説明

インスリン抵抗性改善薬および治療方法

本発明は、一般に、治療の分野に関する。さらに詳しくは、本発明は、インスリン抵抗性改善薬およびグルコース恒常性を調節する方法に関し、糖尿病、シンドロームX、高血糖、血管疾患および腎疾患などのインスリン抵抗性によるグルコース取り込み障害が関与または関係する疾患および関連状態の治療的または予防的処置に関する。本発明はさらに、該処置方法に用いるための化合物および作用剤およびその組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、治療の分野に関する。さらに詳しくは、本発明は、インスリン抵抗性改善薬およびグルコース恒常性を調節する方法に関し、糖尿病、シンドロームX、高血糖、血管疾患および腎疾患などのインスリン抵抗性によるグルコース取り込み障害が関与または関係する疾患および関連状態の治療的または予防的処置に関する。本発明はさらに、該処置方法に用いるための化合物および作用剤およびその組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書におけるどのような先行文献(またはそれに由来する情報)への言及、または既知のどのような事項への言及も、その先行文献(またはそれに由来する情報)または既知の事項が、本明細書が関連する努力の分野における一般常識の部分を形成するという承認または容認またはいずれかの形態の示唆ではなく、また、そのように受け止められるべきではない。
【0003】
グルコースは、身体の好ましいエネルギー源である。いったん、血流に入ると、貯蔵または利用されるために肝細胞、筋細胞および脂肪細胞に入るために、インスリンの援助を必要とする。健常人において、グルコース恒常性は、インスリンによって一次的にコントロールされる。食後などは血糖値が上昇するので、膵臓内の特殊化されたβ細胞が、身体の標的組織によるグルコース取り込み、細胞内代謝およびグリコーゲン合成を促進するインスリンを放出する。このように、健常人において、血糖値は、典型的には、80〜110 mg/dlの範囲において厳密にコントロールされる。しかし、膵臓が不適切なインスリン反応を生み出すか、または生成されたインスリンに対して標的細胞が適切に反応しない場合には、グルコースは身体の細胞に入ることができない。このことは、血流におけるグルコースの急速な蓄積をもたらす(高血糖)。
【0004】
長時間の高血糖は、心臓血管疾患、網膜損傷、腎不全、神経損傷、勃起障害および切断の危険を伴う壊疽を引き起こす。さらに、利用可能なグルコースの不在下において、細胞は、代替エネルギー源として脂肪に頼るようになる。四郷加水分解の産物として得られるケトンは、血流内に蓄積して、低血圧およびショック、昏睡および死さえも引き起こす。
【0005】
不適切なインスリン分泌および/またはインスリンに対する不適切な反応または感受性のいずれかに起因する慢性的に高い血糖値(約126 mg/dl以上)は、アメリカ合衆国において、現在、成人の10パーセント以上が苦しんでいる疾患である糖尿病と称される。糖尿病症候群の最初の診断上の特徴の1つは、食後の血糖値が、食後、より長い時間高いままであり、実際に、長期間高いままでありうるようなグルコース恒常性のコントロールの個々の喪失である。この疾患は、持続性高血糖、多尿症、多渇症および/または過食症、網膜症,腎症および神経障害などの慢性細小血管合併症、ならびに失明、末期腎疾患、手足の切断および心筋梗塞につながりうる高脂血症および高血圧などの大血管合併症を特徴とする。糖尿病の最も一般的な3つのタイプは、I型、II型および妊娠性糖尿病である。
【0006】
インスリン依存型糖尿病(IDDM)または若年発症糖尿病として知られるI型は、すべての症例の10〜15%に起こる。それは、小児および青年において最も一般的に診断されるが、若年成人においてもおこりうる。それは、インスリン分泌機能の喪失をもたらすβ細胞破壊を特徴とする。大部分の症例は、β細胞の自己免疫破壊に関連する。治療は、インスリン注射を介して行い、永久に継続しなければならない。
【0007】
対照的に、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)または遅発型糖尿病として知られるII型糖尿病においては、インスリンレベルは、最初は正常であるが、身体の標的細胞が、そのインスリンに対する反応性を失う。これはインスリン抵抗性または非感受性として知られる。補償として、膵臓が、過剰のインスリンを分泌し始めるが、やがて、膵臓は十分なインスリンを生成することができなくなり、慢性の高血糖がもたらされる。最初の症状は、典型的に、I型よりも軽症であり、より重篤な症状が現れるまで、状態が、長年診断されないまま経過する可能性がある。遺伝的素因が危険を増加させるが、ライフスタイル(質の悪い食生活および運動不足)が、状態の主な仲介因子であるとみなされる。治療は、ライフスタイルの変更、インスリン療法および/またはインスリンに対する患者の感受性を増加させる抗糖尿病薬(インスリン抵抗性改善薬)か、または患者のインスリン酸性を増加させることによる抗糖尿病薬(インスリン分泌促進薬)に重点を置いて行われる。臨床経験が、最適の治療的介入は、インスリン抵抗性改善薬またはインスリン分泌促進薬のいずれかによる単剤療法に続いて、増感剤および分泌促進薬の併用療法を行うことであることを実証している。
【0008】
妊娠性糖尿病は、すべての妊娠の約2〜5%に起こる。それは、一時的であるが、もし治療しないと、胎児の合併症が起こる。大部分の患者は、出産後、完全に回復する。しかし、妊娠性糖尿病を発生する女性の一部は、II型糖尿病を発症する。
【0009】
その他に、まれではあるが、糖尿病の原因に、インスリン抵抗性、膵臓疾患、ホルモン異常、栄養失調および化学的または薬物の影響に遺伝的に関係があるβ細胞における遺伝的欠陥が含まれる。
【0010】
グルコース耐性障害および空腹時血糖値異常は、II型糖尿病と密接に関連するプレタイプII型糖尿病の状態であり、血糖値が正常より高いが、糖尿病と分類するには十分高くない場合に起こる(約110〜126 mg/dl)。II型と同様に、身体は、インスリンを生成するが、不十分な量であるか、または標的組織が生成されたインスリンに不応答である。
【0011】
インスリン抵抗性症候群(IRS)として知られるシンドロームXは、心臓疾患の危険因子の集団であり、インスリン抵抗性に関連する。それは、II型糖尿病および肥満、アテローム性動脈硬化、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール、高インスリン血症、高血糖、高血圧、グルコース耐性障害および空腹時血糖値異常などの心臓疾患の症候群または発生に対する危険因子を現す。
【0012】
高血糖値およびインスリン抵抗性は、慢性炎症、線維症および肝硬変に進みうる脂肪肝疾患にも関連している。
【0013】
したがって、インスリン抵抗性、または非感受性が、糖尿病性およびその他の高血糖関連状態において重要な役割をはたすことができることが明らかである。
【0014】
最新のWHOの推定(2003年の世界の糖尿病患者の数についての推定)は、19,400万人である。これは、2025年までに、少なくとも33,000万人に増加すると予測され、この障害に関連して、1年に約400万人が死亡すると推定される。
【0015】
ビグアナイド化合物群のメンバーであるメトホルミンは、II型糖尿病患者のグルコース耐性を改善する高血糖治療薬であり、基底および食後血漿グルコースの両方を低下させる。その薬理学的作用機序は、他の経口高血糖治療薬の群とは異なる。メトホルミンは、肝臓グルコース産生を減少させ、グルコースの腸内吸収を減少させ、末梢グルコース取り込みおよび利用を増加させることによりインスリン感受性を改善する。それは、単剤療法またはスルホニルウレアなどの他の抗糖尿病薬との併用のいずれかで、II型糖尿病の治療における経口高血糖治療薬の第一選択薬とみなされる。固定投与量率はないが(投与量は、有効性および耐性に基づいて個別化され、一般に、1日当たり500または850 mgを1日1回または2回投与で開始する)、一般に、いったん治療計画が確立されると、成人のための塩酸付加塩形体の投与量は、少なくとも約1500 mg/日(10〜16歳の小児患者については約1000 mg)である。最大1日投与量は、2550 mg/日(10〜16歳の小児患者については約2000 mg)である。1日投与量、特に、範囲の高い方の値は、一般に、一錠当たり500、850または1000 mg/日の投与量で1日2〜3回服用する。遅延放出剤形では、総投与量を1日1回服用する。
【0016】
しかし、メトホルミンの有効性は、時間とともに減少し、この薬物には、さらなる副作用がないことはない。これらのうち最も一般的なものは、下痢、腸痙攣、吐き気および嘔吐などの胃の不快感である。長期間および高用量の投与には、ビタミンB12欠乏も不随する。メトホルミン関連の最も重篤な副作用は、まれであるが、メトホルミン蓄積によって起こりうる重篤な代謝性合併症である乳酸アシドーシスである。それが起こる場合、致死率は症例の約50%である。報告された症例は、重大な腎不全をもつ患者において最初に起こっている。腎機能の定期的モニタリングおよび最少有効用量の使用によって、危険を低くすることができる。高用量は、患者のノンコンプライアンスの危険も増加させる。メトホルミンは、腎疾患または腎機能障害をもつ患者において禁忌である。
【0017】
炭酸脱水酵素(CAs)は、二酸化炭素と重炭酸塩との間の生命維持に重要な相互変換を触媒するメタロプロテイナーゼである。この反応は、呼吸および代謝組織と排出部位との間のCO2の輸送、種々の組織および臓器における電解質の分泌、pH調節および恒常性ならびに幾つもの代謝経路などの多くの生理機構にとって重要である。CAsは、すべての界に遍在し、α-CAsは、少なくとも15の異なるイソ型で哺乳類に存在する。種々のイソ型は、サイトゾル型(CAI、CAII、CAIII、CAVII、CAXIII)、ミトコンドリア型(CAV)、膜結合イソ酵素(CAIV、CAIX、CAXII、CAXIV)、分泌型(CAVI)ならびに非触媒型として生じる広範な組織分布をもつ。CAsの亜鉛(II)イオンは、触媒作用にとって重要であることがわかっている。
【0018】
炭酸脱水酵素阻害剤(CAI)は、最初に利尿薬として、しかし、第一には緑内障の治療において、十分に確立された治療薬である。腎臓において、炭酸脱水酵素の阻害は、腎臓尿細管による重炭酸ナトリウムの再吸収を減少させ、ナトリウム、カリウム、重炭酸塩および水の排出を増加させる(Jackson、E.K.、Goodman and Gilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics、10th Ed. McGraw-Hill、New York 2001)。眼において、炭酸脱水酵素の阻害は、毛様体における重炭酸塩の形成を減少させる。ナトリウムと重炭酸塩の共輸送は、眼の後眼房に入るナトリウムの70%を負担し、水がナトリウムに続いて、房水を形成するが、その減少が緑内障の治療に必要である(Alward、W.L.M.、New England Journal of Medicine、1998 339 1298)。阻害剤は、非特異的であってよいが、あるいは、1種以上の酵素サブタイプに特異的であってもよい。それらは、酵素のZn(II)イオンに結合することによって作用する。CAIは、一般に、2つの主な種類に分けることができる:非タンパク質亜鉛リガンドを置換することによるか、または金属配位圏に付加することによるか、のいずれかによって結合する、金属錯化アニオンおよびスルホンアミド。非置換スルホンアミド基(-SO2NH2)を有するスルホンアミドは、脱プロトン化状態において、Zn(II)イオンの四面体配置中に結合し、それによってスルホンアミドの窒素原子がZn(II)に配位し、NH部分の水素および酸素原子の1つがタンパク質との水素結合に参加することによって作用することが明らかにされている。
【0019】
炭酸脱水酵素のイソ酵素が、エネルギー代謝において重要な役割をはたすという無視できない文献における証拠がある。1900年代の初期に、クレブス(Krebs)が、糖新生経路への二酸化炭素の取り込みを促進する酵素としてCAを同定した。CAイソ酵素Vが、ミトコンドリアナイに存在するものとして同定された。続く研究において、CAは、脂質生成において役割を有するものとして同定され(Lynch、C.J.ら、Biochem. J.、1995、310、197およびFaseb、J.、1996、10、481)、肥満の治療における炭酸脱水酵素阻害剤の有用性に関して主張されている(US 20020022245)。
【0020】
US 20020022245は、化合物の一般的種類として、肥満の治療または予防におけるCAIの使用を教示する。化合物は、特定の例として記載されるトピラメートとともに脂肪のデノボ生成の阻害剤として記載される。肥満と糖尿病の間には因果関係があるかもしれないが、そして、肥満の治療が、体重の減少を通して糖尿病状態の症状における改善フローオン(flow-on)効果を有するかもしれないが、これらのフローオン効果は、数週間の治療後のみに観察され、著しい体重の現象に続いてのみ起こる。
【0021】
しかし、動物モデルから抗肥満薬を市販のための規制機関の承認を受けている医薬に転換することには限界があること、および処方箋に利用可能な2,3の抗肥満療法には、その使用にともなう副作用および限定された臨床的利点があることが留意される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
糖尿病およびインスリン抵抗性が関連する他の疾患および状態の有病率およびその潜在的重要性を考えると、インスリン抵抗性または血糖値上昇が原因要素または誘因要素である状態の治療および/または予防のための新しい治療プロトコルの必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
(発明の概要)
驚いたことに、今や、CA阻害活性をもつ特定の化合物が、血糖値を制御または調節するように作用することが見出されている。理論によって制限されるものではないが、炭酸脱水酵素阻害剤(CAI)は、脂肪細胞および骨格筋細胞などの細胞におけるインスリン抵抗性を改善または改良して、インスリンの作用に対して細胞を効果的に再度感受性があるようにし、それによって上昇した血糖値の低下を可能にすることができる。このような化合物は、糖尿病または前糖尿病である患者の血糖値に対する直接的コントロールを提供することによって、インスリン抵抗性が関与する疾患および関連する状態および症状の治療または予防において治療的有用性をもつ。CAIに対する細胞応答は、急速に起こり、細胞脂質含量における変化に従属しない。
【0024】
ループ利尿薬またはチアジド利尿薬でもあるCAIが、同様の利点をインビボで提供しないことがさらに見出されている。
【0025】
したがって、本発明は、血糖値の調節(すなわち、グルコース恒常性)におけるインスリン抵抗性改善薬としての炭酸脱水酵素阻害剤であるスルホンアミド化合物またはそのイソスターの使用、および糖尿病および関連状態の治療または予防に関する。ただし、それらは、ループ利尿薬でもチアジド利尿薬でもない。さらに、CAIは、トピラメートまたはゾニサミドではない。
【0026】
したがって、本発明の1つの態様は、スルホンアミド(-SO2NH2)化合物もしくはそのイソスター、またはその医薬的に許容しうる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグである炭酸脱水酵素阻害剤化合物に細胞を接触させることを含む、細胞によるグルコース取り込みを増加させる方法を提供する。ただし、該スルホンアミド化合物は、ループ利尿薬でもチアジド利尿薬でもなく、さらに、トピラメートまたはゾニサミドではない。
【0027】
たとえば、脂肪細胞または筋細胞および腎細胞などの細胞によるグルコース取り込みを増加させる方法は、インビボまたはインビトロで行うことができる。
【0028】
好都合なことに、本発明が意図する化合物は、上昇した血糖値の低下をもたらすことができ、それによって、インスリン抵抗性およびインスリン抵抗性が関与する疾患または状態の治療において有用性をもつ。本発明が意図する化合物は、糖尿病または前糖尿病血糖値をまだ示していない患者の正常な空腹時血糖値を維持することにおいても有用性をもち、したがって、たとえば、家族歴または生活要因によってこのような状態になる傾向があるといったような患者の糖尿病または前糖尿病状態の発生を予防または遅延することができる。
【0029】
したがって、もう1つの態様において、本発明は、スルホンアミド(-SO2NH2)化合物もしくはそのイソスター、またはその医薬的に許容しうる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグである炭酸脱水酵素阻害剤化合物を患者に投与することを含む、それを必要とする患者において、上昇した血糖値を低下させるか、または正常な血糖値を維持する方法に関する。ただし、該スルホンアミド化合物は、ループ利尿薬でもチアジド利尿薬でもなく、さらに、トピラメートまたはゾニサミドではない。
【0030】
さらなる態様において、本発明は、スルホンアミド(-SO2NH2)化合物もしくはそのイソスター、またはその医薬的に許容しうる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグである炭酸脱水酵素阻害剤化合物を患者に投与することを含む、それを必要とする患者において、インスリン抵抗性が関与する疾患もしくは状態、またはその症状を治療する方法に関する。ただし、該スルホンアミド化合物は、ループ利尿薬でもチアジド利尿薬でもなく、さらに、トピラメートまたはゾニサミドではない。
【0031】
本発明の特定の態様において、疾患もしくは状態は、II型糖尿病、妊娠性糖尿病、グルコース耐性障害、空腹時血糖値異常またはシンドロームXである。
【0032】
本発明のさらなる態様は、治療における使用のため、特にグルコース恒常性を調節するため、インスリン抵抗性を治療するため、および/またはインスリン抵抗性が関与する疾患もしくは状態、または1つ以上のその症状を治療するための、スルホンアミド(-SO2NH2)化合物もしくはそのイソスター、またはその医薬的に許容しうる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグである炭酸脱水酵素阻害剤を提供する。ただし、該スルホンアミド化合物は、ループ利尿薬でもチアジド利尿薬でもなく、さらに、トピラメートまたはゾニサミドではない。
【0033】
本発明はまた、スルホンアミド(-SO2NH2)化合物もしくはそのイソスター、またはその医薬的に許容しうる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグである炭酸脱水酵素阻害剤を含む、インスリン抵抗性を治療するため、上昇した血糖値を低下させるか、または正常な血糖値を維持するため、および/またはインスリン抵抗性が関与する疾患もしくは状態、または1つ以上のその症状を治療するための作用剤および組成物、およびそれらを含む医薬の製造におけるこのような化合物の使用を提供する。ただし、該スルホンアミド化合物は、ループ利尿薬でもチアジド利尿薬でもなく、さらに、トピラメートまたはゾニサミドではない。
【0034】
本発明にしたがって治療される患者は、本発明が意図するCAI化合物による治療を要求することに基づいて選ばれ、すなわち、グルコース取り込みを増加させるため、インスリン抵抗性を治療するため、上昇した血糖値を低下させるか、または正常な血糖値を維持するため、および/またはインスリン抵抗性が関与する疾患もしくは状態、または1つ以上のその症状を治療するためにCAI化合物が投与される。
【0035】
本発明の特定の態様において、CAIは、単剤療法、すなわち、CAIが、所望の治療効果を達成するために投与される本質的に唯一の活性物質である療法において、インスリン抵抗性改善薬として用いられる。本発明の他の態様において、CAIは、インスリン分泌促進薬などの1つ以上の他の抗糖尿病薬と併用して、インスリン抵抗性改善薬として用いられる。本発明のさらに他の態様において、CAIは、メトホルミンまたはその医薬的に許容しうる塩と併用で用いられる。
【0036】
本発明の幾つかの特定の態様において、CAIは、メタゾラミドもしくはその類縁体、またはその医薬的に許容しうる塩である。この態様のさらなる例において、メタゾラミドは、メトホルミンまたはその医薬的に許容しうる塩と併用しての処方で投与される。
【0037】
したがって、本発明のさらなる態様において、メトホルミンまたはその医薬的に許容しうる塩およびメタゾラミドもしくはその類縁体、またはその医薬的に許容しうる塩を含む併用薬が提供される。
【0038】
本発明の併用薬は、2つの作用剤の単一組成物として投与されてもよく、または個別の成分としてそれぞれの作用剤を含んでもよい。個別の成分として活性剤が投与される場合、それらは連続して、あるいは同時に投与されてよい。
【0039】
(発明の詳細な記載)
本明細書および後述の請求の範囲を通して、他に特記しない限り、用語「含む(comprise)」ならびに「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などのその変形は、表示された完全体(integer)またはステップまたは完全体のグループの包含を意味するが、いずれかの他の完全体またはステップまたは完全体のグループの排除を意味しないと理解されよう。
【0040】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他のものを指示しない限り、複数の態様も包含する。
【0041】
本発明が意図する化合物は、スルホンアミド化合物またはそのイソスターであり、炭酸脱水酵素阻害活性をもち、すなわち、たとえば、本明細書において先述したイソ型といったような少なくとも1つのヒトの炭酸脱水酵素などの哺乳類の少なくとも1つの炭酸脱水酵素を阻害する能力がある。化合物は、多くのCAサブタイプ(イソ型)に対する阻害活性をもってもよく、あるいは1つのCAサブタイプのみ、もしくはCAの確定したグループのみを阻害してもよく、すなわち、他のものよりも優先して1つ以上のサブタイプに対する選択性または親和性を示してもよい。本発明の特定の態様において、化合物は、他のイソ型よりもイソ型Vに対して選択性または親和性を示す。しかし、本明細書において意図する化合物は、炭酸脱水酵素阻害活性をもつことに基づいて簡便に分類されてもよいことに留意すべきであり、このことが、化合物が記載した治療効果を達成する機構であってもなくてもよい。
【0042】
スルホンアミド基に関して用いる場合などの用語「イソスター」は、電気陰性度、立体構造、サイズ、親油性、そして特にスルホンアミド基(-SO2NH2)について、亜鉛結合能力といったような、所望の活性に必要な同じ物理化学的特性をもつ官能基を意味する。非置換-SO2NH2基のように、本明細書で意図するイソスターは、CA酵素のZnに結合する能力がある。スルホンアミドのイソスターの例として、以下の基が挙げられる:-SO2NHOH、-SO2NHSH、-SO2NHCN、-SO2NHNH2、-SO2NH-1-イミダゾリル、-SO2NHPO3H2、-SO2NHSO2NH2、-SO2NHSO2OH、-OSO2NH2-OSO2NHOH、-OSO2NHPO3H2、-OSO2NHSO2NH2、-OSO2NHSO2OH、-NSO2NH2、-NSO2NHOH、-NSO2NHPO3H2、-NSO2NHSO2NH2、-NSO2NHSO2OH、=NSO2NH2、-NHCONH2、-ONHCONH2および-ONHCOR(ここで、Rは、HまたはC1-6アルキルである)。
【0043】
CAIである化合物は、当業界で公知である(たとえば、Pastorekovaら、Journal of Enzyme Inhibition and Medicinal Chemistry、19(3)、199-229、2004を参照)。化合物の炭酸脱水酵素阻害活性を定量する方法、すなわち、化合物がCAIとして分類できるかどうかは、当業界で公知であり、本発明に用いるのに適したさらなる化合物を有効に同定することができる。方法の例およびCAIとみなすのに必要な活性のレベルは、US 20020022245およびその引用文献、特に、Supuranら、European Journal of Medicinal Chemistry、1998、33、577-594 and Scozzafavaら、Journal of Medicinal Chemistry、1999、42 25、3690-3700に記載されており、これらは、参照することにより本発明に援用される。
【0044】
多くの公知のCAIsを以下の表Aに示す。
表A:公知の炭酸脱水酵素阻害剤


