説明

インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法

【課題】吐出安定性に優れたインクジェット用インクを提供する。
【解決手段】式(1)で示される色材、式(2)で示される界面活性剤、及び、アルカンジオール化合物を含有し、インク全質量を基準とした、前記式(1)で示される色材の含有量A(質量%)、前記式(2)で示される界面活性剤の含有量B質量%、及び、前記アルカンジオール化合物の含有量C質量%が、0<(A+B)/C≦3.0の関係を満たすことを特徴とするインクジェット用インク。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法に用いるインクに対する要求性能としては、形成した画像の発色性がよいこと、画像保存性が優れることが挙げられ、これらを高いレベルで両立させることが好ましい。画像保存性とは、具体的には、画像が、光、湿度、熱、空気中に存在する環境ガスなどに長時間さらされた際に、画像上の色材が劣化し、画像の色調変化や褪色といった現象が発生しないことを指す。しかしながら、カラーインデックス(C.I.)番号が付与されているような、従来からよく知られている色材では、インクジェット用インクに要求される画像の発色性と画像保存性とを両立させることは難しい。そこで、画像の発色性と画像保存性の向上を達成するために、発色性が良好であり、かつ、画像保存性に優れたアゾ化合物(染料)の提案がなされている(特許文献1参照)。
【0003】
さらには、アゾ化合物とアセチレングリコール系の界面活性剤を使用して、画像の発色性が良好であり、画像保存性に優れ、かつ、インクの間欠吐出安定性の高い、インクジェット記録用インクの提案がなされている(特許文献2参照)。また、特許文献3では、アセチレングリコール系の界面活性剤のエチレンオキサイド付加物の、エチレンオキサイド付加モル数の平均値を低くすることにより、画像保存性に優れ、画像の乾燥性を改良したインクの提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−371079号公報
【特許文献2】特開2003−012980号公報
【特許文献3】特開2007−113001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らが、特許文献1に記載されたアゾ化合物を含有するインクを調製し、前記インクを用いて画像を形成したところ、画像の発色性、及び、画像保存性は良好なものであった。しかしながら、前記インクを用いて、長期間のインクジェット記録装置の使用を想定した耐久試験を行ったところ、記録ヘッドの吐出口の近傍に析出物が発生して、吐出性が低下するという課題が発生し、また、間欠吐出安定性も不十分であることがわかった。また、特許文献2や3に記載されたアセチレングリコール系の界面活性剤をさらに使用しても耐久試験での吐出性の低下を解決するまでに至らず、また、間欠吐出安定性がある程度改善されたが、まだ十分とはいえるものではなかった。これらの課題は、特許文献1〜3に記載されたアゾ化合物の構造に起因して発生するもので、他の構造のアゾ化合物では、耐久試験での吐出性の低下や間欠吐出安定性の低下という課題が発生することはなかった。
【0006】
本発明の目的は、式(1)で示される色材を含有するインクにおいて、耐久試験での吐出性の低下が抑制され、かつ、間欠吐出安定性に優れたインクジェット用インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクジェット用インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、下記式(1)で示される色材を含有するインクジェット用インクであって、さらに、下記式(2)で示される界面活性剤、及び、アルカンジオール化合物を含有し、インク全質量を基準とした、前記式(1)で示される色材の含有量A(質量%)、前記式(2)で示される界面活性剤の含有量B質量%、及び、前記アルカンジオール化合物の含有量C質量%が、0<(A+B)/C≦3.0の関係を満たすことを特徴とするインクジェット用インクである。
【0008】
【化1】

【0009】
(式(1)中、[A]は5員複素環基であり、[B]及び[C]は、CR及びCRであるか、又は、一方が窒素原子で他方がCRであり、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は下記に挙げる群から選ばれるいずれかの置換基である。該置換基の群は、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びスルファモイル基からなり、該置換基の水素原子は置換されていてもよい。また、式中の[D]、[B]及び[C]の一部を構成し得る上記のR及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は下記に挙げる群から選ばれるいずれかの置換基である。該置換基の群は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、及びスルホン酸基からなり、該置換基の水素原子は置換されていてもよく、R及びR、又はR及びRが結合して、5員環又は6員環を形成してもよい。)
【0010】
【化2】

