説明

インクジェット記録装置及びそれを用いたインクジェット記録方法

【課題】色数を調整することができ且つ効率良くウエブの両面に連続して記録可能なインクジェット記録装置及びそれを用いたインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、ウエブ1の両面に連続して記録可能なインクジェット記録装置100であって、基板上に複数配設された記録ヘッドH1〜H8と、記録ヘッドH1〜H8により記録されたウエブ1を乾燥するための乾燥機5a,5bと、ウエブ1を案内する案内ローラA1〜A8,B1〜B8,G1〜G8と、を備え、ウエブ1が、選択された隣合う記録ヘッドH1〜H8間のいずれかを通過するように、ウエブ1の走行経路が切替可能となっており、ウエブが通過する位置から上流側の記録ヘッドがウエブ1の一面1aに記録し、ウエブ1が通過する位置から下流側の記録ヘッドがウエブ1の他面1bに記録するインクジェット記録装置100及びそれを用いたインクジェット記録方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及びそれを用いたインクジェット記録方法に関し、更に詳しくは、色数を調整することができ且つ効率良くウエブの両面に連続して記録可能なインクジェット記録装置及びそれを用いたインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にインクジェット記録方式は、所望のデザインや文字を記録できることから、多くの分野で用いられている。
近年、インクジェット記録方式にてデザインや文字を両面に記録したウエブが求められている。
【0003】
ウエブの両面にインクジェット記録方式で記録する方法としては、同じインクジェット記録装置で2度記録するバッジ式方法がある。
例えば、ウエブの一方の面にインクジェット記録方式で記録した後、ウエブを反転させ、ウエブの他方の面にインクジェット記録方式で記録する方法である。
ところが、かかるバッジ式方法は、デザインによっては多くのインクを付与する必要があるので、一旦乾燥させないと、画像が滲んでしまうおそれがある。このため、連続記録ができず、生産性が乏しい。
【0004】
これに対し、2つの印字ユニットと乾燥機とを有するインクジェット記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかるインクジェット記録装置によれば、ウエブの両面に連続して記録することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−234214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の表裏印字装置においては、ウエブの片面の記録に対し4箇所の記録ヘッドが配置されているので、5色以上の色を用いることができない。すなわち、インクジェット特有の多彩な表現力が制限されるという欠点がある。
一方でウエブの片面の記録に1色しか用いない場合、3箇所の記録ヘッドが用いられず放置されるので、ノズルが乾燥し、目詰まり等を起こす問題がある。
また、一面は5色以上で多彩な表現をし、他面は1〜3色しか用いない場合、他面に記録する記録ヘッドは用いられず放置されるのに、一面に記録する記録ヘッドは増設しなければならないという無駄が生じ効率的ではない。すなわち、全体としてインクジェット記録装置の記録ヘッドの数が多くなる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、色数を調整することができ且つ効率良くウエブの両面に連続して記録可能なインクジェット記録装置及びそれを用いたインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、配設された記録ヘッドを効率良く利用するために、隣合う記録ヘッド間の通過するウエブの走行経路を切替可能とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)ウエブの両面に連続して記録可能なインクジェット記録装置であって、複数配設された記録ヘッドと、記録ヘッドにより記録されたウエブを乾燥するための乾燥機と、ウエブを案内する案内ローラと、を備え、ウエブが、選択された隣合う記録ヘッド間を通過するように、ウエブの走行経路が切替可能となっており、ウエブが通過する位置から上流側の記録ヘッドがウエブの一面に記録し、ウエブが通過する位置から下流側の記録ヘッドがウエブの他面に記録するインクジェット記録装置に存する。
【0010】
本発明は、(2)乾燥機が、ウエブの一面を乾燥する第1乾燥機と、ウエブの他面を乾燥する第2乾燥機とからなる上記(1)記載のインクジェット記録装置に存する。
【0011】
本発明は、(3)ウエブの一面を記録するための複数配設された追加記録ヘッドを更に備える上記(2)記載のインクジェット記録装置に存する。
【0012】
本発明は、(4)案内ローラが複数配置されており、該案内ローラを選択することにより、走行経路が切替可能となっている上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のインクジェット記録装置に存する。
【0013】
本発明は、(5)案内ローラがレール上をスライド可能な調整案内ローラであり、該調整案内ローラの位置を変えることにより、走行経路が切替可能となっている上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のインクジェット記録装置に存する。
【0014】
本発明は、(6)複数の記録ヘッドの下面がアーチ状に配設されている上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載のインクジェット記録装置に存する。
【0015】
本発明は、(7)乾燥機がUV乾燥機である上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載のインクジェット記録装置に存する。