【0045】
CA阻害活性をもつスルホンアミドまたはイソスターは、式(I):
A-W-X (I)
[式中、Xは、SONH2またはそのイソスターである;
Wは、AおよびXの間の直接結合であるか、または1〜5個の炭素原子からなるアルキレン鎖である(ここで、CH2基は、O、SまたはNHで置換されてもよい);
Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルから選ばれる基であり、それぞれが任意に置換されてもよい]
で示される化合物から選ばれる。
【0046】
本明細書で用いる用語「アルキル」は、単独または複合語で用いて、直鎖または分枝飽和炭化水素残基を意味し、たとえば、C1-10またはC1-6などのC1-20アルキルが好ましい。直鎖および分枝アルキルの例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-プロピル、ヘキシル、4-メチルペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、1,2,2,-トリメチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、ヘプチル、5-メチルヘキシル、1-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、4,4-ジメチルペンチル、1,2-ジメチルペンチル、1,3-ジメチルペンチル、1,4-ジメチル-ペンチル、1,2,3-トリメチルブチル、1,1,2-トリメチルブチル、1,1,3-トリメチルブチル、オクチル、6-メチルヘプチル、1-メチルヘプチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ノニルおよびデシルが挙げられる。アルキル基が一般に「プロピル」、「ブチル」などを意味する場合、これが、必要に応じて、直鎖または分枝異性体のいずれかを意味しうることが理解されよう。アルキル基は、本明細書に定義する1つ以上の任意の置換基によって任意に置換されてもよい。
【0047】
本明細書で用いる用語「アルケニル」は、先に定義したように、エチレン性モノ、ジまたはポリ不飽和アルキル基などの少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖または分枝炭化水素残基から形成される基を意味し、C2-20アルケニル(たとえば、C2-10またはC2-6など)が好ましい。アルケニルの例として、ビニル、アリル、1-メチルビニル、ブテニル、イソ-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1-ヘプテニル、3-ヘプテニル、1-オクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、1-デセニル、3-デセニル、1,3-ブタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1,3-ヘキサジエニルおよび1,4-ヘキサジエニルが挙げられる。アルケニル基は、本明細書に定義する1つ以上の任意の置換基によって、または1、2または3個までのC原子をO、NまたはSで独立して置き換えることによって任意に置換されてもよい。
【0048】
用語「アルキニル」は、先に定義したように、エチレン性モノ、ジまたはポリ不飽和アルキル基などの少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖または分枝炭化水素残基から形成される基を意味する。炭素原子の数が特定されない限り、用語は、好ましくは、C2-20アルキニル(たとえば、C2-10またはC2-6など)を意味する。例として、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニルおよびブチニル異性体およびペンチル異性体が挙げられる。アルキニル基は、本明細書に定義する1つ以上の任意の置換基によって、または1、2または3個までのC原子をO、NまたはSで独立して置き換えることによって任意に置換されてもよい。
【0049】
用語「アリール」(または「カルボアリール)」、または「アラルキル(aralkyl)」などの複合語で用いる略語「ar」は、芳香族残基を含む単、二または多環式(共役および縮合を含む)炭化水素環系のいずれかを意味する。アリールの例として、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル(テトラリニル)、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、ピレニル、インデニル、イソインデニル、インダニル、アズレニルおよびクリセニルが挙げられる。アリールの特定の例として、フェニルおよびナフチルが挙げられる。アリール基は、本明細書に定義する1つ以上の任意の置換基で任意に置換されてもよい。
【0050】
用語「カルボシクリル」は、たとえば、C3-20(C3-10またはC3-8など)などの非芳香族の単環式、二環式および多環式(縮合、架橋または共役を含む)炭化水素残基のいずれかを包含する。環は、たとえば、シクロアルキルなどの飽和であってもよく、あるいは1つ以上の二重結合を有してもよく(シクロアルケニル)、および/または1つ以上の三重結合を有してもよい(シクロアルキニル)。カルボシクリルの例として、単環式5〜6員または二環式9〜10員の環系が挙げられる。適当な例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロオクタテトラエニルおよびデカリニルが挙げられる。カルボシクリル基は、本明細書に定義する1つ以上の任意の置換基で任意に置換されてもよい。モノカルボシクリル基は、架橋基によって置換されて二環式架橋基を形成してもよい。
【0051】
用語「ヘテロシクリル」は、単独または複合語で用いて、非芳香族ヘテロ原子含有環を含む基を提供するように、1つ以上の炭素原子が独立してヘテロ原子によって置換されるC3-20(C3-10またはC3-8など)などの単環式、二環式または多環式(縮合、架橋または共役を含む)炭化水素残基のいずれかを包含する。適当なヘテロ原子として、O、N、S、PおよびSeが挙げられ、特にO、NおよびSが好ましい。2つ以上の炭素原子が置換される場合、これは、2つ以上の同じヘテロ原子であってもよく、異なるヘテロ原子であってもよい。ヘテロシクリル基は、飽和または部分飽和であってよく、たとえば、1つ以上の二重結合を有してもよい。特に好ましいヘテロシクリルは、単環式5〜6員および二環式9〜10員のヘテロシクリルである。ヘテロシクリル基の適当な例として、アズリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、2H-ピロリル、ピロリジニル、1-、2-および3-ピロリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、インドリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリル、テトラヒドロチオフェニル(テトラメチレンスルフィド)、ピラゾリニル、ジオキサラニル、チアゾリジニル、イソキサゾリジニル、ジヒドロピラニル、オキサジニル、チアジニル、チオモルホリニル、オキサチアニル、ジチアニル、トリオキサニル、チアジアジニル、ジチアジニル、トリチアニル、チアジアゾリニル、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル、インデニル、インダニル、3H-インドリル、イソインドリニル、4H-キノラジニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、ベンゾキサジニル(2H-1,3、2H-1,4-、1H-2,3-、4H-3,1-、4H-1,4)ピラニルおよびジヒドロピラニルが挙げられる。ヘテロシクリル基は、本明細書に定義する1つ以上の任意の置換基で任意に置換されてもよい。
【0052】
用語「ヘテロアリール」は、単環式、二環式または多環式(縮合または共役)炭化水素残基のいずれかを包含し、少なくとも1つの芳香族ヘテロ原子含有環を有する残基を提供するように、1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換される。例示のヘテロアリールは、3〜20個の環原子、たとえば、3〜10個などの環原子を有する。特に好ましいヘテロアリールは、5〜6員単環式および9〜10員二環式環系である。適当なヘテロ原子として、O、N、S、PおよびSeが挙げられ、特にO、NおよびSが好ましい。2つ以上の炭素原子が置換される場合、これは、2つ以上の同じヘテロ原子であってもよく、異なるヘテロ原子であってもよい。ヘテロアリール基の適当な例として、ピリジル、ピロリル、チエニル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、1,5-ナフチリジニル、キノザリニル、キナゾリニル、キノリニル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアルゾリル、オキサトリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリルおよびフラザニルが挙げられる。ヘテロアリール基は、本明細書に定義する1つ以上の任意の置換基で任意に置換されてもよい。
【0053】
本明細書において、「任意に置換される」は、基が、非置換であってもよいか、または以下から選ばれる基などの1、2、3またはそれ以上の有機および無機基で置換もしくは(縮合二環式または多環式基を形成するように)縮合してもよいことを意味する:アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アシル、アラルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、アルキルカルボシクリル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロカルボシクリル、ハロヘテロシクリル、ハロヘテロアリール、ハロアシル、ハロアリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、ヒドロキシカルボシクリル、ヒドロキシアリール、ヒドロキシヘテロシクリル、ヒドロキシヘテロアリール、ヒドロキシアシル、ヒドロキシアラルキル、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルコキシアルキニル、アルコキシカルボシクリル、アルコキシアリール、アルコキシヘテロシクリル、アルコキシヘテロアリール、アルコキシアシル、アルコキシアラルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボシクリルオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アシルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ハロカルボシクリルオキシ、ハロアラルキルオキシ、ハロヘテロアリールオキシ、ハロヘテロシクリルオキシ、ハロアシルオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、ニトロヘテロアリール、ニトロカルボシクリル、ニトロアシル、ニトロアラルキル、アミノ(NH2)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アラルキルアミノ、ジアラルキルアミノ、アシルアミノ、ジアシルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロアリールアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、アミド、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフェニルオキシ、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、チオ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、カルボシクリルチオ、ヘテロシクリルチオ、ヘテロアリールチオ、アシルチオ、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、アミノアルキル、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミノカルボシクリル、アミノアリール、アミノヘテロシクリル、アミノヘテロアリール、アミノアシル、アミノアラルキル、チオアルキル、チオアルケニル、チオアルキニル、チオカルボシクリル、チオアリール、チオヘテロシクリル、チオヘテロアリール、チオアシル、チオアラルキル、カルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、カルボキシアルキニル、カルボキシカルボシクリル、カルボキシアリール、カルボキシヘテロシクリル、カルボキシヘテロアリール、カルボキシアシル、カルボキシアラルキル、カルボキシエステルアルキル、カルボキシエステルアルケニル、カルボキシエステルアルキニル、カルボキシエステルカルボシクリル、カルボキシエステルアリール、カルボキシエステルヘテロシクリル、カルボキシエステルヘテロアリール、カルボキシエステルアシル、カルボキシエステルアラルキル、アミドアルキル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、アミドカルボシクリル、アミドアリール、アミドヘテロシクリル、アミドヘテロアリール、アミドアシル、アミドアラルキル、ホルミルアルキル、ホルミルアルケニル、ホルミルアルキニル、ホルミルカルボシクリル、ホルミルアリール、ホルミルヘテロシクリル、ホルミルヘテロアリール、ホルミルアシル、ホルミルアラルキル、アシルアルキル、アシルアルケニル、アシルアルキニル、アシルカルボシクリル、アシルアリール、アシルヘテロシクリル、アシルヘテロアリール、アシルアシル、アシルアラルキル、スルホキシドアルキル、スルホキシドアルケニル、スルホキシドアルキニル、スルホキシドカルボシクリル、スルホキシドアリール、スルホキシドヘテロシクリル、スルホキシドヘテロアリール、スルホキシドアシル、スルホキシドアラルキル、スルホニルアルキル、スルホニルアルケニル、スルホニルアルキニル、スルホニルカルボシクリル、スルホニルアリール、スルホニルヘテロシクリル、スルホニルヘテロアリール、スルホニルアシル、スルホニルアラルキル、スルホンアミドアルキル、スルホンアミドアルケニル、スルホンアミドアルキニル、スルホンアミドカルボシクリル、スルホンアミドアリール、スルホンアミドヘテロシクリル、スルホンアミドヘテロアリール、スルホンアミドアシル、スルホンアミドアラルキル、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロカルボシクリル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、ニトロヘテロアリール、ニトロアシル、ニトロアラルキル、シアノ、スルフェート、スルホネート、ホスホネートおよびホスフェート基。任意の置換基として、=O、=S、=CHRおよび=NRも挙げられ、すなわち、ここで、鎖または環中のCH2基は、カルボニル基(C=O)(オキソ)またはチオカルボニル基(C=S)(チオキソ)またはC=CHRもしくはC=NR基で置換される(ここで、Rは水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-6シクロアルキル、C(O)H、C(O)C1-6アルキル、C(O)フェニル、C(O)NH2、C(O)NHC1-6アルキル、C(O)NHフェニル、C(O)(CH2)nフェニルおよびC(O)NH(CH2)nフェニルである(ここで、nは、1-6であり、フェニルは、C1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルから独立して選ばれる1つ以上の置換基で任意に置換されてもよい))か、または2個の隣接もしくは非隣接の炭素原子(たとえば、1,2-または1,3-)は、-O-(CH2)s-O-または-NRx-(CH2)s-NRx-基のそれぞれの一方の端で置換され(ここで、sは1または2であり、各Rxは独立してHまたはC1-6アルキルである)、およびCおよびNから独立して選ばれる2個の隣接もしくは非隣接の原子は、(架橋基を形成するように)C1-5アルキレンまたはC2-5アルケニレン基のそれぞれの一方の端で置換される。
【0054】
任意の置換基の例として、以下から選ばれる基が挙げられる:アルキル、(たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのC1-6アルキル)、シクロアルキル(たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどのC3-6シクロアルキル)、ヒドロキシアルキル(たとえば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシC1-6アルキル)、アルコキシアルキル(たとえば、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピルなどのC1-6アルコキシC1-6アルキル)、アルコキシ(たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのC1-6アルコキシ)、アルコキシアルコキシ(たとえば、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシメトキシ、エトキシエトキシ、エトキシプロポキシ、プロポキシメトキシ、プロポキシエトキシ、プロポキシプロポキシなどのC1-6アルコキシC1-6アルコキシ)、シクロアルコキシ(たとえば、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシル、シクロヘキシルオキシ)、ハロ、ハロアルキル(たとえば、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチルなどのハロC1-6アルキル)、ハロアルコキシ(たとえば、ハロC1-6アルコキシ)、ヒドロキシ、チオ(-SH)、スルホニル、スルホンアミド、フェニル(それ自体、たとえば、1つ以上のC1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルでさらに置換されてもよい)、ベンジル(ここで、ベンジルそれ自体、たとえば、1つ以上のC1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルでさらに置換されてもよい)、フェノキシ(ここで、フェニルそれ自体、たとえば、1つ以上のC1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルでさらに置換されてもよい)、ベンジルオキシ(ここで、ベンジルそれ自体、たとえば、1つ以上のC1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルでさらに置換されてもよい)、NH2、アルキルアミノ(たとえば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノなどの-NHC1-6アルキル)、ジアルキルアミノ(たとえば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノなどの-NH(C1-6アルキル)2)、アシルアミノ(たとえば、-NHC(O)CH3などの-NHC(O)C1-6アルキル)、ジアシルアミノ、フェニルアミノ(すなわち、-NHフェニル、ここで、フェニルそれ自体、たとえば、1つ以上のC1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルコキシC1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルでさらに置換されてもよい)、ニトロ、シアノ、ホルミル、-C(O)-アルキル(たとえば、アセチルなどの-C(O)C1-6アルキル)、O-C(O)-アルキル(たとえば、アセチルオキシなどの-OC(O)C1-6アルキル)、ベンゾイル(ここで、ベンジルそれ自体、たとえば、1つ以上のC1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルでさらに置換されてもよい)、ベンゾイルオキシ(ここで、ベンジルそれ自体、たとえば、1つ以上のC1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルでさらに置換されてもよい)、CO2H、CO2アルキル(たとえば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステルなどのCO2C1-6アルキル)、CO2フェニル(ここで、フェニルそれ自体、たとえば、1つ以上のC1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルでさらに置換されてもよい)、CO2ベンジル(ここで、ベンジルそれ自体、たとえば、1つ以上のC1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルでさらに置換されてもよい)、CONH2、C(O)NHフェニル(ここで、フェニルそれ自体、たとえば、1つ以上のC1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルでさらに置換されてもよい)、C(O)NHベンジル(ここで、ベンジルそれ自体、たとえば、1つ以上のC1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルでさらに置換されてもよい)、C(O)NHアルキル(たとえば、メチルアミド、エチルアミド、プロピルアミド、ブチルアミドなどのC(O)NHC1-6アルキル)、C(O)Nジアルキル(たとえば、C(O)N(C1-6アルキル)2)、アミノアルキル(たとえば、HNC1-6アルキル-、C1-6アルキルHN-C1-6アルキル-および(C1-6アルキル)2N-C1-6アルキル-)、チオアルキル(たとえば、HSC1-6アルキル-)、カルボキシアルキル(たとえば、HO2CC1-6アルキル-)、カルボキシエステルアルキル(たとえば、C1-6アルキルO2CC1-6アルキル-)、アミドアルキル(たとえば、H2N(O)CC1-6アルキル-、H(C1-6アルキル)N(O)CC1-6アルキル-)、ホルミルアルキル(たとえば、OHCC1-6アルキル-)、アシルアルキル(たとえば、C1-6アルキル(O)CC1-6アルキル-)、ニトロアルキル(たとえば、O2NC1-6アルキル-)、オキソ(=O)、チオキソ(=S)、=CHR、イミノ(=NR)、-O-(CH2)s-O-または-NR'-(CH2)s-NR'-基のそれぞれの一方の端による2個の隣接または非隣接の炭素原子(たとえば、1,2または1,3)の置換(ここで、sは1または2であり、各R'は独立してHまたはC1-6アルキルである)、およびC2-5アルキレンまたはC2-5アルケニレン基によるCおよびNから独立して選ばれる2個の隣接もしくは非隣接の原子の置換。
【0055】
「[基]オキシ」として記載される用語は、酸素が結合する特定の基を意味し、たとえば、用語「アルコキシ」、「アルケノキシ」、「アルキノキシ」および「アリールオキシ」ならびに「アシルオキシ」はそれぞれ、酸素原子が結合した先述のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールならびにアシル基を意味する。「[基]チオ」として記載される用語は、イオウが結合する特定の基を意味し、たとえば、用語「アルキルチオ」、「アルケニルチオ」、「アルキニルチオ」および「アリールチオ」はそれぞれ、イオウ原子が結合した先述のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基を意味する。同様に、「[基A]基B」として記載される用語は、基Bの二価体が結合した基Aを意味することを意図し、たとえば、「ヒドロキシアルキル」は、アルキレン基が結合したヒドロキシ基であり、「アリールアルキル」は、アルキレン基が結合したアリール基である。
【0056】
用語「ハロゲン」(「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素(フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)を意味する。
【0057】
用語「アシル」は、単独または複合語のいずれかで用いて、部分C=Oを含む基(そしてカルボン酸、エステルまたはアミドではない)を意味する。好ましいアシルとして、C(O)-R(ここで、Rは、水素またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリルもしくはヘテロシクリル残基である)が挙げられる。アシルの例として、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2-メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイルおよびイコサノイルなどの直鎖または分枝アルカノイル(たとえば、C1-20);シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニルおよびシクロヘキシルカルボニルなどのシクロアルキルカルボニル;ベンゾイル、トルイルおよびナフトイルなどのアロイル;フェニルアルカノイル(たとえば、フェニルアセチル)などのアラルカノイルが挙げられる。R残基は、本明細書に記載されるように任意に置換されてもよい。
【0058】
用語「スルホキシド」は、単独または複合語のいずれかで用いて、-S(O)R基(ここで、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリルおよびアラルキルから選ばれる)を意味する。Rの例として、水素、C1-20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0059】
用語「スルホニル」は、単独または複合語のいずれかで用いて、S(O)2-R基(ここで、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリルおよびアラルキルから選ばれる)を意味する。Rの例として、水素、C1-20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0060】
用語「スルホンアミド(sulfonamide)」または「スルホンアミド(sulfonamido)」の「スルホンアミル」は、単独または複合語のいずれかで用いて、S(O)2NRR基(ここで、各Rは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル、アシルおよびアラルキルから選ばれる)を意味する。Rの例として、水素、C1-20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。1つの態様において、少なくとも1つのRは水素である。他の態様において、両方のRが水素である。
【0061】
「スルフェート」基は、-OS(O)2OR基(ここで、各Rは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル、アシルおよびアラルキルから選ばれる)を意味する。Rの例として、水素、C1-20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0062】
用語「スルホネート」は、SO3R基(ここで、各Rは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル、アシルおよびアラルキルから選ばれる)を意味する。Rの例として、水素、C1-20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0063】
用語「チオ」は、式「-SR」(ここで、Rは、水素(チオール)、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキルおよびアシルでありうる)で示される基を含むことを意図する。Rの例として、水素、C1-20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0064】
本明細書において、用語「アミノ」は、当業界で理解されるその最も広い意味で用いられ、式:-NRARBで示される基(ここで、RAおよびRBは、独立して、水素、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、アシルおよびアミドから選ばれる基のいずれかであり、それぞれ任意に置換されてよい)を包含する。また、RAおよびRBは、それらが結合する窒素と一緒になって、たとえば、3-10員環、特に5-6および9-10員環系などの単環式または多環式環系も形成する。「アミノ」の例として、-NH2、-NHアルキル(たとえば、-NHC1-20アルキル)、-NHアルコキシアルキル、-NHアリール(たとえば、-NHフェニル)、-NHアラルキル(たとえば、-NHベンジル)、-NHアシル(たとえば、-NHC(O)C1-20アルキル、-NHC(O)フェニル)、-NHアミド(たとえば、NHC(O)NHC1-6アルキル、NHC(O)NHフェニル)、-Nジアルキル(ここで、たとえば、C1-20などの各アルキルは、同一または相違する)および1つ以上の同一または相違するヘテロ原子(たとえば、O、NおよびS)を任意に含む5または6員環が挙げられる。「[基]アミノ」として記載する基は、RAおよびRB基の性質を反映することを意図する。たとえば、「アルキルアミノ」は、RAまたはRBがアルキルである-NRARBを意味する。「ジアルキルアミノ」は、RAおよびRBがそれぞれ(独立して)アルキル基である-NRARBを意味する。
【0065】
本明細書において、用語「アミド(amido)」は、当業界で理解されるその最も広い意味で用いられ、式:C(O)NRARBで示される基(ここで、RAおよびRBは、前記と同意義である)を包含する。アミドの例として、C(O)NH2、C(O)NHアルキル(たとえば、C1-20アルキル)、C(O)NHアリール(たとえば、C(O)NHフェニル)、C(O)NHアラルキル(たとえば、C(O)NHベンジル)、C(O)NHアシル(たとえば、C(O)NHC(O)C1-20アルキル、C(O)NHC(O)フェニル)、C(O)Nアルキルアルキル(ここで、たとえば、C1-20などの各アルキルは、同一または相違する)および1つ以上の同一または相違するヘテロ原子(たとえば、O、NおよびS)を任意に含む5または6員環が挙げられる。
【0066】
本明細書において、用語「カルボキシエステル」は、当業界で理解されるその最も広い意味で用いられ、式:-CO2Rで示される基(ここで、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アラルケニル、ヘテロアリールアルケニル、カルボシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルケニル、アラルキニル、ヘテロアリールアルキニル、カルボシクリルアルキニル、ヘテロシクリルアルキニルおよびアシルを含む基から選ばれ、それぞれ任意に置換されてよい)を包含する。カルボキシエステルの幾つかの例として、-CO2C1-20アルキル、-CO2アリール(たとえば、-CO2フェニル)、-CO2アルC1-20アルキル(たとえば、-CO2ベンジル)が挙げられる。
【0067】
用語「ホスホネート」は、-P(O)(OR2)基(ここで、Rは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル、アシルおよびアラルキルから選ばれる)を意味する。Rの例として、水素、C1-20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0068】
用語「ホスフェート」は、-OP(O)(OR)2基(ここで、Rは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル、アシルおよびアラルキルから選ばれる)を意味する。Rの例として、水素、C1-20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0069】
いくつかの式(I)の例において、Aは、本明細書に定義されるように任意に置換されてよい単環式または二環式ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基である。
【0070】
さらに、驚いたことに、CAの阻害剤であるが、「ループ」または「チアジド」利尿薬としても作用する特定のスルホンアミド化合物が、インビボモデルにおいて所望の活性を示さないことが見出されている。このような化合物は、本発明における考慮から排除される。
【0071】
腎臓のヘンレ上行脚におけるNa+K+(Cl-)2共輸送体上で作用するのでそのように呼ばれるループ利尿薬は、ナトリウムおよび塩化物の再吸収を阻害するように作用する。ループ利尿薬は、静脈および腎臓血管の血管拡張を引き起こして、血圧の低下を機械的に引き起こす。したがって、それらは、鬱血性心不全または腎不全によることが多い高血圧および浮腫を治療するために、一次的に用いられる。当業者は、どの化合物がループ利尿薬でもあるかを認識し、理解するであろう。本発明の範囲から排除されるループ利尿薬の例として、フロセミド、トルセミド、ブメタニド、アゾセミドおよびピレタニドが挙げられる。
【0072】
ループ利尿薬であることがわかっているいくつかの化合物は、式:

[式中、R1は、カルボキシレート、テトラゾリル、スルホネートまたはホスフェートなどのイオン部分またはイソスターである;
R2は、ハロ、アルキル、フェニル、アルコキシまたはフェノキシなどの疎水性部分である;
R3およびR4の一方は、水素であり、他方は、NR5R6である(ここで、R5およびR6はそれぞれ独立して、水素、C2-8アルキル、フェニル、ベンジルから選ばれるか、またはそれらが結合する窒素と一緒になって、飽和または不飽和5-7員環を形成する)]
によって一般化することができる。
【0073】
チアジド利尿薬は、「チアジド受容体」において作用する化合物の種類であり、ナトリウム-塩化物共輸送体であると考えられる。これらの化合物は、チアジド感受性Na+Cl-輸送体を遮断することによって、Na+Cl-再吸収を阻害する。この用語は、チアジド環系を含む元のチアジド利尿薬の化学構造を意味するが、この用語は、現在、チアジド部分を有さないが、同様の作用を有する化合物を含む。それらの血管拡張特性により、それらは、高血圧の治療に用いられることが多い。当業者は、どの化合物がチアジド利尿薬でもあるかを認識し、理解するであろう。本発明の範囲から排除されるチアジド利尿薬の例として、以下の化合物が挙げられる:アルチアジド、ベメチジド、ベンズヒドロクロロチアジド、ベンズチアジド、ブチアジド、シクロチアジド、メトクロチアジド、パラフルチジド、ポリチアジド、テクロチアジド、トリクロロメタジド、クロロアミノテナミド、インダパミド、クロルタリドン、クロフェナミド、クロレキソロン、フェンキゾン、メフルシド、ロリパミド、クロルスロン、クロパミド、スルピリド、キシパミド、クロルタリドン、シクロペンチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチクラン、キネタゾン、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メトラゾン、シクロペンチアジド、フルメチアジドおよびヒドロフルメチアジド。
【0074】
多くの公知のチアジド利尿薬は、以下の残基の1つをさらに含むSO2NH2部分を含む。

