説明

インクジェット記録用紙

【目的】 高性能の印字品質を備えたインクジェット記録用紙を提供する。
【構成】 プルランを一般式(I)(化1)で表される化合物および一般式(II)(化2)で表される化合物〔上記一般式(I),(II)においてR1,2,3 は炭化水素基、X,Yはハロゲン原子〕からなる群より選ばれたカチオン化剤の少なくとも一種以上と反応させることによって得られるカチオン化プルランを被覆層に含ませた。
【化1】


【化2】

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、インクジェット記録用紙に使用されるインクは、印字性や噴射ノズルのつまりを考慮して、染料または酸性染料等を直接水に溶解した水溶性インクが用いられている。
【0003】一方、記録用紙に関しては、低サイズ度の上質紙あるいはインクの吸収性,印字濃度,ドット形状等を改善した塗工紙などが使用されている(特開昭55―51538号,特開昭53―790号あるいは特開昭61―95977号等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の記録用紙は、インクジェットプリント時のにじみ防止特性,印字濃度およびインク吸収性等の印字品質において今一歩であり、改善が望まれていた。
【0005】したがって、本発明の目的は、高性能の印字品質を備えたインクジェット記録用紙を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、カチオン化プルランのバインダー特性等に着目し、本発明に想到した。
【0007】本発明の要旨は、プルランを以下の一般式(I)(化5)で表される化合物および以下の一般式(II)(化6)で表される化合物〔上記一般式(I),(II)においてR1,2,3 は炭化水素基、X,Yはハロゲン原子〕からなる群より選ばれたカチオン化剤の少なくとも一種以上と反応させることによって得られるカチオン化プルランを含む被覆層を有するインクジェット記録用紙にある。
【化5】


【化6】


【0008】すなわち、本発明にかかるインクジェット記録用紙は、一般式(III)(化7)で表されるカチオン化プルランを含む被覆層を有することを特徴とする。
【0009】
【化7】


【0010】但し、上記式中R4 は、水素原子または、下記の一般式(IV)(化8)で表わされる置換基であり、得られるカチオン化プルランの置換度に応じて上記置換基がR4 にある水素原子と置き換わる。
【0011】
【化8】


【0012】上記置換基は、カチオン化剤に由来するものであり、R1,2,3 は炭化水素基を表わし、カチオン化剤について後述するように、R1,2 は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、R3 は炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。
【0013】Xは塩素,シュウ素,ヨウ素などのハロゲン原子であり、塩素であることが好ましい。また、一般式(III) において、nは通常20〜20,000である。
【0014】一般式(IV)で表わされる置換基は、平均置換度として無水グルコース単位当り0.01以上存在することが好ましく、さらに好ましくは、同単位当り0.1以上存在することが好ましい。置換度0.01未満では、記録用紙に用いたとき、にじみ防止特性,印字濃度およびインクの吸収性等の特性を付与することができないことがあり、好ましくない。
【0015】本発明において、記録用紙に用いられるカチオン化プルランは、水,アルカリ性物質の存在下、原料プルランに一般式(I)(化9)で表わされる化合物と一般式(II) (化10)で表される化合物〔上記一般式(I),(II)においてR1,2,3 は炭化水素基、X,Yはハロゲン原子〕とからなる群より得らばれたカチオン化剤の少なくとも1種以上と反応させることにより得られることができる。
【0016】
【化9】


【化10】


【0017】上記原料プルランは一般式(V)(化11)のように、グルコースの三量体であるマルトトリオースを単位として、この三量体とは異なった結合であるα−1,6結合により反復結合した線状重合体である。プルランの分子量としては、1万〜1,000万が好ましく、さらに好ましくは10万〜1,000万である。したがって、一般式(V)中nは、通常20〜20,000である。
【0018】
【化11】


