説明

インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置

【課題】高いレベルの耐オゾン性及び耐光性を有し、かつ、高い画像濃度と好ましいニュートラルなブラックの色調を有する画像を与えるインクの提供。
【解決手段】少なくとも第1の色材及び第2の色材の2つの色材を含有し、第1の色材が一般式(I)で表される化合物であり、第2の色材が一般式(II)で表される化合物であるインクジェット用インク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法は、インク小滴を所謂普通紙や光沢紙(インク受容層を有する記録媒体)などの記録媒体に付与して画像を形成する記録方法であり、その低価格化、記録速度の向上により、急速に普及が進んでいる。また、インクジェット記録方法により得られる画像の高画質化が進んだことに加えて、近年におけるデジタルカメラの急速な普及に伴い、銀塩写真に匹敵する画像の出力方法として広く一般的になっている。
【0003】
上記した要求に応えて、近年では、インク滴の極小化や、多色インクの導入に伴う色域の向上などにより、今まで以上に高画質化が進んでいる。しかしその反面で、高画質化を達成するために色材やインクに対する要求はより大きくなり、発色性の向上や、目詰まり、吐出安定性などの信頼性において、従来では考えられなかったより厳しい特性が要求されている。
【0004】
一方で、インクジェット記録方法に特有の問題として、得られた記録物が、画像保存性に劣るものとなりやすいことが挙げられる。一般に、インクジェット記録方法で得られた記録物は、銀塩写真と比較してその画像保存性が低い。具体的には、記録物が、光、湿度、熱、空気中に存在する環境ガスなどに長時間さらされた際に、記録物上の色材が劣化し、画像の色調変化や褪色が発生しやすいといった問題がある。
【0005】
画像保存性の中でも特に、耐オゾン性や耐光性を向上させるために、従来から数多くの提案がなされている。例えば、インクジェット用のインクに用いる色材について、画像の堅牢性、特に耐オゾン性や耐光性を向上するための技術が数多く提案されているが、ユーザーが追及する高レベルの要望を満足させるには至っていない。
【0006】
さらに、近年の用途の拡大によって、記録物を額縁などに入れずに印刷したままの状態で、壁や掲示板などにディスプレイしたいという要望も多くなってきている。これに対し、現在広く用いられているインクによって得られている程度の画像堅牢性では、画像における色材が、空気中の酸化性ガス、特にオゾンによって顕著な褪色を生じ、画像として許容できないレベルにまで劣化(褪色)することが起こる場合がある。また、光による劣化も発生する場合がある。さらに、室内における掲示であっても、太陽光に曝露される環境においては顕著に褪色し、画像として許容できないレベルにまで劣化(褪色)してしまう場合もある。
【0007】
このような問題に対して、耐光性に優れた構造を有する色材を含有するインクを用いることで、画像の耐光性を向上させることに関する種々の提案がなされている。例えば、染料の化学構造を特定することで、堅牢性などの問題を解決することが提案されている(特許文献1参照)。具体的には、アゾ基に直結していない芳香族の共役π電子の数を規定した染料を含有させたインクとすることで、画像の耐光性及び耐オゾン性などの堅牢性、インクの保存安定性、さらには画像の色調をも優れたものにできるとしている。
【0008】
画像の褪色は、インクジェット記録方法に主に用いられる、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各カラーインクのそれぞれで発生するが、特に、ブラックインクで形成した画像の劣化が、画像全体の性能に顕著に影響を与えていることがわかってきた。このブラックインクに求められる性能としては、高い画像濃度、ニュートラルなブラック色調が挙げられるが、高い画像濃度やニュートラルな色調を達成するために、これまでにも様々な提案がなされている。例えば、インクジェット記録方式に広く用いられる代表的な水溶性染料としてアゾ染料があるが、アゾ染料単独では高い画像濃度とニュートラルな色調を両立するのは困難である。
【0009】
上記の解決策として、例えば、複数の染料を組み合わせることで、高い画像濃度とニュートラルな色調の両立を目指した提案もある。例えば、C.I.フードブラック1などの緑味を有する特定の黒色染料と、マゼンタ及び/又はイエロー染料とを共に含有するインクを用いることで、耐光性に優れた画像を与えるインクとすることに関する提案がある(特許文献2参照)。
【0010】
また、テトラキスアゾ染料、及び4,4’−ジニトロスチルベン−2,2’−ジスルホン酸とアミノベンゼンとの縮合化合物とを共に含有するブラックインクについての提案がある(特許文献3参照)。その中で、このような組成とすることで、耐光性及び耐オゾン性に優れた画像形成をすることができるとされている。
【0011】
また、吸収スペクトルにおける吸収極大波長が、それぞれ、長波長側に存在する特定構造の染料と、短波長側に存在する染料とを共に含有するブラックインクが提案されている(特許文献4参照)。その中で、該インクを用いることで、色調、耐光性、及び耐オゾン性に優れた画像を与えるとされている。
【0012】
【特許文献1】特開2005−139427号公報
【特許文献2】特公平8−026263号公報
【特許文献3】特開2005−068416号公報
【特許文献4】特開2006−282795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
先に述べたように、インクジェット記録方法により得られる記録物の耐オゾン性、耐光性に対して要求される性能は、年々高まってきている。しかし、従来から用いられている色材を含有するブラックインクでは、これらの要求を満たす高いレベルの耐オゾン性、耐光性を有する画像を得るには至っていない。さらに、近年、要求されている高い画像濃度、ニュートラルな色調を高い次元で両立するブラックインクを提供できるまでには至っていないのが現状である。例えば、先に挙げた特許文献2乃至4に記載の発明では、前記したように様々な染料を組み合わせて用いることにより、耐オゾン性、耐光性、高い画像濃度、色調を両立させようと試みているが、年々高まる要求性能を全て満たすまでには至っていない。そこで、本発明者らは、ブラックインクに用いる色材について、詳細な検討を行う必要があると考えた。
【0014】
したがって、本発明の目的は、高いレベルの耐オゾン性及び耐光性を有し、かつ、高い画像濃度と好ましいニュートラルなブラックの色調を有する画像を与えるインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記インクを用いることで、堅牢性に優れ、かつ、高い画像濃度とニュートラルなブラック色調の高品位画像を与えるインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、少なくとも、第1の色材及び第2の色材、の2つの色材を含有するインクジェット用インクであって、前記第1の色材が、下記一般式(I)で表される化合物であり、前記第2の色材が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とするインクジェット用インクである。
【0016】

(一般式(I)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
【0017】

(一般式(II)中、[A]は置換されていてもよい芳香族基又は複素環基であり、[B]は下記一般式(1)乃至(5)で表されるいずれかの基であり、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)

