説明

インクタンク、タンクホルダ、インクタンク着脱機構

【課題】インクタンクとタンクホルダの着脱を容易にすると同時に、装着中におけるインク溶剤の揮発を抑制する。
【解決手段】インクジェットヘッドを有するタンクホルダに着脱自在に装着されるインクタンク10であって、インク貯留部12の下面21に、タンクホルダ側のインク受入口と係合してインクを案内するインク導出口16を形成し、この下面21には、更に、タンクホルダの底面に配置されるホルダ側磁力吸引部材との間で磁力吸引させることで、インク貯留部12の下面21をタンクホルダに付勢するタンク側磁力吸引部材20を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタで用いられるインクタンク、及びこのインクタンクが装着されるタンクホルダ等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタで用いられるインクタンクは、インクジェットヘッドを一体又は別体で有するタンクホルダに着脱自在に装着される(特許文献1)。このインクタンクは、概して、細長い六面体形状となっており、その長手方向に対向する一対の側面に、ラッチ及びレバーを備える。このラッチ及びレバーをタンクホルダに係合させて、両者を固定する。
【0003】
インクタンクの下面には、インクを導出するインク導出口が突接される。このインク導出口は、タンクホルダ側の底面に形成されるインク受入口と嵌り合う。結果、インクタンクのインク導出口から、タンクホルダのインク受入口にインクが案内される。
【0004】
また、特許文献2に示されるように、インクジェットヘッドを一体的に備えるインクタンクも存在する。このインクタンクは、上下方向の途中に形成される段差に電気的な接点が設けられており、この接点の裏面に磁石を備えている。インクタンクは、この磁石の磁力を利用して、タンクホルダ(キャリア)に着脱自在に固定される。なお、特許文献3に示されるように、電気的な接点をインクタンクの背面側に設ける場合、背面側に磁石を配置して、タンクホルダとインクタンクの電気的な接続を磁力によって確実にする技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3376299号
【特許文献2】特開平11−198397号
【特許文献3】特開2004−25568号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、ラッチとレバーを用いてインクタンクをタンクホルダに固定する構造は、具体的な着脱動作時において、まず、インクタンクを傾斜させてラッチをタンクホルダに係合させ、次に、インクタンクを下方に押し下げるようにしてレバーをタンクホルダに係合させて両者を固定する。このように、インクタンクを傾斜させながら装着する場合、インクタンクのインク導出口と、タンクホルダのインク受入口の中心軸が互いに傾斜(交差)するため、両者のクリアランス(隙間)を大きく設定しなければならない。その結果、装着後において、その隙間からインクの溶剤が揮発しやすいため、長期間に亘って印字動作を行わない場合、印字品位の劣化を招くという問題があった。
【0007】
特許文献2のように、インクジェットヘッド一体型のインクタンクの場合、インクの揮発に関する問題は生じない。しかし、この特許文献2では、磁石の位置がインクタンクの上下方向の途中に存在するため、下端に存在するインクジェットヘッドの位置精度が悪化しやすいという問題があった。また、特許文献3のように、インクタンクの背面を磁力で吸引する場合、インクタンクが水平方向に移動するので、下端側の位置精度が悪化しやすいという問題があった。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものであり、着脱が容易であって、なおかつインク溶剤の揮発を抑制可能な着脱構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者の鋭意研究によって、上記目的は以下の手段によって達成される。
【0010】
上記目的を達成する本発明は、インクジェットプリンタにおける、インクジェットヘッドを有するタンクホルダに着脱自在に装着されて、自身が貯留するインクを前記インクジェットヘッドに供給するインクタンクであって、前記インクを貯留するインク貯留部と、前記インク貯留部の下面に形成され、前記タンクホルダ側の底面に形成されるインク受入口と係合して、前記インクを前記インク受入口に案内するインク導出口と、前記インク貯留部の前記下面に配置され、前記タンクホルダの底面に配置されるホルダ側磁力吸引部材との間で磁力吸引させることで、前記インク貯留部の前記下面を前記タンクホルダの前記底面に付勢するタンク側磁力吸引部材と、を備えることを特徴とするインクタンクである。
【0011】
上記発明に関連して、上記インクタンクの前記タンク側磁力吸引部材は、前記下面における前記インク導出口の周囲に配置されることを特徴とする。
【0012】
上記発明に関連して、上記インクタンクは、前記インク導出口の周縁から20mm以内に、前記タンク側磁力吸引部材の少なくとも一部が存在することを特徴とする。
【0013】
上記発明に関連して、上記インクタンクの前記インク貯留部には、前記タンクホルダと係合するためのレバー又はラッチが存在しておらず、前記磁力吸引のみで、前記タンクホルダに係合されることを特徴とする。
【0014】
上記発明に関連して、上記インクタンクは、前記タンク側磁力吸引部材と比較して、前記インク導出口の突端が下方側に突出していることを特徴とする。
【0015】
上記発明に関連して、上記インクタンクは、前記インク貯留部の下面を基準とした、前記タンク側磁力吸引部材の下方への突出量が1mm以下であることを特徴とする。
【0016】
上記発明に関連して、前記インク導出口の内部にはタンク側多孔質材料が配置され、前記インク貯留部の下面を基準とした前記タンク側多孔質材料の下方への突出量が、前記インク貯留部の下面を基準とした前記タンク側磁力吸引部材の下方への突出量以上であることを特徴とする。
【0017】
上記発明に関連して、上記インクタンクの前記タンク側磁力吸引部材は、前記ホルダ側磁力吸引部材となる磁石によって吸引される材料であることを特徴とする。
