インク循環機構
【課題】サブタンクに貯留されるインク量が過貯留し、廃棄タンクに廃棄されるインクが通過するインク経路のジョイント箇所に大気圧以上の正圧が掛かるとサブタンクに混色したインクが逆流する。
【解決手段】画像記録装置のインク循環機構は、記録ヘッドから排出されたインクをインク色毎に一時的に貯留するサブタンクと、サブタンクで過貯留となったインクを廃棄する廃棄タンクとを備え、さらに、サブタンクと廃棄タンクの間に設けられて、インク色毎のサブタンクから過貯留となったインクが流入する流入口に対向して配置され、流入したインクの液面に従って浮遊動作するフロート部材が設けられた共通気室を備えて、フロート部材は、サブタンクから流入したインクが共通気室で所定の液面以上になった際に、流入口を塞ぎ、サブタンクからのインクの流入量を調整し且つ、サブタンクへ逆流を防止する。
【解決手段】画像記録装置のインク循環機構は、記録ヘッドから排出されたインクをインク色毎に一時的に貯留するサブタンクと、サブタンクで過貯留となったインクを廃棄する廃棄タンクとを備え、さらに、サブタンクと廃棄タンクの間に設けられて、インク色毎のサブタンクから過貯留となったインクが流入する流入口に対向して配置され、流入したインクの液面に従って浮遊動作するフロート部材が設けられた共通気室を備えて、フロート部材は、サブタンクから流入したインクが共通気室で所定の液面以上になった際に、流入口を塞ぎ、サブタンクからのインクの流入量を調整し且つ、サブタンクへ逆流を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式の画像記録装置に搭載されるインク循環機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェット方式の画像記録装置として、例えば記録紙やOHP用紙等の記録媒体を記録媒体搬送手段により搬送し、走査移動する又は固定された記録ヘッドに設けられた複数のノズルからインクを吐出することで、高画質の画像を形成する画像記録装置が知られている。
【0003】
このような画像記録装置として、例えば、特許文献1には、記録ヘッドのノズルからインクを吐出するために、一時的にインクを保持するサブタンクを記録ヘッドの下方に具備し、チューブで連通している構成が開示されている。また、サブタンクにインクを補給するためのメインタンクがチューブで連通されている、フルカラーの場合、色数のサブタンクを備えているが、各色のサブタンク内の圧力を制御するために、1つの発生源から共通の経路を用いている。
【0004】
このような構成において、サブタンクに過多なインクが供給される事態が発生した場合には、共通の経路内に異なる色のインクが流入して混合し、さらに混合されたインクがサブタンクに逆流して混色といわれる不具合が発生する虞がある。
【0005】
このような不具合を解決するために、廃棄インクタンクに接続されるチューブの途中に負圧発生ポンプが備えられている。
【0006】
この負圧発生ポンプにチューブ内が負圧となり、廃棄インクタンクへの吸引力が発生する。さらにチューブの途中には、サブタンクよりも低い位置に配置されたジョイントを介して、各サブタンクに接続チューブにより接続されている。このように、廃棄インクタンクに接続される負圧チューブと、各サブタンクに接続される接続チューブとの間に設けられたジョイントをサブタンクよりも低い位置に配置することで逆流による混色を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−115203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した特許文献1においては、サブタンクに過多なインクが流入して接続チューブを介してインクを排出した後に、そのチューブ内が大気圧となったとしても、ジョイント位置をサブタンクより低くしているため、残留したインクがサブタンクに逆流して混色することがない。
【0009】
しかし、この構成において、逆流による混色が防止できるのは、チューブ内が負圧から大気圧まで場合に限り有効であり、チューブ内が大気圧以上の正圧になった場合には、ジョイント位置を通過して、異なるインク色のサブタンクに流入して、混色が発生する事態が想定される。
【0010】
そこで本発明は、サブタンクに過多なインクが流入した際に、サブタンクと廃棄タンクを繋ぐインク経路内が負圧及び正圧のいずれ側に変化してもサブタンクへのインク流入を防止して、混色の発生を防止するインク循環機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、複数のノズル群毎に異なる複数色インクを吐出して、記録媒体上に画像を記録する記録ヘッドを有する画像記録部を備える画像記録装置であって、インク色毎に前記記録ヘッドに供給するインクを貯留する第1のタンク部と、前記記録ヘッドから排出されたインクをインク色毎に貯留する第2のタンク部と、前記第2のタンク部から前記第1のタンク部にインクが復帰するように循環させる循環ポンプと、前記第2のタンク部に貯留されて過貯留となったインクを廃棄する廃棄タンクと、前記第2のタンク部と前記廃棄タンクの間に設けられ、インク色毎に前記第2のタンク部から過貯留となったインクが流入する流入口に対向して配置され、流入したインクの液面に従って浮遊動作するフロート部材を備える共通気室と、を具備し、前記フロート部材は、前記第2のタンク部から前記共通気室に流入したインクが所定の液面以上になった際に、前記流入口を塞ぎ、前記第2のタンク部からのインクの流入量を調整するインク循環機構を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、サブタンクに過多なインクが流入した際に、サブタンクと廃棄タンクを繋ぐインク経路内が負圧及び正圧のいずれ側に変化してもサブタンクへのインク流入を防止して、混色の発生を防止するインク循環機構を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置の概略断面図である。
【図2】図2は、画像記録装置におけるインク循環系を示す模式図である。
【図3】図3は、第2のタンク部から廃液ボトルまでの経路の一例を示す図である。
【図4】図4は、筒状ガイド部材の周辺の拡大図である。
【図5】図5は、図4に示した筒状ガイド部材における破線n部分の断面図である。
【図6】図6は、インクがオーバーフローする前のインクの流入が開始された状態を示す図である。
【図7】図7は、インクが流入している状態を示す図である。
【図8】図8は、オーバーフローによりフロートがポートの開口を塞いでいる状態を示す図である。
【図9】図9は、オーバーフローが終了して、フロートが下降した状態を示す図である。
【図10】図10は、共通気室に設けられた複数の筒状ガイド部材を示す図である。
【図11】図11は、第1の実施形態の変形例における第2のタンク部から廃液ボトルまでの経路の一例を示す図である。
【図12】図12は、図11に示す破線Pにおける共通気室の断面構成を示す図である。
【図13】図13は、インクがオーバーフローする前のインクの流入が開始した状態を示す図である。
【図14】図14は、オーバーフローによりフロートがポートの開口を塞いでいる状態を示す図である。
【図15】図15は、貯留したインクが共通気室から排出されて、フロートが下降して再度、ポートからインクが流入している状態を示す図である。
【図16】図16は、インクがオーバーフローした時の共通気室内にインクの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置の概略断面図である。以下の説明において、図中、記録媒体の搬送方向をX軸方向又は副走査方向とし、この搬送方向と直交する方向をY軸方向又は主走査方向又は記録媒体の幅方向としている、また、X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向又は上下方向と称する。
【0015】
この画像記録装置1は、大別して、媒体供給部2、媒体搬送部3、画像記録部4、メンテナンスユニット5、インクボトルユニット(メインタンク)6、第1のタンク部(上流サブンタンク)7、熱交換部8、第2のタンク部(下流サブタンク)9、負圧調整部10、循環ポンプ部11、廃液ボトル12、媒体排出部13及び、制御部14により構成される。本実施形態の画像記録装置1においては、画像記録部4、第1のタンク部7、熱交換部8、第2のタンク部9、負圧調整部10、循環ポンプ部11及び各部位間を接続する不図示のチューブにより、インクを循環させるインク循環経路を形成している。
【0016】
媒体供給部2は、複数の記録媒体17を収容する収容トレイ15と、記録媒体17に当接するピックアップローラ16とから構成される。収容トレイ15に収容される記録媒体17としては、例えば、カットシートが用いられる。ピックアップローラ16は、収容された記録媒体17に当接して、1枚ずつピックアップし、搬送方向下流の媒体搬送部3へと給送する。
【0017】
媒体搬送部3は、媒体ガイド18と、レジストローラ対19と、ベルト搬送機構20とで構成される。ベルト搬送機構20は、従動ローラ21、テンションローラ22と、駆動ローラ23とに搬送ベルト24がテンションを持たせるように巻回されて構成され、ベルト内部には、プラテン25及び吸引ファン26が設けられている。
【0018】
レジストローラ対19は、ピックアップローラ16により給送された記録媒体17の先端部と当接して、搬送を一時的に停止させ、その搬送姿勢を矯正すると共に、制御部14から指示された搬送開始のタイミングに基づき、記録媒体17を搬送ベルト24に受け渡している。
【0019】
搬送ベルト24は、例えば帯状の無端ベルトであり、不図示の多数の孔が開口されている。この搬送ベルト24は、従動ローラ21と、2つのテンションローラ22と、駆動ローラ23の4つのローラによって、テンションが掛けられた状態で回転可能に保持されている。これらのうち、駆動ローラ23には、不図示の駆動モータが接続されており、駆動モータを回転させることにより、搬送ベルト24を矢印方向mに回転させる。
