説明

インサート部品とプラスチック外被を含む部材並びにその製法

本発明は、インサート部品並びに少なくとも2のプラスチック成分からのプラスチック外被を含み、前記インサート部品が第1のプラスチック成分Aにより包囲され、そして、前記第1のプラスチック成分Aが第2のプラスチック成分Bにより包囲されている部材であって、前記第1のプラスチック成分Aが、次のものから構成されている:A1:脂肪族及び芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジヒドロキシ化合物を基礎とする、少なくとも1のポリエステル、成分A1及びA2の全質量に対して5〜80質量%、A2:ポリラクチド(PLA)、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノアート及び脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールからのポリエステル、からなる群から選択される少なくとも1のホモポリエステル又はコポリエステル、成分A1及びA2の全質量に対して20〜95質量%、A3:スチレン、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを基礎とするエポキシド基含有コポリマーa)、ビスフェノールA−エポキシドb)又はエポキシド基含有の天然油、脂肪酸エステル又は脂肪酸アミドc)、成分A1及びA2の全質量に対して0.05〜15質量%、及び前記第2のプラスチック成分Bが、次のものから構成されている:B1:芳香族ジカルボン酸及び脂肪族又は芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とする少なくとも1の部分結晶性の熱可塑性ポリエステル、50〜100質量%、及びB2:少なくとも1の熱可塑性スチレン(コ)ポリマー、0〜50質量%、そのつど、第2のプラスチック成分Bのポリマー割合に対する、部材に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート部品並びに少なくとも2のプラスチック成分からのプラスチック外被を含む部材であって、その際、前記インサート部品がプラスチック成分Aにより包囲され、そして、前記第1のプラスチック成分Aが第2のプラスチック成分Bにより包囲されている部材に関する。本発明はさらに、このような部材の製法に関する。
【0002】
インサート部品及びプラスチック外被を含む部材は、例えば、エレクトロニクス部材の組み込みのための金属性インサート部品の使用の際に、例えば自動車技術又は航空技術及び宇宙航空技術において使用される。ここでは、湿分又は液体の浸入及びこれによるエレクトロニクスコンポーネントの損傷を妨げるために、媒体シール性(mediendicht)連結又は材料結合的(stoffschluessig)連結が部材中で必要とされる。部材のシール性は、この部材を温度変動に供する場合にも保証されたままでなくてはならない。プラスチック外被を備える金属性インサート部品からの連結構築の際に材料結合のシール性が不足していることの理由は、例えば、このプラスチックコンポーネントでの金属コンポーネントの劣悪な湿潤、ひいては、劣悪な付着から生じ得る。金属コンポーネントとプラスチックコンポーネントの熱膨張における差もまた、裂けを引き起こし得る応力を生じる。
【0003】
金属性インサート部品がプラスチック外被により包囲されている、プラグの形にある部材は、例えばEP-B 0 249 975から知られている。プラスチックと金属の間の密な連結を達成するために、外側プラスチック材料と金属性インサート部品の間に、柔軟なプラスチック材料が導入されている。この柔軟なプラスチック材料は、例えば、強化していない熱可塑性エラストマーである。
【0004】
EP-A 1 496 587からは、プラスチック材料製のシールした構造から平型ケーブルが導通される複合部材が知られている。プラスチック材料からケーブルが抜け出る間隙のシールのために、この開口部は液状ゴムで充填され、このゴムは引き続き硬化される。
【0005】
DE-C 100 53 1 15からも、プラスチック外被からケーブルを案内することが記載されている。ここで、差し込み口の材料に対してもこの導体の外被材料に対しても接着性であるシーラントによって封止を行う。適したシーラントとして例えば脂肪、ロウ、樹脂、ビチューメン等が挙げられる。
【0006】
金属性ピンがプラスチック材料製の固い外被内に収容されている更なるプラグ連結部は、EP-A 0 245 975からも知られている。柔軟なプラスチック材料は、密な連結を達成するために、金属ピンとこの外側にある外被の間で使用される。
【0007】
インサート部品がプラスチック層によって外側被覆されている部材は、WO-A 2008/099009からも知られている。この部材では、金属性インサート部品がまず粘度の低いプラスチック材料で被覆され、そして、第2の工程でこの被覆はプラスチック硬質成分で射出成形被覆(umspritzen)される。低い粘度を有する適したプラスチックとして、ポリアミド、脂肪族ポリエステル又はポリエステルであって脂肪族及び芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジヒドロキシ化合物に基づくものが挙げられる。
【0008】
電気的接触がハウジングを通じて導通される更なるハウジングブッシュは、DE-B 10 2005 033 912から知られている。このハウジングブッシュは、不所望な物質の浸入に対してシールされている。シールのために、封止領域中の導体エレメントの粗さ深さが電気めっきにより高められる。
【0009】
先行技術から知られている、インサート部品の全てのプラスチック被覆の欠点は、これが特に温度変化を使用する場合に十分な媒体シール性を提供しないことである。
【0010】
従って、本発明の課題は、インサート部品とプラスチック外被を含む部材であって、前記プラスチック外被が温度変化貯蔵の場合にも十分な媒体シール性を提供する部材を提供することである。
【0011】
前記課題は、インサート部品並びに少なくとも2のプラスチック成分からのプラスチック外被を含み、前記インサート部品が第1のプラスチック成分Aにより包囲され、そして、前記第1のプラスチック成分Aが第2のプラスチック成分Bにより包囲されている部材であって、
前記第1のプラスチック成分Aが、次のものから構成されている:
A1:脂肪族及び芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジヒドロキシ化合物を基礎とする、少なくとも1のポリエステル、成分A1及びA2の全質量に対して5〜80質量%、
A2:ポリラクチド(PLA)、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノアート(例えば、PHB又はPHB/V)及び脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールからのポリエステル、からなる群から選択される少なくとも1のホモポリエステル又はコポリエステル、成分A1及びA2の全質量に対して20〜95質量%、
A3:スチレン、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを基礎とするエポキシド基含有コポリマーa)、ビスフェノールA−エポキシドb)又はエポキシド基含有の天然油、脂肪酸エステル又は脂肪酸アミドc)、成分A1及びA2の全質量に対して0.05〜15質量%、かつ
前記第2のプラスチック成分Bが、次のものから構成されている:
B1:芳香族ジカルボン酸及び脂肪族又は芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とする少なくとも1の部分結晶性の熱可塑性ポリエステル、50〜100質量%、及び
B2:少なくとも1の熱可塑性スチレン(コ)ポリマー、0〜50質量%
(そのつど、前記第2のプラスチック成分Bのポリマー割合に対する)、
部材により解決される。
【0012】
脂肪族及び芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジヒドロキシ化合物を基礎とする少なくとも1のポリエステルA1(以下、部分結晶性ポリエステルと呼ぶ)、及び、少なくとも1のホモポリエステル及びコポリエステルA2、及び、相容性媒介剤として使用される成分A3、から構成されている第1のプラスチック成分Aの使用によって、先行技術から知られているプラスチック外被に比較して顕著により改善された媒体シール性が、特に温度変化の場合の部材の使用の場合に達成される。
【0013】
特に好ましい部分結晶性ポリエステルA1には、本質的な成分として
1)次のものからの酸成分:
1a)少なくとも1の脂肪族又は少なくとも1の脂環式ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体又はその混合物、30〜99モル%、
1b)少なくとも1の芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体又はその混合物、1〜70モル%、及び
1c)スルホナート基含有化合物、0〜5モル%、
2)少なくとも1のC2〜C12−アルカンジオール、少なくとも1のC5〜C10−シクロアルカンジオール又はその混合物から選択されるジオール成分、
及び場合により更に次のものから選択される1以上の成分:
3)次のものから選択される成分:
3a)式I
【化1】

[式中、nは2、3又は4、そしてmは2〜250の整数である]の少なくとも1のエーテル官能性を含むジヒドロキシ化合物、
3b)式IIa又はIIb
【化2】

[式中、pは1〜1500の整数を、rは1〜4の整数を意味し、Gは、フェニレン、−(CH2q−(式中、qは1〜5の整数を意味する)、−C(R)H−及び−C(R)HCH2−(式中Rはメチル又はエチルである)からなる群から選択される基である]の少なくとも1のヒドロキシカルボン酸、
3c)少なくとも1のアミノ−C2〜C12−アルカノール又は少なくとも1のアミノ−C5〜C10−シクロアルカノール又はその混合物、
3d)少なくとも1のジアミノ−C1〜C8−アルカン、
3e)一般式III
【化3】

[式中、R1は単結合、(CH2z−アルキレン基(式中、z=2、3又は4)又はフェニレン基を意味する]
の少なくとも1の2,2′−ビスオキサゾリン、
3f)少なくとも1のアミノカルボン酸であって、次のものからなる群から選択されているもの:
天然アミノ酸、ポリアミドであって4〜6個のC原子を有するジカルボン酸と4〜10個のC原子を有するジアミンの重縮合により得られるもの、式IVa及びIVb
【化4】

[式中、sは1〜1500の整数、tは1〜4の整数を意味し、Tは、フェニレン、−(CH2u−(式中、uは1〜12の整数を意味する)、−C(R2)H−及び−C(R2)HCH2(式中、R2はメチル又はエチルである)からなる群から選択される基である]の化合物、
及び繰り返し単位V
【化5】