【0018】
上記発明に関連して、上記インクタンクの前記タンク側磁力吸引部材は、磁性体であることを特徴とする。
【0019】
上記発明に関連して、上記インクタンクの前記タンク側磁力吸引部材は、前記インク導出口における直径方向の両外側を少なくとも含むように配置されていることを特徴とする。
【0020】
上記発明に関連して、上記インクタンクの前記タンク側磁力吸引部材は、前記インク導出口の周囲を環状に取り囲むように配置されていることを特徴とする。
【0021】
上記発明に関連して、上記インクタンクの前記インク導出口が、前記下面の中央付近に配置されていることを特徴とする。
【0022】
上記発明に関連して、上記インクタンクの前記インク導出口の最外周が、前記下面の少なくとも一対の向かい合う縁から等しい距離となる中心線と重なるように、該インク導出口が配置されていることを特徴とする。
【0023】
上記発明に関連して、上記インクタンクは、前記タンクホルダに形成されて前記インク貯留部を上下方向に案内するガイド面に対して、前記インク貯留部の側面との隙間が0.5mm以内に設定されることを特徴とする。
【0024】
上記発明に関連して、上記インクタンクの前記インク貯留部の前記下面に、前記タンクホルダとの着脱状態を検出するための電極が配置されることを特徴とする。
【0025】
上記発明に関連して、上記インクタンクの前記電極は、前記タンク側磁力吸引部材に設けられることを特徴とする。
【0026】
上記目的を達成する本発明は、インクジェットプリンタにおける、インクタンクが着脱自在に装着されて、該インクタンクからインクの供給を受けるタンクホルダであって、前記インクタンクの下面に対向しており、該インクタンクを受け止める底面と、前記底面に形成され、前記インクタンクの下面に形成されるインク導出口と係合して、前記インク導出口から前記インクが供給されるインク受入口と、前記底面に配置され、前記インクタンクの下面に配置されるインク側磁力吸引部材との間で磁力吸引させることで、前記インクタンクの前記下面を前記底面に付勢するホルダ側磁力吸引部材と、を備えることを特徴とするタンクホルダである。
【0027】
上記発明に関連して、上記タンクホルダでは、前記インク受入口の周縁から20mm以内に、前記ホルダ側磁力吸引部材の少なくとも一部が存在することを特徴とする。
【0028】
上記発明に関連して、上記タンクホルダでは、前記ホルダ側磁力吸引部材と比較して、前記インク受入口の突端が上方側に突出していることを特徴とする。
【0029】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記インク受入口の内部にはホルダ側多孔質材料が配置され、前記底面を基準とした前記ホルダ側多孔質材料の上方への突出量が、前記底面を基準とした前記ホルダ側磁力吸引部材の上方への突出量以上であることを特徴とする。
【0030】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記ホルダ側磁力吸引部材は磁石であることを特徴とする。
【0031】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記磁石の磁束密度が100ガウス〜1300ガウスであることを特徴とする。
【0032】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記ホルダ側磁力吸引部材は、ゴム磁石であることを特徴とする。
【0033】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記ゴム磁石の厚みが1mm以下であることを特徴とする。
【0034】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記ホルダ側磁力吸引部材は、前記インク受入口における直径方向の両外側を少なくとも含むように配置されていることを特徴とする。
【0035】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記ホルダ側磁力吸引部材は、前記インク受入口の周囲を環状に取り囲むように配置されていることを特徴とする。
【0036】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記インク受入口が、前記底面の中央付近に配置されていることを特徴とする。
【0037】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記インク受入口の最外周が、前記底面の少なくとも一対の向かい合う縁から等しい距離となる中心線と重なるように、該インク受入口が配置されていることを特徴とする。
【0038】
上記発明に関連して、上記タンクホルダは、前記インクタンクを上下方向に案内するガイドを備える事を特徴とする。
【0039】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記ガイドは、前記インクタンクの側面と対向するように配置されるガイド面を備えることを特徴とする。
【0040】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記インクタンクの側面と前記ガイド面との隙間は、0.5mm以下に設定されることを特徴とする。
【0041】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記ガイド面には、前記インクタンクの前記側面の一部を外部に露出させる切り欠きが形成されていることを特徴とする。
【0042】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記底面に、前記インクタンクとの着脱状態を検出するための電極が配置されることを特徴とする。
【0043】
上記発明に関連して、上記タンクホルダの前記電極は、前記ホルダ側磁力吸引部材に設けられることを特徴とする。
【0044】
