説明

インジブリンに関する薬学的組成物

ある実施形態において、発明は、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩、例えばインジブリンの薬学的処方物に関する。このような処方物の製造方法ならびにこれらの処方物を用いた処置方法も記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引照)
本出願は、米国特許仮出願第61/239,254号(2009年9月2日出願)(この記載内容は参照により全部本明細書中で援用される)の利益を主張する。
【0002】
有糸分裂中、細胞のDNAは複製され、次いで、2つの新しい細胞中に分けられる。新規に複製された染色体を2つの形成中の細胞に分離するプロセスは、微小管で構築される紡錘糸を包含し、これらはそれ自体、チューブリンと呼ばれるより小さいタンパク質サブユニットの長鎖により形成される。紡錘微小管は複製染色体に付着し、分裂中の細胞の各側面に一コピーを引っ張る。これらの微小管なくしては、細胞分裂はなし得ない。
【背景技術】
【0003】
したがって、微小管は、全ての細胞中に存在し、有糸分裂、界面および細胞維持機能(例えば、細胞内輸送、細胞形状の発達および維持、細胞運動性、ならびにおそらくは細胞膜上の分子の分布)に必要であるため、抗癌化学療法薬の最も重要な細胞成分標的の1つである。チューブリンと相互作用する化合物は、チューブリン沈降および隔離を引き起こし、それにより、微小管クラスの細胞成分細胞小器官によって決まる多数の重要な生物学的機能を遮断することにより、細胞周期を妨害し得る。したがって、このような化合物は、潜在的に、種々の器官に由来する腫瘍細胞株の増殖を抑制し得る(例えば、Bacher et al. (2001) Pure Appl. Chem. 73: 9, 1459-1464およびRowinsky & Donehower (1991) Pharmac. Ther. 52: 35-84参照)。
【0004】
チューブリンと結合する一連の合成分子は、現在、前臨床または早期臨床段階で評価されている。それらの1つが、以下の構造を有する合成化合物インジブリンである:
【0005】
【化1】

【0006】
インジブリンは、in vitroおよびin vivoで有意の抗腫瘍活性を有する合成小分子チューブリン阻害剤である。それは、腫瘍細胞中で、ならびに無細胞系で、微小管を不安定化する。インジブリンの結合部位は、十分に特性化された微小管不安定化剤ビンクリスチンまたはコルヒチンのチューブリン結合部位と重複するようには見えない。さらに、当該分子は、中期での細胞周期進行を選択的に遮断する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
親水性溶媒中でのインジブリンの溶解性は不十分である。例えば、それは、水、メタノール、エタノールまたは2−プロパノール中で実際に不溶性である。これらの特性のため、純インジブリンの生物学的利用能は低い。改善された生物学的利用能を示すインジブリンに関する薬学的処方物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施形態において、方法は、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩の薬学的処方物に関する。
【0009】
ある実施形態では、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩は、一般式(I)の構造を有する:
【0010】
【化2】

【0011】
式中、Rは、水素;(C〜C)−アルキル(ここで、アルキル基は、任意に、フェニル環(これは任意に、ハロゲン、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−シクロアルキル、カルボキシル、C〜Cアルカノールでエステル化されるカルボキシル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、ベンジルオキシまたはベンジル基(これは、フェニル部分上で、(C〜C)−アルキル基、ハロゲンまたはトリフルオロメチルで一置換または多置換されていてもよい)で一置換または多置換されていてもよい)で一置換または多置換されていてもよい);ベンジルオキシカルボニル;第三級ブトキシカルボニル;およびアセチルから選択され;
は、フェニル環(これは、任意に、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ベンジルオキシ、ニトロ、アミノ、(C〜C)−アルキルアミノ、(C〜C)−アルコキシカルボニルアミノ、カルボキシルで、またはC〜C−アルカノールでエステル化されるカルボキシルにより一置換または多置換されていてもよい);式(II):
【0012】
【化3】

【0013】
のピリジン構造またはそのN−酸化物(ここで、ピリジン構造は、代替的には、環炭素原子2、3または4と結合され、そして任意に、置換基RおよびR(ここで、RおよびRは同一であるかまたは異なり、そして(C〜C)−アルキル、(C〜C)−シクロアルキル、(C〜C)−アルコキシ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、トリフルオロメチル、エトキシカルボニルアミノおよびカルボキシアルキルオキシ(ここで、アルキル基は1〜4個のC原子を含む)から選択される)で置換されていてもよい);2−または4−ピリミジニル(ここで、2−ピリミジニル環は、任意に、メチル基で一置換または多置換されていてもよい);2−、3−、4−または8−キノリル(これは、任意に、(C〜C)−アルキル、ハロゲン、ニトロ、アミノまたは(C〜C)−アルキルアミノで置換されていてもよい);2−、3−または4−キノリルメチル基(ここで、キノリルおよびキノリルメチルのピリジルメチルラジカルの環炭素は、任意に、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ニトロ、アミノまたは(C〜C)−アルコキシカルボニルアミノで置換されていてもよい);ならびにアリルアミノカルボニル−2−メチルプロプ−1−イルから選択され;
【0014】
は、Rが水素、メチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、tert−−ブトキシカルボニルまたはアセチルである場合、さらに、−CHCOOH;−CH(CH)−COOH;−(CH−CH−(CH−COO−;HC−HC−CH(CH)−CH(COOH)−;HO−HC−CH(COOH)−;フェニル−CH−CH(COOH)−;(4−イミダゾリル)−CH−CH−(COOH)−;HN=(NH)−NH−(CH−CH(COOH)−;HN−(CH−CH(COOH)−;HN−CO−CH−CH−(COOH)−;およびHOOC−(CH−CH(COOH)−から選択され;
【0015】
は、Rが水素、ベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、アセチルまたはベンジルである場合、天然または非天然アミノ酸(例えば、α−グリシル、α−サルコシル、α−セリル、α−フェニルアラニル、α−ヒスチジル、α−プロリル、α−アルギニル、α−リシル、α−アスパラギルまたはα−グルタミル)の酸ラジカルであり得る(この場合、それぞれのアミノ酸のアミノ基は保護されてもよく、保護されなくてもよく、適切な保護基としては、ベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルまたはアセチルが挙げられるがこれらに限定されない)し、そしてRがアスパラギルまたはグルタミルである場合、第二の非結合カルボキシル基は、遊離カルボキシル基として、またはC〜C−アルカノールのエステルの形態で(例えば、メチル、エチルとして、またはtert−ブチルエステルとして)存在し;
【0016】
RおよびRは、それらが結合される窒素原子と一緒になって、式(III)のピペラジン環、またはホモピペラジン環(但し、Rはアミノアルキレン基である)を形成し:
【0017】
【化4】

【0018】
式中、Rは、アルキル;フェニル(任意に、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノで、または(C〜C)−アルキルアミノにより一置換または多置換されていてもよい);ベンズヒドリルおよびビス−p−フルオロベンズヒドリルから選択される。
【0019】
は、水素;(C〜C)−アルキル(ここで、アルキル基は、任意に、ハロゲン、フェニル(この場合、フェニルは、任意に、ハロゲン、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−シクロアルキル、カルボキシル、C〜Cアルカノールでエステル化されるカルボキシル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシまたはベンジルオキシで一置換または多置換されていてもよい)、2−キノリル(任意に、ハロゲン、(C〜C)−アルキルまたは(C〜C)−アルコキシで一置換または多置換されていてもよい)、あるいは2−、3−または4−ピリジル(任意に、ハロゲン、(C〜C)−アルキルまたは(C〜C)−アルコキシで一置換または多置換されていてもよい)で一置換または多置換されていてもよい);アロイル(ここで、アリール部分のフェニル環は、任意に、ハロゲン、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−シクロアルキル、カルボキシル、C〜Cアルカノールでエステル化されるカルボキシル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシまたはベンジルオキシで一置換または多置換されていてもよい)から選択され;
【0020】
およびRは、同一であるかまたは異なり、そして水素、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−シクロアルキル、(C〜C)−アルカノイル、(C〜C)−アルコキシ、ハロゲン、ベンジルオキシ、ニトロ、アミノ、(C〜C)−モノまたはジアルキル置換したアミノ、(C〜C)−アルコキシカルボニルアミノおよび(C〜C)−アルコキシカルボニルアミノ−(C〜C)−アルキルから選択され;
Zは、OまたはSである。
【0021】
ある実施形態では、Rは、(C〜C)−アルキル(ここで、アルキル基は、任意に、ハロゲン、フェニル(この場合、フェニルは、任意に、ハロゲン、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−シクロアルキル、カルボキシル、C〜Cアルカノールでエステル化されるカルボキシル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシまたはベンジルオキシで一置換または多置換されていてもよい)、2−キノリル(任意に、ハロゲン、(C〜C)−アルキルまたは(C〜C)−アルコキシで一置換または多置換されていてもよい)、あるいは2−、3−または4−ピリジル(任意に、ハロゲン、(C〜C)−アルキルまたは(C〜C)−アルコキシで一置換または多置換されていてもよい)で一置換または多置換されていてもよい);アロイル(ここで、アリール部分は、任意に、ハロゲン、(C〜C)−アルキル、(C〜C)−シクロアルキル、カルボキシル、C〜Cアルカノールでエステル化されるカルボキシル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシまたはベンジルオキシで一置換または多置換されていてもよい)から選択される。
【0022】
ある実施形態では、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体は、N−置換インドール−3−グリオキシルアミドまたはその製薬上許容可能な塩である。ある実施形態では、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体はインジブリンである。
【0023】
本発明の一態様は、250〜1250ミクロンの範囲のD90粒子サイズを有する粒子(インジブリンまたは別のインドリル−3−グリオキシル酸を含有)、賦形剤、乳化剤、崩壊剤、希釈剤および滑剤を、インジブリンまたは他のインドリル−3−グリオキシル酸に関して約1:1〜1:3の重量比で含む固体経口剤形であって、賦形剤、乳化剤、崩壊剤、希釈剤および滑剤のうちの任意の2つ以上が単一成分であり得る固体経口剤形に関する。ある実施形態では、D90粒子サイズは、500〜1000ミクロンの範囲である。ある実施形態では、固体経口剤形は、単一経口投与量単位当たり50〜400mgのインジブリンまたは別のインドリル−3−グリオキシル酸を含む。
【0024】
固体経口剤形のある実施形態では、粒子は、約1:1〜3:1の範囲の、好ましくは約1.5:1〜2:1の範囲の賦形剤、乳化剤、崩壊剤、希釈剤および滑剤(合計して)対インジブリンまたは別のインドリル−3−グリオキシル酸の重量比を有する。
【0025】
固体経口剤形のある実施形態では、粒子は、約1:3〜1:6の範囲の、好ましくは約1.4〜1:5の範囲の賦形剤対希釈剤の重量比を有する。
【0026】
固体経口剤形のある実施形態では、粒子は、約29:1〜40:1の範囲の、好ましくは約25:1〜35:1の範囲の、好ましくは約30:1の乳化剤、希釈剤および滑剤(合計して)対崩壊剤重量比を有する。
【0027】
このような処方物の製造方法も記載される。例えば一実施形態では、本発明は、インジブリンまたは別のインドリル−3−グリオキシル酸の固体剤形の製造方法であって、以下の:
a)インジブリンまたは別のインドリル−3−グリオキシル酸を、熱溶融条件下で、賦形剤および乳化剤、崩壊剤および希釈剤と混ぜ合わせて粒状体を生成すること;
b)ステップaの粒状体を、1つ以上の滑剤と、任意に崩壊剤と混ぜ合わせて、粒子を形成すること;そして
c)ステップbの粒子を固体経口剤形に処方すること
を包含する方法を提供する。
【0028】
ある実施形態では、当該方法は、250〜1250ミクロンの範囲のD90粒子サイズを有する粒子(インジブリンまたは別のインドリル−3−グリオキシル酸を含有)、賦形剤、乳化剤、崩壊剤、希釈剤および滑剤を、インジブリンまたは他のインドリル−3−グリオキシル酸に関して約1:1〜1:3の重量比で含む固体経口剤形であって、賦形剤、乳化剤、崩壊剤、希釈剤および滑剤のうちの任意の2つ以上が単一成分であり得る固体経口剤形を生成するために用いられ得る。ある実施形態では、D90粒子サイズは、500〜1000ミクロンの範囲である。ある実施形態では、固体経口剤形は、単一経口投与量単位当たり50〜400mgのインジブリンまたは別のインドリル−3−グリオキシル酸を含む。
【0029】
固体経口剤形のある実施形態では、粒子は、約1:1〜3:1の範囲の、好ましくは約1.5:1〜2:1の範囲の賦形剤、乳化剤、崩壊剤、希釈剤および滑剤(合計して)対インジブリンまたは別のインドリル−3−グリオキシル酸の重量比を有する。
【0030】
固体経口剤形のある実施形態では、粒子は、約1:3〜1:6の範囲の、好ましくは約1.4〜1:5の範囲の賦形剤対希釈剤の重量比を有する。
【0031】
固体経口剤形のある実施形態では、粒子は、約29:1〜40:1の範囲の、好ましくは約25:1〜35:1の範囲の、好ましくは約30:1の乳化剤、希釈剤および滑剤(合計して)対崩壊剤重量比を有する。
【0032】
本発明の別の態様は、喘息またはアレルギーの処置のための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0033】
本発明の別の態様は、対象者における免疫学的応答の回帰を抑圧するかまたは誘導するための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0034】
本発明の別の態様は、腫瘍または腫瘍塊を処置するための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0035】
本発明の別の態様は、白血病、前立腺癌、卵巣癌、表皮癌およびダニング腫瘍から選択される新生物性疾患を処置するための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0036】
本発明の別の態様は、抗腫瘍薬耐性腫瘍、転移の発症および伝播を含む、転移性癌、血管新生阻害薬に感受性の腫瘍、または抗腫瘍薬耐性で且つ血管新生阻害薬に感受性である腫瘍を処置するための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0037】
本発明の別の態様は、多薬剤耐性腫瘍増殖を抑制するかまたは転移を抑制するための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0038】
本発明の別の態様は、種々の過増殖性障害、悪性腫瘍および新生物(例えば固形腫瘍)を、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物で処置する方法に関する。このような過増殖性障害、悪性腫瘍および新生物としては、腹部、骨、乳房、消化系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、上皮小体、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭および首部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、柔組織、脾臓、胸郭および尿生殖器系の癌が挙げられるが、これらに限定されない。他の過増殖性障害としては、限定されないが、高ガンマグロブリン血症、リンパ球増殖性障害、パラプロテイン血症、紫斑病、サルコイドーシス、セザリー症候群、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、ゴーシェ病、組織球症が挙げられ、ならびに上記の器官系に認められる任意の他の過増殖性疾患が、新生物に加えて挙げられる。
【0039】
本発明の別の態様は、子宮頸癌、結腸癌、脳癌、肝臓癌、白血病、アデノイド嚢胞状癌、腎細胞癌、癌腫、肉腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、膵臓癌、膨大部周囲癌、ニューロン小胞体腫瘍、骨肉腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、外陰部癌、神経膠芽細胞腫および肺癌から選択される癌を処置するための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
I. インドリル−3−グリオキシル酸誘導体の処方物
【0041】
ある実施形態では、本発明は、治療的有効量の1つ以上のインドリル−3−グリオキシル酸誘導体、例えばインジブリンを含む、対象者への投与のための薬学的処方物、特に経口剤形に関する。処方物は、経口投与されるべきピル、錠剤、カプセル、粉末の形態であり得る。ある実施形態では、処方物は、経口投与のためのカプセルの形態である。
【0042】
ある実施形態では、処方物は、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体、例えばインジブリンのほかに、例えばそれとともに投与されるほかに、賦形剤、乳化剤/可溶化剤、崩壊剤、希釈剤および滑剤を含む。処方物は、さらに、1つ以上の付加的希釈剤、崩壊剤または滑剤、ならびに付加的担体を含み得る。
【0043】
ある実施形態では、経口剤形は、約1mg〜約500mgのインドリル−3−グリオキシル酸誘導体、例えばインジブリンを含む。ある種のこのような実施形態では、経口剤形は、約50mg〜約400mg、または約75mg〜約300mgのインドリル−3−グリオキシル酸誘導体、例えばインジブリンを含み得る。ある実施形態では、処方物は、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mgのインドリル−3−グリオキシル酸誘導体、例えばインジブリンを含み、または約300mgさえも含む。
【0044】
ある実施形態では、賦形剤は、ビタミンE TPGS(D−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)、ソルトール(例えば、ソルトールHS15)、クレモフォア(例えば、クレモフォアRH40)、およびポリオキシグリセリド(例えば、ラウロイルまたはステアロイルポリオキシグリセリド)のうちの任意の1つ以上から選択され得る。
【0045】
ある好ましい実施形態では、賦形剤は、モノ、ジおよびトリグリセリド、ならびにポリエチレングリコール(PEG)のモノおよびジエステルで構成されるポリエチレングリコールグリセリド(ポリオキシルグリセリドとしても既知)であり、飽和ポリグリコール化グリセリドを含む。
【0046】
いくつかの好ましい実施形態では、賦形剤はゲルシレである。ゲルシレ組成物は、天然油とポリエチレングリコール(PEG)とのアルコール分解反応により調製されるポリグリコール化グリセリドである。長鎖(C12〜C18)脂肪酸のグリセリドのモノエステル、ジエステルおよび/またはトリエステル、ならびに長鎖(C12〜C18)脂肪酸のPEG(モノ−および/またはジ−)エステルの混合物であり、そして遊離PEGを含み得る。ゲルシレ組成物は、一般的に、グリセロールの脂肪酸エステルおよびPEGエステルとして、あるいはポリグリコール化グリセリドとして、本明細書中で記載される。ゲルシレは、事実上表面活性であり、水性媒質中に分散するかまたは溶解して、ミセル、顕微鏡的小球または小胞を形成する。それらは、それらの融点/HLB値により確認される。融点は、摂氏度数で表され、HLB(親水性−親油性バランス)は0から約20までに及ぶ数的尺度である。HLB値が低いほどより親油性および疎水性物質であることを意味し、その値が高いほどより親水性および疎油性物質であることを意味する。水に関する、または油性物質に関する化合物の親和性が決定され、そのHLB値が実験的に割り当てられる。異なる等級のゲルシレ賦形剤の1つまたは混合物が選択されて、融点および/またはHLB値の所望の特質を達成し得る。本発明で用いるための好ましいゲルシレとしては、ゲルシレ(登録商標)44/14、53/10、50/13、42/12および35/10(Gaftefosse company)、さらに好ましくはゲルシレ50/13またはゲルシレ44/14、特にゲルシレ50/13(例えばCAS Resistry Number; 121548-05-8に列挙されている)が挙げられる。
【0047】
ある実施形態では、処方物は、賦形剤、例えばゲルシレ50/13を、約5%〜約15%、約6%〜約14%、約7%〜約13%、約8%〜約12%、さらには約9%〜約11%から選択される量(処方物の重量に基づいて)で含む。ある実施形態では、処方物は、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%の、または約15%でさえある賦形剤、例えばゲルシレ50/13から選択される量で含む。
【0048】
ある実施形態では、乳化剤は、ソルビトールおよび/または無水ソルビトールと縮合された脂肪酸エステルおよび/または部分エステルの混合物である。ある実施形態では、脂肪酸は、不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸およびパルミチン酸であり得るし、あるいは飽和脂肪酸、例えばステアリン酸およびラウリン酸であり得る。ある好ましい実施形態では、乳化剤は、ポリソルベート、例えばポリソルベート80、ポリソルベート65、ポリソルベート60、ポリソルベート40またはポリソルベート20であり、好ましくはポリソルベート80である(CAS Registry Number 9005-65-6に列挙されている)。他の実施形態では、乳化剤は、非修飾化(すなわち、非ペグ化(non-PEG-ylated))ソルビタンと脂肪酸、例えばスパン80、スパン65、スパン60、スパン40またはスパン20とのエステルである。
【0049】
ある実施形態では、乳化剤は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60またはポリソルベート80)、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338またはポロキサマー407)、クレモフォア(例えば、クレモフォアEL)、およびポリアルキレングリコールから選択され得る。ある実施形態では、処方物は、乳化剤、例えばポリソルベート80を、約1%〜約10%、約2%〜約9%、約3%〜約8%、約4%〜約7%、あるいはさらに約5%〜6%から選択される量(処方物の重量に基づいて)で含む。ある実施形態では、処方物は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、またはさらに約10%の乳化剤、例えばポリソルベート80から選択される量で含む。
【0050】
処方物の滑剤は、タルク、コロイド二酸化ケイ素のようなシリカ型滑剤(例えば、アエロシル、Cab−O−Silまたはシロイド)、デンプン、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム(重)、酸化マグネシウム(重)、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール4000および/または6000、安息香酸ナトリウム、軽油、硬化植物油、ステアリン酸およびグリセリルベヘネートのうちのいずれか1つ以上から選択され得る。好ましくは、滑剤は、不活性疎水性滑剤を含む。
【0051】
ある実施形態では、滑剤は、シリカ、例えばコロイド二酸化ケイ素、微粉末化二酸化ケイ素またはアルミノケイ酸ナトリウム(例えば、合成非晶質アルミノケイ酸ナトリウム)である。ある実施形態では、滑剤は、ヒュームドシリカ、例えばコロイド二酸化ケイ素Cab−O−Sil(商標)である。
【0052】
ある実施形態では、滑剤は、長鎖脂肪酸エステル、例えば、フマル酸ステアリルナトリウムである。他の例示的脂肪酸エステルとしては、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイルフマル酸ナトリウムおよびステアロイル乳酸カルシウムが、単なる例として挙げられる。
【0053】
ある実施形態では、滑剤は、脂肪酸の、好ましくは長鎖(すなわち、C10〜C24)不飽和脂肪酸の塩であり、好ましくは、金属塩である。例えば、滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、または他の飽和脂肪酸、例えばC10〜C24脂肪酸のマグネシウム塩であり得る。ある実施形態では、滑剤は、金属ステアリン酸塩(カルシウム、マグネシウムおよび亜鉛)である。
【0054】
さらに他の実施形態では、滑剤は、脂肪酸のグリセリド、例えばグリセリルベヘネートの混合物である。
【0055】
ある実施形態では、処方物は、滑剤、例えばシリカ(例えば、コロイド二酸化ケイ素、例えばCab−O−Sil)および長鎖脂肪酸エステル(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム)の組合せを含み得る。
【0056】
処方物が錠剤に圧縮されるある実施形態では、錠剤が、少なくとも5kg、さらに好ましくは少なくとも10kg、さらに好ましくは少なくとも15kgの硬度を有するよう、および/または錠剤が、少なくとも1.0MPa、さらに好ましくは少なくとも1.5MPa、さらに好ましくは少なくとも2.0MPaの引張り強さを有するよう、滑剤(単数または複数)は選択される。
【0057】
ある実施形態では、処方物は、滑剤(単数または複数)、例えばコロイド二酸化ケイ素(例えば、Cab−O−Sil)および/またはフマル酸ステアリルナトリウムを、約0.1%〜約1%、約0.2%〜約0.9%、約0.3%〜約0.8%、約0.4%〜約0.7%、またはさらに約0.5%〜約0.6%から選択される量(処方物の重量に基づいて)で含む。ある実施形態では、処方物は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%の、またはさらに約1%の滑剤、例えば二酸化ケイ素(例えば、Cab−O−Sil)および/またはフマル酸ステアリルナトリウムを含む。ある実施形態では、処方物は1つより多い滑剤、好ましくは2つの滑剤を含む。
【0058】
処方物の希釈剤は、例えば、ラクトース、微晶質セルロース(例えばアビセル)、マンニトール、カルシウムヒドロキシ−ジオキシド−オキソ−ホスホラン、デキストロース、グルコース、スクロース、デンプンおよび誘導体、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよび炭酸マグネシウムのうちの任意の1つ以上から選択され得る。
【0059】
ある実施形態では、希釈剤は、炭水化物、例えば糖または糖アルコール(例えば、ラクトース、α−ラクトース一水和物、スクロース、マンニトールまたはソルビトール)、あるいはセルロースポリマー、例えば微晶質セルロース、珪化微晶質セルロースまたは粉末化セルロースであり得る。ある実施形態では、希釈剤は微晶質セルロース(例えば、アビセルPH−101)である。
【0060】
ある実施形態では、処方物は、約25%〜約75%、約30%〜約70%、約35%〜約65%、約40%〜約60%の、またはさらに約45%〜約55%の希釈剤、例えば微晶質セルロース(例えば、アビセルPH−101)を含む。ある実施形態では、処方物は、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%の、またはさらに約75%の希釈剤、例えば微晶質セルロース(例えば、アビセルPH−101)を含む。
【0061】
処方物の崩壊剤は、例えば、デンプン、微晶質セルロース(例えばアビセル)、不溶性イオン交換樹脂、デンプングリコール酸ナトリウム(例えばエキスプロタブ)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えばクロスカルメロース、例えばAc−Di−Sol)、ゴム(例えば、寒天、グアーゴムおよびキサンタン)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびポビドン(例えばクロスポビドン、例えばクロスポビドンA型およびB型)のうちのいずれか1つ以上から選択され得る。
【0062】
ある実施形態では、崩壊剤は、デンプンのカルボキシメチルエーテルまたはその塩、例えばデンプングリコール酸ナトリウムである。
【0063】
ある実施形態では、崩壊剤は、炭水化物、例えば糖または糖アルコール(例えば、ラクトース、α−ラクトース一水和物、スクロース、マンニトールまたはソルビトール)、あるいはセルロースポリマー、例えば微晶質セルロース、珪化微晶質セルロースまたは粉末化セルロースであり得る。ある実施形態では、崩壊剤は微晶質セルロース(例えば、アビセルPH−101)である。
【0064】
ある実施形態では、処方物は、崩壊剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウムおよび微晶質セルロース(例えばアビセルPH−101)の組合せであり得る。
【0065】
ある実施形態では、処方物は、約0.1%〜約2%、約0.2%〜約1.8%、約0.4%〜約1.6%、約0.6%〜約1.4%、またはさらに約0.8%〜約1.2%の崩壊剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウムまたは微晶質セルロース(例えばアビセルPH−101)を含む。ある実施形態では、処方物は、約0.2%、約0.4%、約0.6%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.4%、約1.6%、約1.8%、またはさらに約2%の崩壊剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウムまたは微晶質セルロース(例えばアビセルPH−101)を含む。
【0066】
ある実施形態では、処方物は錠剤に圧縮され、その結果生じる錠剤が、37℃で酵素を用いずに人工胃液中で、錠剤の半分またはそれ以上が120分未満で、好ましくは90分未満、さらに好ましくは60分未満またはさらに30分未満で溶解する溶解率を有するよう、構成成分、特に崩壊剤(単数または複数)が選択される。
【0067】
処方物はさらに、1つ以上の付加的担体、例えば結合剤を3〜90%、および圧縮充填剤を98%までを含み得る。処方物は、さらに、二次希釈剤、二次崩壊剤および二次滑剤から選択される担体を含み得る。これらの処方物に関して有用な他の製薬上許容可能な担体は慣用的である。Remington’s Pharmaceutical Sciences, by E.W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, PA, 19th Edition (1995)は、本明細書中に開示された化合物の薬学的送達に適した処方物を記載する。
【0068】
ある実施形態では、処方物は、滑剤、希釈剤、乳化剤、賦形剤および崩壊剤のうちの2つ以上の機能を実施する、例えば滑剤および崩壊剤の両方として作用する構成成分を含む。例えば、処方物は、希釈剤および崩壊剤の両方として、微晶質セルロースを含み得る。ある実施形態では、処方物中に1つ以上の付加的希釈剤および/または崩壊剤が存在することもあり、および/または多作用性成分が、その機能がそれを実施するすべての成分の量と等しい量で存在する。ある実施形態では、処方物の単一構成成分は、希釈剤、滑剤および崩壊剤のうちの3つすべてとして作用し得る。ある実施形態では、滑剤、希釈剤および崩壊剤の各々は、互いと異なる化合物である。
【0069】
薬学的処方物は、1つ以上の付加的活性成分、例えば抗菌剤、抗炎症剤、麻酔剤等も含み得る。
【0070】
経口的に用いられ得る薬学的処方物としては、ゼラチン製の押し出し型の硬カプセル(push-fit capsule)(「ゲルキャップ」)、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトール製の密封軟カプセル(soft, sealed capsule)を包含する。押し出し型の硬カプセルは、担体と混合して活性成分を含有し得る。軟カプセルでは、活性化合物は適切な液体、例えば脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール(PEG)中に溶解されるかまたは懸濁され得る。さらに、安定剤が負荷され得る。
II. インドリル−3−グリオキシル酸誘導体の処方物に関する使用
【0071】
本発明の別の態様は、喘息またはアレルギーの処置のための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0072】
本発明の別の態様は、対象者における免疫学的応答の回帰を抑圧するかまたは誘導するための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0073】
本発明の別の態様は、腫瘍または腫瘍塊を処置するための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0074】
本発明の別の態様は、白血病、前立腺癌、卵巣癌、表皮癌およびダニング腫瘍から選択される新生物性疾患を処置するための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0075】
本発明の別の態様は、抗腫瘍薬耐性腫瘍、転移の発症および伝播を含む転移性癌、血管新生阻害薬に感受性の腫瘍、または抗腫瘍薬耐性で且つ血管新生阻害薬に感受性である腫瘍を処置するための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0076】
本発明の別の態様は、多薬剤耐性腫瘍増殖を抑制するかまたは転移を抑制するための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0077】
本発明の別の態様は、種々の過増殖性障害、悪性腫瘍および新生物(例えば固形腫瘍)を、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物で処置する方法に関する。このような過増殖性障害、悪性腫瘍および新生物としては、腹部、骨、乳房、消化系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、上皮小体、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭および首部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、柔組織、脾臓、胸郭および尿生殖器系の癌が挙げられるが、これらに限定されない。他の過増殖性障害としては、これらに限定されないが、高ガンマグロブリン血症、リンパ球増殖性障害、パラプロテイン血症、紫斑病、サルコイドーシス、セザリー症候群、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、ゴーシェ病、組織球症、ならびに上記の器官系に認められる任意の他の過増殖性疾患が、新生物に加えて挙げられる。
【0078】
本発明の別の態様は、子宮頸癌、結腸癌、脳癌、肝臓癌、白血病、アデノイド嚢胞状癌、腎細胞癌、癌腫、肉腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、膵臓癌、膨大部周囲癌、ニューロン小胞体腫瘍、骨肉腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、外陰部癌、神経膠芽細胞腫および肺癌から選択される癌を処置するための方法であって、インドリル−3−グリオキシル酸誘導体またはその製薬上許容可能な塩(例えばインジブリン)を含む薬学的処方物を投与することを包含する方法に関する。
【0079】
例証
実施例1 − 処方物
(処方物A)
ゲルシレ50/13(630g)を、ビーカー中で315gのポリソルベート80と併合して、撹拌しながら75℃に加熱した。ゲルシレ50/13のすべてが完全に溶融するまで撹拌を継続して、混合物を均質にした。次いで、インジブリン(2254.6g)、デンプングリコール酸ナトリウム(エキスプロタブ)(62.0g)および微晶質セルロース(アビセルpH−101)(2829.5g)を、25L造粒器ボウルに付加した。水再循環器を63℃に設定して、水を、被覆25Lボウルを通して再循環させた。次に、ボウルを閉じて、粉体床を135rpmのインペラ回転速度および1500rpmのチョッパー切断速度で混合した。粉体床温度が少なくとも58℃になるまで、混合を継続した。溶融ゲルシレ50/13およびポリソルベート80の混合物を、次に、310g/分の比率でポンプ注入して、3分後、インペラ回転速度を200rpmに増大した(溶融付加が完了した)。顆粒化を3分間、一塊にして、次いで、顆粒化を終結した(約6分間の総顆粒化時間)。顆粒状態をボウル中で24時間、またはそれが周囲温度に達するまで、冷却させた。コーミル(Comil)を用いて、顆粒状体を、1500rpmで1143μmスクリーンを通して粉砕して、その結果生じた物質を、粒子サイズ分布および密度に関して評価した。次に、粉砕生成物を、17Lステンレススチール混合容器に付加した。デンプングリコール酸ナトリウム(62.0g)、コロイド二酸化ケイ素(Cab−o−sil)(31.0g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV)(31.0g)を次に混合容器に付加して、容器の内容物を、均一になるまで約46rpmでタービュラ混合機で10分間混合した。次いで、全処方物が消費されるまでProfil装置を用いて、サイズ00淡青色ゼラチンコニ・スナップカプセルを充填した。次に、自動除塵機を用いて、カプセルを除塵した。