[式中、R3は水素、C1〜C6−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、非置換の又はC1〜C4−アルキル基で3回まで置換されたフェニル、又はテトラヒドロフリルである]を有するポリオキサゾリン、
又は3a)〜3f)からの混合物、
及び
4)次のものから選択される成分:
4a)エステル形成可能な基少なくとも3を有する化合物少なくとも1、
4b)少なくとも1のイソシアナート、
4c)少なくとも1のジビニルエーテル
又は4a)〜4c)からの混合物
を含むポリエステルが挙げられる。
【0014】
部分芳香族ポリエステルA1の酸成分1)は、好ましい一実施態様において、1a)を30〜70モル%、特に40〜60モル%含有し、かつ1b)を30〜70モル%、特に40〜60モル%含有する。
【0015】
脂肪酸及び相応する誘導体1a)としては、一般的に、2〜10個の炭素原子、好ましくは4〜6個の炭素原子を有するものが挙げられる。これらは、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい。本発明の範囲内で使用可能な脂環式ジカルボン酸は、通常、7〜10個の炭素原子、特に8個の炭素原子を有する。しかしながら、原則的に、これより多い数の炭素原子、例えば30個までの炭素原子を有するジカルボン酸を使用してもよい。
【0016】
次のものが例示的に挙げられる:マロン酸、コハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸及び2,5−ノルボルナンジカルボン酸。
【0017】
上述の脂肪族又は脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体も同様に使用することができ、特にジ−C1〜C6−アルキルエステル、例えばジメチル−、ジエチル−、ジ−n−プロピル、ジ−イソプロピル、ジ−n−ブチル、ジ−イソ−ブチル、ジ−t−ブチル、ジ−n−ペンチル、ジ−イソ−ペンチル又はジ−n−ヘキシルエステルを挙げることができる。同様にジカルボン酸の無水物を使用できる。
【0018】
この場合、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体は、単独でか又は2個以上のこれらの混合物として使用することができる。
【0019】
好ましくはコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸又はこのそれぞれのエステル形成性誘導体又はこの混合物が使用される。特に好ましくは、コハク酸、アジピン酸又はセバシン酸又はこのそれぞれのエステル形成性誘導体又はこの混合物を使用する。特に好ましくは、アジピン酸又はこのエステル形成性誘導体、例えばこのアルキルエステル又はこの混合物を使用する。「硬質」又は「脆い」成分A2、例えばポリヒドロキシブチラート又は特にポリラクチドを用いてポリマー混合物が製造される場合には、脂肪族ジカルボン酸としてセバシン酸又はセバシン酸とアジピン酸の混合物が好ましく使用される。「軟質」又は「靭性」成分A2、例えばポリヒドロキシブチラートコバレリアートを用いてポリマー混合物が製造される場合には、脂肪族ジカルボン酸としてコハク酸又はコハク酸とアジピン酸の混合物が好ましく使用される。
【0020】
コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸及びブラシル酸は、さらに、再生原料として入手できる利点を有する。
【0021】
芳香族ジカルボン酸1b)として、一般的に、炭素原子8〜12個、好ましくは炭素原子8個を有するものが挙げられる。例示的に、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフトエ酸及び1,5−ナフトエ酸並びにこれらのエステル形成性誘導体が言及される。これに関して、特にジ−C1〜C6−アルキルエステル、例えばジメチル−、ジエチル−、ジ−n−プロピル−、ジ−イソ−プロピル、ジ−n−ブチル−、ジ−イソ−ブチル、ジ−t−ブチル、ジ−n−ペンチル−、ジ−イソ−ペンチル又はジ−n−ヘキシルエステルが挙げられる。ジカルボン酸1b)の無水物も同様に適したエステル形成性誘導体である。
【0022】
しかし、原則的に、より多数の炭素原子、例えば炭素原子20個までを有する芳香族ジカルボン酸1b)も使用することができる。
【0023】
芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体1b)は、単独でか又は2以上のこれらの混合物として使用することができる。特に好ましくはテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体、例えばジメチルテレフタラートが使用される。
【0024】
スルホナート基含有化合物として、通常、スルホナート基含有ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が使用され、好ましくは5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩又はこれらの混合物、とりわけ好ましくはナトリウム塩が使用される。
【0025】
好ましい一実施態様によれば、酸成分1)は、40〜60モル%の1a)、40〜60モル%の1b)、及び0〜2モル%の1c)を含有する。更なる好ましい一実施態様によれば、酸成分1)は、40〜59.9モル%の1a)、40〜59.9モル%の1b)及び0.1〜1モル%の1c)を含有し、特に40〜59.8モル%の1a)、40〜59.8モル%の1b)及び0.2〜0.5モル%の1c)を含有する。
【0026】
一般的に、ジオール2)は、炭素原子2〜12個、好ましくは4〜6個を有する分枝鎖又は直鎖のアルカンジオール、又は炭素原子5〜10個を有するシクロアルカンジオールの中から選択される。
【0027】
適したアルカンジオールの例は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、特にエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール);シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール又は2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールである。特に好ましくは1,4−ブタンジオールであり、特にアジピン酸を成分a1)として組み合わせた場合であり、及び、1,3−プロパンジオールであり、特にセバシン酸を成分a1)として組み合わせた場合である。1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールは、さらに、再生原料として入手できる利点を有する。種々のアルカンジオールの混合物も使用してよい。
【0028】
酸末端基又はOH末端基の過剰量が所望されるかどうかに応じて、成分A又は成分Bのいずれかを過剰量で使用することができる。好ましい一実施態様によれば、使用される成分A対Bのモル比は、0.4:1〜1.5:1の範囲内、好ましくは0.6:1〜1.1:1の範囲内にあってよい。
【0029】
本発明によるポリエステル混合物をベースとするポリエステルは、成分1)及び2)の他に、他の成分を含有してよい。
【0030】
ジヒドロキシ化合物3a)としては、好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)、特に好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールを使用し、その際、これらの混合物又は異なる変数nを有する化合物(式Iを参照のこと)を使用してもよく、例えばプロピレン単位(n=3)を含有し、例えば自体公知の方法で最初にエチレンオキシドの重合、次いでポリプロピレンとの重合により得られるポリエチレングリコール、特に好ましくは、異なる変数nを有する、ポリエチレングリコールをベースとするポリマーを使用し、その際、その単位は主としてエチレンオキシドから形成されている。ポリエチレングリコールの分子量(Mn)は、通常、250〜8000g/モル、好ましくは600〜3000g/モルの範囲内で選択される。
【0031】
好ましい一実施態様によれば、例えば、2)及び3a)のモル量に対して、ジオール2)15〜98モル%、好ましくは60〜99.5モル%が、ジヒドロキシ化合物3a)0.2〜85モル%、好ましくは0.5〜30モル%が、部分芳香族ポリエステルの製造のために使用することができる。
【0032】
好ましい一実施態様において、ヒドロキシカルボン酸3b)として次のものを使用する:グリコール酸、D−、L−、D,L−乳酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、その環状誘導体、例えばグリコリド(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)、D−、L−ジラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)、p−ヒドロキシ安息香酸並びにそのオリゴマー及びポリマー、例えば3−ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリラクチド(例えばNatureWorks(R)(Cargill社)として入手できる)並びに3−ポリヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシ吉草酸からの混合物(後者のものは名称Biopol(R)でZenecaから入手できる)。部分結晶性ポリエステルの製造のために特に好ましくはこの低分子量及び環状誘導体である。
【0033】
例えば、ヒドロキシカルボン酸は、1)及び2)の量に対して、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%の量で使用することができる。
【0034】
アミノ−C2〜C12−アルカノール又はアミノ−C5〜C10−シクロアルカノール(成分3c)として(以下では4−アミノメチルシクロヘキサンメタノールも該当するものである)、好ましくはアミノ−C2〜C6−アルカノール、例えば2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノール並びにアミノ−C5〜C6−シクロアルカノール、例えばアミノシクロペンタノール及びアミノシクロヘキサノール又はこれらの混合物を使用する。
【0035】
ジアミノ−C1〜C8−アルカン(成分3d)として、好ましくはジアミノ−C4〜C6−アルカン、例えば1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン及び1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン、"HMD")が使用される。
【0036】
好ましい一実施態様によれば、2)のモル量に対して、3c)0.5〜99.5モル%、好ましくは0.5〜50モル%を、2)のモル量に対して、3d)0〜50モル%、好ましくは0〜35モル%を、部分芳香族ポリエステルの製造のために使用することができる。
【0037】
一般式IIIの2,2′−ビスオキサゾリン3e)は、一般に、Angew. Chem. Int. Edit, Vol. 1 1 (1972), S. 287-288からの方法により得られる。特に好ましいビスオキサゾリンは、R1が単結合、(CH2z−アルキレン基(式中、z=2、3、又は4)、例えばメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、又はフェニレン基を意味するものである。特に好ましいビスオキサゾリンとして、2,2'−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニル)メタン、1,2−ビス(2−オキサゾリニル)エタン、1,3−ビス(2−オキサゾリニル)プロパン又は1,4−ビス(2−オキサゾリニル)ブタン、特に1,4−ビス(2−オキサゾリニル)ベンゼン、1,2−ビス(2−オキサゾリニル)ベンゼン又は1,3−ビス(2−オキサゾリニル)ベンゼンが挙げられる。
【0038】
部分芳香族ポリエステルの製造のために、例えば、そのつど成分2)、3c)、3d)及び3e)のモル量の合計に対して、2)70〜98モル%、3c)30モル%まで及び3d)0.5〜30モル%及び3e)0.5〜30モル%を使用することができる。他の好ましい一実施態様によれば、1)及び2)の全質量に対して、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜4質量%の3e)を使用できる。
【0039】
成分3f)としては、天然のアミノカルボン酸を使用することができる。これに関しては、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、プロリン、セリン、チロシン、アスパラギン又はグルタミンが挙げられる。
【0040】
一般式IVa及びIVbの好ましいアミノカルボン酸は、式中、sが1〜1000の整数を意味し、かつtが1〜4の整数、好ましくは1又は2の整数を意味し、かつTが、フェニレン及び−(CH2u−(その際、uは1、5又は12を意味する)の群から選択されている。
【0041】
更に3f)は、一般式Vのポリオキサゾリンであってもよい。しかしながら、3f)は、種々のアミノカルボン酸及び/又はポリオキサゾリンの混合物であってもよい。
【0042】
好ましい一実施態様によれば、3f)は、成分1)及び2)の全質量に対して、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%の量で使用することができる。
【0043】
部分芳香族ポリエステルを製造するために任意に使用することができる他の成分として、少なくとも3つのエステル形成可能な基を含有する化合物4a)が挙げられる。
【0044】
化合物4a)は、好ましくは、エステル結合の形成可能な3個〜10個の官能基を含有する。とりわけ好ましい化合物4a)は、分子中に3個〜6個のこれらの種類の官能基を有する、特に3個〜6個のヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有する。例示的に次のものが挙げられる:
酒石酸、クエン酸、リンゴ酸:
トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン;
ペンタエリトリット;
ポリエーテルトリオール;
グリセリン;
トリメシン酸;
トリメリット酸、−無水物;
ピロメリット酸、−二無水物、及び
ヒドロキシイソフタル酸。
【0045】
通常、化合物4a)は、成分1)に対して、0.01〜15モル%、好ましくは0.05〜10モル%、とりわけ好ましくは0.1〜4モル%の量で使用される。
【0046】
成分4b)として、種々のイソシアネートの混合物1以上が使用される。芳香族又は脂肪族ジイソシアネートを使用することができる。より高官能性のイソシアネートも使用することができる。
【0047】
芳香族ジイソシアネート4b)は、本発明の範囲内において、特にトルイレン−2,4−ジイソシアナート、トルイレン−2,6−ジイソシアナート、2,2'−ジフェニルメタンジイソシアナート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート又はキシリレン−ジイソシアナートと理解される。
