説明

インクジェット用インク、インクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置

【課題】 光学濃度が高く、耐光性に優れたインクジェット用インクを提供すること。
【解決手段】 少なくとも、色材及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用インクにおいて、前記色材が、下記の一般式(I)で表される化合物又はその塩であり、前記水溶性有機溶剤のうち、20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を第1水溶性有機溶剤とするときに、前記第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)に対して10.0質量%以上であることを特徴とするインクジェット用インク。
一般式(I)
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用インク、インクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法は、インク小滴を普通紙、及び、光沢メディア等の記録媒体上に付与して、画像、文字等を形成する記録方法であり、これまでに様々な提案がある(例えば、特許文献1〜3参照)。インクジェット記録方法の特徴には、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像、定着が不要であること等が挙げられ、近年、急速に普及が進んでいる。更に、多色インクジェット記録方法により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画と比較して遜色のない記録物を得ることが可能であり、特に、作成部数が少ない場合には通常の多色印刷や印画よりも安価であることから、フルカラー画像の記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
インクジェット記録方法により形成される画像の高画質化により、画像に対して求められる性能には、色調再現性が優れていること、光学濃度が高いこと、色調の鮮明性が高いこと、といった画像の性能に加えて、画像の長期保存性が挙げられるようになった。長期保存性とは、即ち、大気中の酸化性ガス(オゾン、NO、SO等)による変褪色を起こさないこと(耐ガス性)、太陽光や各種照明光などによる変腿色を起こさないこと(耐光性)等の画像堅牢性のことである。
【0004】
近年、インクジェット記録方法用の記録媒体として、銀塩写真に匹敵、或いはそれを凌ぐ画質を得るためにアルミナやシリカといった多孔体をインク受容材料に使用した記録媒体が使用されている。特にアルミナ水和物を用いた記録媒体は、アルミナ水和物が正電荷を持っているため、インク中の色材の定着が良く、発色の良い画像が得られ、特にフルカラー画像における画質及び光沢の点で従来の記録媒体に比べ好ましいなどの長所を有している。
【0005】
しかし、色調再現性、光学濃度、色調の鮮明性を高めるために、アルミナやシリカといった多孔体をインク受容材料に使用した記録媒体に形成した画像においては、普通紙等を記録媒体として使用した場合と比較して、著しい変褪色が起きる場合があり、特に、耐光性の改良が望まれている。
【0006】
これらの技術課題を解決するために、従来からいくつかの提案がなされている(例えば、特許文献4〜7参照)。
【特許文献1】特公昭61−59911号
【特許文献2】特公昭61−59912号
【特許文献3】特公昭61−59914号
【特許文献4】特開平11−012514号公報
【特許文献5】特開2000−327965号公報
【特許文献6】特開2000−345063号公報
【特許文献7】特開2001−288379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来から提案されている方法では、依然として銀塩写真に匹敵する画質を実現する、即ち、光学濃度が高く、耐光性に優れた画像を与えるインクは得られていない。
【0008】
そこで、本発明者らが検討を行った結果、特定の構造を有する色材を含有するインクが、銀塩写真に匹敵する画質を実現する、即ち、光学濃度が高く、耐光性に優れた画像を与える、ということを見出した。そこで更に、前記特定の構造を有する色材について、本発明者らが検討を行った結果、インクの組成によっては、得られる画像の耐光性が悪化する、つまり、この色材が有する耐光性の性能を十分発揮できない場合があるということを見出した。
【0009】
従って、本発明の目的は、光学濃度が高く、耐光性に優れたインクジェット用インクを提供することにある。
【0010】
又、本発明の別の目的は、前記インクジェット用インクを用いたインクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明のインクジェット用インクは、少なくとも、色材及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用インクにおいて、前記色材が、下記の一般式(I)で表される化合物又はその塩であり、前記水溶性有機溶剤のうち、20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を第1水溶性有機溶剤とするときに、前記第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)に対して10.0質量%以上であることを特徴とする。
【0012】
一般式(I)
【0013】
【化1】

【0014】
(一般式(I)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
【0015】
又、本発明の別の実施態様にかかるインクセットは、複数のインクからなるインクセットにおいて、ブラックインクとして上記構成のインクジェット用インクを含むことを特徴とする。
【0016】
又、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、インクをインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行う工程を有するインクジェット記録方法において、前記インクが、上記構成のインクジェット用インクであることを特徴とする。
【0017】
又、本発明の別の実施態様にかかるインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インクが、上記構成のインクジェット用インクであることを特徴とする。
【0018】
又、本発明の別の実施態様にかかる記録ユニットは、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットにおいて、前記インクが、上記構成のインクジェット用インクであることを特徴とする。
【0019】
又、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置において、上記構成のインクジェット用インクであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光学濃度が高く、耐光性に優れたインクジェット用インクを提供することができる。又、本発明の別の実施態様によれば、前記インクジェット用インクを用いたインクセット、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0022】
尚、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。
【0023】
<インク>
本発明者らは、下記一般式(I)で表される化合物又はその塩を含有し、更に特定の水溶性有機溶剤を特定の組成で含有するインクジェット用インク(以下、単に「インク」と言うこともある)を用いることで、本発明の効果が得られる理由を、以下のように推測している。
【0024】
一般式(I)
【0025】
【化2】

