説明

インクジェット記録装置

【課題】波形状にされたシートの剛性の均一性を良くしてインクジェット記録装置の画像記録の精度を良くする。
【解決手段】プラテン50には、左右方向9へ離間された複数の第1リブ51が設けられている。左右方向9において隣り合う2つの第1リブ51の中間には、第1リブ51により支持されたシートを上側から押さえてシートを波形状にする当接部材60が配置されている。左右方向9における当接部材60と第1リブ51との間には、第1リブ51よりも高さの低い第2リブ52が設けられている。第2リブ52の上端は、第1リブ51の上端と当接部63の下端とを結ぶ仮想直線Lよりも上側に位置している。第2リブ52は、シート6に当接して波の曲率半径を調整し、左右方向9におけるシート6の剛性の均一性を良くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを波形状にして搬送し、画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送されるシートをプラテンにより支持し、プラテンに支持されたシートに記録ヘッドからインク滴を吐出して画像を記録するインクジェット記録装置が知られている。この種のインクジェット記録装置には、画像を記録する際にシートがプラテンから浮き上がらないように、シートを波形状にして搬送するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたインクジェット記録装置は、プラテンに設けられた複数のリブと、記録ヘッドより搬送向き上流側に配置された記録シート材用押さえ板と、を備えている。リブは、搬送向きに平行に設けられている。リブの間には凹部が設けられている。記録シート材用押さえ板は、凹部に突出する複数の突起を有している。シートは、リブと突起との間を通過する際に、リブと突起とに互いに反対向きに押され、波形状にされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−71711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートを波形状にすると、搬送向きと直交する幅方向においてシートと記録ヘッドとの距離が連続的に変化する。この連続的な距離の変化を考慮して記録ヘッドにインク滴を吐出させ、画像記録の精度を良くすることが考えられる。この場合、波形状にされたシートの幅方向における剛性が均一である方が、シートと記録ヘッドとの実際の距離と、想定した距離との間に差が生じ難くなり、画像記録の精度が良くなる。しかしながら、上述のリブだけでは、幅方向におけるシートの剛性を均一にすることは困難である。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、幅方向におけるシートの剛性の均一性を良くできる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明のインクジェット記録装置は、上下方向と交差する搬送向きへ搬送されるシートを支持するプラテンと、上記プラテンの上側に配置されており、上記プラテンに支持されたシートへノズルからインク滴を吐出する記録ヘッドと、上記ノズルより上記搬送向き上流側に、上下方向及び上記搬送向きに交差する第1方向へ離間されて配置されており、上記プラテンに支持されたシートの上面に下端が当接する複数の当接部と、を備えている。上記プラテンは、上記搬送向きへ延びており、上端が上記当接部の下端より上方に位置しており、且つ上記第1方向における上記当接部の間に上記第1方向に離間されて配置された複数の第1リブと、上記第1方向における上記第1リブと上記当接部との間に配置されて上記搬送向きへ延びており、その上端が、最も近い上記第1リブの上端より下方であって、且つ最も近い上記当接部におけるシートとの当接部より上方に位置する第2リブと、を有している。
【0008】
搬送されるシートは、当接部を通過する際に、当接部と第1リブとにより互いに反対向きに押され、第1リブに支持された部分を「山」とし、当接部により押し下げられた部分を「谷」とする波形状にされる。第2リブは、シートが波形状にされる際に、シートの一部を支持し、波の形状を調整する。これにより、第1方向におけるシートの剛性の均一性を良くできる。
【0009】
(2) 上記第2リブは、上端の高さ位置を同じにして、上記第1方向へ離間されて複数が配置されたものであり、上記第1方向における上記プラテンの中央に近い方の上記第2リブは、当該中央から遠い方の上記第2リブよりも、最も近い上記第1リブとの上記第1方向における距離が短くなる位置に設けられたものであってもよい。
【0010】
第2リブの配置位置により、第1方向における波の形状を調整して第1方向におけるシートの剛性の均一性を良くできる。
【0011】
(3) 上記第2リブは、上端の高さ位置を同じにして、上記第1方向へ離間されて複数が配置されたものであり、上記第1方向における上記プラテンの中央に近い方の上記第2リブは、当該中央から遠い方の上記第2リブよりも、最も近い上記当接部との上記第1方向における距離が長くなる位置に設けられたものである。
【0012】
第2リブの配置位置により、第1方向における波の形状を調整して第1方向におけるシートの剛性の均一性を良くできる。
【0013】
(4) 上記第2リブは、上端の高さ位置を同じにして、上記第1方向へ離間されて複数が配置されたものであり、上記第1方向における間隔が第1距離である上記第1リブ間に配置された上記第2リブと、当該第2リブに最も近い上記第1リブとの上記第1方向における第2距離は、上記第1方向における間隔が上記第1距離よりも短い第3距離である上記第1リブ間に配置された上記第2リブと、当該第2リブに最も近い上記第1リブとの上記第1方向における第4距離よりも長いものであってもよい。
【0014】
これにより、第1方向における長さの異なる種々のサイズのシートについて、第1方向におけるシートの剛性の均一性を良くできる。
【0015】
(5) 上記第2リブは、最も近い上記第1リブとの上記第1方向における距離を同じにして、上記第1方向へ離間されて複数が配置されたものであり、上記第1方向における間隔が第1距離である上記第1リブ間に配置された上記第2リブの上端は、上記第1方向における間隔が上記第1距離よりも短い第3距離である上記第1リブ間に配置された上記第2リブの上端よりも下方に位置するものであってもよい。
【0016】
これにより、第1方向における長さの異なる種々のサイズのシートについて、第1方向におけるシートの剛性の均一性を良くできる。
【0017】
(6) 上記第2リブは、最も近い上記第1リブとの上記第1方向における距離を同じにして、上記第1方向へ離間されて複数が配置されたものであり、上記プラテンの中央に近い方の上記第2リブは、当該中央から遠い方の上記第2リブよりも、上端が下方に位置するものであってもよい。
【0018】
第2リブの高さにより、第1方向における波の形状を調整して第1方向におけるシートの剛性の均一性を良くできる。
【0019】
(7) 複数の上記第1リブ及び複数の上記第2リブは、上記第1方向における上記プラテンの中央に対して対称となる位置にそれぞれ設けられたものであってもよい。
【0020】
第1方向における各波の形状を、第1方向におけるシートの中央部を基準に対称にすることにより、第1方向におけるシートの剛性の均一性をさらに良くできる。
【0021】
(8) 上記当接部は、弾性変形により、シートに当接する下端が上下に変位するものであってもよい。
【0022】
当接部の下端を上下に変位させることにより、山の部分だけでなく谷の部分の波の形状も調整できる。よって、第1方向におけるシートの剛性の均一性をさらに良くできる。
【0023】
(9) 上記プラテンは、上記第1リブの上端が上記当接部の下端よりも上方に位置する第1位置、及び当該第1位置よりも下方に位置する第2位置に移動可能に設けられており、上記プラテンを上記第1位置側へ付勢する付勢部材を備えていてもよい。
【0024】
プラテンは、搬送されるシートにより、シートの厚みや腰の強さに応じた距離において第1位置から第2位置へ向かって移動される。よって、厚みや腰の強さの異なる種々のシートに画像を記録できる。
【0025】
(10) 上記当接部は、下端が上記第1リブの上端よりも下方に位置する第3位置、及び当該第3位置よりも上方に位置する第4位置に移動可能に設けられており、上記当接部は、上記第3位置側へ付勢する付勢部材を備えていてもよい。
【0026】