【0048】
特に2,2’−、2,4’−並びに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートを成分4b)として使用することが好ましい。一般的に、後者のジイソシアナートが混合物として使用される。
【0049】
3核のイソシアナート4b)としては、トリ(4−イソシアナトフェニル)メタンも挙げられる。多核の芳香族ジイソシアナートは、例えば1又は2核のジイソシアナートの製造の際に生じる。
【0050】
成分4b)は、成分4b)の全質量に対して僅かな量で、例えば5質量%までの量で、例えばイソシアネート基をキャッピングするためのウレトジオン基も含有してよい。
【0051】
脂肪族ジイソシアナート4b)とは、本発明の範囲において特に、直鎖又は分枝鎖のアルキレンジイソシアナート又はシクロアルキレンジイソシアナートであって2〜20個の炭素原子、好ましくは3〜12個の炭素原子を有するもの、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート又はメチレン−ビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)が理解される。特に好ましい脂肪族ジイソシアネート4b)は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート及びイソホロンジイソシアナートである。
【0052】
好ましいイソシアヌラートには、脂肪族イソシアヌラートであって、炭素原子2〜20個、好ましくは炭素原子3〜12個を有するアルキレンジイソシアナート又はシクロアルキレンジイソシアナート、例えばイソホロンジイソシアナート又はメチレン−ビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)から誘導されるものが含まれる。その際、アルキレンジイソシアナートは、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい。とりわけ好ましいとされるのは、n−ヘキサメチレンジイソシアナートに基づくイソシアヌレートであり、例えばn−ヘキサメチレンジイソシアナートの環状三量体、五量体又はより高級なオリゴマーである。
【0053】
一般的に、成分4b)は、1)及び2)のモル量の合計に対して、0.01〜5モル%、好ましくは0.05〜4モル%、とりわけ好ましくは0.1〜4モル%の量で使用される。
【0054】
ジビニルエーテル4c)として、一般的に、通常の及び市販の全てのジビニルエーテルを使用することができる。好ましくは、1,4−ブタンジオール−ジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオール−ジビニルエーテル又は1,4−シクロヘキサンジメタノール−ジビニルエーテル又はこの混合物が使用される。
【0055】
好ましくはジビニルエーテルは、1)及び2)の全質量に対して、0.01〜5質量%、特に0.2〜4質量%の量で使用される。
【0056】
好ましい部分芳香族ポリエステルの例は、以下の成分を基礎とする。
1)、2)、4a)
1)、2)、4b)
1)、2)、4a)、4b)
1)、2)、4c)
1)、2)、3a)
1)、2)、3a)、4c)
1)、2)、3c)、3d)
1)、2)、3c)、3d)、3e)
1)、2)、4a)、3c)、3e)
1)、2)、3c)、4c)
1)、2)、3c)、4a)
1)、2)、3a)、3c)、4c)
1)、2)、3b)。
【0057】
このうち、1)、2)、4a)又は1)、2)、4b)又は1)、2)、4a)、4b)をベースとする部分芳香族ポリエステルが特に好ましい。他の好ましい一実施態様によれば、部分芳香族ポリエステルは、1)、2)、3c)、3d)、3e)又は1)、2)、4a)、3c)、3e)をベースとする。
【0058】
好ましい一実施態様において、プラスチック成分A中に含まれるポリエステルの少なくとも1は、第2のプラスチック成分BのポリエステルB1の融点よりも低い融点を有する。
【0059】
好ましくは熱可塑性ポリエステルA1として、テレフタル酸(10〜40モル%)、1,4−ブタンジオール(50モル%)及びアジピン酸又はセバシン酸(10〜40モル%)からのランダムコポリエステルであり、その際、モノマーの合計は100質量%である。特に好ましくは、テレフタル酸(15〜35モル%)、1,4−ブタンジオール(50モル%)及びアジピン酸(15〜35モル%)からのランダムコポリエステルであり、その際、モノマーの合計は100質量%である。
【0060】
ホモポリエステル又はコポリエステルA2は、好ましくは、ポリラクチド(PLA)、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノアート、例えばPHB又はPHB/V、及び、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールからのポリエステルからなる群から選択されている。
【0061】
低融点の利点は、第2の成分Bを用いた射出成形外層被覆(Ueberspritzen)の際の第1のポリエステル成分Aの溶融によって、特に密な連結が可能になることである。
【0062】
さらに、第1のプラスチック成分Aは、1又は複数の添加剤を含んでよい。この場合に、添加剤は通常、靭性改質剤、難燃剤、核形成剤、カーボンブラック、顔料、着色剤、離型剤、熱老化安定剤、酸化防止剤、加工安定剤、滑剤及びブロッキング防止剤、ロウ、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤及び防曇剤からなる群から選択されている。プラスチック成分Aの質量に対する添加剤の割合は、好ましくは0〜15質量%の範囲にある。
【0063】
さらに、繊維状又は粒子状充填剤も含まれていることができる。適した繊維状又は粒子状充填剤は、無機又は有機のものであってよい。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、カオリン、か焼カオリン、タルク、白亜、シリカート、雲母、ウォラストナイト、モンモリロナイト、セルロース含有繊維、例えば綿、亜麻、麻、イラクサ繊維又は類似物、無定形ケイ酸及び粉末化石英が適している。繊維状又は粒子状充填剤のうち、粒子状充填剤が特に好ましい。特にとりわけ好ましくは、鉱物及びガラス球、特にガラス球である。プラスチック成分Aの質量に対する繊維状又は粒子状充填剤の割合は、好ましくは0〜50質量%の範囲にある。第1のプラスチック成分Aがガラス球を含む場合には、このガラス球の割合は、第1のプラスチック成分Aの全質量に対して、好ましくは0.1〜40質量%の範囲内にある。
【0064】
第1のプラスチック成分Aとのより良好な相容性のためには、この充填剤は、その表面で、例えば有機化合物又はシラン化合物で処理されていてよい。
【0065】
第1のプラスチック成分Aのための靭性改善剤(Zaehmodifizierer)として、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン、酢酸ビニル、スチレン、アクリルニトリル及びアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルであって1〜18個のC原子をアルコール成分中に有するもの、から選択される少なくとも2のモノマー単位から構築されているコポリマーが適している。適している靭性改善剤は、例えばWO-A 2007/009930から知られている。
【0066】
第1のプラスチック成分A中には、難燃剤が、第1のプラスチック成分Aの全質量に対して、0〜50質量%の量で含有されていてよい。適した難燃剤は、例えば、ハロゲン含有難燃剤、ハロゲンフリー難燃剤、メラミンシアヌラートを基礎とする難燃剤、リン含有難燃剤又は膨張グラファイト含有難燃剤である。本発明により、プラスチック成分A中には少なくとも1の相容性媒介剤A3が含有されている。少なくとも1の相容性媒介剤の割合は好ましくは、そのつどプラスチック成分Aの全質量に対して、0.05〜5質量%の範囲内、特に0.1〜3質量%の範囲内にある。
【0067】
使用される相容性媒介剤は、部分結晶性ポリエステルA1のマトリックス中への成分A2の結合の改善もでき、又は第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bの間の付着促進剤として用いられることもできる。相容性媒介剤としては例えばグリシジルメタクリラートでグラフトされたスチレン(コ)ポリマー、例えばMacromol. Symp. 2006, 233, 17-25頁に記載のものが、適している。イソシアナート基でグラフトしたスチレン(コ)ポリマー、ポリ[メチレン(フェニレンイソシアナート)]、ビスオキサゾリン、オキサゾリン基でグラフトしたスチレンコポリマー又は無水マレイン酸でグラフトしたスチレンコポリマーも適している。特に適しているのは、メタクリル酸含分を有する、エポキシ官能性を備えるスチレンコポリマーである。好ましくは、ランダムな、エポキシ官能化したスチレン−アクリル酸−コポリマーであって分子量Mw3000〜8500g/mol及び分枝鎖あたり2超のエポキシ基の官能化度を有するものである。特に好ましくは、ランダムな、エポキシ官能化したスチレン−アクリル酸−コポリマーであって分子量Mw5000〜7000g/mol及び分枝鎖あたり4超のエポキシ基の官能化度を有するものである。
【0068】
第2のプラスチック成分Bの、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族又は芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とする少なくとも1の部分結晶性の熱可塑性ポリエステルB1は、好ましくは、ポリアルキレンテレフタラート又は少なくとも2の異なるポリアルキレンテレフタラートからの混合物である。この少なくとも1のポリアルキレンテレフタラートはこの場合に、好ましくは2〜10個のC原子をアルコール部分中に有する。
【0069】
この種のポリアルキレンテレフタラートは、自体公知であり、文献中に記載されている。前記ポリアルキレンテレフタラートは、芳香族環をこの主鎖中に含み、前記環は芳香族ジカルボン酸に由来するものである。この芳香族環は、例えばハロゲン、例えば塩素又は臭素によって、又はC1〜C4−アルキル基、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基又はn−ブチル基、i−ブチル基又はt−ブチル基によって置換されていてもよい。
【0070】
ポリアルキレンテレフタラートは、芳香族ジカルボン酸、そのエステル又は他のエステル形成性誘導体と、脂肪族ジヒドロキシ化合物との反応によって自体既知の方法により製造できる。
【0071】
好ましいジカルボン酸は、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸又はこの混合物である。30モル%までの、好ましくは10モル%以下の前記芳香族ジカルボン酸は、脂肪族又は脂環式ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸及び/又はシクロヘキサンジカルボン酸により代替されてよい。
【0072】
脂肪族ジヒドロキシ化合物のうち、2〜6個の炭素原子を有するジオール、特に1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール又はこの混合物が好ましい。
【0073】
特に好ましくは、ポリアルキレンテレフタラートとして構成されている、第2のプラスチック成分Bの部分結晶性の熱可塑性ポリエステルB1は、ポリエチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート又はこのポリアルキレンテレフタラートの少なくとも2からの混合物である。
【0074】
特にとりわけ好ましくは、ポリアルキレンテレフタラートとして構成されている、第2のプラスチック成分Bの部分結晶性の熱可塑性ポリエステルB1とは、ポリブチレンテレフタラート又はポリブチレンテレフタラート(60〜90質量%)及びポリエチレンテレフタラート(10〜40質量%)からの混合物であり、その際、PBT及びPETの合計は100質量%である。
【0075】
ポリエステルA2、B1の粘度数は、一般に、50〜220ml/g、特に80〜160ml/gの範囲内にある(ISO 1628によりフェノール/o−ジクロロベンゼン混合物(質量比1:1)中の0.5質量%の溶液中で250℃で測定)。
【0076】
特に好ましいのは、そのカルボキシル末端基含有量が100mval/kgポリエステルまで、好ましくは50mval/kgポリエステルまで、特に40mval/kgポリエステルまでであるポリエステルA2、B1である。この種のポリエステルは、例えばDE-A 44 01 055に記載の方法により製造することができる。このカルボキシル末端基含有量は、通常は、滴定方法、例えば電位差滴定により決定される。
【0077】
さらに、ポリエチレンテレフタラートリサイクル材料(スクラップPETとも呼ばれる)を、場合によってはポリアルキレンテレフタラート、例えばポリブチレンテレフタラートとの混合物の形で使用することが好ましい。
【0078】
リサイクル材料とは、一般に、いわゆるポストインダストリアルリサイクル材料又はポストコンシューマーリサイクル材料が理解される。
【0079】
ポストインダストリアルリサイクル材料とは、重縮合の際又は加工の際の製造廃棄物、例えば射出成形加工の際のスプルー、射出成形加工又は押出成形の際の始動屑、又は押出されたプレート又はシートの周辺切れ端である。
【0080】
ポストコンシューマーリサイクル材料とは、通常、エンドユーザーによる利用後に収集され、再生されるプラスチック物品である。量が極めて多い物品は、例えばミネラルウォーター、ソフトドリンク及びジュースのために使用される、ポリエチレンテレフタラート製のブロー成形ボトルである。
【0081】
双方の種類のリサイクル材料は、粉砕材料として又は顆粒の形状にあってよい。後者の場合には、この管状のリサイクル材料は、分離及び清浄化後に押出機中で溶融され、顆粒化される。これによって、大抵の場合、ハンドリング、流動性及び配量性が更なる加工工程のために容易になる。
【0082】
顆粒化されたリサイクル材料も粉砕物として存在するリサイクル材料も使用でき、この場合、最大の一辺の長さは10mmであり、好ましくは8mmであるのが望ましい。
【0083】
加工の際にポリエステルが、例えば痕跡量の湿分によって加水分解するため、リサイクル材料を前乾燥することが好ましい。乾燥後の残留湿分含有量は、好ましくは0.2%未満、殊に0.05%未満である。
【0084】
適したポリエステルの他の群は、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する完全芳香族ポリエステルである。
【0085】
芳香族ジカルボン酸として、ポリアルキレンテレフタラートの際に既に記載した化合物が適する。好ましくは、イソフタル酸5〜100モル%及びテレフタル酸0〜95モル%からの混合物、特にテレフタル酸約80%とイソフタル酸20%との混合物からこれら双方の酸のほぼ等量の混合物までが使用される。
【0086】
芳香族ジヒドロキシ化合物は、好ましくは、一般式
【化6】