上記目的を達成する本発明は、インクジェットプリンタにおいて、自身が貯留するインクを前記インクジェットヘッドに供給するインクタンクと、前記インクジェットヘッドを有しており、前記インクタンクが着脱自在に装着されるタンクホルダと、で構成されるインクタンク着脱機構であって、前記インクタンクは、前記インクを貯留するインク貯留部と、前記インク貯留部の下面に形成され、前記タンクホルダ側の底面に形成されるインク受入口と係合して、前記インクを前記インク受入口に案内するインク導出口と、前記インク貯留部の前記下面に配置され、前記タンクホルダの底面に配置されるホルダ側磁力吸引部材との間で磁力吸引させることで、前記インク貯留部の前記下面を前記タンクホルダの前記底面に付勢するタンク側磁力吸引部材と、を備えて構成され、前記タンクホルダは、前記インクタンクの下面に対向しており、該インクタンクを受け止める底面と、前記底面に形成され、前記インクタンクの下面に形成される前記インク導出口と係合して、前記インク導出口から前記インクが供給される前記インク受入口と、前記底面に配置され、前記インクタンクの下面に配置される前記インク側磁力吸引部材との間で磁力吸引させることで、前記インクタンクの前記下面を前記底面に付勢する前記ホルダ側磁力吸引部材と、を備えて構成されることを特徴とするインクタンク着脱機構。
【0045】
上記発明に関連して、インクタンク着脱機構では、前記インク導出口の内部にはタンク側多孔質材料が配置されると共に、前記インク受入口の内部にはホルダ側多孔質材料が配置され、前記インク貯留部の下面を基準とした前記タンク側多孔質材料の下方への突出量と、前記タンクホルダの前記底面を基準とした前記ホルダ側多孔質材料の上方への突出量の総和が、前記インク貯留部の下面を基準とした前記タンク側磁力吸引部材の下方への突出量と、前記タンクホルダの前記底面を基準とした前記ホルダ側磁力吸引部材の上方への突出量の総和以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、インクタンクとタンクホルダの着脱が容易化されると同時に、装着中におけるインク溶剤の揮発を抑制できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタにおけるインクタンクとタンクホルダの装着状態を示す斜視図である。
【図2】同タンクホルダの斜視図である。
【図3】同タンクホルダにおける(A)側面図、(B)上面図、(C)底面図である。
【図4】同インクタンクの斜視図である。
【図5】同インクタンクの(A)側面図、(B)底面図である。
【図6】同インクタンクを同タンクホルダに装着する動作を示す斜視図である。
【図7】同インクタンクを同タンクホルダに装着する際における(A)装着前の状態、(B)装着前の一部を拡大した状態、(C)装着後の一部を拡大した状態、を示す断面図である。
【図8】同インクタンク及びタンクホルダの他の構成例を示す図である。
【図9】同インクタンク及びタンクホルダの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0049】
図1には、本発明の実施形態に係るインクタンク10及びタンクホルダ50を備えるインクジェットプリンタ1を部分的に拡大した状態が示されている。
【0050】
このインクジェットプリンタ1は、タンクホルダ50を保持するキャリア2と、このキャリア2を印字走査方向に案内するレール4を備えている。インクタンク10はタンクホルダ50に着脱自在となっており、自身が貯留するインクをインクジェットヘッドに供給する。タンクホルダ50は、インクタンク10からインクの供給を受け、そのインクをインクジェットヘッドまで案内する。キャリア2によって、タンクホルダ50を移動させながら、インクジェットヘッドによってインクを吐出することで、用紙Pに対して印字が行われる。
【0051】
図2及び図3に示されるように、タンクホルダ50は、上面が開放された箱形状となっており、底面52と、4つの側面54A〜54Dと、底面52の下側に配置されるインクジェットヘッド80を備える。ここではタンクホルダ50が、インクジェットヘッド80を一体的に有する構造を例示するが、タンクホルダ50とインクジェットヘッド80を別体の構造としたり、インクジェットヘッド80をキャリア2側に設けたりすることも可能である。また、タンクホルダ50と、図1に示されるキャリア2を一体化することも可能である。なお、底面52は、タンクホルダ50の底部に形成される、内部側の平面(上側に向いた平面)を意味している。
【0052】
タンクホルダ50の底面52は、インクタンク10の下面に対向しており、このインクタンク10を下側から受け止めるように保持する。
【0053】
この底面52には、4つのインク受入口56が形成されており、ブラック・シアン・マゼンタ・イエローの4色のインクが個別に供給される。このインク受入口56は、底面52から上方に向かって突出する円形や楕円等の筒であり、その内部には、弾性変形可能なホルダ側多孔質材料57が設置される。ホルダ側多孔質材料57に吸収されるインクは、底面52を介してインクジェットヘッド80に案内される。なお、ここでは特に図示しないが、例えばブラック一色のみが供給される場合は、1つのインク受入口56が形成され、また、6色のインクが供給される場合は6つのインク受入口56が形成される。即ち、インク受入口56の数は様々である。
【0054】
複数のインク受入口56は、底面52のほぼ中央付近に配置される。この「中央付近」とは、図3(B)に示されるように、4つの側面54A〜54Dにおける、いずれか一方の対向する側面(54A、54C)(54B、54D)から等しい距離となる中心線90A、90Bの上、即ち、底面52で考えると4つの縁52A〜52Dにおける、いずれか一方の対向する縁(52A、52C)(52B、52D)から等しい距離となる中心線90A、90B上を含む概念である。具体的に、この中心線90A、90Bに対して、インク受入口56の最外周が少なくとも重なるように配置することが望ましい。例えば本実施形態では、一方の中心線90Aと重なるようにして、複数のインク受入口56が1列で配置される。
【0055】
インクジェットヘッド80は、底面52の下側に突接されており、その中心に吐出列82が形成される。この吐出列82は、必要なときに必要な量のインク滴を吐出して印字を行う。吐出構造としては、ピエゾ方式・サーマル方式・静電方式などがあるが、本実施形態ではその方式を問わない。
