説明

インクジェット記録装置

【課題】複数のローラに巻回された無端の搬送ベルトの上に対象物を載置して搬送するインクジェット記録装置において、駆動ローラと搬送ベルトの間の滑りを防ぎ、搬送精度が低下せず安定した搬送が可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置は、該インクジェット記録装置に着脱可能であり、且つ取り外して清掃部材である粘着ローラを水洗することにより清掃機能の再生ができ、また水洗時に水洗及び乾燥が迅速にできる、搬送ベルトを搬送駆動する駆動ローラの表面を清掃する駆動ローラ清掃手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端の搬送ベルトの上に対象物を載置して搬送するインクジェット記録装置に関する。詳しくは、無端の搬送ベルトを搬送駆動する駆動ローラの表面の清掃に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、対象物、例えば記録媒体の搬送方向(副走査方向)と交叉する方向(主走査方向)に、記録手段としての記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復移動し、記録ヘッドを主走査方向に往復移動させ、その過程でインクを吐出することにより画像記録を行い、1行分の画像形成を終了した後に所定量の記録媒体の送り(副走査としてのピッチ搬送)を行い、その後に再び停止した被記録材に対して次の行の画像を記録(主走査)するという動作を繰り返すことにより、記録媒体全体の記録が行われる。フルカラーのインクジェット記録装置では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色以上のインクを吐出して画像記録が行われる。
【0003】
また、前記インクジェット記録装置においては、記録媒体の高精度な搬送が要求される。搬送精度とドット径の関係を図9に示す。例えば、解像度540dpiでドット径が略66μmの場合、図9(a)に示すように搬送精度が47μm以下であればドットは全てオーバーラップし隙間は生じない。しかし、図9(b)に示すように搬送精度が47μmを超える部分が生ずると、隙間が生じ形成された画像で前記隙間が白筋のように見える等の問題が発生する。
【0004】
前述の数値は、理論値(計算値)であり、実際には白筋の発生を防ぐため、ドット同士のオーバーラップ量を増やす等の対策をしている。一般的に、白筋の発生を防ぐためにドット径の略半分をオーバーラップさせている。図9(C)は、ドット径の半分をオーバーラップさせた場合を示す。白筋の発生を防止するためには、図9(C)に示すようにドット同士を確実にオーバーラップさせなければならず、そのためには上記の場合、略24μm以下の搬送精度が必要になる。
【0005】
前記インクジェット記録装置の記録媒体の搬送として、従来より無端の搬送ベルト(以下、無端ベルトとも言う)を駆動ローラで搬送駆動し、搬送ベルト上に載置した対象物、例えば記録媒体等を搬送することが知られている。前記搬送ベルトを用いたインクジェット記録装置において駆動ローラが埃や搬送ベルトの摩耗粉等で汚れると、駆動ローラ表面の摩擦係数が低下し、搬送ベルトとの間に滑りが発生し、その結果搬送ベルトを安定して回転させることができなくなったり、搬送ベルトが左右にふらつく蛇行が生じやすくなり搬送精度が低下する。他にも異物、例えば細かい金属片等が駆動ローラに付着すると駆動ローラと搬送ベルトで異物を挟み込んでしまい、ベルトが傷ついたり、破損してしまう等の問題があった。
【0006】
前記インクジェット記録装置において、対象物の搬送時に搬送ベルトの蛇行が生じると、対象物の載置位置にずれが生じるため、対象物の上に別の対象物を重ねる場合には、正規の状態で重ね合わせることができなくなり、例えば記録媒体上へのインクの着弾位置が不安定になり画像品質が低下する。
【0007】
また、無端ベルトを感光体,記録媒体担持体,中間転写体等に用いた画像形成装置が知られている。
【0008】
前記画像形成装置において、無端ベルトの蛇行が画像形成時に生じると、感光体ベルト上に形成される潜像、用紙搬送ベルトによって搬送された記録用紙に転写されるトナー像、あるいは中間転写ベルトに転写されるトナー像に位置ずれが生じるため、良好な画像を形成することができない。特に、複数のカラートナー像を重ね合わせるフルカラー画像の場合には、記録画像に色むら等を発生させて画像品質を低下させる。
【0009】
上記蛇行の対応として、蛇行速度を測定し、所定の蛇行速度内に制御しながら搬送ベルト内のローラを傾けることにより搬送ベルトの蛇行を制御する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