【0020】
また、プラテン25は、少なくとも画像記録部4と対向する領域が平面となるように形成され、不図示の多数の孔が開口されている。吸引ファン26は、プラテン25内部に配置されて、プラテン25の多数の孔及び搬送ベルト24の多数の孔から空気を吸引する。この吸引により、レジストローラ対19から受け渡された記録媒体17が先端から搬送ベルト24上に吸着され、搬送ベルト24の移動速度で下流側へ搬送される。
【0021】
その搬送される際に、プラテン25に対向して配置されている画像記録部4は、記録媒体17にインクを吐出して画像を記録する。この画像記録部4は、ヘッドユニット27,28,29,31(K色ヘッドユニット27,C色ヘッドユニット28,M色ヘッドユニット29及びY色ヘッドユニット31)と、インク分配器32,33,34,35(K色インク分配器32,C色インク分配器33,M色インク分配器34及びY色インク分配器35)と、インク回収器36,37,38,39(K色インク回収器36,C色インク回収器37,M色インク回収器38及びY色インク回収器39)と、ヘッドユニット保持部材42と、から構成されている。
【0022】
各ヘッドユニット27,28,29,31は、搬送方向と直交する方向に記録媒体17の幅以上となるように構成され、それぞれがヘッドユニット保持部材42によって保持されている。本実施形態では、各ヘッドユニット27,28,29,31は、それぞれに記録媒体の幅に満たないノズル列長を有する短尺な記録ヘッドを複数用いている。これらの短尺な記録ヘッドを、搬送方向と直交する方向に、交互で千鳥状に配置することで、全体として記録媒体の幅以上となるように構成している。
【0023】
図1に示したインク分配器32,33,34,35は、インク色毎に設けられた6個の記録ヘッドに対して、インクを均等に分配するための分配器である。また、インク回収器36,37,38,39は、6個の短尺ヘッドから吐出されなかったインクを一旦、一箇所に回収するための回収器である。
【0024】
メンテナンスユニット5は、図示しない移動機構を備え、ヘッドユニットによる記録実行時には、図1に示すように、4つのヘッドユニット27,28,29,31のそれぞれ媒体搬送方向の下流側の退避位置に、各ヘッドユニットと平行に並ぶように退避している。一方、メンテナンス実行時には、メンテナンスユニット5は、下降したベルト搬送機構20上に移動して媒体搬送方向に移動して、各ヘッドユニットに対向した後、上昇されて各ヘッドユニットに宛がわれる。メンテナンスユニット5は、ヘッドユニットの各短尺ヘッドをクリーニングする。このメンテナンスユニット5には、図示しないが、短尺ヘッドのノズルプレートを払拭するプレード部材や、ノズルプレートをキャッピングするキャップ部材など、画像配録装置における周知の部材を備えている。
【0025】
インクボトルユニット6は、各短尺ヘッドにインクを供給する着脱可能なメインタンクであり、この例では、インク色毎にK色インクカートリッジ43、C色インクカートリッジ44、M色インクカートリッジ45及びY色インクカートリッジ46を備えている。これらのインクカートリッジ43乃至46から、第2のタンク部9、熱交換部8、第1のタンク部7及びインク分配器32〜35を経て、それぞれ担当する色のインクが短尺ヘッドに供給される。
【0026】
第1のタンク部7は、インク色毎に第1のK色タンク47、第1のC色タンク48、第1のM色タンク49、第1のY色タンク50を有している。これら各第1のタンク47乃至50内には、図示しないフィルタ及び液面検出器が備えられている。また、これら各第1のタンク47乃至50は、大気開放が可能な構成となっている。
【0027】
熱交換部8は、インク色毎に熱交換器63乃至66(K色インクの熱交換器63,C色インクの熱交換器64,M色インクの熱交換器65及びY色インクの熱交換器66)を備えている。この熱交換部8は、温度センサで常にヘッドユニット27乃至31内を流れるインクの温度を監視し、インク温度が予め設定してある許容範囲を外れた場合には、インク温度が許容範囲内に収まるように温度調節を行う。この温度調整により、最適なインク温度のインクにより画像記録が可能となる。
【0028】
インクは、各色の熱交換器63乃至66のインク流路を下方から上方に汲み上げられて上方の第1のタンク47乃至50に一旦、貯留された後、重力により流れ出るようにして短尺ヘッドに供給される。
【0029】
第2のタンク部9は、インク色毎に第2のK色タンク73、第2のC色タンク74、第2のM色タンク75及び第2のY色タンク76を備えている。これら各第2のタンク73乃至76内には、液面を検知する液面検出器が設けられている。これらの第2のタンク73乃至76には、それぞれ循環ポンプ部11のK色の循環ポンプ77、C色の循環ポンプ78、M色の循環ポンプ79及びY色の循環ポンプ81が連結されている。
【0030】
廃液タンク12は、メンテナンスユニット5等で回収した廃インクを回収するためのタンクである。通常、廃液タンク12は大気開放となっている。
【0031】
制御部14は、画像記録装置1の構成部位全体を制御している。このように構成された画像記録装置1において、画像記録部4は、搬送される記録媒体17がK色ヘッドユニット27、C色ヘッドユニット28、M色ヘッドユニット29、Y色ヘッドユニット31の下方を通過して際に、各短尺ヘッドからインクを吐出して、記録媒体17上に画像記録する。画像記録部4によって、画像記録された記録媒体17は、媒体排出部13の排出ローラ83によって、排出トレイ84に排出される。
【0032】
次に図2を参照して、インク循環系の構成について説明する。
図2は、画像記録装置1におけるインク循環系を示す模式図である。尚、図2には代表的にK色インクのインク経路を示している。ここで、インク循環系は、図1に示した画像記録部4、第1のタンク部7、熱交換部8、第2のタンク部9、負圧調整部10、循環ポンプ11及びそれぞれを接続するチューブで構成される。尚、画像記録部4、熱交換部8、及び循環ポンプ部11の構成については前述した通りである。
【0033】
以下の説明においては、他の色C,M,Yも同様な構成であるので、図2に示すK色インクのインク経路についてのみ説明し、他の色C,M,Yインクのインク経路については説明を省略する。また、図2には図1に示したと同一の構成部分または同一の機能部分には図1と同一の参照番号を付与して、その詳細な説明は省略する。
【0034】
図1に示したインクボトルユニット6のK色インクカートリッジ43は、図2に示すように、インク経路86、インク供給弁87を介し、第2のK色タンク73に連通されており、インク供給弁87を開閉することにより第2のK色タンク73にインクが供給される。この第2のK色タンク73は、液面検出器119を備えている。液面検出器119は、インクの液面が下がるとオフとなり、この信号に基づき、インク供給弁87を開閉して、K色インクカートリッジ43から第2のK色インクタンク73にインクを供給する。
【0035】
第2のK色タンク73に供給されたインクは、K色循環ポンプ77によりインク経路88、熱交換器63を介して第1のK色タンク47に汲み上げられる。K色循環ポンプ77はモータ82により駆動される。第1のK色インクタンク47は液面検出器108を備えている。
【0036】
液面検出器108は、K色循環ポンプ77により汲み上げられたインクが予め設定された液面位置を超えると、オンとなり、制御部14(図示せず)の指示によりK色循環ポンプ77が停止する。尚、本実施形態では、第2のK色タンク73における設定された液面位置は、ヘッドユニット27の短尺な記録ヘッド51のノズルプレート55の面位置よりも重力方向で下方になるように第2のK色タンク73が配置されている。
【0037】
図1に示した負圧調整部10は、図2に示すように、共通気室94と、圧カベローズ95と、錘96と、位置調整部材97と、駆動源98とを備えている。圧力ベローズ95は、上端開口部がチューブ101を介して、共通気室94に連通し、下端封止部に錘96が取り付けられている。位置調整部材97は、圧カベローズ95の下端部の錘96の位置、つまり圧力ベローズ95の位置を調整するために設けられている。
【0038】
位置調整部材97は、駆動源98により上下方向に昇降される。画像記録装置1の非稼動時には、圧力ベローズ95を上昇させて、最大収縮位置に圧縮した初期位置に移動させる。この初期位置は、図2に示すように圧力ベローズ95の下端の動きを自由解放する開放位置である。
【0039】
圧力ベローズ95は、自由解放されると、錘96により引き下げられ、圧力ベローズ96内に負圧を発生させて、チューブ101で連通する共通気室94内を負圧にする。共通気室94は、第2のK色タンク73とチューブ99で連通しているため、第2のK色タンク73内も同様に負圧となる。
【0040】
この負圧調整部10は、錘96の重さと圧力ベローズ96の弾性により、K色ヘッドユニット27の記録ヘッドの画像記録動作による負圧変動とK色循環ポンプ77による圧力変動とに応答可能に構成されている。この応答の適正度は、組み立て時における錘96の重さの増減と、圧力ベローズ96の材質として異なる弾性を持つ複数の弾性部材からの選択により調整可能である。
【0041】
この負圧調整部10の共通気室94は、一方ではチューブ99を介して第2のK色タンク73と連通し、他方では他のチューブ118と大気開放弁102とを介して、インクパン115に接続されている。さらに、インクパン115は、チューブ114を介して廃液タンク103に連通している。大気開放弁102は、第2のK色タンク73の大気開放弁である。圧力発生部105は、全体として、負圧調整部10、第2のK色タンク73、K色循環ポンプ77及びモータ82により形成されている。
【0042】
本実施形態では、K色循環ポンプ77の送液能力は、第2のK色タンク73に流入してくるインク量よりも多いインク量を送液可能に設計されている。これは、第2のK色タンク73のオーバーフローを防止するためである。万一、オーバーフローした場合には、液面検出器116がオンとなり、制御部14に通知して、画像形成装置1の稼働を一旦、停止させる。
