インクタンクおよびインクジェット記録システム

【課題】 インク残量検知、インクタンクの情報保持手段との電気接続、インクタンク位置検出などインクタンクの記録装置に対する位置決めに対してさらなる高精度化が求められている。
【解決手段】 少なくとも一部に直接インクを保持する領域を有するインクタンクにおいて、インク残量検知部と情報保持手段と接続する電気接続部との間に、インクタンクが装着されるタンクホルダーに配置された位置決めピンが挿入される位置決め穴が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置において用いられるインクタンクおよび該インクタンクとインクタンクを着脱可能に支持するためのタンクホルダを備えたインクジェットプリンタとの組み合わせで構成されるインクジェット記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録ヘッドを用いて記録媒体へインクを付与することにより記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置は、記録時の騒音が比較的小さくしかも小さなドットを高い密度で形成できるなどの利点を有し、カラー印刷など様々な態様の印刷に利用されている。このようなインクジェット記録装置の一形態として、分離可能に取り付けられたインクタンクのインク供給口からインクの供給を受ける記録ヘッド(インクジェットヘッド)を備えた構成が知られる。この装置では、記録ヘッドを搭載して記録媒体に対し記録ヘッドを所定方向(主走査方向)に走査させるキャリッジを備える。そして、記録媒体を記録ヘッドに対して上記所定方向と直交する方向に搬送(副走査)させる搬送機構を備える。これらが連動して記録ヘッドの主走査の過程でインク吐出を行わせることにより記録を行うものがある。この装置では、キャリッジ上に、ブラックインクの他、イエロー、シアン、マゼンタ等の各カラーインクを吐出する記録ヘッドを搭載する。これにより、ブラックインクによるテキスト画像のモノクローム印刷のみではなく、カラーインクを吐出することによるフルカラー印刷を行うことができる。
【0003】
このようなインクジェット記録装置を構成するインクジェット記録システム(インク供給構成)は、ホルダ(あるいはインクジェットプリンタ)に対して着脱自在に搭載されるインクタンクとホルダに配された記録ヘッドとが接続および分離可能に構成されている。そして、インクタンクと記録ヘッドとが接続されたとき、インクタンクからインクジェットヘッドへのインク供給路が形成される。この構成は、インクタンクから記録ヘッドまでの供給経路を短くでき、記録装置の小型化が容易である。さらに、インクタンクのみを交換することによってインクを補給できランニングコストが低くできるといった利点を有している。
【0004】
また、ユーザに対して、インクを貯留したインク貯留部内のインク残量を報知するために、インクタンク内にインクの有無や残量を検知するために利用される検出機構を配設するインクタンクが提案されている。インク残量検知機構として代表的なものは、インクタンク内に直接インクを保持する残量検知部を有し、残量検知部へ照射した光が光可反射体によって反射され、その反射光量の変化を測定することで、残量検知部でのインクの有無を検知することができる構成である。このインク残量検知機構により、ユーザはインク切れによる印字不良を発生させることなく、インクタンク内のインクを充分に使用することが可能となる。
【0005】
上記のインクタンク構成は、インクタンクと記録ヘッドとが分離可能であるために、少なくとも次のような条件を満足させることが望まれる。第1に、記録ヘッドの主走査方向への移動に対し、インクタンクが確実に固定されることである。第2に、ユーザのインクタンク装着と分離に関し、ある定められた位置にインクタンクを確実に装着できることである。これにより、インクタンク内のインクを記録ヘッドに円滑に供給し、インク残量検知部と記録装置の光センサとの位置を合わせることで精度よくインク残量検知を行うことができる。
【0006】
特許文献1、特許文献2ないし、特許文献3には従来のインク供給構成の一例を示している。特許文献1におけるインクタンクは、インク供給口を有する面に第1嵌合凹部を、第1嵌合凹部と対向する面に第2凹部を有している。第1嵌合凹部は記録ヘッドの嵌合凸部と嵌合し、第2嵌合凹部はインクタンクを固定する固定アームの係止爪と嵌合する。この2箇所の嵌合により、インクタンクを確実に固定している。特許文献2のインクタンクは、底面に配設された位置決めピンがホルダに設けられた位置決め穴に入り込みインクタンクを位置決めする構成となっている。
【0007】
