説明

インクジェット記録材料の製造方法

【課題】水系インクジェットプリンターでのインク吸収性、発色性、画像部の耐水性に優れ、なおかつ高湿度下での保存においても画像のにじみやひび割れがなく、白紙部にもひび割れ等の不具合の生じない優れた印字品質が得られるインクジェット記録材料を短時間で得るインクジェット記録材料の製造方法を提供する。
【解決手段】非吸水性支持体上に少なくとも1層以上の親水性ポリマーと架橋剤とを含有するインク受容層を塗布してなるインクジェット記録材料の製造方法において、該インク受容層を塗布・乾燥後に気圧が800hPa以下の減圧環境下でエイジング処理することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録材料の製造方法に関し、更に詳しくは、水系インクジェットプリンターでのインク吸収性に優れ、かつ印字後に画像部のひび割れが生じない等、優れた印字品質が得られるインクジェット記録材料を効率よく製造できるインクジェット記録材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像出力方法としてのインクジェット方式は、写真用途等の一般消費者向けだけでなく、産業用途としても広く使用されており、その用途は益々拡大している。一般消費者向けの用途では染料インク、顔料インクの違いはあるものの水系インクが主流である。産業用途ではインクは多岐に渡り、水系インクだけでなく、溶剤系インク、紫外線硬化型インクやラテックスインクと呼ばれる熱硬化型インク等多くの種類の非水系インクが用いられている。
【0003】
出力画像の耐候性の観点からは、一般に水系インクよりも非水系インクの方が優れている。また、非水系インクの中には、記録材料表面で固化するものやインク媒体が揮発性の高いものが多く、記録材料の選択肢は広いというメリットが一般的にある。一方、水系インク用の記録材料は吐出されるインクを全て吸収する必要があり、使用できる記録材料に制約がある。しかしながら水系インクジェットプリンターは、溶剤インク等では必要な排気装置等の大がかりな設備は必要なく、臭気の問題も特に生じないため作業環境上非常に運用しやすいことが大きな利点である。
【0004】
水系インクジェット記録方式用の記録材料は画像形成の際に打ち込まれるインクを吸収する必要があり、高い発色性を必要とする記録材料は支持体上にインク受容層を有している。このインク受容層は2種類に大別され、一方は無機顔料と親水性ポリマーを主成分とする多孔質のインク受容層であり、他方は親水性ポリマーを主成分とするインク受容層である。前者のインク受容層は、無機顔料によって形成された空隙にインクを吸収するため空隙型(あるいはマイクロポーラス型)と呼ばれており、後者のインク受容層は、親水性ポリマーが膨潤することによってインクを吸収するため膨潤型(あるいはポリマー型)と呼ばれている。
【0005】
空隙型のインク受容層が含有する無機顔料としては、優れた光沢性、写像性および発色性が得られる観点から、平均二次粒子径を500nm以下まで分散あるいは粉砕した気相法シリカや湿式法シリカ等の無機微粒子をインク受容層の顔料成分として用いることが提案されている。気相法シリカの使用例として、例えば特開平10−119423号公報、特開2000−211235号公報、特開2000−309157号公報等が挙げられ、粉砕沈降法シリカの使用例として、例えば特開平9−286165号公報、特開平10−181190号公報等が挙げられる。また粉砕ゲル法シリカの使用例として例えば特開2001−277712号公報等が挙げられ、シリカ以外の無機顔料については、アルミナやアルミナ水和物を用いた使用例として例えば特開昭62−174183号公報、特開平2−276670号公報、特開平5−32037号公報、特開平6−199034号公報等が挙げられる。
【0006】
空隙型のインク受容層は無機微粒子の凝集物同士が形成している空隙でインクを吸収している。この空隙を保持するために親水性ポリマー等がバインダーとして用いられており、多くの場合、親水性ポリマーの架橋剤があわせて用いられている。この架橋反応を促進する目的で記録材料を加温処理することが例えば特開2003−89263号公報、特開2001−96903号公報、特開2003−291503号公報(特許文献1〜3)等に記載されている。この架橋反応が不十分である場合には、印字した記録材料を保管している際に湿度の影響を受けて画像がにじみやすくなってしまう。あるいはインク吸収性が不十分となってしまう場合があった。また、特開2006−312277号公報(特許文献4)には、インク受容層の最表面に高分子バインダーを含有させずに無機微粒子を薄層塗布し、この無機微粒子を融着させるために加温処理を行うことが提案されている。しかしながらこれらの加温処理は長い時間を要するため、生産性が著しく低下してしまうという問題点がある。
【0007】
一方、膨潤型のインク受容層としては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、アクリル酸系ポリマー、カチオン性ポリウレタン樹脂等、種々の親水性ポリマーを主成分として含有するインク受容層が提案されている。中でも、カチオン性ポリウレタン樹脂は高いインクジェット適性と同時に耐水性や光沢性が得られるインクジェット受理剤として知られており、例えば特開2009−46780号公報(特許文献5)、特開2007−276392号公報、特開2007−168164号公報、特開2005−74880号公報等にはカチオン性ポリウレタン樹脂を種々の方法にて用いたインクジェット記録シートが提案されている。
【0008】
膨潤型のインク受容層は上記のように親水性ポリマーを主体として構成されているが、このインク受容層の耐水性を向上させたり、印字部のひび割れを抑制したりすることを目的に親水性ポリマーを架橋させることがある。また、より優れたインク吸収性を発現させるために加温処理を行い、脱水反応を促進させることがある。これは、親水性ポリマーに吸着している水和水を除去しておくことにより印字の際の記録材料のインク吸収性や耐水性を高めることが目的である。このような架橋反応を促進させるための加温処理は、空隙型のインク受容層と同様に長い時間を要するため、生産性が著しく低下してしまうという問題点がある。
【0009】
また、シュリンクフィルムを支持体として用いた場合には、加温処理を行うと記録材料が収縮してしまうため、架橋反応を完了させ、所定の印字品質を得るためには非常に長い時間がかかってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−89263号公報