【0016】
本発明は、(8)上記(2)記載のインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法であって、ウエブが、選択された隣合う記録ヘッド間を通過する位置から上流側の記録ヘッドがウエブの一面に記録した後、該ウエブを第1乾燥機で乾燥し、ウエブが、選択された隣合う記録ヘッド間を通過する位置から下流側の記録ヘッドがウエブの他面に記録した後、該ウエブを第2乾燥機で乾燥するインクジェット記録方法に存する。
【0017】
本発明は、(9)上記(3)記載のインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法であって、ウエブの一面を追加記録ヘッドが記録した後、仮乾燥機で乾燥し、ウエブが、選択された隣合う記録ヘッド間を通過する位置から上流側の記録ヘッドがウエブの一面に記録した後、該ウエブを第1乾燥機で乾燥し、ウエブが、選択された隣合う記録ヘッド間を通過する位置から下流側の記録ヘッドがウエブの他面に記録した後、該ウエブを第2乾燥機で乾燥するインクジェット記録方法に存する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のインクジェット記録装置においては、隣合う記録ヘッド間にウエブを通過させ、ウエブが通過する位置から上流側の記録ヘッドにウエブの一面を記録させ、ウエブが通過する位置から下流側の記録ヘッドにウエブの他面を記録させる。
このとき、ウエブを通過させる走行経路を切り替えることにより、ウエブの一面に記録させる記録ヘッドの数と、ウエブの他面に記録させる記録ヘッドの数とを調整することが可能となる。すなわち、ウエブの一面と他面とで用いる色数を調整することができる。
【0019】
このことから、一面は5色以上で多彩な表現をし、他面は1〜3色しか用いない場合、用いられない記録ヘッドの数を無くす若しくは減らすことができ、同時に記録ヘッドを増設する無駄も省ける。
したがって、上記インクジェット記録装置によれば、ウエブの一面及び他面の色数の違いにも対応することができ、効率良くウエブの両面に連続して記録することができる。
【0020】
本発明のインクジェット記録装置においては、案内ローラが複数配置されており、ウエブを案内させる案内ローラを選択することにより、走行経路が切替可能となっている場合、案内ローラの位置決めがされているので、デザインに基づく色数にあわせて、容易に走行経路を選択することが可能となる。
また、案内ローラがレール上をスライド可能な調整案内ローラであり、該調整案内ローラの位置を変えることにより、走行経路が切替可能となっている場合、センサーで制御することも可能であり、デザインに基づく色数にあわせて、よりスムーズに走行経路を選択することが可能となる。
【0021】
本発明のインクジェット記録装置においては、ウエブの一面を記録するための複数配設された追加記録ヘッドを更に備えると、更に多彩な表現が可能となる。
【0022】
本発明のインクジェット記録装置においては、複数の記録ヘッドの下面がアーチ状となるように配設されている場合、ウエブに対し、記録ヘッドとは反対方向にテンションを掛けることができるので、ウエブがバタつくことを防止することができる。
【0023】
本発明のインクジェット記録装置においては、乾燥機がUV乾燥機である場合、簡便な装置で十分に乾燥できるので、スペースをとらない。
【0024】
本発明のインクジェット記録方法においては、上述のインクジェット記録装置を用いるので、色数を調整することができ且つ効率良くウエブの両面に連続して記録することが可能である。
また、インクジェット記録装置が追加記録ヘッドを備える場合、一度仮乾燥機で乾燥することにより、より高品質のインクジェット記録物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明に係るインクジェット記録装置の第1実施形態を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明に係るインクジェット記録装置の第1実施形態におけるウエブの走行経路の複数の例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明に係るインクジェット記録装置の第2実施形態におけるウエブの走行経路の複数の例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明に係るインクジェット記録装置の第3実施形態を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明に係るインクジェット記録装置の第4実施形態を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明に係るインクジェット記録装置の第4実施形態におけるウエブの走行経路の複数の例を示す概略図である。
【図7】図7は、本発明に係るインクジェット記録装置の他の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0027】
本発明に係るインクジェット記録装置は、基板上に複数配設された記録ヘッドと、ウエブを選択された隣合う記録ヘッド間に案内可能な案内ローラ(以下便宜的に「上案内ローラ」ともいう。)と、ウエブをウエブが通過する位置から上流側の記録ヘッドに案内可能な案内ローラ(以下便宜的に「左案内ローラ」ともいう。)と、ウエブをウエブが通過する位置から下流側の記録ヘッドに案内可能な案内ローラ(以下便宜的に「右案内ローラ」ともいう。)と、上流側の記録ヘッドにより記録されたウエブを乾燥するための乾燥機(以下便宜的に「第1乾燥機」ともいう。)と、下流側の記録ヘッドにより記録されたウエブを乾燥するための乾燥機(以下便宜的に「第2乾燥機」ともいう。)と、を備える。すなわち、本発明のインクジェット記録装置において、案内ローラは、上案内ローラ、左案内ローラ及び右案内ローラの3つからなる。
【0028】
