説明

インクジェット記録装置

【課題】装着されたカートリッジが純正品から非純正品とされた場合においても好適な画像の記録が行われるようにすることができる、インクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【解決手段】インクジェット記録装置では、カートリッジが備える記憶素子に記憶された情報に従い、装着部に装着されたカートリッジが、純正品又は非純正品の何れであるかが判断される(S106,S110)。インクジェット記録装置では、カートリッジが非純正品であると判断された場合(S114:Yes)、インクジェット記録装置によって記録される画像の記録状態を確認するための調整パターンが記録される(S116)。カートリッジが純正品であると判断された場合(S114:No)、調整パターンは記録されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット記録装置に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、印刷媒体上のインクドットの大きさを検出し、検出された印刷媒体上のインクドットの大きさに基づいてインクジェットノズルから吐出するインク滴の量を調整する、インクジェットプリンタが開示されている。このインクジェットプリンタでは、インクが充填されているインクカートリッジを交換したときに、インク滴の量が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−30180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インクジェット記録装置での画像の記録は、記録に用いるインクの成分等の影響を受ける。従って、インクジェット記録装置での画像の記録は、インクジェット記録装置を製造する製造者によって提供されるカートリッジを、インクジェット記録装置に装着し、装着されたカートリッジに収容されたインクによって行われることが推奨される。このようなカートリッジは、純正品と称される。しかし、インクジェット記録装置の製造者以外の第三者によって提供されるカートリッジが装着される場合もある。また、純正品のカートリッジに収容されたインクを使い切った後、そのカートリッジに、第三者により提供される別のインクを詰め替え、再利用するような場合もある。純正品のカートリッジではない非純正品のカートリッジがインクジェット記録装置に装着された場合、画像を好適に記録することができなくなる場合もある。
【0005】
本発明は、装着されたカートリッジが純正品から非純正品とされた場合においても好適な画像の記録が行われるようにすることができる、インクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題に鑑みなされた本発明の一側面は、インクが収容されたカートリッジから供給されるインクを吐出し、被記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、カートリッジを装着するための装着部と、インクを吐出するノズルが形成された記録ヘッドと、カートリッジが備える記憶素子に記憶された情報に従い、前記装着部に装着されたカートリッジが、純正品又は非純正品の何れであるかを判断する第一判断部と、前記第一判断部にてカートリッジが非純正品であると判断された場合、前記インクジェット記録装置によって記録される画像の記録状態を確認するための調整パターンの記録を制御し、前記第一判断部にてカートリッジが純正品であると判断された場合、前記調整パターンの記録を制御しない、記録制御部と、を備えるインクジェット記録装置である。
【0007】
これによれば、非純正品のカートリッジが装着された場合、調整パターンが記録されるようにすることができる。記録された調整パターンを確認したユーザは、好適な画像の記録が行われるか否かを判断することができる。好適な画像の記録が行われないと判断される場合、ユーザは、これへの対策を講じることができる。純正品のカートリッジが装着された場合、調整パターンは記録されない。インクジェット記録装置は、インクジェット記録装置を製造する製造者が推奨するインクで好適な画像の記録が行われるように調整(設定)されている。そのため、カートリッジが純正品である場合、装着部にカートリッジが装着されたタイミングでは、調整パターンの記録は必要ない。ここで、インクジェット記録装置を製造する製造者により提供される、推奨されるインクが収容されたカートリッジは、純正品に含まれる。これとは異なり、インクジェット記録装置の製造者以外の者により提供される、前述のインク以外のインクが収容されたカートリッジは、非純正品である。純正品のカートリッジに収容されたインクを使い切った後、別のインクを詰め替えたようなカートリッジ(リフィルされたカートリッジ)も、非純正品である。
【0008】
このインクジェット記録装置は、次のようにしてもよい。前記装着部に装着されたカートリッジから前記記録ヘッドにインクを供給するための送液路の容量を記憶する記憶部と、前記装着部に装着されたカートリッジから供給されたインクが吐出された吐出量を管理するカウンタ部と、前記第一判断部にてカートリッジが非純正品であると判断された場合、非純正品であると判断されたカートリッジに収容されたインクについて前記カウンタ部で管理された吐出量が、前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量以上であるかを判断する第二判断部と、を備え、前記記録制御部は、前記第二判断部にて前記カウンタ部で管理された吐出量が前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量以上であると判断された場合、前記調整パターンの記録を制御する、ようにしてもよい。これによれば、非純正品のカートリッジに収容されたインクが吐出されるような状態となったタイミングで、調整パターンが記録されるようにすることができる。
【0009】
また、時間の経過を計測する計時部と、前記第一判断部にてカートリッジが非純正品であると判断された場合、非純正品であると判断されたカートリッジが前記装着部に装着されたタイミングから、所定の時間経過したかを判断する第三判断部と、前記第二判断部にて前記カウンタ部で管理された吐出量が前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量未満であると判断され、前記第三判断部にて所定の時間経過したと判断された場合、前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量から非純正品であると判断されたカートリッジに収容されたインクについて前記カウンタ部で管理された吐出量を差し引いた残量以上のインクを、前記記録ヘッドに形成されたノズルから吐出させるパージ処理部と、を備え、前記記録制御部は、前記パージ処理部により前記記録ヘッドに形成されたノズルから前記残量以上のインクが吐出された場合、前記調整パターンの記録を制御する、ようにしてもよい。これによれば、時間の経過と共に、純正品のインクと非純正品のインクとが混ざり合ったインクを、強制的に吐出させることができる。2種類のインクが混合したインクによる画像の記録を防止し、このようなインクによる画像状態の低下(記録品質の低下を含む)を防止することができる。
