説明

インク異物検査装置、液滴吐出装置、インク異物検査方法

【課題】インクに含まれる異物等を確実に捕集し、異物の形態を容易にインク検査することができるインク異物インク検査装置を提供する。
【解決手段】インク中に含まれる異物を捕集するとともに、捕集された前記異物を検査するインク検査部を有し、前記インク検査部が、一定圧力を加えて前記インクを滴下させる第1滴下部と、滴下された前記インクに含まれる異物を捕集する多孔質フィルターと、を有する第1インク検査部と、無負荷状態で前記インクを滴下させる第2液滴下部と、滴下された前記インクに含まれる異物を捕集する金属製フィルターと、を有する第2インク検査部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク異物検査装置、液滴吐出装置、インク異物検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吐出ヘッドからインクを液滴として吐出して、所望のパターンを形成する液滴吐出装置が知られている。当該液滴吐出装置では、インクに含まれる異物を除去して、液滴吐出性を確保する必要がある。そこで、液滴が吐出される吐出部の上流部分に、インクに含まれる異物やゲル化溶質等を捕集するフィルターが配設されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−41943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の装置では、ノズル内の液体に圧力が加えられるため、インクに含まれるゲル状異物が、フィルターをすり抜けてしまい、すり抜けたゲル状異物が吐出部に付着してノズル詰りが発生してしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかるインク異物検査装置は、インク中に含まれる異物を捕集するとともに、捕集された前記異物を検査する第1インク検査部と第2インク検査部とを備え、前記第1インク検査部は、一定圧力を加えて前記インクを滴下させる第1滴下部と、滴下された前記インクに含まれる異物を捕集する多孔質フィルターと、を有し、前記第2インク検査部は、無負荷状態で前記インクを滴下させる第2滴下部と、滴下された前記インクに含まれる異物を捕集する金属製フィルターと、を有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、例えば、第1インク検査部では、インクに含まれる固形化異物が多孔質フィルターに捕集され、固形化異物の形態の検査が可能となる。また、第2インク検査部では、インクに含まれるゲル状異物が金属製フィルターに捕集され、ゲル状異物の形態の検査が可能となる。従って、インク中の異物としての固形化異物とゲル状異物のいずれの異物も確実に捕集し、異物の形態等を検査することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかるインク異物検査装置の前記第2インク検査部における前記金属製フィルターは、複数の貫通孔を有する底部と、撥液処理された側壁部と、を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、滴下されたインクを底部と側壁部とで保持することができる。また、側壁部の表面には撥液処理が施されているため、インクが金属製フィルターの外にあふれ出にくくなり、効率よくインクを検査することができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかるインク異物検査装置の前記第2インク検査部は、前記第1インク検査部の下流側に設けられたことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、第1インク検査部において一定圧力を加えたことにより多孔質フィルターをすり抜けたゲル状異物を、第1インク検査部の下流側に設けられた第2インク検査部で確実に捕集することができる。
【0012】
[適用例4]本適用例にかかる液滴吐出装置は、インクが貯留されたインクタンクと、前記インクタンクから供給された前記インクを液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、を有する液滴吐出装置であって、上記のインク異物検査装置を備えたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、インクに含まれる異物が捕集されるので、吐出性を確保することができる。さらに、インクに含まれる異物の検査により、異物発生の傾向を考慮しながら、効率よく装置を稼動させることができる。また、インクの初期的特性だけでなく、液滴吐出装置が稼動している間に発生する異物(ゲル状異物や固形化異物)も捕集することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記インク異物検査装置が、前記インクタンクと前記液滴吐出ヘッドとが接続された流路の間に配備されたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、インクが吐出される前に異物等が捕集・検査されるため、安定した吐出性を確保することできる。
【0016】
