説明

インクリボン集合体およびこのインクリボン集合体を使用する熱転写プリンタ

【課題】 画像印刷は、必ず印刷領域の終端まで印刷できるようにして、印刷の途中でインクリボンのエンドとならないようすること。
【解決手段】 印刷精度に影響の少ない少なくとも1つのインクリボン17cの長さを、その他のインクリボン17a,17bよりも短く形成し、この長さの短いインクリボン17cの終端部に終端マーク60を形成し、1つの印刷領域の印刷の途中において長さの短いリボンエンドが検出された時点においては、その他のインクリボン17a,17bはこのインクリボン17cより長さが長いので、その印刷領域の印刷は終えており、長さが長いインクリボン17a,17bによる印刷に継ぎ目が生じることがないようにしたもの。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のインクリボンからなるインクリボン集合体およびこのインクリボン集合体を使用する熱転写プリンタに係り、特に、下地印刷を行った上に色インクにより重ね印刷し、この印刷画像の上に透明インクによりオーバーコート印刷を行うのに好適なインクリボン集合体およびこのインクリボン集合体を使用する熱転写プリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱転写プリンタは、その高印刷品質、低騒音、低コストおよびメンテナンスの容易性などの理由により、コンピュータ、ワードプロセッサなどの出力装置として広く使用されている。
【0003】このような熱転写プリンタにおいては、サーマルヘッドに形成された複数の発熱素子を選択的に駆動制御して、インクフィルムのインクを受像紙(印刷用紙)に溶融・転写させることで、所望の画像の印刷を行なうようにしている。
【0004】つまり、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクレートなどからなる1〜5ミクロン程度の厚さの耐熱性フィルム上に、常温では固体となるインク層を均一に約0.5〜10ミクロン程度の厚さで塗布したインクフィルムを用い、このインクフィルムと受像紙とを介してサーマルヘッドをプラテンに圧接した状態で、サーマルヘッドの発熱素子を印刷信号に基づいて選択的に駆動制御してインクフィルムのインク層を溶融し受像紙に転写させた後、インクフィルムを受像紙から引き剥がすことで、所望の画像を印刷するようにしているものである。
【0005】このような熱転写プリンタにおいては、印刷用紙の表面が平滑でない場合や、印刷用紙の表面にコーティングがなされている場合に、一部のインクが印刷用紙に付着しなかったり、また、印刷用紙に転写されたインクが擦れることで剥離してしまい、鮮明な印刷結果が得られないという不具合があった。
【0006】このため、所定の色のインクにより印刷する前に、予め用紙の表面を平滑化したり、インクが転写され易い状態とすることを目的として、透明インクや白インクを印刷しておき、この下地印刷の上に所定の色のインクで重ね印刷し、さらに、擦過性をよくするために、透明インクを印刷画像の上面に重ね印刷するといった印刷方法が提案されている。
【0007】そして、このような印刷方法を用いる熱転写プリンタとして、インクフィルムの一種であるインクリボンがそれぞれ収納された複数個のリボンカセットをキャリッジと対向する部位に保持させて、印刷に応じて自動的に所望のリボンカセットを選択・交換して印刷を行う、いわゆるオートチェンジャ方式の熱転写プリンタが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した熱転写プリンタにおいては、バーコードなどのコードを印刷する際に、画像印刷の途中でインクリボンの終端マークを検出するなどしてインクリボンの終了を認識した場合、新しいリボンカセットに交換して印刷を続けることになるが、このリボンカセットの交換時におけるキャリッジのホームポジションの位置検出精度により、リボンカセット交換前後の印刷に0.05〜0.2mm程度の隙間や重複部分を生じてしまうことがあり、このような印刷ずれが生じた場合、コードの読取りエラーが発生してしまうという不貝合があった。
【0009】前述した画像印刷に対して、下地印刷は画像印刷を良好に行うことを目的とするもので、また、重ね印刷における最終的な印刷である透明インクによるオーバーラップ印刷は、印刷された画像であるコードの保護を目的とするもので、色調も透明であるために、印刷の途中で終端となりリボンカセットが交換されて、下地印刷やオーバーラップ印刷におけるつながり部分がずれた場合でも、コードの読取りのエラーにつながることはない。
【0010】本発明は、これらの点に鑑みなされたもので、所定の色インクによる画像印刷は、必ず印刷領域の終端まで印刷できるようにして、印刷の途中でインクリボンのエンドとならないようにしたインクリボン集合体およびこのインクリボン集合体を使用する熱転写プリンタを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するため請求項1に係る本発明のインクリボン集合体の特徴は、印刷精度に影響の少ない少なくとも1つのインクリボンの長さを、その他のインクリボンよりも短く形成し、この長さの短いインクリボンの終端部に終端マークを形成した点にある。そして、このような構成を採用したことにより、1つの印刷領域の印刷の途中において長さの短いリボンエンドが検出された時点においては、その他のインクリボンはこの長さの短い少なくとも1つのインクリボンより長さが長いので、その印刷領域の印刷は終えており、長さが長いインクリボンによる印刷に継ぎ目が生じることがない。