【0011】
(式(2)中、m+nは界面活性剤のエチレンオキサイド基の付加モル数の平均値であり、0≦m+n≦8.0である。)
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、式(1)で示される色材を含有するインクにおいて、耐久試験での吐出性の低下が抑制され、かつ、間欠吐出安定性に優れたインクジェット用インクが提供される。また、本発明の別の実施態様によれば、前記インクジェット用インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0014】
他の構造のアゾ色材と比較して、式(1)で表される色材はその構造に起因して、アセチレングリコール系の界面活性剤の能力が十分に発揮されず、インクの表面張力がコントロールしづらいという特徴があった。そこで、本発明者らは、アセチレングリコール系の界面活性剤を使用して、界面活性剤の能力を十分に発揮させ、インクに適度な表面張力を持たせるための検討を行っていた。インクジェット用インクとして適切な表面張力となり、間欠吐出安定性を両立したインクとするためには、アセチレングリコール系の界面活性剤において、エチレンオキサイド基の付加モル数m+nの平均値を0≦m+n≦8.0にする必要があることを見出した。m+n>8.0とした場合、適度な表面張力にするために必要となるアセチレングリコール系の界面活性剤のインク中の含有量が増え、間欠吐出安定性の低下が顕著になる。
【0015】
しかしながら、検討を進めていくにつれ、上記インクでは耐久試験を行った場合に記録ヘッドの吐出口の近傍に析出物が発生し、吐出性が低下するという課題が生じることが明らかになった。これは、式(1)で示される色材と式(2)で示される界面活性剤(0≦m+n≦8.0)を共にインクに含有させた場合に初めて発生する課題であることが本発明者らの検討により明らかになった。このことから、本発明者らは、前記課題が発生する理由を以下のように考えている。
【0016】
式(2)で示される界面活性剤はエチレンオキサイド基の付加モル数の平均値が0≦m+n≦8.0の範囲にあり、従来多用されてきたアセチレングリコール系の界面活性剤と比べて親水性基(エチレンオキサイド基)が少ない。このことから水に対する溶解度が相対的に低いため、耐久試験の過程で記録ヘッドの吐出口からの水分などの蒸発が生じると、吐出口の近傍ではこの界面活性剤の濃度が相対的に大きくなり、析出しやすくなる。同時に、式(1)で示される色材も水分などの蒸発により析出しやすい状態になり、両者の溶解状態が共に不安定になる。この結果、析出物が発生し、この析出物には式(1)で示される色材と式(2)で示される界面活性剤の混合物が含まれると考えられる。この現象は、インク中の式(1)で示される色材の含有量を多くするほど、適度な表面張力にするために要する式(2)で示される界面活性剤の含有量を多くする必要があるため、より顕著になる。
【0017】
そこで、本発明者らはこの課題を解決するために、式(1)で示される色材及び式(2)で示される界面活性剤に加えてさらにインクに含有させる水溶性有機溶剤に着目して検討を行った。その結果、水溶性有機溶剤としてアルカンジオール化合物を用いることで、析出物の発生が抑制され、吐出性の低下が抑制されることが明らかとなった。
【0018】
本発明者らはこの理由を、アルカンジオール化合物が式(1)で示される色材及び式(2)で示される界面活性剤の両方に対して良溶媒として作用するためであることと考えている。アルカンジオール化合物は多くの色材に対して貧溶媒として作用するが、式(1)で示される色材に対しては良溶媒として作用する。また、アルカンジオール化合物は、本発明におけるエチレンオキサイド基の付加モル数の平均値が0≦m+n≦8.0の範囲の、親水性基の少ない式(2)で示される界面活性剤に対しても良溶媒として作用する。ここで、色材及び界面活性剤のどちらか一方に対してのみ良溶媒として作用する水溶性有機溶剤では耐久試験での吐出性の低下を抑制することはできず、例えば、色材に対してのみ良溶媒として作用するグリセリンを使用しただけでは析出物が発生した。そこで、色材及び界面活性剤の両方に対して良溶媒として作用するアルカンジオール化合物を使用することで初めて、水分など蒸発に伴う色材と界面活性剤の溶解状態を安定化し、析出物の発生を抑制することができる。なお、本発明における「良溶媒」とは、ある物質に対しての溶解度が高い水溶性有機溶剤のことであり、「貧溶媒」は、ある物質に対しての溶解度が低い水溶性有機溶剤のことである。
【0019】
本発明者らのさらなる検討の結果、式(1)で示される色材、式(2)で示される界面活性剤、アルカンジオール化合物の比率も上記課題を解決するためには重要であることがわかった。インク全質量を基準とした、式(1)で示される色材の含有量A質量%、式(2)で示される界面活性剤の含有量B質量%、及び、アルカンジオール化合物の含有量C質量%が、0<(A+B)/C≦3.0の関係を満たすことが必要であることがわかった。ここで、本発明のインクは、式(1)で示される色材、式(2)で示される界面活性剤、アルカンジオール化合物を含有する必要があるため、(A+B)/Cの値が0となることはない。また、(A+B)/Cの値が3.0を超えると、色材及び界面活性剤に対して良溶媒となるアルカンジオール化合物が少ないため、耐久試験での吐出性の低下を抑制することができない。
【0020】
<インク>
以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性について詳細に説明する。
【0021】
〔式(1)で示される色材〕
本発明のインクには、画像の発色性と画像保存性に優れるアゾ系の染料として、下記式(1)で示される色材を用いる。インク中の式(1)で示される色材の含有量A(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下が好ましい。さらには、画像の発色性及び画像保存性の観点から2.5質量%以上、さらには3.0質量%以上が好ましい。
【0022】
【化3】