[適用例6]本適用例にかかるインク異物検査方法は、インク中に含まれる異物を捕集するとともに、捕集された前記異物を検査するインク検査工程を含み、前記インク検査工程では、多孔質フィルターに向けて、一定圧力を加えて前記インクを滴下させ、滴下された前記インクに含まれる異物を捕集するとともに、捕集された前記異物を検査する第1インク検査工程と、金属製フィルターに向けて、無負荷状態で前記インクを滴下させ、滴下された前記インクに含まれる異物を捕集するとともに、捕集された前記異物を検査する第2インク検査工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、例えば、第1インク検査工程では、インクに含まれる固形化異物が捕集され、固形化異物の形態の検査が可能となる。また、第2インク検査工程では、インクに含まれるゲル状異物が捕集され、ゲル状異物の形態の検査が可能となる。従って、インク中の異物としての固形化異物とゲル状異物のいずれの異物も確実に捕集し、異物の形態等を検査することができる。
【0018】
[適用例7]上記適用例にかかるインク異物検査方法では、前記第1インク検査工程の後に、前記第2インク検査工程を行うことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、第1インク検査工程において一定圧力を加えたことにより多孔質フィルターをすり抜けたゲル状異物を、第1インク検査工程の後に行われる第2インク検査工程で確実に捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】液滴吐出装置の構成を示す概略図。
【図2】インク異物検査装置の構成を示す概略図。
【図3】インク異物検査装置の制御部の構成を示す制御ブロック図。
【図4】インク異物検査方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材ごとに縮小を異ならせて図示している。
【0022】
(液滴吐出装置の構成)
まず、液滴吐出装置の構成について説明する。図1は、液滴吐出装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、液滴吐出装置1は、ワークWに向けてインクを液滴として吐出する吐出装置10と、インク中に含まれる異物を捕集するとともに、捕集された異物を検査するインク異物検査装置30を備えている。
【0023】
吐出装置10は、ワークWを載置する載置部29と、ワークWに向けてインクを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド25と、液滴吐出ヘッド25とワークWを相対的に走査する走査部20と、液滴吐出ヘッド25に供給されるインクを収容するインクタンク26等を備えている。
【0024】
液滴吐出ヘッド25は、例えば、複数のノズルが形成されたノズルプレート(SUS材)を備えている。そして、各ノズルと相対する位置には、各ノズルと連通するキャビティが形成されている。そして、キャビティには、インクタンク26からチューブ27を介してインクが供給されるように構成されている。また、キャビティ上には、上下方向(Z方向:縦振動)に振動して、キャビティ内の容積を拡大縮小する振動板と、上下方向に伸縮して振動板を振動させる加圧手段としての圧電素子が配設されている。圧電素子が上下方向に伸縮することにより振動板が振動し、振動板がキャビティ内の容積を拡大縮小してキャビティを加圧する。これにより、キャビティ内の圧力が変動し、キャビティ内に供給されたインクが、ノズルを通って液滴として吐出される。なお、加圧手段として、縦振動型の圧電素子に限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子を用いるようにしてもよい。また、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用してもよい。さらには、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によってインクを液滴として吐出させる構成を有するものであってもよい。
【0025】
走査部20は、液滴吐出ヘッド25とワークWを相対的に走査するものである。本実施形態では、載置部29に載置されたワークWに対して液滴吐出ヘッド25を走査(移動)させ、液滴吐出ヘッド25とワークWとが相対的に走査する構成となっている。具体的には、走査部20は、ガイドレール23と、ガイドレール23に沿って走査可能に設置されたキャリッジ21と、キャリッジ21を走査方向に移動させるための直動機構22で構成されている。直動機構22は、例えば、ガイドレール23に沿って走査方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するモーター(図示省略)に連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号をモーターに入力すると、モーターが正転又は逆転して、キャリッジ21が同ステップ数に相当する分だけ走査方向に沿って往動又は復動する。そして、キャリッジ21には、液滴吐出ヘッド25が搭載されており、キャリッジ21の移動により、液滴吐出ヘッド25が、ワークWの液滴吐出領域等に移動することができる。
【0026】