当接部は、搬送されるシートにより、シートの厚みや腰の強さに応じた距離において第3位置から第4位置へ向かって移動される。よって、厚みや腰の強さの異なる種々のシートに画像を記録できる。
【0027】
(11) 上記プラテンは、上記第1方向における上記第1リブの間に上記搬送向きへ延びて設けられており、上端が上記当接部の下端よりも下方に位置して上記シートにおける上記当接部に押し下げられた部分を支持する第3リブを更に有するものであってもよい。波形状にされたシートの谷の部分を第3リブによって支持することにより、シートの搬送抵抗を小さくでき、また、波形状の崩れを抑えることができる。
【0028】
(12) 本発明のインクジェット記録装置は、上記シートが載置される給紙トレイと、上記第1方向へ移動可能に上記給紙トレイに上記第1方向へ対向して設けられた一対のガイド部材を有しており、シートの上記第1方向における両端に当接して上記第1方向におけるシートの中央を上記給紙トレイの中央に一致させるサイドガイド機構と、上記給紙トレイ上のシートを上記搬送向きへ搬送する搬送部と、を更に備えていてもよい。
【0029】
(13) 上記第2リブは、その上端が、最も近い上記第1リブの上端と、最も近い上記当接部の下端と、を結ぶ仮想直線より上方にあるものであってもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、第2リブにより、シートの波の形状を調整して第1方向におけるシートの剛性の均一性を良くでき、その結果、画像記録の精度を良くできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】インクジェット記録装置10の斜視図である。
【図2】本体13の模式的な縦断面図である。
【図3】(A)は給紙トレイ21の斜視図であり、(B)は記録ヘッド46の下面図である。
【図4】本体13の一部の斜視図である。
【図5】当接部材60を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は左側面図、(D)は右側面図、(E)は下面図、(F)は斜視図である。
【図6】当接部材70を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は左側面図、(D)は右側面図、(E)は下面図、(F)は斜視図である。
【図7】(A)はガイドレール92の一部の平面図であり、(B)は第1孔98に挿入突起65を挿入した状態を示す図であり、(C)は当接部材60がガイドレール92に取り付けられた状態を示す図であり、(D)は(C)のD−D断面図である。
【図8】前後方向8に直交する断面図であり、(A)はプラテン50のみの断面図であり、(B)はプラテン50及び当接部材60,70の断面図である。
【図9】(A)はシート6が波形状にされた状態を示す図であり、(B)は(A)におけるシート6の一部6Aとシート6の一部6Bとを重ねて示した図であり、(C)はプラテン50の縦断面図である。
【図10】(A)は本体13の一部破断した斜視図であり、(B)は非常に腰の強いシート6が搬送される状態を示す図である。
【図11】プラテン50の回動を説明する動作説明図であり、(A)は前後方向8に直交するプラテン50の断面図であり、(B)は第1位置にあるプラテン50の縦断面図であり、(C)は第1位置と第2位置との間の位置にあるプラテン50の縦断面図であり、(D)は第2位置にあるプラテン50の縦断面図である。
【図12】(A)は変形例1のプラテン50の前後方向8に直交する断面図であり、(B)は変形例3のプラテン50及び当接部材60の前後方向8に直交する断面であり、(C)は変形例4のプラテン50の前後方向8に直交する断面である。
【図13】(A)は変形例6の当接部材60が第3位置にある状態の縦断面図であり、(B)は当接部材60が第4位置にある状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明がされる。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例であり、本発明の要旨を変更しない範囲において実施形態が適宜変更されてもよい。以下の説明においては、図1に示されるように、インクジェット記録装置10を使用可能に設置した状態を基準として上下方向7が定義されている。また、操作パネル16がインクジェット記録装置10の側面に設けられており、当該側面をインクジェット記録装置10の前面(正面)として前後方向8が定義されている。また、インクジェット記録装置10を前面側から見て左右方向9が定義されている。
【0033】
[インクジェット記録装置10の概要]
図1に示されるように、インクジェット記録装置10は、普通紙や、光沢紙や、葉書等であるシート6(図2)に画像を記録するプリンタ部11と、原稿(不図示)に記録された画像を取り込むスキャナ部12と、を備えており、プリント、スキャン、コピー等を実行可能である。スキャナ部12は任意の構成であり、詳細な説明は省略される。
【0034】
[プリンタ部11の概要]
図1に示されるように、プリンタ部11は、本体13と、本体13の下部に収容された給紙カセット20と、を備えている。図2に示されるように、給紙カセット20には、シート6が載置される。本体13の筐体14(図1)内には、図2に示される給送部40、搬送路31、搬送ローラ対34、排紙ローラ対37、当接部材60,70及び記録部45が設けられている。本体13は、給送部40によりシート6を搬送路31へ送り出し、送り出されたシート6を搬送ローラ対34により搬送し、搬送されるシート6を当接部材60,70により押さえて波形状にし、波形状にされたシート6に記録部45からインク滴を吐出して画像を記録する。画像が記録されたシート6は、排紙ローラ対37により給紙カセット20の排紙トレイ29へ排出される。以下、プリンタ部11の各構成について説明がされる。
【0035】
[筐体14]
図1に示されるように、筐体14は、給紙カセット20が挿抜される挿抜口15を前後方向8における前面に有している。給紙カセット20は、挿抜口15から前後方向8へスライド可能である。
【0036】
[給紙カセット20]
図1に示されるように、給紙カセット20は、筐体14の下部に収容されており、前後方向8へスライド可能である。図2に示されるように、給紙カセット20は、画像記録前のシート6を保持する給紙トレイ21と、画像記録後のシート6を受ける排紙トレイ29と、を備えている。
【0037】
[給紙トレイ21]
図3(A)に示されるように、給紙トレイ21は、底板22と、左側板23及び右側板24と、前板25と、傾斜板26と、を備えている。左側板23及び右側板24は、底板22の左右方向9における両端部から上向きへ突出されている。前板25は、底板22の前後方向8における前端部から上向きへ突出されている。左側板23及び右側板24と、前板25とにより、排紙トレイ29(図2)が支持されている。傾斜板26は、前後方向8における底板22の後端から後方斜め上へ向かって延びており、給送部40により送り出されるシート6を搬送路31(図2)へ案内する。
【0038】
底板22には、A4サイズやB5サイズやリーガルサイズや葉書サイズなどの種々のサイズのシート6が載置される。そのため、図3(A)に示されるサイドガイド機構80が底板22に設けられている。サイドガイド機構80は、底板22に載置された種々のサイズのシート6をセンタ合わせにより位置決めし、且つシート6の斜行を抑制する。センタ合わせとは、シート6の左右方向9における中央を底板22の左右方向9における中央に一致させる位置合わせを意味する。
【0039】
[サイドガイド機構80]
図3(A)に示されるように、サイドガイド機構80は、左右方向9へスライド可能に底板22に支持された左右一対のガイド部材81,82と、一対のガイド部材81,82を連動して移動させるピニオンギア83と、を備えている。ピニオンギア83は、底板22の左右方向9における中央部に、中心軸線を上下方向7に沿わせて配置されている。
【0040】
ガイド部材81は、左右方向9における底板22の右部に配置されている。ガイド部材81は、底板22に載置された支持板84と、左右方向9における支持板84の右端部から上向きへ突出された側板85と、支持板84から左右方向9における左方へ向かって延びるラックギア86と、を備えている。ラックギア86は、前後方向8におけるピニオンギア83の前側においてピニオンギア83と噛み合っている。
【0041】