また、特許文献2におけるインクタンクは、インク供給口を重力方向下向きに配置した状態で底面となる側面に位置決めピンを設け、ホルダ側に位置決めピンを受け入れる穴を設けることで、インクタンクの位置決めを行う構成となっている。特許文献2におけるインクタンク位置決めの目的は、記録装置側に固定されたインク残量検知センサとインクタンク内のプリズムとの位置を精度良く合わせるためである。
【0008】
さらに、特許文献3におけるインクタンクは、吸収体においてインクを保持し、大気連通口を有する面に切り欠き構造を有し、その切り欠き構造をインクタンクを装着するガイドとして利用することを特徴としている。ここで、切り欠き構造の目的は、大気連通口付近において吸収体を局所的に強く圧縮させないためであり、これにより、インク使用効率を高めることが可能となる。
【特許文献1】特開2006−21540号公報
【特許文献2】特許第3376299号公報
【特許文献3】特開平6−210870号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1は、インクタンクを記録ヘッドにセットし、その後固定アームに固定するという2つの動作により、インクタンクを固定している。本構成においては、ユーザのインクタンク装着動作が煩雑になるだけでなく、固定アームを確実に固定しない状態で記録装置のフタを閉じると、キャリッジが移動して固定アームが記録装置外装と接触し、場合によっては破損までいたる。
【0010】
一方、近年更なるインクタンク位置決め精度向上の要求がある。1つは、インクタンクにインクタンクの情報を保持する情報保持手段(情報媒体:メモリ)を配設し、インクタンクと記録ヘッドないし記録装置と電気接続する構成によるものである。情報媒体にはインクタンクのインク残量、製造年月日、インク情報などを記憶し、記録装置がその情報により処理を変更することにより、より高度な記録が可能となる。これにより、記録ヘッドもしくは記録装置とインクタンクを電気的に接続する必要がある。また、さらなる高画質化の要求から従来の4色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)以上のインクタンクを搭載する場合が増えてきている。しかし、その場合の間違った装着位置へのインクタンクの装着防止する機構として、インクタンクに配設されたLED等の発光体を記録装置内のセンサで検知することで、インクタンクの位置を特定する構成が提案されている。このような構成を採用する場合にも、インクタンクの位置検出のためにインクタンクの固定位置精度を向上させる必要が生じる。
【0011】
特許文献2において、インクタンクを正確に位置決めする目的は、インク残量検知の精度を向上させるためだけであるため、記録装置における記録媒体送り方向(副走査方向:図15の矢印B)のみの位置精度を向上させるだけで良かった。しかしながら、上記のようにインクタンクとの電気接続や、光センサによるインクタンク位置検出を行う上では、キャリッジ移動方向(主走査方向:図15の矢印A)の位置決め精度の向上も必要となる。
【0012】
さらに、特許文献3は、吸収体にてインクを保持する構成において、インクタンクに切り欠き構造を有している。切り欠き構造は内部の吸収体の圧縮率分布に影響する場合があるため、位置や大きさが規制される。特許文献3においては、大気連通口を有する面に切り欠き構造を設けることで、逆に大気連通口部への局所的な圧縮を回避している。しかしながら、インクを直接保持する部分を有するインクタンクにおいては、切り欠き構造をインク直接保持領域に設けることで内部への影響を小さくすることができる。これにより、切り欠き構成の位置や形状の自由度をあげることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のインクタンクは、
インクジェットプリンタに着脱自在に搭載されるインクタンクであって、該インクタンクはインクを貯留するインク貯留部と、該インク貯留部からインクを外部に供給するインク供給口と、前記インクタンク内を大気に連通させる大気連通部と、前記インク供給口を重力方向下向きにして配置したときに底面となる側面に配されたインク貯留部のインクの有無を検知するのに利用される光可反射体と、前記インクタンクに配され且つ前記インクタンクに係る情報を保持した情報媒体と、該情報媒体が前記インクジェットプリンタとの間で情報の伝達を行うのに利用し前記底面に対して交差する側面に配された基板上に設けられたコンタクト部とを備えると共に、
前記インクタンクの底面となる側面であって、前記光可反射体と前記電気的コンタクト部との間に前記インクジェットプリンタに設けられた凸部と係合して前記インクタンクの位置を特定するのに利用される凹部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のインクジェット記録システムは、