また、液滴吐出装置1には、必要に応じて、液滴吐出ヘッド25をメンテナンスするためのメンテナンスユニット(図示せず)が設けられている。メンテナンスユニットは、例えば、フラッシングユニット、キャッピングユニットやワイピングユニット等が含まれる。
【0027】
そして、インクタンク26と液滴吐出ヘッド25とが流路としてのチューブ27によって接続されている。そして、インクタンク26と液滴吐出ヘッド25とが接続されたチューブ27の途中にインク異物検査装置30が配備されている。具体的には、インクタンク26と液滴吐出ヘッド25とが接続されたチューブ27の途中に弁28が設けられ、弁28に接続されたチューブ27aにインク異物検査装置30が接続されている。以下、インク異物検査装置30の構成について説明する。
【0028】
図2は、インク異物検査装置の構成を示す概略図である。インク異物検査装置30は、インク中に含まれる異物を捕集するとともに、捕集された異物を検査する第1インク検査部40と第2インク検査部50とを備えている。そして、インクの流動方向に対して、第2インク検査部50は、第1インク検査部40の下流側に設けられている。
【0029】
第1インク検査部40は、主にインク中に含まれる異物のうち、固形化異物を捕集し、検査するものである。第1インク検査部40は、一定圧力を加えてインクを滴下させる第1滴下部41と、滴下されたインクに含まれる異物を捕集する多孔質フィルター45を有している。
【0030】
第1滴下部41は、インクを滴下する滴下部42と、滴下部42から吐出されるインクに圧力を加える加圧部を含む第1滴下駆動部43を備えている。滴下部42には、インクが吐出される微小孔42aが設けられている。第1滴下駆動部43は、滴下部42に溜められたインクに圧力を加える加圧部を備えている。また、第1滴下駆動部43は、滴下部42をXYZ軸方向に任意に移動させる移動部を備えている。
【0031】
多孔質フィルター45は、例えば、孔径3〜8μmを有するメンブレンフィルターである。多孔質フィルター45は、ホルダー46によって固定される。
【0032】
そして、弁28を経由してチューブ27aから供給されたインクは、第1滴下部41から多孔質フィルター45に向かって一定加圧のもとインク滴下される。インクに一定加圧することにより、インクを多孔質フィルター45に染み込ませ、異物を捕集することができる。そして、多孔質フィルター45を通過(通液)したインクは、インク受け部80によって確保され、チューブ81を介して第2インク検査部50に流動する。
【0033】
第2インク検査部50は、主にインク中に含まれる異物のうち、ゲル状異物を捕集し、検査するものである。第2インク検査部50は、無負荷状態でインクを滴下させる第2滴下部51と、滴下されたインクに含まれる異物を捕集する金属製フィルター55を有している。
【0034】
第2滴下部51は、インクを吐出(自然滴下)する滴下部52と、滴下部52をXYZ軸方向に任意に移動させる移動部を有する第2滴下駆動部53とを備えている。また、滴下部52には、インクが吐出される微小孔52aが設けられている。なお、ホルダー46がインク受け部80の側壁内側に入るサイズとし、ホルダー46の下部先端からインク受け部80の底面までの距離を3mm以下にすることが好ましい。すなわち、金属製フィルター55における通液時、ホルダー46の下部先端とインク受け部80底面の間がインクでつながった状態が好ましい。なぜならば、無負荷での滴下捕集の場合、間欠滴下にすると、金属製フィルター55を通過するときの通液速度が速くなりすぎ、ゲル状異物の捕集率が低くなるためである。従って、上記のように構成することにより、ゲル状異物の捕集率を高めることができる。
【0035】
第2インク検査部50における金属製フィルター55は、例えば、本実施形態における液滴吐出ヘッド25のノズルプレートの材質と同じSUS(ステンレス鋼)で形成されたフィルターである。ノズルプレートと同じ材質を用いることにより、同じ環境下での検査が可能となる。金属製フィルター55は、図2(c)に示すように、複数の丸形あるいは矩形の貫通孔(例えば、孔径10μm)を有する底部55aと、内側の面が撥液処理された側壁部55bを有する。このように構成することにより、滴下されたインクを確実に保持することができる。
【0036】
そして、チューブ81から供給されたインクは、第2滴下部51から金属製フィルター55に向かって無負荷状態のもとインク滴下(自然滴下)される。自然滴下することにより、金属製フィルター55の貫通孔からゲル状異物がすり抜けてしまうことを防ぐことができる。そして、金属製フィルター55を通過(通液)したインクは、インク受け部82によって確保され、チューブ83を介して回収タンク84に回収される。
【0037】
なお、金属製フィルター55に対して検査しようとするインクを自然滴下した場合には、金属製フィルター55には、ゲル状異物とともに、固形化異物も捕集することができる。しかしながら、ゲル状異物と固形化異物が同一のフィルターに捕集されると、ゲル状異物と固形化異物の各大きさや個数によってインクの合否判断する場合に、合否判断が困難になってしまうことに鑑み、本実施形態では、主に固形化異物を捕集・検査する第1インク検査部40と、主にゲル状異物を捕集・検査する第2インク検査部50と、を備えている。
【0038】