[式中、*は、スルホンアミド基への結合点であり、(c)については、Xは両方がCまたは両方がNである]
【0075】
チアジドおよびループ利尿薬の両方が、ナトリウム-塩化物輸送体またはナトリウム-カリウム-二塩化物輸送体のそれぞれの阻害を介して、塩化ナトリウムの再吸収を阻害するが、純粋な炭酸脱水酵素阻害剤は、塩化ナトリウムではなくて二塩化ナトリウムの再吸収を阻害するので、塩化物排出における選ばれた炭酸脱水酵素阻害剤の効果によって、該炭酸脱水酵素阻害剤の「チアジド」または「ループ利尿薬」作用を決定することが可能である。これは、公知の体液中の塩化物の決定方法(塩化物排出における有意な増加であるかどうかを決定するためのHPLC:Tsikas、D.ら Chromatographia 1992 33 317;イオン感受性電極:Warwick、W.J.ら Clinical Chemistry 1978 24 2050)を用いて、該炭酸脱水酵素阻害剤で処置された動物の尿を非処置動物と比較して分析することを手段として行うことができる。
【0076】
本発明に用いるのに適しているCAI化合物の例は、周知であり、Pastorekovaら、Journal of Enzyme Inhibition and Medicinal Chemistry、2004、19(3)、199-229、US 2554816、US 5010204、US 2783241、US 3157572、GB 795174、US 2835702、US 5378703、US 5153192、US 5240923、US 5679670およびUS 5585377などの文献に広範に記載されている。
【0077】
さらなる態様において、本発明は、化合物が、本明細書に意図する治療適用に用いるのに適しているかどうかを決定する方法を提供する。したがって、本発明はまた、本発明に用いるための化合物を選択する方法であって、
(i)式(I)で定義されるグループから任意にスルホンアミド化合物またはそのイソスターを選択し;
(ii)そのCA阻害活性を測定し;
(iii)それがループ利尿薬またはチアジド利尿薬であるかどうかを決定する;
(ここで、CAIであるが、ループでもまたはチアジド利尿薬でもないスルホンアミド化合物またはそのイソスターが、本発明において用いるのに適している);
ステップを含む方法を提供する。
【0078】
CA阻害活性の測定および化合物がループまたはチアジド利尿薬であるかどうかの決定は、当業界で周知の知識に基づいて、または別法として、たとえば、本明細書に記載した方法などの適切な方法によって、行うことができる。
【0079】
本発明の態様として意図されるCAI化合物の1つの種類は、スルホンアミドグループ(またはそのイソスター)が、たとえば、Aがアリールまたはヘテロアリールである式(I)で示される化合物などの芳香環含有コアに置換されている化合物である。さらなる例において、Aは、9-10員の二環式アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基などの二環式基である。他の例において、Aは、単環式5-6員のヘテロアリールまたはヘテロシクリル基である
【0080】
適当なAのいくつかの例として、フェニル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル 1,3,5-トリアジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル ピロリル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキシジアゾリル、1,2,4-オキシジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、テトラゾリル、ナフチル、インダニル、インドリル、イソインドリル、インド(du)リニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、キノリニル、クマリン、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル、s-トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル、テオフィリニル、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、イミダゾ[2,1-b]チオフェニル、1,3,4-チアジアゾロ[3,2-a]ピリミジニル、1,3,4-チアジアゾロ[3,2-a]トリアジニル、チエノ[2,3-b]チオピラニル、チエノ[3,2-b]チオピラニル、チエノ[2,3-b]ピラニル、チエノピペリジニル、ジオキサニル、チエノ[2,3-b]ピロリル、チエノ[2,3-b]チオフェニル、チエノ[3,2-b]チオフェニル、チエノ[2,3-b]フリル、チエノ[2,3-b]チアジニル、1,3,4-チアジアゾロ[2,3-c][1,2,4]チアジアゾリル、イミダゾ[2,1-b]-1,3,4-チアジアゾリル、ベンズイミダゾ[1,2-c][1,2,3]チアジアゾリル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられ、それぞれは、さらに、本明細書に記載するように任意に置換されてもよい。
【0081】
さらなる態様において、Aは、任意に置換される:

[ここで、環の右手側の波線は、W-Xへの連結(そのさらなる態様において、Wは、AとXとの間の直接結合である)を示し、分子の左手側の波線は、さらなる置換の1つの典型的部位(示した部位に代わって、またはそれと並んで、他の部位が可能であるが)を示す]
から選ばれる5員のヘテロ環式またはヘテロアリール基である。
【0082】
さらなる態様において、Aは、直線または分枝のC2-20アルキルまたはC2-20シクロアルキルまたは3-20員のヘテロシクリル基であり、ここで、シクロアルキルまたはヘテロシクリル基は、単環式、二環式または多環式(たとえば、三環式)であってよい。A基が、本明細書に記載する任意の置換基、特に、ハロ(たとえば、F)、ヒドロキシおよびメトキシによって1回以上置換されるのが有利である。
【0083】
本発明のいくつかの態様において、Wは、直接結合である。他の態様において、Wは、1、2または3個の炭素原子からなるアルキレン鎖である。さらに他の態様において、Wは、1,2,3,4または5個の鎖原子のアルキレン鎖であり、ここで、鎖原子の1つは、O、SまたはN(H)である。ただし、O、SまたはN原子は、-O-O-、-S-O-、-(H)N-O-、O-S-、S-O-、(H)N-O-、-O-N-またはS-N-基を形成するように、Xに直接結合しない(ここで、示された右手原子は、スルホンアミドまたはイソスター基の原子である)。
【0084】
本発明のいくつかの態様において、Xは、-SONH2、-SO2NHOH、-SO2NHSH、-SO2NHCN、-SO2NHNH2、-SO2NH-1-イミダゾリル、-SO2NHPO3H2、-SO2NHSO2NH2、-SO2NHSO2OH、-OSO2NH2-OSO2NHOH、-OSO2NHPO3H2、-OSO2NHSO2NH2、-OSO2NHSO2OH、-NSO2NH2、-NSO2NHOH、-NSO2NHPO3H2、-NSO2NHSO2NH2、-NSO2NHSO2OHおよび=NSO2NH2から選ばれる。
【0085】
さらなる例において、本明細書で意図する化合物は、1、2または3の上記態様を含む。
【0086】
本発明が意図する、ループまたはチアジド利尿薬ではないスルホンアミドCAIのいくつかの非限定的例として、アセタゾラミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、ブタゾールアミド、ベンゾラミドおよびエトキシゾラミドが挙げられる。
【0087】
本発明において用いるのに適しているCAIのいくつかのさらなる例として、式(II)(ここで、