(一般式(1)乃至(5)中、R1乃至R9はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、カルボキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アニリノ基及び複素環アミノ基を含むアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル若しくはアリールチオ基、複素環チオ基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホン酸基であり、各基はさらに置換されていてもよい。)
【0018】
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法において、前記インクに、上記構成のインクを用いることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の別の実施態様にかかるインクカートリッジは、インクを収容してなるインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インクが、上記構成のインクであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の別の実施態様にかかる記録ユニットは、インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットにおいて、前記インクが、上記構成のインクであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置において、前記インクが、上記構成のインクであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高いレベルの耐オゾン性及び耐光性を有し、かつ、高い画像濃度と好ましいニュートラルなブラック色調を有する画像形成を可能とするインクが提供される。また、本発明によれば、上記インクを用いることで、堅牢性に優れ、かつ、高い画像濃度とニュートラルなブラック色調の高品位画像を与えるインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、以下の記載において、一般式(I)で表される化合物、及び、一般式(II)で表される化合物は、それぞれ「一般式(I)の化合物」及び「一般式(II)の化合物」と省略して記載することがある。
【0024】
<インク>
以下、本発明にかかるインクジェット用インク(以下、単にインクと呼ぶこともある)を構成する成分などについて詳細に述べる。
【0025】
本発明者らの検討の結果、色材として、特定の構造を有する2種類の化合物を組み合わせて含有してなるインク構成によって、耐オゾン性と耐光性、高い画像濃度、好ましい色調を共に満足する優れた画像が得られることがわかった。また、これらの化合物を特定の質量比率で用いることによって、かかる構成のインクで形成された記録物は、その耐オゾン性と耐光性とが、特に顕著に優れたものになることがわかった。
【0026】
本発明のインクは、下記一般式(I)の化合物を第1の色材として、下記一般式(II)の化合物を第2の色材として含んでなり、これら2種類の色材を組み合わせて用いることを特徴とする。以下、本発明を特徴づけるこれら2種類の色材について詳述する。
【0027】
〔第1の色材:一般式(I)で表される化合物〕
本発明のインクは、下記一般式(I)の化合物を第1の色材(染料)として含有してなる。
【0028】

【0029】
一般式(I)におけるMはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。前記アルカリ金属としては、具体的には、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどが挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、具体的には、アセトアミド、ベンズアミド、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、及びフェニルアミノなどが挙げられる。
【0030】
一般式(I)の化合物は、後述する一般式(II)の化合物と混合したときに、これらの化合物同士が相互に作用して混合された状態になっていることが好ましい。このことを達成するためには、例えば、化合物の構造中におけるユニットが、例えば、それぞれ含窒素へテロ環を有することや、それぞれ親水性基を有するような、アゾ染料の組み合わせなどが挙げられる。このような特徴を有する複数の色材を併用することで、インクが付与された記録媒体中においてこれらの色材は、離れて存在するのではなく、互いに近い距離に存在するようになる。このため、一方の色材の選択的な劣化や褪色が抑制されるものと考えられる。
【0031】
一般式(I)の化合物は下記のように合成することができる。
[中間体1:2,5−ジ−(2−アセトキシエトキシ)アニリンの合成]
下記の(1)〜(3)の手順にしたがって、中間体1である2,5−ジ−(2−アセトキシエトキシ)アニリンを合成した。
(1)生成物1:1,4−ビス−(2−アセトキシエトキシ)ヒドロキノンの合成
まず、ヒドロキノンビス−(2−ヒドロキシエチル)エーテル(179g)、酢酸(100mL)及び無水酢酸(300mL)を撹拌し、還流しながら一晩加熱した。これを室温まで冷却し、水(2L)の中に入れた後、生成物をろ過することにより単離し、水で洗浄し、乾燥した。その後、エタノールで再結晶化させて212gの、上記生成物1を得た。
【0032】
(2)生成物2:2−ニトロ−1,4−ビス−(2−アセトキシエトキシ)ヒドロキノンの合成
上記で得られた生成物1(211.5g)を、酢酸(1800mL)に溶解させた。これに、硝酸(51.9mL)と酢酸(200mL)との混合物を、温度を20℃未満に保って20分間かけて添加した。室温で一晩撹拌した後、この溶液を水(9L)の中に入れ、生成物をろ過することにより単離し、水で洗浄した。その後、エタノールで再結晶化させて209gの、上記生成物2を得た。
【0033】
(3)中間体1:2,5−ジ−(2−アセトキシエトキシ)アニリンの合成
上記で得た生成物2の2−ニトロ−1,4−ビス−(2−アセトキシエトキシ)ヒドロキノン(115g)を、50℃でエタノールに溶解させ、パラジウム触媒(2g、5%Pd/C)の存在下で、水素還元した。水素の吸収が止まったのち、溶液を篩にかけて触媒を除去した。その後、ろ液を室温まで冷却して、結晶性固体をろ過により単離し、真空下で乾燥させて90gの、中間体1を得た。
【0034】
(4)[モノアゾ生成物:モノアゾ−4−(4−アセチルアミノ−2−スルホ−3−フェニルアゾ)−2,5−ジ−(2−アセトキシエトキシ)アニリンの合成]
下記の構造を有するモノアゾ生成物を、下記のようにして合成した。

水(2.5L)の中に4−アミノ−3−スルホアセトアニリド(174g;0.6モル)を加え、pHを9に調整して撹拌し、これに亜硝酸ナトリウム(45.54g;0.66モル)を加えた。この溶液を、濃塩酸(180mL)を含む氷水に、撹拌下で加えた。さらに、1.5時間撹拌した後、10℃未満において、過剰の亜硝酸をスルファミン酸の添加によって不活性化させた。アセトン(1000mL)に、2,5−ジ−(2−アセトキシエトキシ)アニリン(178.2g;0.6モル)を溶解させ、この溶液を上記のジアゾニウム塩懸濁液に0乃至10℃の状態で加え、続いてピリジン(30mL)をゆっくり加えた。室温で一晩撹拌した後、沈殿した生成物をろ別し、水で洗浄して、ウェットケーキを得た。このウェットケーキをアセトン中で撹拌、ろ過して、その後、50℃で乾燥(50℃)させ、上記モノアゾ生成物である橙色の固体(210g;64%)を得た。
【0035】
(5)[中間体2:ビスアゾ中間体の合成]
下記の構造を有するビスアゾ中間体を、(4)で得たモノアゾ生成物を用いて下記のようにして合成した。

水(300mL)に、(4)で得られたモノアゾ生成物(24.75g;0.05モル)を撹拌下、pHを10に調整して溶解させ、これに亜硝酸ナトリウム(6.90g;0.1モル)及びアセトン(200mL)を加えた。0.10M塩酸(70mL)中に、室温、撹拌下で、上記で得られた混合物を加えた。さらに1時間撹拌した後、過剰の亜硝酸をスルファミン酸の添加によって不活性化させた。次に、クロモトロープ酸(20.00g;0.05モル)中に、10℃未満を保ち、かつ、2規定の水酸化リチウム水溶液により混合液のpHを7乃至8に保ちながら、撹拌下で、上記で得られたジアゾニウム塩を加えた。これを一晩撹拌した後、25%(重量/容量)の塩化リチウムの添加によって、生成物を沈殿させた。これをろ過した後、30%塩化リチウム溶液で洗浄してウェットケーキを得た。このウェットケーキを水(700mL)中に懸濁させ、水酸化リチウム水和物(25.00g;0.60モル)を加え、溶液を70℃で加熱した。3時間後に、この溶液に濃塩酸を添加することにより、液体のpHを6乃至7まで中和した。これに、20%塩化リチウムをゆっくり添加することによって生成物を沈殿させた。これをろ過した後、25%(重量/容量)の塩化リチウム溶液で洗浄してウェットケーキを得た。このウェットケーキを水に溶解し、次いで低導電率になるまで透析した。この溶液を蒸発乾固(70℃)させて、上記構造のビスアゾ中間体である黒色粉末(25.5g;67%)を得た。
【0036】
(6)[Mがナトリウムである一般式(I)の化合物の合成]
水(160mL)中に、(5)で得られたアミノジアゾ化合物(0.015モル)を加え、pHを9に調整して撹拌し、さらに、カルソレン油(1mL)及び亜硝酸ナトリウム(1.20g;0.0174モル)を加えた。得られた溶液を撹拌し、次いで濃塩酸(5mL)を含む氷水(100g)中に0乃至10℃で、撹拌下で加えた。さらに0乃至10℃で1時間撹拌した後、スルファミン酸を添加することにより、過剰の亜硝酸をスルファミン酸の添加によって不活性化させた。得られたジアゾニウム塩を、1−エチル−1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−3−ピリジンカーボンアミド(3.10g、0.158モル)を加えた水(100mL)中に、0乃至10℃として撹拌下で加えた。次いで、水酸化ナトリウム水溶液を添加することで、液体のpHを7に調整した。一晩撹拌した後、この溶液をアセトン(3L)に撹拌下で注加、ろ過し、そしてアセトンで洗浄して固体を得た。得られた固体を水に溶解し、低導電率になるまで透析した。その後、液体を80℃で蒸発させて、Mがナトリウムの一般式(I)の化合物である8.9gの黒色粉末(収率61%;εmax81.232、λmax601nm)を得た。
【0037】
〔第2の色材:一般式(II)で表される化合物〕
本発明のインクは、下記一般式(II)の化合物を、第2の色材として含有することが必要である。

