説明

インクジェット記録ヘッド

【課題】 インクジェット記録装置に着脱可能で、装着時に装置側の接続部と接触して信号を受容する端子が設けられたTABテープでなる電気配線部材を有し、上記端子が配設される領域側に位置する配線部材端面で導電性の配線部材が露出するようなインクジェット記録ヘッドにおいて、当該端面に水滴やインクなどの液体が移動してくることを防止する。
【解決手段】 電気配線部材を支持する支持部材に、電気配線部材の支持領域を横切る方向に延在する開口を設ける。これにより、電気配線部材裏面とこれを支持する支持部材表面との間隙を伝う液体の上記端面への移動を阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を吐出して記録動作を行うインクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッドに関する。本発明は、一般的なプリント装置のほか、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリント部を有するワードプロセッサ等の装置、あるいは、これらの装置を複合した多機能記録装置等に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
近年来のパーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの等情報処理機器の普及に伴い、画像形成端末としての記録装置も急速に発展および普及してきた。そして種々の記録装置の中でも、吐出口からインクを吐出させて紙、布、プラスチックシート、OHP用シートなどの記録媒体上に記録を行うインクジェット記録装置は、低騒音のノンインパクト型の記録方式であること、高密度かつ高速な記録動作が可能であること、カラー記録にも容易に対応できること、低廉であることなど、極めて優れた特長を有している。このようなことから、インクジェット記録装置は今やパーソナルユースの記録装置の主流となっており、現在ではより一層の小型化やロープロファイル化が進んでいる。
【0003】
かかる状況下、インクジェット記録装置(以下、プリンタとも言う)に搭載されるインクジェット記録ヘッドについてもより一層の小型化やロープロファイル化が求められている。また、ユーザに対して記録ヘッドを低廉に提供できるよう、構成部品のコストや製造・組立の容易化を重視していくとともに、環境への配慮からも、できるだけ部品点数を減らす努力がなされている。
【0004】
これらの要望に応えるものとして、インクを収容するインクタンク部とインクを吐出する記録ヘッド部とが一体になったカートリッジタイプのインクジェット記録ヘッド(以下、インクタンク一体型記録ヘッドと称する)がある。かかるインクタンク一体型記録ヘッドは、概して
・インクを吐出するために利用されるエネルギを発生する素子(例えば通電に応じインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する電気熱変換素子)と、インクの吐出口とを実装した記録素子基板;
・プリンタ本体から電気信号を受けて、その電気信号を記録素子基板に伝達するための電気配線部材;
・記録素子基板と電気配線部材とを固定保持するとともに、インクを収容するための筐体をなす本体部材;
・本体部材のインク収容部分から記録素子基板へのインク供給路を形成するための流路部材;
・本体部材に収容されたインク、または本体部材に収容されてインクを含浸保持するための吸収体;および
・溶着等により本体部材に接合されてインクの収容空間を画成する蓋部材
から構成されている。
【0005】
ここで、記録素子基板と、本体部材の側面に沿わせるべく一般に可撓性のある電気配線部材とは、例えばボンディング等によって接合される。そして、記録素子基板および電気配線部材の裏面は、特許文献1に開示されているように本体部材の所定の位置に位置決めされた後、接着等によって固定される。ここで、電気配線部材の電気信号入力端子が配設された領域についても、本体部材の側面に沿って折り曲げた後、接着等によって本体部材に固定される。一方、本体部材と流路部材とは予め超音波溶着等で接合されており、その後、吸収体を挿入してインクを注入し、蓋部材を本体部材に接合することでインクジェットカートリッジが完成する。
【0006】
以上のような構成は、部品点数が少なく、簡単な工程で組み立て可能であることから製造コストが低廉であるという利点を有している。
【0007】
【特許文献1】特開平8−300687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような記録ヘッドの構成では、本体部材に対して、電気配線部材の電気信号入力端子部の領域を接着剤等で固定していたが、使用できる接着剤には制約がある。すなわち、例えばインクとの相性は良いか(接液問題)、接着剤が硬化する過程においてガス等が発生しないか、および接着剤の特性や硬化条件等が目標の生産タクトを達成するのに適しているか、等を考慮して接着剤を選定しなければならない。また、製造過程で接着工程が介挿されるためコストアップが生じる等の問題があり、低廉化の観点からも接着剤は極力使用しない方が好ましい。
【0009】
そのために、接着剤を使用しない構成として、例えば、電気信号入力端子部の領域のまわりの数点を熱加締めによって固定するような構成が考えられる。しかしこの場合には、インク収容部材と電気配線部材の裏面とが完全には密着状態とならず、両者間に隙間ができることになる。このような隙間は、接着剤を使用する従来の記録ヘッドにおいても、接着が不完全な部位において生じ得るものである。
【0010】
