説明

インスリン抵抗性改善作用組成物、アディポネクチン増加作用組成物、ヘモグロビンA1c改善作用組成物、血糖値改善作用組成物、尿酸値減少作用組成物、肝機能改善作用組成物、腹囲値減少作用組成物および体重減少作用組成物

【課題】インスリン抵抗性改善作用などを有する組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、エルカンプーレから抽出したエキス粉末を含むエルカンプーレエキスパウダ錠剤である。エルカンプーレエキスパウダ錠剤は、インスリン抵抗性改善作用、アディポネクチン増加作用、ヘモグロビンA1c改善作用、および血糖値改善作用を有する。エルカンプーレエキスパウダ錠剤は、尿酸値減少作用、肝機能改善作用、腹囲値減少作用および体重減少作用を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともエルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物を含有するインスリン抵抗性改善作用組成物、アディポネクチン増加作用組成物、ヘモグロビンA1c改善作用組成物、血糖値改善作用組成物、尿酸値減少作用組成物、肝機能改善作用組成物、腹囲値減少作用組成物および体重減少作用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エルカンプーレは、南米ペルーのアンデス地方の高地に生育している多年性の双子葉植物であって、インカ以前の時代より伝統的な薬草として服用されている。
【0003】
近年、このエルカンプーレには、血圧上昇抑制作用や、悪玉コレステロール減少作用、善玉コレステロール上昇作用、抗糖尿病効果、抗肥満効果などといった生活習慣病予防および改善作用を有することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように、エルカンプーレのインスリン抵抗性改善作用、アディポネクチン増加作用、ヘモグロビンA1c改善作用、血糖値改善作用、尿酸値減少作用、肝機能改善作用、腹囲値減少作用および体重減少作用などについては未だ明確に解明されていないという問題を有している。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、インスリン抵抗性改善作用、アディポネクチン増加作用、ヘモグロビンA1c改善作用、血糖値改善作用、尿酸値減少作用、肝機能改善作用、腹囲値減少作用および体重減少作用を有する組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のインスリン抵抗性改善作用組成物は、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、インスリン抵抗性改善作用を有するものである。
【0007】
請求項2記載のアディポネクチン増加作用組成物は、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、アディポネクチン増加作用を有するものである。
【0008】
請求項3記載のヘモグロビンA1c改善作用組成物は、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、ヘモグロビンA1c改善作用を有するものである。
【0009】
請求項4記載の血糖値改善作用組成物は、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、血糖値改善作用を有するものである。
【0010】
請求項5記載の尿酸値減少作用組成物は、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、尿酸値減少作用を有するものである。
【0011】
請求項6記載の肝機能改善作用組成物は、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、肝機能改善作用を有するものである。
【0012】
請求項7記載の腹囲値減少作用組成物は、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、腹囲値減少作用を有するものである。
【0013】
請求項8記載の体重減少作用組成物は、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、体重減少作用を有するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のインスリン抵抗性改善作用組成物によれば、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有するので、インスリン抵抗性改善作用を期待できる。
【0015】
請求項2記載のアディポネクチン増加作用組成物によれば、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有するので、アディポネクチン増加作用を期待できる。
【0016】
請求項3記載のヘモグロビンA1c改善作用組成物によれば、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有するので、ヘモグロビンA1c改善作用を期待できる。
【0017】
請求項4記載の血糖値改善作用組成物によれば、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有するので、血糖値改善作用を期待できる。
【0018】
請求項5記載の尿酸値減少作用組成物によれば、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有するので、尿酸値減少作用を期待できる。
【0019】
請求項6記載の肝機能改善作用組成物によれば、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有するので、肝機能改善作用を期待できる。
【0020】
請求項7記載の腹囲値減少作用組成物によれば、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有するので、腹囲値減少作用を期待できる。
【0021】