【0026】
(一般式(I)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
【0027】
インクジェット記録装置を用いて画像形成を行う場合、記録ヘッドから吐出されたインク液滴が記録媒体に着弾した後、インク中に含有される色材は記録媒体に吸着する。特に、インク受容層に、カチオン性電荷を有する顔料を含有する記録媒体に画像を形成する際に、インク中に含有される色材が負の電荷を有している場合、記録ヘッドから吐出されたインク液滴が記録媒体に着弾した後、色材分子はカチオン性電荷を有する顔料に対して強く吸着を起こす。その結果、色材とインクの水性媒体は、一種の固液分離を起こす。その過程で、色材は記録媒体のインク受容層の表面近傍に固定され、電荷をほとんど帯びていない水性媒体は、記録媒体のインク受容層の深さ方向へ移動していく。
【0028】
この際に、色材をインク受容層の深さ方向に、一定の深さで存在させることで、優れた耐光性が得られると考えられる。これは、太陽光や各種照明光などの光が記録媒体のインク受容層に入射すると、インク受容層を構成する顔料の粒子により、光が散乱を起こして徐々に減衰していく。つまり、色材がインク受容層の深さ方向に、一定の深さで存在することで、光による色材の分解等の影響を受けにくくなると考えられる。
【0029】
そこで、本発明者らが、インクジェット用のインクに使用することができる各種の水溶性有機溶剤に対して、インクが含有する水溶性有機溶剤と色材の浸透深さの関係について検討を行った。その結果、比誘電率が低い水溶性有機溶剤を含有するインクを用いた場合、比誘電率が高い水溶性有機溶剤を含有するインクを用いた場合と比較して、色材の浸透深さが深くなり、結果として耐光性の向上が見られた。この理由は、以下のように考えられる。比誘電率が低い水溶性有機溶剤は分極率が低いため、水溶性有機溶剤がインク受容層に浸透した際に、電荷を遮蔽しやすくなり、インク受容層のカチオン性を弱める働きをする。その結果、記録媒体に着弾したインク滴は、固液分離を起こしにくくなるため、色材は記録媒体の深さ方向にある程度沈み込み、一定の深さで存在することで、優れた耐光性が得られる。
【0030】
更に、本発明者らが、色材の浸透深さと水溶性有機溶剤の比誘電率について詳細な検討を行ったところ、20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を用いることで、色材をインク受容層の深さ方向に、一定深さの位置に定着させることができ、その結果、優れた耐光性が得られることがわかった。
【0031】
ここで、更に本発明者らが検討を行ったところ、インクに含有される色材として、特に、一般式(I)で表される化合物又はその塩を用いた場合、耐光性を向上する効果が顕著に得られることがわかった。従来のインクジェット用インクに用いられる色材と比較して、一般式(I)で表される化合物又はその塩は、色材自体の耐光性が高く、水溶性有機溶剤の違いによる色材の浸透深さの差が大きい。つまり、一般式(I)で表される化合物又はその塩と、20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤とを組み合わせることにより、色材が有する優れた耐光性、及び、インク受容層の深さ方向への浸透が大きくなることによる耐光性の向上、が相乗的に作用することで、従来のインクジェット用インクと比較して、耐光性に優れたインクとなる。
【0032】
(色材)
本発明のインクに用いられる色材は、下記一般式(I)で表される化合物又はその塩である。この色材は、アルミナ、シリカ等の多孔体をインク受容材料に使用した記録媒体に画像を形成する際、優れた耐光性を発現することができる。
【0033】
一般式(I)
【0034】
【化3】

【0035】
(一般式(I)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
【0036】
以下に、一般式(I)で示される色材の具体例として例示化合物1〜3を示すが、本発明で使用する色材は、これらに限定されるものではない。又、下記に挙げるような色材を同時に2種類以上用いてもよい。
【0037】
【化4】

【0038】
特に、本発明においては、一般式(I)で表される化合物又はその塩が、上記例示化合物1のナトリウム塩である、下記例示化合物1であることが好ましい。
【0039】
例示化合物1
【0040】
【化5】

【0041】
本発明のインクにおいては、一般式(I)で表される化合物又はその塩の他に、一般に用いられている公知の染料や、新規に合成された色材を組み合わせて用いても構わない。本発明のインクにおける色材の含有量(質量%)の下限は、インク全質量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、更には1.0質量%以上であることがより好ましい。又、本発明のインクにおける、一般式(I)で表される化合物又はその塩の含有量(質量%)の上限は、15.0質量%以下であることが好ましく、更には7.0質量%以下であることがより好ましい。
【0042】
(一般式(I)で表される化合物又はその塩の検証方法)
本発明において用いられる染料の検証には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた下記(1)〜(3)の検証方法が適用できる。
(1)ピークの保持時間
(2)(1)のピークにおける最大吸収波長
(3)(1)のピークにおけるマススペクトルのM/Z(posi、nega)
【0043】
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は以下に示す通りである。純水で約1000倍に希釈したインク溶液に対して、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーでの分析を行い、ピークの保持時間(retention time)、及び、ピークの最大吸収波長を測定する。
・カラム:Symmetry C18 2.1mm×150mm
・カラム温度:40℃
・流速:0.2ml/min
・PDA:210nm〜700nm
・移動相及びグラジエント条件:表1
【0044】
【表1】

