説明

インクセット

【課題】同一のノズルから吐出される第1インクと第2インクとの切り替え手段を備えた液滴吐出装置において、第1インクおよび第2インクの切り替えに要するインクの量を低減させる。
【解決手段】本発明にかかるインクセットは、同一のノズルから少なくとも第1インクおよび第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置に用いられる、前記第1インクおよび前記第2インクとを含むインクセットにおいて、前記第1インクは、色材として顔料を含有し、前記第2インクは、色材として染料を含有し、前記第1インクおよび前記第2インクのそれぞれのCIELAB色空間における色相角の差が、90度以下であることを特徴とする、インクセット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一のノズルから少なくとも第1インクと第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置において使用可能なインクセットに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置をはじめとする液滴吐出装置では、印刷の目的に応じてインクカートリッジを交換することができる。現に装着されているインクカートリッジとは異なるインクによって印刷を行いたい場合には、現に装着されているインクカートリッジを一旦取り外し、それに代えて所望のインクが充填されたインクカートリッジを装着しなおすことができる。
【0003】
しかしながら、インクカートリッジの交換は、液滴吐出装置のユーザーにとって煩雑な作業であり、該ユーザーに過大な負担を強いることになる。
【0004】
そこで、特許文献1では、インクカートリッジを交換することなく同一のノズル(列)から吐出されるインクを必要に応じて交換することが可能な切り替え手段を備えた液滴吐出装置が提案されている。これによれば、例えば、フォトブラックおよびマットブラックのいずれか1種を同一のノズル(列)から選択的に吐出させることができる。
【0005】
一方、このような液滴吐出装置にあっては、ノズルにインクが充填された状態で長時間放置すると、インクの固着等によってノズルに目詰まりを生じ、インク滴が正常に吐出されないことがある。かかる場合には、記録媒体上に正確なドットを形成することができないため、きれいな印刷を行うことができなくなる。このような観点から、インクと該インクを洗浄するための第2インクとの切り替え手段を備えた液滴吐出装置が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−230006号公報
【特許文献2】特開2006−240010号公報
【特許文献3】特開2009−269291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、一般に、顔料を色材とするインクは、顔料の粒子の分散体であるため、一定期間放置することにより、沈殿を生じることがあった。そのため、顔料インクを液滴吐出装置の吐出ヘッド内に保持したまま放置すると、沈殿によるノズルの目詰まりが生じてしまうことがあった。
【0008】
このような顔料を色材とするインクに対して、例えば、前述したようなインクと第2インクとの切り替え手段を備えた液滴吐出装置において、顔料インクと、第2インクとを置き換えて放置する方法をとることもできた。
【0009】
しかしながら、このような方法では、置き換えた後に再び印刷を行いたい場合に、保存のために導入された第2インクを、再び所望の顔料インクに置き換える必要がある。このときの切り替えにおいては、吐出させるインクを所望の色となるまで、第2インクと顔料インクとを十分に置換させる必要があり、大量の顔料インクが必要となる場合があった。また、第2インクを顔料インクに置き換えるための所要時間も長くなる場合があった。
【0010】
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、同一のノズルから吐出される第1インクと第2インクとの切り替え手段を備えた液滴吐出装置において、第1インクおよび第2インクの切り替えに要するインクの量を低減させることができるインクセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0012】
[適用例1]
本発明にかかるインクセットの一態様は、
同一のノズルから少なくとも第1インクおよび第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置に用いられる、前記第1インクおよび前記第2インクとを含むインクセットにおいて、
前記第1インクは、色材として顔料を含有し、
前記第2インクは、色材として染料を含有し、
前記第1インクおよび前記第2インクのそれぞれのCIELAB色空間における色相角の差が、90度以下であることを特徴とする。
【0013】
[ここで、色相角は、a≧0、かつb≧0の場合に、tan−1(b/a)、a≧0、かつb<0の場合に、360+tan−1(b/a)、またはa<0の場合に、180+tan−1(b/a)、として求められる角度(度)を表し、a及びbは、CIELAB色空間において定義される色座標を表す。]
適用例1のインクセットによれば、同一のノズルから第1インクと第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置において、第1インクおよび第2インクの切り替えに要するインクの量を低減させることができる。
【0014】
[適用例2]
本発明にかかるインクセットの一態様は、
同一のノズルから少なくとも第1インクおよび第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置に用いられる、前記第1インクおよび前記第2インクとを含むインクセットにおいて、
前記第1インクは、色材として顔料を含有し、
前記第2インクは、色材として染料を含有し、
前記第1インクおよび前記第2インクのL表色系における色差が、3以下であることを特徴とする。
【0015】
[ここで、色差とは、2つの色のL、aおよびbの値のそれぞれの差を、ΔL、ΔaおよびΔbとしたときに、{(ΔL+(Δb+(Δa1/2、として求められる値を表し、Lは、CIE1976明度を表し、aおよびbは、CIELAB色空間において定義される色座標を表す。]
適用例2のインクセットによれば、同一のノズルから第1インクと第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置において、第1インクおよび第2インクの切り替えに要するインクの量を低減させることができる。
【0016】
[適用例3]
同一のノズルから少なくとも第1インクおよび第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置に用いられる、前記第1インクおよび前記第2インクとを含むインクセットにおいて、
前記第1インクは、色材として金属酸化物を含有し、
前記第2インクは、色材として中空構造を有する粒子を含有することを特徴とする。
【0017】
適用例3のインクセットによれば、同一のノズルから第1インクと第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置において、第1インクおよび第2インクの切り替えに要するインクの量を低減させることができる。
【0018】
[適用例4]
適用例3のインクセットにおいて、
前記第1インクおよび前記第2インクのL表色系における色差が、3以下であることができる。
【0019】
[ここで、色差とは、2つの色のL、aおよびbの値のそれぞれの差を、ΔL、ΔaおよびΔbとしたときに、{(ΔL+(Δb+(Δa1/2、として求められる値を表し、Lは、CIE1976明度を表し、aおよびbは、CIELAB色空間において定義される色座標を表す。]
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例において、
前記第1インクにおける前記色材の含有量は、3質量%以上20質量%以下であることができる。
【0020】
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例において、
前記第2インクにおける前記色材の含有量は、3質量%以上20質量%以下であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】切り替え手段を備えたプリンターの主要構成部を示す概略斜視図。
【図2】図1に示したプリンターの電気的な構成を示すブロック図。
【図3】プリンターの電源がON状態の時に行う切り替え処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図4】プリンターの電源がOFF状態になる前に行う切り替え処理の流れを説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。なお、以下の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0023】
以下の実施形態にかかるインクセットは、同一のノズルから少なくとも第1インクおよび第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置において用いられる。
【0024】
1.第1実施形態
本実施形態にかかるインクセットは、一のノズルから第1インクと第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置に用いるものであるから、まず液滴吐出装置の概略を説明した後に、インクセットの具体例について詳細に説明することにする。
【0025】
1.1.液滴吐出装置