【0012】請求項2に係る本発明のインクリボン集合体の特徴は、前記長さの短いインクリボンを最上層の印刷に使用されるインクリボンとした点にあり、また、請求項3に係る本発明のインクリボン集合体の特徴は、この最上層の印刷に使用されるインクリボンが、透明インクを有するオーバーコート用インクリボンである点にある。そして、このような構成を採用したことにより、1つの印刷領域の印刷の途中でリボンエンドが検出され、インクリボンの交換を行う必要があっても、それまでのインクリボンによる印刷領域と新たなインクリボンによる印刷領域とに隙間あるいは重複部分といった継ぎ目が生じても問題が生じない。
【0013】請求項4に係る本発明のインクリボン集合体の特徴は、前記長さの短いインクリボンを最下層の印刷に使用されるインクリボンとした点にある。そして、このような構成を採用したことにより、最下層は印刷精度に影響が少ないので、1つの印刷領域の印刷の途中でリボンエンドが検出され、インクリボンの交換を行う必要があっても、それまでのインクリボンによる印刷領域と新たなインクリボンによる印刷領域とに隙間あるいは重複部分といった継ぎ目が生じても印刷が可能である。ただし、その上に重積されるボイスコードなどの印刷を確実にするためには、継ぎ目に隙間が設けられるより重複部分を設けるようにした方がよい。この場合の重複部分の長さは1mm程度とすることが特に望ましい。
【0014】請求項5に係る本発明のインクリボン集合体の特徴は、前記長さの短いインクリボンの長さを、その他のインクリボンよりも少なくとも1つの印刷領域を印刷するのに要する長さだけ短く形成した点にある。そして、このような構成を採用したことにより、同一の長さの複数の印刷領域を繰り返し印刷する場合に、長さの短いインクリボン以外のインクリボンによる印刷においては、かならず1つの印刷領域の印刷を終了することができる。
【0015】請求項6に係る本発明の熱転写プリンタの特徴は、印刷精度に影響の少ない少なくとも1つのインクリボンの長さを、その他のインクリボンよりも短く形成し、この長さの短いインクリボンの終端部に終端マークを形成するとともに、この長さの短いインクリボンの終端マークを検出する検出部と、この検出部が検出した前記インクリボンの終端マークによりリボンエンドと判断し、このリボンエンドを報知する制御部とを備えた点にある。そして、このような構成を採用したことにより、1つの印刷領域の印刷の途中において長さの短い少なくとも1つのインクリボンのリボンエンドが検出部により検出され、制御部によりリボンエンドが報知され、少なくともこの長さの短い少なくとも1つのインクリボンを交換する必要があるが、このリボンエンドが報知された時点では、その他のインクリボンはこのインクリボンより長さが長いので、その印刷領域の印刷は終えており、長さが長いインクリボンによる印刷に継ぎ目が生じることがない。
【0016】請求項7に係る本発明の熱転写プリンタの特徴は、印刷精度に影響の少ないインクリボンの長さを、その他のインクリボンよりも少なくとも1つの印刷領域を印刷するのに要する長さだけ短くした点にある。そして、このような構成を採用したことにより、同一の長さの複数の印刷領域を繰り返し印刷する場合に、長さの短いインクリボン以外のインクリボンによる印刷においては、かならず1つの印刷領域の印刷を終了することができる。
【0017】請求項8に係る本発明の熱転写プリンタの特徴は、検出部が長さの短いインクリボンの終端マークを検出すると、制御部がすべてのインクリボンがリボンエンドである旨を報知するようになっている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、長さの長いインクリボンは多少無駄になるが、この時点ですべてのインクリボンを交換することにより、その後の印刷においても、長さの長いインクリボンにあっては1つの印刷領域の印刷途中でリボンエンドがきてしまうことがない。
【0018】請求項9に係る本発明の熱転写プリンタの特徴は、制御部が、前記検出部が長さの短いインクリボンの終端マークを検出すると、すべてのインクリボンがリボンエンドである旨を報知するとともに、残っているすべてインクリボンをリボンエンドまで送るようになっている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、いわゆるマルチタイプリボンの場合に自動的に頭出しを行うことができる。
【0019】請求項10に係る本発明の熱転写プリンタの特徴は、制御部が、残っているすべてインクリボンを所定量送ったときにリボンエンドにならないインクリボンがあった場合、このインクリボンの状況に問題があることを報知するようになっている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、リボンエンドにならないインクリボンには、切断あるいは巻取り不良などの問題のあることを認識することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は受像紙として光沢のある写真Pの表面に、音声を再生するためのボイスコードVCを熱転写プリンタにより印刷した状態を示す図であり、このボイスコードVCは全体として長方形状をなし、微細な点の集合体により構成されている。そして、写真Pをコードリーダに掛けて、このコードリーダがボイスコードVCを読み取ることにより、音声が再生されることになる。
【0021】ところで、前記ボイスコードVCは、熱転写プリンタにより長手方向に沿って印刷されることになるが、写真Pの表面には、光沢用のコーティングがなされているため、直接インクの乗りが悪い状態となっている。そこで、写真Pの表面にボイスコードVCを印刷するためには、まず、図2に示すように、写真Pの表面のボイスコード本体VCを形成する部位の全域に、透明あるいは白色のインクFIによる下地Fの印刷をする。そして、インクの乗りやすい下地Fの上に所定の色インクCIによりボイスコード本体VMを重ね印刷する。さらに、このボイスコード本体VMの擦過性をよくするためボイスコード本体VMおよび露出している下地Fの全域に、透明インクTIによりオーバコートOCを重ね印刷を行う。このようにしてボイスコードVCの印刷が完成する。
