説明

インクジェット記録装置、画像記録システム及びインクジェット記録方法

【課題】各種の画像の記録を効率的且つ高速に繰り返して実行し、この記録を伴う加工生産を効率的に実現することができるインクジェット記録装置、画像記録システム及びインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置は、インクを吐出して画像を記録する記録部を通過させるように、複数の記録媒体を順次連続して搬送し、記録部に搬送された記録媒体に対して第一の画像の記録が完了したとされる状態で、記録部に搬送される記録媒体に第二の画像を記録し、第二の画像の記録が完了したとされる状態で記録部に搬送される記録媒体に第一の画像を記録する(S116)。インクジェット記録装置は、第一メモリと第二メモリとを備える。第一の画像が記録される場合、第一の記録データを第一メモリから第二メモリに転送して記憶し、第二の画像が記録される場合、第二の記録データを第一メモリから第二メモリに転送して記憶する(S112)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置、画像記録システム及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の画像を所定の記録媒体に記録することが行われており、画像の記録に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ロール紙への印刷に関し高速連続印刷を可能にする技術として、次のような構成が記載されている。すなわち、プリンタと共に印刷システムに含まれるコンピュータでは、印刷設定用のソフトウェアのプログラムが起動され、ユーザから指定された画像データが印刷画像リストに登録される。コンピュータでは、印刷画像リストに登録された全画像データを示す情報をリスト表示し、且つ印刷画像リストに登録されている各画像データの印刷形態を設定するための設定画面が、表示される。ユーザはキーボードやマウスなどの操作入力部を操作して、この設定画面から、印刷画像リストに登録された各画像データの印刷形態を設定したり、印刷順序を入れ替えたりする。印刷形態が設定された後は、印刷画像リストに登録された各画像データの印刷データが登録順序に従って順次生成されてコンピュータからプリンタへ転送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−263290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像を記録する装置の一つとして、インクジェット記録装置があり、広く用いられている。例えば、インクジェット記録装置は、パーソナルユースで広く利用されている。発明者は、加工生産現場において、インクジェット記録装置で各種の記録媒体に画像を記録することを検討している。例えば、インクジェット記録装置によって、所定の産業資材に画像を記録することを検討している。産業資材は、外形寸法(体積)が大きく及び/又は重量物である場合がある。つまり、産業資材は、取り扱いがし難いものである場合がある。発明者は、この検討の中で、産業資材のような外形寸法が大きく及び/又は重量物であって、それ故、取り扱いに問題が生じ易い記録媒体に対しても、画像の記録を効率的且つ高速に繰り返して実行し、この記録を伴う加工生産を効率的に実現することができる技術について検討を行った。
【0005】
本発明は、各種の画像の記録を効率的且つ高速に繰り返して実行し、この記録を伴う加工生産を効率的に実現することができるインクジェット記録装置、画像記録システム及びインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題に鑑みなされた本発明の一側面は、インクを吐出して画像を記録する記録部を通過させるように、複数の記録媒体を順次連続して搬送し、前記記録部に搬送された記録媒体に対して第一の画像の記録が完了したとされる状態で、前記記録部に搬送される記録媒体に第二の画像を記録し、前記第二の画像の記録が完了したとされる状態で前記記録部に搬送される記録媒体に前記第一の画像を記録するためのインクジェット記録装置であって、前記第一の画像を示す第一の画像データから生成された第一の記録データと、前記第二の画像を示す第二の画像データから生成された第二の記録データと、を記憶する第一記憶部と、前記第一記憶部に記憶されている前記第一の記録データ及び前記第二の記録データの何れかを記憶する第二記憶部と、前記記録部に搬送される記録媒体に前記第一の画像が記録される場合、前記第一の記録データを前記第一記憶部から前記第二記憶部に転送し、前記第二記憶部に前記第一の記録データを記憶し、前記記録部に搬送される記録媒体に前記第二の画像が記録される場合、前記第二の記録データを前記第一記憶部から前記第二記憶部に転送し、前記第二記憶部に前記第二の記録データを記憶する記憶制御部と、前記記憶制御部によって前記第二記憶部に前記第一の記録データが記憶されている場合、前記第二記憶部に記憶されている前記第一の記録データに従い、前記第一の画像を前記記録部で記録し、前記記憶制御部によって前記第二記憶部に前記第二の記録データが記憶されている場合、前記第二記憶部に記憶されている前記第二の記録データに従い、前記第二の画像を前記記録部で記録する記録制御部と、を備えるインクジェット記録装置である。
【0007】
これによれば、記録される画像を切り替える際、第一記憶部に記憶されている第一の記録データ及び第二の記録データのうち、今回(新たに)記録される画像のための記録データを、第二記憶部に転送し記憶させることが可能で、第二記憶部に記憶されている第一の記録データ又は第二の記録データに従って、第一の画像又は第二の画像を記録することができる。なお、第一記憶部及び第二記憶部は、ハードウェア的に異なる少なくとも2個の記憶部でそれぞれ構成されていてもよい。例えば、第一記憶部及び第二記憶部は、それぞれ1個の記憶部で構成されていてもよい。第一記憶部が、2個の記憶部で構成され、第二記憶部が1個の記憶部で構成されていてもよい。また、第一記憶部及び第二記憶部は、ハードウェア的に単一の記憶部で構成されていてもよい。この場合、単一の記憶部において、所定の第一記憶領域が第一記憶部とされ、他の第二記憶領域が第二記憶部とされる。
【0008】
このインクジェット記録装置は、他の構成をさらに含むようにしてもよい。前記記憶制御部は、前記第二記憶部に前記第一の記録データが記憶されている状態において、前記第二記憶部に前記第二の記録データを記憶する場合、前記第二記憶部に記憶されている前記第一の記録データを消去し、前記第二の記録データを前記第一記憶部から前記第二記憶部に転送し、前記第二記憶部に前記第二の記録データが記憶されている状態において、前記第二記憶部に前記第一の記録データを記憶する場合、前記第二記憶部に記憶されている前記第二の記録データを消去し、前記第一の記録データを前記第一記憶部から前記第二記憶部に転送する、ようにしてもよい。これによれば、第一の記録データ又は第二の記録データの第二記憶部への記憶を、好適に行うことができる。なお、第二記憶部の記憶容量を小さくすることができる。
【0009】
また、前記記憶制御部は、前記第一の画像及び前記第二の画像の前記記録部での記録を終了する場合、前記第一記憶部に記憶されている前記第一の記録データ及び前記第二の記録データを消去する、ようにしてもよい。これによれば、記録が終了した場合について、第一記憶部に第一の記録データ及び第二の記録データが記憶され続けるといった状態の発生を防止することができる。なお、第一の画像及び第二の画像の記録部での記録を終了する場合、第二記憶部に記憶されている第一の記録データ又は第二の記録データを消去する、ようにすることもできる。記録が終了した場合について、第二記憶部に第一の記録データ又は第二の記録データが記憶され続けるといった状態の発生を防止することができる。
【0010】
本発明の他の側面は、上述した何れか一つのインクジェット記録装置と、前記インクジェット記録装置と通信できるように接続され、前記インクジェット記録装置に画像を記録させるための情報処理装置と、を含む画像記録システムであって、前記情報処理装置は、前記情報処理装置がアクセスすることができる第三記憶部に記憶されている、前記第一の画像データと前記第二の画像データとを少なくとも含む複数の画像データから、前記第一の画像データと前記第二の画像データとを指定する画像データ指定部と、前記画像データ指定部によって指定された前記第一の画像データから、前記第一の画像を記録するための前記第一の記録データを生成し、前記画像データ指定部によって指定された前記第二の画像データから、前記第二の画像を記録するための前記第二の記録データを生成する記録データ生成部と、前記第一の画像及び前記第二の画像について、前記インクジェット記録装置で記録される順序を示す記録順序を設定する順序設定部と、前記第一の画像及び前記第二の画像の記録が繰り返される回数を示す記録回数を設定する記録回数設定部と、前記記録データ生成部によって生成された前記第一の記録データ及び前記第二の記録データと、前記順序設定部によって設定された前記記録順序を示す順序指令と、前記記録回数設定部によって設定された前記記録回数を示す回数指令と、を前記インクジェット記録装置に送信する送信部と、を備え、前記インクジェット記録装置は、さらに、前記情報処理装置から送信される、前記第一の記録データ及び前記第二の記録データと、前記順序指令と、前記回数指令と、を受信する受信部を備え、前記記憶制御部は、前記順序指令によって示される前記記録順序に従った結果、前記記録部に搬送される記録媒体に前記第一の画像が記録される場合、前記第二記憶部に前記第一の記録データを記憶し、前記記録部に搬送される記録媒体に前記第二の画像が記録される場合、前記第二記憶部に前記第二の記録データを記憶し、前記第一の記録データ及び前記第二の記録データの何れか一方の前記第二記憶部への記憶を、前記回数指令によって示される前記記録回数だけ前記第一の画像及び前記第二の画像が記録されるまで繰り返し、前記記録制御部は、前記第一の画像の記録及び前記第二の画像の記録を、前記回数指令によって示される前記記録回数だけ繰り返す、画像記録システムである。
