説明

インスリン感受性を増すための組成物および方法

【課題】インスリン感受性を増すための組成物および方法を提供する。
【解決手段】血中グルコース状態を治療するための方法および組成物が、適した対象を同定する工程、有効量の、1つまたは複数のオピオイドアンタゴニスト、抗けいれん剤および精神治療薬を含む組成物を投与する工程を含む。組成物は、インスリンを含みうる。幾つかの実施態様においては、このような方法および組成物は、血中グルコース濃度を調節するのに使用することができる。好ましい実施態様においては、このような方法および組成物は、対象のインスリン感受性を増加させるのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年11月22日に出願された米国仮出願第60/738,893号および2006年1月12日に出願された米国仮出願第60/759,117号の優先権を主張するものである。前記両出願は、参照によって、その全体が本明細書に導入される。
【0002】
本発明は、個体におけるインスリンに関連した疾患の治療のための医薬組成物および方法の分野に属する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、治療法が分かっていない慢性疾患である。現在、アメリカにおいて約一千八百二十万人すなわち人口の6.3%が糖尿病である。おおよそ、一千三百万人が診断されているのに対して、五百二十万人が、糖尿病だとは気付いていない。2000年における、6番目の病気による死亡の原因として、糖尿病は、米国の医療制度に、毎年、おおよそ一千三百二十億ドルの負担をもたらしている。National Diabetes Information Clearinghouse, NIH Publication No. 04-3892, November 2003を参照せよ。糖尿病に関連する経済的負担よりも重要なことは、糖尿病に関連したクオリティ・オブ・ライフの低下、重大な健康上の合併症/帰結、および死亡である。
【0004】
糖尿病は、インスリン産生、インスリン作用、またはその両方の欠陥を原因とする、高い血中グルコース濃度によって特徴づけられる疾患のグループである。糖尿病は、数年間、診断されない状態が続きうるので、多くのヒトは、生命を脅かす合併症の1つの発症後においてのみ、糖尿病であることに気付くようになる。遺伝的要因および環境的要因(例えば、肥満および運動不足)の両方が、糖尿病の発症の重要な因子であることは、よく認められている。
【0005】
糖尿病の1つのグループ、1型糖尿病(または、インスリン依存性糖尿病もしくは若年型糖尿病)は、身体の免疫系が、血中グルコース濃度を調節するホルモンであるインスリンを産生する膵臓細胞を破壊した場合に、発症する。1型糖尿病は、通常、子供および十代後半の若者に生じるが、発病開始は、任意の年齢で生じうる。1型糖尿病は、糖尿病の全ての診断されたケースの約5から10%を占める。1型糖尿病の危険因子には、自己免疫、遺伝的および環境的要因が含まれる。1型糖尿病と診断された個体は、注射またはポンプを介したインスリンの毎日の伝達が必要である。
【0006】
糖尿病のもう1つのグループ、2型(またはII型)糖尿病(インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)または成人型糖尿病)は、グルコース代謝およびインスリン耐性の異常調節を含む代謝異常であり、目、腎臓、神経および血管を含む長期的合併症をもたらしうる。2型糖尿病は、十分なインスリンを産生する体の能力の欠陥(異常なインスリン分泌)または効率的にインスリンを利用する能力の欠陥(標的器官および組織におけるインスリン作用に対する耐性)を原因とする。この病気は、通常、インスリン耐性、細胞がインスリンを適切に使用しない疾患として、始まり、インスリン上昇の要求として、膵臓が徐々に、インスリンを産生する能力を失う。2型糖尿病の患者は、相対的インスリン欠乏を有する。すなわち、これらの患者においては、血漿のインスリン濃度は、絶対的には、通常から高いのに対して、存在する血漿グルコース濃度について予想されるよりも低い。2型糖尿病は、糖尿病の最も一般的な形態であり、糖尿病の90から95%を占める。2型糖尿病は、より高齢のアメリカ人の増加、肥満のより高い有病率およびデスクワーク中心の生活が原因で、まん延しようとしている。
【0007】
2型糖尿病は、以下の臨床的兆候および症状によって特徴付けられる:持続的に上昇する血漿グルコース濃度すなわち高血糖;多尿症;多渇症および/または多食症;慢性的な微小管合併症、例えば、網膜症、腎症および神経障害;ならびに大血管合併症、例えば、脂質異常症および高血圧。これらの微小管および大血管合併症は、失明、末期腎不全、手足の切断および心筋梗塞をもたらしうる。
【0008】
妊娠性糖尿病は、妊娠した女性において診断されるグルコース不耐性の形態を指す。妊娠の間、妊娠性糖尿病は、幼児への合併症を避けるために、妊婦の血中グルコース濃度を標準化するための治療が必要である。妊娠性糖尿病の女性の一定割合(5-10%)が、妊娠後に、2型糖尿病になる。妊娠性糖尿病であった女性は、また、以後5-10年間の間に、糖尿病を発症する割合が20-50%である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許明細書第5,714,519号
【特許文献2】米国特許明細書第6,686,337号
【非特許文献1】National Diabetes Information Clearinghouse, NIH Publication No. 04-3892, November 2003
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献2】Van Schaftingen, E. et al., Adv. Enzyme Regul. 32: 133-148, 1992
【非特許文献3】Ferre, T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:7225-7230, 1996
【非特許文献4】FASEB J., 10:1213-1218, 1996
【非特許文献5】Niswender, K. D. et al., J. Biol. Chem., 272:22570-22575, 1997
【非特許文献6】Srivastava, P. K. & L. Field, J. Med. Chem., 18(8):798-802, 1975
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
多くの医薬組成物および方法が、糖尿病を治療および/または治すために提案されている。例えば、糖尿病で高血糖を低下させるための1つの方法には、肝臓のグルコキナーゼ(GK)活性を増加させることが含まれる(Van Schaftingen, E. et al., Adv. Enzyme Regul. 32: 133-148, 1992)。トランスジェニック糖尿病マウスを用いた研究によって、増加したGKコピー数が、肝臓でのグルコース代謝の増加および血漿でのグルコース濃度の減少をもたらすことが示され(Ferre, T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:7225-7230, 1996; FASEB J., 10:1213-1218, 1996; Niswender, K. D. et al., J. Biol. Chem., 272:22570-22575, 1997)、このことは、増加した肝臓GKが、糖尿病における高血糖を低下させるのに有効であるかもしれないことを実証している。
【0012】
米国特許明細書第5,714,519号(以後、'519号特許)には、日中に、予め決められた間隔で、パンテチン(請求項1-18;第5欄の第6-15行目参照)またはシステアミン(請求項19-27;第5欄の第16-22行目)を投与することによって、高インスリン血またはインスリン耐性のいずれかを制御するための方法が開示されている。残念なことに、'519号特許に開示されたパンテチンまたはシステアミンの投与量の幾つか(例えば、500mgのシステアミン)では、ヒトに有毒である。実際に、システアミンまたはパンテチンのそのような投与量では、望ましくない胃腸の現象、例えば酸分泌量の増加または胃潰瘍でさえ誘導しうる(Srivastava, P. K. & L. Field, J. Med. Chem., 18(8):798-802, 1975)。米国特許明細書第6,686,337号には、特定のスルファメートと抗糖尿病薬との組み合わせを使用した、II型糖尿病を治療する方法が開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1つの実施態様により、血中グルコース状態を治療する方法であって、
治療を必要とする血中グルコース状態を有する対象を同定する工程、および、
前記対象に、血中グルコース濃度を調節するのに有効な量の組成物を投与する工程であって、前記組成物が、非スルファメート抗けいれん剤;精神治療薬;オピオイドアンタゴニスト;精神治療薬とオピオイドアンタゴニストとの組み合わせ;精神治療薬と抗けいれん剤との組み合わせ;オピオイドアンタゴニストと抗けいれん剤との組み合わせ;および、オピオイドアンタゴニストと抗けいれん剤と精神治療薬との組み合わせから選択される少なくとも1つを含む工程
を含む方法が提供される。
【0014】
幾つかの実施態様においては、対象は、糖尿病、インスリン耐性、高インスリン血、耐糖能異常、および高血糖から選択される少なくとも1つの疾患に罹患しうる。幾つかの実施態様においては、疾患は、インスリン耐性である。幾つかの実施態様においては、疾患は、2型糖尿病である。
【0015】
適した精神治療薬の例は、以下を含む:アミトリプチリン(amitriptyline)、アリピプラゾール(aripiprazole)、ベンゾジアゼピン(benzodiazepines)、ブプロピオン(bupropion)、カルバメゼピン(carbamezepine)、クロミプラミン(clomipramine)、クロザピン(clozapine)、デシプラミン(desipramine)、ドチアペン(dothiapen)、ドキセピン(doxepin)、エラトリプタン(elatriptan)他のトリプタン(other triptans)、フルオキセチン(fluoxetine)、イミプラミン(imipramine)、ラモトロジン(lamotrogine)、リチウム(lithium)、マプロチリン(maprotiline)、ミルタザピン(mirtazapine)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、オランザピン(olanzapine)、オキシカルバメゼピン(oxycarbamezepine)、パロキセチン(paroxetine)、プロトリピチリン(protriptyline)、クエチアピン(quetiapine)、リスペリドン(risperidone)、セチプチリン(setiptiline)、スマトリプタン(sumatriptan)、チアガビン(tiagabine)、トリミプラミン(trimipramine)、バルプロエート(valproate)、ジプラシドン(ziprasidone)およびゾルミトリプタン(zolmitriptan)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ。幾つかの実施態様においては、精神治療薬は以下から選択される:ブプロピオン(bupropion)、ミルタザピン(mirtazapine)、オランザピン(olanzapine)、セチプチリン(setiptiline)、フロキセチン(fluoxetine)およびバルプロエート(valproate)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ。
【0016】
適した抗けいれん剤の例は、以下を含む:5,5-ジフェニルヒダントイン(5,5-diphenylhydantoin)、ベンゾジアゼピン(benzodiazepine)、カルバマゼピン(carbamazepine)、クロナゼパム(clonazepam)、クロラゼペート(clorazepate)、ジアゼパム(diazepam)、ジバルプロエックス(divalproex)、エトスキミド(ethosuximide)、フェルバメート(felbamate)、フォスフェニトイン(fosphenytoin)、ガバペンチン(gabapentin)、ラモトリジン(lamotrigine)、レベチラセタム(levetiracetam)、メトスクシミド(methsuximide)、オキシカルバゼピン(oxcarbazepine)、フェニトイン(phenytoin)、プレガバリン(pregabalin)、チアガビン(tiagabine)、トピラメート(topiramate)、バルプロエート(valproate)、バルプロ酸(valproic acid)およびゾニサミド(zonisamide)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ。幾つかの実施態様においては、抗けいれん剤は、ゾニサミド(zonisamide)である。非-スルファメート抗けいれん剤は、ゾニサミド(zonisamide)、バルプロエート(valproate)およびバルプロ酸(valproic acid)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグから選択することができる。
【0017】
適したオピオイドアンタゴニストの例は、以下を含む:アルビモパン(alvimopan)、ブプレノルフィン(buprenorphine)、ロフェキシジン(lofexidine)、ナルメフェン(nalmefene)、ナロルフィン(nalorphine)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)、ノルビナルトルフィミン(norbinaltorphimine)、メチルナルトレレキソン(methylnaltrexone)、ペンタコジン(pentacozine)およびプロピラム(propiram)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ。幾つかの実施態様においては、オピオイドアンタゴニストは、以下から選択する:ナルメフェン(nalmefene)、ナロルフィン(nalorphine)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)およびメチルナルトレキソン(methylnaltrexone)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグ。
【0018】
幾つかの実施態様においては、血中グルコース濃度を調節するのに有効な組成物は、精神治療薬とオピオイドアンタゴニストとの組み合わせを含みうる。精神治療薬は、ブプロピオン(bupropion)、ミルタザピン(mirtazapine)、オランザピン(olanzapine)、セチプチリン(setiptiline)、フルオキセチン(fluoxetine)およびバルプロエート(valproate)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグから選択することができ;オピオイドアンタゴニストは、ナルメフェン(nalmefene)、ナロルフィン(nalorphine)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)およびメチルナルトレキソン(methylnaltrexone)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグから選択することができる。幾つかの実施態様においては、精神治療薬は、オピオイドアンタゴニストとは別に、対象に投与することができる。
【0019】
幾つかの実施態様においては、血中グルコース濃度を調節するのに有効な組成物は、精神治療薬と抗けいれん剤との組み合わせを含みうる。精神治療薬は、ブプロピオン(bupropion)、ミルタザピン(mirtazapine)、オランザピン(olanzapine)、セチプチリン(setiptiline)、フルオキセチン(fluoxetine)およびバルプロエート(valproate)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグから選択することができ;抗けいれん剤は、トピラメート(topiramate)、バルプロエート(valproate)、バルプロ酸(valproic acid)およびゾニサミド(zonisamide)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグから選択することができる。幾つかの実施態様においては、精神治療薬は、抗けいれん剤とは別に、対象に投与することができる。