【0022】ところで、このような印刷を行う熱転写プリンタの実施形態が図7ないし図9に示されている。
【0023】本実施形態の熱転写プリンタ1には、フレーム(図示せず)の所望の位置に平板状のプラテン2がその印刷面2aがほぼ垂直となるように配設されており、このプラテン2の前側下方には、ガイドシャフト3がプラテン2と平行に配設されている。そして、前記ガイドシャフト3には、上下に分割されたキャリッジ4が可動に支持されており、下方に示す一方のキャリッジ4aは、ガイドシャフト3に支持される下キャリッジ4aとされ、上方に示す他方のキャリッジ4bは、後述するインクリボンを収納したリボンカセット5が装着されるとともに前記下キャリッジ4aに対し上下方向に接離可能とされた上キャリッジ4bとされている。
【0024】前記キャリッジ4は、1対のプーリ(図示せず)に巻回されている適宜な駆動ベルト6を、ステッピングモータなどの駆動手段(図示せず)により駆動させて、ガイドシャフト3に沿って往復動自在に駆動されるようになっている。
【0025】前記キャリッジ4には、プラテン2に対向しこのプラテン2に対して駆動モータの駆動力をもって動作可能な周知のヘッド移動機構(ともに図示せず)により接離自在とされたサーマルヘッド7が配設されており、このサーマルヘッド7は、前記プラテン2に対して当接した圧接状態(ヘッドダウン状態)においてプラテン2上に搬送された受像紙に印刷を行うようになっている。そして、このサーマルヘッド7は、キーボードなどの適宜な入力装置(図示せず)により入力された所望の印刷情報に基づいて選択的に発熱される整列配置された複数の発熱素子(図示せず)を備えている。
【0026】また、前記サーマルヘッド7は、後述する制御部25により、通電エネルギを15段階に選択的に制御、すなわち、各発熱素子に対する通電時間を15段階に制御されるようになっている。
【0027】前記キャリッジ4についてさらに詳しく説明すると、このキャリッジ4は、前記下キャリッジ4aの上面とほぼ平行をなす板状の上キャリッジ4bが平行クランク機構8により下キャリッジ4aに対して接離するように平行移動自在に取着されて構成されている。この平行クランク機構8は、図9に示すように、キャリッジ4の左右両端にそれぞれ設けられ、互いにX状に交差した各1対のリンク9a,9bを有しており、これらのリンク9a,9bの交差位置はピン10aにより枢着され、リンク9a,9bの端部はピン10b,10c,10d,10eによりそれぞれ下キャリッジ4aおよび上キャリッジ4bの左右側部の上端部に形成された長孔(図示せず)に摺動自在に係止されている。
【0028】また、前記下キャリッジ4aには、回転クランク機構11が配設されており、この回転クランク機構11により上キャリッジ4bの平行移動の操作がなされるようになっている。この回転クランク機構11は、下キャリッジ4aに回転駆動できるように支持された回転部材をなす回転板12と、この回転板12の偏心位置にピン13aにより枢着された連結部材をなす連結リンク14とから構成されており、この連結リンク14の先端が前記上キャリッジ4bにピン13bにより枢着されて構成されている。そして、前記回転板12は、モータなどの適宜な駆動手段(図示せず)により回転駆動されるようになっている。
【0029】図7に戻って、前記上キャリッジ4bの左右両側部には、先端が相互に内側に緩やかに彎曲し上下端に突起が形成された係合部15aとされている板状のアーム15がほぼリボンカセット5の幅と等しい間隔を隔てて立設されている。そして、この上キャリッジ4bの幅方向の中央部には、相互に所定間隔を隔てて1対の回転可能なボビン16,16が上方に突出するように配設されており、これらのボビン16によりインクリボン17が所定の方向に走行可能とされている。この1対のボビン16は、一方がインクリボン17を送出する送出ボビン16aとされ、他方がインクリボン17を巻取る巻取ボビン16bとされている。
【0030】また、前記キャリッジ4のプラテン2に対して遠方側の端縁上には、リボンカセット5に収納されたインクリボン17の種類を検出するセンサ18として、フォトセンサ18aが配設されている。このフォトセンサ18aとしては、本実施形態においては反射型のものが用いられている。そして、前記フォトセンサ18aは、熱転写プリンタ1の所望の位置に配設された熱転写プリンタ1の印刷動作などの制御をつかさどる制御部25に接続されている。
【0031】図7および図8に示すように、前記キャリッジ4の上方には、適宜な間隔を隔てて、図示しないフレームに図8において両矢印Aにて示すように開閉自在に支持されたほぼ板状のキャノピ19が配設されている。このキャノピ19は、閉状態において、紙送り機構(図示せず)の出口側の紙押えとして機能するものであり、前記キャリッジ4と対向するようにして配設されており、キャリッジ4の移動領域とほぼ同一の長さとされている。
【0032】前記キャノピ19のキャリッジ4と平行に対峙する下面の所定位置には、前記リボンカセット5を保持する複数のカセットホルダ(図示せず)が設けられており、このカセットホルダにより3種類のインクリボン17a,17b,17cが個別に収納された3つのリボンカセット5がキャリッジ4の移動方向に整列状に配設されるようになっている。