以下、液体吐出装置の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、液滴吐出装置としてインクジェットプリンター(以下、「プリンター」という。)を例に挙げて説明する。図1は、切り替え手段を備えたプリンターの主要構成部を示す概略斜視図であり、図2は、図1に示したプリンターの電気的な構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示したプリンター20は、用紙スタッカー22と、図示しないステップモーターで駆動される紙送りローラー24と、プラテン26と、キャリッジ28と、キャリッジモーター30と、キャリッジモーター30によって駆動される牽引ベルト32と、キャリッジ28の走査を案内するガイドレール34とを備えている。キャリッジ28には、多数のノズルを備えた印刷ヘッド36(記録ヘッド)が搭載されている。
【0027】
印刷ヘッド36は、液体供給路41、42、43、44、45を介して各カートリッジ11a、11b、12、13、14、15と接続されている。カートリッジ12にはブラックインク(K)、カートリッジ13にはシアンインク(C)、カートリッジ14にはマゼンタインク(M)、カートリッジ15にはイエローインク(Y)がそれぞれ収容されている。さらに、カートリッジ11aには第1インクが、カートリッジ11bには第2インクがそれぞれ収容されている。第2インクは、印刷ヘッド36の備えられたノズルのうち、第1インクが吐出されるノズルに充填される。すなわち、第1インクが吐出されるノズルには、切り替え手段56を介して第1インクと第2インクとが選択的に充填されるようになっている。
【0028】
各カートリッジは、各インク(画像形成液)を収容したインクパックを備えており、インクパックの周囲には空気室が形成されている。図示しない加圧手段によって空気室を加圧することによって各インクパック内のインクが液体供給路41、42、43、44、45を経由して印刷ヘッド36へ供給される。このように、本実施形態では、プリンター20は、キャリッジ28上にインクカートリッジが搭載されるいわゆるオンキャリッジタイプのプリンターとは異なり、プリンター20本体の所定の位置に固定的に装着されるオフキャリッジタイプのインクジェットプリンターを例示する。
【0029】
印刷用紙P(記録媒体)は、用紙スタッカー22から紙送りローラー24によって巻き取られてプラテン26の表面上を、印刷ヘッドの主走査方向と直交する副走査方向へ送られる。キャリッジ28は、キャリッジモーター30により駆動される牽引ベルト32に牽引されて、ガイドレール34に沿って主走査方向に移動する。
【0030】
プリンター20は、図2に示すように、ホストコンピューター90から供給された信号を受信する受信バッファメモリー50と、画像データを格納するイメージバッファー54と、プリンター20全体の動作を制御するシステムコントローラー51(制御手段)と、メインメモリー52と、EEPROM53とを備えている。EEPROM53に記憶されたファームウェアをメインメモリー52に読み出し実行することによって、プリンター20の各種動作が実現される。
【0031】
また、システムコントローラー51には、キャリッジモーター30を駆動する主走査駆動回路61と、紙送りモーター31を駆動する副走査駆動回路62と、印刷ヘッド36を駆動するヘッド駆動回路63と、が接続されている。副走査駆動回路62、紙送りモーター31および紙送りローラー24は、紙送り機構を構成している。
【0032】
システムコントローラー51は、受信バッファメモリー50が受信した印刷データに含まれる各種コマンドや、予めEEPROM53に書き込まれた設定条件等に応じて、主走査駆動回路61および副走査駆動回路62を制御する。
【0033】
例えば、高画質の画像を印刷するように設定されている場合は、主走査駆動回路61および副走査駆動回路62によって、ラスタを副走査方向に間欠的に形成しつつ画像を印刷するいわゆるインターレース方式の印刷を行う。また、1ラスタを形成するノズルを間欠的タイミングで駆動させて印刷するいわゆるオーバーラップ方式の印刷を行うこともできる。
【0034】
さらに、システムコントローラー51には、表示手段55と、切り替え手段56と、計時手段57と、ノズル吐出検査手段58と、が接続されている。表示手段55は、プリンター20の液晶表示画面に表示内容を表示する。あるいは、表示内容をホストコンピューター90のプリンタードライバ91へ送信し、ドライバの表示画面91に表示する。切り替え手段56は、切り替え弁のようなものであり、システムコントローラー51からの指示に応じて液体供給路41に供給する液体を自動的に第1インクまたは第2インクのいずれかに切り替える。計時手段57は、印刷ヘッド36の特定のノズルに第1インクが充填されたまま吐出動作がない状態(第1充填状態)が継続する時間、すなわち放置時間を計時する。
【0035】
ノズル吐出検査手段58は、キャリッジ28上の印刷ヘッド36による印刷可能なエリアから外れた非印刷エリアに配置されている。キャリッジ28が、主走査方向に沿って印刷エリアから非印刷エリアへ移動することで、吐出状態の検査を行う状態となる。ノズル吐出検査手段58は、非印刷エリアに移動した印刷ヘッド36の各ノズルと対向するように印刷ヘッド36の下方に配置されている。そして、ノズル吐出検査手段58は、印刷ヘッド36の各ノズルから吐出されたインク滴を受けるための導電性インク吸収体と、帯電したインク滴の接近によって導電性インク吸収体に生じる誘導電流を検出する検出部と、各ノズルからインク滴を吐出する際にこのインク滴を帯電させるべく導電性インク吸収体に電圧を印加する電圧印加部と、導電性インク吸収体を収容するための有底容器と、を備えている。
【0036】
帯電したインク滴が各ノズルから導電性インク吸収体へ向けて吐出されると、このインク滴の接近に伴って導電性インク吸収体には、静電誘導現象等に基づいて誘導電流が生じる。すなわち、インク滴の接近に伴って、導電性インク吸収体にはインク滴とは逆極性の電荷が誘起されるように誘導電流が流れる。この誘導電流の検出の有無によってノズル詰まりを検査する。
【0037】
以上の構成を備えたプリンター20において、第1インクと第2インクとを切り替える方法について説明する。システムコントローラー51は、第1インクと、第2インクと、が選択的に充填される特定のノズルに第1インクが充填された第1充填状態から、特定のノズルに第2インクが充填された第2充填状態へ、所定の条件にしたがって切り替えるよう制御する。以下では、プリンター20の電源がON状態のときに行う切り替え処理と、プリンター20の電源がOFF状態になる前に行う切り替え処理についてそれぞれ説明する。なお、以下の説明では、第1インクに含有される色材の沈降速度が、第2インクに含有される色材の沈降速度よりも大きい場合について例示する。
【0038】
図3は、プリンターの電源がON状態の時に行う切り替え処理の流れを説明するためのフローチャートである。プリンター20の電源がON状態においてシステムコントローラー51は、計時手段57に対して、印刷ヘッド36のノズルのうち第1インクが吐出される特定のノズルに、第1インクが充填された状態が継続する時間、すなわちプリンター20の放置時間を計時するよう指示する。なお、予め設定された時間内に印刷ヘッド36のノズルからの吐出動作があった場合は、計時手段57をリセットして計時を再開する。
【0039】
なお、予め設定する時間としては、例えば1ヶ月とすることができる。この1ヶ月という時間は、第1インクがノズルに充填されて放置された場合に、そのノズルが目詰まりを起こさない最大期間として経験的に得られる値である。この値は、インク毎に異なり、ここでは単に一例として1ヶ月とした。したがって、プリンター20の設置環境、インク組成等によってことなる値であり、コマンド等によって適宜変更可能な値である。ここでは、顔料系の第1インクを採用した場合を前提に説明する。
【0040】
一方、目詰まりを確実に防止するために上記期間を短く設定しすぎると、頻繁に第2インクが充填されるため第2インクの消費量が多く、コストパフォーマンスが悪くなる。
【0041】
システムコントローラー51は、計時手段57によって計時されている放置時間を確認する(ステップS11)。放置時間が1ヶ月以上であるか否かを判定し、放置時間が1ヶ月以上であると判定すると(ステップS12:Yes)、システムコントローラー51は切り替え手段56に対して第1インク側の弁を閉じて、第2インク側の弁を開けるよう指示する。次に、カートリッジ11bの図示しない加圧手段を駆動させて第2インクを液体供給路41を経由して印刷ヘッド36へ供給する。そして印刷ヘッド36へ供給された第2インクは、第1インクが充填されているノズルに充填される。すなわち、それまで充填されていた第1インクは第2インクによってノズルから押し出され、第2インクに切り替えられる(ステップS13)。
【0042】
一方、ステップS12において放置時間が1ヶ月より短いと判定した場合は(ステップS12:No)、システムコントローラー51はノズル吐出検査手段58に対してノズル吐出検査を実行するよう指示する。ノズル吐出検査手段58がノズル吐出検査を実行し(ステップS14)、検査結果に基づき第1インクが充填されていたノズルにノズル抜けがあるか否かを判定する。第1インクが充填されていたノズルにノズル抜けを発見すると(ステップS15:Yes)、第1インクから第2インクに切り替える(ステップS13)。一方、第1インクが充填されていたノズルにノズル抜けを発見しなかった場合は(ステップS15:No)、ステップS11に戻り、計時手段57をリセットして放置時間の計時を再開する。
【0043】
以上のように、第1インクと、第2インクと、が所定の条件にしたがって、特定のノズル列に選択的に充填される。したがって、長期間にわたってインクの吐出動作を実行しない場合は、特定のノズルに対して第2インクを充填するように切り替えれば、その特定のノズルが目詰まりを起こすことがない。これにより、特定のノズルに、多色インクより粒径が大きく目詰まりを発生し易い第1インクが充填されたままで長期間放置されることを防止することができる。
【0044】