[前記式中、Zは、8個までのC原子を有するアルキレン基又はシクロアルキレン基、12個までのC原子を有するアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子、又は化学結合を表し、mは、0〜2の値を有する]を有する。前記化合物は、フェニレン基上にC1〜C8−アルキル基又はアルコキシ基又はフッ素、塩素又は臭素を置換基として有していてもよい。
【0087】
前記化合物の親化合物としては、例えばジヒドロキシジフェニル、ジ(ヒドロキシフェニル)アルカン、ジ−(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ジ(ヒドロキシフェニル)エーテル、ジ−(ヒドロキシフェニル)ケトン、ジー(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ジ−(ヒドロキシフェニル)−ジアルキルベンゼン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホン、ジ−(ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、レソルシノール及びヒドロキノン並びにこれらの核アルキル化されたか又は核ハロゲン化された誘導体が挙げられる。これらの中で、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,4−ジー(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、α,α’−ジ−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ジ−(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン及び2,2−ジ−(3’−クロロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン並びに殊に2,2−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ジ−(3’,5−ジクロロジヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ジー(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、3,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン及び2,2−ジ−(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン又はこの混合物が好ましい。
【0088】
無論、ポリアルキレンテレフタラート及び完全芳香族ポリエステルからの混合物も使用できる。前記混合物は、一般に、ポリアルキレンテレフタレート20〜98質量%及び完全芳香族ポリエステル2〜80質量%を含有する。更に、ポリエステルブロックコポリマー、例えばコポリエーテルエステルを使用することもできる。この種の生成物はそれ自体既知であり、文献に、例えばUS 3,651,014に記載されている。相応する製品も市販されており、例えばDuPont社の名称Hytrel(R)で市販されている。
【0089】
ポリアルキレンテレフタラートB1とスチレンコポリマーB2との混合物が同様に使用できる。この混合物は、好ましくは60〜90質量%のポリアルキレンテレフタラート及び10〜40質量%のスチレンコポリマーを含む。特に好ましくは、60〜80質量%のポリアルキレンテレフタラートと20〜40質量%のスチレンコポリマーを有する混合物である。
【0090】
第2のプラスチック成分Bが少なくとも1の熱可塑性スチレン(コ)ポリマーB2を含有する場合には、これは好ましくは、アクリルニトリル−スチレン−アクリルエステル(ASA)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマー(ABS)、スチレン−アクリルニトリル−コポリマー(SAN)並びにこの混合物からなる群から選択されている。
【0091】
好ましい一実施態様は、スチレンコポリマーB2として、スチレン−アクリルニトリル−アクリル酸コポリマー(ASA)を、組成スチレン20〜40質量%、アクリルニトリル20〜40質量%、アクリル酸20〜40質量%で有し、その際、個々のモノマーの合計は100質量%である。
【0092】
特に好ましい一実施態様においては、ポリアルキレンテレフタラートB1がポリブチレンテレフタラートであり、スチレンコポリマーB2がスチレン−アクリルニトリル−アクリル酸コポリマー(ASA)であって組成スチレン20〜40質量%、アクリルニトリル20〜40質量%、アクリル酸20〜40質量%を有し、その際、個々のモノマーの合計は100質量%である。B1の割合は、60〜80質量%であり、B2の割合は20〜40質量%であり、この割合は合計してポリマー成分Bの全プラスチック質量に対して100質量%である。
【0093】
第2のプラスチック成分Bは、少なくとも1の部分結晶性の熱可塑性ポリエステルB1及び場合によって少なくとも1の熱可塑性スチレン(コ)ポリマーB2の他に、1又は複数の添加剤も含有できる。この添加剤は、この場合に、繊維状又は粒子状充填剤、靭性改善剤、難燃剤、核形成剤、カーボンブラック、顔料、着色剤、離型剤、熱老化安定剤、酸化防止剤、加工安定剤及び相容性媒介剤からなる群から選択されている。
【0094】
繊維状又は粒子状充填剤としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、ガラス球、無定形ケイ酸、アスベスト、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、白亜、粉末化石英、雲母、硫酸バリウム及び長石が適する。充填剤はこの場合に、好ましくは0.1〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%の量で使用される。特に好ましくは繊維状充填剤であり、このうち特に好ましくはガラス繊維である。充填剤の割合はこの場合に、第2のプラスチック成分Bの全質量に対する。
【0095】
より良好な相容性のためには、この充填剤は、有機化合物又はシラン化合物でその表面が処理されていてよい。
【0096】
第2のプラスチック成分B中に含まれていることができる難燃剤は、好ましくは、第1のプラスチック成分A中にも含まれていることができるものと同一である。
【0097】
前述の添加剤の他に更に、安定剤、酸化遅延剤、熱分解及びUV線による分解に抗する剤、滑剤及び離型剤、着色剤、例えば染料及び顔料(カーボンブラックも含む)、核形成剤、可塑剤等が含まれていることができる。加えて、第2のプラスチック成分Bの全質量に対して、0〜2質量%のフッ素含有エチレンポリマーが含まれていることもできる。
【0098】
この部材は、例えば、エレクトロニクス技術において使用されるプラスチック部材、メカトロニクス部材又はプラグコンタクトを備えるプラスチックハウジングである。
【0099】
プラスチック外被によって包囲されるインサート部品は、例えば、打ち抜き格子(Stanzgitter)である。この場合において、この部材は、例えばプラグコネクタとして利用することができる。さらに、インサート部品は、線材、円形導体、平形導体、フレキシブルフィルム又はプリント基板であってもよい。
【0100】
自動車産業の分野においてこの部材が使用される場合、このインサート部品は、例えばリバウンドストラップ、ドアラッチ、ロック、ねじ込ブッシング、転がり軸受、パネル、スタビライザーワイヤ又はドアチェックユニット用の亜鉛ダイカスト又はアルミニウムダイカストからの部材であってもよい。さらに、この部材が、ナイフ、ハサミ、外科用メスの刃又はドライバ用の刃であることも可能である。
【0101】
インサート部品は、好ましくは金属から作製されている。インサート部品を作製するのに適した金属は、例えば、銅及び銅含有合金、例えばCuSn6、CuSn0.15、CuBe、CuFe、CuZn37、CuSn4Zn6Pb3−C−GC(赤黄銅)又はCuZn39Pb3(黄銅)、アルミニウム及びアルミニウム含有合金、例えばAlSi12Cu1、AlSi10Mg、チタン、特殊鋼、無鉛金属及び金属合金又はスズ被膜を有する材料である。
【0102】
本発明はさらに、インサート部品並びに少なくとも2のプラスチック成分からのプラスチック外被を含む部材の製造方法であって、次の(a)工程及び(b)工程:
(a)第1のプラスチック成分Aでインサート部品を被覆する工程、その際、前記第1のプラスチック成分Aは次のものから構成されている:
A1:脂肪族及び芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジヒドロキシ化合物を基礎とする、少なくとも1のポリエステル、成分A1〜A2の全質量に対して5〜80質量%、
A2:ポリラクチド(PLA)、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノアート(例えばPHB又はPHB/V)及び脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールからなるポリエステル、からなる群から選択される少なくとも1のホモポリエステル又はコポリエステル、成分A1〜A2の全質量に対して20〜95質量%、
A3:スチレン、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを基礎とするエポキシド基含有コポリマーa)、ビスフェノールA−エポキシドb)又はエポキシド基含有の天然油、脂肪酸エステル又は脂肪酸アミドc)、成分A1〜A2の全質量に対して0.05〜15質量%、及び
(b)第2のプラスチック成分Bからの外側被覆の成形工程、その際、前記第2のプラスチック成分Bが次のものから構成されている:
B1:芳香族ジカルボン酸及び脂肪族又は芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とする少なくとも1の部分結晶性の熱可塑性ポリエステル、50〜100質量%、及び
B2:少なくとも1の熱可塑性スチレン(コ)ポリマー、0〜50質量%
(そのつど、前記第2のプラスチック成分Bのポリマー割合に対する)
を含み、
その際、前記インサート部品がまず前記第1のプラスチック成分Aで被覆され、引き続き前記第2のプラスチック成分Bが設けられるか、又はまず外側被覆Bが成形され、引き続き前記第2のプラスチック成分Bからの外側被覆Bと前記インサート部品との間に形成されるキャビティが前記第1のプラスチック成分Aで充填され、前記インサート部品の被覆を形成する製造方法に関する。
【0103】
特に好ましい部分結晶性ポリエステルには、本質的な成分として
1)次のものからの酸成分:
1a)少なくとも1の脂肪族又は少なくとも1の脂環式ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体又はその混合物、30〜99モル%、
1b)少なくとも1の芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体又はその混合物、1〜70モル%、及び
1c)スルホナート基含有化合物、0〜5モル%、
2)少なくとも1のC2〜C12−アルカンジオール、少なくとも1のC5〜C10−シクロアルカンジオール又はその混合物から選択されるジオール成分、
及び所望の場合に更に次のものから選択される1以上の成分:
3)次のものから選択される成分:
3a)式I
【化7】

