説明

インクジェット記録装置

【課題】吐出口内において、混色するのを抑制する。
【解決手段】プリンタは、2色のインクを吐出するヘッド1と、吐出面1aを払拭する2つのワイパ51a,51bを有する払拭機構50と、インクを排出させるパージ動作を行うポンプと、これらを制御する制御部とを含んでいる。吐出面1aには、吐出領域91と、吐出領域91から吐出されるインクとは異なる色のインクを吐出する吐出領域92とが区画されている。制御部は、吐出領域91からインクを排出させてから、ワイパ51aを吐出領域92側から吐出領域91を横切るように移動させる第1ワイピング動作と、吐出領域92からインクを排出させてから、ワイパ51bを吐出領域91側から吐出領域92を横切るように移動させる第2ワイピング動作とが選択的に行われるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つのインクジェットヘッドから互いに異なる色のインクを吐出するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、互いに異なる色のインクを吐出する4つのインクジェットヘッドと、4つのインクジェットヘッドの吐出面を払拭する1つのワイパとを含むインクジェット記録装置について記載されている。このインクジェット記録装置において、ワイパは、4つの吐出面と接触しながらインクジェットヘッドの長手方向に沿って移動することで、吐出面に付着したインクを除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−230100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のインクジェット記録装置において、各ヘッドからは1色のインクが吐出され、吐出面(ヘッド)同士も離隔されているため、1つのワイパで4つの吐出面を一度に払拭しても、互いのインクは他の色を吐出する吐出口までワイパを伝って移動しない。つまり、混色はおこらない。しかしながら、ヘッド間が大きく、さらには、色の数だけヘッドも必要となって、装置自体が大きくなる。
【0005】
例えば、2色のインクを吐出することが可能なヘッドを採用すると、装置の小型化を図ることが可能となる。このヘッドの吐出面には、互いに異なる色のインクを吐出する2つの吐出領域が形成される。さらに、これら吐出領域が近接又は部分的に重なって配置されていると、ヘッド自体の小型化にも寄与する。こうした、ヘッドを採用した場合に、ヘッドの吐出面を、長手方向(吐出口の配列方向)に沿ってワイパで払拭すると、互いのインクがワイパを伝って移動し、各吐出領域の吐出口において混色が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、各領域における吐出口内において、混色するのを抑制することが可能なインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出する複数の吐出口が一方向に関して等間隔に配列された第1吐出領域、及び、前記第1吐出領域から吐出されるインクと異なる色のインクを吐出する複数の吐出口が前記一方向に関して等間隔に配列された第2吐出領域が、前記一方向と直交する直交方向に近接又は部分的に重なって配置された吐出面を有するインクジェットヘッドと、前記吐出面を払拭する払拭部材と、前記払拭部材及び前記インクジェットヘッドの少なくとも一方を、前記払拭部材が前記吐出面と接触しながら、前記吐出面に沿って前記直交方向に相対移動させる移動機構とを有する払拭手段と、前記インクジェットヘッドにインクを送液することで、前記第1吐出領域及び前記第2吐出領域から選択的にインクを強制的に排出させる強制排出手段と、前記払拭手段及び前記強制排出手段とを制御する制御手段とを備えている。前記制御手段は、前記第1吐出領域だけからインクを強制的に排出させてから、前記第2領域側から前記第1領域を横切って前記払拭部材を相対的に移動させて前記第1領域を払拭する第1払拭動作と、前記第2吐出領域だけからインクを強制的に排出させてから、前記第1領域側から前記第2領域を横切って前記払拭部材を相対的に移動させて前記第2領域を払拭する第2払拭動作とが選択的に行われるようにする。
【0008】
これによると、第1吐出領域から排出されたインクが、第1払拭動作によって第2吐出領域の吐出口に浸入しにくくなり、第2吐出領域から排出されたインクが、第2払拭動作によって第1吐出領域の吐出口に浸入しにくくなる。このように互いに異なる色のインクを吐出する2つの領域が吐出面に形成されていても、各領域における吐出口内において、混色するのを抑制することが可能となる。
【0009】
本発明において、前記払拭部材に付着したインクを除去する清掃手段をさらに備えている。そして、前記制御手段は、前記第1払拭動作の後に、前記払拭部材からインクが除去されるように、前記清掃手段及び前記払拭手段の少なくともいずれか一方を制御することが好ましい。これにより、第1払拭動作の後に、払拭部材からインクが除去されるため、次回、払拭動作を行う際に、第1吐出領域から排出されたインクが第2吐出領域の吐出口により一層浸入しにくくなる。
【0010】