【特許文献2】特開2001−96903号公報
【特許文献3】特開2003−291503号公報
【特許文献4】特開2006−312277号公報
【特許文献5】特開2009−46780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、水系インクジェットプリンターでの印字において優れた印字品質が得られるインクジェット記録材料を短時間で得る製造方法を提供することにある。ここで優れた印字品質とは、空隙型のインクジェット記録材料の場合は、インク吸収性、高湿度下での耐にじみ性に優れていることであり、膨潤型のインクジェット記録材料の場合はインク吸収性、画像部の耐水性に優れ、かつ高湿度下での保存においても画像部のひび割れがないことである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、以下の手段により達成された。
(1)非吸水性支持体上に少なくとも1層以上の親水性ポリマーと架橋剤とを含有するインク受容層を塗布してなるインクジェット記録材料の製造方法において、該インク受容層を塗布・乾燥後に気圧が800hPa以下の減圧環境下でエイジング処理することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
(2)上記非吸水性支持体がシュリンクフィルムであり、かつ前記エイジング処理が25℃以下の条件下で行われることを特徴とする上記(1)記載のインクジェット記録材料の製造方法。
(3)上記インク受容層が無機微粒子を主体に含有することを特徴とする上記(1)記載のインクジェット記録材料の製造方法。
(4)上記インク受容層がカチオン性ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコールおよびほう酸またはその塩を含有する(ただし、該インク受容層が無機微粒子を含む場合には、無機微粒子の含有量はインク受容層の全固形分に対して5質量%以下である)上記(1)記載のインクジェット記録材料の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の記録材料の製造方法によれば、水系インクジェットプリンターでの印字において優れた印字品質が得られるインクジェット記録材料を短時間で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるエイジング処理とは、親水性ポリマーと架橋剤との架橋反応を促進させる工程である。本発明者はこの架橋反応が減圧環境下でエイジング処理されることにより促進されることを見出し、本発明に至った。本発明における減圧環境下とは、800hPa以下であり、好ましくは400hPa以下であり、更に好ましくは110hPa以下である。エイジング処理時の気圧が800hPaよりも高い場合には減圧による架橋反応の促進効果があまり見出せなくなるため好ましくない。
【0015】
本発明において減圧下でエイジング処理することとは、上記したようなインク受容層内の親水性ポリマーの架橋反応を促進する工程であり、必要に応じて加温処理を施してもよい。加温処理の温度は、非吸収性支持体の性質やインク受容層を構成している物質の性質、インク受容層の強度等に対して適宜調整する必要がある。例えば、基紙の両面に樹脂を被覆した非吸収性支持体を用いる場合、樹脂の軟化点よりも低い温度で記録材料を取り扱う必要があるため、60℃以下でエイジング処理することが好ましい。
【0016】
非吸収性支持体としてポリエステル樹脂を延伸したフィルムを用いる場合、高温では熱収縮による寸法安定性の低下が無視できなくなるため、100℃以下でエイジング処理することが好ましく、70℃以下でエイジング処理することがより好ましい。非吸水性支持体としてシュリンクフィルムを用いた場合には、シュリンクフィルムの熱収縮性が著しいため加温処理は好ましくなく、25℃以下にてエイジング処理することが好ましい。
【0017】
本発明の無機微粒子を主体に含有するインク受容層において、無機微粒子を主体に含有するとは、インク受容層の全固形分に対して無機微粒子を50質量%以上含有することを意味し、好ましくは60質量%以上含有することであり、更に好ましくは65質量%以上含有することである。上限は95質量%程度であることが好ましい。該無機微粒子を主体に含有することによって、空隙率の高い多孔質な、いわゆる空隙型のインク受容層となりインク吸収性が向上する。また、光沢性、写像性および発色性の観点から無機微粒子の平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましい。
【0018】
本発明の空隙型のインク受容層が好ましく含有する平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化マグネシウム等が挙げられ、またこれらのうち2種以上を混合してもよい。これらの中でも、合成シリカ、アルミナあるいはアルミナ水和物がより好ましく、これらの無機微粒子は高い印字濃度および鮮明な画像が得られ、かつコスト面で有利である。本発明で更に好ましい無機微粒子は、非晶質合成シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物である。
【0019】
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカに大別することができる。気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化珪素を水素および酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジルとして市販されている。
【0020】
湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカの二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕しやすい粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件化で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からはスノーテックスとして市販されている。
【0021】
