説明

インクジェット用インク組成物

【課題】 水系インクを用いたインクジェット記録を行うにおいて、高い耐擦性が得られ、かつインクの滲みや混色の極めて少ない優れた記録物を得ることを可能にするインク組成物の提供。
【解決手段】 着色剤と、水と、高分子エマルジョンとを少なくとも含んでなるインクジェット用インク組成物であって、前記高分子エマルジョンが、粒子よりなるコア粒子とN置換(メタ)アクリルアミド単位を有する高分子化合物(A)よりなるシェル部とからなり、かつ該高分子化合物(A)がインク組成物中において感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示すことを特徴とする前記インク組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水系インクを用いたインクジェット記録を行うにおいて、高い耐擦性が得られ、かつインクの滲みや混色の極めて少ない優れた記録物を得ることができるインク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット記録用のインクとしては、安全性及び臭気等の面から水性インクが主流であり、各種の水溶性染料や顔料を、水又は水と水溶性有機溶媒に溶解又は分散させ、更に必要に応じて、保湿剤、染料溶解助剤及び防かび剤等を添加したインクが知られている。
近年、インクジェット記録方式による画像形成において、一般のオフィスや家庭で使用される電子写真用紙、ノ−ト、レポ−ト用紙、便箋、ボンド紙、及び、連続伝票用紙などの非塗工紙(以下、これらの紙を総称して普通紙と呼ぶ)を使用する際に、高発色、高品位、高堅牢性、高解像度記録及び高速記録という要求に対して、色材成分をできるだけ紙の表面へ残し、記録ドットのエッジを鮮明にし、色滲み(フェザリング)、混色(ブリーディング)等の少ない高精細なフルカラ−画像が強く要望されており、これを達成するために数多くの提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1は、ゾル−ゲル転移現象をインクに適用した提案であり、室温でゲル、加熱によりゾル状態となり、ゾル状態で被記録材に記録し、インクの冷却によりゲル状態へ戻る為、インクの紙への浸透を制御し得ることが開示されている。しかし、該インクで記録が行われた記録物を高湿度下に保存した場合、画像の転写汚損が生じたり、画像の耐擦性の低下などの問題がある。
【0004】
また、特許文献2、特許文献3および特許文献4には、可逆的熱ゲル化特性を有する化合物をインクに添加することによって、良好な発色性、定着性を有し、滲みが少なく、且つ印字物の保存性に優れる、信頼性に優れたインク及びかかるインクを用いたインクジェット記録方法、機器が開示されている。この技術は、特定の水溶性高分子の水溶液を加熱した際に生じる、水溶性が低下し溶液が白濁する現象(この現象が始まる点を曇点という)に基づくものである。曇点を有する高分子は、その溶解度が負の温度係数を持っている為、曇点以上では溶液からの分離析出状態となり疎水的な析出粒子が生成し、溶液の粘度が低下する。そこで、この析出状態で被記録材上へ記録を行うと、被記録材表面での温度降下により元の粘度に戻って増粘する為、インクの浸透を抑制することが出来ることが記載されている。しかし、前記析出粒子の粒径を制御できないため、粗大な析出粒子を生じて、インクト吐出ノズルの目詰まりを生じるという問題点がある。
【0005】
一方、特許文献5には、高分子コロイドと臨界ミセル濃度(以下「CMC」という)以上の界面活性剤を含み、CMC以上の界面活性剤の添加により形成されるミセルへの染料の吸着作用と高分子コロイドの会合による染料分子の吸着効果により、ブリーディングを抑制することが開示されている。しかし、CMC以上の界面活性剤を用いる為、定着時間は短縮されるものの、紙へのインクの浸透量が大きくなり、発色性が劣るという問題がある。
特許文献6には、油溶性染料を含み非イオン性安定剤が結合した水不溶性ポリマーを液媒体に分散させた不均一インクが開示されていが、染料の選択範囲が拡大するものの、上記と同様に蒸発と浸透に依存する定着機構によるものであるから、定着時間の短縮には効果が少なく隣接ドット間で定着に時間がかかる為、異なるカラー間のブリーディングの問題は改善されていない。
【0006】
特許文献7には、溶剤と、ポリマーコアと染料が共有結合したシリカシェルからなる着色粒子とからなる水性インクが提案されている。該インクは、顔料の分散安定性という点では優れているが、色材の紙表面での凝集に特別の手段を持たない為、画像濃度が充分ではないという問題がある。又、上記と同様に、蒸発と浸透に依存する定着機構によるものであるから、定着時間の短縮には効果が少なく、ブリーディングの問題がある。
さらに、特許文献8、特許文献9および特許文献10には、記録体に着弾後に不可逆的なゲル化反応が起こり、インクが増粘してブリーディングを防止することが提案されているが、増粘しても複数の異色インク境界における混色や滲みを完全に防止することはできない。
【0007】
特許文献11には、インク組成中に高分子ゲル粒子と染料または顔料とをブレンドし、このインクを紙上に着弾させた後にpH変化による高分子ゲル粒子の膨潤を起こし、定着性の向上とフェザリングの抑制を図ったインクが提案されているが、記録紙上でゲル化によって高粘度化しても異なるインクが接触すると、色材の移動によってインクが接触する境界における色材の混色や滲みを完全に防止することができない。
特許文献12には、pH変化、化学物質の吸脱、溶液組成の変化、熱、光、電気、磁気等の刺激により液媒体を吸脱して堆積変化する高分子ゲル粒子を利用したインク組成物が提案されている。しかし、高分子ゲル粒子同士の融着が生じにくいことから、得られる画像の耐擦性が低いという問題がある。
【0008】
また、特許文献13には、熱溶融性ビヒクル、光重合性化合物、光重合開始剤及び色剤を含有してなる常温で固体の熱溶融インクジェットインク組成物が開示されているが、光重合反応を開始するための光源が必要であることや、熱溶融性ビヒクルとしてワックス類を使用するため、該インクで記録が行われた記録物を保存時、画像の転写汚損が生じる問題などがある。
【0009】
以上のように、従来から普通紙に対するインクジェット記録特性を改善するための数々の提案がなされてきたが、いまだ普通紙に対して、発色性が良好で、フルカラ−記録時のように2色以上のインクが打ち込まれる場合でも、フェザ−リングやブリーディングが発生せず、かつ耐擦性に優れるインクは知られていない。