【0080】
(処方物B)
ゲルシレ50/13(630g)を、ビーカー中で315gのポリソルベート80と併合して、撹拌しながら60℃に加熱した。ゲルシレ50/13のすべてが完全に溶融するまで撹拌を継続して、混合物を均質にした。次いで、インジブリン(2254.6g)、クロスカルメロースナトリウム(62.0g)および微晶質セルロース(アビセルpH−101)(2829.5g)を、25L造粒器ボウルに付加した。水再循環器を58℃に設定して、水を、被覆25Lボウルを通して再循環させた。次に、ボウルを閉じて、粉体床を135〜200rpmのインペラ回転速度および1500rpmのチョッパー切断速度で混合した。粉体床温度が少なくとも58℃になるまで、混合を継続した。溶融ゲルシレ50/13およびポリソルベート80の混合物を、次に、ボウル中にポンプ注入して、インペラ回転速度135〜200rpmで6分間、混合した。顆粒化をさらに1.5分間、一塊にし、顆粒化を終結した。顆粒状体をボウル中で一晩冷却させると、固体が生成した。Turbula T10B型Shakerミキサーを用いて、顆粒状体を、1500rpmで1143μmスクリーンを通して粉砕して、その結果生じた物質を、粒子サイズ分布および密度に関して評価した。次に、粉砕生成物を、1143μmスクリーンを通して44rpmで再粉砕した。クロスカルメロースナトリウム(62.0g)、コロイド二酸化ケイ素(Cab−o−sil)(31.0g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV)(31.0g)を別々に計量し、篩にかけて、次に混合容器に付加して、容器の内容物を、均一になるまで約46rpmでタービュラ混合機で10分間混合した。次いで、全処方物が消費されるまでProfil装置を用いて、サイズ00淡青色ゼラチンコニ・スナップカプセルを充填した。次に、自動除塵機を用いて、カプセルを除塵した。
【0081】
【表1】



【0082】
実施例2 溶解試験 − 処方物B
【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
等価物
本明細書中に記載した化合物およびその使用方法と等価の多数のものを、単なる実験を用いて当業者は理解しあるいは確認することが可能である。このような等価物は本発明の範囲内であるとみなされるし、以下の特許請求の範囲により包含される。
【0086】
上記引用の参考文献および出版物はすべて、参照により本明細書中に取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジブリン、賦形剤、乳化剤、崩壊剤、希釈剤および滑剤を含む経口処方物であって、賦形剤、乳化剤、崩壊剤、希釈剤および滑剤のうちのいずれか2つ以上が単一成分であり得る経口処方物。
【請求項2】
前記賦形剤がビタミンE TPGS、ソルトール、クレモフォアおよびポリオキシグリセリドから選択される請求項1記載の経口処方物。
【請求項3】
前記賦形剤がポリオキシグリセリドである請求項2記載の経口処方物。
【請求項4】
前記賦形剤がゲルシレ、例えばゲルシレ50/13、44/14、53/10、42/12または35/10である請求項3記載の経口処方物。
【請求項5】
前記賦形剤が前記処方物の約5%〜約15%を構成する請求項2〜4のいずれか一項に記載の経口処方物。
【請求項6】
前記賦形剤が前記処方物の約10%を構成する請求項5記載の経口処方物。
【請求項7】
前記乳化剤が、ソルビトールまたはペグ化ソルビトールあるいは無水物の脂肪酸エステル、ポロキサマー、クレモフォアおよびポリアルキレングリコールから選択される請求項1〜6のいずれか一項に記載の経口処方物。
【請求項8】
前記乳化剤がポリソルベートである請求項7記載の経口処方物。
【請求項9】
前記乳化剤がポリソルベート80である請求項8記載の経口処方物。
【請求項10】
前記乳化剤が前記処方物の約1%〜約10%を構成する請求項1〜9のいずれか一項に記載の経口処方物。
【請求項11】
前記乳化剤が前記処方物の約5%を構成する請求項10記載の経口処方物。
【請求項12】
前記滑剤がシリカ、長鎖脂肪酸エステル、脂肪酸(単数または複数)の脂肪酸グリセリドの塩および脂肪酸のグリセリドのうちのいずれか1つ以上から選択される請求項1〜11のいずれか一項に記載の経口処方物。
【請求項13】
前記滑剤がタルク、コロイド二酸化ケイ素、デンプン、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム(重)、酸化マグネシウム(重)、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール4000および6000、安息香酸ナトリウム、軽油、硬化植物油、ステアリン酸およびグリセリルベヘネートのうちのいずれか1つ以上から選択される請求項1〜11のいずれかに記載の経口処方物。
【請求項14】
前記滑剤がシリカ(例えば、コロイド二酸化ケイ素、微粉末化二酸化ケイ素またはアルミノケイ酸ナトリウム)および長鎖脂肪酸エステル(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム)から選択され、ならびに任意に、コロイド二酸化ケイ素およびフマル酸ステアリルナトリウムの組合せである請求項1〜11のいずれかに記載の経口処方物。
【請求項15】
前記コロイド二酸化ケイ素がCab−O−Silである請求項13または14記載の経口処方物。
【請求項16】
前記滑剤が前記処方物の約0.1〜約1%を構成する請求項1〜15のいずれか一項に記載の経口処方物。
【請求項17】
0.5%Cab−O−Silおよび0.5%フマル酸ステアリルナトリウムを含む請求項16記載の経口処方物。
【請求項18】
前記希釈剤が炭水化物、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよび炭酸マグネシウムのうちの任意の1つ以上から選択され、前記炭水化物(単数または複数)が、任意に、糖、糖アルコールおよびセルロースポリマーのうちの任意の1つ以上から選択され、そして任意に、ラクトース、微晶質セルロース、マンニトール、カルシウムヒドロキシ−ジオキシド−オキソ−ホスホラン、デキストロース、グルコース、スクロース、デンプンおよび誘導体のうちの任意の1つから選択される請求項1〜17のいずれか一項に記載の経口処方物。
【請求項19】
前記希釈剤が微晶質セルロースである請求項18記載の経口処方物。