本発明のインクジェット記録装置においては、隣合う記録ヘッド間にウエブを通過させ、ウエブが通過する位置から上流側の記録ヘッドにウエブの一面を記録させ、ウエブが通過する位置から下流側の記録ヘッドにウエブの他面を記録させる。
このとき、用いる上案内ローラ、左案内ローラ及び右案内ローラは、適宜選択することができる。すなわち、案内ローラを選択することにより、走行経路が切替可能となっている。
【0029】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置の第1実施形態を示す概略図である。
図1に示すように、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100は、図示しない基板上に8個配設された記録ヘッド(以下便宜的に図1の左側から順に「第1記録ヘッド」〜「第8記録ヘッド」ともいう。)H1〜H8と、ウエブ1を第4記録ヘッドH4と第5記録ヘッドH5との間に案内する上案内ローラ(以下便宜的に「第4上案内ローラ」ともいう。)A4と、ウエブ1を第1記録ヘッドH1〜第4記録ヘッドH4側に案内する左案内ローラ(以下便宜的に「第4左案内ローラ」ともいう。)B4と、ウエブ1を第5記録ヘッドH5〜第8記録ヘッドH8側に案内する右案内ローラ(以下便宜的に「第4右案内ローラ」ともいう。)G4と、第1記録ヘッドH1〜第4記録ヘッドH4の4個の記録ヘッドにより記録されたウエブ1の一面1aを乾燥するための第1乾燥機5aと、第5記録ヘッドH5〜第8記録ヘッドH8の4個の記録ヘッドにより記録されたウエブ1の他面1bを乾燥するための第2乾燥機5bと、を備える。
また、インクジェット記録装置100においては、ウエブ1の走行経路を切替可能とするために、複数の上案内ローラ(以下便宜的に図1の左側から順に「第1上案内ローラ」〜「第7上案内ローラ」ともいう。)A1〜A7と、複数の左案内ローラ(以下便宜的に図1の左側から順に「第1左案内ローラ」〜「第7左案内ローラ」ともいう。)B1〜B7と、複数の右案内ローラ(以下便宜的に図1の左側から順に「第1右案内ローラ」〜「第7右案内ローラ」ともいう。)G1〜G7と、が配設されている。
【0030】
第1実施形態に係るインクジェット記録装置100において、第1記録ヘッドH1〜第8記録ヘッドH8は、一列になるように、基板に位置固定されている。このため、ウエブ1に対して連続して記録することが可能となる。
また、第1記録ヘッドH1〜第8記録ヘッドH8は、基板から着脱可能となっており、必要に応じて適宜交換することができる。
【0031】
第1記録ヘッドH1〜第8記録ヘッドH8は、それぞれにインクが収容されている。なお、これらのインクは、同じ色であっても、異なる色であってもよい。また、インクは、染料でも顔料でもよく、また水性、油性を問わない。
【0032】
例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックが収容されている記録ヘッドで記録すると、フルカラーの表現が可能となる。また、これらの色の濃淡のインクが収容された記録ヘッドを更に備え、すべての記録ヘッドで記録すると、表現できる色の幅が拡大する。なお、この他にも、紫外線硬化剤、艶出し剤、難燃剤、下地剤等を溶解した液体をインクとして用いてもよい。
【0033】
第1上案内ローラA1〜第7上案内ローラA7及び第1左案内ローラB1〜第7左案内ローラB7は、第1記録ヘッドH1〜第8記録ヘッドH8の間に配置されており、第1右案内ローラG1〜第7右案内ローラG7は、第1記録ヘッドH1〜第8記録ヘッドH8の下に配置されている。
インクジェット記録装置100においては、隣合う記録ヘッド間でウエブ1の進行方向の転換が行われることになる。なお、インクジェット記録装置100においては、ウエブ1が隣合う記録ヘッド間を通過する走行経路を阻害しないように、基板には穴が設けられている。
【0034】
第1上案内ローラA1〜第7上案内ローラA7、第1左案内ローラB1〜第7左案内ローラB7、第1右案内ローラG1〜第7右案内ローラG7は、互いに対応させて用いられる。すなわち、上述したように、ウエブ1を第4上案内ローラA4によって案内する場合は、第4左案内ローラB4と、第4右案内ローラG4とが用いられる。この場合、ウエブ1の一面1aの記録に用いられる記録ヘッドは第1記録ヘッドH1〜第4記録ヘッドH4の4個となり、ウエブ1の他面1bの記録に用いられる記録ヘッドは第5記録ヘッドH5〜第8記録ヘッドH8の4個となる。
【0035】
ここで、ウエブ1の走行経路を切替えた場合について説明する。
図2は、本発明に係るインクジェット記録装置の第1実施形態におけるウエブの走行経路の複数の例を示す概略図である。
図2に示すように、例えば、ウエブ1を第1上案内ローラA1によって案内するようにした場合、第1左案内ローラB1と、第1右案内ローラG1とが用いられる。この場合、ウエブ1の一面1aの記録に用いられる記録ヘッドは第1記録ヘッドH1の1個となり、ウエブ1の他面1bの記録に用いられる記録ヘッドは第2記録ヘッドH2〜第8記録ヘッドH8の7個となる。
ウエブ1を第2上案内ローラA2によって案内するようにした場合、第2左案内ローラB2と、第2右案内ローラG2とが用いられる。この場合、ウエブ1の一面1aの記録に用いられる記録ヘッドは第1記録ヘッドH1及び第2記録ヘッドH2の2個となり、ウエブ1の他面1bの記録に用いられる記録ヘッドは第3記録ヘッドH3〜第8記録ヘッドH8の6個となる。
ウエブ1を第3上案内ローラA3によって案内するようにした場合、第3左案内ローラB3と、第3右案内ローラG3とが用いられる。この場合、ウエブ1の一面1aの記録に用いられる記録ヘッドは第1記録ヘッドH1〜第3記録ヘッドH3の3個となり、ウエブ1の他面1bの記録に用いられる記録ヘッドは第4記録ヘッドH4〜第8記録ヘッドH8の5個となる。
ウエブ1を第5上案内ローラA5によって案内するようにした場合、第5左案内ローラB5と、第5右案内ローラG5とが用いられる。この場合、ウエブ1の一面1aの記録に用いられる記録ヘッドは第1記録ヘッドH1〜第5記録ヘッドH5の5個となり、ウエブ1の他面1bの記録に用いられる記録ヘッドは第6記録ヘッドH6〜第8記録ヘッドH8の3個となる。