【0033】このうち、前記インクリボン17aは、図2R>2において説明した写真Pの表面のボイスコード本体VMを形成する部位の全域に、透明あるいは白色のインクFIによる印刷精度に影響の少ない最下層としての下地Fを印刷するために使用されるものである。このインクリボン17aは、図3に示すように、一例として4.5μmの膜厚からなるPETフィルムからなる基材30を有しており、この基材30の背部に、前記サーマルヘッド7と直接接触し、サーマルヘッド7の熱によるサーマルヘッド7の基材30への貼着を防止し、サーマルヘッド7とインクリボン17aとの間の滑り性をよくするためのフッ素系樹脂からなる背面層31が一例として0.3μmの膜厚をもって積層されている。
【0034】一方、前記基材30の前記背面層31と反対側の面には、樹脂系材料からなる剥離層32が一例として0.2μmの膜厚をもって積層されている。また、前記剥離層32の前記基材30と反対側の面には、色インクCIによるボイスコード本体VMを乗りやすくするための熱可塑性エラストマからなる受像層33が適宜の厚さ積層されている。さらに、この受像層33の前記剥離層32と反対側の面には、写真の画像を隠す作用を有するチタニア入りの白色インク層34が適宜の厚さ積層されている。さらにまた、この白色インク層34の前記受像層33と反対側の面には、熱可塑性エラストマを主体として、ワックス類、高級脂肪酸アミド、エステル、フッ素樹脂などのブロッキング防止剤を添加し、写真Pの表面に良好に接着させるための接着層35が積層されている。
【0035】つぎに、前記インクリボン17bは、下地Fの上にボイスコード本体VMを重ね印刷するために使用されるものである。このインクリボン17bは、図4に示すように、一例として2.5μmの膜厚からなるPETフィルムからなる基材40を有しており、この基材40の背部に、前記背面層31と同様の機能を有するシリコン系材料からなる背面層41が一例として0.25μmの膜厚をもって積層されている。
【0036】一方、前記基材40の前記背面層41と反対側の面には、ワックス系材料からなる剥離層42が一例として1.0μmの膜厚をもって積層されている。また、前記剥離層42の前記基材40と反対側の面には、ロジン系粘着付与剤からなり後述するオーバコートOCの乗りをよくするための中間層43が一例として0.3μmの厚さをもって積層されている。さらに、この中間層43の前記剥離層42と反対側の面には、ボイスコード本体VMを形成するのに寄与するレジン系材料からなる着色インク層44が一例として1.2μmの厚さをもって積層されている。
【0037】さらに、前記インクリボン17cは、露出している下地Fおよびボイスコード本体VMの上に印刷精度に影響の少ないオーバコートOVを重ね印刷するために使用されるものである。このインクリボン17cは、図5に示すように、一例として4.5μmの膜厚からなるPETフィルムからなる基材50を有しており、この基材50の背部に、前記背面層31,41と同様の機能を有するフッ素系樹脂からなる背面層51が適宜の厚さ積層されている。
【0038】一方、前記基材50の前記背面層51と反対側の面には、レジン系材料からなる透明インク層52が適宜の厚さをもって積層されている。また、前記透明インク層52の前記基材50と反対側の面には、前記接着層35と同様の材料からなり、下地Fおよびボイスコード本体VMとの接着性を良好にするための接着層53が積層されている。
【0039】そして、本実施形態においては、最上層をなすオーバコートOCの印刷に使用されるインクリボン17cの長さは、図6に示すように、その他の印刷に使用されるインクリボン17a,17bの長さより短く形成されている。これらのインクリボン17cと両インクリボン17a,17bとの長さの差は、少なくとも1つの印刷領域であるボイスコードVCの長手方向の長さとされている。また、長さが異なる2つ以上のボイスコード本体VMの印刷を行う可能性のある場合におけるインクリボン17cと両インクリボン17a,17bとの長さの差は、最大長さのボイスコードVCの1つの長手方向長さ以上とされている。なお、図6と異なり同じく印刷精度に影響の少ない最下層をなす下地Fの印刷に使用されるインクリボン17aの長さを他の印刷に使用されるインクリボン17b,17cの長さより短く形成するようにしてもよい。
【0040】さらに、各インクリボン17の終端には各インクリボン17のリボンエンドを検出されるのに使用される縞状の終端マーク60がそれぞれ形成されている。
【0041】図7に戻って、前記キャリッジ4の下キャリッジ4aの前記サーマルヘッド7の側方には、上キャリッジ4b上に装着されたリボンカセット5の開口(図示せず)に対向し、インクリボン17の終端マーク60を検出する検出部としてのフォトセンサ27が配設されている。このフォトセンサ27は熱転写プリンタの前記制御部25と接続されており、このフォトセンサ27がリボンカセット5に収納されているインクリボン17の終端マーク60を検出すると、この検出信号が制御部25に出力されるようになっている。また、前記制御部25には、前記フォトセンサ27からの検出信号が入力されると、リボンエンドをディスプレイや音声により使用者に報知する報知部26が設けられている。
【0042】ところで、前記各リボンカセット5内に収納されているインクリボン17a,17b,17cの長さは、最上層の印刷に使用されるインクリボン17cがその他のインクリボン17a,17bより短くされているが、3種類のリボンカセット5を同時に使用開始すれば、ボイスコードVCを印刷するためには、下地F、ボイスコード本体VM、オーバコートOCをそれぞれ等しい長さずつ使用するので、フォトセンサ27による長さの短いインクリボン17cについての終端マーク60の検出が最初に行われる。このとき、制御部25は、インクリボン17cのみならず、まだ実際にはエンド検出がされていない他の2つのインクリボン17a,17bについてもエンド検出されたことにして、報知部26において報知するようにしている。