【0011】
これによれば、上述のインクジェット記録装置に対して記録の指示を好適に行える情報処理装置を含む画像記録システムとすることができる。情報処理装置と共に画像記録システムに含まれるインクジェット記録装置では、情報処理装置からの指示に従った第一の画像及び第二の画像の記録が好適に行われる。画像記録システムに含まれる上述のインクジェット記録装置では、第一の画像の記録と第二の画像の記録とが、繰り返される。そのため、例えば、第一の画像が記録された記録媒体と、第二の画像が記録された記録媒体とが一つのセットとして利用されるような場合において、利用の態様に適合した画像の記録を実現することができる。
【0012】
この画像記録システムは、他の構成をさらに含むようにしてもよい。前記情報処理装置は、さらに、前記インクジェット記録装置で、前記第一の画像が記録されるときに前記第一の画像を連続して記録する回数を示し、前記第二の画像が記録されるときに前記第二の画像を連続して記録する回数を示す画像切替数を設定する切替数設定部を備え、前記送信部は、さらに、前記切替数設定部によって設定された画像切替数を示す切替数指令を、前記インクジェット記録装置に送信し、前記インクジェット記録装置において、前記受信部は、さらに、前記情報処理装置から送信される前記切替数指令を受信し、前記記録制御部は、前記切替数指令によって示される画像切替数に一致した回数だけ連続して前記第一の画像を記録し、且つ前記切替数指令によって示される画像切替数に一致した回数だけ連続して前記第二の画像を記録し、連続した前記第一の画像の記録及び連続した前記第二の画像の記録を、前記回数指令によって示される前記記録回数だけ繰り返す、ようにしてもよい。これによれば、第一の画像及び第二の画像が記録される回数について、情報処理装置からより詳細な指示が可能となり、インクジェット記録装置では、情報処理装置からの指示に従った第一の画像及び第二の画像の記録が好適に行われる。上述したようなセットにおいて、第一の画像が記録された記録媒体と、第二の画像が記録された記録媒体との組合せのバリエーションを豊富化させることができる。一つのセットを、第一の画像が記録された複数の記録媒体と、第二の画像が記録された複数の記録媒体とで構成することができる。なお、設定される画像切替数について、第一の画像を連続して記録する回数と、第二の画像を連続して記録する回数とは、共通した一の値に設定されてもよく、また、それぞれ個別の値に設定されてもよい。
【0013】
本発明のさらに他の側面は、インクを吐出して画像を記録する記録部を通過させるように、複数の記録媒体を順次連続して搬送し、前記記録部に搬送された記録媒体に対して第一の画像の記録が完了したとされる状態で、前記記録部に搬送される記録媒体に第二の画像を記録し、前記第二の画像の記録が完了したとされる状態で前記記録部に搬送される記録媒体に前記第一の画像を記録するためのインクジェット記録装置であって、前記第一の画像を示す第一の画像データから生成された第一の記録データと、前記第二の画像を示す第二の画像データから生成された第二の記録データと、を記憶し、前記第二の記録データとともに記憶されている前記第一の記録データを用いて、新たに前記第一の記録データを、前記インクジェット記録装置が備える記録のための記憶領域に記憶し、前記第一の記録データとともに記憶されている前記第二の記録データを用いて、新たに前記第二の記録データを、前記記録のための記憶領域に記憶し、前記新たに記憶された前記第一の記録データに従い、前記第一の画像を前記記録部で記録し、前記新たに記憶された前記第二の記録データに従い、前記第二の画像を前記記録部で記録するとともに、前記第一の記録データの前記記録のための記憶領域への新たな記憶は、前記記録部に搬送される記録媒体に前記第一の画像が記録される場合、前記第二の記録データとともに記憶されている前記第一の記録データが、前記記録のための記憶領域に転送されて行われ、前記第二の記録データの前記記録のための記憶領域への新たな記憶は、前記記録部に搬送される記録媒体に前記第二の画像が記録される場合、前記第一の記録データとともに記憶されている前記第二の記録データが、前記記録のための記憶領域に転送されて行われる、インクジェット記録装置である。これによれば、上述した本発明の一側面のインクジェット記録装置で実現される第一の画像及び第二の画像の記録と同様の記録を実現することができる。なお、このインクジェット記録装置は、上述した他の構成を含むインクジェット記録装置と同様の機能が実行されるようにしてもよい。
【0014】
本発明のさらに他の側面は、インクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置が備える記録部を通過させるように、複数のコンクリートブロックを順次連続して搬送し、前記記録部に搬送されるコンクリートブロックに画像を記録するインクジェット記録方法であって、第一の画像を示す第一の画像データから生成された第一の記録データに従い、前記第一の画像を前記記録部で記録する第一記録工程と、第二の画像を示す第二の画像データから生成された第二の記録データに従い、前記第二の画像を前記記録部で記録する第二記録工程と、を含み、前記第一記録工程及び前記第二記録工程は、前記第一記録工程及び前記第二記録工程の順で、複数回繰り返して実行される、インクジェット記録方法である。これによれば、第一の画像が記録されたコンクリートブロックと、第二の画像が記録されたコンクリートブロックとを、繰り返して複数セット生産することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各種の画像の記録を効率的且つ高速に繰り返して実行し、この記録を伴う加工生産を効率的に実現することができるインクジェット記録装置、画像記録システム及びインクジェット記録方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像記録システムを含むシステムの一例を示す図であって、情報処理装置及びインクジェット記録装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図2】インクジェット記録装置の外観構成の一例を示す図である。(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
【図3】画像記録システムで実行される処理のフローチャートである。
【図4】情報処理装置の表示部に表示される操作画面の一例を示す図である。
【図5】比較例における加工生産の第一工程〜第三工程を示す図である。
【図6】比較例における加工生産の第四工程及び第五工程を示す図である。
【図7】本実施形態における加工生産の第一工程及び第二工程を示す図である。
【図8】情報処理装置の表示部に表示される他の操作画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0018】
<画像記録システム>
画像記録システム1は、図1に示すように、少なくとも、情報処理装置10とインクジェット記録装置50とを含む。情報処理装置10とインクジェット記録装置50とは、LAN(Local Area Network)等によるネットワーク90に接続されている。つまり、両装置は、ネットワーク90を介してデータを通信できるように接続されている。なお、情報処理装置10とインクジェット記録装置50との接続形態は、ネットワーク90によるものの他、例えば、USB(Universal Serial Bus)接続等によるローカル接続とすることもできる。なお、ネットワーク90には、情報処理装置10及びインクジェット記録装置50の他、例えば記憶装置92が接続されている。記憶装置92は、各種のデータ等を記憶する。情報処理装置10は、ネットワーク90を介して記憶装置92にアクセスできる。
【0019】
情報処理装置10は、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等によって構成される。情報処理装置10は、自装置で所定の機能を実行するための構成として、少なくとも、CPU12と、記憶部14と、メモリ16と、通信インターフェース18とを備える。CPU12は、各種の演算処理を実行し、情報処理装置10を制御する。記憶部14は、例えばハードディスクドライブによって構成される。記憶部14には、情報処理装置10で実行される処理のためのコンピュータプログラムが記憶されている。また、記憶部14には、インクジェット記録装置50で記録される画像を示す画像データが記憶されている。図1に示す例では、画像A〜Dを示す画像データA〜Dが、記憶部14に記憶されている。以下では、これら画像A〜Dを示す画像データA〜Dと、後述するように画像データA〜Dから生成される記録データA〜Dとを例として説明する。
【0020】