また、本発明において、前記制御手段は、前記第2払拭動作の後に、前記払拭部材からインクが除去されるように、前記清掃手段及び前記払拭手段の少なくともいずれか一方を制御することが好ましい。これにより、第2払拭動作の後に、払拭部材からインクが除去されるため、次回、払拭動作を行う際に、第2吐出領域から排出されたインクが第1吐出領域の吐出口により一層浸入しにくくなる。
【0011】
また、本発明において、前記清掃手段が、インクを吸収可能な多孔質部材から構成されており、前記制御手段は、前記払拭部材からインクを除去する際に、前記払拭部材を前記多孔質部材に当接させるように、前記払拭手段を制御することが好ましい。これにより、清掃手段の構成が簡易になるとともに、払拭部材からインクを除去する際の制御も簡単になる。
【0012】
また、本発明において、前記制御手段は、前記第1払拭動作において、前記払拭部材を前記第2吐出領域の前記第1吐出領域に近い端部に接触させてから前記吐出面に沿って前記払拭部材を移動させることが好ましい。これにより、第1払拭動作において、払拭部材による乾拭き距離が短くなって、払拭部材の長寿命化が図れる。
【0013】
また、本発明において、前記制御手段は、前記第2払拭動作において、前記払拭部材を前記第1吐出領域の前記第2吐出領域に近い端部に接触させてから前記吐出面に沿って前記払拭部材を移動させることが好ましい。これにより、第2払拭動作において、払拭部材による乾拭き距離が短くなって、払拭部材の長寿命化が図れる。
【0014】
また、本発明において、前記払拭部材は、2つのワイパと、前記吐出面に対して垂直な方向に関して、前記2つのワイパを選択的に移動させるワイパ移動機構とを含んでおり、前記制御手段は、各払拭動作において、互いに異なる前記ワイパを前記吐出面に接触させるように、前記ワイパ移動機構を制御することが好ましい。これにより、各吐出領域から排出されたインクを吐出面から払拭するワイパが、それぞれ専用となる。このため、各吐出領域が、異なる色のインクが付着したワイパで払拭されるのを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のインクジェット記録装置によると、第1吐出領域から排出されたインクが、第1払拭動作によって第2吐出領域の吐出口に浸入しにくくなり、第2吐出領域から排出されたインクが、第2払拭動作によって第1吐出領域の吐出口に浸入しにくくなる。このように互いに異なる色のインクを吐出する2つの領域が吐出面に形成されていても、各領域における吐出口内において、混色するのを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図2】図1のプリンタに含まれるヘッドのヘッド本体を示す平面図である。
【図3】図2の一点鎖線で囲まれた領域を示す拡大図である。
【図4】図3に示すIV−IV線に沿った部分断面図である。
【図5】図4の一点鎖線で囲まれた領域を示す拡大図である。
【図6】ヘッド及び払拭機構の平面図である。
【図7】吐出面の部分拡大図である。
【図8】図1に示す制御部の機能ブロック図である。
【図9】図1のプリンタの制御部が実行するメンテナンス動作に関する一連の動作フローを示すフローチャート図である。
【図10】ワイピング動作を説明するための動作状況図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
先ず、図1を参照し、本発明の一実施形態であるインクジェットプリンタ101の全体構成について説明する。
【0019】
プリンタ101は、直方体形状の筐体101aを有する。筐体101aの天板上部には、排紙部4が設けられている。筐体101aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間A,Bには、給紙部23から排紙部4に向かう用紙搬送経路が形成されており、図1に示す黒太矢印に沿って用紙Pが搬送される。空間Aでは、用紙Pへの画像形成と、用紙Pの排紙部4への搬送が行われる。空間Bでは、用紙Pの搬送経路への給紙が行われる。空間Cからは、空間Aの2つのインクジェットヘッド1に対してインクが供給される。
【0020】
空間Aには、2つのインクジェットヘッド(以下、ヘッドと称する)1、搬送機構40、用紙Pをガイドする2つのガイド部10a,10b、用紙センサ26、ヘッド昇降機構33(図8参照)、払拭機構50、2組の清掃部材(清掃手段)70、クリーナユニット37、及び、制御部100等が配置されている。
【0021】
各ヘッド1からは、2色のインクが吐出される。用紙搬送方向の上流にあるヘッド1からは、マゼンタ及びシアンのインクが吐出される。下流にあるヘッド1からは、イエロー及びブラックのインクが吐出される。これらヘッド1は、副走査方向に所定間隔で並び、ヘッドホルダ5を介して筐体101aにそれぞれ支持されている。各ヘッド1の下面は、複数の吐出口108(図3参照)が配列された吐出面1aとなっている。
【0022】
各ヘッド1は、流路ユニット9及びアクチュエータユニット21からなるヘッド本体3(図2参照)に加えて、リザーバユニット、フレキシブルプリント配線基板(FPC)、制御基板等が積層された積層体である。制御基板で調整された信号は、FPC上のドライバICで駆動信号に変換され、さらにアクチュエータユニット21に出力される。アクチュエータユニット21が駆動されると、リザーバユニットから供給されたインクが、吐出口108から吐出されることになる。
【0023】