【特許文献1】特開昭62−181372号公報
【特許文献2】特開平6−49399号公報
【特許文献3】特開平6−192605号公報
【特許文献4】特開平7−258590号公報
【特許文献5】特開平5−194884号公報
【特許文献6】米国特許4680332号明細書
【特許文献7】米国特許5100471号明細書
【特許文献8】特開平6−49399号公報
【特許文献9】特開平6−192605号公報
【特許文献10】特開平7−258590号公報
【特許文献11】特開平5−148442号公報
【特許文献12】特開2000−256590号公報
【特許文献13】特開2002−256189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、水系インクを用いたインクジェット記録を行うにおいて、高い耐擦性が得られ、かつインクの滲みや混色の極めて少ない優れた記録物を得ることができるインク組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、着色剤と、水と、高分子エマルジョンとを少なくとも含んでなるインクジェット用インク組成物であって、前記高分子エマルジョンが、粒子よりなるコア粒子とN置換(メタ)アクリルアミド単位を有する高分子化合物(A)よりなるシェル部とからなり、かつ該高分子化合物(A)がインク組成物中において感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示すことを特徴とする前記インク組成物を使用して記録を行うことが前記課題の解決に有効であることを見出し、本発明をなすに至った。
【0012】
すなわち、本発明は以下の通りである。
1) 着色剤と、水と、高分子エマルジョンとを少なくとも含んでなるインクジェット用インク組成物であって、前記高分子エマルジョンが、粒子よりなるコア粒子とN置換(メタ)アクリルアミド単位を有する高分子化合物(A)よりなるシェル部とからなり、かつ該高分子化合物(A)がインク組成物中において感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示すことを特徴とする前記インク組成物。
2) 前記高分子化合物(A)がカルボニル基を有する化合物であって、少なくとも2個の、ヒドラジン基及び/又はセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体を含有することを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
3) インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法において、インク組成物として1)または2)の発明のインク組成物を用いることを特徴とする記録方法によって記録が行われた記録物。
【発明の効果】
【0013】
本発明のインク組成物を用い、インクジェット記録を行えば、従来技術では困難であった、高い耐擦性が得られ、かつインクの滲みや混色の極めて少ない記録画像を得ることが可能になり、産業上の利用価値は甚だ大きなものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明のインク組成物に用いることのできる着色剤としては、水溶性染料および顔料ともに用いることができる。
水溶性染料として、例えば、C.I.ダイレクトブラック-2、-4、-9、-11、-17、-19、-22、-32、-80、-151、-154、-168、-171、-194;C.I.ダイレクトブルー-1、-2、-6、-8、-22、-34、-70、-71、-76、-78、-86、-112、-142、-165、-199、-200、-201、-202、-203、-207、-218、-236、-287;C.I.ダイレクトレッド-1、-2、-4、-8、-9、-11、-13、-15、-20、-28、-31、-33、-37、-39、-51、-59、-62、-63、-73、-75、-80、-81、-83、-87、-90、-94、-95、-99、-101、-110、-189;C.I.ダイレクトイエロー-1、-2、-4、-8、-11、-12、-26、-27、-28、-33、-34、-41、-44、-48、-58、-86、-87、-88、-135、-142、-144;C.I.フードブラック-1、-2;C.I.アシッドブラック-1、-2、-7、-16、-24、-26、-28、-31、-48、-52、-63、-107、-112、-118、-119、-121、-156、-172、-194、-208;C.I.アシッドブルー-1、-7、-9、-15、-22、-23、-7、-29、-40、-43、-55、-59、-62、-78、-80、-81、-83、-90、-102、-104、-111、-185、-249、-254;C.I.アシッドレッド-1、-4、-8、-13、-14、-15、-18、-21、-26、-35、-37、-110、-144、-180、-249、-257;C.I.アシッドイエロー-1、-3、-4、-7、-11、-12、-13、-14、-18、-19、-23、-25、-34、-38、-41、-42、-44、-53、-55、-61、-71、-76、-78、-79、-122等があげられる。
【0015】
顔料としては有機顔料および無機顔料ともに用いることが出来るが、例えば粒子径の小さな各種の有機顔料やカーボンブラックが特に有効に用いられる。高品質の画像が得られるという観点から、一次粒子に小さな顔料を用いることが好ましく、透過型電子顕微鏡を用いて測定した顔料の一次粒子の平均粒径が10〜100nmであることが好ましく、さらには10〜50nmであることが好ましい。
有機顔料としては、キナクリドン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、アゾ系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、イミダゾロン系有機顔料からなる群より選ばれる1種ないし2種以上が好適に用いられる。
【0016】
有機顔料として具体的には、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロンエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料、チオインジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等のその他の顔料が例示できる。