また、特定のノズルに目詰まりが発生する時間として、経験的に得られる値を予め設定しておき、設定した1ヶ月と実際の放置時間とを比較するようにすれば、第2インクへの切り替えを、目詰まりを防止できる範囲内で最小限に抑えることができる。これにより、第2インクを無駄に消費することを防止することができる。
【0045】
また、放置時間が予め設定された1ヶ月より小さい場合でも、ノズル抜けが検出された場合は、第2インクへ切り替えることができる。したがって、特定のノズルに目詰まりが発生する時間として経験的に得られた1ヶ月という値に依存することなく、ノズル抜けを検出した場合にも、第2インクが充填されるので、さらに目詰まりが悪化することを防止することができる。
【0046】
次に、プリンター20の電源がOFF状態になる前に行う切り替え処理について説明する。図4は、プリンターの電源がOFF状態になる前に行う切り替え処理の流れを説明するためのフローチャートである。システムコントローラー51は、外部からプリンター20の電源をOFFする指示があると(ステップS21:Yes)、ホストコンピューター90のプリンタードライバ91に対して電源OFF継続予定時間の入力を促すメッセージを表示するよう指示する(ステップS22)。表示されたメッセージを読んだユーザーが電源OFF継続予定時間を入力すると、入力された値がプリンター20に送信される。
【0047】
システムコントローラー51は入力を検知すると(ステップS23:Yes)、プリンタードライバ91から送信された電源OFF継続予定時間が予め設定された1ヶ月以上であるか否かを判定する(ステップS24)。電源OFF継続予定時間が1ヶ月以上であると判定すると(ステップS24:Yes)、システムコントローラー51は切り替え手段56に対して第1インク側の弁を閉じて、第2インク側の弁を開けるよう指示する。次に、カートリッジ11bの図示しない加圧手段を駆動させて第2インクを液体供給路41を経由して印刷ヘッド36へ供給する。そして、印刷ヘッド36へ供給された第2インクは第1インクが充填されているノズルに充填される。すなわち、それまで充填されていた第1インクは第2インクによってノズルから押し出され、第2インクに切り替えてから電源OFF処理を実行する(ステップS25、ステップS26)。
【0048】
一方、ステップS24で電源OFF継続予定時間が1ヶ月より短期間であると判定すると(ステップS24:No)、第1インクを第2インクへ切り替えることなく、そのまま電源OFF処理を実行する(ステップS26)。
【0049】
以上のように、電源をOFFする指示があっても、電源OFF処理を実行する前に第1インクが充填された状態から第2インクが充填された状態へ切り替えることができる。すなわち、電源OFF中は、第1インクのノズルに対して第2インクを充填させておくことができる。これにより、ノズルに第1インクが充填されたままで長時間放置されることを防止することができる。一方、電源OFF継続予定時間が第1インクのノズルに目詰まりが発生する時間として経験的に得られた1ヶ月よりも短い場合は、第2インクが充填されることなく電源がOFFされる。すなわち、目詰まりが発生する前に電源がON状態となり吐出動作が行われる予定であるため、目詰まりを発生させる可能性が低く、第2インクを充填することなく電源をOFFする。これにより、第2インクを無駄に消費することを防止することができる。
【0050】
上述したように、プリンター20は、所定の条件のときにシステムコントローラー51からの指示に応じて、第1充填状態から第2充填状態へ自動的に切り替える切り替え手段56を有している。切り替え手段56が自動的に第1充填状態から第2充填状態へ切り替えるので、ユーザーが手動で切り替える必要がない。このため、ユーザーがプリンター20の傍にいなくても、第1インクのノズルには第2インクが自動的に充填される。
【0051】
なお、上記実施形態では、いわゆるオフキャリッジタイプのインクジェットプリンターを前提として説明したが、本発明ではいわゆるオンキャリッジタイプのインクジェットプリンターを適用することもできる。この場合は、図3のステップS13および図4のステップ25において、第1インクを収容するカートリッジから第2インクを収容するカートリッジに交換するようユーザーに通知するよう構成すればよい。すなわち、システムコントローラー51が表示手段55(通知手段)にカートリッジの交換を促すメッセージを表示するようにすればよい。
【0052】
1.2.インクセット
本実施形態のインクセットは、少なくとも第1インクおよび第2インクを含む。本実施形態のインクセットは、例えば日本工業規格JIS Z8105の番号3008および03009に定義される「有彩色」の第1インクおよび第2インクを含む組である。
【0053】
1.2.1.第1インク
本実施形態の第1インクは、少なくとも、色材として顔料を含有する。
【0054】
1.2.1.1.顔料
本実施形態の第1インクにおいて使用可能な顔料としては、特に制限されないが、各種公知の顔料が挙げられる。
【0055】
イエロー有機顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180等が挙げられる。
【0056】
マゼンタ有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
【0057】
シアン有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー4、60等が挙げられる。
【0058】
また、マゼンタ、シアンおよびイエロー以外の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、C.I.ピグメントブラウン3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63等が挙げられる。
【0059】
顔料は、平均粒径が10nm以上200nm以下の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50nm以上150nm以下程度のものが好ましい。本実施形態の第1インクにおける顔料の添加量は、1質量%以上25質量%以下程度の範囲が好ましく、より好ましくは3質量%以上20質量%以下の範囲である。
【0060】
1.2.1.2.その他の成分
(1)水
本実施形態の第1インクは、水を含有することができる。第1インクに使用可能な水としては、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水などである。上述の粒子の分散の妨げにならない程度であれば、水中にはイオン等が存在してもよい。特に、これらの水を紫外線照射または過酸化水素添加などにより滅菌処理した水は、カビやバクテリアの発生を長期間抑制することができ、第1インクを長期に安定に保つことができるためより好ましい。
【0061】
本実施形態の第1インクにおける水の含有量は、有機粒子および無機粒子の分散が維持できる範囲で限定されないが、第1インクの全量に対して50質量%以上95質量%以下であることが好ましい。第1インクにおける水の含有量が、この範囲内であると、例えば顔料の分散性がより良好となり保存安定性をさらに高めることができる。
【0062】
なお、水の含有量が50質量%以上95質量%以下であるということは、水以外の成分の含有量が5質量%以上50質量%以下であることを示している。本明細書では、水以外の成分のことを固形分と称することがあり、水の含有量が50質量%以上95質量%以下であるということは、第1インクにおける固形分の濃度が5質量%以上50質量%以下であることを指している。
【0063】
(2)浸透助剤
本実施形態の第1インクは、必要に応じて、浸透助剤を含有してもよい。浸透助剤としては、多価アルコール類が挙げられる。多価アルコール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールなどの炭素数が4以上8以下のアルカンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、およびグリコールエーテル類が挙げられる。
【0064】
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテルを挙げることができる。この中でも、トリエチレングリコールモノブチルエーテルが第1インクに配合されると、さらに良好な記録品質を得ることができる。
【0065】
このような浸透助剤の機能の一つとしては、記録媒体などの被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることが挙げられる。また、これらのアルカンジオールは、インク組成物をインクジェット記録装置に適用した場合に、第1インクの乾燥を防止し、インクジェット記録ヘッド部分における目詰まりを防止する効果(保湿剤としての効果)も有する場合がある。
【0066】
また、アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールなどの炭素数が4ないし8の1,2−アルカンジオールであることが好ましい。さらにこの中でも炭素数が6ないし8の1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールは、第1インクの記録媒体への浸透性を高める作用が特に良好であるためより好ましい。
【0067】
本実施形態のインク組成物に浸透助剤を含有させる場合には、浸透助剤の含有量は、第1インクの全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
【0068】
また、多価アルコールは、複数の機能を有することができ、上記浸透助剤としての機能の他の機能の一つとしては、インクの乾燥を抑制することが挙げられ、第1インクをインクジェット式記録装置に適用した場合に、インクジェット式記録ヘッド部分におけるインクの目詰まりを防止する効果を高めることができる。さらに、多価アルコールは、一分子内の水酸基の数が、疎水性領域の大きさに対してより多い化合物であるほうが、水分を捕捉する機能が高く第1インクの乾燥を抑制する効果が高い。
