説明

インクジェット記録装置及びインクジェット駆動回路

【課題】複数のアクチュエータを有するインクジェットヘッドとインクジェット駆動回路を有するインクジェット記録装置において、電源電圧の変動などに影響されない、安定した特性を得る。
【解決手段】電圧レジスタ回路と多重電圧回路を有し、前記複数のアクチュエータを駆動する複数のアクチュエータ駆動回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路毎に独立に前記電圧レジスタ回路の出力信号で指定された前記多重電圧回路の電圧端子を前記アクチュエータ駆動回路の電源端子に接続する電圧スイッチ回路を有し、前記電圧レジスタ回路が前記電源端子の電圧を制御することで前記アクチュエータ駆動回路の出力電圧を制御するインクジェット駆動回路を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアクチュエータを有するインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置及びインクジェット駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、インク液滴を吐出するための複数のノズルと、各ノズルに対応して設けた電気機械変換素子や発熱抵抗体などのアクチュエータとを備えたインクジェットヘッドを用いて、記録信号に応じてノズルからインク液滴を記録材(インク液滴が付着するもの)に吐出することによって、高速、高密度、高品質の記録を行なうものである。このインクジェット記録装置は、印刷品質の高品質化に伴い、ノズルの配置が高密度化の傾向にあり、それに対応するため、特許文献1のように、複数のアクチュエータ駆動回路によって1つのノズル当たりのアクチュエータを駆動する手法が提案されている。1つのノズル及びアクチュエータで構成される部分をチャンネルと呼ぶ。
【0003】
以下に公知文献を記す。
【特許文献1】特開平9−99556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、各チャンネル毎に、ノズルやアクチュエータやアクチュエータ駆動回路に製造上のバラツキが存在するので、ノズルのインク液滴吐出特性差が発生し、インク液滴吐出速度、インク液滴体積および吐出安定性が影響されるので、印刷品質が低下するという問題がある。例えばチャンネル毎に、アクチュエータ駆動回路から出力される駆動パルス信号の立上がり時間や立下がり時間などがばらつくと、そのチャンネルのノズルのインク液滴吐出速度がばらつく。それにより、隣接するチャンネルの印刷領域で、ドット位置ずれが生じたり、あるいはカラー記録の場合には色ずれや滲みが発生し画像品質が低下する問題があった。この問題は、ノズルやアクチュエータやアクチュエータ駆動回路の製造上のバラツキによっても発生する。
【0005】
また、インクジェットヘッドのアクチュエータに圧電素子を用いると、アクチュエータ1個当たりの静電容量は700pFから3000pF程度あり、300ノズル程度のインクジェットヘッドの全静電容量は0.2μFから0.9μFにも達する。そのアクチュエータの圧電素子を駆動して微小液滴を吐出させる場合、短時間で大きな電位差を持った駆動波形が必要であり、最低でも10V/μsのスルーレートが要求される。このスルーレートを得るには、インクジェットヘッド全体で、最大9アンペアの電流が必要である。従来はこのために低出力インピーダンスの電力増幅回路を各アクチェエータ毎のアクチュエータ駆動回路に使用していた。しかし、そうすると、各アクチュエータ駆動回路の構成が複雑になり、その回路の実装面積が大きくなると共にアクチュエータ駆動回路のコストも高くなる。更に、電力増幅回路の消費電力が大きいため全アクチュエータ駆動回路の消費電力が大きくなり、発熱量も膨大になる問題があった。
【0006】
そのため、本発明は、複数のチャンネルを有するインクジェットヘッドを用いるインクジェット記録装置において、電源電圧の変動などに印刷性能が影響されない安定性を有し、また、製造バラツキを補正した、高い品質の印刷性能を持つインクジェット記録装置を得ることを課題とし、また、インクジェット記録装置のアクチュエータ駆動回路の小型化と低消費電力化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、この課題を解決するために、複数のアクチュエータを有するインクジェットヘッドとインクジェット駆動回路を有するインクジェット記録装置において、前記インクジェット駆動回路が、電圧レジスタ回路と多重電圧回路を有し、前記複数のアクチュエータを駆動する複数のアクチュエータ駆動回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路毎に独立に前記電圧レジスタ回路の出力信号で指定された前記多重電圧回路の電圧端子を前記アクチュエータ駆動回路の電源端子に接続する電圧スイッチ回路を有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0008】
