説明

インクジェット記録装置

【課題】チューブポンプにおいて、加圧ローラによるチューブの引き込みに起因したポンプ駆動の負荷を低減する。
【解決手段】ガイド27aとガイド27bとの間の導入部30aに、ガイド部材40を配置する。すなわち、ガイド27a、27bの内周面を延長した円周面の近傍40aからその円周の中心から放射状にガイド部材40を配置する。これにより、ローラ31aが引込もうとするポンプチューブをガイド部材40によって受けて、引き込みに伴うチューブの変形が増大することを防ぎ、以ってローラの抵抗となるようなチューブの引き込みを防止できる。その結果、ポンプモータなどの負荷の増大を防ぐことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関し、詳しくは、インクを吐出する記録ヘッドの吐出性能を維持、回復のための吐出回復動作で用いられるチューブポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等における記録装置や、コンピュータなどの出力機器として用いられる記録装置としては、用紙等の記録媒体にインクを吐出して記録を実行するインクジェット記録装置が普及している。また、この装置で用いられる記録媒体の材質に対する要求も様々なものがあり、近年では、これらの要求に対応して、通常の記録媒体である用紙やOHP用シートなどの他に、布、皮革、不織布、さらには金属等を記録媒体として用いる記録装置も提供されている。
【0003】
このようなインクジェット記録装置は、低騒音、低ランニングコストで、装置の小型化が容易であり、カラー化も容易であるなどの利点を有し、プリンタ、複写機、ファクシミリ等として広く応用されている。インクジェット記録装置における記録ヘッドはインクを吐出するための吐出口を備えており、この吐出口の径は数十μ程度であるが、最近では記録の高画質化に伴って吐出口の大きさは小さくなりつつある。このように、インクジェット記録装置では微細な吐出口からインクを吐出して記録を行うことから、その吐出口に目詰まりが生じ、不吐出などの吐出不良を生じることがある。そして、この吐出不良が生じる場合にはそれに起因して記録画像の品位が低下することがある。
【0004】
この吐出不良の対策として、一般には記録ヘッドのインク吐出性能を維持、回復するための回復動作が行われている。このような回復動作の1つとして、記録ヘッドからインクを吸引する吸引回復が知られている。吸引回復は、キャップによって記録ヘッドの吐出口をキャッピングするとともに、そのキャッピング状態で、ポンプの作用によってキャップ内部に負圧を発生させる動作を行う。これにより、記録ヘッドの吐出口から増粘インクや気泡等の異物が吸引排出され、吐出口内のインクをリフレッシュさせることができる。なお、他の回復動作として、この吸引回復の後などに記録ヘッドの吐出口面に付着したインク等の異物を拭き取り清掃するワイピングも知られている。
【0005】
以上の回復用のポンプとして、弾性を持ったチューブ内の体積変化を利用して負圧を発生させるチューブポンプがある。すなわち、チューブに沿って移動するローラないしコロでチューブを一方向に押しつぶしていくことによるチューブ内部の体積変化によって押しつぶされるチューブ内部の後方に負圧を発生させる。そして、このチューブが記録ヘッドの吐出口面を覆うキャップに接続されていることによって、チューブ内に発生した負圧を利用し記録ヘッド内のインクを吸引、排出する。
【0006】
上記チューブポンプの従来例として、特許文献1には、回転部材の周縁に配置されたn個(n≧3)のコロと、そのコロと対向して回転部材の周外に位置するn−1個以下のしごき面との間にチューブを挟み、その回転部材を回転させるものが記載されている。この構成において、回転部材の回転に伴いコロがしごき面に対しチューブを連続的に押圧して負圧を発生させる。
【0007】
さらに同様な構成として、特許文献2や特許文献3には、ポンプケースの内周面を等分割するようにして配置された複数(N)本のチューブを用いたものが記載されている。そして、ポンプ駆動軸を中心として円周上を等分割するように配置された(N+1)個の加圧ローラの移動によってチューブを加圧変形させることによりポンプ動作を行う。
【0008】
上記特許文献に記載のチューブポンプは、ローラないしコロが回転移動する経路に2つのチューブが導入される部分が存在するものである。すなわち、ポンプのケース内にチューブが導入される部分であり、また、ローラによる押しつぶしが終了する部分である導入部が2つ存在する。図18は、その典型的な一形態を示す図である。図18に示すポンプは、ポンプケース80の内周面を2分割し、それぞれの内周面に沿って弾性チューブ81、82を配置したものである。そして、3個の加圧ローラ83a、83b、83cの回転軸をガイドするローラホルダ84が、図中矢印方向に回転することによりポンピング動作を行う。図18に示す例では、上記2つのチューブによって、2箇所の導入部80a、80bが存在する。
【0009】
なお、このような複数のチューブを備えるチューブポンプは、例えば、複数のチューブが個別の複数のキャップにそれぞれ接続して吸引を行う構成に用いられる。これにより、キャップの数に応じてチューブポンプを備える必要がなく、装置の小型化などに寄与することができる。