インクジェットヘッドが配されるとともにインクタンクが着脱自在にされるホルダを備えたインクジェットプリンタと、前記ホルダに対して着脱自在に搭載されるインクタンクと、を備えて構成されるインクジェット記録システムであって、
前記インクタンクは
インクを貯留するインク貯留部と、該インク貯留部からインクを外部に供給するインク供給口と、前記インクタンク内を大気に連通させる大気連通部と、前記インク供給口を重力方向下向きにして配置したときに底面となる側面に配されたインク貯留部のインクの有無を検知するのに利用される光可反射体と、前記インクタンクに配され且つ前記インクタンクに係る情報を保持した情報媒体と、該情報媒体が前記インクジェットプリンタとの間で情報の伝達を行うのに利用し前記底面に対して交差する側面に配された基板に設けられたコンタクト部とを備え、
前記インクジェットプリンタは
前記光可反射体に光を照射する発光素子と、前記光可反射体から反射した光を受光する受光素子とを備えるとともに、前記ホルダは前記インクタンクの情報媒体の情報を前記インクタンクのコンタクト部との間で受け渡しする前記ホルダのコンタクト部とを備えており、
前記ホルダにはさらに前記発光素子と受光素子と前記ホルダのコンタクト部との間に凸部が設けられており、前記インクタンクの底面となる側面であって、前記光可反射体と前記電気的コンタクト部との間に前記凸部と係合して前記ホルダの内部における前記インクタンクの位置を特定するのに利用される凹部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記の構成手段により、ユーザが簡便な操作でインクタンクを装着、分離可能であり、かつ、主走査方向/副走査方向ともに精度よくインクタンク位置決めが可能である。その結果、インク残量検知、情報媒体との電気接続、インクタンク位置検出などを精度良く行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0017】
図1、図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)は、本発明の第1の実施形態に係るインクタンクを示す図である。図1は図2(a)におけるA−A線の側面断面図であり、図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)はそれぞれ、上面図、側面図、正面図および下面図である。なお、本例において、インクタンクの正面とは、ユーザに向き合うことでその操作(着脱操作等)およびユーザへの情報提供(後述するLEDの発光)を可能とする面を言う。
【0018】
図1において、本実施形態のインクタンク1は正面側の下部に支持された支持部材30を有している。支持部材30はインクタンク1の外装(筐体)と一体に、樹脂により形成されており、後述するタンクホルダへの着脱操作等を行う際に被支持部を中心に変位可能な構成である。インクタンク1の背面側および正面側には、インクタンクホルダ側の係止部にそれぞれ係合可能な第1係合部21および第2係合部32(本例では支持部材30に一体化されている)が設けられている。これらの係合によってインクタンク1のタンクホルダへの装着状態が確保される。この装着時の動作については後述する。
【0019】
インクタンク1は、インクジェットプリンタに搭載されたインクジェット記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部として機能する。インクタンク1の重力方向下向きとなる側面である底面には、インクタンクホルダへの装着時に、後述する記録ヘッドのインク導入口と結合してインクタンク内のインクをインクタンクの外部に供給するためのインク供給口22が設けられている。この底面と正面とが交わる部分にあって、支持部材30の支持部分の底面側には、基板50が配設されている。
【0020】
インクタンク1の内部は、支持部材30および基板50が設けられる正面側に位置するインク収納室23と、背面側に位置してインク供給口22に連通する多孔質部材収納室24とに分割されており、両者は連通口25を介して接続されている。これらの収納室はインク貯留部として機能する。インク収容室23にはインク2が直接貯留される一方、多孔質部材収納室24には、インクを含浸保持するスポンジ等の多孔質部材41および42が設けられている。この多孔質部材41および42は、記録ヘッドのインク吐出用のノズル部に形成されるメニスカスの保持力と平衡してインク吐出部からのインク漏れを防止するに十分で、かつ記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある適切な負圧を発生するためのものである。多孔質部材収納室24の上面には、記録ヘッドへのインク供給に伴って増大する負圧を緩和し、これを好ましい所定範囲に維持すべくインクタンク内を大気と連通させ、外気を導入するための大気連通部11が設けられている。