【0010】
また、前記装着部に装着されたカートリッジから前記記録ヘッドにインクを供給するための送液路の容量を記憶する記憶部と、前記第一判断部にてカートリッジが非純正品であると判断された場合、前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量以上のインクを、前記記録ヘッドに形成されたノズルから吐出させるパージ処理部と、を備え、前記記録制御部は、前記パージ処理部により前記記録ヘッドに形成されたノズルから前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量以上のインクが吐出された場合、前記調整パターンの記録を制御する、ようにしてもよい。これによれば、送液路内が全て、非純正品であると判断されたカートリッジに収容されたインクで満たされた状態とすることができる。2種類のインクが混合したインクによる画像の記録を防止し、このようなインクによる画像状態の低下(記録品質の低下を含む)を防止することができる。非純正品であると判断されたカートリッジに収容されたインクで調整パターンを記録することができる。
【0011】
また、前記装着部に装着されたカートリッジから前記記録ヘッドにインクを供給するための送液路の容量を記憶する記憶部と、前記装着部に装着されたカートリッジから供給されたインクが吐出された吐出量を管理するカウンタ部と、時間の経過を計測する計時部と、前記第一判断部にてカートリッジが非純正品であると判断された場合、非純正品であると判断されたカートリッジが前記装着部に装着されたタイミングから、所定の時間経過したかを判断する第三判断部と、前記第三判断部にて所定の時間経過したと判断された場合、前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量から非純正品であると判断されたカートリッジに収容されたインクについて前記カウンタ部で管理された吐出量を差し引いた残量以上のインクを、前記記録ヘッドに形成されたノズルから吐出させるパージ処理部と、を備え、前記記録制御部は、前記パージ処理部により前記記録ヘッドに形成されたノズルから前記残量以上のインクが吐出された場合、前記調整パターンの記録を制御する、ようにしてもよい。これによれば、時間の経過と共に、純正品のインクと非純正品のインクとが混ざり合ったインクを、強制的に吐出させることができる。2種類のインクが混合したインクによる画像の記録を防止し、このようなインクによる画像状態の低下(記録品質の低下を含む)を防止することができる。
【0012】
また、前記装着部に装着されたカートリッジから前記記録ヘッドにインクを供給するための送液路の容量を記憶する記憶部と、前記装着部に装着されたカートリッジから供給されたインクが吐出された吐出量を管理するカウンタ部と、前記インクジェット記録装置に入力された印刷ジョブに従った画像の記録が実行された場合に吐出されるインクの量を取得する取得部と、前記第一判断部にてカートリッジが非純正品であると判断された場合、前記取得部にて取得されたインクの量と、前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量から非純正品であると判断されたカートリッジに収容されたインクについて前記カウンタ部で管理された吐出量を差し引いた残量と、を比較する比較部と、前記比較部において前記取得部にて取得されたインクの量が前記残量より多いとされる場合、前記残量以上のインクを、前記記録ヘッドに形成されたノズルから吐出させるパージ処理部と、を備え、前記記録制御部は、前記パージ処理部により前記記録ヘッドに形成されたノズルから前記残量以上のインクが吐出された場合、前記調整パターンの記録を制御する、ようにしてもよい。これによれば、入力された印刷ジョブによる画像の記録の途中で、純正品のインクから非純正のインクへと変化し、記録された画像の状態(記録品質を含む)が変化してしまうといった事態の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装着されたカートリッジが純正品から非純正品とされた場合においても好適な画像の記録が行われるようにすることができる、インクジェット記録装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】複合機の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】交換履歴情報の一例を示す図である。
【図3】メインルーチン処理のフローチャートである。
【図4】第一形態のサブルーチン処理のフローチャートである。
【図5】第二形態のサブルーチン処理のフローチャートである。
【図6】第三形態のサブルーチン処理のフローチャートである。
【図7】第四形態のサブルーチン処理のフローチャートである。
【図8】調整パターン記録処理のフローチャートである。
【図9】記録位置づれのための調整パターンの一例を示す図である。
【図10】記録品質のための調整パターンの一例であって、記録品質が良好である場合と、記録品質が悪い場合とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0016】
<複合機>
複合機1について、図1等を参照して説明する。複合機1は、例えば、プリント機能と、スキャナ機能と、コピー機能とを有する。プリント機能によって、複合機1は、プリンタとして機能する。後述するように複合機1は、インクジェット記録方式の記録部18を備える。従って、複合機1は、インクジェット記録装置としての側面を有する。スキャナ機能及びコピー機能によって、複合機1は、それぞれ、スキャナ装置及びコピー機として機能する。
【0017】
複合機1は、CPU10と、プログラムROM12と、RAM14と、フラッシュROM16と、記録部18と、スキャナ部20と、操作部22と、表示部24と、計時部26と、装着検出部28と、IC読書部30と、接続インターフェース(接続I/F)32とを備える。CPU10は、演算処理を実行し、複合機1を制御する。プログラムROM12は、後述する処理(図3〜図8参照)のためのコンピュータプログラムの他、複合機1で実行される処理のための各種のコンピュータプログラムを記憶する。後述する各形態のサブルーチン処理(図4〜図7参照)のためのコンピュータプログラムには、装着部83に装着されたカートリッジ85から記録ヘッド81にインクを供給するための送液路87の容量が記憶されている。送液路87の容量については、後述する。RAM14は、CPU10が、コンピュータプログラムを実行する際の記憶領域である。RAM14には、各種の処理に用いられるデータ(情報)等が、記憶される。
【0018】
フラッシュROM16は、不揮発性のメモリによって構成され、複合機1で管理されるデータ(情報)を記憶する。フラッシュROM16には、例えば、図2に示すような、テーブル形式の交換履歴情報が記憶される。交換履歴情報では、記録部18におけるインクの色毎に、非純正のカートリッジ85に交換されたことと、リフィルされたカートリッジ85に交換されたことと、交換された装着日時と、交換後のインクの吐出量(使用量)とが登録され、管理されている。管理テーブルについては、後述する。CPU10が、プログラムROM12に記憶された各種のコンピュータプログラムを、RAM14上で実行することによって、各種の機能部が実現され、複合機1において、各種の機能が実行される。