ウエブ1を第6上案内ローラA6によって案内するようにした場合、第6左案内ローラB6と、第6右案内ローラG6とが用いられる。この場合、ウエブ1の一面1aの記録に用いられる記録ヘッドは第1記録ヘッドH1〜第6記録ヘッドH6の6個となり、ウエブ1の他面1bの記録に用いられる記録ヘッドは第7記録ヘッドH7及び第8記録ヘッドH8の2個となる。
ウエブ1を第7上案内ローラA7によって案内するようにした場合、第7左案内ローラB7と、第7右案内ローラG7とが用いられる。この場合、ウエブ1の一面1aの記録に用いられる記録ヘッドは第1記録ヘッドH1〜第7記録ヘッドH7の7個となり、ウエブ1の他面1bの記録に用いられる記録ヘッドは第8記録ヘッドH8の1個となる。
【0036】
第1実施形態に係るインクジェット記録装置100において、第1乾燥機5a及び第2乾燥機5bは、第1記録ヘッドH1〜第8記録ヘッドH8の下方に配置される。これにより、インクジェット記録装置100の設置スペースをコンパクトにすることができる。
第1乾燥機5aは、内部に加熱ヒータを備えており、その熱によりドラム6a表面が加熱されるようになっている。また、第1乾燥機5aは、図示しない吹き付けノズルが設けられており、該吹き付けノズルは、ドラム6aの表面に熱風を吹き付けるようになっている。すなわち、第1乾燥機5aにおいては、これらの2つの乾燥機能によりドラム6aの表面に巻回されたウエブ1の一面1aを乾燥する。なお、第2乾燥機5bは、第1乾燥機5aと同じ構造となっている。
【0037】
第1実施形態に係るインクジェット記録装置において、ウエブ1の材質は、紙、布帛、フィルム、金属箔等、特に限定されない。
また、ウエブ1は、連続して走行するようになっている。
【0038】
次に、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100を用いたインクジェット記録方法について説明する。
かかるインクジェット記録方法においては、ウエブ1が隣合う記録ヘッド間を通過する位置から上流側の記録ヘッドがウエブの一面1aに記録した後、該ウエブ1を第1乾燥機5aで乾燥し、ウエブ1が記録ヘッド同士の間を通過する位置から下流側の記録ヘッドがウエブ1の他面1bに記録した後、該ウエブ1を第2乾燥機5bで乾燥する。
【0039】
すなわち、インクジェット記録装置100の搬入口3aから搬入されたウエブ1は、一旦、第1記録ヘッドH1〜第4記録ヘッドH4の上方を通過し、第4上案内ローラA4によって、第4記録ヘッドH4と第5記録ヘッドH5との間を通過するように案内される。
続いて、ウエブ1は、第4左案内ローラB4によって、第1記録ヘッドH1〜第4記録ヘッドH4側に案内され、ウエブ1の一面1aが第1記録ヘッドH1〜第4記録ヘッドH4によって順次記録される。
その後、ウエブ1は、下方に配置された第1乾燥機5aに案内され、ドラム6aの円周に略1周するように巻回され、ウエブ1の一面1aが乾燥される。このとき、ウエブ1の記録された一面1aの反対側をドラム6aに接するようにする。これによりウエブ1は効率良く乾燥され、ドラムの汚染も抑制される。
【0040】
次に、ウエブ1は、第4右案内ローラG4によって、第5記録ヘッドH5〜第8記録ヘッドH8側に案内され、ウエブ1の他面1bが第5記録ヘッドH5〜第8記録ヘッドH8によって順次記録される。
その後、ウエブ1は、下方に配置された第2乾燥機5bに案内され、ドラム6bの円周に略1周するように巻回され、ウエブ1の他面1bが乾燥される。このとき、ウエブ1の記録された他面1bの反対側をドラム6bに接するようにする。これによりウエブ1は効率良く乾燥され、ドラムの汚染も抑制される。
そして、ウエブ1は、インクジェット記録装置100の搬出口3bから搬出される。
こうして、記録媒体1の両面が連続して記録されることになる。
【0041】
なお、インクジェット記録方法において、ウエブ1の搬入方法としては、例えば、巻取りローラに巻きつけたウエブ1をインクジェット記録装置100に搬入する方法が挙げられる。また、ウエブ1の搬出方法としては、例えば、記録されたウエブ1を巻取りローラで巻き取ることにより搬出する方法が挙げられる。
【0042】
上述したように、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100においては、案内ローラが複数配置されており、ウエブ1を案内させる案内ローラを適宜選択することにより、走行経路が切替可能となっている。このため、デザインに基づく色数にあわせて、容易に走行経路を選択することが可能となる。
よって、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100及びそれを用いたインクジェット記録方法によれば、色数を調整することができ且つ効率良くウエブの両面に連続して記録することが可能である。
【0043】
[第2実施形態]
図3は、本発明に係るインクジェット記録装置の第2実施形態におけるウエブの走行経路の複数の例を示す概略図である。
図3に示すように、第2実施形態に係るインクジェット記録装置101において、複数の記録ヘッドの下面がアーチ状になるように配設されていること以外は、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100と同じである。
【0044】
第2実施形態に係るインクジェット記録装置101においては、複数の記録ヘッドの下面がアーチ状に配設されているので、ウエブ1に対し、記録ヘッドとは反対方向にテンションを掛けることができる。これにより、ウエブ1がバタつくことを防止され、記録ヘッドH1〜H8とウエブ1とが接触して記録ヘッドH1〜H8の目詰まりが生じたり、ウエブ1が汚染する等の問題の発生が抑制される。
【0045】
[第3実施形態]
図4は、本発明に係るインクジェット記録装置の第3実施形態を示す概略図である。