(一般式(II)中、[A]は置換されていてもよい芳香族基又は複素環基であり、[B]は下記一般式(1)乃至(5)で表されるいずれかの基であり、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
【0038】

(一般式(1)乃至(5)中、R1乃至R9はそれぞれ独立に、下記の基の群から選択される。水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基。カルボキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基。アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基。アニリノ基及び複素環アミノ基を含むアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基。ニトロ基、アルキル若しくはアリールチオ基、複素環チオ基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホン酸基。上記した各基はさらに置換されていてもよい。)
【0039】
一般式(II)における[A]は、置換されていてもよい芳香族基又は複素環基であり、具体的には以下の置換基とすることができる。ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、及びベンゾイソチアゾール環などが挙げられる。上記の中でも特に、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、又はベンゾチアゾール環が好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環がより好ましい。
【0040】
一般式(II)における[B]は、先に示した一般式(1)乃至(5)で表されるいずれかの基である。一般式(1)乃至(5)におけるR1乃至R9はそれぞれ独立に、下記の基の群から選択される。水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基。カルボキシ基。カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基。アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基。アニリノ基及び複素環アミノ基を含むアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基。ニトロ基、アルキル若しくはアリールチオ基、複素環チオ基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホン酸基。上記した各基はさらに置換されていてもよい。これらについて詳述する。
【0041】
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子などが挙げられ、中でも、塩素原子又は臭素原子が好ましく、特には、塩素原子が好ましい。
【0042】
脂肪族基としては、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、及び置換アラルキル基が挙げられる。これらの脂肪族基は分岐を有していてもよく、又は環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素数は1乃至20であることが好ましく、1乃至16であることがより好ましい。アラルキル基及び置換アラルキル基のアリール部分は、フェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルがより好ましい。脂肪族基としては、具体的には、以下の基が挙げられる。メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、シクロヘキシル、ベンジル、2−フェネチル、ビニル、及びアリルなどが挙げられる。
【0043】
芳香族基としては、1価又は2価のアリール基及び置換アリール基が挙げられる。1価の芳香族基としては、アリール基及び置換アリール基が挙げられる。アリール基は、フェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルがより好ましい。1価の芳香族基の炭素数は6乃至20であることが好ましく、6乃至16がより好ましい。1価の芳香族基としては、具体的には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが挙げられる。2価の芳香族基としては、これらの1価の芳香族基を2価にしたものが挙げられ、具体的には、フェニレン、p−トリレン、p−メトキシフェニレン、o−クロロフェニレン及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニレン、及びナフチレンなどが挙げられる。
【0044】
複素環基としては、置換基を有する複素環基及び無置換の複素環基が挙げられる。複素環に、脂肪族環、芳香族環、又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員環又は6員環の複素環基が好ましく、複素環のヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子が挙げられる。置換基としては、具体的には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、及びイオン性親水性基などが挙げられる。1価の複素環基としては、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、及び2−フリル基などが挙げられる。2価の複素環基としては、前記1価の複素環基中の水素原子を取り除いて結合手とした基が挙げられる。
【0045】
カルバモイル基としては、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が挙げられる。置換基としては、具体的には、アルキル基などが挙げられる。カルバモイル基としては、具体的には、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が挙げられる。
【0046】
アルコキシカルボニル基としては、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、炭素数2乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、具体的には、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が挙げられる。
【0047】
アリールオキシカルボニル基としては、置換基を有するアリールオキシカルボニル基及び無置換のアリールオキシカルボニル基が挙げられる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素数7乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。アリールオキシカルボニル基としては、具体的には、フェノキシカルボニル基が挙げられる。
【0048】
複素環オキシカルボニル基としては、置換基を有する複素環オキシカボニル基及び無置換の複素環オキシカルボニル基が挙げられる。複素環オキシカルボニル基としては、炭素数2乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。複素環オキシカルボニル基としては、具体的には、2−ピリジルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0049】
アシル基としては、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が挙げられる。アシル基としては、炭素数1乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。アシル基としては、具体的には、アセチル基及びベンゾイル基が挙げられる。
【0050】
アルコキシ基としては、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、アルコキシ基、ヒドロキシ基、及びイオン性親水性基が挙げられる。アルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、及び3−カルボキシプロポキシ基が挙げられる。
【0051】
アリールオキシ基としては、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が挙げられる。アリールオキシ基としては、炭素数6乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、アルコキシ基及びイオン性親水性基が挙げられる。アリールオキシ基としては、具体的には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、及びo−メトキシフェノキシ基が挙げられる。
【0052】
複素環オキシ基としては、置換基を有する複素環オキシ基及び無置換の複素環オキシ基が挙げられる。複素環オキシ基としては、炭素数2乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、アルキル基、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が挙げられる。複素環オキシ基としては、具体的には、3−ピリジルオキシ基、及び3−チエニルオキシ基が挙げられる。
【0053】
シリルオキシ基としては、炭素数1乃至20の脂肪族基、及び芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。シリルオキシ基としては、具体的には、トリメチルシリルオキシ、及びジフェニルメチルシリルオキシが挙げられる。
【0054】
アシルオキシ基としては、置換基を有するアシルオキシ基及び無置換のアシルオキシ基が挙げられる。アシルオキシ基としては、炭素数1乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。アシルオキシ基としては、具体的には、アセトキシ基、及びベンゾイルオキシ基が挙げられる。
【0055】
カルバモイルオキシ基としては、置換基を有するカルバモイルオキシ基及び無置換のカルバモイルオキシ基が挙げられる。置換基としては、具体的には、アルキル基が挙げられる。カルバモイルオキシ基としては、具体的には、N−メチルカルバモイルオキシ基が挙げられる。
【0056】
アルコキシカルボニルオキシ基としては、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基及び無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が挙げられる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素数2乃至20のものが好ましい。アルコキシカルボニルオキシ基としては、具体的には、メトキシカルボニルオキシ基、及びイソプロポキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0057】
アリールオキシカルボニルオキシ基としては、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基及び無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が挙げられる。アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素数7乃至20のものが好ましい。アリールオキシカルボニルオキシ基としては、具体的には、フェノキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0058】
アミノ基としては、アルキル基、アリール基、又は複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基、及び複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキルアミノ基としては、炭素数1乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。アルキルアミノ基としては、具体的には、メチルアミノ基、及びジエチルアミノ基が挙げられる。アリールアミノ基としては、置換基を有するアリールアミノ基及び無置換のアリールアミノ基が挙げられる。アリールアミノ基としては、炭素数6乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が挙げられる。アリールアミノ基としては、具体的には、アニリノ基、及び2−クロロフェニルアミノ基が挙げられる。複素環アミノ基としては、置換基を有する複素環アミノ基及び無置換の複素環アミノ基が挙げられる。複素環アミノ基としては、炭素数2乃至20個のものが好ましい。置換基としては、具体的には、アルキル基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が挙げられる。
【0059】
アシルアミノ基としては、置換基を有するアシルアミノ基及び無置換基のアシルアミノ基が挙げられる。アシルアミノ基としては、炭素数2乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。アシルアミノ基としては、具体的には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノ基、及び3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が挙げられる。
【0060】
ウレイド基としては、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が挙げられる。ウレイド基としては、炭素数1乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、アルキル基及びアリール基が挙げられる。ウレイド基としては、具体的には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、及び3−フェニルウレイド基が挙げられる。
【0061】
スルファモイルアミノ基としては、置換基を有するスルファモイルアミノ基及び無置換のスルファモイルアミノ基が挙げられる。置換基としては、具体的には、アルキル基が挙げられる。スルファモイルアミノ基としては、具体的には、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が挙げられる。
【0062】
アルコキシカルボニルアミノ基としては、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が挙げられる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素数2乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、具体的には、エトキシカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0063】
アリールオキシカルボニルアミノ基としては、置換基を有するアリールオキシカボニルアミノ基及び無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が挙げられる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素数7乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、具体的には、フェノキシカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0064】
アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基としては、置換基を有するアルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、及び無置換のアルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基が挙げられる。スルホニルアミノ基としては、炭素数1乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。スルホニルアミノ基としては、具体的には、メチルスルホニルアミノ基、N−フェニル−メチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、及び3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ基が挙げられる。
【0065】
複素環スルホニルアミノ基としては、置換基を有する複素環スルホニルアミノ基及び無置換の複素環スルホニルアミノ基が挙げられる。複素環スルホニルアミノ基としては、炭素数1乃至12のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。複素環スルホニルアミノ基としては、具体的には、2−チオフェンスルホニルアミノ基、及び3−ピリジンスルホニルアミノ基が挙げられる。
【0066】
アルキル若しくはアリールチオ基としては、置換基を有するアルキル若しくはアリールチオ基及び無置換のアルキル若しくはアリールチオ基が挙げられる。アルキル若しくはアリールチオ基としては、炭素数1乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。アルキル若しくはアリールチオ基としては、具体的には、メチルチオ基、及びフェニルチオ基が挙げられる。
【0067】
複素環チオ基としては、置換基を有する複素環チオ基、及び無置換の複素環チオ基が挙げられる。複素環チオ基としては、炭素数1乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。複素環チオ基としては、具体的には、2−ピリジルチオ基が挙げられる。
【0068】
アルキル若しくはアリールスルホニル基としては、置換基を有するアルキル若しくはアリールスルホニル基、及び無置換のアルキル若しくはアリールスルホニル基が挙げられる。アルキル若しくはアリールスルホニル基としては、具体的には、メチルスルホニル基、及びフェニルスルホニル基が挙げられる。
【0069】
複素環スルホニル基としては、置換基を有する複素環スルホニル基及び無置換の複素環スルホニル基が挙げられる。複素環スルホニル基としては、炭素数1乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。複素環スルホニル基としては、具体的には、2−チオフェンスルホニル基、3−ピリジンスルホニル基が挙げられる。
【0070】
アルキル若しくはアリールスルフィニル基としては、置換基を有するアルキル若しくはアリールスルフィニル基、及び無置換のアルキル若しくはアリールスルフィニル基が挙げられる。アルキル若しくはアリールスルフィニル基としては、具体的には、メチルスルフィニル基及びフェニルスルフィニル基が挙げられる。
【0071】
複素環スルフィニル基としては、置換基を有する複素環スルフィニル基及び無置換の複素環スルフィニル基が挙げられる。複素環スルフィニル基としては、炭素数1乃至20のものが好ましい。置換基としては、具体的には、イオン性親水性基が挙げられる。複素環スルフィニル基としては、具体的には、4−ピリジンスルフィニル基が挙げられる。
【0072】
スルファモイル基としては、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が挙げられる。置換基としては、具体的には、アルキル基が挙げられる。スルファモイル基としては、具体的には、ジメチルスルファモイル基、及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が挙げられる。
【0073】
一般式(II)におけるMはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。前記アルカリ金属としては、具体的には、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどが挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、具体的には、アセトアミド、ベンズアミド、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、及びフェニルアミノなどが挙げられる。
【0074】
本発明で用いる一般式(II)の化合物においては、[A]が置換されていてもよいナフチル基であり、[B]が上記一般式(2)で表される基であり、さらに一般式(2)におけるR3がアリール基であることが好ましい。アリール基としては、具体的には、以下に挙げるものが好ましい。フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基など。また、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基など。また、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基など。また、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基など。また、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基など。また、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基など。上記の中でも特に、フェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−ピリジル基、4−ピリジル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが好ましい。
【0075】
前記一般式(II)の化合物は、水を溶媒として測定した吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)が590nm以上620nm以下であることが好ましい。
【0076】
前記一般式(II)の化合物の好ましい具体例としては、下記の例示化合物II−1〜II−12が挙げられる。なお、本発明は、前記一般式(II)の構造に包含されるものであれば、下記の例示化合物に限られるものではない。本発明においては、下記の例示化合物の中でも、特に、例示化合物II−3、II−5、II−6、II−8、II−9、II−10、II−11、及びII−12を用いることが好ましい。さらには、例示化合物II−3、II−5、及びII−10を用いることがより好ましい。
【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】

【0082】

【0083】

【0084】

【0085】

【0086】

【0087】

【0088】

【0089】
〔色材の検証方法〕
本発明で用いる色材がインク中に含まれているか否かの検証には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた下記(1)〜(3)の検証方法が適用できる。
(1)ピークの保持時間
(2)(1)のピークについての極大吸収波長
(3)(1)のピークについてのマススペクトルのM/Z(posi)、M/Z(nega)
【0090】
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は、以下に示す通りである。先ず、純水で約1,000倍に希釈した液体(インク)を調製し、測定用サンプルとした。そして、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーでの分析を行い、ピークの保持時間(retention time)、及び、ピークの極大吸収波長を測定した。
・カラム:SunFire C18(日本ウォーターズ製)2.1mm×150mm
・カラム温度:40℃
・流速:0.2mL/min
・PDA:200nm〜700nm
移動相及びグラジエント条件:表1
【0091】