【0019】
記録部18は、インクジェット記録方式の印刷機構である。記録部18は、記録ヘッド81C,81M,81Y,81Kと、装着部83C,83M,83Y,83Kとを備える。記録ヘッド81Cは、シアンインクを吐出するための記録ヘッドである。記録ヘッド81Mは、マゼンタインクを吐出するための記録ヘッドである。記録ヘッド81Yは、イエローインクを吐出するための記録ヘッドである。記録ヘッド81Kは、ブラックインクを吐出するための記録ヘッドである。装着部83Cには、シアンインクが収容されたカートリッジ85Cが装着される。装着部83Mには、マゼンタインクが収容されたカートリッジ85Mが装着される。装着部83Yには、イエローインクが収容されたカートリッジ85Yが装着される。装着部83Kには、ブラックインクが収容されたカートリッジ85Kが装着される。シアン、マゼンタ及びイエローの各インクは、例えば、染料インクである。ブラックインクは、例えば、顔料インクである。
【0020】
装着部83C,83M,83Y,83Kに、カートリッジ85C,85M,85Y,85Kがそれぞれ装着された場合、記録部18を構成する各色用の記録ヘッド81は、それぞれ、インク送液用の送液路87にて、対応する色のカートリッジ85と接続された状態となる。このような状態において、カートリッジ85Cに収容されているシアンインクは、送液路87Cを流れて、記録ヘッド81Cに供給される。カートリッジ85Mに収容されているマゼンタインクは、送液路87Mを流れて、記録ヘッド81Mに供給される。カートリッジ85Yに収容されているイエローインクは、送液路87Yを流れて、記録ヘッド81Yに供給される。カートリッジ85Kに収容されているブラックインクは、送液路87Kを流れて、記録ヘッド81Kに供給される。記録ヘッド81C,81M,81Y,81Kでは、供給された各色のインクが、複合機1で受信又は生成等され、複合機1に入力された印刷ジョブに対応して、それぞれ吐出される。
【0021】
記録部18の構造に関し、記録ヘッド81と装着部83とは、一体的又は別体とされる。記録ヘッド81は、画像の記録時に走査方向に往復移動するキャリッジ(不図示)に取り付けられる。記録ヘッド81と装着部83とが一体的とされる場合、装着部83は、記録ヘッド81が取り付けられたキャリッジ上に設けられる。従って、カートリッジ85は、キャリッジ上に設けられた装着部83に取り付けられ、キャリッジと共に移動する。送液路87は、キャリッジ上で一体的な構成とされた記録ヘッド81とカートリッジ85とを接続する。記録ヘッド81と装着部83とが別体とされる場合、装着部83は、記録ヘッド81が取り付けられたキャリッジ上ではない、別の場所に設けられる。カートリッジ85は、一体的な場合とは異なり、キャリッジと共に移動せず、一定の場所に存在する。送液路87は、例えば、所定の長さを有するチューブ等を含み、別体の記録ヘッド81とカートリッジ85とを接続する。記録ヘッド81とカートリッジ85とが別体である場合、一体的である場合と比較し、送液路87は、十分長くなる。従って、カートリッジ85から流出し、記録ヘッド81に到達していない、送液路87に存するインクの量は、別体である場合の方が多くなる。
【0022】
カートリッジ85C,85M,85Y,85Kは、それぞれICチップを備える。ICチップには、各種の情報が記憶されている。ICチップには、例えば、シリアルID、ベンダID、プロダクトID、カートリッジタイプ、製造年月日、インクイールド量、利用履歴等の各情報が記憶されている。シリアルID及びプロダクトIDは、カートリッジ85に固有の情報であって、そのカートリッジ85を識別できるシリアル番号等である。ベンダIDは、カートリッジ85の製造者を特定することができる情報である。カートリッジタイプは、カートリッジ85の型式、及び/又は、収容されたインク色を特定することができる情報である。製造年月日は、カートリッジ85が製造された年月日である。インクイールド量は、カートリッジ85に収容されたインク容量(例えば、100cc)である。利用履歴は、これまでにカートリッジ85が装着された複合機1のシリアル番号である。
【0023】
本実施形態では、記録ヘッド81C,81M,81Y,81Kを、区別しない場合又はこれらを総称する場合、記録ヘッド81という。同様に、装着部83C,83M,83Y,83Kは、単に、装着部83という。カートリッジ85C,85M,85Y,85Kは、単に、カートリッジ85という。送液路87C,87M,87Y,87Kは、単に、送液路87という。
【0024】
スキャナ部20は、複合機1にセットされた原稿を読み取る。操作部22は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部22を操作し、複合機1に対して、所定の指示を入力する。表示部24は、所定の情報を表示する。計時部26は、時計機能を有し、現在時刻を計測する。計時部26は、カレンダー機能も有する。計時部26によれば、年月日及び時刻が計測される。装着検出部28は、装着部83へのカートリッジ85の装着を検出するためのセンサである。図1では図示を簡略化しているが、装着検出部28は、装着部83C,83M,83Y,83Kに対して、それぞれ設けられる。従って、複合機1では、カートリッジ85C,85M,85Y,85Kのそれぞれについて、装着の有無を検出することができる。IC読書部30は、カートリッジ85のICチップからのデータ(情報)の読み出しと、ICチップへのデータ(情報)の書き込み(記憶)と、ICチップに記憶されたデータ(情報)の消去を、実行する。図1では図示を簡略化しているが、IC読書部30は、装着部83C,83M,83Y,83Kに装着されるカートリッジ85C,85M,85Y,85Kのそれぞれに対応して、設けられる。
【0025】
接続I/F32は、複合機1と外部装置5とをデータ通信可能に接続するための通信インターフェースである。例えば、複合機1と外部装置5との接続が、LANによって行われる場合、接続I/F32は、ネットワークインターフェースによって構成される。同接続が、USB接続によって行われる場合、接続I/F32は、USBポートによって構成される。複合機1は、接続I/F32として、ネットワークインターフェース及びUSBポートの両方を含む構成であってもよい。
【0026】
<メインルーチン処理>
メインルーチン処理について、図3等を参照して説明する。メインルーチン処理は、複合機1の電源がオンされた場合に開始される。メインルーチン処理を開始したCPU10は、カートリッジ85C,85M,85Y,85Kの何れかが交換されたかを判断する(S100)。CPU10は、例えば、装着検出部28からの信号が出力されていない状態から出力される状態に変化した場合、又は、装着検出部28から出力される信号が未装着を示す信号から装着を示す信号に変化した場合、カートリッジ85が交換されたと判断する。カートリッジ85が交換されていない場合(S100:No)、CPU10は、処理をS114に移行する。カートリッジ85C,85M,85Y,85Kの何れかが交換された場合(S100:Yes)、CPU10は、交換されたカートリッジ85を、S104以降の処理の処理対象として選択する(S102)。例えば、装着部83Kに対して設けられた装着検出部28から出力される信号が前述したような状態へと変化した場合、CPU10は、カートリッジ85Kを処理対象として選択する。装着部83C,83M,83Y,83Kに対して、それぞれ設けられた全ての装着検出部28から出力される信号が前述したような状態へと変化した場合、CPU10は、カートリッジ85C,85M,85Y,85Kを処理対象として選択する。