【0043】
通常の使用状態で、第2のK色タンク73に流入するインク流量よりも、K色循環ポンプ77で汲み出し可能なインク流量を多くすることで、第2のK色タンク73が溢れないようにする。また、圧力発生部105は、非インク循環時において、第2のK色タンク73内をチューブ99、大気開放弁102を開放することで大気開放状態にする。一方、インク循環時においては、大気開放弁102を閉鎖して、第2のK色タンク73内を密閉状態で負圧となるように設定されている。この設定により、インク循環時には、第2のK色タンク73は、K色ヘッドユニット27の記録ヘッドに対し、インク排出路106、K色インク回収器36を介して負圧を与えることになる。
【0044】
インクは、第1のK色タンク47へ汲み上げられる際に、K色インク熱交換器63を経由して記録ヘッドからの射出に適した温度に調整されている。この第1のK色タンク47は、フィルタ107及び液面検知器108を備えている。
本実施形態では、第1のK色タンク47(図1における第1のタンク部7)のインク液面が、K色ヘッドユニット27のノズルプレート55の面よりも重力方向上方になるように第1のK色タンク47が配置されている。
【0045】
インクは、第2のK色タンク73からフィルタ107を通過して、ごみ等が除去されて清浄化され、インク経路109、K色インク分配器32を介して記録ヘッドへと流れ込む。ここで、液面検知器108が、一定時間オフとなった場合は、制御部14に信号が送られて、インク供給弁87が開かれ、必要量のインクが第2のK色タンク73に供給される。
【0046】
また、第1のK色タンク47には、排出路110、共通気室111及び大気開放経路112を介して大気開放弁113が設けられている。本実施形態では、非インク循環時には、大気開放弁113は閉状態であり、第1のK色タンク47は密閉状態となるように設定されている。一方、インク循環時には、大気開放弁113が開状態となり、第1のK色タンク47は、大気開放弁113、大気開放経路112、共通気室111及び排出路110を通じて、大気開放状態となるように設定されている。
【0047】
この設定によりインク循環時には、第1のK色タンク47は、K色ヘッドユニット27の記録ヘッドに対して正圧を与えることになる。即ち、非インク循環時は、第2のK色インクタンク73とノズル面55の水頭差によりノズル部に適正な負圧を発生させ、インク循環時はK色インクタンク73とノズル面55の水頭差による負圧、圧力発生部105の負圧と第1のK色インクタンクによる正圧を合算し、画像記録に適正な負圧を発生させている。
【0048】
大気開放経路112は、インクパン115に連通しているため、万一、第1のK色タンク47内のインクが過多になった場合、余剰なインクは、大気開放経路112、インクパン115を経て廃液タンク103に回収される。尚、ヘッドメンテナンス時は、大気開放弁102及び113を閉状態にし、負圧調整部10の位置調整部材97を上昇させることにより、圧力ベローズ95を圧縮して、インク循環経路内を正圧にし、記録ヘッドのノズル54からインクをメンテナンスユニット5に押し出す。押し出されたインクは、廃液経路107を経て廃液タンク103に回収される。
【0049】
次に、図3を参照して、第2のタンク部9から廃液ボトルまでの経路について詳細に説明する。図3では、K色インクの経路120、C色インクの経路121、M色インク経路122、Y色インク経路123のそれぞれのインク経路を示している。ここでは、各色のインク経路における共通部分は、代表してK色のインク経路120を用いて説明する。
【0050】
K色インクの経路120は、第2のK色タンク73にインクを供給するためのインク経路86、第1のK色インクタンク47にインクを汲み上げるためのK色循環ポンプ77とインク経路88、K色インク回収器36からインク回収するためのインク排出路106が連通している。さらにチューブ99を介し共通気室94に連通されている。共通気室94には筒状ガイド部材124が形成されている。
【0051】
その筒状ガイド部材124の中空部分には、インクの比重より軽い球状のフロート125が筒状ガイド部材124の中を上下方向に可動な状態で具備されている。
次に、図4及び図5を参照して、共通気室94について詳細に説明する。図4は、筒状ガイド部材124周辺の拡大図である。また、図5は、筒状ガイド部材124における破線n部分の断面図である。
【0052】
チューブ99は、共通気室94の上面に設けられた、剛性の高い部材からなるポート127に差し込まれている。このポート127は、共通気室の上面から下方(内方)に貫通して延出している。共通気室94の底面において、ポート127に対向する位置には、その中空部分が位置するように、筒状ガイド部材124が配設されている。
【0053】
この筒状ガイド部材124の中空内には、浮き沈みできるフロート125が嵌装されている。フロート125は、インクの比重よりも小さい比重の材料により形成されている。このフロート125の外形は、ポート127の内径より大きく、且つ筒状ガイド部材124の内径よりも小さく設定されている。フロート125は、水平(横)方向に関して、筒状ガイド部材124の中空部分にガイドされ、上下方向に昇降(浮き沈み)が可能である。
【0054】
また、フロート125の昇降による可動範囲は、共通気室94の底面からポート127の下端までの間となっており、この可動範囲にわたって、フロート125をガイドできるように、筒状ガイド部材124の高さが設定されている。本実施形態では、筒状ガイド部材124の高さは、ポート127の下端よりも低く設定されているものの、ポートの下端との距離は、フロート125が筒状ガイド部材124の中空先端から抜け出ない距離に設定されている。
【0055】
また、筒状ガイド部材124の側面には、少なくとも1つのインク流出口126が開口される。そのインク流出口126は、共通気室94の底面よりも高い位置に設定されている。例えば、1つのインク流出口126から単位時間当たりに流れ出るインク量は、1つのポート127から流れる落ちるインク量より少なくなるように設定されている。
【0056】
また、K色インクの経路120、C色インクの経路121、M色インク経路122、Y色インク経路123における各インク流出口(各色のインク流出口126)から単位時間当たりに流れる落ちるインク量の合計より、大気開放弁102及びチューブ118を流れるインク量が多くなるように設定されている。具体的には、ポート127の流路抵抗は、1.2×10−7Pa・S/m3、インク流出口126の流路抵抗は2.0x10−7Pa・S/m3、大気開放弁102及びチューブ118の流路抵抗は、1.8×10−7Pa・S/m3としている。しかし、これに限定されるものではなく、「ポート127の流路抵抗<大気開放弁102及びチューブ118の流路抵抗<インク流出口126の流路抵抗」の関係が保てれば良い。
【0057】
このような関係を持つように構成しているのは、大気開放弁102が安定したインク循環及び、ヘッドメンテナンスを実現するために高い応答性が要求されている。従って、電磁弁等の流路抵抗の大きな機構を採用しなければならないが、ポート127の流路抵抗を電磁弁の流路抵抗より小さくすると、ポート径が非常に小さくなってしまい、流路の目詰まり、ヘッドメンテナンス時に発生させる圧力の低下を招き、画質の劣化を引き起こしてしまうためである。
【0058】
そこで、図6乃至図10を参照して、第2のK色タンク73からインクがオーバーフローした場合の動作について説明する。
図6は、インクがオーバーフローする前のインクの流入が開始された状態を示す図である。図7は、インクが流入している状態を示す図である。図8は、インクが流入してオーバーフローとなり、フロート125がポート127の開口を塞いでいる状態を示す図である。図9は、オーバーフローが終了して、フロート125が下降した状態を示す図である。図10は、共通気室94に設けられた複数の筒状ガイド部材124を示す図である。
【0059】
図6においては、共通気室94内にポート127からインクが流れ落ちていない状態であって、フロート125は、その自重により共通気室94の底面上に載置された状態にある。次に、矢印Aのようにインク129が流入して、筒状ガイド部材124の中空部分にインク129が充填されていく。この時、フロート125は、インク129よりも比重が軽いため、図7に示すように、矢印Bの方向に筒状ガイド部材124の内壁に沿って上昇する。その後、筒状ガイド部材124の中空部分にインク129が充填されていき、その液面がインク流出口126にまで達すると、インク129はインク流出口126から流れ出す。
【0060】
しかし、中空部分からインク流出口126を経て、筒状ガイド部材124外に流れ出るインク量よりも、ポート127から中空部分に流入するインク量の方が多い場合には、筒状ガイド部材124内の液面は、徐々に上がっていく。さらにインク129が流入すると、図8に示すように、フロート125は、ポート127の下端に当接し、ポート127を塞ぐ。尚、フロート125の浮力は、ポート127から流れ落ちるインク圧よりも大きくなるように、設定されているため、フロート125はポート127を塞ぎ、インク流入を止めることができる。
【0061】
フロート125がポート127を塞ぎ、インク流入を止めた状態においても、インク流出口126からのインク流出は継続される。このため、インク流出口126から流出したインク量に応じて、液面が下がると共にフロート125も下がり、それまでポート127を塞いでいたのが解除され、ポート127からインク129が流入する。ポート127からインクが流入し、且つインク流出口126からインクが筒状ガイド部材124外に流出している間は、フロート125が上下に動き、ポート127から共通気室94内へのインク流入量を規制している。つまり、インク流出口126から流出したインク量と同じインク量がポート127からインク129が流出するように、一定に調整される。
【0062】
