説明

インクジェット記録装置及び制御プログラム

【課題】低消費電力モードで印刷する場合であっても印刷速度が遅くなることがないインクジェット記録装置及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】主走査方向に移動するキャリッジ1と、記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、キャリッジ1に搭載され記録媒体にインク滴を吐出して画像を形成するヘッドと、を備えたインクジェット記録装置において、キャリッジ1の挙動を安定させるための板バネ12と、板バネ12の付勢バネ圧を調整する調整機構と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常の印刷モードと比較して、低速度で印刷することにより消費電力を抑制する「低消費電力モード」を有する印刷装置が既に知られている。
【0003】
しかし、一般的な印刷装置における低消費電力モードは、印刷速度が遅くなるという問題があった。
【0004】
そこで、印刷時の消費電力を抑制する目的で、入力情報に応じて印刷速度を遅くして画像形成を行う方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、低消費電力モードで印刷する場合は印刷速度が遅くなるという問題は解消できていない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、低消費電力モードで印刷する場合であっても印刷速度が遅くなることがないインクジェット記録装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る請求項1記載の発明は、主走査方向に移動するキャリッジと、を副走査方向に搬送する搬送手段と、前記キャリッジに搭載され前記にインク滴を吐出して画像を形成するヘッドと、を備えたインクジェット記録装置において、前記キャリッジの挙動を安定させるための付勢バネと、前記付勢バネの付勢バネ圧を調整する調整機構と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低消費電力モードで印刷する場合であっても印刷速度が遅くなることがないインクジェット記録装置及び制御プログラムの提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態の基本構成について説明するための説明図である。
【図2】本発明に係るインクジェット記録装置の機能ブロックについて説明するためのブロック図の一例である。
【図3】図1に示したインクジェット記録装置に用いられるキャリッジをガイドロッドに押し当てる付勢バネについて説明するための説明図である。
【図4】図1に示したインクジェット記録装置に用いられるキャリッジを走査するためのタイミングベルトのテンションを調節する付勢バネについて説明するための説明図である。
【図5】(a)は、本発明に係るインクジェット記録装置の他の実施の形態に用いられるキャリッジをガイドロッドに押し当てる付勢バネ圧を変更する機構について説明するための正面図であり、(b)は、(a)の側面図である。
【図6】本発明に係るインクジェット記録装置の他の実施の形態に用いられるキャリッジを走査するタイミングベルトのテンションを調節する機構について説明する説明図である。
【図7】(a)は、本発明に係るインクジェット記録装置に用いられる付勢バネの付勢バネ圧を調節するダイヤルについての一変形例であり、(b)は、(a)の内部構造の一例である。
【図8】(a)〜(f)は、本発明に係るインクジェット記録装置の他の実施の形態に用いられる当てる付勢バネ圧を変更する機構について説明するための説明図である。
【図9】(a)は、本発明に係るインクジェット記録装置の他の実施の形態を示す正面図であり、(b)は、(a)に示したインクジェット記録装置のキャリッジが一方の側板の突起と接触した状態を示す図であり、(c)は、(a)に示したキャリッジが他方の側板の突起と接触した状態を示す図である。
【図10】本発明に係るインクジェット記録装置の付勢バネ圧を変更した場合の消費電力低減効果について説明するための説明図である。
【図11】(a)は、インクジェット記録装置のキャリッジ近傍の底面図であり、(b)は、(a)の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、消費電力の抑制に際して、主に以下の特徴を有する。