【0020】
幾つかの実施態様においては、血中グルコース濃度を調節するのに有効な組成物は、オピオイドアンタゴニストと抗けいれん剤との組み合わせを含みうる。オピオイドアンタゴニストは、アルビモパン(alvimopan)、ブプレノルフィン(buprenorphine)、ロフェキシジン(lofexidine)、ナルメフェン(nalmefene)、ナロルフィン(nalorphine)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)、ノルビナルトルフィミン(norbinaltorphimine)、メチルナルトレキソン(methylnaltrexone)、ペンタコジン(pentacozine)およびプロピラム(propiram)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグから選択することができ;抗けいれん剤は、トピラメート(topiramate)、バルプロエート(valproate)、バルプロ酸(valproic acid)およびゾニサミド(zonisamide)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグから選択することができる。幾つかの実施態様においては、オピオイドアンタゴニストは、抗けいれん剤とは別に、対象に投与することができる。
【0021】
幾つかの実施態様においては、血中グルコース濃度を調節するのに有効な組成物は、オピオイドアンタゴニストと抗けいれん剤と精神治療剤との組み合わせを含みうる。オピオイドアンタゴニストは、アルビモパン(alvimopan)、ブプレノルフィン(buprenorphine)、ロフェキシジン(lofexidine)、ナルメフェン(nalmefene)、ナロルフィン(nalorphine)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)、ノルビナルトルフィミン(norbinaltorphimine)、メチルナルトレキソン(methylnaltrexone)、ペンタコジン(pentacozine)およびプロピラム(propiram)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグから選択することができ;抗けいれん剤は、トピラメート(topiramate)、バルプロエート(valproate)、バルプロ酸(valproic acid)およびゾニサミド(zonisamide)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグから選択することができ;精神治療薬は、ブプロピオン(bupropion)、ミルタザピン(mirtazapine)、オランザピン(olanzapine)、セチプチリン(setiptiline)、フルオキセチン(fluoxetine)およびバルプロエート(valproate)またはその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグから選択することができる。幾つかの実施態様においては、オピオイドアンタゴニスト、抗けいれん剤および精神治療薬の少なくとも1つは、他の少なくとも1つとは別に、対象に投与することができる。
【0022】
如何なる開示された組成物も、更にインスリンを含みうる。如何なる開示された組成物も、幾つかの実施態様においては、徐放性調合物である、放出制御調合物を含みうる。
【0023】
幾つかの実施態様においては、開示された方法は、対象の血中グルコース濃度の測定を得る工程を含む。組成物の投与量は、対象の血中グルコース濃度の測定を得た後で、調整することができる。開示された方法は、対象に食事指導を提供する工程を含みうる。
【0024】
幾つかの実施態様においては、本発明は、投与量単位の形態の血中グルコース調節組成物、および、読み手に、対象とする前記組成物のヒト受領者の血中グルコース濃度をモニターすることを教える取扱説明書を含むパッケージであって、前記血中グルコース調節組成物が、非スルファメート抗けいれん剤;精神治療薬;オピオイドアンタゴニスト;精神治療薬とオピオイドアンタゴニストとの組み合わせ;精神治療薬と抗けいれん剤との組み合わせ;オピオイドアンタゴニストと抗けいれん剤との組み合わせ;オピオイドアンタゴニストと抗けいれん剤と精神治療薬との組み合わせから選択される少なくとも1つを含む、パッケージに関する。
【0025】
これら、および他の実施態様を、以下に、より詳細に開示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
メラノコルチンニューロンが、インスリン感受性に影響を及ぼす(逆に言えば、インスリン非感受性またはインスリン耐性として知られている)と考えられている。この発明の実施態様は、これらニューロンの活性に影響を及ぼし、それにより、血中グルコース濃度を調節する(例えば、血中グルコース状態の重篤度、危険性、発現および/または発症を変更、補うまたは阻害する)組成物を投与する工程を含む。幾つかの実施態様においては、これら血中グルコース調節(BGM)組成物は、非スルファメート抗けいれん剤(例えば、ゾニサミド(zonisamide));精神治療薬(例えば、フルオキセチン(fluoxetine)、ブプロピオン(bupropion)、ミルタザピン(mirtazapine)、オランザピン(olanzapine)および/またはパロキセチン(paroxetine)などの抗うつ剤);オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン(naltrexone)、ナルマフェン(nalmafene)および/またはナロキソン(naloxone);精神治療薬とオピオイドアンタゴニストとの組み合わせ;精神治療薬と抗けいれん剤との組み合わせ;オピオイドアンタゴニストと抗けいれん剤との組み合わせ;オピオイドアンタゴニストと抗けいれん剤と精神治療薬との組み合わせから選択される少なくとも1つを含む。メラノコルチンニューロンの活性を変更する化合物の例には、メラノコルチン3受容体(MC3-R)またはメラノコルチン4受容体(MC4-R)のアゴニズムを、標準的な生理学的状態と比べて増加させる化合物が含まれる。この化合物は、α-MSH活性を増大させる化合物を含みうる。これらの化合物は、精神治療薬を含みうる。幾つかの実施態様においては、これらは、また、抗けいれん剤を含みうる。更にその上、精神治療薬と抗けいれん剤との組み合わせ;精神治療薬とオピオイドアンタゴニストとの組み合わせ;抗けいれん剤とオピオイドアンタゴニストとの組み合わせ;および/または精神治療薬と抗けいれん剤とオピオイドアンタゴニストとの組み合わせは、メラノコルチンニューロンに対して、より多大な影響を及ぼすことができ、それ故、インスリン耐性に対して、より多大な影響を及ぼすことができると考えられている。このように、メラノコルチンニューロンの活性を調節することによって、本発明の実施態様は、血中グルコース濃度を調節し、それにより、血中グルコース状態の発現、重篤度、危険性および/または発症を制御、阻害および/または予防するための方法を提供することができる。同じように、メラノコルチン受容体を有する細胞に影響を与える化合物を含む様々な組成物も、提供される。
【0027】
幾つかの態様においては、複数の化合物を有するBGM組成物が提供される。幾つかの態様においては、BGM組成物は、インスリン耐性を治療するために使用され、オピオイドアンタゴニストである第一の化合物、精神治療薬である第二の化合物、および抗けいれん剤である第三の化合物(前記各化合物は、血中グルコース状態を阻害するのに十分な量で存在する)を含みうる。これらの化合物の任意の1つまたは組み合わせを、血中グルコース状態を発症するまたは有する危険があるヒトに投与し、それにより、血中グルコース状態を発症する患者の危険を減ずることができ、または、患者の血中グルコース状態の重篤度、進展および/または持続を阻害することができる。
【0028】
他の態様においては、BGM組成物は、インスリンを含み、または、更にインスリンと組み合わせ、またはインスリンとともに投与し、それ故、血中グルコース状態、例えば、糖尿病またはインスリン耐性を直接治療および/または阻害するだけでなく、血中グルコース状態の危険を低下および/または血中グルコース状態の如何なる発症も治療するのに使用することができる。それ故、幾つかの実施態様においては、例えば、BGM組成物は、(1)オピオイドアンタゴニストおよびインスリン、(2)精神治療薬およびインスリン、(3)抗けいれん剤およびインスリン、(4)オピオイドアンタゴニスト、インスリンおよび精神治療薬、(5)オピオイドアンタゴニスト、インスリンおよび抗けいれん剤、(6)インスリン、精神治療薬および抗けいれん剤、または(7)インスリン、精神治療薬、抗けいれん剤およびオピオイドアンタゴニストを含む。これらのBGM組成物は、インスリン耐性だけでなく、1型糖尿病、2型糖尿病、肥満と関連した糖尿病または強迫障害、血中グルコース濃度が、約110から125mg/dL(空腹時)である「糖尿病前症(pre-diabetes)」(例えば、糖尿病前肥満)、薬剤誘導性糖尿病、妊娠性糖尿病およびクッシング症候群などの様々な内科的疾患と関連した糖尿病を含む他の血中グルコース状態を治療するのに有効であり得る。当業者に明らかであるように、他のBGMの組み合わせも意図される。幾つかの実施態様においては、組成物または方法における、インスリンと、メラノコルチン細胞(例えば、メラノコルチン受容体を有するニューロン)の活性を変更する化合物または方法との組み合わせが、意図される。これらおよび他の実施態様を、以下に、より詳細に開示する。以下の定義を提供し、関係のある成分および疾患の幾つかの態様を明確にする。
【0029】
(定義)
用語「血中グルコース状態」とは、患者のグルコース濃度を調節するのが望ましい状態を指す。幾つかの実施態様においては、血中グルコース状態は、血中グルコース濃度を低下するのが望ましい状態を含む。例えば、高い血中グルコース濃度は、血中グルコース状態であり得る。他の実施態様においては、血中グルコース状態は、血中グルコース濃度を、特定の値に、または値の範囲に維持するのが望ましい状態を含む。更に他の実施態様においては、血中グルコース状態は、血中グルコース濃度を増やすのが望ましい状態を含む。幾つかの実施態様においては、本明細書で開示した方法および組成物は、最初に血中グルコース濃度を低下させ、その後、血中グルコース濃度を、特定の値に、または値の範囲に維持するのに使用することができる。血中グルコース状態は、患者が、血中グルコース状態を発症する危険を有する状態を含む。1つの実施態様においては、インスリン耐性は、血中グルコース状態である。他の実施態様においては、糖尿病は、血中グルコース状態である。
【0030】
用語「インスリン」は、哺乳類の膵臓によって天然で産生される(ランゲルハンス島のベータ細胞によって分泌される)ポリペプチドホルモン(約5700の分子量)であって、筋肉および脂肪組織によるグルコースの摂取を刺激することによって、血液中に存在するグルコースの量を制御するポリペプチドホルモンを指す。インスリンは、様々な状態、例えばプレプロインスリンおよびプロインスリンの状態で存在しうる。用語「インスリン」は、また、合成バージョン、例えばHumulin(登録商標)(Eli Lillyから市販されている)を指す。
【0031】
用語「インスリン感受性」は、細胞の(例えば、筋肉細胞(例えば、骨格筋細胞)もしくは脂肪細胞(例えば、含脂肪細胞)または器官の、インスリンによる刺激もしくはインスリンシグナル伝達を察知するまたはこれらに応答する能力を指す。インスリンまたはインスリンシグナル伝達に対する好ましい応答は、グルコース摂取である。
【0032】
用語「インスリン耐性」は、身体の組織が、正常にインスリンに応答できない状態または疾患を指す。インスリン耐性は、病的に上昇した内因性インスリンおよびグルコース濃度に現れ、哺乳類を、ある程度の耐糖能異常、血漿中のトリグリセリドおよび低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)濃度の上昇、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)濃度の低下、高血圧、高尿酸血、血漿中の線維素溶解活性の低下、循環器疾患およびアテローム性動脈硬化の増加(Reaven, G. M. Physiol Rev. 75(3): 473-86, 1995)を含む一群の異常性の発症にかかりやすくする。非代償性インスリン耐性は、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)の原因であると広く考えられている。高インスリン血は、膵臓細胞によるインスリンの過剰産生を指す。しばしば、高インスリン血は、インスリン耐性の結果として生じ、インスリンの作用に対する細胞の耐性によって定義される状態である。前記に定義したインスリン耐性は、正常な量のインスリンが、異常な生物学的(代謝)応答をもたらす状態/疾患である。インスリンで治療した糖尿病の患者においては、インスリン耐性は、インスリンの治療投与量が、正常な人のインスリンの分泌速度を超える場合に存在すると考えられる。
【0033】
異常なグルコース恒常性(または代謝)は、血糖値が、正常な人より高いが、糖尿病として分類されるほどには高くない状態を指す。将来の糖尿病および循環器疾患の危険因子として考えられる2つのカテゴリーが存在する。耐糖能異常(IGT)は、経口でのグルコース耐性試験の2時間後のグルコース濃度が、140から199mg/dlの間であれば、生じる。IGTは、2型糖尿病の主要な危険因子であり、約11%の大人に、すなわち、約二千万人のアメリカ人に存在する。65歳以上のヒトの約40-45%が、2型糖尿病かIGTのいずれかである。空腹時血糖異常(IFG)は、空腹時血漿グルコース試験の8時間後のグルコース濃度が、110から126mg/dlの間であれば、生じる。
【0034】
糖尿病の共通の特徴である高グルコース血は、肝臓および末梢組織によるグルコール利用の低下、ならびに、肝臓によるグルコース酸性の増加によって引き起こされる。
【0035】
用語「化合物」は、多くの異なる物質を指す。例えば、第一の化合物は、一般的に、オピオイドアンタゴニストを定義し、第二の化合物は、一般的に、α-MSH活性増加剤または精神治療薬を定義し、そして、第三の化合物は、一般的に、抗けいれん剤を定義する。しかしながら、明確に定義する場合、これらの用語は、異なる意味を有する。一般的に、「化合物」は、明確に定義しない限り、インスリンを含まない。
【0036】
用語「医薬的に許容可能な塩」は、投与される器官に重大な刺激をもたらさず、且つ、化合物の生物学的活性および特性を無効にしない化合物のフォーミュレーションを指す。医薬的に許容可能な塩は、本発明の化合物を、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などと反応することによって得ることができる。医薬的に許容可能な塩は、また、本発明の化合物を、塩基と反応させて、塩、例えばアンモニア塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウムまたはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムまたはマグネシウム塩)、有機塩基(例えばジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン)、およびアミノ酸(例えばアルギニン、リジンなど)とのこれらの塩を形成することによって、得ることができる。
【0037】
「プロドラッグ」は、in vivoで親薬物へと変換される薬物を指す。プロドラッグは、幾つかの状況において、親薬物よりも投与するのが容易であるので、しばしば有用である。プロドラッグは、例えば、親薬物が経口投与によっては生物学的に利用できないのに対して、経口投与によって利用できる。プロドラッグは、また、親薬物よりも医薬組成物において改善された可溶性を有し、または、味を良くすることが実証され、もしくは、調合がより容易である。制限するわけではないが、プロドラッグの例は、水可溶性が移動に際して悪影響を及ぼす細胞膜を介した伝達を容易にするために、エステル(「プロドラッグ」)として投与され、その後、水可溶性が有用である細胞内部へといったん入ると、カルボン酸(活性化合物)へと代謝的に加水分解される、本願発明の化合物である。プロドラッグの更なる例は、代謝して活性部分を提供する、酸性基へと結合した短いペプチド(ポリアミノ酸)である。