【0017】
また、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、C.I.ピグメントエロー12、13、14、17、20、24、74、83、8693、109、110、117、120、125、137、138、147、148、151、153、154、166、168、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が例示できる。
【0018】
本発明において、インク組成物中の上記着色剤の添加量は、好ましくは、0.1〜40質量%、特に好ましくは、0.5〜30質量%である。上記着色剤の添加量が0.1質量%以上において、実用可能な印字濃度が得られ、着色剤の添加量が40質量%を超えると、着色剤としての効果が飽和するので、上記範囲内とするのが好ましい。
本発明の高分子化合物(A)はN置換(メタ)アクリルアミドモノマー(以下、主モノマー(B)という。)の単独重合高分子化合物、または二種類以上の主モノマー(B)の共重合高分子化合物、さらには、該主モノマー(B)と反応して高分子化合物(A)を作ることができるN置換(メタ)アクリルアミドモノマーに該当しないモノマー(以下、副モノマー(C)という。)と主モノマー(B)との共重合高分子化合物である。主モノマー(B)と副モノマー(C)は各々1種または2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
【0019】
主モノマー(B)としてはN−アルキルまたはN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド誘導体(ここで、(メタ)アクリルとはメタアクリル(またはメタクリル)またはアクリルを簡便に表記したものである)などが挙げられ、具体的には例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチルアクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。得られる画像の耐擦性の観点から、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0020】
副モノマー(C)としては親油性ビニル化合物、親水性ビニル化合物、イオン性ビニル化合物などが挙げられ、具体的には、親油性ビニル化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどが挙げられ、親水性ビニル化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−メチル−5−ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルピロリジン、アクリロニトリル、などが挙げられ、イオン性ビニル化合物としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマーなどが挙げられる。特に、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドが好ましく用いられる。
【0021】
また、インク組成物中における着色剤の分散安定性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマーなどのアニオン基含有モノマーを用いることは好ましく、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸基含有モノマーを用いることは好ましい。
【0022】
主モノマー(B)と副モノマー(C)の共重合割合は用いるモノマー種の組み合わせに依存するが、得られる画像の耐擦性の観点店から、高分子化合物(A)中における副モノマー(C)の割合は50質量%以下が好ましい。更に好ましくは、30質量%以下である。
本発明で使用する高分子化合物(A)がカルボニル基を含有することは、後述のヒドラジン誘導体による架橋により、得られる画像の耐擦性が大きく向上することから特に好ましい。
カルボニル基を含有する高分子化合物(A)は、例えば、カルボニル基を含有するモノマーを副モノマー(C)として使用し、主モノマー(B)および他の副モノマー(C)と共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
【0023】
カルボニル基含有モノマーとしては、モノマー中にケト基またはアルド基を含む構造を有するもので有れば特に制限されないが、例えばアクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、アセトニトリルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、ブタンジオールアクリレートアセチルアセテート等が例示される。
高分子化合物(A)の全モノマー単位中のカルボニル基含有モノマー単位の含有率は特に制限されないが、耐水性付与、耐擦性付与の観点から0.01〜30質量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜20質量%である。
【0024】
本発明の高分子エマルジョンが、後述のコア粒子と、前記高分子化合物(A)よりなるシェル部とによって形成されたコア/シェル構造を有することは、インク組成物の加熱、冷却を繰り返した場合、インクジェットプリンターのインク吐出ノズルの目詰まり防止の観点から好ましい。
本発明において、コア粒子は有機高分子化合物であっても良いし、無機微粒子であっても良い。
【0025】