一方、本体部材側面には、環境変化により結露が生じ、水滴が発生する場合がある。また、記録動作等を行うと、インク吐出口からのインク吐出の繰り返しにより発生するインクミストが、記録ヘッドの各部に蓄積し、インク滴を形成することがある。さらに、記録ヘッドに対しては、インク吐出性能を良好な状態に維持または回復するための動作(回復動作)として、吸引力等を作用させることで吐出口からインクを強制的に排出させる処理や、吐出口が設けられた記録素子基板の面(フェイス面)をワイピングする処理が行われることがある。これらの回復動作によってフェイス面に付着したインクあるいはワイピングによってフェイス面から払拭されるインクは、記録素子基板との接続部分から電気配線部材側に移動することがある。すると、これらのインクや水滴などの液体が本体部材の支持面と電気配線部材の被支持面との間隙を毛管力によって移動し、これが本体部材上の電気配線部材の配置領域に沿って広がり得る。
【0011】
ここで、電気配線部材は、低廉化の観点からTABテープを用いて形成されることがある。この場合、導電性部材である配線(銅箔およびこれを保護するためのAuやNi等でなるめっき部分が含まれる)が形成されたTABテープの長尺の母材を打ち抜くことによって、所望の形状および寸法をもつ電気配線部材に加工される。従って、外部との電気接続を行うための電気信号入力端子が配設される領域側に位置する端面では、導電性の配線部材が露出する。
【0012】
従って、この端面に上記毛管力によって液体が移動してくると、露出している導電性部材と液体とが接触し、電気的ショートが生じたり、配線が腐食したりするなど、電気的な不具合を起こすおそれがある。
【0013】
かかる問題に対しては、電気配線部材端部の導電性部材の露出部を封止材で封止する構成を採用することが考えられる。しかしこの場合、上記接着剤を使用する場合と同様の問題が生じ、封止材を使用することは好ましいことではない。
【0014】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、電気配線部材の導電性部材露出部等に水滴やインクなどの液体が移動してくることに伴う不都合を効果的に防止し、電気的にも信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを廉価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのために、本発明は、インクジェット記録装置に着脱可能なインクジェット記録ヘッドであって、
インク吐出口および該インク吐出口からインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子を有した吐出部と、
前記インクジェット記録装置に装着されたときに前記インクジェット記録装置の接続端子と接触する外部信号接続端子と、前記素子に接続される端子と、該端子および前記外部信号接続端子を接続して前記素子の駆動信号を含む信号を伝送する配線を有したテープ状の電気配線部材と、
前記吐出部および前記電気配線部材を支持する支持部材であって、前記電気配線部材を支持する領域を横切る方向に延在する開口を有する当該支持部材と、
を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電気配線部材の裏面とこれを支持する記録ヘッド本体部材の支持面との間隙を毛管力によって移動する水滴やインクなどの液体は、支持面に設けた開口によってその移動が阻止される。従って、導電性部材が露出している電気配線部材端面等に液体が達することによって生じる腐食等をはじめとする電気的不具合から配線等を保護し、信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
1.インクジェット記録装置の構成例
図1は本発明を適用可能なインクジェット記録装置の一例を示す模式的平面図である。この記録装置は、記録ヘッドH1000およびH1001を位置決めして交換可能に搭載するキャリッジ102を有する。キャリッジ102には、記録ヘッドH1000およびH1001上の外部信号接続端子を介して各吐出部に駆動信号等を伝達するための電気接続部が設けられている。
【0018】
キャリッジ102は、主走査方向に延在して装置本体に設置されたガイドシャフト103に沿って往復移動可能に支持されている。そして、キャリッジ102は、主走査モータ(キャリッジモータ)104によりモータプーリ105、従動プーリ106およびタイミングベルト107等の伝動機構を介して駆動されるとともに、その位置および移動が制御される。また、キャリッジ102にはホームポジションセンサ130が設けられている。キャリッジ102上のホームポジションセンサ130が遮蔽板136の位置を通過した際に、ホームポジションとなる位置が検出される。
【0019】
紙やプラスチック薄板等の記録媒体108は、給紙モータ135がギアを介してピックアップローラ131を回転させることにより、オートシートフィーダ(ASF)132から一枚ずつ分離給紙される。さらに、記録媒体108は、搬送モータ134によりギアを介して駆動される搬送ローラ109の回転により、記録ヘッドH1000およびH1001の吐出口が形成された面(吐出口面)と対向する位置(記録領域)を通って搬送(副走査)される。記録媒体108が給紙されたか否かの判定と、給紙時における記録媒体の前縁位置の確定とは、記録媒体108がペーパエンドセンサ133を通過した時点で行われる。このペーパエンドセンサ133は、記録媒体108の後端が実際にどこに有り、実際の後端から現在の記録位置を最終的に割り出すためにも使用される。
【0020】
なお、記録媒体108は、記録領域において平坦な被記録面を形成するように、その裏面がプラテン(不図示)により支持される。この場合、キャリッジ102に搭載された記録ヘッドH1000およびH1001は、それらの吐出口面がキャリッジ102から下方へ突出して記録媒体108と平行になるように保持され、記録領域を主走査される。
【0021】