要するに、インクジェット記録装置において、メカ負荷を低減することにより、印刷速度を低下させることなく消費電力を低減することを特徴とする。
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。
【0011】
[実施形態1]
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態の基本構成について説明するための説明図である。
同図に示すインクジェット記録装置は、キャリッジ1、ガイドロッド2、主走査モータ3、タイミングベルト4、エンコーダシート5、エンコーダセンサ6、副走査モータ7、記録ヘッド9、インク吐出ノズル10、及びプーリー11を有する。
【0012】
キャリッジ1は、主走査方向(図1において横方向)に沿って配置されたガイドロット2で保持されており、主走査モータ3とプーリー11との間に渡されたタイミングベルト4を介して主走査方向に走査する。
このキャリッジ1には、例えばイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド9が搭載されており、記録ヘッド9に配列されたインク吐出ノズル10からインクを図には示されない記録媒体に吐出する。
キャリッジ1を主走査方向に移動させながら必要な位置でインク滴を吐出することによって記録媒体上に画像を形成することができる。
キャリッジ1の位置情報は筐体に固定されたエンコーダシート5に等間隔で記録されたパターンを、キャリッジ1に固定されたエンコーダセンサ6で移動しながら読み取ってカウントを加算/減算することで得る事ができる。このような主走査方向のキャリッジ1の移動とインク吐出動作とを1回行うことで、インク吐出ノズル10の列の長さと同じ幅のバンドに対して画像を形成することができる。
【0013】
1バンド分の画像形成が終了したら副走査モータ7を駆動して記録媒体を副走査方向に移動させて、再度1バンド分の画像形成動作をさせるように繰り返せば、記録媒体の任意の場所に画像を形成することができる。
【0014】
図2は、本発明に係るインクジェット記録装置の機能ブロックについて説明するためのブロック図の一例である。
インクジェット記録装置は、キャリッジ1、主走査モータ3、副走査モータ7、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ホストI/F(Interface)105、記録ヘッド制御部106、主走査制御部107、副走査制御部108、及び副走査エンコーダ111を有する。
【0015】
キャリッジ1は、記録ヘッド9−1〜9−4、記録ヘッド1駆動部109−1、記録ヘッド2駆動部109−2、記録ヘッド3駆動部109−3、記録ヘッド駆動部109−4、及び主走査エンコーダ110を有する。
【0016】
プリンタのハードウェア制御を行うファームウェアや記録ヘッド9−1〜9−4の駆動波形データはROM102に格納されており、ホストI/F105に接続されたホストPC104から印刷ジョブ(画像データ)を受信すると、CPU101は画像データをRAM103に格納し、記録ヘッド9−1〜9−4が搭載されたキャリッジ1を主走査制御部107によって記録媒体上の任意の位置に移動する。
【0017】
記録ヘッド制御部106は、主走査エンコーダ110から得られるキャリッジ1の位置情報に連動し、RAM103に格納された画像データ、ROM102に格納された記録ヘッド駆動波形、および制御信号を記録ヘッド1駆動部109−1〜記録ヘッド4駆動部109−4に転送する。
記録ヘッド1駆動部109−1〜記録ヘッド4駆動部109−4は、記録ヘッド制御部106より転送されたデータをもとに、記録ヘッド9−1〜9−4を駆動し、インク滴を記録媒体に吐出する。
【0018】
図3は、図1に示したインクジェット記録装置に用いられるキャリッジをガイドロッドに押し当てる付勢バネについて説明するための説明図である。
キャリッジ1を走査する際に、キャリッジ1がガタつくことを防止するため、板バネ12を使用してキャリッジ1をガイドロッド2に押し当てて、キャリッジ1の挙動を安定させるようになっている。
しかし、キャリッジ1を板バネ12でガイドロッド2に押し当てるため、メカ負荷が大きくなり、主走査モータ3(図1参照)の消費電力が上昇する原因となっている。
【0019】