その後、オーバーフローが終了すると、ポート127からのインク流入が減り又は停止して、インク流出口126からのインク流出のみとなり、筒状ガイド部材124内のインク液面は徐々に下がり、インク流出口126とほぼ同じ高さになり、その高さを維持する。フロート125も、図9に示すように、その液面高さで浮上している。
【0063】
図10に示すように、K色インクの経路120、C色インクの経路121、M色インク経路122及びY色インク経路123における各インク流出口126から単位時間当たりに流れるインク量の合計より、大気開放弁102及びチューブ118を流れるインク量は、大きく設定されており、さらに、各インク流出口126は共通気室94の底面より高く設定されている。即ち、ポート127からインク129がオーバーフローした場合、フロート125と筒状ガイド部材124によりポート127を塞ぐため、一定量以上のインクは流入しない。フロート127により流入するインク量を規制している間に、インク流出口126からインクを流出されて、さらには大気開放弁102及びチューブ118からオーバーフローパン115にインクを流出される。
【0064】
各インク流出口126から流出するインク量の合計は、大気開放弁102及びチューブ118から流出するインク量より同等又は少ないため、共通気室94底面に流れ出た混色したインク液面が上昇することはない。インク流出口126は、共通気室94の底面より高い位置に設定されているため、混色したインクが筒状ガイド部材124内に入り込むことはない。従って、筒状ガイド部材124からポート127間には、同一色のインクしか存在しないため、筒状ガイド部材124より上流側(第2のタンク9)には、混色したインクが逆流しない。
【0065】
以上のことから本実施形態によれば、サブタンクからインクがオーバーフローした場合であっても、インク循環経路を混色したインクで汚染されないため、インク循環経路を全交換する必要がなく、インク経路の修復部位を最小限に留めることができる。また、本実施形態では、第2のタンク部9について説明したが、第1のタンク部7においても同様な構成としている。
【0066】
次に第1の実施形態の変形例について説明する。
本変形例において、前述した第1の実施形態と同一な構成部位又は同一な作用部分については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図11は、本変形例における第2のタンク部9から廃液ボトルまでの経路を示している。前述した第1の実施形態では、ポート127に対向する位置に筒状ガイド部材124とフロート128を備えていたが、構造を簡略化するために棒状の支持体131とフロート130を備えている。支持体131は、ポート127に対向する位置で共通気室94の底面上に植設される。フロート130は、インク129の比重より軽い部材でキャップ形状に形成され、支持体131の頂部に被着される。
【0067】
図12を参照して、共通気室94について詳細に説明する。図12は、図11に示す破線Pにおける共通気室94の断面構成を示している。フロート130は、図11に示すように、ポート127に対向する位置に配置され、支持体131に沿って鉛直方向に可動に支持される。さらに、K色インクの経路132、C色インクの経路133、M色インク経路134、Y色インク経路135におけるポート127から単位時間当たりに流れるインクを合計した量より、大気開放弁102及びチューブ118を流れるインク量は小さく設定されている。
【0068】
具体的には、ポート127の流路抵抗は、1.2x10−7Pa・S/m3、大気開放弁102及びチューブ118の流路抵抗は、1.8x10−7Pa・S/m3としている。これらの限定されるものではなく、ポート127の流路抵抗<大気開放弁102及びチューブ118の流路抵抗の関係が保てれば良い。
【0069】
ここで、図13乃至図16を参照して、第2のK色タンク73からインクがオーバーフローした場合の動作について説明する。図13は、インクがオーバーフローする前であり、共通気室94内にインクの流入が開始した状態を示す図である。図14は、インクの流入によりフロート130が上昇して、ポート127の開口を塞いでいる状態を示す図である。図15は、貯留したインクが共通気室94から排出されて、フロート130が下降して再度、ポート127からインクが流入している状態を示す図である。図16は、インクがオーバーフローした時の共通気室94内にインクの状態を示す図である。
【0070】
図13は、共通気室94内にインクのオーバーフローが開始した直後の状態を示す。支持体131に対して、可動な範囲で鉛直下方向に位置しているフロート130に、矢印Eに示すように共通気室94内に流入したインク129が掛かる。
【0071】
さらに、インクの流入が続くと、共通気室94内のインク液面が上昇し、フロート130が上昇する。図14に示すように、フロート130が矢印Fの方向に上昇することで、ポート127にフロート130の上面が当接し、ポート127を塞ぎ、インク流入を止める。
【0072】
その時、開放されている大気開放弁102及びチューブ118を経て、共通気室94のインク129が廃液ボトル12に排出される。共通気室94のインク液面が下がり、図15に示す矢印Gのように、フロート130が下降し、ポート127との当接状態が解除され、ポート127から共通気室94内にインクが流入する。ポート127からインクが流入している間は、フロート125が上下に動き、共通気室94内へのインク流入量を規制している。
【0073】
図16に示すように、共通気室94内のインク液量が上昇すると、フロート130も上昇してポート127を塞ぐことにより、共通気室94内へ流入するインク量が規制される。さらに、フロート130の頂部(テーブル)と、共通気室94内へ流入するインク液面との間に常に高さの差がある。このため、「ポート127の流路抵抗<大気開放弁102及びチューブ118の流路抵抗」の関係にあったとしても、ポート127に他色のインクが付着することはない。従って、第2のタンク9内に混色したインクが逆流することはない。
【0074】
以上のように本変形例は、サブタンク73からインクがオーバーフローしたとしてもインク循環経路を混色したインクで汚染されないため、インク循環経路を全交換する必要がなく、インク経路の修復部位を最小限に留めることができる。また、本変形例では、第2のタンク部9について説明したが、第1のタンク部7においても同様な構成であり、同じ作用効果を得ることができる。
【0075】
従って、第2のタンクからインクがオーバーフローしたとしても、インク循環経路に混色したインクを逆流させることがないため、インク循環経路を全交換する必要がなくインク経路の修復部位を最小限に留めることができる。また、本実施形態のインク循環機構における混色防止のための機構が電気的な制御を必要としないため、停電等の予期できない事態となった場合であっても混色を防止することができる。
【符号の説明】
【0076】
1画像記録装置…、2…媒体供給部、3…媒体搬送部、4…画像記録部、5…メンテナンスユニット、6…インクボトルユニット(メインタンク)、7…第1のタンク部(上流サブンタンク)、8…熱交換部、9…第2のタンク部(下流サブタンク)、10…負圧調整部、11…循環ポンプ部、12…廃液ボトル、13…媒体排出部、14…制御部、15…収容トレイ、16…ピックアップローラ、17…記録媒体、18…媒体ガイド、19…レジストローラ対、20…ベルト搬送機構、21…従動ローラ、22…テンションローラ、23駆動ローラ…、24…搬送ベルト、25…プラテン、26…吸引ファン、27…K色ヘッドユニット、28…C色ヘッドユニット、29…M色ヘッドユニット、31…Y色ヘッドユニット、32…K色インク分配器、33…C色インク分配器、34…M色インク分配器、35Y色インク分配器…、36…K色インク回収器、37…C色インク回収器、38…M色インク回収器、39…Y色インク回収器、42…ヘッドユニット保持部材、43…K色インクカートリッジ、44…C色インクカートリッジ、45…M色インクカートリッジ、46…Y色インクカートリッジ、47…第1のK色タンク、48…第1のC色タンク、49第1のM色タンク…、50…第1のY色タンク、63…K色インクの熱交換器、64…C色インクの熱交換器、65…M色インクの熱交換器、66…Y色インクの熱交換器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式の画像記録装置に搭載されるインク循環機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェット方式の画像記録装置として、例えば記録紙やOHP用紙等の記録媒体を記録媒体搬送手段により搬送し、走査移動する又は固定された記録ヘッドに設けられた複数のノズルからインクを吐出することで、高画質の画像を形成する画像記録装置が知られている。
【0003】
このような画像記録装置として、例えば、特許文献1には、記録ヘッドのノズルからインクを吐出するために、一時的にインクを保持するサブタンクを記録ヘッドの下方に具備し、チューブで連通している構成が開示されている。また、サブタンクにインクを補給するためのメインタンクがチューブで連通されている、フルカラーの場合、色数のサブタンクを備えているが、各色のサブタンク内の圧力を制御するために、1つの発生源から共通の経路を用いている。
【0004】
このような構成において、サブタンクに過多なインクが供給される事態が発生した場合には、共通の経路内に異なる色のインクが流入して混合し、さらに混合されたインクがサブタンクに逆流して混色といわれる不具合が発生する虞がある。
【0005】
このような不具合を解決するために、廃棄インクタンクに接続されるチューブの途中に負圧発生ポンプが備えられている。
【0006】