メモリ16は、例えばRAMによって構成される。メモリ16は、CPU12が各種の演算処理を実行する際の作業領域となる。情報処理装置10からインクジェット記録装置50に対して画像の記録を指示するための処理が開始され、ユーザによって所定の操作が行われた場合、記録の対象となる画像データA〜Dが読み出され、メモリ16に記憶される。CPU12は、記憶部14に記憶されているラスタライズ処理のためのコンピュータプログラムをメモリ16上で実行し、メモリ16に記憶された画像データAをラスタライズし、記録データAを生成する。同様に、CPU12は、メモリ16に記憶された画像データB〜Dをラスタライズし、記録データB〜Dを生成する。生成された記録データA〜Dは、画像データA〜Dと同じくメモリ16に記憶される。通信インターフェース18は、ネットワーク90に接続されたインクジェット記録装置50及び記憶装置92との間の通信を実行する。例えば、ラスタライズによって生成されてメモリ16に記憶されている記録データA〜Dは、通信インターフェース18からインクジェット記録装置50に送信される。
【0021】
情報処理装置10は、この他、図1には図示されていない構成として、例えばROMを備える。また、情報処理装置10は、所定のハードウェアインターフェースを備える。例えば、表示部、操作部、メモリカードスロット及びUSB接続インターフェース等を備える。表示部には、各種の情報が表示される。例えば、後述する操作画面100,200が表示される。操作部は、キーボード及びマウス等によって構成される。ユーザは、操作部を操作し、所定の指示を情報処理装置10に入力する。メモリカードスロットには、所定のデータが記憶されているメモリカードが挿入される。上述したような画像データは、メモリカードに記憶されていてもよい。USB接続インターフェースは、USB接続のためのインターフェースである。例えば、操作部を構成するキーボード及び/又はマウスは、USB接続インターフェースを介して接続されていてもよい。インクジェット記録装置50との接続がUSB接続とされる場合、USB接続インターフェースを介して接続される。
【0022】
情報処理装置10において、CPU12が、記憶部14に記憶されている、ラスタライズ処理及び後述する図3のS100〜S106のためのコンピュータプログラムを含む各種のコンピュータプログラムを、メモリ16上で実行することで、各種の機能が実行され、各種の機能手段(制御部)が構成される。
【0023】
インクジェット記録装置50は、記録媒体としての産業資材、例えば図2に示すようなコンクリートブロック80の記録面82に対して、フルカラーの画像を記録する。インクジェット記録装置には、シリアル型のインクジェット記録装置と、ライン型のインクジェット記録装置とがある。記録媒体としての産業資材には、図2に示すようなコンクリートブロック80の他、窯業サイディング材等による建築材が含まれる。本実施形態では、インクジェット記録装置50が、ライン型のインクジェット記録装置であり、記録媒体としての産業資材が、コンクリートブロックである場合を例に説明する。インクジェット記録装置50での画像の記録には、例えば、活性エネルギー硬化型インクが用いられる。活性エネルギー硬化型インクとしては、紫外線硬化型インク及び電子線硬化型インク等が例示される。本実施形態では、紫外線硬化型インクを例に説明する。
【0024】
インクジェット記録装置50は、自装置で所定の機能を実行するための構成として、少なくとも、CPU52と、通信インターフェース54と、第一メモリ56と、第二メモリ58と、記録部60とを備える。また、インクジェット記録装置50は、図2に示すように、搬送部64と、キャリッジ68と、紫外線照射部70と、制御ボックス72とを備える。CPU52は、各種の演算処理を実行し、インクジェット記録装置50を制御する。通信インターフェース54は、ネットワーク90に接続された情報処理装置10との間の通信を実行する。通信インターフェース54は、情報処理装置10から送信される記録データA〜Dを受信する。第一メモリ56は、例えばRAM又は不揮発性のメモリによって構成される。第一メモリ56には、通信インターフェース54で受信された記録データA〜Dが記憶される。第二メモリ58は、例えばRAMによって構成される。なお、第一メモリ56及び第二メモリ58は、ハードウェア的に単一のメモリで構成されていてもよい。例えば、第二メモリ58は、第一メモリ56の記憶領域の一部を用いた構成としてもよい。具体的に、第二メモリ58は、ラインメモリ(FIFO)として構成してもよい。第二メモリ58には、第一メモリ56に記憶されている記録データA〜Dのうち、記録部60に搬送されるコンクリートブロック(以下、「ブロック」という。)80の記録面82に記録される画像のための記録データが記憶される。
【0025】
CPU52は、記録の対象であって第一メモリ56に記憶されている記録データA〜Dの何れか一つを、第一メモリ56から読み出し、これを第二メモリ58に転送して記憶する。CPU52は、記録データA〜Dの何れかを第二メモリ58に記憶するに際し、既に第二メモリ58に記憶されている記録データがあれば、既に記憶されている記録データを第二メモリ58から消去する。記録部60は、紫外線硬化型インクを、搬送されてきたブロック80の記録面82に向けて吐出する。これによって、記録面82には、第二メモリ58に記憶されている記録データA〜Dの何れかによる画像が記録される。記録部60の構成と、記録部60による画像の記録については、後述する。インクジェット記録装置50は、この他、図1には図示されていない構成として、例えばROMを備える。ROMには、インクジェット記録装置50で実行される処理のためのコンピュータプログラムが記憶されている。例えば、後述する図3のS108〜S126のためのコンピュータプログラムが記憶されている。インクジェット記録装置50において、CPU52が、ROMに記憶されているコンピュータプログラムを、第一メモリ56若しくは第二メモリ58又はこれ以外のメモリ(RAM、不図示)上で実行することで、各種の機能が実行され、各種の機能手段(制御部)が構成される。
【0026】
搬送部64は、コンベア等によって構成される。搬送部64は、搬送面66に載せ置かれたブロック80を搬送する。搬送部64は、ブロック80を、搬送部64の一端側(図2(a),(b)を正面視したとき左端側)から、記録部60(キャリッジ68)及び紫外線照射部70を通過させ、搬送部64の他端側に搬送する(図2(a),(b)を正面視したとき右側に示す二点鎖線のブロック80参照)。キャリッジ68は、記録部60を備える。記録部60は、キャリッジ68に取り付け固定される。記録部60は、図2に示すような記録ヘッド62K,62C,62M,62Yを含む。記録ヘッド62Kは、ブラックの紫外線硬化型インクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド62Cは、シアンの紫外線硬化型インクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド62Mは、マゼンタの紫外線硬化型インクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド62Yは、イエローの紫外線硬化型インクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド62K,62C,62M,62Yにはそれぞれ、記録面82に対向する面にノズルが形成されている。各色の紫外線硬化型インクは、これらノズルから吐出される。
【0027】
紫外線照射部70は、活性エネルギーを照射する活性エネルギー照射部として機能する。紫外線照射部70は、記録部60に対して搬送方向下流側の所定の位置に設置されている。紫外線照射部70は、搬送部64の搬送面66に向けて設置された紫外線ランプを備え、搬送面66の方向に活性エネルギー線としての紫外線を照射する。紫外線照射部70は、紫外線ランプから発せられた紫外線が外部に照射されることを防止可能なシャッタ機構を備え、このシャッタ機構を開閉させることで、紫外線の照射を開始し停止することができる。なお、紫外線の照射の開始及び停止は、紫外線照射部70が備える紫外線ランプの点灯及び消灯によって実現する構成としてもよい。この場合、シャッタ機構を省略することができる。紫外線の照射は、例えば、記録部60に対して搬送方向下流側で且つ紫外線照射部70に対して搬送方向上流側の所定の位置に設置された検知センサ(不図示)で、ブロック80が検知されたことを条件として開始される。紫外線の照射は、紫外線照射部70に対して搬送方向下流側の所定の位置に設置された検知センサ(不図示)で、ブロック80が紫外線照射部70を通過したことが検知されたことを条件として停止される。紫外線の照射の開始後、所定の時間経過したとき、紫外線の照射を停止するようにしてもよい。制御ボックス72は、例えば、CPU52と通信インターフェース54と第一メモリ56と第二メモリ58とが取り付けられた回路基板及び電気配線等を収納したボックスである。図2では、制御ボックス72は、記録部60の上方に配置されているが、この場所以外の場所に配置されてもよい。
【0028】
インクジェット記録装置50は、図2に示す構成の他、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの紫外線硬化型インクをそれぞれ貯留したメインタンク(不図示)を備える。ブラック用のメインタンクに貯留された紫外線硬化型ブラックインクは、ブラック用のインク供給ライン74を介して記録ヘッド62Kに供給される。シアン用のメインタンクに貯留された紫外線硬化型シアンインクは、シアン用のインク供給ライン74を介して記録ヘッド62Cに供給される。マゼンタ用のメインタンクに貯留された紫外線硬化型マゼンタインクは、マゼンタ用のインク供給ライン74を介して記録ヘッド62Mに供給される。イエロー用のメインタンクに貯留された紫外線硬化型イエローインクは、イエロー用のインク供給ライン74を介して記録ヘッド62Yに供給される。なお、図2(a),(b)では、各色用のインク供給ライン74は、簡略化して図示されている。また、情報処理装置10との接続をUSB接続とする場合、インクジェット記録装置50は、USB接続インターフェースを備える。