【0038】
用語「医薬組成物」は、希釈剤または担体などの他の化学成分と、活性化合物との混合物(または活性化合物との組み合わせ)を指す。医薬組成物は、活性化合物の器官への投与を容易にする。制限するわけではないが、経口、注入、噴霧器、非経口、および局所的投与を含む、化合物を投与する複数の方法が、当該業界には存在し、様々な化学成分が、活性化合物との混合物のために開発され、このような投与を容易にする。医薬組成物は、また、化合物を、無機酸または有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などと反応することによっても、得ることができる。
【0039】
用語「担体」は、化合物を細胞または組織へと導入するのを容易にする化合物を指す。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、多くの有機化合物の、細胞または器官組織への摂取を容易にするので、一般的に使用される担体である。
【0040】
用語「希釈剤」は、対象とする化合物を溶かすだけでなく、化合物の生物学的に活性な形態を安定化する、溶液(例えば水)において希釈された化合物を定義する。バッファー溶液に溶解した塩は、当該業界において、希釈剤として使用される。1つの一般的に使用されるバッファー溶液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。なぜならば、PBSは、ヒト血液の塩条件を模倣するからである。バッファーの塩は、低濃度で溶液のpHを制御することができるので、バッファー希釈剤は、化合物の生物学的活性を、めったに変更しない。
【0041】
用語「治療」は、必ずしも、病気または疾患を治癒することを意味するわけではない。病気または疾患に関連する兆候を減少させることも、また、治療として特徴づけられる。更に、病気または疾患の進展を遅くすることも、また、治療として特徴づけられる。
【0042】
用語「インスリン感受性化」は、化合物が、宿主または対象を、インスリン(外因性または内因性のインスリンであろうと、なかろうと)の存在により反応しやすくすることを定義する。
【0043】
用語「生理学的に許容可能」は、化合物の生物学的活性および特性を無効化しない担体または希釈剤を特徴づける。
【0044】
用語「有効量」は、特定の有用性を達成するのに必要な、物質の量を定義する。それ故、有効量は、特定の用途に応じて変化しうる。
【0045】
用語「阻害」は、特定の治療の間、状態の危険性、発症時期、副作用、徴候および/または進展が、特定の治療を行わない場合に予期される状態の危険性、発症時期、副作用、兆候および/または進展と比較して、低下することを特徴とする。比較は、また、二つの治療オプション間でも実施することができる。例えば、オピオイドアンタゴニストについては、状態の危険性、発症時期、副作用、徴候および/または進展が、オピオイドアンタゴニストとインスリンの両方を患者に投与した場合に、インスリンの投与と比較して、低下するならば、状態を阻害すると言える。幾つかの実施態様においては、状態が完全に逆転され、または発症が予防された場合は、状態は阻害される。状態の重篤度については、宿主における、幾つかの定量化可能な量の、標準からの逸脱として(例えば、血糖値または血液中のインスリンの値)、または、例えば、宿主に与えられる医薬の量として(例えば、宿主が抗けいれん剤も投与された場合に、望む効果のためには、30%未満の外部から投与したインスリンが必要である)、測定することができる。
【0046】
本開示を通して、特定の化合物を、名称、例えば、ゾニサミド(zonisamide)、ブプロピオン(bupropion)、ナルトレキソン(naltrexone)、フルオキセチン(fluoxetine)、セチプチリン(setiptiline)、ミルタザピン(mirtazapineまたはバルプロエート(valproate)によって言及する場合、本開示の範囲には、言及した化合物の活性な代謝産物、医薬的に許容可能な塩、エステル、アミドおよび/またはプロドラッグを含む。また、言及した化合物が、キラル中心を含む場合、本開示の範囲は、2つのエナンチオマーのラセミ混合物を含む組成物だけでなく、個別に実質的に他のエナンチオマーを含まない各エナンチオマーを含む組成物をも含む。それ故、例えば、本明細書で考慮されるのは、実質的にR-エナンチオマーを含まずS-エナンチオマーを含む組成物、または、実質的にS-エナンチオマーを含まずR-エナンチオマーを含む組成物である。「実質的に含まない」は、組成物が、10%未満の、または8%未満の、または5%未満の、または3%未満の、または1%未満のマイナーなエナンチオマーを含む組成物を意味する。言及した化合物が、2つ以上のキラル中心を有する場合、本開示の開示には、また、様々なジアステレオマーの混合物を含む組成物だけでなく、他のジアステレオマーを実質的に含まず各ジアステレオマーを含む組成物をも含む。それ故、例えば、市販のミルタザピンは、2つの別個のエナンチオマーを含むラセミ混合物である。本開示を通して、「ミルタザピン」の記載は、ミルタザピンのラセミ混合物を含む組成物、(-)エナンチオマーを実質的に含まず(+)エナンチオマーを含む組成物、および(+)エナンチオマーを実質的に含まず(-)エナンチオマーを含む組成物を含む。
【0047】
加えて、本明細書に開示する様々な化合物の活性な代謝産物も、本発明の範囲に含まれる。例えば、ナルトレキソンの6-β-ヒドロキシナルトレキソン代謝産物は、フルオキセチンのノルフルオキセチン代謝産物のように、活性である。フルオキセチンは、S-ノルフルオキセチン(全体の80%)およびR-ノルフルオキセチン(全体の20%)の両方へと変換される。これらの代謝産物の両方は、活性であり、本明細書に開示する組成物および方法における使用を意図する。
【0048】
(化合物)
前記で論じたように、1つの態様においては、血中グルコース状態を治療または阻害するためのBGM組成物を、提供する。一般的に、これらのBGM組成物は、オピオイドアンタゴニスト(例えばナルトレキソン)、MC3-R/MC3-Rアゴニストまたはα-MSH活性増加剤(例えば精神治療薬)、および抗けいれん剤(例えばゾニサミド)からなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含む。非-スルファメート抗けいれん剤は、好ましくは、BGM量のオピオイドアンタゴニスト、MC3-R/MC3-Rアゴニストまたはα-MSH活性増加剤を含まないBGM組成物中に含まれる。同様に、抗けいれん剤を、BGM量のオピオイドアンタゴニスト、MC3-R/MC3-Rアゴニストまたはα-MSH活性増加剤と組み合わせて投与しない場合、抗けいれん剤は、好ましくは、非-スルファメート抗けいれん剤である。これらのBGM組成物は、インスリン耐性の阻害に有効な量で使用することができる。付加的に、これらは、1型もしくは2型糖尿病、または前記した疾患を含むグルコースの異常調節の任意の疾患を、阻害または治療するのに使用することができる。幾つかの実施態様においては、BGM組成物は、インスリンを更に含み、インスリン耐性が生じる危険性を低下させながら、1型糖尿病などの血中グルコース状態を治療するのに使用することができる。付加的に、BGM組成物とインスリンとの組み合わせは、追加の外因性インスリンを、対象に投与することを可能とすることによって、疾患のインスリン耐性の側面を、1つまたは複数の前記化合物によって解決しながら、2型糖尿病などの血中グルコース状態を治療するのに使用することができる。BGM組成物は、有効量の、任意の1つの化合物、または、化合物とインスリンとの任意の組み合わせを含みうる。幾つかの実施態様においては、使用する各化合物およびインスリンの量は、少なくとも有効量であり、好ましくは、顕著な望ましくない副作用をもたらす量よりも少ない。幾つかの実施態様においては、この量は、少なくとも有効量である、おおよその必要最低限量である。
【0049】
幾つかの実施態様においては、精神治療薬またはα-MSH活性増加剤は、抗うつ剤、抗片頭痛薬、抗躁うつ病薬(antibipolar)、抗躁病薬、気分安定剤、または抗てんかん薬である。抗うつ剤の例には、ブプロピオン(bupropion)、パロキセチン(paroxetine)、フルオキセチン(fluoxetine)およびミルタザピン(mirtazapine)が含まれる。抗片頭痛薬の例には、スマトリプタン(sumatriptan)、ゾルミトリプタン(zolmitriptan)、エラトリプタン(elatriptan)および他のトリプタン(other triptans)が含まれる。抗躁うつ病薬の例には、リチウム(lithium)、バルプロエート(valproate)、カルバメゼピン(carbamezepine)、オキシカルバメゼピン(oxycarbamezepine)、ラモトロジン(lamotrogine)、チアガビン(tiagabine)、オランザピン(olanzapine)、クロザピン(clozapine)、リスペリドン(risperidone)、クエチアピン(quetiapine)、アリピプラゾール(aripiprazole)、ジプラシドン(ziprasidone)およびベンゾジアゼピン(benzodiazepines)が含まれる。幾つかの実施態様においては、精神治療薬は、リチウムの塩を含む。他の実施態様においては、精神治療薬は、バルプロエートの塩およびバルプロ酸の遊離酸の形態の両方を含むバルプロエートである。これらの薬物の医薬的に許容可能な塩またはプロドラッグ、これらの薬物の放出制御(例えば徐放性または持続放出)調合物だけでなく、これらの薬物の組み合わせも含まれる。幾つかの実施態様においては、リチウム塩は、炭酸リチウムまたはクエン酸リチウムでありえる。幾つかの実施態様においては、リチウム薬物は、持続放出調合物に存在する。他の実施態様においては、2つ以上の精神治療薬が、BGM組成物および/または方法中に含まれる。
【0050】
幾つかの実施態様においては、本発明は、本明細書に開示する、および本明細書に開示する調合物中における、インスリン、ゾニサミドおよびリチウム塩を含むBGM組成物を対象とする。他の実施態様においては、本発明は、インスリン、ゾニサミドおよびバルプロ酸、および/または医薬的に許容可能な塩、例えばバルプロエートの異なる塩、エステル、アミドまたはプロドラッグを含む組成物を対象とする。
【0051】
ゾニサミドは、部分発作起始を有する大人のための補助療法として示されている市販の抗けいれん剤である。如何なる特定の理論に拘束されるわけではないが、抗てんかん活性のメカニズムは、1)ナトリウムチャンネルのブロッキングおよび2)内向きのT型カルシウム電流の減少であると思われると考えられている。加えて、ゾニサミドは、クロライドフラックス(chloride flux)の変化をもたらすことなく、GABA/ベンゾジアゼピン受容体複合体に結合する。更に、ゾニサミドは、セロトニン作動性およびドーパミン作動性神経伝達を容易にし、カルボニックアンヒドラーゼに対して弱い阻害効果を有する。
【0052】
特定の実施態様においては、抗うつ剤は、ミルタザピンまたは式Iの類似化合物である。
【化1】

(式中、
Wは、窒素、CH、酸素または硫黄であり;
R1は、水素、置換されていてもよいC1-6アルキル、置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、置換されていてもよいC2-6アルケニル、置換されていてもよいC2-6アルキニル、置換されていてもよいC1-6アルコキシアルキル、ならびに置換されていてもよいアリールおよびアリールアルキルからなる群から選択され;
R2、R3、R4およびR5は、それぞれ、独立に、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC1-6アルキル、置換されていてもよいC1-8アルキルオキシ、置換されていてもよいC2-6アルケニル、置換されていてもよいC2-6アルキニル、置換されていてもよいC1-6アルコキシアルキル、置換されていてもよいC1-6アルキルチオ、パーハロアルキル、CN、COR10、CONHR10、ヘテロアルキル、およびNO2からなる群から選択され;
R6、R7、R8およびR9は、それぞれ、独立に、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC1-6アルキル、置換されていてもよいC1-6アルキルオキシ、置換されていてもよいC2-6アルケニル、置換されていてもよいC2-6アルキニル、置換されていてもよいC1-6アルコキシアルキル、置換されていてもよいC1-6アルキルチオ、パーハロアルキル、CN、COR10、CONHR10、ヘテロアルキル、およびNO2からなる群から選択され;
R10は、C1-6アルキルである)
【0053】
オピオイドアンタゴニストおよび精神治療薬の両方の投与は、化合物単独の効果と比較して、血中グルコースの調節および/またはインスリン耐性の阻害に対する相乗効果を有しうる。オピオイドアンタゴニストおよび抗けいれん剤の両方の投与は、化合物単独の効果と比較して、血中グルコースの調節および/またはインスリン耐性の阻害に対する相乗効果を有しうる。抗けいれん剤および精神治療薬の両方の投与は、化合物単独の効果と比較して、血中グルコースの調節および/またはインスリン耐性の阻害に対する相乗効果を有しうる。更に、抗-糖尿病薬およびオピオイドアンタゴニスト、精神治療薬、抗けいれん剤、またはこれらの組み合わせの投与は、また、血中グルコースの調節および/またはインスリン耐性の阻害に対する相乗効果を有しうる。オピオイドアンタゴニストの例としては、アルビモパン(alvimopan)、ノルビナルトルフィミン(norbinaltorphimine)、ナルメフェン(nalmefene)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)、メチルナルトレキソン(methylnaltrexone)およびナロルフィン(nalorphine)、ならびにその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグが含まれる。
【0054】
当業者に明らかであるように、前記化合物を投与することができる様々な方法、および、投与にかかわるタイミングが存在する。これらの幾つかを、以下に論ずる;他は、当業者にとっては、本願明細書から明らかであろう。
【0055】
他の実施態様においては、それ自身で、または、他の化合物および/もしくはインスリンと、もしくは、他の化合物および/もしくはインスリンと組み合わせて投与する抗うつ剤は、三環系抗うつ剤である。三環系抗うつ剤の例には、限定されるわけではないが、イミプラミン(imipramine)、デシプラミン(desipramine)、トリミプラミン(trimipramine)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、クロミプラミン(clomipramine)、ドキセピン(doxepin)、アミトリプチリン(amitriptyline)、プロトリプチリン(protriptyline)、ドチアペン(dothiapen)およびマプロチリン(maprotiline)が含まれる。非常に有効な抗うつ剤であるマプロチリンは、発作の危険を抱えるので、広くは使用されていない。マプロチリンとゾニサミドまたは他の抗けいれん剤との組み合わせは、抗うつ剤の使用による体重の増加の危険を低下するのに加えて、発作の危険を低下する更なる有益性を有する。有用な抗うつ剤の非制限的な例には、フルオキセチン(fluoxetine)、ブプロピオン(bupropion)、ミルタザピン(mirtazapine)、オランザピン(olanzapine)および/またはパロキセチン(paroxetine)が含まれる。
【0056】
更なる実施態様においては、それ自身で、または、他の化合物および/もしくはインスリンと、もしくは、他の化合物および/もしくはインスリンと組み合わせて投与する抗うつ剤は、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAO阻害剤)である。MAO阻害剤の例には、限定されるわけではないが、フェネルジン(phenelzine)(Nardil(登録商標))、トラニルシプロミン(tranylcypromine)(Parnate(登録商標))、イソカルボキサジド(isocarboxazid)(Marplan(登録商標)) およびモクロベミド(moclobemide)(Aurorix(登録商標))が含まれる。