【0092】
また、マススペクトルの分析条件は以下に示す通りである。得られたピークについて、下記の条件でマススペクトルを測定し、最も強く検出されたM/Zをposi、negaそれぞれに対して測定する。
・イオン化法
・ESI
キャピラリ電圧:3.5kV
脱溶媒ガス:300℃
イオン源温度:120℃
・検出器
posi:40V 200〜1500amu/0.9sec
nega:40V 200〜1500amu/0.9sec
【0093】
上記した方法及び条件下で、それぞれの色材の代表例として、第1の色材である一般式(I)の化合物と、第2の色材の具体例である例示化合物II−5について測定を行った。その結果、得られた保持時間、極大吸収波長、M/Z(posi)、M/Z(nega)の値を表3に示した。未知のインクについて、上記したと同様の方法及び条件下で測定を行って、表2に示す値に該当する場合、本発明において用いる化合物に該当する化合物を含有しているものと判断できる。
【0094】

【0095】
〔色材の含有量〕
インク中の第1の色材(一般式(I)の化合物)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の第2の色材(一般式(II)の化合物)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
【0096】
インク中の第1の色材(一般式(I)の化合物)と第2の色材(一般式(II)の化合物)との含有量の合計(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。さらには、前記含有量の合計(質量%)が、0.5質量%以上10.0質量%以下であることが特に好ましい。含有量の合計が0.1質量%未満であると、耐オゾン性、耐光性、及び画像濃度が十分に得られない場合があり、含有量の合計が20.0質量%を超えると、耐固着性などのインクジェット特性が得られない場合がある。
【0097】
本発明のインクは、先に説明した第1の色材(一般式(I)の化合物)と、第2の色材(一般式(II)の化合物)の両方を含有してなるが、その含有比率を特定の範囲内とすることが好ましい。具体的には、インク全質量を基準とした第1の色材の含有量(質量%)は、前記第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率(第1の色材/第2の色材)で、0.1以上5.0以下であることが好ましい。本発明者らの検討の結果、第1の色材と第2の色材とを併用した場合、これらの質量比率と、画像における、耐オゾン性、耐光性、画像濃度とには相関があることがわかった。さらに、画像の耐オゾン性、耐光性、画像濃度を向上する効果を特に顕著に得ることができるのは、含有量の質量比率が上記範囲にある場合であることがわかった。インクの設計をこのようにすることで、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物がそれぞれに有する耐オゾン性から、これらを組み合わせた場合に予測される性能をはるかに上回る特に優れた耐オゾン性、耐光性、画像濃度を安定して得ることができる。また、含有量の質量比率を上記範囲とすることで、ブラックインクとして好ましい色調をも得ることができる。前記質量比率が5.0を超えると、発色性に優れる一般式(I)の化合物の影響が大きいため画像濃度は高くなるが、十分な耐オゾン性及び耐光性が得られない場合がある。また、色調に関しても、一般式(I)の化合物の影響により、記録デューティを変化させた画像、例えば、階調性を有する画像などにおいて、色の変動が大きくなるため、ブラックインクに求められるニュートラルな色調が得られない場合がある。一方、前記質量比率が0.1未満であると、一般式(II)の化合物が有する耐オゾン性及び耐光性を超える性能は得られない場合がある。つまり、本発明においては、第1の色材及び第2の色材を特定の質量比率で併用することで、予測されるレベルをはるかに超えた画像の耐オゾン性と、ブラックインクとして好ましい色調とを両立することができる。本発明において、より好ましい第1の色材の含有量(質量%)と第2の色材の含有量(質量%)の質量比率(第1の色材/第2の色材)は、0.5以上2.0以下である。
【0098】
なお、本発明におけるブラックインクとして好ましい色調、すなわち、ニュートラルであり、好ましい画像を与える色調とは、具体的には、以下のことを意味する。ブラックインクを用いて記録デューティを100%として形成した画像について、CIE(国際照明委員会)により規定されたL***表示系におけるa*及びb*を測定する。そして、得られたa*及びb*の値が、−10≦a*≦10かつ−10≦b*≦10の範囲にあるもの、より好適には−5≦a*≦5かつ−5≦b*≦5の範囲にあるものを、好ましい色調としている。なお、前記a*及びb*の値は、例えば、分光光度計(商品名:Spectrolino;Gretag Macbeth製)を用いて測定することができる。勿論、本発明はこれに限られるものではない。
【0099】
〔耐オゾン性及び耐光性が向上するメカニズム〕
上記で述べたように、第1の色材及び第2の色材を組み合わせて用いることで、相乗効果が発揮され、予測されるレベルをはるかに超えて画像の耐オゾン性及び耐光性が向上するメカニズムを、本発明者らは以下のように推測している。
【0100】
本発明者らの検討の結果、本発明における第1の色材と第2の色材のようにそれぞれの色材の構造が近いことで、本発明の効果が得られることを見出した。具体的には、これらの色材の構造中に、類似のユニット、例えば、互いにヘテロ環を有するユニットを有し、かつ水素結合性を有する基、例えば、親水基をそれぞれ有する場合に耐オゾン性、耐光性と高い画像濃度を両立させることが可能になることを見出した。このような効果が得られるメカニズムは明確には定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。
【0101】
構造中に類似のユニット、例えば、互いにヘテロ環を有するユニットを有し、かつ、水素結合性を有する基を持つような色材同士を組み合わせると、それらの色材はゆるやかに相互作用し、インク中で色材同士が接近した状態で存在し得る。また、そのような状態は、インクが付与された記録媒体中でも維持されていると考えられる。その結果、色材同士が記録媒体中で分散した(離れた)状態で存在することなく、ある凝集状態を保っていると考えられる。その結果、オゾンガスに曝露された場合でも、凝集した色材の表面付近は劣化するが、内部に存在している色材は劣化を抑制され発色を保つ、すなわち、オゾンガス曝露後に色材が劣化せずに残存する確率が高くなると考えている。また、この凝集状態の形成の効果により、記録媒体の表面近傍、つまり浅い位置に色材が存在するため、高い画像濃度も同時に達成することができる。さらに、下記の理由から、第1の色材と第2の色材とを組み合わせて用いる本発明のインクの構成が、より好ましい。すなわち、可視光領域のより短波長側に吸収を有する第1の色材と、より長波長側に吸収を有する第2の色材とを組み合わせて使用することで、可視光領域にフラットな吸収を有する好ましいブラックインクを得ることができる。
【0102】
一方、上記のような相互作用による凝集状態を形成できない色材を選択した場合、色材は、記録媒体中で深さ方向に分布を持った形で存在している。この状態でオゾンガスに曝露されることにより、個々の色材が劣化しやすくなる。また、上記の状態で光に曝露された場合は、記録媒体のより深い位置にある色材は、光がそこまで到達する前に記録媒体そのものにより散乱や吸収を受け、光の強度が落ちるため劣化しにくくなるが、より浅い位置に存在している色材は劣化しやすい状態になる。その結果、一方の色材が選択的に劣化するためブラックインクとしてのカラーバランスが崩れると考えられる。
【0103】
つまり、本発明のインクは、特定の構造を有する2種類の色材を組み合わせて用いたことで、以下の予想を上回る効果が得られたと考えられる。色材の凝集状態を特異的に起こすような特定の構造を有する色材、特に前記の類似の構造、例えば、互いにヘテロ環を有するユニットを有し、かつ水素結合性を有する置換基を有する色材を選択し、これらを組み合わせて用いることで、以下の効果が得られる。すなわち、本発明のインクによって、各色材が有するそれぞれの耐オゾン性、耐光性、画像濃度から予測することができる、これらの色材を組み合わせた場合における性能をはるかに上回る性能が得られる。これは、それぞれの色材のみを使用する場合では凝集性は変化しないが、上記のような特徴を有する色材を組み合わせて使用することで、凝集性をコントロールすることができる。特に本発明においては、第1の色材と第2の色材の質量比率を0.1以上5.0以下とすることで、予想を大きく超えた耐オゾン性、耐光性を得ることができるためより好ましい。
【0104】
(水性媒体)
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
【0105】
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.0質量%以上90.0質量%以下、さらには10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲より少ないと、インクをインクジェット記録装置に用いる場合に吐出安定性などの信頼性が得られない場合がある。また、水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲より多いと、インクの粘度が上昇して、インクの供給不良が起きる場合がある。
【0106】
水溶性有機溶剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコールなどのグリコール類。1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどのアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を持つアルキレングリコール類。ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの低級アルキルエーテルアセテート類。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類。N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなど。勿論、本発明はこれらに限られるものではない。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0107】
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性ポリマーなど、種々の添加剤を含有してもよい。
【0108】
<その他のインク>
