インクジェット記録装置

【課題】 インク吐出口が設けられたインクジェットヘッドの表面(吐出面)に摺接するワイパにヘッド用液体を供給し、ワイピング動作を行うことで吐出面の清浄化を行う構成を具えたインクジェット記録装置に関連する。かかる装置において、簡単な構成でありながら、様々な環境下においても安定かつ十分なヘッド用液体の供給性能を維持する。
【解決手段】 ヘッド用液体をワイパM5020に転写する部分より下方において保持部材M5100により保持し、転写部材M5080の毛管力によりウエット液を引き上げてワイパに供給・転写するようにする。これにより、様々な環境下においても安定かつ十分なウエット液の供給ないし転写性能を維持することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関し、特に該装置に用いるインクジェットヘッド(以下、記録ヘッドまたは単にヘッドとも言う)の清浄化装置の構成に関する。より詳しくは、本発明は、記録ヘッドのインク吐出口が形成された表面(以下、フェイス面とも言う)に付着したインク残渣等を効率よく排除して清浄化するために用いられるヘッド用液体の貯留部の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、液体であるインクを媒介として入力画像データを出力画像に変換するシステムであるため、インクを吐出する記録ヘッドの清浄化(クリーニング)技術が非常に重要な要素となっている。クリーニングを必要とする主な課題を簡単に説明すると、次の通りである。
【0003】
インク吐出用の記録ヘッドは微細なノズル(以下、特にことわらない限り、吐出口、これに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギを発生するための素子を総称して言う)から記録媒体にインクを直接吐出するものである。従って、吐出したインクが記録媒体に当たって跳ね返ったり、インクを吐出する際に記録に関与する主なインクの他に微小なインク滴(サテライト)が吐出されて雰囲気中に漂ったりすることがある。すると、これらがインクミストとなって、記録ヘッドのインク吐出口の周りに付着することがある。また、空気中を漂っていた塵埃などが付着することもある。すると、吐出される主インク滴をこれらの付着物が引っ張ることで、インク吐出方向がよれること、すなわち主インク滴の直進性が妨げられることがある。
【0004】
そこで、この問題を解決するためのクリーニング技術として、インクジェット記録装置では、所定のタイミングで、ゴム等の弾性材料でなる払拭部材(ワイパ)で記録ヘッドのフェイス面というを掃き、付着物を除去するワイピングと呼ばれるものが採用される。かかるワイピングは、次のような場合にも実施される。
【0005】
記録ヘッドの吐出口近傍のインクが乾燥し、インクの増粘、固着、堆積等により吐出口の目詰まりが生じることがある。さらに、吐出口内部(液路)に発生した気泡や塵埃等によっても吐出口の目詰まりが生じることがある。これらの目詰まりを予防、解消する方法として、例えば、吸引回復方法が採られることがある。これは、キャッピング部材を用いてインクの吐出口部に密閉系を形成し、ポンプを用いて吐出口面(ヘッド面)に所定の負圧吸引力を発生させることにより吐出口よりインクを強制的に排出する動作である。このような吸引回復に伴ってフェイス面にインクが付着することもあるので、これを除去するためにワイピングが行われるのである。
【0006】
一方最近では、記録物の記録濃度、耐水性および耐光性等を向上する目的で、色材として染料成分を含有するインク(染料系インク)に代わり、顔料成分を含有するインク(顔料系インク)が使用されることが多くなってきている。顔料系インクは、元来固体である色材を、分散剤や、顔料表面に官能基を導入するなどして水中に分散させてなるものである。現在用いられている顔料系インクは、顔料の粒径がおよそ100nm程度と染料分子に比較してはるかに大きいために、光やオゾンの影響を受けたとしても色材の退色が顕著ではなく、耐候性は染料インクに比較してはるかに良好である。
【0007】
しかしながら、フェイス面上でインク中の水分が蒸発し乾燥した顔料インクの乾燥物は、色材自体が分子レベルで溶解している染料系インクの乾燥固着物と比べ、フェイス面に与えるダメージが大きい。また、また顔料を溶剤中に分散させるために用いている高分子化合物がフェイス面に対して吸着されやすいという性質が見られる。これは、インクの粘度調整や、耐光性向上その他の目的でインクに反応液を添加する結果インク中に高分子化合物が存在する場合には、顔料系インク以外でも生じる問題である。また、インクが増粘したり固着したりするまでの経過時間が染料インクを用いる場合より短く、早期に増粘したり固着したりする。
【0008】
これらにより、顔料系インクを用いる場合には、ワイピング部材により掻き取る(または拭き取る)場合のワイピング性も染料インクを用いる場合より劣ることになる。すなわち、ワイピングを実施しても、フェイス面にインクが薄膜状に堆積し、さらにそのインクが固着してしまい、ワイピング動作では所期の清浄化が達成できないか、極めて困難となってしまうのである。
【0009】
通常、染料系インクでは染料分子そのものが水溶液中に分散(溶解)している。しかし顔料系インクでは、一般に顔料粒子が親水性ではなく疎水性であるために水には溶解しないので、水溶性を付与するために顔料粒子に樹脂や活性剤等を吸着させ顔料分散体として親水性を与え、水溶液中に分散させている。あるいは顔料粒子の構造自体の末端に親水基を持たせることで水溶液中に自己分散させている。
【0010】
そして顔料粒子そのものが疎水性であるため、染料系インクと比較して記録ヘッドから顔料インクを吐出させたときにフェイス面が顔料インクで不均一に濡れ易くなってしまう性質を持っている。また前述した樹脂を用いて顔料を分散させている、いわゆる樹脂分散系の顔料インクでは、顔料とともに樹脂もフェイス面を濡らし易いので一層顕著である。また、顔料粒子がフェイス面に存在する状態で前述したワイピング動作を行うと、顔料凝集物が剥離し、その剥離した顔料凝集物でフェイス面が擦られることになり、フェイス面の表面を削ることでフェイス面の表面特性を変化させてしまうことがある。これらはインク吐出特性すなわちインクの吐出方向の安定性を阻害するものであり、インク着弾位置精度を劣化させ、画像品位低下の原因ともなる。
【0011】
これらの問題に対して、記録ヘッドのフェイス面に顔料系インクを弾くような処理、すなわち所謂撥水処理を施した記録ヘッドを用いれば、初期には吐出の方向性は安定している。しかし、基本的に顔料インク等の濡れ易いインクを用いた場合は、徐々に撥水性が劣化し、吐出特性は不安定となる。また、ワイピングによっても、濡れ易い顔料系インクをフェイス面に広げてしまう結果となるために撥水性は劣化して行き、ついには画像品位の劣化を生じてしまう。
【0012】
逆に、特許文献1に示されるように、顔料インク用の記録ヘッドとして、吐出口周辺のみを最初から親水化し、不均一な濡れを改善したようなものも提案されている。しかしながらこの親水性等の性質も長期間維持できるものではなく、経時的に劣化していく。特許文献1に記載されたようなUVオゾン処理等を施して親水化を行う場合でも、処理直後は親水性を有するが、時間の経過とともにその親水性の程度が変化してしまうことがある。
【0013】
以上のようなフェイス面の撥水性能もしくは親水性能の変化の問題に対しては、例えば特許文献2に開示されたような、所謂ウエットワイピングと言う技術を適用することが知られている。これは、フェイス面を払拭するワイパに、例えばグリセリンやポリエチレングリコール等の揮発性の極めて低い溶剤でなるヘッド用液体(以下、ウエット液と言う)を付与する。そして、そのワイパにてフェイス面を払拭することにより、フェイス面の濡れ性の変化を防止するものである。ウエット液の機能としては、第1にフェイス面に蓄積されたインク増粘物や増膜物を溶解する作用がある。第2に、ワイパとフェイス面との間に介在することにより潤滑材の働きをし、ワイパの磨耗を軽減する作用がある。第3に、フェイス面にウエット液を付着させることでフェイス面保護のための膜を形成する作用がある。
【0014】
【特許文献1】特開平11−334074号公報
【特許文献2】特開平10−138502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
これらのワイピング時に用いるウエット液は、記録装置本体内部に貯蔵する構成が採られる。そしてウエット液はそもそも本体装置内に長期間(例えば本体寿命が尽きるまでのの間)保持されているべきものであるため、空気中の飽和蒸気圧の低いもの、すなわち蒸発しにくいものが好ましい。また、インク増粘物への溶解性やヘッド各部材との接液性を考慮すると、記録用液体であるインクの組成としてもしばしば用いられるグリセリン等の多価アルコール類の溶剤を用いることが好ましい。これらの溶剤は一般的に分子量が大きく、粘度が高いものが多いため、低温環境下での粘度上昇の程度も大きい。例えばグリセリンの粘度は常温で800cp程度であるが、15℃では2300cp、5℃では7000cpとなるなど、低温になるに従って急激に粘度が上昇する。このため、ウエット液の保持部からウエット液をワイパに付与する部分までのグリセリンの供給経路が考慮された設計がなされていないと、十分な量をワイパに付与することができず、このためウェットワイピングの効果が発揮できなくなる。
【0016】
一方、グリセリンは湿潤環境では吸湿して大きく膨張するという性質を有する。このため記録装置本体には、吸湿したグリセリンすなわちグリセリン水溶液を保持するに十分な容量のウエット液保持部を用意しておく必要がある。例えば一度のワイピング動作でワイパに付与するウエット液が1mg程度必要であり、本体寿命を全うする間に行われるワイピング回数が10000回であると仮定すると、最低限これらを乗算した10gのグリセリンを本体内に保持しておく必要がある。これに記録装置間のばらつきや、使用者によって異なる使用状況を考慮し、さらに上記湿潤環境での使用などを合わせて考えなければならない。すると、初期に本体に注入すべきグリセリンは、上記最低限の量に安全係数を乗じた量、例えば安全係数1.2とすると12gとなる。そして湿潤環境では吸湿により体積膨張が2〜4倍程度となると考えると、初期注入量の数倍の容量をもつウエット液保持部を用い、体積膨張が生じても漏洩が生じないようにすることが強く望ましい。
【0017】
ここで、使用環境によってウエット液の成分比率の変化や体積変動がないようにするためには、ウエット液保持部を密閉系とすることが考えられる。しかし完全な密閉系を作り出すのは困難であり、また、その系を形成するために複雑な機構が必要となる。
【0018】
一方、適切な表面張力および大きさを有する繊維質部材等からなるウエット液保持部材でウエット液を含浸保持しておき、体積膨張が生じても漏洩が生じないようにすることが考えられる。そして当該含浸保持されているウエット液を、ワイパに対してウエット液を付与するための部材に供給するような系を構成することが考えられる。しかしこの場合、構成は簡易なものとなるが、様々な環境下での状態変化の影響を受けやすい。すなわち、吸湿あるいは蒸発、残量の変化等により保持部材内でのウエット液の含浸保持状態が変化した場合でも、安定かつ十分なウエット液の供給性能を維持することが困難となる。