【0057】
特定の実施態様においては、それ自身で、または、他の化合物および/もしくはインスリンと、もしくは、他の化合物および/もしくはインスリンと組み合わせて投与する抗ヒスタミンは、セチプチリン(setiptilinie)、テシプチリン(teciptiline)、ORG 8282 (Organon, Netherlands)またはMO 8282(Mochida, Japan)の1つである。
【0058】
幾つかの実施態様においては、それ自身で、または、他の化合物および/もしくはインスリンと、もしくは、他の化合物および/もしくはインスリンと組み合わせて投与する5HT2C受容体アンタゴニストは、クロザピン(colozapine)、N-デスメチルクロザピン(N-desmethylclozapine)およびクロザピン-N-オキシド(clozapine-N-oxide)から選択される。
【0059】
幾つかの実施態様においては、第一および第二の化合物は、それ自身で、または、他の化合物および/もしくはインスリンと、もしくは、他の化合物および/もしくはインスリンと組み合わせて投与する抗けいれん剤である。抗けいれん剤の例には、バルビツレート(barbiturates)、ベンゾジアゼピン(benzodiazepines)、GABAアナログ(GABA analogues)、ヒダントイン(hydantoins)、様々な抗けいれん剤(miscellaneous anticonvulsants)、フェニルトリアジン(phenyltriazines)およびスクシンイミド(succinimides)が含まれる。バルビツレート(barbiturate)の例には、ペントバルビタール(pentobarbital)が含まれる。ベンゾジアゼピン(benzodiazepines)の例には、クロナゼパム(clonazepam)、クロラゼペート(clorazepate)、ベンゾジアゼピン(benzodiazepine)およびジアゼパム(diazepam)が含まれる。GABAアナログ(GABA analogues)の例には、チアガビン(tiagabine)、プレガバリン(pregabalin)およびガバペンチン(gabapentin)が含まれる。ヒダントイン(hydantoins)の例には、フォスフェニトイン(fosphenytoin)、フェニルトイン(phenytoin)および5,5-ジフェニルヒダントイン(5,5-Diphenylhydantoin)が含まれる。様々な抗けいれん剤(miscellaneous anticonvulsants)の例には、カルバマゼピン(carbamazepine)、バルプロエート(valproate)、バルプロ酸(valproic acid)、ジバルプロエックス(divalproex)、フェルバメート(felbamate)、レベチラセタム(levetiracetam)、カルバマゼピン(carbamazepine)、トピラメート(topiramate)、オキシカルバメゼピン(oxcarbazepine)およびゾニサミド(zonisamide)が含まれる。フェニルトリアジン(phenyltriazine)の例には、ラモトリジン(lamotrigine)が含まれる。スクシンイミド(succinimides)の例には、メトスクシミド(methsuximide)およびエトスクシミド(ethosuximide)が含まれる。また、前記薬剤の持続放出調合物、医薬的に許容可能な塩またはプロドラッグだけでなく、前記薬剤の組み合わせも含まれる。
【0060】
1つの実施態様においては、本発明は、ゾニサミドおよびミルタザピンを含む、インスリン耐性の治療用のBGM組成物を対象とする。他の実施態様においては、本発明は、ゾニサミドおよびパロキセチンを含む、インスリン耐性の治療用のBGM組成物を対象とする。更に他の実施態様においては、本発明は、ゾニサミドおよびベンラファキシンを含む、インスリン耐性の治療量のBGM組成物を対象とする。幾つかの実施態様においては、前記実施態様は、更に、インスリンと組み合わせ、インスリンの投与による血中グルコース状態の治療または阻害を可能とする。
【0061】
幾つかの実施態様においては、本発明は、ブプロピオンおよびミルタザピンを含む、血中グルコース状態の阻害用のBGM組成物を対象とする。更なる実施態様においては、本願発明は、ゾニサミドおよびセチプチリンを含む、血中グルコース状態の阻害用のBGM組成物を対象とする。他の実施態様においては、本発明は、ブプロピオンおよびセチプチリンを含む、血中グルコース状態の阻害用のBGM組成物を対象とする。他の実施態様においては、本発明は、ブプロピオンおよびナルトレキソンを含む、血中グルコース状態の阻害用のBGM組成物を対象とする。更に他の実施態様においては、本願発明は、フルオキセチンおよびナルトレキソンを含む、血中グルコース状態の阻害用のBGM組成物を対象とする。他の実施態様においては、本発明は、ゾニサミド、ブプロピオンおよびミルタザピンを含む、血中グルコース状態の阻害用のBGM組成物を対象とする。更に他の実施態様においては、本発明は、ゾニサミド、ブプロピオンおよびセチプチリンを含む、血中グルコース状態の阻害用のBGM組成物を対象とする。幾つかの実施態様においては、前記実施態様のそれぞれにおいて、インスリンも含む。
【0062】
当業者に明らかであるように、インスリンが前記化合物とともに含まれる場合、使用するインスリンの量は、前記化合物の存在下における、対象の糖尿病の治療に有効な量としうる。それ故、基礎的なインスリン濃度だけでなく、ボーラス投与量濃度(例えば、食事についての)も考慮する。前記化合物とインスリンの投与により、インスリンのより低い濃度が可能となり、望ましい到達点(例えば、特定のインスリン濃度または血糖値)をもたらすのにより有効である。それ故、より低い濃度のインスリンの使用は、血中グルコース状態の発症を阻害するのに役立つ。幾つかの実施態様においては、投与するインスリンの量は、1つまたは複数の本明細書に開示する化合物とともに投与する場合、対象において同じ血糖値を達成するために別の方法で投与するのに比べて、より少ない。例えば、インスリンの量は、前記化合物を使用する場合、1-10、10-20、20-30、30-40、450-50、50-60、60-70、70-80、80-90、90-99%以上まで減らすことができる。
【0063】
インスリンは、化合物を投与する組成物の一部となり得る。それ故、幾つかの実施態様においては、インスリンは、前記化合物とともに、医薬組成物中に含まれる。他の実施態様においては、インスリンは、前記化合物とは別個独立している。他の実施態様においては、患者が、前記化合物によって低下または逆転したインスリン耐性にのみ罹患する場合、その対象は、もはや外来性のインスリンを必要とせず、内因性のインスリンの標準的に投与される量が、対象にとって十分となる。
【0064】
(治療方法)
他の態様においては、本発明は、血中グルコース状態を阻害する方法であって、それを必要とする個体を同定する工程、その個体を、血中グルコース濃度を調節するのに有効な量の本明細書に開示するBGM組成物を用いて処理する工程を含む方法に関する。実施態様においては、BGM組成物は、精神治療薬(例えば、α-MSH活性増加剤)および抗けいれん剤を含む。精神治療薬および抗けいれん剤は、前記に開示したものである。幾つかの実施態様においては、前記BGM組成物および以下の方法を、2型糖尿病を阻害するために使用する。他の態様においては、これらを、1型糖尿病を阻害するために使用する。幾つかの実施態様においては、これらを、インスリンとともに投与して、対象に投与するインスリンの量を少なくすることを可能にする。幾つかの実施態様においては、方法は、治療または予防措置を必要とする対象を同定する工程、および、その後に前記化合物またはBGM組成物を対象に投与する工程を含む。場合によっては、外因性インスリンも、対象に投与することができる。好ましくは、化合物またはインスリンの量は、副作用を最小化するのに十分なほど低いが、血中グルコース状態を阻害するのに十分有効なほど高い。1つの実施態様においては、血中グルコース状態は、精神治療薬および/または抗けいれん剤の投与によって引き起こされる。
【0065】
他の態様においては、本発明は、血中グルコース状態を阻害する方法であって、それを必要とする個体を同定する工程、および、その個体を、本明細書に開示するBGM組成物を用いて処理する工程を含む方法に関する。実施態様においては、BGM組成物は、オピオイド受容体活性をアンタゴナイズする第一の化合物、および、α-mSH活性を増加する第二の化合物を含む。幾つかの実施態様においては、オピオイド受容体活性は、オピオイド受容体アンタゴニストを投与することによって、アンタゴナイズされる。オピオイド受容体アンタゴニストは、μ-オピオイド受容体(MOP-R)アンタゴニストとしうる。幾つかの実施態様においては、オピオイド受容体アンタゴニストは、アルビモパン(alvimopan)、ノルビナルトルフィミン(norbinaltorphimine)、ナルメフェン(nalmefene)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)、メチルナルトレキソン(methylnaltrexone)およびナロルフィン(nalorphine)、ならびにその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグから選択される。
【0066】
前記した幾つかの実施態様においては、α-MSH活性は、例えば、本明細書に開示する組み合わせにおける第二の化合物として、精神治療化合物を投与することによって増加し、ここで、精神治療化合物は、α-MSHの遊離を誘導し、または、α-MSHを発現するニューロンの活性を増加する。幾つかの実施態様においては、精神治療化合物は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)または特定の5-HT受容体アゴニスト(例えば2Cアゴニスト、1Bアゴニスト、5HT1bアゴニストまたは5HT2cアゴニスト)である。これらの特定の受容体は、げっ歯類において、より一般的に見出されているが、当業者であれば、他の哺乳類も、機能が類似で、これらの受容体を形成する様々なニューロン上に、セロトニン受容体を有することを理解する。これらの非-げっ歯類、好ましくはヒトのセロトニン受容体のアゴニスト(またはアンタゴニスト)は、本発明の範囲に含まれる。本発明において使用することができるSSRIの例には、フルオキセチン(fluoxetine)、フルボキサミン(fluvoxamine)、セルトラリン(sertraline)、パロキセチン(paroxetine)、シタロプラム(citalopram)、エスシタロプラム(escitalopram)、シブトラミン(sibutramine)、デュロキセチン(duloxetine)およびベンラファキシン(venlafaxine)、ならびにその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグを含む。
【0067】
他の実施態様においては、第二の化合物は、γ-アミノ酪酸(GABA)阻害剤、GABA受容体アンタゴニストまたはGABAチャンネルアンタゴニストである。「GABA阻害剤」については、GABA受容体へのGABAの結合を抑えることによって、または、このような結合の効果を最小化することによって、細胞内でGABAの産生を低下させる、細胞からのGABAの放出を低下させる、またはその受容体上のGABAの活性を低下させる化合物を意味する。GABA阻害剤は、5-HT1b受容体アゴニストとしうる。GABA阻害剤は、アグーチ関連ペプチド(AgRP)遺伝子の発現を抑制することができる、または、GABA阻害剤は、AgRPの産生もしくは放出を抑制することができる。GABA阻害剤は、ニューロペプチドY(NPY)の抑制または放出を抑制することができる。ある実施態様においては、GABA阻害剤は、AgRPを発現するニューロンの活性を抑制する。例えば、GABA阻害剤は、トピラメート(topiramate)、l-(2-(((ジフェニルメチレン)アミノ)オキシ)エチル)-l,2,5,6-テトラヒドロ-3-ピリジンカルボン酸ハイドロクロライド(l-(2-(((diphenylmethylene)amino)oxy)ethyl)-l,2,5,6-tetrahydro-3-pyridinecarboxylic acid hydrochloride (NNC-711))またはビガバトリン(vigabatrin)でありうる。しかしながら、5-HT1bアゴニストは、GABA経路の阻害剤として作用すること無しに、NPY/AgRP/GABAニューロンを阻害することができる(そして、それ故、POMCニューロンを活性化する)と理解される。
【0068】
特定の他の実施態様においては、GABA阻害剤は、プロオピオメラノロルチン(POMC)ニューロンの発現を増加させ、MC3-Rおよび/またはMC4-Rでのより大きなアゴニズムをもたらす。これらの実施態様の幾つかにおいては、GABA阻害剤は、POMCタンパク質の産生または放出を増加させる。特定の他のこれらの実施態様においては、GABA阻害剤は、POMC発現ニューロンでの活性を増加させる。幾つかの実施態様においては、GABA阻害剤は、トピラメートである。
【0069】
他の実施態様においては、第二の化合物は、ドーパミン再取り込み阻害剤である。フェンターミン(phentermine)は、ドーパミン再取り込み阻害剤の一例である。特定の他の実施態様においては、第二の化合物は、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤である。ノルエピネフリン再取り込み阻害剤の例には、ブプロピオン(bupropion)、チオニソセキチン(thionisoxetine)およびレボキセチン(reboxetine)が含まれる。他の実施態様には、第二の化合物がドーパミンアゴニストである場合が含まれる。ドーパミンアゴニストには、カベルゴリン(cabergoline)、アマンタジン(amantadine)、リスリド(lisuride)、ペルゴリド(pergolide)、ロピニロール(ropinirole)、プラミペキソール(pramipexole)およびブロモクリプチン(bromocriptine)が含まれる。更なる実施態様においては、第二の化合物は、ノルエピネフリンリリーサー、例えば、ジエチルプロピオン(diethylpropion)、または混合したドーパミン/ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、例えば、アトモキサチン(atomoxatine)である。
【0070】
特定の他の実施態様においては、第二の化合物は、5-HT1bアゴニスト、例えば、スマトリプタン(sumatriptan)、アルモトリプタン(almotriptan)、ナラトリプタン(naratriptan)、フロバトリプタン(frovatriptan)、リザトリプタン(rizatriptan)、ゾミトリプタン(zomitriptan)および/またはエリトリプタン(elitriptan)である。
【0071】
他の態様においては、本発明は、血中グルコース状態を阻害することであって、それを必要とする個体を同定する工程、および、この個体を、第一の化合物および第二の化合物を含む、有効量のBGM組成物を用いて処理する工程を含み、ここで、第一の化合物が、オピオイドアンタゴニストであり、第二の化合物が、通常の生理学的条件と比較して、メラノコルチン3受容体(MC3-R)またはメラノコルチン4受容体(MC4-R)のアゴニズムの増加をもたらす、血中グルコース状態を阻害することに関する。
【0072】
特定の他の実施態様においては、オピオイドアンタゴニストは、哺乳類において、MOP-Rをアンタゴナイズする。哺乳類は、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、霊長類、例えば、サル、チンパンジーおよび類人猿、ならびにヒトからなる群から選択することができる。
【0073】
幾つかの実施態様においては、オピオイドアンタゴニストは、アルビモパン(alvimopan)、ノルビナルトルフィミン(norbinaltorphimine)、ナルメフェン(nalmefene)、ナロキソン(naloxone)、ナルトレキソン(naltrexone)、メチルナルトレキソン(methylnaltrexone)およびナロルフィン(nalorphine)、ならびにその医薬的に許容可能な塩もしくはプロドラッグから選択される。他の実施態様においては、オピオイドアンタゴニストは、部分的なオピオイドアゴニストである。このクラスの化合物は、オピオイド受容体に対して幾らかのアゴニスト活性を有する。部分的なオピオイドアゴニストの例には、ペンタコジン(pentacozine)、ブプレノルフィン(buprenorphine)、ナロルフィン(nalorphine)、プロピラム(propiram)およびロフェキシジン(lofexidine)が含まれる。