は、定義された単結合または二重結合を示す):

[式中、
Xは、SONH2またはそのイソスターである;
Wは、AとXとの間の直接結合であるか、または1〜5個の炭素原子からなるアルキレン鎖である(ここで、CH2基は、O、SまたはNHで任意に置換されてよい);
A1は、SまたはOから選ばれる;

は、-CH、=C、=Nまたは-Nである;
A3は、CまたはNである;
R1は、

が、-Nである場合、水素、アルキル、アリールアルキルおよびアリールから選ばれ;または

が、-CHまたは=Cである場合、水素、アルキル、カルボシクリル、アリールアルキル、アリール、アミノ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、カルボシクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシおよびアミノアルキルから選ばれ;または

が、=Nである場合、不在である;
R2は、
A3が、Cである場合、水素、アルキル、カルボシクリル、アリールアルキル、アリール、アミノ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、カルボシクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシおよびアミノアルキルから選ばれ;または
A3が、Nである場合、不在である;

は、直接結合、C=、N=、CH-およびN-から選ばれるが、ただし、

が、=Cまたは=Nである場合、

は、C=またはN=ではない;
Y2は、NHまたはCH2から選ばれる;
R3は、
水素、アルキル、カルボシクリル、アリールアルキル、アリール、アミノ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、カルボシクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシおよびアミノアルキルから選ばれ;または

が、直接結合である場合、不在である;および
R4は、水素、アルキル、アリールアルキルおよびアリールから選ばれる]
で示される化合物が挙げられる。
【0088】
(II)のヘテロ環式環は、芳香族または非芳香族である。
いくつかの態様において、A1は、Oである。他の態様において、A1は、Sである。
いくつかの態様において、

は、-CHである。他の態様において、

は、=Cである。さらに他の態様において、

は、-Nである。さらにまた他の態様において、

は、=Nである。
いくつかの態様において、A3は、Cである。他の態様において、A3は、Nである。
【0089】
そのさらなる態様において、「アルキル」または「alk」は、C1-6であり、「カルボシクリル」は、C3-6であり、「アリール」は、フェニルまたは任意に置換されたフェニルである。
さらなる態様において、A3は、Nであり、

は、-Nであり、

は、N=である。
【0090】
本発明において用いるのに適しているCAIの他の例として、メタゾラミドおよびその類縁体が挙げられる。メタゾラミドおよびメタゾラミド類縁体CAIは、式(III):