本発明の空隙型のインク受容層に使用することができる気相法シリカについて説明する。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、より高い光沢を得るためには15nm以下が好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nmでかつBET法による比表面積が200m/g以上(好ましくは250〜500m/g)のものを用いることである。なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0022】
本発明の空隙型のインク受容層が主体に含有する気相法シリカの平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましく、10〜300nmであることがより好ましい。また気相法シリカは、カチオン性ポリマーの存在下で分散したものが好ましい。気相法シリカの平均二次粒子径を500nm以下とするには、例えば通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、および薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。なお、本発明でいう平均二次粒子径とは、得られた記録材料のインク受容層を電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば(株)堀場製作所製LA920)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
【0023】
上記気相法シリカの分散に使用するカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面でこれらのカチオンポリマーの分子量は、2千〜10万程度が好ましく、特に2千〜3万程度が好ましい。カチオン性ポリマーの使用量は気相法シリカに対して1〜10質重%の範囲が好ましい。
【0024】
次に、湿式法シリカについて説明する。本発明の空隙型のインク受容層が含有する湿式法シリカは、沈降法シリカあるいはゲル法シリカである。これらの粉砕前のシリカ粉末は、その平均一次粒子径50nm以下、より好ましくは3〜40nmでかつ平均凝集粒子径(二次粒子径)が5〜50μmであるものが好ましい。湿式法シリカの平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましく、10〜300nmであることがより好ましい。これらの湿式法シリカの平均二次粒子径を500nm以下とするには、例えばボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、および薄膜旋回型分散機等を使用して水性媒体中で粉砕することが好ましい。また上記の粉砕は、前記気相法シリカの分散で挙げたようなカチオン性化合物の存在下で行われるのが好ましい。
【0025】
本発明の空隙型のインク受容層に使用することができる湿式法シリカとしては、沈降法シリカが好ましい。沈降法シリカはその二次粒子が緩やかな凝集粒子であるので粉砕するのに好適である。
【0026】
また本発明の空隙型のインク受容層が主体に含有する無機微粒子としてアルミナまたはアルミナ水和物も好適に用いられる。アルミナまたはアルミナ水和物は、酸化アルミニウムやその含水物であり、結晶質でも非晶質でもよく、不定形や、球状、板状等の形態を有しているものが使用される。両者のいずれかを使用してもよいし、併用してもよい。
【0027】
本発明に使用することができる酸化アルミナとしては酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径が500nm以下まで分散したものが好ましく使用でき、50〜300nm程度まで分散したものがより好ましく使用できる。
【0028】
本発明に使用することができるアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。酸化アルミニウム含水物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましく、10〜300nmであることがより好ましい。
【0029】
本発明に使用することができるアルミナおよびアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、蟻酸、メタンスルホン酸、塩酸、硝酸等の公知の分散剤によって平均二次粒子径が500nm以下まで分散されたものが好ましく用いられる。
【0030】
本発明の空隙型のインク受容層は、皮膜としての特性を維持するためと、透明性が高くインクのより高い浸透性を得るために親水性ポリマーを含有する。かかる親水性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステルやそれらの誘導体等が挙げられるが、好ましい親水性ポリマーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものであり平均重合度は500〜5000のものである。
【0031】
本発明の空隙型のインク受容層に含有される無機微粒子に対する親水性ポリマーの質量比は、5〜30質量%の範囲が好ましく、特に5〜25質量%であることが好ましい。
【0032】
本発明の空隙型のインク受容層は、親水性ポリマーと共に架橋剤を含有する。架橋剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号明細書記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号明細書記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号明細書記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号明細書記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号明細書、米国特許第2,983,611号明細書記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号明細書記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号明細書記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸およびその塩の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組みあわせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸あるいはその塩が好ましい。架橋剤の添加量はインク受容層を構成する親水性ポリマーに対して0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