【0045】
又、マススペクトルの分析条件は以下に示す通りである。得られたピークに対して、下記の条件でマススペクトルを測定し、最も強く検出されたM/Zをposi、negaそれぞれに対して測定する。
・イオン化法
・ESI キャピラリ電圧 3.5kV
脱溶媒ガス 300℃
イオン源温度 120℃
・検出器 posi 40V 200−1500amu/0.9sec
nega 40V 200−1500amu/0.9sec
【0046】
例示化合物1における、保持時間、最大吸収波長、M/Z(posi)、M/Z(nega)の値を表2に示す。表2に示された値に該当する場合、本発明において用いる化合物に該当すると判断できる。
【0047】
【表2】

【0048】
(その他の色材)
本発明においては、一般式(I)で表される化合物又はその塩に、その他の色材を組み合わせて用いても構わない。
【0049】
又、フルカラー画像等を形成するために、本発明のインクとは別の色調を有するインクを併用しても構わない。例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク等である。又、これらのインクと同一色調を有する淡インクを組み合わせて用いることもできる。これらの別の色調を有するインク、又は淡インクの色材は、公知の染料であっても、新規に合成された色材であっても用いることができる。
【0050】
特に、ブラックインクは、下記に示すブラック用色材のみを含有するのではなく、高濃度の画像領域だけでなく、インクの付与量が少ないいわゆるハーフトーン領域においても、ニュートラルに近い色調を得るために、マゼンタ、シアン、イエローのようなカラーの色材を用いて調色を行ってもよい。
【0051】
以下に、調色用染料、及び本発明のインクと共に使用する他のインクに用いる染料の具体例を色調別に示す。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】
[マゼンタ色材]
C.I.ダイレクトレッド:2、4、9、11、20、23、24、31、39、46、62、75、79、80、83、89、95、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230等
C.I.アシッドレッド:6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、265、289等
C.I.フードレッド:87、92、94等
C.I.ダイレクトバイオレット:107等
[シアン色材]
C.I.ダイレクトブルー:1、15、22、25、41、76、77、80、86、90、98、106、108、120、158、163、168、199、226、307、等
C.I.アシッドブルー:1、7、9、15、22、23、25、29、40、43、59、62、74、78、80、90、100、102、104、112、117、127、138、158、161、203、204、221、244等
【0053】
[イエロー色材]
C.I.ダイレクトイエロー:8、11、12、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110、132、173等
C.I.アシッドイエロー:1、3、7、11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98、99等
【0054】
[ブラック色材]
C.I.ダイレクトブラック:17、19、22、31、32、51、62、71、74、112、113、154、168、195等
C.I.アシッドブラック:2、48、51、52、110、115、156等
C.I.フードブラック:1、2等
【0055】
(水性媒体)
〔20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤〕
本発明のインクは、20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を含有することが必須である。20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の具体例は、この範囲の比誘電率を示すものであれば特に限定されないが、本発明においては特に、2−ピロリドン、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ポリエチレングリコールが特に好ましく用いられる。
【0056】
比誘電率が30.0以上である水溶性有機溶媒は、色材が有する耐光性の対して、その特性を抑制する傾向があり、又、比誘電率が10.0未満である水溶性有機溶剤は、インクに含有される水に対する溶解度が低い場合があるため、記録ヘッドの固着性を悪化させる傾向がある。
【0057】
本発明においては、20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、インクに含有される水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)に対して、10.0質量%以上であることが、耐光性向上の効果を得るために必要である。特には、20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、インクに含有される水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)に対して、30.0質量%以上50.0質量%以下であることがより好ましい。特に、50質量%以上であると、水溶性有機溶剤の種類によっては光学濃度が低下する場合があるためである。
【0058】
〔その他の水溶性有機溶剤及び水〕
本発明のインクにおいては、上記した20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の他に、これらを添加することによる効果が得られ、且つ本発明の目的効果を損なわない範囲で、水、或いは水と各種の水溶性有機溶剤との混合溶媒を使用することができる。
【0059】
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4アルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を用いることができる。上記水溶性有機溶剤は、単独で用いても、或いは混合物として用いても良い。
【0060】
これらの水溶性有機溶剤、及び、20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)は、インク全質量に対して5.0質量%〜95.0質量%、より好ましくは10.0質量%〜80.0質量%の範囲である。
【0061】
(その他の添加剤)
更に、本発明においては必要に応じて、尿素又はエチレン尿素などの含窒素化合物、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤及び水溶性ポリマー等、種々の添加剤を含有させてもよい。
【0062】
<記録媒体>
本発明のインクを用いて画像を形成する際に用いる記録媒体は、インクを付与して記録を行う記録媒体であれば何れのものでも使用することができる。中でも、インク受容層が、カチオン性の電荷を有する多孔質の微粒子である顔料で形成され、該インク受容層を記録面に有する記録媒体が好ましい。更には、平均粒子径が1μm以下である微粒子を主体として、インク受容層を形成した記録媒体が好ましい。
【0063】
前記微粒子の具体例は、例えば、シリカ微粒子や酸化アルミニウム微粒子等が挙げられる。シリカ微粒子の中でも、コロイダルシリカが特に好ましい。コロイダルシリカは市場より入手可能であるが、特には、例えば、特許第2803134号、同2881847号公報に掲載されたもの等が好ましく用いられる。酸化アルミニウム微粒子の中でも、アルミナ水和物微粒子が特に好ましい。中でも、下記式により表されるアルミナ水和物が好ましい。
Al3−n(OH)2n
(上記式中、nは1、2又は3の整数の何れかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。但し、mとnは同時には0にはならない。mHOは、多くの場合mHO結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すものである為、mは整数又は整数でない値を取ることもできる。又この種の材料を加熱するとmは0の値に達することがありうる。)
【0064】
アルミナ水和物は、米国特許第4,242,271号、米国特許第4,202,870号に記載のアルミニウムアルコキシドの加水分解やアルミン酸ナトリウムの加水分解、又、特公昭57−44605号公報に記載のアルミン酸ナトリウム等の水溶液に硫酸ナトリウム、塩化アルミニウム等の水溶液を加えて中和を行う方法など、公知の方法で製造することができる。
【0065】
上述のアルミナ水和物を用いた記録媒体は、前述したような写真画質を実現するために必要とされる光沢、透明性、及びインク中の色材の定着性等が優れているために好ましい。
【0066】
バインダーの具体例は、水溶性高分子やラテックス等が挙げられる。例えば、ポリビニルアルコール又はその変性体、澱粉又はその変性体、ゼラチン又はその変性体、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸又はその共重合体、アクリル酸エステル共重合体等が使用される。これらから選択した1種、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