【0010】
【特許文献1】特開2001−63093号公報
【特許文献2】特開平6−198902号公報
【特許文献3】特開2001−355580号公報
【特許文献4】特開2002−36601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、チューブの導入部が存在するチューブポンプでは、以下のような問題がある。
【0012】
第1に、図18に示す例において、加圧ローラ83aは、導入部80bに移動する際その移動に伴ってチューブ81を押しつぶしながら移動方向に引き込むことがある。その結果、加圧ローラを回転させる駆動の負荷が増大するという問題がある。この負荷の増大は、特に小型のプリンタなど用いるモータも小型で出力の小さいものである場合は、顕著である。
【0013】
第2に、上記第一の問題に対して何らかの対策をし、チューブが引き込まれないようにしても次のような問題を生じるおそれがある。同様に図18に示す例において、加圧ローラ83aが導入部80bに移動してチューブへの押圧力が減少し始めるとき、今度はチューブ81の復元力によって加圧ローラ83aが弾かれることがある。この場合、弾かれた加圧ローラ83aはそのローラの軸を保持するローラホルダ84の溝の一部と衝突する。その結果、加圧ローラ83aは一時的にローラホルダ84に対して位置が定まらない状態となる。そして、このような加圧ローラの位置が定まらないことは吸引不良の原因となる。また、上記衝突による衝突音はポンプ駆動に伴う騒音となる。この騒音を軽減するために緩衝材を用いることが考慮できるが、部品点数が増えるだけでなく、製造時の組立も難しくなるためコストアップにつながるという問題を派生する。
【0014】
なお、以上説明した問題は、特許文献1〜3に示したような複数のチューブを用いたポンプだけに生じるものではない。特許文献4に記載のような、1本のチューブを用いるポンプにあっても、チューブ導入部における引き込みやチューブによる反発の問題を生じ得ることは上記の説明からも明らかである。
【0015】
本発明は、以上の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、チューブの引き込みによるポンプ駆動の負荷を低減するとともに、チューブがローラを弾くことを防止したチューブポンプを備えたインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのために本発明では、記録ヘッドを用い、該記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドにおいて、記録ヘッドのインク吐出口内のインクに対して圧力の変化を生じさせ当該インクを移動させるためのチューブポンプであって、チューブと、ローラを保持し該ローラによって前記チューブを押圧しながら回転可能に設けられたローラホルダと、前記ローラによって押圧されるチューブを受けて前記ローラと前記押圧の位置関係を維持するチューブガイドとを備えたチューブポンプを具え、前記チューブポンプは、前記ローラの移動する部分であって、前記チューブが当該チューブポンプの外部から導入され、前記ローラによる前記押圧力が小さくなる部分である導入部を有し、前記チューブに当接して前記ローラの前記押圧を伴った移動による前記チューブの変形を阻止するガイド部材を、前記導入部近傍に備えたことを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記ローラホルダは前記ローラの回動軸と係合する溝を有し、前記ローラホルダの回転と前記溝のカム面と前記軸との当接を介した前記ローラとの相対移動によって前記ローラの移動を行い、前記溝は、前記ローラの外周面と前記チューブガイドの前記チューブを受ける面との距離がβとなる前記ローラの位置で、前記ローラが前記チューブを押圧するときの位置を定める前記カム面の押圧位置と、該押圧位置から前記距離が連続的に増加した位置で、前記ローラの外周面と前記チューブガイドの前記チューブを受ける面との距離がα(α<β)となる前記ローラの位置を定める前記カム面の過押圧位置と、を有したことを特徴とする。
【0018】
また、チューブと、ローラを保持し該ローラによって前記チューブを押圧しながら回転可能に設けられたローラホルダと、前記ローラによって押圧されるチューブを受けて前記ローラと前記押圧の位置関係を維持するチューブガイドとを備えたチューブポンプにおいて、前記ローラの移動する部分であって、前記チューブが当該チューブポンプの外部から導入され、前記ローラによる前記押圧力が小さくなる部分である導入部を有し、前記チューブに当接して前記ローラの前記押圧を伴った移動による前記チューブの変形を阻止するガイド部材を、前記導入部近傍に備えたことを特徴とする。
【0019】
