説明

インクジェット記録ヘッド用基板、記録ヘッド、記録装置及びインクジェット記録ヘッド用基板の製造方法

【課題】内部応力の発生を抑制できるとともに、発泡室のパターン不良の発生を防止できる、インクジェット記録ヘッド用基板、記録ヘッド、記録装置及びインクジェット記録ヘッド用基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のインクジェット記録ヘッド用基板11は、インク流路25及び吐出口23に連通する発泡室22が形成されることとなる流路形成部材21が積層されるものである。このインクジェット記録ヘッド用基板11において、流路形成部材21の、発泡室22の周縁であって発泡室22の側壁21aに繋がる下端面21bに対応する位置に形成された、上面が平坦な平坦化層1を有する。さらに本発明のインクジェット記録ヘッド用基板11は、平坦化層1の周囲に形成された、流路形成部材21が直接接触する接触面21cを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出口よりインク液滴を吐出させることにより記録を行うインクジェット記録ヘッドに用いられるインクジェット記録ヘッド用基板に関する。さらに、このようなインクジェット記録ヘッド用基板を有するインクジェット記録ヘッドと、このようなインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に関する。また、本発明は、インクジェット記録ヘッド用基板及びインクジェット記録チップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録ヘッドにおいて、記録速度の高速化を実現するために、ヘッドの長尺化が進んできている。しかしながら、このインクジェット記録ヘッドを長尺化することにより、インクジェット記録ヘッド用基板から流路形成部材が剥れやすくなるという問題が発生してきている。
【0003】
この問題を解決するため、特許文献1に開示されているように、ヒータボード上のヒータ配線を除く領域に平坦化膜を形成し、ヒータボードと流路形成部材との密着性向上を図る技術が開示されている。
【0004】
以下、インクジェット記録ヘッド用基板上に吐出口と発泡室および流路が形成されたものをインクジェット記録チップと表記する。
【特許文献1】特開平8−197734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、さらなる長尺インクジェット記録チップの開発が進められている。しかしながら、ヘッドのさらなる長尺化により、インクジェット記録チップの内部応力の影響がさらに厳しくなり、これらの内部応力により流路形成部材の剥離などが発生する場合がある。
【0006】
また剥離までに至らなくてもインクジェット記録チップのそりとして問題が発生する可能性がある。これらの内部応力は、特に特許文献1に開示されるようにヒータボード上のヒータ配線を除く領域に平坦化膜を形成した場合に顕著に問題に現れてくる場合がある。また、さらなる長尺化を進めていくうちに、インクジェット記録チップの流路および吐出口形成工程において新たな発泡室のパターン不良が発生することがあった。この新たなパターン不良の一例を図7に示す。図7は、従来のインクジェット記録チップの一例のヒータ部周辺を示す図であり、図7(a)はその平面図であり、図7(b)は発泡室内のEE断面図である。
【0007】
従来のインクジェット記録ヘッド用基板71はヒータ212とそれに電力を供給するヒータ配線213とそれらの保護膜214とが積層されてなるものである。保護膜214上に流路形成部材221が積層されており、発泡室222と吐出口223が形成されている。図7に示すように、発泡室222がヒータ配線間の窪みに沿ってツノ状に拡張されたような形状のパターン不良72が発生している。
【0008】
同パターン不良は流路形成型材のパターニング後にはみられず、その後の流路形成部材形成工程において生じている。この発生状況から、同パターン不良は流路形成部材形成工程において流路形成型材がヒータ配線間の窪みに沿って押し出されているものと考えている。これは、流路および吐出口形成工程の熱履歴に伴う流路形成部材の体積変化やそりなどにより、流路形成型材に力がかかり流路壁を押している状態になる。そして、発泡室とヒータ配線が交差している場所のヒータ配線間の窪み部などに力が集中して押し出されたものと推測される。
【0009】
また、これらの発泡室のパターン不良は、実際のプリンタなどでの記録時は発泡室内での泡溜りの起点となり泡が滞留することになる。この残留泡はヒータによる発泡による発生圧力の緩衝材として働き、インク滴の吐出速度低下の要因となり、最後には吐出しなくなり記録された画質に大きく影響を与えることになる。
【0010】