搬送機構40は、2つのベルトローラ41,42と、搬送ベルト43と、プラテン46と、ニップローラ47と、剥離プレート45とを有している。搬送ベルト43は、両ローラ41,42の間に巻回されたエンドレスのベルトである。プラテン46は、2つのヘッド1に対向配置され、搬送ベルト43の上側ループを内側から支える。ベルトローラ42は、駆動ローラであって、搬送ベルト43を走行させる。ベルトローラ42は、図示しないモータによって、図1中時計回りに回転される。ベルトローラ41は、従動ローラであって、搬送ベルト43の走行によって回転される。ニップローラ47は、給紙部23から搬送されてきた用紙Pを搬送ベルト43の外周面に押さえ付ける。用紙Pは、シリコン層(弱粘着性の外周面被覆層)によって搬送ベルト43に保持され、ヘッド1に向かって搬送される。剥離プレート45は、搬送されてきた用紙Pを搬送ベルト43から剥離し、下流側の排紙部4へと導く。
【0024】
2つのガイド部10a,10bは、搬送機構40を挟んで配置されている。搬送方向上流側のガイド部10aは、2つのガイド31a,31bと送りローラ対32とを有し、給紙部23と搬送機構40とを繋ぐ。画像形成用の用紙Pが、搬送機構40に向けて搬送される。搬送方向下流側のガイド部10bは、2つのガイド33a,33bと2つの送りローラ対34,35とを有し、搬送機構40と排紙部4とを繋ぐ。画像形成後の用紙Pが、排紙部4に向けて搬送される。
【0025】
用紙センサ26は、ヘッド1の上流側に配置され、搬送される用紙Pの先端を検知する。このとき出力された検知信号は、ヘッド1と搬送機構40との駆動の同期に用いられ、所望の解像度と速度で画像が形成されることになる。
【0026】
ヘッド昇降機構33は、ヘッドホルダ5を昇降させ、2つのヘッド1が印刷位置と退避位置の間で移動する。印刷位置では、図1に示すように、各ヘッド1が搬送ベルト43と印刷に適した間隔で対向する。退避位置では、各ヘッド1が搬送ベル43から印刷位置以上の間隔で離隔する(図10(b)参照)。退避位置では、ヘッド1と搬送ベルト43との間の空間を、後述するワイパユニット55が移動可能である。ワイパユニット55によって吐出面1aが払拭される。
【0027】
払拭機構(払拭手段)50は、図1,図6及び図10に示すように、2つのワイパユニット(払拭部材)55と、これらワイパユニット55を副走査方向に往復移動させるワイパユニット移動機構56とを有している。ワイパユニット55は、吐出面1a毎に配置され、対応するヘッド1の搬送方向上流側に配置されている。
【0028】
ワイパユニット55は、2つのワイパ51a,51bと、支持部52と、ワイパ昇降機構53とを有している。ワイパ51a,51bは、板状の弾性部材(例えば、ゴム)であり、図6に示すように、主走査方向に関して吐出面1aとほぼ同じ長さである。
【0029】
支持部52は、上方に向かって開口した凹部52aを有する。支持部52の凹部52aの底面には、ワイパ昇降機構53を介して2つのワイパ51a,51bが支持されている。これにより、支持部52は、ワイパ51a,51bによって吐出面1aから除去されたインクを受け取ることが可能である。また、支持部52の主走査方向の両端には、突出部52bが形成されている。突出部52bには、副走査方向に貫通する孔52cが形成されている。2つの孔52cのうち、一方の孔52cの内面には雌ねじが形成されている。
【0030】
ワイパ昇降機構(ワイパ移動機構)53は、各ワイパ51a,51bを昇降させる2つの昇降部53a,53bを有している。本実施形態における昇降部53a,53bは、ソレノイドからなり、可動鉄心54a,54bの先端が凹部52aの底面に固定されている(図10参照)。そして、昇降部53aの上面にはワイパ51aが、昇降部53bの上面にはワイパ51bがそれぞれ固定されている。ワイパ昇降機構53は、制御部100の制御によって昇降部53a,53bが選択的に駆動されることで、ワイパ51a,51bを退避位置及び当接位置のいずれかに移動させる。当接位置では、ワイパ51a,51bの先端が凹部52aの底面から最も離れるとともに、退避位置にあるヘッド1の吐出面1a及び清掃部材70に当接可能である(図10(b)及び図10(d)参照)。退避位置では、ワイパ51a,51bの先端が当接位置よりも凹部52aの底面に近い(図10(a)参照)。
【0031】
ワイパユニット移動機構56は、副走査方向に延びた一対のガイド(例えば、丸棒)57と駆動モータ(不図示)とから構成される。一対のガイド57は、孔52cに貫挿された棒部材であって、ヘッド1を主走査方向両側から挟む。一方のガイド57は、外周面に雄ねじが形成され、孔52cの雌ねじと螺合している。このガイド57は、駆動モータの回転力を受ける。他方のガイド57は、他の孔52cの内周面と摺動する。
【0032】
駆動モータの正及び逆回転によって、ワイパユニット55がガイド57に沿って往復移動する。図10(a)に示すように、ヘッド1の左側端部近傍は、ワイパユニット55の待機位置である。第1ワイピング動作においては、退避位置のヘッド1に対して、ワイパ51aが吐出面1aに接触しながら図中右方に移動して、吐出面1aを払拭する(図10(b)参照)。第2ワイピング動作においては、退避位置のヘッド1に対して、ワイパ51bが吐出面1aに接触しながら図中左方に移動して、吐出面1aを払拭する(図10(d)参照)。
【0033】