また、フルカラーの画像などを形成するために、本発明のインクを、本発明のインクとは別の色調を有するインクと組み合わせて用いることができる。本発明のインクは、例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、レッドインク、グリーンインク、ブルーインクなどの少なくともいずれか1種のインクと共に用いられることが好ましい。また、これらのインクと実質的に同一の色調を有する、所謂、淡インクをさらに組み合わせて用いることもできる。これらのインク又は淡インクの色材は、公知の染料であっても、新規に合成された色材であっても用いることができる。
【0109】
<記録媒体>
本発明のインクを用いて画像を形成する際に用いる記録媒体は、インクを付与して記録を行う記録媒体であればいずれのものでも用いることができる。本発明においては、染料や顔料などの色材をインク受容層の多孔質構造を形成する微粒子に吸着させる、インクジェット用の記録媒体を用いることが好ましい。特には、支持体上のインク受容層に形成された空隙によりインクを吸収する、所謂、隙間吸収タイプのインク受容層を有する記録媒体を用いることが好ましい。隙間吸収タイプのインク受容層は、微粒子を主体として構成されるものであり、さらに必要に応じて、バインダーやその他の添加剤を含有してもよい。
【0110】
微粒子は、具体的には、以下のものを用いることができる。シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナ又はアルミナ水和物などの酸化アルミニウム、珪藻土、酸化チタン、ハイドロタルサイト、又は酸化亜鉛などの無機顔料。尿素ホルマリン樹脂、エチレン樹脂、スチレン樹脂などの有機顔料。また、これらの微粒子は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0111】
バインダーは、水溶性高分子やラテックスなどが挙げられ、具体的には、以下のものを用いることができる。ポリビニルアルコール、澱粉、ゼラチン、又はこれらの変性体。アラビアゴム。カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、又はヒドロキシプロオイルメチルセルロースなどのセルロース誘導体。SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、又はエチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス。ポリビニルピロリドン。無水マレイン酸若しくはその共重合体、又はアクリル酸エステル共重合体など。これらのバインダーは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0112】
その他に、必要に応じて添加剤を用いることができる。例えば、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料定着剤などを用いることができる。
【0113】
特に、本発明においては、平均粒子径が1μm以下である微粒子を主体として、インク受容層を形成した記録媒体を用いることが好ましい。前記微粒子の具体例は、シリカ微粒子や酸化アルミニウム微粒子などが挙げられる。シリカ微粒子として好ましいものは、コロイダルシリカに代表されるシリカ微粒子である。コロイダルシリカは市販品を用いることもできるが、特には、例えば、特許第2803134号公報、同2881847号公報に記載のコロイダルシリカを用いることが好ましい。また、酸化アルミニウム微粒子として好ましいものは、アルミナ水和物微粒子(アルミナ系顔料)を挙げることができる。
【0114】
前記アルミナ系顔料の中でも、下記式で表される擬ベーマイトなどのアルミナ水和物を特に好適なものとして挙げることができる。
AlO3-n(OH)2n・mH2O(式中、nは1乃至3の整数であり、mは0乃至10、好ましくは0乃至5である。ただし、mとnは同時には0とならない。)
mH2Oは、多くの場合、mH2O結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すものである。このため、mは整数又は整数でない値を取ることができる。また、この種のアルミナ水和物を加熱すると、mは0に達することがあり得る。
【0115】
アルミナ水和物は、下記のような公知の方法で製造することができる。例えば、米国特許第4,242,271号明細書、米国特許第4,202,870号明細書に記載のアルミニウムアルコキシドの加水分解やアルミン酸ナトリウムの加水分解で製造することができる。また、特公昭57−44605号公報に記載のアルミン酸ナトリウムなどの水溶液に、硫酸ナトリウムや塩化アルミニウムなどの水溶液を加えて中和を行う方法で製造することができる。
【0116】
記録媒体は、上記したインク受容層を支持するための支持体を有することが好ましい。支持体は、インク受容層が、上記多孔質の微粒子で形成することが可能であって、かつ、インクジェット記録装置などの搬送機構によって搬送可能な剛度を与えるものであれば、特に制限はなく、いずれのものも用いることができる。例えば、天然セルロース繊維を主体としたパルプ原料で構成される紙支持体を用いることができる。また、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラート)、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリイミドなどの材料で構成されるプラスチック支持体を用いることができる。さらに、基紙の少なくとも一方の面に白色顔料などを添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(例:RCペーパー)を用いることができる。
【0117】
<インクジェット記録方法>
本発明のインクは、インクをインクジェット方式で吐出するインクジェット記録方法に用いることが特に好ましい。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用することによりインクを吐出する記録方法や、インクに熱エネルギーを作用することによりインクを吐出する記録方法などがある。特に、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を好ましく用いることができる。
【0118】
<インクカートリッジ>
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジは、かかるインクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジが挙げられる。
【0119】
<記録ユニット>
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適な記録ユニットは、かかるインクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットが挙げられる。特に、前記記録ヘッドが、記録信号に対応した熱エネルギーをインクに作用することによりインクを吐出する記録ユニットを好ましく用いることができる。特に、本発明においては、金属及び/又は金属酸化物を含有する発熱部接液面を有する記録ヘッドを用いることが好ましい。前記発熱部接液面を構成する金属及び/又は金属酸化物は、具体的には、例えば、Ta、Zr、Ti、Ni、若しくはAlなどの金属、又はこれらの金属の酸化物などが挙げられる。
【0120】
<インクジェット記録装置>
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適なインクジェット記録装置は、かかるインクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置が挙げられる。特に、前記インクを収容するインク収容部を有する記録ヘッドの内部のインクに、記録信号に対応した熱エネルギーを作用することによりインクを吐出するインクジェット記録装置が挙げられる。
【0121】
以下に、インクジェット記録装置の機構部の概略構成を説明する。インクジェット記録装置は、各機構の役割から、給紙部、搬送部、キャリッジ部、排紙部、クリーニング部、及びこれらを保護し、意匠性を持たせる外装部などで構成される。
【0122】
図1は、インクジェット記録装置の斜視図である。また、図2及び図3は、インクジェット記録装置の内部機構を説明する図であり、図2は右上部からの斜視図、図3はインクジェット記録装置の側断面図をそれぞれ示す。まず、図1〜3を用いて画像形成機構の概略を説明する。
【0123】
給紙を行う際には、給紙トレイM2060を含む給紙部において、記録媒体の所定枚数のみが給紙ローラM2080と分離ローラM2041から構成されるニップ部に送られる。記録媒体はニップ部で分離され、最上位の記録媒体のみが搬送される。搬送部に搬送された記録媒体は、ピンチローラホルダM3000及びペーパーガイドフラッパーM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に搬送される。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転し、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される(図3参照)。
【0124】
記録媒体に画像を形成する際には、キャリッジ部は、記録ヘッドH1001(図3;詳細な構成は後述する)を目的の画像を形成する位置に配置して、電気基板E0014からの信号にしたがって記録媒体にインクを吐出する。記録ヘッドH1001により記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に走査する主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体を行方向に搬送する副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に画像を形成する。画像が形成された記録媒体は、排紙部において、第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれた状態で搬送されて、排紙トレイM3160に排出される(図2参照)。
【0125】
なお、クリーニング部は、画像を形成する前後の記録ヘッドH1001をクリーニングする。キャップM5010で記録ヘッドH1001の吐出口をキャッピングした状態で、ポンプM5000を作動すると、記録ヘッドH1001の吐出口から不要なインクなどが吸引されるようになっている。また、キャップM5010を開いた状態で、キャップM5010の内部に残っているインクなどを吸引することにより、残インクによる固着やその他の弊害が起こらないようになっている(図2参照)。
【0126】
(記録ヘッドの構成)