【0069】
(3)界面活性剤
本実施形態の第1インクは、界面活性剤を含有することができる。本実施形態の第1インクに好適な界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤およびポリシロキサン系界面活性剤の少なくとも一種が挙げられる。これらの界面活性剤が第1インクに配合されると、記録媒体の被記録面への濡れ性が高まり、第1インクの記録媒体への浸透性をさらに向上させることができる。
【0070】
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール等が挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用することもでき、例えばオルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学株式会社製)、サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。ポリシロキサン系界面活性剤としては、市販品を利用することができ、例えばBYK−347、BYK−348、BYK−UV3500(ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。さらに、本実施形態のインク組成物には、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のその他の界面活性剤を添加してもよい。
【0071】
本実施形態の第1インクに界面活性剤を含有させる場合には、界面活性剤の含有量は、第1インクの全質量に対して、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。
【0072】
(4)pH調整剤
本実施形態の第1インクは、pH調整剤を含有することができる。本実施形態の第1インクに好適なpH調整剤としては、特に制限されず、例えばリン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムの少なくとも一種が挙げられる。またこれらのうち、pH調整剤としてトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第三級アミンを選択すると、第1インクのpHの調整がより容易となる。第1インクにpH調整剤を含有させる場合には、その含有量は、第1インクの全質量に対して、好ましくは0.01質量%以上10質量%であり、より好ましくは0.1質量%以上2質量%以下である。
【0073】
(5)その他の成分
本実施形態の第1インクには、顔料を分散させるための顔料分散剤を添加してもよい。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。このような分散剤としては、通常のインクにおいて用いられている任意の分散剤を用いることができる。第1インクに顔料分散剤を含有させる場合の含有量としては、第1インク中の色材の含有量に対して、5〜200質量%、好ましくは30〜120質量%であり、分散すべき色材によって適宜選択するとよい。
【0074】
本実施形態の第1インクは、例えば画像の記録媒体への定着を目的として、樹脂を含有してもよい。このような樹脂としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、塩化ビニリデンの単独重合体または共重合体、あるいはその変性体、あるいはポリウレタン、フッ素樹脂、天然樹脂等が挙げられる。なお、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でもよい。また、樹脂として、ポリウレタンを用いる場合には、第1インクにおける分散性、記録媒体に付着した際の記録媒体への接着性が良好な点で、ポリカーボネート系またはポリエーテル系のポリウレタンが好ましい。さらに、ポリウレタンを用いる場合は、該ポリウレタンの合成は、公知の方法を適用することができ、例えば、2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、2個以上の水酸基を有する化合物と、を反応させる方法を用いることができる。樹脂の機能の一つとしては、顔料を記録媒体に定着させることが挙げられる。
【0075】
本実施形態の第1インクは、必要に応じて、重合開始剤を含有してもよい。例えば、第1インクが、重合性官能基を有する化合物を含む場合、熱を加えたり、放射線を照射したりすることにより、重合することができるが、その重合の速度をより高める必要がある場合には、熱重合開始剤や放射線重合開始剤を添加することができる。
【0076】
なお、第1インクを水性とする場合には、重合開始剤は、必ずしも水溶性でなくてもよく、油溶性であってもよいし、難溶性であってもよい。これは、例えば、重合開始剤が油溶性である場合には、重合開始剤は、水系の第1インクにおいて、油相に存在することになり、また、難溶性であれば、重合開始剤は、例えば、画像形成工程の後、記録媒体上で水分がある程度除去された際に、重合性官能基に接触するようになり、所望の作用を発揮することができる。さらに、重合開始剤は、相間を移動する性質を有してもよく、第1インクに応じて、かつ、必要に応じて適宜選択されることができる。
【0077】
また、本実施形態の第1インクには、有機溶剤を添加してもよい。このような有機溶剤としては、特に限定されないが、極性有機溶媒、例えば、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、またはエーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)の他、2−ピロリドン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等を用いることができる。
【0078】
また、本実施形態の第1インクは、水溶性ロジンなどの定着剤、安息香酸ナトリウムなどの防黴剤・防腐剤、アロハネート類などの酸化防止剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、防腐剤、および防かび剤などの添加剤を含有してもよい。これらの添加剤は、1種単独で用いることもできるし2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0079】
本実施形態の第1インクは、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミルなどを使用して、従来の顔料インクと同様に調製することができる。調製に際しては、メンブランフィルターやメッシュフィルターなどを用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
【0080】
なお、本実施形態の第1インクの20℃における粘度は、好ましくは2mPa・s以上10mPa・s以下であり、より好ましくは3mPa・s以上5mPa・s以下である。第1インクの20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルから第1インクが適量吐出され、第1インクの飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため好適である。
【0081】
1.2.2.第2インク
本実施形態の第2インクは、少なくとも、色材として染料を含有する。
【0082】
1.2.2.1.染料
本実施形態の第2インクにおいて使用可能な染料としては、特に制限されないが、例えば、以下に例示する染料が挙げられる。
【0083】
本実施形態の第2インクにおいて使用可能な染料としては、例えば、アクリジン染料、アニリン染料、アントラキノン染料、アジン染料、アゾメチン染料、ベンゾー及びナフトキノン染料、インジゴイド染料、インドフェノール染料、インドアニリン染料、インダミン染料、ロイコ染料、ナフタールイミド染料、ニグロシン染料、インジュリン染料、ニトロ及びニトロソ染料、オキサジン及びジオキサジン染料、酸化染料、フタロシアニン染料、ポリメチン染料、キノフタロン染料、硫化染料、トリ及びジアクリルメタン染料、チアジン染料、チアゾール染料、キサンテン染料、シアニン染料等が挙げられる。
【0084】
具体的なイエロー系染料としては、C.I.アシッドイエロー1、3、11、17、19、23、25、29、36、38、40、42、44、49、59、61、70、72、75、76、78、79、98、99、110、111、127、131、135、142、162、164、165、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、110、132、142、144、C.I.リアクティブイエロー1、2、3、4、6、7、11、12、13、14、15、16、17、18、22、23、24、25、26、27、37、42、C.I.フードイエロー3、4、C.I.ソルベントイエロー15、19、21、30、109等が挙げられる。
【0085】
具体的なマゼンタ系の染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、37、42、51、52、57、75、77、80、82、85、87、88、89、92、94、97、106、111、114、115、117、118、119、129、130、131、133、134、138、143、145、154、155、158、168、180、183、184、186、194、198、209、211、215、219、249、252、254、262、265、274、282、289、303、317、320、321、322、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.リアクティブレッド1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、15、16、17、19、20、21、22、23、24、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、49、50、58、59、63、64、C.I.ソルビライズレッド1、C.I.フードレッド7、9、14等が挙げられる。