記録ヘッドH1000およびH1001は、各吐出部における吐出口の配列方向がキャリッジ102の主走査方向に対して交差する方向(例えば副走査方向)になるようにキャリッジ102に搭載され、主走査の過程でこれらの吐出口列からインクを吐出することにより、吐出口配列範囲に対応した幅の記録を行う。
【0022】
2.インクジェット記録ヘッドの構成例
本実施形態の記録ヘッドはインクタンクを分離不能に一体化してなるものであって、ブラックインクが充填されたインク収納部およびこのインク収納部から供給されるブラックインクを吐出する吐出部を有する第1の記録ヘッドH1000と、カラーインク(シアンインク、マゼンタインク、イエローインク)がそれぞれ充填されたインク収納部および各インク収納部から供給されるカラーインクを吐出する各吐出部を有する第2の記録ヘッドH1001とを用いている。これら記録ヘッドH1000およびH1001は、キャリッジ102上に、位置決め手段および電気的接点によって固定支持されるとともに、キャリッジに対して着脱可能なカートリッジの形態となっている。そして、充填されているインクが消費されてなくなった場合は、記録ヘッドを交換することができる。
【0023】
図2〜図4を参照して、以下に実施形態で用いる記録ヘッドH1000およびH1001のうち、カラー用の記録ヘッドH1001の基本的構成に関して説明する。記録ヘッドH1000については、ブラックインク1色のための構成であること以外は、記録ヘッドH1001と同様の構成を採ることができるものであるので、その説明を省略する。
【0024】
図2(a)および(b)は、図1の記録装置に搭載可能な記録ヘッドH1001の構成例を示す斜視図、図3はその分解斜視図である。
【0025】
記録ヘッドH1001は、図2(a)および(b)に示すように、インクジェット記録装置本体のキャリッジ102の装着位置に案内するための装着ガイドH1560、キャリッジ側に設けた固定レバー(不図示)によりキャリッジに装着固定するための係合部H1930、およびキャリッジの所定の装着位置に位置決めするためのX方向(主走査方向)の突き当て部H1570、Y方向(副走査方向)の突き当て部H1580、およびZ方向(鉛直方向)の突き当て部H1590を備えている。これら突き当て部によりキャリッジ102上に位置決めされることで、電気配線テープH1301上の外部信号接続端子H1302とキャリッジ内に設けられた電気接続部のコンタクトピンとの電気的接触が可能となっている。
【0026】
記録ヘッドH1001はシアン、マゼンタおよびイエローの3色のインクを吐出させるためのもので、図3の分解斜視図に示すように、記録素子基板H1101、電気配線テープH1301、支持部材としての本体部材H1501、フィルタH1701、H1702、H1703、インク吸収体H1601、H1602、H1603、蓋部材H1901、およびシール部材H1801から構成されている。以下、これらのうちの主たる構成要素について詳述する。
【0027】
(1)記録素子基板
図4は、記録素子基板H1101の構成を説明するために一部を破断して示す斜視図である。本実施形態の記録素子基板は、電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じせしめるための熱エネルギを生成する電気熱変換素子を用いたものである。また、電気熱変換素子とインク吐出口とが対向するように配置され、基板の主平面に対して垂直な方向にインクを吐出させる形態のもの(サイドシュータと称される)である。
【0028】
図4に示すように、記録素子基板H1101は、Si基板H1110に、シアン、マゼンタおよびイエローの各色インク用の3個の長穴状のインク供給口H1102を並列に形成してなるものである。それぞれのインク供給口H1102を挟んでその両側には、電気信号に応じて膜沸騰をインクに生じさせるための熱エネルギを生成する電気熱変換素子H1103の列が1列ずつ配置され、各列間の電気熱変換素子同士は配列方向すなわち副走査方向に配列ピッチの1/2だけずれて配置されている。この記録素子基板H1101上に、樹脂材料にフォトリソグラフィ技術によってインク流路壁H1106や吐出口H1107を形成した吐出口形成部材を、各電気熱変換素子と吐出口と位置合わせして接合することで、各色の吐出部H1108が構成される。
【0029】
また、Si基板H1110上には、電気熱変換素子H1103に電力を供給するAlなどからなる電気配線、ヒューズ、記録データに応じて電気熱変換素子を駆動するためのロジック回路、および、これら各部を外部と電気的に接続するための電極部H1104などが形成されている。さらに、電極部H1104には、Au等のバンプH1105が形成されている。なお、電気熱変換素子H1103等は、既存の成膜技術を利用して形成することができる。
【0030】
なお、インクを吐出するために利用されるエネルギを発生する素子としては、通電に応じてインクを加熱発泡させる熱エネルギを発生する電気熱変換素子に限られず、その他のものでもよい。また、電気熱変換素子が配列された基板の主平面に対して、平行な方向にインクを吐出させる形態のもの(エッジシュータと称される)であってもよい。
【0031】
(2)電気配線テープ
電気配線部材である電気配線テープH1301は、記録素子基板H1101に対してインクを吐出するための電気信号を印加する電気信号経路を形成する。電気配線テープH1301には、記録素子基板H1101を組み込むための開口部が形成されており、この開口部の縁付近には、記録素子基板H1101の電極部H1104に接続される電極端子H1304が形成されている。また、電気配線テープH1301には、本体装置からの電気信号を受け取るための外部信号接続端子H1302が形成されており、電極端子H1304と外部信号接続端子H1302は連続した銅箔等を含む導電性の配線パターンでつながれている。ここで、電気配線テープH1301はTABテープを用いて形成されており、前述したように端面H1311において導電性部材が露出する構成となっている。