【0074】
幾つかの実施態様においては、治療を受ける対象または患者は、糖尿病(1型糖尿病および/または2型糖尿病)を有する患者を同定することによって、同定される。幾つかの実施態様においては、患者または対象は、インスリン耐性を有する患者を同定することによって、同定される。幾つかの実施態様においては、患者または対象は、インスリン耐性を有する患者を同定することによって、同定される。他の実施態様においては、患者または対象は、高インスリン血を有する患者を同定することによって、同定される。他の実施態様においては、患者または対象は、耐糖能異常(グルコース耐性異常または空腹時グルコース異常)を有する患者を同定することによって、同定される。他の実施態様においては、患者または対象は、高血糖を有する患者を同定することによって、同定される。これは、患者に投与するインスリンの絶対量または相対量、および、得られた血糖値の変化を測定することによって、または、単純に、患者に投与するインスリンの量を求め、そして、その量が、予想される内因性の量よりも多いかを求めることによって、実施することができる。代替的には、これは、患者が特定の到達点または結果を得るために必要なインスリンの量を増加に着目することによって、実施することができる。幾つかの実施態様においては、インスリンを受け取る任意の患者または対象は、前記組成物または方法から利益を受けることができる。他の実施態様においては、任意の前記化合物(例えば、オピオイドアゴニスト、精神治療薬、抗けいれん剤、またはこれらの組み合わせ)は、単純に、化合物を対象に投与し、患者の内因性インスリン濃度が患者の血糖値を制御することを可能とすることによって、単独で、1つまたは複数の前記の状態について使用することができる。
【0075】
本発明の更なる実施態様においては、患者は、精神治療薬(例えば、抗精神病薬)、オピオイドアンタゴニスト、抗けいれん剤、またはこれらの組み合わせを含む組成物を、グルコースとは関係ない目的で既に投与されており、そして、血中グルコース状態の治療を必要とする。これらの実施態様においては、投与する組成物の量は、血中グルコース状態を阻害するために、調節することができる。これらの実施態様の幾つかにおいては、血中グルコース状態は、血中グルコース濃度を増加させることが望ましい状態である。これらの実施態様の幾つかにおいては、投与する組成物の量は、減らすことができる。
【0076】
幾つかの実施態様においては、血中グルコース状態を阻害することは、個体に、精神治療薬(α-MSH活性増加剤)および抗けいれん剤を含む有効量のBGM組成物を投与する工程を含む。幾つかの実施態様においては、精神治療薬および抗けいれん剤は、おおよそ同時に投与する。他の実施態様においては、精神治療薬は、抗けいれん剤の前に投与する。更なる他の実施態様においては、精神治療薬は、抗けいれん剤の後で、投与する。これらの化合物は、インスリンと実質的に同時に投与し、それにより、インスリンが、血糖値をより有効に低下させる。代替的に、インスリンは、1つの化合物とともに投与することができ、他の化合物は、その後で添加する。代替的に、インスリンは、化合物の前に、投与することができる。当業者に明らかであるように、前記化合物が作用する速度、および、それらが作用する期間によって、インスリンを、いつ、どのようにして、どれぐらいの量を添加すべきか求まる。当然のことながら、これらのオーダーおよび方法は、オピオイドアンタゴニストを含む任意の化合物に適用することができる。
【0077】
特定の実施態様においては、BGM組成物の化合物は、個々に、または、別々に投与する;他の実施態様においては、これらは、一緒に投与する。他の実施態様においては、化合物は、お互いに共有結合し、単一の化合物を形成する。この単一の化合物は、その後、消化され、2つの別々の生理学的に活性な化学部分へと代謝される;その1つは、一方の化合物(例えば精神治療薬)であり、他は、他方の化合物(例えば抗けいれん剤)である。結合した化合物は、投与のために、インスリンと混合することができる。幾つかの実施態様においては、インスリンは、また、化合物の1つまたは両方と結合している。化学結合は、身体に入った後で、酵素作用、酸性加水分解、塩基性加水分解などによって結合が壊れ、その後、2つの別々の化合物が形成されるように、選択される。
【0078】
本発明の態様は、少なくとも部分的には、血中グルコース状態、例えば、インスリン耐性または2型糖尿病の危険性、副作用または兆候を阻害する方法を提供する。これらの方法は、抗けいれん剤および/または本明細書に開示する任意の化合物を含むBGM組成物の使用を含む。他の実施態様においては、インスリン耐性は、完全に逆転し、または、発症から予防される。幾つかの実施態様においては、兆候は、組成物の投与が無い場合に予期される兆候を減少させ、または遅らせる。幾つかの実施態様においては、前記化合物の1つ(例えば、抗けいれん剤、精神治療薬および/またはオピオイドアンタゴニスト)のインスリンへの添加を、1-10、10-20、20-30、30-40、40-50、50-60、60-70、70-80、80-90、90-99または100%まで兆候を減少させるのに、使用することができる。兆候または兆候の重篤度は、標準からの、幾らからの定量可能な量(例えば、血糖値またはインスリン濃度)の、ホストにおける逸脱として測定することができ、または、例えば、ホストに付与される薬剤の量として(例えば、ホストに抗けいれん剤も投与する場合、ホストは、望む効果のために、30%より少ない外部から投与するインスリンが必要である)測定することができる。
【0079】
特定の実施態様においては、抗けいれん剤は、哺乳類における、血中グルコース状態に関連したけいれんを減少するのに有効である。哺乳類は、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、霊長類、例えば、サル、チンパンジーおよび類人猿、ならびにヒトからなる群から選択することができる。当業者に明らかであるように、抗けいれん剤は、けいれんの危険または可能性を有さない対象においては、けいれんを実際に防ぐ必要はない。成句「けいれんを減少する」を使用する場合、特定の治療を、けいれんの危険を有する患者に行った時に、けいれんの患者の危険が減少するという事実を意味する。しかしながら、けいれんの危険は、けいれんに罹患する危険を有さない患者において、実際に生じる必要はない。むしろ、意味することは、類似の生化学メカニズムまたは経路は、両方の患者において、活性化または抑制されている。
【0080】
特定の実施態様においては、BGM組成物の第一の化合物は、ゾニサミドであり、第二の化合物は、ミルタザピンである。他の実施態様においては、第一の化合物は、ブプロピオンであり、第二の化合物は、ミルタザピンである。更なる実施態様においては、第一の化合物は、ゾニサミドであり、第二の化合物は、セチプチリンである。他の実施態様においては、第一の化合物は、ブプロピオンであり、第二の化合物は、セチプチリンである。更なる実施態様においては、第一の化合物は、ゾニサミドとブプロピオンとの組み合わせであり、第二の化合物は、ミルタザピンである。更に他の実施態様においては、第一の化合物は、ゾニサミドとブプロピオンとの組み合わせであり、第二の化合物は、セチプチリンである。当業者に明らかであるように、任意の前記の化合物を、インスリンと混合することができ、または、インスリンとともに投与することができる。
【0081】
幾つかの実施態様においては、第一の化合物は、ゾニサミドであり、第二の化合物は、本明細書に開示するリチウムの塩であり、本明細書に開示する調合物である。他の実施態様においては、第一の化合物は、ゾニサミドであり、第二の化合物は、バルプロ酸、または医薬的に許容可能な塩、例えば、バルプロエートの異なる塩、そのエステル、アミドもしくはプロドラッグである。当業者に明らかであるように、任意の前記化合物を、インスリンと混合することができ、または、インスリンとともに投与することができる。
【0082】
幾つかの実施態様においては、BGM組成物の第一の化合物は、トピラメートであり、第二の化合物は、本明細書に開示するリチウムの塩であり、本明細書に開示する調合物である。他の実施態様においては、第一の化合物は、トピラメートであり、第二の化合物は、バルプロ酸、または医薬的に許容可能な塩、例えば、バルプロエートの異なる塩、そのエステル、アミドもしくはプロドラッグである。当業者に明らかであるように、任意の前記化合物を、インスリンと混合することができ、または、インスリンとともに投与することができる。
【0083】
1つの実施態様においては、方法は、インスリンを受ける哺乳類に、血中グルコース状態を経験する対象の危険を阻害するのに少なくとも十分な量のゾニサミドを投与する工程を含む。代替的な実施態様においては、方法は、抗うつ剤を受ける哺乳類に、ゾニサミドもしくはトピラメートまたは他の抗けいれん剤(カイネート/AMPA(D,L-α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-イソオキサゾールプロピオン酸)サブタイプグルタメート受容体をブロックする薬剤を含む)と、ブプロピオンまたは再取り込み阻害または他のメカニズムを介したノルエピネフリンおよび/もしくはドーパミンの活性を増加する他の化合物との組み合わせを、対象が血中グルコース状態を経験する危険を低下するのに十分な量で、投与する工程を含む。
【0084】
特定の実施態様においては、本発明の方法における使用のためのインスリン感受性化剤には、ゾニサミドまたはトピラメート(およびその医薬的に許容可能な塩)が含まれる。他の実施態様においては、他のメタンスルホンアミド誘導体、例えば米国特許明細書第4,172,896号に開示された誘導体、または他のスルファメート(スルファメート-置換モノサッカリドを含む)、例えば米国特許明細書第4,513,006号に開示されたスルファメートを使用する。これらの引用文献の両方は、参照によって、その全体が本明細書に導入される。他の実施態様においては、精神治療薬またはオピオイドアンタゴニストが存在せずに抗けいれん剤の使用を含む特定の化合物は、非-スルファメート抗けいれん剤である。ゾニサミドは、非-スルファメート抗けいれん剤の例である。
【0085】
更なる実施態様においては、インスリン感受性化剤は、ブプロピオンであり;一方、他の態様においては、米国特許明細書第3,8179,706および3,885,046号(これらは、参照によって、その全体が本明細書に導入される)に開示された1つまたは複数の化合物を使用する。更なる実施態様においては、インスリン感受性化剤は、例えば、再取り込み阻害または他のメカニズムによって、ノルエピネフリンおよび/またはドーパミンの活性を増加する化合物である。インスリン感受性化剤は、血中グルコース状態が患者に発症する可能性を減少する薬剤であり、例えば、オピオイドアンタゴニスト、精神治療薬および抗けいれん剤を含みうる。
【0086】
ノルエピネフリンおよび/またはドーパミンの活性を増加する化合物は、ノルエピネフリンアゴニスト、例えば、フェンジメトラジン(phendimetrazine)およびベンズフェタミン(benzphetamine);ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、例えば、アトモキセチン(atomoxetine)、ブプロピオン(bupropion)、チオニソキセチン(thionisoxetine)およびレボキセチン(reboxetine);ドーパミンアゴニスト、例えば、カベルゴリン(cabergoline)、アマンタジン(amantadine)、リスリド(lisuride)、ペルゴリド(pergolide)、ロピニロール(ropinirole)、プラミペキソール(pramipexole)および/またはブロモクリプチン(bromocriptine);ノルエピネフリンリリーサー、例えば、ジエチルプロピン(diethylpropion);混合したドーパミン/ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、例えば、ブプロピオン(bupropion);ドーパミン再取り込み阻害剤とノルエピネフリン再取り込み阻害剤との組み合わせ、例えば、ブプロピオン(bupropion)およびマジンドール(mazindol);または選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)とノルエピネフリン再取り込み阻害剤との組み合わせ、例えば、シブトラミン(sibutramine)、ベンラファキシン(venlafaxine)およびデュロキセチン(duloxetine)を含む。
【0087】
治療に適した患者および対象には、前記したような同定した患者および対象だけでなく、インスリン、インスリン誘導体、または対象もしくは患者において血糖値を調節する化合物を受ける患者および対象も含まれる。
【0088】
本発明によって、例えば、ゾニサミドまたはトピラメートとブプロピオンとの組み合わせ(持続放出調製物などの放出制御形態を含む)によって、血中グルコース状態を阻害するのに有効な手段が提供される。この組み合わせは、例えば、ゾニサミドまたはトピラメート単独での治療よりも有効であり、そして、副作用がより少ない。神経薬理学的に、全ての3つの主要な神経伝達物質、例えば、セロトニン、ノルエピネフリンおよびドーパミンは、例えば、ブプロピオンとゾニサミドまたはトピラメートとの組み合わせを用いて、標的化される。例えば、ゾニサミドまたはトピラメートの副作用(例えば、眠気、精神運動遅延、認識機能障害、疲労およびうつ)は、例えば、ブプロピオンの不眠、活性化、精神運動性激越および抗うつ効果によって、相殺される。一方、ゾニサミドまたはトピラメートは、例えば、ブプロピオンなどに関連した発作の危険性を低下させることができる。より少ない投与量の両方のタイプの医薬を、組み合わせ治療において使用することができ、それにより、更に全体的な副作用の苦しみを低下させる。当然ながら、望む化合物を、インスリンとともに対象に投与する一般的で信頼性のある手段を提供するために、インスリンを、任意の前記の組み合わせに添加することができる。
【0089】
ゾニサミドの薬物動態解析については、その腎排せつ、および、肝ミクロゾーム酵素の阻害または誘導の最小限の可能性は、抗うつ剤、特により新規の世代の抗うつ剤を用いた組み合わせ使用の概念に対する好ましい性質である。以下の記載は、前記した組成物の更なる実施態様であり、前記した方法において使用することができる様々な医薬組成物を開示する。
【0090】
(医薬組成物)
他の態様においては、本発明は、前記した、精神治療薬、抗けいれん剤および/もしくはインスリンの組み合わせを含む、または、前記した、結合した分子、および生理学的に許容可能な担体、希釈剤もしくは賦形剤、もしくはそれらの組み合わせを含む医薬組成物に関する。
【0091】
適した投与の経路および適した組成物の幾つかの実施態様の詳細は、例えば、米国特許明細書第6,110,973、5,763,493、5,731,000、5,541,231、5,427,798、5,358,970および4,172,896号だけでなく、本明細書に引用する特許において見出すことができる。これらは全て、図面を含めて、参照によって、その全体が本明細書に導入される。当業者に明らかであるように、インスリンの伝達または少なくとも1つの化合物について適切である任意の方法は、組み合わせの伝達について適切でありえる。例えば、化合物を、一回の注入で全て、皮下に投与することができる。
【0092】
本明細書に開示する医薬組成物は、ヒト患者それ自身に投与することができ、または、組み合わせ治療において、他の活性成分と、もしくは適した単体もしくは賦形剤と組み合わせた場合に、医薬組成物中で投与することができる。即座の投与の化合物の調合および投与のための方法は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」 Mack Publishing Co., Easton, PA, 18th edition, 1990において見出すことができる。医薬組成物および投与方法に関する以下の議論は、化合物だけでなく、組成物全体および任意のインスリンにも適用できる。
【0093】
投与の適した経路は、例えば、経口、直腸、経粘膜または腸投与;筋肉内、皮下、血管内、髄内注入、更には髄腔内、直接心室内、腹腔内、鼻腔内または眼球内注入を含む非経口伝達を含みうる。幾つかの実施態様においては、組成物の少なくとも1つの成分を、1つの投与経路によって投与することができるのに対して、組成物の少なくとも1つの他の成分を、他の投与経路によって投与することができる。例えば、インスリンを、皮下注入によって投与し、精神治療薬を、経口で投与することができる。