【0027】
次に、CPU10は、処理対象とされたカートリッジ85の種別を特定する(S104)。このとき、CPU10は、IC読書部30に、処理対象とされた全てのカートリッジ85が備えるICチップに記憶された上述したような各情報を読み出させる。IC読書部30は、処理対象とされた全てのカートリッジ85のICチップから各情報を読み出す。CPU10は、読み出された各情報の1つ又は複数の情報の組み合わせから、処理対象とされたカートリッジ85の種別を、処理対象とされたカートリッジ85のそれぞれについて特定する。例えば、読み出されたベンダIDを条件として、処理対象とされたカートリッジ85が純正品であるか非純正品であるかが特定される。また、例えば、インクイールド量、インク残量及び利用履歴を条件として、処理対象とされたカートリッジ85がリフィルされたか否かが特定される。この他、カートリッジタイプを条件として、カートリッジ85に収容されたインクの色が特定される。
【0028】
S104を実行した後、CPU10は、S104で特定されたカートリッジ85の種別に従い、処理対象とされたカートリッジ85が純正品であるかを判断する(S106)。S106での判断は、処理対象とされた全てのカートリッジ85に対して実行される。処理対象とされた全てのカートリッジ85が純正品である場合(S106:Yes)、CPU10は、処理をS110に移行する。処理対象とされたカートリッジ85のうち、何れかのカートリッジ85が純正品ではなく非純正品である場合(S106:No)、CPU10は、非純正品であると判断されたカートリッジ85に関し、交換履歴情報に、S104で特定された色に関連付けて非純正及び装着日時を登録する(S108)。装着日時としては、S100が肯定された時点において計時部26で計測されていた時刻(年月日を含む)が登録される。例えば、S100が肯定(S100:Yes)された時点が、2011年9月16日の15時00分であって、S104で特定されたカートリッジ85の種別にて、S106で、カートリッジ85C,85Yが非純正品であると判断されたとする。CPU10は、非純正品及び装着日時「2011/09/16 15:00」を、インク色のシアン及びイエローに関連付けて、フラッシュROM16に記憶された交換履歴情報に登録する(図2参照)。その後、CPU10は、処理をS110に移行する。
【0029】
S110でCPU10は、S104で特定されたカートリッジ85の種別に従い、処理対象とされたカートリッジ85がリフィルされたものであるかを判断する。S110での判断は、処理対象とされた全てのカートリッジ85に対して実行される。処理対象とされた全てのカートリッジ85がリフィルされたものではない場合(S110:No)、CPU10は、処理をS114に移行する。処理対象とされたカートリッジ85のうち、何れかのカートリッジ85がリフィルされたものである場合(S110:Yes)、CPU10は、リフィルされたものであると判断されたカートリッジ85に関し、交換履歴情報に、S104で特定された色に関連付けてリフィル及び装着日時を登録する(S112)。例えば、S100が肯定(S100:Yes)された時点が、2011年9月16日の15時00分であって、S104で特定されたカートリッジ85の種別にて、S110で、カートリッジ85M,85Kがリフィルされたものであると判断されたとする。CPU10は、リフィル及び装着日時「2011/09/16 15:00」を、インク色のマゼンタ及びブラックに関連付けて、フラッシュROM16に記憶された交換履歴情報に登録する(図2参照)。その後、CPU10は、処理をS114に移行する。なお、処理対象とされたカートリッジ85が非純正で且つリフィルされたものであった場合、先に実行されたS108にて装着日時は、既に登録されている。このような場合、S112では、装着日時は上書き登録され、又は、装着日時の登録は省略される。
【0030】
S114でCPU10は、交換履歴情報で非純正又はリフィルが登録されているかを判断する(S114)。交換履歴情報に非純正又はリフィルが登録されていない場合(S114:No)、CPU10は、S116のサブルーチン処理を実行することなく、処理をS100に戻し、上述した各処理を繰り返して実行する。この場合、後述するサブルーチン処理で実行される調整パターン記録処理(図4のS202、図5のS302、図6のS404、図7の508、詳細は図8参照)は、実行されない。何れかのインク色に関連付けて、非純正又はリフィルが登録されている場合(S114:Yes)、CPU10は、サブルーチン処理を実行する(S116)。サブルーチン処理については、後述する。
【0031】
上述した記載から明らかな通り、メインルーチン処理では、リフィルされたカートリッジ85は、非純正品と同様に取り扱うこととしている。リフィルされたカートリッジ85に関し、インクが収容されるケースは、複合機1の製造者が提供したものである。しかし、インクを再充填するためには、そのケースに対し、所定の加工(手順)を施す必要があり、さらに、再充填によって収容されたインクは、複合機1の製造者が提供(推奨)するものではない。このような点を考慮すれば、リフィルされたカートリッジ85は、実質的には、非純正品とみなすことができる。S116でサブルーチン処理を実行した後、CPU10は、処理をS100に戻し、上述した各処理を繰り返して実行する。メインルーチン処理は、複合機1の電源がオフされるまで繰り返される。
【0032】
ところで、複合機1は、上述したメインルーチン処理が実行されている途中に、印刷指示の入力を受け付ける。印刷指示は、例えば、複合機1に、接続されたパーソナルコンピュータ等のような外部装置5から、接続I/F32を介して入力される。この他、印刷指示は、コピー開始のための操作部22を介した操作によっても入力される。外部装置5から印刷指示が入力された場合、CPU10は、接続I/F32で受信された画像データを含む印刷ジョブに従った記録が記録部18で実行されるように制御する。印刷指示がコピーの開始であった場合、CPU10は、複合機1にセットされた原稿の読み取りがスキャナ部20で実行され、読み取られた原稿に対応した画像データを含む印刷ジョブに従った記録が記録部18で実行されるように制御する。画像データを含む印刷ジョブに従った記録が記録部18で実行される際、記録ヘッド81C,81M,81Y,81Kに形成されたノズルからは、各色のインクが吐出される。CPU10は、記録ヘッド81C,81M,81Y,81Kに形成されたノズルから吐出された各色のインクの吐出量を、インク色に関連付けて、フラッシュROM16に記憶された交換履歴情報に登録する。なお、印刷指示は、上述した例の他、複合機1が、公衆電話回線網等に接続され、ファクシミリ通信可能な装置であれば、ファクシミリデータの受信にて入力される。また、複合機1が所定のメモリカードを装着するためのメディアスロットを備える場合、装着されたメモリカードに記憶されたデータを記録対象として、印刷指示が入力されるようにしてもよい。メモリカードに記憶されたデータを記録対象とする画像の記録は、メディアプリントとも称される。