更に、インク受容層の形成材料中に、ゲル化剤(架橋剤)として、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上を含有させることが特に好ましい。ホウ酸の具体例は、オルトホウ酸(HBO)だけでなく、メタホウ酸や次ホウ酸等が挙げられる。ホウ酸塩は、前記ホウ酸の塩で水溶性のあるものが好ましく、例えば、ホウ酸のナトリウム塩(Na・10HO、NaBO・4HO等)や、カリウム塩(K・5HO、KBO等)等のアルカリ金属塩、ホウ酸のアンモニウム塩(NH・3HO、NHBO等)、ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
【0068】
微粒子と前記のバインダーの混合比は、質量比で、1:1〜100:1の範囲にあることが好ましい。バインダーの量を上記範囲とすることで、インク受容層への画像堅牢性向上剤の含浸に好適な細孔容積の維持が可能となる。酸化アルミニウム微粒子又はシリカ微粒子のインク受容層中の好ましい含有量は、50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは、80質量%以上であり、99質量%以下であることが最も好適である。インク受容層の塗工量は、乾燥固形分換算で10g/m以上であることが好ましく、10〜60g/mが最も好適である。
【0069】
記録媒体は上記したインク受容層を支持するための支持体を有することが好ましい。支持体は、インク受容層が、上記多孔質の微粒子で形成することが可能であって、且つインクジェットプリンタ等の搬送機構によって搬送可能な剛度を与えるものであれば、特に制限はなく、何れのものでも使用できる。例えば、支持体とインク受容層の間に硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機顔料等をバインダーと共に塗工して形成した多孔質層を有するものや、支持体にレジンコート紙を用いても良い。
【0070】
インク受容層には、その他の添加剤を使用することもでき、例えば、必要に応じて分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを挙げることができる。
【0071】
本発明においては、インク受容層が、前記バインダーが第1架橋剤により架橋し前記顔料と相対的に均一化されている第1層領域、及び、前記バインダーが第2架橋剤により第1層領域に比べて架橋度が大きくなるように架橋している第2層領域とを有し、前記第1層領域が第2層領域よりも前記記録面の表層側に位置している記録媒体を用いることで、記録物を長期にわたって保存する場合の保存安定性、特に、湿度に対する保存安定性に優れるために好ましい。又、インク受容層が、少なくとも第1層領域を形成するための、前記顔料としてのアルミナ水和物、前記バインダーとしてのポリビニルアルコール、及び、前記第1架橋剤としてのオルトホウ酸、を含有する塗工液を、前記第2層領域を形成するための、前記第2架橋剤としての四ホウ酸塩を含有する湿潤表面に塗工することで形成されている場合、前記効果がより効率的に発揮されるために、より好ましい。更に、前記塗工液に含有される前記オルトホウ酸の単位面積当たりの含有量が、前記湿潤表面に含有される前記四ホウ酸ナトリウムの単位面積当たりの含有量より少ない場合、前記効果が特に効率的に発揮されるために、特に好ましい。これは、インク受容層の第一層領域において、記録媒体に付与されたインクを効率的に吸収することと共に、架橋度の高い第二層領域において、インクが周辺に拡散せずに固定化されるために、鮮明な画像を形成することができるためである。つまり、本発明で用いられる色材が、インク受容層の第二層領域において、強固に固定されることで、高い湿度の環境に長期間放置された場合でも、未印字部への色材の移動(マイグレーション)を防止することができると考えられる。
【0072】
<インクジェット記録方法>
本発明にかかるインクは、インクをインクジェット方法で吐出する工程を有するインクジェット記録方法に用いることが特に好適である。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用させてインクを吐出させる記録方法、及びインクに熱エネルギーを作用させてインクを吐出させる記録方法等がある。特に、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を好ましく用いることができる。
【0073】
<インクカートリッジ>
本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジは、これらのインクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジが挙げられる。
【0074】
<記録ユニット>
本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適な記録ユニットは、これらのインクを収容するインク収容部と、記録ヘッドとを備えた記録ユニットが挙げられる。特に、前記記録ヘッドが、記録信号に対応した熱エネルギーをインクに作用させ、前記エネルギーによりインク液滴を発生させる記録ユニットが挙げられる。
【0075】
<インクジェット記録装置>
本発明にかかるインクを用いて記録を行うのに好適な記録装置は、これらのインクが収容されるインク収容部を有する記録ヘッドの室内のインクに、記録信号に対応した熱エネルギーを与え、前記エネルギーによりインク液滴を発生させる装置が挙げられる。
【0076】
以下に、インクジェット記録装置の機構部の概略構成を説明する。記録装置本体は、各機構の役割から、給紙部、用紙搬送部、キャリッジ部、排紙部、クリーニング部及びこれらを保護し、意匠性を持たす外装部から構成されている。以下、これらの概略を説明していく。
【0077】
図1は、記録装置の斜視図である。又、図2及び図3は、記録装置本体の内部機構を説明するための図であり、図2は右上部からの斜視図、図3は記録装置本体の側断面図をそれぞれ示したものである。
【0078】
記録装置において給紙を行う際には、まず給紙トレイM2060を含む給紙部において記録媒体の所定枚数のみが給紙ローラM2080と分離ローラM2041から構成されるニップ部に送られる。送られた記録媒体はニップ部で分離され、最上位の記録媒体のみが搬送される。用紙搬送部に送られた記録媒体は、ピンチローラホルダM3000及びペーパーガイドフラッパーM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に送られる。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とからなるローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転され、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。
【0079】
キャリッジ部では記録媒体に画像を形成する場合、記録ヘッドH1001(図4)を目的の画像形成位置に配置させ、電気基板E0014からの信号に従って、記録媒体に対しインクを吐出する。記録ヘッドH1001についての詳細な構成は後述するが、記録ヘッドH1001により記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に走査する記録主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体が行方向に搬送される副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体上に画像を形成していく構成となっている。
【0080】
最後に画像を形成された記録媒体は、排紙部で第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれ、搬送されて排紙トレイM3160に排出される。
【0081】
尚、クリーニング部において、画像記録前後の記録ヘッドH1001をクリーニングする目的のために、キャップM5010を記録ヘッドH1001のインク吐出口に密着させた状態で、ポンプM5000を作用させると、記録ヘッドH1001から不要なインク等が吸引されるようになっている。又、キャップM5010を開けた状態で、キャップM5010に残っているインクを吸引することにより、残インクによる固着及びその後の弊害が起こらないように配慮されている。
【0082】
(記録ヘッド構成)
ヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。ヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクタンクH1900を搭載する手段、及びインクタンクH1900から記録ヘッドにインクを供給するための手段を有しており、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
【0083】