また、搬送ベルト裏面を研磨する研磨手段、搬送ベルト裏面を清掃する清掃手段及び駆動ローラの表面を清掃する駆動ローラ清掃手段を備え、搬送ベルトの裏面を研磨するとともに清掃し、搬送ベルト駆動ローラの表面を清掃することが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−231041号公報
【特許文献2】特開2001−192136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述のように、インクジェット記録装置においては、搬送ベルトに滑りや蛇行が生じると搬送精度が低下し、画像品質を低下させる等の問題がある。
【0012】
前記問題に対し、特許文献1に記載の蛇行の制御は、搬送ベルトと駆動ローラに滑りがないときは効果的であるが、駆動ローラの表面が埃や搬送ベルトの摩耗粉等で汚れ、摩擦係数が下がり、搬送ベルトと駆動ローラに滑りが発生した場合には効果が低下する懸念がある。
【0013】
また、特許文献2では、搬送ベルトを繰り返し研磨することにより搬送ベルトの厚みが変化するという問題があり、更に研磨手段が搬送ベルトに均一に当接されない場合は搬送ベルトの厚みを均一に保つことが困難になる等の恐れがあり、搬送力のバランスが崩れ高精度な搬送に支障を来す懸念がある。
【0014】
更に、前記インクジェット記録装置を生産装置として使用する場合、
一般的に使用されるインクジェット記録装置(家庭用IJプリンタ・ラージフォーマットIJプリンタ)よりも稼働時間・使用頻度が多くなり、また生産装置としての安定した生産性と信頼性も求められる。
【0015】
しかし、稼働時間・使用頻度が多くなると装置に対する負担が大きくなり、装置自体が汚れやすくなる。記録媒体の搬送内部、特に駆動ローラの汚れは、搬送ベルトと駆動ローラの間の滑りを発生させ搬送精度の悪化を招き、画像品質を低下させる。このため、駆動ローラの清掃の頻度を多くする必要が生じる。
【0016】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、駆動ローラと搬送ベルトの間の滑りを防ぎ、搬送精度が低下せず安定した搬送が可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、下記の構成により達成される。
1.複数のローラに巻回された無端の搬送ベルトの上に対象物を載置して搬送するインクジェット記録装置において、
前記無端の搬送ベルトを搬送駆動する前記複数のローラに含まれる1つの駆動ローラと、
前記駆動ローラの表面を清掃する駆動ローラ清掃手段とを備え、
前記駆動ローラ清掃手段は前記インクジェット記録装置に着脱可能であり、
前記駆動ローラ清掃手段を前記インクジェット記録装置から取り外して、清掃機能の再生ができることを特徴とするインクジェット記録装置。
2.前記駆動ローラ清掃手段は、表面に粘着層を有する粘着ローラを備え、前記粘着ローラの粘着層が前記駆動ローラの表面に当接して清掃することを特徴とする1に記載のインクジェット記録装置。
3.前記粘着ローラの粘着力の再生手段は、前記粘着層の洗浄に洗浄液を用いた液洗浄処理であることを特徴とする1または2に記載のインクジェット記録装置。
4.前記駆動ローラ清掃手段は、前記粘着ローラを回転可能に支持するとともに、回転支点を有し該回転支点を中心にして揺動することにより前記粘着ローラを前記駆動ローラに接離する前記粘着ローラのハウジングを有し、前記ハウジングは洗浄液の排出が可能な複数の開口部を有することを特徴とする1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
5.前記無端の搬送ベルトの、幅方向の位置変動の異常を検知する異常検知手段を備え、異常を検知した場合に前記駆動ローラの清掃を実施することを特徴とする1乃至4の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【発明の効果】
【0018】
上記構成によれば、インクジェット記録装置の駆動ローラに付着した埃や搬送ベルトの摩耗粉等を駆動ローラ清掃手段で清掃除去することにより、搬送ベルトと駆動ローラの間で滑りが発生することを防ぐことができ、安定した搬送が可能となり、また蛇行の発生を起こりにくくすることができる。これにより、画像品質の低下の防止を図ることができる。また、駆動ローラに付着した細かい金属片等の異物を駆動ローラ清掃手段で清掃除去することにより、搬送ベルトの損傷を防ぐことができ、搬送ベルトの耐久性を向上させることができる。
【0019】