[式中、nは2、3又は4、そしてmは2〜250の整数である]の少なくとも1のエーテル官能性を含むジヒドロキシ化合物、
3b)式IIa又はIIb
【化8】

[式中、pは1〜1500の整数を、rは1〜4の整数を意味し、Gは、フェニレン、−(CH2q−(式中、qは1〜5の整数を意味する)、−C(R)H−及び−C(R)HCH2−(式中Rはメチル又はエチルである)からなる群から選択される基である]の少なくとも1のヒドロキシカルボン酸、
3c)少なくとも1のアミノ−C2〜C12−アルカノール又は少なくとも1のアミノ−C5〜C10−シクロアルカノール又はその混合物、
3d)少なくとも1のジアミノ−C1〜C8−アルカン、
3e)一般式III
【化9】

[式中、R1は単結合、(CH2z−アルキレン基(式中、z=2、3又は4)又はフェニレン基を意味する]
の少なくとも1の2,2′−ビスオキサゾリン、
3f)少なくとも1のアミノカルボン酸であって、次のものからなる群から選択されているもの:
天然アミノ酸、ポリアミドであって4〜6個のC原子を有するジカルボン酸と4〜10個のC原子を有するジアミンの重縮合により得られるもの、式IVa及びIVb
【化10】

[式中、sは1〜1500の整数、tは1〜4の整数を意味し、Tは、フェニレン、−(CH2u−(式中、uは1〜12の整数を意味する)、−C(R2)H−及び−C(R2)HCH2(式中、R2はメチル又はエチルである)からなる群から選択される基である]の化合物、
及び繰り返し単位V
【化11】