図4に示すように、第3実施形態に係るインクジェット記録装置102は、複数の上案内ローラA1〜A7の代わりに、調整案内ローラ(以下便宜的に「上調整案内ローラ」ともいう。)A10と、複数の左案内ローラB1〜B7の代わりに、調整案内ローラ(以下便宜的に「左調整案内ローラ」ともいう。)B10と、複数の右案内ローラG1〜G7の代わりに、調整案内ローラ(以下便宜的に「右調整案内ローラ」ともいう。)G10と、上調整案内ローラA10がスライド可能に取り付けられた上レール11aと、左調整案内ローラB10及び右調整案内ローラG10がスライド可能に取り付けられた下レール11bと、を更に備えること以外は、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100と同じである。すなわち、第3実施形態に係るインクジェット記録装置102は、上案内ローラA1〜A7をなくし、スライド可能な一つの上調整案内ローラA10とし、左案内ローラB1〜B7をなくし、スライド可能な一つの左調整案内ローラB10とし、右案内ローラG1〜G7をなくし、スライド可能な一つの右調整案内ローラG10とし、これらが取り付けられた一対のレール11(上レール11a及び下レール11b)を更に備える点で、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100と相違する。
したがって、第3実施形態のインクジェット記録装置102において、調整案内ローラは、上調整案内ローラ、左調整案内ローラ及び右調整案内ローラの3つからなる。
【0046】
上調整案内ローラA10、左調整案内ローラB10及び右調整案内ローラG10は、互いに一体となってスライドするようになっている。例えば、ウエブ1を第4記録ヘッドH4と第5記録ヘッドH5との間に案内する場合は、上調整案内ローラA10を上述した第4上案内ローラA4に相当する位置にスライドさせて位置決めし、左調整案内ローラB10を上述した第4左案内ローラB4に相当する位置にスライドさせて位置決めし、右調整案内ローラG10を上述した第4右案内ローラG4に相当する位置にスライドさせて位置決めすればよい。なお、ウエブ1の走行経路を別の位置に切替えたい場合も同様に、上調整案内ローラA10、左調整案内ローラB10及び右調整案内ローラG10を所定の位置にスライドさせて位置決めすればよい。
【0047】
第3実施形態に係るインクジェット記録装置102においては、上調整案内ローラA10、左調整案内ローラB10及び右調整案内ローラG10を一体的にスライドさせて位置を変えることにより、走行経路が切替可能となる。このため、デザインに基づく色数にあわせて、よりスムーズに走行経路を選択することが可能となる。
また、上調整案内ローラA10、左調整案内ローラB10及び右調整案内ローラG10のスライドをセンサーで制御することも可能となる。なお、個々のスライドは、別々に制御され、同期的に位置決めしてもよいし、一体的に同一制御で同期的に位置決めしてもよい。
【0048】
[第4実施形態]
図5は、本発明に係るインクジェット記録装置の第4実施形態を示す概略図である。
図5に示すように、第4実施形態に係るインクジェット記録装置103は、ウエブ1の一面1aを記録するために配設された4個の追加記録ヘッドC1〜C4を更に備える。すなわち、第4実施形態に係るインクジェット記録装置103は、図示しない基板上に4個配設された記録ヘッド(以下便宜的に図4の右側から順に「第11記録ヘッド」〜「第14記録ヘッド」ともいう。)H11〜H14と、ウエブ1を第11記録ヘッドH11及び第12記録ヘッドH12側に案内する右案内ローラ(以下便宜的に「第12右案内ローラ」ともいう。)G12と、ウエブ1を第12記録ヘッドH12と第13記録ヘッドH13との間に案内する上案内ローラ(以下便宜的に「第12上案内ローラ」ともいう。)A12と、ウエブ1を第13記録ヘッドH13及び第14記録ヘッドH14側に案内する左案内ローラ(以下便宜的に「第12左案内ローラ」ともいう。)B12と、4個の追加記録ヘッドC1〜C4、及び、第11記録ヘッドH11及び第12記録ヘッドH12の2個の記録ヘッドにより記録されたウエブ1の一面1aを乾燥するための第1乾燥機15aと、第13記録ヘッドH13及び第14記録ヘッドH14の2個の記録ヘッドにより記録されたウエブ1の他面1bを乾燥するための第2乾燥機15bと、を備える。
また、インクジェット記録装置103においては、ウエブ1の走行経路を切替可能とするために、複数の上案内ローラ(以下便宜的に図4の右側から順に「第11上案内ローラ」〜「第13上案内ローラ」ともいう。)A11〜A13と、複数の左案内ローラ(以下便宜的に図4の右側から順に「第11左案内ローラ」〜「第13左案内ローラ」ともいう。)B11〜B13と、複数の右案内ローラ(以下便宜的に図4の右側から順に「第11右案内ローラ」〜「第13右案内ローラ」ともいう。)G11〜G13と、が配設されている。
【0049】
第4実施形態に係るインクジェット記録装置103において、追加記録ヘッドC1〜C4及び第11記録ヘッドH11〜第14記録ヘッドH14は、それぞれ一列になるように、図示しない基板に位置固定されている。このため、ウエブ1に対して連続して記録することが可能となる。
また、追加記録ヘッドC1〜C4及び第11記録ヘッドH11〜第14記録ヘッドH14は、基板から着脱可能となっており、必要に応じて適宜交換することができる。
【0050】
追加記録ヘッドC1〜C4及び第11記録ヘッドH11〜第14記録ヘッドH14は、上述した記録ヘッドH1〜H8と同様に、それぞれにインクが収容されている。なお、これらのインクは、同じ色であっても、異なる色であってもよい。また、インクは、染料でも顔料でもよく、また水性、油性を問わない。
【0051】
第11上案内ローラA11〜第13上案内ローラA13及び第11左案内ローラB11〜第13左案内ローラB13は、第11記録ヘッドH11〜第14記録ヘッドH14の間に配置され、第11右案内ローラG11〜第13右案内ローラG13は、第11記録ヘッドH11〜第13記録ヘッドH13の下に配置されている。すなわち、これらの記録ヘッドによりウエブ1の進行方向の転換が行われることになる。なお、インクジェット記録装置103においては、ウエブ1が隣合う記録ヘッド間を通過する走行経路を阻害しないように、基板には穴が設けられている。