好ましくは、前記ローラホルダは前記ローラの回動軸と係合する溝を有し、前記ローラホルダの回転と前記溝のカム面と前記軸との当接を介した前記ローラとの相対移動によって前記ローラの移動を行い、前記溝は、前記ローラの外周面と前記チューブガイドの前記チューブを受ける面との距離がβとなる前記ローラの位置で、前記ローラが前記チューブを押圧するときの位置を定める前記カム面の押圧位置と、該押圧位置から前記距離が連続的に増加した位置で、前記ローラの外周面と前記チューブガイドの前記チューブを受ける面との距離がα(α<β)となる前記ローラの位置を定める前記カム面の過押圧位置と、を有したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上の構成によれば、ガイド部材によって、ローラが引込もうとするポンプチューブを受け、これにより、引き込みに伴うチューブの変形が増大することを防ぎ、以ってローラの抵抗となるようなチューブの引き込みを防止できる。その結果、ポンプモータなどの負荷の増大を防ぐことが可能となる。
【0021】
また、溝のカム面は、ローラが距離βの押圧位置となる部分から連続的に増加し、距離αの過押圧位置に至る。このように、チューブを押圧するときのローラの押圧位置の次に過押圧状態となる(最大距離の)過押圧位置が存在するようなカム面の形状とすることができる。これにより、チューブからの反発力を受けて移動しようとするローラを、カム面の押圧位置をなす部分と過押圧位置をなす部分を結ぶカム面で受けることができる。すなわち、反発力によって移動しようとするローラに対して、距離が大きくなるカム面によってその移動を阻止することができる。その結果、ローラを実質的に押圧位置に保持したままチューブとの係合を徐々に解除することができ、ローラの急激な移動やそれに起因する衝撃音の発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0023】
図17は、本発明を適用した回復ユニットを備えたインクジェット記録装置の一実施形態を示す斜視図である。図17において、キャリッジ101は、ガイドシャフト102およびガイドレール104によって移動可能に案内支持される。そして、キャリッジ101は、ベルト109を介して伝達されるキャリッジモータ108の駆動力によって往復移動することができる。記録ヘッド107はキャリッジ101に搭載され、これにより上記往復移動による走査が可能となる。記録媒体としての記録用紙110は、その搬送では、搬送ローラ105とピンチローラ(不図示)および排紙ローラ112と排紙補助ローラ113の間に挟まれて保持される。そして、記録用紙110は搬送ローラ105や排紙ローラが回転することによって搬送される。
【0024】
記録に際しては、キャリッジ101は停止状態から、加速された後に一定の速度で移動する。この走査移動の間に、記録装置内部に送られてくる記録データに従って記録ヘッド107を駆動してインクを記録用紙110に向けて吐出する。そして、記録ヘッド107の1走査分の駆動が終了した後、キャリッジ101は減速されて停止する。この走査の合間に、搬送ローラ105は回転し記録用紙110を所定量搬送する。この搬送動作が終了した後、キャリッジ101の移動を再開し、移動中に記録ヘッド107を駆動することで次の行の記録を行う。この一連の動作の繰り返しによって、規定の記録データが全て記録される。そして、記録用紙110を排紙ローラ112により記録装置外へ排出することで記録動作が終了する。
【0025】
記録ヘッド107は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録ヘッドであって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備える。詳しくは、記録ヘッド107は、電気熱変換体によって印加される熱エネルギーにより生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化(状態変化)を利用して吐出口からインクを吐出する。
【0026】
図17において、記録ヘッドによる記録領域を外れた所定の位置には、記録ヘッド107の目詰まり等を防止してインク吐出性能を維持回復するための回復ユニット1が配設されている。この回復ユニット1は、非記録時に記録ヘッド107を保護したり、吐出口からのインク蒸発を軽減したりするために記録ヘッドの吐出口面をキャッピングするためのキャップを備えている。また、例えば、長期にわたってキャッピングされた後で記録を再開する場合、記録に先立って吐出口付近で固まりかけたインク(増粘インク)を除去することでインク吐出の安定化を図るために、吐出口からインクを吸引、排出させる吸引回復処理が行なわれる。この吸引回復処理は、キャッピング状態でキャップに接続されたポンプを作動させることにより実行される。そのためのポンプとして、各実施形態で後述されるチューブポンプを備える。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係る回復ユニットを示す模式的斜視図である。また、図2は、図1に示す回復ユニットを、そのユニットにおける回復ポンプを始めとして種々のケース部分を除いて示す斜視図である。図1および図2において、回復ユニット1には、2つのキャップ3が、それぞれベース2のガイド2aに沿って上下動可能に設けられる。これにより、記録ヘッド(不図示)の2つの吐出口面に対する個々のキャッピングを行うことができる。また、ワイパ4が、リードスクリュー21上を往復動可能に装着される。これにより、ワイパ4は記録ヘッドの吐出口面をワイピングすることができる。さらには、搬送ローラ105上に回動可能に装着されたキャリッジロック機構(不図示)が設けられる。これにより、キャップ4が吐出口面をキャッピングしている間にキャリッジ(不図示)が不用意に動かないようにすることができる。