コア粒子が有機高分子化合物である場合、例えば、水性媒体中でのラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などによって得られる従来公知のポリ(メタ)アクリレート系、ポリビニルアセテート系、酢酸ビニル−アクリル系、エチレン酢ビ系、シリコーン系、ポリブタジエン系、スチレンブタジエン系、NBR系、ポリ塩化ビニル系、塩素化ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、塩化ビニリデン系、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系、スチレン−無水マレイン酸系等の共重合体、三次元架橋樹脂などが挙げられ、シリコーン変性アクリル系、フッ素−アクリル系、アクリルシリコーン、エポキシ−アクリル系等の変性共重合体も含まれ、これらの一種または二種以上を含有することができる。ここで、(メタ)アクリレート系とはメタアクリレート系(またはメタクリレート系)またはアクリレート系を簡便に表記したものである。特に、ポリ(メタ)アクリレート系(アクリル系高分子化合物)または/およびポリスチレン−(メタ)アクリレート系(スチレン−アクリル系高分子化合物)に分類される有機高分子化合物が、最終的に得られる塗工層の透明性や耐光黄変性、得られる記録媒体の保存性などの観点から、好ましく用いられる。
【0026】
有機高分子化合物である場合のコア粒子は高分子エマルジョンとして得られることが好ましく、広く知られている高分子エマルジョンの製造技術を用いることによって得られ、具体的には、水性溶媒に前述の界面活性剤を溶解し、後述するモノマー成分を加えて乳化させ、ラジカル重合開始剤を加えて一括仕込みによる反応により乳化重合を行う方法のほか、連続滴下、分割添加などの方法により反応系に上記共重合成分や、ラジカル重合開始剤を反応系に供給する方法が挙げられる。
【0027】
有機高分子化合物である場合のコア粒子を得るためのモノマーとしてはエチレン性不飽和モノマーの1種または2種以上のものを組み合わせて用いることが出来、具体的には、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド系モノマー、シアン化ビニル類等が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルの例としては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、
【0028】
メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙げられる。エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド系モノマー類としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドなどがあり、シアン化ビニル類としては、例えば(メタ)アクリロニトリルなどがある。
【0029】
また上記以外の具体例としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステル類、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、メチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル類、アリルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、
【0030】
さらにγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピロメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリメチロルプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2,3−シクロヘキセンオキサイド、(メタ)アクリル酸アリル、メタクリル酸アシッドホスホオキシエチル、メタクリル酸3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル、メチルプロパンスルホン酸アクリルアミド、ジビニルベンゼン、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリルとはメタアクリル(またはメタクリル)またはアクリルを簡便に表記したものである。
【0031】
有機高分子化合物である場合のコア粒子のガラス転移点は、重合安定性の観点からガラス転移点は−50〜100℃が好ましく、−40〜70℃がさらに好ましい。
有機高分子化合物である場合の粒子の数平均粒子径は、得られる本発明の高分子エマルジョンの粒径の観点から10〜150nmのものが好ましく用いられ、20〜100nmのものがさらに好ましい。ここで言う数平均粒子径とは、動的光散乱法により測定される数平均粒子径である。
【0032】
コア粒子が無機微粒子である場合、例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、乾式シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト系アルミナ、水酸化アルミニウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、その他にジルコニウム、チタン、タンタル、ニオブ、スズ、タングステンなどの金属酸化物、アルミニウム、バナジウム、ジルコニウム、タングステンなどの金属リン酸塩などが挙げられ、該無機質の一部を他の元素に置換した物や、有機物で修飾することにより表面を改質した物も用いることができる。これら無機微粒子のうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を使用することもできる。コロイダルシリカ、乾式シリカの表面をシランカップリング剤他で修飾した粒子が得られる高分子エマルジョンの安定性の観点から好ましい。
【0033】
該無機微粒子の一次粒子の数平均粒子径は、得られる本発明の高分子エマルジョンの粒径の観点から100nm以下が好ましく用いられ、より好ましくは50nm以下のものが用いられる。該無機微粒子の粒子径の下限は、該無機微粒子の生産性の観点からおよそ3nm以上の数平均粒子径であることが望ましい。
本発明の高分子エマルジョンの平均粒子径は、得られる画像の解像度、鮮明性と高分子エマルジョンの製造効率などの観点から、30〜500nmのものが好ましく、さらに好ましくは50〜300nmである。ここで、平均粒子径とは高分子化合物(A)が疎水性を示す温度領域において動的光散乱法により測定される高分子エマルジョンの数平均粒子径である。
【0034】