また、本発明は、複数のアクチュエータを有するインクジェットヘッドとインクジェット駆動回路を有するインクジェット記録装置において、前記インクジェット駆動回路が、電圧レジスタ回路と多重電圧回路を有し、前記複数のアクチュエータを駆動する複数のアクチュエータ駆動回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路の出力電圧を制限する電圧ゲート回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路毎に独立に前記電圧レジスタ回路の出力信号で指定された前記多重電圧回路の電圧端子を前記電圧ゲート回路のゲート端子に接続する電圧スイッチ回路を有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0009】
また、本発明は、上記アクチュエータ駆動回路が、基準電流回路と電流スイッチ回路と電流レジスタ回路を有し、上記アクチュエータ駆動回路毎に独立に、前記電流レジスタ回路の出力信号で前記電流スイッチ回路を切り替え電流端子の電流を切り替えることで前記基準電流回路の電流を前記電流レジスタ回路の指定する倍率で増した電流を作成する多連出力形カレントミラー回路を有し、前記増した電流に対応する駆動電流を上記アクチュエータ駆動回路の出力端子から出力する回路を有することを特徴とする上記のインクジェット記録装置である。
【0010】
また、本発明は、上記インクジェット駆動回路がCMOSの半導体集積回路から成ることを特徴とする上記のインクジェット記録装置である。
【0011】
また、本発明は、インクジェット記録装置の複数のアクチュエータを有するインクジェットヘッドを駆動するインクジェット駆動回路であり、電圧レジスタ回路と多重電圧回路を有し、前記複数のアクチュエータを駆動する複数のアクチュエータ駆動回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路毎に独立に前記電圧レジスタ回路の出力信号で指定された前記多重電圧回路の電圧端子を前記アクチュエータ駆動回路の電源端子に接続する電圧スイッチ回路を有することを特徴とするインクジェット駆動回路である。
【0012】
また、本発明は、インクジェット記録装置の複数のアクチュエータを有するインクジェットヘッドを駆動するインクジェット駆動回路であり、電圧レジスタ回路と多重電圧回路を有し、前記複数のアクチュエータを駆動する複数のアクチュエータ駆動回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路の出力電圧を制限する電圧ゲート回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路毎に独立に前記電圧レジスタ回路の出力信号で指定された前記多重電圧回路の電圧端子を前記電圧ゲート回路のゲート端子に接続する電圧スイッチ回路を有することを特徴とするインクジェット駆動回路である。
【0013】
また、本発明は、上記アクチュエータ駆動回路が、基準電流回路と電流スイッチ回路と電流レジスタ回路を有し、上記アクチュエータ駆動回路毎に独立に、前記電流レジスタ回路の出力信号で前記電流スイッチ回路を切り替え電流端子の電流を切り替えることで前記基準電流回路の電流を前記電流レジスタ回路の指定する倍率で増した電流を作成する多連出力形カレントミラー回路を有し、前記増した電流に対応する駆動電流を上記アクチュエータ駆動回路の出力端子から出力する回路を有することを特徴とする上記のインクジェット駆動回路である。
【0014】
また、本発明は、CMOSの半導体集積回路から成ることを特徴とする上記のインクジェット駆動回路である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のインクジェット記録装置によれば、アクチュエータを駆動するインクジェット駆動回路が、電圧レジスタ回路と電流レジスタ回路によりアクチュエータ毎に、出力端子の出力電圧の最大値を変えることで、チャンネル毎の製造バラツキによるインク液滴の体積のバラツキを補正した高品質の印刷を実現できる効果がある。また、本発明のインクジェット駆動回路のアクチュエータ駆動回路は、電力増幅回路を用いない回路構成にし、それ以外の回路はCMOSトランジスタで構成したので、消費電力を少なくできる効果がある。また、インクジェット駆動回路のチップサイズを小さくできる効果があり、インクジェット駆動回路の製造コストを低減できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は本発明を示すブロック図であり、図2は本発明の第1の実施形態のアクチュエータ駆動回路10の概略の回路図であり、図3は本発明の動作のタイミングチャートを示す。
(インクジェット記録装置の概要)
本実施形態のインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドにインク液滴を吐出する複数のノズルと、各ノズルに対応する圧電素子等の電気変換素子或いはヒータ等の電気熱変換体からなる1から500程の複数のアクチュエータ1を備える。図1のように、この複数のアクチュエータ1a〜1nを、制御装置20が制御するインクジェット駆動回路2が、並行して駆動する。それにより各ノズルからインク液滴を吐出して記録材に画像を記録する。なお、1つのノズル及びアクチュエータ1で構成される部分をチャンネル(CH1、CH2、CH3、・・・CHn)と呼ぶ。
【0017】
(インクジェット駆動回路の構成)