そこで、本発明は、内部応力の発生を抑制できるとともに、発泡室のパターン不良の発生を防止できる、インクジェット記録ヘッド用基板、記録ヘッド、記録装置及びインクジェット記録ヘッド用基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のインクジェット記録ヘッド用基板は、インク流路及び吐出口に連通する発泡室が形成されることとなる流路形成部材が積層されるものである。このインクジェット記録ヘッド用基板において、流路形成部材の、発泡室の周縁であって発泡室の側壁に繋がる下端面に対応する位置に形成された、上面が平坦な平坦化層を有する。さらに本発明のインクジェット記録ヘッド用基板は、平坦化層の周囲に形成された、流路形成部材が直接接触する接触面を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内部応力の発生を抑制できるとともに、発泡室のパターン不良の発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態のインクジェット記録ヘッド用基板のヒータ部周辺を示す平面図と発泡室内のAA断面図である。
【0015】
このインクジェット記録ヘッド用基板11は、ヒータ12と、ヒータ12に電力を供給するヒータ配線13と、これらを保護するための保護膜14とが積層されている。さらに、インクジェット記録ヘッド用基板11には、本発明の特徴である平坦化層1が形成されている。
【0016】
本実施形態のインクジェット用基板に流路および吐出口を形成したインクジェット記録チップを図2A及び図2Bに示す。図2Aは、本実施形態のインクジェット記録チップ24のヒータ部周辺を示す平面図と発泡室内のBB断面図である。また、図2Bは、図2Aに示されたインクジェット記録チップの発泡室近傍であって平坦化層が形成されている部分の一部拡大図である。
【0017】
インクジェット記録チップ24は、インクジェット記録ヘッド用基板11の上に流路形成部材21が積層されており、発泡室22、吐出口23及びインク流路25が形成されている。インクジェット記録チップ24は、発泡室22の周縁部分に平坦化層1を有する。すなわち、インクジェット記録ヘッド用基板11は、流路形成部材21の、発泡室22の周縁であって発泡室22の側壁21aに繋がる下端面21bに対応する位置に、上面が平坦な平坦化層1を有する。なお、下端面21bとは図2B(a)ではハッチングで示されている部分である。また、平坦化層1は、発泡室22内に対応する位置であって、かつヒータ12の配置されていない位置にも形成されている。換言すれば、平坦化層1は、流路および吐出口形成工程において、発泡室22が形成されることとなる側壁21aの角部21dの発泡室22側と流路形成部材21側の両側に亘る領域に設けられている。なお、平坦化層1の一部は、ヒータ配線13の上部にも形成されている。
【0018】
また、インクジェット記録ヘッド用基板11は、平坦化層1の周囲に接触面21cを有する。この接触面21cは、インクジェット記録ヘッド用基板11の基板部11a上に流路形成部材21が積層して形成されることで流路形成部材21と基板部11aとが直接接触する面を指す。接触面21c上には平坦化層1は形成されていない。
【0019】
このように、本実施形態のインクジェット記録ヘッド用基板11は、流路形成部材21の下端面21bを支持する位置及びその近傍に平坦化層1が形成されている。このため、インクジェット記録チップ24は、インクジェット記録ヘッド用基板11と流路形成部材21との密着性の向上が図られたものとなる。また、本実施形態のインクジェット記録チップ24は、平坦化層1の周囲には接触面21cが形成されており、従来のようにインクジェット記録ヘッド用基板11と流路形成部材21とを全面に亘り、平坦化層1で接合した構成とはなっていない。Siウェハ上に平坦化層1としてのSiO2膜を作成した場合、上に凸状になるように内部応力が働く。一方、Siウェハ上に流路形成部材21を作成した場合は、下に凸状に内部応力が働く。このように、相反する方向に内部応力が働くため、流路形成部材との接着界面における力はかなり強くなることが予想される。しかし、本実施形態のインクジェット記録ヘッド用基板11は、流路形成部材21の下端面21bを支持する位置及びその近傍のみに平坦化層1を形成している。そして、その他の領域はインクジェット記録ヘッド用基板11の基板部11a上に流路形成部材21が直接積層される接触面21cとしている。このため、本実施形態の場合、インクジェット記録ヘッド用基板11と流路形成部材21との接着界面における内部応力の発生を従来に比べ、小さくすることができる。よって、本実施形態においては、インクジェット記録ヘッド用基板11と流路形成部材21との剥離、あるいはインクジェット記録チップ24のそりを防止することができる。
【0020】
