説明

インジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法

【課題】インジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によるインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法は、インジウム−錫酸化物廃スクラップを酸に溶解し、インジウムと錫を含む酸溶液を得る段階と、前記酸溶液に錫よりイオン化傾向が大きいインジウム金属を添加し、錫還元によって錫が沈殿されるようにし、濾過し、錫を含む沈殿物を得る段階と、前記錫を含む沈殿物を酸に溶解し、錫溶解液を得る段階と、前記錫溶解液に有機溶媒を添加し、錫を有機溶媒で抽出する段階と、前記抽出によって得られた錫を含む有機溶液に酸を添加し、錫を逆抽出する段階と、前記逆抽出によって得られた錫系酸溶液にアルカリを添加して反応させて、錫系沈殿物を形成する段階と、前記錫系沈殿物を選択的に分離し、洗浄及び乾燥する段階と、乾燥した錫系沈殿物をか焼し、錫酸化物を得る段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錫酸化物粉末の製造方法に関し、より詳細には、インジウム−錫酸化物廃スクラップに含有された錫(Sn)を回収してリサイクルした錫酸化物(SnO2)粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
錫(Sn)は、液晶表示装置(liquid crystal display;LCD)の透明導電性酸化膜(transparent conductive oxide;TCO)の製造工程に必要なインジウム−錫酸化物(indium tin oxide;以下、ITOという)ターゲット材の主要原料として使用される。
【0003】
ディスプレイ産業の飛躍的な発展に伴い、錫(Sn)の需要が続いて増加している状況である。ディスプレイ産業において錫(Sn)は、ITOの形態でガラス基板の上にコーティングし、導電性と透明性を確保する透明導電性酸化膜の核心素材として使用されている。ITOターゲット材は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(plasma display panel;PDP)だけでなく、移動通信機器などにおいても需要が急激に増加している。
【0004】
平板ディスプレイの透明電極に使用されるITOは、スパッタリング技法によってガラス基板に融着される。これに使用されるITOターゲット材は、全体量の約30〜40%しか利用されず、残りは、スクラップの形態で廃棄されている。これらのうちインジウム(In)は、リサイクルされているが、錫の場合は、工程副産物で発生し、低級スクラップで低価に取り引きされている。液晶表示装置(LCD)とプラズマディスプレイパネル(PDP)の生産量が増加するにしたがって、ITOが蒸着工程で使用されたチェンバー及びITOターゲットを洗浄する会社から出る廃液も増加している。
【0005】
大部分のITO関連研究は、主として、生成された膜質と製造条件との相関関係の糾明にかたよっていて、ITO廃スクラップを再生する必要性が多いにもかかわらず、ITO廃スクラップのうちインジウム(In)のリサイクルは活発になされているが、工程副産物として発生する錫のリサイクルに関する研究はほとんど行われていない。本発明では、工程副産物として低価に処理されている錫を不純物から分離・精製し、高純度の錫溶液を作って、これから高附加素材である錫酸化物を製造する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述のような問題点を解決するためになされたもので、その目的は、インジウム−錫酸化物廃スクラップに含有された錫(Sn)を回収してリサイクルすることができるので、環境汚染を防止することができ、資源を節約することもでき、不純物を含有するインジウム−錫酸化物廃スクラップを低い工程費用で且つ短時間に効果的に精製し、錫酸化物を得ることができるインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によるインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法は、インジウム−錫酸化物廃スクラップを酸に溶解し、インジウムと錫を含む酸溶液を得る段階と、前記酸溶液に錫よりイオン化傾向が大きいインジウム金属を添加し、錫還元によって錫が沈殿されるようにし、濾過し、錫を含む沈殿物を得る段階と、前記錫を含む沈殿物を酸に溶解し、錫溶解液を得る段階と、前記錫溶解液に有機溶媒を添加し、錫を有機溶媒で抽出する段階と、前記抽出によって得られた錫を含む有機溶液に酸を添加し、錫を逆抽出する段階と、前記逆抽出によって得られた錫系酸溶液にアルカリを添加して反応させて、錫系沈殿物を形成する段階と、前記錫系沈殿物を選択的に分離し、洗浄及び乾燥する段階と、乾燥した錫系沈殿物をか焼し、錫酸化物を得る段階と、を含む。