【0029】
記憶装置92は、所定のデータを記憶する。所定のデータとしては、画像データ等が例示される。つまり、インクジェット記録装置50で記録される画像を示す画像データは、記憶装置92に記憶された画像データであってもよい。記憶装置92は、ネットワーク90ではなく、情報処理装置10の外部記憶装置として、情報処理装置10に直接接続されていてもよい。この場合、情報処理装置10と記憶装置92とは、例えばUSB接続インターフェースを介してUSB接続される。
【0030】
インクジェット記録装置50で画像の記録工程が開始される場合、インクジェット記録装置50には、情報処理装置10から記録の開始のための指示が入力される。つまり、情報処理装置10では、記録の対象となる画像データA〜Dが指定され、記録データA〜Dが生成される。また、情報処理装置10では、後述する順序指令、回数指令及び切替数指令等を含む所定の指令が設定される。そして、記録データA〜Dと、順序指令、回数指令及び切替数指令等を含む所定の指令とが、情報処理装置10から送信され(図3のS104参照)、インクジェット記録装置50で受信される。これらを受信したインクジェット記録装置50では、記録データA〜Dと、順序指令、回数指令及び切替数指令等を含む所定の指令とに従い、画像の記録が開始される(図3のS116参照)。
【0031】
まず、搬送部64が動作を開始し、搬送面66に載せ置かれたブロック80の搬送が開始される。次に、記録部60において、各色の紫外線硬化型インクが吐出され、紫外線硬化型ブラックインクによるブラックドットと、紫外線硬化型シアンインクによるシアンインクドットと、紫外線硬化型マゼンタインクによるマゼンタドットと、紫外線硬化型イエローインクによるイエロードットとが、搬送されてきたブロック80の記録面82に記録される。ここで、第一メモリ56に記憶されている記録データA〜Dのうち、順序指令で第一位に設定された一つの記録データが第二メモリ58に転送されて記憶される(図3のS112参照)。紫外線硬化型インクの吐出は、第二メモリ58に記憶された記録データに従って実行される。その後、さらに搬送部64によってブロック80が搬送され、紫外線照射部70において、記録面82に紫外線が照射される。換言すれば、記録面82に着弾し、ブラックドット、シアンドット、マゼンタドット、イエロードットを形成する各色の紫外線硬化型インクによるインク滴に、紫外線が照射される。これによって、ブラックドット、シアンドット、マゼンタドット、イエロードットが硬化し、1個のブロック80に対する画像の記録が終了する。搬送面66には、ブロック80が所定のタイミングで順次載せ置かれ、これの搬送が順次開始され、順序指令、回数指令及び切替数指令等を含む所定の指令に従って、上記処理が連続的に繰り返して実行される。
【0032】
<画像記録システムで実行される処理>
画像記録システム1で実行される処理について、図3及び図4を参照して説明する。この処理の実行によって、上記で概略を説明した画像の記録のための処理が行われる。図3において、S100〜S106は、情報処理装置10で実行され、S108〜S126は、インクジェット記録装置50で実行される処理である。なお、以下では、S100〜S106を、情報処理装置側処理といい、S108〜S126を、インクジェット記録装置側処理ともいう。情報処理装置側処理は、情報処理装置10においてCPU12が、記憶部14に記憶されているこれら処理のためのコンピュータプログラムを実行して行われる。CPU12は、ユーザが情報処理装置10の操作部を操作し、情報処理装置側処理の開始を指示した場合に、この処理を開始する。一方、インクジェット記録装置側処理は、インクジェット記録装置50においてCPU52が、ROMに記憶されているこの処理のためのコンピュータプログラムを実行して行われる。CPU52は、情報処理装置10から送信される記録データA〜D等を受信した場合に、インクジェット記録装置側処理を開始する。
【0033】
情報処理装置側処理を開始させるための指示が入力され、これを取得したCPU12は情報処理装置10の表示部に、図4に示すような操作画面100を表示する(S100)。ユーザは、情報処理装置10の操作部を操作し、操作画面100に所定の設定を入力する。操作画面100は、画像データボックス102と、記録順序104と、記録回数ボックス106と、画像切替数ボックス108と、OKボタン110と、キャンセルボタン112とを含む。画像データボックス102は、記録の対象となる画像データを指定するためのものである。図4に示す例では、画像データボックス102は、画像データボックス102a〜102gを含む。従って、操作画面100では、一度に、7個の画像データを入力することができる。ユーザは、情報処理装置10の操作部を操作し、記録の対象とする画像を示す画像データを、画像データボックス102に入力する。このような画像データは、記憶部14及び/又は記憶装置92等に記憶されている。図4では、画像データボックス102aに画像データAが入力され、画像データボックス102bに画像データBが入力され、画像データボックス102cに画像データCが入力され、画像データボックス102dに画像データDが入力されている。
【0034】
画像データボックス102a〜102gは、記録順序104にそれぞれ関連付けられている。具体的に、画像データボックス102aは、順序が「1(第一位)」を示す記録順序104に関連付けられ、以降、画像データボックス102b〜102gはそれぞれ、順序が「2(第二位)」〜「7(第七位)」を示す記録順序104に関連付けられている。記録順序104は、画像データボックス102に入力された画像データによって示される画像がインクジェット記録装置50で記録されるに際し、その記録の順序を示す情報である。図4に示す例に基づけば、インクジェット記録装置50では、初めに、記録順序104が「1」に関連付けられた画像データボックス102aに入力された画像データAによって示される画像Aが記録される。画像Aの記録が完了した場合、記録順序104が「2」に関連付けられた画像データボックス102bに入力された画像データBによって示される画像Bが記録される。画像Bの記録が完了した場合、記録順序104が「3」に関連付けられた画像データボックス102cに入力された画像データCによって示される画像Cが記録される。画像Cの記録が完了した場合、記録順序104が「4」に関連付けられた画像データボックス102dに入力された画像データDによって示される画像Dが記録される。
【0035】
記録回数ボックス106は、画像データボックス102に入力された画像データによって示される画像を1セットとして、これら1セットの画像(画像群)の記録が、インクジェット記録装置50で繰り返される回数を示す記録回数を設定するためのものである。ユーザは、情報処理装置10の操作部を操作し、記録回数を記録回数ボックス106に入力する。図4に示す例では、記録回数ボックス106に「8」が入力されている。画像切替数ボックス108は、画像データボックス102に入力された画像データによって示される画像が、インクジェット記録装置50で連続して記録される回数を示す画像切替回数を設定するものである。ユーザは、情報処理装置10の操作部を操作し、画像切替数を画像切替数ボックス108に入力する。図4に示す例では、画像切替数ボックス108に「1」が入力されている。OKボタン110は、記録順序104に関連付けられた画像データボックス102と、記録回数ボックス106と、画像切替数ボックス108とに入力された上記各設定を確定させ、インクジェット記録装置50に記録の開始を指示する場合に押下されるボタンである。キャンセルボタン112は、上記各設定の入力をキャンセルする場合に押下されるボタンである。ユーザは、情報処理装置10の操作部を操作して、OKボタン110及びキャンセルボタン112を押下する。
【0036】
操作画面100に入力される各設定について、具体的に説明する。まず、図4に示す状態でOKボタン110が押下されたとする。この場合、インクジェット記録装置50では、1番目に搬送されるブロック80には、記録順序104が第一位である画像データボックス102aに入力された画像データAに対応して画像Aが記録される。続けて、2番目に搬送されるブロック80には、記録順序104が第二位である画像データボックス102bに入力された画像データBに対応して画像Bが記録される。3番目に搬送されるブロック80には、記録順序104が第三位である画像データボックス102cに入力された画像データCに対応して画像Cが記録される。4番目に搬送されるブロック80には、記録順序104が第四位である画像データボックス102dに入力された画像データDに対応して画像Dが記録される。つまり、インクジェット記録装置50では、画像切替数ボックス108に入力された画像切替数「1」に対応させて、画像A〜Dがそれぞれ1回記録される毎に、記録順序104に従って別の画像が記録される。そして、インクジェット記録装置50では、このような画像A〜Dの一連の記録(1セット)が、記録回数ボックス106に入力された記録回数「8」に対応して、8回繰り返される。この結果、画像Aが記録されたブロック80と、画像Bが記録されたブロック80と、画像Cが記録されたブロック80と、画像Dが記録されたブロック80とによる4個のブロック80を1セットとした、合計8セット分のブロック80が生産される。換言すれば、合計32個のブロック80が生産される。