そして、流路形成部材21の下端面21bが平坦化層1によって支持されていることで、発泡室22のパターン不良の発生を抑えられる。これは、流路および吐出口形成工程の熱履歴に伴う流路形成部材21の体積変化やそりなどにより、流路形成型材41(図4B参照)に力がかかったとしても力の集中を回避できるためである。このように、本実施形態においては、発泡室22のパターン不良の発生を抑制できるため、残留泡に起因する吐出不良を防止することができる。
【0021】
次に、本発明のインクジェット記録ヘッド用基板の製造プロセスの一例について図3A〜図3Eを用いて説明する。
【0022】
図3A〜図3Eは、本実施形態のインクジェット記録ヘッド用基板のヒータ部周辺を作製する時のプロセスを示す平面図(図中(a))、及び発泡室内のCC断面図(図中(b))である。
【0023】
本プロセス例では、平坦化層1のパターニングにはリフトオフ法を用い、平坦化にはCMP(化学的機械研磨)法を用いている。
【0024】
まず、従来方法によるインクジェット記録ヘッド用基板を作製する(図3A)。インクジェット記録ヘッド用基板71はヒータ12とヒータ12に電力を供給するヒータ配線13と、これらの保護膜14とが積層されてなるものである。
【0025】
このインクジェット記録ヘッド用基板71に平坦化層1をリフトオフ法においてパターニングするためのレジスト31をパターニングする(図3B)。平坦化層1を配置する位置は、流路形成部材21の、発泡室22の周縁であって発泡室22の側壁21aに繋がる下端面21bに対応することとなる位置である。また、平坦化層1は、発泡室22内に対応することとなる位置であって、かつヒータ12の配置されていない位置にも配置される。換言すれば、平坦化層1は、流路および吐出口形成工程において、発泡室22が形成されることとなる側壁21aの角部21dの発泡室22側と流路形成部材21側の両側に亘る領域に配置される。なお、平坦化層1の一部は、ヒータ配線13の上部にも配置される。
【0026】
次に、本発明である平坦化層1を積層させる(図3C)。ここで、平坦化層1としては例えばSiO2などをCVD法などで成膜することができる。
【0027】
次に、この基板をCMP法により平坦化する(図3D)。
【0028】
その後、リフトオフ用のレジストを除去することにより本発明のインクジェット記録ヘッド用基板が完成する(図3E)。
【0029】
次に、本発明のインクジェット記録チップの製造プロセスの一例について図4A〜図4Eを用いて説明する。
【0030】
図4A〜図4Eは、本実施形態のインクジェット記録チップの流路および吐出口を作製する時のプロセスを示す平面図(図中(a))と、発泡室内のDD断面図(図中(b))である。
【0031】
まず、本発明のインクジェット記録ヘッド用基板11を、図3A〜図3Eを用いて説明した製造方法により作製する(図4A)。
【0032】
次に、発泡室やインク流路を形成するための流路形成型材41をパターニングする(図4B)。ここで流路形成型材41としては、例えばアクリル系のポジ型光感光性樹脂などが用いられる。
【0033】
さらに、流路形成部材21をスピンコート法などで塗布する(図4C)。ここで流路形成部材21としては、例えばエポキシ系のネガ型光感光性樹脂などが用いられる。流路形成部材21は、発泡室22の周縁部分については平坦化層1上に形成され、平坦化層1の周囲については、接触面21c上に直接形成される。
【0034】
そして、露光現像により流路形成部材21をパターニングして吐出口23を形成する(図4D)。
【0035】
その後、流路形成型材41を溶解除去することにより発泡室22を作製し、本発明のインクジェット記録チップ24が完成する(図4E)。
【0036】
インクジェット記録チップ24は、平坦化層1が、流路形成部材21の、発泡室22の周縁であって発泡室22の側壁21aに繋がる下端面21bに対応することとなる位置に形成されている。また、平坦化層1は、発泡室22内に対応することとなる位置であって、かつヒータ12の配置されていない位置にも形成されている。換言すれば、平坦化層1は、流路および吐出口形成工程において、発泡室22が形成されることとなる側壁21aの角部21dの発泡室22側と流路形成部材21側の両側に亘る領域に形成されている。なお、平坦化層1の一部は、ヒータ配線13の上部にも形成されている。
(実施例1)
本実施例では、図1に示すインクジェット記録ヘッド用基板11を用いて、図2のインクジェット記録チップを作製した。インクジェット記録チップとしての大きさは、長手方向長さが50mmで、幅は3mmである。完成後、インクジェット記録チップの発泡室形状の検査を行った。また、比較例として、平坦化層の無い従来のインクジェット記録チップを作製し、発泡室形状の検査を行った。
【0037】
それぞれ100チップを検査したところ、本発明のインクジェット記録チップには異常が無かったが、比較例としての従来品は4チップについて発泡室の形状異常が確認された。