ガイド部材82は、底板22の左右方向9における左部に配置されている。ガイド部材82は、支持板87、側板88及びラックギア89を備えており、ガイド部材81とほぼ左右対称な形状とされている。ガイド部材82のラックギア89は、前後方向8におけるピニオンギア83の後側においてピニオンギア83と噛み合っている。
【0042】
ユーザは、底板22にシート6(図2)を載置した後、ガイド部材81を左右方向9における左向きへスライドさせる。そうすると、支持板84がシート6の左右方向9における右端部の下に潜り込み、側板85がシート6の右端に当接される。ガイド部材81が左右方向9における左向きへスライドされると、ピニオンギア83が回転され、ガイド部材82が左右方向9における右向きへスライドされる。そうすると、支持板87がシート6の左右方向9における左端部の下に潜り込み、側板88がシート6の左端に当接される。このようにして、底板22に載置された種々のサイズのシート6は、サイドガイド機構80によりセンタ合わせによって位置決めされる。また、後述される給送部40によりシート6が前後方向8における後向きへ送り出される際に、左右方向9におけるシート6の両端が側板85,88に当接し、シート6の斜行が抑制される。
【0043】
[給送部40]
図2に示されるように、給送部40は、不図示のフレームに回転可能に支持された支軸41と、支軸41に一端部が回動可能に支持されて支軸41から後方斜め下へ向かって延びるアーム42と、アーム42の他端部に回転可能に支持された給送ローラ43と、を備えている。アーム42には、支軸41の回転を給送ローラ43に伝達する複数のギア44が設けられている。
【0044】
支軸41が不図示の駆動モータにより回転されると、支軸41との摩擦力によりアーム42が支軸41と一体に回動され、給送ローラ43が給紙トレイ21上のシート6に当接される。そうすると、アーム42の回動が制止される。シート6は、ギア44を介して支軸41に回転された給送ローラ43により、搬送路31へ送り出される。
【0045】
[搬送路31]
図2に示されるように、搬送路31は、シート6が搬送される通路であり、複数のガイド部材(不図示)及びプラテン50により区画されている。搬送路31は、1点鎖線により示される湾曲路32と、2点鎖線により示される直線路33と、を有している。湾曲路32は、給紙トレイ21の傾斜板26の上端を基端として上方へ向かい、次いで湾曲して前後方向8における前方へ向かって延びている。直線路33は、湾曲路32の終端から前方へ向かって直線状に延びている。直線路33の下面は、プラテン50により区画されている。シート6は、プラテン50上において画像を記録される。プラテン50については後で詳細な説明がされる。
【0046】
[ガイドレール92,93]
図4に示されるように、プラテン50の上側には、記録部45が架設される前後一対のガイドレール92,93が配置されている。ガイドレール92,93には、左右方向9へ延びる鋼板が用いられている。ガイドレール92,93は、前後方向8へ離間されて配置されており、左右方向9における両端部において不図示のフレームに支持されている。ガイドレール92,93は、架設された記録部45を左右方向9へ往復動可能に支持している。
【0047】
図4に示されるように、ガイドレール92には、後述される当接部材60,70の挿入突起65,75(図5,6)が挿入される複数の挿入孔97が設けられている。図7(A)に示されるように、挿入孔97は、前後方向8へ延びる第1孔98と、前後方向8における第1孔98の中央部から左右方向9における左方へ向かって延びる第2孔99と、を有している。挿入突起65,75は、図7(B)に示されるように、ガイドレール92の下側から第1孔98に挿入された後、左右方向9における左向きへ移動され、図7(C),(D)に示されるように第2孔99に嵌め込まれる。詳しくは後述される。
【0048】
[記録部45]
図2に示されるように、記録部45は、キャリッジ48と、キャリッジ48に搭載された記録ヘッド46と、を備えており、プラテン50の上側に配置されている。記録部45とプラテン50との間に隙間Gが形成されている。
【0049】
図4に示されるように、キャリッジ48は、ガイドレール92,93間に架設されており、左右方向9へ往復動可能にガイドレール92,93に支持されている。キャリッジ48は、不図示のベルトに固着されている。このベルトは、周運動可能にガイドレール93に設けられており、不図示の駆動モータにより周運動され、キャリッジ48を左右方向9へ往復動させる。
【0050】
図2に示されるように、記録ヘッド46は、キャリッジ48に搭載され、プラテン50の上側に位置している。図3(B)に示されるように、記録ヘッド46は、インク滴を吐出する複数のノズル47を下面に有している。記録ヘッド46は、プラテン50上のシート6へノズル47からインク滴を吐出することにより、シート6に画像を記録する。
【0051】
[搬送ローラ対34]
図2に示されるように、搬送ローラ対34は、プラテン50より搬送向き19における上流側(前後方向8における後側)であって、且つガイドレール92(図4)の下側となる位置に、ニップ位置をプラテン50に近接させて配置されている。搬送ローラ対34は、搬送ローラ35と、搬送ローラ35の下側に配置された従動ローラ36と、を備えている。搬送ローラ35は、左右方向9(図2の紙面に直交する方向)へ延びる回転軸35Aに設けられており、回転軸35Aと一体に回転される。左右方向9における回転軸35Aの両端部は、不図示のフレームに回転可能に支持されている。
【0052】
従動ローラ36は、図10(A)に示されるホルダ114に回転可能に支持されている。ホルダ114は、不図示の弾性部材に上向きへ付勢されている。図2に示されるように、従動ローラ36は、この弾性部材により、上側に配置された搬送ローラ35に圧接されている。回転軸35Aが不図示の駆動モータにより回転されると、搬送ローラ対34は、シート6を挟持(ニップ)し、搬送向き19へシート6を搬送する。
【0053】
[排紙ローラ対37]
図2に示されるように、排紙ローラ対37は、プラテン50より搬送向き19における下流側(前後方向8における前側)であって、且つガイドレール93の下側に配置されている。排紙ローラ対37は、複数の排紙ローラ38と、排紙ローラ38の上側に配置された複数の拍車39と、を備えている。排紙ローラ38は、左右方向9(図2の紙面に直交する方向)へ延びる回転軸38Aに設けられており、回転軸38Aと一体に回転される。左右方向9における回転軸38Aの両端部は、不図示のフレームに回転可能に支持されている。
【0054】
拍車39は、不図示の弾性軸に回転可能に支持されている。この弾性軸の軸方向における両端部は、ガイドレール93に保持された不図示の保持部材に支持されている。拍車39は、撓んだ弾性軸により、排紙ローラ38に圧接されている。回転軸38Aが不図示の駆動モータにより回転されると、排紙ローラ対37は、シート6を挟持し、搬送向き19へ搬送して排紙トレイ29へ排出する。搬送ローラ対34及び排紙ローラ対37は、本発明の搬送部の一例である。
【0055】
[当接部材60]
図2に示される当接部材60,70は、プラテン50の第1リブ51と協働し、搬送されるシート6を波形状にする部材である。後述されるように、シート6は、当接部材60,70及び第1リブ51により、当接部材60に押し下げられた部分を「谷」とし、第1リブ51に支持された部分を「山」とする波形状にされる。
【0056】
後述されように、第1リブ51は左右方向9におけるプラテン50の中央を基準に左右対称な位置に配置されているので、図8では、プラテン50の左右方向9における左部が省略されて図示されている。図8におけるプラテン50の左端が左右方向9におけるプラテン50の中央に相当する。図8に示されるように、左右方向9におけるプラテン50の中央の上側に1つの当接部材60(60A)が配置されている。中央に配置された当接部材60Aの左右方向9(本発明の第1方向の一例)における右側に、距離D(D10,D11,D12)だけ相互に離間されて3個の当接部材60(60B,60C,60D)が配置されている。左右方向9における当接部材60Aの左側にも、それぞれ距離D10,D11,D12だけ相互に離間されて3個の当接部材60が配置されている。
【0057】
距離D10と、距離D11と、距離D12とは、同じ距離Dにされている。これは、波の山と山との間の距離を同じ(周期を一定)にするためである。記録ヘッド46は、一定の周期により変化する記録ヘッド46とシート6との間の距離を考慮してインク滴を吐出し、画像記録の精度を良くする。記録ヘッド46とシート6との間の距離を一定の周期で変化させることにより、記録ヘッド46の制御が容易になる。