清掃部材70は、図6に示すように、ヘッド1毎に配置されており、一対の吸収体70a,70bを有している。一対の吸収体70a,70bは、対応するヘッド1を副走査方向に関して挟んでいる。各吸収体70a,70bは、主走査方向に関してワイパ51a,51bとほぼ同じ長さである。また、各吸収体70a,70bは、多孔質部材(例えば、スポンジ)から構成されている。吸収体70a,70bは、下面が、退避位置にあるヘッド1の吐出面1aと同じ高さになるように配置されており、ワイパ51a,51bと当接することで、ワイパ51a,51bに付着したインクを除去する。
【0034】
クリーナユニット37は、洗浄液塗布部材37a、ブレード37b及び移動機構37c(図8参照)を有し、搬送ベルト43の外周面をクリーニングする。クリーナユニット37は、図1に示すように、搬送ベルト43の右下方であって、ベルトローラ42に対向して配置されている。洗浄液塗布部材37aは、多孔質体(例えば、スポンジ)とこれを支持する支持部材から構成され、ブレード37bは、板状弾性部材(例えば、ゴム)で構成される。共に、搬送ベルト43を全幅に亘って接触可能である。移動機構37cは、洗浄液塗布部材37a及びブレード37bを搬送ベルト43の外周面に離接させる。クリーニング動作において、多孔質体から外周面に洗浄液が塗布され、下流側のブレード37bにより汚れや洗浄液が外周面から掻き取られる。
【0035】
空間Bには、給紙部23が配置されている。給紙部23は、給紙トレイ24及び給紙ローラ25を有する。このうち、給紙トレイ24が、筐体101aに対して着脱可能である。給紙トレイ24は、上方に開口する箱であり、複数の用紙Pを収納可能である。給紙ローラ25は、給紙トレイ24内で最も上方にある用紙Pを送り出す。
【0036】
ここで、副走査方向とは、搬送機構40によって搬送される用紙搬送方向Dと平行な方向であり、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
【0037】
空間Cには、4つのカートリッジ22が筐体101aに対して着脱可能に配置されている。4つのカートリッジ22には、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのいずれかのインクが収容されている。カートリッジ22はそれぞれ、チューブ(図示せず)及びポンプ38(図8参照)を介してヘッド1と接続されている。なお、各ポンプ38は、ヘッド1にインクを強制的に送るとき以外は停止状態にあり、ヘッド1へのインク供給を妨げない。
【0038】
次に、制御部100について説明する。制御部100は、プリンタ101各部の動作を制御してプリンタ101全体の動作を司る。制御部100は、外部装置(プリンタ101と接続されたPC等)から供給された印刷指令に基づいて、画像形成動作を制御する。具体的には、制御部100は、用紙Pの搬送動作、用紙Pの搬送に同期したインク吐出動作等を制御する。
【0039】
制御部100は、外部装置から受信した印刷指令に基づいて、給紙部23、搬送機構40、及び、各送りローラ対32,34,35の駆動を制御する。給紙トレイ24から送り出された用紙Pは、上流側ガイド部10aによりガイドされ搬送機構40に送られる。搬送機構40によって搬送される用紙Pは、ヘッド1のすぐ下方を通過する際に、インクが吐出される。これにより、用紙P上に所望の画像が形成される。画像が形成された用紙Pは、剥離プレート45によって搬送ベルト43から剥離された後、下流側ガイド部10bによりガイドされて、筐体101a上部から排紙部4に排出される。
【0040】
制御部100はまた、メンテナンス動作を制御する。メンテナンス動作では、ヘッド1のインク吐出特性の回復・維持や記録に係わる準備が行われる。メンテナンス動作には、パージ動作、吐出面1aのワイピング(払拭)動作、搬送ベルト43のクリーニング動作等が含まれる。
【0041】
パージ動作には、第1パージ動作と第2パージ動作とがある。第1パージ動作では、ポンプ38が駆動されて、後述の吐出領域91の吐出口108からインクが強制的に排出される。第2パージ動作では、ポンプ38が駆動されて、後述の吐出領域92の吐出口108からインクが強制的に排出される。ワイピング動作には、第1ワイピング動作と第2ワイピング動作とがある。第1ワイピング動作は、第1パージ動作の後に行われ、ワイパ51aによって吐出面1aが払拭される。第2ワイピング動作は、第2パージ動作の後に行われ、ワイパ51bによって吐出面1aが払拭される。こうして、吐出面1a上の残留したインクや異物が取り除かれる。また、クリーニング動作では、搬送ベルト43がクリーナユニット37によって払拭される。クリーニング動作は、パージ動作後に行われ、搬送ベルト43上のインクや異物が除去される。
【0042】
次に、図2〜図7を参照しつつヘッド1について詳細に説明する。なお、図3では説明の都合上、アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき圧力室110、アパーチャ112及び吐出口108を実線で描いている。
【0043】