【0032】
電気配線テープH1301と記録素子基板H1101との電気的接続は、例えば、記録素子基板H1101の電極部H1104に形成されたバンプH1105と、記録素子基板H1101の電極部H1104に対応する電気配線テープH1301の電極端子H1304とが熱超音波圧着法により電気接合され、この部位については適切に封止される。
【0033】
(3)本体部材
吐出部を構成する記録素子基板H1101および電気配線部材である電気配線テープH1301を支持する支持部材としての本体部材H1501は、樹脂を成形することにより形成されている。樹脂材料には、形状的剛性を向上させるためにガラスフィラーを5〜40%混入した樹脂材料を使用することが望ましいが、樹脂内にフィラーを含有すると、フィラーの配向する向きによって線膨張率が変化するという特性を持っている。本発明のように、樹脂製の本体部材H1501にシリコン製の記録素子基板H1101を直接接合するような構成においては、フィラーの配向の向きを十分に考慮しなければならない。
【0034】
本体部材H1501は、インクタンク機能とインク供給機能とを備えている。すなわち、図3(b)に示すように、内部にシアン、マゼンタおよびイエローのインクを保持するための負圧を発生するためのインク吸収体H1601、H1602およびH1603をそれぞれ独立して収納するための空間を有することでインクタンク機能を実現している。また、記録素子基板H1100の各インク供給口H1102にそれぞれインクを導くための独立したインク流路を形成する流路部材(不図示)を組み込むことでインク供給機能を実現している。インク吸収体H1601、H1602、H1603は、PP繊維を圧縮したものが使われているが、これに代えてウレタン繊維を圧縮したものを用いてもよい。各インク流路の上流部に位置するインク吸収体H1601、H1602およびH1603と各インク流路との境界部には、記録素子基板H1101内部にへの塵埃の進入を防ぐためのフィルタH1701、H1702およびH1703がそれぞれ溶着により接合されている。各フィルタH1701、H1702およびH1703は、SUS等金属のメッシュタイプのものでもよいが、SUS金属繊維焼結タイプの方がより好ましい。
【0035】
インク流路の下流部には、記録素子基板H1101にシアン、マゼンタおよびイエローの各インクを供給するためのインク供給口H1201が形成されており、記録素子基板H1101の各インク供給口1102が本体部材H1501の各インク供給口H1201に連通するよう、記録素子基板H1101が本体部材H1501に対して位置精度良く接着固定される。 また、インク供給口H1201付近の周囲の平面には、電気配線テープH1301の一部の裏面が第2の接着剤により接着固定される。第2の記録素子基板H1101と電気配線テープH1301との電気接続部分は、第1の封止剤および第2の封止剤(不図示)により封止されており、これにより電気接続部分をインクによる腐食や外的衝撃から保護している。第1の封止剤は、主に電気配線テープH1300の電極端子H1304と記録素子基板のバンプH1105との接続部の裏面側と記録素子基板の外周部分を封止し、第2の封止剤は、その接続部の表側を封止している。
【0036】
一方、電気配線テープH1301の未接着部すなわち外部信号接続端子H1302が配置される領域の側は、本体部材H1501のインク供給口H1201を有する面にほぼ直交した本体側面に沿って折り曲げられる。そして、当該領域のまわりの数箇所、例えば四隅に設けた孔H1315に、本体側面に突設したピンH1317を挿通し、熱加締めによって固定される。
【0037】
(4)蓋部材
蓋部材H1901は、本体部材H1501の上部開口部に溶着されることで、本体部材H1501内部の独立した空間をそれぞれ閉塞するものである。但し、蓋部材H1901には本体部材H1501内部の各部屋の圧力変動を逃がすための細口H1911、H1912およびH1913と、これらにそれぞれ連通した微細溝H1921、H1922およびH1923とを有している。微細溝H1921およびH1922の他端は、微細溝H1923の途中に合流している。さらに、微細溝H1923のほとんどと、細口H1911、H1912、H1913および微細溝H1921、H1922の全部とをシール部材H1801で覆い、微細溝H1923の他端部を開口することで大気連通口H1925を形成している。また、蓋部材H1901は、第2の記録ヘッドをインクジェット記録装置に固定するための係合部H1930を有している。
【0038】
3.特徴構成
以上の基本的構成に対して好ましく適用される特徴構成について説明する。
(1)第1例
図5は好適な特徴構成の第1例を示す斜視図であり、(a)は記録ヘッドH1001に組み立てる前の本体部材H1501を、(b)はその本体部材を用いて組み立てた記録ヘッドH1001を示している。これらの図に最もよく示されるように、本体部材H1501には、電気配線テープH1301の端面H1311が位置する部位において、その部位の表面に電気配線テープH1301の幅方向に延在する開口を形成する凹部H1309が設けられている。
【0039】
この場合、図5(b)に示すように、電気配線テープH1301の配線が外部に露出する端面H1311は、本体部材H1501が電気配線テープH1301を支持する面Pに対して、凹部H1309上の領域まで張り出している。
【0040】
ここで、外部信号接続端子H1302は、キャリッジ102のコンタクトピンが当接する部分であり、接触不良が生じないよう、信頼性の高い当接力を確保することが強く望ましい。このため、外部信号入力端子H1302が設けられる領域の裏面側に凹部H1309が存在していると、必要十分な当接力が得られない場合があり得る。従って、凹部H1309は、外部信号入力端子H1302が設けられる領域より上側に設けられている。