【0008】
インジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法は、前記抽出する段階の後、前記逆抽出する段階の前に、前記抽出する段階後に得られた錫を含む有機溶液に前記錫溶解液を得る段階において使用された酸より濃度が低い酸を添加し、前記有機溶液に含まれた不純物を除去する段階をさらに含むことができる。
【0009】
前記有機溶液に含まれた不純物を除去する段階において使用された酸は、塩酸、硝酸及び硫酸の中から選択された1種以上の物質であり、前記有機溶液に含まれた不純物を除去する段階において使用された前記酸の濃度は、0.1〜4Mであることが好ましい。
【0010】
前記有機溶液に含まれた不純物を除去する段階において、有機相及び水相の体積比は、1:4〜4:1であることが好ましい。
【0011】
前記錫溶解液を得る段階において使用された酸は、塩酸及び硫酸の中から選択された1種以上の物質であり、前記錫溶解液を得る段階において使用された前記酸の濃度は、4〜13Mであることが好ましい。
【0012】
前記有機溶媒は、カルボキシル酸系溶媒または有機リン酸系溶媒であることが好ましい。
【0013】
前記有機溶媒は、アルキルモノカルボン酸、トリブチルホスフェート、2−エチルヘキシル2−エチルヘキシルリン酸、またはジ−(2−エチルヘキシル)リン酸であることが好ましい。
【0014】
前記抽出する段階において有機相及び水相の体積比は、1:2〜5:1であることが好ましい。
【0015】
前記逆抽出する段階において使用された酸は、塩酸、硝酸及び硫酸の中から選択された1種以上の物質であり、前記逆抽出する段階において使用された前記酸の濃度は、1〜13Mであることが好ましい。
【0016】
前記逆抽出する段階において有機相及び水相の体積比は、1:3〜5:1であることが好ましい。
【0017】
前記アルカリは、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)及び炭酸カリウム(K2CO3)の中から選択された1種以上の物質であることが好ましい。
【0018】
前記アルカリと前記逆抽出によって得られた錫系酸溶液とは、モル比が1〜4:1範囲となるように混合し、前記アルカリと前記錫系酸溶液との混合溶液は、pHが5〜8範囲であることが好ましい。
【0019】
前記か焼は、前記錫系沈殿物の酸化及び結晶化のために、500〜800℃の温度で5分〜6時間行うことが好ましい。
【0020】
前記インジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法は、前記インジウム−錫酸化物廃スクラップを酸に溶解する前に、セラミック材質のボールを利用したボールミリング装置で粉砕する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法によれば、インジウム−錫酸化物廃スクラップに含有された錫(Sn)を回収してリサイクルすることができるので、環境汚染を防止することができ、資源を節約することもできる。
【0022】
また、本発明によれば、不純物を含有するインジウム−錫酸化物廃スクラップを低い工程費用で且つ短時間に効果的に精製し、錫酸化物(SnO2)粉末を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ITO廃スクラップに含有された錫(Sn)を回収してリサイクルした錫酸化物(SnO2)粉末の製造方法を説明するために示す工程図である。
【図2】実施例によって製造した錫酸化物(SnO2)に対するX線回折(XRD)パターンを示すグラフである。
【図3】実施例によって製造した錫酸化物(SnO2)を示す電界放出走査電子顕微鏡(FE−SEM)写真である。
【図4】実施例によって製造した錫酸化物(SnO2)を示す電界放出走査電子顕微鏡(FE−SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明による好ましい実施例を詳細に説明する。しかし、下記実施例は、この技術分野における通常の知識を有する者に本発明が充分に理解されるように提供されるものであって、様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【0025】
図1は、ITO廃スクラップに含有された錫(Sn)を回収してリサイクルした錫酸化物(SnO2)粉末の製造方法を説明するために示す工程図である。
【0026】
まず、錫(Sn)を回収するためのITO廃スクラップを収集する(S10)。ITO廃スクラップは、平板ディスプレイ電極などの製造に使用されて寿命が尽きたITOターゲットの廃スクラップ(以下、ITO廃スクラップという)を主に使用する。前記ITO廃スクラップには、錫(Sn)が高い含量で含まれている。本発明の錫酸化物(SnO2)粉末の製造方法は、錫(Sn)の回収のための原料物質(ITO廃スクラップ)が錫(Sn)を少量(例えば、1〜10重量%)で含む場合にも適用することができ、前記ITO廃スクラップはもちろん、ITOターゲット材を利用する製造工程時に発生する少量の錫を含む廃溶液も、原料として利用することができるという長所がある。
【0027】
収集されたITO廃スクラップを粉砕するか、分級する(S15)。粉砕は、ボールミルリングを利用することができ、分級は、篩(sieve)を利用することができる。粉砕工程及び分級工程は、一緒に使用することができ、粉砕工程を行った後、分級工程を行うこともできることは勿論である。
【0028】
まず、粉砕工程を説明する。粉砕するためにボールミリング装置(ball milling machine)に装入し、エタノールのような溶媒とともに湿式混合する。ボールミリング装置を利用して一定の速度で回転させて、ITO廃スクラップを機械的に粉砕する。ボールミリングに使用されるボールは、硬度が大きいアルミナ、ジルコニアのようなセラミック材質のボールを使用することが好ましく、ボールは、すべて同一のサイズであってもよく、2種以上のサイズを有するボールを一緒に使用することもできる。ボールのサイズ、ミーリング時間、ボールミリング装置の分当たり回転速度などを調節し、目標とする粒子のサイズに粉砕する。例えば、粒子のサイズを考慮して、ボールのサイズは、約1mm〜 50mmの範囲に設定し、ボールミリング装置の回転速度は、 約100〜500rpmの範囲に設定する。ボールミリングは、目標とする粒子のサイズなどを考慮して、2時間〜48時間行う。ボールミリングによってITO廃スクラップは、微細なサイズの粒子に粉砕される。
【0029】
分級工程においては、目標とするサイズのメッシュを有する篩を使用する。ITO廃スクラップは、かたまっていてもよく、一定のサイズ以上の粒子を篩にかけて、一定のサイズ未満の粒子サイズを有するITO廃スクラップのみを選択的に分離して使用することができる。
【0030】
ITO廃スクラップを酸に溶解し、インジウムと錫を含む酸溶液を製造する(S20)。ITO廃スクラップを酸に添加すれば、ITOを構成する主要成分であるインジウムと錫は、酸に溶解される。前記酸は、塩酸及び硫酸の中から選択された1種以上の物質を使用することが好ましく、さらに好ましくは、塩酸を使用する。この際、酸の濃度は、1〜13Mであることが好ましく、前記酸の濃度が前記範囲の場合、ITO廃スクラップの溶解を容易にすることができ、溶解後に残渣の量を最小化することができ、また、酸の濃度が前記範囲から外れる場合、錫(Sn)よりイオン化傾向が大きい金属と錫(Sn)間のイオン化傾向の差異による置換反応の反応性が低下するので、好ましくない。前記インジウムと錫を含む酸溶液の酸濃度は、約0.5M〜3Mであることが好ましく、前記酸溶液の酸濃度が前記範囲内の場合、後続工程で錫の回収率が向上し、不純物との分離率が高くなる。
【0031】
前記酸溶液に錫(Sn)よりイオン化傾向が大きいインジウム(In)金属を添加し(S25)、撹拌し、イオン化傾向の差異によって錫(Sn)が沈殿されるようにする。錫よりイオン化傾向が大きいインジウム(In)金属は、標準還元電位が錫の標準還元電位−0.14Vより小さい−0.34Vである。前記イオン化傾向の差異によって錫(Sn)が沈殿するようになる反応は、次の通りである。インジウム(In)を前記酸溶液に添加すれば、反応式1(化1)または反応式2(化2)の反応によりインジウム(In)は酸化し、錫(Sn)は還元されて沈殿される。
【0032】
[化1]2In+3Sn2+→2In3++3Sn(↓)
【0033】
[化2]4In+3Sn4+→4In3++3Sn(↓)
【0034】
錫(Sn)よりイオン化傾向が大きいインジウム(In)金属は、板状の形態で添加することもでき、粉末の形態で添加することもできる。前記錫(Sn)よりイオン化傾向が大きいインジウム(In)金属を添加して撹拌する段階は、20〜90℃の温度で行うことがさらに好ましい。前記反応温度があまり低い場合には、イオン化傾向の差異による置換反応が低下し、錫(Sn)の沈殿速度及び沈殿率が低下するので好ましくない。また、前記反応温度が高すぎる場合には、作業性が劣化し、エネルギー消費などの面から好ましくない。前記撹拌は、10〜500rpmの速度で行われることが好ましい。
【0035】
錫(Sn)よりイオン化傾向が大きいインジウム(In)金属が添加され、錫(Sn)が沈殿されれば、これを濾過し、錫(Sn)を含む沈殿物を得る(S30)。前記インジウム(In)及び錫(Sn)を含む酸溶液にインジウム(In)を添加すれば、インジウムよりイオン化傾向が小さい鉛(Pb)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などの不純物も還元され、沈殿される。
【0036】
このように得られた錫(Sn)を含む沈殿物を酸に溶解し、錫溶解液を得る(S35)。前記錫(Sn)を含む沈殿物を溶解する酸は、塩酸及び硫酸の中から選択された1種以上の物質を使用することが好ましく、さらに好ましくは、塩酸を使用する。前記錫(Sn)を含む沈殿物を溶解する酸の濃度は、反応時間または反応温度によって適切に調節し、好ましくは、約4〜13Mである。酸の濃度が4M未満の場合には、前記錫(Sn)を含む沈殿物が酸に溶解される時間が長くかかり、溶解されない残渣が発生するようになるので好ましくなく、前記13Mを超過する場合には、これ以上の溶解効果を期待しにくいので、経済的でない。
【0037】
このように得られた酸を添加して錫溶解液を得た後、後続の有機溶媒抽出工程のために錫溶解液の酸濃度及び錫濃度を調節するために、酸またはアルカリを添加することができる。この際、錫溶解液の酸濃度を調節するために添加する酸は、塩酸及び硫酸の中から選択された1種以上の物質を使用することが好ましく、さらに好ましくは、塩酸を使用する。高い酸濃度を調節するためにアルカリを添加することができるが、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)及び炭酸カリウム(K2CO3)の中から選択された1種以上の物質であることが好ましい。錫溶解液の酸濃度は、後続の有機溶媒抽出工程を考慮して約0.01M〜4Mであることが好ましく、錫溶解液に含有された錫の濃度は、約0.01M〜3Mであることが好ましい。
【0038】
酸溶解工程(S35)で得た前記錫溶解液に含有された不純物を錫(Sn)から分離、除去及び精製するために、錫溶解液に錫(Sn)を抽出する有機溶媒を添加する(S40)。前記錫溶解液に前記有機溶媒を添加して撹拌すれば、錫(Sn)が前記有機溶媒に抽出され、錫(Sn)を含む有機相と不純物を含む水相とに相分離され、錫(Sn)と不純物の分離が可能である。有機相は、酸性を帯びる水相から分離されて上澄され、錫は、抽出されて有機相に含まれ、これを利用して有機相の下部に存在する水相を分離することができる。前記有機相及び水相の体積比(有機相:水相)は、1:2〜5:1であることが好ましく、水相に対する有機相の体積比(有機相/水相)が0.5未満の場合には、有機溶媒抽出効果が微弱であり、水相に対する有機相の体積比(有機相/水相)が5を超過する場合には、これ以上の有機溶媒抽出効果向上を期待しにくい。有機溶媒と錫溶解液の混合溶液の酸濃度は、約0.1〜4Mであることが好ましく、酸濃度が0.1M未満の場合には、錫が有機相に抽出される効果が微弱であり、酸濃度が4Mを超過する場合には、これ以上の抽出効果を期待しにくい。有機溶媒を利用して錫(Sn)を抽出する段階(S40)は、抽出率及びエネルギー消費などを考慮すれば、20〜80℃で行われることが好ましい。前記撹拌は、100〜1,500rpmの速度で1〜60分間行うことが好ましい。前記錫(Sn)の抽出段階(S40)において使用される有機溶媒は、カルボキシル酸系、有機リン酸系またはこれらの混合物であることが好ましい。例えば、前記有機溶媒として、アルキルモノカルボン酸(alkylmonocarboxylic acid, neodecanoic acid)、トリブチルホスフェート(tributyl phosphate;TBP)、2−エチルヘキシル2−エチルヘキシルリン酸(2-ethylhexyl 2-ethylhexyl phosphoric acid;PC88A)またはジ−(2−エチルヘキシル)リン酸(di-(2-ethylhexyl)phosphoric acid;D2EHPA)などを使用することができる。
【0039】
前記錫(Sn)抽出工程を行った後、得られた錫(Sn)を含む有機溶液に微量で含有された不純物であるインジウム(In)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)などを選択的に除去するために、前記錫(Sn)を含む有機溶液に酸を添加し、撹拌し、洗浄工程を行うことができる(S45)。前記酸は、塩酸、硝酸及び硫酸の中から選択された1種以上の物質を使用することが好ましく、さらに好ましくは、塩酸を使用する。この際、酸の濃度は、酸溶解工程(S35)で使用された酸濃度より低く希釈されたもので、0.1〜4Mであることが好ましい。前記酸の濃度が前記範囲の場合、錫(Sn)と不純物が含まれた有機溶液において錫(Sn)を除いて不純物のみを選択的に除去するのに効果的である。前記錫(Sn)を含む有機溶液に酸を添加して撹拌すれば、錫(Sn)を含む有機相と不純物を含む水相とに相分離される。この際、前記有機相及び水相の体積比は、1:4〜4:1であることが好ましい。前記有機相及び水相の体積比が前記範囲内の場合、錫(Sn)と不純物が含まれた有機溶液において錫(Sn)を除いて不純物のみを選択的に分離するのに効果的である。前記撹拌は、100〜1,500rpmの速度で1〜60分間行うことが好ましい。
【0040】
前記不純物を除去した有機溶液に酸を添加し、撹拌し、錫(Sn)を逆抽出する(S50)。ここで、逆抽出というのは、前記有機溶媒を利用した抽出と反対概念であって、錫が酸性を帯びる水相に分離されるようにする工程を意味する。前記逆抽出によって有機溶液に含有された錫(Sn)は、酸液で脱離される。前記酸は、塩酸、硝酸及び硫酸の中から選択された1種以上の物質を使用することが好ましく、さらに好ましくは、硝酸を使用する。この際、酸の濃度は、酸洗浄工程(S45)において使用された酸濃度より高く、1M〜13Mであることが好ましい。前記酸の濃度が前記範囲の場合、錫(Sn)の脱離率を高めるのに効果的である。前記逆抽出段階(S50)では、錫(Sn)を含む有機溶液に酸を添加して撹拌し、放置すれば、きれいな有機相と純度が高い錫(Sn)を含む水相とに分離される。この際、前記有機相及び水相の体積比(有機相:水相)は、1:3〜5:1であることが好ましく、前記有機相及び水相の体積比が前記範囲内の場合、有機溶液から錫(Sn)を脱離させて濃縮させるのに効果的である。逆抽出において酸溶液の酸濃度は、約0.1M〜8Mであることが好ましい。酸濃度が0.1M未満の場合には、錫がむしろ有機相として抽出され、逆抽出が行われることが難しい。酸濃度が8Mを超過する場合には、これ以上の逆抽出向上効果を期待しにくいので、経済的ではない。前記撹拌は、100〜1,500rpmの速度で5〜60分間行うことが好ましく、前記範囲で撹拌が行われる場合、錫(Sn)を有機相から完全に脱離し、有機相がきれいになるようにするのに効果的である。前記逆抽出は、錫(Sn)を有機相から完全に脱離させるのに適した15〜80℃で行うことが好ましい。
【0041】
このように逆抽出して得られた錫系酸溶液は、前記逆抽出段階において使用された酸の種類によって変わり、SnCl45H2O、SnCl22H2O、Sn(NO322H2O、Sn(SO4)2H2Oなどの化合物形態で存在する。
【0042】
前記錫系酸溶液を水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)のようなアルカリと混合して撹拌する(S55)。錫系酸溶液とアルカリは反応し、錫系沈殿物が形成される。例えば、錫系酸溶液であるSnCl45H2Oを水酸化ナトリウム(NaOH)と反応させれば、白色錫系沈殿物が形成される。
【0043】
前記アルカリと錫系酸溶液は、モル比で1〜4:1範囲となるように混合することが好ましく、アルカリと錫系酸溶液の混合溶液は、pHが約5〜8であることが好ましい。混合溶液のpHが5未満の場合には、沈殿物の析出率が小さく、pHが8を超過する場合には、これ以上の沈殿物析出率の向上を期待しにくい。前記撹拌は、40〜90℃の温度で約10〜500rpmの速度で行われることが好ましい。
【0044】
前記錫系沈殿物が含有された溶液を常温まで冷却した後、遠心分離のような方法を利用して選択的に分離し、選択的に分離された錫系沈殿物を蒸留水またはエタノールのようなアルコールで数回洗浄した後、乾燥させる(S60)。前記乾燥は、常温〜90℃の温度で1時間〜48時間行うことが好ましい。
【0045】
乾燥した錫系沈殿物を炉でか焼(calcination)すれば(S65)、錫酸化物(SnO2)が形成される。
【0046】
前記錫系沈殿物の酸化及び結晶化のために、前記か焼は、500〜800℃の温度で行うことが好ましい。か焼温度が500℃未満の場合には、酸化及び結晶化が完全になされないことがあり、焼温度が800℃を超過する場合には、錫酸化物(SnO2)の粒子サイズが粗大になることができ、エネルギーの消耗が多いので、経済的ではない。前記か焼は、5分〜6時間行うことが好ましい。か焼時間が5分未満の場合には、酸化及び結晶化が完全になされないことがあり、か焼時間が6時間を超過する場合には、これ以上のか焼効果を期待しにくく、エネルギーの消耗が多いので、経済的ではない。
【0047】
本発明は、下記の実施例を参照してさらに詳しく説明され、この実施例は、本発明を限定するものではない。
【0048】
〈実施例〉
ITOターゲットを利用して平板ディスプレイの透明電極を製造する工程時に発生するITO廃スクラップを収集し、これを原料に使用した。
【0049】
ITO廃スクラップを酸に溶解し、インジウムと錫を含む酸溶液を製造した(S20)。この際、酸として、濃度が12Mの塩酸を使用し、前記酸溶液の酸濃度は、約2Mであった。
【0050】
前記酸溶液に錫(Sn)よりイオン化傾向が大きいインジウム(In)金属を添加し(S25)、撹拌し、イオン化傾向の差異によって錫(Sn)が沈殿されるようにした。前記インジウム(In)金属を添加して撹拌する段階は、60℃の温度で行い、前記撹拌は、100〜500pmの速度で行った。
【0051】
インジウム(In)金属が添加され、錫(Sn)が沈殿されれば、これを濾過し、錫(Sn)を含む沈殿物を得た(S30)。
【0052】
このように得られた錫(Sn)を含む沈殿物を酸に溶解し、錫溶解液を得た(S35)。この際、酸としては、濃度が6Mの塩酸を使用し、前記錫溶解液の酸濃度は、約0.1Mであった。
【0053】
酸溶解工程(S35)で得られた前記錫(Sn)溶解液において不純物を錫(Sn)から分離、除去及び精製するために、有機溶媒を添加し、撹拌し、錫(Sn)を抽出した(S40)。前記有機溶媒は、1MのPC88Aを使用し、有機相及び水相の体積比は、3:1であった。前記有機溶媒が添加された溶液の酸濃度は、約2Mであり、前記撹拌は、25℃の温度で250rpmの速度で30分間行い、抽出を実施した。錫を含む有機相の下部に存在する水相を漏斗を利用して分離し、錫を含む有機溶液を得た。
【0054】
前記錫(Sn)抽出工程を実施した後、得られた錫(Sn)を含む有機溶液に微量で含有された不純物であるインジウム、鉛(Pb)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)などを選択的に除去するために、前記錫(Sn)を含む有機溶液に酸を添加し、撹拌し、洗浄工程を実施した(S45)。この際、酸は、酸溶解工程(S35)において使用された酸濃度より低く希釈されたものであって、1.5Mの塩酸を使用し、前記有機相及び水相の体積比は、2:1になるようにし、前記撹拌は、25℃の温度で250rpmの速度で30分間行った。
【0055】
前記不純物を除去した有機溶液に酸を添加し、撹拌し、錫(Sn)を逆抽出した(S50)。この際、前記有機相及び水相の体積比(有機相:水相)は1:1であり、前記撹拌は、250rpmの速度で30分間行い、前記逆抽出は、25℃で行った。前記逆抽出において酸が添加された溶解液の酸濃度は、約4Mであった。
【0056】
このように逆抽出して得られた錫系酸溶液10gに脱イオン水400mLを添加し、水酸化ナトリウム(NaOH)(濃度30%)を混合し、撹拌した(S55)。前記撹拌は、80℃の温度で約10rpmの速度で行った。前記錫系酸溶液に前記水酸化ナトリウムをビュレットで徐々に添加しながら、pHの変化による錫系沈殿物の生成及び変化可否を観察した。
【0057】
前記錫系沈殿物が含有された溶液を常温まで冷却した後、遠心分離を利用して選択的に分離し、選択的に分離された錫系沈殿物を蒸留水及びエタノールでそれぞれ洗浄して凝集度を観察し、乾燥させた(S60)。前記乾燥は、80℃の温度で12時間行った。
【0058】
乾燥した錫系沈殿物を炉でか焼(calcination)し、錫酸化物(SnO2)を製造した(S65)。錫系沈殿物の酸化及び結晶化のための前記か焼は、300℃、400℃、500℃、600℃及び700℃の温度でそれぞれ行い、か焼温度による錫酸化物(SnO2)の結晶化可否、粒子サイズ、凝集度などを観察した。前記か焼は、30分、1時間、2時間、3時間、5時間及び10時間実施し、錫酸化物(SnO2)の結晶化可否、粒子サイズ、凝集度などを観察した。
【0059】
下記表1に錫系酸溶液に前記水酸化ナトリウムを添加しながら、溶液のpH変化による錫系沈殿物の生成及び変化可否を観察した結果を示した。
【0060】
【表1】

【0061】
表1を参照すれば、pHが2.0の場合には、中和反応による沈殿物が生成されるが、錫系沈殿物と水酸化ナトリウムの反応性が弱く、pHが3.0の場合には、中和反応による沈殿物生成がほとんどなく、pHが4.0の場合には、沈殿物生成がないことが観察された。pHが5.0以上で沈殿物の析出が生じ、pHが7.0〜7.5の場合、最も安定的に沈殿物の析出が生じることが観察された。
【0062】
前記錫系沈殿物が含有された溶液を遠心分離した後、蒸留水及びエタノールでそれぞれ洗浄した後、乾燥し、錫系沈殿物の凝集度を観察した。蒸留水で洗浄した場合には、凝集があり、エタノールで洗浄した場合には、蒸留水で洗浄した場合に比べて相対的に凝集が少ないことが分かる。
【0063】
図2は、実施例によって製造した錫酸化物(SnO2)に対するX線回折(X-ray diffraction;以下、XRDという)パターンを示すグラフである。図2の(a)は、現在商用化されて市売されている錫酸化物(SnO2)のXRDピークを示すグラフであり、(b)は、700℃の温度で1時間か焼を行って得た錫酸化物(SnO2)のXRDピークを示すグラフであり、(c)は、600℃の温度で1時間か焼を行って得た錫酸化物(SnO2)のXRDピークを示すグラフであり、(d)は、500℃の温度で1時間か焼を行って得た錫酸化物(SnO2)のXRDピークを示すグラフであり、(e)は、400℃の温度で1時間か焼を行って得た錫酸化物(SnO2)のXRDピークを示すグラフであり、(f)は、300℃の温度で1時間か焼を行って得た錫酸化物(SnO2)粉末のXRDピークを示すグラフである。図2の(b)〜(e)は、錫系酸溶液に水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHが7.5であり、錫系沈殿物を遠心分離した後、エタノールで洗浄した場合に関するものである。
【0064】
図2を参照すれば、か焼が600℃及び700℃で行われた場合には、商用化された錫酸化物(SnO2)のXRDピークと同一のピーク特性を示すことが分かる。か焼が500℃で行われた場合には、商用化された錫酸化物(SnO2)のXRDピークと類似の特性を示すことが分かり、これから、か焼温度が500℃以上の場合には、ほぼ完全な錫酸化物(SnO2)結晶特性を示すことが分かる。
【0065】
図3及び図4は、実施例によって製造した錫酸化物(SnO2)を示す電界放出走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope;以下、FE−SEMという)写真である。図3は、錫酸化物(SnO2)の断面表面を50,000倍で観察したFE−SEM写真であり、図4は、錫酸化物(SnO2)の断面表面を100,000倍で観察したFE−SEM写真である。図3及び図4は、いずれも錫系酸溶液に前記水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHが7.5となるようにし、エタノールで洗浄し、600℃の温度で1時間か焼が行われ、錫酸化物(SnO2)を製造した場合に関するものである。
【0066】
図3及び図4を参照すれば、錫酸化物(SnO2)は、比較的均一な粒子サイズを示し、平均粒子サイズは、約40nmであることが分かる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施例により詳細に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で当分野における通常の知識を有する者によって様々な変形が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジウム−錫酸化物廃スクラップを酸に溶解し、インジウムと錫を含む酸溶液を得る段階と、
前記酸溶液に錫よりイオン化傾向が大きいインジウム金属を添加し、錫還元によって錫が沈殿されるようにし、濾過し、錫を含む沈殿物を得る段階と、
前記錫を含む沈殿物を酸に溶解し、錫溶解液を得る段階と、
前記錫溶解液に有機溶媒を添加し、錫を有機溶媒で抽出する段階と、
前記抽出によって得られた錫を含む有機溶液に酸を添加し、錫を逆抽出する段階と、
前記逆抽出によって得られた錫系酸溶液にアルカリを添加して反応させて、錫系沈殿物を形成する段階と、
前記錫系沈殿物を選択的に分離し、洗浄及び乾燥する段階と、
乾燥した錫系沈殿物をか焼し、錫酸化物を得る段階と、を含むインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項2】
前記抽出する段階の後、前記逆抽出する段階の前に、