流路ユニット9は、図4に示すように、9枚のステンレス製プレート122〜130を積層した積層体である。流路ユニット9の上面には、図2に示すように、計10個のインク供給口105bが開口している。流路ユニット9の内部には、図2〜図4に示すように、インク供給口105bを一端とするマニホールド流路105、及び、複数の副マニホールド流路105aが形成されている。副マニホールド流路105aは、マニホールド流路105から分岐して主走査方向に沿って延在し、主走査方向に隣接するインク供給口105bに接続されたマニホールド流路105同士を接続する。つまり、主走査方向に配列された5つのインク供給口105b同士は、互いに連通し、他の列に属する別の5つのインク供給口105bとは連通していない。このように本実施形態においては、流路ユニット9のインク供給口105bは、列毎に分けられており、各列に異なる色のインクがリザーバユニットから供給される。
【0044】
各副マニホールド流路105aには、図4に示すように、複数の個別インク流路132が接続されている。個別インク流路132は、副マニホールド流路105aの出口からアパーチャ112及び圧力室110を経て吐出口108に至る。流路ユニット9の下面は、吐出面1aであって、多数の吐出口108がマトリクス状に配置されている。
【0045】
吐出面1aには、図6及び図7に示すように、2つの吐出領域91,92が画定されている。図7において、吐出領域91はインクを吐出する複数の吐出口108(黒丸で示す)が集まった領域であり、吐出領域92は別のインクを吐出する複数の吐出口108(白丸で示す)が集まった領域である。これら吐出領域91,92は、概略的には主走査方向に沿って凸凹状に延びている。詳細には、台形の外形をなすように集まった複数の吐出口群が千鳥状配列で主走査方向に連なることで、各吐出領域91,92が構成されている。また、吐出領域91,92は、副走査方向に関して、領域の一部91a,92a同士が重なっている。本実施形態においては、吐出領域91,92同士が重なっているが、互いに重ならず近接していてもよい。また、吐出領域91は、吐出面1aにおいて、その大部分が吐出領域92の搬送方向下流にある。
【0046】
各吐出領域91,92における吐出口108は、主走査方向に所定の距離ずつ離れて並んでいる。本実施形態においては、300dpiに相当する距離ずつ離れて並んでいる。副走査方向には、吐出領域91の1つの吐出口108が、吐出領域92の1つの吐出口108と重なるように配置されている。プリンタ101はカラープリンタであって、別のヘッド1も加えると、1つの吐出口108は、副走査方向に3つの吐出口108と重なり、互いに異なる色のインクを吐出する。
【0047】
リザーバユニットには、2つのカーリッジ22がポンプ38を介して接続されており、2色のインクが供給される。リザーバユニットには、色ごとにインク流路が形成された流路部材である。インク流路のリザーバには、流路ユニット9へのインクが貯留される。図2〜図4に示すように、リザーバユニットのインクは、インク供給口105bから流路ユニット9に供給される。このとき、列毎に同色のインクが、リザーバユニットからインク供給口105bに供給される。
【0048】
ポンプ38は、カートリッジ22毎に配置され、リザーバユニットを介して流路ユニット9にインクを強制的に供給する。図8においては、そのうちの1つのポンプ38が示されている。
【0049】
次に、アクチュエータユニット21について説明する。アクチュエータユニット21は、流路ユニット9の上面に固定されて、ヘッド本体3を構成する。図2に示すように、4つのアクチュエータユニット21は、それぞれ台形の平面形状を有しており、インク供給口105bを避けるよう主走査方向に千鳥状に配置されている。
【0050】
アクチュエータユニット21は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系セラミックス製であり、3枚の圧電層161〜163から構成されている。最上層の圧電層161は、厚み方向に分極され、上面の個別電極135及び下面全体の共通電極134に挟まれている。図5に示すように、個別電極135は、大部分が圧力室110と対向し、平面視で圧力室外の一部が個別ランド136と接続している。この形態が、圧力室110毎に形成され、それぞれが個別のアクチュエータとして働く。つまり、アクチュエータユニット21には、圧力室110に対応した数のアクチュエータが作り込まれており、それぞれ圧力室110内のインクに選択的な吐出エネルギーを与える。
【0051】
ここで、アクチュエータユニット21の駆動方法について述べる。各アクチュエータは、いわゆるユニモルフ型アクチュエータである。圧電層161の両電極134、135で挟まれた部分は、分極方向に電界が印加されると、分極方向と直交する方向(平面方向)に縮む。このとき、下の圧電層162、163との間で歪み差が生じるので、個別電極135と圧力室110で挟まれた部分が、圧力室110側に向かって突出する。これに伴い、圧力室110内のインクに圧力(吐出エネルギー)が付与され、吐出口108からインク滴が吐出される。
【0052】
なお、本実施形態においては、個別電極135の電位が、予め所定の電位が付与されているところ、駆動信号が供給されて、一旦グランド電位となり、その後の所定のタイミングで再び所定電位に復帰する。いわゆる、引き打ち駆動である。グランド電位となるタイミングでは、圧力室110の容積増大に伴い、圧力室110内にインクが吸い込まれる。続く所定電位への復帰では、圧力室110の容積減少(インク圧力の上昇)により、吐出口108からインク滴が吐出される。