【0033】
本発明の空隙型のインク受容層は、必要に応じて複数層設けることができる。空隙型のインク受容層全体の固形分塗布量は7〜40g/mであることが好ましい。
【0034】
本発明において、膨潤型のインク受容層は親水性ポリマーを主成分とする。上記親水性ポリマーとしては水溶性ポリマーや水分散性のポリマーエマルションを用いることができる。水溶性ポリマーとしては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン、デキストリン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等が挙げられる。水分散性のポリマーエマルションとしては、広範な合成ポリマーエマルションを用いることができるが、例えばアクリル酸およびそのエステル化合物(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル等)、α−置換アクリル酸およびそのエステル化合物(メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルメタクリレート等)、アクリルアミドおよびその置換物(ブチルアクリルアミド、ヘキシルアクリルアミド等)、ビニルエステル(酢酸ビニル等)、ハロゲン化ビニル(塩化ビニル等)、ハロゲン化ビニリデン(塩化ビニリデン等)、ビニルエーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルオクチルエーテル等)、スチレン、ジビニルベンゼン、エチレン、ブタジエン、アクリロニトリル等のビニルモノマーを主原料とするビニル重合体やポリウレタン樹脂等が挙げられる。これら水溶性ポリマーおよび水分散性のポリマーエマルションを任意に組みあわせて用いてもよい。中でもインク吸収性の観点からポリウレタン樹脂が好ましい。
【0035】
ポリウレタン樹脂はポリイソシアネートとポリオールを反応させて得られる。ポリイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジクロロ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート等を挙げることができる。これらポリシアネート化合物を単独もしくは2種類以上をあわせて使用してもよい。
【0036】
ポリウレタン樹脂を得る際に用いるポリオールとしては公知のポリオールを用いることができるが、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール等を挙げることができる。ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の3価以上のアルコール類、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ハイドロキノン、またはこれらの化合物のアルキレンオキサイド付加体等のジオール成分と、マロン酸、こはく酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p′−ジカルボン酸、トリメリト酸、トリメシン酸、ひまし油脂肪酸の三量体、またはこれらのポリカルボン酸の無水塩もしくはエステル形成性誘導体等のポリカルボン酸成分とから、縮合反応によって得られるポリエステル類、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル類、これらの共重合ポリエステル類等が挙げられる。
【0037】
本発明に膨潤型のインク受容層に用いることのできるポリウレタン樹脂は、インクの定着性の観点からカチオン性であることが好ましく、カチオン性ポリウレタン樹脂は公知のものを用いることができる。ポリウレタン樹脂中にカチオン基を導入する方法としては、例えば、後述する鎖伸長剤として用いるポリアミン類の3級アミノ基を酸で中和、または4級化剤で4級化させる方法や、特開2007−168164号公報に記載のように、側鎖に3級アミノ基を含有するポリオールを用い、該3級アミノ基を酸で中和、または4級化剤で4級化させてカチオン化せしめる方法等が挙げられる。側鎖に3級アミノ基を含有するポリオールを用いる場合には、他に3級アミノ基を含有しないポリオールをあわせて用いてもよい。上記の3級アミノ基を中和する際に使用することのできる酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、こはく酸、グルタル酸、酪酸、乳酸、りんご酸、くえん酸、酒石酸、マロン酸、アジピン酸等の有機酸類やスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシメタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、塩酸、硫酸、硝酸、りん酸、ほう酸、亜りん酸、ふっ酸等の無機酸等が挙げられ、これらを単独、または2種類以上を組みあわせて用いてもよい。また、上記の3級アミノ基を4級化する際に使用することのできる4級化剤としては、例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のジアルキル硫酸類や、メチルクロライド、エチルクロライド、ベンジルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、ベンジルブロマイド、メチルヨーダイド、エチルヨーダイド、ベンジルヨーダイド等のハロゲン化アルキル類、メタンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸メチル等のアルキルまたはアリールスルホン酸メチル類、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のエポキシ類等が挙げられる。
【0038】