【0019】原料プルランは、その製造方法に特に限定はない。例えば黒酵母の一種アウレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)を蔗糖やデンプン分解物などを炭素源とし、適当な条件下で培養し、その培養液中において産生される粘性多糖類として得ることができる。産出されるプルランは、使用する菌株の種類により物性が若干異なるが、本発明ではいずれのものも用いることができる。
【0020】原料プルランとカチオン化剤との反応は、水およびアルカリ性物質の所定量の存在下で行われる。
【0021】反応に際しての水の添加量は、原料であるプルランの無水グルコース単位当り好ましくはモル比2〜80倍である。これ以下であると、触媒として機能するアルカリ性物質が均一に反応に関与しなくなり、また、カチオン化剤と原料プルランの接触効率が低下するため、反応が十分に進行しないことがあり好ましくない。一方、上記した以上の添加量であると、副反応である水とカチオン化剤との反応が進行するおそれがあり、カチオン化剤の有効利用量が低下するため好ましくない。水の添加量はさらに好ましくは無水グルコース単位当りモル比5〜40倍である。
【0022】上記アルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;あるいはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルアミン等の有機アミン類を用いることができる。そのうち、好適なものは、水酸化ナトリウムである。
【0023】アルカリ性物質の添加量は、原料プルランの無水グルコース単位当り好ましくは、モル比0.001〜1.0倍である。これ以下であると触媒としての量が少なすぎて反応速度が低下し、反応が進行しなくなる。上記した以上の添加量であると、副反応が進行したり、プルランの解重合度が激しくなることがあり、好ましくない。
【0024】上記カチオン化剤としては、一般式(I)(化12)〔式(I)においてR1,2,3 は炭化水素基、Xはハロゲン原子〕で表わされる2,3−エポキシプロピルトリアルキルアンモニウムハライド(グリシジルトリアルキルアンモニウム塩)および一般式(II) (化13)〔式(II)においてR1,2,3 は炭化水素基、X,Yはハロゲン原子〕で表される3−ハロゲノ−2ヒドロキシトリアルキルアンモニウムハライドがある。かかるカチオン化剤は一種単独でも、あるいは二種以上を組み合わせても使用することができる。
【0025】
【化12】