[式中、R1は、水素、C1-6アルキル、C(O)C1-6アルキルおよび(CH2)nフェニルから選ばれる(ここで、nは、1、2、3、4、5または6であり、フェニルは、C1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルから独立して選ばれる1つ以上の置換基で任意に置換されてよい);および
R5は、水素、C1-6アルキル、C(O)C1-6アルキルおよび(CH2)nフェニルから選ばれる、(ここで、nは、1、2、3、4、5または6であり、フェニルは、C1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルから独立して選ばれる1つ以上の置換基で任意に置換されてよい)]
で示されるチアジアゾリニル化合物およびそのイソスターが含まれる。
【0091】
さらなる態様において、R1は、C1-6アルキルまたは(CH2)nフェニルであり、R5は、水素、C1-6アルキルまたは(CH2)nフェニルである。
【0092】
式(III)の特定の非限定的例として、以下のものが挙げられる:
5-ホルミルイミノ-4-メチル-Δ2-1,3,4-チアジアゾリン-2-スルホンアミド;
5-アセチルイミノ-4-メチル-Δ2-1,3,4-チアジアゾリン-2-スルホンアミド(メタゾラミド);
5-アセチルイミノ-4-エチル-Δ2-1,3,4-チアジアゾリン-2-スルホンアミド;
5-アセチルイミノ-4-ブチル-Δ2-1,3,4-チアジアゾリン-2-スルホンアミド;
5-アセチルイミノ-4-ベンジル-Δ2-1,3,4-チアジアゾリン-2-スルホンアミド;
5-アセチルイミノ-4-p-ニトロベンジル-Δ2-1,3,4-チアジアゾリン-2-スルホンアミド;
5-プロピオニルイミノ-4-メチル-Δ2-1,3,4-チアジアゾリン-2-スルホンアミド;
5-プロピオニルイミノ-4-エチル-Δ2-1,3,4-チアジアゾリン-2-スルホンアミド;
5-プロピオニルイミノ-4-ブチル-Δ2-1,3,4-チアジアゾリン-2-スルホンアミド;
5-ブチリルイミノ-4-メチル-Δ2-1,3,4-チアジアゾリン-2-スルホンアミド;および
5-ブチリルイミノ-4-ベンジル-Δ2-1,3,4-チアジアゾリン-2-スルホンアミド。
【0093】
CAI化合物は、商業的供給源から入手してもよく、あるいは、特許文献に記載の方法および当業界で公知の方法で製造してもよい。たとえば、アセタゾラミドおよび関連化合物などの様々なヘテロ環式スルホンアミドの製造が、US2554816およびUS 5010204に記載されている。メタゾラミドおよび他の5-アシルイミノ-4-置換-Δ2-1,3,4-チアジアゾリン-2-スルホンアミドなどの様々なチアゾール、1,3,4-チアジアゾールおよび1,3,4-チアジアゾリンの製造が、EP 96003、Recueil des Travaux Chimiques des Pays-Bas et de la Belgique(1943)、62、207-09、US 2,978,457、US 2,994,701、Angewandte Chemie、(1966)、78(18-19)、850-5、WO 2002012211、WO 9529904、US 2783241およびUS 3157572に記載されている。エトキソールアミドおよび類縁体などの様々なヘテロ環式スルホンアミドの製造が、GB 795174に記載されている。
【0094】
式(I)-(III)の特定の化合物は、互変異性体(たとえば、ケト-エノール互変異性体)でも存在しうる。このような形体のすべてが本明細書において意図される。
【0095】
本発明が意図する化合物および組成物は、主治医が決定しうる適当な投与および治療処方にしたがって、たとえば、抗糖尿病性治療薬などの単独のインスリン抵抗性改善薬として投与されてもよく、または、インスリン(ヒト、ウシ、ブタまたは合成)および/または1つ以上の他の抗糖尿病性または抗高血糖性治療薬と併用で投与されてもよく、同時(個別に、または組み合わせ組成物として)または連続して投与してもよい。適当な他の作用剤として、インスリン抵抗性改善薬、インスリン分泌促進薬、グルコース再吸収/取り込み阻害剤およびUS2005/0037981、特に表2(これらは、全体として参照することにより本発明に援用される)において特定されている種類および化合物が挙げられる。本発明と組み合わせて用いるための作用剤のいくつかの例として、ビグアナイド、スルホニルウレア、メグルチニド、インスリンおよびインスリン類縁体ならびにチアゾリジンジオンが挙げられる。意図するこのような作用剤の例として、チアゾリジンジオン(ロシグリタゾンおよびピオグリタゾンなど)、メトホルミン、インスリン、スルホニルウレア(グリメピリド、グリブリド、グリピジド、クロルプロパミド、トラザミドおよびトルブタミドなど)、メグリチミド(レパグリニドおよびナテグリニドなど)、α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボースおよびミグリトールなど)、シタグリプチンなどのDPPIV阻害剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の組成物として、本明細書に記載の式(I)-(III)の化合物と一緒にしたこのような作用剤が挙げられる。
【0096】
本発明の態様において、本発明が意図する化合物は、化合物による血糖調節処置を必要とすることに基づいて治療のために選ばれる被験者に投与されてよい。したがって、さらなる態様において、本発明方法は、糖尿病またはインスリン抵抗性が原因である他の状態のために血糖調節を必要とすることに基づいて、被験者または患者を選択するステップが先行する。
【0097】
いくつかの態様において、もう1つの抗糖尿病性または抗高血糖性治療薬との併用薬で本発明のスルホンアミド(またはイソスター)であるCAIを投与することによって、現行の単剤療法と比べて、一方または両方の作用剤の投与量を減少させることが可能であり、すなわち、いくつかの態様において、併用薬は、相加的または相乗的効果を有利に提供することができる場合がある。したがって、たとえば、現在臨床的に用いているよりも少ない投与率における、現在用いているメトホルミンまたはインスリン分泌促進薬などの抗糖尿病性または抗高血糖性作用薬の投与によって、効果的療法を達成することが可能である場合がある。このことは、現行の投与量および処方に伴う望ましくない副作用の重篤度、危険性または発生率および不利点を有利に回避、改善または減少させることができる。
【0098】
別の態様において、もう1つの抗糖尿病性または抗高血糖性治療薬との併用薬で本発明のスルホンアミドまたはイソスターであるCAIを投与することによって、単剤療法として用いる場合にそれぞれの作用薬が利点を提供する期間を増加させることができる場合がある。したがって、たとえば、現在用いているメトホルミンまたはインスリン分泌促進薬などの抗糖尿病性または抗高血糖性作用薬の投与によって、現在達成されているよりも多い月数または年数の期間において効果的療法を達成することが可能である場合がある。このことは、現行の治療処方によって提供される治療効果の期間に伴う望ましくない副作用の重篤度、危険性または発生率および不利点を有利に回避、改善または減少させることができる。
【0099】
さらに驚いたことには、メトホルミンと、通常、1日2〜3回、1回当たり5-150 mgの投与量で緑内障の治療において現在用いられているメタゾラミドの併用が、メトホルミン単独によって達成される空腹時血漿グルコースレベルと比べて、レベルにおける改善を提供することが発見された。
【0100】
したがって、本発明のいくつかの態様において、このことは、現在の投与処方と比べて、メトホルミンの投与量を有利に減少させることができ、それによって現在のメトホルミン療法に伴う不利点の1つ以上を解消、軽減または改善することができる。
【0101】
したがって、本発明のさらなる態様は、メトホルミンまたはその医薬的に許容しうる塩と式(II)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩との併用投与を含む、それを必要とする患者において、血糖値を低下させる方法を提供する。
【0102】
もう1つの態様は、メトホルミンまたはその医薬的に許容しうる塩と式(II)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩との併用投与を含む、それを必要とする患者において、インスリン抵抗性を治療する方法を提供する。
【0103】
本発明のさらにもう1つの態様は、メトホルミンまたはその医薬的に許容しうる塩と式(II)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩との併用投与を含む、インスリン抵抗性が関与する疾患もしくは状態、またはその症状を治療する方法に関する。
【0104】
特定の態様において、式(II)で示される化合物は、メタゾラミドである。さらなる態様において、併用は、メトホルミン塩酸塩とメタゾラミドを含む。
【0105】
本発明の1つ以上の態様において、本発明によって意図される化合物または併用は、上昇した血糖値などの糖尿病および関連または前駆状態の1つ以上の症状の短期緩和または軽減を提供する。さらなる態様において、本発明の処置は、処置の開始から約30分〜約12時間以内であって約7日間までの測定可能または顕著な緩和、改善または軽減を提供する。さらなる態様において、本発明の処置は、約1時間以内から4日間まで、典型的には、約24時間〜4日間の測定可能または顕著な緩和または軽減を提供する。
【0106】
グルコース恒常性に関して、本明細書で用いる用語「制御する」または「調節する」ならびに制御すること/調節すること、および制御/調節などの変形は、該グルコース濃度の調整または管理を意味し、特定の態様においては、正常な血糖値への調整または正常な血糖値の維持を意味する。したがって、「グルコース恒常性を制御すること/調節すること」は、高血糖を低下させるため、または正常な空腹時血糖値を有利に達成または維持するための血糖値の調整または管理を含む。正常な空腹時血糖値は、典型的には、6.1 mmol/L(110 mg/dL)未満である。高血糖値(本明細書において、上昇した血糖値ともいう)は、6.1 mmol/L(110 mg/dL)よりも大きいか等しい空腹時血糖値を意味する。
【0107】
空腹時高血糖(IFG)は、6.1 mmol/L(110 mg/dL)以上であるが、7.0(126 mgd/L)未満である空腹時血漿グルコース濃度および7.8 mmol/L(140 mg/dL)未満である経口グルコース負荷試験(OGTT)(測定する場合)中の2時間血漿グルコース濃度を特徴とする。耐糖能障害(IGT)は、7.0 mmol/L(126 mg/dL)未満の空腹時血漿グルコース濃度および7.8 mmol/L(140 mg/dL)以上であるが、11.1 mmol/L(200 mg/dL)未満であるOGTT中の2時間血漿グルコース濃度を特徴とする。糖尿病は、7.0 mmol/L(126 mg/dL)以上である血漿グルコース濃度または11.1 mmol/L(200 mg/dL)以上であるOGTT中の2時間血漿グルコース濃度を特徴とする。
【0108】
本発明が意図する化合物および組成物は、患者における、インスリン抵抗性が関与または示唆する疾患および関連状態および/または1つ以上のその症状の治療的または予防的処置におけるインスリン抵抗性改善薬としての有用性を有する。細胞または組織によるインスリン抵抗性またはグルコース取り込み障害が、原因でありうるか、または役割を演じうるか、または出現するいずれかの疾患もしくは状態、またはその症状が、本明細書において意図される。非限定的例として、NIDDM、妊娠性糖尿病、耐糖能異常、空腹時高血糖、シンドロームX、高血糖、アテローム性動脈硬化、高トリグリセリド血症、異脂肪血症、高インスリン血症、腎障害、神経障害、虚血、脳卒中および脂肪肝疾患が挙げられる。代表的には、疾患または状態は、NIDDM、妊娠性糖尿病、耐糖能異常、空腹時高血糖、シンドロームXまたは高血糖である。心臓血管疾患などの関連状態の治療用作用薬(たとえば、降圧薬)を本発明と合わせて(同時または別個に)投与してもよい。患者が、インスリン抵抗性が関与または環系する症状または関連状態を必ずしもすべて患うか、または発症しなくてもよく、または、特に疾患または状態が早期に検出され、治療されるならば、それらは、さらなる治療的処置を必要とするに十分重篤でなくてもよいいことが理解されよう。たとえば、本発明の特定の態様において、上昇した血糖値を有する患者は、インスリン抵抗性による糖尿病などに伴う心臓または心臓血管状態などの他の症状または関連状態を患っていなくてもよい。あるいは、このような関連症状または状態は、もし出現するならば、そのための接続的治療処置を必要としなくてもよい。あるいは、いずれかのこのような関連症状または状態は、たとえば、主治医によって決定される利尿薬、ACE阻害薬またはベータ遮断薬などの降圧薬といったような適切な作用薬で治療されてもよい。
【0109】
治療される患者として、以下の哺乳類の患者が挙げられる:ヒト、霊長類、家畜動物(ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタおよびヤギなど)、愛玩動物(イヌ、ネコ、ウサギ、モルモットなど)および捕獲した野生動物。鳥類、両生類および魚類などの非哺乳類の種も、本発明の特定の態様において意図される。特に意図される患者は、ヒト患者である。
【0110】
本発明化合物は、所望の投与処方にしたがって投与される場合、たとえば、グルコース恒常性の調節、細胞グルコース取り込みの調節、インスリン抵抗性の治療、血糖値の低下またはインスリン抵抗性が関与する疾患もしくは状態、またはその症状の治療などの所望の治療効果を達成するか、または少なくともある程度まで達成する量で投与される。本明細書で用いる処置は、治療的改善処置または予防的処置を意味し、処置される特定の障害もしくは状態、または1つ以上のその症状、の症候の軽減または改善、の兆候の予防または遅延化、の進行の阻止、または兆候あるいは進行の完全な停止または逆行の1つ以上を含む。
【0111】
適当な投与量および投与処方は、主治医が決定することができ、治療される特定の状態、状態の重篤度ならびに患者の年齢、健康および体重に応じて変わり、約0.05 mg〜約500 mgまたは約0.1〜250 mgの活性成分/日などの約0.01 mg〜約1000 mgの活性成分/日の範囲であってよい。活性成分は、単回投与または一連の投与で投与されてよい。適当な投与量は、約0.25、0.5、1.0、2.5、5.0、10、20、25、50、75、100、150、200、250または500 mgの活性成分を含むことができる。特定の態様において、相対的に低用量の本明細書で意図される化合物を、所望の効果を達成するために用いることができる。0.01〜5 mg/kg/日または0.25〜2.5 mg/kg/日などの0.001〜10mg/kg/日の投与量で化合物を投与するのが有利である。本発明の特定の態様において、化合物は、1日1回単回投与または1日2回の分割投与で投与される。
【0112】
上述のとおり、メトホルミンまたはその医薬的に許容しうる塩を用いる本発明の併用薬は、既知のメトホルミン療法、特にメトホルミン単剤療法と比べて、メトホルミン(またはその医薬的に許容しうる塩)の投与量を有利に減少することができる。いくつかの態様において、併用薬の投与量は、相加または相乗効果を提供することができるような量である。適当な投与量および投与処方は、主治医が決定することができ、治療される特定の状態、状態の重篤度ならびに患者の年齢、健康および体重に応じて変わる。
【0113】
本発明のいくつかの態様において、併用薬において投与されるメトホルミン(またはその医薬的に許容しうる塩)の1日投与量は、メトホルミン単剤療法にとって必要な投与量の約90%以下である。さらなる態様において、投与量は、メトホルミン単剤療法にとって必要な投与量の約80%、70%、60%または50%以下である。成人用のメトホルミンの典型的な1日投与量は、約250 mg、500mg、750 mg、850 mg、1000 mg、1100または1250 mgなどの約100 mg〜約1500または2000mgの活性成分/日の範囲であってよい。小児患者(10-16歳)用の典型的な1日投与量は、約100 mg、250 mg、500 mg、750 mg、850 mg、1100mgまたは1250 mg/日などの約50〜約1000 mgまたは1500 mg/日の範囲であってよい。活性成分は、活性成分は、単回投与または一連の投与で投与されてよい。適当な剤形は、約50、75、100、150、200、250、500 750、850または1000 mgのメトホルミン活性成分を含むことができる。
【0114】
本発明併用薬において投与されるメタゾラミド(または類縁体)の適当な1日投与量は、25 mg、50 mg、75 mg、100 mg、125 mg、150 mgまたは250 mgなどの約10 mg〜約300/日の範囲であってよい。