更に、駆動ローラ清掃手段はインクジェット記録装置に着脱可能であり、取り外して駆動ローラ清掃手段を組み立てた状態で清掃できるため、容易に清掃機能の再生ができる。これにより、インクジェット記録装置を生産装置として使用する場合において、駆動ローラの清掃の頻度が多くなっても、駆動ローラ清掃手段の清掃を簡便に行うことができ、ひいては駆動ローラの清掃も簡便に行うことができる。
【0020】
上記構成によれば、駆動ローラ清掃手段の粘着ローラは水洗可能であり、水洗により粘着力を回復できるため、前記駆動ローラ清掃手段をインクジェット記録装置から取り外し、粘着ローラをローラ清掃手段に装着した状態で水洗でき、容易に駆動ローラ清掃手段の清掃能力を回復維持できる。更に、粘着ローラは水洗により再使用できるため、新たな清掃部材を必要とすることなく、構成も簡単になり維持に掛かるコストの削減も可能になる。
【0021】
上記構成によれば、粘着ローラを駆動ローラに接離可能に支持するハウジングで支持し、前記ハウジングは水の排出が可能な複数の開口部を有することにより、粘着ローラをローラ清掃手段に装着した状態で水洗した際に、ローラ清掃手段からの水切り及び乾燥を迅速に行うことができ、駆動ローラ清掃手段の清掃が容易となり再使用に掛かる時間を短縮することができる。
【0022】
上記構成によれば、搬送ベルトの幅方向の位置変動の異常を検知する異常検知手段で異常検知した場合に、前記駆動ローラの清掃を実施することが可能となり、適宜前記清掃を行うことができる。更に、異常を検知した場合に、駆動ローラの清掃の情報を使用者に知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。なお、本発明のインクジェット記録装置は、以下の形態に限定されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の駆動ローラ清掃手段を備えたインクジェット記録装置のベルト搬送部1の概略構成を示す斜視図である。
【0025】
本実施の形態では、駆動ローラ清掃手段は粘着ローラを用いている。
【0026】
ベルト搬送部1は、前述の複数のローラである駆動ローラ3A,従動ローラ3B及びテンションローラ3Cに巻回された搬送ベルト2上に搬送の対象物Pを載置して搬送する。本実施の形態では図1の矢印X1方向に搬送される。
【0027】
搬送ベルト2の材質は、特に限定するものではないが、伸縮性が少なく撥インク性があるものが好ましい。例えば、ガラスクロスにフッ素樹脂をコーティングした無端ベルト、アラミドクロスにフッ素樹脂をコーティングした無端ベルト及びSUS等の金属製無端ベルト等が挙げられる。
【0028】
駆動ローラ3Aは、駆動ローラ駆動手段31により駆動され、搬送ベルトを搬送駆動する。
【0029】
従動ローラ3Bは、回転軸の一端が固定され他端は蛇行修正手段32に係合されていて、蛇行修正手段32により、矢印X2方向に傾動される。蛇行修正手段32は、前記他端を傾動駆動する、電動モーター等の傾動駆動部を有する。
【0030】
前述のように、従動ローラ3Bの他端が矢印X2方向に傾動されると、搬送ベルト2の他端側の張力と一端側の張力とに差が生じる。これにより、搬送ベルト2は、矢印Y2方向の張力の緩い側に移動され、蛇行が修正される。例えば、従動ローラ3Bの他端が矢印X2の(+)方向に傾動されると他端側の張力が増加し、一端側と張力の差が生じる。これにより、搬送ベルト2は、張力の緩い一端側、即ち矢印Y2の(+)方向に移動され、蛇行が修正される。前記従動ローラ3Bの他端の傾動位置は傾動位置センサー32Aにより検出され、異常検知手段33に情報として送られる。
【0031】
前記他端の傾動位置の検出は、上記に限るものではなく、例えば前記傾動駆動部に電動モーターを用いた場合は、電動モータに連動したロータリーエンコーダーの基準位置からの出力パルス数をカウントすることでも可能であり、またステッピングモーター(パルスモーター)を用いた場合は、基準位置からの駆動パルス数をカウントすることでも可能である。
【0032】
テンションローラ3Cは、自重により、または図示しない付勢手段により搬送ベルトに張力を付与する。
【0033】
次に、図1〜4を参照して駆動ローラ清掃手段50の説明をする。
駆動ローラ清掃手段50は、ガイドレール55に駆動ローラ清掃手段50の着脱単位である複数の駆動ローラ清掃ユニット50A毎に着脱可能に取り付けられる。
【0034】
図3に駆動ローラ清掃ユニット50Aの構成を示す。図3の(a)図は粘着ローラ側から見た正面図、(b)図は側面図、(c)図は(a)図の矢印A−Aの側面断面図である。図4は、駆動ローラ清掃ユニット50Aを粘着ローラ側から見た正面斜視図である。
【0035】