【0094】
代替的に、全身よりも局所に、例えば、直腸または心臓領域への直接的な化合物の注入を介して、たびたび持続性薬剤または徐放性調合物中で、化合物および/またはインスリンを投与することができる。更にその上、標的化薬物伝達システムで、例えば、組織特異的抗体でコーティングしたリポソームで、薬物を投与することができる。リポソームは、選択的に、組織へと標的化され、そして、組織に集まる。
【0095】
本発明の医薬組成物は、それ自身よく知られた方法で、例えば、一般的な混合、溶解、顆粒化、糖衣錠化、ゲル化、乳化、カプセル化、封入または錠剤化方法によって、製造することができる。
【0096】
本発明による使用のための医薬組成物は、それ故、活性化合物の医薬的に使用することができる調合物への加工を容易にする賦形剤および助剤を含む、1つまたは複数の生理学的に許容可能な担体を使用して、一般的な方法で調合することができる。適切な調合物は、選択した投与経路に依存する。任意の既知の方法、担体および賦形剤は、当該業界(例えば、前記のRemington’s Pharmaceutical Scienceにおいて)で最適、そして理解されているように、使用することができる。
【0097】
注入については、本発明の化合物および/またはインスリンは、水溶液、好ましくは、生理学的に適合可能なバッファー、例えば、Hank溶液、Ringer溶液または生理的食塩水中で調合することができる。経皮投与については、浸透すべきバリアーに適する浸透剤を、調合物中で使用する。このような浸透剤は、当該業界において、一般的に知られている。
【0098】
経口投与については、化合物および/またはインスリンは、活性化合物を、当該業界でよく知られた医薬的に許容可能な担体と組み合わせることによって、容易に調合することができる。このような担体によって、本発明の化合物および/またはインスリンを、治療すべき患者による経口摂取のための、錠剤、ピル、糖錠衣、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として調合することができる。経口での使用のための医薬調合物は、1つまたは複数の固体の賦形剤を、本発明の医薬的な組み合わせと混合すること、任意に、得られた混合物を砕くこと、そして、望むならば、適した助剤を添加した後に、顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠のコアを得ることによって、得ることができる。適した賦形剤は、特に、フィラー、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖;セルロース調合物、例えば、トウモロコシスターチ、小麦スターチ、コメスターチ、ポテトスターチ、ゼラチン、ガムトラガカンス(gum tragacanth)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。望むならば、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩を加えることができる。放出制御形態の本明細書に開示するBGM組成物が、特に意図され、それには、徐放性調合物が含まれる。放出制御形態を調合する方法は、当業者に知られており、本明細書に提供するガイドラインによって情報が与えられる通常の実験を使用して、放出制御BGM組成物を調製するのに適用することができる。
【0099】
糖衣錠のコアには、適切なコーティングが付与される。この目的のために、濃縮した糖溶液を使用することができ、この糖溶液には、任意に、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適した有機溶媒または溶媒混合物を含みうる。色素または顔料は、異なる組み合わせの活性化合物投与を同定し、または、特徴づけるために、錠剤または糖衣錠のコーティングに添加することができる。
【0100】
舌下を含む経口で使用できる医薬組成物は、ゼラチンでできたプッシュ-フィットカプセルだけでなく、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)でできたシールしたソフトカプセルをも含む。プッシュ-フィットカプセルは、ラクトースなどのフィラー、スターチなどのバインダー、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑剤、そして任意に安定化剤を含む混合物中で、活性成分を含みうる。ソフトカプセルにおいては、活性化合物および/またはインスリンは、適した液体、例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に、溶解または懸濁することができる。加えて、安定化剤を加えることができる。経口投与のための全ての調合物は、このような投与に適した用量とするべきである。
【0101】
口腔投与については、BGM組成物は、一般的な方法で調合された錠剤またはトローチの形態をとることができる。
【0102】
吸引による投与については、本発明による使用のための化合物および/またはインスリンは、都合のよいことには、エアロゾルスプレーの形態で、加圧パックまたは噴霧器から、適した高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適したガスを用いて、伝達される。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、メーターに表示される量を伝達する値を提供することによって、求めることができる。化合物および適した粉末ベース、例えばラクトースまたはスターチの粉末混合物を含む、例えば、吸入器(inhaler, insufflator)において使用するためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジを、調合することができる。
【0103】
BGM組成物および/またはインスリンは、注入による、例えば、ボーラス注入または連続注入による非経口投与のために、調合することができる。注入用の調合物は、投与量単位形態で例えば、アンプルまたは複数回投与のコンテナー内に、追加の防腐剤とともに、存在することができる。BGM組成物は、油性または水溶性ベヒクル中で、懸濁物、溶液またはエマルジョンのような形態をとることができ、製剤化剤(formulatory agent)、例えば、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤を含むことができる。
【0104】
非経口投与用の製薬的製剤は、水可溶性形態の活性化合物の水溶液を含む。加えて、活性化合物および/またはインスリンの懸濁液は、適当な油性注射用懸濁液として調製することができる。適当な親油性溶剤またはビヒクルは、脂肪油、例えば胡麻油、または合成脂肪酸エステル、例えば、エチルオレエートもしくはトリグリセリド、またはリポソームを含む。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘度を高める物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含むことができる。任意に、懸濁液は、また、適当な安定化剤、または、高濃度溶液の調製を可能にするために化合物および/またはインスリンの溶解度を高める作用剤を含むこともできる。
【0105】
代替的には、活性成分は、使用前に、適当なビヒクル、例えば、発熱性物質を含まない無菌水によって構成するための粉末形態であることができる。
【0106】
化合物および/またはインスリンは、また、例えば、カカオ脂または他のグリセリドのような慣用的座薬基剤を含む座薬または停留浣腸剤などの直腸用組成物として調合することもできる。
【0107】
前述した調合物の他に、化合物および/またはインスリンを、持続性薬剤として調合することもできる。このような長期間作用する調合物は、移植(例えば、皮下もしくは筋肉内に)または筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、化合物を、適当なポリマー物質もしくは疎水性物質(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)もしくはイオン交換樹脂と一緒に、または難溶性誘導体として、例えば難溶性塩として、調合することができる。
【0108】
本発明の疎水性化合物および/またはインスリンのための製薬的キャリヤーは、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマーおよび水性相を含む共溶剤系である。使用される一般的な共溶剤系は、VPD共溶剤系であり、このVPD共溶媒系は、無水エタノール中で全体量(volume)まで構成された、3% w/vベンジルアルコール、8% w/v非極性界面活性剤ポリソルベート80(商標)、および65% w/vポリエチレングリコール300の溶液である。当然のことながら、共溶剤系の割合は、その溶解性および毒性特徴を損なうことなく、かなり変えられることができる。その上、共溶剤系成分の実体(identity)も変えられることができ;例えば、ポリソルベート80(商標)の代わりに、他の低毒性非極性界面活性剤を用いることができる;ポリエチレングリコールのフラクションサイズを、変えることができる;他の生体適合性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンを、ポリエチレングリコールと置換することができる;および、デキストロースの代わりに、他の糖または多糖類を用いることができる。
【0109】
代替的には、疎水性医薬化合物および/またはインスリンのために他の伝達システムを用いることができる。リポソームとエマルジョンは、疎水性薬物のためのデリバリービヒクルまたはキャリヤーの良く知られた例である。ある種の有機溶剤、例えば、ジメチルスルホキシドも、用いることができるが、通常、より高い毒性を犠牲にする。更に、化合物は、持続放出系、例えば、治療剤を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを用いて、伝達することができる。種々の持続放出性物質が確立されており、当業者によって知られている。持続放出性錠剤は、それらの化学的性質に依存して、化合物を、数週間から100日間にわたって放出する。治療用試薬の化学的性質と生物学的安定性とに依存して、タンパク質安定化のための付加的方法を用いることができる。
【0110】
本発明の医薬組成物で使用される化合物および/またはインスリンの多くは、医薬的に適合可能な対イオンとの塩として提供することができる。医薬的に適合可能な塩は、これらに限定されるわけではないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含む多くの酸を用いて、形成することができる。塩は、対応する遊離の酸または塩基形態よりも、水溶性または他のプロトン性溶媒に、より溶けやすい傾向を有する。
【0111】
本発明における使用に適した医薬BGM組成物には、活性成分を、望む目的を達成するのに有効な量で含む組成物が含まれる。より具体的には、治療上有効な量とは、病気の兆候、病気の悪化を予防し、安定化し、緩和し、そして改善し、または治療する対象の生存を伸ばすのに有効な量の化合物または組成物を意味する。治療上有効な量の決定は、特に、本明細書で提供する詳細な開示に照らせば、当業者の能力の範囲内である。
【0112】
(投与量および組み合わせ)
本発明の医薬組成物の厳密な調合、投与経路および投与量は、個々の医師が患者の状態に照らし合わせて選択することができる。(例えば、Finglら、1975、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、第1章、1頁を参照されたい。)典型的には、患者に投与される組成物の投与量範囲は、患者の体重の約0.5から1000mg/kgであり得る。投与量は、患者の必要に応じて、単一投与量であってもよいし、1日間以上の過程に与えられる一連の2つ以上の投与量であってもよい。本開示に記載されている具体的な化合物およびインスリンのほぼすべてについて、少なくとも幾つかの状態を治療するためのヒト投与量が確立されたことに留意されたい。したがって、たいていの場合、本発明は、それらの同じ投与量、または確立されたヒト投与量の約0.1%から500%、約1%から約500%、約10%から約500%、約25%から約500%、約50%から約500%、約100%から約500%、約250%から約500%、約0.1%から約250%、約1%から約250%、約10%から約250%、約25%から約250%、約50%から約250%、約100%から約250%、約0.1%から約100%、約1%から約100%、約10%から約100%、約25%から約100%、約50%から約100%、約0.1%から約50%、約1%から約50%、約10%から約50%、約25%から約50%、約0.1%から約25%から約1%から約25%、約10%から約25%、約0.1%から約10%、約1%から約10%または約0.1%から1%の投与量を用いることになる。新たに発見された医薬化合物の場合のように、ヒト投与量が確立されていない場合は、好適なヒト投与量をED50またはID50値、あるいは動物における毒性試験および効能試験によって裏づけられた、インビトロまたはインビボ試験から導かれた他の適切な値から推断することができる。インスリンの投与量については、幾つかの実施態様においては、他の化合物の効果が原因で、単位投与量として、より少ない量が必要となる。しかしながら、このより少ない投与量は、本明細書に開示する手法および方法を使用することによって、ならびに、当業者の知識によって、容易に求めることができる。
【0113】
当業者に明らかであるように、様々な化合物(例えば、オピオイドアンタゴニスト、精神治療薬および/または抗けいれん剤)ならびにインスリンの量は、特定の状況に依存して、変化しうる。厳密な投与量または量は、本開示に照らして、当業者によって求めることができる。
【0114】
各組成物とともに、または各組成物中で投与されるインスリンの量は、使用される特定の状況に依存して、変化しうる。幾つかの実施態様においては、わずかな単位(例えば、0.1-0.2、0.2-0.3、0.3-0.4、0.4-0.5、0.5-0.6、0.6-0.7、0.7-0.8、0.9-0.99 U)のインスリンのみから、2以上の単位のインスリンを含む。このような濃度のインスリンは、基礎的なインスリン治療にとって有用でありうる。追加の化合物(例えば、抗けいれん剤または精神治療薬)の量は、適宜、調整することができる。他の実施態様においては、インスリンの量は、より高い、例えば、2-5、5-10、10-15または15-20 Uである。当然のことながら、加えるインスリンの量は、対象の活性、対象のサイズおよび性別だけでなく、インスリンが患者の血糖値を変更することになっている時間にも依存しうる。加えて、前記化合物は対象のインスリン感受性を増加させるので、前記化合物の量は、また、加えるインスリンの量を低下させることができる。例えば、99-90、90-80、80-70、70-60、60-50、50-40、40-30、30-20、20-10、10-1%の量のインスリンは、使用する前記化合物の量に依存して、使用することができる。
【0115】
化合物(例えば、オピオイドアンタゴニスト、精神治療薬および/または抗けいれん剤)の厳密な投与量は、薬物毎に決定されるが、たいていの場合、投与量に関するいくつかの一般法則を作成することができる。成人患者の日投与量投薬計画は、例えば、本発明の医薬組成物、または遊離塩基として計算されたその医薬的に許容可能な塩の各成分が、0.1mgから6000mg、好ましくは1mgから5000mg、例えば25から5000mgの各成分の経口投与量、あるいは0.01mgから100mg、好ましくは0.1mgから60mg、例えば1から40mgの各成分の静脈内、皮下または筋肉内投与量であってもよく、組成物が1日当たり1から4回投与されてもよい。代替的には、本発明の組成物を、好ましくは1日当たり400mgまでの各成分の投与量で、連続的な静脈内注入によって投与することができる。したがって、各成分の経口投与による全日投与量は、典型的には1から2500mgの範囲にあり、非経口投与による全日投与量は、典型的には0.1から400mgの範囲にある。好適には、化合物は、連続的治療の期間にわたって、例えば、1週間以上にわたって、または数カ月間もしくは数年間にわたって投与されることになる。インスリンと混合することができる様々な化合物の量の特定の例を、以下に開示する。