(実施例2)
本実施例では、実施例1と同じインクジェット記録チップを作製し、これを用いたインクジェット記録ヘッドを組立てた。さらに、このインクジェット記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置により記録動作を行った。
【0038】
図5は、本実施例のインクジェット記録ヘッドの外観斜視図である。
【0039】
フレキシブルフィルム配線基板111の一端側には、本発明のインクジェット記録ヘッド用基板11と電気的に接続される電気接続部112が設けられている。また、フレキシブルフィルム配線基板111の他端側には、インクジェット記録装置との接続に用いられるコンタクトパッド部113が形成されている。このような構成のフレキシブルフィルム配線基板111、及び本発明のインクジェット記録チップ24を、インクタンク114の表面に貼り付ける。その後、ボンディングを行い、フレキシブルフィルム配線基板111の電気接続部112を封止材によって封止してインクジェット記録ヘッド115が完成する。
【0040】
インクジェット記録ヘッド115は、ヒータ配線13を介してヒータ12に電気エネルギを入力することで、これらヒータ12に接する、インク流路25から発泡室22内に供給されたインクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態変化を生じさる。そして、インクジェット記録ヘッド115は、このインクの状態変化に基づく作用力によって吐出口23からインクを吐出し、この吐出されたインクが被記録媒体上に付着させて画像形成を行うように構成されている。
【0041】
図6は、本発明のインクジェット記録ヘッドが適用されるインクジェット記録装置の模式的な概観斜視図である。
【0042】
図6に示すようにメインフレーム122のキャリッジ123上に本発明のインクジェット記録ヘッド115を搭載することにより本発明のインクジェット記録装置121が完成する。124は紙送り機構であり、被記録媒体である記録用紙Pを供給、搬送する。
【0043】
本体シャーシ126にはガイドシャフト125が取付けられ、キャリッジ123は、矢印A方向に摺動自在にガイドシャフト125に支持されている。インクジェット記録ヘッド115はキャリッジ123に着脱自在に搭載されている。また、インクジェット記録ヘッド115は、フレキシブルケーブル(不図示)を介して、本体シャーシ126の背面に取り付けられている、インクジェット記録装置本体を制御する基板であるコントロール基板(不図示)に電気的に接続される。記録用紙Pは紙送り機構124により矢印Bで示す副走査方向に搬送され、記録領域においてインクジェット記録ヘッド115から吐出されたインクにより記録がなされる。
【0044】
なお、本実施例では、インクジェット記録ヘッド115は、インクジェット記録チップ24とインクタンク114を一体化したものを、その一例として挙げている。しかしながら、インクジェット記録チップ24とインクタンクカートリッジとは分離可能な構成であってもよい。この場合、インクカートリッジは交換可能な構成とされる。インクジェット記録ヘッド115は、キャリッジ123上に固定される、あるいはキャリッジ123に対して着脱可能な構成が採用される。
【0045】
以上の構成の本発明のインクジェット記録装置121を用いて長時間連続的な記録動作を行った。また、比較例として、平坦化層の無い従来のインクジェット記録チップを搭載したインクジェット記録装置を用いて、同様に長時間連続的な記録動作を行った。
【0046】
その結果、従来のインクジェット記録装置では不吐出ノズルが発生することがあったが、本発明のインクジェット記録装置121においては、問題無く記録動作を行うことが可能であることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録ヘッド用基板の平面図および断面図である。
【図2A】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録チップの平面図および断面図である。
【図2B】図2Aに示されている発泡室近傍の一部拡大図である。
【図3A】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録ヘッド用基板の製造プロセスの説明図である。
【図3B】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録ヘッド用基板の製造プロセスの説明図である。
【図3C】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録ヘッド用基板の製造プロセスの説明図である。