図4は、ヘッドカートリッジH1000に対し、インクタンクH1900を装着する様子を示した図である。記録装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、淡マゼンタ、淡シアン、及びグリーンインクによって画像を形成し、従ってインクタンクH1900も7色分が独立に用意されている。上記において、少なくとも一種のインクに、本発明にかかるインクを用いる。そして、図に示すように、それぞれがヘッドカートリッジH1000に対して着脱自在となっている。尚、インクタンクH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000が搭載された状態で行えるようになっている。
【0084】
図5は、ヘッドカートリッジH1000の分解斜視図を示したものである。図において、ヘッドカートリッジH1000は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、第2のプレートH1400、電気配線基板H1300、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800などから構成されている。
【0085】
第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101はSi基板であり、その片面にインクを吐出するための複数の記録素子(ノズル)がフォトリソ技術により形成されている。各記録素子に電力を供給するAl等の電気配線は、成膜技術により形成されており、個々の記録素子に対応した複数のインク流路も又、フォトリソグラフィ技術により形成されている。更に、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。
【0086】
図6は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101の構成を説明するための正面拡大図である。H2000〜H2600は、それぞれ異なるインク色に対応する記録素子の列(以下ノズル列ともいう)であり、第1の記録素子基板H1100には、イエローインクの供給されるノズル列H2000、マゼンタインクの供給されるノズル列H2100、及びシアンインクの供給されるノズル列H2200の3色分のノズル列が構成されている。第2の記録素子基板H1101には、淡シアンインクの供給されるノズル列H2300、ブラックインクの供給されるノズル列H2400、オレンジインクの供給されるノズル列H2500、及び淡マゼンタインクの供給されるノズル列H2600の4色分のノズル列が構成されている。
【0087】
各ノズル列は、記録媒体の搬送方向に1200dpi(dot/inch;参考値)の間隔で並ぶ768個のノズルによって構成され、約2ピコリットルのインク滴を吐出させる。各ノズル吐出口における開口面積は、およそ100平方μm2に設定されている。又、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101は第1のプレートH1200に接着固定されており、ここには、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。
【0088】
更に、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されており、この第2のプレートH1400は、電気配線基板H1300と第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101とが電気的に接続されるように、電気配線基板H1300を保持している。
【0089】
電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に形成されている各ノズルからインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し記録装置本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有している。外部信号入力端子H1301は、タンクホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
【0090】
一方、インクタンクH1900を保持するタンクホルダーH1500には、流路形成部材H1600が例えば超音波溶着により固定され、インクタンクH1900から第1のプレートH1200に通じるインク流路H1501を形成している。
【0091】
インクタンクH1900と係合するインク流路H1501のインクタンク側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。又、インクタンクH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
【0092】
更に、前述のようにタンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700及びシールゴムH1800から構成されるタンクホルダー部と、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される記録ヘッド部H1001とを、接着等で結合することにより、ヘッドカートリッジH1000が構成されている。
【0093】
尚、ここでは記録ヘッドの一形態として、電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体(記録素子)を用いて記録を行うバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッドについて一例を挙げて述べた。
【0094】
この代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド型、コンティニュアス型の何れにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液流路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長・収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0095】
又、第二の力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の形態として、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。
【0096】
又、インクジェット記録装置は、上述のようにヘッドとインクタンクとが別体となったものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いるものでもよい。又、インクタンクはヘッドに対し分離可能又は分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えばチューブを介して記録ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。更に、記録ヘッドに対し好ましい負圧を作用させるための構成をインクタンクに設ける場合には、インクタンクのインク収納部に吸収体を配置した形態、あるいは可撓性のインク収容袋とこれに対しその内容積を拡張する方向の付勢力を作用するばね部とを有した形態などを採用することができる。又、記録装置は、上述のようにシリアル記録方式を採るもののほか、記録媒体の全幅に対応した範囲にわたって記録素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
【実施例】
【0097】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、特に指定の無い限り、実施例、比較例のインク成分は「質量部」を意味する。
【0098】
<色材の調製>
(例示化合物1の調製)
下記式(A)の化合物を、水酸化ナトリウムを添加した水に加えて溶解し、更に亜硝酸ナトリウム水溶液を添加し、ジアゾ化を行った。このジアゾ混濁液を、6−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3、5−ジスルホン酸のアルカリ水溶液に滴下してカップリング反応を行い、塩化ナトリウムで塩析した後、濾過、洗浄を行った。次いで、前記化合物を、水酸化ナトリウムを添加した水に加えて溶解し、塩酸、亜硝酸ナトリウムを添加してジアゾ化を行った。このジアゾ混濁液に、8−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸を添加し、炭酸ナトリウムを添加して、終夜攪拌し反応液Aを得た。次に、1−アミノ−2−ベンゼンスルホン酸を、水酸化ナトリウムを添加した水に加えて溶解し、更に亜硝酸ナトリウム水溶液を添加し、ジアゾ化を行った。このジアゾ混濁液を、6−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3−スルホン酸のアルカリ水溶液に滴下してカップリング反応を行い、塩化ナトリウムで塩析した後、濾過、洗浄を行った。次いで、前記化合物を、水酸化ナトリウムを添加した水に加えて溶解し、塩酸、亜硝酸ナトリウムを添加してジアゾ化を行った。このジアゾ混濁液を上記反応液(A)に添加してカップリング反応を行い、塩化ナトリウムで塩析した後、濾過、洗浄を行うことにより、例示化合物1を得た。
【0099】
式(A)
【0100】
【化6】