【0058】
以下、図5,7を参照して当接部材60について詳細な説明がされる。なお、図5,7に示される上下方向7、前後方向8及び左右方向9は、当接部材60をガイドレール92に取り付けた状態における方向である。
【0059】
図5に示されるように、当接部材60は、ガイドレール92に取り付けられる取付部61と、シート6を押さえる当接部63と、取付部61及び当接部63を繋ぐ湾曲部62と、を備えている。当接部材60は、当接部63が弾性変化できるように、弾性を有する樹脂材料により成型されている。当接部63の弾性変形については後述される。
【0060】
取付部61の上面からは、補強用の複数の補強リブ64と、ガイドレール92の挿入孔97(図7(A))に挿入される4個の挿入突起65とが上向きへ突出されている。4個の挿入突起65は、前後方向8及び左右方向9に2個ずつ並ぶ位置に配置されている。4個の挿入突起65が設けられるのは、4点支持により取付部61を確実に支持するためである。
【0061】
挿入突起65の突出の先端部(上端部)には、ガイドレール92の上面に引っ掛かる前後一対の爪66,67が設けられている。爪66は、挿入突起65の突出の先端部(上端部)から前後方向8における前向きへ突出されている。爪67は、挿入突起65の上端部から前後方向8における後向へ突出されている。
【0062】
当接部材60のガイドレール92への取り付けは、まず、図7(B)に示されるように、挿入突起65をガイドレール92の下面側から第1孔98に挿入する。その後、当接部材60を左右方向9における左向きへスライドさせ、図7(C),(D)に示されるように、挿入突起65を第2孔99に嵌める。取付部61は、前後方向8において第2孔99を区画する壁面に挿入突起65が当接し、爪66,67がガイドレール92の上面に引っ掛かることにより、ガイドレール92に取り付けられる。
【0063】
図5に示されるように、湾曲部62は、搬送ローラ35(図2)の周面に沿って円弧状に湾曲している。これは、湾曲部62と、搬送ローラ35との接触を回避するためである。湾曲部62は、撓みを抑えるために、補強リブ68により補強されている。
【0064】
湾曲部62の下端には、搬送されるシート6の搬送向き19における下流端(以下、単にシート6の先端と記載される)を当接部63へ案内する案内面69が設けられている。詳しく説明すると、湾曲部62の案内面69は、搬送ローラ対34(図2)のニップ位置の前方斜め上から前方斜め下へ向かって延びる傾斜面に形成されている。案内面69からは、案内面69が延びる向き(前方斜め下向き)へ延びる3つのガイドリブ69Aが下向きへ突出されている。ガイドリブ69Aは、左右方向9における案内面69の両端部と中央部とにそれぞれ設けられている。搬送ローラ対34により搬送されたシート6の先端は、ガイドリブ69Aの突出の先端(下端)に当接し、当接部63へ案内される。
【0065】
図5に示されるように、当接部63は、湾曲部62の下端部の前後方向8における前面から前方斜め下へ向かって延びる板状であって、前方へ向かうにつれてプラテン50(図2)の上面に近づくように水平面に対して若干傾斜されている。前後方向8における当接部63の前端は、前後方向8における記録ヘッド46のノズル47(図3(B))の後側に位置しており、ノズル47に近接している。複数の当接部材60は、当接部63が上下方向7及び前後方向8において同じ位置となるようにガイドレール92に取り付けられている。
【0066】
当接部63が傾斜されているのは、前後方向8における当接部63の前端へシート6の先端を案内するためである。また、当接部63が板状にされているのは、上下方向7における距離が短くされた隙間G(図2)に当接部63を配置し、且つ当接部63の強度を確保するためである。前後方向8における当接部63の前端をノズル47(図3(B))に近接させるのは、ノズル47に近い位置においてシート6を押さえて画像記録の精度を良くするためである。
【0067】
当接部63は、上下方向7へ撓み易いように、前後方向8における前方へ向かうにつれて左右方向9の両端が互いに近づくように傾斜する先細りの形状にされている。当接部63の前端部は、先細りの形状にされることにより、搬送されるシート6を波形状にする際に撓む。当接部63の前端部を撓ませるのは、波形状を調整するためである。詳しくは後述される。また、当接部63の前端部は、厚みが若干厚いシート6が搬送されたときに撓み、厚いシート6が当接部63とプラテン50(図2)との間において詰まることを抑制する。
【0068】
当接部63の下面からは、当接部63が延びる向き(前方斜め下向き)へ延びる3つの当接リブ63Aが下向きへ突出されている。当接リブ63Aは、左右方向9における当接部63の両端部と中央部とにそれぞれ設けられており、湾曲部62の案内面69のガイドリブ69Aと繋がっている。当接リブ63Aは、搬送されるシート6の上面に当接し、シート6を上側から押さえる。当接リブ63Aが設けられたことにより、当接部材60とシート6との接触面積が減り、シート6の搬送抵抗が小さくなる。その結果、画像記録の精度が良くなる。
【0069】
[当接部材70]
図4に示されるように、当接部材70は、左右方向9におけるプラテン50の両端部の上側にそれぞれ配置されている。そのため、当接部材70は、当接部材60と形状が若干変えられている。以下、図6を参照して、当接部材70について詳しい説明がされる。なお、図6に示される上下方向7、前後方向8及び左右方向9は、当接部材70をガイドレール92に取り付けた状態における方向である。
【0070】
当接部材70は、取付部71、湾曲部72、及び当接部73を備えている。取付部71には、当接部材60と同様に、補強用の補強リブ74及び挿入突起75が設けられている。取付部71は、4個の挿入突起75、挿入突起75に設けられた爪76,77、及び補強リブ74により、当接部材60の取付部61と同様に、ガイドレール92に取り付けられている。
【0071】
湾曲部72は、補強用の補強リブ78、案内面79及びガイドリブ79Aを有しており、当接部材60の湾曲部62とほぼ同形状に形成されている。
【0072】
当接部73は、前後方向8における前端が後端よりも下方に位置するように水平面に対して若干傾斜された矩形板状である。前後方向8における当接部73の前端(下端)は、前後方向8における当接部63の前端(下端)と、上下方向7及び前後方向8において同じ位置に位置している。
【0073】
当接部材70は、シート6(例えば、A4サイズ、リーガルサイズ)の左右方向9における左端または右端が2つの当接リブ73Aの間となる位置に配置されている。よって、左右方向9における片方の当接リブ73Aにしかシート6が当接しない場合がある。そうすると、当接部73を当接部63のように先細りの形状にすると、ノズル47(図3(B))の近傍までシート6を押さえることができなくなる。よって、当接部73は、先細りの形状とされておらず、矩形板状にされている。当接部材70は、当接リブ73Aにより、左右方向9におけるシート6の両端より内側において、ノズル47の近傍までシート6を押さえる。なお、前後方向8における当接部73の前端部の左右方向9における中央部には、前端から切り欠いた形状の切欠部73Bが設けられている。切欠部73Bにより、左右方向9における当接部73の中央部に設けられた当接リブ73Aの前後方向8における前端は、左右両側の当接リブ73Aの前端より後方に位置することになる。
【0074】
[プラテン50]
図2に示されるように、プラテン50は、給紙カセット20の上側に配置されており、記録ヘッド46の下側に位置している。プラテン50は、上下方向7を厚みとする板状の外形である。図4に示されるように、プラテン50の上面からは、搬送向き19(図2)へ延びる複数の第1リブ51、第2リブ52及び凸リブ53(本発明の第3リブの一例)が上向きへ突出されている。
【0075】