【0053】
次に、図8を参照しつつ、制御部100について説明する。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書き替え可能に記憶するROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。制御部100を構成する各機能部は、これらハードウェアとROM内のソフトウェアとが協働して構築されている。図8に示すように、制御部100は、搬送制御部141と、画像データ記憶部142と、ヘッド制御部143と、メンテナンス制御部150とを有している。
【0054】
搬送制御部141は、外部装置から受信した印刷指令に基づいて、用紙Pが搬送方向に沿って所定速度で搬送されるように、給紙部23、ガイド部10a,10b、及び、搬送機構40の各動作を制御する。画像データ記憶部142は、外部装置からの印刷指令に含まれる画像データ(インク吐出データ)を記憶する。
【0055】
ヘッド制御部143は、画像形成及びメンテナンスにおいて、インクを吐出するようヘッド1を制御する。画像形成は、ヘッド制御部143が、画像データ記憶部142に記憶された画像データに基づいて、用紙Pに対してインクを吐出するように、各ヘッド1からのインク吐出を制御する。
インク吐出タイミングは、用紙センサ26による用紙Pの先端検知に基づいて決められ、検知後の所定時間経過時である。なお、ここでいう所定時間は、各ヘッド1のそれぞれについて、用紙センサ26が用紙Pの先端を検知したときの用紙Pの先端から、最も上流にある吐出口108までの搬送経路に沿った距離を、用紙Pの搬送速度で割った時間である。
【0056】
メンテナンス制御部150は、パージ動作、第1ワイピング動作、第2ワイピング動作、及び、クリーニング動作等のメンテナンス動作において、搬送機構40、ヘッド昇降機構33、ワイパユニット移動機構56、移動機構37c、ワイパ昇降機構53、及び、ポンプ38を制御する。
【0057】
次に、図9を参照し、プリンタ101のメンテナンス動作(パージ動作、ワイピング動作、クリーニング動作)の一例について説明する。
【0058】
まず、制御部100が、パージ指令を受信する(F1)。このとき、ヘッド1は印刷位置にある。パージ指令を受信すると、メンテナンス制御部150は、第1パージ動作を実行してから第1ワイピング動作を行う。この後、第2パージ動作が実行され、第2ワイピング動作が行われる。
【0059】
具体的には、メンテナンス制御部150は、ポンプ38を制御し、図10(a)に示すように、吐出領域91の吐出口108から搬送ベルト43上にインクを排出させる(F2:第1パージ動作)。本実施形態におけるパージ動作は、各ヘッド1に対応する2つのポンプ38が選択的に駆動され、カートリッジ22内の所定量のインクがヘッド1に強制的に送液されて、吐出口108からインクが排出される。
【0060】
次に、メンテナンス制御部150は、ヘッド昇降機構33を制御してヘッド1を退避位置に移動させる。そして、ワイパユニット移動機構56を制御して、ワイパ51aと吐出領域92の吐出領域91側の端部とが対向する位置までワイパユニット55を待機位置から移動させる。この後、メンテナンス制御部150は、ワイパ昇降機構53を制御してワイパ51aを退避位置から当接位置に移動させ、ワイパ51aと吐出面1aとを当接させる。この状態で、ワイパユニット移動機構56を制御して、ワイパユニット55を図10中右方(払拭方向E1)に移動させる。つまり、ワイパ51aが、吐出領域92側から吐出領域91を横切る。これにより、吐出領域91に付着したインクが、ワイパ51aによって吐出領域92から離れる方向に移動するとともに、ワイパ51aを伝って支持部52の凹部52aに流れ込む。こうして、第1パージ動作において吐出面1aに付着したインクが、吐出面1aから除去される(F3:第1ワイピング動作)。
【0061】
そして、メンテナンス制御部150は、ワイパ51aが吸収体70aを通過した所定位置(図10(c)に示す位置)に到達すると、ワイパユニット移動機構56を制御して、その移動を停止させる。このとき、図10(b)中2点鎖線で示すように、ワイパ51aは吸収体70aと当接するため、ワイパ51aの先端に付着したインクが除去される。この後、メンテナンス制御部150は、ワイパ昇降機構53を制御して、ワイパ51aを退避位置に移動させる。
【0062】
次に、メンテナンス制御部150は、図10(c)に示すように、ヘッド昇降機構33を制御してヘッド1を印刷位置に移動させる。この後、ポンプ38を制御し、吐出領域92の吐出口108から搬送ベルト43上にインクを排出させる(F4:第2パージ動作)。
【0063】
次に、メンテナンス制御部150は、ヘッド昇降機構33を制御してヘッド1を退避位置に移動させる。そして、ワイパユニット移動機構56を制御して、ワイパ51bと吐出領域91の吐出領域92側の端部とが対向する位置までワイパユニット55を所定位置から移動させる。この後、メンテナンス制御部150は、ワイパ昇降機構53を制御してワイパ51bを退避位置から当接位置に移動させ、ワイパ51bと吐出面1aとを当接させる。この状態で、ワイパユニット移動機構56を制御して、ワイパユニット55を図10中左方(払拭方向E2)に移動させる。つまり、ワイパ51bが、吐出領域91側から吐出領域92を横切る。これにより、吐出領域92に付着したインクが、ワイパ51bによって吐出領域91から離れる方向に移動するとともに、ワイパ51bを伝って支持部52の凹部52aに流れ込む。こうして、第2パージ動作において吐出面1aに付着したインクが、吐出面1aから除去される(F5:第2ワイピング動作)。