【0056】
更に底面52には、ホルダ側磁力吸引部材60が配置される。このホルダ側磁力吸引部材60は、インクタンク10の下面に配置されるインク側磁力吸引部材と磁力吸引させることで、インクタンク10の下面を底面52に付勢する(引き寄せる)。
【0057】
このホルダ側磁力吸着部材60は、インク受入口56の近辺に配置され、具体的には、インク受入口56の周縁から20mm以内に少なくとも一部が存在するようになっている。更に、このホルダ側磁力吸引部材60は、インク受入口56の周囲を環状に取り囲むように配置されている。結果、インクタンク10側のインク導出口と、タンクホルダ50のインク受入口56の周囲に、磁石による付勢力を集中させることができ、インク供給路の接合状態を良好にすることができる。
【0058】
本実施形態において、ホルダ側磁力吸引部材60は磁石であり、特に1mm以下の板状のゴム磁石が採用されている。このように、薄いゴム磁石を採用することで、磁力を最適化しつつ、ゴム磁石の上面よりも、インク受入口56の突端56A(図7参照)を上方側に突出させる。結果、インク受入口56と、インクタンク10側のインク導出口を先に係合させてから、その後に、ホルダ側磁力吸引部材60とタンク側磁力吸引部材を密着させることができる。
【0059】
このゴム磁石は、例えばネオジムを含有したいわゆるネオジムラバーや、サマリウムとコバルトを含有したサマリウム・コバルトラバーを用いることが出来る。このゴム磁石の磁束密度は、着脱操作の利便性と、互いの密着性の両立を考慮して、100ガウス〜1300ガウスに設定されることが好ましく、より望ましくは、300ガウス〜1000ガウスの範囲内に設定される。
【0060】
インクタンク10やタンクホルダ50は、樹脂を利用した射出成型等で製作されることから、多少の形状誤差が生じ得る。従って、ホルダ側磁力吸引部材60としてゴム磁石を採用することで、このゴム磁石の弾性変形によって、この形状誤差を吸収できる。結果、このホルダ側磁力吸引部材60と、インクタンク10側のタンク側磁力吸引部材の密着性が高められる。既に述べたように、ホルダ側磁力吸引部材60が、インク受入口56の周囲を環状に取り囲むように配置されているので、仮にインク受入口56からインクが外側に漏れ出しても、ホルダ側磁力吸引部材60とタンク側磁力吸引部材の密着によって、インク漏れの拡大を抑制できる。
【0061】
4つの側面54A〜54Dの内壁は、ガイド面58A〜58Dとして機能する。即ち、これらのガイド面58A〜58Dは、所定の隙間を空けてインクタンク10の側面に対向することによって、インクタンク10を水平に保ちながら上下方向にガイドする。インクタンク10の側面とガイド面58A〜58Dとの隙間は、0.5mm以下に設定されることが望ましく、結果として、インク受入口56と、インクタンク10側のインク導出口の位置決め精度を高めることができる。これは、インク受入口56とインク導出口のクリアランスを極めて小さくできることを意味する。
【0062】
更に、4つの側面54A〜54Dの中で、対向する一対の側面54A、54Cには、インクタンク10の側面の一部を外部に露出させるための切り欠き62が形成される。本実施形態において、この切り欠き62は、4つのガイド面58A〜58Dにおける対向する一対のガイド面58A、58Cに形成される。
【0063】
切り欠き62は、側面54A、54Cの上縁から始まり、下方に進むにつれて幅が狭くなる一対の傾斜部を有している。例えば、切り欠き62をV字形状や円弧形状等にすることで、一対の傾斜部を備えることが可能になる。なお、ここではV字形状となっている。一方、インクタンク10側の側面には、この切り欠き62の形状と一致するV字形状の突起40が形成されており、この突起40を切り欠き62に係合させることで、両者が位置決めされる。また、図6に示されるように、着脱作業時において、指先でインクタンク10の突起40を保持することで、この指先とタンクホルダ50の干渉を回避できる。
【0064】
図3に戻って、ホルダ側磁力吸引部材60の上面には、一対の電極78が配置される。ホルダ側磁力吸引部材60は、導電性の低いゴム磁石で構成されるので、通常、一対の電極78の間は導通しない。一方、後述するインクタンク10側のタンク側磁力吸引部材20は、導電性の高い材料(例えば金属プレート)で構成されていることから、このタンク側磁力吸引部材20がホルダ側磁力吸引部材に接触すると、一対の電極78が、このタンク側磁力吸引部材20によって短絡される。この短絡の有無を、特に図示しないインクジェットプリンタ1の制御装置で検出することで、タンクホルダ50に対してインクタンク10が正しくセットされているか否かを判定する。
【0065】
インクタンク10は、図4及び図5に示されるように、インク貯留部12、インク導出口16、及びタンク側磁力吸引部材20を備える。インク貯留部12は、上面19、下面21、4つの側面22A〜22Dから構成される箱形状となっており、内部にインクを貯留する。このインク貯留部12は、高さHに対して、両幅W1、W2の寸法が大きく設定された扁平形状となっている。このようにすることで、インクタンク10及びタンクホルダ50の総高さを小さくでき、インクジェットプリンタ1をコンパクトに構成することが可能となる。なお、下面21は、インク貯留部12の底部に形成される、外部側の平面(下側に向いた平面)を意味している。
【0066】
特に図示しないが、インク貯留部12の内部は4つの空間に仕切られており、それぞれ、ブラック・シアン・マゼンタ・イエローの4色のインクが個別に貯留されている。
【0067】
インク導出口16は、インク貯留部12の下面21に4つ配置される。各インク導出口16は、上述のインク貯留部12内の4つの空間と個別に繋がっており、ブラック・シアン・マゼンタ・イエローの4色のインクを個別に導出する。このインク導出口16は、タンクホルダ50側のインク受入口56と嵌り合って、各インクをインク受入口56に案内する。なお、ここでは特に図示しないが、例えばブラック一色のみを供給する場合は、1つのインク導出口16が形成され、また、6色のインクを供給する場合は6つのインク導出口16が形成される。即ち、インク導出口16の数は様々である。
【0068】