図9(A)に示されるように、第1リブ51は、搬送されるシート6を支持して波形状の「山」となる部分を形成するリブであり、隣り合う2つの当接部材60の左右方向9における中間となる位置に配置されている。具体的には、図8(A)に示されるように、左右方向9におけるプラテン50の中央に一番近い第1リブ51Aは、当該中央から距離D1/2だけ離間されて配置されている。第1リブ51Aの右隣の第1リブ51Bは、第1リブ51Aから距離D2だけ離間されて配置されている。第1リブ51Bの右隣の第1リブ51Cは、第1リブ51Bから距離D3だけ離間されて配置されている。第1リブ51Cの右隣の第1リブ51Dは、第1リブ51Cから距離D4だけ離間されて配置されている。上述されたように、左右方向9において隣り合う2つの当接部材60は距離Dだけ離間されており、第1リブ51A〜51Dは当接部材60の中間に位置しているので、距離D1、D2、D3、D4は、全て距離Dである。第1リブ51は、搬送向き19(図2)へ延びており、前後方向8におけるプラテン50のほぼ両端に渡って設けられている。このように第1リブ51が設けられることにより、波形状にされたシート6の山の頂点と谷の頂点との間の距離が同じになる。そうすると、記録ヘッド51の制御が更に容易になる。
【0076】
図8(A)に示されるように、プラテン50の上面からの第1リブ51の突出量P1は、上端が当接リブ63Aの下端(前後方向8における前端)よりも上方に位置するように設定されている。これにより、搬送されるシート6は、第1リブ51に支持された部分を「山」とし、当接部63により押し下げられた部分を「谷」とする波形状にされる。突出量P1は、複数の第1リブ51A〜51Dにおいて同じにされている。これは、波形状の山の頂点の高さ位置を同じにするためである。
【0077】
ところで、シート6は、左右方向9における端部よりも中央部の方が波形状にし難い。よって、第1リブ51及び当接部材60,70だけでは、左右方向9におけるシート6の剛性を均一にするのは困難である。
【0078】
図8に示される第2リブ52は、シート6が波形状にされる際に、シート6の一部に当接し、左右方向9におけるシート6の中央部に近い方の波形状の曲率半径を、当該中央部から遠い方の波形状の曲率半径よりも小さくし、左右方向9におけるシート6の剛性の均一性を良くするためのリブである。以下、複数の第2リブ52を、左右方向9におけるプラテン50の中央から右方へ向かって順に第2リブ52A,52B,52C,52D,52Eとして説明がされる。
【0079】
第2リブ52A〜52Eは、プラテン50の上面からの突出量P2を全て同じにして設けられている。第2リブ52Aは、当接部材60Aと第1リブ51Aとの間に配置されている。第2リブ52Bは、第1リブ51Aと当接部材60Bとの間に配置されている。第2リブ52Cは、当接部材60Cと第1リブ51Cとの間に配置されている。第2リブ52Dは、第1リブ51Cと当接部材60Dとの間に設けられている。第2リブ52Eは、当接部材60Dと第1リブ51Dとの間に設けられている。
【0080】
第2リブ52Aと第1リブ51Aとの間の距離D5は、第1リブ51Aと第2リブ52Bとの間の距離D6より短くされている。距離D6は、第1リブ51Cと第2リブ52Cとの間の距離D7より短くされている。距離D7は、第1リブ51Cと第2リブ52Dとの間の距離D8と同じにされている。距離D8は、第1リブ51Dと第2リブ52Eとの間の距離D9と同じにされている。
【0081】
第2リブ52の突出量P2は、第2リブ52がシート6を支持することができるように設定されている。詳細には、突出量P2は、第2リブ52の突出の先端(上端)が当接部63の下端よりも上方であって、且つ第1リブ51の突出の先端(上端)よりも下方に位置するように決められている。さらに言えば、突出量P2は、第2リブ52の上端が仮想直線Lより上側に位置するように決められている。仮想直線Lは、第2リブ52に最も近い第1リブ51の上端と、第2リブ52に最も近い当接部63の下端とを結んだ直線である。例えば、図8(B)の1点鎖線内の拡大図に示されるように、第2リブ52Aの上端は、当接部材60Aの左右方向9における中央の当接リブ63Aの下端と、第1リブ51Aの上端とを結んだ仮想直線Lより上側に位置している。また、図8(B)の2点鎖線内の拡大図に示されるように、第2リブ52Dの上端は、当接部材60Dの左右方向9における中央の当接リブ63Aの下端と、第1リブ51Cの上端とを結んだ仮想直線Lより上側に位置している。突出量P2が、第2リブ52の上端が第1リブ51の上端より下方となるように設定されているのは、第2リブ52に押された部分が波形状の山の頂点部分とならないようにするためである。
【0082】
このように第2リブ52が設けられることにより、左右方向9におけるシート6の中央部に近い方の波の曲率半径は、当該中央部から遠い方の波の曲率半径よりも小さくなる。図9を参照して詳細に説明がされる。図9(A)には、左右方向9におけるプラテン50の中央部の第1リブ51Aに支持されるシート6の一部6Aと、右端部の第1リブ51Cに支持されるシート6の一部6Bとが示されている。図9(B)には、シート6の一部6Aとシート6の一部6Bとを重ねた図が示されている。
【0083】
搬送されるシート6は、第1リブ51及び第2リブ52により支持され、当接部63により押し下げられる。第1リブ51Aの両側に設けられた第2リブ52A,52Bと第1リブ51Aとの間の距離D5,D6は、第1リブ51Cの両側に設けられた第2リブ52C,52Dと第1リブ51Cとの間の距離D7,D8よりも短い。よって、図9(B)に示されるように、シート6の一部6Aの波の山の部分の曲率半径は、シート6の一部6Bの波の山の部分の曲率半径よりも小さくなる。
【0084】
また、距離D5〜D8の長さ関係により、左右方向9における第2リブ52Cと当接部材60Cとの間の距離、及び第2リブ52Dと当接部材60Dとの間の距離は、第2リブ52Aと当接部材60Aとの間の距離よりも短くなる。つまり、左右方向9におけるプラテン50の中央に近い方が、当該中央から遠い方よりも、左右方向9における第2リブ52と谷の頂点部分との間の距離が長くなる。よって、プラテン50の中央に近い方の当接部材60Aの当接部63の撓みは、当該中央から遠い方の当接部材60D,60Eの当接部63の撓みよりも小さくなる。そうすると、シート6の一部6Aの波形状の谷の部分の曲率半径が、シート6の一部6Bの波形状の谷の部分の曲率半径よりも小さくなる。よって、シート6の一部6Aの波の曲率半径は、山及び谷の双方において、シート6の一部6Bの曲率半径よりも小さくなる。その結果、左右方向9におけるシート6の剛性の均一性が良くなる。これにより、波の形状が崩れ難くなり、画像記録の精度が良くなる。
【0085】
図4に示される凸リブ53は、例えば、光沢紙以外の普通紙や厚紙などのシート6に写真が印刷される場合など、多量のインクが吐出されてシート6が膨張したときに、シート6の谷の部分がプラテン50の上面に摺接しないようにするためのリブである。凸リブ53は、搬送向き19における当接部63,73の下流端(前後方向8における前端)の下方となる位置から搬送向き19へ延びており、左右方向9における第1リブ51の間にそれぞれ位置している。図9(C)に示されるように、凸リブ53は、搬送向き19へ向かうにつれて上方へ向かう傾斜面53Aを搬送向き19における上流側の端部に有している。傾斜面53Aは、当接部63の下側に位置しており、搬送されるシート6が凸リブ53に引っ掛かることを抑制する。プラテン50の上面からの凸リブ53の突出量P3は、当接リブ63A,73Aの下端(前後方向8における前端)よりも上端が下方に位置するように設定されている。
【0086】
図8(B)に示されるように、1つの凸リブ53が、左右方向9におけるプラテン50の中央となる位置に配置された当接部材60Aの左右方向9における中央の前側に配置されている。当該中央に配置された当接部材60Aの右隣りの当接部材60Bの前側には、左右方向9へ離間された2つの凸リブ53がそれぞれ配置されている。当接部材60D,60Eの左右方向9における中央の前側には、1つの凸リブ53がそれぞれ配置されている。当接部材70の前側には、左右方向9へ離間された2つの凸リブ53が配置されている。波形状にされたシート6は、例えば、インクを多量に吐出されて膨張し、谷の部分が下がったときに、谷の部分において凸リブ53に当接する。これにより、シート6の谷の部分がプラテン50に摺接することを抑制できる。その結果、波形状が崩れることや、搬送抵抗の増加を抑えることができ、画像記録の精度の低下を抑え得る。なお、当接部材60B及び当接部材70に対して2つの凸リブ53が設けられるのは、左右方向9における長さが僅かに異なる2種類のシート6(例えば、葉書とL版、リーガルサイズとA4サイズ)のそれぞれについて凸リブ53によりシート6を支持可能とするためである。
【0087】