【0021】
インクタンク1内のインク2をインク供給口22から外部に導出させると、まず、多孔質部材収納室24内の多孔質部材41および42に含浸されたインクを導出し、それに伴い大気連通部11から外気を導入する。多孔質部材42内の気液界面が連通口25まで達すると、連通口25からインク収納室23内に外気が導入され、同時にインク収納室23内のインクが多孔質部材42を介してインク供給口22から外部に導出される。その後、徐々にインク収納室23内のインクが減少し、インクが消費されるとインク収納室23の底面に配置されたプリズム60によりインク無し状態を検知する。
【0022】
ここで、プリズム60によるインク残量検知機構について図9(a)、図9(b)の模式図を用いて説明する。プリズム60は三角柱のプリズム形状をしており、光(赤外線)を透過する透明性の高い材料となっている。図9(a)のようにプリズム60の表面がインクと接触している場合には、記録装置に配置され、プリズム60に対向している残量検知センサー161の発光部(発光素子)162から照射された光は、インク内に散乱吸収される。図9(b)のようにインクがなくなりプリズム60の表面がエアに接触している場合には、プリズム60とエアの屈折率の違いにより、発光部161から照射した光はプリズム60の第1面61と第2面62で反射し受光部(受光素子)163に入射される。つまり、受光部163に入射される光を測定することで、図6(a)、図6(b)の状態を区別することができる。すなわち、プリズムはインクの有無を検知するための光可反射体として機能する。
【0023】
このときに、プリズム60と残量検知センサー161の位置がずれている場合には、図6(b)のようにインクが無い状態でも受光部163に光が戻ってこないため、誤検知する可能性がある。つまり、確実にインク残量検知を行うためには、インクタンク1を記録装置に対し精度よく位置決めする必要がある。
【0024】
つぎに、基板50と支持部材30の構成および機能について説明する。基板50は、インクタンクの底面と底面にたいして交差するように設けられている側面に設けられている。そして、インクタンクの外側に向かって配置され、記録装置との電気的接続が可能な電極パッド(電気的コンタクト部)52が配置され情報の伝達がなされるように構成されている。インクタンク1の内側に向かって位置する基板50の面には、LEDなど可視光を発光する発光体51と、発光体51を制御する制御素子(不図示)が設けられてユニット化されている。発光体51や制御素子は電極パッド52を介して供給される電気信号により、制御素子は発光体51の発光の制御を行う。また、インクタンクが収納しているインクの色や細かなインク残量などの情報を記憶させておくメモリ素子(情報媒体)を搭載する場合にも、内側の面に配置される。基板50は固定部53によりインクタンクに固定されており、発光体51は図にあるように基板50の支持部材30よりに配置され、周りには空間が確保されている。本実施例において基板50は、インクタンクのピン形状の固定部53に基板50を嵌合しピン部材の先端部を熱で溶融させカシメ構成により固定しているが、固定方法は接着やはめ込みなどこの方法には限らない。また、支持部材30は図2(b)における支点34によりインクタンク部材と支持されており、インクタンクの幅方向における中心部付近(発光体51付近)は貫通口となっており、発光体51に対抗する位置に受光部33が構成されている。支持部材30はインクタンク部材と同一の樹脂材料で一体に構成されており、支点34付近で変形することで支持部材30が変位する。ユーザが支持部材30を変位させる力を低減させるために支点34の厚みはその他の部分と比較して薄く構成されている。
【0025】
さらに、インクタンク1の底面のプリズム60と基板50の間には凹部として構成された位置決め穴70が配置されている。この位置決め穴70を用いたインクタンクの位置決め方法は後述する。
【0026】
図3は図1、図2に示した実施形態に係るインクタンクを着脱自在に保持する記録ヘッドユニットの一例を示す斜視図、図4はインクタンクを記録ヘッドユニットに装着する直前の状態を説明するための斜視図であり、図5は図4におけるC−C断面図を示す。図6はインクタンクを記録ヘッドユニットに装着完了した状態を説明するための斜視図であり、図7は図6におけるD−D断面図を示し、図8は図6におけるE−E断面図である。
【0027】