ポリウレタン樹脂の機械的特性や熱特性等の物性を調整する目的で利用する鎖伸長剤としては、例えばポリアミン類や活性水素含有の鎖伸長剤が挙げられる。ポリアミン類の鎖伸長剤としては、例えばエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のジアミン類、ヒドラジン、N,N′−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類、β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジドプロピルカルバジン酸エステル、セミカルバジド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のセミカルバジド類が挙げられる。活性水素含有の鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類、ビスフェノールA、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類および水が挙げられる。
【0039】
本発明の膨潤型のインク受容層に用いることのできるカチオン性ポリウレタン樹脂の製造方法については公知の方法を使用することができる。例えばポリイソシアネートとポリオール等の原材料を一括で仕込んで反応させる一括式反応方法と、ポリイソシアネートとポリオール等の原材料の一部を分割して仕込んで反応させる逐次式反応方法とが挙げられる。
【0040】
本発明の膨潤型のインク受容層に用いることのできるカチオン性ポリウレタン樹脂としては、例えばDIC(株)からパテラコールシリーズとして、大原パラヂウム化学(株)からパラサーフUP−28、同UP−36として、また明成化学工業(株)からパスコールJK−830等として市販されているものを入手し、利用することもできる。
【0041】
本発明の膨潤型のインク受容層に用いることのできる親水性ポリマーの固形分塗布量は特に制約はないが、5〜40g/mが好ましく、7〜35g/mが特に好ましい。5g/m未満ではインク吸収性が低下するおそれがあり、40g/mより多くなるとコストが高くなってしまったり、カール性や透明性が悪化したりするおそれがある。
【0042】
膨潤型の記録材料に顔料インクを用いて画像を出力した際に印字部分にひび割れが発生する理由は以下のように推測される。インク中の溶媒成分は膨潤型のインク受容層中のポリマーが膨潤することにより吸収されるため、インク受容層は伸長する。その後の乾燥過程でインク中の溶媒成分を放出する際にインク受容層は収縮する。一方、印字され溶媒成分から分離されたインク中の顔料色剤はインク受容層表面にとどまり画像を形成する。このインク顔料は特に溶媒成分を膨潤により吸収しているわけではないので印字から乾燥の過程において体積変化は生じない。このように画像部分とインク受容層との伸縮率の違いによりひび割れが生じるが、本発明ではエイジング処理により親水性ポリマーの架橋反応が促進され、インク受容層の伸縮を低減させることができるため、上記印字部分のひび割れを抑制していると推測される。
【0043】
本発明の膨潤型のインク受容層には、親水性ポリマーの架橋剤を用いる。上記親水性ポリマーの架橋剤としては、上記した各種の架橋剤を用いることができる。本発明の膨潤型のインク受容層に用いることのできる架橋剤の量は特に制約はないが、親水性ポリマーに対して0.1〜65質量%が好ましい。
【0044】
本発明の膨潤型のインク受容層はインク吸収性をより高める目的でカチオン性ポリウレタン樹脂とポリビニルアルコールとをあわせて含有することが好ましい。この場合のポリビニルアルコールは完全または部分ケン化のものがよく、ケン化率70%以上のものが好ましい。平均重合度は200〜5000のものが好ましい。また、カチオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも使用することができ、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコール等がそれである。本発明におけるポリビニルアルコールの添加量はカチオン性ポリウレタン樹脂に対して10〜90質量%が好ましく、18〜75質量%であることが特に好ましい。カチオン性ポリウレタン樹脂とポリビニルアルコールの合計の固形分塗布量は7〜30g/mが好ましい。本発明の膨潤型のインク受容層は、上記したカチオン性ポリウレタン樹脂とポリビニルアルコールをそれぞれ混合して塗布液を作製し、これを塗布することで形成してもよいが、例えば、パテラコールEG−4X(DIC(株)製)やパラサーフUP−28(大原パラヂウム化学(株)製)等は、カチオン性ポリウレタン樹脂とポリビニルアルコールが予め混合されているため、これらも好適に用いることができる。また、これら市販品に対し、ポリビニルアルコールやカチオン性ポリウレタン樹脂を追加して用いることもできる。
【0045】
上記したカチオン性ポリウレタン樹脂とポリビニルアルコールとをあわせて用いる場合には、ポリビニルアルコールの架橋剤をあわせて用いることが更に好ましい。ポリビニルアルコールの架橋剤としては、例えば酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等のジルコニウム化合物や、乳酸チタン等の水溶性有機チタン化合物、ほう酸やその塩等の無機架橋剤、エポキシ系化合物、メチロールメラミン、グリオキザール等の有機架橋剤等が知られている。ポリビニルアルコールに対する反応性、塗布液の安定性等の観点からほう酸またはその塩が好ましい。
【0046】
本発明の膨潤型のインク受容層は、耐折り割れ性や塗層の透明性といった観点から無機顔料を含有していないことが好ましい。無機顔料はマット剤等、必要に応じて含有させることはできるが、その添加量はインク受容層の固形分に対して5質量%以下である必要がある。塗層の透明性は、透明なフィルムベースにインク受容層を塗布し、得られた記録材料のヘイズをヘイズメーター等で測定することで判定できる。ヘイズ値が5%以下である場合は塗層が透明であると考えられる。
【0047】
本発明の膨潤型のインク受容層は、前述の非晶質合成シリカのカチオン化に使用されるものと同様のカチオン性ポリマーを、更に添加剤として使用してもよい。
【0048】
本発明のインク受容層は耐水性向上、顔料インクの定着性向上等の目的で水溶性多価金属化合物を含有してもよい。水溶性多価金属化合物としては水溶性アルミニウム化合物および水溶性ジルコニウム化合物が好ましく利用できる。
【0049】