図4は、図1に示したインクジェット記録装置に用いられるキャリッジを走査するためのタイミングベルトのテンションを調節する付勢バネについて説明するための説明図である。
主走査モータ3とプーリー11との間に渡されたタイミングベルト4のテンションをバネ13を使用して高くすることでタイミングベルト4のたるみや歯飛びを防止している。
しかし、タイミングベルト4のテンションが高くなるため、主走査モータ3に掛かる負荷が高くなり、消費電力上昇の原因となっている。
【0020】
[実施形態2]
図5(a)は、本発明に係るインクジェット記録装置の他の実施の形態に用いられるキャリッジをガイドロッドに押し当てる付勢バネ圧を変更する機構について説明するための正面図であり、図5(b)は、図5(a)の側面図である。
【0021】
<構 成>
キャリッジ1の筐体側面の外部(図5(a)では側面右側)に、ダイヤル15が設けられている。ダイヤル15は、ガイドロッド2と平行な軸の一端(図5(a)では右端)に取り付けられており、その軸の他端(この場合、他端)にはギヤ16が取り付けられている。ギヤ16の下端にはラックギヤ17がギヤ16と噛み合うように配置されている。ギヤ16が矢印(5−1),(5−2)方向に回転することでラックギヤ17が矢印(5−3)方向に平行移動できるようになっている。ラックギヤ17の一端(図5(b)では右端)には7字形状の板バネ12が連結され、板バネ12の下端にはパッドがガイドロッド2と接するように配置されている。
【0022】
<動 作>
印刷開始前に、ユーザがダイヤル15を回転させると、ギア16が回転する。ギア16の回転に連動してラックギヤ17が移動することにより板バネ12が移動するため、キャリッジ1をガイドロッド2に押し当てる板バネ12の付勢バネ圧が変化する。
【0023】
[実施形態3]
図6は、本発明に係るインクジェット記録装置の他の実施の形態に用いられるキャリッジを走査するタイミングベルトのテンションを調節する機構について説明する説明図である。
【0024】
<構 成>
同図に示すタイミングベルト4の内側におけるプーリー11の近傍には、両端に矩形状の薄板部材30、31が固定されたコイルバネ13が配置されている。薄板部材30がプーリー11と接触するように配置されている。薄板部材31にはラックギヤ20がガイドロッド2と平行、かつ、ガイドロッド2と平行に移動自在になるように取り付けられている。ラックギヤ20には、図示しない筐体に中心軸が固定されたギヤ19が噛み合うように配置されており、ギヤ19の中心軸に固定されたダイヤル18を回転することによりギヤ19が回転し、ラックギヤ20が水平方向に移動できるようになっている。
【0025】
<動 作>
インクジェット記録装置の印刷開始前に、ユーザがダイヤル18を回転させて、ギア19を矢印(6−1)方向に回転させる。ギア19の回転に連動してラックギヤ20が移動することによりコイルバネ(付勢バネ)13が圧縮されるため、コイルバネ13の押圧力が薄板部材30を介して矢印(6−2)方向にプーリー11を押圧することによりタイミングベルト4のテンションが変化する。
【0026】
[変形例]
図7(a)は、本発明に係るインクジェット記録装置に用いられる付勢バネの付勢バネ圧を調節するダイヤルについての一変形例であり、図7(b)は、図7(a)の内部構造の一例である。
図7(a)に示すようにダイヤル15の周囲にラベルを表示することにより、ユーザが所望のモードに設定できるようにしたものである。
図7(b)に示すように、ダイヤル15の回転軸に接続され、ダイヤル15との回転に合わせて回転する突起26と筐体(キャリッジ)に固定されている突起27により、一定の回転角度以上ダイヤル15が回転しないようにすることで、異常なバネ圧が発生するのを防止したものである。
【0027】
[実施形態4]
図8(a)〜(f)は、本発明に係るインクジェット記録装置の他の実施の形態に用いられる当てる付勢バネ圧を変更する機構について説明するための説明図である。
図8(a)は、本発明に係るインクジェット記録装置の他の実施の形態を示すキャリッジ周辺の正面図であり、図8(b)は、図8(a)に示したキャリッジが一方の側板に接近した時の状態を示す図であり、図8(c)は、図8(b)の側面図であり、図8(d)は、図8(a)に示したキャリッジが他方の側板に接近した時の状態を示す図であり、図8(e)は、図8(d)の側面図である。
【0028】
<構 成>
図8(a)に示すように側板23a、23bの内側に互いに対向するようにはすばラックギヤ21a、21bが側板23a、23bに垂直に設けられている。