記録ヘッドユニット105は、概して、複数(図では4個)のインクタンクを着脱可能に保持するホルダ150と、底面側に配置される記録ヘッド106(図5では不図示)とからなっている。そしてインクタンクのインク供給口を重力方向下向きに配置してホルダ150に装着することで、ホルダ底部に位置する記録ヘッド側のインク導入口107とインクタンク側のインク供給口22とが結合し、両者間のインク連通路が形成される。
【0028】
記録ヘッド106としては、ノズル液路内に電気熱変換素子を設け、これに電気パルスを与えることによりインクに熱エネルギを付与し、そのときのインクの相変化により生じる発泡(沸騰)時の圧力をインクの吐出に利用するものを用いることができる。
【0029】
インクタンク1を記録ヘッドユニット105に装着する場合には、ホルダ150の上方でインクタンク1を取り扱う。インクタンク背面側に設けられた突起状の第1係合部21を、ホルダ背面側に設けられた貫通孔状の第1係止部に挿通した状態でホルダ底面上に載置する(図4)。この状態でインクタンク1の正面側上端を矢印Pに示すように押下すると、インクタンク1は第1係合部および第1係止部の係合部分を回動支点として回動し、インクタンク正面側が下方に変位してゆく。この過程で、インクタンク正面側の支持部材30に設けられた第2係合部32の側面がホルダ正面側に設けられた第2係止部156に押されながら、支持部材30も矢印Q方向に変位してゆく。この時に、インクタンク1の底面の位置決め穴70に、記録ヘッド105の位置決め穴70に対向する位置に構成された凸部として構成された位置決めピン170が挿入されていく(図5)。
【0030】
そして、図7のように第2係合部32の上面が第2係止部156の下方に至ると、支持部材30は自身の弾性力によってQ’方向に変位し、第2係合部5が第2係止部156によって係止される。この状態(図7)では、インクタンク1上方への変位は、第1係合部21が係合した第1係止部155および第2係合部32が係合した第2係止部156によって抑制される。これがインクタンク1の装着完了状態であり、このときインク供給口22およびインク導入口107、また電極パッド52およびコネクタ152が接合した状態となる。
【0031】
「てこ」の作動にたとえると、図7に示すような装着動作の過程では、第1係合部21および第1係止部の係合部分が支点、インクタンク1の正面側が力点となる。インク供給口22およびインク導入口107の結合部分は作用点となって、これは力点と支点との間、好ましくは支点近くに位置する。従って、インク供給口22はインクタンク1の回動に伴って大きな力でインク導入口107に押し付けられる。両者の結合部分には通常、インク連通性の確保やインク漏洩の防止を目的としてフィルタ,吸収体,パッキンなど比較的可撓性に富む弾性部材が配設されている。
【0032】
この装着完了状態で、支持部材30はたわんだ状態にあるため、インクタンク1は矢印Rの方向に反発力を受ける。この結果、位置決めピン170が位置決め穴70内の位置決め面71に接触し矢印Rの方向(副走査方向)にインクタンク1の位置が決まる。
【0033】
また、図8において、インクタンクの側面方向(主走査方向・図面の垂直方向)においても位置決めピン170と位置決め穴70に嵌合し、位置決めピン170と位置決め穴70の壁面との隙間がある一定値以下となり、位置が決定される。図8の断面方向においては、支持部材30のような反発力が発生しない。このため、確実に位置決めピン170がある面に接触するわけではないが、位置決めピン170の直径と位置決め穴70の幅の寸法を管理することで、後述するインタンク位置検出を行う上で問題ないレベルの位置にインクタンクを位置決めすることが可能となる。
【0034】
これにより、インク残量検知に対しては、記録装置の残量検知センサー161がプリズム60と貫通穴164を介して正確に対向し、残量検知が可能になる。また、インクタンク装着位置特定に関しては、電極パッド52を介して電気接続した基板50により発光した発光体51の光は支持部材30内を導光し表示部31に達し、記録装置内に配置された位置特定センサー165に受光される。これにより、インクタンクの装着位置間違いを検知することが可能となる。この場合、インクタンクの側面方向(主走査方向・図面の垂直方向)での装着位置を検出することになるため、インクタンクの側面方向についても正確な位置決めが必要となる。しかしながら、上記のように、位置決めピン170と位置決め穴70との嵌合により、インクタンク1の正確な位置決めが行われているため、問題なく装着位置を検出できる。
【0035】
本構成において、位置決め穴70はプリズム60と基板50との間に配置されており、プリズム60と基板50の両方に接近している。これにより、プリズム60と基板50の位置を共に精度良く位置決め可能となる。また、図1において明らかなように、位置決め穴70はインク収納室23の連通口25から遠い位置に配置されている。これにより、インク収納室23内のインクを消費する過程において、インク導出の抵抗にならず、円滑なインク導出が可能となる。