ところで、光沢紙などの非常に腰の強いシート6(図10(B))を波形状とすることなく搬送できるように、プラテン50は回動可能に設けられている。詳しく説明がされる。図10(A)に示されるように、プラテン50は、前後方向8における前端部において排紙ローラ38の回転軸38Aに回動可能に支持されている。よって、前後方向8におけるプラテン50の後端部は、上下に変位可能である。プラテン50は、第1リブ51の上端が当接リブ63A,73Aの下端(前後方向8における前端)より上方に位置する図8(B)の第1位置、及び第1リブ51の上端が当接リブ63A,73Aの下端より下方に位置する図10(B)の第2位置に回動される。
【0088】
図10(A)に示されるように、前後方向8におけるプラテン50の後端部の下側には、プラテン50を第1位置側(上向き)へ付勢するコイルバネ113(本発明の付勢部材の一例)が配置されている。コイルバネ113の下端は、不図示のフレームに設けられた中板112に当接して支持されている。コイルバネ113の上端はプラテン50の下面に当接している。プラテン50は、コイルバネ113に第1位置側(上向き)へ付勢され、従動ローラ36を回転可能に保持するホルダ114に当接し、第1位置となっている。光沢紙などの非常に腰の強いシート6が搬送されると、プラテン50は、シート6により第1位置から第2位置に回動される。詳しくは後述される。
【0089】
[実施形態の動作]
以下に、普通紙などの腰の弱いシート6に画像を記録する際のインクジェット記録装置10の動作、光沢紙などの非常に腰の強いシート6に画像を記録する際のインクジェット記録装置10の動作、厚紙など普通紙よりも厚みのあるシート6に画像を記録する際のインクジェット記録装置10の動作について順に説明がされる。
【0090】
最初に、図2、図9を参照して、普通紙などの腰の弱いシート6に画像を記録する際のインクジェット記録装置10の動作が説明される。給紙トレイ21に載置されたシート6は、サイドガイド機構80によりセンタ合わせで位置決めされる。位置決めされたシート6は、給送ローラ43により搬送路31へ送り出される。送り出されたシート6は、搬送ローラ対34により搬送される。搬送ローラ対34のニップ位置を通過したシート6の先端は、当接部材60,70のガイドリブ69A,79Aにより当接部63,73へ案内される。シート6は、普通紙などの腰の弱いものであるので、プラテン50をほとんど回動させることがなく、第1リブ51及び第2リブ52により支持され、当接部材60,70により押し下げられ、波形状にされる。シート6をセンタ合わせにより位置決めし、当接部材60,70、第1リブ51及び第2リブ52を左右方向9におけるプラテン50の中央を基準に左右対称な位置に配置しているので、シート6は、左右対称な波形状にされる。また、第1リブ51間の距離D1〜D4が全て同じ距離Dにされており、隣り合う第1リブ51の中間に当接部材60が配置されているので、シート6は、波形状の山の頂点と谷の頂点との間の距離が全て同じである波形状にされる。また、シート6は、第2リブ52により、左右方向9における中央に近い方の波の曲率半径が当該中央から遠い方の波の曲率半径よりも小さい波形状にされる。
【0091】
波形状にされたシート6は、腰が強くなり、反りを抑制されて搬送される。シート6の先端部が記録ヘッド46のノズル47(図3(B))の下方となる位置に到達すると、搬送ローラ35の回転が停止される。その後、キャリッジ48が左右方向9へ往復動されながら、ノズル47からシート6にインク滴が吐出され、1行の印刷が行われる。このとき、記録ヘッド46は、シート6の波形状により周期的に変化するシート6とノズル47との間の距離を考慮してインク滴を吐出する。なお、シート6が腰の弱い普通紙等であるか否かは、印刷指示に含まれる情報により判断される。1行の印刷が行われた後、搬送ローラ35が回転され、シート6が1行分だけ搬送される。1行の印刷と1行分のシート6の搬送とが交互に繰り返され、シート6に画像が記録される。画像が記録された後、シート6は、排紙ローラ対37により、排紙トレイ29に排出される。
【0092】
次に、図2、図10を参照して、光沢紙などの非常に腰の強いシート6に画像を記録する際のインクジェット記録装置10の動作について説明がされる。給紙トレイ21に載置されたシート6は、給送ローラ43により搬送路31へ送り出され、搬送ローラ対34により搬送される。搬送ローラ対34のニップ位置を通過したシート6の先端は、当接部材60,70のガイドリブ69A,79Aにより当接部63,73へ案内される。シート6は、光沢紙などの非常に腰の強いものであるので、プラテン50は、シート6により第1位置から第2位置に回動される。そうすると、図10(B)に示されるように、シート6は、波形状とされることなく搬送される。その後、シート6は、記録ヘッド46により画像を記録される。シート6は波形状にされないので、記録ヘッド46は、上下方向7におけるシート6とノズル47(図3(B))との間の距離を一定としてインク滴を吐出する。なお、シート6が非常に腰の強い光沢紙等であるか否かは、印刷指示に含まれる情報により判断される。画像が記録されたシート6は、排紙ローラ対37により排紙トレイ29へ排出される。第2位置にされたプラテン50は、シート6が当接部63,73を通過すると、コイルバネ113の付勢力により第1位置に戻される。
【0093】
次に、図2,11を参照して、厚紙など普通紙よりも厚みのあるシート6に画像を記録する際のインクジェット記録装置10の動作について説明される。給紙トレイ21に載置されたシート6は、給送ローラ43により搬送路31へ送り出され、搬送ローラ対34により搬送される。搬送ローラ対34のニップ位置を通過したシート6の先端は、当接部材60,70のガイドリブ69A,79Aにより当接部63,73へ案内される。シート6は、普通紙よりも厚みのあるものであるので、プラテン50は、シート6により若干回動され、図11(B)の実線に示されるように、第1位置(図11(B)の破線)と第2位置(図10(B))との間の位置にされる。そうすると、シート6は、図11(A)の実線に示されるように、普通紙の場合(図の破線)よりも緩やかな(振幅の小さい)波形状とされて搬送される。記録部45は、シート6が揺やかな波形状にされたものとしてインク滴を吐出する。具体的には、記録ヘッド46は、シート6とノズル47(図3(B))との間の距離が周期的に変化するが、その変化量が普通紙の場合と比べて小さいものとしてインク滴を吐出する。なお、シート6が厚紙等であるか否かは、印刷指示に含まれる情報により判断される。記録ヘッド46により画像を記録されたシート6は、排紙ローラ対37により排紙トレイ29へ排出される。第1位置と第2位置との間の位置にされたプラテン50は、シート6が当接部63,73を通過すると、コイルバネ113の付勢力により第1位置に戻される。
【0094】
[実施形態の効果]
本実施形態では、シート6を波形状にする際に、第2リブ52によりシート6の一部を支持し、左右方向9におけるシート6の中央部に近い方の波の曲率半径を当該中央部から遠い方の波の曲率半径よりも小さくして波の形状を調整し、左右方向9におけるシート6の剛性の均一性を良くしている。そうすると、シート6の波形状が崩れ難くなり、画像記録の精度が良くなる。
【0095】
また、第2リブ52の配置位置により波の形状を調整できるので、プラテン50の設計が容易になる。
【0096】
また、第1リブ51及び第2リブ52を、左右方向9におけるプラテン50の中央を基準に左右対称となる位置に配置しているので、シート6を左右対称な波形状にすることができる。その結果、波の形状が崩れ難くなり、画像記録の精度が良くなる。
【0097】
また、波形状の山の頂点間の距離(または谷の頂点間の距離)を同じにして波形状の周期を一定にし、且つ山の頂点と谷の頂点との間の距離も同じにしているので、記録ヘッド46の制御が容易になる。
【0098】
また、当接部63,73を弾性変形可能に設けているので、山の部分だけでなく、谷の部分の波の形状も調整できる。その結果、波の形状が崩れ難くなり、画像記録の精度が良くなる。
【0099】
また、プラテン50を回動可能に設けたことにより、普通紙や厚紙や光沢紙など、腰の強さや厚みに拘わりなくシート6を搬送して画像を記録できる。
【0100】
また、多量のインクが吐出されてシート6が膨張し、谷の部分が下がったとしても、凸リブ53により、谷の部分がプラテン50の上面に摺接することを抑制できる。その結果、波形状が崩れることや、シート6の搬送抵抗の増加を抑えることができ、画像記録の精度の低下を抑制し得る。
【0101】
[変形例1]