【0064】
そして、メンテナンス制御部150は、ワイパ51bが吸収体70bを通過した待機位置に到達すると、ワイパユニット移動機構56を制御して、その移動を停止させる。このとき、図10(d)中2点鎖線で示すように、ワイパ51bは吸収体70bと当接するため、ワイパ51bの先端に付着したインクが除去される。この後、メンテナンス制御部150は、ワイパ昇降機構53及びヘッド昇降機構33を制御して、ワイパ51bを退避位置に、ヘッド1を印刷位置に戻す。
【0065】
こうして、第1及び第2パージ動作によって吐出領域91,92に付着したインクが、異なる色を吐出する吐出口108内に侵入するのを防ぎつつ、吐出面1aから払拭することが可能となる。
【0066】
続けて、搬送ベルト43の洗浄液による清浄化が行われる。メンテナンス制御部150が、移動機構37cを制御して洗浄液塗布部材37a及びブレード37bを当接位置に移動させるとともに、搬送制御部141を介して搬送機構40を制御し、搬送ベルト43を走行させる。これにより、搬送ベルト43の外周面に洗浄液が塗布され、外周面上の排出インクが、洗浄液と共にブレード37bに掻き取られる(F6:クリーニング動作)。こうして、一連のメンテナンス動作が完了する。
【0067】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ101によると、吐出領域91から排出されたインクが、第1ワイピング動作によって吐出領域92の吐出口108に浸入しにくくなり、吐出領域92から排出されたインクが、第2ワイピング動作によって吐出領域91の吐出口108に浸入しにくくなる。このように互いに異なる色のインクを吐出する2つの領域91,92が吐出面1aに形成されていても、各領域91,92における吐出口108内において、混色するのを抑制することが可能となる。
【0068】
第1ワイピング動作に続いてワイパ51aの先端が吸収体70aと当接する。これにより、第1ワイピング動作後に、ワイパ51aの先端からインクが除去される。このため、次回、ワイピング動作を行う際に、ワイパ51aに付着したインク(吐出領域91から排出されたインク)が吐出領域92の吐出口108により一層浸入しにくくなる。
また、第2ワイピング動作に続いてワイパ51bの先端が吸収体70bと当接する。これにより、第2ワイピング動作の後に、ワイパ51bの先端からインクが除去される。このため、次回、ワイピング動作を行う際に、ワイパ51bに付着したインク(吐出領域92から排出されたインク)が吐出領域91の吐出口108により一層浸入しにくくなる。
【0069】
吸収体70a,70bは、多孔質部材から構成され、ワイパ51a,51bと当接することで、ワイパ51a,51bの先端からインクを除去する。このため、清掃部材70の構成が簡易になるとともに、ワイパ51a,51bからインクを除去する際の制御も簡単になる。
【0070】
第1ワイピング動作においては、ワイパ51aを吐出領域92の吐出領域91側の端部に当接させてから、ワイパユニット55を払拭方向E1に移動させて吐出面1aを払拭している。このため、払拭方向E1に関して、吐出面1aの払拭開始位置と吐出面1aの上流端との間において、ワイパ51aによる乾拭き距離が短くなって、ワイパ51aの長寿命化が図れる。
第2ワイピング動作においても、ワイパ51bを吐出領域91の吐出領域92側の端部に当接させてから、ワイパユニット55を払拭方向E2に移動させて吐出面1aを払拭している。このため、払拭方向E2に関して、吐出面1aの払拭開始位置と吐出面1aの上流端との間において、ワイパ51bによる乾拭き距離が短くなって、ワイパ51bの長寿命化が図れる。
【0071】
変形例として、第1ワイピング動作における吐出面1aの払拭開始位置は、払拭方向E1に関して、吐出領域91よりも上流であれば吐出面1aのどの位置であってもよい。また、第2ワイピング動作における吐出面1aの払拭開始位置も、払拭方向E2に関して、吐出領域92よりも上流であれば吐出面1aのどの位置であってもよい。
【0072】
第1ワイピング動作においては、ワイパ51aが使用され、第2ワイピング動作においては、ワイパ51bが使用される。このため、各吐出領域91,92から排出されたインクを吐出面1aから払拭するワイパ51a,51bが、それぞれ専用となる。このため、各吐出領域91,92が、異なる色のインクが付着したワイパで払拭されるのを抑制することが可能となる。
【0073】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては、1つの吐出面1aをワイピングする際に、2つのワイパ51a,51bが用いられているが、1つのワイパだけでワイピングしてもよい。これにおいても、上述と同様に、吐出領域91から排出されたインクが、第1ワイピング動作によって吐出領域92の吐出口108に浸入しにくくなり、吐出領域92から排出されたインクが、第2ワイピング動作によって吐出領域91の吐出口108に浸入しにくくなる。このため、各領域91,92における吐出口108内において、混色するのを抑制することが可能となる。