キャリッジ1内には一対のワンウェイクラッチ付きのはすばギヤ22が同一の軸の両端に固定されている(軸受けは省略されている。)。キャリッジ1の両側面にははすばギヤ22の上端とはすばラックギヤ21aもしくははすばラックギヤ21bと噛み合うために挿入可能な形状を有する開口部1a、1bが形成されている。キャリッジ1内のはすばギヤ22の下端には常にラックギヤ17が噛み合うと共にラックギヤ17が板バネ12ごと移動できるように配置されている。はすばギア22は、いずれもワンウェイクラッチで同一の軸に接続されているので、キャリッジ1を側板23aに近づける際には一方のはすばギア22が回転し他方のはすばギヤ22は回転するが、キャリッジ1を側板23aから遠ざける際には一方のはすばギヤ22は停止し、他方のはすばギア22が回転するようになっている。すなわち、はすばギヤ22とラックギヤ17との関係は、一方のラックギヤ17が板バネ12の付勢圧を高くする方向にはすばギア22を回転し、他方のラックギヤ17が板バネ12の付勢圧を低くする方向にはすばギア22を回転させるようになっている。尚、ラックギヤ17は、印字動作に影響しない位置に設置されている(印字中のキャリッジ1の走査範囲外)。
【0029】
<動 作>
印刷開始前に、キャリッジ1を側板23a(23b)付近のラックギヤ21a(21b)とギア22とが噛み合う位置まで矢印(8−1)方向に移動させる。
ラックギヤ21a(21b)とギヤ22と噛み合うことでギア22が矢印(8−2)方向(もしくは矢印(8−3)方向)に回転する。
ギア22が回転することで、板バネ12に接続されたラックギヤ17が矢印(8−4)方向(もしくは矢印(8−8)方向)に移動する。板バネ12に接続されたラックギヤ17が移動することで、板バネ12の付勢圧が変化する。
【0030】
[実施形態4]
図9(a)は、本発明に係るインクジェット記録装置の他の実施の形態を示す正面図であり、図9(b)は、図9(a)に示したインクジェット記録装置のキャリッジが一方の側板の突起と接触した状態を示す図であり、図9(c)は、図9(a)に示したキャリッジが他方の側板の突起と接触した状態を示す図である。
図9(a)〜(c)に示すインクジェット記録装置は、キャリッジを走査するためのタイミングベルトのテンションを調節する付勢バネ圧を変更する機構を示している。
【0031】
<構 成>
図9(a)に示すタイミングベルト4の内側におけるプーリー11の近傍には、両端に矩形状の薄板部材30、31が固定されたコイルバネ13が配置されている。薄板部材30がプーリー11と接触するように配置されている。薄板部材31にはラックギヤ20がガイドロッド2と平行、かつ、ガイドロッド2と平行に移動自在になるように取り付けられている。ラックギヤ20には図示しない筐体に中心軸が固定されたギヤ19が噛み合うように配置されており、ギヤ19の中心軸に固定されたダイヤル19を回転することによりギヤ19が回転し、ラックギヤ20が水平移動できるようになっている。ギヤ19の上方には下側の一部にラックギヤ25が形成され、かつラックギヤ25がギヤ19と噛み合うようにロッド34が配置されている。ロッド34は、側板23a、23bに形成された貫通孔を通るように配置されている。ロッド34の両側板23a、23bの外側において板状部材35a、35bの上端が固定されている。両板状部材35a、35bはロッド34と直交するように固定され、両側板23a、23bとの間はロッド34が所定の距離だけ左右に移動できるような間隔が設けられている。両板状部材35a、35bの下端には両側板23a、23bを貫通すると共に対向するように突起24a、24bが固定されている。両突起24a、24bの対向する端部はキャリッジ1と接触する際の接触面積を増加させてダメージを低減するため、釘の頭部のように広がっている。
このような構成により、キャリッジ1を突起24aもしくは突起24bに押し当てることにより、突起24a、24bの動きに連動して、ラックギヤ25がギア19を回転させる。ギヤ19の回転によりラックギヤ20が移動し付勢バネ13を伸縮させる。
【0032】
<動 作>
印刷開始前に、キャリッジ1を側板23a付近の突起24に向かって矢印(9−1)方向に押し当てる。キャリッジ1の押し当て動作に伴い、板状部材35aが矢印(9−2)方向に移動する。板状部材35aの移動に伴い、ロッド34も移動することによりラックギヤ25に噛み合うギヤ19が矢印(9−3)方向に回転する。ギヤ19の回転に伴い、ラックギヤ20が矢印(9−4)方向に移動する。すなわち、突起24aの動作に連動してラックギヤ25が矢印(9−4)方向に水平に移動して、付勢バネ13も連動して移動するため、タイミングベルト4のテンションが変化する。