【0019】
本発明は、以上に鑑みてなされたもので、ウェットワイピングを実施する構成を具えたインクジェット記録装置において、簡単な構成でありながら、様々な環境下においても安定かつ十分なウエット液(ヘッド用液体)の供給性能を維持することを目的とする。また本発明は、長期間、例えば本体寿命を全うするまでの間に十分な量のウエット液の保持を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そのために、本発明は、色材を含むインクを吐出する吐出口が設けられたインクジェットヘッドの表面をヘッド用液体が転写されたワイパで払拭することにより前記表面の清浄化を行う手段を具えたインクジェット記録装置において、
前記ヘッド用液体を前記ワイパに転写する部位より下方で前記ヘッド用液体を保持する保持部材と、
該保持部材に接続されて前記ヘッド用液体を受容する部分と、前記ワイパに当接して前記転写を行う部分とを有し、前記ヘッド用液体の受容部分から前記転写を行う部分まで、毛管力により前記ヘッド用液体を移送する転写部材と、
を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ヘッド用液体(ウエット液)をワイパに転写する部分より下方に保持し、転写部材の毛管力によりウエット液を引き上げて供給するようにした。これにより、様々な環境下においても安定かつ十分なウエット液の供給ないし転写性能を維持することができる。また、吸収体で保持部材を構成し、その容積を、1回のワイピングで必要なウエット液の量、想定されるワイピング回数および安全係数を乗じ、さらに環境に応じた体積変動を考慮して定めることで、長期間にわたり十分な量のウエット液の保持が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
1.基本構成
1.1 記録システムの概要
図1は、本発明の一実施形態で適用する記録システムにおける画像データ処理の流れを説明するための図である。この記録システムJ0011は、記録すべき画像を示す画像データの生成やそのデータ生成のためのUI(ユーザインタフェース)の設定等を行うホスト装置J0012を具える。またこのホスト装置J0012で生成された画像データに基づいて記録媒体に記録を行う記録装置J0013を具える。記録装置J0013は、シアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、レッド(R)、グリーン(G)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、グレー(Gray)の10色インクによって記録を行う。そのために、これら10色のインクを吐出する記録ヘッドH1001が用いられる。これら10色のインクは、色材として顔料を含む顔料インクである。
【0023】
ホスト装置J0012のオペレーティングシステムで動作するプログラムとしてアプリケーションやプリンタドライバがある。アプリケーションJ0001は記録装置で記録するための画像データを作成する処理を実行する。この画像データもしくはその編集等がなされる前のデータは種々の媒体を介してPCに取り込むことができる。本実施形態のホスト装置は、まずデジタルカメラで撮像した例えばJPEG形式の画像データをCFカードによって取り込むことができる。また、スキャナで読み取った例えばTIFF形式の画像データやCD−ROMに格納される画像データをも取り込むことができる。さらには、インターネットを介してウェブ上のデータを取り込むことができる。これらの取り込まれたデータは、ホスト装置のモニタに表示されてアプリケーションJ0001を介した編集、加工等がなされ、例えばsRGB規格の画像データR、G、Bが作成される。ホスト装置J0012のモニタに表示されるUI画面において、ユーザは、記録に使用する記録媒体の種類や記録の品位等の設定を行うと共に記録指示を出す。この記録指示に応じて画像データR、G、Bがプリンタドライバに渡される。
【0024】
プリンタドライバはその処理として、前段処理J0002、後段処理J0003、γ補正J0004、ハーフトーニングJ0005および記録データ作成J0006を有している。以下、プリンタドライバで行われる各処理J0002〜J0006について簡単に説明する。
【0025】
(A)前段処理
前段処理J0002は色域(Gamut)のマッピングを行う。本実施形態では、sRGB規格の画像データR、G、Bによって再現される色域を、記録装置J0013によって再現される色域内に写像するためのデータ変換を行う。具体的には、R、G、Bのそれぞれが8ビットで表現された256階調の画像データR、G、Bを、3次元LUTを用いることにより、記録装置J0013の色域内の8ビットデータR、G、Bに変換する。
【0026】
(B)後段処理
後段処理J0003では、上記色域のマッピングがなされた8ビットデータR、G、Bに基づき、このデータが表す色を再現するインクの組み合わせに対応した8ビット・10色の色分解データを求める。すなわち、Y、M、Lm、C、Lc、K1、K2、R、G、Grayの色分解データを求める。本実施形態では、この処理は前段処理と同様3次元LUTに補間演算を併用して行う。
【0027】
(C)γ処理
γ補正J0004は、後段処理J0003によって求められた色分解データの各色のデータごとにその濃度値(階調値)変換を行う。具体的には、記録装置J0013の各色インクの階調特性に応じた1次元LUTを用いることにより、上記色分解データがプリンタの階調特性に線形的に対応づけられるような変換を行う。
【0028】
(D)ハーフトーニング
ハーフトーニングJ0005は、γ補正がなされた8ビットの色分解データY、M、Lm、C、Lc、K1、K2、R、G、Grayそれぞれについて4ビットのデータに変換する量子化を行う。本実施形態では、誤差拡散法を用いて256階調の8ビットデータを9階調の4ビットデータに変換する。この4ビットデータは、記録装置におけるドット配置のパターン化処理における配置パターンを示すためのインデックスとなるデータである。
【0029】
(E)記録データの作成処理
プリンタドライバで行う処理の最後には、記録データ作成処理J0006によって、上記4ビットのインデックスデータを内容とする記録画像データに記録制御情報を加えた記録データを作成する。
【0030】
図2はかかる記録データの構成例を示した図である。記録データは、記録の制御を司る記録制御情報および記録すべき画像を示す記録画像データ(上述の4ビットのインデックスデータ)で構成されている。記録制御情報は、「記録媒体情報」、「記録品位情報」、および給紙方法等のような「その他制御情報」から構成されている。記録媒体情報には、記録の対象となる記録媒体の種類が記述されており、普通紙、光沢紙、はがき、プリンタブルディスクなどのうち、いずれか1種類の記録媒体が規定されている。記録品位情報には、記録の品位が記述されており、「きれい(高品位記録)」、「標準」、「はやい(高速記録)」等のうち、いずれか1種の品位が規定されている。なお、これらの記録制御情報は、ホスト装置J0012のモニタおけるUI画面にてユーザが指定した内容に基づいて形成されるものである。また、記録画像データは、前述のハーフトーン処理J0005によって生成された画像データが記述さているものとする。以上のようにして生成された記録データは、記録装置J0013へ供給される。
【0031】
記録装置J0013は、ホスト装置J0012から供給された当該記録データに対して、次に述べるドット配置パターン化処理J0007およびマスクデータ変換処理J0008を行う。
【0032】
(F)ドット配置パターン化処理
上述したハーフトーン処理J0005では、256値の多値濃度情報(8ビットデータ)を9値の階調値情報(4ビットデータ)まで階調レベル数を下げている。しかし、実際に記録装置J0013が記録できるデータは、インクドットを記録するか否かの2値データ(1ビットデータ)である。そこで、ドット配置パターン化処理J0007では、ハーフトーン処理J0005からの出力値である階調レベル0〜8の4ビットデータで表現される各画素ごとに、その画素の階調値(レベル0〜8)に対応したドット配置パターンを割当てる。これにより1画素内の複数のエリア各々にインクドットの記録の有無(ドットのオン・オフ)を定義し、1画素内の各エリアごとに「1」または「0」の1ビットの2値データを配置する。ここで、「1」はドットの記録を示す2値データであり、「0」は非記録を示す2値データである。
【0033】
図3は、本実施形態のドット配置パターン化処理で変換する、入力レベル0〜8に対する出力パターンを示している。図の左に示した各レベル値は、ホスト装置側のハーフトーン処理部からの出力値であるレベル0〜レベル8に相当している。右側に配列した縦2エリア×横4エリアで構成される領域は、ハーフトーン処理で出力される1画素の領域に対応するものである。また、1画素内の各エリアは、ドットのオン・オフが定義される最小単位に相当するものである。なお、本明細書において「画素」とは、階調表現可能な最小単位のことであり、複数ビットの多値データの画像処理(上記前段、後段、γ補正、ハーフトーニング等の処理)の対象となる最小単位である。
【0034】
図において、丸印を記入したエリアがドットの記録を行うエリアを示しており、レベル数が上がるに従って、記録するドット数も1つずつ増加している。本実施形態においては、最終的にこのような形でオリジナル画像の濃度情報が反映されていることになる。
【0035】
(4n)〜(4n+3)は、nに1以上の整数を代入することにより、記録すべき画像データの左端からの横方向の画素位置を示している。その下に示した各パターンは、同一の入力レベルにおいても画素位置に応じて互いに異なる複数のパターンが用意されていることを示している。すなわち、同一のレベルが入力された場合にも、記録媒体上では(4n)〜(4n+3)に示した4種類のドット配置パターンが巡回されて割当てられる構成となっているのである。
【0036】
図3においては、縦方向を記録ヘッドの吐出口が配列する方向、横方向を記録ヘッドの走査方向としている。このように同一レベルに対して複数の異なるドット配置で記録できる構成にしておくことは、ドット配置パターンの上段に位置するノズルと下段に位置するノズルとで吐出回数を分散させたり、記録装置特有の様々なノイズを分散させるという効果がある。
【0037】
以上説明したドット配置パターン化処理を終了した段階で、記録媒体に対するドットの配置パターンが全て決定される。
【0038】
(G)マスクデータ変換処理
上述したドット配置パターン化処理J0007により、記録媒体上の各エリアに対するドットの有無は決定されたので、このドット配置を示す2値データを記録ヘッドH1001の駆動回路J0009に入力すれば、所望の画像を記録することが可能である。この場合、記録媒体上の同一の走査領域に対する記録を1回の走査によって完成させる、いわゆる1パス記録が実行される。しかし、ここでは、記録媒体上の同一の走査領域に対する記録を複数回の走査によって完成させる、いわゆるマルチパス記録の例をとって説明する。