【0086】
具体的なシアン系の染料としては、例えば、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、54、59、60、62、72、74、78、80、82、83、90、92、93、100、102、103、104、112、113、117、120、126、127、129、130、131、138、140、142、143、151、154、158、161、166、167、168、170、171、182、183、184、187、192、199、203、204、205、229、234、236、249、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、120、123、158、160、163、165、168、192、193、194、195、196、199、200、201、202、203、207、225、226、236、237、246、248、249、C.I.リアクティブブルー1、2、3、4、5、7、8、9、13、14、15、17、18、19、20、21、25、26、27、28、29、31、32、33、34、37、38、39、40、41、43、44、46、C.I.ソルビライズバットブルー1、5、41、C.I.バットブルー4、29、60、C.I.フードブルー1、2、C.I.ベイシックブルー9、25、28、29、44等が挙げられる。
【0087】
その他の色系統の具体的な染料としては、例えば、C.I.アシッドグリーン7、12、25、27、35、36、40、43、44、65、79、C.I.ダイレクトグリーン1、6、8、26、28、30、31、37、59、63、64、C.I.リアクティブグリーン6、7、C.I.アシッドバイオレット15、43、66、78、106、C.I.ダイレクトバイオレット2、48、63、90、C.I.リアクティブバイオレット1、5、9、10等が挙げられる。
【0088】
これらの染料は、前記した各色の系の染料の群内および各群間から複数選択して使用することができる。
【0089】
本実施形態の第2インクにおける染料の添加量は、1質量%以上25質量%以下程度の範囲が好ましく、より好ましくは3質量%以上20質量%以下の範囲である。
【0090】
1.2.2.2.その他の成分
本実施形態の第2インクは、その他の成分を含有することができるが、第2インクにおけるその他の成分は、「1.2.1.2.その他の成分」で説明した成分と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
本実施形態の第2インクは、第1インクと同様に調製することができる。
【0092】
なお、本実施形態の第2インクの20℃における粘度は、好ましくは2mPa・s以上10mPa・s以下であり、より好ましくは3mPa・s以上5mPa・s以下である。第2インクの20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルから第2インクが適量吐出され、第2インクの飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため好適である。
【0093】
1.2.3.第1インクおよび第2インクの色相角の関係
本実施形態の第1インクおよび第2インクのそれぞれのCIELAB色空間における色相角の差が、90度以下となるように、両インクの色材が選択される。
【0094】
ここで、色相角は、a≧0、かつb≧0の場合に、tan−1(b/a)、a≧0、かつb<0の場合に、360+tan−1(b/a)、またはa<0の場合に、180+tan−1(b/a)、として求められる角度(度)を表し、a及びbは、CIELAB色空間において定義される色座標を表す。
【0095】
この色相角は、日本工業規格JIS Z8729「色の表示方法」の「7.3 ab色相角」に定義されている。第1インクおよび第2インクの色相角は、例えば、日本工業規格JIS Z8722「色の測定方法」の「5.分光測色方法」の記載にしたがって測定することができる。また、第1インクおよび第2インクの色相角は、インクの状態であっても、常用標準白色面に塗布された状態であっても測定することができる。
【0096】
なお、第1インクおよび第2インクが、それぞれイエロー系の顔料および染料を含む場合には、第1インクおよび第2インクのCIELAB色空間における色相角は、いずれも約50度〜約140度である。第1インクおよび第2インクが、それぞれマゼンタ系の顔料および染料を含む場合には、第1インクおよび第2インクのCIELAB色空間における色相角は、いずれも約310度〜約360度または約0度〜約40度である。また、第1インクおよび第2インクが、それぞれシアン系の顔料および染料を含む場合には、第1インクおよび第2インクのCIELAB色空間における色相角は、いずれも約210度〜約300度の範囲である。
【0097】
1.3.作用効果
本実施形態のインクセットによれば、同一のノズルから第1インクと第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置において、第1インクおよび第2インクの切り替えに要するインクの量を低減させることができる。すなわち、液滴吐出装置において、同一のノズルから吐出されるインクを、第1インクから第2インクへと置き換える際(第1充填状態から第2充填状態へ)、および、第2インクから第1インクへと置き換える際(第2充填状態から第1充填状態へ)に、両インクの色相角が90度以内であるため、ノズルから吐出されるインクの色を大きく変化させることなく、置き換えることが可能である。これにより、インクの置き換えのときに必要なインク量を低減することができる。
【0098】
また、本実施形態のインクセットでは、第1インクは、顔料を含有するため、第2インクよりも沈降速度の大きい色材(顔料)を含有している。そのため、例えば、ノズルから第1インクを吐出した後、一定期間保存するときに、該ノズルに第2インクを導入して、第1インクと置き換えておくことができる(第2充填状態にする)。そうすると、より沈殿の生じにくい第2インクが、ノズルに連通する流路に充填された状態で一定期間保存されることになる。そのため、液滴吐出装置の長期間作動させない場合などに、ノズルの目詰まり等を生じにくくすることができる。その上、本実施形態のインクセットによれば、上記のとおり、第1インクから第2インクへの切り替え、または、第2インクから第1インクへの切り替えのときに、色相角の変化が小さいため、所望の色のインクの吐出を行いながら置き換えることができるため、インクの無駄を低減させることができる。
【0099】
2.第2実施形態
2.1.液滴吐出装置
本実施形態で使用する液滴吐出装置は、「1.第1実施形態」の「1.1.液滴吐出装置」で述べたと同様であるため、説明を省略する。
【0100】
2.2.インクセット
本実施形態のインクセットは、少なくとも第1インクおよび第2インクを含む。本実施形態のインクセットは、例えば日本工業規格JIS Z8113の番号03010、および03011に定義される「無彩色」のうち、明度の小さい色の第1インクおよび第2インクを含む組である。ただし、本明細書では、無彩色とは、多少の色相を有してもよいものとする。
【0101】
2.2.1.第1インク
本実施形態の第1インクは、少なくとも、色材として顔料を含有する。
【0102】
2.2.1.1.顔料
本実施形態の第1インクにおいて使用される顔料は、黒色系の顔料である。黒色系の顔料としては、無機顔料および有機顔料が挙げられる。
【0103】
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄などを使用することができる。
【0104】
また、有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、昼光蛍光顔料が挙げられる。上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0105】
更に詳しくは、ブラック用として使用される無機顔料としては、以下のカーボンブラック、例えば、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、又はNo2200B等;コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、又はRaven700等;キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、またはMonarch 1400等;あるいは、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、またはSpecial Black 4等が挙げられる。
【0106】
顔料は、平均粒径が10nm以上200nm以下の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50nm以上150nm以下程度のものが好ましい。本実施形態の第1インクにおける顔料の添加量は、1質量%以上25質量%以下程度の範囲が好ましく、より好ましくは3質量%以上20質量%以下の範囲である。
【0107】
2.2.1.2.その他の成分
本実施形態の第1インクは、その他の成分を含有することができるが、第1インクにおけるその他の成分は、「1.第1実施形態」の「1.2.1.2.その他の成分」で説明した成分と同様であるため、説明を省略する。
【0108】
本実施形態の第1インクは、第1実施形態で述べた第1インクと同様に調製することができる。
【0109】