【0052】
第11上案内ローラA11〜第13上案内ローラA13、第11左案内ローラB11〜第13左案内ローラB13、第11右案内ローラG11〜第13右案内ローラG13は、互いに対応させて用いられる。すなわち、上述したように、ウエブ1を第12右案内ローラG12によって案内する場合は、第12上案内ローラA12と、第12左案内ローラB12とが用いられる。この場合、ウエブ1の一面1aの記録に用いられる記録ヘッドは追加記録ヘッドC1〜C4及び第11記録ヘッドH11及び第12記録ヘッドH12の6個となり、ウエブ1の他面1bの記録に用いられる記録ヘッドは第13記録ヘッドH13及び第14記録ヘッドH14の2個となる。
【0053】
ここで、ウエブ1の走行経路を切替えた場合について説明する。
図6は、本発明に係るインクジェット記録装置の第4実施形態におけるウエブの走行経路の複数の例を示す概略図である。
図6に示すように、例えば、ウエブ1を第11右案内ローラG11によって案内するようにした場合、第11上案内ローラA11と、第11左案内ローラB11とが用いられる。この場合、ウエブ1の一面1aの記録に用いられる記録ヘッドは追加記録ヘッドC1〜C4及び第11記録ヘッドH11の5個となり、ウエブ1の他面1bの記録に用いられる記録ヘッドは第12記録ヘッドH12〜第14記録ヘッドH14の3個となる。
ウエブ1を第13右案内ローラG13によって案内するようにした場合、第13上案内ローラA13と、第13左案内ローラB13とが用いられる。この場合、ウエブ1の一面1aの記録に用いられる記録ヘッドは追加記録ヘッドC1〜C4及び第11記録ヘッドH11〜第13記録ヘッドH13の7個となり、ウエブ1の他面1bの記録に用いられる記録ヘッドは第14記録ヘッドH14の1個となる。
【0054】
第4実施形態に係るインクジェット記録装置103において、第1乾燥機15a及び第2乾燥機15bは、第11記録ヘッドH11〜第14記録ヘッドH14の下方に配置される。これにより、インクジェット記録装置103の設置スペースをコンパクトにすることができる。なお、第1乾燥機15a及び第2乾燥機15bは、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100における第1乾燥機5aと同じ構造となっている。
【0055】
次に、第4実施形態に係るインクジェット記録装置103を用いたインクジェット記録方法について説明する。
かかるインクジェット記録方法においては、追加記録ヘッドC1〜C4がウエブ1の一面1aに記録し、続けて、ウエブ1が隣合う記録ヘッド間を通過する位置から上流側の記録ヘッドがウエブの一面1aに記録した後、該ウエブ1を第1乾燥機15aで乾燥し、ウエブ1が記録ヘッド同士の間を通過する位置から下流側の記録ヘッドがウエブ1の他面1bに記録した後、該ウエブ1を第2乾燥機15bで乾燥する。
【0056】
すなわち、インクジェット記録装置103の搬入口13aから搬入されたウエブ1は、追加記録ヘッドC1〜C4に案内され、ウエブの一面1aが追加記録ヘッドC1〜C4によって順次記録される。
続いて、ウエブ1は、一旦、第11記録ヘッドH11〜第14記録ヘッドH14の下方に案内され、第12右案内ローラG12によって、第11記録ヘッドH11及び第12記録ヘッドH12側に案内され、ウエブ1の一面1aが更に第11記録ヘッドH11及び第12記録ヘッドH12によって順次記録される。
その後、ウエブ1は、下方に配置された第1乾燥機15aに案内され、ドラム16aの円周に略1周するように巻回され、ウエブ1の一面1aが乾燥される。このとき、ウエブ1の記録された一面1aの反対側をドラム16aに接するようにする。これによりウエブ1は効率良く乾燥され、ドラムの汚染も抑制される。
【0057】
次に、ウエブ1は、第11記録ヘッドH11〜第14記録ヘッドH14の上方に案内され、第12上案内ローラA12によって、第12記録ヘッドH12と第13記録ヘッドH13との間を通過するように案内される。
続いて、ウエブ1は、第12左案内ローラB12によって、第13記録ヘッドH13及び第14記録ヘッドH14側に案内され、ウエブ1の他面1bが第13記録ヘッドH13及び第14記録ヘッドH14によって順次記録される。
その後、ウエブ1は、下方に配置された第2乾燥機15bに案内され、ドラム16bの円周に略1周するように巻回され、ウエブ1の他面1bが乾燥される。このとき、ウエブ1の記録された他面1bの反対側をドラム16bに接するようにする。これによりウエブ1は効率良く乾燥され、ドラムの汚染も抑制される。
そして、ウエブ1は、インクジェット記録装置103の搬出口13bから搬出される。
こうして、記録媒体1の両面が連続して記録されることになる。
【0058】
第4実施形態に係るインクジェット記録装置103においては、ウエブ1の一面1aを記録するための複数配設された追加記録ヘッドC1〜C4を備えることにより、更に多彩な表現が可能となる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0060】
例えば、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100、第2実施形態に係るインクジェット記録装置101及び第3実施形態に係るインクジェット記録装置102においては、8個の記録ヘッドが用いられているが、2個以上であればこれに限定されず、7個以下であっても、9個以上であってもよい。
【0061】
同様に、第4実施形態に係るインクジェット記録装置103においては、4個の追加記録ヘッドが用いられているが、1個以上であればこれに限定されない。また、4個の記録ヘッドが用いられているが、2個以上であればこれに限定されず、3個以下であっても、5個以上であってもよい。
【0062】