【0039】
図4は、マルチパス記録方法を説明するために、記録ヘッドおよび記録パターンを模式的に示したものである。本実施形態に適用される記録ヘッドH1001は実際には768個のノズルを有するが、ここでは簡単のため16個のノズルを有するものとして説明する。ノズルは、図のように第1〜第4の4つのノズル群に分割され、各ノズル群には4つずつのノズルが含まれている。マスクパターンP0002は、第1〜第4のマスクパターンP0002(a)〜P0002(d)で構成される。第1〜第4のマスクパターンP0002(a)〜P0002(d)は、それぞれ、第1〜第4のノズル群が記録可能なエリアを定義している。マスクパターンにおける黒塗りエリアは記録許容エリアを示し、白塗りエリアは非記録エリアを示している。第1〜第4のマスクパターンP0002(a)〜P0002(d)は互いに補完の関係にあり、これら4つのマスクパターンを重ね合わせると4×4のエリアに対応した領域の記録が完成される構成となっている。
【0040】
P0003〜P0006で示した各パターンは、記録走査を重ねていくことによって画像が完成されていく様子を示したものである。各記録走査が終了するたびに、記録媒体は図の矢印の方向にノズル群の幅分(この図では4ノズル分)ずつ搬送される。よって、記録媒体の同一領域(各ノズル群の幅に対応する領域)は4回の記録走査によって初めて画像が完成される構成となっている。以上のように、記録媒体の各同一領域が複数回の走査で複数のノズル群によって形成されることは、ノズル特有のばらつきや記録媒体の搬送精度のばらつき等を低減させる効果がある。
【0041】
図5は、本実施形態で実際に適用可能なマスクパターンの一例を示したものである。本実施形態で適用する記録ヘッドH1001は768個のノズルを有しており、4つのノズル群にはそれぞれ192個ずつのノズルが属している。マスクパターン大きさは、縦方向がノズル数と同等の768エリア、横方向は256エリアとなっており、4つのノズル群それぞれに対応する4つのマスクパターンで互いに補完の関係を保つような構成となっている。
【0042】
ところで、本実施形態で適用するような、多数の小液滴を高周波数で吐出するようなインクジェット記録ヘッドにおいては、記録動作時に記録部近傍に気流が生じることが知られている。そして、この気流が特に記録ヘッドの端部に位置するノズルの吐出方向に影響を与えることが確認されている。よって、本実施形態のマスクパターンにおいては、図5からも判るように、各ノズル群また同一のノズル群の中でも、領域によって記録許容率の分布に偏りを持たせている。図5で示すように、端部のノズルの記録許容率を中央部の記録許容率よりも小さくした構成のマスクパターンを適用することにより、端部のノズルにより吐出されるインク滴の着弾位置ずれによる弊害を目立たなくすることが可能となるのである。
【0043】
なお、マスクパターンで定められる記録許容率とは、つぎのようなものである。つまりマスクパターンを構成する記録許容エリア(図4のマスクパターンP0002の黒塗りエリア)と非記録許容エリア(図4のマスクパターンP0002の白塗りエリア)の合計数に対する記録許容エリアの数の割合を百分率で表したものである。すなわち、マスクパターンの記録許容エリアをM個、非記録許容エリアをN個とすると、そのマスクパターンの記録許容率(%)は、M÷(M+N)×100となる。
【0044】
本実施形態においては、図5で示したマスクデータが記録装置本体内のメモリに格納してある。そして、マスクデータ変換処理J0008においては、当該マスクデータと上述したドット配置パターン化処理で得られた2値データとの間でAND処理をかけることにより、各記録走査での記録対象となる2値データが決定される。そして、その2値データを駆動回路J0009へ送る。これにより、記録ヘッドH1001が駆動されて2値データに従ってインクが吐出される。
【0045】
なお、図1では、前段処理J0002、後段処理J0003、γ処理J0004、ハーフトーニングJ0005および記録データ作成処理J0006がホスト装置J0012で実行されるものとした。また、ドット配置パターン化処理J0007およびマスクデータ変換処理J0008が記録装置J0013で実行されるものとした。しかし本発明は、この形態に限られるものではない。例えば、ホスト装置J0012で実行している処理J0002〜J0005の一部を記録装置J0013にて実行する形態であってもよいし、すべてをホスト装置J0012にて実行する形態であってもよい。あるいは、処理J0002〜J0008を記録装置J0013にて実行する形態であってもよい。
【0046】
1.2 機構部の構成
本実施形態で適用する記録装置における各機構部の構成を説明する。本実施形態における記録装置本体は、各機構部の役割から、概して、給紙部、用紙搬送部、排紙部、キャリッジ部、フラットパス記録部、およびクリーニング部等に分類することができ、これらは外装部に収納されている。
【0047】
図6、図7、図8、図12および図13は、本実施形態で適用する記録装置の外観を示す斜視図である。ここで、図6は記録装置の非使用時における前面から見た状態、図7は記録装置の非使用時における背面から見た状態、図8は記録装置の使用時における前面から見た状態をそれぞれ示している。また、図12はフラットパス記録時における前面から見た状態、図13はフラットパス記録時における背面から見た状態をそれぞれ示している。また、図9〜図11および図14〜図16は、記録装置本体の内部機構を説明するための図である。ここで、図9は右上部からの斜視図、図10は左上部からの斜視図、図11は記録装置本体の側断面図である。図14はフラットパス記録時の断面図である。さらに、図15はクリーニング部の斜視図、図16はクリーニング部におけるワイピング機構の構成および動作を説明するための断面図、図17はクリーニング部におけるウエット液転写部の断面図をそれぞれ示したものである。
【0048】
以下、これらの図面を適宜参照しながら、各部を順次説明する。
(A)外装部(図6、図7)
外装部は、給紙部、用紙搬送部、排紙部、キャリッジ部、クリーニング部、フラットパス部およびウエット液転写部の回りを覆うように取り付けられている。外装部は主に、下ケースM7080、上ケースM7040、アクセスカバーM7030、コネクタカバーおよびフロントカバーM7010から構成されている。
【0049】
下ケースM7080の下部には、不図示の排紙トレイレールが設けられており、分割された排紙トレイM3160が収納可能に構成されている。また、フロントカバーM7010は、非使用時に排紙口を塞ぐ構成になっている。
【0050】
上ケースM7040には、アクセスカバーM7030が取り付けられており、回動可能に構成されている。上ケースの上面の一部は開口部を有しており、この位置で、インクタンクH1900および記録ヘッドH1001(図21)が交換可能となるように構成されている。なお、本実施形態の記録装置においては、記録ヘッドH1001は、1色のインクを吐出可能な吐出部を複数色分、一体的に構成したユニットの形態である。そして、インクタンクH1900が色毎に独立に着脱可能な記録ヘッドカートリッジH1000として構成されている。上ケースM7040には、アクセスカバーM7030の開閉を検知用の不図示のドアスイッチレバー、LEDの光を伝達・表示するLEDガイドM7060、電源キーE0018、リジュームキーE0019およびフラットパスキーE3004等が設けられている。また、多段式の給紙トレイM2060が回動可能に取り付けられており、給紙部が使われない時は、給紙トレイM2060を収納することにより、給紙部のカバーにもなるように構成されている。
【0051】
上ケースM7040と下ケースM7080は、弾性を持った勘合爪で取り付けられており、その間のコネクタ部分が設けられている部分を、不図示のコネクタカバーが覆っている。
【0052】
(B)給紙部(図8、図11)
図8および図11を参照するに、給紙部は次のように構成されている。すなわち、記録媒体を積載する圧板M2010、記録媒体を1枚ずつ給紙する給紙ローラM2080、記録媒体を分離する分離ローラM2041、記録媒体を積載位置に戻すための戻しレバーM2020等がベースM2000に取り付けられることで構成されている。
【0053】
(C)用紙搬送部(図8〜図11)
曲げ起こした板金からなるシャーシM1010には、記録媒体を搬送する搬送ローラM3060が回動可能に取り付けられている。搬送ローラM3060は、金属軸の表面にセラミックの微小粒がコーティングされた構成となっており、両軸の金属部分を不図示の軸受けが受ける状態で、シャーシM1010に取り付けられている。搬送ローラM3060にはローラテンションバネ(不図示)が設けられており、搬送ローラM3060を付勢することにより、回転時に適量の負荷を与えて安定した搬送が行えるようになっている。
【0054】
搬送ローラM3060には、従動する複数のピンチローラM3070が当接して設けられている。ピンチローラM3070は、ピンチローラホルダM3000に保持されているが、不図示のピンチローラバネによって付勢されることで、搬送ローラM3060に圧接し、ここで記録媒体の搬送力を生み出している。この時、ピンチローラホルダM3000の回転軸は、シャーシM1010の軸受けに取り付けられ、この位置を中心に回転する。
【0055】
記録媒体が搬送されてくる入口には、記録媒体をガイドするためのペーパガイドフラッパM3030およびプラテンM3040が配設されている。また、ピンチローラホルダM3000には、PEセンサレバーM3021が設けられている。PEセンサレバーM3021は、記録媒体の先端および後端の検出をシャーシM1010に固定されたペーパエンドセンサ(以下PEセンサと称す)E0007に伝える役割を果たす。プラテンM3040は、シャーシM1010に取り付けられ、位置決めされている。ペーパガイドフラッパM3030は、不図示の軸受け部を中心に回転可能で、シャーシM1010に当接することで位置決めされる。
【0056】
搬送ローラM3060の記録媒体搬送方向における下流側には、記録ヘッドH1001(図21)が設けられている。
【0057】
上記構成における搬送の過程を説明する。用紙搬送部に送られた記録媒体は、ピンチローラホルダM3000およびペーパガイドフラッパM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に送られる。この時、PEセンサレバ−M3021が、記録媒体の先端を検知して、これにより記録媒体に対する記録位置が求められている。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とからなるローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転され、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。プラテンM3040には、搬送基準面となるリブが形成されており、このリブにより、記録ヘッドH1001と記録媒体表面との間のギャップが管理されている。また同時に、当該リブが、後述する排紙部と合わせて、記録媒体の波打ちを抑制する役割も果たしている。