この負圧発生ポンプにチューブ内が負圧となり、廃棄インクタンクへの吸引力が発生する。さらにチューブの途中には、サブタンクよりも低い位置に配置されたジョイントを介して、各サブタンクに接続チューブにより接続されている。このように、廃棄インクタンクに接続される負圧チューブと、各サブタンクに接続される接続チューブとの間に設けられたジョイントをサブタンクよりも低い位置に配置することで逆流による混色を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−115203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した特許文献1においては、サブタンクに過多なインクが流入して接続チューブを介してインクを排出した後に、そのチューブ内が大気圧となったとしても、ジョイント位置をサブタンクより低くしているため、残留したインクがサブタンクに逆流して混色することがない。
【0009】
しかし、この構成において、逆流による混色が防止できるのは、チューブ内が負圧から大気圧まで場合に限り有効であり、チューブ内が大気圧以上の正圧になった場合には、ジョイント位置を通過して、異なるインク色のサブタンクに流入して、混色が発生する事態が想定される。
【0010】
そこで本発明は、サブタンクに過多なインクが流入した際に、サブタンクと廃棄タンクを繋ぐインク経路内が負圧及び正圧のいずれ側に変化してもサブタンクへのインク流入を防止して、混色の発生を防止するインク循環機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、複数のノズル群毎に異なる複数色インクを吐出して、記録媒体上に画像を記録する記録ヘッドを有する画像記録部を備える画像記録装置であって、インク色毎に前記記録ヘッドに供給するインクを貯留する第1のタンク部と、前記記録ヘッドから排出されたインクをインク色毎に貯留する第2のタンク部と、前記第2のタンク部から前記第1のタンク部にインクが復帰するように循環させる循環ポンプと、前記第2のタンク部に貯留されて過貯留となったインクを廃棄する廃棄タンクと、前記第2のタンク部と前記廃棄タンクの間に設けられ、インク色毎に前記第2のタンク部から過貯留となったインクが流入する流入口に対向して配置され、流入したインクの液面に従って浮遊動作するフロート部材を備える共通気室と、を具備し、前記フロート部材は、前記第2のタンク部から前記共通気室に流入したインクが所定の液面以上になった際に、前記流入口を塞ぎ、前記第2のタンク部からのインクの流入量を調整するインク循環機構を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、サブタンクに過多なインクが流入した際に、サブタンクと廃棄タンクを繋ぐインク経路内が負圧及び正圧のいずれ側に変化してもサブタンクへのインク流入を防止して、混色の発生を防止するインク循環機構を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置の概略断面図である。
【図2】図2は、画像記録装置におけるインク循環系を示す模式図である。
【図3】図3は、第2のタンク部から廃液ボトルまでの経路の一例を示す図である。
【図4】図4は、筒状ガイド部材の周辺の拡大図である。
【図5】図5は、図4に示した筒状ガイド部材における破線n部分の断面図である。
【図6】図6は、インクがオーバーフローする前のインクの流入が開始された状態を示す図である。
【図7】図7は、インクが流入している状態を示す図である。
【図8】図8は、オーバーフローによりフロートがポートの開口を塞いでいる状態を示す図である。
【図9】図9は、オーバーフローが終了して、フロートが下降した状態を示す図である。
【図10】図10は、共通気室に設けられた複数の筒状ガイド部材を示す図である。
【図11】図11は、第1の実施形態の変形例における第2のタンク部から廃液ボトルまでの経路の一例を示す図である。
【図12】図12は、図11に示す破線Pにおける共通気室の断面構成を示す図である。
【図13】図13は、インクがオーバーフローする前のインクの流入が開始した状態を示す図である。
【図14】図14は、オーバーフローによりフロートがポートの開口を塞いでいる状態を示す図である。
【図15】図15は、貯留したインクが共通気室から排出されて、フロートが下降して再度、ポートからインクが流入している状態を示す図である。
【図16】図16は、インクがオーバーフローした時の共通気室内にインクの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置の概略断面図である。以下の説明において、図中、記録媒体の搬送方向をX軸方向又は副走査方向とし、この搬送方向と直交する方向をY軸方向又は主走査方向又は記録媒体の幅方向としている、また、X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向又は上下方向と称する。
【0015】
この画像記録装置1は、大別して、媒体供給部2、媒体搬送部3、画像記録部4、メンテナンスユニット5、インクボトルユニット(メインタンク)6、第1のタンク部(上流サブンタンク)7、熱交換部8、第2のタンク部(下流サブタンク)9、負圧調整部10、循環ポンプ部11、廃液ボトル12、媒体排出部13及び、制御部14により構成される。本実施形態の画像記録装置1においては、画像記録部4、第1のタンク部7、熱交換部8、第2のタンク部9、負圧調整部10、循環ポンプ部11及び各部位間を接続する不図示のチューブにより、インクを循環させるインク循環経路を形成している。
【0016】
媒体供給部2は、複数の記録媒体17を収容する収容トレイ15と、記録媒体17に当接するピックアップローラ16とから構成される。収容トレイ15に収容される記録媒体17としては、例えば、カットシートが用いられる。ピックアップローラ16は、収容された記録媒体17に当接して、1枚ずつピックアップし、搬送方向下流の媒体搬送部3へと給送する。
【0017】
媒体搬送部3は、媒体ガイド18と、レジストローラ対19と、ベルト搬送機構20とで構成される。ベルト搬送機構20は、従動ローラ21、テンションローラ22と、駆動ローラ23とに搬送ベルト24がテンションを持たせるように巻回されて構成され、ベルト内部には、プラテン25及び吸引ファン26が設けられている。
【0018】
レジストローラ対19は、ピックアップローラ16により給送された記録媒体17の先端部と当接して、搬送を一時的に停止させ、その搬送姿勢を矯正すると共に、制御部14から指示された搬送開始のタイミングに基づき、記録媒体17を搬送ベルト24に受け渡している。
【0019】
搬送ベルト24は、例えば帯状の無端ベルトであり、不図示の多数の孔が開口されている。この搬送ベルト24は、従動ローラ21と、2つのテンションローラ22と、駆動ローラ23の4つのローラによって、テンションが掛けられた状態で回転可能に保持されている。これらのうち、駆動ローラ23には、不図示の駆動モータが接続されており、駆動モータを回転させることにより、搬送ベルト24を矢印方向mに回転させる。
【0020】
また、プラテン25は、少なくとも画像記録部4と対向する領域が平面となるように形成され、不図示の多数の孔が開口されている。吸引ファン26は、プラテン25内部に配置されて、プラテン25の多数の孔及び搬送ベルト24の多数の孔から空気を吸引する。この吸引により、レジストローラ対19から受け渡された記録媒体17が先端から搬送ベルト24上に吸着され、搬送ベルト24の移動速度で下流側へ搬送される。
【0021】
その搬送される際に、プラテン25に対向して配置されている画像記録部4は、記録媒体17にインクを吐出して画像を記録する。この画像記録部4は、ヘッドユニット27,28,29,31(K色ヘッドユニット27,C色ヘッドユニット28,M色ヘッドユニット29及びY色ヘッドユニット31)と、インク分配器32,33,34,35(K色インク分配器32,C色インク分配器33,M色インク分配器34及びY色インク分配器35)と、インク回収器36,37,38,39(K色インク回収器36,C色インク回収器37,M色インク回収器38及びY色インク回収器39)と、ヘッドユニット保持部材42と、から構成されている。
【0022】
各ヘッドユニット27,28,29,31は、搬送方向と直交する方向に記録媒体17の幅以上となるように構成され、それぞれがヘッドユニット保持部材42によって保持されている。本実施形態では、各ヘッドユニット27,28,29,31は、それぞれに記録媒体の幅に満たないノズル列長を有する短尺な記録ヘッドを複数用いている。これらの短尺な記録ヘッドを、搬送方向と直交する方向に、交互で千鳥状に配置することで、全体として記録媒体の幅以上となるように構成している。
【0023】
図1に示したインク分配器32,33,34,35は、インク色毎に設けられた6個の記録ヘッドに対して、インクを均等に分配するための分配器である。また、インク回収器36,37,38,39は、6個の短尺ヘッドから吐出されなかったインクを一旦、一箇所に回収するための回収器である。
【0024】
メンテナンスユニット5は、図示しない移動機構を備え、ヘッドユニットによる記録実行時には、図1に示すように、4つのヘッドユニット27,28,29,31のそれぞれ媒体搬送方向の下流側の退避位置に、各ヘッドユニットと平行に並ぶように退避している。一方、メンテナンス実行時には、メンテナンスユニット5は、下降したベルト搬送機構20上に移動して媒体搬送方向に移動して、各ヘッドユニットに対向した後、上昇されて各ヘッドユニットに宛がわれる。メンテナンスユニット5は、ヘッドユニットの各短尺ヘッドをクリーニングする。このメンテナンスユニット5には、図示しないが、短尺ヘッドのノズルプレートを払拭するプレード部材や、ノズルプレートをキャッピングするキャップ部材など、画像配録装置における周知の部材を備えている。
【0025】
インクボトルユニット6は、各短尺ヘッドにインクを供給する着脱可能なメインタンクであり、この例では、インク色毎にK色インクカートリッジ43、C色インクカートリッジ44、M色インクカートリッジ45及びY色インクカートリッジ46を備えている。これらのインクカートリッジ43乃至46から、第2のタンク部9、熱交換部8、第1のタンク部7及びインク分配器32〜35を経て、それぞれ担当する色のインクが短尺ヘッドに供給される。