具体的にインク導出口16は、下面21から下方に向かって突出する円形や楕円等の筒であり、その内部には、弾性変形可能なタンク側多孔質材料17が配置される。複数のインク導出口16は、下面21の中央付近に配置される。この「中央付近」とは、図5(B)に示されるように、4つの側面22A〜22Dにおける、いずれか一つの対向する側面(22A、22C)(22B、22D)から等しい距離となる中心線49A、49Bの上、即ち、下面21で考えると4つの縁21A〜21Dにおける、いずれか一方の対向する縁(21A、21C)(21B、21D)から等しい距離となる中心線49A、49B上を含む概念である。具体的には、この中心線49A、49Bに対して、インク導出口16の最外周が少なくとも重なるように配置することが望ましい。例えば本実施形態では、一方の中心線49Aと重なるようにして、複数のインク導出口16が1列で配置される。
【0069】
図7(A)に示されるように、分離した状態のインクタンク10をタンクホルダ50へ装着すると、インク導出口16の筒の下端16Aが、インク受入口56の筒内に進入する。これは、インク導出口16の最外径K1に対して、タンクホルダ50のインク受入口56の最内径K2が大きく設定されるからである。
【0070】
この際、図7(B)に示されるように、インクタンク10の下面21からタンク側磁力吸引部材20の表面までの距離をT1、タンク側磁力吸引部材20の表面からインク導出口16の下端16Aまでの距離をT2、下面21からタンク側多孔質材料17の下面までの距離をT3とし、また、タンクホルダ50の底面52からホルダ側磁力吸引部材60の表面までの距離をC1、ホルダ側磁力吸引部材60の表面からインク受入口56の突端56Aまでの距離をC2、底面52からホルダ側多孔質材料57の上面までの距離をC3と定義した場合、T1はC2以上に設定されることが好ましく、更に好ましくは、C1もT2以上に設定される。また更に(T3+C3)が、(T1+C1)以上に設定されることが好ましい。このようにすると、インク導出口16とインク受入口56のお互いの嵌め合い量を大きくすることでき、なおかつ、タンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60を磁力で密着させることができる。また、タンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60を吸着させた際に、タンク側多孔質材料17とホルダ側多孔質材料57が互いに押しつけ合うことになる。なお、(T3+C3)が(T1+C1)以上に設定されることを、より確実に実現するには、T3をT1以上、且つ、C3をC1以上に設定することが好ましい。
【0071】
結果、図7(C)に示されるように、インク導出口16の下端16Aによって、インク受入口56側のホルダ側多孔質材料57の周縁が押し潰される。同時にホルダ側多孔質材料57の中央部分が盛り上がることにより、インク導出口16内のタンク側多孔質材料17に対して更に密着する。これにより、タンク側多孔質材料17内に保持されているインクが、ホルダ側多孔質材料57に染み出す。
【0072】
タンク側磁力吸引部材20は、インク貯留部12の下面21に配置される。タンク側磁力吸引部材20を、タンクホルダ50の底面52に配置されるホルダ側磁力吸引部材60に磁力吸引させることで、インク貯留部12の下面21をタンクホルダの底面52に付勢する(押しつける)。
【0073】
このタンク側磁力吸引部材20は、下面21におけるインク導出口16の周囲に配置され、具体的には、インク導出口16の周縁から20mm以内に少なくとも一部が存在する。更に、このタンク側磁力吸引部材20は、インク導出口16の周囲を環状に取り囲む。結果、インクタンク10のインク導出口16とタンクホルダ50側のインク受入口56の周囲に、磁石による付勢力を集中させることができ、両者の接合状態を良好にすることができる。
【0074】
本実施形態において、タンク側磁力吸引部材20は磁性体であり、特に1mm以下の金属板が採用されている。このように、薄い金属板を採用することで、インク貯留部12の下面21を基準とした、タンク側磁力吸引部材20の下方への突出量を1mm以下にする。更にタンク側磁力吸引部材20の下面よりも、インク導出口16の突端16Aを下方側に突出させる。結果、インク導出口16と、タンクホルダ50側のインク受入口56を先に係合させてから、その後に、タンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60を密着させる。
【0075】
なお、インク貯留部12の側面22A〜22Dはガイド面として機能する。即ち、タンクホルダ50におけるガイド面58A〜58Dと、インク貯留部12の側面22A〜22Dの摺動によって、インクタンク10は、水平に保ちながら上下方向に案内される。結果、インク受入口56とインクタンク10側のインク導出口とのクリアランスを小さく設定しても、両者が正確に嵌り合うようになる。
【0076】
以上、本実施形態のインクタンク10及びタンクホルダ50の着脱機構は、インク貯留部12の下面21に配置されるタンク側磁力吸引部材20と、タンクホルダ50の底面52に配置されるホルダ側磁力吸引部材60を利用して、磁力吸引によって両者を固定する。結果、着脱作業が極めて容易になると共に、インクタンク10やタンクホルダ50を小型化できる。また、本実施形態では、この上下方向に作用する磁力を利用して、インク導出口16とインク受入口56を互いに押しつけ合うことができるので、タンク側多孔質材料17とホルダ側多孔質材料57が密着し、両多孔質材料によってインク供給路を確実に確保できる。また、着脱作業時に、インクタンク10を傾斜させる必要が無いので、インク導出口16とインク受入口56のクリアランスを小さくすることができ、タンク側多孔質材料17とホルダ側多孔質材料57が外気と接触する面積を抑制できる。結果、インクジェットプリンタ1の停止中において、タンク側多孔質材料17及びホルダ側多孔質材料57からのインク溶剤の揮発量が低減される。これは、プリンタの使用再開時において、リフレッシュ動作の回数を低減できることにつながる。
【0077】