【図3D】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録ヘッド用基板の製造プロセスの説明図である。
【図3E】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録ヘッド用基板の製造プロセスの説明図である。
【図4A】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録チップの製造プロセスの説明図である。
【図4B】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録チップの製造プロセスの説明図である。
【図4C】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録チップの製造プロセスの説明図である。
【図4D】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録チップの製造プロセスの説明図である。
【図4E】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録チップの製造プロセスの説明図である。
【図5】本発明の実施例2におけるインクジェット記録ヘッドの外観斜視図である。
【図6】本発明の実施例2におけるインクジェット記録装置の模式的な概観斜視図である。
【図7】従来のインクジェット記録ヘッド用基板の一例の平面図および断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 平坦化層
11 インクジェット記録ヘッド用基板
21 流路形成部材
21a 側壁
21b 下端面
21c 接触面
22 発泡室
23 吐出口
25 インク流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク流路及び吐出口に連通する発泡室が形成されることとなる流路形成部材が積層されるインクジェット記録ヘッド用基板において、
前記流路形成部材の、前記発泡室の周縁であって前記発泡室の側壁に繋がる下端面に対応する位置に形成された、上面が平坦な平坦化層と、
前記平坦化層の周囲に形成された、前記流路形成部材が直接接触する接触面と、を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド用基板。
【請求項2】
前記発泡室内に配置されるヒータを有し、
前記平坦化層は、前記発泡室内に対応する位置であって、かつ前記ヒータの配置されていない位置に形成されている、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド用基板に前記インク流路及び前記吐出口に連通する前記発泡室が形成された前記流路形成部材を積層してなるインクジェット記録チップを備えたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載のインクジェット記録ヘッドを着脱可能に搭載するキャリッジを備えていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
インク流路及び吐出口に連通する発泡室が形成されることとなる流路形成部材が積層されるインクジェット記録ヘッド用基板の製造方法において、
前記流路形成部材の、前記発泡室の周縁であって前記発泡室の側壁に繋がる下端面に対応する位置に、上面が平坦な平坦化層を形成する工程と、
前記平坦化層の周囲に前記流路形成部材が直接接触する接触面を形成する工程と、を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッド用基板の製造方法。
【請求項6】
前記発泡室内にヒータを配置する工程と、
前記平坦化層を、前記発泡室内に対応する位置であって、かつ前記ヒータの配置されていない位置に形成する工程と、を含む請求項5に記載のインクジェット記録ヘッド用基板の製造方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の製造方法により製造された前記インクジェット記録ヘッド用基板上に、前記発泡室及び前記インク流路を形成するための流路形成型材を形成する工程と、
前記流路形成型材を形成した後、前記流路形成部材を積層する工程と、
前記流路形成部材を積層した後、流路形成型材を除去する工程と、を含むインクジェット記録チップの製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−298078(P2009−298078A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156647(P2008−156647)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】