【0023】
(式(1)中、[A]は5員複素環基であり、[B]及び[C]は、CR及びCRであるか、又は、一方が窒素原子で他方がCRであり、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は下記に挙げる群から選ばれるいずれかの置換基である。該置換基の群は、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びスルファモイル基からなり、該置換基の水素原子は置換されていてもよい。また、式中の[D]、[B]及び[C]の一部を構成し得る上記のR及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は下記に挙げる群から選ばれるいずれかの置換基である。該置換基の群は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、及びスルホン酸基からなり、該置換基の水素原子は置換されていてもよく、R及びR、又はR及びRが結合して、5員環又は6員環を形成してもよい。)
式(1)で示される色材のより好ましいものとしては、下記式(3)で示される色材が挙げられ、画像の発色性や画像保存性が良好である。
【0024】
【化4】

【0025】
(式(3)中、Xは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基である。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、及びスルホン酸基であり、これらの各基はさらに置換されていてもよい。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基であり、これらの各基はさらに置換されていてもよい。また、R及びR、又は、R及びRが結合して、5員環又は6員環を形成してもよい。a及びeはそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子である。ただし、a及びeが共にアルキル基である場合は、該アルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であり、それらはさらに置換されていてもよい。b、c、及びdはそれぞれ独立に、R及びRとして挙げた基の群から選ばれる基であり、a及びb、又は、e及びdが、互いに縮環していてもよい。Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基であり、これらの各基はさらに置換されていてもよい。ただし、式(3)中に少なくともひとつのイオン性基が存在する。)
【0026】
なお、上記式(3)のイオン性基は塩を形成していてもよく、イオン性基のカウンターイオンがカチオンである場合、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムのイオンであることが好ましい。
【0027】
本発明においては、式(1)で示される色材の特に好ましいものとして、下記式(4)で示される色材が挙げられ、画像の発色性や画像保存性が特に良好である。
【0028】
【化5】

【0029】
(式(4)中、R、R10、R11、及びR12はそれぞれ独立にアルキル基であり、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムのいずれかである。)
【0030】
式(4)におけるR、R10、R11、及びR12はそれぞれ独立にアルキル基である。前記アルキル基は、インクを構成する水性媒体への溶解性の観点から、炭素数1乃至3であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、第1級プロピル基、及び第2級プロピル基が挙げられる。なお、アルキル基の炭素数が4以上であると、色材の疎水性が大きくなり、色材がインクを構成する水性媒体に溶解しない場合がある。式(4)におけるMはそれぞれ独立に、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムのいずれかである。前記アルカリ金属は、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどが挙げられる。前記有機アンモニウムは、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、フェニルアミノ、及びトリエタノールアミノなどが挙げられる。
【0031】
式(1)で示される色材の好ましい具体例としては、下記の例示化合物M1、M2、及びM3が挙げられる(上記式(3)や式(4)にも勿論包含される)。なお、下記の例示化合物は遊離酸の形で記載する。勿論、本発明は、前記一般式(1)の構造及びその定義に包含されるものであれば、下記の例示化合物に限定されるものではない。
【0032】
【化6】