更に本実施形態では、タンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60が、共に、インク導出口16とインク受入口56の周囲に接近しているので、磁力による吸引力を、インク導出口16とインク受入口56に集中させることができる。
【0078】
特に本実施形態では、タンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60が環状となっているので、インク導出口16やインク受入口56の周囲にバランス良く磁力が作用する。結果、インク導出口16やインク受入口56の直径方向の一方のみに磁石を配置する場合と比較して、インク導出口16とインク受入口56が同軸状態になりやすく、クリアランスを小さくしても、両者の干渉を抑制できる。
【0079】
なお、上述のように磁力吸引のみで相互固定されるインクタンク10は、その側面に、タンクホルダと係合するためのラッチやレバーなどが不要となる。結果、製造コストが低減されると共に、インクタンク10を一層コンパクトに構成できる。
【0080】
更に、本実施形態では、インク導出口16とインク受入口56の先端が、共に、タンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60よりも突出している。従って、タンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60が磁力で密着する際に、インク導出口16の先端と、インク受入口56の先端が先に嵌り合うので、その後に吸引力によって、ホルダ側多孔質材料57とタンク側多孔質材料17を密着させることができ、毛管現象を利用してインクを供給することができる。
【0081】
この際、温度変化などによって、インクがインク受入口56から外部に漏れ出す可能性があるが、本実施形態では、インク受入口56の周囲が、環状のタンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60で密封されているので、漏れ出したインクが用紙P側に滴下することを防止できる。
【0082】
また、本実施形態では、タンクホルダ50のガイド面58A、58Cに切り欠き62が形成されているので、インクタンク10を保持する指先との干渉を回避することができる。結果、インクタンク10やタンクホルダ50をより小さく構成できる。
【0083】
また更に、本実施形態では、切り欠き62が一対の傾斜部を備える形状とし、一方、インクタンク10側の側壁は、この切り欠き62の形状と一致する突起40を備えることで、両者を位置決めする。即ち、装着動作を利用して、自然に、インクタンク10とタンクホルダ50の位置決めができるようになっている。
【0084】
以上、本実施形態のインクタンク及びタンクホルダの連結構造では、ホルダ側磁力吸引部材60が磁石となり、タンク側磁力吸引部材20が金属等の磁性体となる場合を例示したが、本発明はこの関係を反対にすることも可能である。勿論、双方を磁石にすることもできる。
【0085】
また本実施形態では、タンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60が環状となっている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図8(A)に示されるように、それぞれ一対のタンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60が、インク導出口16とインク受入口56のそれぞれの直径方向の両外側に、独立して配置されることも好ましい。このようにしても、インク導出口16やインク受入口56の周囲に、磁力をバランス良く作用させることができる。勿論、図8(B)に示されるように、インク導出口16とインク受入口56のそれぞれの直径方向の一方側にタンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60を配置することも可能である。この場合は、この面積を大きくすることも望ましい。
【0086】
更に本実施形態では、それぞれ4つのインク導出口16とインク受入口56が、中央付近に一列に並んでいる場合を例示したが、図8(B)のように、中央ではなく一方に偏って配置することも可能であり、図8(C)に示されるように、複数列に配置することも可能である。また本実施形態では、複数のインク導出口16やインク受入口56の周囲を、まとめて、タンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60が環状に取り囲む場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、図8(C)や図8(D)に例示されるように、インク導出口16やインク受入口56の各々を、タンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60が、環状に取り囲むようにしても良い。この際、図8(D)に示されるように、タンク側磁力吸引部材20とホルダ側磁力吸引部材60を、インク導出口16及びインク受入口56の数に合わせて独立させるようにしても良い。
【0087】
また更に、本実施形態では、タンクホルダ50に形成される切り欠き62、及びインクタンク10に形成される突起40が、V字形状である場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば図9(A)に示されるように、円弧形状等にすることも可能である。また、インクタンク10とタンクホルダ50の位置決めをするにあたって、インクタンク10の側面に突起40を形成する以外にも、図9(B)に示されるように、インクタンク10の下面21に各種形状の突起40を形成し、一方で、タンクホルダ50の底面52に、突起40と嵌り合う凹部90を形成して、両者を位置決めすることも可能である。反対に、特に図示しないが、タンクホルダ50側に突起を形成し、インクタンク10側に凹部を形成して位置決めしても良い。勿論、これらの突起や凹部を省略することもできる。
【0088】