【0033】
複合機1では、記録ヘッド81C,81M,81Y,81Kに形成されたノズルの詰まりを防止するためのメンテナンス処理が定期的に実行される。メンテナンス処理としては、後述するパージ(図5のS300、図6のS402、図7のS506参照)の他、フラッシング等が例示される。メンテナンス処理では、印刷指示に伴う画像の記録の場合と同じく、記録ヘッド81C,81M,81Y,81Kに形成されたノズルから、各色のインクが吐出される。フラッシュROM16に記憶された交換履歴情報では、メンテナンス処理において吐出された各色のインクの吐出量についても、インク色に関連付けて登録される。
【0034】
<サブルーチン処理>
図3に示すメインルーチン処理のS116で実行されるサブルーチン処理について、4つの形態を説明する。複合機1では、何れかのサブルーチン処理が採用される。
【0035】
<第一形態>
第一形態のサブルーチン処理について、図4等を参照して説明する。このサブルーチン処理を開始したCPU10は、処理対象とされたカートリッジ85に収容されたインクのインク色に関連付けて交換履歴情報(図2参照)で管理された吐出量と、そのインク色の送液路87の容量に対応した量との大小関係について判断する(S200)。ここで、送液路87の容量は、上述した通り、このサブルーチン処理のコンピュータプログラムに記憶されている。送液路87の容量は、記録ヘッド81と装着部83とが別体である場合、例えば,4cc程度である。S200では、この送液路87の容量に、一定量(α)(cc)分だけ加算させた量を基準として、吐出量との比較(送液路87の容量+一定量(α)≦吐出量)を行う。すなわち、S200では、交換前のカートリッジ85から供給され送液路87に残存していたインクが、記録ヘッド81に形成されたノズルから全て吐出され、送液路87内が全て、非純正のカートリッジ85に収容されたインク、又は、リフィルされたインクで満たされた状態となっているかを判断する。
【0036】
加算される一定量(α)は、諸条件を考慮し、適宜設定される。例えば、カートリッジ85から供給されるインク(非純正品のカートリッジ85に収容されたインク、又は、リフィルされたインク)が、新たに送液路87を流れている途中で、交換前のカートリッジ85から供給され送液路87に残存していたインクと混合する量とするとよい。前述した両インクが混合する量は、交換前のカートリッジ85から供給され送液路87に残存していたインクが、両インクの境目から、交換後のカートリッジ85から供給されるインクの側に進出して混合した部分の量に対応する。なお、送液路87の容量は、記録ヘッド81に供給されたインクが、記録ヘッド81に形成されたノズルから吐出されるまでに記録ヘッド81内を送液するための流路の容量を含むようにしてもよい。
【0037】
処理対象とされたカートリッジ85に収容されたインクのインク色に関連付けられた吐出量が、送液路87の容量に対応した量(送液路87の容量+一定量(α))未満である場合(S200:No)、CPU10は、S202を実行することなく、このサブルーチン処理を終了し、処理を図3のS100に戻す。前述の吐出量が送液路87の容量に対応した量以上である場合(S200:Yes)、CPU10は、調整パターン記録処理を実行する(S202)。調整パターン記録処理については、後述する。調整パターン記録処理を実行した後、CPU10は、このサブルーチン処理を終了し、処理を図3のS100に戻す。
【0038】
<第二形態>
第二形態のサブルーチン処理について、図5等を参照して説明する。このサブルーチン処理を開始したCPU10は、送液路87の容量に対応した量以上のインクがパージされるように制御する(S300)。送液路87の容量に対応した量、すなわち、送液路87の容量及び一定量(α)については、第一形態のS200の場合と同様であり、これに関する説明は省略する。S300で実行される工程について、具体的に説明する。先ず、記録ヘッド81が取り付けられたキャリッジを走査方向に移動させるための移動機構(図1で不図示)が駆動し、キャリッジは、パージのための位置とされた吸引位置に移動する。この位置で、記録ヘッド81C,81M,81Y,81Kのインク吐出面を、所定の部材(図1で不図示)でキャップし、ポンプ(図1で不図示)で負圧をかけて、インクを吸引する。これによって、記録ヘッド81C,81M,81Y,81Kに形成されたノズルから各色のインクがそれぞれ吐出される。S300を実行した後、CPU10は、調整パターン記録処理を実行する(S302)。調整パターン記録処理については、後述する。調整パターン記録処理を実行した後、CPU10は、このサブルーチン処理を終了し、処理を図3のS100に戻す。
【0039】
<第三形態>
第三形態のサブルーチン処理について、図6等を参照して説明する。このサブルーチン処理を開始したCPU10は、計時部26で計測されている現在日時が、処理対象とされたカートリッジ85に収容されたインクのインク色に関連付けて、交換履歴情報(図2参照)で管理された装着日時から、所定時間経過したかを判断する(S400)。交換履歴情報に、複数の異なった装着日時が登録されているとする。この場合、CPU10は、最も古い装着日時をS400での判断対象とする。現在時刻が装着日時から所定時間経過していない場合(S400:No)、CPU10は、S402以降の処理を実行することなく、このサブルーチン処理を終了し、処理を図3のS100に戻す。
【0040】
現在時刻が装着日時から所定時間経過している場合(S400:Yes)、CPU10は、送液路87の容量に対応した量から吐出量を差し引いた残量(送液路87の容量+一定量(α)−吐出量)以上のインクがパージされるように制御する(S402)。送液路87の容量に対応した量、すなわち、送液路87の容量及び一定量(α)については、第一形態のS200の場合と同様であり、これに関する説明は省略する。差し引かれる吐出量は、フラッシュROM16に記憶された交換履歴情報(図2参照)において、非純正及びリフィルの少なくとも一方が登録されたインク色に関連付けられた吐出量とされる。交換履歴情報において、非純正及びリフィルの少なくとも一方が登録されたインク色が複数ある場合、最も少ない吐出量が選択される。新旧のインクが混色した混色インクが、パージされ、記録ヘッド81に形成されたノズルの部分にまで、交換後のカートリッジ85から供給されたインクが満たされるようにするためである。パージについての具体的な工程については、第二形態と同様であり、これに関する説明は省略する。
【0041】
S402を実行した後、CPU10は、調整パターン記録処理を実行する(S404)。調整パターン記録処理については、後述する。調整パターン記録処理を実行した後、CPU10は、このサブルーチン処理を終了し、処理を図3のS100に戻す。
【0042】
<第四形態>