【0037】
また、画像切替数ボックス108以外の設定は図4に示す状態において、画像切替数ボックス108に「2」が入力され、OKボタン110が押下されたとする。この場合、インクジェット記録装置50では、1番目及び2番目に搬送されるブロック80には、記録順序104が第一位である画像データボックス102aに入力された画像データAに対応して画像Aが連続して記録される。続けて、3番目及び4番目に搬送されるブロック80には、記録順序104が第二位である画像データボックス102bに入力された画像データBに対応して画像Bが連続して記録される。5番目及び6番目に搬送されるブロック80には、記録順序104が第三位である画像データボックス102cに入力された画像データCに対応して画像Cが連続して記録される。7番目及び8番目に搬送されるブロック80には、記録順序104が第四位である画像データボックス102dに入力された画像データDに対応して画像Dが連続して記録される。つまり、インクジェット記録装置50では、画像切替数ボックス108に入力された画像切替数「2」に対応して、画像A〜Dがそれぞれ2回記録される毎に、記録順序104に従って別の画像が記録される。そして、インクジェット記録装置50では、このような画像A〜Dの一連の記録(1セット)が、記録回数ボックス106に入力された記録回数「8」に対応して、8回繰り返される。この結果、画像Aが記録された2個のブロック80と、画像Bが記録された2個のブロック80と、画像Cが記録された2個のブロック80と、画像Dが記録された2個のブロック80とによる8個のブロック80を1セットとした、合計8セットのブロック80が生産される。換言すれば、合計64個のブロック80が生産される。
【0038】
S100を実行した後、CPU12は、OKボタン110が押下されたかについて判断する(S102)。上述したように、ユーザは、操作画面100への入力が完了したとき、OKボタン110を押下する。OKボタン110が押下されていない場合(S102:No)、CPU12は、OKボタン110が押下されるまで待機する。なお、ユーザがキャンセルボタン112を押下した場合、CPU12は、情報処理装置側処理を終了する。つまり、画像記録システム1では、図3に示す処理が終了される。OKボタン110が押下された場合(S102:Yes)、CPU12は、処理をS104に移行する。
【0039】
S104でCPU12は、まず、OKボタン110が押下された時点において、操作画面100に入力された各設定を取得する。図4に基づき具体的に説明する。CPU12は、記憶部14にアクセスし、画像データボックス102のうち、画像データボックス102a〜102dに入力された画像データA〜Dを指定し、これらを記憶部14から読み出してメモリ16に記憶する。なお、記憶装置92等に記憶されている画像データが入力されていた場合、CPU12は、画像データが記憶されている記憶装置92等にアクセスし、これを読み出してメモリ16に記憶する。CPU12は、メモリ16に記憶された画像データA〜Dをそれぞれラスタライズし、記録データA〜Dを生成する。生成された記録データA〜Dは、メモリ16に記憶される。CPU12は、指定された画像データA〜Dに関連付けられた記録順序104に従い、生成された記録データA〜Dに関連付けられた順序指令を生成する。つまり、CPU12は、記録データAの記録順序104が第一位に設定され、記録データBの記録順序104が第二位に設定され、記録データCの記録順序104が第三位に設定され、記録データDの記録順序104が第四位に設定された順序指令を生成する。CPU12は、記録回数ボックス106に入力された記録回数に従い、この記録回数が設定された回数指令を生成する。つまり、CPU12は、記録回数が8回に設定された回数指令を生成する。CPU12は、画像切替数ボックス108に入力された画像切替数に従い、この画像切替数が設定された切替数指令を生成する。つまり、CPU12は、画像切替数が1回に設定された切替数指令を生成する。CPU12は、生成された記録データA〜Dと順序指令と回数指令と切替数指令とを、インクジェット記録装置50に送信する。これらの送信は、通信インターフェース18を介して行われる。続けてCPU12は、通信インターフェース18を介したS104による送信が完了したかについて判断する(S106)。送信が完了していない場合(S106:No)、CPU12は、送信が完了するまでS104の処理を継続する。一方、送信が完了した場合(S106:Yes)、画像記録システム1で実行される処理は、インクジェット記録装置50の側に移行する。情報処理装置10の側においてCPU12は、情報処理装置側処理を終了する。この場合、処理をS100に戻し、再度、情報処理装置側処理を実行し、画像の記録が指示可能な状態に移行するようにしてもよい。
【0040】
S104で送信された記録データA〜Dと順序指令と回数指令と切替数指令とは、インクジェット記録装置50の通信インターフェース54で受信され、インクジェット記録装置50では、インクジェット記録装置側処理が開始される(S108)。このインクジェット記録装置側処理を開始したCPU52は、受信された記録データA〜Dを第一メモリ56に記憶する(S109)。続けてCPU52は、受信された記録データA〜Dの一連の記録が完了したセット数を示す記録完了数Iのためのカウンタを、初期化(I=0)する(S110)。この際、CPU52は、記録回数を示す変数Kを、通信インターフェース54で受信された回数指令によって示される記録回数に設定する。
【0041】
S110を実行した後、CPU52は、通信インターフェース54で受信された順序指令によって示される記録順序104に従い、第一メモリ56に記憶された記録データA〜Dの中から、今回の記録に対応する記録順序104が設定された記録データを特定する。CPU52は、今回特定された記録データを第一メモリ56から読み出し、第二メモリ58に転送して記憶する(S112)。CPU52は、第二メモリ58への記憶に際し、第二メモリ58に既に別の記録データが記憶されていれば、記憶済みの記録データを消去する。S112を具体的に説明する。例えば、インクジェット記録装置側処理が開始された直後であれば、記録順序104が第一位に設定されている記録データAが特定される。CPU52は、第一メモリ56から記録データAを読み出し、第二メモリ58に転送して記憶する。記録データAが記録された後、後述するS122で処理がS112に戻った場合であれば、CPU52は、第二メモリ58に記憶されている記録データAを消去する。続けてCPU52は、記録順序104が記録データAの次の第二位に設定されている記録データBを特定し、第一メモリ56から記録データBを読み出し、第二メモリ58に転送して記憶する。この場合、第二メモリ58に記憶されている記録データAの消去と、第二メモリ58への記録データBの記憶とについて、記録データAに記録データBを上書きするような構成としてもよい。記録順序104が第三位に設定されている記録データC及び第四位に設定されている記録データDについても同様に処理を行う。記録データDが記録された後、後述するS126で処理がS112に戻った場合であれば、CPU52は、第二メモリ58に記憶されている記録データDを消去する。続けてCPU52は、再度、記録順序104が第一位に設定されている記録データAを特定し、第一メモリ56から記録データAを読み出し、第二メモリ58に転送して記憶する。この場合についても、前述の通り、記録データDに記録データAを上書きするような構成としてもよい。
【0042】
次に、CPU52は、S112で第二メモリ58に記憶された記録データが記憶後に記録された数を示す記録個数(N)のためのカウンタを、初期化(N=0)する(S114)。この際、CPU52は、画像切替数を示す変数Jを、通信インターフェース54で受信された切替数指令によって示される画像切替数に設定する。続けてCPU52は、記録部60を制御し、S112で第二メモリ58に記憶された記録データに従った記録工程を実行する(S116)。これによって、この時点において記録部60の位置に搬送されているブロック80の記録面82には、S112で第二メモリ58に記憶された記録データによる画像が記録される。S116を実行した後、CPU52は、記録個数Nのカウント数を1アップする(S118)。続けてCPU52は、S116での画像の記録に伴い、S118で1アップされた記録個数Nと、画像切替数を示す変数Jとの間で、「N=J」の関係が満足されるかについて判断する(S120)。例えば切替数指令が「1」であった場合については、S114が実行された後、S116及びS118が1回実行された時点で、記録個数Nと変数Jとは共に「1」となり、S120の関係は満足される。このような場合、CPU52は、S120の判断を肯定し(S120:Yes)、処理をS122に移行する。一方、例えば切替数指令が「2」であった場合において、S114が実行された後、S116及びS118が1回しか実行されていなければ、記録個数Nは「1」であるのに対し変数Jは「2」であるため、S120の関係は満足されない。このような場合、CPU52は、S120の判断を否定し(S120:No)、処理をS116に戻す。なお、例えば切替数指令が「2」であった場合において、一度、S120の判断が否定され(S120:No)、再度、S116及びS118が実行されると、記録個数Nと変数Jとは共に「2」となり、S120の関係は満足される。