請求項8記載の体重減少作用組成物によれば、エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有するので、体重減少作用を期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態のインスリン抵抗性改善作用組成物について説明する。
【0023】
まず、インスリン抵抗性改善作用組成物は、血圧を安定させる作用を有するとともに、インスリン抵抗性改善作用を有している。ここで、このインスリンとは、ヒトのすい臓から分泌されるホルモンの一種であって、筋肉や肝臓で糖の取り込みを促進してエネルギ源として蓄積することによって血糖値を下げる作用を有する。インスリン抵抗性では、このインスリン作用が低下している状態、すなわち血中インスリン値が上昇している状態であり、このインスリン抵抗性を改善することによって、血液中の血糖値を改善し、肥満やリポ蛋白質異常、血圧高値、高血糖などのメタボリックシンドローム(metabolic syndrome)関連項目を改善あるいは予防させる作用を有している。
【0024】
また、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、アディポネクチン増加作用を有している。ここで、このアディポネクチン(Adiponectin)とは、脂肪細胞自身が分泌している分泌たんぱく質であって、このアディポネクチンの増加によって、肥満やリポ蛋白質異常、血圧高値、高血糖などのメタボリックシンドローム関連項目を改善あるいは予防させる作用を有している。
【0025】
さらに、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、ヘモグロビンA1c(HbA1c)改善作用を有している。ここで、このヘモグロビンA1cとは、成人型のヘモグロビンであるとともに、ブドウ糖が結合した糖化ヘモグロビンであって、このヘモグロビンA1cの数値を改善させることによって、心臓病、脳卒中、神経障害、腎不全などの合併症のリスクを減らすことができるたんぱく質である。
【0026】
また、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、血液中の血糖値を改善させる作用である血糖値改善作用を有している。ここで、この血糖値とは、この血糖値が低くなりすぎると、頭痛やめまい、視界がくもるなどの不調が現れ、この血糖値が高くなりすぎると、糖尿病の原因となるとともに、体の様々な器官に悪影響を及ぼし、動脈硬化のおそれが生じるものである。
【0027】
さらに、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、血液中の尿酸の値を減少させる作用である尿酸値減少作用を有している。そして、この尿酸とは、プリン体の最終代謝産物であり、血液中の尿酸値濃度が高くなることによって、血液中に溶けきれなくなった尿酸が結晶化して、痛風や動脈硬化を引き起こすおそれが生じるものである。
【0028】
また、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、γ−GTP(ガンマ・グルタミール・トランスペプチターゼ)減少作用を有している。ここで、このγ−GTPとは、γ−GPともいい、アルコール性肝障害の指標となる酵素であって、血液中のγ−GTP値が高くなることによって、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝癌、胆道系の病気、すい臓癌などのおそれが生じるものである。
【0029】
さらに、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、血液中のALT(alanine aminotransferase)値を減少させる作用であるALT減少作用を有している。ここで、このALTとは、一般にGPT(glutamic pyruvate transaminase)とも呼ばれており、ピリドキサールリン酸を補酵素とするアミノ基転移酵素であって、血液中のALT値が高くなることによって、劇症肝炎、ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害、アルコール性肝炎、慢性肝炎、肝癌、肝硬変、肝汁うっ滞、閉塞性黄疸などのおそれが生じるものである。
【0030】
また、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)を低下させる作用を有している。ここで、このASTとは、GOT(Glutamic-oxaloacetic transaminase:グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)とも呼ばれており、血液中のAST値が高くなることによって、急性・慢性肝炎・脂肪肝などの肝疾患や、心筋梗塞などの心疾患のおそれが生じるものである。
【0031】
したがって、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、γ−GTP減少作用やALTおよびAST減少作用を有していることから、肝機能改善作用を有している。
【0032】
また、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、ヒトの腹囲の値を減少させる作用である腹囲値減少作用を有しているとともに、ヒトの体重を減少させる作用である体重減少作用をも有している。すなわち、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、腹囲値減少作用および体重減少作用を有することから、肥満やリポ蛋白質異常、血圧高値、高血糖などのメタボリックシンドローム関連項目を改善あるいは予防させる作用を有している。
【0033】
したがって、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、腹囲値減少作用や体重減少作用を有していることから、抗内臓脂肪肥満作用を有している。
【0034】