【0041】
凹部H1309は、例えば本体部材H1501の壁厚を部分的に薄くすることで形成することが可能である。この場合、凹部H1309の深さ(Y方向)については、本体部材内のインクの蒸発に関するガスバリア性も考慮した値にすることが望ましく、本例においては、本体部材の壁厚を2mm程度とするのに対して、凹部H1309の深さを0.8mmとした。ただし、これは例示であって、種々の条件を勘案して適切に定め得ることは勿論である。
【0042】
また、本例では、電気配線テープH1301の端面H1311への液体の到達を阻止する目的から、凹部H1309の開口幅(X方向)は電気配線テープH1301の幅よりも広くなっている。しかしかかる液体の到達が有効に阻止されるのであれば、凹部H1309の開口幅を電気配線テープH1301の幅とほぼ等しくてもよく、少なくとも電気配線テープH1301の端面H1311において配線が外部に露出する範囲以上とすればよい。
【0043】
さらに、凹部H1309の高さ(Z方向)については広い方が好ましい。しかし電気配線テープH1301の端面H1311の近傍には外部信号接続端子H1302が位置し、これはキャリッジ102に設けられた電気接続部のコンタクトピンを受ける部分であるので、公差等を考慮して適切に定めること、さらには上記ガスバリア性を考慮して適切に定めることが好ましい。
【0044】
図6(a)および(b)は、電気配線テープH1301において、配線が外部に露出する端面H1311の周辺を示す側断面図であり、(a)は本例の場合を、(b)は従来の場合を示している。
【0045】
上述のように、本体部材側面には、環境変化により結露が生じて水滴が付着する場合や、インクミストの蓄積その他によってインク滴が付着する場合がある。すると、これらのインクや水滴などの液体が本体部材の支持面と電気配線テープH1301の被支持面との間隙を毛管力によって移動し、これが本体部材上の電気配線テープの配置領域に沿って広がり得る。
【0046】
このとき、従来の構成では、図6(b)に示すように、電気配線テープH1301端面H1311の部位まで毛管力によって液体Lが移動し、その部位で液体Lがメニスカスを形成して、端面H1311に露出する配線と接触する。これにより、配線が腐食するなどして電気的な不具合を起こすおそれがある。
【0047】
これに対し、本例の構成では、図6(a)から明らかなように、電気配線テープH1301の端面H1311は凹部H1309上に位置している。ここで、毛管力によって移動してくる液体Lは、凹部H1309に至ってメニスカスを形成する。従って、配線が外部に露出する端面H1311までの液体Lの移動が阻止され、電気的に不具合のない信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
【0048】
なお、図6(a)に示す構成においては、凹部H1309の開口部が電気配線テープ支持面Pとつながる稜部および凹部H1309の側面と底面(奥側の面)とがつながる稜部を曲面形状としている。
【0049】
図7に示すように、凹部H1309の開口部がエッジ状となっていると、液体がメニスカスを形成しにくく、また形成位置が凹部H1309内にかかることもあるため、状況によっては凹部H1310内に液体が進入することがある。そのような状態となると、進入した液体が端面H1311に接触するおそれが生じる。従って、図6(a)に示したように凹部H1310の稜部等を曲面形状とすることがメニスカスを形成し易くし、液体のそれ以上の移動を阻止する上でより効果的である。
【0050】
この場合、記録ヘッドH1001の姿勢差によって生じる、凹部H1309まで吸い上げられた液体の水頭圧よりも、凹部H1310の稜部における液体のメニスカス力の方が大となるよう、稜部の曲面形状や寸法を適切に定めることが望ましい。
【0051】
また、本例では、凹部H1309を2側面と底面とからなる横断面略矩形状のものとした。しかし寸法についての好ましい条件を満たすものであれば、電気配線テープ支持面Pから内方に適切に窪んだ形状であればよい。例えば三角形状や半円形状であってもよいし、また、電気配線テープ支持面Pから内方に引っ込んだ部分が本体部材H1501の上縁部まで延在するような段差形状であってもよい。すなわち、図示の形状に限られることなく、端面H1311が適切に張り出し得るような形状であればよいのである。
【0052】
さらに、凹部を設けることの効果としては、次のようなことも挙げられる。
例えば、電気信号入力端子部が設けられた裏面に液体が存在している状態で、キャリッジ102側のコンタクトピンなどとの接続が行われる場合、コンタクトピンから受ける圧力によって電気配線テープ裏面側の液体が押し出されることがある。本例のように凹部H1309を設けない構成では、本体部材H1501の主面Pに押し出された液体が電気配線テープ表面側に回り込み、電気信号入力端子部にまで流れ落ちると電気的ショートを生じさせてしまう事態に至ることが懸念される。これは、端部で導電性部材が露出しない電気配線テープを用いる場合であっても生じる問題である。これに対し、本例の構成によれば、押し出された液体は凹部H1309に受容されるので、そのような不都合が生じるおそれを低減できることになる。
【0053】
(2)第2例
図8は好適な特徴構成の第2例を示す斜視図であり、(a)は記録ヘッドH1001に組み立てる前の本体部材H1501を、(b)はその本体部材を用いて組み立てた記録ヘッドH1001を示している。
【0054】