本実施形態のインクジェット記録装置は、図1のように、CMOSの半導体集積回路から成るインクジェット駆動回路2を有する。そのインクジェット駆動回路2に、インクジェットヘッドの各アクチュエータ1(1a〜1n)を駆動するアクチュエータ駆動回路10を複数備える。また、インクジェット駆動回路2は、CMOSトランジスタで構成する電圧レジスタ回路3と電流レジスタ回路4と信号レジスタ回路5を有する。これらのレジスタ回路は、インクジェット記録装置の制御回路20のデータバスにシリアルインターフェースあるいはパラレルインターフェースで接続し、制御回路20から各レジスタ回路にデータを設定する。アクチュエータ駆動回路10は、図2のように、CMOSトランジスタで構成するタイミング信号作成回路6と駆動電流流出回路8と駆動電流流入回路9を有し、更に、基準電流回路7と電圧を変えた複数の電圧端子を有する多重電圧回路11を備える。電圧レジスタ回路3の信号線を、各アクチュエータ駆動回路10毎の電圧スイッチ回路16の入力端子に接続する。電圧スイッチ回路16は、電圧レジスタ回路3の信号で指令された多重電圧回路11の複数の電圧端子のうちの1つの電圧端子を駆動電流流出回路8の電源端子VCCに接続する。これにより、アクチュエータ駆動回路10の出力端子OUTの出力電圧を電圧レジスタ回路3が制御する。
【0018】
駆動電流流出回路8は、第1の多連出力形カレントミラー回路13と第1の電流スイッチ回路12aと第1の電流駆動回路15aを有する。駆動電流流入回路9は、第2の多連出力形カレントミラー回路14と第2の電流スイッチ回路12bと第2の電流駆動回路15bを有する。インクジェット駆動回路2の基準電流回路7の作成した基準電流を各アクチュエータ駆動回路10の各多連出力形カレントミラー回路の第1のトランジスタに流す。
【0019】
(駆動電流流出回路と駆動電流流入回路)
アクチュエータ駆動回路10は、駆動電流流出回路8内に、nMOSトランジスタで構成する第1の多連出力形カレントミラー回路13を有し、駆動電流流入回路9内に、pMOSトランジスタで構成する第2の多連出力形カレントミラー回路14を有する。そして、電流レジスタ回路4の信号線を電流スイッチ回路12a、12bの入力端子に接続してスイッチを切り替え、多連出力形カレントミラー回路の複数の電流端子の電流を切り替える。それにより、第1の多連出力形カレントミラー回路13および第2の多連出力形カレントミラー回路14が、電流レジスタ回路4の信号が指定する倍率で基準電流を倍化した電流を流す。その多連出力形カレントミラー回路の電流に対応する駆動電流を、MOSトランジスタで形成したカレントミラー回路の電流駆動回路15a、15bが出力端子OUTから流出あるいは流入させる。
【0020】
(タイミング信号作成回路)
以下で、アクチュエータ駆動回路10のタイミング信号作成回路6の動作を説明する。インクジェット駆動回路2の信号レジスタ回路5が、各アクチュエータ駆動回路10毎の駆動指令、すなわち、各アクチュエータ駆動回路10毎の出力端子OUTからの出力の可否を指令する駆動信号を、各アクチュエータ駆動回路10のタイミング信号作成回路6に送付する。図3のように、そうして駆動を指令されたアクチュエータ駆動回路10のタイミング信号作成回路6が駆動タイミング信号INを作成する。なお、駆動タイミング信号INはタイミング信号作成回路6の外から、例えばインクジェット駆動回路2内で作成して各アクチュエータ駆動回路10のタイミング信号作成回路6に送付しても良い。タイミング信号作成回路6は、信号レジスタ回路5から駆動を指令された場合に、駆動タイミング信号INから、第1のスイッチ切替信号UPと、第2のスイッチ切替信号DOWNを作成する。第1のスイッチ切替信号UPがON(オン)の期間と、第2のスイッチ切替信号DOWNがON(オン)の期間の間には、ノンオーバーラップタイムを設け、第1のスイッチ切替信号UPと第2のスイッチ切替信号DOWNが同時にはONにならないようにする。例えば、第1のスイッチ切替信号UPは、駆動タイミング信号INの電圧パルスの立ち上がり時間よりもノンオーバーラップタイムだけ遅れて立ち上がる信号にする。第2のスイッチ切替信号DOWNは、駆動タイミング信号INの正負を逆転(立ち上がりと立下りが逆転)したタイミング信号にし、その信号の立ち上りのタイミングは、駆動タイミング信号INの電圧パルスの立ち下がり時間よりもノンオーバーラップタイムだけ遅れて立ち上がる信号にする。
【0021】
(電流駆動回路)
図2のように、駆動電流流出回路8内に、pMOSトランジスタで構成した第1の電流駆動回路15aを電圧スイッチ回路16の出力端子に接続する。第1の電流駆動回路15aは、タイミング信号作成回路6が作成した第2のスイッチ切替信号DOWNがOFFの期間の間、MOSトランジスタのスイッチ回路で電流駆動回路15aを切り替えてカレントミラー回路の構成にする。また、第1のスイッチ切替信号UPがONの期間に、第1の多連出力形カレントミラー回路13をMOSトランジスタのスイッチ回路で第1の電流駆動回路15aに接続する。第1の多連出力形カレントミラー回路13はグラウンド端子に接続する。これにより、第1の電流駆動回路15aのカレントミラー回路が、第1の多連出力形カレントミラー回路13に流れる電流に対応する駆動電流を出力端子OUTに流出させる。また、駆動電流流入回路9内のnMOSトランジスタで構成し、グラウンド端子に接続した第2の電流駆動回路15bを、第1のスイッチ切替信号UPがOFFの期間の間に、MOSトタンジスタのスイッチ回路で回路を切り替えてカレントミラー回路の構成にする。また、第2のスイッチ切替信号DOWNがONの期間に、MOSトランジスタの