[式中、R3は水素、C1〜C6−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、非置換の又はC1〜C4−アルキル基で3回まで置換されたフェニル、又はテトラヒドロフリルである]を有するポリオキサゾリン、
又は3a)〜3f)からの混合物、
及び
4)次のものから選択される成分:
4a)エステル形成可能な基少なくとも3を有する化合物少なくとも1、
4b)少なくとも1のイソシアナート、
4c)少なくとも1のジビニルエーテル
又は4a)〜4c)からの混合物
を含むポリエステルが挙げられる。
【0104】
部分芳香族ポリエステルの酸成分1)は、好ましい一実施態様において、1a)を30〜70モル%、特に40〜60モル%含有し、かつ1b)を30〜70モル%、特に40〜60モル%含有する。
【0105】
好ましい一実施態様において、ヒドロキシカルボン酸3b)として次のものを使用する:グリコール酸、D−、L−、D,L−乳酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、その環状誘導体、例えばグリコリド(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)、D−、L−ジラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)、p−ヒドロキシ安息香酸並びにそのオリゴマー及びポリマー、例えば3−ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリラクチド(例えばNatureWorks(R)(Cargill社)として入手できる)並びに3−ポリヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシ吉草酸からの混合物(後者のものは名称Biopol(R)でZenecaから入手できる)。部分結晶性ポリエステルの製造のために特に好ましくはこの低分子量及び環状誘導体である。
【0106】
ヒドロキシカルボン酸は、例えば、1)及び2)の量に対して、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%の量で使用することができる。
【0107】
さらに、プラスチック成分A中には、既に記載の通り、添加剤及び/又は繊維状及び/又は粒子状充填剤が含まれていることができる。
【0108】
好ましい一実施態様において、インサート部品の被覆は第1のプラスチック成分Aを用いて工程(a)において射出成形プロセスにより行われる。このために、インサート部品が、射出成形用金型内に挿入される。インサート部品の挿入後、金型は閉じられ、かつプラスチック成形材料が金型中へと射出される。プラスチック成形材料は、インサート部品を少なくとも部分的に被覆し、かつ、インサート部品との付着結合的(haftschluessig)連結が形成される。インサート部品とプラスチック成分Aとの間で媒体シール性連結が発生する。プラスチック成形材料の射出は、この場合に、一般に、射出成形にとって通常の圧力で行われる。しかし、例えば、不均一な射出成形被覆のために、インサート部品の変形が生じ得る場合には、成分Aの射出は好ましくは、金型中の最大圧力900bar未満、より好ましくは600bar未満で行われることが好ましい。低い射出圧力によって、インサート部品が射出成形被覆に際し変形することが回避される。インサート部品の射出成形封入後に、第1のプラスチック成分Aが凝固し、固化する。第1のプラスチック成分Aを用いたインサート部品の射出成形被覆の更なる利点は、インサート部品がプラスチック被覆によって安定化されることである。
【0109】
第1のプラスチック成分Aを用いたインサート部品の被覆に際しては、様々な幾何学が実現可能である。そのため、例えば、長方形状、ひし形状、五角形、八角形、円形又は楕円形の断面が実現可能である。第1のプラスチック成分Aからのプラスチック被覆が角を有する場合には、これは丸められてよい。
【0110】
第1のプラスチック成分からの射出成形被覆の表面間の接合部は、鈍角、鋭角であるか又は丸められていてよい。メルトリップ(Schmelzlippe)、すなわち、第1のプラスチック成分Aからの薄い突出領域が顕著になっていてもよい。これは、次いで、第2のプラスチック成分Bを用いた射出成形外層被覆によって溶融され、変形されることができる。このようにして、物質結合的連結が生じる。
【0111】
インサート部品の射出成形被覆の張出領域もまた、第1のプラスチック成分Aから形成されていてよい。そして、第1のプラスチック成分Aは、例えば二重Tの形状にある断面でもって、インサート部品を包囲できる。第1のプラスチック成分Aを用いたこのような射出成形被覆の張出領域によって、形状的結合(Formschluss)が達成される。第1のプラスチック成分Aは、第2のプラスチック成分Bを用いた射出成形外層被覆によって、一般に溶融するので、第2のプラスチック成分Bの加工温度が第1のプラスチック成分A1の融点又は軟化点より高い場合には、この第1のプラスチック成分Aからの予備射出成形被覆の幾何学は一般に変化し得る。第1のプラスチック成分Aからの予備射出成形被覆はまた、第2のプラスチック成分Bを用いた射出成形被覆に際して射出される溶融物の圧力によっても変形し得る。従って、例えば、第1のプラスチック成分Aからの予備射出成形被覆の鋭い稜は丸められることができる。
【0112】
第1のプラスチック成分Aを用いたインサート部品の被覆後に、このようにして被覆されたインサート部品は第2のプラスチック成分Bで被覆される。第2のプラスチック成分を用いた被覆は、好ましくは同様に、射出成形プロセスによって行われる。一般的に、この場合に射出成形プロセスは、射出成形のために通常の圧力で実施される。プラスチック成形材料が低い射出成形圧力で射出導入された場合、その際、金型内の圧力は、一般的に、工程(a)における金型内の最大圧力より高い。第2のプラスチック成分Bの射出導入の際には、この硬化した第1のプラスチック成分Aは、好ましくはその表面で溶融し、この結果、特に良好な付着が、第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bとの間で発生する。
【0113】
工程(a)における第1のプラスチック成分Aを用いたインサート部品の被覆及び工程(b)における第2のプラスチック成分Bからの外側被覆の成形は、同一の射出成形金型中で行われることができる。このために、射出成形金型はまず、第1のプラスチック成分Aからの被覆を備えたインサート部品の形状に相当するキャビティを包含している必要がある。引き続きこの金型は、この開放形状が、完成した部材の形状に相当するように開かれなければならない。相応する金型は当業者に知られている。
【0114】
しかし、代わりに、工程(a)における第1のプラスチック成分Aを用いたインサート部品の被覆を第1の金型内で、工程(b)における第2のプラスチック成分Bからの外側被覆の成形を第2の金型内で行うこともできる。この場合において、必要なことは、第1のプラスチック成分Aで被覆されたインサート部品を第1の金型から取り出し、かつ第2のプラスチック成分Bを用いた射出成形被覆前に第2の金型内に導入することである。第1のプラスチック成分Aからのインサート部品の被覆の変形が回避されることが所望される場合には、第1のプラスチック成分Aは、第2のプラスチック成分Bの流動溶融物に対して十分な機械的抵抗性を有することが必要である。このためには、十分な剛性及び強度が必要であり、これは第1のプラスチック成分Aの凝固度及び第2のプラスチック成分Bの射出圧力に依存する。材料を交換すべく、射出成形機を各射出成形行程後に清浄しなければならないことを回避するために、第1のプラスチック成分A及び第2のプラスチック成分B用に、2台の異なる射出成形機又は可塑化ユニットを使用することが好ましい。工程(a)における被覆及び工程(b)における外側被覆の成形が同一の金型を用いて行われる場合、この金型を2つの射出成形機と同時に接続することが可能である。代替的に、金型をまず、第1のプラスチック成分Aを射出導入する射出成形機と接続し、引き続き、第1のプラスチック成分Aからの被覆を備えたインサート部品周囲に第2のプラスチック成分Bを射出成形被覆する射出成形機と接続することも可能である。このために使用される通常の射出成形機は、例えばターンテーブル金型を有する射出成形機である。これらの場合、例えばシリンダーは向かい合って配置されており、かつ金型はそのつどシリンダーに対して回転させられ、このシリンダーから次の材料が射出導入される。2つの異なる金型が使用される場合、これらは好ましくは、そのつど1つの射出成形機と接続されている。射出成形機として、当業者に知られている全ての任意の射出成形機が適している。
【0115】
工程(b)において第1のプラスチック成分Aで被覆したインサート部品の一部のみを第2のプラスチック成分Bで被覆することができる。この場合において好ましいのは、第2のプラスチック成分Bで、外面を表す領域を射出成形被覆することであり、それというのも、第2のプラスチック成分Bを用いた被覆によって成形部品の寸法精度が保証されるからである。代わりに、第1のプラスチック成分Aからの被覆を有するこのインサート部品全体を第2のプラスチック成分Bで射出成形被覆することも無論可能である。
【0116】
まず第2のプラスチック成分Bから外側被覆が成形され、その際に、インサート部品の領域が被覆されずに、第2の工程で、インサート部品のこの被覆されていない領域が第1のプラスチック成分Aで被覆される変法では、第2のプラスチック成分Bを用いたインサート部品の被覆は、好ましくは、外面が存在する領域中でこの成分がインサート部品を被覆するように行われる。第1のプラスチック成分Aにより注入される領域は、好ましくは外に向かった面を有さない。こうして、そのように製造された部材が形状精度及び寸法精度が良いことが保証される。第2のプラスチック成分Bによるインサート部品の被覆は、好ましくは射出成形プロセスによって行われる。このために、インサート部品は、射出成形金型中に導入され、引き続き、第2のプラスチック成分Bで射出成形被覆される。第2のプラスチック成分Bが、空所にされるべき領域中に侵入するのを回避するために、金型はこれらの領域中でインサート部品に接触している。第2のプラスチック成分Bを用いたインサート部品の被覆後に、第1のプラスチック成分Aで被覆されるべき領域は開放される。このために、まず空所部を形成し、引き続き該空所部を第1のプラスチック成分Aで注入するために開放する移動可能な部分が金型内で準備されていること、又は第2のプラスチック成分Bにより射出成形被覆されているインサート部品が金型から取り出され、第2の金型中へと導入され、その際、第1のプラスチック成分Aで被覆されるべき領域が空けられていること、のいずれかが可能である。第1のプラスチック成分Aを用いた被覆は、好ましくは同様に射出成形プロセスによって行われる。これは一般的に、射出成形プロセスのために通常の圧力で実施される。例えば均一でない射出成形被覆に基づき、インサート部品の変形が発生し得る場合には、第1のプラスチック成分Aのための射出成形プロセスは、好ましくは、第2のプラスチック成分Bを用いて該インサート部品の周囲に射出成形被覆する射出成形プロセスよりも低い圧力で実施される。第1のプラスチック成分Aを用いたインサート部品の被覆のための圧力は、そうすると、好ましくは900bar未満、より好ましくは600bar未満である。第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bの間での媒体シール性連結は好ましくは、プラスチック成分Bが、第1のプラスチック成分Aの溶融物によってその表面で溶融し、その結果、例えば、相互拡散によって、第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bの間で特に良好な付着が発生することによって達成される。さらに、第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bが、化学的及び/又は機械的に結合することもできる。化学的結合は、例えば、第1のプラスチック成分A又は第1のプラスチック成分Aの成分と、第2のプラスチック成分B又は第2のプラスチック成分Bの成分の間で共有結合が結びつけられることにより、例えば、第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bのポリマー成分の反応によって生じ得る。この方法は、常に、第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bの間に良好な付着だけでなく形状的結合も存在するように構成されることもできる。
【0117】
第1のプラスチック成分Aの溶融温度は、このインサート部品の第1の射出成形被覆の際に好ましくは、この基礎となるポリマーの、射出成形において通常の加工温度の範囲内にある。第1のプラスチック成分Aが、2のポリマーからの混合物である場合には、この溶融温度は、両成分が液状で存在するような高さに選択される。
【0118】
より高い加工温度は、インサート部品の表面をより良好に湿潤できる易流動性の溶融物を生じ、それによって、インサート部品の材料と第1のプラスチック成分Aとの間のより高い連結強度が達成されることができる。高すぎる溶融温度では、しかし、第1のプラスチック成分A又はその成分A1又はA2の熱分解が生じ得る。
【0119】
引き続く、第2のプラスチック成分Bを用いた部材の射出成形外層被覆では、第2のプラスチック成分Bの融点は好ましくは、この基礎となるポリマーの、射出成形において通常の加工温度の範囲内にある。第2のプラスチック成分Bが、2のポリマーからの混合物である場合には、この溶融温度は、両成分が液状で存在するような高さに選択される。
【0120】
より高い加工温度は、第1のプラスチック成分Aからの被覆の表面をより良好に湿潤及び/又は溶融できる易流動性の溶融物を生じ、それによって、第2のプラスチック成分Bと第1のプラスチック成分Aとの間のより高い連結強度が達成されることができる。両方の成分の熱力学的相容性に依存して、多かれ少なかれ厚みのある境界層が生じることがあり、これは、プラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bの材料結合的連結を作り出し、この連結は相互拡散によって媒体シール性を改善する。好ましくは、第2のプラスチック成分Bの材料温度は、第1のプラスチック成分Aからの被覆が完全に溶融して、流失するほどには高く調節されない。第2のプラスチック成分Bのための射出圧力もまた、好ましくは、第1のプラスチック成分A製の被覆の過度な変形、最悪の場合には流失、が回避されるように選択される。
【0121】
本発明による部材は、例えば、エレクトロニクス技術において使用されるプラスチック部品である。この部材が、メカトロニクス部材又はプラグコンタクトを有するプラスチックハウジングであることもできる。この種の部材は、例えば、センサとして、例示的にオイルセンサ、ホイール回転数センサ、圧力センサ等として、エレクトロニクス−ハウジングとして、制御ハウジングとして、例えばABS−、ESP−、ギアユニット−、エアバッグ−、又はエンジン制御において自動車両中で使用される。この部材は、例えばウィンドウリフターモジュールとして又はヘッドランプ制御のためにも使用できる。自動車産業以外でも、本発明による部材は、例えばセンサとして、燃料レベルセンサとして、又はパイプラインユニットとして使用することができる。本発明による部材のさらに別の適した使用は、例えば、家庭用器具におけるエレクトロニクス−コンポーネントである。適した部材は、例えば継電器、コイルボディ、スイッチ部品、電磁弁、電気ツール、プラグデバイス又はプラグコネクタである。
【0122】
第1のプラスチック成分Aからの被覆及び第2のプラスチック成分Bからの外側被覆を有するインサート部品からの本発明による部材は、両界面、すなわち、インサート部品と第1のプラスチック成分Aからの被覆の間の界面と、第1のプラスチック成分Aと第2のプラスチック成分Bの間の界面に沿って、媒体シール性であることにより特徴付けられる。ここで媒体シール性連結とは、少なくとも200サイクルを有する気候変化試験(その際、テストされるべき部材は交互に−40℃及び+150℃の温度に供される)による漏れ速度(Leckrate)が0.5cm3/分より低いことを意味する。通常、漏れ速度は、0.5barのテスト圧力での差圧法により決定される。
【0123】
実施例
CuSn6製のインサート部品から試験体を製造し、この試験体を第1のプラスチック成分A及び第2のプラスチック成分Bで被覆する。
【0124】
試験体の製造にはまず、打ち抜き工具を用いて、テープに切断したCuSn6からインサート部品を打ち抜いた。このインサート部品は、長方形の枠組を有し、この場合に、向かい合っている短辺はさらに中央にあるブリッジ部によって相互に連結している。この製造したインサート部品は長さ30mm、幅10.5mm、高さ0.5mmを有する。外枠ブリッジ部と中央ブリッジ部の間のスリットの長さは25mmであり、スリットの幅は3mmである。
【0125】
打ち抜き後に、この打ち抜き部品をアセトンを用いて清浄化して油及び汚れを除去した。試験体の製造には、スクリュー直径18mmを有する射出成形機(Arburg社のAllrounder 270S)を使用する。この金型の型締圧は500kNであり、射出圧は1500barである。3つのブリッジ部を有するインサート部品の中心領域周囲に平行六面体の射出成形被覆を生じさせ、その際、第2のプラスチック成分B製の被覆は第1のプラスチック成分Aを完全に包囲している。第1のプラスチック成分Aからの被覆は、長さ15mm、幅4.5mm及び厚さ1.5mmを有し、第1のプラスチック成分Aを完全に包囲する第2のプラスチック成分Bからの被覆は長さ20mm、幅13mm及び厚さ4.5mmを有する。インサート部品に対する第1のプラスチック成分Aでの射出及び第1のプラスチック成分Aで被覆されたインサート部品に対する第2のプラスチック成分Bでの射出はほぼ分割面レベル(Trennebene)付近で行う。
【0126】
この材料を試験すべく、第1のプラスチック成分A製の被覆及び第2のプラスチック成分B製の被覆を有する部材を、500サイクルまでの温度ショックストレス試験に供する。ここで、温度ショックサイクルに以下プロトコルが該当する:150℃で15分間の貯蔵、10秒以内に−40℃への温度変化、−40℃で15分間の貯蔵、10秒以内に150℃への温度変化。この温度ショック処理を、Voetsch社の温度ショックキャビネットVT 7030S2中で行う。差圧法を用いたシール性の測定をストレス付加前並びに100サイクル、200サイクル及び場合によって500サイクル後に行った。
【0127】
差圧測定には、2つの体積、試験体の体積及び比較試験体の体積に同一の圧力を印加する。試験体の体積が非シール性である場合には、差圧が調節され、これは直接測定されることができる。又は、1時間あたりの圧力減少が測定されることができる。当該実施態様においては、試験体はその外側の範囲でホルダ中に固くクランプされており、そして、この背面から圧力を負荷した。シールをゴムシールリングで行った。インサート部品の方向で、インサート部品と第1のプラスチック成分Aからの被覆の間又は第1のプラスチック成分Aからの被覆と第2のプラスチック成分Bからの被覆の間で発生する非シール性のみが、ブラインド試験において成分B1からの固形試験体でもって示したように、試験体積の非シール性を生じる。使用した試験媒体は空気であった。試験体積Vpruefは36mlであった。この体積の充填時間は試験圧0.5barで5秒間であった。10秒間の沈静時間後に、Δtpruef=5秒間にわたり圧力減少を測定した。引き続き、この体積を2秒間のうちに空にした。差分圧力減少からボイル−マリオット(Boyle-Marriotte)に応じて漏れ速度を算出した;
【数1】