上述の実施形態では、記録ヘッド46の制御を容易にするため、第1リブ51間の距離D1〜D4を同じ距離D(図8(A))とした例が説明された。しかしながら、図12(A)に示されるように、距離D1≦距離D2≦距離D3≦距離D4(但し、距離D1=距離D2=距離D3=距離D4を除く)となるように第1リブ51が配置されていてもよい。これは、種々のサイズのシート6において、左右方向9における剛性の均一性を良くするためである。例えば、小さいサイズのシート6に合わせ、距離D1<距離D2として距離D1,D2を決める。次に、大きいサイズのシート6について、距離D1,D2<距離D3,D4として距離D3,D4を決める。当接部材60は、上述の実施形態と同様に、隣り合う2つの第1リブ51の中間に配置される。その他の構成は、上述の実施形態と同じである。
【0102】
このように第1リブ51を配置することにより、種々のサイズのシート6において、左右方向9におけるシート6の剛性の均一性を良くできる。
【0103】
[変形例2]
上述の変形例1では、小さいサイズのシート6と大きいサイズのシート6とに画像を記録する場合の第2リブ52の配置の例が説明された。本変形例では、シート6のサイズがA4サイズやリーガルサイズなど比較的大型のシート6に限定される場合の第1リブ51及び第2リブ52の配置について説明がされる。
【0104】
図12(A)において、第1リブ51は、距離D1<距離D2<距離D3<距離D4となるように配置され、第2リブ52は、距離D5<距離D6<距離D7<距離D8となるように配置される。シート6は、左右方向9における中央部よりも端部の方が波形状にし易いので、このように第1リブ51及び第2リブ52を配置することにより、左右方向9におけるシート6の剛性を、より均一にできる。なお、小さいサイズのシート6と大きいサイズのシート6とに画像を記録する場合にも、本変形例のように第1リブ51及び第2リブ52を配置しても、もちろんよい。
【0105】
[変形例3]
上述の実施形態や変形例1,2では、第1リブ51を基準にして第2リブ52の配置位置を決める例が説明された。しかしながら、図12(B)に示されるように、当接部材60を基準に第2リブ52の配置位置が決められてもよい。第2リブ52は、当接部材60Aと第2リブ52Aとの距離D14≧当接部材60Bと第2リブ52Bとの距離D15≧当接部材60Cと第2リブ52Cとの距離D16≧当接部材60Dと第2リブ52Dとの距離D17≧当接部材60Dと第2リブ52Eとの距離D18(但し、距離D14=距離D15=距離D16=距離D17を除く)となるように配置される。その他の構成は、上述の実施形態と同じである。
【0106】
当接部材60と第2リブ52との間の距離が長い箇所ほど波の曲率半径を小さくできるので、上述のように第2リブ52を配置することにより、図9(B)に示される状態と同様に、左右方向9におけるシート6の中央部の波の曲率半径を端部の波の曲率半径よりも小さくすることができる。その結果、左右方向9におけるシート6の剛性の均一性を良くできる。
【0107】
[変形例4]
上述の実施形態では、複数の第2リブ52の突出量P2(図8(A))を全て同じにし、左右方向9における最も近い第1リブ51との間の距離D5〜D9(図8(A))を相違させて波の曲率半径を調整する例が説明された。しかしながら、図12(C)に示されるように、最も近い第1リブ51との間の距離D5〜D9を全て同じにし、突出量P11〜P15を相違させて波の曲率半径が調整されてもよい。第2リブ52は、第2リブ52Aの突出量P11≦第2リブ52Bの突出量P12≦第2リブ52Cの突出量P13≦第2リブ52Dの突出量P14≦第2リブ52Eの突出量P15(但し、P11=P12=P13=P14=P15を除く)となるように設けられる。
【0108】
距離D5〜D9を全て同じにしているので、第2リブ52の突出量が小さい箇所ほど波の曲率半径が小さくなる。よって、上述のように第2リブ52を配置することにより、図9(B)に示される状態と同様に、左右方向9におけるシート6の中央部の波の曲率半径を端部の波の曲率半径よりも小さくすることができる。その結果、左右方向9におけるシート6の剛性の均一性を良くできる。
【0109】
[変形例5]
上述の変形例4では、第2リブ52の配置位置を第1リブ51を基準にして決める例が説明された。しかしながら、第2リブ52の配置位置は、当接部材60を基準に決められてもよい。詳細には、第2リブ52A〜52E(図12(C))は、最も近い当接部材60からの距離が同じになる位置に配置される。このように第2リブ52を配置することによっても、図9(B)に示される状態と同様に、左右方向9におけるシート6の中央部の波の曲率半径を端部の波の曲率半径よりも小さくすることができる。その結果、左右方向9におけるシート6の剛性の均一性を良くできる。
【0110】
[変形例6]
上述の実施形態では、光沢紙などの腰の強いシート6が波形状にされることなく搬送されるように、プラテン50が回動可能に設けられた例が説明された。本変形例では、プラテン50が回動可能に設けられる代わりに、当接部材60,70(図5,6)が回動可能に設けられた例が説明される。
【0111】
図13に示されるように、ガイドレール92には、前後方向8における当接部材60,70の後端部を回動可能に支持する受け部92Aが設けられている。以下では、図13に示される当接部材60について説明されるが、当接部材70についても同様である。
【0112】
当接部材60には、上述の実施形態と異なり、前後方向8における後側の挿入突起65は設けられていない。また、前後方向8における前側の挿入突起65の上下方向7における長さは、上述の実施形態の挿入突起65よりも長くされている。当接部材60は、前後方向8における前側の挿入突起65の爪66がガイドレール92の上面に当接する第3位置(図13(A))、及び補強リブ64がガイドレール92の下面に当接する第4位置(図13(B))に後端部を軸に回動される。
【0113】
当接部材60が第3位置にあるとき、当接リブ63Aの下端(前後方向8における前端)は、第1リブ51の上端よりも下方に位置している。当接部材60が第4位置にあるとき、当接リブ63Aの下端は、第1リブ51の上端よりも上方に位置している。前後方向8における取付部61の前端部とガイドレール92との間には、コイルバネ115(本発明の付勢部材の一例)が配置されている。コイルバネ115は、当接部材60を第3位置側(下向き)へ付勢している。
【0114】
光沢紙などの非常に腰の強いシート6(図10(B))が搬送されると、当接部材60は、シート6により第3位置から第4位置へ回動される。シート6は、当接部材60を第4位置にし、波形状とされることなく搬送される。第4位置にされた当接部材60は、シート6の通過後、コイルバネ115の付勢力により、第3位置に戻される。厚紙などの普通紙よりも厚みのあるシート6が搬送されるときは、当接部材60は、第3位置と第4位置との間の位置へ回動される。シート6は、図11(A)の実線に示される場合と同様に、破線により示される普通紙の場合よりも緩やかな(振幅の小さい)波形状にされて搬送される。よって、腰の強さや厚みに拘わりなくシート6を搬送して画像を記録できる。
【0115】
本変形例では、シート6の厚みや腰の強さに応じて当接部材60,70が回動されるので、シート6の厚みや腰の強さに拘わりなくシート6を搬送して画像を記録できる。
【0116】
本変形例では、当接部材60,70が回動可能に設けられた例が説明された。しかしながら、当接部材60,70は、全体が上下方向7へ移動可能に設けられていてもよい。
【0117】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、複数の第2リブ52が設けられた例が説明された。しかしながら、第2リブ52は、少なくとも1つあればよい。
【0118】
上述の実施形態では、プラテン50に凸リブ53が設けられた例が説明された。しかしながら、凸リブ53は、インクの吐出により想定以上にシート6が膨張したときなどのために設けられたものであり、凸リブ53が設けられていなくても、第2リブ52により左右方向9におけるシート6の剛性の均一性を良くして画像記録の精度を良くできる。
【0119】
上述の実施形態では、凸リブ53は、搬送向き19における当接部63の下流端から搬送向き19へ延びるように設けられた例が説明された。しかしながら、凸リブ53は、当接部63より搬送向き19における上流側となる位置から当接部63より下流側となる位置まで搬送向き19へ延びて設けられていてもよい。
【0120】