【0115】
本発明の特定の態様において、本発明の併用薬の投与は、対応する抗糖尿病性または抗高血糖性単剤療法と比べて、何ヶ月間(たとえば、3-36ヶ月間)または何年間(たとえば、1-10年間)にもわたる効果的な療法を有利に達成することができる。
【0116】
CAI化合物を単独で投与することも可能であるが、組成物として、好ましくは1つ以上の医薬的に許容しうる補助剤を含む医薬組成物として提供するのが好ましい。したがって、本発明はまた、グルコース恒常性の調節、細胞グルコース取り込みの調節、インスリン抵抗性の治療または血糖値の低下用薬剤の製造における、本明細書で意図する炭酸脱水酵素阻害剤化合物またはその医薬的に許容しうる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用に関する。
【0117】
このような組成物の製剤は、当業者に公知であり、たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences、18th Edition、Mack Publishing、1990を参照。組成物は、適当な担体、希釈剤または賦形剤を含んでもよい。これらとして、すべての従来の溶媒、分散媒、増量剤、固体担体、コーティング剤、抗真菌剤および抗菌剤、皮膚透過剤、界面活性剤、等張化剤および吸収剤が挙げられる。本発明組成物が、他の補足的な生理活性剤を含んでもよいことが理解されよう。
【0118】
担体は、組成物の他の成分と混合可能であるという意味で医薬的に許容しうるものでなければならない。組成物として、経口、経腸、吸入可能、経鼻、局所(皮膚、頬および舌下など)、経膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内など)投与に適するものが挙げられる。組成物は、単位投与剤形で提供されるのが好都合であり、製薬業界で周知の方法のいずれかによって製造することができる。このような方法は、活性成分と1つ以上の副成分とを構成する担体とを混合するステップを含む。一般に、組成物は、活性成分と液体担体または微粉固体担体またはその両方とを均一および密接に混合し、次いで、必要であれば、生成物を成形することによって調製される。
【0119】
経口投与に適する本発明組成物は、既定量の活性成分をそれぞれ含むカプセル、サシェまたは錠剤などの別個の単位として;粉末または顆粒として;水性液体または非水液体中の溶液または懸濁液として;または水中油型の液体エマルジョンまたは油中水型の液体エマルジョンとして提供される。
【0120】
錠剤は、任意に1つ以上の補助成分とともに、圧縮または成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、任意に結合剤(たとえば、不活性希釈剤など)、保存剤、崩壊剤(たとえば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤または分散剤などと混合した、粉末または顆粒などの自由流動体中の活性成分を適当な機械で圧縮することにより製造することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適当な機械で成形することにより製造することができる。錠剤は、任意にコーティングするか、または刻み目を入れてもよく、所望の放出プロフィールを提供するように色々な割合でヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの適切なコーティング剤を用いて、活性成分の遅延放出または制御放出を提供するように製剤されてもよい。錠剤は、任意に、胃以外の消化管の部分での放出を提供するように、腸溶性コーティングとともに提供されてもよい。
【0121】
口腔での局所投与に適する組成物として、通常、スクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントゴムなどの香味付した基剤中に活性成分を含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤中の活性成分を含むトローチ;および適当な液体担体中の活性成分を含む口腔洗浄剤が挙げられる。
【0122】
皮膚への局所投与用組成物は、いずれかの適当な担体または基剤に溶解または懸濁した化合物を含むことができ、ローション剤、ゲル剤、クリーム剤、ペースト剤、軟膏剤などの形態をとることができる。適当な担体として、鉱物油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ロウ、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルロウ、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。経皮パッチを用いて本発明化合物を投与してもよい。
【0123】
直腸投与用組成物は、たとえば、ココアバター、グリセリン、ゼラチンまたはポリエチレングリコールなどを含む適当な基剤とともに座剤として提供することができる。
【0124】
膣投与に適する組成物は、活性成分に加えて、適切であることが当業界で知られている担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡沫剤またはスプレー製剤として提供することができる。
【0125】
非経口投与に適する組成物として、抗酸化剤、緩衝液、殺菌剤および組成物を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含んでもよい水性および非水等張滅菌注射液;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含んでもよい水性および非水滅菌懸濁液が挙げられる。先に述べた滅菌粉末、顆粒および錠剤から即席注射液および懸濁液を調製することができる。
【0126】
好ましい単位投与量組成物は、前記のような活性成分の1日投与量または単位、1日サブ投与量、あるいは適切なそれらの画分を含む組成物である。
【0127】
前述の活性成分に加えて、本発明組成物は、問題となっている組成物のタイプを考慮して、当業界で慣行の他の作用剤を含むことができることが理解されるべきである。経口投与に適するものとして、結合剤、甘味料、増粘剤、香味剤、崩壊剤、コーティング剤、保存剤、滑沢剤および/または時間遅延剤などのさらなる作用剤が挙げられる。適当な甘味料として、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテームまたはサッカリンが挙げられる。適当な崩壊剤として、コーンスターチ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンゴム、ベントナイト、アルギン酸または寒天が挙げられる。適当な香味剤として、ペパーミント油、冬緑油、チェリー、オレンジまたはラズベリー香味料が挙げられる。適当なコーティング剤として、アクリル酸および/またはメタクリル酸および/またはそのエステルのポリマーまたはコポリマー、ロウ、脂肪酸、ゼイン、シェラックまたはグルテンが挙げられる。適当な保存剤として、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、α-トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベンまたは亜硫酸水素ナトリウムが挙げられる。適当な滑沢剤として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムまたはタルクが挙げられる。適当な時間遅延剤として、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルが挙げられる。
【0128】
本発明はまた、プロドラッグCAI化合物に関する。CAI化合物のプロドラッグである化合物はいずれも本発明の範囲と精神に含まれる。用語「プロドラッグ」は、その最も広い意味で用いられ、酵素的または加水分解的のいずれかでインビボにおいて本発明化合物に変換される誘導体を含む。このような誘導体を、当業者は容易に思いつき、たとえば、遊離チオールまたはヒドロキシ基がアセテートまたはチオエステルなどのエステルに変換される化合物であるか、または遊離アミノ基がアミドに変換される化合物などが挙げられる。エステルおよびアミドプロドラッグを製造するための本発明化合物をアシル化するための手順は、当業界で周知であり、適当な触媒または塩基の存在下での適切なカルボン酸、無水物または塩化物による化合物の処理を含む。カルボン酸(カルボキシ)基のエステルも意図される。適当なエステルとして、C1-6アルキルエステル;たとえば、メトキシメチルまたはエトキシメチルなどのC1-6アルコキシメチルエステル;たとえば、ピバロイルオキシメチルなどのC1-6アルカノイルオキシメチルエステル;フタリジルエステル;たとえば、1-シクロヘキシルカルボニルオキシエチルなどのC3-8シクロアルコキシカルボニルC1-6アルキルエステル;たとえば、5-メチル-1,3-ジオキソレン-2-オニルメチルなどの1,3-ジオキソレン-2-オニルメチルエステル;およびたとえば、1-メトキシカルボニルオキシエチルなどのC1-6アルコキシカルボニルオキシエチルエステルが挙げられる。アミノ官能基のプロドラッグとして、アミド(たとえば、Adv. BioSci.、1979、20、369、Kyncl、J.らなどを参照)、エナミン(たとえば、J. Pharm. Sci.、1971、60、1810、Caldwell、H.らなどを参照)、シッフ塩基(たとえば、米国特許No 2,923,661およびAntimicrob. Agents Chemother.、1981、19、1004、Smyth、R.らなどを参照)、オキサゾリジン(たとえば、J. Pharm. Sci、1983、72、1294、Johansen、M.らなどを参照)、マンニッヒ塩基(たとえば、J. Pharm. Sci. 1980、69、44、Bundgaard、H.らおよびJ. Am. Chem. Soc.、1959、81、1198、Gottstein、W.らなどを参照)、ヒドロキシメチル誘導体(たとえば、J. Pharm. Sci、1981、70、855、Bansal、P.らなどを参照)およびN-(アシルオキシ)アルキル誘導体およびカルバメート(たとえば、J. Med. Chem.、1980、23、469、Bodor、N.ら、 J. Med. Chem.、1984、27、1037、Firestone、R.ら、J. Med. Chem.、1967、10、960、Kreiger、M.ら、米国特許No 5,684,018およびJ. Med. Chem.、1988、31、318-322、Alexander、J.らなどを参照) が挙げられる。適当なプロドラッグの選択および調製のための他の慣行の手順は、たとえば、WO 00/23419;Design of Prodrugs、H. Bundgaard、Ed.、Elsevier Science Publishers、1985;Methods in Enzymology、42:309-396、K. Widder、Ed、Academic Press、1985;A Textbook of Drug Design and Development、Krogsgaard-Larsen and H. Bundgaard、Eds、Chapter 5、p113-191(1991);Advanced Drug Delivery Reviews、8;1-38(1992);Journal of Pharmaceutical Sciences、77;285(1988)、H. Bundgaardら;Chem Pharm Bull、32692(1984)、N. Kakeyaら、およびThe Organic Chemistry of Drug Desig and Drug Action、Chapter 8、pp352-401、Academic press、Inc.、1992などに記載されている。
【0129】
式(I)の化合物の適当な医薬的に許容しうる塩として、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸および臭化水素酸などの医薬的に許容しうる無機酸の塩、あるいは酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、ムチン酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリル酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、フェンジゾ酸、4-4'-メチレンビス-3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、0-(p-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、4'-4''-ジヒドロキシトリフェニルメタン-2-カルボン酸およびバレリアン酸などの医薬的に許容しうる有機酸の塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塩基性塩として、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムなどの医薬的に許容しうるカチオンと形成される塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塩基性窒素含有基は、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチルといったようなハロゲン化低級アルキル;硫酸ジメチルおよびジエチル;およびその他などの作用剤で四級化されてもよい。
【0130】
本発明化合物は、遊離化合物または溶媒和物のいずれかとして結晶体であってもよく、両方の形態が、本発明の範囲に含まれることが意図される。用語「溶媒和物」は、溶質、すなわち、本発明が意図する化合物の1つ以上の分子および溶媒の1つ以上の分子によって形成された複合体または集合体を意味する。適当な溶媒は、当業界で十分に理解されており、たとえば、水、すなわち、水和物を形成、および、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール)および酢酸などの通例の有機溶媒などを含む。溶媒和の方法は、当業界で一般に知られている。
【0131】
本発明化合物は、獣医用組成物で使用するために提供されてもよい。これらは、当業界で知られているいずれかの適当な手段によって製造することができる。このような組成物の例として、以下に適するものが挙げられる:
(a)経口投与、外用(たとえば、水性および非水溶液または懸濁液などの水薬)
、錠剤、巨丸剤、散剤、顆粒剤、飼料との混合物用丸薬、舌に適用するためのペースト剤;
(b)たとえば、滅菌溶液または懸濁液としての皮下、筋肉内または静脈内注射などの非経口投与;
(c)たとえば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤などの局所適用。
【発明を実施するための形態】
【0132】
次に、本発明の特定の態様を説明するために提供されるが、上記の一般性を制限するものではない以下の実施例を参照して本発明を記載する。
【実施例1】
【0133】
3T3-L1脂肪細胞でのグルコース取り込みにおけるジクロルフェナミドの効果
96ウエルプレート中の3T3-L1脂肪細胞(非感染)を、0.2% BSAを含むDMEM中で一夜(16〜18時間)血清飢餓培養し、10μMの濃度のジクロルフェナミドで処置しないか、または処置した。ジクロルフェナミドは、血清飢餓培養中に加えた。次いで、0.2%(w/v) RIA-グレードBSA、0.5 mM MgCl2および0.5 mM CaCl2を含むダルベッコのPBS、pH 7.4(Gibco)で細胞を2回洗浄した。0、0.5および10 nMのインスリンを37℃にて20分間加えた。インスリン刺激の最後の10分間にわたって、ウエル当たりの50 μM 2-デオキシグルコースおよび0.5 μCi 2-デオキシ-[U-3H]グルコース(NEN、PerkinElmer Life Sciences)の取り込みを測定した。PBS、pH 7.4中の氷冷80 μg/mlのフロレチンを加えて反応を停止し、0.03%(w/v) SDSに細胞を溶解した。シンチレーションカウンターによって、カウント毎分(cpm)を測定した。これらの結果を下記表1-1に示す。
【0134】
表1-1のデータは、ジクロルフェナミドが、基底2-デオキシグルコース取り込みならびに最大下(0.5nM)および最大(10nM)インスリン刺激2-デオキシグルコース取り込み(結果は、3つの独立した実験の平均を現す)を増進したことを明らかにする。各実験は、4回アッセイされた。データは、平均±SEMで表す。実質的分析は、対応のないt検定(両側)を用いて行った。
【0135】
表1-1:3T3-L1脂肪細胞による2-デオキシグルコース取り込みにおけるジクロルフェナミドの効果(DCP)