本発明の高分子エマルジョンは、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などの高分子エマルジョンを得る方法として一般に良く知られている方法を用いてコア粒子となる粒子を第一段階の反応で合成した後、または別途用意された前記コア粒子の共存下、主モノマー(B)や副モノマー(C)を重合する方法を応用することによって製造することができる。例えば水に界面活性剤を溶解し、前記コア粒子を添加した後、前記主モノマー(B)、副モノマー(C)等共重合モノマー成分を加えて乳化させ、ラジカル重合開始剤を加えて一括仕込みによる反応により乳化重合を行う方法のほか、連続滴下、分割添加などの方法により反応系に共重合成分や、ラジカル重合開始剤を反応系に供給する方法が挙げられる。
【0035】
コア粒子と、高分子化合物(A)よりなるシェル部との比率(コア/シェル比(質量比))は、後述する得られるインク組成物の温度変化に伴う粘度増減幅の制御の容易さ観点から1/10〜10/1の範囲が好ましい。
本発明において、インク組成物中の高分子エマルジョンの含有量は、得られる画像の耐擦性の観点から、インク組成物固形分100質量部中、5〜80質量部含有することが好ましく、20〜60質量部含有することが特に好ましい。
【0036】
本発明のインク組成物は、得られる画像の滲み抑制の観点および、インクジェットプリンターのインク吐出ノズルからインクを吐出する必要性の観点から、25℃では100mPa・s以上の高粘度であり、30℃〜70℃に加熱した場合に1mPa・s以上20mPa・s以下の粘度となることが好ましく、1mPa・s以上10mPa・s以下の粘度となることがより好ましく。すなわち、記録紙表面温度ではインク組成物の粘度が100mPa・s以上の高粘度であれば画像は滲みにくく、インクジェットプリンターのインクタンク中でインク組成物を30℃〜70℃に加熱した場合に、インク吐出ノズルからインクを吐出するに好ましい粘度領域になることが好ましい。
【0037】
本発明の高分子化合物(A)がカルボニル基を含有する場合、インク受容層中に、架橋剤として少なくとも2個のヒドラジン基及び/またはセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体を用いることが、得られる画像の耐水性や耐擦性などの観点から好ましい。
該ヒドラジン誘導体は水の共存下ではカルボニル基との結合は進行しないが、乾燥によって脱水反応を生じ、結合を生じることが知られており、該ヒドラジン誘導体を、本発明のインク組成物に含有させることは好ましい。即ち、印刷を行った後、インク組成物が乾燥することによりカルボニル基部位がヒドラジン誘導体によって架橋された分子構造を形成することによって耐水性と耐擦性を発現する事が可能となる。該ヒドラジン誘導体としては少なくとも2個のヒドラジン基及び/又はセミカルバジド基を有する化合物で有れば特に限定されないが、これらの内、ヒドラジン基を有する化合物としてはカルボヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、水加ヒドラジンなどが例示され、セミカルバジド基を有する化合物としてはポリイソシアネート化合物と該ヒドラジン化合物の反応により得られる生成物が例示される。該ヒドラジン誘導体としては、セミカルバジド基を有する化合物が、得られる画像の耐水性および耐擦性が高くより好ましい。
【0038】
セミカルバジド基を有する化合物の具体例としては、例えば下式(1)で表されるセミカルバジド誘導体、下記式(2)で表されるビスセミカルバジド類等が挙げられる。
【0039】
【化1】

【0040】
(式中、R1は、直鎖状または分岐状の炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換基を有しても有さなくても良い炭素数5〜25のシクロアルキレンジイソシアネート、置換基を有しても有さなくても良い炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネート、及び置換基を有しても有さなくても良い炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートの3量体〜20量体オリゴマーに由来する、末端イソシアネート基を有さないポリイソシアネート残基、もしくはR1は炭素数1〜8のイソシアナトアルキル基で置換されている炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネートに由来する、末端イソシアネート基を有さないトリイソシアネート残基を表す。R2は、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。R3は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基、もしくは置換基を有しても有さなくても良い炭素数6〜10のアリーレン基を表す。nは、0または1を表す。l及びmは、各々0または正の整数を表す。ただし、20≧(l+m)≧3である。)
【0041】
【化2】

【0042】
(式中、Rは、直鎖状または分岐状の炭素数2〜20の2価の脂肪族残基、炭素数6〜25の2価の脂環族残基、置換基を有しても有さなくても良い炭素数6〜25の2価の芳香族残基、及び置換基を有しても有さなくても良い炭素数6〜25の2価の芳香脂環族残基を表す。Rは、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
【0043】
上記ポリセミカルバジド化合物の中で、前記式(1)で表されるセミカルバジド誘導体は、多官能であり、架橋能力が高いことから非常に好ましい。
本発明においてヒドラジン誘導体の含有量は特に限定されないが、インク組成物中においてヒドラジン誘導体中のヒドラジン基に対する高分子化合物(A)のカルボニル基の比が、(カルボニル基)/(ヒドラジン基)モル比で0.001〜10の範囲であることが好ましい。
【0044】
本発明のインク組成物は、孔径1μm以下、好ましくは0.8μm以下、さらに好ましくは0.45μm以下のフィルターで濾過することが好ましい。フィルター濾過に先立って、遠心分離によって大きな粒径のものを除くこともでき、これによりフィルター濾過における目詰まりを少なくし、フィルターの使用期間を長くすることができる。
本発明のインク組成物は、水および必要に応じて水性溶剤を含む水性の液体を媒体とする。水としては、金属イオン等を除去したイオン交換水ないし蒸留水を用いる。水性溶剤は、記録液のノズル部分での乾燥、記録液の固化を防止し、安定な記録液の噴射およびノズルの経時での乾燥を防止するために、単独ないし混合して記録液の0〜50質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0045】