【0043】これは、ボイスコード本体VMの印刷においては、1つのボイスコードVCの印刷中にインクリボン17a,17bの交換を行うと、交換後のインクリボン17a,17bによる印刷の際に隙間や重複部分といった継ぎ目が生じ、形成されたボイスコードVCに不都合が生じるのに対し、最上位のオーバコートOCにおいては、仮に印刷に隙間や重複部分が生じても、格別の悪影響が生じないから、最上層用のインクリボン17cのリボンエンドが検出されたらすべてのリボンカセット5を同時に交換するためである。
【0044】そして、前記各リボンカセット5は、図8に両矢印Bにて示すように、回転クランク機構11に伴って動作する平行クランク機構8の動作により、キャノピ19と上キャリッジ4bとの間で選択的に受け渡しが行われるようになっている。
【0045】本実施形態の各リボンカセット5は、インクリボン17の種類にかかわらず、すべてが同一形状、同一寸法に形成されており、上下1対とされた平面ほぼ矩形のケース本体20内には、図示しない回転自在に支持された1対のリール、回転自在に支持された1対のリボン送りローラ、回転自在に支持されたリボン経路に臨んでいる複数のガイドローラなどが配設されている。
【0046】そして、1対のリール間にインクリボン17が巻回され、インクリボン17の中間部が外部に導出されている。この1対のリールは、リボンカセット5が上キャリッジ4bに搭載されると、その一方は、印刷に供した部分のインクリボン17を巻取る巻取りリールとされ、他方は、インクリボンを送出する送出リールとされている。そして、各リールの内周面には、複数のキー溝が周方向に間隔を隔ててスプライン状に形成されており、巻取りリールの内周面は、前記巻取りボビン16bが係合される巻取り孔21bとされ、送出リールの内周面は、前記送出ボビン16aが係合される送出孔21aとされている。
【0047】また、前記リボンカセット5がキャリッジ4に搭載された状態でプラテン2と対向するリボンカセット5の面には、サーマルヘッド7が外部に臨む凹部22が形成されており、この凹部22内においてインクリボン17の中間部が導出されている。
【0048】さらに、リボンカセット5の凹部22が形成された面と平行に延在する後面には、各リボンカセット5内に収納されているインクリボン17の種類を判別するための識別マーク23が配置されている。本実施形態の識別マーク23は、インクリボン17の種類によって異なる数の縞状の非反射部24aを有する反射シール24により形成されている。
【0049】そして、この識別マーク23をキャリッジ4に設けたフォトセンサ18aによって検出し、この検出信号を熱転写プリンタ1の制御部25に出力し、この制御部25内において各リボンカセット5における識別マーク23の数を計数することによりリボンカセット5内に収納されているインクリボン17a,17b,17c,17dの種類を判別するようになっている。
【0050】つまり、図7において最も左方に示すリボンカセット5aには、3本の非反射部24aを有する反射シール24Aが識別マーク23として配置されている。そして、リボンカセット5の図7において手前側に示す後面の左端部が識別マーク23の検出のための基準位置BPとされ、識別マーク23の図7において右端に位置する非反射部24aの右端面までの距離Lを、すべての識別マーク23において同一とするとともに、この距離L内にインクリボン17aの種類を識別するための所望の非反射部24aが形成されている。そして、使用に供する識別マーク23をフォトセンサ18aが検出した状態でキャリッジ4が停止可能とされており、キャリッジ4が停止した状態で、カセットホルダに収納されているリボンカセット5が上キャリッジ4bへ受け渡されるようになっている。
【0051】なお、前記制御部25は、短い長さのインクリボン17cのエンド検出がされた場合、まだ実際にはエンド検出がされていない他の2つのインクリボン17a,17bについてもエンド検出されたことにして、報知部26において報知した後に、他の2つのインクリボン17a,17bが収納されている各リボンカセット5a,5bを順次キャリッジ4に搭載して、各インクリボン17a,17bをリボンエンドまで送るように制御を行うようになっている。これは、各インクリボン17がいわゆるマルチリボンである場合に、自動的に頭出しができるようにするためである。また、前記制御部25は、各インクリボン17a,17bをリボンエンドまで送るために所定量送っても、そのインクリボン17a,17bの終端マーク60が検出できない場合、このインクリボン17a,17bの状況に問題があることを報知部26より報知するようになっている。これは、リボンエンドにならないインクリボン17a,17bには、切断あるいは巻取り不良などの問題があると認識できるからである。
【0052】つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0053】本実施形態における熱転写プリンタにおいて、キャノピ19に装着されており3種類のインクリボン17a,17b,17cが個別に収納されているリボンカセット5a,5b,5cとしては、同時に交換された新しいものとされている。そして、本実施形態の熱転写プリンタに、ホストコンピュータなどにより印刷されるボイスコードについての情報が制御部25に送信されると、この制御部25からの指令により、ホームポジションに位置するキャリッジ4を移動させて、キャリッジ4に配設したフォトセンサ18aが、リボンカセット5の識別マーク23を検出する。すると、フォトセンサ18aは、非反射部24aの配列およびピッチなどの構成による各識別マーク23の固有の検出信号を制御部25に送出し、制御部25において発せられた指令に対応する識別マーク23かどうかを判断し、指令に対応する識別マーク23の場合には、キャリッジ4の移動を停止する。なお、本実施形態においては、下地F、ボイスコード本体VM、オーバコートOCの順に印刷を行うので、まず、下地用のインクリボン17aが収納されているリボンカセット5aを識別する。