第1実施形態に係るインクジェット記録装置100及び第2実施形態に係るインクジェット記録装置101においては、第7上案内ローラA7の外側(第6上案内ローラA6とは反対側)に、更に第8上案内ローラA8を備えていてもよい(図1参照)。この場合、ウエブ1を第8上案内ローラA8に案内させることにより、ウエブ1の一面1aに8個の記録ヘッドH1〜H8で記録することが可能となる。なお、このとき、ウエブの他面1bには記録されない。なお、第3実施形態に係るインクジェット記録装置102においては、レール11を上述した第8上案内ローラA8に相当する位置まで延ばすことにより、上調整案内ローラA10、左調整案内ローラB10及び右調整案内ローラG10をその位置までスライド可能とすればよい。
さらに、第4実施形態に係るインクジェット記録装置103においては、第13上案内ローラA13の外側(第12上案内ローラA12とは反対側)に、更に第14上案内ローラA14を備えていてもよい(図6参照)。この場合もウエブ1を第14上案内ローラA14に案内させることにより、ウエブ1の一面1aに4個の追加記録ヘッドC1〜C4及び4個の記録ヘッドH11〜H14で記録することが可能となる。なお、このとき、ウエブの他面1bには記録されない。
【0063】
第1上案内ローラA1〜第7上案内ローラA7、第1左案内ローラB1〜第7左案内ローラB7、第1右案内ローラG1〜第7右案内ローラG7は、互いに対応させて用いられる。すなわち、上述したように、ウエブ1を第4上案内ローラA4によって案内する場合は、第4左案内ローラB4と、第4右案内ローラG4とが用いられる。この場合、ウエブ1の一面1aの記録に用いられる記録ヘッドは第1記録ヘッドH1〜第4記録ヘッドH4の4個となり、ウエブ1の他面1bの記録に用いられる記録ヘッドは第5記録ヘッドH5〜第8記録ヘッドH8の4個となる。
【0064】
第1実施形態に係るインクジェット記録装置100において、用いない記録ヘッドを設けてもよい。例えば、ウエブ1を第4上案内ローラA4によって案内するようにした場合、ウエブ1の他面1bの記録に用いられる記録ヘッドを4個以下とすることができる。すなわち、ウエブ1を第4上案内ローラA4に第4記録ヘッドH4と第5記録ヘッドH5との間に案内し、第4左案内ローラB4により第1記録ヘッドH1〜第4記録ヘッドH4側に案内して記録した後、ウエブ1を第4右案内ローラG4に案内させずに、第5右案内ローラG5に案内させることにより、第6記録ヘッドH6〜第8記録ヘッドH8の3個の記録ヘッドで記録されることになる。このとき、第5記録ヘッドH5は用いられない。なお、ウエブ1をその他の上案内ローラA1〜A7に案内させた場合も同様であり、他面1bの色数に応じて右案内ローラB1〜B7を適宜選択することも可能である。
【0065】
第3実施形態に係るインクジェット記録装置102及び第4実施形態に係るインクジェット記録装置103においては、記録ヘッドが平面状に配設されているが、第2実施形態に係るインクジェット記録装置101の記録ヘッドのように、記録ヘッドの下面がアーチ状に配設されていてもよい。なお、第4実施形態に係るインクジェット記録装置103における追加記録ヘッドC1〜C4の下面についてもアーチ状に配設されていてもよい。
【0066】
第4実施形態に係るインクジェット記録装置103においては、追加記録ヘッドC1〜C4が配設された基板と、記録ヘッドH11〜H14が配設された基板とで、2段式となっているが、3段式以上であってもよい。すなわち、追加記録ヘッドが配設された基板を更に増設してもよい。
【0067】
第4実施形態に係るインクジェット記録装置103においては、ウエブ1の一面1aに追加記録ヘッドC1〜C4で記録した後、一旦仮乾燥させてもよい。
図7は、本発明に係るインクジェット記録装置の他の実施形態を示す概略図である。
図7に示すように、インクジェット記録装置104は、追加記録ヘッドC1〜C4で記録した後、一旦仮乾燥させる仮乾燥機20を備えること以外は、第4実施形態に係るインクジェット記録装置103と同じである。なお、仮乾燥機20は、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100における第1乾燥機5aと同じ構造となっている。
【0068】
インクジェット記録装置104においては、ウエブ1の一面1aを追加記録ヘッドC1〜C4が記録した後、一旦仮乾燥機20で仮乾燥し、続いて、第12記録ヘッドH12と第13記録ヘッドH13との間を通過する位置から上流側の第11記録ヘッドH11及び第12記録ヘッドH12がウエブ1の一面1aに記録した後、該ウエブ1を第1乾燥機15aで乾燥する。
そして、ウエブ1が第12記録ヘッドH12と第13記録ヘッドH13との間を通過する位置から下流側の第13記録ヘッドH13及び第14記録ヘッドH14がウエブ1の他面1bに記録した後、該ウエブ1を第2乾燥機15bで乾燥することになる。
このように、インクジェット記録装置104においては、一度仮乾燥機で乾燥することにより、記録面を案内ローラに接触させる経路が可能となり、簡素な通紙経路が得られる。
【0069】
第1〜第4実施形態に係るインクジェット記録装置においては、乾燥機としてドラム式のものを用いているが、インクに紫外線硬化剤が含まれている場合、UV乾燥機であってもよい。この場合、簡便な装置で十分に乾燥できるので、スペースをとらないという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のインクジェット記録装置は、ウエブの両面にインクジェット方式により記録する装置として利用できる。かかるインクジェット記録装置によれば、色数を調整することができ且つ効率良くウエブの両面に連続して記録することが可能となる。
【符号の説明】
【0071】
1・・・ウエブ
1a・・・一面
1b・・・他面
3a,13a・・・搬入口
3b,13b・・・搬出口
5a,15a・・・第1乾燥機(乾燥機)
5b,15b・・・第2乾燥機(乾燥機)
6a,6b,16a,16b・・・ドラム
11・・・レール
11a・・・上レール
11b・・・下レール