【0058】
搬送ローラM3060が回転するための駆動力は、例えばDCモータからなるLFモータE0002の回転力が、不図示のタイミングベルトを介して、搬送ローラM3060の軸上に配設されたプーリM3061に伝達されることによって得られている。また、搬送ローラM3060の軸上には、搬送ローラM3060による搬送量を検出するためのコードホイールM3062が設けられている。そして、隣接するシャーシM1010には、コードホイールM3062に形成されたマーキングを読み取るためのエンコードセンサM3090が配設されている。なお、コードホイールM3062に形成されたマーキングは、150〜300lpi(ライン/インチ;参考値)のピッチで形成されているものとする。
【0059】
(D)排紙部(図8〜図11)
排紙部は、第1の排紙ローラM3100および第2の排紙ローラM3110、複数の拍車M3120およびギア列などから構成されている。
【0060】
第1の排紙ローラM3100は、金属軸に複数のゴム部を設けて構成されている。第1の排紙ローラM3100の駆動は、搬送ローラM3060の駆動が、アイドラギアを介して第1の排紙ローラM3100まで伝達されることによって行われている。
【0061】
第2の排紙ローラM3110は、樹脂の軸にエラストマの弾性体M3111を複数取り付けた構成になっている。第2の排紙ローラM3110の駆動は、第1の排紙ローラM3100の駆動が、アイドラギアを介して伝達すること行われる。
【0062】
拍車M3120は、周囲に凸形状を複数設けた例えばSUSでなる円形の薄板を樹脂部と一体としたもので、拍車ホルダM3130に複数取り付けられている。この取り付けは、コイルバネを棒状に設けた拍車バネによって行われているが、同時に拍車バネのばね力は、拍車M3120を排紙ローラM3100およびM3110に対し所定圧で当接させている。この構成によって拍車M3120は、2つの排紙ローラM3100およびM3110に従動して回転可能となっている。拍車M3120のいくつかは、第1の排紙ローラM3100のゴム部、あるいは第2の排紙ローラM3110の弾性体M3111の位置に設けられており、主に記録媒体の搬送力を生み出す役割を果たしている。また、その他のいくつかは、ゴム部あるいは弾性体M3111が無い位置に設けられ、主に記録時の記録媒体の浮き上がりを抑える役割を果たしている。
【0063】
また、ギア列は、搬送ローラM3060の駆動を排紙ローラM3100およびM3110に伝達する役割を果たしている。
【0064】
以上の構成によって、画像形成された記録媒体は、第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれ、搬送されて排紙トレイM3160に排出される。排紙トレイM3160は、複数に分割され、後述する下ケースM7080の下部に収納できる構成になっている。使用時は、引出して使用する。また、排紙トレイM3160は、先端に向けて高さが上がり、更にその両端は高い位置に保持されるよう設計されており、排出された記録媒体の積載性を向上し、記録面の擦れなどを防止している。
【0065】
(E)キャリッジ部(図9〜図11)
キャリッジ部は、記録ヘッドH1001を取り付けるためのキャリッジM4000を有しており、キャリッジM4000は、ガイドシャフトM4020およびガイドレールM1011によって支持されている。ガイドシャフトM4020は、シャーシM1010に取り付けられており、記録媒体の搬送方向に対して直角方向にキャリッジM4000を往復走査させるように案内支持している。ガイドレールM1011は、シャーシM1010に一体に形成されており、キャリッジM4000の後端を保持して記録ヘッドH1001と記録媒体との隙間を維持する役割を果たしている。また、ガイドレールM1011のキャリッジM4000との摺動側には、ステンレス等の薄板からなる摺動シートM4030が張設され、記録装置の摺動音の低減化を図っている。
【0066】
キャリッジM4000は、シャーシM1010に取り付けられたキャリッジモータE0001によりタイミングベルトM4041を介して駆動される。また、タイミングベルトM4041は、アイドルプーリM4042によって張設、支持されている。さらに、タイミングベルトM4041は、キャリッジM4000とゴム等からなるキャリッジダンパを介して結合されており、キャリッジモータE0001等の振動を減衰することで、記録される画像のむら等を低減している。
【0067】
キャリッジM4000の位置を検出するためのエンコーダスケールE0005(図18について後述)が、タイミングベルトM4041と平行に設けられている。エンコーダスケールE0005上には、150lpi〜300lpiのピッチでマーキングが形成されてている。そして、当該マーキングを読み取るためのエンコーダセンサE0004(図18について後述)が、キャリッジM4000に搭載されたキャリッジ基板E0013(図18について後述)に設けられている。キャリッジ基板E0013には、記録ヘッドH1001と電気的な接続を行うためのヘッドコンタクトE0101も設けられている。また、キャリッジM4000には、電気基板E0014から記録ヘッドH1001へ、駆動信号を伝えるための不図示のフレキシブルケーブルE0012(図18について後述)が接続されている。
【0068】
記録ヘッドH1001をキャリッジM4000に固定するための構成として次のものが設けられている。すなわち、記録ヘッドH1001をキャリッジM4000に押し付けながら位置決めするための不図示の突き当て部と、所定の位置に固定するための不図示の押圧手段が、キャリッジM4000上に設けられている。押圧手段は、ヘッドセットレバーM4010に搭載され、記録ヘッドH1001をセットする際に、ヘッドセットレバーM4010を回転支点を中心に回して、記録ヘッドH1001に作用する構成になっている。
【0069】
さらに、キャリッジM4000には、CD−R等の特殊メディアへ記録を行う際や、記録結果や用紙端部等の位置検出用として、反射型の光センサからなる位置検出センサM4090が取り付けられている。位置検出センサM4090は、発光素子より発光し、その反射光を受光することで、キャリッジM4000の現在位置を検出することができる。
【0070】
上記構成において記録媒体に画像形成する場合、行位置に対しては、搬送ローラM3060およびピンチローラM3070からなるローラ対が、記録媒体を搬送して位置決めする。また、列位置に対しては、キャリッジモータE0001によりキャリッジM4000を上記搬送方向と垂直な方向に移動させて、記録ヘッドH1001を目的の画像形成位置に配置させる。位置決めされた記録ヘッドH1001は、電気基板E0014からの信号に従って、記録媒体に対しインクを吐出する。記録ヘッドH1001についての詳細な構成および記録システムは後述する。本実施形態の記録装置においては、記録ヘッドH1001により記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に走査する記録主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体が行方向に搬送される副走査とを交互に繰り返す。これにより、記録媒体上に画像を形成していく構成となっている。
【0071】
(F)フラットパス記録部(図12〜図14)
給紙部からの給紙は、図11に示したように記録媒体が通る経路がピンチローラに達するまで曲がっているため、記録媒体を曲げた状態で行われることになる。従って、例えば0.5mm程度以上の厚い記録媒体等を給紙部から給紙しようとすると、曲げられた記録媒体の反力が発生し、給紙抵抗が増えて給紙が行えない場合がある。また、給紙が可能であっても、排紙後の記録媒体が曲がったままとなったり、折れたりすることもある。
【0072】
厚い記録媒体等、曲げたくない記録媒体や、CD−R等、曲げることのできない記録媒体に対して記録を行うのがフラットパス記録である。
【0073】
ここで、フラットパス記録には本体背面のスリット上の開口部から(給紙装置の下)、手差し給紙の態様で記録媒体を本体のピンチローラにニップさせ、記録を行うタイプがある。しかし本実施形態のフラットパス記録は、記録媒体を本体手前の排紙口から記録位置まで給紙し、スイッチバックしてから記録を行う形態のものである。
【0074】
フロントカバーM7010は、通常記録した記録媒体を数十枚程度積載しておくためのトレイを兼ねるために排紙部より下方にある(図8)。フラットパス記録時には、記録媒体を排紙口から水平に、通常の搬送方向とは反対方向に給紙するために、フロントトレイM7010を排紙口の位置まで上げる(図12)。フロントカバーM7010には不図示のフック等が設けられており、フラットパス給紙位置にフロントカバーM7010を固定可能である。フロントカバーM7010がフラットパス給紙位置にあることはセンサで検知可能であり、当該検知に応じてフラットパス記録モードと判断することができる。
【0075】
フラットパス記録モードでは、記録媒体をフロントトレイM7010に載せて排紙口から記録媒体を挿入するために、まずフラットパスキーE3004を操作する。これによって、想定している記録媒体の厚みより高い位置まで、拍車ホルダM3130とピンチローラホルダM3000とを不図示の機構により持ち上げる。また通紙領域内にキャリッジM4000が存在するような場合などは、キャリッジM4000を不図示のリフト機構により持ち上げることにより、記録媒体を挿入し易くすることができる。またリアトレイボタンM7110を押すことによってリアトレイM7090を開き、さらにリアサブトレイM7091をV字に開くことも可能である(図13)。リアトレイM7090およびリアサブトレイM7091は、長い記録媒体を本体前面から挿入した場合は本体背面から突出するので、長い記録媒体を本体背面でも支えるためのトレイである。厚い記録媒体は記録中にフラットな姿勢を保たないとヘッドフェイス面と擦れたり、搬送負荷が変化したりすることから記録品位に影響を及ぼすおそれがあるので、これらのトレイの配設は有効である。しかし本体背面からはみ出ない程度の長さの記録媒体であれば、リアトレイM7090等を開く必要はない。
【0076】
以上によって、記録媒体を排紙口から本体内に挿入可能となる。記録媒体の後端部(ユーザに最も近く位置する手前側の端部)と右端部とをフロントトレイM7010のマーカ位置に揃えて、フロントトレイM7010に載せる。
【0077】
ここで再度フラットパスキーE3004を操作すると、拍車ホルダ3130が降りて排紙ローラM3100およびM3110と拍車3120とで記録媒体をニップする。その後、排紙ローラM3100,M3110で記録媒体を所定量本体内に引き込む(通常記録時の搬送方向とは逆方向)。最初に記録媒体をセットした際に記録媒体の手前側の端部(後端部)を揃えているので、短い記録媒体の前端部(ユーザから見て最も奥側の端部)は搬送ローラM3060まで届いていないことがある。従って所定量とは、想定している一番短い記録媒体の後端が搬送ローラM3060に届くまでの距離とする。所定量送られた記録媒体は搬送ローラM3060に届いているので、その位置でピンチローラホルダM3000を降ろして、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とで記録媒体をニップさせる。そして記録媒体をさらに送り、その後端部が搬送ローラM3060とピンチローラM3070とでニップされるようにする。これで記録媒体のフラットパス記録のための給紙が終了したことになる(記録待機位置)。