なお、本実施形態の第1インクの20℃における粘度は、好ましくは2mPa・s以上10mPa・s以下であり、より好ましくは3mPa・s以上5mPa・s以下である。第1インクの20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルから第1インクが適量吐出され、第1インクの飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため好適である。
【0110】
2.2.2.第2インク
本実施形態の第2インクは、少なくとも、色材として染料を含有する。
【0111】
2.2.2.1.染料
本実施形態の第2インクにおいて使用される染料は、黒色系の染料である。黒色系の染料としては、例えば、フタロシアニンブラック、ニグロシンおよびアニリンブラック、オルトニトロアニリンブラックなどが挙げられ、より具体的には、C.I.アシッドブラック1、2、3、7、24、26、29、31、48、50、51、52、58、60、62、63、64、67、72、76、77、94、107、108、109、110、112、115、118、119、121、122、132、139、140、155、156、157、158、159、182、191、194、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトブラック17、19、22、32、35、38、51、56、62、71、74、75、77、94、105、106、107、108、112、113、117、118、132、133、146、154、168、171、195、200、C.I.リアクティブブラック1、3、4、5、6、8、9、10、12、13、14、18、31、およびそれらの加水分解物が挙げられる。
【0112】
これらの染料は、前記した各色の系の染料の群内および各群間から複数選択して使用することができる。
【0113】
本実施形態の第2インクにおける染料の添加量は、1質量%以上25質量%以下程度の範囲が好ましく、より好ましくは3質量%以上20質量%以下の範囲である。
【0114】
2.2.2.2.その他の成分
本実施形態の第2インクは、その他の成分を含有することができるが、本実施形態の第2インクにおけるその他の成分は、「第1実施形態」の「1.2.1.2.その他の成分」で説明した成分と同様であるため、説明を省略する。
【0115】
本実施形態の第2インクは、上記第1インクと同様に調製することができる。
【0116】
なお、本実施形態の第2インクの20℃における粘度は、好ましくは2mPa・s以上10mPa・s以下であり、より好ましくは3mPa・s以上5mPa・s以下である。第2インクの20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルから第2インクが適量吐出され、第2インクの飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため好適である。
【0117】
2.2.3.第1インクおよび第2インクの色差
本実施形態の第1インクおよび第2インクのL表色系における色差が、3以下となるように両インクの色材が選択される。
【0118】
ここで、色差とは、ΔEで表され、2つの色のL、aおよびbの値のそれぞれの差を、ΔL、ΔaおよびΔbとしたときに、{(ΔL+(Δb+(Δa1/2、として求められる値を表し、Lは、CIE1976明度を表し、aおよびbは、CIELAB色空間において定義される色座標を表す。
【0119】
この色差は、日本工業規格JIS Z8729「色の表示方法」の「7.1 L表色系による色差」に定義されている。第1インクおよび第2インクの色差は、例えば、日本工業規格JIS Z8722「色の測定方法」の「5.分光測色方法」の記載にしたがって測定することができる。また、第1インクおよび第2インクの色差は、インクの状態であっても、常用標準白色面に塗布された状態であっても測定することができる。
【0120】
2.3.作用効果
本実施形態のインクセットによれば、同一のノズルから第1インクと第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置において、第1インクおよび第2インクの切り替えに要するインクの量を低減させることができる。すなわち、液滴吐出装置において、同一のノズルから吐出されるインクを、第1インクから第2インクへと置き換える際(第1充填状態から第2充填状態へ)、および、第2インクから第1インクへと置き換える際(第2充填状態から第1充填状態へ)に、両インクの色相角が90度以内であるため、ノズルから吐出されるインクの色を大きく変化させることなく、置き換えることが可能である。これにより、インクの置き換えのときに必要なインク量を低減することができる。
【0121】
また、本実施形態のインクセットでは、第1インクは、顔料を含有するため、第2インクよりも沈降速度の大きい色材(顔料)を含有している。そのため、例えば、ノズルから第1インクを吐出した後、一定期間保存するときに、該ノズルに第2インクを導入して、第1インクと置き換えておくことができる(第2充填状態にする)。そうすると、より沈殿の生じにくい第2インクが、ノズルに連通する流路に充填された状態で一定期間保存されることになる。そのため、液滴吐出装置の長期間作動させない場合などに、ノズルの目詰まり等を生じにくくすることができる。その上、本実施形態のインクセットによれば、上記のとおり、第1インクから第2インクへの切り替え、または、第2インクから第1インクへの切り替えのときに、両者の色差が小さいため、所望の色のインクの吐出を行いながら置き換えることができるため、インクの無駄を低減させることができる。
【0122】
3.第3実施形態
3.1.液滴吐出装置
本実施形態で使用する液滴吐出装置は、「1.第1実施形態」の「1.1.液滴吐出装置」で述べたと同様であるため、説明を省略する。
【0123】
3.2.インクセット
本実施形態のインクセットは、少なくとも第1インクおよび第2インクを含む。本実施形態のインクセットは、例えば日本工業規格JIS Z8113の番号03010、および03011に定義される「無彩色」のうち、明度の大きい色の第1インクおよび第2インクを含む組である。ただし、本明細書では、無彩色とは、多少の色相を有してもよいものとする。
【0124】
3.2.1.第1インク
本実施形態の第1インクは、少なくとも、色材として金属酸化物を含有する。
【0125】
3.2.1.1.金属酸化物
本実施形態の第1インクにおいて使用される金属酸化物は、白色顔料である。この白色顔料を含有することで、第1インクは、白色のインクとして使用することができる。
【0126】
白色顔料としては、二酸化チタン、二酸化ジルコニア等の周期表第IV族の元素の酸化物が挙げられる。白色顔料としては、その他にも、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸バリウム、シリカ、アルミナ(酸化アルミニウム)、カオリン、クレー(粘土鉱物)、タルク、白土、水酸化アルミ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム等が挙げられ、好ましくはこれらからなる群から選択される1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0127】
なお、本明細書において「白色のインク」とは、エプソン純正写真用紙<光沢>(セイコーエプソン株式会社製)に、duty100%以上で吐出されたインクの明度(L)と色度(a、b)が、分光測光器Spectrolino(商品名:GretagMacbeth社製)を、測定条件をD50光源、観測視野を2°、濃度をDIN_NB、白色基準をAbs、フィルターをNo、測定モードをRefrectance、として設定して計測した場合に、70≦L≦100、−4.5≦a≦2、−6≦b≦2.5の範囲を示すインクのことをいう。
【0128】
顔料は、平均粒径が10nm以上200nm以下の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50nm以上150nm以下程度のものが好ましい。本実施形態の第1インクにおける顔料の添加量は、1質量%以上25質量%以下程度の範囲が好ましく、より好ましくは3質量%以上20質量%以下の範囲である。
【0129】
3.2.1.2.その他の成分
本実施形態の第1インクは、その他の成分を含有することができるが、本実施形態の第1インクにおけるその他の成分は、「1.第1実施形態」の「1.2.1.2.その他の成分」で説明した成分と同様であるため、説明を省略する。
【0130】
本実施形態の第1インクは、第1実施形態で述べた第1インクと同様に調製することができる。
【0131】
なお、本実施形態の第1インクの20℃における粘度は、好ましくは2mPa・s以上10mPa・s以下であり、より好ましくは3mPa・s以上5mPa・s以下である。第1インクの20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルから第1インクが適量吐出され、第1インクの飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため好適である。
【0132】
3.2.2.第2インク
本実施形態の第2インクは、少なくとも色材として中空構造を有する粒子を含有する。
【0133】
3.2.2.1.中空構造を有する粒子
本実施形態の第2インクにおいて色材として使用される中空構造を有する粒子は、有機化合物、無機化合物、および有機無機ハイブリッド材料のいずれからなっていてもよい。これらの色材を含有することでも白色のインクとなる。
【0134】
中空構造を有する有機化合物からなる粒子は、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。例えば、米国特許第4,880,465号や特許第3,562,754号などの明細書に記載されている有機粒子(樹脂粒子)を好ましく用いることができる。