【0026】
第1のタンク部7は、インク色毎に第1のK色タンク47、第1のC色タンク48、第1のM色タンク49、第1のY色タンク50を有している。これら各第1のタンク47乃至50内には、図示しないフィルタ及び液面検出器が備えられている。また、これら各第1のタンク47乃至50は、大気開放が可能な構成となっている。
【0027】
熱交換部8は、インク色毎に熱交換器63乃至66(K色インクの熱交換器63,C色インクの熱交換器64,M色インクの熱交換器65及びY色インクの熱交換器66)を備えている。この熱交換部8は、温度センサで常にヘッドユニット27乃至31内を流れるインクの温度を監視し、インク温度が予め設定してある許容範囲を外れた場合には、インク温度が許容範囲内に収まるように温度調節を行う。この温度調整により、最適なインク温度のインクにより画像記録が可能となる。
【0028】
インクは、各色の熱交換器63乃至66のインク流路を下方から上方に汲み上げられて上方の第1のタンク47乃至50に一旦、貯留された後、重力により流れ出るようにして短尺ヘッドに供給される。
【0029】
第2のタンク部9は、インク色毎に第2のK色タンク73、第2のC色タンク74、第2のM色タンク75及び第2のY色タンク76を備えている。これら各第2のタンク73乃至76内には、液面を検知する液面検出器が設けられている。これらの第2のタンク73乃至76には、それぞれ循環ポンプ部11のK色の循環ポンプ77、C色の循環ポンプ78、M色の循環ポンプ79及びY色の循環ポンプ81が連結されている。
【0030】
廃液タンク12は、メンテナンスユニット5等で回収した廃インクを回収するためのタンクである。通常、廃液タンク12は大気開放となっている。
【0031】
制御部14は、画像記録装置1の構成部位全体を制御している。このように構成された画像記録装置1において、画像記録部4は、搬送される記録媒体17がK色ヘッドユニット27、C色ヘッドユニット28、M色ヘッドユニット29、Y色ヘッドユニット31の下方を通過して際に、各短尺ヘッドからインクを吐出して、記録媒体17上に画像記録する。画像記録部4によって、画像記録された記録媒体17は、媒体排出部13の排出ローラ83によって、排出トレイ84に排出される。
【0032】
次に図2を参照して、インク循環系の構成について説明する。
図2は、画像記録装置1におけるインク循環系を示す模式図である。尚、図2には代表的にK色インクのインク経路を示している。ここで、インク循環系は、図1に示した画像記録部4、第1のタンク部7、熱交換部8、第2のタンク部9、負圧調整部10、循環ポンプ11及びそれぞれを接続するチューブで構成される。尚、画像記録部4、熱交換部8、及び循環ポンプ部11の構成については前述した通りである。
【0033】
以下の説明においては、他の色C,M,Yも同様な構成であるので、図2に示すK色インクのインク経路についてのみ説明し、他の色C,M,Yインクのインク経路については説明を省略する。また、図2には図1に示したと同一の構成部分または同一の機能部分には図1と同一の参照番号を付与して、その詳細な説明は省略する。
【0034】
図1に示したインクボトルユニット6のK色インクカートリッジ43は、図2に示すように、インク経路86、インク供給弁87を介し、第2のK色タンク73に連通されており、インク供給弁87を開閉することにより第2のK色タンク73にインクが供給される。この第2のK色タンク73は、液面検出器119を備えている。液面検出器119は、インクの液面が下がるとオフとなり、この信号に基づき、インク供給弁87を開閉して、K色インクカートリッジ43から第2のK色インクタンク73にインクを供給する。
【0035】
第2のK色タンク73に供給されたインクは、K色循環ポンプ77によりインク経路88、熱交換器63を介して第1のK色タンク47に汲み上げられる。K色循環ポンプ77はモータ82により駆動される。第1のK色インクタンク47は液面検出器108を備えている。
【0036】
液面検出器108は、K色循環ポンプ77により汲み上げられたインクが予め設定された液面位置を超えると、オンとなり、制御部14(図示せず)の指示によりK色循環ポンプ77が停止する。尚、本実施形態では、第2のK色タンク73における設定された液面位置は、ヘッドユニット27の短尺な記録ヘッド51のノズルプレート55の面位置よりも重力方向で下方になるように第2のK色タンク73が配置されている。
【0037】
図1に示した負圧調整部10は、図2に示すように、共通気室94と、圧カベローズ95と、錘96と、位置調整部材97と、駆動源98とを備えている。圧力ベローズ95は、上端開口部がチューブ101を介して、共通気室94に連通し、下端封止部に錘96が取り付けられている。位置調整部材97は、圧カベローズ95の下端部の錘96の位置、つまり圧力ベローズ95の位置を調整するために設けられている。
【0038】
位置調整部材97は、駆動源98により上下方向に昇降される。画像記録装置1の非稼動時には、圧力ベローズ95を上昇させて、最大収縮位置に圧縮した初期位置に移動させる。この初期位置は、図2に示すように圧力ベローズ95の下端の動きを自由解放する開放位置である。
【0039】
圧力ベローズ95は、自由解放されると、錘96により引き下げられ、圧力ベローズ96内に負圧を発生させて、チューブ101で連通する共通気室94内を負圧にする。共通気室94は、第2のK色タンク73とチューブ99で連通しているため、第2のK色タンク73内も同様に負圧となる。
【0040】
この負圧調整部10は、錘96の重さと圧力ベローズ96の弾性により、K色ヘッドユニット27の記録ヘッドの画像記録動作による負圧変動とK色循環ポンプ77による圧力変動とに応答可能に構成されている。この応答の適正度は、組み立て時における錘96の重さの増減と、圧力ベローズ96の材質として異なる弾性を持つ複数の弾性部材からの選択により調整可能である。
【0041】
この負圧調整部10の共通気室94は、一方ではチューブ99を介して第2のK色タンク73と連通し、他方では他のチューブ118と大気開放弁102とを介して、インクパン115に接続されている。さらに、インクパン115は、チューブ114を介して廃液タンク103に連通している。大気開放弁102は、第2のK色タンク73の大気開放弁である。圧力発生部105は、全体として、負圧調整部10、第2のK色タンク73、K色循環ポンプ77及びモータ82により形成されている。
【0042】
本実施形態では、K色循環ポンプ77の送液能力は、第2のK色タンク73に流入してくるインク量よりも多いインク量を送液可能に設計されている。これは、第2のK色タンク73のオーバーフローを防止するためである。万一、オーバーフローした場合には、液面検出器116がオンとなり、制御部14に通知して、画像形成装置1の稼働を一旦、停止させる。
【0043】
通常の使用状態で、第2のK色タンク73に流入するインク流量よりも、K色循環ポンプ77で汲み出し可能なインク流量を多くすることで、第2のK色タンク73が溢れないようにする。また、圧力発生部105は、非インク循環時において、第2のK色タンク73内をチューブ99、大気開放弁102を開放することで大気開放状態にする。一方、インク循環時においては、大気開放弁102を閉鎖して、第2のK色タンク73内を密閉状態で負圧となるように設定されている。この設定により、インク循環時には、第2のK色タンク73は、K色ヘッドユニット27の記録ヘッドに対し、インク排出路106、K色インク回収器36を介して負圧を与えることになる。
【0044】
インクは、第1のK色タンク47へ汲み上げられる際に、K色インク熱交換器63を経由して記録ヘッドからの射出に適した温度に調整されている。この第1のK色タンク47は、フィルタ107及び液面検知器108を備えている。
本実施形態では、第1のK色タンク47(図1における第1のタンク部7)のインク液面が、K色ヘッドユニット27のノズルプレート55の面よりも重力方向上方になるように第1のK色タンク47が配置されている。
【0045】
インクは、第2のK色タンク73からフィルタ107を通過して、ごみ等が除去されて清浄化され、インク経路109、K色インク分配器32を介して記録ヘッドへと流れ込む。ここで、液面検知器108が、一定時間オフとなった場合は、制御部14に信号が送られて、インク供給弁87が開かれ、必要量のインクが第2のK色タンク73に供給される。
【0046】
また、第1のK色タンク47には、排出路110、共通気室111及び大気開放経路112を介して大気開放弁113が設けられている。本実施形態では、非インク循環時には、大気開放弁113は閉状態であり、第1のK色タンク47は密閉状態となるように設定されている。一方、インク循環時には、大気開放弁113が開状態となり、第1のK色タンク47は、大気開放弁113、大気開放経路112、共通気室111及び排出路110を通じて、大気開放状態となるように設定されている。
【0047】
この設定によりインク循環時には、第1のK色タンク47は、K色ヘッドユニット27の記録ヘッドに対して正圧を与えることになる。即ち、非インク循環時は、第2のK色インクタンク73とノズル面55の水頭差によりノズル部に適正な負圧を発生させ、インク循環時はK色インクタンク73とノズル面55の水頭差による負圧、圧力発生部105の負圧と第1のK色インクタンクによる正圧を合算し、画像記録に適正な負圧を発生させている。
【0048】
大気開放経路112は、インクパン115に連通しているため、万一、第1のK色タンク47内のインクが過多になった場合、余剰なインクは、大気開放経路112、インクパン115を経て廃液タンク103に回収される。尚、ヘッドメンテナンス時は、大気開放弁102及び113を閉状態にし、負圧調整部10の位置調整部材97を上昇させることにより、圧力ベローズ95を圧縮して、インク循環経路内を正圧にし、記録ヘッドのノズル54からインクをメンテナンスユニット5に押し出す。押し出されたインクは、廃液経路107を経て廃液タンク103に回収される。
【0049】