【0078】
排紙ローラM3100およびM3110と拍車M3120とのニップ力は、通常記録時の排紙時に形成画像に影響を与えないよう、比較的低く設定されている。従って、フラットパス記録時には記録を行うまでに記録媒体の位置がずれてしまうおそれがある。しかし本実施形態では、ニップ力が比較的高い搬送ローラM3060とピンチローラM3070とによって記録媒体をニップさせるので、記録媒体のセット位置が確保されたことになる。また、記録媒体を上記所定量だけ本体内に送るとき、フラットパス紙検知センサレバー(以下FPPEセンサレバーと称す)M3170が、ここでは図示しない赤外線センサであるFPPEセンサE9001の光路を遮蔽または形成する。これにより、記録媒体の後端位置(記録時の前端位置となる)を検知することができる。なお、FPPEセンサレバーはプラテンM3040と拍車ホルダM3130の間に回動可能に設けられたものとすることができる。
【0079】
記録媒体が上記記録待機位置に設定されると、記録コマンドを実行する。すなわち、記録ヘッドH1001による記録位置まで搬送ローラM3060で記録媒体を搬送し、後は通常の記録動作と同じように記録を行い、記録後フロントトレイM7010に排紙することになる。
【0080】
フラットパス記録をさらに行いたい場合は、記録した記録媒体をフロントトレイM7010から取り出し、次の記録媒体をセットして、後は前述した処理を繰り返せばよい。具体的には、フラットパスキーE3004を押すことによって、拍車ホルダM3130とピンチローラホルダM3000とを持ち上げて、記録媒体をセットすることから始まる。
【0081】
一方、フラットパス記録を終了する場合は、フロントトレイM7010を通常記録位置に戻すことによって通常記録モードに戻すことができる。
【0082】
(G)クリーニング部(図15、図16)
クリーニング部は記録ヘッドH1001のクリーニングを行うための機構である。これは、ポンプM5000、記録ヘッドH1001の乾燥を抑えるためのキャップM5010、記録ヘッドH1001の吐出口形成面をクリーニングするためのブレードM5020などから構成されている。
【0083】
本実施形態では、クリーニング部の主な駆動力は、不図示のAPモータE3005から伝達される。そして不図示のワンウェイクラッチにより、一方向の回転でポンプM5000を作動させ、もう一方向の回転ではブレードM5020の移動およびキャップM5010の昇降を行わせるようになっている。なお、APモータE3005は記録媒体の給紙動作の駆動源にも用いられるものであるが、クリーニング部の動作を行うための専用のモータが設けられていてもよい。
【0084】
キャップM5010はモータE0003から不図示の昇降機構を介して昇降可能に駆動される。そして、上昇位置では、記録ヘッドH1500に設けた数個の吐出部のフェイス面毎にキャッピングを施し、非記録動作時等においてその保護を行ったり、あるいは吸引回復を行うことが可能である。また、記録動作時には記録ヘッド9との干渉を避ける下降位置に設定され、またフェイス面との対向によって予備吐出を受けることが可能である。例えば記録ヘッドH1001に10個の吐出部が設けられ、5個の吐出部のフェイス面毎に一括してキャッピングを施すことが可能となるよう、図示の例ではキャップM5010は2つ設けられている。
【0085】
ゴム等の弾性部材でなるワイパ部M5020は不図示のワイパホルダに固定されている。ワイパホルダは図16の+Yおよび−Y方向(吐出部における吐出口の配列方向)に移動可能である。そして、記録ヘッドH1001がホームポジションに到達したときに、矢印−Y方向にワイパホルダが移動することによって、ワイピングが可能である。ワイピング動作が終了すると、キャリッジをワイピング領域の外に退避させてから、ワイパがフェイス面等と干渉しない位置に戻す。なお、本例のワイパ部M5020には、全吐出部のフェイス面を含む記録ヘッドH1001の面全体をワイピングするワイパブレードM5020Aが設けられている。また、5つの吐出部のフェイス面毎に、ノズル近傍をするワイピングする2つのワイパブレードM5020B,M5020Cが設けられている。
【0086】
そして、ワイピング後には、ワイパ部M5020がブレードクリーナM5060に当接することにより、ワイパブレードM5020A〜M5020C自身へ付着したインクなども除去することができる構成になっている。また、ワイピングに先立ってワイパブレードM5020A〜M5020Cにウエット液を転写させておくことによりワイピングによるクリーニング性を向上する構成(ウエット液転写部)が設けられている。このウエット液転写部の構成およびワイピング動作については後述する。
【0087】
吸引ポンプM5000は、キャップM5010をフェイス面に接合させてその内部に密閉空間を形成した状態で負圧を発生させることが可能である。これにより、インクタンクH1900から吐出部内にインクを充填させたり、吐出口もしくはその内方のインク路に存在する塵埃、固着物、気泡等を吸引除去したりすることができる。
【0088】
吸引ポンプM5000としては、例えばチューブポンプ形態のものが用いられる。これは、可撓性を有するものとしたチューブの少なくとも一部を沿わせて保持する曲面が形成された部材と、これに向けて可撓性チューブを押圧可能なローラと、このローラを支持して回転可能なローラ支持部とを有するものとすることができる。すなわち、ローラ支持部を所定方向に回転させることで、ローラは曲面形成部材上で可撓性チューブを押しつぶしながら転動する。これに伴い、キャップM5010が形成する密閉空間に負圧が生じてインクが吐出口より吸引され、キャップM5010からチューブないし吸引ポンプに引き込まれる。そして、引き込まれているインクはさらに下ケースM7080に設けた適宜の部材(廃インク吸収体)に向けて移送される。
【0089】
なお、キャップM5010の内側部分には、吸引後の記録ヘッドH1001のフェイス面に残るインクを削減するために、吸収体M5011が設けられている。また、キャップM5010を開放した状態で、キャップM5010ないし吸収体M5011に残っているインクを吸引することにより、残インクによる固着およびその後の弊害が起こらないように配慮されている。ここで、インク吸引経路の途中に大気開放弁(不図示)を設け、キャップM5010をフェイス面から離脱させる際に予めこれを開放しておくことで、フェイス面に急激な負圧が作用しないようにしておくことが好ましい。
【0090】
また、吸引ポンプM5000は、吸引回復だけでなく、キャップM5010がフェイス面に対向した状態で行われる予備吐出動作によってキャップM5010に受容されたインクを排出するためにも作動させることができる。すなわち、予備吐出されてキャップM5010に保持されたインクが所定量に達したときに吸引ポンプM5000を作動させることで、キャップM5010内に保持されていたインクをチューブを介して廃インク吸収体に移送することができる。
【0091】
以上のワイパ部M5020の動作、キャップM5010の昇降および弁の開閉など、連続して行われる一連の動作は、モータE0003の出力軸上に設けた不図示のメインカムおよびこれに従動する複数のカム,アーム等によって制御可能である。すなわち、モータE0003の回転方向に応じたメインカムの回動によってそれぞれの部位のカム部,アーム等が作動することで、所定の動作を行うことが可能である。メインカムの位置はフォトインタラプタ等の位置検出センサで検出することができる。
【0092】
(H)ウエット液転写部(図17、図16)
最近では、記録物の記録濃度、耐水性および耐光性等を向上する目的で、色材として顔料成分を含有するインク(以下、顔料インクという)が使用されることが多くなってきている。顔料インクは、元来固体である色材を、分散剤や、顔料表面に官能基を導入するなどして水中に分散させてなるものである。従って、フェイス面上でインク中の水分が蒸発し乾燥した顔料インクの乾燥物は、色材自体が分子レベルで溶解している染料系インクの乾燥固着物と比べ、フェイス面に与えるダメージが大きい。また、また顔料を溶剤中に分散させるために用いている高分子化合物がフェイス面に対して吸着されやすいという性質が見られる。これは、インクの粘度調整や、耐光性向上その他の目的でインクに反応液を添加する結果インク中に高分子化合物が存在する場合には、顔料インク以外でも生じる問題である。
【0093】
この課題に対し、本実施形態では、ブレードM5020に液体を転写・付着させ、これによって濡れたブレードM5020でワイピングを行う。これにより、顔料インクによるフェイス面の劣化を防ぎ、かつワイパの磨耗を軽減し、さらにはフェイス面に蓄積したインク残渣を溶解させることによって蓄積物を除去するようにしている。かかる液体をその機能から本明細書ではウエット液と称し、これを用いるワイピングをウエットワイピングと称する。
【0094】
本実施形態では、ウエット液を記録装置本体内部に貯蔵する構成がとられている。M5090はウエット液タンクであり、ウエット液としてグリセリン溶液等を収納している。M5100はウエット液保持部材で、ウエット液がウエット液タンクM5090から漏れないように適度な表面張力を有する繊維質部材等であり、ウエット液を含浸保持している。M5080はウエット液転写部材であり、例えば、多孔質であって適度な毛管力を備えた材質でなり、ワイパブレードと接触するウエット液転写部分M5081を有している。ウエット液転写部材M5080はウエット液が染み込んだウエット液保持部材M5100とも接しており、従ってウエット液転写部材M5080もウエット液が染み込むことになる。ウエット液転写部材M5080は、ウエット液が残り少なくなってもウエット液転写部分M5081へウエット液を供給できるだけの毛管力を有した材質である。
【0095】
かかるウエット液転写部およびワイパ部の動作を説明する。
【0096】
まず、キャップM5010を下降位置に設定し、キャリッジM4000がブレードM5020A〜M5020Cに触れない位置に退避させる。この状態で、ワイパ部M5020を−Y方向に移動させ、ブレードクリーナM5060の部位を通過させて、ウエット液転写部分M5081に接触させる(図17)。適切な時間だけ接触状態を維持することで、ブレードM5020にウエット液が適量転写される。
【0097】
次にワイパ部M5020を+Y方向に移動させるが、ブレードがブレードクリーナM5060に触れるのはウエット液が付着していない面であるので、ウエット液はブレードに保持されたままになる。
【0098】