つまり、左右の側板23a、23bにそれぞれ突起24a、24bが設置されており、ラックギヤ20、25のうちの一方のラックギヤが付勢バネ13の付勢圧を高くする方向にラックギヤ25を移動させ、他方の突起が付勢バネ13の付勢圧を低くする方向にラックギヤ25を移動させるのである。
尚、突起24a、24bは、印字動作に影響しない位置に設置するのが好ましい(印字中のキャリッジ1の走査範囲外が好ましい。)。
【0033】
図10は、本発明に係るインクジェット記録装置の付勢バネ圧を変更した場合の消費電力低減効果について説明するための説明図である。
図10において横軸が時間を示し、上段の縦軸はキャリッジ速度を示し、下段の縦軸は主走査モータ消費電流を示す。
図11(a)は、インクジェット記録装置のキャリッジ近傍の底面図であり、図11(b)は、図11(a)の正面図である。
【0034】
付勢バネ圧を低減させることにより、メカ負荷(摩擦力など)が低減するため主走査モータの消費電力を低減させることができる。
インクジェット記録装置において、主走査モータの消費電力は大きな割合を占めるため、主走査モータの消費電力を低減することは、装置全体の消費電力を低減する上で大きな効果がある。
メカ負荷が低減されるのみで、印字動作(制御)に変更はないため、印刷速度(キャリッジ速度)には変化がない。
ただし、付勢バネ圧を低減すると、図11(a)、(b)に示すようにキャリッジの挙動が不安定になる(ガタつく)ため、インク滴の記録媒体(印刷用紙)への着弾位置が所望の位置からズレる可能性が高くなり、画質が劣化する可能性がある。
【0035】
<プログラム>
以上で説明した本発明にかかるインクジェット記録装置は、コンピュータで処理を実行させる制御プログラムによって実現されている。コンピュータとしては、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションなどの汎用的なものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。よって、一例として、プログラムにより本発明を実現する場合の説明を以下で行う。
すなわち、
主走査方向に移動するキャリッジと、記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、キャリッジに搭載され記録媒体にインク滴を吐出して画像を形成するヘッドと、 キャリッジの挙動を安定させるための付勢バネと、付勢バネのバネ圧を調整する調整機構と、を備えたインクジェット記録装置のコンピュータに、
調整機構が、高画質モードの場合には通常の付勢バネ圧に調整し、ドラフトモードの場合には通常の付勢バネ圧より低い付勢バネ圧に調整する手順、
キャリッジが、付勢バネ圧が調整された後、主走査方向に移動する手順、
搬送手段が、付勢バネ圧が調整された後、キャリッジの動作に合わせて記録媒体を搬送する手順、
ヘッドが、付勢バネ圧が調整された後、キャリッジの動作に合わせて記録媒体にインク滴を吐出する手順、
を実行させる制御プログラムが挙げられる。
【0036】
これにより、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明にかかるインクジェット記録装置を実現することができる。
このようなプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0037】
<記憶媒体>
ここで、記憶媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(CD Recordable)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体、フラッシュメモリ、RAM、ROM、FeRAM(強誘電体メモリ)等の半導体メモリやHDD(Hard Disc Drive)が挙げられる。
【0038】
<作用効果>
付勢バネ圧を低減して、印刷時の消費電力を低減することができる。
キャリッジをガイドロッド(スライドレール)に押し当てる付勢バネの圧を低減することで消費電力を低減することが可能となる。
キャリッジを走査するためのタイミングベルトのテンションを調節する付勢バネの圧を低減することで消費電力を低減することが可能となる。