第四形態のサブルーチン処理について、図7等を参照して説明する。このサブルーチン処理を開始したCPU10は、複合機1に印刷指示が入力されたかを判断する(S500)。印刷指示は、上述した通り、メインルーチン処理の実行途中に複合機1に入力される。印刷指示が入力されていない場合(S500:No)、CPU10は、S502以降の処理を実行することなく、このサブルーチン処理を終了し、処理を図3のS100に戻す。印刷指示が入力されている場合(S500:Yes)、CPU10は、印刷指示の入力に伴い入力(受信又は生成等を含む)された、画像データを含む印刷ジョブに従い画像を記録した場合に吐出(消費)されるインクの量(以下、「予測量」という)を取得する(S502)。取得される予測量について、フラッシュROM16に記憶された交換履歴情報(図2参照)において、非純正及びリフィルの少なくとも一方が登録されたインク色のインクの予測量が取得される。予測量は、例えば、既に提案されている技術を用いて算出等され、取得することができる。例えば、CPU10は、印刷ジョブに含まれる画像データ等を解析等し、画素数等を特定し、前述したインク色のインクについての予測量を算出する。
【0043】
次に、CPU10は、S502で取得された予測量と、送液路87の容量に対応した量から吐出量を差し引いた残量(送液路87の容量+一定量(α)−吐出量)とを比較する。送液路87の容量に対応した量、すなわち、送液路87の容量及び一定量(α)については、第一形態のS200の場合と同様であり、これに関する説明は省略する。差し引かれる吐出量は、交換履歴情報において、予測量に対応したインクのインク色に関連付けられた吐出量である。交換履歴情報において、非純正及びリフィルの少なくとも一方が登録されたインク色が複数あり、S502で複数の予測量が取得されていた場合、取得された各予測量と、予測量に対応したインクのインク色に関連付けられた各吐出量とを対象として、S502は実行される。S502で取得された各予測量の何れもが対応する残量より少ない場合(S504:No)、CPU10は、S506以降の処理を実行することなく、このサブルーチン処理を終了し、処理を図3のS100に戻す。
【0044】
S502で取得された各予測量のうちの1つでも残量より多い場合(S504:Yes)、CPU10は、残量以上のインクがパージされるように制御する(S506)。交換履歴情報において、非純正及びリフィルの少なくとも一方が登録されたインク色が複数ある場合、最も多い残量が選択される。第三形態の場合と同様の理由による。パージについての具体的な工程については、第二形態と同様であり、これに関する説明は省略する。S506を実行した後、CPU10は、調整パターン記録処理を実行する(S508)。調整パターン記録処理については、後述する。調整パターン記録処理を実行した後、CPU10は、このサブルーチン処理を終了し、処理を図3のS100に戻す。
【0045】
<調整パターン記録処理>
第一形態〜第四形態のサブルーチン処理で実行される調整パターン記録処理(図4のS202、図5のS302、図6のS404、図7のS508参照)について、図8等を参照して説明する。調整パターン記録処理を開始したCPU10は、表示部24に確認画面が表示されるように制御する(S600)。確認画面は、記録部18での画像の記録に関し、記録状態を調整するための調整パターンを記録するか否かを問い合わせることを内容とするメッセージを含む。ユーザは、確認画面を確認し、操作部22を操作して、調整パターンを記録するか否かの指示を複合機1に入力する。CPU10は、S600での確認画面の表示に応じて、調整パターンを記録することを示す調整指示が入力されたかを判断する(S602)。調整パターンを記録しないことを示す指示が入力され、調整指示が入力されていない場合(S602:No)、CPU10は、S604以降の処理を実行することなく、調整パターン記録処理を終了し、処理を図3のS100(第一形態〜第四形態の各サブルーチン処理)に戻す。調整指示が入力された場合(S602:Yes)、CPU10は、記録部18で、図9及び/又は図10に示すような調整パターンが記録される用に制御する(S604)。記録部18では、図9及び/又は図10に示すような調整パターンが記録される。
【0046】
図9に示す調整パターンは、記録ヘッド81が取り付けられたキャリッジが走査方向に往復移動することに基づく記録位置づれを調整するための調整パターンである。図9では図示を簡略化しているが、記録位置ずれのための調整パターンは、実際には、記録ヘッド81C,81M、81Y,81Kそれぞれについて、図9に示すような1組の画像群(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのそれぞれについて「1」〜「9」の画像)を含む。被記録媒体に記録された図9に示すような各色分の画像群を含む調整パターンを確認したユーザは、「1」〜「9」の各画像のうち、縦筋が最も視認し難い画像を、色毎に1つずつ選択する。その後、ユーザは、操作部22を操作し、選択した画像に対応する番号を、色毎に複合機1に入力する。CPU10は、入力された番号に基づいた記録設定値を、プログラムROM12又はフラッシュROM16に記憶する。印刷指示に基づいた記録部18での画像の記録は、複合機1に入力され記憶された各記録設定値に従い実行される。
【0047】
図10に示す調整パターンは、記録品質を確認するための調整パターンである。図10では、記録品質が良好であると判断される調整パターンと、悪いと判断される調整パターンが図示されている。図10に示す調整パターンも、実際には、記録ヘッド81C,81M、81Y,81Kそれぞれについて、図10に示すような1つの画像(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックによる各画像)を含む。ユーザは、被記録媒体に記録された図10に示すような全色分の画像を含む調整パターンを確認し、何れの画像も、図10に示す「画像品質:良好」の状態であるかを判断する。何れかの色の画像が、図10に示す「画像品質:悪い」の状態であった場合、ユーザは、操作部22を操作し、複合機1で記録ヘッド81のクリーニングを実行するための指示を入力することができる。記録ヘッド81のクリーニングは、上述したインクをパージする処理(図5のS300、図6のS402、図7のS506参照)に対応する。このときパージされるインクの量は、適宜設定される。例えば、上記の何れかと同様とされる。なお、インクジェット記録方式の記録部18では、記録ヘッド81に形成されたノズルにインクが詰まることがある。詰まりが発生したノズルからは、好適にインクが吐出されない。その結果、図10の「記録品質:悪い」のように、画像を形成する小ブロックの間隔が一定ではないような状態が発生する。
【0048】
S604を実行した後、CPU10は、フラッシュROM16に記憶された交換履歴情報(図2参照)を初期化する。これによって、交換履歴情報には、インク色に関連付けられた情報がクリアされる。その後、CPU10は、調整パターン記録処理を終了し、処理を図3のS100(第一形態〜第四形態の各サブルーチン処理)に戻す。
【0049】
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0050】