【0054】そして、選択された下地用のインクリボン17aを収納されているリボンカセット5aが、平行クランク機構8および回転クランク機構11によって、図8R>8に両矢印Bにて示すように、キャノピ19から上キャリッジ4bへと選択的に受け渡されて、リボンカセット5aがキャリッジ4に装着されてリボンカセット5aの選択動作が終了する。
【0055】ついで、ボイスコードの印刷が行われる写真Pが、プラテン2とサーマルヘッド7との間に人手あるいは図示しない給紙装置によりセットされ下地Fの印刷が開始される。そして、制御部25からの指令により、サーマルヘッド7をヘッドダウンさせて、インクリボン17aおよび写真Pを介してプラテン2に圧接させるとともに、キャリッジ4を移動させる。このようにサーマルヘッド7を写真Pに対して移動させつつ、ボイスコード本体VMの形成部位の全域に対応するサーマルヘッド7の各発熱素子を発熱させると、前記インクリボン17aの受像層33の熱可塑性エラストマおよび白色インク層34の白色インクが剥離層32から剥離されて写真Pに転写される。
【0056】このようにして下地Fの印刷が終了したら、この下地Fの印刷に使用されたリボンカセット5aを前述したと逆の動作により上キャリッジ4bからキャノピ19へ受け渡し、ついで、ボイスコード本体VMの印刷に使用されるインクリボン17bが収納されているリボンカセット5bを識別し、このリボンカセット5bをキャノピ19から上キャリッジ4bへ受け渡して、ボイスコード本体VMの印刷が開始される。
【0057】すなわち、制御部25からの指令により、サーマルヘッド7をヘッドダウンさせて、インクリボン17bおよび写真Pを介してプラテン2に圧接させるとともに、キャリッジ4を移動させる。このようにサーマルヘッド7を写真Pに対して移動させつつ、ボイスコード本体VMに対応するサーマルヘッド7の各発熱素子を発熱させると、前記インクリボン17bの中間層43のロジン系粘着付与剤および着色インク層44のインクが剥離層42から剥離されて写真Pに転写され、音声に対応したドットの集合体であるボイスコード本体VMの印刷が終了する。
【0058】このようにしてボイスコード本体VMの印刷が終了したら、このボイスコード本体VMの印刷に使用されたリボンカセット5bを前述したと逆の動作により上キャリッジ4bからキャノピ19へ受け渡し、ついで、オーバコートOCの印刷に使用されるインクリボン17cが収納されているリボンカセット5cを識別し、このリボンカセット5cをキャノピ19から上キャリッジ4bへ受け渡して、オーバコートOCの印刷が開始される。
【0059】すなわち、制御部25からの指令により、サーマルヘッド7をヘッドダウンさせて、インクリボン17cおよび写真Pを介してプラテン2に圧接させるとともに、キャリッジ4を移動させる。このようにサーマルヘッド7を写真Pに対して移動させつつ、ボイスコード本体VMおよび露出している下地Fの全域に対応するサーマルヘッド7の各発熱素子を発熱させると、前記インクリボン17cの透明インク層52の透明インクおよび接着層53の熱可塑性エラストマを主体とする接着剤が基材50から剥離されて写真Pに転写され、ボイスコード本体VMの擦過性を向上するためのオーバコートOCの印刷が終了する。
【0060】このようにして1つのボイスコードVCの印刷が完了したら、つぎのボイスコードVCの印刷に移るわけであるが、このためには、これまでキャリッジ4に搭載していたオーバコートOC用のリボンカセット5cを下地Fの印刷用のリボンカセット5aに代えて、再度、下地Fの印刷を行い、ついで、ボイスコード本体VMおよびオーバコートOCの印刷を行う。
【0061】前述したようにして、下地F、ボイスコード本体VMおよびオーバコートOCからなるボイスコードVCの印刷を繰り返すと、各リボンカセット5に収納されているインクリボン17が次第に消耗してくる。
【0062】ところで、各リボンカセット5に収納されている各インクリボン17の長さは、最上層であるオーバコートOC用のインクリボン17cがその他のインクリボン17a,17bに較べて少なくともボイスコードVCの長さ分だけ短くされているので、フォトセンサ27は、まず、オーバコートOC用のインクリボン17cの終端マーク60を検出することになる。
【0063】すると、制御部25は、実際にエンド検出されたインクリボン17cのみならず、まだ実際にはエンド検出がされていない他の2つのインクリボン17a,17bについてもエンド検出されたことにして、報知部26において音声および/または表示により報知する。その後、制御部25は、他の2つのインクリボン17a,17bが収納されている各リボンカセット5a,5bを順次キャリッジ4に搭載して、各インクリボン17a,17bをリボンエンドまで送るように制御を行う。
【0064】そこで、作業者はすべてのリボンカセット5を同時に交換する。これは、前述したようにボイスコード本体VMの印刷においては、1つのボイスコードVCの印刷中にインクリボン17a,17bの交換を行うと、交換後のインクリボン17a,17bによる印刷の際に隙間や重複部分といった継ぎ目が生じ、形成されたボイスコードVCに不都合が生じるのに対し、最上位のオーバコートOCにおいては、仮に印刷に隙間や重複部分といった継ぎ目が生じても、格別の悪影響が生じないからである。
【0065】なお、本実施形態とは異なるが、最下位の下地Fの印刷において仮に印刷に隙間や重複部分といった継ぎ目が生じた場合にも、大きな悪影響は生じない。すなわち、下地Fの印刷の際に重複部分が生じてもボイスコードVCの印刷に影響を与えないし、また、下地Fの印刷の際に隙間が生じてもボイスコードVCの印刷は可能である。