スイッチ回路により第2の多連出力形カレントミラー回路14を第2の電流駆動回路15bに接続する。第2の多連出力形カレントミラー回路14は約3Vの電圧VDDの第2の電源端子に接続する。これにより、第2の電流駆動回路15bのカレントミラー回路が、第2の多連出力形カレントミラー回路14に流れる電流に対応する電流を出力端子OUTから引き込む。すなわち、第1のスイッチ切替信号UPの電圧がONの間、第1の電流駆動回路15aが出力端子OUTに電流を流出し、第2のスイッチ切替信号DOWNがONの間、出力端子OUTから第2の電流駆動回路15bが電流を引き込む。
【0022】
(多連出力形カレントミラー回路)
以下で、図2を参照して、アクチュエータ駆動回路10の駆動電流流出回路8と駆動電流流入回路9の各多連出力形カレントミラー回路の動作を説明する。アクチュエータ駆動回路10の駆動電流流出回路8は、nMOSトランジスタの第1の多連出力形カレントミラー回路13を有し、基準電流回路7が出力する基準電流を第1の多連出力形カレントミラー回路13の第1のnMOSトランジスタに流す。その基準電流を第1の多連出力形カレントミラー回路13で倍化するが、その倍率は、第1の電流スイッチ回路12aのスイッチにより、第1の多連出力形カレントミラー回路13の各nMOSトランジスタの電流端子の電流を電流レジスタ回路4の指令に従って切り替えることで制御する。
【0023】
第1の多連出力形カレントミラー回路13の、電流レジスタ回路4のD0信号で電流を切り替える第2のnMOSトランジスタは、第1のnMOSトランジスタに流れる電流に対応する電流を流すトラジスタで構成する。D1信号で切り替える第3のnMOSトランジスタは、第1のnMOSトランジスタに流れる電流の2倍の量の電流を流すトラジスタで構成する。D2信号で切り替える第4のnMOSトランジスタは、第1のnMOSトランジスタに流れる電流の4倍の量の電流を流すトラジスタで構成する。それらのnMOSトランジスタに流す電流の総和が第1の多連出力形カレントミラー回路13に流れる。電流駆動回路15aが、第1のスイッチ切替信号UPがONの期間にMOSトランジスタのスイッチ回路で回路をカレントミラー回路に切り替え、第1の多連出力形カレントミラー回路13に流れる電流に対応する電流を出力端子OUTから流出させる。こうして、出力端子OUTから流出する電流の基準電流に対する倍率を、電流レジスタ回路4が制御する第1の電流スイッチ回路12aで自由に変えることができる。
【0024】
また、pMOSトランジスタで構成される第2の多連出力形カレントミラー回路14は、第1の多連出力形カレントミラー回路13と同様に、電流レジスタ回路4の出力信号で制御される複数のスイッチから成る第2の電流スイッチ回路12bで各pMOSトランジスタの電流端子の電流を切り替える。その電流の切り替えにより、自由に第2の電流倍率を変える。そして、電流駆動回路15bが第2のスイッチ切替信号DOWNがONの期間に、出力端子OUTから基準電流回路7の基準電流に対する第2の電流倍率の電流を引き込む。
【0025】
なお、インクジェット駆動回路2は、必ずしも1つの半導体集積回路で構成しなくても良く、例えば、電圧レジスタ回路3と電流レジスタ回路4と信号レジスタ回路5を1つの半導体集積回路で構成し、アクチュエータ駆動回路10群と基準電流回路7は別の半導体集積回路で構成しても良い。あるいは、電流レジスタ回路4を独立したROM(リードオンリイメモリ)で構成しその設定値を固定して指定し、一方、信号レジスタ回路5はRAM(ランダムアクセスメモリ)で構成し、印刷パターンに応じて出力信号を変える回路構成にすることもできる。
【0026】
(インクジェット駆動回路の動作タイミング)
次に、インクジェット駆動回路2によるインクジェットヘッドの駆動手順を、図1を参照して説明する。先ず、インクジェット記録装置の制御回路20が、インクジェット駆動
回路2の電圧レジスタ回路3と電流レジスタ回路4と信号レジスタ回路5に所定の値を書き込む。次に、電流レジスタ回路4が、第1の電流倍率信号で第1の電流スイッチ回路12aを制御し、第2の電流倍率信号で第2の電流スイッチ回路12bを制御する。第1の電流スイッチ回路12aが、第1の電流倍率信号に従って第1の多連出力形カレントミラー回路13の入力端子の電源電流を切り替え、第2の電流スイッチ回路12bが、第2の電流倍率信号に従って第2の多連出力形カレントミラー回路14の入力端子の電流を切り替える。
【0027】
(第1の電流出力動作)
次に、信号レジスタ回路5が、タイミング信号作成回路6の入力端子にチャンネル駆動信号を送る。タイミング信号作成回路6が、そのチャンネル駆動信号がONの場合は駆動タイミング信号INを作成し、それを元にして第1のスイッチ切替信号UPを例えば4μsの間ONにするように作成する。第2のスイッチ切替信号DOWNがOFFの期間に、第1の電流駆動回路15aを、MOSトランジスタのスイッチ回路により、第1の多連出力形カレントミラー回路13の電流に対応する電流、すなわち基準電流の第1の電流倍率の電流を出力するカレントミラー回路に切り替える。更に、その期間内で第1のスイッチ切替信号UPがONの期間に、第1の多連出力形カレントミラー回路13をMOSトランジスタのスイッチ回路で第1の電流駆動回路15aに接続して動作させる。こうして、第1の電流駆動回路15aが、駆動電流流出回路8から、基準電流の第1の電流倍率の電流を出力端子OUTから流出させる。例えば11.2mAの電流を出力端子OUTから流出させる。
【0028】