次に、図3を参照して、第2のタンク部9から廃液ボトルまでの経路について詳細に説明する。図3では、K色インクの経路120、C色インクの経路121、M色インク経路122、Y色インク経路123のそれぞれのインク経路を示している。ここでは、各色のインク経路における共通部分は、代表してK色のインク経路120を用いて説明する。
【0050】
K色インクの経路120は、第2のK色タンク73にインクを供給するためのインク経路86、第1のK色インクタンク47にインクを汲み上げるためのK色循環ポンプ77とインク経路88、K色インク回収器36からインク回収するためのインク排出路106が連通している。さらにチューブ99を介し共通気室94に連通されている。共通気室94には筒状ガイド部材124が形成されている。
【0051】
その筒状ガイド部材124の中空部分には、インクの比重より軽い球状のフロート125が筒状ガイド部材124の中を上下方向に可動な状態で具備されている。
次に、図4及び図5を参照して、共通気室94について詳細に説明する。図4は、筒状ガイド部材124周辺の拡大図である。また、図5は、筒状ガイド部材124における破線n部分の断面図である。
【0052】
チューブ99は、共通気室94の上面に設けられた、剛性の高い部材からなるポート127に差し込まれている。このポート127は、共通気室の上面から下方(内方)に貫通して延出している。共通気室94の底面において、ポート127に対向する位置には、その中空部分が位置するように、筒状ガイド部材124が配設されている。
【0053】
この筒状ガイド部材124の中空内には、浮き沈みできるフロート125が嵌装されている。フロート125は、インクの比重よりも小さい比重の材料により形成されている。このフロート125の外形は、ポート127の内径より大きく、且つ筒状ガイド部材124の内径よりも小さく設定されている。フロート125は、水平(横)方向に関して、筒状ガイド部材124の中空部分にガイドされ、上下方向に昇降(浮き沈み)が可能である。
【0054】
また、フロート125の昇降による可動範囲は、共通気室94の底面からポート127の下端までの間となっており、この可動範囲にわたって、フロート125をガイドできるように、筒状ガイド部材124の高さが設定されている。本実施形態では、筒状ガイド部材124の高さは、ポート127の下端よりも低く設定されているものの、ポートの下端との距離は、フロート125が筒状ガイド部材124の中空先端から抜け出ない距離に設定されている。
【0055】
また、筒状ガイド部材124の側面には、少なくとも1つのインク流出口126が開口される。そのインク流出口126は、共通気室94の底面よりも高い位置に設定されている。例えば、1つのインク流出口126から単位時間当たりに流れ出るインク量は、1つのポート127から流れる落ちるインク量より少なくなるように設定されている。
【0056】
また、K色インクの経路120、C色インクの経路121、M色インク経路122、Y色インク経路123における各インク流出口(各色のインク流出口126)から単位時間当たりに流れる落ちるインク量の合計より、大気開放弁102及びチューブ118を流れるインク量が多くなるように設定されている。具体的には、ポート127の流路抵抗は、1.2×10−7Pa・S/m3、インク流出口126の流路抵抗は2.0x10−7Pa・S/m3、大気開放弁102及びチューブ118の流路抵抗は、1.8×10−7Pa・S/m3としている。しかし、これに限定されるものではなく、「ポート127の流路抵抗<大気開放弁102及びチューブ118の流路抵抗<インク流出口126の流路抵抗」の関係が保てれば良い。
【0057】
このような関係を持つように構成しているのは、大気開放弁102が安定したインク循環及び、ヘッドメンテナンスを実現するために高い応答性が要求されている。従って、電磁弁等の流路抵抗の大きな機構を採用しなければならないが、ポート127の流路抵抗を電磁弁の流路抵抗より小さくすると、ポート径が非常に小さくなってしまい、流路の目詰まり、ヘッドメンテナンス時に発生させる圧力の低下を招き、画質の劣化を引き起こしてしまうためである。
【0058】
そこで、図6乃至図10を参照して、第2のK色タンク73からインクがオーバーフローした場合の動作について説明する。
図6は、インクがオーバーフローする前のインクの流入が開始された状態を示す図である。図7は、インクが流入している状態を示す図である。図8は、インクが流入してオーバーフローとなり、フロート125がポート127の開口を塞いでいる状態を示す図である。図9は、オーバーフローが終了して、フロート125が下降した状態を示す図である。図10は、共通気室94に設けられた複数の筒状ガイド部材124を示す図である。
【0059】
図6においては、共通気室94内にポート127からインクが流れ落ちていない状態であって、フロート125は、その自重により共通気室94の底面上に載置された状態にある。次に、矢印Aのようにインク129が流入して、筒状ガイド部材124の中空部分にインク129が充填されていく。この時、フロート125は、インク129よりも比重が軽いため、図7に示すように、矢印Bの方向に筒状ガイド部材124の内壁に沿って上昇する。その後、筒状ガイド部材124の中空部分にインク129が充填されていき、その液面がインク流出口126にまで達すると、インク129はインク流出口126から流れ出す。
【0060】
しかし、中空部分からインク流出口126を経て、筒状ガイド部材124外に流れ出るインク量よりも、ポート127から中空部分に流入するインク量の方が多い場合には、筒状ガイド部材124内の液面は、徐々に上がっていく。さらにインク129が流入すると、図8に示すように、フロート125は、ポート127の下端に当接し、ポート127を塞ぐ。尚、フロート125の浮力は、ポート127から流れ落ちるインク圧よりも大きくなるように、設定されているため、フロート125はポート127を塞ぎ、インク流入を止めることができる。
【0061】
フロート125がポート127を塞ぎ、インク流入を止めた状態においても、インク流出口126からのインク流出は継続される。このため、インク流出口126から流出したインク量に応じて、液面が下がると共にフロート125も下がり、それまでポート127を塞いでいたのが解除され、ポート127からインク129が流入する。ポート127からインクが流入し、且つインク流出口126からインクが筒状ガイド部材124外に流出している間は、フロート125が上下に動き、ポート127から共通気室94内へのインク流入量を規制している。つまり、インク流出口126から流出したインク量と同じインク量がポート127からインク129が流出するように、一定に調整される。
【0062】
その後、オーバーフローが終了すると、ポート127からのインク流入が減り又は停止して、インク流出口126からのインク流出のみとなり、筒状ガイド部材124内のインク液面は徐々に下がり、インク流出口126とほぼ同じ高さになり、その高さを維持する。フロート125も、図9に示すように、その液面高さで浮上している。
【0063】
図10に示すように、K色インクの経路120、C色インクの経路121、M色インク経路122及びY色インク経路123における各インク流出口126から単位時間当たりに流れるインク量の合計より、大気開放弁102及びチューブ118を流れるインク量は、大きく設定されており、さらに、各インク流出口126は共通気室94の底面より高く設定されている。即ち、ポート127からインク129がオーバーフローした場合、フロート125と筒状ガイド部材124によりポート127を塞ぐため、一定量以上のインクは流入しない。フロート127により流入するインク量を規制している間に、インク流出口126からインクを流出されて、さらには大気開放弁102及びチューブ118からオーバーフローパン115にインクを流出される。
【0064】
各インク流出口126から流出するインク量の合計は、大気開放弁102及びチューブ118から流出するインク量より同等又は少ないため、共通気室94底面に流れ出た混色したインク液面が上昇することはない。インク流出口126は、共通気室94の底面より高い位置に設定されているため、混色したインクが筒状ガイド部材124内に入り込むことはない。従って、筒状ガイド部材124からポート127間には、同一色のインクしか存在しないため、筒状ガイド部材124より上流側(第2のタンク9)には、混色したインクが逆流しない。
【0065】
以上のことから本実施形態によれば、サブタンクからインクがオーバーフローした場合であっても、インク循環経路を混色したインクで汚染されないため、インク循環経路を全交換する必要がなく、インク経路の修復部位を最小限に留めることができる。また、本実施形態では、第2のタンク部9について説明したが、第1のタンク部7においても同様な構成としている。
【0066】
次に第1の実施形態の変形例について説明する。
本変形例において、前述した第1の実施形態と同一な構成部位又は同一な作用部分については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図11は、本変形例における第2のタンク部9から廃液ボトルまでの経路を示している。前述した第1の実施形態では、ポート127に対向する位置に筒状ガイド部材124とフロート128を備えていたが、構造を簡略化するために棒状の支持体131とフロート130を備えている。支持体131は、ポート127に対向する位置で共通気室94の底面上に植設される。フロート130は、インク129の比重より軽い部材でキャップ形状に形成され、支持体131の頂部に被着される。
【0067】
図12を参照して、共通気室94について詳細に説明する。図12は、図11に示す破線Pにおける共通気室94の断面構成を示している。フロート130は、図11に示すように、ポート127に対向する位置に配置され、支持体131に沿って鉛直方向に可動に支持される。さらに、K色インクの経路132、C色インクの経路133、M色インク経路134、Y色インク経路135におけるポート127から単位時間当たりに流れるインクを合計した量より、大気開放弁102及びチューブ118を流れるインク量は小さく設定されている。