【0028】
これらキャップ3およびキャリッジロック機構それぞれの動作は次のように行われる。モータ6の駆動力が2つのダブルギア7、8と2つのアイドラギア9、10、そして太陽ギア11a、遊星ギア11bからなる振り子11によって伝達される。この際、振り子11を介して、モータ6の一方向回転のみでメインカム12を回転させることにより上記動作が行われる。また、ワイパ4の往復動作は、次のように行われる。不図示の用紙搬送用モータの駆動力が搬送ローラ105の軸上に取り付けられた入力ギア13を回転させる。そして、その駆動力はダブルギア14、アイドラギア15、ダブルギア16の軸上に設けられた太陽ギア17a、遊星ギア17bからなる振り子17、カサ歯ダブルギア18、カサ歯ギア19、カサ歯ギア19と同位相のリードスクリュー21によって伝達される。その際、搬送用モータの正逆回転でリードスクリュー21を回転させることによってワイパ4の往復が行われる。ここで、メインカム12には長手方向(軸方向)に複数のカムが形成されている。これにより、1つのカムと振り子17の側面のボス17cによりメインカム12の回転が振り子17cの回動に変換されて遊星ギア17bとカサ歯ダブルギア18が所定のタイミングで連結される。そして、別の一つのカムとレバー20によりメインカム12の回転がキャリッジロック手段とキャップ3の上下向往復動に変換される。
【0029】
2つのキャップ3は一体型の構造であり、キャップチューブ22、23が2つのキャップのそれぞれに接続されている。そして、キャップチューブ22はジョイント24でポンプチューブ25に、キャップチューブ23は不図示のジョイントでポンプチューブ26にそれぞれに接続される。ポンプチューブ25、26は、ポンプベース27の一部に形成された円弧状のガイド部27a、27bに沿って配設されており、これらによってチューブポンプが構成される。キャップチューブ22、23のそれぞれの他方の端部はキャップホルダ28を介して対応するキャップ3の内部に連通している。これにより、これらのキャップを記録ヘッド107の吐出口面に対してキャッピングした状態でチューブポンプを作動させて吐出口からインクを吸い出すことができる。この吸引によって、記録ヘッドから増粘インクや気泡等を排出することができる。これらの廃インクはポンプチューブ25、26の他端部から回復ユニット1の外部の所定の箇所に排出される。
【0030】
図3は、回復ユニット1におけるチューブポンプを示す外観図である。図3において、ポンプベース27の内部には、ポンプベース27の一部をなす円弧状のガイド面27a、27bの中心と同一軸心を有するローラホルダ30が回転可能に配設されている。このローラホルダ30は円板状部材であり、その円周方向に沿って3個のローラ(加圧コロないし加圧ローラ)31a、31b、31cを回動可能に保持している。詳しくは、各ローラの軸310a、310b、310cは、ローラホルダ30に形成されたそれぞれの溝32とその中に入り込むように係合する。また、チューブポンプにおいて、ローラホルダ30が設けられる面の反対側の面には、ローラホルダ30と同様の板状部材が回動自在に設けられる。すなわち、この板状部材は、ローラホルダ30のような溝を有していないが、上記溝の内側部分および半径方向部分と同じ形状の外郭を有している。この板状部材とローラホルダ30によって3つのローラの軸310a、310b、310cを保持している。さらに、上記ガイド面27a、27b、ローラホルダ30および上記板状部材で作られる空間内に、それぞれチューブ26、25が上記ガイド面27a、27bに沿うようにして配設される。これら2本のチューブは2箇所の導入部からポンプの外部に延在する。そして、ローラホルダ30の回転に伴ってこれらの各ローラの軸310a、310b、310cがそれぞれの溝内を回動可能に摺動することによって、後述されるようなローラによるチューブの押しつぶしなどの動作が可能となる。なお、ローラホルダ30とその裏側の上記板状部材が設けられるそれぞれの面を覆うようにケース部材が設けられている。
【0031】
ローラホルダ30の回転は次のように行われる。搬送用モータの駆動力が入力ギア13、ダブルギア14、アイドラギア15、ダブルギア16、アイドラギア40を介してローラホルダ30の一端に固定されたポンプギア41に伝達される。そして、この駆動力によってローラホルダ30を回転させることができる。本実施形態では、ローラホルダ30の一方向の回転でローラ31a、31b、31cがポンプチューブ25、26を押圧してインクを吸引できるような構成になっている。
【0032】
搬送用モータが駆動されて入力ギア13が矢印A方向(図1)に回転すると、チューブポンプ(ローラホルダ30)が動作する。その際、別個の駆動であるキャップ3とキャリッジロック機構は停止したままである。また吸引時、メインカム12は遊星ギア17bとカサ歯ダブルギア18の連結を切る位置で停止している。このため、同じ駆動を持つワイパ4は動作しない。搬送用モータが逆方向に回転すると、ローラ31a、31b、31cはポンプチューブ25、26の押圧を解除し、チューブポンプは吸引動作を行わない状態にある。