また、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、血液中の総コレステロール値を減少させる作用を有するとともに、血液中のHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加させる作用を有している。また、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、血液中の中性脂肪値を減少させる作用を有するとともに、血液中の遊離脂肪酸(non-esterified fatty acid NEFA(free-fatty acid))の値を適正な値にさせる作用を有している。さらに、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、血液中の中性脂肪値が高い場合に低下させて、この血液中の中性脂肪値を適正な値にさせる作用を有している。
【0035】
したがって、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、血液中の中性脂肪値を適正な値にさせる作用を有することから、肥満やリポ蛋白質異常、血圧高値、高血糖などのメタボリックシンドローム関連項目を改善あるいは予防させる作用を有している。
【0036】
そして、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、少なくともエルカンプーレ(Gentianella alborosea(Gilg)Fabris)およびエルカンプーレ抽出物の少なくともいずれか一方を主成分として含有している。ここで、このエルカンプーレは、双子葉類、リンドウ科、リンドウ属の多年草の植物であり、南米ペルーのアンデス地方の標高3500m〜4000mのプナと呼ばれる寒冷な高原地帯に生息している。
【0037】
さらに、このエルカンプーレは、このエルカンプーレの乾燥全草(根・茎・葉)に5倍量の含水アルコールである、例えば30%以上90%以下、好ましくは50%以上80%以下、例えば70%アルコールを加えてから浸漬抽出したエルカンプーレ溶液にデキストリンを加えた後に噴霧乾燥したエルカンプーレ抽出物としてインスリン抵抗性改善作用組成物に含有されている。ここで、このエルカンプーレ抽出物は、いわゆるエルカンプーレエキス末としてのエルカンプーレエキスパウダであって、キサントン誘導体が豊富に含有されている。さらに、このエルカンプーレ抽出物は、上記アルコールの代わりに、例えば50℃以上100℃以下、好ましくは80℃以上の水を加えても抽出できる。
【0038】
そして、このインスリン抵抗性改善作用組成物としては、このインスリン抵抗性改善作用組成物を含有する機能性食品、化粧料、皮膚外用あるいは医薬として用いることもできる。したがって、このインスリン抵抗性改善作用組成物としては、皮膚外用剤や、機能性食品、医薬品、化粧品として適宜用いることもできる。このため、このインスリン抵抗性改善作用組成物は、少なくともエルカンプーレ抽出物を含有し、インスリン抵抗性改善作用を有するものであることを特徴とし、血液中の血糖値を下げるために用いられるものである旨の表示を付した飲食品や医薬品、化粧品などとして用いられる。
【0039】
そして、このインスリン抵抗性改善作用組成物を提供する形態としては、散剤、顆粒、粉末、錠剤、糖衣錠、カプセル、液剤、シロップ状のいずれであっても良く、これらは適宜助剤、賦香料とともに賦形されてもよい。用いられる賦形剤、希釈剤としては、ゼラチン、糖類、澱粉類、脂肪酸およびその塩、油脂、タルク、生理食塩水、その他のマスキング剤などが挙げられる。これらのものをそのまま服用してもよいが、各種料理品、菓子、キャンディなどの食品に混ぜて服用するのも好都合である。
【0040】
ここで、このインスリン抵抗性改善作用組成物を飲食品とする場合には、ヒトの健康に危害を加えるおそれがなく、通常の社会生活において、経口または消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品、などの区分に制限されず、例えば経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、美容食品、医薬部外品あるいは医薬品などを幅広く含む。
【0041】
また、インスリン抵抗性改善作用組成物を用いた飲食品としては、清涼飲料・炭酸飲料・栄養飲料・果実飲料・乳酸飲料などの飲料(濃縮原液および調整用粉末を含む)や、テキーラ・リキュール・ワイン・焼酎・ビール・日本酒などのアルコール飲料、アイスクリーム・アイスシャーベット・かき氷などの冷菓、そば・うどん・はるさめ・ぎょうざの皮・しゅうまいの皮・中華麺・即席麺などの麺類、飴・チューインガム・キャンディ・ガム・チョコレート・錠菓・スナック菓子・ビスケット・ゼリー・ジャム・クリーム・焼き菓子などの菓子類、かまぼこ・ハム・ソーセージなどの水産畜産加工食品、加工乳・発酵乳などの乳製品、サラダ油・てんぷら油・マーガリン・マヨネーズ・ショートニング・ホイップクリーム・ドレッシングなどの油脂および油脂加工食品、ソース・たれなどの調味料、スープ・シチュー・サラダ・惣菜・漬物、その他種々の形態の健康・栄養補助食品、錠剤、ハードカプセルあるいはソフトカプセルなどのカプセル剤、ドリンク剤、顆粒体などの形状に形態に加工することにより簡便に飲食でき、広範囲に利用できる。
【0042】
さらに、このインスリン抵抗性改善作用組成物を化粧品とする場合には、例えば軟膏、パップ、クリーム、乳液、ローション、パック剤、ゼリー、リップ、入浴剤、浴用剤、ヘアシャンプ、ヘアリンス、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアローション、ポマード、アストリンゼント、液体石鹸、固形石鹸、ボディシャンプ、などが挙げられ、皮膚に対して使用するものが好ましく、皮膚や頭皮などに吸収させることにより、インスリン抵抗性改善作用組成物が有する種々の作用が発揮される。また、このインスリン抵抗性改善作用組成物を医薬品とする場合には、外皮用剤、内服液剤、内服固形剤、注射剤、座剤などとして使用できる。
【0043】
なお、本発明のインスリン抵抗性改善作用組成物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【0044】
一方、このインスリン抵抗性改善作用組成物が関連項目の予防あるいは改善作用を有するメタボリックシンドロームは、いわゆる代謝異常症候群である危険因子集積状態としてのメタボリック症候群とも呼ばれている。さらに、このメタボリックシンドロームは、シンドローム・エックス(syndrome X)、ザ・デッドリ・カルテット(the deadly quartet)、あるいはマルチプル・リスク・ファクタ・クラスタリング(multiple risk factor clustering)とも呼ばれている。