また、インク異物検査装置30は、第1及び第2インク検査部40,50を覆うカバー部60を備え、これにより、カバー部60の外部と遮断され、防塵化することができる。
【0039】
さらに、インク異物検査装置30は、図2(b)に示すように、インクを通液した後の多孔質フィルター45や金属製フィルター55を載置するステージ部90と、載置された多孔質フィルター45や金属製フィルター55に捕集された異物を撮像する撮像装置としてのカメラ70とを備えている。そして、ステージ部90は、回転可能な載置部91を備え、所定位置に配置された多孔質フィルター45や金属製フィルター55の画像が、カメラ70によって撮像され、撮像された画像データが制御部に送信されるように構成されている。
【0040】
次に、インク異物検査装置の制御部の構成について説明する。図3は、インク異物検査装置の制御部の構成を示すブロック図である。制御部100は、指令部130と駆動部140とを備え、指令部130は、CPU132、記憶手段としてのROM133、RAM134および入出力インターフェース131からなり、CPU132が入出力インターフェース131を介して入力される各種信号を、ROM133、RAM134のデータに基づき処理し、入出力インターフェース131を介して駆動部140へ制御信号を出力する。駆動部140は、第1滴下駆動部ドライバー141、第2滴下駆動部ドライバー142、ステージ部ドライバー143及びカメラドライバー144等を備えている。そして、第1滴下駆動部ドライバー141は、指令部130の制御信号により、第1滴下駆動部43の加圧部及び移動部等を制御する。第2滴下駆動部ドライバー142は、指令部130の制御信号により、第2滴下駆動部53の移動部等を制御する。ステージ部ドライバー143は、ステージ部90の載置部91等を制御する。カメラドライバー144は、カメラ70を制御する。なお、制御部100では、カメラ70で撮像された画像データを図示しない表示装置に表示させたり、2値化画像処理を施し、異物を判別させ易く処理することができる。
【0041】
(インク異物検査方法)
次に、インク異物検査方法について説明する。本実施形態におけるインク異物検査方法は、インク中に含まれる異物を捕集するとともに、捕集された異物を検査するインク検査工程を含み、インク検査工程では、多孔質フィルターに向けて、一定圧力を加えてインクを滴下させ、滴下されたインクに含まれる異物を捕集するとともに、捕集された異物を検査する第1インク検査工程と、金属製フィルターに向けて、無負荷状態でインクを滴下させ、滴下されたインクに含まれる異物を捕集するとともに、捕集された異物を検査する第2インク検査工程と、含むものである。そして、第1インク検査工程の後に、第2インク検査工程が行われる。以下、具体的に説明する。図4は、インク異物検査方法を示すフローチャートである。
【0042】
インク供給工程S1では、インクタンク26から弁28及びチューブ27aを介してインク異物検査装置30の第1インク検査部40の滴下部42にインクを供給する。
【0043】
第1インク検査工程S2では、第1インク検査部40の滴下部42の微小孔42aを多孔質フィルター45に押し当てるとともに、滴下部42に溜められたインクに一定圧力を加え、滴下部42から多孔質フィルター45に向けてインクを滴下させる。そして、カメラ70によって多孔質フィルター45で捕集された異物、特に、固形化異物の有無を検査する。
【0044】
第2インク検査工程S3では、第2インク検査部50の滴下部52の微小孔52aから金属製フィルター55に向けてインクを滴下する。この際のインク滴下では、インクに圧力を加えない無負荷状態(自然滴下)で行われる。そして、カメラ70によって金属製フィルター55で捕集された異物、特に、ゲル状異物の有無を検査する。
【0045】
インク検査合否判断工程S4では、検査したインクが合格か否かを判断する。具体的には、第1及び第2インク検査工程S2,S3において行った検査結果に基づいて、所定の検査基準と対比することにより合否判断を行う。判断基準は、例えば、固形化異物やゲル状異物の大きさや個数を規定することができる。そして、インク検査が合格の場合は、インク異物検査は終了する。一方、インク検査が不合格の場合は、インク交換工程S5に移行する。
【0046】
インク交換工程S5では、インクの交換を行う。この場合、例えば、インクタンク26に収容されたインクを廃棄し、新たなインクをインクタンク26に収容する。
【0047】
なお、上記のインク異物検査装置30、液滴吐出装置1、インク異物検査方法は、カラーフィルター用のインク、有機EL用のインク、UV硬化性のインク、基板配線用のインク等、様々なインクに適用することができる。
【0048】
従って、上記の実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0049】
(1)インク異物検査装置では、第1インク検査部40と第2インク検査部50とを備えた。従って、固形化異物とゲル状異物を確実に捕集し、インク中に含まれる異物を検査することができる。
【0050】
(2)第2インク検査部50を第1インク検査部40の下流側に設置した。これにより、第1インク検査部40をすり抜けたゲル状異物を確実に捕集することができる。
【0051】
なお、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例が挙げられる。