粘着ローラ501はハウジング502に回転可能に支持される。粘着ローラ501は表面に粘着層501Aを有し、粘着層501Aは汚れにより粘着力が低下した場合には表面を水洗で清浄にすることにより、粘着力を回復することができる。粘着層501Aの材質としては、例えば液洗浄可能なポリウレタン樹脂、シリコンゴム、ブチルゴム、アクリル系樹脂、両面テープ等を用いることができるが、液洗浄可能な粘着部材であれば可能であり限定されるものではない。
【0036】
ハウジング502は、回転支点503で回転可能にフレーム51に支持される。フレームに固定された係合部材52は、駆動ローラ清掃ユニット50Aのガイドレール55に取り付け時にガイドレール55と係合する。
【0037】
図2に駆動ローラ3Aと粘着ローラ501の接離の状態を示す。図2の(a)図は離間状態を示し、(b)図は当接、押圧状態を示す。
駆動ローラ清掃ユニット50Aをガイドレール55に取り付けた後、図示しない付勢手段でハウジング502を駆動ローラ3A方向に付勢することにより、粘着ローラ501は駆動ローラ3Aに当接、押圧される。この状態で駆動ローラ3Aを回転させることにより、駆動ローラ3Aに付着した埃や搬送ベルトの摩耗粉及び細かい金属片等の異物等を粘着ローラに転写し、駆動ローラを清掃することができる。
【0038】
複数の駆動ローラ清掃ユニット50A、即ち駆動ローラ清掃手段50は図1の矢印Y方向に図示しない移動手段により移動することができる。これにより、駆動ローラ清掃ユニット50Aを駆動ローラ全幅以上に敷き詰め、並べることにより駆動ローラ全幅を清掃することができる。また、並んでいる駆動ローラ清掃ユニットの間は、清掃されない状態になってしまうので一度清掃した後、駆動ローラ清掃ユニットを半ピッチずらすことにより清掃可能な構成となっていることが好ましい。前記清掃により搬送ベルトと駆動ローラの滑りを防ぎ、蛇行も最小限になるので搬送精度を維持することができ、画像品質の低下を防止することができる。また、搬送ベルトの損傷を防ぎ、搬送ベルトの耐久性を向上させることができる。
【0039】
前述の清掃に使用した駆動ローラ清掃手段50は、駆動ローラ清掃ユニット50A毎にガイドレール55から取り外し、粘着ローラ501を駆動ローラ清掃ユニット50Aに取り付けた状態で水洗する。これにより、粘着ローラ501の表面は洗浄され、粘着力は回復し、駆動ローラ清掃手段50の清掃機能は再生される。
【0040】
図5は、ハウジング502に設けられた水の排出が可能な複数の開口部の例である。前記水洗に際し、ハウジング502は水の排出が可能な複数の開口部502Aを有することにより、駆動ローラ清掃ユニット50Aの水切り及び乾燥を迅速に行うことができ、再使用に掛かる時間を短縮することができる。
【0041】
前述の駆動ローラ501の清掃のタイミングは、駆動ローラ501の汚れ具合を目視で判定する、及び搬送ベルトの蛇行具合を目視で判定する等でも可能であるが、従動ローラ3Bの傾動位置で判定するができる。
【0042】
前記傾動位置での判定の例を以下に記す。
【0043】
一般的に搬送ベルトの蛇行は、ベルト成形工程におけるベルト両側面の周長差や、ベルトの材質のばらつき、駆動ローラと従動ローラの平行度などに起因して生じる。これに対し、当初、所定の蛇行範囲に収まるよう蛇行修正手段でローラを傾動して調整が行われる。しかしながら、駆動ローラが埃や搬送ベルトの摩耗粉等で汚れると、駆動ローラ表面の摩擦係数が低下し、搬送ベルトとの間に滑りが発生し、その結果搬送ベルトを安定して回転させることができなくなったり、搬送ベルトが左右にふらつきやすくなり、所定の蛇行範囲に収まることが困難になり搬送精度が低下する。そのため、蛇行を低減させるためには、蛇行修正手段でローラの傾動を更に大きくする必要が生ずる。
【0044】
具体的には、搬送ベルト2の蛇行は、駆動ローラ501の清掃直後、即ち駆動ローラ501の表面が清浄状態の時は、蛇行の修正は従動ローラ3の微小な傾動で修正できるが、駆動ローラ501の表面が埃や搬送ベルトの摩耗粉等に付着により汚れると蛇行を修正するためには前記傾動を大きくする必要がある。
【0045】
このことから、前記清掃のタイミングは、傾動位置センサー32Aで傾動位置を検出し、検出情報に基づき異常検知手段33で傾動量の異常の有無を予め定められた所定量と比較して、異常と判定した場合を清掃のタイミングすることができ、前記タイミングで清掃を行うことができる。
【0046】
また、前記タイミングを使用者にディスプレイ等の伝達手段で知らせ、使用者が清掃の実施の可否を決定することもできる。
【0047】
図6は、前記傾動位置に基づく清掃のフローチャートである。ベルト搬送部1は搬送駆動中、即ち駆動ローラは回転中とする。