【0043】
S122でCPU52は、記録順序104がS112で第二メモリ58に記憶された記録データの次の順序に設定された記録データの存在について判断する。具体的に、S112で第二メモリ58に記憶された記録データが、記録データA,B,Cの何れかである場合、記録順序104が次の順序である記録データB,C,Dが存在するため、CPU52は、次の記録データがあるとして、S122の判断を否定する(S122:No)。この場合、CPU52は、処理をS112に戻し、記録順序104が次の順序である記録データを、第一メモリ56から読み出し、第二メモリ58に転送して記憶する。一方、S112で第二メモリ58に記憶された記録データが、記録データDである場合、記録順序104が次の順序である記録データは存在しない。つまり、図4に示す例では、記録順序104が第五位に設定された記録データが存在しないため、CPU52は、次の記録データはないとして、S122の判断を肯定する(S122:Yes)。この場合、CPU52は、処理をS124に移行する。
【0044】
S124でCPU52は、記録完了数Iのカウント数を1アップする。つまり、CPU52は、第一メモリ56に記憶された記録データA〜Dに従った画像A〜Dの記録が、1セット分完了する毎に、記録完了数Iを1アップする。続けてCPU52は、S124で1アップされた記録完了数Iと、記録回数を示す変数Kとの間で、「I=K」の関係が満足されるかについて判断する(S126)。回数指令によって示される記録回数に対応したセット数分だけの記録が完了している場合、記録完了数Iと変数Kとは等しくなる。図4に示す例に基づけば、記録完了数Iと変数Kとは、共に「8」となる。このような場合、S126の関係は満足されるため、CPU52は、S126の判断を肯定し(S126:Yes)、S108で開始されたインクジェット記録装置側処理を終了する。つまり、画像記録システム1では、図3に示す処理が終了される。この場合、第一メモリ56に記憶されている記録データA〜D及び/又は第二メモリ58に記憶されている記録データDが、消去されるようにしてもよい。この他、第一メモリ56に記憶されている記録データA〜D及び/又は第二メモリ58に記憶されている記録データDについて、終了時には特別に消去せず、次回、S108が実行された場合に消去されるようにしてもよい。
【0045】
これに対し、回数指令によって示される記録回数に対応したセット数分だけの記録が完了していない場合、記録完了数Iと記録回数を示す変数Kとは異なる。図4に示す例に基づけば、変数Kは「8」であって、記録完了数Iが、「1〜7」の何れかである場合、S126の関係は満足されない。そのため、CPU52は、処理をS112に戻し、上述した通り、再度、記録順序104が第一位に設定されている記録データAを特定し、第一メモリ56から記録データAを読み出し、第二メモリ58に転送して記憶する。その後、CPU52は、S126の判断が肯定(S126:Yes)されるまで、上述したS112〜S126の処理を繰り返して実行する。なお、例えば変数Kが「8」に設定されている場合、S126の判断は7回否定(S126:No)される。そして、S112〜S126の実行回数が、8回目となった時点で、S126の判断は肯定(S126:Yes)される。
【0046】
上述した通り、本実施形態の画像記録システム1では、ブロック80が順次連続して搬送され、画像A〜Dが記録され、且つこの一連の記録が繰り返して実行される。その際、第一メモリ56には、記録される画像A〜Dのための記録データA〜Dが継続して記憶される。一方、第二メモリ58には、記録データA〜Dのうち、今回記録の対象となる何れか一つが順序指令によって示される記録順序104に従って順次切り替えて記憶される。CPU52は、第二メモリ58への記憶を、第一メモリ56に記憶されている記録データA〜Dを用いて切り替える。インクジェット記録装置50では、一旦、情報処理装置10から記録データA〜Dが受信されれば、これ以降、再度、記録データA〜Dを受信するといった処理を行う必要がない。また、インクジェット記録装置50では、画像A〜Dがそれぞれ複数回にわたって記録されるような場合であっても、記録回数に対応した個数の記録データA〜Dをそれぞれ記憶させる必要もない。
【0047】
インクジェット記録装置50では、記録のための記録データを効率的に且つ高速に切り替えることができる。そのため、所定の短い間隔、例えばブロック80の搬送方向の長さ寸法よりも短い間隔でブロック80を順次連続して搬送したとしても、記録の対象である画像A〜Dの何れかを、好適に記録面82に記録することができる。つまり、本実施形態の画像記録システム1によれば、インクジェット記録装置50で実行される一連の記録工程を効率的に且つ高速に実行することができる。また、情報処理装置10では、記録される画像の順序等について、各種の条件に対しても対応可能な詳細な設定を行うことができる。
【0048】
<実施例>
ブロック80のような産業資材は、所定の構造物を形成するために用いられる。従って、パーソナルユースで画像が記録される記録用紙等とは異なり、外形寸法(体積)が大きく及び/又は重量物であって、取り扱い難い場合が多い。例えば、記録媒体としての産業資材が、上記において例示したような、ブロック塀を形成するブロック80である場合(例えばJIS A 5406:2005に規定されたブロック)、その外形寸法及び重量は、次の通りとなる。つまり、外形寸法は、例えば、幅390mm(図2(a)で搬送方向の寸法)、高さ190mm(図2(a)で搬送方向と直交する方向の寸法)、厚み100mm,120mm,150mm,190mm(図2(b)で搬送面66に直交する方向の寸法)程度となる。重量は、7kg/個〜10kg/個程度となる。ブロック塀が、例えば上述したような、画像Aが記録されたブロック80と、画像Bが記録されたブロック80と、画像Cが記録されたブロック80と、画像Dが記録されたブロック80とを組み合わせて形成されるとする。このような場合、発明者は、4種類の画像A〜Dがそれぞれ記録された1セット分のブロック80が、1セット単位で、加工生産現場から出荷されて輸送されることが重要であると考えた。このようなブロック80は、1セット単位で多数セットがまとめて取り引きされる。そのため、このような取引態様に合わせておけば、そのままの状態で取り引きすることができる。
【0049】
画像A〜Dがそれぞれ記録された4個のブロック80を1セットとした、合計8セット分のブロック80が、取引態様に合わせた状態で、情報処理装置とインクジェット記録装置とを含む画像記録システムが存在する加工生産現場から出荷されて輸送されるとする。例えば図5及び図6に示すような比較例では、次のような工程が実行される。なお、図5及び図6では、搬送部64(本実施形態と同一の符号を用いる)のみを図示し、インクジェット記録装置に関する図示を簡略化している。また、図5及び図6において、搬送部64に載せ置かれたブロック80の上部に記載した画像名は、その工程で記録される又は記録された画像の種類を示している。
【0050】
図5に示す第一工程では、8個のブロック80が順次連続して搬送され、そのそれぞれに画像Aが記録される。画像Aが記録された8個のブロック80は、まとめてパレット84の上にストックされる。同様に、図5に示す第二工程では、順次連続して搬送されるブロック80に、画像Bが記録される。画像Bが記録された8個のブロック80は、まとめてパレット84の上にストックされる。図5に示す第三工程では、順次連続して搬送されるブロック80に、画像Cが記録される。画像Cが記録された8個のブロック80は、まとめてパレット84の上にストックされる。図6に示す第四工程では、順次連続して搬送されるブロック80に、画像Dが記録される。画像Dが記録された8個のブロック80は、まとめてパレット84の上にストックされる。比較例では、第一工程〜第四工程を実施した後に、取引態様に合わせるため、積み替え作業を伴う第五工程が必要となる。つまり、それぞれのパレット84から、画像A〜Dがそれぞれ記録された1個のブロック80を取り出し、画像A〜Dがそれぞれ記録された1セット分のブロック80の組合せとしなければならない。このような第五工程は、出荷作業の効率を低下させることとなる。
【0051】
これに対して、本実施形態の画像記録システム1のインクジェット記録装置50では、図7に示す第一工程において、順次連続して搬送されるブロック80に、画像A、画像B、画像C及び画像Dが順次記録され、パレット84にストックされる。さらに、インクジェット記録装置50では、このような一連の記録が、必要な分だけ繰り返して実行される。そのため、第一工程を実施した後、図7の第二工程のように積み替え作業を伴わない出荷作業が行われる。従って、比較例のような積み替え作業を伴う第五工程を実施することなく、取引態様に合った出荷作業を容易に行うことができる。そのため、効率的な出荷作業を実現することが可能となり、画像の記録を伴うブロック80の加工生産を効率的に行うことができる。なお、図7の図示の方法については、上述した図5及び図6の場合と同様である。なお、上述した本実施形態によれば、操作画面100において、記録回数ボックス106と画像切替数ボックス108に同じ値、例えば「8」を入力すると、比較例の第一工程〜第四工程のような画像の記録が、連続的に実行される。従って、仮に、画像A〜Dのそれぞれが記録されたブロック80を、画像毎に分けて出荷して輸送しなければならない場合であっても、適切に対応することができる。
【0052】
上述した本実施形態は、次のようにすることもできる。図4に示す操作画面100は、図8に示すような操作画面200としてもよい。なお、図8に示す操作画面200において、操作画面100と同一の構成(設定)については、同一の符号を付している。また、以下では、操作画面200を採用することによって変更される構成について説明することとし、上記同様の構成については、その説明を省略する。操作画面200は、画像データボックス102に対応付けられた画像切替数ボックス208を含む。画像切替数ボックス208は、操作画面100の画像切替数ボックス108に対応するものである。つまり、操作画面200によれば、画像データボックス102a〜102gに入力される画像データ毎に、画像切替数ボックス208a〜208gに入力された値を画像切替数として設定することができる。ユーザは、情報処理装置10の操作部を操作し、画像データボックス102a〜102gに入力される画像データ毎に、画像切替数を画像切替数ボックス208a〜208gに入力する。図8に示す例では、画像切替数ボックス208aに「1」が入力され、以下、画像切替数ボックス208bに「2」、画像切替数ボックス208cに「3」、画像切替数ボックス208dに「2」が入力されている。
【0053】
操作画面200が採用される場合、情報処理装置10のCPU12は、図3に示す処理のS100でこれを表示し、S104で、上述した切替数指令に換えて、図8での入力に従った次のような切替数指令を生成し送信する。つまり、S104でCPU12は、記録データAの画像切替数が「1」に設定され、記録データBの画像切替数が「2」に設定され、記録データCの画像切替数が「3」に設定され、記録データDの画像切替数が「2」に設定された切替数指令を生成し、これを、記録データA〜Dと順序指令と回数指令とともに送信する。この切替数指令を受信したインクジェット記録装置50では、S114で、記録データA〜D毎に、画像切替数を示す変数Jが設定される。具体的に、記録データAについて、画像切替数を示す変数Jaが「1」に設定される。記録データBについて、画像切替数を示す変数Jbが「2」に設定される。記録データCについて、画像切替数を示す変数Jcが「3」に設定される。記録データDについて、画像切替数を示す変数Jdが「2」に設定される。
【0054】
また、例えば、図3のS112で第二メモリ58に記録データAが記録されている場合、S120では、記録データAの記録(S116参照)に伴いS118で1アップされた記録個数Nと、記録データAについての画像切替数を示す変数Jaとの間で、「N=Ja」の関係が満足されるかについて判断される。S112で第二メモリ58に記録データBが記録されている場合、S120では、記録データBの記録(S116参照)に伴いS118で1アップされた記録個数Nと、記録データBについての画像切替数を示す変数Jbとの間で、「N=Jb」の関係が満足されるかについて判断される。S112で第二メモリ58に記録データCが記録されている場合、S120では、記録データCの記録(S116参照)に伴いS118で1アップされた記録個数Nと、記録データCについての画像切替数を示す変数Jcとの間で、「N=Jc」の関係が満足されるかについて判断される。S112で第二メモリ58に記録データDが記録されている場合、S120では、記録データDの記録(S116参照)に伴いS118で1アップされた記録個数Nと、記録データDについての画像切替数を示す変数Jdとの間で、「N=Jd」の関係が満足されるかについて判断される。なお、何れの場合においても、S120の判断後に実行される処理は、上記同様である。
【0055】
操作画面200を採用したこのような処理によって、インクジェット記録装置50では、次のような記録工程が、順次連続して搬送されるブロック80を対象として実行される。つまり、図8に示す例に基づけば、1番目に搬送されるブロック80には、記録順序104が第一位である画像データボックス102aに入力された画像データAに対応して画像Aが記録される。続けて、2番目及び3番目に搬送されるブロック80には、記録順序104が第二位である画像データボックス102bに入力された画像データBに対応して画像Bが連続して記録される。4番目〜6番目に搬送されるブロック80には、記録順序104が第三位である画像データボックス102cに入力された画像データCに対応して画像Cが連続して記録される。7番目及び8番目に搬送されるブロック80には、記録順序104が第四位である画像データボックス102dに入力された画像データDに対応して画像Dが連続して記録される。インクジェット記録装置50では、画像切替数ボックス208a〜208dにそれぞれ入力された画像切替数に対応して、画像A〜Dがそれぞれ入力された値に等しい回数分記録される毎に、記録順序104に従った別の画像が記録される。そして、インクジェット記録装置50では、このような画像A〜Dの一連の記録(1セット)が、記録回数ボックス106に入力された記録回数「8」に対応して、8回繰り返される。この結果、画像Aが記録された1個のブロック80と、画像Bが記録された2個のブロック80と、画像Cが記録された3個のブロック80と、画像Dが記録された2個のブロック80とによる8個のブロック80を1セットとした、合計8セットのブロック80が生産される。換言すれば、合計64個のブロック80が生産される。
【0056】
この他、操作画面100又は操作画面200において、画像データボックス102に入力された画像データ毎に、記録される画像の位置補正を設定できるようにしてもよい。この場合、記録データ毎の位置補正情報を含む補正指令が、記録データ等とともに、情報処理装置10から送信され、インクジェット記録装置50で受信される。インクジェット記録装置50において、CPU52は、記録データ毎の位置補正情報に従い、搬送されてきたブロック80の記録面82に対する、画像の記録位置を変更する。これによれば、それぞれの画像が適切な位置に記録されたブロック80を生産することができる。
【0057】
また、インクジェット記録装置50が、記録部60による記録が行われる記録領域をブロック80が搬送されていることを検出可能なセンサを備え、記録領域をブロック80が搬送されている間、第二メモリ58に記憶されている記録データに従った画像の記録が継続されるようにしてもよい。センサとしては、透過型センサが例示される。センサは、記録領域にブロック80が搬送されてきたことが検出されている間、オンの状態とされ、記録領域をブロック80が通過するとオフとなる。つまり、CPU52は、センサがオンの状態である間、記録部60を制御し、各色の紫外線硬化型インクを吐出する。
【0058】
インクジェット記録装置50で第一メモリ56をメモリチップが両面実装されたタイプのもの等とすることで、第一メモリ56の容量を増加し、既に第一メモリ56に記憶されている記録データに従った記録を行いつつ、他の記録についての記録データを記憶できるようにしてもよい。この場合、情報処理装置10では、上述したように、図3のS106の判断が肯定されたとき(S106:Yes)、処理がS100に戻され、上述した情報処理装置側処理が繰り返して実行され、画像の記録が指示可能な状態となる。インクジェット記録装置50では、S126の判断が肯定されたとき(S126:Yes)、処理がS108に戻され、インクジェット記録装置側処理が繰り返して実行される。具体的に説明する。インクジェット記録装置50では、上述した図3のS108でインクジェット記録装置側処理が開始されて、S109で第一メモリ56の表面側のメモリチップに、記録データA〜Dが記憶され、記録データA〜Dに従って、S110以降の処理が順次実行されているとする。処理がS106からS100に戻された情報処理装置10では、操作画面100が表示され、例えば、画像データボックス102aに画像データEが入力され、画像データボックス102bに画像データFが入力され、画像データボックス102cに画像データGが入力され、画像データボックス102dに画像データHが入力される等して、OKボタン110が押下される(S102:Yes)。これに伴い情報処理装置10では、画像データE〜Hから記録データE〜Hが生成される等して、生成された記録データE〜H等がインクジェット記録装置50に送信される(S104)。インクジェット記録装置50では、記録データE〜H等が受信され、受信された記録データE〜Hが、第一メモリ56の裏面側のメモリチップに記憶される(S109参照)。インクジェット記録装置50では、S126の判断が肯定されたとき(S126:Yes)、第一メモリ56に記憶されている記録データE〜Hに対するインクジェット記録装置側処理が、記録データA〜Dの記録に連続して実行される(S108,S110〜S126)。画像データE〜H及び記録データE〜Hを対象とした情報処理装置側処理及びインクジェット記録装置側処理については、画像データA〜D及び記録データA〜Dの場合と同様で、上述した通りである。これらについての説明は省略する。情報処理装置10及びインクジェット記録装置50では、さらに繰り返して情報処理装置側処理及びインクジェット記録装置側処理が実行されてもよい。第一メモリ56の容量の増加は、第一メモリ56となるメモリの枚数を増加して実現されてもよい。操作画面200を採用することもできる。
【0059】
なお、上記では、インクジェット記録装置50が、ライン型のインクジェット記録装置である場合を例に説明した。本実施形態及びこれを変形した上述の構成において、シリアル型のインクジェット記録装置とすることもできる。また、記録媒体が、コンクリートブロック80である場合を例に説明した。記録媒体は、これとは異なる産業資材であってもよい。さらに、画像の記録に用いるインクとして紫外線硬化型インクを例に説明した。インクは、コンクリートブロック80等の産業資材の用途等を考慮し、好適なインクが適宜選択され採用される。