ブレードをワイピング開始位置まで戻した後、キャリッジM4000をワイピング位置まで移動させる。再度、ワイパ部M5020を−Y方向に移動させることによって、ウエット液が付いた面で記録ヘッドH1001のフェイス面をワイピングすることが可能となる。
【0099】
1.3 電気回路構成
次に本実施形態における電気的回路の構成を説明する。
【0100】
図18は、記録装置J0013における電気的回路の全体構成を概略的に説明するためのブロック図である。本実施形態で適用する記録装置では、主にキャリッジ基板E0013、メイン基板E0014、電源ユニットE0015およびフロントパネルE0106等によって構成されている。
【0101】
ここで、電源ユニットE0015は、メイン基板E0014と接続され、各種駆動電源を供給するものとなっている。
【0102】
キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4000に搭載されたプリント基板ユニットであり、ヘッドコネクタE0101を通じて記録ヘッドH1001との信号の授受、ヘッド駆動電源の供給を行うインターフェースとして機能する。ヘッド駆動電源の制御に供する部分として、記録ヘッドH1001の各色吐出部に対する複数チャネルのヘッド駆動電圧変調回路E3001を有しする。そして、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014から指定された条件に従ってヘッド駆動電源電圧を発生する。また、キャリッジM4000の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づいて、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出する。更にその出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014へと出力する。
【0103】
キャリッジ基板E0013には、図20に示すように、2つの発光素子(LED)E3011および受光素子E3013でなる光学センサE3010および周囲温度を検出するためのサーミスタE3020が接続されている。以下、これらのセンサをマルチセンサE3000として参照する。マルチセンサE3000により得られる情報は、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014へと出力される。
【0104】
メイン基板E0014は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットである。その基板上にホストインタフェース(ホストI/F)E0017を有しており、不図示のホストコンピュータからの受信データをもとに記録動作の制御を行う。また、キャリッジモータE0001、LFモータE0002、APモータE3005、PRモータE3006など、各種モータと接続されて各機能の駆動を制御している。キャリッジモータE0001は、キャリッジM4000を主走査させるための駆動源となるモータである。LFモータE0002、記録媒体を搬送するための駆動源となるモータである。APモータE3005は、記録ヘッドH1001の回復動作および記録媒体の給紙動作の駆動源となるモータである。PRモータE3006は、フラットパス記録動作の駆動源となるモータである。さらに、PEセンサ、CRリフトセンサ、LFエンコーダセンサ、PGセンサのような、プリンタ各部の動作状態を検出する様々なセンサに対して、制御信号および検出信号の送受信を行うためのセンサ信号E0104に接続される。また、メイン基板E0014は、CRFFC E0012および電源ユニットE0015にそれぞれ接続されるとともに、さらにパネル信号E0107を介してフロントパネルE0106と情報の授受を行うためのインターフェースを有している。
【0105】
フロントパネルE0106は、ユーザ操作の利便性のために、記録装置本体の正面に設けたユニットである。これは、リジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018およびフラットパスキーE3004を有するほか(図6)、さらにデジタルカメラ等の周辺デバイスとの接続に用いるデバイスI/F E0100を有している。
【0106】
図19は、メイン基板E1004の内部構成を示すブロック図である。
【0107】
図において、E1102はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。これは、制御バスE1014を通じてROM E1004に接続され、ROM E1004に格納されたプログラムに従って、各種制御を行っている。例えば、各種センサに関連するセンサ信号E0104や、マルチセンサE3000に関連するマルチセンサ信号E4003の送受信を行う。そのほか、エンコーダ信号E1020、フロントパネルE0106上の電源キーE0018、リジュームキーE0019およびフラットパスキーE3004からの出力の状態を検出している。また、ホストI/F E0017、フロントパネル上のデバイスI/F E0100の接続およびデータ入力状態に応じて、各種論理演算や条件判断等を行い、各構成要素を制御し、インクジェット記録装置の駆動制御を司っている。
【0108】
E1103はドライバ・リセット回路である。これは、ASIC E1102からのモータ制御信号E1106に従って、CRモータ駆動信号E1037、LFモータ駆動信号E1035、APモータ駆動信号E4001およびPRモータ駆動信号E4002を生成し、各モータを駆動する。さらに、ドライバ・リセット回路E1103は、電源回路を有しており、メイン基板E0014、キャリッジ基板E0013、フロントパネルE0106など各部に必要な電源を供給する。、さらには電源電圧の低下を検出して、リセット信号E1015を発生および初期化を行う。
【0109】
E1010は電源制御回路であり、ASIC E1102からの電源制御信号E1024に従って発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。
【0110】
ホストI/F E0017は、ASIC E1102からのホストI/F信号E1028を、外部に接続されるホストI/FケーブルE1029に伝達し、またこのケーブルE1029からの信号をASIC E1102に伝達する。
【0111】
一方、電源ユニットE0015からは電力が供給される。供給された電力は、メイン基板E0014内外の各部へ、必要に応じて電圧変換された上で供給される。また、ASIC E1102からの電源ユニット制御信号E4000が電源ユニットE0015に接続され、記録装置本体の低消費電力モード等を制御する。
【0112】
ASIC E1102は1チップの演算処理装置内蔵半導体集積回路であり、前述したモータ制御信号E1106、電源制御信号E1024および電源ユニット制御信号E4000等を出力する。そして、ホストI/F E0017との信号の授受を行うとともに、パネル信号E0107を通じて、フロントパネル上のデバイスI/F E0100との信号の授受を行う。さらに、センサ信号E0104を通じてPEセンサ、ASFセンサ等各部センサ類により状態を検知する。さらに、マルチセンサ信号E4003を通じてマルチセンサE3000を制御するとともに状態を検知する。、またパネル信号E0107の状態を検知して、パネル信号E0107の駆動を制御してフロントパネル上のLED E0020の点滅を行う。
【0113】
さらにASIC E1102は、エンコーダ信号(ENC)E1020の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号E1021で記録ヘッドH1001とのインターフェースをとり記録動作を制御する。ここにおいて、エンコーダ信号(ENC)E1020はCRFFC E0012を通じて入力されるエンコーダセンサE0004の出力信号である。また、ヘッド制御信号E1021は、フレキシブルフラットケーブルE0012を通じてキャリッジ基板E0013に接続される。そして、前述のヘッド駆動電圧変調回路E3001およびヘッドコネクタE0101を経て記録ヘッドH1001に供給されるとともに、記録ヘッドH1001からの各種情報をASIC E1102に伝達する。このうち吐出部毎のヘッド温度情報については、メイン基板上のヘッド温度検出回路E3002で信号増幅された後、ASIC E1102に入力され、各種制御判断に用いられる。
【0114】
図中、E3007はDRAMであり、記録用のデータバッファ、ホストコンピュータからの受信データバッファ等として、また各種制御動作に必要なワーク領域しても使用されている。
【0115】
1.4 記録ヘッド構成
以下に本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。 本実施形態におけるヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクタンクH1900を搭載する手段およびインクタンクH1900から記録ヘッドにインクを供給するための手段を有している。そして、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
【0116】
図21は、本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000に対し、インクタンクH1900を装着する様子を示した図である。本実施形態の記録装置は、10色の顔料インクによって画像を形成する。10色とはシアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、レッド(R)、グリーン(G)およびグレー(Gray)である。従ってインクタンクT0001もこれら10色分のものが独立に用意されている。そして、図に示すように、インクタンクそれぞれがヘッドカートリッジH1000に対して着脱自在となっている。なお、インクタンクH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000が搭載された状態で行えるようになっている。
【0117】
1.5 インク構成
以下に本発明で使用する10色のインクについて説明する。
【0118】
本発明に用いられる10色とは、シアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、グレー(Gray)、レッド(R)およびグリーン(G)である。各色に用いられる着色剤は全てが顔料であることが好ましい。ここで、顔料の分散を行うためには、公知一般の分散剤を用いてもよいし、また公知一般の方法で顔料表面を改質し、自己分散性を付与してもよい。本発明の主旨にあえば、少なくとも一部の色に用いられる着色剤が染料であってもよい。また、少なくとも一部の色に用いられるの着色剤が顔料と染料を調色した形でもよく、顔料を複数種ふくんでもよい。また本発明に用いられる10色インクには、本発明の主旨にある範疇で、水溶性有機溶剤・添加剤・界面活性剤・バインダー・防腐剤から選ばれる少なくとも1種以上が含まれてもよい。
【0119】
2.特徴構成
2.1 ウエット液転写部の詳細