【0101】
例示化合物1
【0102】
【化7】

【0103】
<インクの調製>
下記表3及び表4に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターにて加圧濾過を行い、実施例のインク1〜11及び比較例のインク1〜3を調製した。
【0104】
【表3】

【0105】
【表4】

【0106】
<記録媒体の作製>
濾水度が、450mlCSF(Canadian Standarad Freeness)の、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)80質量部、濾水度が、480mlCSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)20質量部を含有するパルプスラリーに、カチオン化澱粉0.60質量部、重質炭酸カルシウム10質量部、軽質炭酸カルシウム15質量部、アルキルケテンダイマー0.10質量部、カチオン性ポリアクリルアミド0.03質量部を添加して、紙料を調製した。その後、前記紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行って、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で、酸化澱粉水溶液を、固形分で1.0g/mとなるように含浸し、乾燥した後、マシンカレンダー仕上げを行い、坪量155g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mNの基材を得た。
【0107】
次に、上記で得られた基材上に、以下のようにして下塗り層を形成した。まず、下塗り層の形成に使用する塗工液を調製した。カオリン(ウルトラホワイト90、Engelhard製)/酸化亜鉛/水酸化アルミニウムの、質量比65/10/25である填量100質量部、市販のポリアクリル酸系分散剤0.1質量部を含有する固形分濃度70%のスラリーに、市販のスチレン−ブタジエン系ラテックス7質量部を添加して、固形分濃度が60%になるように調整して組成物を得た。次に、この組成物を、乾燥塗工量が15g/mになるように、ブレードコータで基材の両面に塗工し、乾燥した。その後、線圧150kgf/cmでマシンカレンダー仕上げを行い、坪量185g/m、ステキヒトサイズ度300秒、透気度3,000秒、ベック平滑度200秒、ガーレー剛度11.5mNの下塗り層付き基材を得た。下塗り層付き基材の白色度は、断裁されたA4サイズ5枚のサンプルに対して、それぞれ測定し、その平均値として求めた。その結果、白色度は、L:95、a:0、b:−2であった(JIS Z8729の色相として求めた)。
【0108】
次に、上記で得られた、下塗り層を形成したに対して、下記の第一の表面処理工程及び第二の表面処理工程、の2工程からなる表面処理を行った。まず、第一の表面処理工程において、30℃に加温した5質量%のホウ砂水溶液を塗工液として用い、前記塗工液をグラビアコータで、乾燥塗工量が0.4g/mになるよう毎分60m/mで下塗り層上に塗工した。その後、60℃で塗工液を乾燥、固化させた。次に、第二の表面処理工程においては、前記第一の表面処理工程で使用したものと同様の、30℃に加温した5質量%のホウ砂水溶液を塗工液として用い、前記塗工液をエアーナイフコータで、ウェットの塗工量が10g/m(乾燥させた場合の塗工量は0.5g/mである)になるよう毎分30mで塗工した。この塗工量は、目視で観察を行ったところ、下塗り層上に第二の表面処理工程で付与した塗工液が溢れず、ちょうど含浸される状態であった。
【0109】
次に、インク受容層を形成した。インク受容層の形成は、上記の第二の表面処理工程における塗工後、即ち、塗工液が下塗り層に含浸された直後に、下塗り層上にインク受容層を形成した。
【0110】
インク受容層の形成に用いた塗工液及び塗工方法等は、以下の通りである。アルミナ水和物AとしてDisperal HP13(サソール製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策としては純水)に固形分濃度が5質量%になるように分散させた。この分散液に塩酸を加え、分散液のpHを4に調整した後、しばらく攪拌した。その後、この分散液を攪拌しながら95℃まで昇温させ、この温度で4時間保持した。そして、この温度を保持したまま、苛性ソーダ用いて分散液のpHを10に調整した後、10時間攪拌を行った。その後、分散液の温度を室温に戻し、pHを7〜8に調整し、分散液を得た。この分散液に対して脱塩処理を行い、その後、酢酸を用いて解膠処理を行い、コロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを乾燥して得られたアルミナ水和物BをX線回折で分析したところ、ベーマイト構造を示すもの(擬ベーマイト)であった。又、アルミナ水輪物BのBET比表面積は143g/m、細孔容積は0.8cm/gであり、電子顕微鏡で観察を行ったところ、平板状の構造を有していた。