なお、本実施形態では、インク導出口16の最外径K1に対して、タンクホルダ50のインク受入口56の最内径K2が大きく設定される場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、インク導出口16の最内径に対して、タンクホルダ50のインク受入口56の最外径K2が小さくなるように設定しても良い。この場合は、下側のインク受入口56の突端56Aが、インク導出口16の筒内に進入して、タンク側多孔質材料17の周縁を押し潰すことになる。
【0089】
また、本実施形態では、多孔質材料を利用して、インクタンク10とタンクホルダ50の間にインク供給路を形成する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、弁などの各種構造によってインク供給路を形成することも出来る。
【0090】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、各種インクジェットプリンタにおけるインクタンク及びタンクホルダの連結構造に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 インクジェットプリンタ
2 キャリア
4 レール
10 インクタンク
12 インク貯留部
16 インク導出口
17 タンク側多孔質材料
19 上面
20 タンク側磁力吸引部材
21 下面
22A、22B、22C、22D 側面
40 突起
50 タンクホルダ
52 底面
54A、54B、54C、54D 側面
56 インク受入口
57 ホルダ側多孔質材料
58A、58B、58C、58D ガイド面
60 ホルダ側磁力吸引部材
62 切り欠き
78 電極
80 インクジェットヘッド
90 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタにおける、インクジェットヘッドを有するタンクホルダに着脱自在に装着されて、自身が貯留するインクを前記インクジェットヘッドに供給するインクタンクであって、
前記インクを貯留するインク貯留部と、
前記インク貯留部の下面に形成され、前記タンクホルダ側の底面に形成されるインク受入口と係合して、前記インクを前記インク受入口に案内するインク導出口と、
前記インク貯留部の前記下面に配置され、前記タンクホルダの底面に配置されるホルダ側磁力吸引部材との間で磁力吸引させることで、前記インク貯留部の前記下面を前記タンクホルダの前記底面に付勢するタンク側磁力吸引部材と、
を備えることを特徴とするインクタンク。
【請求項2】
前記タンク側磁力吸引部材は、前記下面における前記インク導出口の周囲に配置されることを特徴とする、
請求項1に記載のインクタンク。
【請求項3】
前記インク導出口の周縁から20mm以内に、前記タンク側磁力吸引部材の少なくとも一部が存在することを特徴とする、
請求項2に記載のインクタンク
【請求項4】
前記インク貯留部には、前記タンクホルダと係合するためのレバー又はラッチが存在しておらず、前記磁力吸引のみで、前記タンクホルダに係合されることを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項5】
前記タンク側磁力吸引部材と比較して、前記インク導出口の突端が下方側に突出していることを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項6】
前記インク貯留部の下面を基準とした、前記タンク側磁力吸引部材の下方への突出量が1mm以下であることを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項7】
前記インク導出口の内部にはタンク側多孔質材料が配置され、
前記インク貯留部の下面を基準とした前記タンク側多孔質材料の下方への突出量が、前記インク貯留部の下面を基準とした前記タンク側磁力吸引部材の下方への突出量以上であることを特徴とする、
請求項1乃至6のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項8】
前記タンク側磁力吸引部材は、前記ホルダ側磁力吸引部材となる磁石によって吸引される材料であることを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項9】
前記タンク側磁力吸引部材は磁性体であることを特徴とする、
請求項8に記載のインクタンク。
【請求項10】
前記タンク側磁力吸引部材は、前記インク導出口における直径方向の両外側を少なくとも含むように配置されていることを特徴とする、
請求項1乃至9のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項11】
前記タンク側磁力吸引部材は、前記インク導出口の周囲を環状に取り囲むように配置されていることを特徴とする、
請求項1乃至10のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項12】
前記インク導出口が、前記下面の中央付近に配置されていることを特徴とする、
請求項1乃至11のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項13】
前記インク導出口の最外周が、前記下面の少なくとも一対の向かい合う縁から等しい距離となる中心線と重なるように、該インク導出口が配置されていることを特徴とする、
請求項1乃至12のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項14】
前記タンクホルダに形成されて前記インク貯留部を上下方向に案内するガイド面に対して、前記インク貯留部の側面との隙間が0.5mm以内に設定されることを特徴とする、
請求項1乃至13のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項15】
前記インク貯留部の前記下面に、前記タンクホルダとの着脱状態を検出するための電極が配置されることを特徴とする、
請求項1乃至14のいずれかに記載のインクタンク。
【請求項16】
前記電極は、前記タンク側磁力吸引部材に設けられることを特徴とする、
請求項15に記載のインクタンク。
【請求項17】
インクジェットプリンタにおける、インクタンクが着脱自在に装着されて、該インクタンクからインクの供給を受けるタンクホルダであって、