水性溶剤の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、1-ブタノール、2-メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられる。
高分子化合物(A)は感温点以下で親水性となり、感温点を超える温度では疎水性となる性質を有するが、該感温性は水溶媒中で発現するが、水溶性溶剤、特にアルコール類を添加することによって高分子化合物(A)の持つ感温点を低下させ、実用温度ではインク組成物中において高分子化合物(A)が疎水性となりインク組成物の粘度が低下する現象を生じる場合がある。よって、インク組成物に前記水性溶剤を添加する場合、特に、アルコール類を添加する場合は、添加量注意が必要であり、インク組成物中のアルコール濃度は15%以下とすることが好ましい。
【0046】
本発明において、高分子化合物(A)の「感温点」とは、温度変化に応じてその親水性−疎水性が変化する温度であり、「温度応答性」とは、温度変化に応じて該親水性−疎水性の変化を示す性質を意味する。また、本発明において、「親水性」とは高分子化合物(A)と水とが共存する系において高分子化合物(A)は水と相溶した状態の方が、相分離した状態よりも安定であることを意味し、「疎水性」とは高分子化合物(A)と水とが共存する系において高分子化合物(A)は水と相分離した状態の方が、相溶した状態よりも安定であることを意味する。該親水性−疎水性の変化は例えば、高分子化合物(A)と水とが共存する系の温度変化に伴う急激な粘度変化、または高分子化合物(A)と水とが共存する系の透明性の急激な変化、高分子化合物(A)の水に対する溶解性の急激な変化として現れる。本発明においては、高分子化合物(A)と水とが共存する系の温度を、高分子化合物(A)が疎水性を示す温度領域(感温点を超える温度)から徐々に低下させたときの粘度を測定して得られる温度−粘度曲線が急激に変化する転移点として高分子化合物(A)の感温点を求める。
【0047】
本発明のインク組成物には、黴の発生を防止するために、防黴剤を記録液の0.05〜1.0質量%の範囲で添加することができる。防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン-1-オキサイド、ジンクピリジンチオン-1-オキサイド、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン,1-ベンズイソチアゾリン-3-オンのアミン塩等が好ましく用いられる。
また、本発明のインク組成物をインクジェットプリンターで使用する場合、ノズル部での金属の析出や記録液中で不溶解性物の析出等を防止するために、キレート剤を記録液の0〜0.5質量%の範囲で用いることができる。キレート剤は記録液中の金属イオンを封鎖するものであり、具体的には、エチレンジアミンテトラアセティックアシド、エチレンジアミンテトラアセティックアシドのナトリウム塩、エチレンジアミンテトラアセティックアシドのジアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラアセティックアシドのテトラアンモニウム塩等が挙げられる。
【0048】
本発明のインク組成物に界面活性剤を必要に応じて添加しても良い。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性イオン性、非イオン性のいずれの活性剤でも良い。
アニオン性界面活性剤の例としては、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウム、等の脂肪酸塩類;ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸トリ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、オクタデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;ノニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸塩類;ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等のナフタレンスルホン酸塩類;スルホコハク酸ジドデシルナトリウム、スルホコハク酸ジオクタデシルナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類;ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸トリ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレン硫酸エステル塩類;ドデシルリン酸カリウム、オクタデシルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩類等が挙げられる。
【0049】
カチオン性界面活性剤の例としては、酢酸オクタデシルアンモニウム、ヤシ油アミン酢酸塩等のアルキルアミン塩類;塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ドデシルベンジルジメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩類が挙げられる。
両性イオン性活性剤の例としては、ドデシルベタイン、オクタデシルベタイン等のアルキルベタイン類;ドデシルジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド類等が挙げられる。
【0050】