上述のように、本実施形態に係る記録装置は顔料インクを用いている。フェイス面上でインク中の水分が蒸発し乾燥した顔料インクの乾燥物は、色材自体が分子レベルで溶解している染料系インクの乾燥固着物と比べ、フェイス面に与えるダメージが大きい。また、また顔料を溶剤中に分散させるために用いている高分子化合物がフェイス面に対して吸着されやすい。そこで本実施形態では、図17に示したようにブレードM5020にウエット液を転写・付着させることでこれを濡らし、その濡れたブレードM5020で図16に示したようにワイピング(ウェットワイピング)を行うようにしている。また本実施形態では、ウエット液を、記録装置本体内部のウエット液タンクM5090に収納されたウエット液保持部材M5100に含浸保持させることで貯蔵する構成がとられている。
【0120】
ウエット液保持部材M5100は、ウエット液がウエット液タンクM5090から漏れないように適度な表面張力を有する繊維質部材等の吸収体でなり、本実施形態ではポリプロピレン繊維をスポンジ状にしたもの(以下PPスポンジと言う)を用いている。なお、ポリプロピレン繊維の繊維径や、ポリプロピレン繊維をスポンジ化したときの見かけ密度、スポンジ内の繊維の配向方向、PPスポンジをウエット液タンクM5090内に組み込むときの圧縮率等は適宜選択することができる。
【0121】
図17に示したように、ウエット液保持部材M5100の底面と接するとともに、ワイパブレードM5020と接触するウエット液転写部分M5081を有したウエット液転写部材M5080は、例えば多孔質であって適度な毛管力を備えた材質でなっている。そしてウエット液転写部材M5080は、ウエット液の初期保持状態から残量が少なくなるまで、ウエット液保持部材M5100と転写部材M5080の間で確実にウエット液の供給が行われるようにする機能を果たす。
【0122】
かかる機能を果たすためのウエット液保持部材M5100、ウエット液転写部材M5080およびそれらの関係を詳しく説明する。
【0123】
図22はこれを説明するためのウエット液タンクM5090の主要部を示す断面図である。
ウエット液は保持部材M5100により、転写部分M5081より下方において含浸保持されている。そして、転写部材M5080の毛管力により転写部分M5081まで引き上げられる。ここで、ウエット液保持部M5100と転写部材M5080の間で確実にウエット液の供給が行われるようにするために、本実施形態では、ウエット液保持部M5100の毛管力よりも、ウエット液転写部材M5080の毛管力の方が強くなるよう設定されている。これにより、ウエット液転写部M5081からブレードM5020へ転写して失われたウエット液が、ウエット液保持部M5100からウエット液転写部材M5080へ毛管力差により供給されることになる。
【0124】
また、ウエット液転写部材M5080は、ウエット液が残り少なくなってもウエット液転写部M5081へウエット液を供給できるだけの毛管力を有するように選択する。換言すれば、ウエット液保持部材M5100の底面と接する部位M5080Bからウエット液転写部分M5081までの高さHは、ウエット液転写部材M5080が毛管力でウエット液を引き上げられる最大高さ以下に設定される。また、記録装置本体運搬時の振動や衝撃あるいは姿勢により、ウエット液保持部材M5100内でウエット液がウエット液転写部分M5081から遠方に偏っている場合でも、ウエット液転写部分M5081までウエット液が移動できるようにすることが好ましい。このために本実施形態では、ウエット液転写部の底部M5080Bをウエット液保持部M5100の底面、好ましくは底面全体に接するように配置して、ウエット液が途切れてしまうことのないようにしている。また、ウエット液転写部M5081からウエット液転写部材の最遠部M5080Dまでの距離についても、ウエット液転写部材M5080が毛管力でウエット液を引き上げられる最大高さ以下に設定する。
【0125】
以上のような関係が維持されれば、ウエット液転写部材M5080の平均気孔径、見かけ密度および毛管力等は適宜選択可能である。本実施形態では、旭化成ケミカルズ株式会社製サンファイン(登録商標)AQ890を用いている。
【0126】
ウエット液としては、本実施形態ではグリセリンを用いている。グリセリンはそのものは蒸発しにくいが、空気中の水分を吸湿しやすく、また一旦吸湿した場合でも低湿度環境下では水分を放出する特性がある。従って、吸湿、乾燥の影響を受けないように、ウエット液保持部M5100および転写部材M5080の外周面を図示しない水蒸気透過性の低い材料で遮蔽することが好ましい。ただしウエット液保持部に存在するエアーの膨張収縮に耐えられるように、完全密閉するのではなく、一部に大気連通用の細孔を設けることが望ましい。なお、ウエット液保持部M5100および転写部材M5080の接触部分(底面部分)およびウエット液転写部分M5081については遮蔽は行わない。
【0127】
ウエット液転写部材M5080にサンファイン(登録商標)AQ890、ウエット液にグリセリンを用いる本実施形態では、ウエット液転写部材M5080がウエット液を引き上げる限界引き上げ高さは低温・低湿環境下で60mmほどである。このため、ウエット液転写部材の底面部M5080Bとウエット液転写部M5081までの距離(高さH)は20mmとした。また、ウエット液転写部M5081からウエット液転写部材の最遠部M5080Dまでの、ウエット液転写部材に沿った距離は50mmとなるようにした。
【0128】
次に、ウエット液保持部材M5100の大きさすなわち容積については、ウエット液の必要量から次のように算出できる。まず、記録装置または記録ヘッドの寿命が尽きるまでに行われる記録枚数(耐久枚数)相当分のワイピングを行ったとしてもフェイス面の撥水状態に大きな変化がなく、吐出液滴の着弾位置精度が許容範囲内であるのに必要なウエット液転写量を実験等で求める。そしてウエット液保持部材M5100は、これに耐久枚数相当分のワイピング回数を乗じた量のウエット液を保持可能な容積より大きい容積を有するものとする。
【0129】
例えば1回のウェットワイプあたり0.5mgのグリセリンをブレードM5020に転写した上で撥水性のフェイス面に塗布することで、目標とする耐久枚数30000枚を問題なく行うことができるとすると、耐久枚数の間に必要なグリセリン量は15gとなる。これに、グリセリンの密度、PPスポンジのグリセリン保持量、転写部材のグリセリン保持量および、実質的に供給が行えなくなったとき(使いきり時)のグリセリン残量等を考慮すると、グリセリン保持部の容積は20cc程度が必要となる。初期のグリセリン注入量は、使いきり効率にもよるが、通常100%使い切ることは期待できないので、必要最低限の量(15g)に安全係数(例えば1.2)を乗じたものとしておくことが強く望ましい。
【0130】
これらの条件、すなわち1回のワイピングで必要なグリセリン等のウエット液の量、および想定する耐久枚数ないしワイピング回数に関しては、記録装置や記録ヘッドの構成等に応じて異なる。また、使いきり時における保持部材や転写部材のグリセリン残量、および使用者によって異なる使用状況を考慮して安全係数が設定される。さらに、吸湿によるグリセリンの体積増大分を考慮しなければならない。従って、吸収体である保持部材の容積は、1回のワイピングで必要なグリセリン等のウエット液の量、ワイピング回数および安全係数を乗じ、さらに環境に応じた体積変動分を考慮して定めることが強く望ましい。そのように保持部材の容積を適切に定めることで、保持部材は、転写部分より下方においてウエット液を好ましく含浸保持しておくことが可能となる。またこれにより、転写部材の毛管力によりウエット液を引き上げて供給・転写することができ、様々な環境下においても安定かつ十分なウエット液の供給ないし転写性能を維持することができるようになる。
【0131】
2.2 ウェットワイピング動作
上述のように保持・供給されるウェット液を用いるウェットワイピングの動作例を説明する。
【0132】
図23はワイピング動作を説明するための模式図である。本例のワイパ部M5020には3枚のブレードM5020A〜M5020Cが設けられているが、ここでは簡略化のために1枚のブレードのみが図示されている。(a)〜(f)はワイパ部M5020が取る位置を示している。なお、ブレードにはポリエーテルウレタンを用いることができる。また、ヘッドH1001のフェイス面は、撥水材のコートなどによる撥水処理が施されたものとすることができる。
【0133】
通常ワイパ部M5020は位置(a)に設定されている。そして、ウェットワイピングの動作開始にあたっては、まずキャップM5010を下降位置(−Z方向)に設定するとともに、記録ヘッドH1001ないしキャリッジM4000がワイパ部M5020のブレードに触れない位置に退避させる。この状態で、ワイパ部M5020を−Y方向に移動させ、ブレードクリーナM5060の部位(位置(d))を通過させる。このときブレードはブレードクリーナM5060によって清掃される。その後ブレードはさらに、位置(e)を経て、ウエット液転写部分M5081に当接する(位置(f))。そして転写部分に対する所定のニップ幅および当接時間に応じ、ブレードにはウエット液が適量転写される。
【0134】
この後、ワイパ部M5020を位置(a)までY方向に移動させる。この過程でブレードがブレードクリーナM5060に接触するが、接触するのはウエット液が付着していない面であるので、ウエット液はブレードに保持されたままである。
【0135】
ブレードをワイピング開始位置である位置(a)まで戻した後、キャリッジM4000を移動させ、記録ヘッドH1001のフェイス面がブレードによるワイピング可能な位置に設定する。そして、ワイパ部M5020を−Y方向に移動させることによって(位置(a)、(b)、(c))、ウエット液が付いた面で記録ヘッドH1001のフェイス面をワイピングする。
【0136】
上述のように、本例では長期間にわたって十分な量のウエット液の保持が可能であり、かつ様々な環境下においても安定かつ十分なウエット液の供給性能を維持することができる。従って、ブレードには適量のウエット液が転写されており、その状態でワイピングを行うことにより、所期のウエットワイプ効果を得ることができる。すなわち、フェイス面に蓄積されたインク増粘物や増膜物を適切に溶解・除去することができる。また、ブレードとフェイス面との間にウエット液が介在することにより潤滑材の働きをし、ワイパの磨耗を軽減することができる。さらに、フェイス面にウエット液を付着させることでフェイス面保護のための膜を形成することができる。
【0137】
ワイピング終了後、さらに矢印−Y方向に移動すると、ブレードはブレードクリーナM5060に当接し(位置(d))、位置(e)に至る。ブレードクリーナM5060との当接により、フェイス面から掻きとられ、ブレードに付着したインク滴、塵埃、紙粉等は、ブレードクリーナM5060に転写(移動)することで回収される。
【0138】
なお、以上のようなワイピングおよびブレードクリーナM5060との当接終了後、ブレードないしワイパ部M5020を位置(e)から位置(a)に戻し、待機状態とすることができる。または、位置(f)まで移動させてウエット液を転写させた後に位置(a)に戻すこともできる。後者の場合、必要に応じて連続してワイピング動作を行うことが可能となる。また、連続してワイピング動作を行わない場合にも、グリセリンは揮発性が極めて低いためブレードに付着したままとなるので、次回のワイピング動作を位置(a)からそのまま実行できることになる。