前記インクタンクの下面に対向しており、該インクタンクを受け止める底面と、
前記底面に形成され、前記インクタンクの下面に形成されるインク導出口と係合して、前記インク導出口から前記インクが供給されるインク受入口と、
前記底面に配置され、前記インクタンクの下面に配置されるインク側磁力吸引部材との間で磁力吸引させることで、前記インクタンクの前記下面を前記底面に付勢するホルダ側磁力吸引部材と、
を備えることを特徴とするタンクホルダ。
【請求項18】
前記インク受入口の周縁から20mm以内に、前記ホルダ側磁力吸引部材の少なくとも一部が存在することを特徴とする、
請求項17に記載のタンクホルダ。
【請求項19】
前記ホルダ側磁力吸引部材と比較して、前記インク受入口の突端が上方側に突出していることを特徴とする、
請求項17又は18に記載のタンクホルダ。
【請求項20】
前記インク受入口の内部にはホルダ側多孔質材料が配置され、
前記底面を基準とした前記ホルダ側多孔質材料の上方への突出量が、前記底面を基準とした前記ホルダ側磁力吸引部材の上方への突出量以上であることを特徴とする、
請求項17乃至19のいずれかに記載のタンクホルダ。
【請求項21】
前記ホルダ側磁力吸引部材は磁石であることを特徴とする、
請求項17乃至20のいずれかに記載のタンクホルダ。
【請求項22】
前記磁石の磁束密度が100ガウス〜1300ガウスであることを特徴とする、
請求項21に記載のタンクホルダ。
【請求項23】
前記ホルダ側磁力吸引部材は、ゴム磁石であることを特徴とする、
請求項21又は22に記載のタンクホルダ。
【請求項24】
前記ゴム磁石の厚みが1mm以下であることを特徴とする、
請求項23に記載のタンクホルダ。
【請求項25】
前記ホルダ側磁力吸引部材は、前記インク受入口における直径方向の両外側を少なくとも含むように配置されていることを特徴とする、
請求項17乃至24のいずれかに記載のタンクホルダ。
【請求項26】
前記ホルダ側磁力吸引部材は、前記インク受入口の周囲を環状に取り囲むように配置されていることを特徴とする、
請求項17乃至25のいずれかに記載のタンクホルダ。
【請求項27】
前記インク受入口が、前記底面の中央付近に配置されていることを特徴とする、
請求項17乃至26のいずれかに記載のタンクホルダ。
【請求項28】
前記インク受入口の最外周が、前記底面の少なくとも一対の向かい合う縁から等しい距離となる中心線と重なるように、該インク受入口が配置されていることを特徴とする、
請求項17乃至27のいずれかに記載のタンクホルダ。
【請求項29】
前記インクタンクを上下方向に案内するガイドを備える事を特徴とする、
請求項17乃至28のいずれかに記載のタンクホルダ。
【請求項30】
前記ガイドは、前記インクタンクの側面と対向するように配置されるガイド面を備えることを特徴とする、
請求項29に記載のタンクホルダ。
【請求項31】
前記インクタンクの側面と前記ガイド面との隙間は、0.5mm以下に設定されることを特徴とする、
請求項30に記載のタンクホルダ。
【請求項32】
前記ガイド面には、前記インクタンクの前記側面の一部を外部に露出させる切り欠きが形成されていることを特徴とする、
請求項30又は31に記載のタンクホルダ。
【請求項33】
前記底面に、前記インクタンクとの着脱状態を検出するための電極が配置されることを特徴とする、
請求項17乃至32のいずれかに記載のタンクホルダ。
【請求項34】
前記電極は、前記ホルダ側磁力吸引部材に設けられることを特徴とする、
請求項33に記載のタンクホルダ。
【請求項35】
インクジェットプリンタにおいて、自身が貯留するインクを前記インクジェットヘッドに供給するインクタンクと、前記インクジェットヘッドを有しており、前記インクタンクが着脱自在に装着されるタンクホルダと、で構成されるインクタンク着脱機構であって、
前記インクタンクは、
前記インクを貯留するインク貯留部と、
前記インク貯留部の下面に形成され、前記タンクホルダ側の底面に形成されるインク受入口と係合して、前記インクを前記インク受入口に案内するインク導出口と、
前記インク貯留部の前記下面に配置され、前記タンクホルダの底面に配置されるホルダ側磁力吸引部材との間で磁力吸引させることで、前記インク貯留部の前記下面を前記タンクホルダの前記底面に付勢するタンク側磁力吸引部材と、
を備えて構成され、
前記タンクホルダは、
前記インクタンクの下面に対向しており、該インクタンクを受け止める底面と、
前記底面に形成され、前記インクタンクの下面に形成される前記インク導出口と係合して、前記インク導出口から前記インクが供給される前記インク受入口と、
前記底面に配置され、前記インクタンクの下面に配置される前記インク側磁力吸引部材との間で磁力吸引させることで、前記インクタンクの前記下面を前記底面に付勢する前記ホルダ側磁力吸引部材と、
を備えて構成されることを特徴とするインクタンク着脱機構。
【請求項36】
前記インク導出口の内部にはタンク側多孔質材料が配置されると共に、前記インク受入口の内部にはホルダ側多孔質材料が配置され、
前記インク貯留部の下面を基準とした前記タンク側多孔質材料の下方への突出量と、前記タンクホルダの前記底面を基準とした前記ホルダ側多孔質材料の上方への突出量の総和が、
前記インク貯留部の下面を基準とした前記タンク側磁力吸引部材の下方への突出量と、前記タンクホルダの前記底面を基準とした前記ホルダ側磁力吸引部材の上方への突出量の総和以上であることを特徴とする、
請求項35に記載のインクタンク着脱機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−67082(P2013−67082A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207245(P2011−207245)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【特許番号】特許第4977261号(P4977261)
【特許公報発行日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(503401614)ジット株式会社 (15)
【Fターム(参考)】