【0045】
そして、このメタボリックシンドロームとは、動脈硬化を促進させる生活習慣病を複数もっている状態、すなわち複合生活習慣病にかかっている状態のことをいう。そして、メタボリックシンドロームのヒトは、動脈硬化が進むリスクが格段に高くなり、結果として脳梗塞や、狭心症、心筋梗塞などを起しやすい。また、このメタボリックシンドロームとは、関連項目として、肥満であることが前提であり、この肥満、リポ蛋白質異常、血圧高値および高血糖のうち、肥満を含む3つ以上の該当する場合をいう。
【0046】
さらに、肥満とは、へその高さの周りの腹囲が男性の場合で85cm以上、女性の場合で90cm以上の場合をいう。また、リポ蛋白質異常とは、中性脂肪(TG)値が150mg/dl以上である場合と、HDLコレステロール値が40mg/dl未満の場合との少なくとも一方に該当する状態をいう。さらに、血圧高値とは、収縮期血圧が130mmHg以上で、拡張期血圧が85mmHg以上の場合をいう。また、高血糖とは、空腹時血糖値が境界型である110mg/dl以上の場合をいう。
【実施例】
【0047】
次に、エルカンプーレエキスパウダの摂取が人体に及ぼす影響についての一実施例を説明する。
【0048】
(試験食品)
まず、試験食品としては、1錠中にエルカンプーレエキスパウダを150mgほど配合したエルカンプーレエキスパウダ錠剤(PREMIEX(登録商標) エルカンプーレエキスパウダ錠:H錠)を用いた。
【0049】
(試験対象者)
試験対象者は、健康な日常生活を営み健診においてメタボリックシンドローム関連項目の中で何らかの項目が境界域付近であるヒトであって、かつ医薬品の投与を受けていない者とした。
【0050】
具体的に、H錠を1日当たり男性10錠および女性8錠ほど摂取させた試験食摂取群を第1摂取群とし、この第1摂取群として男性11名および女性5名の計16名を被験者とした。また、H錠を1日当たり男性および女性それぞれ3錠ほど摂取させた試験食摂取群を第2摂取群とし、この第2摂取群として男性7名および女性3名の計10名を被験者とした。
【0051】
なお、各試験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理原則および試験実施計画書を遵守して実施した。さらに、これら各被験者に対しては、研究内容、方法および予想される副作用などのそれぞれについて十分な説明をし、各被験者の自由意思にて文書での同意を取り交わした後に試験をした。
【0052】
(試験スケジュールおよび摂取方法)
まず、試験スケジュールについては、前観察期間として非摂取期間を4週間とし、摂取期間を12週間(約3ヶ月間)とし、後観察期間として非摂取期間を4週間とした計20週間とした。
【0053】
また、H錠の摂取方法については、第1摂取群ではH錠を1日当たり男性の場合で10錠とし女性の場合で8錠とし、第2摂取群ではH錠を1日当たり男性および女性とも3錠とし、朝食後30分以内と夕食後30分以内の2回に分けて摂取させた。さらに、これら各群の被験者には、H錠を毎日摂取すること以外、摂取以前と同様の食生活、喫煙および運動などの日常生活において変化させないようにした。ただし、採血期間中のH錠以外のイソフラボンやビタミンCなどのサプリメントである健康機能食品の摂取を禁止させた。
【0054】
(測定方法)
そして、各被験者の測定日および採血日を、摂取開始4週前(1回目)、摂取開始直前(2回目)、摂取開始2週後(3回目)、摂取開始4週後(4回目)、摂取開始6週後(5回目)、摂取開始8週後(6回目)、摂取終了となる摂取開始12週後(7回目)、摂取期間終了2週後(8回目)および摂取期間終了4週後(9回目)の計9回とした。
【0055】
さらに、これら測定項目としては、生化学項目としてAST(GOT)、ALT(GPT)、γ−GTP(γ−GT)、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸、尿酸、血糖、ヘモグロビンA1cの10項目とし、その他の項目としてインスリン、アディポネクチンの2項目とした。
【0056】
ここで、収縮期血圧としては、130[mmHg]未満を適正値とした。また、拡張期血圧としては、85[mmHg]未満を適正値とした。さらに、腹囲としては、男性で85[cm]未満、女性で90[cm]未満を適正値とした。
【0057】
また、AST(GOT)としては、10[IU/L/37℃]以上40[IU/L/37℃]以下を適正値とした。さらに、ALT(GPT)としては、5[IU/L/37℃]以上40[IU/L/37℃]以下を適正値とした。また、γ−GTP(γ−GT)としては、男性で70[IU/L/37℃以下]以下、女性で30[IU/L/37℃以下]以下をそれぞれ適正値とした。
【0058】
さらに、総コレステロールとしては、150[mg/dL]以上、219[mg/dL]以下を適正値とした。また、HDLコレステロールとしては、男性で40[mg/dL]以上86[mg/dL]以下、女性で40[mg/dL]以上96[mg/dL]以下をそれぞれ適正値とした。
【0059】
そして、中性脂肪としては、50[mg/dL]以上149[mg/dL]以下を適正値とした。また、遊離脂肪酸としては、0.14[mEq/L]以上0.85[mEq/L]以下を適正値とした。さらに、尿酸としては、男性で3.7[mg/dL]以上7.0[mg/dL]以下、女性で2.5[mg/dL]以上7.0[mg/dL]以下をそれぞれ適正値とした。
【0060】
また、血糖としては、70[mg/dL]以上109[mg/dL]以下を適正値とした。さらに、ヘモグロビンA1cとしては、4.3[%]以上5.8[%]以下を適正値とした。さらに、インスリンとしては、3.06[μU/mL]以上16.9[μU/mL]以下を適正値とした。
【0061】
次に、上記一実施例での実験結果について説明する。
【0062】
上記一実施例の実験において、各群のH錠の摂取後および摂取による何らかの原因にて脱落した被験者はいなかった。
【0063】
(第1摂取群)
まず、第1摂取群の各被験者AないしPの結果を表1ないし表16に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
【表4】