【0074】
また、清掃部材70を移動させて、又は、清掃部材70及びワイパ51a,51bの両方を移動させて、ワイパ51a,51bに付着したインクを除去してもよい。また、清掃部材70は、スポンジなどの多孔質部材以外の部材から構成されていてもよい。また、清掃部材70が設けられていなくてもよい。
【0075】
また、上述の実施形態のワイパユニット移動機構56においては、ワイパ51a,51bを副走査方向に移動させているが、移動機構は、ヘッド1を移動させてもよいし、ワイパ51a,51b及びヘッド1の両者を相対移動させてもよい。
【0076】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。さらに、本発明は、インクの吐出方式にかかわらず適用できる。例えば、本実施の形態では、圧電素子を用いたが、抵抗加熱方式でも、静電容量方式でもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 ヘッド(インクジェットヘッド)
1a 吐出面
38 ポンプ(強制排出手段)
50 払拭機構(払拭手段)
51a,51b ワイパ
53 ワイパ昇降機構(ワイパ移動機構)
55 ワイパユニット(払拭部材)
56 ワイパユニット移動機構(移動機構)
59 切換弁(供給先切換手段)
70 清掃部材(清掃手段)
70a,70b 吸収体(多孔質部材)
91 吐出領域(第1吐出領域)
92 吐出領域(第2吐出領域)
100 制御部
101 インクジェットプリンタ
108 吐出口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する複数の吐出口が一方向に関して等間隔に配列された第1吐出領域、及び、前記第1吐出領域から吐出されるインクと異なる色のインクを吐出する複数の吐出口が前記一方向に関して等間隔に配列された第2吐出領域が、前記一方向と直交する直交方向に近接又は部分的に重なって配置された吐出面を有するインクジェットヘッドと、
前記吐出面を払拭する払拭部材と、前記払拭部材及び前記インクジェットヘッドの少なくとも一方を、前記払拭部材が前記吐出面と接触しながら、前記吐出面に沿って前記直交方向に相対移動させる移動機構とを有する払拭手段と、
前記インクジェットヘッドにインクを送液することで、前記第1吐出領域及び前記第2吐出領域から選択的にインクを強制的に排出させる強制排出手段と、
前記払拭手段及び前記強制排出手段とを制御する制御手段とを備えており、
前記制御手段は、前記第1吐出領域だけからインクを強制的に排出させてから、前記第2領域側から前記第1領域を横切って前記払拭部材を相対的に移動させて前記第1領域を払拭する第1払拭動作と、前記第2吐出領域だけからインクを強制的に排出させてから、前記第1領域側から前記第2領域を横切って前記払拭部材を相対的に移動させて前記第2領域を払拭する第2払拭動作とが選択的に行われるようにすることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記払拭部材に付着したインクを除去する清掃手段をさらに備えており、
前記制御手段は、前記第1払拭動作の後に、前記払拭部材からインクが除去されるように、前記清掃手段及び前記払拭手段の少なくともいずれか一方を制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2払拭動作の後に、前記払拭部材からインクが除去されるように、前記清掃手段及び前記払拭手段の少なくともいずれか一方を制御することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記清掃手段が、インクを吸収可能な多孔質部材から構成されており、
前記制御手段は、前記払拭部材からインクを除去する際に、前記払拭部材を前記多孔質部材に当接させるように、前記払拭手段を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1払拭動作において、前記払拭部材を前記第2吐出領域の前記第1吐出領域に近い端部に接触させてから前記吐出面に沿って前記払拭部材を移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2払拭動作において、前記払拭部材を前記第1吐出領域の前記第2吐出領域に近い端部に接触させてから前記吐出面に沿って前記払拭部材を移動させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記払拭部材は、2つのワイパと、前記吐出面に対して垂直な方向に関して、前記2つのワイパを選択的に移動させるワイパ移動機構とを含んでおり、
前記制御手段は、各払拭動作において、互いに異なる前記ワイパを前記吐出面に接触させるように、前記ワイパ移動機構を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−111898(P2013−111898A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261515(P2011−261515)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】