【0033】
【化7】

【0034】
【化8】

【0035】
〔式(2)で示される界面活性剤〕
本発明のインクには、下記式(2)で示される界面活性剤を用いる。
【0036】
【化9】

【0037】
(式(2)中、m+nは界面活性剤のエチレンオキサイド基の付加モル数の平均値であり、0≦m+n≦8.0である。)
エチレンオキサイド基の付加モル数の平均値が0≦m+n≦8.0である式(2)で示される界面活性剤をインクに添加することにより、インクジェット用インクとしての適度な表面張力と間欠吐出安定性を両立させることができる。m+n>8.0である場合、適度な表面張力にするために、式(2)で示される界面活性剤の含有量が増え、間欠吐出安定性が低下する。なお、m+n=0である場合、エチレンオキサイド基が存在しないことを意味する。
【0038】
本発明において好適に使用することができる式(2)で示される界面活性剤の具体的な例を以下に示す。
界面活性剤S−1 m+n=7.0(例えば、川研ファインケミカル株式会社製 アセチレノールE70)
界面活性剤S−2 m+n=6.0(例えば、川研ファインケミカル株式会社製 アセチレノールE60)
界面活性剤S−3 m+n=4.0(例えば、川研ファインケミカル株式会社製 アセチレノールE40)
界面活性剤S−4 m+n=3.4(例えば、日信化学工業株式会社製 サーフィノールE440)
式(2)で示される界面活性剤の、エチレンオキサイド基の付加モル数の平均値とは、式(2)で示される界面活性剤1モル当たり、エチレンオキサイド基の繰り返し単位(−CH−CH−O−)が、平均して何モル付加されているかを示す値である。エチレンオキサイド基の付加モル数は、液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)などの一般的な分析手法により知ることができる。
【0039】
式(2)で示される界面活性剤のエチレンオキサイド付加モル数の平均値m+nは4.0以上が好ましく、また、6.0以下が好ましい。つまり、4.0≦m+n≦6.0であることが好ましい。4.0未満であると、界面活性剤の水に対する溶解度が低くなり析出しやすくなるため、耐久試験での析出物の発生を十分に抑制することができない場合がある。6.0を超えると、所望の表面張力にするための添加量が増え、間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。
【0040】
本発明においては、式(2)で示される界面活性剤における、3.0≦m+n≦7.0の範囲にあるエチレンオキサイド基の付加モル数が、全てのエチレンオキサイド基の付加モル数に対して占める割合が55%以上であることが特に好ましい。55%未満であると、0≦m+n≦2.0又は8.0≦m+nの領域の界面活性剤が多く含まれることになる。つまり、水に対する溶解度の低い界面活性剤の含有量が多い、または、所望の表面張力にするために界面活性剤の添加量が多くなることになり、耐久試験での吐出性の低下と間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。
【0041】
なお、式(2)で示される界面活性剤として、エチレンオキサイド基の付加モル数の平均値(m+n)の値が互いに異なる複数の化合物を用いる場合、エチレンオキサイド基の付加モル数の平均値(m+n)の値はそれらの化合物の含有量に応じて決定される。そして、エチレンオキサイド基の付加モル数の平均値が分かっている化合物を組み合わせることで、形式上、本願所定の付加モル数の平均値の範囲を満たすことは可能である。しかしながら、本発明においては付加モル数が小さい界面活性剤をあまり多くインクに含有させると、耐久試験での吐出性の低下という課題に対して、本発明の効果が十分には得られない場合があるため、好ましくない。
【0042】
インク中の式(2)で示される界面活性剤の含有量B(質量%)は、インクの表面張力を所望の値にするのに必要な含有量にすることが好ましい。式(2)で示される界面活性剤におけるエチレンオキサイド基の付加モル数の平均値(m+n)によって含有量の好ましい範囲を決めればよい。具体的には、インク中の式(2)で示される界面活性剤の含有量B(質量%)が、インク全質量を基準として、0.1質量%以上2.0質量%以下が信頼性の観点から好ましく、この範囲に入るようにm+nの値を選択することが好ましい。
【0043】
式(2)で示される界面活性剤の含有量B質量%と式(1)で示される色材の含有量A質量%の比率などは、使用するアルカンジオール化合物やその他の水性媒体の種類に応じて適宜変更し、所望の表面張力となるように決定すればよい。本発明においては、特に好ましい界面活性剤と色材の比率は、アルカンジオール化合物(詳細は後述)で、特に主鎖両端にヒドロキシ基を有するアルカンジオール化合物を使用する場合は、0.15≦B/A≦0.4である。B/Aの値が0.15未満であると、所望の表面張力にするのに十分な界面活性剤が含有されていないため、形成した画像の特性などにおいて課題が発生する場合がある。一方、B/Aの値が0.4を超えると、界面活性剤が多いため、耐久試験での吐出性の低下が十分に抑制できない場合や間欠吐出安定性が十分得られない場合がある。
【0044】
〔アルカンジオール化合物〕
本発明のインクには、アルカンジオール化合物を用いる。本発明においては、耐久試験での析出物の発生の抑制と間欠吐出安定性の向上を両立させるためには、インク中のアルカンジオール化合物の含有量C(質量%)が、インク全質量を基準として、2.0質量%以上10.0質量%以下とすることが好ましい。2.0質量%未満であると、耐久試験を行うと微量の析出物が発生する場合があり、10.0質量%を超えると、間欠吐出安定性が分に得られない場合がある。