【0033】
図3において、記録ヘッド107に対するキャップ3のキャッピングの状態で、ローラホルダ30が図中矢印B方向に回転すると、ローラ31a、31b、31cがポンプチューブ25、26を押しつぶしながらそれぞれのチューブに沿って回転しつつ移動する。これにより、それぞれのチューブ内に負圧が発生し、この負圧が記録ヘッド107とキャップ3との間の空間に導入されて圧力が低下し、記録ヘッド107内のインクがそれぞれの吐出口から吸引される。この吸引排出されたインクは、ローラホルダ30とともに回転するローラ31a、31b、31cの動きに伴って、ポンプチューブ25、26内を移動し、最終的にはポンプチューブ25、26のもう一方の端部から外部へ排出される。さらにローラ31a、31b、31cが、ローラホルダ30とともに回転し、ポンプベース27のガイド27aとガイド27bの間にあるポンプチューブの導入部にくると、ポンプチューブ25、26を押しつぶさなくなる。このローラの動作において、一つのローラがポンプチューブ25、26を押しつぶさなくなくなるとき、他のローラがポンプチューブを押しつぶし始める。これによって、連続的な吸引を行うことができる。また、この連続的な吸引のローラホルダの回転数を増すことによって負圧を増大させることができる。
【0034】
図4〜図12は、図3に示したチューブポンプの各動作段階の状態を示す模式的断面図である。
【0035】
図4に示す状態は、ポンプチューブ25、26は開放状態にある。この状態から、搬送用モータによってローラホルダ30が矢印B方向に回動すると、その回転に伴ってローラ31a、31b、31cは開放状態を維持しながら回動する。なお、このとき、ローラホルダ30の溝と各ローラの軸310a、310b、310cとの位置関係はほとんど変わらない。
【0036】
図4に示す状態からの上記回転によって、図5に示す状態となる。すなわち、ローラ31aが円弧状ガイド27aと27bの間にある導入部30bに位置し、隣り合う2つのポンプチューブ25、26に同時に接触する。
【0037】
この状態から、ローラホルダ30がさらに矢印B方向に回転すると、先ず、ローラホルダ30の溝と各ローラの軸310a、310b、310cとの相対的な位置関係が変化する。特に、導入部にあるローラの軸は溝32の他方の端部320(図3)まで相対的に移動する。そして、ローラホルダ30の矢印B方向の回転に伴い、この導入部にあるローラはチューブに対して順次、図7、図8に示す状態になるよう移動する。すなわち、図7に示すように、ローラ31aがチューブ26に対する押圧を開始する。次に、図8に示すように、ローラ31aはガイド溝32の内側部分がなすカム作用によってチューブ26側へ押圧され、チューブ26はローラ31aとガイド27bとの間で押しつぶされた(押圧密閉された)状態となる。この状態でローラホルダ30が矢印B方向に回動してローラ31aがポンプチューブ26をしごくのに伴い、チューブ26内に負圧が発生する。
【0038】
図9、図10は、この間の状態を示す図である。すなわち、図8に示す状態から、順次、図9、図10に示す状態に変化する。これらの状態では、ローラ31aがチューブ26を押圧するとともに、回転方向において後方のローラ31cもチューブ26を押圧する。また、残りのローラ31bは他方のチューブ25を押圧した状態にある。
【0039】
ローラホルダ30が矢印B方向にさらに回転すると、ローラ31aが図11に示すようにガイド27aの形状との関係で押圧力を減少し始め、最終的に、図12に示す導入部30a(図4)に至る。このように図11から図12に示す状態に移行するとき、図18に示したような従来のチューブポンプ構成の場合、ローラ31aはポンプチューブ26を導入部に引き込み、それによってポンプモータの負荷が増大することがある。
【0040】
これに対し、本発明の第一の実施形態では、ガイド27aとガイド27bとの間の導入部に、ガイド部材40を配置する。詳細には、円弧状ガイド27a、27bの内周面を延長した円周面の近傍40aからその円周の中心から放射状にガイド部材40を配置する。これにより、ローラ31aが引込もうとするポンプチューブをガイド部材40によって受けて、引き込みに伴うチューブの変形が増大することを防ぎ、以ってローラの抵抗となるようなチューブの引き込みを防止できる。その結果、ポンプモータなどの負荷の増大を防ぐことが可能となる。
【0041】
また、上述のようにチューブの引き込みが防止される場合、図11に示す状態以降で、チューブ26の弾性復元力によってローラ31aが矢印D方向の力を受ける。このとき、矢印D方向の力はローラホルダ30のガイド溝32の方向(ローラ31aが移動可能な方向)と近い方向に作用する。このため、図18に示した従来のチューブポンプのように単なるガイド溝を形成するだけでは、ローラ31aはガイド溝32に沿って弾き出される。その結果、ローラ31aがローラホルダ30の一部に衝突するなどして衝撃音を発生する。
【0042】
これに対し、本発明の第一の実施形態では、以下に説明されるように、ガイド溝32の形状をポンプチューブ26の反力を受けつつ、ローラ31aがガイド27aと27bの間の導入部で隣り合う2つのポンプチューブ25、26に同時に接触するように構成する。
【0043】