ステップS1.従動ローラ3Bの傾動位置を傾動位置センサー32Aで検出し、検出情報を異常検知手段33におくる。
ステップS2.異常検知手段33は、前記検出情報と予め定められた所定量と比較して、傾動位置が所定量未満の場合は異常なしと判断し(ステップS2;NO)、清掃は行われず搬送は継続される。傾動位置が所定量以上の場合は異常と判断し(ステップS2;YES)、搬送を継続した状態で清掃の指示を出す。
ステップS3.図示しない付勢手段でハウジング502を付勢し、粘着ローラ501を駆動ローラ3Aに当接、押圧する。
ステップS4.当接、押圧された粘着ローラ501は駆動ローラ3Aの表面を所定時間清掃する。
ステップS5.清掃終了後、粘着ローラ501は駆動ローラ3Aより離間する。
【0048】
本実施の形態においては、清掃部材は粘着ローラとしたが、ブレード、不織布等の長尺シート材等としてもよい。
【0049】
図7は、清掃部材にブレードを用いた例である。ハウジング502に取り付けられたブレード601が駆動ローラ3Aの表面に当接して清掃する。ブレード601は、シリコンゴム、ポリウレタン樹脂等駆動ローラ表面に傷を付けない材料が好ましい。
【0050】
図8は、清掃部材に不織布等の長尺シート材を用いた例である。長尺シート材701は、元巻きロール702から送り出され、押圧ロール704で駆動ロール3Aの表面に当接、押圧され清掃し、巻き取りロール703に巻き取られる。長尺シート材701の搬送方向は、図8の矢印に示す方向と逆方向としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の駆動ローラ清掃手段を備えたインクジェット記録装置の概略図である。
【図2】駆動ローラと粘着ローラの接離の状態を示す図である。
【図3】駆動ローラ清掃ユニットの構成図である。
【図4】駆動ローラ清掃ユニットの正面斜視図である。
【図5】ハウジングに設けられた水の排出が可能な複数の開口部を示す図である。
【図6】従動ローラの傾動位置に基づく清掃のフローチャートである。
【図7】清掃部材にブレードを用いた例を示す図である。
【図8】清掃部材に不織布等の長尺シート材を用いた例を示す図である。
【図9】搬送精度とドット径の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ベルト搬送部
2 搬送ベルト
3A 駆動ローラ
3B 従動ローラ
3C テンションローラ
31駆動ローラ駆動手段
32 蛇行修正手段
32A 傾動位置センサー
33 異常検知手段
50 駆動ローラ清掃手段
50A 駆動ローラ清掃ユニット
501 粘着ローラ
501A 粘着層
502 ハウジング
502A 開口部
503 回転支点
51 フレーム
52 係合部材
55 ガイドレール
601 ブレード
701 長尺シート材
702 元巻きロール
703 巻き取りロール
704 押圧ロール
P 搬送物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラに巻回された無端の搬送ベルトの上に対象物を載置して搬送するインクジェット記録装置において、
前記無端の搬送ベルトを搬送駆動する前記複数のローラに含まれる1つの駆動ローラと、
前記駆動ローラの表面を清掃する駆動ローラ清掃手段とを備え、
前記駆動ローラ清掃手段は前記インクジェット記録装置に着脱可能であり、
前記駆動ローラ清掃手段を前記インクジェット記録装置から取り外して、清掃機能の再生ができることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記駆動ローラ清掃手段は、表面に粘着層を有する粘着ローラを備え、前記粘着ローラの粘着層が前記駆動ローラの表面に当接して清掃することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記粘着ローラの粘着力の再生手段は、前記粘着層の洗浄に洗浄液を用いた液洗浄処理であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記駆動ローラ清掃手段は、前記粘着ローラを回転可能に支持するとともに、回転支点を有し該回転支点を中心にして揺動することにより前記粘着ローラを前記駆動ローラに接離する前記粘着ローラのハウジングを有し、前記ハウジングは洗浄液の排出が可能な複数の開口部を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記無端の搬送ベルトの、幅方向の位置変動の異常を検知する異常検知手段を備え、異常を検知した場合に前記駆動ローラの清掃を実施することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate