説明

インジケータを備えた経腸栄養カテーテルアセンブリ

本発明は、予め付勢されたインジケータを備えたカテーテルアセンブリを提供する。本発明のカテーテルアセンブリは、近位端と、遠位端と、カテーテルルーメンを画定するカテーテル壁部とを有するカテーテルを含む。本発明のアセンブリは、前記カテーテルの近位端に配置され、前記カテーテルルーメンの開口部を画定し、かつ第1の端部及び第2の端部を有する基部をさらに含む。所定の充填体積を有する膨張可能バルーンが前記カテーテルの遠位端に設けられる。前記カテーテル壁部により画定された膨張ルーメンを介して前記バルーンに流体連通される膨張バルブが前記基部に設けられる。バルーンに流体連通され、前記バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値と異なるかまたは前記バルーンの体積が所定の充填体積と異なることを示す離散的な視覚信号を提供するように構成された予め付勢されたインジケータが基部に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された胃瘻チューブまたは経腸栄養カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
所望の医療目的を達成するために体腔へのカテーテル挿管を必要とする状況が多数存在する。1つの比較的一般的な状況は、胃や腸へ栄養溶液や薬剤を直接的に供給することである。胃壁または腸壁に瘻孔を形成し、該瘻孔を通してカテーテルを挿入し、留置する。この外科的開口部及び/または該開口部を形成する手技は、一般的に「胃瘻」と呼ばれている。カテーテルを通じて栄養溶液を注入することにより、胃や腸へ栄養物を直接的に供給することができる(経腸栄養法として知られている)。様々な経腸栄養用カテーテルが長年にわたって開発されてきており、そのようなものには、従来の、すなわち非薄型の構造を有するカテーテルだけではなく、患者の皮膚上に載置される部分が「薄型」の構造を有するカテーテルが含まれる。このような経皮送達カテーテルまたはチューブは、しばしば、「胃瘻チューブ」、「経皮胃瘻カテーテル」、「PEGチューブ」または「経腸栄養カテーテル」と呼ばれる。
【0003】
胃壁または腸壁からPEGチューブが抜け落ちないように、様々な種類の固定器具がカテーテルの遠位端において使用される。マルコー(Malecot)型先端部または同様の拡張式先端部を有する従来のデバイスの例は、例えば、Shermetaに付与された米国特許第3,915,171号(胃瘻チューブ)、Nawash他に付与された米国特許第4,315,513号(胃瘻及びその他の経皮送達チューブ)、Russoに付与された米国特許第4,944,732号(胃瘻ポート)、及びRussoに付与された米国特許第5,484,420号(経皮カテーテル用の保持ボルスター)に見られる。例示的な市販製品には、米国インディアナ州ブルーミントン所在のクックメディカル社(Cook Medical, Inc.)社製のPassport(登録商標)薄型胃瘻デバイスや、米国オハイオ州ブラックスビル所在のメディカルテクノロジー社(Medical Technology, Inc)製のMini One(商標)非バルーンボタンが含まれる。これらのデバイスの欠点は、上記のような固定器具を備えているカテーテルまたはチューブ(例えば、胃瘻チューブ)を体腔(例えば胃)へ挿入する方法、及び前記カテーテルを体腔から引き出す方法に関連している。
【0004】
マルコー型先端部または同様の拡張式先端部を有する従来のデバイスの代わりにバルーンを使用することができる。バルーンは、一般的に、「柔軟な」若しくはエラストマー性の医療グレードシリコンから作製されており、カテーテルの端部に取り付けられている。バルーンは、収縮させた状態で瘻孔を通して挿入され、その後、経腸栄養アセンブリを適所に固定するために膨張させられる。このようなバルーンは様々な利点を有しているが、いずれは漏れ及び収縮が生じるおそれがある。加えて、「柔軟な」若しくはエラストマー性の医療グレードシリコンは、時間が経つにつれて、バルーンの寸法を変化させることができる「クリープ」または応力緩和が生じる傾向を有する。
【0005】
膨張可能バルーンを備えた様々な種類の医療デバイスが知られており、医療分野で幅広く使用されている。例えば、気管内チューブ及び気管切開チューブは、粘液が肺に入るのを防止するシールを形成するために膨張可能バルーンを使用する。これらのデバイスにおけるバルーン内の圧力の連続的な測定値を提供するために、パイロットバルーン、圧力ゲージ、及び膨張インジケータが使用される。すなわち、これらのデバイスは、バルーン内の圧力の増加または減少を示す連続的または連続的な情報を伝達する出力を提供する。これらの医療器具は、例えば、McGinnisに付与された米国特許第3,642,005号(膨張可能カフを備えた気管内チューブ)、Brunerに付与された米国特許第4,266,550号(膨張可能カフ型カテーテル用の圧力インジケータ)、Ogushi他に付与された米国特許第6,732,734号(バルーンカテーテル用のパイロットバルーン)、及びQuinn他に付与された米国特許第7,404,329号(気道ルーメンと共に使用するための圧力ゲージ)に記載されている。
【0006】
パイロットバルーンに加えて、ベローズまたはダイアフラムを備えた圧力インジケータや、電子圧力インジケータが知られている。例えば、流体圧力の連続的な測定値を表示するための単純なベローズ圧力インジケータが、Parrに付与された米国特許第3,780,693号(可視流体圧力インジケータ)に記載されている。Esnoufに付与された米国特許第7,383,736号(圧力表示のため器具及び方法)には、喉頭部マスクバルーン、またはバルーンを備えた他の気道確保用器具と共に使用するためのベローズ器具が記載されている。Esnoufによるこのベローズデバイスは、前記ベローズ器具の外側と内側との間の圧力差により変位し、そのことによりバルーン内の流体圧力の増減の連続的な測定値を提供するように構成されたベローズを備えている。Igarashi他に付与された米国特許第7,018,359号(カフの内圧インジケータ)には、気管切開チューブバルーンまたは気管内チューブと共に使用するためのベローズまたはバネ構造体が記載されている。Igarashi他によるこのデバイスは、膨張チューブを通じてバルーンに接続されており、注射器に接続される側の端部に膨張バルブを有している。このデバイスは、ベローズ及び/またはバネインジケータを使用し、ハウジングに印刷された数字目盛りに対するベローの変位によってバルーン内の流体圧力の増減の連続的な測定値を提供し表示する。Turnbull他に付与された米国特許第5,218,970号(気管チューブカフ圧力モニタ)には、電子圧力センサ(例えばシリコン歪みゲージ圧力センサ)と、前記センサからの信号に対して様々な校正、スケーリング及び計算作業を行い、バルーン内の流体の圧力の増減の連続的な測定値を伝達する数値表示のための出力を提供するプロセッサとを備えた気管チューブのための圧力連続モニタが記載されている。
【0007】
これらのインジケータは、バルーン圧力の注意深いかつ持続的なモニタが重要な気道デバイスに適合される。気管内腔とバルーンとの間の空間を適切にシールするためにバルーンを過剰に膨張させる傾向があるが、その場合は組織を傷付けるおそれがある。しかし、圧力が低すぎると、バルーンは、気管内腔とバルーンとの間の空間を適切にシールすることができないため、分泌物が肺に入り肺炎または他の呼吸器合併症を引き起こすおそれがある。バルーン圧力の注意深い管理を提供するために、これらのパイロットバルーン、ベローズ及びダイアグラムインジケータ、並びに電子センサは、バルーン内の流体圧力の増減の連続的な測定値を伝達するように設計される。
【0008】
このレベルの検出感度及び連続的な測定値が望ましいが、パイロットバルーン及び同様のビローズまたはダイアグラムインジケータは比較的大きく、かつ、一般的に、これらの従来のデバイスが圧力の連続的な測定値を提供したときに、該器具の出力を正確に読み取るためには技能及び経験を必要とする。電子圧力センサは正確であり、かつ一般的に容易に読み取ることができるが、比較的大きく、また高価でもある。これらの種類のデバイスを、薄型PEGチューブと共に使用することができるように十分に小さいサイズまで小型化すると、これらのデバイスのサイズ、校正、正確さ、及び、該デバイスの出力の測定値または解釈に関連する問題が生じる。
【0009】
Fournie他に付与された米国特許第6,878,130号(薄型胃瘻チューブ用の外部膨張インジケータ)(特許文献1)には、固定用バルーンを備えた胃瘻デバイスの基部に組み込まれた、パイロットバルーンに類似する外付け式の膨張インジケータが記載されている。特許文献1に記載のデバイスは、固定用バルーンの膨張状態の連続的な触覚的な測定値を提供する。特許文献1に記載のデバイスは、固定用バルーンが膨張したときに概ね凸状の形状をとり、バルーンを収縮させたときには概ね凹状の形状をとる、2つの概ね泡様(bubble-like)の部分を用いている。これらの概ね泡様の部分の形状の変化により、前記バルーンの膨張状態の連続的な知覚的な表示または測定値が提供される。加えて、この外付け式の膨張インジケータは、インジケータの前記2つの概ね泡様の部分を分離する分離バーを用いることにより、固定用バルーンの膨張状態の連続的な視覚的表示を提供する。この分離バーは、バルーンが完全に膨張したときに、膨張状態を示すために視覚的に分離させる。「柔軟な」若しくはエラストマー性の医療グレードシリコンなどの弾性材料から作製されている従来のPEGチューブ固定用バルーンはバルーン体積を増加させるために伸張する必要があるので、膨張状態を連続的に表示することは重要である。バルーンを膨張させるべく前記弾性材料を未伸張状態から伸張させるためには、比較的大きい圧力変化が必要とされる。そのうえ、バルーンを膨張させるべく前記弾性材料を伸張させるの必要とされる圧力の大きさと、前記バルーンの体積との関係は非線形である。すなわち、バルーン内の流体の圧力とバルーンの体積との間の相関関係は単純なものではないため、どのようなインジケータを使用する場合でも、特許文献1に記載のデバイスのような連続的なインジケータのデザインが用いられることとなる。
【0010】
例えば、図1Aは、基部12と、従来の「柔軟な」若しくはエラストマー性の医療グレードシリコンから作製された、未伸張状態(すなわち、未膨張)の固定用バルーン13とを有する従来のPEGチューブデバイス10の図である。特許文献1に概略的に説明されているようなパイロットバルーン型インジケータ15が、従来のPEGチューブデバイス10の基部12に配置されている。図1Bは、基部12と、膨張量まで膨張させることにより伸張させられた、従来の「柔軟な」若しくはエラストマー性の医療グレードシリコン製の固定用バルーン13とを有する従来のPEGチューブデバイス10の図である。特許文献1に概略的に説明されているようなパイロットバルーン型インジケータ15が、従来のPEGチューブデバイス10の基部12に配置されている。図1Cは、従来の「柔軟な」若しくはエラストマー性の医療グレードシリコン製バルーンを該バルーン内の流体の圧力を増加させることにより伸張させるときの、前記弾性固定用バルーン内の流体圧力とバルーン体積との間の例示的な関係を示す図である。この図は、シリコン製バルーンを備えたKimberly-Clark(登録商標)Mic-Key(登録商標)12フレンチの薄型胃瘻栄養チューブについての圧力対体積のグラフである。図1Cに示すように、このような弾性バルーンを、ごくわずかな圧力でのごくわずかな体積(すなわち、収縮状態)から約3ないし5mlの膨張体積まで伸張させるためには、伸張抵抗に打ち勝つために最初に大きなかつ連続的な圧力変化を必要とする。この例では、このような例示的な従来の固定用バルーンを伸張抵抗に打ち勝って膨張させるためには、1立方センチメートル(約1ml)の体積まで膨張させるのにさえ、ゼロまたはほとんどゼロの圧力から約28ないし48キロパスカル(4ないし7ポンド毎平方インチ)への急激な圧力変化が必要とされる。そして、このような従来の「柔軟な」若しくはエラストマー性の医療グレードシリコン製バルーンを滅菌水(食塩水や空気も使用可能である)によって約3立方センチメートル(3ml)の体積まで膨張させるためには、約34ないし69キロパスカル(約5ないし10ポンド毎平方インチ)の圧力が必要とされる。
【0011】
特許文献1に記載されているようなパイロットバルーン型インジケータまたは上記のベローズシステムまたは同様の目盛り付きのインジケータを、弾性バルーンの伸張中に該バルーンにかかる圧力の連続的な測定値を提供する薄型PEGチューブデバイスの基部に組み込むときは、前記柔軟膜上に、非常に小さい変位(一般的に1mm未満)に基づいて情報を提供することができる分離バー、インジケータラインまたは同様の要素を必要とする。固定用バルーンの膨張状態の連続的な測定値を提供するためにこのような小型のスケールを使用するときは、特に、28キロパスカル(4重量ポンド毎平方インチ)未満の膨張圧力では、正確に読み取ることは困難である。例えば、一般的な薄型PEGチューブの基部の寸法は、長さ約41mm(1.625インチ)、幅約19mm(0.75インチ)、深さ(高さ)約13mm(0.5インチ)である。図1D(特許文献1の図3に対応する)を参照して、従来のPEGチューブデバイス10の基部12に配置されたパイロットバルーン型インジケータ15の相対寸法を上記の基部の寸法と比較すると、小型サイズのパイロットバルーン型インジケータ15が非現実的であることが分かる。例えば、パイロットバルーン型インジケータは長さ約6mm、幅約5mmの寸法を有し、インジケータ上に設けられた分離バーは約0.8mmの幅(中間サイズのボールペンのボール先端の直径、またはシャープペンシルの芯の直径)を有するように見える。
【0012】
したがって、PEGチューブの頭部に容易に組み込むことができ、約28キロパスカル(4重量ポンド毎平方インチ)未満の圧力で正確に作動しかつ容易に読み取ることができる圧力変化インジケータアセンブリが求められている。また、PEGチューブに容易に組み込むことができ、所定の体積の表示において単純さ、信頼性及び正確さを有し、かつ理解しやすい圧力変化インジケータアセンブリが求められている。また、PEGチューブに容易に組み込むことができ、所定の圧力の表示において単純さ、信頼性及び正確さを有し、かつ理解しやすい圧力変化インジケータアセンブリが求められている。また、膨張したバルーン、特に約28キロパスカル(4重量ポンド毎平方インチ)未満の圧力で膨張したバルーンにおける変化についての、単純で、見やすくかつ分かりやすい信号を伝達することができる圧力変化インジケータアセンブリが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6,878,130号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の問題点を解決するために、本発明は、インジケータを備えたバルーンカテーテルデバイスであって、カテーテルに設けられたバルーンの膨張状態に関しての離散的な視覚信号を提供するデバイスを提供する。例えば、前記インジケータは、前記バルーンの体積が、所定の体積と異なることを示す離散的な視覚信号を提供する。その代わりにあるいはそれに加えて、前記インジケータは、前記バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値と異なることを示す離散的な視覚信号を提供する。本発明は、比較的低い圧力(例えば28キロパスカル(4重量ポンド毎平方インチ)以下)で所定の充填体積を有するバルーンを備えたバルーンカテーテルデバイスに対する特別な利点を提供する。
【0015】
本発明の一態様では、前記バルーンカテーテルデバイスは、近位端と、遠位端と、カテーテルルーメンを画定するカテーテル壁部とを有するカテーテルを含む経腸栄養カテーテルアセンブリであり得る。前記カテーテルの前記近位端に基部が配置される。前記基部は、前記カテーテルルーメンに通じる開口部を画定する。前記基部自体は、第1の端部及び第2の端部を有する。前記アセンブリは、前記カテーテルの遠位端に配置された膨張可能バルーンをさらに含む。前記膨張可能バルーンの特徴は、該バルーンが所定の充填体積を有することである。このような膨張可能バルーンは、経腸栄養カテーテルと共に一般的に使用される従来の弾性バルーン(例えば、柔軟な弾性シリコン)と容易に区別することができる。概して言えば、前記所定の充填体積は、バルーンが虚脱し、折り畳まれ、かつ膨張していない初期状態から、該バルーンの形成材料のしわが伸ばされたかまたは前記材料が完全に広げられたが、該材料が有意に伸張または膨張するまでには至らない状態まで膨張させることにより達成された体積と同じかまたは約1.5倍(すなわち約50%大きい)以下である。すなわち、前記所定の充填体積は、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積と同じかまたは約1.5倍(すなわち約50%大きい)以下である。
【0016】
本発明の経腸栄養カテーテルアセンブリは、前記基部に設けられた膨張バルブをさらに含む。前記膨張バルブは、前記バルーンに流体連通されている。このことは、前記カテーテル壁部の一部により画定され、かつ前記バルーンから前記膨張バルブまで延在する膨張ルーメンにより達成され得る。外部膨張ルーメンや他の構成も考えられる。前記膨張バルブは、前記基部の前記第1の端部に設けられることが望ましい。
【0017】
本発明の経腸栄養カテーテルアセンブリは、前記基部に設けられ、かつ前記バルーンに流体連通された予め付勢されたインジケータ(pre-biased indicator)をさらに含む。本発明では、前記予め付勢されたインジケータは、前記バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値から変化したことを示す離散的な視覚信号を提供するように構成されている。その代わりにあるいはそれに加えて、前記予め付勢されたインジケータは、前記バルーンの体積が所定の体積から変化したことを示す離散的な視覚信号を提供するように構成される。例えば、前記予め付勢されたインジケータは、前記バルーンの体積が所定の充填体積よりも小さいことを示す離散的な視覚信号を提供するように構成され得る。
【0018】
前記インジケータは、前記基部の前記第2の端部に設けられ得る。また、前記インジケータを前記基部の前記第1の端部に設けることも考えられる。本発明の一態様では、前記予め付勢されたインジケータは、前記カテーテル壁部により画定され、かつ前記バルーンから前記インジケータまで延在するインジケータルーメンを介して前記バルーンに流体連通され得る。その代わりにあるいはそれに加えて、前記予め付勢されたインジケータは、前記カテーテル壁部により画定され、かつ前記バルーンから前記膨張バルブ及び前記インジケータまで延在する膨張ルーメンを介して前記バルーンに流体連通され得る。
【0019】
本発明の経腸栄養カテーテルアセンブリの前記予め付勢されたインジケータは、第1のハウジング端部と、第2のハウジング端部と、内部チャンネルを画定する1以上のハウジング壁部と、軸方向長さとを有するハウジングを含み得る。前記ハウジングの前記第1のハウジング端部は、前記膨張可能バルーンに流体連通されている。前記ハウジングの少なくとも一部が、透明または半透明であることが望ましい。
【0020】
予め付勢されたインジケータは、前記ハウジングの前記内部チャンネル内に配置されるフレキシブルなスリーブをさらに含む。前記フレキシブルなスリーブは、第1の面と、その反対側の第2の面と、前記ハウジングの前記内部チャンネル内に位置される第1のスリーブ端部と、前記ハウジングと係合して流体不透過性シールを形成する第2のスリーブ端部と、前記第1及び第2のスリーブ端部を互いに連結するフレキシブルな略環状部分とを有する。
【0021】
本発明では、前記フレキシブルなスリーブの前記フレキシブルな略環状部分は、前記スリーブの前記第1及び第2の端部の間に介在する環状折り返し部(rolling annular fold)を画定する。前記環状折り返し部は、前記フレキシブルなスリーブの前記第1の面の少なくとも一部が前記1以上のハウジング壁部に概ね隣接し、前記フレキシブルなスリーブの前記第2の面がスリーブキャビティ(sleeve cavity)を画定するように構成されている。概して言えば、前記環状折り返し部は、前記スリーブが前記ハウジングの前記軸方向へ変位するに従って移動する。すなわち、前記フレキシブルなスリーブが軸方向へ変位すると、それに伴い、前記環状折り返し部において前記フレキシブルなスリーブの前記第2の面の一部が外側にめくり返るかまたは裏返しになり、該第2の面が前記1以上のハウジング壁部に直接的に隣接するようになる。
【0022】
また、前記アセンブリは、前記スリーブキャビティ内に少なくとも部分的に配置され、かつ前記ハウジングの前記第1及び第2のハウジング端部間に位置する付勢要素を含む。前記付勢要素は、前記バルーン内の流体の圧力が前記所定の充填体積に対応する膨張圧力と異なることを示す離散的な視覚信号を提供すべく前記フレキシブルなスリーブを第1の軸方向位置から少なくとも第2の軸方向位置へ変位させるように、前記所定の充填体積に対応する所定の圧力で変形するように構成されている。前記付勢要素は、圧縮力に起因して変形するが、前記圧縮力が除去されたときに元の形状に戻ることができる、変形可能なデバイスまたは部品である。前記付勢要素は、コイルばね、複数のばね、エラストマー体などのばねであり得る。前記付勢要素は、約0.1ニュートン/cmないし約1.8ニュートン/cm(約0.1重量ポンド/インチないし約1.0重量ポンド/インチ)のばね定数または変形率または臨界点(tripping point)を有し、このことにより、特に約28キロパスカル(約4重量ポンド毎平方インチ(psi))以下の圧力、例えば約7ないし25キロパスカル(約1ないし3.5重量ポンド毎平方インチ)の圧力、または別の例では約14ないし21キロパスカル(約2ないし約3重量ポンド毎平方インチ)の圧力についての圧力変化を示す離散的な信号を提供することができる。
【0023】
本発明はまた、バルーンカテーテルデバイスであって、近位端、遠位端、及びカテーテルルーメンを画定するカテーテル壁部を有するカテーテルと、前記カテーテルの前記近位端に配置され、前記カテーテルルーメンに通じる開口部を画定する基部と、前記カテーテルの遠位端に配置され、所定の充填体積を有し、かつ加圧下の流体を収容するように構成された膨張可能バルーンと、前記基部に設けられ、前記バルーンに流体連通された膨張バルブと、前記バルーンに流体連通された予め付勢されたインジケータとを含むデバイスを包含する。本発明では、前記予め付勢されたインジケータは、前記バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値から変化したことを示す離散的な視覚信号を提供するように構成されている。その代わりにあるいはそれに加えて、前記予め付勢されたインジケータは、前記バルーンの体積が所定の体積から変化したことを示す離散的な視覚信号を提供するように構成される。例えば、前記予め付勢されたインジケータは、前記バルーンの体積が所定の体積よりも小さいことを示す離散的な視覚信号を提供するように構成される。
【0024】
本発明は、加圧された液体を収容するバルーンを備えた医療機器において使用するためのインジケータアセンブリを包含する。前記インジケータアセンブリは、特に、人体の外側に配置されるヘッド部と、人体の体腔内に配置するための膨張式固定用バルーンとを有する医療機器において使用される。前記インジケータアセンブリは、所定の充填体積を有する膨張式薄壁バルーンを含む。前記バルーンは、該バルーンを所定の充填体積まで膨張させるときに加圧下の流体を収容し、膨張後、前記流体がもはや加圧下にないときに、前記所定の充填体積よりも小さい体積である予備体積の流体を収容するように構成されている。膨張時に前記流体に加えられる圧力は、比較的低い圧力(例えば、28キロパスカル(4重量ポンド毎平方インチ)以下)であることが望ましい。
【0025】
また、前記インジケータアセンブリは、前記バルーンが所定の充填体積まで膨張したときに第1の離散的な視覚信号を提供し、前記バルーン内の前記流体がもはや加圧下にないときに第2の離散的な視覚信号を提供し、それらの間の他の膨張状態では信号は提供しないように構成された予め付勢されたインジケータを含む。すなわち、予め付勢されたインジケータは、前記バルーンの2つの状態だけ、すなわち前記バルーンが充填体積にある状態と、前記バルーン内の前記流体がもはや加圧下にない状態とだけを示す信号を提供する。本発明では、前記第2の離散的な視覚信号によって、前記バルーンの体積が前記予備体積に達したことを知らせるようにした。前記予備体積は、前記バルーン内の前記流体がもはや加圧下にないかまたは前記所定の充填体積の下限付近にある場合の、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積に概ね相当する。概して言えば、前記所定の充填体積は、前記予備体積(すなわち、予備体積よりも少し大きい値)と大体同じ大きさないし、前記予備体積の約1.5倍の大きさ(すなわち、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積よりも約50%大きい)であることが望ましい。例えば、前記所定の充填体積は、前記予備体積よりも約1.01倍ないし約1.4倍大きい(すなわち、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積よりも約1%ないし約40%大きい)。別の例では、前記所定の充填体積は、前記予備体積よりも約1.05倍ないし約1.3倍大きい(すなわち、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積よりも約5%ないし約30%大きい)。
【0026】
定義
【0027】
本明細書中で用いられる以下の用語は、文脈上異なる意味が求められるかまたは異なる意味が示されない限りは特定の意味を有し、また、他に指定のない限りは単数形は複数形を一般的に含み、複数形は単数形を一般的に含む。
【0028】
本明細書中で用いられる「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」なる語及び「含む(comprise)」なる語根からの他の派生語は、任意の記載されている特徴、要素、整数、ステップまたは構成部品の存在を規定する非限定的な用語であることを意図しているが、1若しくは複数の他の特徴、要素、整数、ステップ、構成部品またはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。同様に、「含む(include)」、「含んでいる(including)」なる語及び「有する(has、have)、「有している(having)」なる語並びにそれらの派生語は「含む(comprise)」なる語として解釈されることが意図されており、任意の記載されている特徴、要素、整数、ステップまたは構成部品の存在を規定する非限定的な用語であることを意図しているが、1若しくは複数の他の特徴、要素、整数、ステップ、構成部品またはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。
【0029】
本明細書中で用いられる「流体連通」なる表現は、特定の目的のための、2つの位置間及び/または2つの構造体間の伝達路または通路を意味する。本実施例では、流体連通は、液体及び/または気体の通過を可能にする通路である。
【0030】
本明細書中で用いられる「結合」なる語は、これらに限定しないが、2つのものを、一体的または介在的に、係合、接続、締結、連結、結束、接着(接着剤により)、または結び付けることを含む。
【0031】
本明細書中で用いられる「構成する」または「構成」なる語及びそれらの派生語は、特定の用途または使用を目的として設計、構成、設定または形成することを意味する。例えば:起伏の多い地形向けに構成された軍用車両;システムのパラメータを設定することによって構成されたコンピュータ。
【0032】
本明細書中で用いられる「実質的」または「実質的に」なる語は、かなりの範囲または程度までなされた何か;相当なまたはかなりの量を指す。例えば、本明細書中において「実質的に」覆われるという文脈で用いられる「実質的に」は、或る物体が少なくとも70%覆われることを意味する。
【0033】
本明細書中で用いられる「整列する」、「整列された」及び/または「整列」なる語は、一直線上に存在する複数の物体の配置または位置が持つ空間特性を指す。本明細書中で同じ意味で用いられる「方向(幾何学的配置)」または「位置」なる語は、何かが置かれている場所または何かの置かれ方の空間特性を指す。例えば「時計の針の位置」。
【0034】
本明細書中で用いられる、数値の前につく「約」なる語は、その数値の±10パーセントの量を指す。
【0035】
本明細書中で用いられる「未膨張」なる用語は、カテーテルバルーンに関して用いる場合、大気圧またはバルーンの外側のすぐ周りを取り囲む圧力よりも大きい半径方向圧力がバルーン内面に加えられていないカテーテルバルーンを指す。非膨張カテーテルバルーンには、例えば、流体を収容していないカテーテルバルーンや、加圧下にないか、または大気圧若しくはバルーンの外側のすぐ周りを取り囲む圧力よりも低い加圧下の流体を収容しているカテーテルバルーンが含まれる。一方、「膨張」なる用語は、カテーテルバルーンに関して用いる場合、カテーテルバルーン内に収容された流体(例えば加圧された液体または気体)により加えられる圧力などの、大気圧またはバルーンの外側のすぐ周りを取り巻く圧力よりも大きい圧力がバルーン内面に加えられたカテーテルバルーンを指す。
【0036】
本明細書中で用いられる「所定の充填体積」なる用語は、カテーテルバルーンに関して使用する場合、非膨張状態からバルーン内の流体が最初に加圧下になる膨張状態への遷移時のバルーン体積である下限と、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積の約1.5倍(すなわち約50%大きい)以下の体積である上限とを有する範囲の体積を指す。例えば、所定の充填体積は、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積であり得、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積の約1.4倍(すなわち、約40%大きい)以下の体積を包含し得る。別の例では、所定の充填体積は、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積から、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積の約1.2倍(すなわち、約20%大きい)以下の体積までの範囲の体積であり得る。圧力を増加させるに従い連続的に膨張する従来の弾性バルーンは、所定の充填体積を持たないと見なされる。非膨張状態から膨張状態への遷移を有するように或る弾性バルーンを特徴付けることは可能かもしれないが、そのような遷移は、バルーン材料の伸張または連続的な膨張を開始するための最初の圧力導入時だけに生じる。
【0037】
これらの用語は、本明細書の残りの部分において、追加的な説明により定義され得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】例示的な従来技術の装置の斜視図である。
【図1B】例示的な従来技術の装置の斜視図である。
【図1C】一般的な従来技術の装置の特徴を示す図である。
【図1D】一般的な従来技術の装置の上面図である。
【図2A】インジケータを備えた例示的な経腸栄養カテーテルアセンブリの斜視図である。
【図2B】インジケータを備えた例示的な経腸栄養カテーテルアセンブリの細部の斜視図である。
【図3】インジケータを備えた例示的な経腸栄養カテーテルアセンブリの断面を示す側面図である。
【図4】インジケータを備えた例示的な経腸栄養カテーテルアセンブリの構成要素の細部断面を示す斜視図である。
【図5A】インジケータを備えた例示的な経腸栄養カテーテルアセンブリの構成要素の細部断面を示す斜視図である。
【図5B】インジケータを備えた例示的な経腸栄養カテーテルアセンブリの構成要素の細部断面を示す斜視図である。
【図6A】インジケータを備えた例示的な経腸栄養カテーテルアセンブリの細部を示す斜視図である。
【図6B】インジケータを備えた例示的な経腸栄養カテーテルアセンブリの細部を示す斜視図である。
【図7A】インジケータを備えた例示的な経腸栄養カテーテルアセンブリの特徴を示す図である。
【図7B】インジケータを備えた例示的な経腸栄養カテーテルアセンブリの特徴を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書で開示される本発明は、概して、経腸栄養を必要とする患者のための改良された医療ケアに関する。より詳細には、本明細書で開示される本発明は経腸栄養アセンブリに関する。本発明の経腸栄養アセンブリは、該アセンブリの少なくとも一部を体腔内に留置するための、かつ所定の充填体積を有する膨張可能バルーンと、前記バルーン内の圧力が所定の圧力値と異なることを示す離散的な信号を提供するように構成されたインジケータとを含む。また、本明細書で開示される本発明は、膨張可能バルーンを備えた医療デバイスにおいて使用するためのインジケータアセンブリを含む。本発明のインジケータアセンブリは、所定の充填体積を有する膨張可能バルーンと、前記バルーン内の圧力が所定の圧力値と異なることを示す離散的な信号を提供するように構成されたインジケータとを含む。
【0040】
以下、本発明の1以上の実施形態、本発明の実施例、添付図面に示されている例について詳細に説明する。各例及び実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の限定を意図するものではない。例えば、或る実施形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施形態と共に用いることにより、さらなる実施形態を生み出すことができる。本発明は、本発明の範囲及び精神に含まれる限り、このような及び他の変更形態及び変形形態を含むことを意図している。
【0041】
次に図面を参照すると、本発明は、図2A〜7Bに概略的に示されている。経腸栄養カテーテルアセンブリ20は、カテーテル26に設けられたバルーン24内の圧力が所定の圧力値と異なることを示す離散的な視覚信号を提供するように構成された予め付勢されたインジケータ22を含む。その代わりにあるいはそれに加えて、予め付勢されたインジケータ22は、バルーン24の体積が所定の体積から変化したことを示す離散的な視覚信号を提供するように構成され得る。例えば、予め付勢されたインジケータ22は、バルーン24の体積が所定の体積よりも小さいことを示す離散的な視覚信号を提供するように構成され得る。
【0042】
経腸栄養カテーテルアセンブリ20は、近位端28と、遠位端30と、カテーテルルーメン34を画定するカテーテル壁部32とを有するカテーテル26を含む。カテーテル26の近位端28に基部36が配置されている。基部36は、カテーテルルーメン34に通じる開口部40を画定する。基部36自体は、第1の端部42と第2の端部44とを有している。アセンブリ20は、カテーテル26の遠位端30に配置された膨張可能バルーン24を含む。膨張バルーン24は、所定の充填体積を有することを特徴とする。上述したように、所定の充填体積を有するこのような膨張バルーン24は、従来の弾性バルーンと容易に区別することができる。概して言えば、図2Bに概略的に示すようなしぼんだまたはしわくちゃの初期状態を有するバルーンを、図2Aに概略的に示すような、バルーンの形成材料のしわが伸ばされたかまたは前記材料が広げられた状態まで膨張させる間は、前記所定の充填体積は、バルーンの形成材料のしわが伸ばされ、前記材料が広げられ、かつ加圧下にあるが前記材料が伸張または膨張するまでには至らない状態に最初になるときの体積である下限と、該下限体積よりも最大で約50%大きい体積である上限とを有する範囲の体積である。言い換えれば、所定の充填体積は、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積である下限と、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積の約1.5倍(すなわち約50%大きい)以下の体積である上限とを有する範囲の体積である。バルーン内の流体の圧力が実質的にゼロとなる、この範囲の前記下限での体積を「予備体積(reserve volume)」と呼ぶ。
【0043】
アセンブリ20は、基部36に設けられた膨張バルブ46を含む。膨張バルブ46は、バルーン24に流体連通されている。このことは、カテーテル26の壁部32の一部によって画定され、かつバルーン24から膨張バルブ46まで延在する膨張ルーメン48により達成され得る。外部膨張ルーメンや他の構造も考えられる。膨張バルブ46は、基部36の第1の端部42に設けられることが望ましい。
【0044】
予め付勢されたインジケータ22は、基部36に設けられており、バルーン24に流体連通されている。本発明では、予め付勢されたインジケータ22は、バルーン24内の流体の圧力が所定の圧力値から変化したことを示す離散的な視覚信号を提供するように構成されている。その代わりにあるいはそれに加えて、予め付勢されたインジケータ22は、バルーン24の体積が所定の体積から変化したことを示す離散的な視覚信号を提供するように構成され得る。例えば、予め付勢されたインジケータ22は、バルーン24の体積が所定の体積よりも小さいことを示す離散的な視覚信号を提供するように構成され得る。
【0045】
インジケータ22は、基部36の第2の端部44に設けられ得る。インジケータ22を基部36の第1の端部42に、膨張バルブ46に対して平行な配置または他の配置で設けることも考えられる。予め付勢されたインジケータ22は、カテーテル26の壁部32の一部によって画定され、かつバルーン24からインジケータ22まで延在するインジケータルーメン50を介して、バルーン24に流体連通され得る。その代わりにあるいはそれに加えて、予め付勢されたインジケータは、カテーテルの壁部の一部によって画定され、かつバルーンから膨張バルブ及びインジケータまで延在する膨張ルーメンを介して、バルーンに流体連通され得る。
【0046】
図4を参照すると、経腸栄養カテーテルアセンブリ20の例示的な予め付勢されたインジケータ22の分解断面図が示されている。予め付勢されたインジケータ22は、ハウジング52を含む。ハウジング52は、1つの部品として形成され得る。あるいは、図4に示すように、ハウジング52は、複数の部品から構成され得る。例えば、ハウジング52は、レンズ部54とキャップ部56とから形成され得る。概して言えば、ハウジング52は、第1のハウジング端部58と、第2のハウジング端部60と、内部チャンネル64を画定する1以上の壁部62と、軸方向長さ「A」とを有する。ハウジング52の第1のハウジング端部58は、膨張可能バルーン24に流体連通されている。ハウジング52の少なくとも一部が透明または半透明であることが望ましい。例えば、レンズ部54は透明または半透明であり得る。
【0047】
予め付勢されたインジケータ22は、ハウジング52の内部チャンネル64内に配置されるフレキシブルなスリーブ66をさらに含む。フレキシブルなスリーブ66は、第1の面68と、その反対側の第2の面70と、ハウジング52の内部チャンネル52内に位置される第1のスリーブ端部72と、ハウジング52と係合して流体不透性シールを形成する第2のスリーブ端部74と、第1のスリーブ端部72及び第2のスリーブ端部74を互いに連結するフレキシブルな略環状部分76とを有する。
【0048】
本発明では、フレキシブルなスリーブ66のフレキシブルな略環状部分76により、第1のスリーブ端部72と第2のスリーブ端部74との間に介在する環状折り返し部(rolling annular fold)78が画定される。環状折り返し部78は、フレキシブルなスリーブ66の第1の面68の少なくとも一部が1以上のハウジング壁部62に概ね隣接し、フレキシブルなスリーブ66の第2の面70の少なくとも一部がスリーブキャビティ80を画定するように構成されている。概して言えば、環状折り返し部78は、スリーブ66の第1のスリーブ端部72がハウジング52の軸方向長さ「A」に沿って移動するに従って移動すなわち変位する。すなわち、フレキシブルなスリーブ66の第1のスリーブ端部72が軸方向「A」に沿って変位すると、それに伴い、フレキシブルなスリーブ66の第2の面70の一部が環状折り返し部78において外側にめくり返り、第2の面70が1以上のハウジング壁部62と直接的に隣接するようになる。
【0049】
また、予め付勢されたインジケータ22は、スリーブキャビティ80内に少なくとも部分的に配置され、かつ第1のハウジング端部58と第2のハウジング端部60との間に位置する付勢要素82を含む。付勢要素82は、フレキシブルなスリーブ66を第1の軸方向位置から少なくとも第2の軸方向位置まで移動させるように、所定の圧力または力で変形するように構成されている。前記圧力または力は、フレキシブルなスリーブ66の第1のスリーブ端部72に対して加えられる。第1のスリーブ端部72は、インジケータルーメン(または、構造によっては膨張ルーメン)を介して、膨張可能バルーンに流体連通されている。フレキシブルなスリーブの変位の詳細は、図5A及び図5Bの断面図に示されている。
【0050】
図5Aは、フレキシブルなスリーブ66の断面図であり、変形前の付勢要素82が、フレキシブル環状部分76により画定されたスリーブキャビティ80内に少なくとも部分的に配置されていることを示している。この状態のとき、フレキシブルなスリーブ66の第1のスリーブ端部72は、第1の軸方向位置「P」に位置している。フレキシブルなスリーブ66の第2のスリーブ端部74は、環状折り返し部78の近くに位置しており、かつ第1のスリーブ端部72から比較的離れている。
【0051】
図5Bは、フレキシブルなスリーブ72の断面図であり、変形後の付勢要素82が、フレキシブル環状部分76により画定されたスリーブキャビティ80内に少なくとも部分的に配置されていることを示している。この状態のとき、フレキシブルなスリーブ66の第1のスリーブ端部72は、第2の軸方向位置「D」に位置している。フレキシブルなスリーブ66の第2のスリーブ端部74は、環状折り返し部78から比較的離れており、かつスリーブ66の第1のスリーブ端部72の比較的近くに位置している。
【0052】
経腸栄養アセンブリの通常の使用中は、ユーザは注射器を使用して滅菌水または他の適切な液体(場合によっては空気)を注入し、膨張バルブを介してバルーンへ充填する。予め付勢されたインジケータ22の付勢要素82は、インジケータルーメン(構成によっては膨張ルーメン)を介してバルーンから伝達されてフレキシブルなスリーブ66の第1のスリーブ端部72に対して加えられた力(すなわち流体圧力)に起因して変形する。前記流体圧力は、非膨張状態からバルーン内の流体の圧力が(一般的には線形の圧力−体積関係で)増加する時点である膨張状態への遷移時に、バルーンの圧力が付勢要素の変形を生じさせる所定の圧力値に達するまでバルーンを「予備体積」を超えて充填することにより生成される。前記所定の圧力値は、所定の充填体積に対応している。前記所定の充填体積は、非膨張状態からバルーン内の流体が最初に加圧下になる膨張状態への遷移時のバルーン体積である下限と、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積の約1.5倍(すなわち50%大きい)以下の体積である上限とを有する範囲の体積である。
【0053】
付勢要素82が変形すると、フレキシブルなスリーブが第1の軸方向位置「P」から第2の軸方向位置「D」へ変位する。第1の軸方向位置から第2の軸方向位置へのこの変位の結果は、図6A及び図6Bの斜視図に示されている。図6Aは、予め付勢されたインジケータ22を備えた経腸栄養カテーテルアセンブリ20を示す。この図では、付勢要素82は、膨張可能バルーン(図6Aでは図示せず)の内部の圧力に起因して変形しているため、フレキシブルなスリーブ66は、予め付勢されたインジケータ22において視認することができない。より詳細には、フレキシブルなスリーブ66は、図5Bに概略的に示すように第2の軸方向位置Dに位置している。キャップ部56、フレキシブルなスリーブ66及び付勢要素82は、フレキシブルなスリーブ66が第2の軸方向位置Dに位置したときに、不透明であるキャップ部56越しに視認することができないような大きさに構成されることが望ましい。フレキシブルなスリーブが、容易に視認することができない位置である第2の軸方向位置Dへ変位すると、バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値と異なる(すなわち大きい)ことを示す非常に単純かつ信頼できる表示がユーザへ提供される。その代わりにあるいはそれに加えて、フレキシブルなスリーブが、容易に視認することができない位置である第2の軸方向位置Dへ変位すると、バルーンの体積が所定の充填体積よりも大きいことを示す非常に単純かつ信頼できる表示がユーザへ提供される。フレキシブルなスリーブ66は不透過性であり、ハウジング52と係合してシールを形成するので、フレキシブルなスリーブのフレキシブルな環状部分76によって画定されたスリーブキャビティ80内の気圧を維持するためのベント手段96が、ハウジング60の第2のハウジング端部60に設けられる。ベント手段96は、孔、複数の孔、スリット、複数のスリット、高多孔質スポンジ状領域などであり得る。ベント手段96は、フレキシブル環状部分76がハウジング52の内部チャンネル64内に位置しているときに、フレキシブルなスリーブ66の第2の面70によって画定されたスリーブキャビティ80への空気の出入りを可能にする。ベント手段96を通じての空気の出入りは、フレキシブルなスリーブの軸方向の変位に応答してなされる。
【0054】
本発明の一態様では、フレキシブルなスリーブ66は、フレキシブルなスリーブ66の第1のスリーブ端部72に形成されたソケット94に適合するように構成されたプラグ92に連結されたプレート90を含み得る。プレート90及びそれに関連するプラグ92及びソケット94は、バルーンに流体連通されており付勢要素に伝達された圧力を受けることができるフレキシブルなスリーブ66の第1のスリーブ端部72に対して寸法安定性を提供するために使用される。また、プレート90は、ハウジング52の第2のハウジング端部60(例えば、2ピースのハウジングを用いる場合はキャップ部56)の形成材料と同じ色を有するように構成され得る。このようにすると、付勢要素82が変形してフレキシブルなスリーブ66が第2の軸方向位置Dにきたときに、フレキシブルなスリーブ66の第1のスリーブ端部72の形成材料はプレート90の真下に隠され、かつハウジング52の第2のハウジング端部60に色が溶け込むため、ユーザは前記形成材料を容易に視認することができない。したがって、ユーザは、フレキシブルなスリーブ66の形成材料の色の視覚的存在に基づいてスリーブの位置を誤解することがない。
【0055】
図6Bを参照すると、予め付勢されたインジケータ22を備えた経腸栄養カテーテルアセンブリ20の別の状態が図示されている。この図では、予め付勢されたインジケータ22の付勢要素82は、膨張可能バルーン(図6Bでは図示せず)の内部の圧力に起因して変形していない。この状態のときは、フレキシブルなスリーブ66はハウジング52越しに視認することができ、単純で分かりやすい信号を提供する。より詳細には、フレキシブルなスリーブ66は、図5Aに概略的に示すような第1の軸方向位置Pに位置している。ハウジング52がレンズ部54及びキャップ部56などの2以上の部品から構成される場合、これらの部品、フレキシブルなスリーブ66及び付勢要素は、バルーン内の流体の圧力が所定値を下回り、付勢要素82が伸張し、フレキシブルなスリーブ66の第1のスリーブ端部72が内部チャンネル64に沿ってハウジング52の第1の端部58へ戻ったときに、フレキシブルなスリーブ66を望ましくは透明または半透明であるレンズ部54越しに視認することができるような大きさに構成される。言い換えれば、バルーン内の流体の圧力が付勢要素の所定の圧力値を下回ったとき、付勢要素はフレキシブルなスリーブを、ユーザがフレキシブルなスリーブを視認することによりバルーンの圧力が所定値を下回ったことを示す信号を容易に理解することができる位置である第1の軸方向位置Pまで押し戻す。フレキシブルなスリーブ66が、容易に視認することができる第1の軸方向位置Pへ変位すると、バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値と異なる(すなわち、低い)ことを示す非常に単純かつ信頼できる表示がユーザへ提供される。その代わりにあるいはそれに加えて、フレキシブルなスリーブ66が、容易に視認することができる第1の軸方向位置Pへ変位すると、バルーンの体積が所定の充填体積以下または未満であることを示す非常に単純かつ信頼できる表示がユーザへ提供される。
【0056】
フレキシブルなスリーブ66は、柔軟でフレキシブルな材料から作製することが望ましい。例示的な材料には、これらに限定しないが、ポリウレタン、シリコン、または他の弾性材料が含まれる。形状記憶を有する材料が望ましい。適切な材料には、これらに限定しないが、「柔軟な」若しくはエラストマー性の医療グレードのシリコンポリマー、または「柔軟な」若しくはエラストマー性の医療グレードのポリウレタンポリマーが含まれる。「柔軟な」ポリマーは、約20ないし約60、より望ましくは約30ないし約50のショアA硬さを有し得る。軟性プラスチックのショア硬さ試験は、最も一般的には、ショアAまたはショアDスケールを用いるショア(デュロメータ)試験によって測定される。ショアAスケールは「より柔らかい」ゴムに使用され、ショアDスケールは「より硬い」ものに用いられる。ショアA硬さは、ゴムや軟性プラスチックなどの弾性材料の相対硬さであり、ショアAデュロメータと呼ばれる器具により測定することができる。圧子がサンプルを完全に穿通したら測定値0が得られ、圧子がサンプルを完全に穿通しなかったら測定値100が得られる。この測定値は無次元である。
【0057】
ショア硬さは、デュロメータとして知られている器具によって測定され、デュロメータ硬さと呼ばれることもある。硬さの値は、サンプルに突き刺したデュロメータ圧子の穿通度合により求められる。ゴム及びプラスチックは復元力を有しているので、硬さの測定値は経時的に変化し得る。そのため、硬さの数値の他に、押し込み時間が報告されることもある。ASTM試験番号はASTM D2240であり、類似のISO試験方法はISO868である。
【0058】
フレキシブルなスリーブ66は、該スリーブの形成材料に着けられた色または色素を有し得る。その代わりにあるいはそれに加えて、フレキシブルなスリーブは、スリーブの外面または内面に形成された色のコーティングまたは層を有し得る。例えば、フレキシブルなスリーブは、容易に視認することができ、かつ分かりやすい、一般的に鮮やかな蛍光色を含むかまたは鮮やかな蛍光色でコーティングされる。このような色の例には、これらに限定しないが、黄色、オレンジ、青、緑、赤、紫、及びそれらの色の様々な強度及び組み合わせが含まれる。
【0059】
本発明の一実施形態では、フレキシブルなスリーブ66は、スリーブの第2の面70において見える第1の色(例えば緑)と、スリーブの第1の面68において見える第2の色(例えば赤)とを有し得る。フレキシブルスリーブ66が第2の軸方向位置Dに位置したときに、環状折り返し部78においてフレキシブルなスリーブ66が外側にめくり返って第2の面70の色(例えば緑)が主に見え、第1の面68の色(例えば赤)が少しだけ見えるかまたは全く見えないように、ハウジング52は透明に構成され得る。このように、フレキシブルなスリーブが、第2の面70の色(例えば緑)が主に見え、第1の面68の色(例えば赤)が少しだけ見えるかまたは全く見えない第2の軸方向位置Dへ変位すると、バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値と異なる(すなわち大きい)ことを示す非常に単純かつ信頼できる表示がユーザへ提供される。その代わりにあるいはそれに加えて、フレキシブルなスリーブが、第2の面70の色(例えば緑)が主に見え、第1の面68の色(例えば赤)が少しだけ見えるかまたは全く見えない第2の軸方向位置Dへ変位すると、バルーンの体積が所定の充填体積よりも大きいことを示す非常に単純かつ信頼できる表示がユーザへ提供される。
【0060】
このような実施形態では、フレキシブルなスリーブが第1の軸方向位置Pに位置したときに、環状折り返し部78においてフレキシブルなスリーブ66が外側にめくり返って第2の面70の色(例えば緑)は少しだけ見えるかまたは全く見えず、第1の面68の色(例えば赤)が主に見えるように、ハウジング52は透明に構成され得る。このように、フレキシブルなスリーブが、第2の面70の色(例えば緑)が少しだけ見えるかまたは全く見えず、第1の面68の色(例えば赤)が主に見える第1の軸方向位置Pへ変位すると、バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値と異なる(すなわち低い)ことを示す非常に単純かつ信頼できる表示がユーザへ提供される。その代わりにあるいはそれに加えて、フレキシブルなスリーブが、第2の面70の色(例えば緑)が少しだけ見えるかまたは全く見えず、第1の面68の色(例えば赤)が主に見える第1の軸方向位置Pへ変位すると、バルーンの体積が所定の充填体積以下または未満であることを示す非常に単純かつ信頼できる表示がユーザへ提供される。
【0061】
本発明の一態様によれば、フレキシブルなスリーブ66、及び予め付勢されたインジケータ22の他の部品は、経腸栄養アセンブリ20のヘッド部36に適切に適合するような大きさに構成され得る。例えば、フレキシブルなスリーブ66は、第1のスリーブ端部72からハウジング52の第2のハウジング端部60へ向かって環状折り返し部78の最遠部まで延びる長さを有することができ、その長さは約6mmないし約12mmであり得る。別の例では、インジケータのスリーブ66は、第1のスリーブ端部72から環状折り返し部78の最遠部まで延びる長さを有し、その長さは約7mmないし約11mmであり得る。さらなる別の例では、インジケータのスリーブ66は、第1のスリーブ端部72から環状折り返し部78の最遠部まで延びる長さを有し、その長さは約8mmないし約10mmであり得る。
【0062】
フレキシブルなスリーブの直径は、約2mmないし約10mmであり得る。例えば、フレキシブルなスリーブの直径は、約3mmないし約9mmであり得る。別の例では、フレキシブルなスリーブの直径は、約4mmないし約6mmであり得る。直径は円形断面という意味を含むが、他の断面形状も考えられる。例えば、フレキシブルなスリーブは、環状折り返し部(非円形形状の場合は環状様の折り返し部)の変位を妨げない断面形状である限りは、楕円形の断面、卵形の断面、六角形の断面、八角形の断面などを有し得る。本発明の目的のために、折り返し部がフレキシブルなスリーブを外側にめくり返り、上述したように機能することができる限りは、環状折り返し部なる用語は非円形形状に基づく環状様の折り返し部を包含する。
【0063】
本発明の一態様では、フレキシブルなスリーブの直径は均一である必要はない。例えば、フレキシブルなスリーブの直径は、直径の変化が環状折り返し部78の機能を妨げない限りは、フレキシブルなスリーブの第1のスリーブ端部72ではより小さく、環状の折り返し部78により近いフレキシブルなスリーブの第2のスリーブ端部74に近づくに従って大きくなるようにしてもよい。スリーブ及び環状折り返し部の機能を妨げない限りは、フレキシブルなスリーブにおける他の非均一性も考えられる。
【0064】
フレキシブルなスリーブは、約3mmないし約10mm変位するように構成され得る。すなわち、フレキシブルなスリーブの第1のスリーブ端部72が第1の軸方向位置Pから第2の軸方向位置Dまで変位する距離は、約3mmないし約10mmであり得る。距離が長くなるほど、フレキシブルなスリーブの視認性が向上し、信号がより目立つようになる。距離をより短くすると、さらによりコンパクトな予め付勢されたインジケータを提供することができる。例えば、フレキシブルなスリーブの第1のスリーブ端部72が第1の軸方向位置Pから第2の軸方向位置Dまで変位する距離は、約4mmないし約7mmであり得る。別の例では、フレキシブルなスリーブの第1のスリーブ端部72が第1の軸方向位置Pから第2の軸方向位置Dまで変位する距離は、約4mmないし約5mmであり得る。
【0065】
付勢要素82は、例えばコイル圧縮ばねなどのばねであることが望ましい。他の弾性構造体を付勢要素として使用することも考えられる。そのようなものには、フレキシブルな弾性発泡体、金属片、渦巻若しくはぜんまいばね、円錐ばねなどが含まれる。円錐ばねの説明は、例えば、「円錐圧縮ばね」に関する米国特許第4,111,407号に見ることができる。概して言えば、付勢要素82は、直線的に変位することができ、かつ非常に小さい範囲の圧力で容易に変形してバルーン内の流体の圧力がばねの所定の圧力と異なることを示す非常に離散的な信号を提供するように設定されたばね定数を有すると特徴付けられたコイル圧縮ばねであることが望ましい。
【0066】
付勢要素は、フレキシブルなスリーブが第2の軸方向位置Dまたはそれを少し越えた位置に達したときに、完全に圧縮すなわち密着圧縮(solid compression)(コイルの衝突、または他の弾性構造体における同様の性質についてのあらゆる可能性を含む)することができるような大きさに構成することが望ましい。付勢要素は、フレキシブルなスリーブが第2の軸方向位置Dに達しハウジング52の第2の端部60において視認することができなくなるようにフレキシブルなスリーブを十分に圧縮させることができるまで密着圧縮すなわち完全圧縮することができ、かつフレキシブルなスリーブが第2の軸方向位置Dを超えて変位するのを制限するフレキシブルなスリーブ66のための支持柱を形成することができるような大きさに構成することが望ましい。この特徴は、フレキシブルなスリーブが、第2のハウジング端部60に至るまで延び、スリーブ全体が外側にめくり返るかまたは裏返しになり、環状折り返し部78が消滅することを防止する役割を果たす。環状折り返し部78が消滅すると、裏返しになったフレキシブルなスリーブは、環状折り返し部78を復元または再構成するの妨げるのに十分な抵抗を付勢要素に対して提供するので、インジケータが正確に機能することや、バルーン内の流体の圧力が付勢要素の所定の圧力値よりも低くなることに応答してフレキシブルなスリーブ66が第1の軸方向位置Pに戻ることができなくなる。環状折り返し部78を維持することができる構造を設けることにより、付勢要素によって、第1の軸方向位置Pと第2の軸方向位置Dとの間で両方向に容易に変位することが可能になるので、バルーン内の流体の圧力が付勢要素の所定の圧力値から逸脱した場合にフレキシブルなスリーブが容易に応答することが可能となる。
【0067】
本発明の一態様では、付勢要素は、離散的な視覚信号を生成するフレキシブルなスリーブの軸方向位置の変位が、バルーン内の流体の比較的小さい圧力変化に応じて生じるように構成されることが望ましい。例えば、フレキシブルなスリーブの軸方向位置の変位を生じさせる圧力変化は、約1.7キロパスカルないし約5.2キロパスカル(約0.25重量ポンド毎平方インチないし約0.75重量ポンド毎平方インチ)であり得る。別の例では、フレキシブルなスリーブの軸方向位置の変位を生じさせる圧力変化は、約2.8キロパスカルないし約4.1キロパスカル(約0.4重量ポンド毎平方インチないし約0.6重量ポンド毎平方インチ)であり得る。さらなる別の例では、フレキシブルなスリーブの軸方向位置の変位を生じさせる圧力の変化は、約3.5キロパスカル(約0.5重量ポンド毎平方インチ)であり得る。このような圧力変化は相対圧力の変化であり、周囲大気または大気圧力に対する圧力変化を意味する。
【0068】
付勢要素のばね定数は線形ばね定数であり、重量ポンド毎線形インチ(重量ポンド(lbs)/インチ)なる用語で表されることが望ましい。すなわち、ばね定数は、ばねを1インチ変形(すなわち、圧縮または伸張)させるのに必要とされる、重量ポンドで表される負荷である。例えば、ばね定数が40重量ポンド/インチの場合、そのばねを0.25インチ変形(すなわち、圧縮または伸張)させるためには10重量ポンドが必要とされ、そのばねを2インチ変形(すなわち、圧縮または伸張)させるためには80重量ポンドが必要となる。1重量ポンド/インチは、約1.8ニュートン/cmである。
【0069】
本発明では、ばね定数は、約0.1ニュートン/cmないし約1.8ニュートン/cm(約0.4ニュートン/インチないし約4.5ニュートン/cm、または、約0.1重量ポンド/インチないし約0.1重量ポンド/インチ)であり得る。ばね定数は、約0.234ニュートン/cmないし約1.08ニュートン/cm(約0.13重量ポンド/インチないし約0.60重量ポンド/インチ)の範囲であることが望ましい。ばね定数は、約0.36ニュートン/cmないし約0.81ニュートン/cm(約0.2重量ポンド/インチないし約0.45重量ポンド/インチ)の範囲であることがより望ましい。ばね定数は、約0.45ニュートン/cmないし約0.63ニュートン/cm(約0.25重量ポンド/インチないし約0.35重量ポンド/インチ)の範囲であることがさらに望ましい。例えば、ばね定数は、約0.54ニュートン/cm(約0.3重量ポンド/インチ)であり得る。
【0070】
概して言えば、フレキシブルなスリーブ66は、ばね定数に有意に干渉することがないような十分な柔軟性を有する必要がある。例えば、フレキシブルなスリーブはフレキシブルな略環状部分を有することができ、該部分の壁部の厚さは、約5ミルないし約30ミル(すなわち、約127マイクロメートルないし約760マイクロメートル、または、約0.005ないし約0.03インチ)であり得る。別の例では、前記壁部の厚さは、約10ミルないし約20ミル(すなわち、約250マイクロメートルないし約510マイクロメートル)であり得る。さらなる別の例では、前記壁部の厚さは、約15ミルないし約20ミル(すなわち、約380マイクロメートルないし約510マイクロメートル)であり得る。この厚さは、適切な標準試験方法に従って、例えば、Mitutoyo Litematic Digimatic Measuring Unitなどのデシタル接触デバイスを用いて、従来の技術により測定することができる。本発明の一態様では、2つの部品の組み合わせ体を変形させるための所定の複合圧力を提供するために、フレキシブルなスリーブの厚さが付勢要素の変形に対する抵抗を有意に補完するように選択されることも考えられる。
【0071】
本発明の重要な特徴は、膨張可能バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値と異なることを示す離散的な視覚信号を提供できることである。概して言えば、このことは、バルーン内の流体の圧力に対して十分な変位(例えば、ハウジングの軸方向に沿った直線的な変位)及び応答性(例えば、低いばね定数)を提供するように選択された付勢要素を有することにより達成される。前記付勢要素は、非常に小さい範囲の圧力変化に応じて急速に変形し、バルーン内の流体の圧力が前記付勢要素の所定の圧力と異なること及び/またはバルーンの体積が所定の充填体積と異なることを示す離散的な個別の信号を提供するように構成される。このような離散的な視覚信号は、「バイナリ」信号と特徴付けられ得る。すなわち、バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値よりも大きい(または等しい)ときは予め付勢されたインジケータから或る信号が出力され、バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値よりも小さいときは予め付勢されたインジケータから別の信号が出力される。その代わりにあるいはそれに加えて、バルーンの体積が所定の充填体積よりも大きいかまたは前記充填体積と等しいときは予め付勢されたインジケータから或る信号が出力され、バルーンの体積が所定の充填体積よりも小さいときは予め付勢されたインジケータから別の信号が出力される。この応答は、パイロットバルーン、ベローズ、及び/または、バルーン内の流体の圧力の変化の連続的な測定値または表示を提供する他のインジケータの相対的及び連続的な膨張に比べて、より容易に解釈することができる。
【0072】
このような単純かつ解釈が容易なインジケータは、バルーン内の流体の圧力が所定の閾値圧力を超えるかまたは下回ったときにインジケータ表示または信号が変化するように構成されているので、「予め付勢された(pre-biased)」と呼ぶ。この構造は、所定の充填体積を有する膨張可能バルーンの使用により可能となる。概して言えば、所定の充填体積は、非膨張状態からバルーン内の流体が最初に加圧下になる膨張状態への遷移時のバルーン体積である下限と、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積の約1.5倍(すなわち50%大きい)以下の体積である上限とを有する範囲の体積である。
【0073】
このようなバルーンは、加える圧力を次第に大きくしたときに、弛緩状態または未伸張状態から未膨張時の元の寸法の10倍さらには20倍以上まで連続的に伸張または膨張し、3〜5ミリリットルの充填体積及び約8〜10ミリリットルの最大充填体積に達することができる材料から作製された従来の弾性バルーンとは著しく異なる。多くの場合、このような従来の弾性バルーンは、バルーン材料が弾性伸張するので、過剰充填に対する抵抗を提供するための圧力を大幅に高めることなく過剰充填され、より大きな体積に達する。未膨張時にも或る形状及び体積を有する弾性バルーンを作製することは可能であるが、そのような弾性バルーンは体積が大きくなり瘻孔などの開口部を通過させるのが困難になるため、ほとんどの医療デバイスにおいて、特に経腸栄養カテーテル用の固定バルーンとしてはほとんどあるいは全く実用性がない。
【0074】
上述したように、従来の「柔軟な」若しくはエラストマー性の医療グレードシリコンから作製された弾性固定用バルーンの膨張時の圧力と体積との間の例示的な関係が図1Cに示されている。図示のように、このような例示的な従来の固定用バルーンを1ミリリットルの体積まで連続的に伸張させるのにさえ、ゼロまたはごくわずかな圧力から約4ないし7重量ポンド毎平方インチ(約28ないし48キロパスカル)への急激な圧力変化が必要とされる。そして、このような従来の「柔軟な」若しくはエラストマー性の医療グレードシリコン製のバルーンを約3ミリリットルまで連続的に伸張させるためには、約5ないし10重量ポンド毎平方インチ(約34ないし69キロパスカル)の圧力が必要とされる。弾性材料の性質やバルーン壁部の厚さを変更することによって、このような従来の弾性バルーンの膨張または伸張特性に対して何らかの改変を加えることは可能であるが、その場合でも図1Cに示した圧力と体積との関係が概ね存在する。このような圧力と体積との関係は、非線形と特徴付けられることに注意されたい。
【0075】
このような従来の「柔軟な」若しくはエラストマー性のバルーンの別の重要な特徴は、バルーン材料をその未伸張時の元の寸法の10倍さらには20倍まで伸張させるのに使用されるエネルギーが、伸張したエラストマー性材料に残留または蓄えられることである。伸張したバルーン材料は、バルーンの寸法をその未伸長時の元の寸法まで実質的にまたは完全に戻そうとする復元力または回復力を発揮する。したがって、もし、バルーンまたはバルーンシステムの別の部分において、流体の漏出を可能にする漏れ口または破損個所が存在する場合、バルーンを引き出すときにバルーン材料により生成された圧力がバルーン内の流体に対して加えられることによって、バルーンが非常に素早く空になる傾向がある。
【0076】
本発明は、上記で定義した「所定の充填体積」を有する膨張可能バルーンの使用を採用する。このようなバルーンは、未膨張時の元の寸法の10倍さらには20倍以上まで伸張させるために圧力を連続的に増加させる必要があり圧力除去後に未膨張時の元の寸法に実質的にまたは完全に戻る従来の弾性バルーンとは異なり、バルーンの形成材料を有意に伸張または膨張させることなく初期の虚脱状態または非膨張状態から所定の体積まで膨張可能である。所定の充填体積は、非膨張状態からバルーン内の流体が最初に加圧下となる膨張状態への遷移時のバルーン体積である下限と、非膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーン体積の約1.5倍(すなわち約50%大きい)以下の体積である上限とを有する範囲のバルーン体積である。図1Cに示すように、従来の弾性バルーンには、非膨張状態から膨張状態への遷移は存在しない。仮にそのような遷移が存在するとしても、それはバルーン材料の伸張または連続的な膨張を開始させるための最初の圧力導入時にのみ生じ、そのときのバルーン体積はバルーンの最終的な膨張体積をはるかに下回ることになるであろう。
【0077】
言い換えれば、所定の充填体積を有する膨張可能バルーンは、本質的に、比較的一定の大きさ(すなわち一定の体積)を有する不透過性でフレキシブルなバッグまたは容器である。バルーン(すなわちバッグ)が空の場合、バルーンは本質的に虚脱状態にあり、その一定の大きさまで流体を充填することが可能である。充填は、経腸栄養アセンブリの膨張バルブを介してバルーン内へ流体を導入することにより達成される。バルーン内へ導入された流体の量が増加するに従い、バルーンは、虚脱状態から、一般的にバルーンの製造中にモールド成形、ブロー成形、キャスト成形または同様のプロセスで成形されたバルーンの特定の膨張外形に概ね対応する膨張状態へ変化する。バルーン形成材料は一定のすなわち所定の大きさに達するために伸張または膨張しないので、バルーンを広げるために膨張ルーメンを介して液体を導入するため以外は、バルーンに充填するための圧力は実質的に必要としない。バルーンの「予備体積」は、バルーン内の流体が加圧下になる前に、バルーンの非膨張状態から膨張状態への遷移時に見ることができる。バルーン内の流体の圧力は、バルーンが予備体積を超えて充填されたときに増加する。バルーン内の流体の圧力の増加は、バルーンの体積の増加に対して実質的に線形の関係を有する。
【0078】
所定の充填体積を有する膨張可能バルーンは、様々な材料を使用して作製することができる。そのような材料には、これらに限定しないが、ポリウレタン(PU)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、またはポリエチレンテレフタレート(PETP)が含まれる。加えて、材料の性質を改変するためのコポリマー混合物も使用することができ、例えば、低密度ポリエチレンとエチレン酢酸ビニルの共重合体(LDPE−EVA)または上記の材料の混合物(例えば、PUとPVCの混合物やPUとPAとの混合物)が、所定の充填体積を有する膨張可能バルーンを作製するのに適切であると考えられる。バルーンの中央領域で測定して約5ないし100マイクロメートルの薄い壁部を有する膨張可能固定用バルーンを作製可能な性質を有する限り、他の材料も適切であり得る。この厚さは、適切な標準的な試験方法に従って、例えばMitutoyo Litematic Digimatic Measuring Unitなどのデジタル接触装置を使用して、従来の技術により測定することができる。バルーンは、望ましくは約5ないし50マイクロメートル、より望ましくは約5ないし25マイクロメートルの範囲の薄い壁部を有する。適切な材料は、身体開口部をすべり抜けることができる程度までは弾性的に変形しない薄い壁部を有する膨張可能な固定用バルーンに加工することができる性質を持つべきである。対照的に、従来のシリコンバルーンは、約250マイクロメートルまたはそれ以上の壁厚を有している。
【0079】
図7A及び7Bは、所定の充填体積を有するバルーンにおける、バルーン体積と、バルーン内の流体の圧力との間の例示的な関係を示す図である。これらの図は、前記バルーンの非膨張状態と膨張状態との間の遷移を示している。
【0080】
図7Aは、約2ミリリットルの所定の充填体積を有するバルーンの5つのサンプルについての、圧力と体積との間の関係を示している。図7Aに示すように、バルーンをその所定の充填体積まで充填する間は、圧力プロファイルは実質的に無視できる。若干の圧力が生じるが、それは、虚脱したバルーンを広げるために膨張ルーメンを通じて流体を供給するために必要とされる駆動力に起因するものである。バルーン体積が約1.5ミリリットルを若干超えたとき(すなわち、約1.6ないし約1.7ミリリットル)に生じる非膨張状態から膨張状態への遷移時からは、圧力は直線的に増加し始める。
【0081】
図7Bは、約5ミリリットルの所定の充填圧力を有するバルーンの7つのサンプルについての、圧力と体積との間の関係を示している。図7Bに示すように、バルーンをその所定の充填体積まで充填する間は、圧力プロファイルは実質的に無視できる。若干の圧力が生じるが、それは、虚脱したバルーンを広げるために膨張ルーメンを通じて流体を供給すために必要とされる駆動力に起因するものである。バルーン体積が約3.5ミリリットルを若干超えたとき(すなわち、約3.6ないし約3.7ミリリットル)に生じる非膨張状態から膨張状態への遷移時からは、圧力は直線的に増加し始める。
【0082】
図7A及び図7Bに概略的に示したような圧力と体積との間の関係が所定の充填体積を有するバルーンにおいて存在するので、予め付勢されたインジケータの変形圧力は、加える圧力を増加させながら連続的に膨張させる必要がある従来の弾性バルーンにおいて可能となるであろう値よりもはるかに小さく設定され得る。予め付勢されたインジケータは、非膨張状態から膨張状態への遷移時において始まる圧力変化に応答する。バルーンの所定の充填体積に対応する所定の圧力値は、非膨張状態から膨張状態への遷移時の体積に対応する圧力に設定されるか、または、前記遷移時の体積よりも最大で約50%大きい体積に対応する圧力に設定される。バルーンの充填中、予め付勢されたインジケータは、所定の充填体積に到達したことを示す離散的な視覚信号を提供する。バルーンの充填後、予め付勢されたインジケータは、バルーンの圧力または体積が失われ、漏出が生じているおそれがあることを示す離散的な視覚信号を提供する。上述した所定の充填体積を有するバルーンを使用することの利点は、バルーンまたはバルーンシステムの別の部分において、流体の漏出を可能にする漏れ口または破損個所が存在する場合でも、伸張状態を元の未伸張状態へ復元するためのエネルギーが蓄えられる従来の弾性バルーンとは異なり、バルーンがその所定の充填体積において未伸張または未膨張であるため、流体のさらなる漏出を引き起こすバルーンから加えられる圧力または力が非常に小さいかまたはゼロであることである。
【0083】
本発明の一態様は、医療機器、特に、身体の外側に配置されるヘッド部と、体腔内に配置するための膨張可能な固定用バルーンとを有する医療機器において使用するためのインジケータアセンブリを包含する。インジケータアセンブリは、所定の充填体積を有する膨張可能な薄壁バルーンを含む。本発明の一態様では、例えばポリウレタンなどの材料から作製された薄壁バルーンは、該バルーン内に液体または場合によっては気体などの流体を収容していないときは該バルーンをアンカーとして機能させるのに十分な剛性を有していない。概して言えば、前記薄壁バルーンは、約100マイクロメートル以下の厚さの薄壁を有するバルーンに相当する。前記薄壁バルーンは、約50マイクロメートル以下の壁厚を有することが望ましい。前記薄壁バルーンは、望ましくは約6ないし約50マイクロメートル、より望ましくは約5ないし約25マイクロメートル、さらに望ましくは約5ないし約15マイクロメートルの壁厚を有する。
【0084】
バルーンは、所定の充填体積までの膨張時は加圧下の流体を収容し、膨張後に流体がもはや加圧下にない場合は予備体積の流体を収容するように構成される。予備体積は前記所定の充填体積よりも小さく、バルーンが非膨張状態から膨張状態へ遷移するときにバルーン内に保持される液体の体積である。この関係または特徴は、上述したように図7A及び図7Bに示されている。所定の充填体積まで膨張させるときの流体圧力は比較的低い圧力であり、例えば、4重量ポンド毎平方インチ(28キロパスカル)以下であることが望ましい。例えば、所定の充填体積まで膨張させるときの流体圧力は、約1ないし約3.5重量ポンド毎平方インチ(psi)(約7ないし25キロパスカル)であり得る。別の例では、所定の充填体積に膨張させるときの流体の圧力は、約2ないし約3重量ポンド毎平方インチ(psi)(約14ないし21キロパスカル)であり得る。
【0085】
また、本発明のインジケータアセンブリは、バルーンがその所定の充填体積まで膨張したときに第1の離散的な信号を提供し、バルーン内の流体がもはや加圧下にないときに第2の離散的な信号を提供し、それらの間の他の膨張状態では信号は提供しないように構成されたインジケータを含む。すなわち、前記インジケータは、バルーンの2つの状態、つまり、所定の充填体積にある状態とバルーン内の流体がもはや加圧下にない状態とについての信号だけを提供する。例示的なインジケータの概略的な構造は上述した通りであり、例えば図2〜4、5A、5B、6A、6Bに示されている。
【0086】
本発明では、第2の離散的な視覚信号は、バルーン体積が予備体積に達したことを知らせる。本発明のバルーンは、バルーンが加圧下にない場合でも所定の体積の流体を保持するように構成されているので(バルーンの壁部またはバルーンと医療デバイスとの間の接続が壊れない限り)、ユーザはバルーンによる医療デバイスの固定が即座に解除されることを心配することなく、バルーンを再膨張させたり医療デバイスを交換したりするための時間を持つことができる。
【0087】
概して言えば、所定の充填体積は、予備体積よりも約1.01倍ないし1.5倍大きい(すなわち、未膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーンの体積よりも約1%ないし約50%大きい)ことが望ましい。例えば、所定の充填体積は、予備体積よりも約1.05倍ないし1.4倍大きい(すなわち、未膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーンの体積よりも約5%ないし約40%大きい)。別の例では、所定の充填体積は、予備体積よりも約1.1倍ないし1.3倍大きい(すなわち、未膨張状態から膨張状態への遷移時のバルーンの体積よりも、約10%ないし約30%大きい)。
【0088】
以上、本発明について特定の好適な実施形態に関連して説明してきたが、本発明に包含される主題はこれらの特定の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。それどころか、本発明の主題には、本発明の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる限りは、全ての代替形態、変更形態及び等価形態が含まれることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経腸栄養カテーテルアセンブリであって、
近位端、遠位端及び、カテーテルルーメンを画定するカテーテル壁部を有するカテーテルと、
前記カテーテルの前記近位端に配置され、前記カテーテルルーメンに通じる開口部を画定し、かつ第1の端部及び第2の端部を有する基部と、
前記カテーテルの前記遠位端に配置され、所定の充填体積を有する膨張可能バルーンと、
前記基部に設けられ、前記カテーテル壁部により画定された膨張ルーメンを介して前記バルーンに流体連通された膨張バルブと、
前記基部に設けられ、前記バルーンに流体連通され、かつ前記バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値と異なるかまたは前記バルーンの体積が前記所定の充填体積と異なることを示す離散的な視覚信号を提供するように構成された予め付勢されたインジケータとを含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の経腸栄養カテーテルアセンブリであって、
前記予め付勢されたインジケータが、
前記膨張可能バルーンに流体連通された第1のハウジング端部、第2のハウジング端部、内部チャンネルを画定する1以上のハウジング壁部及び、軸方向長さを有し、少なくとも一部が透明または半透明に構成されたハウジングと、
前記ハウジングの前記内部チャンネル内に配置され、かつ第1の面、その反対側の第2の面、前記ハウジングの前記内部チャンネル内において前記ハウジングの前記第1のハウジング端部の近傍に位置し、かつ前記膨張可能バルーンに流体連通された第1のスリーブ端部、前記ハウジングに密閉的に係合する第2のスリーブ端部、前記第1及び第2のスリーブ端部を互いに連結するフレキシブルな略環状部分及び、前記フレキシブルな略環状部分により画定され、前記第1の面の少なくとも一部が前記1以上のハウジング壁部に概ね隣接し、かつ前記第2の面の少なくとも一部がスリーブキャビティを画定するように前記第1及び第2のスリーブ端部の間に介在する環状折り返し部を有するフレキシブルなスリーブと、
前記スリーブキャビティ内に少なくとも部分的に配置され、前記ハウジングの前記第1及び第2のハウジング端部間に位置し、かつ前記バルーン内の流体の前記圧力が所定の圧力値と異なるかまたは前記バルーンの体積が前記所定の充填体積と異なることを示す離散的な視覚信号を提供すべく前記フレキシブルなスリーブの前記第1のスリーブ端部を第1の軸方向位置から少なくとも第2の軸方向位置へ変位させるために、前記所定の圧力で変形するように構成された付勢要素とを含み、
前記フレキシブルなスリーブが軸方向に変位すると、それに伴い、前記環状折り返し部において前記フレキシブルなスリーブの前記第2の面の一部が外側にめくり返り、該第2の面が前記1以上のハウジング壁部に直接的に隣接するように構成したことを特徴とするアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載の経腸栄養カテーテルアセンブリであって、
前記膨張バルブが前記基部の前記第1の端部に設けられ、前記インジケータが前記基部の前記第2の端部に設けられたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載の経腸栄養カテーテルアセンブリであって、
前記カテーテルにより膨張ルーメンを画定し、該膨張ルーメンを介して前記バルーンを前記膨張バルブ及び前記インジケータに流体連通させるようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の経腸栄養カテーテルアセンブリであって、
前記カテーテルによりインジケータルーメンを画定し、該インジケータルーメンを介して前記バルーンを前記インジケータに流体連通させるようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載の経腸栄養カテーテルアセンブリであって、
前記予め付勢されたインジケータが、前記バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値と異なるかまたは前記バルーンの体積が前記所定の充填体積と異なることを示す離散的な視覚信号を提供するように構成したことを特徴とするアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載の経腸栄養カテーテルアセンブリであって、
前記予め付勢されたインジケータが、前記バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値よりも大きいかまたは前記バルーンの体積が前記所定の充填体積よりも大きいことを示す離散的な視覚信号を提供するように構成したことを特徴とするアセンブリ。
【請求項8】
バルーンカテーテルデバイスであって、
近位端、遠位端及び、カテーテルルーメンを画定するカテーテル壁部を有するカテーテルと、
前記カテーテルの前記近位端に配置され、前記カテーテルルーメンに通じる開口部を画定する基部と、
前記カテーテルの遠位端に配置され、所定の充填体積を有し、かつ加圧下の流体を収容するように構成された膨張可能バルーンと、
前記基部に設けられ、前記バルーンに流体連通された膨張バルブと、
前記バルーンに流体連通され、かつ前記バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値と異なるかまたは前記バルーンの体積が前記所定の充填体積と異なることを示す離散的な視覚信号を提供するように構成された予め付勢されたインジケータとを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のデバイスであって、
予め付勢されたインジケータが、
軸方向長さを有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたフレキシブルなスリーブと、
前記フレキシブルなスリーブに流体連通されており、前記フレキシブルなスリーブを前記ハウジングの前記軸方向長さに沿って第1の軸方向位置から第2の軸方向位置へ変位させるように、所定の圧力で変形するように構成された付勢要素とを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項8に記載のデバイスであって、
前記予め付勢されたインジケータが、前記カテーテルの前記近位端に配置された基部に設けられたことを特徴とするデバイス。
【請求項11】
請求項9に記載のデバイスであって、
前記フレキシブルなスリーブの前記第1の軸方向位置により、前記バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値よりも小さいかまたは前記バルーンの体積が前記所定の充填体積よりも小さいことを示す離散的な視覚信号が提供されるようにしたことを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項9に記載のデバイスであって、
前記フレキシブルなスリーブの前記第2の軸方向位置により、前記バルーン内の流体の圧力が所定の圧力値よりも大きいかまたは前記バルーンの体積が前記所定の充填体積よりも大きいことを示す離散的な視覚信号が提供されるようにしたことを特徴とするデバイス。
【請求項13】
請求項9に記載のデバイスであって、
前記フレキシブルなスリーブが前記第1の軸方向位置に位置する間は、前記フレキシブルなスリーブを前記ハウジングの少なくとも一部越しに視認することができるように構成したことを特徴とするデバイス。
【請求項14】
請求項8に記載のデバイスであって、
前記カテーテルにより膨張ルーメンを画定し、該膨張ルーメンを介して前記バルーンを前記膨張バルブ及び前記インジケータに流体連通させるようにしたことを特徴とするデバイス。
【請求項15】
請求項8に記載のデバイスであって、
前記カテーテルによりインジケータルーメンを画定し、該インジケータルーメンを介して前記バルーンを前記インジケータに流体連通させるようにしたことを特徴とするデバイス。
【請求項16】
人体の外側に配置されるヘッド部及び、人体の体腔内に留置するための膨張式固定用バルーンを有する医療機器において使用するためのインジケータアセンブリであって、
所定の充填体積を有し、前記所定の充填体積まで膨張させるときに加圧下の流体を収容し、かつ、膨張後、前記流体がもはや加圧下にないときに前記所定の充填体積よりも小さい体積である予備体積の流体を収容するように構成された膨張式の薄壁バルーンと、
前記バルーンが前記所定の充填体積まで膨張したときに第1の離散的な視覚信号を提供し、前記バルーン内の前記流体がもはや加圧下にないときに第2の視覚信号を提供し、それらの間の他の膨張状態では信号は提供しないように構成されたインジケータとを含み、
前記第2の離散的な視覚信号によって、前記バルーンの体積が前記予備体積に達したことを知らせるようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項17】
請求項16に記載のインジケータアセンブリであって、
前記所定の充填体積が、前記予備体積よりも約1.01倍ないし約1.5倍大きい体積であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項18】
請求項16に記載のインジケータアセンブリであって、
前記所定の充填体積が、前記予備体積よりも約1.05倍ないし約1.4倍大きい体積であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項19】
請求項16に記載のインジケータアセンブリであって、
前記所定の充填体積が、前記予備体積よりも約1.1倍ないし約1.3倍大きい体積であることを特徴とするアセンブリ。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate


【公表番号】特表2013−515541(P2013−515541A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545484(P2012−545484)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055341
【国際公開番号】WO2011/077286
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】