【0066】さらに、下地Fの印刷における継ぎ目とオーバコートOCの印刷における継ぎ目とを比較した場合、いずれの継ぎ目も実施的には問題のないレベルであるが、オーバコートOCの印刷における継ぎ目の方がより影響が少ないといえる。
【0067】以上説明したように、本実施形態の熱転写プリンタによれば、リボンカセット5cを交換することにより1つのボイスコードVCにおいてインクリボン17cによるオーバコートOCの印刷が2度に分けて行われることになり、オーバコートOCに隙間あるいは重複部分といった継ぎ目が生じても、このオーバコートOCにおいては、隙間あるいは重複部分が悪影響を及ぼさないので問題ない。
【0068】一方、前記オーバコートOC用のリボンカセット5cに収納されているインクリボン17cについての終端マーク60が検出された時点では、その他の下地Fとボイスコード本体VMについての印刷を行うリボンカセット5a,5bに収納されているインクリボン17a,17bは、まだエンド検出されておらず、残量があるが、リボンカセット5cの交換時には、これらのリボンカセット5a,5bも同時に交換するので、次回、インクリボン17cについてのエンド検出がなされるまでに、インクリボン17a,17bのエンド検出がなされることがない。したがって、印刷に隙間や重複部分が生じると形成されたボイスコードVCに不都合が生じることになるボイスコード本体VMの印刷は常に1回の印刷により形成されることになり、良好な再現性がえられるボイスコードVCを形成することができる。
【0069】なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、前述した実施形態においては、すべてのインクリボンに終端マークを形成したが、最上層の印刷を行うインクリボンのみに終端マークを形成するようにしてもよい。
【0070】また、印刷精度に影響の少ないインクリボンとして、例えば、最下層の印刷に使用されるインクリボンの長さを他のインクリボンより短くしてもよい。
【0071】さらに、最上層の印刷に使用されるインクリボンと最下層の印刷に使用されるインクリボンのいずれもというように2本以上のインクリボンを他のインクリボンより短くしてもよい。この場合、廃棄されるインクリボンの長さをさらに短くすることができる。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように本発明のインクリボン集合体は、印刷精度に影響の少ない少なくとも1つのインクリボンの長さを、その他のインクリボンよりも短く形成し、この長さの短いインクリボンの終端部に終端マークを形成したので、1つの印刷領域の印刷の途中において長さの短いリボンエンドが検出された時点においては、その他のインクリボンはこのインクリボンより長さが長いので、その印刷領域の印刷は終えており、長さが長いインクリボンによる印刷に継ぎ目が生じることがない。
【0073】また、長さの短いインクリボンを最上層の印刷に使用されるインクリボンとし、また、最上層の印刷に使用されるインクリボンを、透明インクを有するオーバーコート用インクリボンとすることにより、1つの印刷領域の印刷の途中でリボンエンドが検出され、インクリボンの交換を行う必要があっても、それまでのインクリボンによる印刷領域と新たなインクリボンによる印刷領域とに隙間あるいは重複部分といった継ぎ目が生じても問題が生じない。
【0074】さらに、前記長さの短いインクリボンを最下層の印刷に使用されるインクリボンとすることにより、最下層は印刷精度に影響が少ないので、1つの印刷領域の印刷の途中でリボンエンドが検出され、インクリボンの交換を行う必要があっても、それまでのインクリボンによる印刷領域と新たなインクリボンによる印刷領域とに隙間あるいは重複部分といった継ぎ目が生じても問題が生じない。
【0075】さらにまた、長さの短いインクリボンの長さを、その他のインクリボンよりも少なくとも1つの印刷領域を印刷するのに要する長さだけ短く形成することにより、同一の長さの複数の印刷領域を繰り返し印刷する場合に、長さの短いインクリボン以外のインクリボンによる印刷においては、かならず1つの印刷領域の印刷を終了することができる。
【0076】一方、本発明の熱転写プリンタは、印刷精度に影響の少ない少なくとも1つのインクリボンの長さを、その他のインクリボンよりも短く形成し、この長さの短いインクリボンの終端部に終端マークを形成するとともに、この長さの短いインクリボンの終端マークを検出する検出部と、この検出部が検出した前記インクリボンの終端マークによりリボンエンドと判断し、このリボンエンドを報知する制御部とを備えているので、1つの印刷領域の印刷の途中において長さの短いインクリボンのリボンエンドが検出部により検出され、制御部によりリボンエンドが報知され、少なくともこのインクリボンを交換する必要があるが、このリボンエンドが報知された時点では、その他のインクリボンはこのインクリボンより長さが長いので、その印刷領域の印刷は終えており、長さが長いインクリボンによる印刷に継ぎ目が生じることがない。
【0077】また、印刷精度に影響の少ないインクリボンの長さを、その他のインクリボンよりも少なくとも1つの印刷領域を印刷するのに要する長さだけ短くすることにより、同一の長さの複数の印刷領域を繰り返し印刷する場合に、長さの短いインクリボン以外のインクリボンによる印刷においては、かならず1つの印刷領域の印刷を終了することができる。
【0078】さらに、検出部が長さの短いインクリボンの終端マークを検出すると、制御部がすべてのインクリボンがリボンエンドである旨を報知するようになっているので、長さの長いインクリボンは多少無駄になるが、この時点ですべてのインクリボンを交換することにより、その後の印刷においても、長さの長いインクリボンにあっては1つの印刷領域の印刷途中でリボンエンドがきてしまうことがない。