本発明において使用することができる水溶性ジルコニウム化合物として、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、ふっ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等が挙げられる。これら水溶性ジルコニウム化合物の中でも、酢酸ジルコニウム(酢酸ジルコニル)、オキシ塩化ジルコニウムは特に好ましい。
【0050】
本発明において使用することができる水溶性アルミニウム化合物としては例えば、無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が挙げられる。更に、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られている。
【0051】
これらの水溶性アルミニウム化合物の中でも、インク受容層を形成する塗布液に安定に添加できるものが好ましく、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の式1、2または3で示され、例えば[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0052】
[Al(OH)Cl6−n ・・式1
[Al(OH)AlCl ・・式2
Al(OH)Cl(3n−m) 0<m<3n ・・式3
【0053】
これらのものは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)や高塩基性塩化アルミニウム(タキバイン)の名で、浅田化学工業(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードのものが容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
【0054】
上記した水溶性多価金属化合物の含有量は、インク受容層の固形分塗布量に対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0055】
本発明のインク受容層には、更に着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、架橋剤、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤、マット剤等の公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0056】
本発明インク受容層の塗布方法としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リバースコーター、スライドビードコーター、スライドカーテンコーター等のいずれの方法であってもよい。またインク受容層やその他の層等、2層以上を設ける場合には、スライドビードコーターやスライドカーテンコーター等による多層塗布方法が好ましく用いられる。
【0057】
本発明のインクジェット記録材料の支持体としては、出力物の高湿度下での保存性の観点から非吸収性支持体である必要があり、基紙の少なくとも一方の面を樹脂で被覆した樹脂被覆紙や樹脂フィルム、シュリンクフィルム等が挙げられる。本発明に支持体として用いることのできるシュリンクフィルムは、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、その他の樹脂からなるプラスティックフィルムを延伸してなる一般に使用されている熱収縮性フィルムである。これらの支持体の厚みは15〜350μm、好ましくは20〜300μmのものが用いられる。
【0058】
本発明に用いることのできる樹脂被覆紙について詳細に説明する。本発明に用いられる樹脂被覆紙は、その含水率は特に限定しないが、カール性より好ましくは5.0〜9.0質量%の範囲であり、より好ましくは6.0〜9.0質量%の範囲である。樹脂被覆紙の含水率は、任意の水分測定法を用いて測定することができる。例えば、赤外線水分計、絶乾重量法、誘電率法、カールフィッシャー法等を用いることができる。
【0059】
樹脂被覆紙を構成する基紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。基紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この基紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
【0060】
更に、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0061】
また、基紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮する等した表面平滑性のよいものが好ましく、その坪量は30〜250g/mが好ましい。
【0062】
基紙を被覆する樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体等のオレフィンの二つ以上からなる共重合体およびこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0063】
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、二酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等の白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、ヒンダードフェノール系化合物等の酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルー等のブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫等のマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜組みあわせて加えるのが好ましい。
【0064】
樹脂被覆紙の主な製造方法としては、走行する基紙上に樹脂を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、基紙の両面が樹脂により被覆される。また、樹脂を基紙に被覆する前に、基紙にコロナ放電処理、火炎処理等の活性化処理を施すことが好ましい。樹脂被覆層の厚みとしては5〜50μmが適当である。
【0065】