【0139】
ワイパ部M5020を位置(a)に設定した後には、記録動作を実行することもできるし、キャップM5010をZ方向に上昇させてフェイス面にキャッピングを施すこともできる。
【0140】
2.3 その他
なお本発明は、上述の実施形態にのみ限られるものではない。例えば、ウエット液、ウエット液保持部および転写部材等の材料や、フェイス面の性質(撥水/非撥水/親水性等)の選択、インクの濡れ性の指標であるインク表面張力やフェイス面に対するインクの接触角等について、様々な変更ないし変形が可能である。それぞれの間の関係を考慮して適宜定めればよい。
【0141】
また、インクに関して、上記実施形態では顔料インクを用いるものとして説明した。しかし、高分子化合物がフェイス面に対して吸着されることで生じる問題は、インクの粘度調整や、耐光性向上その他の目的でインクに反応液を添加する結果インク中に高分子化合物が存在する場合には、顔料インク以外でも生じる。従って本発明は、染料インクを用いるような場合にも有効に適用可能である。さらに、用いるインクの種類や濃度についても、上述の実施形態に限られないのは言うまでもない。
【0142】
加えて、ウェットワイピング動作を実施するタイミングについても適宜定めることが可能である。従来から行われているように、記録ヘッドのキャップオープン状態が所定時間継続ときにフェイス面が乾燥している恐れがあるために行われる、所謂タイマワイピングのタイミングとすることができる。また、吐出ドット数のカウントを行い、所定量以上の記録がなされた場合にフェイス面がインクミストで汚れている恐れがあるために行われる、所謂ドットカウントワイピングのタイミングとすることができる。
【0143】
また、キャップクローズ後の放置に備えるようにするため、キャップクローズ前にウェットワイピングを行うこともできる。さらに、長期放置後など記録ヘッドの吐出口に固着/増粘インクが存在する場合に行われる吸引回復動作後には、フェイス面に吸引残りのインクが比較的大量に付着している。従ってこのインク残りを除去するために、吸引後のタイミングでウェットワイピングを行うことも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の一実施形態で適用する記録システムにおける画像データ処理の流れを説明するための図である。
【図2】図1の記録システムにおいて、ホスト装置のプリンタドライバが記録装置に渡す記録データの構成例を示す説明図である。
【図3】実施形態で用いられる記録装置がドット配列パターン化処理で変換する入力レベルに対する出力パターンを示した図である。
【図4】実施形態で用いられる記録装置が実行するマルチパス記録方法を説明するための模式図である。
【図5】実施形態で用いられる記録装置が実行するマルチパス記録方法に適用されるマスクパターンの一例を示す説明図である。
【図6】実施形態で用いられる記録装置の斜視図であり、非使用時における前面から見た状態を示している。
【図7】実施形態で用いられる記録装置の斜視図であり、非使用時における背面から見た状態を示している。
【図8】実施形態で用いられる記録装置の斜視図であり、使用時における前面から見た状態を示している。
【図9】実施形態で用いられる記録装置本体の内部機構を説明するための図であり、右上部からの斜視図である。
【図10】実施形態で用いられる記録装置本体の内部機構を説明するための図であり、左上部からの斜視図である。
【図11】実施形態で用いられる記録装置本体の内部機構を説明するための側断面図である。
【図12】実施形態で用いられる記録装置の斜視図であり、フラットパス記録時における前面から見た状態を示している。
【図13】実施形態で用いられる記録装置の斜視図であり、フラットパス記録時における背面から見た状態を示している。
【図14】実施形態で行われるフラットパス記録を説明するための模式的側断面図である。
【図15】実施形態で用いられる記録装置本体におけるクリーニング部を示す斜視図である。
【図16】図15のクリーニング部におけるワイパ部の構成および動作を説明するための断面図である。
【図17】図15のクリーニング部におけるウエット液転写部の構成および動作を説明するための断面図である。
【図18】本発明の実施形態における電気的回路の全体構成を概略的に示すブロック図である。
【図19】図18におけるメイン基板の内部構成例を示すブロック図である。
【図20】図18におけるキャリッジ基板に実装されるマルチセンサの構成例を示す図である。
【図21】実施形態で適用したヘッドカートリッジにインクタンクを装着する状態示した斜視図である。
【図22】実施形態で用いたウエット液保持部材、ウエット液転写部材およびそれらの関係を説明するためのウエット液タンクの主要部を示す断面図である。
【図23】図22のタンクによって保持・供給されるウェット液を用いるウェットワイピングの動作例を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0145】
J0001 アプリケーション
J0002 前段
J0003 後段
J0004 γ補正
J0005 ハーフトーニング
J0006 印刷データの作成
J0007 ドット配置パターン化処理
J0008 マスクデータ変換処理
J0009 ヘッド駆動回路
H1001 記録ヘッド
J0011 記録システム
J0012 ホスト装置
J0013 記録装置
P0002 マスクパターン
P0002(a)〜P0002(d) 第1のマスクパターン〜第4のマスクパターン
M1010 シャーシ
M1011 ガイドレール
M2000 ベース
M2010 圧板
M2012 圧板バネ
M2013 分離シート
M2020 戻しレバー
M2021 戻しレバーバネ
M2030 可動サイドガイド
M2040 分離ローラホルダ
M2041 分離ローラ
M2044 分離ローラリリースシャフト
M2060 給紙トレイ
M2061 給紙サブトレイ
M2070 駆動部
M2080 給紙ローラ
M3000 ピンチローラホルダ
M3021 PEセンサレバー
M3030 ペーパガイドフラッパ
M3040 プラテン
M3041 紙押さえ
M3060 搬送ローラ
M3061 プーリ
M3062 コードホイール
M3070 ピンチローラ
M3100 第1の排紙ローラ
M3110 第2の排紙ローラ
M3111 弾性体
M3120 拍車
M3130 拍車ホルダ
M3160 排紙トレイ
M4000 キャリッジ
M4010 ヘッドセットレバー
M4020 ガイドシャフト
M4041 タイミングベルト
M4042 アイドルプーリ
M4090 位置検出センサ
M5000 ポンプ
M5010 キャップ
M5011 キャップ吸収体
M5020 ワイパ部(ブレード)
M5060 ブレードクリーナ
M5070
M5080 ウエット液転写部材
M5081 ウエット液転写部分
M5090 ウエット液タンク
M5100 ウエット液保持部材
M7010 フロントカバー
M7030 アクセスカバー
M7040 上ケース
M7060 LEDガイド
M7080 下ケース
M7090 リアトレイ
M7091 リアサブトレイ
E0001 キャリッジモータ
E0002 LFモータ
E0004 エンコーダセンサ
E0005 エンコーダスケール
E0012 CRFFC(フレキシブルフラットケーブル)
E0013 キャリッジ基板
E0014 メイン基板
E0015 電源ユニット
E0017 ホストI/F
E0018 電源キー
E0019 リジュームキー
E0020 LED
E0100 デバイスI/F
E0101 ヘッドコネクタ
E0104 センサ信号
E0106 フロントパネル
E0107 パネル信号
E1004 ROM
E1010 電源制御回路
E1014 制御バス
E1015 RESET(リセット信号)
E1020 ENC(エンコーダ信号)
E1021 ヘッド制御信号
E1024 電源制御信号
E1028 ホストI/F信号
E1029 ホストI/Fケーブル
E1035 LFモータ駆動信号
E1037 CRモータ駆動信号
E1100 デバイスI/F信号
E1102 ASIC
E1103 ドライバ・リセット回路
E1106 モータ制御信号
E3000 マルチセンサ
E3001 ヘッド駆動電圧変調回路
E3002 ヘッド温度検出回路
E3004 フラットパスキー
E3005 APモータ
E3006 PRモータ
E3007 RAM
E4000 電源ユニット制御信号
E4001 APモータ駆動信号
E4002 PRモータ駆動信号
E4003 マルチセンサ信号
H1000 ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1900 インクタンク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
色材を含むインクを吐出する吐出口が設けられたインクジェットヘッドの表面をヘッド用液体が転写されたワイパで払拭することにより前記表面の清浄化を行う手段を具えたインクジェット記録装置において、
前記ヘッド用液体を前記ワイパに転写する部位より下方で前記ヘッド用液体を保持する保持部材と、
該保持部材に接続されて前記ヘッド用液体を受容する部分と、前記ワイパに当接して前記転写を行う部分とを有し、前記ヘッド用液体の受容部分から前記転写を行う部分まで、毛管力により前記ヘッド用液体を移送する転写部材と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記保持部材は前記ヘッド用液体を含浸保持する吸収体でなり、該吸収体の毛管力より前記転写部材の毛管力が大であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記吸収体の容積は、1回の払拭で必要な前記ヘッド用液体の量、想定される払拭回数および安全係数を乗じ、さらに環境に応じた体積変動分を考慮して定められていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記ヘッド用液体の受容部分から前記転写を行う部分までの高さが、前記転写部材が毛管力により前記ヘッド用液体を引き上げることのできる高さより小となるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記転写を行う部分と、これから最も離れた位置にある前記保持部材の接続部位との間の前記転写部材に沿った距離が、前記転写部材が毛管力により前記ヘッド用液体を引き上げることのできる高さより小となるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記転写部材は前記保持部材の底部に接続されて前記ヘッド用液体を受容することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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