【0116】
幾つかの実施態様においては、炭酸リチウムの投与量範囲は、経口投与については、約0.5から約1.5meq/lであるリチウムの血中濃度をもたらす。好ましい実施態様においては、炭酸リチウムの投与量範囲は、経口投与については、約900mg/dayである。
【0117】
特定の実施態様においては、バルプロエートの投与量範囲は、経口投与については、約250から約5000mg/dayの範囲である。好ましい実施態様においては、バルプロエートの投与量範囲は、経口投与については、約1500mg/dayである。
【0118】
更なる実施態様においては、ゾニサミドの投与量範囲は、経口投与については、一日当たり約25から約600mgの範囲である。幾つかの実施態様においては、投与量は、一日当たり25mgである。他の実施態様においては、投与量は、一日当たり50mgである。更に他の実施態様においては、投与量は、一日当たり100mgである。
【0119】
更なる実施態様においては、ミトラゼピン(mitrazepine)の投与量範囲は、経口投与については、一日当たり約5から約500mgの範囲である。幾つかの実施態様においては、投与量は、一日当たり8mgである。他の実施態様においては、投与量は、一日当たり16mgである。更に他の実施態様においては、投与量は、一日当たり32mgである。幾つかの実施態様においては、投与量は、一日当たり15mgである。他の実施態様においては、投与量は、一日当たり30mgである。更に他の実施態様においては、投与量は、一日当たり45mgである。
【0120】
他の実施態様においては、ベンラファキシノール ベンラファキシンXR(venlafaxinor venlafaxin XR)の投与量範囲は、経口投与については、一日当たり約20mgから約600mgの範囲である。幾つかの実施態様においては、投与量は、一日当たり25mgである。他の実施態様においては、投与量は、一日当たり37.5mgである。更に他の実施態様においては、投与量は、一日当たり50mgである。幾つかの実施態様においては、75mgである。他の実施態様においては、投与量は、一日当たり100mgである。更に他の実施態様においては、投与量は、一日当たり150mgである。
【0121】
前記したように、任意の前記の化合物は、更に、方法または組成物中のインスリンと混合することができる。
【0122】
変調効果または最小有効濃度(MEC)を維持するのに十分である化合物および/またはインスリンの血漿濃度を与えるように投与量および間隔を個別に調整することができる。MECは、化合物毎に異なるが、インビトロデータから推定できる。MECを達成するのに必要な投与量は、個々の特性および投与経路に依存することになる。しかしながら、HPLCアッセイまたはバイオアッセイを用いて、血漿濃度を決定することができる。
【0123】
MEC値を用いて投与間隔を決定することもできる。血漿濃度を時間の10〜90%、好ましくは30〜90%、最も好ましくは50〜90%にわたってMECより高く維持する投薬計画を用いて組成物を投与すべきである。関連時間の期間は、完全である必要はなく、例えば、食事中または睡眠中とすることができる。
【0124】
局部投与または選択的取込みの場合は、薬物の有効局部濃度を血漿濃度に関連づけることはできない。
【0125】
投与される組成物の量は、当然のことながら、治療されている対象、対象の体重、病気の重度、投与方法および処方医の判断に依存することになる。
【0126】
組成物は、要望に応じて、活性成分を含む1つまたは複数の投与量単位の形態を含むことができるパックまたはディスペンサデバイスで提供されてもよい。パックは、例えば、ブリスターパックのような金属またはプラスチック箔を含むことができる。パックまたはディスペンサに投与説明書を添えることができる。医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形態で容器に貼付される通知書であって、ヒトまたは獣医投与のための薬物の形態についての該機関による承認を反映する通知書をパックまたはディスペンサに添えることもできる。当該通知書は、例えば、処方薬または承認された製品の挿入に対して米国食品医薬品局が承認した標示であってもよい。適合し得る医薬担体中に調合された本発明の化合物を含む組成物を調製し、適切な容器に仕込み、指定された状態の治療についてラベル標示することもできる。幾つかの実施態様においては、前記パックまたはキットは、化合物(例えば、オピオイドアンタゴニスト、精神治療薬および/または抗けいれん剤)だけでなく、インスリンも含む。キットは、また、インスリンを投与する手段、例えば、皮下注入のための針と注射を含むことができる。
【0127】
本発明の主旨から逸脱することなく、多くの修正および様々な修正を加えることができることを当業者なら理解するであろう。したがって、本発明のそれらの形態は、例示にすぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものでないことを明確に理解すべきである。加えて、前記開示の様々なセクションは、使用しやすいだけであって、1つの部分に由来するセクションを、他の部分から除外することを意味するものではない。
【0128】
Gadde et al, Obesity Res. 9:544-551 (2001)およびGadde et al, JAMA 289:1820-1825 (2003)のように、前記で引用した全ての文献および他の情報源は、参照によって、その全体が本明細書に導入される。
【0129】
当業者に明らかであるように、インスリンを含む任意の前記方法および組成物は、インスリンを含まないように、改変することができる。同じように、インスリンを含まない任意の前記方法または組成物は、すでに明らかにまだインスリンを含んでいない場合、インスリンを含むように、改変することができる。例えば、インスリンおよびα-MSH活性増加剤または精神治療薬を含む医薬組成物は、血中グルコース状態を阻害する方法として、患者に投与することができるのに対して、患者は、単純にα-MSH活性増加剤の投与によって利益を受けることができ、それ故、インスリンは、方法それ自身の一部として、加える必要はない。BGM組成物を明細書に開示する対象に投与する方法は、対象の血中グルコース濃度の測定値を得る工程を含みうる。このような測定は、対象または他のヒト、例えば、医療専門家によって、当業者に知られた方法を使用して、実施することができる。実施態様においては、BGM組成物を明細書に開示する対象に投与する方法は、更に、対象の血中グルコース濃度の測定値を得た後に、組成物の投与量を調整する工程を含む。実施態様においては、BGM組成物を本明細書に開示する対象に投与する方法は、更に、毎日の指示を患者に提供する工程を含む。
【0130】
実施態様によって、読み手に、BGM組成物の対象とするレシピエントの血中グルコース濃度をモニターすることを教える取扱説明書とともに、本明細書に開示するBGM組成物を含むパッケージが提供される。
【0131】
(本発明の幾つかの実施態様)
本発明の実施態様の幾つかを、以下に記す。
【0132】
第一の実施態様においては、本発明は、精神治療薬、抗けいれん剤、または精神治療薬および抗けいれん剤の両方、ならびにインスリンを含む、血中グルコース状態を阻害するための組成物に関する。
【0133】
第二の実施態様においては、本発明は、第一の実施態様の組成物であって、前記精神治療薬が、ブプロプリオン(buproprion)、炭酸リチウム(lithium carbonate)、クエン酸リチウム(lithium citrate)、バルプロエート(valproate)、オランザピン(olanzapine)、それらの混合物、およびその医薬的に許容可能な塩またはプロドラッグからなる群から選択される、組成物に関する。
【0134】
第三の実施態様においては、本発明は、第一の実施態様の組成物であって、前記抗けいれん剤が、トピラメート(topiramate)およびゾニサミド(zonisamide)ならびにその医薬的に許容可能な塩またはプロドラッグ、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物に関する。
【0135】
第四の実施態様においては、本発明は、第一の実施態様の組成物であって、前記抗けいれん剤が、ゾニサミドである、組成物に関する。
【0136】
第五の実施態様においては、本発明は、第四の実施態様の組成物であって、前記精神治療薬が、炭酸リチウムまたはクエン酸リチウムである、組成物に関する。
【0137】
第六の実施態様においては、本発明は、第四の実施態様の組成物であって、前記精神治療薬が、バルプロエートである、組成物に関する。
【0138】
第七の実施態様においては、本発明は、第一の実施態様の組成物であって、前記精神治療薬が、リチウムの塩であり、前記抗けいれん剤が、ゾニサミドである、組成物に関する。
【0139】
第八の実施態様においては、本発明は、第一の実施態様の組成物であって、前記精神治療薬が、バルプロ酸、またはその医薬的に許容可能な塩、エステル、アミドもしくはプロドラッグであり、前記抗けいれん剤が、ゾニサミドである、組成物に関する。
【0140】
第九の実施態様においては、本発明は、第一の実施態様の組成物であって、前記精神治療薬が、ミルタザピンであり、前記抗けいれん剤が、ゾニサミドである、組成物に関する。
【0141】
第十の実施態様においては、本発明は、第一の実施態様の組成物であって、前記精神治療薬が、ブプロピオンであり、前記抗けいれん剤が、ゾニサミドである、組成物に関する。
【0142】
第十一の実施態様においては、本発明は、第一の実施態様の組成物であって、前記精神治療薬が、セチプチリンであり、前記抗けいれん剤が、ゾニサミドである、組成物に関する。
【0143】
第十二の実施態様においては、本発明は、第一の実施態様の組成物であって、前記精神治療薬が、ブプロピオンであり、前記抗けいれん剤が、トピラメートである、組成物に関する。
【0144】
第十三の実施態様においては、本発明は、第一の実施態様の組成物であって、前記精神治療薬が、ブプロピオンとミルタザピンとの組み合わせであり、前記抗けいれん剤が、ゾニサミドである、組成物に関する。
【0145】
第十四の実施態様においては、本発明は、第一の実施態様の組成物であって、前記精神治療薬が、ブプロピオンとセチプチリンとの組み合わせであり、前記抗けいれん剤が、ゾニサミドである、組成物に関する。
【0146】
第十五の実施態様においては、本発明は、血中グルコース状態を阻害する方法であって、それを必要とする対象を同定する工程、前記対象に、精神治療薬、抗けいれん剤、またはその両方を前記対象に投与する工程を含む。
【0147】
第十六の実施態様においては、本発明は、第十五の実施態様の方法であって、前記精神治療薬が、炭酸リチウム(lithium carbonate)、クエン酸リチウム(lithium citrate)およびバルプロエート(valproate)ならびにその医薬的に許容可能な塩、エステル、アミドまたはプロドラッグからなる群から選択され、前記抗けいれん剤が、ゾニサミドである、方法に関する。
【0148】
第十七の実施態様においては、本発明は、第十五の実施態様の方法であって、前記精神治療薬が、ミルタザピン(mirtazapine)およびセチプチリン(setiptiline)ならびにその医薬的に許容可能な塩、エステル、アミドもしくはプロドラッグからなる群から選択され、前記抗けいれん剤が、ゾニサミドである、方法に関する。
【0149】
第十八の実施態様においては、本発明は、インスリンを投与する工程を更に含む、第十五の実施態様の方法であって、前記インスリンが、精神治療薬、抗けいれん剤、または両方が個体に投与されるのとほとんど同時に、投与される、方法に関する。
【0150】
第十九の実施態様においては、本発明は、インスリンを投与する工程を更に含む、第十五の実施態様の方法であって、前記インスリンが、精神治療薬、抗けいれん剤、または両方が対象に投与された後に、投与される、方法に関する。
【0151】
第二十の実施態様においては、本発明は、インスリンを対象に投与する工程を更に含む、第十五の実施態様の方法であって、前記インスリンが、精神治療薬、抗けいれん剤、または両方が対象に投与される前に、投与される、方法に関する。
【0152】
第二十一の実施態様においては、本発明は、インスリン感受性の低下を阻害する方法であって、インスリン感受性の低下の阻害を必要とする対象を同定する工程、および精神治療薬、抗けいれん剤、オピオイドアンタゴニスト、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を投与する工程を含む、方法に関する。
【0153】
第二十二の実施態様においては、本発明は、精神治療薬、オピオイドアンタゴニスト、または精神治療薬とオピオイドアンタゴニストの両方、ならびにインスリンを含む、血中グルコース状態を阻害するための医薬組成物に関する。
【0154】
第二十三の実施態様においては、本発明は、第二十二の実施態様の組成物であって、前記オピオイドアンタゴニストが、ナルトレキソンを含む、組成物に関する。
【0155】
第二十四の実施態様においては、本発明は、前記組成物を含み、化合物の量が、インスリン感受性を増加させるのにほぼ有効な量以下である、組成物に関する。
【0156】
第二十五の実施態様においては、本発明は、精神治療薬、抗けいれん剤、またはそれらの組み合わせを含む組成物であって、前記精神治療薬および抗けいれん剤が、少なくとも有効量で存在する、組成物に関する。
【0157】
第二十六の実施態様においては、本発明は、第二十一の実施態様の方法であって、前記精神治療薬が、ブプロピオンであり、前記オピオイド受容体アゴニストが、ナルトレキソンである、方法に関する。
【0158】
第二十七の実施態様においては、本発明は、第二十一の実施態様の方法であって、前記精神治療薬が、フルオキセチンであり、前記オピオイド受容体アンタゴニストが、ナルトレキソンである、方法に関する。
【0159】
第二十八の実施態様においては、本発明は、抗けいれん剤およびオピオイド受容体アンタゴニスト含む、血中グルコース状態を阻害するための組成物に関する。
【0160】
第二十九の実施態様においては、本発明は、精神治療薬およびオピオイド受容体アンタゴニストを含む、血中グルコース状態を阻害するための組成物に関する。
【0161】
第三十の実施態様においては、本発明は、精神治療薬が、ブプロピオンであり、オピオイド受容体アゴニストが、ナルトレキソンである、第二十九の実施態様に関する。
【0162】
第三十一の実施態様においては、本発明は、精神治療薬が、フルオキセチンであり、オピオイド受容体アゴニストが、ナルトレキソンである、第二十九の実施態様に関する。
【0163】
第三十二の実施態様においては、本発明は、精神治療薬および抗けいれん剤を含む、血中グルコース状態を阻害するための組成物に関する。
【0164】
第三十三の実施態様においては、本発明は、精神治療薬が、オランザピンであり、抗けいれん剤が、ゾニサミドである、第三十二の実施態様の組成物に関する。
【0165】
第三十四の実施態様においては、本発明は、血中グルコース状態を阻害する方法であって、それを必要とする対象を同定する工程、ならびに、精神治療薬および抗けいれん剤の両方を、対象に投与する工程を含む、方法に関する。
【0166】
第三十五の実施態様においては、本発明は、精神治療薬が、オランザピンであり、抗けいれん剤が、ゾニサミドである、第三十四の実施態様の方法に関する。
【0167】
第三十六の実施態様においては、本発明は、精神治療薬および抗けいれん剤を含む、精神治療薬または抗けいれん剤の投与によって引き起こされるインスリン耐性を逆転させるための組成物に関する。
【0168】
第三十七の実施態様においては、本発明は、精神治療薬が、オランザピンであり、抗けいれん剤が、ゾニサミドである、第三十六の実施態様の組成物に関する。
【0169】
第三十八の実施態様においては、本発明は、精神治療薬または抗けいれん剤の投与によって引き起こされる血中グルコース状態を逆転させる方法であって、それを必要とする対象を同定する工程、ならびに、精神治療薬および抗けいれん剤を、対象に投与する工程を含む、方法に関する。
【0170】
第三十九の実施態様においては、本発明は、精神治療薬が、オランザピンであり、抗けいれん剤が、ゾニサミドである、第三十八の実施態様の方法に関する。
【実施例】
【0171】
以下の実施例は、非制限的なものであり、本発明の様々な態様の単に代表するものである。
【0172】
(実施例1:ゾニサミドの使用)
インスリンを摂取する個体を同定する。各個体を、インスリン治療に加えて、1つの25mgの錠剤のゾニサミドを、一日当りに摂取するように指導する。