図3及び4を参照して、ヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。ヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクカートリッジH1900を搭載する手段、及びインクカートリッジH1900から記録ヘッドにインクを供給する手段を有しており、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
【0127】
図4は、ヘッドカートリッジH1000に、インクカートリッジH1900を装着する様子を示した図である。インクジェット記録装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、淡マゼンタ、淡シアン、及びグリーンの各インクで画像を形成する。したがって、インクカートリッジH1900も7色分が独立に用意されている。なお、上記において、少なくともひとつのインクに、本発明のインクを用いる。そして、図4に示すように、それぞれのインクカートリッジが、ヘッドカートリッジH1000に対して着脱可能となっている。なお、インクカートリッジH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000を搭載した状態でも行うことができる。
【0128】
図5は、ヘッドカートリッジH1000の分解斜視図である。ヘッドカートリッジH1000は、記録素子基板、プレート、電気配線基板H1300、カートリッジホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800などで構成される。記録素子基板は第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101で構成され、プレートは第1のプレートH1200及び第2のプレートH1400で構成される。
【0129】
第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101はSi基板であり、その片面にインクを吐出するための複数の記録素子(ノズル)がフォトリソグラフィ技術により形成されている。各記録素子に電力を供給するAlなどの電気配線は成膜技術により形成されており、個々の記録素子に対応した複数のインク流路はフォトリソグラフィ技術により形成されている。さらに、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。
【0130】
図6は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101の構成を説明する正面拡大図である。H2000〜H2600は、それぞれ異なるインク色に対応する記録素子の列(以下ノズル列ともいう)である。第1の記録素子基板H1100には、イエローインクのノズル列H2000、マゼンタインクのノズル列H2100、及びシアンインクのノズル列H2200の3色分のノズル列が形成されている。第2の記録素子基板H1101には、淡シアンインクのノズル列H2300、ブラックインクのノズル列H2400、グリーンインクのノズル列H2500、及び淡マゼンタインクのノズル列H2600の4色分のノズル列が形成されている。各ノズル列は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)に1200dpi(dot/inch;参考値)の間隔で並ぶ768個のノズルによって構成され、約2ピコリットルのインクを吐出する。各吐出口における開口面積は、およそ100μm2に設定されている。
【0131】
以下、図5及び図6を参照して説明する。第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101は第1のプレートH1200に接着固定されている。ここには、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されている。この第2のプレートH1400は、電気配線基板H1300と第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101とが電気的に接続されるように、電気配線基板H1300を保持する。
【0132】
電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に形成されている各ノズルからインクを吐出するための電気信号を印加する。この電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し、インクジェット記録装置からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有する。外部信号入力端子H1301は、カートリッジホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
【0133】
インクカートリッジH1900を保持するカートリッジホルダーH1500には、流路形成部材H1600が、例えば、超音波溶着により固定され、インクカートリッジH1900から第1のプレートH1200に通じるインク流路H1501を形成する。インクカートリッジH1900と係合するインク流路H1501のインクカートリッジ側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクカートリッジH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
【0134】
さらに、上記したように、カートリッジホルダー部と記録ヘッド部H1001とを接着などで結合することで、ヘッドカートリッジH1000が構成される。なお、カートリッジホルダー部は、カートリッジホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、及びシールゴムH1800から構成される。また、記録ヘッド部H1001は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される。
【0135】
なお、ここでは記録ヘッドの一形態として、電気信号に応じた膜沸騰をインクに生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体(記録素子)を用いて記録を行うサーマルインクジェット方式の記録ヘッドについて述べた。この代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂、オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用することができる。
【0136】
サーマルインクジェット方式は、オンデマンド型に適用することが特に有効である。オンデマンド型の場合には、インクを保持する液流路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加する。このことによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、インクに膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応したインク内の気泡を形成できる。この気泡の成長及び収縮により吐出口を介してインクを吐出することで、少なくともひとつの滴を形成する。駆動信号をパルス形状とすると、即時、適切に気泡の成長及び収縮が行われるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。
【0137】
また、本発明のインクは、前記のサーマルインクジェット方式に限らず、下記に述べるような、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置においても好ましく用いることができる。かかる形態のインクジェット記録装置は、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備えてなる。そして、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクをノズルから吐出する。
【0138】
インクジェット記録装置は、上記したように、記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いてもよい。さらに、インクカートリッジは記録ヘッドに対して分離可能又は分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもの、また、インクジェット記録装置の固定部位に設けられて、チューブなどのインク供給部材を介して記録ヘッドにインクを供給するものでもよい。また、記録ヘッドに対して、好ましい負圧を作用させるための構成をインクカートリッジに設ける場合には、以下の構成とすることができる。すなわち、インクカートリッジのインク収容部に吸収体を配置した形態、又は可撓性のインク収容袋とこれに対してその内容積を拡張する方向の付勢力を作用するばね部とを有した形態などとすることができる。また、インクジェット記録装置は、上記したようなシリアル型の記録方式を採るもののほか、記録媒体の全幅に対応した範囲にわたって記録素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
【実施例】
【0139】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、特に指定のない限り、実施例、比較例のインク成分は「質量%」を意味する。
【0140】
<色材の調製>
以下に示す手順にしたがって、各例示化合物を調製した。なお、得られた各例示化合物について、水を溶媒として、以下の条件で、吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)を測定した。
・分光光度計:自記分光光度計(商品名:U−3300;日立製作所製)
・測定セル:1cm 石英セル
・サンプリング間隔:0.1nm
・スキャン速度:30nm/min
【0141】
(一般式(I)の化合物の合成と物性値の測定)
一般式(I)の化合物の合成は、特表2006−506500号公報に記載の方法にしたがって行った。水を溶媒として測定した吸収スペクトルの極大吸収波長(λmax)は、601nmであった。
【0142】
(例示化合物II−3及びII−5の合成と特性値の測定)
例示化合物II−3(M:リチウム)、例示化合物II−5(M:リチウム)の合成は、特開2005−139427号公報(特許文献1)に記載の方法にしたがって行った。水を溶媒として測定した吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)は、例示化合物II−3が608nm、例示化合物II−5が604nmであった。
【0143】
<インクの調製>
表3に示した組成の各成分をそれぞれ混合して、十分撹拌した。その後、ポアサイズ0.20μmのフィルターにて加圧ろ過を行い、実施例1〜6、並びに、比較例1及び2のインクを調製した。
【0144】