【0079】さらにまた、制御部が、前記検出部が長さの短いインクリボンの終端マークを検出すると、すべてのインクリボンがリボンエンドである旨を報知するとともに、残っているすべてインクリボンをリボンエンドまで送るようになっていることにより、いわゆるマルチタイプリボンの場合に自動的に頭出しを行うことができる。
【0080】また、制御部が、残っているすべてインクリボンを所定量送ったときにリボンエンドにならないインクリボンがあった場合、このインクリボンの状況に問題があることを報知するようになっていることにより、リボンエンドにならないインクリボンには、切断あるいは巻取り不良などの問題のあることを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクリボン集合体および熱転写プリンタにより形成される写真上のボイスコードの実施形態を示す平面図
【図2】 図1における要部の縦断面図
【図3】 下地印刷用インクリボンの実施形態を示す縦断面図
【図4】 ボイスコード本体印刷用インクリボンの実施形態を示す縦断面図
【図5】 オーバコート印刷用インクリボンの実施形態を示す縦断面図
【図6】 各インクリボン長さの関係を示す平面図
【図7】 本発明の熱転写プリンタの実施形態を示す要部の斜視図
【図8】 図7のキャリッジ近傍の詳細を示す側面図
【図9】 図7の平行クランク機構および回転クランク機構の詳細を示す側面図
【符号の説明】
1 熱転写プリンタ
2 プラテン
4 キャリッジ
4a 下キャリッジ
4b 上キャリッジ
5(5a,5b,5c) リボンカセット
7 サーマルヘッド
8 平行クランク機構
11 回転クランク機構
17(17a,17b,17c) インクリボン
18 リボンカセット識別用フォトセンサ
19 キャノピ
25 制御部
26 報知部
27 インクリボンのエンド検出用フォトセンサ
60 終端マーク
P 写真
VC ボイスコード
F 下地
VM ボイスコード本体
OC オーバコート

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のインクリボンを用いるとともに、それぞれのインクリボンを定められた順序で使用して重ね印刷を行う熱転写プリンタに使用されるインクリボン集合体であって、印刷精度に影響の少ない少なくとも1つのインクリボンの長さを、その他のインクリボンよりも短く形成し、この長さの短いインクリボンの終端部に終端マークを形成したことを特徴とするインクリボン集合体。
【請求項2】 前記長さの短いインクリボンを最上層の印刷に使用されるインクリボンとしたことを特徴とする請求項1に記載のインクリボン集合体。
【請求項3】 前記最上層の印刷に使用されるインクリボンは、透明インクを有するオーバーコート用インクリボンであることを特徴とする請求項2に記載のインクリボン集合体。
【請求項4】 前記長さの短いインクリボンを最下層の印刷に使用されるインクリボンとしたことを特徴とする請求項1に記載のインクリボン集合体。
【請求項5】 前記長さの短いインクリボンの長さを、その他のインクリボンよりも少なくとも1つの印刷領域を印刷するのに要する長さだけ短く形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のインクリボン集合体。
【請求項6】 複数のインクリボンを用い、まず、透明インクあるいは白インクを有するインクリボンにより下地印刷を行い、つぎに、この下地印刷に重ねて所定の色インクを有するインクリボンにより印刷し、さらに、印刷後の画像形成領域部分を透明インクを有するインクリボンにより重ね印刷するようにした熱転写プリンタにおいて、印刷精度に影響の少ない少なくとも1つのインクリボンの長さを、その他のインクリボンよりも短く形成し、この長さの短いインクリボンの終端部に終端マークを形成するとともに、この長さの短いインクリボンの終端マークを検出する検出部と、この検出部が検出した前記インクリボンの終端マークによりリボンエンドと判断し、このリボンエンドを報知する制御部とを備えたことを特徴とする熱転写プリンタ。
【請求項7】 前記長さの短いインクリボンの長さを、その他のインクリボンよりも少なくとも1つの印刷領域を印刷するのに要する長さだけ短く形成したことを特徴とする請求項6に記載の熱転写プリンタ。
【請求項8】 前記制御部は、前記検出部が長さの短いインクリボンの終端マークを検出すると、すべてのインクリボンがリボンエンドである旨を報知するようになっていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の熱転写プリンタ。
【請求項9】 前記制御部は、前記検出部が長さの短いインクリボンの終端マークを検出すると、すべてのインクリボンがリボンエンドである旨を報知するとともに、残っているすべてインクリボンをリボンエンドまで送るようになっていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の熱転写プリンタ。
【請求項10】 前記制御部は、残っているすべてインクリボンを所定量送ったときにリボンエンドにならないインクリボンがあった場合、このインクリボンの状況に問題があることを報知するようになっていることを特徴とする請求項9に記載の熱転写プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2000−71589(P2000−71589A)
【公開日】平成12年3月7日(2000.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−106723
【出願日】平成11年4月14日(1999.4.14)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)