前記抽出する段階後に得られた錫を含む有機溶液に前記錫溶解液を得る段階において使用された酸より濃度が低い酸を添加し、前記有機溶液に含まれた不純物を除去する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項3】
前記有機溶液に含まれた不純物を除去する段階において使用された酸は、塩酸、硝酸及び硫酸の中から選択された1種以上の物質であり、前記有機溶液に含まれた不純物を除去する段階において使用された前記酸の濃度は、0.1〜4Mであることを特徴とする請求項2に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項4】
前記有機溶液に含まれた不純物を除去する段階において有機相及び水相の体積比は、1:4〜4:1であることを特徴とする請求項2に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項5】
前記錫溶解液を得る段階において使用された酸は、塩酸及び硫酸の中から選択された1種以上の物質であり、前記錫溶解液を得る段階において使用された前記酸の濃度は、4〜13Mであることを特徴とする請求項1に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項6】
前記有機溶媒は、カルボキシル酸系溶媒または有機リン酸系溶媒であることを特徴とする請求項1に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項7】
前記有機溶媒は、アルキルモノカルボン酸、トリブチルホスフェート、2−エチルヘキシル2−エチルヘキシルリン酸またはジ−(2−エチルヘキシル)リン酸であることを特徴とする請求項6に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項8】
前記抽出する段階において有機相及び水相の体積比は、1:2〜5:1であることを特徴とする請求項1に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項9】
前記逆抽出する段階において使用された酸は、塩酸、硝酸及び硫酸の中から選択された1種以上の物質であり、前記逆抽出する段階において使用された前記酸の濃度は、1〜13Mであることを特徴とする請求項1に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項10】
前記逆抽出する段階において有機相及び水相の体積比は、1:3〜5:1であることを特徴とする請求項1に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項11】
前記アルカリは、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)及び炭酸カリウム(K2CO3)の中から選択された1種以上の物質であることを特徴とする請求項1に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項12】
前記アルカリと前記逆抽出によって得られた錫系酸溶液とは、モル比が1〜4:1範囲となすように混合し、前記アルカリと前記錫系酸溶液の混合溶液は、pHが5〜8範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項13】
前記か焼は、前記錫系沈殿物の酸化及び結晶化のために500〜800℃の温度で5分〜6時間行うことを特徴とする請求項1に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。
【請求項14】
前記インジウム−錫酸化物廃スクラップを酸に溶解する前に、
セラミック材質のボールを利用したボールミリング装置で粉砕する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のインジウム−錫酸化物廃スクラップをリサイクルした錫酸化物粉末の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−73964(P2011−73964A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200815(P2010−200815)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(510242428)トレコム コーポレーション (2)
【出願人】(508300264)漢陽大学校 産学協力団 (4)
【Fターム(参考)】