【請求項20】
前記希釈剤がアビセルPH−101である請求項19記載の経口処方物。
【請求項21】
前記希釈剤が前記処方物の約25%〜約75%を構成する請求項1〜20のいずれか一項に記載の経口処方物。
【請求項22】
前記希釈剤が前記処方物の約45%を構成する請求項21記載の経口処方物。
【請求項23】
前記崩壊剤が炭水化物(任意に、デンプンまたは微晶質セルロースである)、不溶性イオン交換樹脂、デンプンのカルボキシメチルエーテルまたはその塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゴム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびポビドンのうちの任意の1つ以上から選択される請求項1〜22のいずれか一項に記載の経口処方物。
【請求項24】
前記崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウムおよび微晶質セルロースから選択される請求項23記載の経口処方物。
【請求項25】
前記崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウムである請求項23記載の経口処方物。
【請求項26】
前記崩壊剤が前記処方物の約0.1%〜約2%を構成する請求項23〜25のいずれか一項に記載の経口処方物。
【請求項27】
前記崩壊剤が前記処方物の約1%を構成する請求項26記載の経口処方物。
【請求項28】
喘息またはアレルギーの処置のための方法であって、請求項1〜27のいずれか一項に記載の経口処方物を投与することを包含する方法。
【請求項29】
免疫学的応答の回帰を抑圧するかまたは誘導するための方法であって、請求項1〜27のいずれか一項に記載の経口処方物を投与することを包含する方法。
【請求項30】
腫瘍または腫瘍塊を処置するための方法であって、請求項1〜27のいずれか一項に記載の経口処方物を投与することを包含する方法。
【請求項31】
白血病、前立腺癌、卵巣癌、表皮癌およびダニング腫瘍から選択される新生物性疾患を処置するための方法であって、請求項1〜27のいずれか一項に記載の経口処方物を投与することを包含する方法。
【請求項32】
抗腫瘍薬耐性腫瘍、転移の発症および伝播を含む転移性癌、血管新生阻害薬に感受性の腫瘍、または抗腫瘍薬耐性で且つ血管新生阻害薬に感受性である腫瘍を処置するための方法であって、請求項1〜27のいずれか一項に記載の経口処方物を投与することを包含する方法。
【請求項33】
多薬剤耐性腫瘍増殖を抑制するかまたは転移を抑制するための方法であって、請求項1〜27のいずれか一項に記載の経口処方物を投与することを包含する方法。
【請求項34】
過増殖性障害、悪性腫瘍または新生物を処置するための方法であって、請求項1〜27のいずれか一項に記載の経口処方物を投与することを包含する方法。
【請求項35】
前記過増殖性障害、悪性腫瘍または新生物が、腹部、骨、乳房、消化系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、上皮小体、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭および首部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、柔組織、脾臓、胸郭および尿生殖器系の癌から選択される請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記過増殖性障害、悪性腫瘍または新生物が、高ガンマグロブリン血症、リンパ球増殖性障害、パラプロテイン血症、紫斑病、サルコイドーシス、セザリー症候群、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、ゴーシェ病および組織球症から選択される請求項34記載の方法。
【請求項37】
子宮頸癌、結腸癌、脳癌、肝臓癌、白血病、アデノイド嚢胞状癌、腎細胞癌、癌腫、肉腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、膵臓癌、膨大部周囲癌、ニューロン小胞体腫瘍、骨肉腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、外陰部癌、神経膠芽細胞腫および肺癌から選択される癌を処置するための方法であって、請求項1〜27のいずれか一項に記載の経口処方物を投与することを包含する方法。
【請求項38】
250〜1250ミクロンの範囲のD90粒子サイズを有するインジブリン含有熱溶融粒子、賦形剤、乳化剤、崩壊剤、希釈剤および滑剤を、インジブリンに関して約1:1〜1:3の重量比で含む固体経口剤形であって、賦形剤、乳化剤、崩壊剤、希釈剤および滑剤のうちの任意の2つ以上が単一成分であり得る固体経口剤形。
【請求項39】
単一経口投与量単位当たり50〜400mgのインジブリンを含む請求項38記載の固体経口剤形。
【請求項40】
インジブリンの固体剤形の製造方法であって、以下の:
a)インジブリンを、熱溶融条件下で、賦形剤、乳化剤、崩壊剤および希釈剤と混ぜ合わせて粒状体を生成すること;
b)ステップaの粒状体を、1つ以上の滑剤と、任意に崩壊剤と混ぜ合わせて、粒子を形成すること;そして
c)ステップbの粒子を固体経口剤形に処方すること
を包含する方法。
【請求項41】
前記固体経口剤形が単一経口投与量単位当たり50〜400mgのインジブリンを含む請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記粒子が約1:1〜3:1の範囲の、賦形剤、乳化剤、崩壊剤、希釈剤および滑剤(合計して)対インジブリン重量比を有する請求項40記載の方法。
【請求項43】
前記粒子が約1:3〜1:6の範囲の賦形剤対希釈剤の重量比を有する請求項40記載の方法。
【請求項44】
前記粒子が約29:1〜40:1の範囲の乳化剤、希釈剤および滑剤(合計して)対崩壊剤重量比を有する請求項40記載の方法。

【公表番号】特表2013−503876(P2013−503876A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527986(P2012−527986)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/047436
【国際公開番号】WO2011/028743
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(512054481)ジオファーム オンコロジー インク (1)
【Fターム(参考)】