出力端子OUTには、例えば1000pFの圧電素子のアクチュエータ1を接続する。これにより、図3のように、出力端子OUTの電流がアクチュエータ1の圧電素子の容量負荷を充電させ、2.5μs後にアクチュエータ1の圧電素子に加える電圧が電圧スイッチ回路16の出力端子を接続した駆動電流出力回路8の電源端子VCCの電位、例えば28Vの電位まで上昇して飽和する。そして、第1のスイッチ切替信号UPの残りの期間の間出力端子OUTの電位はVCCの電位、すなわちVCCの電位28Vを維持する。次に、第1のスイッチ切替信号UPが立下ると、電流駆動回路15aが出力回路OUTからの電流の流出を停止するが、出力端子OUTの電圧はVCCの電位28Vに一定に維持される。こうして、出力端子OUTからの出力電流がアクチュエータ1の圧電素子の電圧を上昇させる。この上昇のスルーレートは(28V)/(2.5μs)=11.2V/μsが得られる。
【0029】
(第2の電流出力動作)
次に、タイミング信号作成回路6が、第2のスイッチ切替信号DOWNを例えば4μs間ONにするように作成する。第1のスイッチ切替信号UPがOFFの期間に、第2の電流駆動回路15bをMOSトランジスタのスイッチ回路により第2の多連出力形カレントミラー回路13の電流に対応する電流を流入させるカレントミラー回路に切り替える。更に、その期間内で第2のスイッチ切替信号DOWNがONの期間に、第2の多連出力形カレントミラー回路14を第2の電流駆動回路15bに接続して動作させる。こうして、第2の電流駆動回路15bが、アクチュエータ1の圧電素子に接続した出力端子OUTから、信号レジスタ回路5の出力信号で指定された第2の電流倍率の電流を駆動電流流入回路9に流入させる。例えば11.2mAの電流を出力端子OUTから流入させる。
【0030】
これにより、アクチュエータ1の圧電素子に蓄積されたVCCの電位の28Vによる電荷を出力端子OUTから2.5μsで放電させ、出力端子OUTの電圧をグラウンド電位の0Vまで下降させる。その0Vの電圧が第2のスイッチ切替信号DOWNの残りの期間の間維持される。次に、第2のスイッチ切替信号DOWNが立ち下がると、電流駆動回路15bが出力端子OUTからの電流の引き込みを停止するが、出力端子OUTの電圧は0
Vの一定値に維持される。こうして、出力端子OUTからの出力電流がアクチュエータ1の圧電素子の電圧を下降させる。この下降のスルーレートは(28V)/(2.5μs)=11.2V/μsが得られる。
【0031】
本実施形態は、第1の電流駆動回路15aと第2の電流駆動回路15bによりアクチュエータ駆動回路10の出力端子OUTから出力するアクチュエータ1の駆動電流を制御することで、その出力端子OUTが、圧電素子等から成るアクチュエータ1に対して低インピーダンス出力ができる効果がある。一方、基準電流回路7は、電流駆動回路15から独立して安定に基準電流を作成しインクジェット駆動回路2を制御するので、アクチュエータ1の圧電素子等の素子のバラツキや、駆動すべきチャンネル(CH1、CH2、CH3、・・・CHn)の数に影響されず基準電流の波形が歪むことがない効果がある。
【0032】
本実施形態では、チャンネル毎のアクチュエータ駆動回路10毎に、電流レジスタ回路4の指定する電流値に自由に駆動電流を設定してアクチュエータ1を駆動できるので、インクジェットヘッドのノズルやアクチュエータ1やアクチュエータ駆動回路10の製造バラツキによるインク液滴吐出速度のバラツキを補正することができる効果がある。それにより、ドット位置ずれや色ずれや滲みの無い高画質で印刷可能なインクジェット記録装置が得られる効果がある。更に、本実施形態は、チャンネル毎のアクチュエータ駆動回路10毎に、電圧レジスタ回路3が制御する電圧スイッチ回路16が多重電圧回路11の電圧端子のうちから1つを選択し駆動電流流出回路8の電源端子VCCに接続する。それにより、出力端子OUTから出力する駆動電圧の最大値をアクチュエータ駆動回路10毎に変えることができる。こうして、アクチュエータ1毎に、その吐出するインク液滴の体積を調整することで、インクジェット駆動回路2の特性のバラツキやインクジェットヘッドのノズルの製造バラツキ等の製造バラツキによるインク液滴の体積のバラツキを補正でき、高画質で印刷可能なインクジェット記録装置が得られる効果がある。
【0033】
また、インクジェット駆動回路2のアクチュエータ駆動回路10の出力端子OUTから出力する駆動電流を制御する回路をpMOSトランジスタあるいはnMOSトランジスタのカレントミラー回路から成る電流駆動回路15で構成し、電力増幅回路を用いずに駆動電流を作成させる回路構成にする。そして、それ以外のインクジェット駆動回路2の素子をCMOSトランジスタで構成したので、消費電力を少なくできる効果がある。更に、それにより、インクジェット駆動回路2のチップサイズを小さくできる効果があり、そのチップサイズを小さくすることで製造コストを低減できる効果がある。また、チップサイズを小さくし1つのインクジェット駆動回路2内に各チャンネルのアクチュエータ駆動回路10を作り込むことで、各チャンネルの特性を揃えることができる効果がある。
【0034】
また、多連出力形カレントミラー回路により、基準電流回路7の基準電流の所定倍率の電流を駆動電流として出力するようにしたため、電源電圧の変動や、また、半導体集積回路などのインクジェット駆動回路2の経年変化による特性の変化があっても、安定した正確な値の駆動電流をアクチュエータ1に出力できる効果がある。それにより、インクジェット記録装置の印刷を安定に保つことができる高品質の印刷を実現できる効果がある。特に、装置の立ち上げ段階から定常状態段階までの装置の温度の経時変化に影響されず安定した高品質の印刷を可能にする効果がある。更に、本実施形態のインクジェット駆動回路2は、その第1の多連出力形カレントミラー回路13および第2の多連出力形カレントミラー回路14の出力電流の基準電流に対する倍率を電流レジスタ回路4で自由に設定できる。そのため、特性の異なるアクチュエータ1を用いるインクジェット記録装置に対しても、電流レジスタ回路4の設定値を変えるだけで適合させることができ、汎用に用いることができる効果がある。