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレン(9-オクタデセニル)エーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンフェニルエーテル類;ポリ酸化エチレン、コ-ポリ酸化エチレン酸化プロピレン等のオキシラン重合体類;ソルビタンドデカン酸エステル、ソルビタンヘキサデカン酸エステル、ソルビタンオクタデカン酸エステル、ソルビタン(9-オクタデセン酸)エステル、ソルビタン(9-オクタデセン酸)トリエステル、ポリオキシエチレンソルビタンドデカン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンヘキサデカン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオクタデカン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオクタデカン酸トリエステル、ポリオキシエチレンソルビタン(9-オクタデセン酸)エステル、ポリオキシエチレンソルビタン(9-オクタデセン酸)トリエステル等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビトール(9-オクタデセン酸)テトラエステル等のソルビトール脂肪酸エステル類;グリセリンオクタデカン酸エステル、グリセリン(9-オクタデセン酸)エステル等のグリセリン脂肪酸エステル類が挙げられる。これらの非イオン性活性剤の中でもHLBが14以上のものが特に好ましい。
【0051】
本発明のインク組成物に水溶性樹脂を添加してもよい。該水溶性樹脂の例としては、にかわ、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、アラビアゴム、フィッシュグリュー、アルギン酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ酸化エチレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体等が挙げられる。
水溶性樹脂は、インク組成物の粘度調節などの目的で必要に応じて使用されるものであり、インク組成物に使用する場合のインク組成物中の水溶性樹脂の含有割合は、質量基準で、30%以下が好ましく、20%以下が特に好ましい。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
以下の実施例及び比較例において、「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」を表わす。
動的光散乱法による数平均粒子径は大塚電子(株)製ELS―800を用い測定した。
本発明におけるインク組成物の感温点は、予想される感温点以上の温度に加熱したインク組成物を徐々に低下させながら、粘度測定を行い、温度−粘度曲線が急激に変化する転移点をインク組成物の感温点として求めた。
実施例および比較例において、画像の耐擦性、滲み、および混色の各評価を以下に示す基準で行った。
【0053】
(耐擦性の評価)
印刷後30分経過した記録物の画像部を、指で強く擦り、以下の判断基準に従って評価した。
○:汚れは全く生じない
△:わずかに汚れる。
×: 汚れる
【0054】
(滲みの評価)
印刷後30分経過した記録物の画像部と白紙部(未印刷部)との境界におけるインクの滲みを目視によって官能的に評価し、以下の判定を行った。
○:滲みがほとんど認められない。
△:滲みが認められるが、目立たない。
×:滲みが気になる。
(混色の評価)
印刷後30分経過した記録物の画像部の2色が重なる部分における混色の発生を目視によって官能的に評価し、以下の判定を行った。
○:混色がほとんど認められない。
△:混色が認められるが、目立たない。
×:混色が気になる。
【0055】
(調製例1)
かくはん機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水200部及び「アデカリアソープSE1025N」(旭電化工業(株)製、界面活性剤:商品名)の25%水溶液1部を投入し、反応容器内を80℃とした。次に、メタクリル酸3部、メタクリル酸メチル48部、アクリル酸ブチル5部、2−ヒドロキシメタクリル酸エチル2部、メチレンビスアクリルアミド2部を混合し、該モノマー混合液に、「アデカリアソープSE1025N」の25%水溶液10部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液10部の混合液とをホモジナイザーによりプレ乳化液とし、滴下槽より反応容器中へ2時間かけて添加した。添加中及び添加が終了してからさらに1時間、反応容器中の温度を80℃に保った。この段階でのエマルジョンの数平均粒子径は20nmであった。引き続き、過硫酸アンモニウムの2%水溶液10部、N−イソプロピルアクリルアミド100部、アクリルアミド30部、ダイアセトンアクリルアミド10部、メタクリル酸4部、メチレンビスアクリルアミド1部、水600部の混合液を滴下槽より該反応容器内に添加開始し、4時間かけて添加を終了させた。添加中及び添加終了後1時間、反応容器内液温を80℃に保った後、50℃まで冷却した。数平均粒子径が130nm、樹脂固形分20%の高分子エマルジョン1を得た。
【0056】
(調製例2)
攪拌器、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水650部を投入し反応容器内を80℃にした。次に「アデカリアソープSE1025N」の25%水溶液7部と過硫酸アンモニウムの2%水溶液14部を添加した。その5分後に、メタクリル酸メチル360部、アクリル酸ブチル540部、メタクリル酸18部、「アデカリアソープSE1025N」の25%水溶液40部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液45部と水450部をホモジナイザーによりプレ乳化液としたものを反応容器に添加開始し、4時間かけて添加を終了させた。添加中及び添加終了後1時間、反応容器内液温を80℃に保った後、室温まで冷却を行った。数平均粒子径が100nm、樹脂固形分43%の高分子エマルジョン2を得た。
【0057】
(調製例3)
ヘキサメチレンジイソシアネート168部、ビュレット化剤としての水1.5部を、エチレングリコールメチルエーテルアセテートとリン酸トリメチルの1:1(質量比)の混合溶媒130部に溶解し、反応温度160℃にて1時間反応させた。得られた反応液を薄膜蒸留缶を用いて、1回目は133Pa/160℃の条件下、2回目は13.3Pa/200℃の条件下にて2段階の処理により余剰のヘキサメチレンジイソシアネート、及び溶媒を留去回収し、残留物を得た。得られた残留物は、99.9質量%のポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートのビュウレット型ポリイソシアネート)及び0.1質量%の残存ヘキサメチレンジイソシアネートを含んでいた。得られた残留物の粘度は1900(±200)mPa.s/25℃、数平均分子量は約600(±100)であり、平均−NCO官能基数は約3.3、−NCO基含有量は23.3質量%であった。