本例に係る本体部材H1501には、図8(a)に示すように、電気配線テープH1301の端面H1311に沿って延在する部分(第1例の凹部H1309に対応する部分)と、電気配線テープH1301の両側面に沿ってそれぞれ延在する部分とからなる略U字型の凹部H1312が設けられている。すなわち、電気配線テープH1301の端面H1311および電気配線テープH1301の両側面は、図8(b)に示すように、略U字型の凹部H1312上に張り出す構成となっている。
【0055】
凹部H1312の断面形状としては、上例と同様、開口部が電気配線テープ支持面Pとつながる稜部および側面と底面(奥側の面)とがつながる部分を曲面形状とすることが望ましい。また、凹部H1312の各部寸法についても、上記第1例について述べたものと同様の点を考慮して適切に定めることができる。
【0056】
ここで、前述したように、電気配線テープH1301はTABテープ母材を打ち抜くなどによって所望の形状および寸法に加工されてなるものである。このような加工に伴って電気配線テープH1301の側面H1313に反りなどの変形が生じていると、この部分と本体部材の支持面Pとの間に毛管力が生じることで側面H1313に沿って液体が上方に移動し易い。特に、側面H1313は記録素子基板H1101側の端部まで延在しているので、上記回復動作に伴って生じたインクを導き易い。
【0057】
しかし本例では、電気配線テープH1301の側面H1313が凹部H1312上に張り出しており、本体部材H1501の主面Pとは対向ないし当接していない。従って、側面H1313に沿った液体の移動が生じにくいものとなるのである。
【0058】
また、回復動作に伴って生じたインクを含め、本体部材の支持面と電気配線テープの被支持面との間隙を毛管力によって移動する液体は、上記第1例と同様に、電気配線テープH1301の端面H1311に沿って延在する凹部H1312の部分によって塞き止められることになる。
【0059】
以上のとおり、本例によれば、配線が外部に露出する端面H1311までの液体の移動はさらに効果的に阻止され、電気的に不具合のない信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
【0060】
また、本例では電気配線テープH1301の端面H1312だけでなく側面H1313に対応する部位にも凹部が形成されている。従って、電気信号入力端子部が設けられた裏面に液体が存在している状態でキャリッジ102側のコンタクトピンなどとの接続が行われた場合でも、押し出された液体が電気配線テープ表面側に回り込むような不都合を一層効果的に抑制することが可能である。
【0061】
(3)第3例
上記第1例においては、凹部を電気配線テープH1301の端面H1312が張り出す部位に設けたが、液体の移動を効果的に阻止し得る部位であれば適宜の部位に設けることができる。
【0062】
図9は好適な特徴構成の第3例を示す斜視図であり、(a)は記録ヘッドH1001に組み立てる前の本体部材H1501を、(b)はその本体部材を用いて組み立てた記録ヘッドH1001を示している。
【0063】
本例の凹部H1310は、図9(a)および(b)に示すように、電気配線テープH1301の外部信号接続端子H1302が形成される領域より下側の位置に設けられている。上述のように液体は種々の要因で発生するが、本例は特に、回復動作に伴って生じた記録素子基板H1101側のインクが毛管力によって移動するのを阻止し、端面H1311より手前の、外部信号入力端子H1302が形成される領域の裏面側までも這い上がってこないようにした構成である。
【0064】
ここで、外部信号接続端子H1302は、キャリッジ102のコンタクトピンが当接する部分であり、接触不良が生じないよう、信頼性の高い当接力を確保することが強く望ましい。このため、外部信号入力端子H1302が設けられる領域の裏面側に凹部H1310が存在していると、必要十分な当接力が得られない場合があり得る。従って、凹部H1310は、外部信号入力端子H1302が設けられる領域より下側に設けられている。
【0065】
図10(a)および(b)は、凹部H1310の周辺を示す側断面図であり、(a)は本例の場合を、(b)は従来の場合を示している。
【0066】
上述のように、回復動作に伴って生じた記録素子基板H1101側のインクは、本体部材の支持面と電気配線テープH1301の被支持面との間隙を毛管力によって移動し得る。
【0067】
このとき、従来の構成では、図10(b)に示すように、外部信号接続端子H1302が設けられた領域Aの裏面側をインクIが通過し、さらに電気配線テープH1301端面H1311の部位まで移動し、端面H1311に露出する配線と接触するおそれがある。
【0068】
これに対し、本例の構成では、図10(a)から明らかなように、上記第1例と同様、外部信号入力端子H1302の端面H1311に至る前に凹部H1310によってインクを確実に塞き止めることができる。また、電気配線テープH1301の側面H1313の一部が凹部H1310上に位置することになるため、第2例と同様、側面H1313に沿ったインクの移動が生じにくいものとなる。
【0069】
また、本例の場合、回復動作に伴って生じたインクが凹部H1310に塞き止められて外部信号接続端子H1302が形成される領域Aの裏面側までも這い上がってこないため、当該裏面側部分に存在し得る液体の量を大幅に低減できる。これは、電気信号入力端子部が設けられた裏面に液体が存在している状態でキャリッジ102側のコンタクトピンなどとの接続が行われる場合に比して、当接力を好ましく作用させ、電気的接続の信頼性を高める上で有効である。また、上例と同様に、接続によって押し出された液体が電気配線テープ表面側に回り込むような不都合を効果的に抑制することも可能である。
【0070】
なお、本例の効果をより顕著に発揮するためには、凹部H1310の周囲において、電気配線テープH1301が本体部材H1501に対して当接していることが強く望ましい。このために本例では、外部信号入力端子H1302の領域と、電気配線テープH1301を固定している部分(本例では熱加締め用のピンH1317のうち下側のもの)との間に凹部H1310を設けている。