【0173】
個体を、数ヶ月間モニターする。投与量を、各個体が、その投与量のインスリンに対して感受性のままであり、健康的な血糖値を維持するように、調整することが推奨され、それ故、インスリン濃度を、低下しなければならないかもしれない。
【0174】
ゾニサミドの投与量は、一般的に、一日当り一回、または複数回の投与に分けて(例えば、等量ずつ)、一日当り約25mgから800mgとすることができる。好ましくは、投与量は、一日当り、約100mgから約600mgであり、より好ましくは、投与量は、一日当り、約200mgから約400mgである。しかしながら、これらの範囲を外れた投与量を使用する必要があるかもしれない。ゾニサミド錠剤は、通常に調製され、25mg、50mgおよび100mg投与量で販売されている。個々の錠剤または錠剤の組み合わせを、望む投与を得るために、使用することができる。インスリンは、1-10単位の量で、皮下に投与する。
【0175】
(実施例2:トピラメートの使用)
インスリンを摂取する個体を同定する。各個体を、インスリン治療に加えて、1つの25mgの錠剤のトピラメートを、一日当りに摂取するように指導する。
【0176】
個体を、数ヶ月間モニターする。投与量を、各個体が、インスリンの現在の投与スキームに対して感受性のままであるように、調整することが推奨される。
【0177】
トピラメートの投与量は、約25mgから約1600mgであり、好ましくは約50mgから約600mgであり、より好ましくは約100mgから約400mgとすることができる。しかしながら、これらの範囲を外れた投与量を使用する必要があるかもしれない。
【0178】
代替的に、トピラメートの投与により、個体のインスリンの投与スキームを10%まで低下させる。トピラメートと組み合わせた、インスリンのこの減少は、個体に悪影響を及ぼさないので、より少ない投与量のインスリンが、個体の望ましい血糖値を維持するのに有効であり、個体がインスリン耐性を発症する危険を低下させる。
【0179】
(実施例3:ゾニサミドとミトラゼピンとの組み合わせ)
インスリンを摂取する個体を同定する。各個体のインスリンの投与スキームだけでなく、インスリンの特定の投与量から得られる個体の血糖値にも着目する。
【0180】
各個体を、一日当り1つの錠剤のミトラゼピンに加えて、ゾニサミドの1つの錠剤を、一日当りに摂取するように指導し、インスリンの個体の投与スキームを、経過時間とともに徐々に減らす。最初に、薬物を、以下のように投与する:8mgのミトラゼピンおよび64mgのゾニサミド;または16mgのミトラゼピンおよび128mgのゾニサミド;または32mgのミトラゼピンおよび252mgのゾニサミド;一般的には、1:8の比率のミトラゼピン/ゾニサミド。数週間にわたり、個体のインスリンの投与スキームを、5%まで、その後10、20、30、40、50%などまで低下させる。この投与するインスリン濃度の低下の間、個体の血糖値をモニターする。インスリン濃度の低下を、個体の血糖値がもはや安全では無くなるまで、続ける。それ故、個体をインスリンに対して感受性化させる(より少ないインスリンを個体に摂取させることを可能とする)、これらの化合物の能力を測定することができる。
【0181】
最初の投与が有効でないならば、増加することができる。
【0182】
(実施例4:ゾニサミドとパロキセチンとの組み合わせ)
インスリン耐性に罹患した個体を同定する。個体に投与したインスリンの量(インスリンの最初の濃度)および個体の血糖値に対するそのインスリンの影響を求める。
【0183】
各個体を、一日当り1つの錠剤のパロキセチンに加えて、通常の投与量のインスリンに加えて、一日当り1つの錠剤のゾニサミドを摂取するように指導する。最初に、薬物を以下のように投与する:10mgのパロキセチンおよび60mgのゾニサミド;または20mgのパロキセチンおよび120mgのゾニサミド;または30mgのパロキセチンおよび180mgのゾニサミド;または40mgのパロキセチンおよび240mgのゾニサミド;一般的には、1:6の比率のパロキセチン/ゾニサミド。インスリン量は変更することができ、一般的に約1から10単位である。
【0184】
個体を、数ヶ月間モニターする。これに続き、投与するインスリンの量を、インスリンの最初の濃度より下の点まで低下させ、個体がインスリン耐性に罹患する前に個体に投与したインスリンの量(インスリン耐性前のインスリンの濃度)に近づける。個体の血糖値を、その後、測定し、より低い濃度のインスリンが、個体の血糖値を、望ましい濃度に維持するのに有効であるかを求める。前記化合物は、インスリン耐性を逆転させるのに有効である。
【0185】
最初の投与が有効でないならば、増加することができる。
【0186】
(実施例5:ゾニサミドとブプロピオンとの組み合わせ)
インスリン耐性を発症する危険を有する個体を同定する。各個体を、一日当り1つの50mgの錠剤のゾニサミドを摂取するように指導する。加えて、各個体を、一日当り1つの250mgの錠剤のブプロピオンを摂取するように指導する。
【0187】
個体を、数ヶ月間モニターする。投与量を、各個体が、インスリンの毎日の摂取を維持し、または低下させて、望む血糖値を得るように、調整することが推奨される。
【0188】
最初の投与量が有効でない場合、ブプロピオン投与量を、20mg間隔で、一日当り3000mgまで増加することができる。最初の投与によって、前記の割合よりも、より迅速なインスリン感受性の増加がもたらされる場合、ゾニサミドまたはブプロピオンのそれぞれの投与量を低下させることができる。
【0189】
(実施例6:2型糖尿病の治療)
2型糖尿病の個体を同定する。個体の血糖値およびインスリンの一日の投与量をモニターする。個体に、一日当り50mgのゾニサミドおよび250mgのブプロピオンを投与する。個体の血糖値を再度測定する。個体に投与したインスリンの量を、適宜減少させて、望む血糖値を維持する。インスリンの量の低下が必要でないならば(例えば、個体が以前に投与したインスリンが、あまり多くない場合)、ゾニサミドおよびブプロピオンの量を、投与したインスリンの量を減らすことができるまで、増やすことができる。必要であるならば、追加の量のインスリンを個体に投与することができる。それ故、個体は、2型糖尿病を治療することができる。
【0190】
この実施例は、任意の前記化合物およびその組み合わせについて使用し、投与する各化合物の量および頻度を求めることができる。このことは、また、インスリン耐性および2型糖尿病を治療および/または阻害するのに使用することができる。
【0191】
(実施例7:ナルトレキソンとフルオキセチンとの組み合わせ(インスリン耐性試験))
マウス(n=3)に一晩餌を与え、その後、以下の1つを腹腔内(I.P.)注入した:ベヒクル、フルオキセチン(8.5mg/kg)、ナルトレキソン(2.5mg/kg)またはフルオキセチン+ナルトレキソン(8.5mgフルオキセチン、2.5mg/kgナルトレキソン)。ベースライン血糖値の測定を、注入2時間後に実施した。その後、マウスに、インスリンの標準的なI.P.注入を行った。血糖値を、その後、2時間にわたって追跡した(15分、30分、1時間および2時間)。結果を、ベヒクル、フルオキセチン、ナルトレキソンおよびナルトレキソン+ブプロピオンのそれぞれについて、表1-4に要約する。グルコース濃度は、mg/dlである。
【0192】
【表1】

【0193】
【表2】

【0194】
【表3】

【0195】
【表4】

【0196】
データは、これらの投与量で、フルオキセチン単独だけでなくナルトレキソン単独でも、注入後最初の2時間で、インスリン耐性に対して効果を有さなかったことを示している。なぜならば、これらの化合物のいずれかを注入したマウスにおけるグルコース濃度は、試験した各時点で、ベヒクルを注入したマウスと異ならないからである。しかしながら、フルオキセチンとナルトレキソンとの組み合わせは、インスリン耐性に対して顕著な効果を有していた。なぜならば、そのグルコース濃度は、何れかの化合物を単独で投与したマウスに比べて、2時間後に、顕著に低下していたからである。それ故、この組み合わせは、インスリン耐性を有効に阻害した。
【0197】
(実施例8:ナルトレキソンとブプロピオンとの組み合わせ(インスリン耐性試験))
マウス(n=12)を、ベヒクル、ナルトレキソン(3mg/kg)、ブプロピオン(50mg/kg)またはナルトレキソン(3mg/kg)+ブプロピオン(50mg/kg)を用いて処理した以外は、実施例7で開示したのと同じ試験を行った。曲線下の領域(AUC)を、各マウスの各時点でのグルコース濃度に基づいて計算した。AUCは、各時点で観察されたグルコース濃度の合計である。マウスについてのAUC値は以下のようであった(ND=測定せず):
ベヒクル:13575、10485、ND、12038、9353、9990、8160、ND、14258、10883、12555および10065 (平均値 = 11136.2)
ブプロピオン:13613、9083、11438、ND、14003、9668、8003、10725、8715、8715、12038、11280 (平均値 = 10661.91、この値は、ベヒクルのAUCの95.7%であり、AUCの4.3%の低下を表す)
ナルトレキソン:11445、ND、7208、14783、7215、13058、10493、9045、8003、10193、10763、15990 (平均値 = 10745.09、この値は、ベヒクルのAUCの96.5%であり、AUCの3.5%の低下を表す)
ナルトレキソン+ブプロピオン:7740、7680、12300、8685、ND、8775、ND、8550、12300、8625、ND、ND (平均値 = 9331.875、この値は、ベヒクルのAUCの83.8%であり、AUCの16.2%の低下を表す)
【0198】
それ故、ブプロピオンおよびナルトレキソンの投与は、単独で投与した何れかの化合物に比べて、インスリン耐性を阻害する相乗効果を示した。ナルトレキソンは3.5%低下させ、ブプロピオンは4.3%低下させたので、共投与は、AUCを7.8%まで低下させると予想された。実際には、観察された効果は、予想された効果の二倍であった。
【0199】
(実施例9:オランザピンとゾニサミドとの組み合わせ(インスリン耐性試験))
実験開始時に約235グラムの雌のSprague-Dawleyラットを使用した。試験を始める前の2週間にわたって、ゾニサミドベヒクルを使用して、注入を見せかけるように訓練した。イイソフルランの麻酔の元で、Alzet浸透圧ミニポンプ(2ml2)を、肩甲骨の間に、皮下移植した。そして、ラットを、回復後、すみかのケージへと戻した。ミニポンプは、14日間にわたり、一時間当り5μl伝達した。オランザピンを、dH2Oを用いて1.5%の乳酸中に溶かした。ゾニサミドを、10%のDMSO、13.4%のEtOH、20.1%のPPG、および66.5%の生理食塩水に溶かした。オランザピンの投与量は、1.75mg/dayであった。動物を個々に飼育し、標準的な実験用の餌を与えた。消費した食物および動物の体重を、毎日記録した。コントロール(ベヒクル)群として5匹の動物を用い、ゾニサミドのみの群として5匹の動物を用い、オランザピンのみの群として5匹の動物を用い、オランザピン+ゾニサミドの群として6匹の動物を用いた。
【0200】
ラットは、ポンプ移植後に回復がかない、その後、26mg/kgのゾニサミドの毎日二回の注入で回復した。血液を、オランザピン移植から13日後、一日二回のゾニサミド注入が始まってから6日後に、伏在静脈穿刺によって取り出し、血中グルコース濃度を、グルコースストリップを用いて、ハンドヘルドのグルコメーター(Roche Accucheck, Advantage)によって測定した。結果を以下に示す(表5)。
【0201】
【表5】

【0202】
それ故、単独で投与した何れかの化合物が、インスリン耐性を増加させる(グルコース濃度の上昇)のに対して、オランザピンとゾニサミドとの共投与は、インスリン耐性を阻害し、ベヒクルで処理した動物と類似の血中グルコース濃度をもたらした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象とするヒト受領者における、インスリン耐性によって特徴付けられる血中グルコース状態の治療用組成物であって、ブプロピオンもしくはその医薬的に許容可能な塩、及び、ゾニサミドもしくはその医薬的に許容可能な塩の組み合わせを含む、組成物。
【請求項2】
前記状態がインスリン耐性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記状態が2型糖尿病である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ブプロピオンもしくはその医薬的に許容可能な塩、及び、ゾニサミドもしくはその医薬的に許容可能な塩の、少なくとも一つが除放性調合物中にある、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ブプロピオンもしくはその医薬的に許容可能な塩、及び、ゾニサミドもしくはその医薬的に許容可能な塩のそれぞれが除放性調合物中にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ブプロピオンまたはその医薬的に許容可能な塩が、ゾニサミドまたはその医薬的に許容可能な塩とは別個に対象に投与される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ブプロピオンもしくはその医薬的に許容可能な塩、及び、ゾニサミドもしくはその医薬的に許容可能な塩が、単一の経口剤形中にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記単一の経口剤形が、錠剤、ピルまたはカプセルの形態にある、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
さらにインスリンを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
対象とする人受領者が、肥満である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
対象とするヒト受領者における、インスリン耐性によって特徴付けられる血中グルコース状態の治療用組成物であって、ゾニサミドまたはその医薬的に許容可能な塩を含む、組成物。
【請求項12】
前記状態がインスリン耐性である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記状態が2型糖尿病である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
ゾニサミドまたはその医薬的に許容可能な塩の量が、25mg/日から800mg/日の範囲内である、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ゾニサミドまたはその医薬的に許容可能な塩の量が、100mg/日から600mg/日の範囲内である、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ゾニサミドまたはその医薬的に許容可能な塩が、除放性ゾニサミドまたはその医薬的に許容可能な塩である、請求項11から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
経口投与のために調合されている、請求項11から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
錠剤、ピルまたはカプセルの形態にある、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
さらにインスリンを含む、請求項11から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
対象とする人受領者が、肥満である、請求項11から19のいずれか一項に記載の組成物。

【公開番号】特開2013−47272(P2013−47272A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−255075(P2012−255075)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【分割の表示】特願2008−542399(P2008−542399)の分割
【原出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(505401698)オレキシジェン・セラピューティクス・インコーポレーテッド (13)
【Fターム(参考)】