【0035】
なお、本実施形態においては、インクジェットヘッドのアクチュエータ1として圧電素
子を用いた例について説明したが、本発明は、圧電素子に限らず、液室内に気泡を発生させるための発熱抵抗体を用いるものや、その他のインクを噴射させるためのエネルギー変換素子を用いるものにも同様に適用することができる。
【0036】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態のインクジェット駆動回路2のブロック図であり、図5はアクチュエータ駆動回路10の概略の回路図を示す。回路の動作のタイミングは第1の実施形態と同様に図3のタイミングチャートに従う。本実施形態が第1の実施形態と相違する点は、第2の実施形態では、多重電圧回路11が第1の実施形態ほど大きな駆動電流を流さない小電力の多重電圧回路11を用いる点である。また、駆動電流流出回路8と駆動電流流入回路9の間にnMOSトランジスタの電圧ゲート回路17を設置した点である。その電圧ゲート回路17のゲート端子に電圧スイッチ回路16を接続し、電圧スイッチ回路16が多重電圧回路11の電圧を選択して電圧ゲート回路17のゲート端子に加える。これにより電圧ゲート回路17のソース端子に接続した出力端子OUTの電位をゲート端子の電位以下に制限するようにした点が第1の実施形態と異なる。
【0037】
(インクジェット駆動回路の構成)
本実施形態のインクジェット記録装置のインクジェット駆動回路2は、CMOSトランジスタで構成する電圧レジスタ回路3と電流レジスタ回路4と信号レジスタ回路5を有し、インクジェット記録装置の制御回路20のデータバスにシリアルインターフェースあるいはパラレルインターフェースで接続する。更に、CMOSトランジスタで構成したタイミング信号作成回路6と、基準電流を発生する基準電流回路7と、電圧を変えた複数の電圧端子を有する多重電圧回路11を有する。また、電圧ゲート回路17を有し、電圧ゲート回路17のドレイン電極には、第1の多連出力形カレントミラー回路13に流れる電流に対応する電流を流すカレントミラー回路を構成する電流駆動回路15aを接続する。電圧ゲート回路17のソース電極には、第2の多連出力形カレントミラー回路14に流れる電流に対応する電流を流すカレントミラー回路を構成する電流駆動回路15bを接続する。そして、電圧レジスタ回路3の信号線を、各アクチュエータ駆動回路10毎に、電圧スイッチ回路16に接続し、その電圧スイッチ回路16に多重電圧回路11の電圧端子を選択させてnMOSトランジスタの電圧ゲート回路17のゲート電極に接続させる。これにより、そのゲート電極の電圧以下に電圧ゲート回路17のソース電極の電圧が制限され、そのソース電極に接続した出力端子OUTの電圧が制限される。こうして、アクチュエータ駆動回路10の出力端子OUTの出力電圧を電圧レジスタ回路3が制御する。
【0038】
また、電流レジスタ回路4の出力の信号線を電流スイッチ回路12a、12bの入力端子に接続する。電流スイッチ回路12a、12bが多連出力形カレントミラー回路の複数の電流端子への電流の切り替えを制御する。これにより、基準電流回路7の基準電流を電流レジスタ回路4の信号で指定した倍率で倍化した多連出力形カレントミラー回路の出力電流をアクチュエータ駆動回路10の出力端子OUTから出力する。その電流が各アクチュエータ1を駆動する。
【0039】
(アクチュエータ駆動回路の動作)
次に、本実施形態において、アクチュエータ駆動回路10の動作を図3のタイミング図を用いて説明する。先ず、第1の実施形態と同様に、信号レジスタ回路5がチャネル毎のアクチュエータ1のON/OFF切り替えデータを記憶し、信号レジスタ回路5が、駆動すべきアクチュエータ1のアクチュエータ駆動回路10のタイミング信号作成回路6に駆動指令を与える。駆動を指令されたタイミング信号作成回路6が、第1のスイッチ切替信号UPと第2のスイッチ切替信号DOWNを作成して駆動電流流出回路8及び駆動電流流入回路9に送る。
【0040】
(第1の電流出力動作)
図4のように、電流レジスタ回路4の信号を電流スイッチ回路12aの入力端子に出力し、第1の多連出力形カレントミラー回路13の駆動電流を制御する。また、第1のスイッチ切替信号UPと第2のスイッチ切替信号DOWNが電流駆動回路15aと15bを制御する。第1の実施形態と同様に、第1のスイッチ切替信号UPを4μs間ONにする場合は、第1の多連出力形カレントミラー回路13に流す電流に対応する11.2mAの電流をカレントミラー回路を構成する電流駆動回路15aが流す。その電流を、電圧ゲート回路17のnMOSトランジスタのソース電極に接続した出力端子OUTからアクチュエータ1に流出させる。そして、1000pFの圧電素子のアクチュエータ1の容量負荷を充電させる。2.5μs後に、アクチュエータ1の圧電素子の電圧、すなわち、電圧ゲート回路17のnMOSトランジスタのソース電極の電圧がそのnMOSトランジスタのゲート電極に加えた電圧(例えば28V)まで上昇し、その電圧値で飽和し、その値を維持する。電圧ゲート回路17のnMOSトランジスタのゲート電極の電圧は、電圧スイッチ回路16が多重電圧回路11の電圧端子の電圧の値を切り替えることで変えられる。