本発明に用いられる支持体のインク受容層が塗設される側には、下引き層を設けるのが好ましい。この下引き層は、インク受容層が塗設される前に、予め支持体の表面に塗布乾燥されたものである。この下引き層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。これらの水溶性ポリマーの付着量は10〜500mg/mが好ましく、20〜300mg/mがより好ましい。更に、下引き層には、他に界面活性剤や架橋剤を含有するのが好ましい。支持体に下引き層を設けることによって、インク受容層塗布時のひび割れ防止に有効に働き、均一な塗布面が得られる。
【0066】
本発明のインクジェット記録材料のインク吸収性を有する側と支持体に対して反対側には、カール防止や印字直後に重ね合わせた際の貼り付きやインク転写を更に向上させるために種々の種類の裏塗り層を設けてもよく、また支持体の両側にインク受容層を塗布してもよい。
【実施例】
【0067】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限定されるものではない。なお特に断らない限り、部および%は固形分での質量部および質量%を示す。
【0068】
(実施例1)
<樹脂被覆紙の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)の1:1混合物をカナディアン・スタンダード・フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/mになるように抄造し、乾燥調湿して樹脂被覆紙の基紙とした。抄造した基紙に、密度0.918g/cmの低密度ポリエチレンの樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出被覆し、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆しおもて面とした。もう一方の面には密度0.962g/cmの高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し裏面とした。
【0069】
上記樹脂被覆紙の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/mとなるように塗布乾燥して支持体を作製した。
【0070】
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
【0071】
上記のようにして作製した樹脂被覆紙の下引き層を設けた面に、下記組成のインク受容層塗布液1をスライドビードコーターで塗布後、5℃の風を吹き付け塗液を不動化させた後、50℃の風を吹き付けて乾燥させ、インクジェット記録材料1を得た。インク受容層塗布液1の乾燥塗布量は25g/mである。
【0072】
<気相法シリカ分散液の作製>
水にジアリルジメチルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9000)4部と気相法シリカ(平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m/g)100部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザー処理して、固形分濃度20%の気相法シリカ分散液を作製した。気相法シリカの平均二次粒子径は135nmであった。
【0073】
<インク受容層塗布液1>
気相法シリカ分散液 (気相法シリカの固形分として)100部
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール 23部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 2部
酢酸ジルコニウム 2部
酢酸ナトリウム 1.5部
塗布液の固形分濃度 12.5%
【0074】
<インクジェット記録材料の製造方法1−1の作製>
得られたインクジェット記録材料1を、30hPa以下の気圧下にて40℃のエイジング処理を15時間行い、インクジェット記録材料を得た。
【0075】
<インクジェット記録材料の製造方法1−2の作製>
上記で得られたインクジェット記録材料1を、200hPaの気圧下にて40℃のエイジング処理を32時間行い、インクジェット記録材料を得た。
【0076】
<インクジェット記録材料の製造方法1−3の作製>
上記で得られたインクジェット記録材料1を、600hPaの気圧下にて40℃のエイジング処理を72時間行い、インクジェット記録材料を得た。
【0077】
<比較例の製造方法1−4の作製>
上記で得られたインクジェット記録材料1を、常圧にて40℃のエイジング処理を72時間行い、インクジェット記録材料を得た。
【0078】
<比較例の製造方法1−5の作製>
上記で得られたインクジェット記録材料1を、常圧にて23℃の環境下で72時間保管し、インクジェット記録材料を得た。
【0079】
以上のようにして得られた各々の記録材料について下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0080】
<インク吸収性の評価>
キヤノン(株)製のインクジェットプリンターPIXUS iP−4300にてM+Y(赤)のベタパッチの中にCの細線を組み込んだパターンを印字し、印字直後に細線部とベタ部との境界のにじみ具合を以下の基準にて目視判定した。
◎:境界が非常にはっきりとしており、速やかにインクを吸収している
○:境界がわずかににじんでいる。実用上問題はない
△:境界が乱れている。実用上問題がある
×:境界が非常に乱れている
【0081】
<高湿度下での耐にじみ性の評価>
インクジェットプリンターPIXUS iP−4300にてC、M、Y、K、M+Y(赤)、C+Y(緑)、C+M(青)の各色のベタパッチに細線状の無印字部分を格子状に組みあわせたパターンを印字し、常温にて24時間乾燥後、30℃80%R.H.にて10日間静置し、左記処理をしていない画像と見比べてそのにじみ具合やひび割れの状態を下記基準にて目視判定した。
○:にじみおよびひび割れがない
×:ベタ部の輪郭部、細線状の無印字部分ににじみ、もしくはひび割れが観察される
××:ベタ部の輪郭部、細線状の無印字部分に甚だしいにじみ、もしくはひび割れが観察される
【0082】
【表1】

【0083】
表1から明らかなように、本発明によれば水系のインクジェットプリンターにて印字した場合に、空隙型のインクジェット受容層において、インク吸収性、高湿度下での耐にじみ性に優れた印字品質を有するインクジェット記録材料を短時間で得ることができる。
【0084】
(実施例2)