【0135】
ここで、中空構造とは、粒子に少なくとも屈折率の異なる物質が内包される構造のことを指し、例えば、いわゆるコア・シェル構造、すなわち空間がシェル(殻)によって取り囲まれた構造のことを指す。また、中空構造のコア(殻によって取り囲まれた内側)の物質は、液体でも気体でもよい。
【0136】
中空構造を有する粒子は、少なくとも記録媒体に付着された後に、無彩色を呈することができる。例えば、中空構造を有する粒子は、コアとシェルの屈折率の差に起因する光の散乱により、記録媒体に付着されたときに、無彩色である白色から灰色を呈することができる。
【0137】
中空構造を有する粒子の平均粒子径(外径)(d50)は、好ましくは0.2μm以上1.0μm以下であり、より好ましくは0.4μm以上0.8μm以下である。中空構造を有する粒子の外径がこのような範囲にあれば、インク組成物中の分散を良好に保つことができ、また、記録媒体に付着された際に、所望の色を呈することができる。また、外径が1.0μmを超えると、粒子が沈降するなどして分散安定性を損なうことがあり、インクジェット式記録ヘッドの目詰まりなど信頼性を損なうことがある。一方、外径が0.2μm未満であると、所望の色が得られない場合がある。また、中空構造を有する粒子の内径(すなわち、上述したコアの外径)は、0.1μm以上0.8μm以下程度が適当である。
【0138】
中空構造を有する粒子の平均粒子径d50は、例えば、粒径加積曲線を用いて測定される。粒径加積曲線とは、水等の分散媒に分散された粒子について、粒子の直径、および当該粒子の存在数を求めることができる測定を行った結果を、統計的に処理して得られる曲線の一種である。本明細書における粒径加積曲線は、粒子の直径を横軸にとり、粒子の質量(粒子を球と見なしたときの体積、粒子の密度および数の積)について、直径の小さい粒子から大きい粒子に向かって積算した値(積分値)を縦軸にとったものである。
【0139】
そして、粒径d50とは、粒径加積曲線において、縦軸を規格化(測定された粒子の総質量を1と)したときに、縦軸の値が50%(0.50)となるときの、横軸の値すなわち粒子の直径のことをいう。
【0140】
粒子の粒径加積曲線は、例えば、動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置を使用することによって求めることができる。動的光散乱法は、分散している粒子にレーザー光を照射し、その散乱光を光子検出器で観測するものである。一般に分散している粒子は、通常ブラウン運動をしている。粒子の運動の速度は、粒子直径の大きな粒子ほど大きく、粒子直径の小さな粒子ほど小さい。ブラウン運動をしている粒子にレーザー光を照射すると、散乱光において、各粒子のブラウン運動に対応した揺らぎが観測される。この揺らぎを測定し、光子相関法等により自己相関関数を求め、キュムラント法およびヒストグラム法解析等を用いることで粒子の直径や、直径に対応した粒子の頻度(個数)を求めることができる。本実施形態にかかる中空構造を有する粒子のようにサブミクロンサイズの粒子を含む試料(第2インク)に対しては、動的光散乱法が適しており、動的光散乱法により比較的容易に粒径加積曲線を得ることができる。動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置としては、例えばナノトラックUPA−EX150(日機装株式会社製)、ELSZ−2、DLS−8000(以上、大塚電子株式会社製)、LB−550(株式会社堀場製作所製)等が挙げられる。
【0141】
一方、粒子の粒径加積曲線は、該粒子を含有する第2インク、第2インクが付着された状態(例えば印刷物)においても、例えば、電子顕微鏡法によって測定することができる。この方法は、電子顕微鏡写真から粒子の大きさを計測するもので、当該写真を、例えば画像処理して計測することにより、粒子の粒径加積曲線を求めることができる。具体的には、個々の粒子の短軸径と長軸径を計測し、その面積と等しい円の直径(円相当直径)を算術的に求め、一定の視野から例えば50個以上の粒子をランダムに選択して求める方法が挙げられる。この方法によれば、第2インク中に中空構造を有する粒子以外の粒子(例えば前述の金属酸化物)が含有されている場合でも、電子顕微鏡画像上で、粒子を選別することができるため、粒子の粒径加積曲線を求めることができる。また、この測定における信頼性を高めたい場合には、計測する粒子の個数を増して求めるとよい。
【0142】
さらに、本実施形態の第2インクにおいて、有機粒子の粒径加積曲線を求める方法として、その他にも、遠心分離を利用する方法(以下、これを遠心法ということがある。)が挙げられる。遠心法の具体例としては、適宜な長さの遠心チューブに第2インクを充填し、遠心操作を行った後、チューブの特定の位置(深さ)の範囲の遠心物を採取する。中空構造を有する粒子の比重と、第2インクの他の成分の比重との差によって、遠心後の遠心チューブ内における粒子の存在位置が特定されるため、例えば、特定の範囲には、粒子が濃化している。そのため、当該遠心チューブの適宜な位置から、第2インクの一部を採取し、これを上述の動的光散乱法等により測定することにより、第2インクにおける中空構造を有する粒子の粒径加積曲線を求めることができる。
【0143】
上記中空構造を有する粒子の含有量(固形分)は、第2インクの全質量に対して、好ましくは2質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上20質量%以下である。中空構造を有する粒子の含有量(固形分)がこの範囲にあれば、例えば、第2インク中の粒子の分散を良好に保つことができる。一方、中空構造を有する粒子の含有量(固形分)が30質量%を超えると、インクジェット式記録ヘッドの目詰まりなど信頼性を損なうことがある。また、2質量%未満であると、白色度等の所望の色濃度が不足する傾向が生じることがある。
【0144】
本実施形態の第2インクに色材として含有される中空構造を有する粒子は、無機化合物からなってもよい。中空構造を有し無機化合物からなる粒子のシェル(殻)の材質としては、シリコン、アルミニウム、チタン、ストロンチウム、ジルコニウム、などの金属の酸化物、窒化物、酸化窒化物、および、各種ガラス、シリカ等の無機化合物が挙げられる。また、中空構造を有し無機化合物からなる粒子のシェル(殻)の材質は、これらの無機物質と樹脂等の有機物質のハイブリッド体であってもよい。
【0145】
中空構造を有し無機化合物からなる粒子は、市販のものを用いることができる。一方、中空構造を有し無機化合物からなる粒子を製造する場合、特表2000−500113号公報、特開2009−234854号公報などに記載された製造方法を利用することができる。
【0146】
本実施形態の第2インクにおける中空構造を有する粒子の添加量は、1質量%以上25質量%以下程度の範囲が好ましく、より好ましくは3質量%以上20質量%以下の範囲である。
【0147】
3.2.2.2.その他の成分
本実施形態の第2インクは、その他の成分を含有することができるが、本実施形態の第2インクにおけるその他の成分は、「第1実施形態」の「1.2.1.2.その他の成分」で説明した成分と同様であるため、説明を省略する。
【0148】
本実施形態の第2インクは、上記第1インクと同様に調製することができる。
【0149】
なお、本実施形態の第2インクの20℃における粘度は、好ましくは2mPa・s以上10mPa・s以下であり、より好ましくは3mPa・s以上5mPa・s以下である。第2インクの20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルから第2インクが適量吐出され、第2インクの飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため好適である。
【0150】
3.2.3.第1インクおよび第2インクの色差
本実施形態の第1インクおよび第2インクのL表色系における色差が、3以下となるように両インクの色材を選択することができる。
【0151】
色差およびその測定方法については、第2実施形態で述べたと同様である。
【0152】
3.3.作用効果
また、本実施形態のインクセットでは、第1インクは、顔料を含有するため、第2インクよりも沈降速度の大きい色材(顔料)を含有している。そのため、例えば、ノズルから第1インクを吐出した後、一定期間保存するときに、該ノズル列に第2インクを導入して、第1インクと置き換えておくことができる(第2充填状態にする)。そうすると、より沈殿の生じにくい第2インクが、ノズルに連通する流路に充填された状態で一定期間保存されることになる。そのため、液滴吐出装置の長期間作動させない場合などに、ノズルの目詰まり等を生じにくくすることができる。
【0153】
また、本実施形態のインクセットにおいて、第1インクおよび第2インクの色差を3以内となるように色材を選択すれば、同一のノズルから第1インクと第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置において、第1インクおよび第2インクの切り替えに要するインクの量を低減させることができる。すなわち、液滴吐出装置において、同一のノズルから吐出されるインクを、第1インクから第2インクへと置き換える際(第1充填状態から第2充填状態にする際)、および、第2インクから第1インクへと置き換える際(第1充填状態から第1充填状態にする際)に、ノズルから吐出されるインクの色を変化させることなく、置き換えることが可能である。これにより、インクの置き換えのときに必要なインク量を低減することができる。
【0154】
4.実施例および比較例
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0155】
4.1.第1インクの調製
表1に示す配合量で、色材、保湿剤、浸透助剤、第三級アミン、界面活性剤およびイオン交換水を混合撹拌し、孔径5μmの金属フィルターにてろ過し、真空ポンプを用いて脱気処理をした。このようにして、色材を含有する第1インクをそれぞれ調製した。なお、表1に記載されている濃度の単位は質量%であり、粒子の欄については固形分換算濃度である。