【符号の説明】
【0060】
10 情報処理装置
12 CPU、 14 記憶部、 16 メモリ、 18 通信インターフェース
50 インクジェット記録装置
52 CPU、 54 通信インターフェース
56 第一メモリ、 58 第二メモリ、 60 記録部、 64 搬送部
80 コンクリートブロック(ブロック)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出して画像を記録する記録部を通過させるように、複数の記録媒体を順次連続して搬送し、前記記録部に搬送された記録媒体に対して第一の画像の記録が完了したとされる状態で、前記記録部に搬送される記録媒体に第二の画像を記録し、前記第二の画像の記録が完了したとされる状態で前記記録部に搬送される記録媒体に前記第一の画像を記録するためのインクジェット記録装置であって、
前記第一の画像を示す第一の画像データから生成された第一の記録データと、前記第二の画像を示す第二の画像データから生成された第二の記録データと、を記憶する第一記憶部と、
前記第一記憶部に記憶されている前記第一の記録データ及び前記第二の記録データの何れかを記憶する第二記憶部と、
前記記録部に搬送される記録媒体に前記第一の画像が記録される場合、前記第一の記録データを前記第一記憶部から前記第二記憶部に転送し、前記第二記憶部に前記第一の記録データを記憶し、前記記録部に搬送される記録媒体に前記第二の画像が記録される場合、前記第二の記録データを前記第一記憶部から前記第二記憶部に転送し、前記第二記憶部に前記第二の記録データを記憶する記憶制御部と、
前記記憶制御部によって前記第二記憶部に前記第一の記録データが記憶されている場合、前記第二記憶部に記憶されている前記第一の記録データに従い、前記第一の画像を前記記録部で記録し、前記記憶制御部によって前記第二記憶部に前記第二の記録データが記憶されている場合、前記第二記憶部に記憶されている前記第二の記録データに従い、前記第二の画像を前記記録部で記録する記録制御部と、を備えるインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記記憶制御部は、
前記第二記憶部に前記第一の記録データが記憶されている状態において、前記第二記憶部に前記第二の記録データを記憶する場合、前記第二記憶部に記憶されている前記第一の記録データを消去し、前記第二の記録データを前記第一記憶部から前記第二記憶部に転送し、
前記第二記憶部に前記第二の記録データが記憶されている状態において、前記第二記憶部に前記第一の記録データを記憶する場合、前記第二記憶部に記憶されている前記第二の記録データを消去し、前記第一の記録データを前記第一記憶部から前記第二記憶部に転送する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記憶制御部は、前記第一の画像及び前記第二の画像の前記記録部での記録を終了する場合、前記第一記憶部に記憶されている前記第一の記録データ及び前記第二の記録データを消去する、請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載のインクジェット記録装置と、前記インクジェット記録装置と通信できるように接続され、前記インクジェット記録装置に画像を記録させるための情報処理装置と、を含む画像記録システムであって、
前記情報処理装置は、
前記情報処理装置がアクセスすることができる第三記憶部に記憶されている、前記第一の画像データと前記第二の画像データとを少なくとも含む複数の画像データから、前記第一の画像データと前記第二の画像データとを指定する画像データ指定部と、
前記画像データ指定部によって指定された前記第一の画像データから、前記第一の画像を記録するための前記第一の記録データを生成し、前記画像データ指定部によって指定された前記第二の画像データから、前記第二の画像を記録するための前記第二の記録データを生成する記録データ生成部と、
前記第一の画像及び前記第二の画像について、前記インクジェット記録装置で記録される順序を示す記録順序を設定する順序設定部と、
前記第一の画像及び前記第二の画像の記録が繰り返される回数を示す記録回数を設定する記録回数設定部と、
前記記録データ生成部によって生成された前記第一の記録データ及び前記第二の記録データと、前記順序設定部によって設定された前記記録順序を示す順序指令と、前記記録回数設定部によって設定された前記記録回数を示す回数指令と、を前記インクジェット記録装置に送信する送信部と、を備え、
前記インクジェット記録装置は、さらに、
前記情報処理装置から送信される、前記第一の記録データ及び前記第二の記録データと、前記順序指令と、前記回数指令と、を受信する受信部を備え、
前記記憶制御部は、前記順序指令によって示される前記記録順序に従った結果、前記記録部に搬送される記録媒体に前記第一の画像が記録される場合、前記第二記憶部に前記第一の記録データを記憶し、前記記録部に搬送される記録媒体に前記第二の画像が記録される場合、前記第二記憶部に前記第二の記録データを記憶し、前記第一の記録データ及び前記第二の記録データの何れか一方の前記第二記憶部への記憶を、前記回数指令によって示される前記記録回数だけ前記第一の画像及び前記第二の画像が記録されるまで繰り返し、
前記記録制御部は、前記第一の画像の記録及び前記第二の画像の記録を、前記回数指令によって示される前記記録回数だけ繰り返す、画像記録システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、さらに、
前記インクジェット記録装置で、前記第一の画像が記録されるときに前記第一の画像を連続して記録する回数を示し、前記第二の画像が記録されるときに前記第二の画像を連続して記録する回数を示す画像切替数を設定する切替数設定部を備え、
前記送信部は、さらに、前記切替数設定部によって設定された画像切替数を示す切替数指令を、前記インクジェット記録装置に送信し、
前記インクジェット記録装置において、
前記受信部は、さらに、前記情報処理装置から送信される前記切替数指令を受信し、
前記記録制御部は、前記切替数指令によって示される画像切替数に一致した回数だけ連続して前記第一の画像を記録し、且つ前記切替数指令によって示される画像切替数に一致した回数だけ連続して前記第二の画像を記録し、連続した前記第一の画像の記録及び連続した前記第二の画像の記録を、前記回数指令によって示される前記記録回数だけ繰り返す、請求項4に記載の画像記録システム。
【請求項6】
インクを吐出して画像を記録する記録部を通過させるように、複数の記録媒体を順次連続して搬送し、前記記録部に搬送された記録媒体に対して第一の画像の記録が完了したとされる状態で、前記記録部に搬送される記録媒体に第二の画像を記録し、前記第二の画像の記録が完了したとされる状態で前記記録部に搬送される記録媒体に前記第一の画像を記録するためのインクジェット記録装置であって、
前記第一の画像を示す第一の画像データから生成された第一の記録データと、前記第二の画像を示す第二の画像データから生成された第二の記録データと、を記憶し、
前記第二の記録データとともに記憶されている前記第一の記録データを用いて、新たに前記第一の記録データを、前記インクジェット記録装置が備える記録のための記憶領域に記憶し、前記第一の記録データとともに記憶されている前記第二の記録データを用いて、新たに前記第二の記録データを、前記記録のための記憶領域に記憶し、
前記新たに記憶された前記第一の記録データに従い、前記第一の画像を前記記録部で記録し、前記新たに記憶された前記第二の記録データに従い、前記第二の画像を前記記録部で記録するとともに、
前記第一の記録データの前記記録のための記憶領域への新たな記憶は、前記記録部に搬送される記録媒体に前記第一の画像が記録される場合、前記第二の記録データとともに記憶されている前記第一の記録データが、前記記録のための記憶領域に転送されて行われ、前記第二の記録データの前記記録のための記憶領域への新たな記憶は、前記記録部に搬送される記録媒体に前記第二の画像が記録される場合、前記第一の記録データとともに記憶されている前記第二の記録データが、前記記録のための記憶領域に転送されて行われる、インクジェット記録装置。
【請求項7】
インクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置が備える記録部を通過させるように、複数のコンクリートブロックを順次連続して搬送し、前記記録部に搬送されるコンクリートブロックに画像を記録するインクジェット記録方法であって、
第一の画像を示す第一の画像データから生成された第一の記録データに従い、前記第一の画像を前記記録部で記録する第一記録工程と、
第二の画像を示す第二の画像データから生成された第二の記録データに従い、前記第二の画像を前記記録部で記録する第二記録工程と、を含み、
前記第一記録工程及び前記第二記録工程は、前記第一記録工程及び前記第二記録工程の順で、複数回繰り返して実行される、インクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−73712(P2012−73712A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216519(P2010−216519)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】