【0045】
本発明において好適に使用することができるアルカンジオール化合物としては、具体的には、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール,3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ジエチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2,4,6−トリメチル−1,7−ヘプタンジオール、1,2,6−トリメチル−1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,6−ジメチル−1,8−オクタンジオールなどが挙げられる。
【0046】
さらに、本発明においてより好適なアルカンジオール化合物としては、主鎖の炭素数が5以上6以下であり、かつ、主鎖両端にヒドロキシ基を有する化合物が挙げられる。この理由としては、主鎖の炭素数が5未満であると、式(2)で示される界面活性剤に対する良溶媒としての作用が低くなり、耐久試験での析出物の発生を十分に抑制することができない場合がある。また、アルカンジオール化合物の主鎖の炭素数が多くなると、耐久試験での析出物の発生を十分に抑制することができない場合があるため、主鎖の炭素数が6以下であることが好ましい。一方、アルカンジオール化合物であっても、主鎖両端にヒドロキシ基を有する化合物ではない場合(例えば、1,2−ヘキサンジオール)、間欠吐出安定性を向上する効果が十分に得られない場合がある。
【0047】
本発明においては、アルカンジオール化合物として、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを使用することが好ましい。これらの化合物を用いることで、耐久試験での析出物の発生をより効果的に抑制することができ、また、間欠吐出安定性もより優れたレベルとすることができる。
【0048】
〔水性媒体〕
本発明のインクには、上述の通り、水溶性有機溶剤として、特定のアルカンジオールを用いることが必要である。そして、本発明のインクには、このような条件を満たせば、アルカンジオールの他にも、一般のインクジェット用インクに用いるような、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下、さらには15.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。なお、この水溶性有機溶剤の含有量は、上述の特定のアルカンジオールの含有量を含む値である。
【0049】
水溶性有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、その他の含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに一般的に用いることができるものであれば、特に制限はなく、従来公知のいずれのものも用いることができる。また、水溶性有機溶剤は、1種類又は2種類以上の水溶性有機溶剤を組み合わせてインクに含有させることができる。
【0050】
〔その他の添加剤〕
本発明のインクには、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体類、糖類及びその誘導体などの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。さらに、本発明のインクには必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性ポリマーなど、種々の添加剤を含有させてもよい。
【0051】
〔インクの物性〕
本発明のインクの25℃における表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下、さらには20mN/m以上60mN/m以下特には30mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。本発明のインクは、その表面張力を上記した範囲内とすることで、インクジェット方式に適用した際に吐出口近傍の濡れによる記録ヨレ(インクの着弾点のズレ)などの発生を有効に抑制することが可能となる。インクの表面張力の調整は、インク中における界面活性剤などの含有量を適宜決定することで行うことができる。また、本発明のインクは、インクジェット方式の記録ヘッドの吐出口から吐出する際に良好な吐出特性が得られるよう、所望の粘度やpHに調整することが好ましい。
【0052】
〔インクカートリッジ〕
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を有し、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のインクが収容されてなるものである。本発明においては、1種のインクを収容するインクカートリッジにインクを収容しても、また、1のインクカートリッジで、本発明のインクとその他のインクを収容するものとしてもよい。
【0053】
インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、負圧によりインクを含浸した状態で保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室、及び、負圧発生部材により含浸されない状態でインクを収容するインク収容室で構成されるものが挙げられる。または、上記のようなインク収容室を持たず、インクの全量を負圧発生部材により含浸した状態で保持する構成や、負圧発生部材を持たず、インクの全量を負圧発生部材により含浸されない状態で収容する構成のインク収容部としてもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
【0054】
〔インクジェット記録方法〕
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドの吐出口から上記で説明した本発明のインクを吐出して、記録媒体に画像を形成する方法である。また、インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式やインクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられ、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は、公知のものとすればよい。
【実施例】
【0055】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、特に指定のない限り、「%」とあるものは、質量基準である。
【0056】
〔インクの調製〕
下記表1〜3の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌して溶解した後、ポアサイズが0.2μmであるミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、実施例1〜22、比較例1〜5の各インクを調製した。例示化合物M1及びM2は、特許文献1の記載を参考に合成したものを使用した。
【0057】
また、下記表1〜3において、アセチレノールE00、E40、E60、E70、E100は川研ファインケミカル株式会社製のアセチレングリコール系の界面活性剤である。またサーフィノール440は日信化学工業株式会社製のアセチレングリコール系の界面活性剤である。アセチレノールE00、E40、E60、E70、E100、及びサーフィノール440に含まれる界面活性剤のエチレンオキサイドの付加モル数の平均値(m+n)は、それぞれ、0.0、4.0、6.0、7.0、10.0、及び3.4であった。また、アセチレノールE00を0.18%、アセチレノールE100を0.81%ずつ混合して使用する場合、界面活性剤の混合物におけるエチレンオキサイドの付加モル数の平均値は6.0となった。
【0058】
各インクにおける界面活性剤の含有量は、インクの表面張力が35.0±1.0mN/mになるように調整した。表1〜3の下段に各インクの表面張力の値、A、B、C、(A+B)/C、及びB/Aの値もあわせて記載する。なお、表面張力は温度25℃、相対湿度50%RHの環境下における値であり、自動表面張力計(CBVP−Z型;協和界面科学製)を用いて測定した。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
〔評価〕
(耐久試験)
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、得られたインクカートリッジをそれぞれ、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置(商品名:BJ F890;キヤノン製)を改造したものに搭載した。そして、3.0×10回の電気パルスを付与し、インクを吐出した。その後、ノズルチェックパターンを記録し、得られたノズルチェックパターンを目視で確認することと、記録ヘッドの吐出口を光学顕微鏡で観察することにより、吐出口の近傍に析出物が発生したか否かを評価した。評価は以下の基準で行い、得られた結果を表4に示した。本発明においては、下記の評価基準でA及びBが十分な性能を有するレベルであり、Aが優れているレベル、Cが許容できないレベルとした。
A:ノズルチェックパターンに乱れがなく、吐出口の近傍に析出物生じていなかった
B:ノズルチェックパターンに乱れはないが、吐出口の近傍に析出物が少量生じていた
C:ノズルチェックパターンも乱れ、吐出口の近傍に析出物が多量に生じていた。
【0063】
(間欠吐出安定性)
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、得られたインクカートリッジをそれぞれ、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置(商品名:PIXUS MP990;キヤノン製)を改造したものに搭載した。次に、インクジェット記録装置を、温度15℃、相対湿度10%の環境下で、記録ヘッドの吐出口の近傍に存在するインクの温度が上昇しないようにしたまま、5時間以上吐出を行わないで放置した後、同じ環境下でインクを吐出させた。そして、吐出を5秒間休止した後、記録ヘッドの回復動作などを行わないまま、インクを吐出し、記録媒体(商品名:HR−101;キヤノン製)に縦罫線を記録した。得られた画像を目視で確認して、間欠吐出安定性の評価を行った。評価は以下の基準で行い、得られた結果を表4に示した。本発明においては、下記の評価基準でA及びBが十分な性能を有するレベルであり、Aが優れているレベル、Cが許容できないレベルとした。
A:罫線の乱れがなかった
B:罫線がやや乱れていた
C:罫線が大きく乱れていた。
【0064】
【表4】