【0068】
【表5】

【0069】
【表6】

【0070】
【表7】

【0071】
【表8】

【0072】
【表9】

【0073】
【表10】

【0074】
【表11】

【0075】
【表12】

【0076】
【表13】

【0077】
【表14】

【0078】
【表15】

【0079】
【表16】

【0080】
さらに、上記表1ないし表16の各被験者毎の測定結果を各項目毎にまとめた結果を表17に示す。このとき、各項目の適正値から外れた被験者の数を症状有とし、1回目と7回目とを比較して改善した被験者の数、および2回目と7回目とを比較して改善した被験者の数のそれぞれには、H錠摂取前から適正値の範囲内であった被験者の数も含まれている。
【0081】
【表17】

【0082】
この結果、表17に示すように、体重については、1回目と7回目とを比較したところ被験者11名の体重の減少、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者10名の改善が確認でき、これらを平均すると10.5名の改善が確認できた。
【0083】
また、血圧については、収縮期血圧で、1回目と7回目とを比較したところ被験者13名の収縮期血圧の適正値への変位、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者15名の改善が確認でき、これらを平均すると14.0名の改善が確認できた。さらに、この収縮期血圧では、被験者16名中12名が適正値の範囲外の症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が12名で、改善が2回とも確認できた被験者が11名であった。よって、この収縮期血圧では、症状有で改善が1回あった被験者が100%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が91.7%であった。
【0084】
さらに、拡張期血圧では、1回目と7回目とを比較したところ被験者14名の拡張期血圧の適正値への変位、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者12名の改善が確認でき、これらを平均すると13.0名の改善が確認できた。さらに、この拡張期血圧では、被験者16名中13名が適正値の範囲外の症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が12名で、改善が2回とも確認できた被験者が11名であった。よって、この拡張期血圧では、症状有で改善が1回あった被験者が92.3%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が84.6%であった。
【0085】
次いで、腹囲では、1回目と7回目とを比較したところ被験者9名の腹囲値の減少、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者10名の改善が確認でき、これらを平均すると9.5名の改善が確認できた。さらに、この腹囲では、被験者16名中14名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が10名で、改善が2回とも確認できた被験者が7名であった。よって、この腹囲では、症状有で改善が1回あった被験者が71.4%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が50.0%であった。
【0086】
また、AST(GOT)では、1回目と7回目とを比較したところ被験者12名の血液中のAST(GOT)値の減少、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者10名の改善が確認でき、これらを平均すると11.0名の改善が確認できた。さらに、このAST(GOT)では、被験者16名中2名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が2名で、改善が2回とも確認できた被験者が1名であった。よって、このAST(GOT)では、症状有で改善が1回あった被験者が100.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が50.0%であった。
【0087】
そして、ALT(GPT)では、1回目と7回目とを比較したところ被験者11名の血液中のALT(GPT)値の減少、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者10名の改善が確認でき、これらを平均すると10.5名の改善が確認できた。さらに、このALT(GPT)では、被験者16名中7名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が5名で、改善が2回とも確認できた被験者が4名であった。よって、このALT(GPT)では、症状有で改善が1回あった被験者が71.4%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が57.1%であった。
【0088】
次いで、γ−GTP(γ−GT)では、1回目と7回目とを比較したところ被験者10名の血液中のγ−GTP(γ−GT)値の減少、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者10名の改善が確認でき、これらを平均すると10.0名の改善が確認できた。さらに、このγ−GTP(γ−GT)では、被験者16名中9名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が6名で、改善が2回とも確認できた被験者が4名であった。よって、このγ−GTP(γ−GT)では、症状有で改善が1回あった被験者が66.7%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が44.4%であった。
【0089】
また、総コレステロールでは、1回目と7回目とを比較したところ被験者10名の血液中の総コレステロール値の減少、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者11名の改善が確認でき、これらを平均すると10.5名の改善が確認できた。さらに、この総コレステロールでは、被験者16名中8名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が5名で、改善が2回とも確認できた被験者が4名であった。よって、この総コレステロールでは、症状有で改善が1回あった被験者が62.5%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が50.0%であった。
【0090】
そして、HDLコレステロールでは、1回目と7回目とを比較したところ被験者4名の血液中のHDLコレステロール値の増加、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者5名の改善が確認でき、これらを平均すると4.5名の改善が確認できた。さらに、このHDLコレステロールでは、被験者16名中1名が適正値より低い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が1名で、改善が2回とも確認できた被験者が0名であった。よって、このHDLコレステロールでは、症状有で改善が1回あった被験者が100.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が0.0%であった。
【0091】
次いで、中性脂肪では、1回目と7回目とを比較したところ被験者8名の血液中の中性脂肪値の減少、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者6名の改善が確認でき、これらを平均すると7.0名の改善が確認できた。さらに、この中性脂肪では、被験者16名中9名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が7名で、改善が2回とも確認できた被験者が3名であった。よって、この中性脂肪では、症状有で改善が1回あった被験者が77.8%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が33.3%であった。
【0092】
また、遊離脂肪酸では、1回目と7回目とを比較したところ被験者9名の血液中の遊離脂肪酸値の減少、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者8名の改善が確認でき、これらを平均すると8.5名の改善が確認できた。さらに、この遊離脂肪酸では、被験者16名中4名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が3名で、改善が2回とも確認できた被験者が2名であった。よって、この遊離脂肪酸では、症状有で改善が1回あった被験者が75.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が50.0%であった。
【0093】
そして、尿酸では、1回目と7回目とを比較したところ被験者12名の血液中の尿酸値の減少、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者7名の改善が確認でき、これらを平均すると9.5名の改善が確認できた。さらに、この尿酸では、被験者16名中4名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が3名で、改善が2回とも確認できた被験者が1名であった。よって、この尿酸では、症状有で改善が1回あった被験者が75.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が25.0%であった。
【0094】
次いで、血糖では、1回目と7回目とを比較したところ被験者13名の血液中の血糖値の適正値への変位、すなわち改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者9名の改善が確認でき、これらを平均すると11.0名の改善が確認できた。さらに、この血糖では、被験者16名中5名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が4名で、改善が2回とも確認できた被験者が4名であった。よって、この血糖では、症状有で改善が1回あった被験者が80.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が80.0%であった。
【0095】
また、ヘモグロビンA1cでは、1回目と7回目とを比較したところ被験者7名の血液中のヘモグロビンA1c値の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者7名の改善が確認でき、これらを平均すると7.0名の改善が確認できた。さらに、このヘモグロビンA1cでは、被験者16名中5名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が3名で、改善が2回とも確認できた被験者が3名であった。よって、この血糖ヘモグロビンA1cでは、症状有で改善が1回あった被験者が60.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が60.0%であった。
【0096】
そして、インスリンでは、1回目と7回目とを比較したところ被験者9名の血液中のインスリン値の減少、すなわち抵抗性の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者9名の改善が確認でき、これらを平均すると9.0名の改善が確認できた。さらに、このインスリンでは、被験者16名中5名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が5名で、改善が2回とも確認できた被験者が1名であった。よって、このインスリンでは、症状有で改善が1回あった被験者が100.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が20.0%であった。
【0097】
さらに、アディポネクチンでは、2回目と7回目とを比較したところ被験者10名の血液中のアディポネクチン値の増加、すなわち改善が確認できた。
【0098】
(第2摂取群)
次いで、第2摂取群の各被験者aないしjの結果を表18ないし表27に示す。
【0099】
【表18】

【0100】
【表19】

【0101】
【表20】

【0102】
【表21】

【0103】
【表22】

【0104】
【表23】

【0105】
【表24】

【0106】
【表25】

【0107】
【表26】

【0108】
【表27】

【0109】
さらに、上記表18ないし表27の各被験者毎の測定結果を各項目毎にまとめた結果を表28に示す。このとき、各項目の適正値から外れた被験者の数を症状有とし、1回目と7回目とを比較して改善した被験者の数、および2回目と7回目とを比較して改善した被験者の数のそれぞれには、H錠摂取前から適正値の範囲内であった被験者の数も含まれている。
【0110】
【表28】

【0111】
この結果、表28に示すように、体重については、1回目と7回目とを比較したところ被験者5名の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者3名の改善が確認でき、これらを平均すると4.0名の改善が確認できた。
【0112】
また、血圧については、収縮期血圧で、1回目と7回目とを比較したところ被験者4名の収縮期血圧の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者5名の改善が確認でき、これらを平均すると4.5名の改善が確認できた。さらに、この収縮期血圧では、被験者10名中5名が適正値の範囲外の症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が4名で、改善が2回とも確認できた被験者が3名であった。よって、この収縮期血圧では、症状有で改善が1回あった被験者が80.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が60.1%であった。
【0113】
さらに、拡張期血圧では、1回目と7回目とを比較したところ被験者4名の拡張期血圧の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者5名の改善が確認でき、これらを平均すると4.5名の改善が確認できた。さらに、この拡張期血圧では、被験者10名中5名が適正値の範囲外の症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が4名で、改善が2回とも確認できた被験者が4名であった。よって、この拡張期血圧では、症状有で改善が1回あった被験者が80.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が80.0%であった。
【0114】
次いで、腹囲では、1回目と7回目とを比較したところ被験者5名の腹囲値の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者6名の改善が確認でき、これらを平均すると5.5名の改善が確認できた。さらに、この腹囲では、被験者10名中7名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が5名で、改善が2回とも確認できた被験者が5名であった。よって、この腹囲では、症状有で改善が1回あった被験者が71.4%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が71.4%であった。
【0115】
また、AST(GOT)では、1回目と7回目とを比較したところ被験者3名の血液中のAST(GOT)値の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者2名の改善が確認でき、これらを平均すると2.5名の改善が確認できた。さらに、このAST(GOT)では、被験者10名中1名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が0名で、改善が2回とも確認できた被験者が0名であった。
【0116】
そして、ALT(GPT)では、1回目と7回目とを比較したところ被験者3名の血液中のALT(GPT)値の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者4名の改善が確認でき、これらを平均すると3.5名の改善が確認できた。さらに、このALT(GPT)では、被験者10名中3名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が3名で、改善が2回とも確認できた被験者が1名であった。よって、このALT(GPT)では、症状有で改善が1回あった被験者が100.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が33.3%であった。
【0117】
次いで、γ−GTP(γ−GT)では、1回目と7回目とを比較したところ被験者4名の血液中のγ−GTP(γ−GT)値の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者3名の改善が確認でき、これらを平均すると3.5名の改善が確認できた。さらに、このγ−GTP(γ−GT)では、被験者10名中3名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が1名で、改善が2回とも確認できた被験者が1名であった。よって、このγ−GTP(γ−GT)では、症状有で改善が1回あった被験者が33.3%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が33.3%であった。
【0118】
また、総コレステロールでは、1回目と7回目とを比較したところ被験者4名の血液中の総コレステロール値の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者5名の改善が確認でき、これらを平均すると4.5名の改善が確認できた。さらに、この総コレステロールでは、被験者10名中4名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が4名で、改善が2回とも確認できた被験者が2名であった。よって、この総コレステロールでは、症状有で改善が1回あった被験者が100.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が50.0%であった。
【0119】
そして、HDLコレステロールでは、1回目と7回目とを比較したところ被験者6名の血液中のHDLコレステロール値の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者5名の改善が確認でき、これらを平均すると5.5名の改善が確認できた。さらに、このHDLコレステロールでは、被験者10名中2名が適正値より低い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が1名で、改善が2回とも確認できた被験者が0名であった。よって、このHDLコレステロールでは、症状有で改善が1回あった被験者が50.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が0.0%であった。
【0120】