【0145】
<評価>
上記で得られた各インクをそれぞれ、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置(商品名:PhotoSmart8753;日本hp製)に搭載した。記録条件を、温度23℃、相対湿度55%、記録密度2400dpi×1200dpiとした。記録媒体(アドバンスフォト用紙(光沢);日本hp製)に記録デューティを0%から100%まで10%刻みで変化させた画像を形成した。得られた記録物を温度23℃、相対湿度55%の環境下で24時間乾燥させ評価用の画像とした。
【0146】
(耐オゾン性)
上記で得られた各記録物における記録デューティが50%の画像の部分について、画像濃度を測定した(「耐オゾン性試験前の画像濃度D1」とする)。さらに、この記録物を、オゾン試験装置(商品名:OMS−H;スガ試験機製)を用いて、オゾンガス濃度10ppm、相対湿度60%、槽内温度23℃で4時間曝露した。その後、記録物における記録デューティが50%の画像の部分について、画像濃度を測定した(「耐オゾン性試験後の画像濃度D2」とする)。なお、画像濃度は、分光光度計(商品名:Spectrolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。得られた耐オゾン性試験前の画像濃度及び耐オゾン性試験後の画像濃度から、下記式に基づいて画像濃度の残存率を算出して、耐オゾン性の評価を行った。耐オゾン性の基準は以下の通りである。評価結果を表4に示した。なお、下記の評価基準において、B以上が耐オゾン性として許容できるレベルであり、Aは特に優れているレベルであり、一方、C及びDは耐オゾン性として許容できないレベルである。
【0147】