20・・・仮乾燥機
100,101,102,103,104・・・インクジェット記録装置
A1・・・第1上案内ローラ(案内ローラ)
A2・・・第2上案内ローラ(案内ローラ)
A3・・・第3上案内ローラ(案内ローラ)
A4・・・第4上案内ローラ(案内ローラ)
A5・・・第5上案内ローラ(案内ローラ)
A6・・・第6上案内ローラ(案内ローラ)
A7・・・第7上案内ローラ(案内ローラ)
A10・・・上調整案内ローラ(案内ローラ)
A11・・・第11上案内ローラ(案内ローラ)
A12・・・第12上案内ローラ(案内ローラ)
A13・・・第13上案内ローラ(案内ローラ)
B1・・・第1左案内ローラ(案内ローラ)
B2・・・第2左案内ローラ(案内ローラ)
B3・・・第3左案内ローラ(案内ローラ)
B4・・・第4左案内ローラ(案内ローラ)
B5・・・第5左案内ローラ(案内ローラ)
B6・・・第6左案内ローラ(案内ローラ)
B7・・・第7左案内ローラ(案内ローラ)
B10・・・左調整案内ローラ(案内ローラ)
B11・・・第11左案内ローラ(案内ローラ)
B12・・・第12左案内ローラ(案内ローラ)
B13・・・第13左案内ローラ(案内ローラ)
C1,C2,C3,C4・・・追加記録ヘッド
G1・・・第1右案内ローラ(案内ローラ)
G2・・・第2右案内ローラ(案内ローラ)
G3・・・第3右案内ローラ(案内ローラ)
G4・・・第4右案内ローラ(案内ローラ)
G5・・・第5右案内ローラ(案内ローラ)
G6・・・第6右案内ローラ(案内ローラ)
G7・・・第7右案内ローラ(案内ローラ)
G10・・・右調整案内ローラ(案内ローラ)
G11・・・第11右案内ローラ(案内ローラ)
G12・・・第12右案内ローラ(案内ローラ)
G13・・・第13右案内ローラ(案内ローラ)
H1・・・第1記録ヘッド(記録ヘッド)
H2・・・第2記録ヘッド(記録ヘッド)
H3・・・第3記録ヘッド(記録ヘッド)
H4・・・第4記録ヘッド(記録ヘッド)
H5・・・第5記録ヘッド(記録ヘッド)
H6・・・第6記録ヘッド(記録ヘッド)
H7・・・第7記録ヘッド(記録ヘッド)
H8・・・第8記録ヘッド(記録ヘッド)
H11・・・第11記録ヘッド(記録ヘッド)
H12・・・第12記録ヘッド(記録ヘッド)
H13・・・第13記録ヘッド(記録ヘッド)
H14・・・第14記録ヘッド(記録ヘッド)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエブの両面に連続して記録可能なインクジェット記録装置であって、
複数配設された記録ヘッドと、
前記記録ヘッドにより記録された前記ウエブを乾燥するための乾燥機と、
前記ウエブを案内する案内ローラと、
を備え、
前記ウエブが、選択された隣合う前記記録ヘッド間を通過するように、前記ウエブの走行経路が切替可能となっており、
前記ウエブが通過する位置から上流側の前記記録ヘッドが前記ウエブの一面に記録し、
前記ウエブが通過する位置から下流側の前記記録ヘッドが前記ウエブの他面に記録するインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記乾燥機が、前記ウエブの一面を乾燥する第1乾燥機と、前記ウエブの他面を乾燥する第2乾燥機とからなる請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記ウエブの一面を記録するための複数配設された追加記録ヘッドを更に備える請求項2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記案内ローラが複数配置されており、
該案内ローラを選択することにより、前記走行経路が切替可能となっている請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記案内ローラがレール上をスライド可能な調整案内ローラであり、
該調整案内ローラの位置を変えることにより、前記走行経路が切替可能となっている請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
複数の前記記録ヘッドの下面がアーチ状に配設されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記乾燥機がUV乾燥機である請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
請求項2記載のインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法であって、
前記ウエブが、選択された隣合う前記記録ヘッド間を通過する位置から上流側の記録ヘッドが前記ウエブの一面に記録した後、該ウエブを第1乾燥機で乾燥し、
前記ウエブが、選択された隣合う前記記録ヘッド間を通過する位置から下流側の記録ヘッドが前記ウエブの他面に記録した後、該ウエブを第2乾燥機で乾燥するインクジェット記録方法。
【請求項9】
請求項3記載のインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法であって、
前記ウエブの一面を前記追加記録ヘッドが記録した後、仮乾燥機で乾燥し、
前記ウエブが、選択された隣合う前記記録ヘッド間を通過する位置から上流側の記録ヘッドが前記ウエブの一面に記録した後、該ウエブを第1乾燥機で乾燥し、
前記ウエブが、選択された隣合う前記記録ヘッド間を通過する位置から下流側の記録ヘッドが前記ウエブの他面に記録した後、該ウエブを第2乾燥機で乾燥するインクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−116019(P2012−116019A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265810(P2010−265810)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000161057)株式会社ミヤコシ (122)
【Fターム(参考)】