【0111】
ポリビニルアルコール(商品名:PVA117;クラレ製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策として純水)に溶解して、固形分濃度9質量%の水溶液を得た。上記で調製したアルミナ水和物Bのコロイダルゾルを濃縮して固形分濃度22.5質量%の分散液を調製し、アルミナ水和物Bの固形分に対してホウ酸固形分換算で0.50質量%になるように、3質量%ホウ酸水溶液を添加した。その後、得られたホウ酸含有アルミナ水和物分散液と、先に調製したポリビニルアルコール水溶液を、スタティックミキサを用いて、アルミナ水和物固形分とポリビニルアルコール固形分の比が100:8になるように混合した。その直後に、得られた分散液をインク受容層用の塗工液とし、これをダイコータで、乾燥塗工量が35g/mになるよう毎分30mで塗工した。そして、170℃で塗工液を乾燥させてインク受容層を形成した。
【0112】
次に、基材においてインク受容層を設けた面とは反対側の面の下塗り層の上に、以下のようにして裏面層を形成した。アルミナ水和物としてDisperal HP13/2(サソール製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策として純水)に固形分濃度が18質量%になるように分散させた。その後、この分散液に遠心分離処理を施した。得られた分散液と、インク受容層の形成の際に用いたものと同様のポリビニルアルコール水溶液を、スタティックミキサを用いて、アルミナ水和物固形分とポリビニルアルコール固形分の比が100:9になるように混合した。その直後に、得られた分散液をダイコータで、乾燥塗工量が23g/mになるよう毎分35mで塗工した。そして、170℃で塗工液を乾燥させて裏面層を形成し、記録媒体を得た。
【0113】
ここで、上記で得られた記録媒体の、第1層領域に含有されるホウ素「B」は、2.61×10−3mol/mであり、第2層領域に含有されるホウ素「B」は、9.94×10−3mol/mであった。従って、第2層領域に含有されるホウ素「B」は、第1層領域に含有されるホウ素「B」の3.8倍になっている。
【0114】
尚、第1層領域に含有されるホウ素「B」は、下記式を用いて求めた。
【0115】
【数1】

【0116】
【数2】

【0117】
又、第2層領域に含有されるホウ素「B」は、下記式を用いて求めた。
【0118】
【数3】

【0119】
ここで、ホウ砂1molの分子量は、ホウ砂が下塗り層に対して含浸状態、即ち乾燥した状態にないので、ホウ砂をNaとして計算した。
【0120】
<水溶性有機溶剤の比誘電率>
各種の水溶性有機溶剤の比誘電率を、LCRメータ 4284A(日本ヒューレットパッカード製)を用いて、室温20℃、測定周波数1MHzの条件で測定を行った。結果を表5に示す。
【0121】
【表5】

【0122】
<評価>
(耐光性)
上記で得られた実施例1〜11及び比較例1〜3のインクを、インクジェット記録装置(商品名:Pixus 950i;キヤノン製)にそれぞれ搭載し、温度25℃、湿度60%の環境において、上記で得られた記録媒体に対して、インク付与量100%のベタパッチを印字した。得られた記録物を、温度25℃、湿度60%の環境で24時間乾燥させた。得られた記録物を、キセノンフェードオーメーターCi35(アトラス製)の内部に置き、照射強度0.4W/m、槽内温度50℃、湿度70%の条件で40時間放置した。記録物を放置する前後におけるベタパッチの画像濃度(光学濃度)を、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて測定し、得られた光学濃度から、下記式を用いて光学濃度の残存率を求めた。耐光性の基準は以下の通りである。評価結果を表6に示す。
【0123】
【数4】

【0124】
AA:光学濃度の残存率が90%以上
A:光学濃度の残存率が80%以上90%未満
B:光学濃度の残存率が70%以上80%未満
C:光学濃度の残存率が70%未満
【0125】
(光学濃度)
上記で得られた実施例1〜11及び比較例1〜3のインクを、インクジェット記録装置(商品名:Pixus 950i;キヤノン製)にそれぞれ搭載し、温度25℃、湿度60%の環境において、上記で得られた記録媒体に対して、インク付与量100%のベタパッチを印字した。得られた記録物を、温度25℃、湿度60%の環境で24時間乾燥させた。得られた記録物におけるベタパッチの画像濃度(光学濃度)を、分光光度計(Spectorolino;Gretag Macbeth製)を用いて測定した。下記基準にて評価した。光学濃度の基準は以下の通りである。評価結果を表6に示す。
【0126】
AA:光学濃度が2.15以上
A:光学濃度が2.05以上2.15未満
B:光学濃度が2.00以上2.05未満
C:光学濃度が2.00未満
【0127】
【表6】