【0041】
(第2の電流出力動作)
次に、第1の実施形態と同様に、第2のスイッチ切替信号DOWNを4μsの間ONにし、その期間にアクチュエータ1の圧電素子から11.2mAの電流が出力端子OUTを経て電流駆動回路15bに流入させる。電流駆動回路15bは、カレントミラー回路を構成して第2の多連出力形カレントミラー回路14に流す電流に対応する11.2mAの電流を流す。これにより、電流駆動回路15bが、アクチュエータ1の圧電素子に蓄積された28Vの電荷を2.5μsで放電させ、出力端子OUTの電圧を0Vまで下降させ、その値を維持させる。こうして、出力端子OUTからの出力電流がアクチュエータ1の圧電素子の電圧を上昇させ、また下降させて駆動する。この場合のスルーレートは(28V)/(2.5μs)=11.2V/μsが得られる。
【0042】
このように、本実施形態では、nMOSトランジスタの電圧ゲート回路17のゲート端子に接続した電圧スイッチ回路16により、電圧ゲート回路17のソース端子に接続した出力端子OUTの電圧を多重電圧回路11の電圧以下に制限する回路構成にしたので、第1の実施形態の効果に加え、以下の効果がある。すなわち、多重電圧回路11は、電圧ゲート回路17のゲート端子に接続しその電流を極めて少なくできるので、回路規模を小さくできる効果がある。それにより、インクジェット駆動回路2の半導体集積回路のチップサイズを小さくできる効果があり、その製造コストを低減できる効果がある。
【0043】
<第3の実施形態>
図6は、本発明の第3の実施形態のアクチュエータ駆動回路10の概略の回路図を示す。回路の動作のタイミングは第1の実施形態と同様に図3のタイミングチャートに従う。第3の実施形態が第1および第2の実施形態と相違する点は、第3の実施形態では、第1の多連出力形カレントミラー回路13と第2の多連出力形カレントミラー回路14の間にnMOSトランジスタの電圧ゲート回路17を設置した点である。そして、電圧スイッチ回路16が切り替える多重電圧回路11の出力端子を電圧ゲート回路17のゲート電極に電気接続することで、電圧ゲート回路17のソース電極に接続した出力端子OUTの飽和電圧を制御する点である。また、電流レジスタ回路4の出力端子の信号と第1のスイッチ切替信号UPの論理積の信号を第1の論理積回路18aで形成し、第1の電流スイッチ回路12aの入力端子に入力させる。それにより、電流スイッチ回路12aを第1のスイッチ切替信号UPの期間のみONにして第1の多連出力形カレントミラー回路13に電流を流す点である。第2の多連出力形カレントミラー回路14の電流についても、同様にして、第2のスイッチ切替信号DOWNと電流レジスタ回路4の信号の論理積の信号を、第2の論理積回路18bが形成し第2の電流スイッチ回路12bに送る。これにより、電流スイッチ回路12bを第2のスイッチ切替信号DOWNの期間のみONにして、第2の多連出力形カレントミラー回路14に電流を流す。すなわち、本実施形態は、電流駆動回路15aと15bの機能を電流スイッチ回路12aと12bが兼ね、電流スイッチ回路12aと12bがスイッチ切替信号に従って駆動電流を作成する点が、第1および第2の実施形態と異なる。
【0044】
本実施形態は、電流レジスタ回路4の出力信号と第1のスイッチ切替信号UPを入力して論理積の信号を形成する論理積回路18aの出力信号により第1の電流スイッチ回路12aを切り替えることで、第1のスイッチ切替信号UPの期間の間のみ第1の多連出力形カレントミラー回路13の電流を出力端子OUTに流出させる。また、電流レジスタ回路4の出力信号と第2のスイッチ切替信号DOWNを入力して論理積の信号を形成する論理積回路18bの出力信号により第2の電流スイッチ回路12bを切り替える。それにより、第2のスイッチ切替信号DOWNの期間の間のみ第2の多連出力形カレントミラー回路14に電流を出力端子OUTから流入させる。こうして、第1の電流スイッチ回路12aを第1の電流駆動回路とし、第2の電流スイッチ回路12bを第2の電流駆動回路として用いる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態のインクジェット駆動回路のブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のアクチュエータ駆動回路の概略の回路図である。
【図3】本発明の実施形態のアクチュエータ駆動回路の動作のタイミングチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態のインクジェット駆動回路のブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態のアクチュエータ駆動回路の概略の回路図である。
【図6】本発明の第3の実施形態のアクチュエータ駆動回路の概略の回路図である。
【符号の説明】
【0046】
1、1a、1b、1c、1n・・・アクチュエータ
2・・・インクジェット駆動回路
3・・・電圧レジスタ回路
4・・・電流レジスタ回路
5・・・信号レジスタ回路
6・・・タイミング信号作成回路
7・・・基準電流回路
8・・・駆動電流流出回路
9・・・駆動電流流入回路
10、10a、10b、10c、10n・・・アクチュエータ駆動回路
11・・・多重電圧回路
12a、12b・・・電流スイッチ回路
13・・・第1の多連出力形カレントミラー回路