【0052】
(変形例1)上記実施形態では、第1インク検査部40の下流側に第2インク検査部50を配備したが、これに限定されない。例えば、第1インク検査部40と第2インク検査部50とが並行になるように配備してもよい。この場合において、インクを供給するチューブ27aを分岐して、一方を第1インク検査部40に接続し、他方を第2インク検査部50に接続すればよい。このようにすれば、同時期に第1及び第2インク検査部40,50でのインクの検査が実施可能となるため、インクの検査処理時間を短縮させることができる。
【0053】
(変形例2)上記実施形態では、インク異物検査装置30は、第1及び第2インク検査部40,50を各1つ備えたが、第1及び第2インク検査部40,50をそれぞれ複数個備えてもよい。このようにすれば、さらに、インクの検査処理時間を短縮させることができる。
【0054】
(変形例3)上記実施形態では、インク異物検査装置30を液滴吐出装置1に含めたが、インク異物検査装置30を単独で使用してもよい。例えば、オフラインで液滴吐出装置1にインクを投入する前にインクの検査を行ってもよい。すなわち、インクの受け入れ検査装置として使用してもよい。このようにすれば、異物のないインクを選定し、液滴吐出装置1に投入することができる。また、これにより、異物によるインクの吐出不具合が減少するため、インクの予備吐出等の液滴吐出ヘッド25に係るメンテナンス処理頻度が低減され、インクの無駄を抑えることができる。
【0055】
(変形例4)上記実施形態では、金属製フィルター55にインクを滴下して、インク中に含まれる異物を検査したが、金属製フィルター55に替えてガラス板上にインクを滴下してもよい。このようにすれば、固形化異物やゲル状異物の寸法等を容易に測定することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…液滴吐出装置、10…吐出装置、30…インク異物検査装置、40…第1インク検査部、41…第1滴下部、45…多孔質フィルター、50…第2インク検査部、51…第2滴下部、55…金属製フィルター、55a…底部、55b…側壁部、70…カメラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク中に含まれる異物を捕集するとともに、捕集された前記異物を検査する第1インク検査部と第2インク検査部とを備え、
前記第1インク検査部は、一定圧力を加えて前記インクを滴下させる第1滴下部と、滴下された前記インクに含まれる異物を捕集する多孔質フィルターと、を有し、
前記第2インク検査部は、無負荷状態で前記インクを滴下させる第2滴下部と、滴下された前記インクに含まれる異物を捕集する金属製フィルターと、を有することを特徴とするインク異物検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインク異物検査装置において、
前記第2インク検査部における前記金属製フィルターは、複数の貫通孔を有する底部と、撥液処理された側壁部と、を有することを特徴とするインク異物検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインク異物検査装置において、
前記第2インク検査部は、前記第1インク検査部の下流側に設けられたことを特徴とするインク異物検査装置。
【請求項4】
インクが貯留されたインクタンクと、前記インクタンクから供給された前記インクを液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、を有する液滴吐出装置であって、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク異物検査装置を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液滴吐出装置において、
前記インク異物検査装置が、前記インクタンクと前記液滴吐出ヘッドとが接続された流路の間に配備されたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
インク中に含まれる異物を捕集するとともに、捕集された前記異物を検査するインク検査工程を含み、
前記インク検査工程では、
多孔質フィルターに向けて、一定圧力を加えて前記インクを滴下させ、滴下された前記インクに含まれる異物を捕集するとともに、捕集された前記異物を検査する第1インク検査工程と、
金属製フィルターに向けて、無負荷状態で前記インクを滴下させ、滴下された前記インクに含まれる異物を捕集するとともに、捕集された前記異物を検査する第2インク検査工程と、を有することを特徴とするインク異物検査方法。
【請求項7】
請求項6に記載のインク異物検査方法において、
前記第1インク検査工程の後に、前記第2インク検査工程を行うことを特徴とするインク異物検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−158416(P2011−158416A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21880(P2010−21880)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】