【0156】
4.2.第2インクの調製
表1に示す配合量で、保湿剤、浸透助剤、第三級アミン、界面活性剤およびイオン交換水を混合撹拌し、孔径5μmの金属フィルターにてろ過し、真空ポンプを用いて脱気処理をした。このようにして、色材を含有しない第2インクをそれぞれ調製した。
【0157】
【表1】

【0158】
表1に示した各成分は、以下の通りである。
・シアン染料1(C.I.ダイレクトブルー199)
・シアン染料2(C.I.ダイレクトブルー86)
・マゼンタ染料1(C.I.ダイレクトレッド83)
・マゼンタ染料2(C.I.アシッドレッド289)
・イエロー染料1(C.I.ダイレクトイエロー132)
・イエロー染料2(C.I.ダイレクトイエロー86)
・ブラック染料1(C.I.ダイレクトブラック154)
・ブラック染料2(C.I.ダイレクトブラック168)
・シアン顔料1(C.I.ピグメントブルー15:6)
・シアン顔料2(C.I.ピグメントブルー15:3)
・マゼンタ顔料1(C.I.ピグメントバイオレット19)
・マゼンタ顔料2(C.I.ピグメントレッド122)
・イエロー顔料1(C.I.ピグメントイエロー74)
・イエロー顔料2(C.I.ピグメントイエロー110)
・ブラック顔料(カーボンブラック)
・ブラック顔料(アニリンブラック)
・中空構造を有する粒子(JSR株式会社製、商品名「SX8782(D)」、中空構造を有するスチレン−アクリル樹脂粒子の水分散タイプ、外径1,000nm、内径800nm、固形分濃度28%)
・二酸化チタン粒子(シーアイ化成株式会社製、商品名「NanoTek(R) Slurry」、固形分濃度15%、平均粒子径300nm)
・グリセリン(関東化学株式会社製、保湿剤)
・1,2−ヘキサンジオール(三菱ガス化学株式会社製、浸透性有機溶剤)
・トリエタノールアミン(ナカライテスク株式会社製、pH調整剤)
・BYK−348(ビックケミー・ジャパン株式会社製、ポリシロキサン系界面活性剤)
【0159】
4.3.インクの置換試験
図1に示すような切り替え手段56を備えたインクジェットプリンターを用意した。カートリッジ11aには第1インクを充填し、カートリッジ11bには第2インクを充填した。まず、切り替え手段56により、第2インクを印刷ヘッド36へ供給できるようにし、印刷ヘッド36、供給路41および切り替え手段56を第2インクで満たした。次いで、切り替え手段56により、第1インクを印刷ヘッド36へ供給できるようにし、第2インクを第1インクで置換する操作を行った。印刷ヘッド36、供給路41および切り替え手段56の内容量の合計を100とした時に、置換するのに必要な第1インクの量を測定した。なお、使用した第1インクと第2インクとの関係を表2ないし表4に示す。
【0160】
具体的には、第1インクの供給量が150、200、250となる時に印刷ヘッド36から吐出される液体で、PETフィルム(商品名「ルミラー」、東レ株式会社製)上に印刷することにより評価用試料を作製した。なお、印刷は1440×720dpiの解像度で行い、印刷パターンは100%dutyベタパターンとした。なお、「duty」とは、下式(1)で算出される値である。
【0161】
duty(%)=実印字ドット数/(縦解像度×横解像度)×100 …(1)
(式中、「実印字ドット数」は単位面積当たりの実印字ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。100%dutyとは、画素に対する単色の最大インク質量を意味する。)
一方、第2インクをPETフィルム(商品名「ルミラー」、東レ株式会社製)に対して印刷することにより印刷物(リファレンス)を得た。なお、印刷は1440×720dpiの解像度で行い、印刷パターンは100%dutyベタパターンとした。
【0162】
得られた評価用試料およびリファレンスのそれぞれについて、Gretag Macbeth SpetroscanおよびSpectrolino(X−Rite社製)を用いてL値を測定した。評価用試料のL値とリファレンスのL値との差ΔEが3以下となった時にインクの置換が完了したものとみなした。なお、インクの置換の容易性を示す評価基準は、以下の通りである。評価結果を表2ないし表4に示す。
A:必要なインク量が150未満
B:必要なインク量が150以上、200未満
C:必要なインク量が200以上、250未満
D:必要なインク量が250以上
【0163】
さらに、切り替え手段56により第1インクを印刷ヘッド36へ供給できるようにし、第1インクを第2インクで置換する操作を行った。これ以降は上記と全く同様にして、第1インクを第2インクで置換する時の容易性を評価した。評価結果を表2ないし表4に併せて示す。
【0164】
【表2】

【0165】
【表3】

【0166】
【表4】

【0167】
4.4.評価結果
表2ないし表4をみると、互いに同系色の第1インクおよび第2インクのインクセットとした実施例1ないし実施例17のインクセットでは、インクの置換に必要なインク量が少量で済むことが判明した。すなわち、CIELAB色空間における色相角の差が、90度以下であるか、または、L表色系における色差が、3以下である、第1インクおよび第2インクからなる実施例のインクセットは、置換が容易であることが判明した。これに対して、互いに色系統の異なる第1インクおよび第2インクのインクセットとした比較例1ないし実施例6のインクセットでは、インクの置換に必要なインク量が大きき、置換が容易でないことが判明した。
【0168】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0169】
11a、11b、12、13、14、15…カートリッジ、20…プリンター、22…用紙スタッカー、24…紙送りローラー、26…プラテン、28…キャリッジ、30…キャリッジモーター、31…紙送りモーター、32…牽引ベルト、34…ガイドレール、36…印刷ヘッド、41、42、43、44、45…液体供給路、50…受信バッファメモリー、51…システムコントローラー、52…メインメモリー、53…EEPROM、54…イメージバッファー、55…表示手段、56…切り替え手段、57…計時手段、58…ノズル検査手段、61…主走査駆動回路、62…副走査駆動回路、63…ヘッド駆動回路、90…ホストコンピューター、91…プリンタードライバ、P…記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のノズルから少なくとも第1インクおよび第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置に用いられる、前記第1インクおよび前記第2インクとを含むインクセットにおいて、
前記第1インクは、色材として顔料を含有し、
前記第2インクは、色材として染料を含有し、
前記第1インクおよび前記第2インクのそれぞれのCIELAB色空間における色相角の差が、90度以下であることを特徴とする、インクセット。
[ここで、色相角は、a≧0、かつb≧0の場合に、tan−1(b/a)、a≧0、かつb<0の場合に、360+tan−1(b/a)、またはa<0の場合に、180+tan−1(b/a)、として求められる角度(度)を表し、a及びbは、CIELAB色空間において定義される色座標を表す。]
【請求項2】
同一のノズルから少なくとも第1インクおよび第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置に用いられる、前記第1インクおよび前記第2インクとを含むインクセットにおいて、
前記第1インクは、色材として顔料を含有し、
前記第2インクは、色材として染料を含有し、
前記第1インクおよび前記第2インクのL表色系における色差が、3以下であることを特徴とする、インクセット。
[ここで、色差とは、2つの色のL、aおよびbの値のそれぞれの差を、ΔL、ΔaおよびΔbとしたときに、{(ΔL+(Δb+(Δa1/2、として求められる値を表し、Lは、CIE1976明度を表し、aおよびbは、CIELAB色空間において定義される色座標を表す。]
【請求項3】
同一のノズルから少なくとも第1インクおよび第2インクをそれぞれ吐出させるための切り替え手段を備えた液滴吐出装置に用いられる、前記第1インクおよび前記第2インクとを含むインクセットにおいて、
前記第1インクは、色材として金属酸化物を含有し、
前記第2インクは、色材として中空構造を有する粒子を含有することを特徴とする、インクセット。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1インクおよび前記第2インクのL表色系における色差が、3以下であることを特徴とする、インクセット。
[ここで、色差とは、2つの色のL、aおよびbの値のそれぞれの差を、ΔL、ΔaおよびΔbとしたときに、{(ΔL+(Δb+(Δa1/2、として求められる値を表し、Lは、CIE1976明度を表し、aおよびbは、CIELAB色空間において定義される色座標を表す。]
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記第1インクにおける前記色材の含有量は、3質量%以上20質量%以下であることを特徴とする、インクセット。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
前記第2インクにおける前記色材の含有量は、3質量%以上20質量%以下であることを特徴とする、インクセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−21076(P2012−21076A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159506(P2010−159506)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】