以下、本実施形態のガイド溝32の上記溝形状について具体的に説明する。図7〜9、図12に示すように、ローラ31aがポンプチューブ26を押圧するときの第1の位置32b(図6参照)、すなわち、各ローラについてその外周面からガイド27a、27bの内周面またはそれを延長した円周面までの距離がβの位置がある。また、図5に示すように、ローラ31aがチューブ26から離間してチューブ26を開放するときの第2の位置32c(図6)、すなわち、各ローラについてその外周面からガイド27a、27bの内周面またはそれを延長した円周面までの距離がγの位置がある。さらに、これら距離βの位置と距離γの位置との間に、図6に示すように、ローラ31aのポンプチューブ押圧力が吸引力発生時よりも増大して過押圧状態となる第3の位置32a(図6)がある。すなわち、各ローラについてその外周面からガイド27a、27bの内周面またはそれを延長した円周面までの距離がαである位置がある。そして、本実施形態では、これら3つの位置がα<β<γの関係になるように、溝32の形状を定める。
【0044】
詳細には、溝32の内側部分(以下、カム面とも言う)の回転中心からの距離は、ローラが距離βの第1位置32b(例えば図7のローラ31aの位置)となる部分から連続的に増加し、距離αの第3位置32a(図6のローラ31aの位置)に至る。そして、溝32のカム面の回転中心からの距離は、この最大距離の部分から連続的に減少し、最終的に距離γの第2位置32c(図5のローラ31aの位置)に至る。このように、ポンプチューブを押圧するときのローラの第1位置32bの次に過押圧状態となる(最大距離の)第3の位置32aが存在するようなカム面の形状とする。これにより、ポンプチューブからの反発力を受けて移動しようとするローラを、溝32の第1位置32bをなす部分と第3の位置32aをなす部分を結ぶカム面で受けることができる。すなわち、反発力によって移動しようとするローラに対して、距離が大きくなるカム面によってその移動を阻止することができる。その結果、ローラを実質的に第1の位置32bに保持したままポンプチューブとの係合を徐々に解除することができ、ローラの急激な移動やそれに起因する衝撃音の発生を防ぐことができる。
【0045】
次に、モータが逆回転して、ローラホルダ30が矢印C方向(図4等)に逆転する動作について説明する。上述したポンプ動作終了後、ローラ31aが例えば図8に示すようなチューブ押圧位置(第1位置32b)で停止している場合、ローラホルダ30を矢印C方向に逆転してもローラ31aは過押圧状態となる第3の位置32aを乗り越えることができない。その結果、ローラ31aは実質的に第1位置32bを保持したまま、逆転移動によってガイド27aと27bの間の導入部で、隣り合う2つのポンプチューブ25、26に同時に接触する位置(図7)に至る。これにより、ローラ31aは半径方向にある程度移動可能となる。ここで、さらに矢印C方向に逆転すると、ローラ31aはこの導入部に留まるとともに、溝32との相対移動によって、第3位置32aを越えて最終的に第2位置32cまで移動する。その結果、図5に示すように、各ローラはポンプチューブ25、26を開放状態にすることができる。
【0046】
図13〜図15は、本実施形態のチューブポンプのジョイント構成を示す図である。図13に示すように限られた空間であるチューブ導入部において、ジョイント60を用いたポンプチューブ25の保持および位置決めは次のとおりである。ジョイント60は大きい外径部60aと小さい外径部60bを持ち、ポンプチューブ25の内径部と嵌合する。その嵌合部はポンプベース27の一部に形成されたガイド部40と対向する位置に形成された壁部27cで挟まれた空間に挿入される。このとき、図14に示すように、ポンプチューブ25に取り付けたジョイント60の大きい外径部60aはポンプベースの端部27dで位置が決まる。そして、図15に示すように、ポンプチューブ25とジョイント60の小さい外径部60bとの嵌合部は、ベース2の一部に形成された突起部2cと上記壁部27cで挟まれた空間で挟むように構成することで位置および保持を両立できる。
【0047】
(第2実施形態)
図16は、本発明の第二の実施形態に係るチューブポンプを示す模式的断面図である。上述した第一の実施形態と異なる点は、ポンプベース50の分割数である。すなわち、上記第一の実施形態ではポンプチューブが2本、ローラが3個で構成されているが、本実施形態では、チューブが3本(25、26、27)、ローラが4個(31a、31b、31c、31d)で構成されている。このようなチューブの数が異なる構成にあっても、3箇所の導入部にガイド部材を設けることにより、チューブの引き込みを防止することができる。また、ローラホルダ30に形成される3つの溝32それぞれのカム面を上記第1実施形態で説明したような形状とすることにより、チューブから反発によってローラが急激に移動することを防止することができる。
【0048】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、チューブを複数本備えるチューブポンプに関するものであるが、本発明の形態はこのような形態に限られない。特許文献4に記載のような、チューブポンプ内に1本のチューブが配設される形態においても、チューブの導入部にガイド部材を設けることにより、チューブの引き込みを防止することができる。また、ローラホルダの溝の形状を上記実施形態で説明したように定めることにより、ローラがチューブの押圧を終了して導入部に移動するときのチューブの反発力による急激で不安定な挙動を防止できる。