【化13】


【0026】上記式中R1,2,3 の炭化水素基は、鎖状あるいは分岐型のアルキル基のみならず、不飽和炭化水素基、芳香族基とすることができる。もっとも、上記式中R1,2 は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、R3 は炭素数1〜18のアルキル基であることが好ましい。また、X,Yとしては塩素、シュウ素、ヨウ素が挙げられなかでも塩素が好ましい。
【0027】本発明に使用することのできるカチオン化剤を例示するために、上記一般式(I)(II) に共通する−NR1 2 3 Xの部分(トリアルキルアンモニウム塩基)の具体例を列挙すると、トリメチルアンモニウムクロライド、トリエチルアンモニウムクロライド、トリプロピルアンモニウムクロライド等をはじめ、ジメチルオクチルアンモニウムクロライド、ジメチルデシルアンモニウムクロライド、ジメチルラウリルアンモニウムクロライド、ジメチルミリスチルアンモニウムクロライド、ジメチルパルミチルアンモニウムクロライドなどの高級脂肪族アルキル基を含有するもの等が挙げられる。
【0028】上記カチオン化剤の添加量は所望するカチオン変性度により任意に選択されるが、原料プルランの無水グルコース単位当りモル比0.01倍以上であることが好ましい。0.01倍以下では上記カチオン化剤に由来するカチオン基(β−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩基)による無水グルコース単位当りの上記カチオン化プルランの平均置換度が0.01以下となって、目的とするプルランが得られない。さらに好ましくは、無水グルコース単位当りのモル比は0.1以上である。
【0029】反応温度は、40〜80℃が好ましく、また、アルカリ性物質とカチオン化剤の添加順序は特に限定されるものではない。
【0030】カチオン化反応終了後、触媒であるアルカリ性物質を鉱酸あるいは有機酸等により中和して後、カチオン化プルランの非溶媒である、アセトン、メタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等あるいはこれらの混合溶媒と混合することにより、晶出・回収する。しかる後に、水中において再溶解し、さらに再結晶といった工程を数回繰り返した後、乾燥させることにより、精製されたカチオン化プルランを得ることができる。
【0031】本発明のカチオン化プルランの適用方法としては、基紙に塗工し、被覆層に含有させる外添方式が主に用いられる。塗工には、サイズプレス,ロールコータ,エアーナイフコータ,ブレードコータ等の装置を使用することができる。
【0032】カチオン化プルランの使用量は、紙中の含有率として、一般に0.3〜6重量%であり、0.5〜4重量%が好ましい。
【0033】また、カチオン化プルランを塗工用ピグメントと併用して基紙に塗工することもできる。この場合、カチオン化プルランはバインダーとして機能し、印字品質は一層向上する。塗工用ピグメントとしては、一般のコート紙で使用されているクレー,軟質および重質の炭酸カルシウム,水酸化アルミニウム,酸化チタン,サチンホワイト,硫酸バリウム,プラスチックピグメント,ホワイトカーボン,焼成クレー,ケイ酸カルシウム,微粉末状尿素ホルマリン樹脂等を使用できるが、ホワイトカーボン,焼成クレー,ケイ酸カルシウムが特に好ましく、この場合、特に高い印字品質が得られる。
【0034】本発明のカチオン化プルランは、印字部分の耐水性を改善するため、耐水化剤との併用も可能である。耐水化剤と併用することにより、インクジェット記録用紙に十分な耐水性を付与できる。耐水化剤としては、例えば、ポリアミド系エポキシ樹脂,熱硬化性樹脂,ホルマリン樹脂,金属塩等を用いることができる。
【0035】なお、塗工液中にさらに、分散剤,消泡剤,潤滑剤,ケイコウ増白剤等を適宜添加して調整することができる。分散剤としては、例えば、複合リン酸塩,カゼイン,大豆タンパク,アラビアゴム,アクリル酸ポリマー等を用いることができる。消泡剤としては、例えば、パインオイル,シリコーンオイル,アミルアルコール,カプリルアルコール,ドデシルアルコール,石油オイル,トリブチル酢酸,トリブチルリン酸等を用いることができる。潤滑剤としては、例えば、石けん,ロート油,ワックスエマルジョン,アミン化合物,カルシウムアセテート等を用いることができる。ケイ光増白剤としては、例えば、ジアミノスチルベン系化合物等を用いることができる。
【0036】本発明に使用されるカチオン化プルランが印字品質向上に効果を表す理由は明らかでないが、次の理由が考えられる。
【0037】すなわち、インク中の染料のアニオン基(−SO3 - 等)とカチオン化プルラン中のカチオン基〔−NR1,2,3 + 〕が化学的に結合して凝集を起こし、染料が表層部分にとどまりやすく、よって印字濃度が向上すると考えられる。カチオン化プルランは、他のカチオン化ポリマーにくらべてアニオン系化合物との凝集度が高いことが経験的に知られており、よって他のカチオン化ポリマーを用いるより印字濃度を高くすることができると考えられる。
【0038】また、カチオン化プルランの与えるフィルムは、セルロース系ポリマーや、デンプン系ポリマーの与えるものより平滑度が高く、強固で均一であることが知られており、これは印字濃度の向上,にじみ防止,インク吸収性の向上に効果的であることが考えられる。
【0039】
【実施例】以下に実施例1〜2において、本発明に使用することのできるカチオン化プルランの実施例を挙げ、実施例3〜6に本発明にかかるインクジェット記録用紙の実施例を挙げ、比較のため比較例1〜7を挙げる。
【0040】実施例1コンデンサー付のニーダーにグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド357.3gを含む水溶液446.6gと純水202.2gを入れ混合し、これに水分10%含有のプルラン400g(プルラン360g、水40g相当)を加え、均一に溶解するまで室温で混合した。続いてこのスラリーに49%水酸化ナトリウム水溶液9.0gを加え、室温で30分間混合した。その後50℃まで昇温し、この温度下で5時間混合した。この反応系の無水グリコース単位当りの水,水酸化ナトリウム,グリシジルトリメチルアンモニウムクロライドのモル比はそれぞれ8.5,0.05,1.0であった。
【0041】次いで、酢酸6.6gを加えて中和した後、アセトン/メタノール(WR)=1/1 2kgを加えて混合し、反応生成物を晶出させた。晶出ケーキを水中に再溶解した後、再度アセトン/メタノール(WR)=1/1 2kg中にて再晶出した。これらの再溶解、再晶出を更に3回繰返し、60℃で乾燥させてカチオン化プルラン480gを得た。得られたカチオン化プルランは窒素含有率が3.46%であり、無水グルコース単位当りのカチオン化度は0.65であった。
【0042】実施例2カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを190.0g含む水溶液237.4gおよび純水286.6gを用いる他は実施例1と同様に反応、精製した。この反応系の無水グルコース単位当りの水,水酸化ナトリウム,グリシジルトリメチルアンモニウムクロライドのモル比はそれぞれ8.5,0.05,0.5であった。
【0043】この反応で440gのカチオン化プルランが得られ、得られたカチオン化プルランは窒素含有率が2.3%であり、無水グルコース単位当りのカチオン化度は0.35であった。
【0044】印字テスト(実施例3〜6,比較例1〜12)
実施例及び比較例における記録用紙の印字評価試験は、4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のドット印字を一色につき10点ずつ行ない、次の基準により印字品質(印字濃度、にじみ、インキ乾燥性)を評価した。なお、印字用プリンターとしては、シャープ製インクジェットカラープリンタ(カラーイメージプリンタIO−0700)を使用した。
1)印字濃度カラープリンターでドット印字したものについて、ミクロフォトメーターMPM2型(ユニオン光学製)を使用して印字濃度を測定した。
2)にじみ1)と同様にドット印字したものについて、ルーペ(倍率50倍)でドット部分を観察し、にじみの有無の評価を行った。
3)インク乾燥性1)と同様のドット印字を別途行ない、印字部分がプラテンで擦れて汚れた場合を×とし、わずかに擦れた場合を△、全く問題のない場合を○とした。
【0045】実施例3フリーネス(C.S.F)380mlのLBKP100重量部からなる原料パルプに填料としてニップシールNS−P(日本シリカ工業社製ホワイトカーボン)を20重量部(パルプ100重量部に対する配合部数)内添し、長綱抄紙機を使用して坪量70g/m2 の原紙を抄造した。この原紙に、実施例1で得たカチオン化プルラン5重量部、耐水化剤としてネオフィックスPNF−70(日華化学工業社)5重量部を水100重量部に混合・溶解した後、サイズプレス装置で塗工(塗工量絶乾5g/m2 )して実施例3の用紙を得た。
【0046】実施例4同様に実施例2で得たカチオン化プルランを用い、実施例4の用紙を得た。
【0047】比較例1実施例3におけるカチオン化プルランのかわりにレオガードG〔ライオン社製カチオン化ヒドロキシエチルセルロース(HEC)〕を用いた以外は実施例3と同様にして比較例1の用紙を得た。
【0048】比較例2実施例3におけるカチオン化プルランのかわりにPVAC−118(クラレ社製カチオン変性PVA)を使用した以外は実施例3と同様にして比較例2の用紙を得た。
【0049】比較例3実施例3におけるカチオン化プルランのかわりにケイトコート485(王子ナショナル社製カチオン変性デンプン)を使用した以外は実施例3と同様にして比較例3の用紙を得た。
【0050】比較例4〜7カチオン化プルランのかわりに、比較例4ではPVA−117(クラレ社製ノニオン性PVA)、比較例5ではQP−09L(ダイセル化学工業社製ノニオン製HEC)、比較例6ではコータミン86P(花王社製ステアリル トリメチルアンモニウムクロリド)、比較例7ではPF−20(林原社製プルラン)、を各々使用した以外は実施例3と同様にして比較例4〜7の用紙を得た。
【0051】実施例3〜4および比較例1〜7の用紙についての印字の結果を表1に示す。
【0052】
【表1】


