一の出力値以上になった場合に、前記硬化光射出手段を前記射出停止状態から前記射出状態にし、
前記駆動源の出力が前記第一の出力値以上から前記第一の出力値未満になった場合に、前記硬化光射出手段を、前記射出状態から前記射出停止状態にすることを特徴とする、請求項1又は2に記載のインクジェット描画装置。
【請求項4】
前記硬化光射出制御手段は、前記駆動源の出力が第一の出力値未満から前記第一の出力値以上になった場合に、前記駆動源の出力が前記第一の出力値未満から前記第一の出力値以上になった時点から所定の遅延時間後に、前記硬化光射出手段を前記射出停止状態から前記射出状態にすることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット描画装置。
【請求項5】
前記硬化光射出制御手段は、前記硬化光射出手段を前記射出状態にした時点から所定の時間が経過した時点で、前記硬化光射出手段を、前記射出状態から前記射出停止状態にすることを特徴とする、請求項1又は4に記載のインクジェット描画装置。
【請求項6】
前記硬化光射出制御手段は、前記駆動源の出力が第二の出力値以上になった場合に、前記硬化光射出手段を、前記射出状態から前記射出停止状態にすることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインクジェット描画装置。
【請求項7】
前記相対走査手段の駆動源が電動機であり、前記駆動出力検出手段は、電流測定手段であり、前記駆動源の出力は、前記電動機に供給される駆動電力の電流値であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインクジェット描画装置。
【請求項8】
前記第一の出力値は、前記吐出走査において前記ヘッド保持手段と前記被描画媒体との相対移動速度が所定の一定速度である場合に前記電動機に供給される駆動電力の電流値に、1より小さい所定の正の値を乗じた電流値であることを特徴とする、請求項7に記載のインクジェット描画装置。
【請求項9】
前記相対走査手段の駆動源が電動機であり、前記駆動出力検出手段は、電流測定手段であり、前記駆動源の出力は、前記電動機に供給される駆動電力の電流値であって、
前記第二の出力値は、前記電動機が拘束された状態の拘束電流より小さい電流値であって、前記吐出走査において前記ヘッド保持手段と前記被描画媒体との相対移動速度が所定の一定速度である場合に前記電動機に供給される駆動電力の電流値より大きい電流値であることを特徴とする、請求項6に記載のインクジェット描画装置。
【請求項10】
光硬化型の液状体を配置して描画する対象物である被描画媒体を保持する媒体保持手段と、前記液状体を、前記媒体保持手段に保持された前記被描画媒体に向けて吐出する吐出ヘッドと、前記液状体の硬化を促進する硬化光を前記媒体保持手段に保持された前記被描画媒体に向けて射出する硬化光射出手段と、前記吐出ヘッドと、前記硬化光射出手段と、を保持するヘッド保持手段と、前記被描画媒体と前記吐出ヘッドとを相対移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記液状体を吐出して前記被描画媒体に着弾させる吐出走査における前記吐出ヘッドと前記被描画媒体との相対移動方向である吐出走査方向に前記ヘッド保持手段と前記媒体保持手段とを相対移動させる相対走査手段と、を備えるインクジェット描画装置の制御方法であって、
前記相対走査手段の駆動源の出力を検出する駆動出力検出工程と、
前記駆動出力検出工程における検出結果に基づいて、前記硬化光射出手段を制御して、前記硬化光射出手段を、前記硬化光を射出する射出状態、又は前記硬化光を射出しない射出停止状態にする射出手段制御工程と、を有することを特徴とするインクジェット描画装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−206085(P2012−206085A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75803(P2011−75803)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】