【0071】
凹部H1310の形状や寸法については、上記第1例と同様に適切に定め得るが、本例の場合、熱加締め時に支持面Pと面一の受け面をピンH1317のまわりに残すことを考慮して、凹部H1310の位置や高さ(Z方向)を定めることが望ましい。
【0072】
また、凹部H1310の開口幅(X方向)は、電気配線テープH1301を本体部材H1501に固定したときに、電気配線テープH1301の幅と同等か、それよりも広い範囲になるように設けることが強く望ましい。凹部H1310の開口幅が電気配線テープH1301の幅よりも小さい場合は、電気配線テープH1301の裏面とインク収容部材H1501が当接ないしは対向する部分ができてしまう。たとえこれが微小な寸法であっても、インクは毛管力で移動するため、本例の効果が得られにくくなるからである。
【0073】
さらに、本例の構成においても、第1例と同様、凹部H1310の開口部が電気配線テープ支持面Pとつながる稜部および凹部H1310の側面と底面(奥側の面)とがつながる稜部を曲面形状としている。
【0074】
図11に示すように、凹部H1310の開口部をエッジ状とすることも考えられるが、この場合インクがメニスカスを形成しにくく、また形成位置が凹部H1310内にかかることもあるため、状況によっては凹部H1310内にインクが進入することがある。凹部H1310の容積を超える量のインクが移動した場合や、凹部H1310の側面をインクが伝わった場合には、本例の効果が得られにくくなる。従って、図10(a)に示したように凹部H1310の稜部等を曲面形状とすることが開口部(凹部H1310の入口)でメニスカスを形成し易くし、インクのそれ以上の移動を阻止する上でより効果的である。また、凹部H1310の側面と底面とがつながる稜線部分についても曲面で構成することが、本例の効果をより高める上で好ましい。
【0075】
本例においても、記録ヘッドH1001の姿勢差によって生じる、凹部H1310まで吸い上げられたインクの水頭圧よりも、凹部H1310の稜部におけるインクのメニスカス力の方が大となるよう、稜部の曲面形状や寸法を適切に定めることが望ましい。
【0076】
また、本例においても第1例と同様の変形が可能であることは勿論である。
【0077】
(4)第4例
凹部の配設部位や個数は、上記諸例に限られず適宜定め得るものであり、各例の構成を組み合わせることも可能である。ここではこれを例示する。
【0078】
図12は好適な特徴構成の第4例を示す斜視図であり、(a)は記録ヘッドH1001に組み立てる前の本体部材H1501を、(b)はその本体部材を用いて組み立てた記録ヘッドH1001を示している。
【0079】
本例の構成は、第1例で説明した端面H1311側の部位(第1の部位)にある凹部H1309と、第3例で説明した下側のコンタクトピン近傍の部位(第2の部位)にある凹部H1310との双方を、本体部材H1501に設けたものである。かかる構成によると、回復動作に伴って生じた記録素子基板H1101側のインクは凹部H1310によって移動が阻止される一方、外部信号接続端子H1302が形成される領域Aの裏面側に存在する水滴やインク滴などの液体は凹部H1309によって移動が阻止される。従って、本例によれば、電気配線テープ端面H1311や外部信号接続端子H1302の部位に液体が達することによる不都合を一層効果的に防止することが可能となる。
【0080】
4.その他
なお、以上では、シアン、マゼンタおよびイエローの3色のインクを吐出させるカラー用の記録ヘッドH1001の構成に本発明を適用した諸例について説明した。しかし、ブラックインク用の記録ヘッドH1000についても同様の構成を採ることができるのは勿論である。また、記録ヘッドにおいて用いるインクの色調(色および濃度)の種類や数についても、適宜定め得ることは言うまでもない。
【0081】
また、以上ではインク収納部分を分離不能に一体化してなる記録ヘッドに本発明を適用した場合を例示した。しかし、電気配線部材(電気配線テープ)の裏面側を毛管力で液体が移動することで導電性部材が露出している電気配線部材端部や外部信号接続端子H1302の部位に液体が達することによる不都合を効果的に防止するという観点からは、インクタンクを分離可能に一体化してなるような記録ヘッドの形態を排除するものではない。
【0082】
また、凹部H1309あるいは凹部H1310が設けられている領域の形態は、電気配線テープH1301と本体部材H1501とが接着剤で接着されていない形態だけではなく、接着剤で接着を施しても接着が不完全な状態であって両者の間に隙間が生じてしまう形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の一例を示す模式的平面図である。
【図2】(a)および(b)は、図1の記録装置に搭載可能な記録ヘッドの構成例を示す斜視図であり、それぞれ、底面方向および上面方向から見た状態を示している。
【図3】(a)および(b)は、図2(a)および(b)に示した記録ヘッドの内部構成例を示す分解斜視図であり、それぞれ、底面方向および上面方向から見た状態を示している。
【図4】図2(a)および(b)に示した記録ヘッドに設けられる記録素子ユニットの構成例を示す斜視図である。
【図5】本発明の好適な特徴構成の第1例を示す斜視図であり、(a)は記録ヘッドに組み立てる前の本体部材を、(b)はその本体部材を用いて組み立てた記録ヘッドを示している。
【図6】記録ヘッドに取り付けられる電気配線部材裏面に沿う液体の挙動を説明するための模式的側断面図であり、(a)は本発明の第1例の場合を、(b)は従来の場合を示している。
【図7】図6(a)とは異なる横断面形状の凹部を用いた場合の液体の挙動を説明するための模式的側断面図である。