【0049】
また、ガイド部材40の形状は、図4などに示した形状に限られないことはもちろんである。ローラが導入部に移動する際に、チューブを受けて引き込みに伴うチューブの変形が増大することを防ぐことができるものであれば、どのような形状であってもよい。
【0050】
さらに、上記実施形態では、記録ヘッドを主走査方向に移動させて記録を行うシリアル方式の記録方式に関して説明したが、これに限られることはない。記録媒体の全幅または一部にわたって吐出口を配列した記録ヘッドを用い、記録媒体をこの記録ヘッドに対して搬送して記録を行うフルライン方式の装置にも同様に適用することができる。なお、この場合、本発明の実施形態に係るチューブポンプを、吸引ポンプでなく記録ヘッドの共通液室内にインクの循環流を生じさせる加圧ポンプとして用いてもよい。また、本発明は、1個の記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置のみならず、異なる色のインクで記録するカラーインクジェット記録装置に適用できることはもちろんである。また、同一色彩で異なる濃度のインクを用いるインクジェット記録装置、さらには、これらを組み合わせたインクジェット記録装置など、記録ヘッドの数や種類にも関係なく同様に適用することができ。
【0051】
さらに、本発明は、インク吐出部とインク貯留部とを一体化した交換可能なインクジェットカートリッジである形態、あるいは記録ヘッドが装置に固定される形態など、記録ヘッドおよびインク貯留部が種々の形態を採る場合にも同様に適用することができる。さらに、本発明は、例えばピエゾ素子等の電気機械変換体等を用いる記録ヘッドを使用するものにも適用できる。
【0052】
以上の説明から明らかなように、本発明の実施形態によれば、ローラによってチューブ導入部へ引き込まれようとするポンプチューブをガイド部材で受けることにより、ポンプ駆動の負荷が増大することを防ぐことができる。
【0053】
また、ローラの衝突音の発生自体をなくすことができ、これにより、緩衝材に頼らなくても簡単な構成でローラ移動時の衝撃音の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る回復ユニットを示す模式的斜視図である。
【図2】図1に示す回復ユニットを、そのユニットにおける回復ポンプを始めとして種々のケース部分を除いて示す斜視図である。
【図3】回復ユニット1におけるチューブポンプを示す外観図である。
【図4】チューブポンプの動作状態のうち、ポンプチューブが開放状態にあるときを示す模式的断面図である。
【図5】チューブポンプの動作状態のうち、図4に示す状態からの回転によって、1つの加圧ローラが2つのチューブガイドの導入部に位置にある状態を示す模式的断面図である。
【図6】チューブポンプの動作状態のうち、ポンプ駆動動作後、チューブ開放位置に移動するときの動作を説明するための模式的断面図である。
【図7】チューブポンプの動作状態のうち、1つのローラがチューブに対する押圧を開始するときの状態を示す模式的断面図である。
【図8】チューブポンプの動作状態のうち、1つのローラがガイド溝のカム作用によってチューブを押圧いてしごく状態を示す模式的断面図である。
【図9】チューブポンプの動作状態のうち、1つのローラがチューブを押圧するとともに、回転方向において後方のローラも同じチューブを押圧し、また、残りのローラが他方のチューブを押圧する状態を示す模式的断面図である。
【図10】チューブポンプの動作状態のうち、図10と同様、1つのローラがチューブを押圧するとともに、回転方向において後方のローラも同じチューブを押圧し、また、残りのローラが他方のチューブを押圧する状態を示す模式的断面図である。
【図11】チューブポンプの動作状態のうち、1つのローラがチューブガイドの形状との関係で押圧力を減少し始めた状態を示す模式的断面図である。
【図12】チューブポンプの動作状態のうち、1つのローラが、図11に示す状態の後導入部に至った状態を示す模式的断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係るチューブポンプのジョイント部を示す模式的断面図である。
【図14】本発明の第1実施形態に係るチューブポンプのジョイント部を示す模式的断面図である。
【図15】本発明の第1実施形態に係るチューブポンプのジョイント部を示す模式的断面図である。
【図16】本発明の第二の実施形態に係るチューブポンプを示す模式的断面図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る回復ユニットを備えたインクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
【図18】一従来例のチューブポンプを説明する模式的断面図である。
【符号の説明】
【0055】
107 記録ヘッド
2 ベース
3 キャップ
4 ワイパ
27 ポンプベース
30 ローラホルダ
31a、31b、31c、31d ローラ