ユーザが作業をしなくても、自動でバネ圧を変更できる。
高画質モードでは、通常の付勢バネ圧で印刷し、ドラフトモードでは、付勢バネ圧を低減して印刷するなど、自動で付勢バネ圧を変更することで、ユーザがジョブ毎に設定しなくても消費電力低減が可能となる。
【0039】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 キャリッジ
1a、1b 開口部
2 ガイドロッド
3 主走査モータ
4 タイミングベルト
5 エンコーダシート
6 エンコーダセンサ
7 副走査モータ
9、9−1〜9−4 記録ヘッド
10 インク吐出ノズル
11 プーリー
12 板バネ
13 コイルバネ
15、18 ダイヤル
16、19 ギヤ
17 ラックギヤ
21a、21b はすばラックギヤ
22 はすばギヤ
23a、23b 側板
26、27 突起
30、31 薄板部材
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 ホストPC
105 ホストI/F
106 記録ヘッド制御部
107 主走査制御部
108 副走査制御部
109 記録ヘッド
109−1 記録ヘッド1駆動部
109−2 記録ヘッド2駆動部
109−3 記録ヘッド3駆動部
109−4 記録ヘッド4駆動部
110 主走査エンコーダ
111 副走査エンコーダ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2008−18542号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に移動するキャリッジと、記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、前記キャリッジに搭載され前記記録媒体にインク滴を吐出して画像を形成するヘッドと、を備えたインクジェット記録装置において、
前記キャリッジの挙動を安定させるための付勢バネと、
前記付勢バネの付勢バネ圧を調整する調整機構と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記キャリッジの挙動を安定させるための付勢バネとして、前記キャリッジを前記主走査方向に走査させるためのガイドロッドに押し当てる押し当てバネが含まれることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記キャリッジの挙動を安定させるための付勢バネとして、前記キャリッジを前記主走査方向に走査させるためのタイミングベルトのテンションを調節するテンション調節バネが含まれることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記キャリッジをガイドロッドに沿って往復移動可能に走査する駆動モータと、
前記駆動モータの動力を利用して、前記付勢バネの付勢バネ圧を調整する調整機構と、
を備えたことを特徴とする請求項1から3の何れか一項記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
主走査方向に移動するキャリッジと、記録媒体を副走査方向に搬送する搬送手段と、前記キャリッジに搭載され前記記録媒体にインク滴を吐出して画像を形成するヘッドと、前記キャリッジの挙動を安定させるための付勢バネと、前記付勢バネのバネ圧を調整する調整機構と、を備えたインクジェット記録装置のコンピュータに、
前記調整機構が、高画質モードの場合には通常の付勢バネ圧に調整し、ドラフトモードの場合には通常の付勢バネ圧より低い付勢バネ圧に調整する手順、
前記キャリッジが、前記付勢バネ圧が調整された後、主走査方向に移動する手順、
前記搬送手段が、前記付勢バネ圧が調整された後、前記キャリッジの動作に合わせて前記記録媒体を搬送する手順、
前記ヘッドが、前記付勢バネ圧が調整された後、前記キャリッジの動作に合わせて前記記録媒体にインク滴を吐出する手順、
を実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−103406(P2013−103406A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248733(P2011−248733)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】