【0058】
還流冷却器、温度計及び撹拌装置を有する反応器にイソプロピルアルコール1000部にヒドラジン1水和物80部を撹拌しながら約30分かけて室温で添加した後、上記ポリイソシアネート(NCO基含量23.3質量%)144部をテトラヒドロフラン576部に溶解した溶液を10℃にて約1時間かけて添加し、さらに40℃にて3時間撹拌を続け、1000部の水を添加した。続いて得られた反応液中のイソプロピルアルコール、ヒドラジン、テトラヒドロフラン、水等を加熱減圧下に留去することにより168部のビウレット構造を有するポリセミカルバジド化合物を得た。平均セミカルバジド残基数を測定したところ、4.6meq/gであった。
【0059】
(調製例4)
下記の原料を混合したのち0.45μmのメンブランフィルターで各々のインク組成物を濾過し、ブラック、イエロー、マゼンタ、ブルーの4色のインク組成物からなるインク組成物セット1を得た。なお、各着色剤は予め下記組成で、精製水、非イオン性界面活性剤を添加し、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミルSC100/32型、三井鉱山(株)製)を用い、十分に粉砕したものを用いた。
ブラックインク組成物は以下の通りである。
カーボンブラック(CABO JET−300、昭和キャボット社製) 5部
精製水 150部
非イオン性活性剤(エマルゲンA-90、花王社製) 0.1部
トリエタノールアミン 0.1部
グリセリン 20部
調製例1で得られた高分子エマルジョン1 1部
【0060】
イエローインク組成物は上記組成のカーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントイエロー74を用いる以外は全く同様にして調製した。
マゼンタインク組成物は上記組成のカーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントレッド122を用いる以外は全く同様にして調製した。
ブルーインク組成物は上記組成のカーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を用いる以外は全く同様にして調製した。
上記4色のインク組成物の感温点の測定結果はいずれも35℃であった。
【0061】
(調製例5)
調整例4のインク組成のうち、調製例1で得られた高分子エマルジョン1を10部添加する以外は全く同様にして、インク組成物セット2を得た。得られた4色のインク組成物の感温点の測定結果はいずれも35℃であった。
【0062】
(調製例6)
調整例5のインク組成に、調製例3で得られたポリセミカルバジド化合物を0.1部添加する以外は全く同様にして、インク組成物セット3を得た。得られた4色のインク組成物の感温点の測定結果はいずれも35℃であった。
【0063】
(調製例7)
調整例5のインク組成のうち、調製例1で得られた高分子エマルジョン1の代わりに調整例2で得られた高分子エマルジョン2を4.5部添加する以外は全く同様にして、インク組成物セット4を得た。得られた4色のインク組成物の感温点の測定を試みたが、感温点は観測されなかった。
【0064】
[実施例1]
調製例4で得られたインク組成物セット1をインクジェットプリンター(PM770C、セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに充填し、予め該インクカートリッジごとインク組成物を40℃に加熱し、すばやく、室温の普通紙(EP・R紙:商品名、富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製)に、各種テストパターンを印刷した。印刷モードは「インク:黒、用紙設定:普通紙、モード設定:推奨設定」を選択した。
得られた記録物について前述の各評価を行い、結果を表1に記した。
【0065】
[実施例2]
調製例4で得られたインク組成物セット1の代わりに調製例5で得られたインク組成物セット2を用いる以外は全て実施例1と同様に行い、結果を表1に記した。
【0066】
[実施例3]
調製例3で得られたインク組成物セット1の代わりに調製例6で得られたインク組成物セット3を用いる以外は全て実施例1と同様に行い、結果を表1に記した。
【0067】
[比較例1]
調製例3で得られたインク組成物セット1の代わりに調製例7で得られたインク組成物セット4を用いる以外は全て実施例1と同様に行い、結果を表1に記した。
【0068】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用に使用すれば、従来技術では困難であった、高い耐擦性が得られ、かつインクの滲みや混色の極めて少ない優れた記録物を得ることが可能になり、インクジェット記録用インク組成物とその記録物に係わる分野で産業上の利用価値は甚だ大きなものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤と、水と、高分子エマルジョンとを少なくとも含んでなるインクジェット用インク組成物であって、前記高分子エマルジョンが、粒子よりなるコア粒子とN置換(メタ)アクリルアミド単位を有する高分子化合物(A)よりなるシェル部とからなり、かつ該高分子化合物(A)がインク組成物中において感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示すことを特徴とする前記インク組成物。
【請求項2】
前記高分子化合物(A)がカルボニル基を有する化合物であって、少なくとも2個の、ヒドラジン基及び/又はセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体を含有することを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法において、インク組成物として請求項1または請求項2に記載のインク組成物を用いることを特徴とする記録方法によって記録が行われた記録物。

【公開番号】特開2006−16499(P2006−16499A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195921(P2004−195921)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】