32 ガイド溝
40 ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドを用い、該記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
記録ヘッドのインク吐出口内のインクに対して圧力の変化を生じさせ当該インクを移動させるためのチューブポンプであって、チューブと、ローラを保持し該ローラによって前記チューブを押圧しながら回転可能に設けられたローラホルダと、前記ローラによって押圧されるチューブを受けて前記ローラと前記押圧の位置関係を維持するチューブガイドとを備えたチューブポンプを具え、
前記チューブポンプは、前記ローラの移動する部分であって、前記チューブが当該チューブポンプの外部から導入され、前記ローラによる前記押圧力が小さくなる部分である導入部を有し、前記チューブに当接して前記ローラの前記押圧を伴った移動による前記チューブの変形を阻止するガイド部材を、前記導入部近傍に備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記記録ヘッドのインク吐出口が配設された面を覆うキャップをさらに具え、前記チューブの一端は前記キャップ内部に連通し、前記チューブポンプのポンプ動作によってインク吐出口内のインクを吸引することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記ローラホルダは前記ローラの回動軸と係合する溝を有し、前記ローラホルダの回転と前記溝のカム面と前記軸との当接を介した前記ローラとの相対移動によって前記ローラの移動を行い、前記溝は、前記ローラの外周面と前記チューブガイドの前記チューブを受ける面との距離がβとなる前記ローラの位置で、前記ローラが前記チューブを押圧するときの位置を定める前記カム面の押圧位置と、該押圧位置から前記距離が連続的に増加した位置で、前記ローラの外周面と前記チューブガイドの前記チューブを受ける面との距離がα(α<β)となる前記ローラの位置を定める前記カム面の過押圧位置と、を有したことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記溝は、前記過押圧位置から前記距離が連続的に減少した位置で、前記ローラの外周面と前記チューブガイドの前記チューブを受ける面との距離がγ(α<β<γ)となる前記ローラの位置を定める前記カム面の解放位置を有したことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記チューブポンプは、前記チューブをN(Nは2以上)本、前記ローラを(N+1)個備え、前記導入部は、2本で一対のチューブの間にそれぞれ存在することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
チューブと、ローラを保持し該ローラによって前記チューブを押圧しながら回転可能に設けられたローラホルダと、前記ローラによって押圧されるチューブを受けて前記ローラと前記押圧の位置関係を維持するチューブガイドとを備えたチューブポンプにおいて、
前記ローラの移動する部分であって、前記チューブが当該チューブポンプの外部から導入され、前記ローラによる前記押圧力が小さくなる部分である導入部を有し、前記チューブに当接して前記ローラの前記押圧を伴った移動による前記チューブの変形を阻止するガイド部材を、前記導入部近傍に備えたことを特徴とするチューブポンプ。
【請求項7】
前記ローラホルダは前記ローラの回動軸と係合する溝を有し、前記ローラホルダの回転と前記溝のカム面と前記軸との当接を介した前記ローラとの相対移動によって前記ローラの移動を行い、前記溝は、前記ローラの外周面と前記チューブガイドの前記チューブを受ける面との距離がβとなる前記ローラの位置で、前記ローラが前記チューブを押圧するときの位置を定める前記カム面の押圧位置と、該押圧位置から前記距離が連続的に増加した位置で、前記ローラの外周面と前記チューブガイドの前記チューブを受ける面との距離がα(α<β)となる前記ローラの位置を定める前記カム面の過押圧位置と、を有したことを特徴とする請求項6に記載のチューブポンプ。
【請求項8】
前記溝は、前記過押圧位置から前記距離が連続的に減少した位置で、前記ローラの外周面と前記チューブガイドの前記チューブを受ける面との距離がγ(α<β<γ)となる前記ローラの位置を定める前記カム面の解放位置を有したことを特徴とする請求項7に記載のチューブポンプ。
【請求項9】
前記チューブをN(Nは2以上)本、前記ローラを(N+1)個備え、前記導入部は、2本で一対のチューブの間にそれぞれ存在することを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載のチューブポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−49565(P2008−49565A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227182(P2006−227182)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】