【0036】
また、インクタンクを構成する材料には以下のような制限がある。1つは、インクに接触するため、例えばインクタンクを保存した場合に、記録ヘッド106のノズル部に析出し、インク吐出に影響するような異物をインク内に溶出させるような材料を使用することができない。2つめは、インクタンクには、プリズム60においてインク残量を検知するため、光を透過することが可能な材料でなければならない。3つめは、支持部材30において部材の変形によりインクタンクの装着を行うため、適正な装着力と確実な装着との両立を達成するため、材料の弾性や剛性についてもある一定範囲内で無ければならない。これに対し、タンクホルダについては、比較的材料自由度が高く、剛性の高い材料を使用可能である。位置決めピンと位置決め穴については、構造的に位置決め穴の方が荷重変形に対して強く構成できるため、上記の理由により、インクタンクに位置決め穴、タンクホルダーに位置決めピンの構成である方がより好ましい。
【0037】
なお、インクタンク1の内部構成は、このような多孔質部材の収納室を有した形態に限られず、インクをそのまま貯留する収容室に大気を導入することでインク残量を検知することが可能であればよい。多孔質部材の代替の負圧発生手段として容積を拡張する方向に張力を発生するゴム等の弾性材料で形成した袋状部材内にインクをそのまま充填し、この袋状部材が発生する張力によって内部のインクに負圧を作用するようにしたものでもよい。さらには、インク収容空間の少なくとも一部を可撓性部材で構成し、その空間内にインクを収容するとともに、可撓性部材にばね力を作用させることで負圧を発生させるようにしたものでもよい。このような負圧発生部材の形態の場合には、差圧バルブ構成やメニスカスバルブ構成などにより、インク収納室内に大気を導入する構成であってもよい。
【実施例2】
【0038】
図10は本発明の第2の実施形態に係るインクタンクを説明する斜視図であり、図11(a)、図11(b)、図11(c)、図11(d)は、それぞれ、上面図、側面図、正面図および下面図である。また図12は本インクタンクが装着される記録ヘッドを説明する斜視図であり、図13、図14は、図11(d)におけるB−B線による側面断面図である。
【0039】
本実施形態においては、インクタンク1の両側面に切り欠き部72a、72bを設けている。切り欠き部72a、72bは左右対称形状であり、図13、図14より、第1の実施形態と同様にプリズム部60と基板50との間に配置されている。記録ヘッドにはインクタンクの仕切り壁付近に三角錐形状の突起(三角状突起)173aが配置されており、装着の過程により、切り欠き部72a、72b内の支持部材30側の平面に突起173aの平面部が接触し、インクタンク1の位置が決定される。
【0040】
本実施形態においては、インクタンク1の側面壁を利用して切り欠き部と配置しているため、インク収納室23内への影響が少なく、第1の実施形態に比べインク収納量を増大することが可能となっている。
【0041】
なお、インクの残量を検出する構成は、上述のプリズムに限ることなく、発光素子と受光素子を利用して検出することが可能な構成、たとえば、金属板などの光可反射体をインク中に配置して、インクの量に応じて変位する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインクタンクの側面断面図である。
【図2】(a)、(b)、(c)および(d)は、それぞれ第1の実施形態に係るインクタンクの上面図、側面図、下面図、正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るインクタンクを着脱可能に保持する記録ヘッドユニットの一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るインクタンクの装着動作を説明する記録ヘッドユニットの斜視図である。
【図5】図4におけるC−C断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るインクタンクの装着動作を説明する記録ヘッドユニットの斜視図である。
【図7】図6におけるD−D断面図である。
【図8】図6におけるE−E断面図である。
【図9】(a)、(b)はインク残量検知構成を説明する模式図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るインクタンクの下方斜視図である。