【0128】
この結果を第1表にまとめる。成分A1−4は、成分Aの様々な全体的な組成を示し、この個々の成分でない。
【0129】
第1表:試験結果
【表1】

【0130】
成分A1は、55%ランダム脂肪族−芳香族コポリエステル(テレフタル酸(25%)、アジピン酸(25%)及びブタンジオール(45%)から製造した)と45%ポリラクチド(PLA)からなるブレンドである。このブレンドは110〜120℃及び140〜155℃の2つの融点(DSCにより測定)、ビカー軟化温度(VST A/50)68℃(ISO306:2004により測定)、ショアーD硬度59(ISO868により測定)及びEモジュラス750MPa(ISO527により、厚さ50μmのブローシートに対して測定)を有する。
【0131】
成分A2は、テレフタル酸(25モル%)、1,4−ブタンジオール(50モル%)及びアジピン酸(25モル%)からのランダムコポリエステルであり、融点110〜120℃(ISO11357−3によりDSC測定)及びショアーD硬度32(ISO868により測定)を有する。このビカー軟化温度は91℃(EN ISO 306:2004により測定)である。
【0132】
成分A3は、粘度数130ml/g(フェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1)中0.5%溶液、ISO1628により測定)を有するポリブチレンテレフタラートである。この材料はEモジュラス2500MPa(ISO527−2)及び融点範囲220−225℃(ISO11357−3によりDSC測定)を有する。
【0133】
成分A4は、30質量%の固形のガラス球を有するポリブチレンテレフタラートである。この材料は、粘度数113ml/g(フェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1)中0.5%溶液、ISO1628により測定)、Eモジュラス4000MPa(ISO527−2)及び融点範囲220−225℃(ISO11357−3によりDSC測定)を有する。
【0134】
成分Bは、粘度数102g/ml(フェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1)中0.5%溶液、ISO1628により測定)を有する、30質量%のガラス繊維を有するポリブチレンテレフタラートである。これは更に平均粒径10〜35nm(CILAS)及びBET表面積110−120m2/g(ISO9277)を有するファーネスカーボンブラック0.1質量%並びにペンタエリトリットテトラステアラート0.5質量%を潤滑剤として含有する。この材料は、Eモジュール10000MPa(ISO527−2)及び融点範囲220−225℃(ISO 1 1357−3によるDSC測定)を有する。このガラス繊維は直径10μmを有する。
【0135】
表中ではVgl.は比較例を、Bsp.は本発明の実施例を表す。STABは表1中では標準偏差を示す。
【0136】
個々の比較例及び本発明の実施例の、第1のプラスチック成分Aからの被覆のための加工条件は、第2表中にまとめられている。
【0137】
第2表:第1のプラスチック成分Aについての加工条件
【表2】

【0138】
第2の外側成分Bからの外側被覆の形成には第3表中に挙げたパラメーターが該当する。
【0139】
第3表:2つのプラスチック成分Bについての加工パラメーター
【表3】