【0128】
実施例1〜11及び比較例1、2より、本発明の色材を用い、20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)に対して10.0質量%以上である場合、耐光性が向上することがわかる。又、実施例4及び比較例3より、本発明の色材を用いない場合、耐光性及び光学濃度を向上するという本発明の効果は得られないことがわかる。又、実施例1、2及び実施例3〜5より、第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)を50.0質量%未満とすることで、より高い光学濃度が得られることがわかる。又、実施例3〜5及び実施例6、7より、第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)を30.0質量%以上とすることで、より高い耐光性が得られることがわかる。又、実施例4及び実施例8〜11より、第1水溶性有機溶剤として、2−ピロリドン、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ポリエチレングリコールを用いる場合、より高い耐光性及び光学濃度が得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】記録装置の斜視図である。
【図2】記録装置の機構部の斜視図である。
【図3】記録装置の断面図である。
【図4】ヘッドカートリッジにインクタンクを装着する状態示した斜視図である。
【図5】ヘッドカートリッジの分解斜視図である。
【図6】ヘッドカートリッジにおける記録素子基板を示す正面図である。
【符号の説明】
【0130】
M2041 分離ローラ
M2060 給紙トレイ
M2080 給紙ローラ
M3000 ピンチローラホルダ
M3030 ペーパーガイドフラッパー
M3040 プラテン
M3060 搬送ローラ
M3070 ピンチローラ
M3110 排紙ローラ
M3120 拍車
M3160 排紙トレイ
M4000 キャリッジ
M5000 ポンプ
M5010 キャップ
E0002 LFモータ
E0014 電気基板
H1000 ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1100 第1の記録素子基板
H1101 第2の記録素子基板
H1200 第1のプレート
H1201 インク供給口
H1300 電気配線基板
H1301 外部信号入力端子
H1400 第2のプレート
H1500 タンクホルダー
H1501 インク流路
H1600 流路形成部材
H1700 フィルター
H1800 シールゴム
H1900 インクタンク
H2000 イエローノズル列
H2100 マゼンタノズル列
H2200 シアンノズル列
H2300 淡シアンノズル列
H2400 ブラックノズル列
H2500 グリーンノズル列
H2600 淡マゼンタノズル列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、色材及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用インクにおいて、
前記色材が、下記の一般式(I)で表される化合物又はその塩であり、
前記水溶性有機溶剤のうち、20℃での比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤を第1水溶性有機溶剤とするときに、前記第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)に対して10.0質量%以上であることを特徴とするインクジェット用インク。
一般式(I)
【化1】

(一般式(I)中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;スルホン酸基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホン酸基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基;カルボキシル基又はスルホン酸基で更に置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基であり、nは0又は1である。)
【請求項2】
前記第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)に対して30.0質量%以上50.0質量%未満である請求項1に記載のインクジェット用インク。
【請求項3】
前記第1水溶性有機溶剤が、2−ピロリドン、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ポリエチレングリコールからなる群から選ばれるものである請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
【請求項4】
他のインクと共に用いられるブラックインクである請求項1〜3の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
【請求項5】
複数のインクからなるインクセットにおいて、ブラックインクとして請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット用インクを含むことを特徴とするインクセット。
【請求項6】
インクをインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行う工程を有するインクジェット記録方法において、前記インクが、請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項7】
前記記録媒体が、支持体にインク受容層を備えてなり、前記インク受容層が、インクを受容するためのカチオン性電荷を有する顔料を含有する請求項6に記載のインクジェット記録方法。
【請求項8】
前記記録媒体が、少なくとも、インクの色材を保持するためのカチオン性電荷を有する顔料、及び、前記顔料のバインダー、を含有するインク受容層を記録面に有し、
前記インク受容層は、前記バインダーが第1架橋剤により架橋し前記顔料と相対的に均一化されている第1層領域、及び、前記バインダーが第2架橋剤により第1層領域に比べて架橋度が大きくなるように架橋している第2層領域、とを有し、
前記第1層領域が第2層領域よりも記録面の表層側に位置している請求項6又は7に記載のインクジェット記録方法。
【請求項9】
前記インク受容層が、少なくとも第1層領域を形成するための、前記顔料としてのアルミナ水和物、前記バインダーとしてのポリビニルアルコール、及び、前記第1架橋剤としてのオルトホウ酸、を含有する塗工液を、前記第2層領域を形成するための、前記第2架橋剤としての四ホウ酸塩を含有する湿潤表面に塗工することで形成されている請求項7又は8に記載のインクジェット記録方法。
【請求項10】
前記塗工液に含有される前記オルトホウ酸の単位面積当たりの含有量が、前記湿潤表面に含有される前記四ホウ酸ナトリウムの単位面積当たりの含有量より少ない請求項9に記載のインクジェット記録方法。
【請求項11】
インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インクが、請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項12】
インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットにおいて、前記インクが、請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とする記録ユニット。
【請求項13】
インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置において、前記インクが、請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−63331(P2006−63331A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216230(P2005−216230)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】