【0065】
(比較例6)
比較例2の例示化合物M1を下記の構造式で示される比較化合物に、また、アセチレノールE100を0.4%、水を76.1%に変更する以外は比較例2と同様にしてインクを調製した。なお、この比較化合物は本発明における式(1)で示される色材と比べて、アセチレングリコール系の界面活性剤によりインクの表面張力を下げやすいため、アセチレノールE100を0.4%使用するだけで適切な表面張力とすることができる。この比較例6のインクについても上記と同様に評価を行ったところ、評価結果は、耐久試験はA、間欠吐出安定性はAとなった。しかし、比較例6のインクは、他の実施例及び比較例のインクと比べると、発色性及び画像保存性が劣っていた。なお、下記の比較化合物は遊離酸の形で記載する。
【0066】
【化10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される色材を含有するインクジェット用インクであって、
さらに、下記式(2)で示される界面活性剤、及び、アルカンジオール化合物を含有し、
インク全質量を基準とした、前記式(1)で示される色材の含有量A(質量%)、前記式(2)で示される界面活性剤の含有量B質量%、及び、前記アルカンジオール化合物の含有量C質量%が、0<(A+B)/C≦3.0の関係を満たすことを特徴とするインクジェット用インク。
【化1】


(式(1)中、[A]は5員複素環基であり、[B]及び[C]は、CR及びCRであるか、又は、一方が窒素原子で他方がCRであり、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は下記に挙げる群から選ばれるいずれかの置換基である。該置換基の群は、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びスルファモイル基からなり、該置換基の水素原子は置換されていてもよい。また、式中の[D]、[B]及び[C]の一部を構成し得る上記のR及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は下記に挙げる群から選ばれるいずれかの置換基である。該置換基の群は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、及びスルホン酸基からなり、該置換基の水素原子は置換されていてもよく、R及びR、又はR及びRが結合して、5員環又は6員環を形成してもよい。)
【化2】


(式(2)中、m+nは界面活性剤のエチレンオキサイド基の付加モル数の平均値であり、0≦m+n≦8.0である。)
【請求項2】
前記アルカンジオール化合物の含有量C(質量%)が、インク全質量を基準として、2.0質量%以上10.0質量%以下である請求項1に記載のインクジェット用インク。
【請求項3】
前記式(2)中、示される界面活性剤のエチレンオキサイド基の付加モル数の平均値が4.0≦m+n≦6.0である請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
【請求項4】
前記式(2)で示される界面活性剤における、3.0≦m+n≦7.0の範囲にあるエチレンオキサイド基の付加モル数が、全てのエチレンオキサイド基の付加モル数に対して占める割合が55%以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
【請求項5】
前記アルカンジオール化合物が、主鎖の炭素数が5以上6以下であり、かつ、主鎖の両端にヒドロキシ基を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
【請求項6】
前記式(1)で示される色材の含有量A質量%、及び、前記式(2)で示される界面活性剤の含有量B質量%が、0.15≦B/A≦0.4の関係を満たす請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
【請求項7】
インクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジであって、前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項8】
インクをインクジェット方式の記録ヘッドの吐出口から吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。

【公開番号】特開2011−213845(P2011−213845A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82800(P2010−82800)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】