【0140】
この実施例は、第1のプラスチック成分Aとして記載のポリマー混合物が使用される場合に、第1のプラスチック成分A及び第2のプラスチック成分Bで被覆されている、金属性インサート部品からの部材の特性の改善を示す。成分Aとしての純粋なポリエステル又はコポリエステルを用いた予備射出成形被覆は比較例1〜3中で使用されており、この相応する射出成形部品は製造可能でなかった(比較試験1)か、又は、射出成形直後に(比較実施例2)又は100回の温度ショックサイクル(比較例3)後に、すでに高い漏れを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インサート部品並びに少なくとも2のプラスチック成分からのプラスチック外被を含み、前記インサート部品が第1のプラスチック成分Aにより包囲され、そして、前記第1のプラスチック成分Aが第2のプラスチック成分Bにより包囲されている部材において、
前記第1のプラスチック成分Aが、
A1:脂肪族及び芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジヒドロキシ化合物を基礎とする、少なくとも1のポリエステル、成分A1及びA2の全質量に対して5〜80質量%、
A2:ポリラクチド(PLA)、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノアート及び脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールからのポリエステル、からなる群から選択される少なくとも1のホモポリエステル又はコポリエステル、成分A1及びA2の全質量に対して20〜95質量%、
A3:スチレン、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを基礎とするエポキシド基含有コポリマーa)、ビスフェノールA−エポキシドb)又はエポキシド基含有の天然油、脂肪酸エステル又は脂肪酸アミドc)、成分A1及びA2の全質量に対して0.05〜15質量%、
から構成され、かつ
前記第2のプラスチック成分Bが、
B1:芳香族ジカルボン酸及び脂肪族又は芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とする少なくとも1の部分結晶性の熱可塑性ポリエステル、50〜100質量%、及び
B2:少なくとも1の熱可塑性スチレン(コ)ポリマー、0〜50質量%
(そのつど、第2のプラスチック成分Bのポリマー割合に対する)
から構成されていることを特徴とする部材。
【請求項2】
脂肪族及び芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジヒドロキシ化合物を基礎とする前記ポリエステルが、本質的成分として、
1)次のものからの酸成分:
1a)少なくとも1の脂肪族又は少なくとも1の脂環式ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体又はその混合物、30〜99モル%、
1b)少なくとも1の芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体又はその混合物、1〜70モル%、及び
1c)スルホナート基含有化合物、0〜5モル%、
2)少なくとも1のC2〜C12−アルカンジオール、少なくとも1のC5〜C10−シクロアルカンジオール又はその混合物から選択されるジオール成分、
及び場合により更に次のものから選択される1以上の成分:
3)次のものから選択される成分:
3a)式I
【化1】

[式中、nは2、3又は4、そしてmは2〜250の整数である]のエーテル官能性を含む少なくとも1のジヒドロキシ化合物、
3b)式IIa又はIIb
【化2】

[式中、pは1〜1500の整数を、rは1〜4の整数を意味し、Gは、フェニレン、−(CH2q−(式中、qは1〜5の整数を意味する)、−C(R)H−及び−C(R)HCH2−(式中Rはメチル又はエチルである)からなる群から選択される基である]の少なくとも1のヒドロキシカルボン酸、
3c)少なくとも1のアミノ−C2〜C12−アルカノール又は少なくとも1のアミノ−C5〜C10−シクロアルカノール又はその混合物、
3d)少なくとも1のジアミノ−C1〜C8−アルカン、
3e)一般式III
【化3】

[式中、R1は単結合、(CH2z−アルキレン基(式中、z=2、3又は4)又はフェニレン基を意味する]
の少なくとも1の2,2′−ビスオキサゾリン、
3f)少なくとも1のアミノカルボン酸であって、次のものからなる群から選択されているもの:
天然アミノ酸、ポリアミドであって4〜6個のC原子を有するジカルボン酸と4〜10個のC原子を有するジアミンの重縮合により得られるもの、式IVa及びIVb
【化4】

[式中、sは1〜1500の整数、tは1〜4の整数を意味し、Tは、フェニレン、−(CH2u−(式中、uは1〜12の整数を意味する)、−C(R2)H−及び−C(R2)HCH2(式中、R2はメチル又はエチルである)からなる群から選択される基である]の化合物、
及び繰り返し単位V
【化5】

[式中、R3は水素、C1〜C6−アルキル、C5〜C8−シクロアルキル、非置換の又はC1〜C4−アルキル基で3回まで置換されたフェニル、又はテトラヒドロフリルである]を有するポリオキサゾリン、
又は3a)〜3f)からの混合物、
及び
4)次のものから選択される成分:
4a)エステル形成可能な基少なくとも3を有する化合物少なくとも1、
4b)少なくとも1のイソシアナート、
4c)少なくとも1のジビニルエーテル、
又は4a)〜4c)からの混合物、
を含む
ことを特徴とする請求項1記載の部材。
【請求項3】
前記ポリエステルA1が、10〜40モル%のテレフタル酸、50モル%の1,4−ブタンジオール及び10〜40モル%のアジピン酸又はセバシン酸からのランダムコポリエステル(モノマーの合計は100質量%である)であることを特徴とする請求項1又は2記載の部材。
【請求項4】
前記ポリエステルA1が、15〜35モル%のテレフタル酸、50モル%の1,4−ブタンジオール及び15〜35モル%のアジピン酸からのランダムコポリエステル(モノマーの合計は100質量%である)であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の部材。
【請求項5】
前記第1のプラスチック成分Aの熱可塑性ポリエステルA1、A2の少なくとも1が、前記第2のプラスチック成分BのポリエステルB1よりも低い融点を有するか、又は、前記第2のプラスチック成分のポリエステルB1の融点よりも低いガラス転移温度を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の部材。
【請求項6】
前記第2のプラスチック成分Bの前記部分結晶性の熱可塑性ポリエステルB1が、ポリアルキレンテレフタラートであるか、又は、少なくとも2の異なるポリアルキレンテレフタラートからの混合物であり、その際、前記ポリアルキレンテレフタラートは好ましくは2〜10個のC原子をアルコール部分中に有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の部材。
【請求項7】
前記ポリアルキレンテレフタラートが、ポリエチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート又はこれらポリアルキレンテレフタラートの少なくとも2からの混合物であることを特徴とする請求項6記載の部材。
【請求項8】
前記熱可塑性スチレン(コ)ポリマーB2が、アクリルニトリル−スチレン−アクリルエステル、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマー、スチレン−アクリル−コポリマー並びにこれらの混合物からなる群から選択されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の部材。
【請求項9】
前記第1のプラスチック成分A及び/又は前記第2のプラスチック成分Bがさらに、繊維状又は粒子状充填剤、靭性改善剤、難燃剤、核形成剤、カーボンブラック、顔料、着色剤、離型剤、熱老化安定剤、酸化防止剤、加工安定剤及び相容性媒介剤からなる群から選択される1又は複数の添加剤を含有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の部材。
【請求項10】
前記第1のプラスチック成分Aが、この第1のプラスチック成分Aの全質量に対して0.1〜40質量%のガラス球を含有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の部材。
【請求項11】
前記第2のプラスチック成分Bが、この第2のプラスチック成分Bの全質量に対して0.1〜50質量%の繊維状充填剤、特にガラス繊維を含有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の部材。
【請求項12】
前記インサート部品が、銅、銅含有合金、アルミニウム、アルミニウム含有合金、チタン、特殊鋼、鉛フリー金属又は金属合金又はスズめっきを備える材料から作製されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の部材。
【請求項13】
エレクトロニクス技術で使用されるようなプラスチック部品、メカトロニクス部材又はプラスチックハウジングであってプラグコンタクトを備えるものであることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載の部材。
【請求項14】
以下の工程(a)及び(b):
(a)第1のプラスチック成分Aでインサート部品を被覆する工程、その際、前記第1のプラスチック成分Aは次のものから構成されている:
A1:脂肪族及び芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジヒドロキシ化合物を基礎とする、少なくとも1のポリエステル、成分A1及びA2の全質量に対して5〜80質量%、
A2:ポリラクチド(PLA)、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノアート及び脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールからのポリエステル、からなる群から選択される少なくとも1のホモポリエステル又はコポリエステル、成分A1及びA2の全質量に対して20〜95質量%、
A3:スチレン、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを基礎とするエポキシド基含有コポリマーa)、ビスフェノールA−エポキシドb)又はエポキシド基含有の天然油、脂肪酸エステル又は脂肪酸アミドc)、成分A1及びA2の全質量に対して0.05〜15質量%、及び
(b)第2のプラスチック成分Bからの外側被覆の成形工程、その際、前記第2のプラスチック成分Bが次のものから構成されている:
B1:芳香族ジカルボン酸及び脂肪族又は芳香族ジヒドロキシ化合物を基礎とする少なくとも1の部分結晶性の熱可塑性ポリエステル、50〜100質量%、及び
B2:少なくとも1の熱可塑性スチレン(コ)ポリマー、0〜50質量%
(そのつど、第2のプラスチック成分Bのポリマー割合に対する)
を含み、
その際、前記インサート部品がまず前記第1のプラスチック成分Aで被覆され、引き続き前記第2のプラスチック成分Bが設けられるか、又はまず前記外側被覆Bが成形され、引き続き前記第2のプラスチック成分Bからの外側被覆Bと前記インサート部品との間に形成されるキャビティが前記第1のプラスチック成分Aで充填され、前記インサート部品の被覆を形成する、請求項1から13のいずれか1項記載の部材の製造方法。
【請求項15】
前記第1のプラスチック成分Aを用いた前記インサート部品の被覆、及び、前記第2のプラスチック成分Bからの被覆を、射出成形法により製造することを特徴とする請求項14記載の方法。

【公表番号】特表2013−511402(P2013−511402A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539295(P2012−539295)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067521
【国際公開番号】WO2011/061162
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】