次いで、中性脂肪では、1回目と7回目とを比較したところ被験者9名の血液中の中性脂肪値の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者8名の改善が確認でき、これらを平均すると8.5名の改善が確認できた。さらに、この中性脂肪では、被験者10名中5名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が4名で、改善が2回とも確認できた被験者が3名であった。よって、この中性脂肪では、症状有で改善が1回あった被験者が80.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が60.0%であった。
【0121】
また、遊離脂肪酸では、1回目と7回目とを比較したところ被験者7名の血液中の遊離脂肪酸値の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者7名の改善が確認でき、これらを平均すると7.0名の改善が確認できた。さらに、この遊離脂肪酸値では、被験者10名中4名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が4名で、改善が2回とも確認できた被験者が1名であった。よって、この遊離脂肪酸では、症状有で改善が1回あった被験者が100.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が25.0%であった。
【0122】
そして、尿酸では、1回目と7回目とを比較したところ被験者8名の血液中の尿酸値の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者7名の改善が確認でき、これらを平均すると7.5名の改善が確認できた。さらに、この尿酸では、被験者10名中4名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が4名で、改善が2回とも確認できた被験者が2名であった。よって、この尿酸では、症状有で改善が1回あった被験者が100.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が50.0%であった。
【0123】
次いで、血糖では、1回目と7回目とを比較したところ被験者1名の血液中の血糖値の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者4名の改善が確認でき、これらを平均すると2.5名の改善が確認できた。さらに、この血糖では、被験者10名中0名が適正値より高い症状有の状態であった。
【0124】
そして、インスリンでは、1回目と7回目とを比較したところ被験者2名の血液中のインスリン値の改善が確認でき、2回目と7回目とを比較したところ被験者4名の改善が確認でき、これらを平均すると3.0名の改善が確認できた。さらに、このインスリンでは、被験者10名中2名が適正値より高い症状有の状態で、これら被験者のうち改善が1回確認できた被験者が2名で、改善が2回とも確認できた被験者が0名であった。よって、このインスリンでは、症状有で改善が1回あった被験者が100.0%で、症状有で改善が2回ともあった被験者が0.0%であった。
【0125】
さらに、アディポネクチンでは、2回目と7回目とを比較したところ被験者4名の血液中のアディポネクチン値の改善が確認できた。
【0126】
(結果)
以上のことから、第1摂取群で10.5名/16名の体重の減少が確認でき、第2摂取群で4名/10名の体重の減少が確認できた。この結果、H錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、体重の減少作用があることが認められた。
【0127】
また、第1摂取群で14名/16名の収縮期血圧の適正値への変位が確認でき、第2摂取群で4.5名/10名の収縮期血圧の適正値への変位が確認できた。この結果、H錠の少なくとも1日当たり男性および女性それぞれ3錠程度の摂取によって、収縮期血圧の適正値への調整作用があることが認められるとともに、このH錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、収縮期血圧の適正値への調整作用がよりあることが認められた。
【0128】
さらに、第1摂取群で13名/16名の拡張期血圧の適正値への変位が確認でき、第2摂取群で4.5名/10名の拡張期血圧の適正値への変位が確認できた。この結果、H錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、拡張期血圧の適正値への調整作用があることが認められた。したがって、これら収縮期血圧および拡張期血圧の結果から、H錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、血圧を適正値に調整する作用があることが認められた。
【0129】
また、第1摂取群で9.5名/16名の腹囲値の減少が確認でき、第2摂取群で5.5名/10名の腹囲値の減少が確認できた。この結果、H錠の少なくとも1日当たり男性および女性それぞれ3錠程度の摂取によって、腹囲値減少作用があることが認められるとともに、このH錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、腹囲値減少作用がよりあることが認められた。
【0130】
さらに、第1摂取群で11名/16名のAST(GOT)値の減少が確認でき、第2摂取群で2.5名/10名のAST(GOT)値の減少が確認できた。この結果、H錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、AST(GOT)値の減少作用があることが認められた。
【0131】
また、第1摂取群で10.5名/16名のALT(GPT)値の減少が確認でき、第2摂取群で3.5名/10名のALT(GPT)値の減少が確認できた。この結果、H錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、ALT(GPT)値の減少作用があることが認められた。
【0132】
さらに、第1摂取群で10名/16名のγ−GTP(γ−GT)値の減少が確認でき、第2摂取群で3.5名/10名のγ−GTP(γ−GT)値の減少が確認できた。この結果、H錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、γ−GTP(γ−GT)値の減少作用があることが認められた。
【0133】
また、第1摂取群で10.5名/16名の総コレステロール値の減少が確認でき、第2摂取群で4.5名/10名の総コレステロール値の減少が確認できた。この結果、H錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、総コレステロール値の減少作用があることが認められた。
【0134】
さらに、第1摂取群で4.5名/16名のHDLコレステロール値の増加が確認でき、第2摂取群で5.5名/10名のHDLコレステロール値の増加が確認できた。この結果、H錠の1日当たり男性および女性それぞれ3錠程度の摂取によって、HDLコレステロール値の増加作用があることが認められた。
【0135】
また、第1摂取群で7名/16名の中性脂肪値の減少が確認でき、第2摂取群で8.5名/10名の中性脂肪値の減少が確認できた。この結果、H錠の1日当たり男性および女性それぞれ3錠程度の摂取によって、中性脂肪値の減少作用があることが認められた。
【0136】
さらに、第1摂取群で8.5名/16名の遊離脂肪酸値の減少が確認でき、第2摂取群で7名/10名の遊離脂肪酸値の減少が確認できた。この結果、H錠の1日当たり男性および女性それぞれ3錠程度の摂取によって、遊離脂肪酸値の減少作用があることが認められた。
【0137】
また、第1摂取群で9.5名/16名の尿酸値の減少が確認でき、第2摂取群で7.5名/10名の尿酸値の減少が確認できた。この結果、H錠の1日当たり男性および女性それぞれ3錠程度の摂取によって、尿酸値の減少作用があることが認められた。
【0138】
さらに、第1摂取群で11名/16名の血糖値の適正値への変位が確認でき、第2摂取群で2.5名/10名の血糖値の適正値への変位が確認できた。この結果、H錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、血糖値の改善作用があることが認められた。
【0139】
また、第1摂取群で7名/16名のヘモグロビンA1c値の改善が確認でき、第2摂取群でヘモグロビンA1c値の改善が確認できなかった。この結果、H錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、ヘモグロビンA1c値の改善作用があることが認められた。
【0140】
さらに、第1摂取群で9名/16名のインスリン値の改善が確認でき、第2摂取群で3名/10名のインスリン値の改善が確認できた。この結果、H錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、インスリン値の改善作用があることが認められた。
【0141】
また、2回目と7回目との比較において、第1摂取群で10名/16名のアディポネクチン値の増加が確認でき、第2摂取群で4名/10名のアディポネクチン値の増加が確認できた。この結果、H錠の少なくとも1日当たり男性および女性それぞれ3錠程度の摂取によって、アディポネクチン値の増加作用があることが認められるとともに、このH錠の1日当たり男性10錠および女性8錠程度の摂取によって、アディポネクチン値の増加作用がよりあることが認められた。
【0142】
この結果、エルカンプーレエキスパウダを含有するH錠を摂取することによって、摂取前と比較して摂取後において、体重の減少作用、血圧を適正値に調整させる作用、腹囲値減少作用、ALT(GPT)値減少作用、γ−GTP(γ−GT)値減少作用、総コレステロール値減少作用、HDLコレステロール値増加作用、中性脂肪値減少作用、尿酸値減少作用、血糖値を改善させる作用、ヘモグロビンA1c値改善作用、インスリン値改善作用およびアディポネクチン値増加作用のそれぞれを期待できることが分かった。
【0143】
したがって、H錠には、上述のような内臓脂肪蓄積によって変化する血液中のALT(GPT)、γ−GTP(γ−GT)、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、尿酸、血糖、ヘモグロビンA1c、インスリンおよびアディポネクチンなどの種々の数値を改善させる作用が確認できたことから、この内蔵脂肪蓄積によって生じる複合的な疾病、いわゆるメタボリックシンドロームに対して抑制作用、例えば予防作用および改善作用があると考えられる。すなわち、このH錠は、エネルギ過剰による疾病抑制組成物、言い換えるとエネルギ過剰基因病抑制組成物として用いることができる。
【0144】
ここで、このメタボリックシンドロームとしては、主として内臓脂肪蓄積に基因する生活習慣病、すなわち肥満、リポ蛋白質異常、血圧高値、高血糖などの集積状態である。さらに、リポ蛋白質異常は高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症あるいは高コレステロール血症などであり、高血糖はインスリン抵抗性、血清遊離脂肪酸あるいは血清グルコース値の上昇と密接に関係している。
【0145】
そして、上述のメタボリックシンドロームを予防および改善して、動脈硬化を予防および改善することにより、睡眠時無呼吸症候群などの呼吸器疾患や、肝臓における中性脂肪、コレステロール上昇による脂肪肝あるいは胆石症、脳梗塞および脳出血などの脳血管障害、狭心症および心筋梗塞などの虚血性心疾患などの予防や改善が可能となる。
【0146】
具体的に、高血圧値や高血糖は、エネルギ過剰による内臓脂肪蓄積を基盤として、遊離脂肪酸の上昇、アディポサイトカイン分泌異常、インスリン抵抗性上昇および血糖値上昇(血清グルコース値上昇)によって発症する。また同時に、エネルギ過剰による内臓脂肪蓄積を基盤として、遊離脂肪酸の上昇、肝臓中性脂肪合成増加によって、脂肪肝が発症し、さらにVLDL合成・分泌上昇、VLDLレムナント上昇、およびLDL上昇が伴ってリポ蛋白質異常が発症する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、インスリン抵抗性改善作用を有する
ことを特徴としたインスリン抵抗性改善作用組成物。
【請求項2】
エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、アディポネクチン増加作用を有する
ことを特徴としたアディポネクチン増加作用組成物。
【請求項3】
エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、ヘモグロビンA1c改善作用を有する
ことを特徴としたヘモグロビンA1c改善作用組成物。
【請求項4】
エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、血糖値改善作用を有する
ことを特徴とした血糖値改善作用組成物。
【請求項5】
エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、尿酸値減少作用を有する
ことを特徴とした尿酸値減少作用組成物。
【請求項6】
エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、肝機能改善作用を有する
ことを特徴とした肝機能改善作用組成物。
【請求項7】
エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、腹囲値減少作用を有する
ことを特徴とした腹囲値減少作用組成物。
【請求項8】
エルカンプーレおよびエルカンプーレの抽出物の少なくともいずれかを含有し、体重減少作用を有する
ことを特徴とした体重減少作用組成物。

【公開番号】特開2007−269750(P2007−269750A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100603(P2006−100603)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(300022526)TOWA CORPORATION 株式会社 (8)
【Fターム(参考)】