14・・・第2の多連出力形カレントミラー回路
15、15a、15b、15c、15d・・・電流駆動回路
16・・・電圧スイッチ回路
17・・・電圧ゲート回路
18a、18b・・・論理積回路
20・・・制御回路
CH1、CH2、CH3、CHn・・・チャンネル
OUT・・・出力端子
IN・・・駆動タイミング信号
UP・・・第1のスイッチ切替信号
DOWN・・・第2のスイッチ切替信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアクチュエータを有するインクジェットヘッドとインクジェット駆動回路を有するインクジェット記録装置において、前記インクジェット駆動回路が、電圧レジスタ回路と多重電圧回路を有し、前記複数のアクチュエータを駆動する複数のアクチュエータ駆動回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路毎に独立に前記電圧レジスタ回路の出力信号で指定された前記多重電圧回路の電圧端子を前記アクチュエータ駆動回路の電源端子に接続する電圧スイッチ回路を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
複数のアクチュエータを有するインクジェットヘッドとインクジェット駆動回路を有するインクジェット記録装置において、前記インクジェット駆動回路が、電圧レジスタ回路と多重電圧回路を有し、前記複数のアクチュエータを駆動する複数のアクチュエータ駆動回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路の出力電圧を制限する電圧ゲート回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路毎に独立に前記電圧レジスタ回路の出力信号で指定された前記多重電圧回路の電圧端子を前記電圧ゲート回路のゲート端子に接続する電圧スイッチ回路を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記アクチュエータ駆動回路が、基準電流回路と電流スイッチ回路と電流レジスタ回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路毎に独立に、前記電流レジスタ回路の出力信号で前記電流スイッチ回路を切り替え電流端子の電流を切り替えることで前記基準電流回路の電流を前記電流レジスタ回路の指定する倍率で増した電流を作成する多連出力形カレントミラー回路を有し、前記増した電流に対応する駆動電流を前記アクチュエータ駆動回路の出力端子から出力する回路を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記インクジェット駆動回路がCMOSの半導体集積回路から成ることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
インクジェット記録装置の複数のアクチュエータを有するインクジェットヘッドを駆動するインクジェット駆動回路であり、電圧レジスタ回路と多重電圧回路を有し、前記複数のアクチュエータを駆動する複数のアクチュエータ駆動回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路毎に独立に前記電圧レジスタ回路の出力信号で指定された前記多重電圧回路の電圧端子を前記アクチュエータ駆動回路の電源端子に接続する電圧スイッチ回路を有することを特徴とするインクジェット駆動回路。
【請求項6】
インクジェット記録装置の複数のアクチュエータを有するインクジェットヘッドを駆動するインクジェット駆動回路であり、電圧レジスタ回路と多重電圧回路を有し、前記複数のアクチュエータを駆動する複数のアクチュエータ駆動回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路の出力電圧を制限する電圧ゲート回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路毎に独立に前記電圧レジスタ回路の出力信号で指定された前記多重電圧回路の電圧端子を前記電圧ゲート回路のゲート端子に接続する電圧スイッチ回路を有することを特徴とするインクジェット駆動回路。
【請求項7】
前記アクチュエータ駆動回路が、基準電流回路と電流スイッチ回路と電流レジスタ回路を有し、前記アクチュエータ駆動回路毎に独立に、前記電流レジスタ回路の出力信号で前記電流スイッチ回路を切り替え電流端子の電流を切り替えることで前記基準電流回路の電流を前記電流レジスタ回路の指定する倍率で増した電流を作成する多連出力形カレントミラー回路を有し、前記増した電流に対応する駆動電流を前記アクチュエータ駆動回路の出力端子から出力する回路を有することを特徴とする請求項5又は6に記載のインクジェット駆動回路。
【請求項8】
CMOSの半導体集積回路から成ることを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項記載のインクジェット駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−18532(P2009−18532A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184108(P2007−184108)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】