下記組成のインク受容層塗布液2をポリスチレン製のシュリンクフィルム(膜厚60μm)支持体上にバーコーターにて固形分塗布量が15g/mとなるように塗布後、20℃の風を吹き付けて乾燥し中間工程品を得た。ついで下記組成の上塗り層塗布液2を左記で得られた中間工程品上にバーコーターにて固形分塗布量が1g/mとなるように塗布後、18℃の風を吹き付けて乾燥し、インクジェット記録材料2を得た。
【0085】
<インク受容層塗布液2>
パテラコールEG−4X 100部
球状シリカマット剤(平均粒子径20μm) 0.4部
エチルアルコール 塗液質量に対して5%
固形分濃度が12%になるように水にて調整した。
【0086】
<上塗り層塗布液2>
ほう酸 100部
エチルアルコール 塗液質量に対して10%
固形分濃度が5%になるように水にて調整した。
【0087】
<インクジェット記録材料の製造方法2−1の作製>
得られたインクジェット記録材料2を、30hPa以下の気圧下にて18℃で120時間エイジング処理し、製造方法2−1のインクジェット記録材料を得た。
【0088】
<インクジェット記録材料の製造方法2−2の作製>
上記で得られたインクジェット記録材料2を、200hPaの気圧下にて18℃で360時間エイジング処理し、製造方法2−2のインクジェット記録材料を得た。
【0089】
<比較例の製造方法2−3の作製>
上記で得られたインクジェット記録材料2を、常圧にて18℃で360時間静置し、比較例の製造方法2−3のインクジェット記録材料を得た。
【0090】
<比較例の製造方法2−4の作製>
上記で得られたインクジェット記録材料2を、常圧にて40℃の加熱処理を72時間行ったが、熱収縮のため印字評価に耐えうるサンプルを得ることができなかった。
【0091】
得られた記録材料をセイコーエプソン(株)製水系顔料インクプリンターMAXART PX−W8000にて印字し評価した。評価の際には、まずEFI社製RIPを用いて得られた製造方法2−1のインクジェット記録材料のICCプロファイルを作成した。印字環境は20℃50%R.H.であった。
【0092】
<インク吸収性の評価>
上記にて得られた製造方法2−1のインクジェット記録材料用のICCプロファイルを用いて、「カラーに白」という、有色インクにて画像を描画後、すぐに白色インクを印字するモードにて、C、M、Y、Bk、R、G、B、C+W(白色インク)、M+W、Y+W、Bk+W、R+W、G+W、B+W、Wのみの各ベタ画像を出力し、インクがあふれているかどうかを目視にて確認し、下記基準にて評価した。印字環境は20℃50%R.H.であった。
◎:インクあふれがない
○:R+W、G+W、B+Wでわずかにモットリングが見られるが実用上問題ない
△:R+W、G+W、B+Wで明瞭にモットリングが見られ実用上問題
×:有色インク+白色インクの部分でモットリングが見られインク吸収性が良くない
【0093】
<耐水性の評価>
上記のICCプロファイルを用いて印字順序「カラーに白」にてC、M、Y、Bk、R、G、B、C+W(白色インク)、M+W、Y+W、Bk+W、R+W、G+W、B+W、Wのみの各色で文字を出力し、その後出力した記録材料を24時間乾燥させた。印字および印字後の乾燥環境は20℃50%R.H.であった。印字部に水を1滴(およそ50μl)滴下した。その後20℃50%R.H.にて24時間乾燥させた後に画像および塗層の乱れ具合を以下の基準にて目視にて判定した。
◎:乱れがない
○:わずかに乱れているが実用上問題ない
△:乱れがあり、実用上問題である
×:乱れが著しい
【0094】
<高湿度下での耐ひび割れ性の評価>
上記のICCプロファイルを用いて印字順序「カラーに白」にてC、M、Y、Bk、R、G、B、C+W(白色インク)、M+W、Y+W、Bk+W、R+W、G+W、B+W、Wのみの各色のベタパッチを出力し、その後出力した記録材料を24時間乾燥させた。印字および印字後の乾燥環境は20℃50%R.H.であった。その後、15℃85%R.H.にて10日間静置し、左記処理をしていない画像と見比べてそのにじみ具合やひび割れの状態を下記基準にて目視判定した。
○:にじみおよびひび割れがない
×:印字部の輪郭部分ににじみ、もしくはひび割れが観察される
××:印字部の輪郭部分に著しいにじみ、もしくはひび割れが観察される
【0095】
【表2】

【0096】
表2から明らかなように、本発明によれば水系のインクジェットプリンターにて印字した場合に、膨潤型のインクジェット受容層においてもインク吸収性、画像部の耐水性に優れ、なおかつ高湿度下での保存においても画像部のひび割れがない、優れた印字品質を有するインクジェット記録材料を短時間で得ることができる。また、本発明のインクジェット記録材料の製造方法は低温でも効果を発揮するため、軟包装材料の出力校正等の用途に利用する際には好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非吸水性支持体上に少なくとも1層以上の親水性ポリマーと架橋剤とを含有するインク受容層を塗布してなるインクジェット記録材料の製造方法において、該インク受容層を塗布・乾燥後に気圧が800hPa以下の減圧環境下でエイジング処理することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
【請求項2】
前記非吸水性支持体がシュリンクフィルムであり、かつ前記エイジング処理が25℃以下の条件下で行われることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録材料の製造方法。
【請求項3】
前記インク受容層が無機微粒子を主体に含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録材料の製造方法。
【請求項4】
前記インク受容層がカチオン性ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコールおよびほう酸またはその塩を含有する(ただし、該インク受容層が無機微粒子を含む場合には、無機微粒子の含有量はインク受容層の全固形分に対して5質量%以下である)請求項1記載のインクジェット記録材料の製造方法。

【公開番号】特開2013−56493(P2013−56493A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196957(P2011−196957)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】