【0053】実施例5フリーネス(C.S.F)380mlのLPKP100重量部からなる原料パルプに填料としてニップシールNS−P(日本シリカ工業社製ホワイトカーボン)を20重量部(パルプ100重量部に対する配合部数)内添サイズ剤としてハーサイズEM505(播磨化成工業社製)を1重量部、硫酸バンドを2重量部各々内添し、長網抄紙機で秤量60g/m2 の原紙を抄造した。この原紙に下記の塗工液を絶乾10g/m2 (片面)エアーナイフコーターで塗工し実施例5の用紙を得た。塗工液については、ピグメントとしてハイドラスパース(米国ヒューバ社製クレー)を100重量部、バインダーとして実施例1で得たカチオン化プルラン20重量部、耐水化剤10部その他分散剤、消泡剤、潤滑剤、ケイコウ増白剤等を適宜添加して調整した。
【0054】実施例6同様に実施例2で得たカチオン化プルランを用いて実施例6の用紙を得た。
【0055】比較例8実施例5におけるカチオン化プルランのかわりにレオガードG(ライオン社製:カチオン化HEC)を用いた以外は実施例5と同様にして比較例8の用紙を得た。
【0056】比較例9実施例5におけるカチオン化プルランのかわりにPVAC−118(クラレ社製カチオン変形PVA)を使用した以外は実施例5と同様にして、比較例9の用紙を得た。
【0057】比較例10実施例5におけるカチオン化プルランのかわりにケイトコート485(王子ナショナル社製カチオン変性デンプン)を使用した以外は実施例5と同様にして比較例10の用紙を得た。
【0058】比較例11実施例5におけるカチオン化プルランのかわりにQP−09L(ダイセル社製HEC)を用いた以外は実施例5と同様にして比較例11の用紙を得た。
【0059】比較例12実施例5におけるカチオン化プルランのかわりにPF−20(林原商事製プルラン)を用いた以外は実施例5と同様にし、比較例12の用紙を得た。
【0060】実施例5〜6、比較例8〜12のついての印字テストの結果を表2に示す。
【0061】
【表2】