(1)図3に示すメインルーチン処理では、交換されて装着部83に装着されたカートリッジ85が、純正品ではなく(S106:No参照)、及び/又は、リフィルされたものである場合(S110:Yes参照)、カートリッジ85が非純正又はリフィルであることを、インク色に関連付けて交換履歴情報に登録する(S108,S112参照)こととした。その上で、交換履歴情報に非純正又はリフィルが登録されている場合(S114:Yes)、サブルーチン処理(S116、詳細は図4〜図7参照)における調整パターン記録処理(図4のS202、図5のS302、図6のS404、図7のS508、詳細は図8参照)で、調整パターンを記録する(S604参照)こととした。従って、カートリッジ85が非純正品又はこれと同等とみなせるリフィルされたものである場合、記録された調整パターンにて、記録される画像の記録状態を、ユーザに確認させることができる。好適な画像の記録が行われていないとユーザが判断した場合、ユーザは、これへの対策を講じることができる。装着されたカートリッジ85が純正品から非純正品(リフィルを含む)とされた場合においても好適な画像の記録が行われるようにすることができる。
【0051】
(2)複合機1では、印刷指示により入力された印刷ジョブに従った画像の記録において、記録ヘッド81C,81M,81Y,81Kに形成されたノズルから吐出された各色のインクの吐出量を、インク色に関連付けて交換履歴情報に登録することとした。交換履歴情報に非純正又はリフィルが登録されている場合(S114:Yes参照)において、図4に示す第一形態のサブルーチン処理では、交換履歴情報にて管理されている吐出量と、送液路87の容量に対応した量(送液路87の容量+一定量(α))との関係に応じて、調整パターン記録処理(S202参照)の実行の有無を判断する(S200参照)こととした。このとき、処理対象とされたカートリッジ85に収容されたインクのインク色に関連付けられた吐出量が、送液路87の容量に対応した量以上である場合(S200:Yes)、調整パターン記録処理が実行される(S202参照)。従って、非純正品(リフィルを含む)のカートリッジ85に収容されたインクが吐出されるような状態となったタイミングで、調整パターンが記録されるようにすることができる。調整パターンを記録することで、推奨されないインクにて好適な画像が記録されるかを、ユーザに確認させることができる。
【0052】
(3)交換履歴情報に非純正又はリフィルが登録されている場合(S114:Yes参照)において、図5に示す第二形態のサブルーチン処理では、強制的に、送液路87の容量に対応した量(送液路87の容量+一定量(α))のインクをパージし(S300参照)、調整パターン記録処理を実行する(S302参照)こととした。従って、複合機1の製造者以外の者により提供される、推奨されないインクによる画像の記録が可能となったタイミングで、2種類のインクが混合したインクでの画像の記録が実行されることを防止することができる。調整パターンを記録することで、推奨されないインクにて好適な画像が記録されるかを、ユーザに確認させることができる。S300により、送液路87内が全て、非純正のカートリッジ85に収容されたインク、又は、リフィルされたインクで満たされた状態とすることができる。交換前のカートリッジ85から供給され送液路87に残存していたインクで調整パターン記録処理が実行されてしまうことを防止することができる。
【0053】
(4)交換履歴情報に非純正又はリフィルが登録されている場合(S114:Yes参照)において、図6に示す第三形態のサブルーチン処理では、非純正品(リフィルを含む)のカートリッジ85が装着された時点から所定時間が経過したか否かに応じて、送液路87の容量に対応した量から吐出量を差し引いた残量(送液路87の容量+一定量(α)−吐出量)以上のインクのパージ(S402参照)と、調整パターン記録処理(S404参照)との実行の有無を判断する(S400参照)こととした。従って、時間の経過と共に、純正品のインクと非純正品のインクとが混ざり合ったインクを、強制的に吐出させることができる。2種類のインクが混合したインクによる画像の記録を防止し、このようなインクによる画像状態の低下を防止することができる。
【0054】
(5)交換履歴情報に非純正又はリフィルが登録されている場合(S114:Yes参照)において、図7に示す第四形態のサブルーチン処理では、複合機1に印刷指示が入力されているかを判断する(S500参照)こととした。印刷指示が入力されている場合(S500:Yes)、印刷指示により入力(受信又は生成等を含む)された、画像データを含む印刷ジョブに従い画像を記録した場合に吐出されるインクの予測量を取得し、予測量と、送液路87の容量に対応した量から吐出量を差し引いた残量(送液路87の容量+一定量(α)−吐出量)との比較に応じて、送液路87の容量に対応した量から吐出量を差し引いた残量(送液路87の容量+一定量(α)−吐出量)以上のインクのパージと(S506参照)、調整パターン記録処理(S508参照)との実行の有無を判断する(S504参照)こととした。なお、S504では、比較のための条件(予測量>送液路87の容量+一定量(α)−吐出量)により、入力された印刷ジョブに従った画像の記録の途中で、純正品のインクから非純正のインクへと変化するかを判断することができる。従って、入力された印刷ジョブに従った画像の記録の途中で、記録ヘッド81に形成されたノズルから吐出され、画像の記録に用いられるインクが、純正品のインクから非純正品(リフィルを含む)のインクへと変化し、記録された画像の状態が変化してしまうといった事態の発生を防止することができる。
【0055】
<変形例>
本実施形態は、次のようにすることもできる。
【0056】
(1)図3に示すメインルーチン処理のS116で実行されるサブルーチン処理について、第一形態と第三形態を複合させた処理としてもよい。このような変形例のサブルーチン処理における具体的な処理について説明する。このサブルーチン処理を開始したCPU10は、図4のS200と同様の判断を実行する。S200が否定される場合(S200:No参照)、CPU10は、処理を図6のS400に移行し、これ以降、CPU10は、第三形態のサブルーチン処理を、上記同様にして実行する。S200が肯定される場合(S200:Yes参照)、CPU10は、処理を図6のS404(図4のS202)又はS402に移行し、これ以降の処理を、上記同様にして実行する。
【0057】
この他、このサブルーチン処理の開始後、図6のS400を、図4のS200に先立ち実行し、判断が肯定される場合(S400:Yes参照)、上記同様にしてS402以降の処理を実行するようにしてもよい。S400が否定される場合(S400:No参照)、CPU10は、処理を図2のS200に移行するようにしてもよい。この場合、S200が肯定される場合(S200:Yes参照)、CPU10は、処理をS404(図4のS202)又はS402に移行し、これ以降の処理を、上記同様にして実行する。S200が否定される場合(S200:No参照)、CPU10は、このサブルーチン処理を終了する。変形例のサブルーチン処理によっても、上記同様の効果を得ることができる。
【0058】
(2)図8に示す調整パターン記録処理では、S600及びS602は省略してもよい。この場合、調整パターン記録処理では、常に、調整パターンが記録される。これによっても、上記同様の効果を得ることができる。
【0059】
(3)送液路87の容量に対応した量(送液路87の容量+一定量(α))は、送液路87の容量としてもよい。この場合、一定量(α)は0(cc)である。