【図8】本発明の好適な特徴構成の第2例を示す斜視図であり、(a)は記録ヘッドに組み立てる前の本体部材を、(b)はその本体部材を用いて組み立てた記録ヘッドを示している。
【図9】本発明の好適な特徴構成の第3例を示す斜視図であり、(a)は記録ヘッドに組み立てる前の本体部材を、(b)はその本体部材を用いて組み立てた記録ヘッドを示している。
【図10】記録ヘッドに取り付けられる電気配線部材裏面に沿う液体の挙動を説明するための模式的側断面図であり、(a)は本発明の第3例の場合を、(b)は従来の場合を示している。
【図11】図10(a)とは異なる横断面形状の凹部を用いた場合の液体の挙動を説明するための模式的側断面図である。
【図12】本発明の好適な特徴構成の第4例を示す斜視図であり、(a)は記録ヘッドに組み立てる前の本体部材を、(b)はその本体部材を用いて組み立てた記録ヘッドを示している。
【符号の説明】
【0084】
H1000、H1001 記録ヘッド
H1101 記録素子基板
H1102 インク供給口
H1103 電気熱変換素子
H1104 電極部
H1105 バンプ
H1107 吐出口
H1108 吐出部
H1110 Si基板
H1300 電気配線テープ
H1302 外部信号接続端子
H1304 電極端子
H1309、H1310、H1312 凹部
H1311 電気配線テープ端面
H1313 電気配線テープ側面
H1315 孔
H1317 ピン
H1501 本体部材
H1601、H1602、H1603 インク吸収体
H1701、H1702、H1703 フィルタ
H1801 シール部材
H1901 蓋部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット記録装置に着脱可能なインクジェット記録ヘッドであって、
インク吐出口および該インク吐出口からインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子を有した吐出部と、
前記インクジェット記録装置に装着されたときに前記インクジェット記録装置の接続端子と接触する外部信号接続端子と、前記素子に接続される端子と、該端子および前記外部信号接続端子を接続して前記素子の駆動信号を含む信号を伝送する配線を有したテープ状の電気配線部材と、
前記吐出部および前記電気配線部材を支持する支持部材であって、前記電気配線部材を支持する領域を横切る方向に延在する開口を有する当該支持部材と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項2】
前記開口は、前記領域の表面に開口する凹部によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項3】
前記開口は、前記電気配線部材の端面に沿って前記電気配線部材の幅以上の範囲にわたって延在していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項4】
前記開口は、前記外部信号接続端子が設けられる前記電気配線部材の領域が位置する部位の外に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項5】
前記開口は、前記外部信号接続端子が位置する側の前記電気配線部材の端面が位置する第1の部位と、前記領域を挟んで反対側にある第2の部位とにそれぞれ設けられ、前記第1の部位にある凹部は、前記電気配線部材の端面が張り出すように設けられていることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項6】
前記電気配線部材を支持する前記支持部材の支持面とつながる前記凹部の稜部が曲面で形成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項7】
前記凹部を構成する面同士がつながる稜部が曲面で形成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項8】
前記開口は、前記電気配線部材の前記端面に沿って延在する部分と、前記電気配線部材の側面に沿って延在する部分とを有することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項9】
前記電気配線部材は、前記端面において前記配線が露出していることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項10】
前記電気配線部材はTABテープで形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項11】
前記電気配線部材は、前記外部信号接続端子が設けられる領域が、その裏面側に位置する前記支持部材の支持面に対し接着剤を用いることなく固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項12】
前記電気配線部材は前記領域のまわりの複数箇所に孔を有し、前記支持部材は前記孔に対応して突設されたピンを有し、該ピンを前記孔に挿通して熱加締めを行うことで、前記固定が行われていることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項13】
前記支持部材はインクを収納する部分を一体に有していることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−15268(P2007−15268A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200155(P2005−200155)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】