上述の実施形態では、当接部材60,70の2種類の当接部材が用いられた例が説明された。しかしながら、当接部材60または当接部材70の一方のみが用いられていてもよい。
【0121】
上述の実施形態では、当接部材60にガイドリブ69A及び当接リブ63Aが設けられた例が説明された。しかしながら、当接部材60にガイドリブ69A及び当接リブ63Aが設けられていなくてもよい。この場合、傾斜面69によりシート6が当接部63へ案内される。また、シート6は、当接部63の下面により押さえられる。当接部材70についても同様である。
【0122】
上述の実施形態では、搬送路31が湾曲路32を有する例が説明された。しかしながら、搬送路31は、直線路33のみで構成されていてもよい。
【0123】
上述の実施形態では、前後方向8におけるプラテン50の後端部が回動により上下に変位する例が説明された。しかしながら、プラテン50は、水平状態を維持しつつ全体が上下方向7へ移動可能に設けられていてもよい。
【0124】
上述の実施形態では、ガイドレール92に複数の当接部材60,70が取り付けられた例が説明された。しかしながら、複数の当接部63を有する1つの当接部材がガイドレール92に取り付けられていてもよい。また、ガイドレール92の強度を確保できるのであれば、ガイドレール92と当接部材60,70とが樹脂により一体に成型されていてもよい。
【0125】
上述の実施形態では、複数の第1リブ51間の距離D1〜D4を同じにした例が説明された。しかしながら、葉書など、左右方向9における幅が狭く、且つ厚みのあるシート6を考慮して、距離D1を距離D2〜D4より若干長くしてもよい。
【符号の説明】
【0126】
6・・・シート
7・・・上下方向
9・・・左右方向
10・・・インクジェット記録装置
19・・・搬送向き
21・・・給紙トレイ
34・・・搬送ローラ対
37・・・排紙ローラ対
46・・・記録ヘッド
47・・・ノズル
50・・・プラテン
51・・・第1リブ
52・・・第2リブ
53・・・凸リブ
60・・・当接部材
63・・・当接部
70・・・当接部材
73・・・当接部
80・・・サイドガイド機構
113・・・コイルバネ
115・・・コイルバネ
L・・・仮想直線
D1〜D18・・・距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向と交差する搬送向きへ搬送されるシートを支持するプラテンと、
上記プラテンの上側に配置されており、上記プラテンに支持されたシートへノズルからインク滴を吐出する記録ヘッドと、
上記ノズルより上記搬送向き上流側に、上下方向及び上記搬送向きに交差する第1方向へ離間されて配置されており、上記プラテンに支持されたシートの上面に下端が当接する複数の当接部と、を備えており、
上記プラテンは、
上記搬送向きへ延びており、上端が上記当接部の下端より上方に位置しており、且つ上記第1方向における上記当接部の間に上記第1方向に離間されて配置された複数の第1リブと、
上記第1方向における上記第1リブと上記当接部との間に配置されて上記搬送向きへ延びており、その上端が、最も近い上記第1リブの上端より下方であって、且つ最も近い上記当接部におけるシートとの当接部より上方に位置する第2リブと、を有するものであるインクジェット記録装置。
【請求項2】
上記第2リブは、上端の高さ位置を同じにして、上記第1方向へ離間されて複数が配置されたものであり、
上記第1方向における上記プラテンの中央に近い方の上記第2リブは、当該中央から遠い方の上記第2リブよりも、最も近い上記第1リブとの上記第1方向における距離が短くなる位置に設けられたものである請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
上記第2リブは、上端の高さ位置を同じにして、上記第1方向へ離間されて複数が配置されたものであり、
上記第1方向における上記プラテンの中央に近い方の上記第2リブは、当該中央から遠い方の上記第2リブよりも、最も近い上記当接部との上記第1方向における距離が長くなる位置に設けられたものである請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
上記第2リブは、上端の高さ位置を同じにして、上記第1方向へ離間されて複数が配置されたものであり、
上記第1方向における間隔が第1距離である上記第1リブ間に配置された上記第2リブと、上記第2リブに最も近い上記第1リブとの上記第1方向における第2距離は、上記第1方向における間隔が上記第1距離よりも短い第3距離である上記第1リブ間に配置された上記第2リブと、当該第2リブに最も近い上記第1リブとの上記第1方向における第4距離よりも長いものである請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
上記第2リブは、最も近い上記第1リブとの上記第1方向における距離を同じにして、上記第1方向へ離間されて複数が配置されたものであり、
上記第1方向における間隔が第1距離である上記第1リブ間に配置された上記第2リブの上端は、上記第1方向における間隔が上記第1距離よりも短い第3距離である上記第1リブ間に配置された上記第2リブの上端よりも下方に位置するものである請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
上記第2リブは、最も近い上記第1リブとの上記第1方向における距離を同じにして、上記第1方向へ離間されて複数が配置されたものであり、
上記プラテンの中央に近い方の上記第2リブは、当該中央から遠い方の上記第2リブよりも、上端が下方に位置するものである請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
複数の上記第1リブ及び複数の上記第2リブは、上記第1方向における上記プラテンの中央に対して対称となる位置にそれぞれ設けられたものである請求項2から6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
上記当接部は、弾性変形により、シートに当接する下端が上下に変位するものである請求項1から7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
上記プラテンは、上記第1リブの上端が上記当接部の下端よりも上方に位置する第1位置、及び当該第1位置よりも下方に位置する第2位置に移動可能に設けられており、
上記プラテンを上記第1位置側へ付勢する付勢部材を備えた請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
上記当接部は、下端が上記第1リブの上端よりも下方に位置する第3位置、及び当該第3位置よりも上方に位置する第4位置に移動可能に設けられており、
上記当接部は、上記第3位置側へ付勢する付勢部材を備えた請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
上記プラテンは、上記第1方向における上記第1リブの間に上記搬送向きへ延びて設けられており、上端が上記当接部の下端よりも下方に位置して上記シートにおける上記当接部に押し下げられた部分を支持する第3リブを更に有するものである請求項1から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
上記シートが載置される給紙トレイと、
上記第1方向へ移動可能に上記給紙トレイに上記第1方向へ対向して設けられた一対のガイド部材を有しており、シートの上記第1方向における両端に当接して上記第1方向におけるシートの中央を上記給紙トレイの中央に一致させるサイドガイド機構と、
上記給紙トレイ上のシートを上記搬送向きへ搬送する搬送部と、を更に備えた請求項1から11のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
上記第2リブは、その上端が、最も近い上記第1リブの上端と、最も近い上記当接部の下端と、を結ぶ仮想直線より上方にあるものである請求項1から12のいずれかに記載のインクジェット記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−111830(P2013−111830A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259499(P2011−259499)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】