【0062】上記実施例と比較例の結果に基いて了解させるように、カチオン化プルランを使用した本発明にかかるインクジェット記録用紙は、印字濃度、にじみ防止特性、インク乾燥性において優れている。
【0063】
【発明の効果】上記したところから明らかなように、本発明によれば、にじみ防止特性、印字濃度およびインク吸収性等の印字品質を備えたインクジェット記録用紙が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プルランを一般式(I)(化1)で表される化合物および一般式(II)(化2)で表される化合物〔上記一般式(I),(II)においてR1,2,3 は炭化水素基、X,Yはハロゲン原子〕からなる群より選ばれたカチオン化剤の少なくとも一種以上と反応させることによって得られるカチオン化プルランを含む被覆層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【化1】


【化2】


【請求項2】 一般式(III)(化3)〔式中、R4 は、水素原子または、一般式(IV)(化4)で表される置換基であり、一般式(IV)中、R1,2,3 は炭化水素基、Xはハロゲン原子〕で表されるカチオン化プルランを含む被覆層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【化3】


【化4】


【請求項3】 ピグメントとして、クレー,軟質および重質の炭酸カルシウム,水酸化アルミニウム,酸化チタン,サチンホワイト,硫酸バリウム,プラスチックピグメント,ホワイトカーボン,焼成クレー,ケイ酸カルシウムおよび微粉末尿素ホルマリン樹脂のうち少なくとも1種類を含み、ピグメントのバインダーとしてカチオン化プルランを含む被覆層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【請求項4】 上記被覆層にさらに耐水化剤を併用したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一のインクジェット記録用紙。

【公開番号】特開平6−328836
【公開日】平成6年(1994)11月29日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−119582
【出願日】平成5年(1993)5月21日
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)