【図11】(a)、(b)、(c)および(d)は、それぞれ第2の実施形態に係るインクタンクの上面図、側面図、下面図、正面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るインクタンクを着脱可能に保持する記録ヘッドユニットの一例を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係るインクタンクの装着動作を説明する側面断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るインクタンクの装着動作を説明する側面断面図である。
【図15】本発明のインクタンクが装着される記録装置を説明する模式斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 インクタンク
2 インク
11 大気連通部
22 インク供給口
23 インク収納室
24 多孔質部材収納室
33 受光部
50 基板
51 発光体
52 電極パッド
60 プリズム
70 位置決め穴
106 記録ヘッド
150 インクタンクホルダ
152 コネクタ
170 位置決めピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタに着脱自在に搭載されるインクタンクであって、該インクタンクはインクを貯留するインク貯留部と、該インク貯留部からインクを外部に供給するインク供給口と、前記インクタンク内を大気に連通させる大気連通部と、前記インク供給口を重力方向下向きにして配置したときに底面となる側面に配されたインク貯留部のインクの有無を検知するのに利用される光可反射体と、前記インクタンクに配され且つ前記インクタンクに係る情報を保持した情報媒体と、該情報媒体が前記インクジェットプリンタとの間で情報の伝達を行うのに利用し前記底面に対して交差する側面に配された基板に設けられたコンタクト部とを備えると共に、
前記インクタンクの底面となる側面であって、前記光可反射体と前記電気的コンタクト部との間に前記インクジェットプリンタに設けられた凸部と係合して前記インクタンクの位置を特定するのに利用される凹部が設けられていることを特徴とするインクタンク。
【請求項2】
前記凹部は、前記凸部を構成する位置決めピンが挿入される位置決め穴であることを特徴とする請求項1に記載のインクタンク。
【請求項3】
前記凹部は、前記凸部を構成する三角状突起が挿入される切り欠き部であることを特徴とする請求項1に記載のインクタンク。
【請求項4】
インクジェットヘッドが配されるとともにインクタンクが着脱自在にされるホルダを備えたインクジェットプリンタと、前記ホルダに対して着脱自在に搭載されるインクタンクとを備えて構成されるインクジェット記録システムであって、
前記インクタンクは
インクを貯留するインク貯留部と、該インク貯留部からインクを外部に供給するインク供給口と、前記インクタンク内を大気に連通させる大気連通部と、前記インク供給口を重力方向下向きにして配置したときに底面となる側面に配されたインク貯留部のインクの有無を検知するのに利用される光可反射体と、前記インクタンクに配され且つ前記インクタンクに係る情報を保持した情報媒体と、該情報媒体が前記インクジェットプリンタとの間で情報の伝達を行うのに利用し前記底面に対して交差する側面に配された基板に設けられたコンタクト部とを備え、
前記インクジェットプリンタは
前記光可反射体に光を照射する発光素子と、前記光可反射体から反射した光を受光する受光素子とを備えるとともに、前記ホルダは前記インクタンクの情報媒体の情報を前記インクタンクのコンタクト部との間で受け渡しする前記ホルダのコンタクト部とを備えており、
前記ホルダにはさらに前記発光素子と受光素子と前記ホルダのコンタクト部との間に凸部が設けられており、前記インクタンクの底面となる側面であって、前記光可反射体と前記電気的コンタクト部との間に前記凸部と係合して前記ホルダの内部における前記インクタンクの位置を特定するのに利用される凹部が設けられていることを特徴とするインクジェット記録システム。
【請求項5】
前記ホルダの前記凸部は位置決めピンであり、前記インクタンクの凹部は前記位置決めピンが挿入される位置決め穴であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録システム。
【請求項6】
前記ホルダの前記凸部は三角状突起であり、前記インクタンクの凹部は前記三角状突起が挿入される切り欠き部であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−23458(P2010−23458A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191008(P2008−191008)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】