【0068】
具体的には、ポート127の流路抵抗は、1.2x10−7Pa・S/m3、大気開放弁102及びチューブ118の流路抵抗は、1.8x10−7Pa・S/m3としている。これらの限定されるものではなく、ポート127の流路抵抗<大気開放弁102及びチューブ118の流路抵抗の関係が保てれば良い。
【0069】
ここで、図13乃至図16を参照して、第2のK色タンク73からインクがオーバーフローした場合の動作について説明する。図13は、インクがオーバーフローする前であり、共通気室94内にインクの流入が開始した状態を示す図である。図14は、インクの流入によりフロート130が上昇して、ポート127の開口を塞いでいる状態を示す図である。図15は、貯留したインクが共通気室94から排出されて、フロート130が下降して再度、ポート127からインクが流入している状態を示す図である。図16は、インクがオーバーフローした時の共通気室94内にインクの状態を示す図である。
【0070】
図13は、共通気室94内にインクのオーバーフローが開始した直後の状態を示す。支持体131に対して、可動な範囲で鉛直下方向に位置しているフロート130に、矢印Eに示すように共通気室94内に流入したインク129が掛かる。
【0071】
さらに、インクの流入が続くと、共通気室94内のインク液面が上昇し、フロート130が上昇する。図14に示すように、フロート130が矢印Fの方向に上昇することで、ポート127にフロート130の上面が当接し、ポート127を塞ぎ、インク流入を止める。
【0072】
その時、開放されている大気開放弁102及びチューブ118を経て、共通気室94のインク129が廃液ボトル12に排出される。共通気室94のインク液面が下がり、図15に示す矢印Gのように、フロート130が下降し、ポート127との当接状態が解除され、ポート127から共通気室94内にインクが流入する。ポート127からインクが流入している間は、フロート125が上下に動き、共通気室94内へのインク流入量を規制している。
【0073】
図16に示すように、共通気室94内のインク液量が上昇すると、フロート130も上昇してポート127を塞ぐことにより、共通気室94内へ流入するインク量が規制される。さらに、フロート130の頂部(テーブル)と、共通気室94内へ流入するインク液面との間に常に高さの差がある。このため、「ポート127の流路抵抗<大気開放弁102及びチューブ118の流路抵抗」の関係にあったとしても、ポート127に他色のインクが付着することはない。従って、第2のタンク9内に混色したインクが逆流することはない。
【0074】
以上のように本変形例は、サブタンク73からインクがオーバーフローしたとしてもインク循環経路を混色したインクで汚染されないため、インク循環経路を全交換する必要がなく、インク経路の修復部位を最小限に留めることができる。また、本変形例では、第2のタンク部9について説明したが、第1のタンク部7においても同様な構成であり、同じ作用効果を得ることができる。
【0075】
従って、第2のタンクからインクがオーバーフローしたとしても、インク循環経路に混色したインクを逆流させることがないため、インク循環経路を全交換する必要がなくインク経路の修復部位を最小限に留めることができる。また、本実施形態のインク循環機構における混色防止のための機構が電気的な制御を必要としないため、停電等の予期できない事態となった場合であっても混色を防止することができる。
【符号の説明】
【0076】
1画像記録装置…、2…媒体供給部、3…媒体搬送部、4…画像記録部、5…メンテナンスユニット、6…インクボトルユニット(メインタンク)、7…第1のタンク部(上流サブンタンク)、8…熱交換部、9…第2のタンク部(下流サブタンク)、10…負圧調整部、11…循環ポンプ部、12…廃液ボトル、13…媒体排出部、14…制御部、15…収容トレイ、16…ピックアップローラ、17…記録媒体、18…媒体ガイド、19…レジストローラ対、20…ベルト搬送機構、21…従動ローラ、22…テンションローラ、23駆動ローラ…、24…搬送ベルト、25…プラテン、26…吸引ファン、27…K色ヘッドユニット、28…C色ヘッドユニット、29…M色ヘッドユニット、31…Y色ヘッドユニット、32…K色インク分配器、33…C色インク分配器、34…M色インク分配器、35Y色インク分配器…、36…K色インク回収器、37…C色インク回収器、38…M色インク回収器、39…Y色インク回収器、42…ヘッドユニット保持部材、43…K色インクカートリッジ、44…C色インクカートリッジ、45…M色インクカートリッジ、46…Y色インクカートリッジ、47…第1のK色タンク、48…第1のC色タンク、49第1のM色タンク…、50…第1のY色タンク、63…K色インクの熱交換器、64…C色インクの熱交換器、65…M色インクの熱交換器、66…Y色インクの熱交換器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズル群毎に異なる複数色インクを吐出して、記録媒体上に画像を記録する記録ヘッドを有する画像記録部を備える画像記録装置であって、
インク色毎に前記記録ヘッドに供給するインクを貯留する第1のタンク部と、
前記記録ヘッドから排出されたインクをインク色毎に貯留する第2のタンク部と、
前記第2のタンク部から前記第1のタンク部にインクが復帰するように循環させる循環ポンプと、
前記第2のタンク部に貯留されて過貯留となったインクを廃棄する廃棄タンクと、
前記第2のタンク部と前記廃棄タンクの間に設けられ、インク色毎に前記第2のタンク部から過貯留となったインクが流入する流入口に対向して配置され、流入したインクの液面に従って浮遊動作するフロート部材を備える共通気室と、
を具備し、
前記フロート部材は、前記第2のタンク部から前記共通気室に流入したインクが所定の液面以上になった際に、前記流入口を塞ぎ、前記第2のタンク部からのインクの流入量を調整することを特徴とするインク循環機構。
【請求項2】
前記フロート部材は、前記インクの比重より軽い材質で構成されることを特徴とする請求項1に記載のインク循環機構。
【請求項3】
前記フロート部材は、球状からなり、前記共通気室の底に植設された筒状ガイド部材内に嵌挿され、前記液面の昇降に従って内壁に沿って可動し、所定の液面以上になった際に、前記流入口を塞ぐことを特徴とする請求項2に記載のインク循環機構。
【請求項4】
さらに、前記筒状ガイド部材の側壁に開口されたインク流出口と、
前記共通気室には、前記廃棄タンクへインクを排出する排出口と、
を具備し、
各インク色における前記インク流出口から流れるインク量を、前記共通気室の排出口から流れるインク量よりも少なくしたことを特徴とする請求項3に記載のインク循環経路。
【請求項5】
前記インク流出口は、前記共通気室の底面よりも高い位置に開口されることを特徴とする請求項4に記載のインク循環機構。
【請求項6】
前記フロート部材は、キャップ形状からなり、前記共通気室の底に植設された棒状の支持体の頂部に移動可能に嵌装され、前記液面の昇降に従って前記支持体に沿って可動し、所定の液面以上になった際に、前記キャップ形状の頂部で前記流入口を塞ぐことを特徴とする請求項2に記載のインク循環機構。
【請求項1】
複数のノズル群毎に異なる複数色インクを吐出して、記録媒体上に画像を記録する記録ヘッドを有する画像記録部を備える画像記録装置であって、
インク色毎に前記記録ヘッドに供給するインクを貯留する第1のタンク部と、
前記記録ヘッドから排出されたインクをインク色毎に貯留する第2のタンク部と、
前記第2のタンク部から前記第1のタンク部にインクが復帰するように循環させる循環ポンプと、
前記第2のタンク部に貯留されて過貯留となったインクを廃棄する廃棄タンクと、
前記第2のタンク部と前記廃棄タンクの間に設けられ、インク色毎に前記第2のタンク部から過貯留となったインクが流入する流入口に対向して配置され、流入したインクの液面に従って浮遊動作するフロート部材を備える共通気室と、
を具備し、
前記フロート部材は、前記第2のタンク部から前記共通気室に流入したインクが所定の液面以上になった際に、前記流入口を塞ぎ、前記第2のタンク部からのインクの流入量を調整することを特徴とするインク循環機構。
【請求項2】
前記フロート部材は、前記インクの比重より軽い材質で構成されることを特徴とする請求項1に記載のインク循環機構。
【請求項3】
前記フロート部材は、球状からなり、前記共通気室の底に植設された筒状ガイド部材内に嵌挿され、前記液面の昇降に従って内壁に沿って可動し、所定の液面以上になった際に、前記流入口を塞ぐことを特徴とする請求項2に記載のインク循環機構。
【請求項4】
さらに、前記筒状ガイド部材の側壁に開口されたインク流出口と、
前記共通気室には、前記廃棄タンクへインクを排出する排出口と、
を具備し、
各インク色における前記インク流出口から流れるインク量を、前記共通気室の排出口から流れるインク量よりも少なくしたことを特徴とする請求項3に記載のインク循環経路。
【請求項5】
前記インク流出口は、前記共通気室の底面よりも高い位置に開口されることを特徴とする請求項4に記載のインク循環機構。
【請求項6】
前記フロート部材は、キャップ形状からなり、前記共通気室の底に植設された棒状の支持体の頂部に移動可能に嵌装され、前記液面の昇降に従って前記支持体に沿って可動し、所定の液面以上になった際に、前記キャップ形状の頂部で前記流入口を塞ぐことを特徴とする請求項2に記載のインク循環機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−194823(P2010−194823A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41328(P2009−41328)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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