A:画像濃度の残存率が85%以上
B:画像濃度の残存率が75%以上85%未満
C:画像濃度の残存率が50%以上75%未満
D:画像濃度の残存率が50%未満
【0148】
(耐光性)
上記で得られた各記録物における記録デューティが100%の画像の部分について、画像濃度を測定した(「耐光性試験前の画像濃度D1」とする)。さらに、この記録物を、スーパーキセノン試験機(商品名:SX−75;スガ試験機製)を用いて、照射強度100キロルクス、槽内温度24℃、相対湿度60%で168時間曝露した。その後、記録物における記録デューティが100%の画像の部分について、画像濃度を測定した(「耐光性試験後の画像濃度D2」とする)。なお、画像濃度は上記と同様の装置及び方法で測定した。得られた耐光性試験前の画像濃度及び耐光性試験後の画像濃度から、下記式に基づいて画像濃度の残存率を算出して、各画像について、耐光性の評価を行った。耐光性の基準は以下の通りである。評価結果を表4に示した。下記の評価基準において、B以上が耐光性として許容できるレベルであり、Aは特に優れているレベルであり、一方、C及びDは耐光性として許容できないレベルである。
【0149】

A:画像濃度の残存率が80%以上
B:画像濃度の残存率が70%以上80%未満
C:画像濃度の残存率が60%以上70%未満
D:画像濃度の残存率が60%未満
【0150】
(画像濃度)
上記で得られた各記録物の記録デューティが100%の画像の部分について、上記と同様の装置及び方法で画像濃度を測定して、画像濃度の評価を行った。画像濃度の基準は以下の通りである。評価結果を表4に示した。下記の評価基準において、A〜Bが記録物の画像濃度として許容できるレベルであり、Aは特に優れているレベルであり、一方、C及びDは、記録物の画像濃度として許容できないレベルである。
A:画像濃度が2.4以上
B:画像濃度が2.0以上2.4未満
C:画像濃度が1.9以上2.0未満
D:画像濃度が1.9未満
【0151】
(色調)
上記で得られた各記録物について、CIE(国際照明委員会)により規定されたL***表示系におけるa*及びb*を測定して、色調の評価を行った。なお、a*及びb*は、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。画像の色調の評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示した。本発明においては、下記の評価基準でB以上である場合を、ニュートラルであり好ましい画像であるものとしている。
A:全ての記録デューティにおいて、−5≦a*≦5かつ−5≦b*≦5を満たす
B:全ての記録デューティにおいて、−5≦a*≦5かつ−5≦b*≦5は満たさないが、−10≦a*≦10かつ−10≦b*≦10を満たす
C:全ての記録デューティにおいて、−10≦a*≦10かつ−10≦b*≦10は満たさないが、−15≦a*≦15かつ−15≦b*≦15を満たす
D:全ての記録デューティにおいて、−15≦a*≦15かつ−15≦b*≦15は満たさないが、−20≦a*≦20かつ−20≦b*≦20を満たす
【0152】

【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】インクジェット記録装置の斜視図である。
【図2】インクジェット記録装置の機構部の斜視図である。
【図3】インクジェット記録装置の断面図である。
【図4】ヘッドカートリッジにインクカートリッジを装着する状態を示す斜視図である。
【図5】ヘッドカートリッジの分解斜視図である。
【図6】ヘッドカートリッジにおける記録素子基板を示す正面図である。
【符号の説明】
【0154】
M2041:分離ローラ
M2060:給紙トレイ
M2080:給紙ローラ
M3000:ピンチローラホルダ
M3030:ペーパーガイドフラッパー
M3040:プラテン
M3060:搬送ローラ
M3070:ピンチローラ
M3110:排紙ローラ
M3120:拍車
M3160:排紙トレイ
M4000:キャリッジ
M5000:ポンプ
M5010:キャップ
E0002:LFモータ
E0014:電気基板
H1000:ヘッドカートリッジ
H1001:記録ヘッド
H1100:第1の記録素子基板
H1101:第2の記録素子基板
H1200:第1のプレート
H1201:インク供給口
H1300:電気配線基板
H1301:外部信号入力端子
H1400:第2のプレート
H1500:タンクホルダー
H1501:インク流路
H1600:流路形成部材
H1700:フィルター
H1800:シールゴム
H1900:インクカートリッジ
H2000:イエローノズル列
H2100:マゼンタノズル列
H2200:シアンノズル列
H2300:淡シアンノズル列
H2400:ブラックノズル列
H2500:グリーンノズル列
H2600:淡マゼンタノズル列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第1の色材及び第2の色材、の2つの色材を含有するインクジェット用インクであって、
前記第1の色材が、下記一般式(I)で表される化合物であり、
前記第2の色材が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とするインクジェット用インク。

(一般式(I)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)

(一般式(II)中、[A]は置換されていてもよい芳香族基又は複素環基であり、[B]は下記一般式(1)乃至(5)で表されるいずれかの基であり、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)

(一般式(1)乃至(5)中、R1乃至R9はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、カルボキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アニリノ基及び複素環アミノ基を含むアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル若しくはアリールチオ基、複素環チオ基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホン酸基であり、各基はさらに置換されていてもよい。)
【請求項2】
前記インク中における前記第1の色材の含有量(質量%)が、前記第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.1以上5.0以下である請求項1に記載のインクジェット用インク。
【請求項3】
インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法において、前記インクに、請求項1又は2に記載のインクジェット用インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項4】
インクを収容してなるインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インクが、請求項1又は2に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項5】
インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットにおいて、前記インクが、請求項1又は2に記載のインクジェット用インクであることを特徴とする記録ユニット。
【請求項6】
インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置において、前記インクが、請求項1又は2に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−159312(P2010−159312A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528(P2009−528)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】