【符号の説明】
【0060】
1 複合機、 5 外部装置
10 CPU、 12 プログラムROM、 14 RAM
16 フラッシュROM、 18 記録部、 22 操作部、 24 表示部
26 計時部、 28 装着検出部、 30 IC読書部
32 接続インターフェース(接続I/F)
81,81C,81M,81Y,81K 記録ヘッド
83,83C,83M,83Y,83K 装着部
85,85C,85M,85Y,85K カートリッジ
87,87C,87M,87Y,87K 送液路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが収容されたカートリッジから供給されるインクを吐出し、被記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
カートリッジを装着するための装着部と、
インクを吐出するノズルが形成された記録ヘッドと、
カートリッジが備える記憶素子に記憶された情報に従い、前記装着部に装着されたカートリッジが、純正品又は非純正品の何れであるかを判断する第一判断部と、
前記第一判断部にてカートリッジが非純正品であると判断された場合、前記インクジェット記録装置によって記録される画像の記録状態を確認するための調整パターンの記録を制御し、前記第一判断部にてカートリッジが純正品であると判断された場合、前記調整パターンの記録を制御しない、記録制御部と、を備えるインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記装着部に装着されたカートリッジから前記記録ヘッドにインクを供給するための送液路の容量を記憶する記憶部と、
前記装着部に装着されたカートリッジから供給されたインクが吐出された吐出量を管理するカウンタ部と、
前記第一判断部にてカートリッジが非純正品であると判断された場合、非純正品であると判断されたカートリッジに収容されたインクについて前記カウンタ部で管理された吐出量が、前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量以上であるかを判断する第二判断部と、を備え、
前記記録制御部は、前記第二判断部にて前記カウンタ部で管理された吐出量が前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量以上であると判断された場合、前記調整パターンの記録を制御する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
時間の経過を計測する計時部と、
前記第一判断部にてカートリッジが非純正品であると判断された場合、非純正品であると判断されたカートリッジが前記装着部に装着されたタイミングから、所定の時間経過したかを判断する第三判断部と、
前記第二判断部にて前記カウンタ部で管理された吐出量が前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量未満であると判断され、前記第三判断部にて所定の時間経過したと判断された場合、前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量から非純正品であると判断されたカートリッジに収容されたインクについて前記カウンタ部で管理された吐出量を差し引いた残量以上のインクを、前記記録ヘッドに形成されたノズルから吐出させるパージ処理部と、を備え、
前記記録制御部は、前記パージ処理部により前記記録ヘッドに形成されたノズルから前記残量以上のインクが吐出された場合、前記調整パターンの記録を制御する、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記装着部に装着されたカートリッジから前記記録ヘッドにインクを供給するための送液路の容量を記憶する記憶部と、
前記第一判断部にてカートリッジが非純正品であると判断された場合、前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量以上のインクを、前記記録ヘッドに形成されたノズルから吐出させるパージ処理部と、を備え、
前記記録制御部は、前記パージ処理部により前記記録ヘッドに形成されたノズルから前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量以上のインクが吐出された場合、前記調整パターンの記録を制御する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記装着部に装着されたカートリッジから前記記録ヘッドにインクを供給するための送液路の容量を記憶する記憶部と、
前記装着部に装着されたカートリッジから供給されたインクが吐出された吐出量を管理するカウンタ部と、
時間の経過を計測する計時部と、
前記第一判断部にてカートリッジが非純正品であると判断された場合、非純正品であると判断されたカートリッジが前記装着部に装着されたタイミングから、所定の時間経過したかを判断する第三判断部と、
前記第三判断部にて所定の時間経過したと判断された場合、前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量から非純正品であると判断されたカートリッジに収容されたインクについて前記カウンタ部で管理された吐出量を差し引いた残量以上のインクを、前記記録ヘッドに形成されたノズルから吐出させるパージ処理部と、を備え、
前記記録制御部は、前記パージ処理部により前記記録ヘッドに形成されたノズルから前記残量以上のインクが吐出された場合、前記調整パターンの記録を制御する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記装着部に装着されたカートリッジから前記記録ヘッドにインクを供給するための送液路の容量を記憶する記憶部と、
前記装着部に装着されたカートリッジから供給されたインクが吐出された吐出量を管理するカウンタ部と、
前記インクジェット記録装置に入力された印刷ジョブに従った画像の記録が実行された場合に吐出されるインクの量を取得する取得部と、
前記第一判断部にてカートリッジが非純正品であると判断された場合、前記取得部にて取得されたインクの量と、前記記憶部に記憶された送液路の容量に対応した量から非純正品であると判断されたカートリッジに収容されたインクについて前記カウンタ部で管理された吐出量を差し引いた残量と、を比較する比較部と、
前記比較部において前記取得部にて取得されたインクの量が前記残量より多いとされる場合、前記残量以上のインクを、前記記録ヘッドに形成されたノズルから吐出させるパージ処理部と、を備え、
前記記録制御部は、前記パージ処理部により前記記録ヘッドに形成されたノズルから前記残量以上のインクが吐出された場合、前記調整パターンの記録を制御する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−75418(P2013−75418A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216400(P2011−216400)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】