1 p=0.02;
2 p=0.05
【実施例2】
【0136】
肥満デブスナネズミ(イスラエルスナネズミ)のグルコース耐性におけるジクロルフェナミドの効果
非近交系イスラエルスナネズミ、デブスナネズミは、肥満および糖尿病の研究のためのユニークな動物モデルである。標準の実験室条件下で飼育する場合、イスラエルスナネズミの一部は、肥満になり、食事性肥満マウスモデルのように高カロリーの給餌を要求することなく、あるいはdb/dbマウスモデルのように特定の遺伝子における突然変異の結果としてではなく、2型糖尿病を同時に発症する。この点において、それらの糖尿病状態への進展は、環境的および多因子的ヒトの状態に非常に似ている。2型糖尿病のデブスナネズミは、経口グルコース耐性試験(OGTT)中の血糖曲線下の領域によって測定されるように、インスリン抵抗性も深刻である。さらに、動物の一部は、やせたままであり、これらの同じ条件下で健康であるが、その他の動物は、様々な中間の表現型を発現する。この応答は、ヒト集団に見られるものと類似している。
【0137】
糖尿病のデブスナネズミは、高血糖値を有することを特徴とする。>8.0 mMの血糖を有する動物は、糖尿病とみなされ(Barnettら、Diabetologia 1994;37:671-676)、化合物での処置に続く血中グルコースの低下の程度ならびにOGTT血漿グルコース曲線の領域の減少は、動物のグルコース代謝の改善における化合物の効力の尺度と考えられる。
【0138】
16週齢の正常血糖および高インスリン血症の雄性デブスナネズミ(Walderら、Int J Exp Diabetes Res.2000;1(3):177-84;およびTrevaskisら、Comp Biochem Physiol B Biochem Mol Biol.2004 137(1):65-73)を4時間飢えさせた後、栄養チューブ(41x 0.17 cm、Kendall Co.、Mansfield、MA.USA)を用いて、生理食塩水中の20 mg/Kgのジクロルフェナミドを経口経管栄養法により投与した(5 ml/体重g)。別の4時間後、動物にグルコース(2 g/体重Kg)を経口経管栄養法により投与した。血糖値およびインスリンレベルを測定するために、グルコースデリバリーから0、15、30、45、60および90分後の各時点において尾から50 mlの血液サンプルを採取した。YSIグルコース分析機(Model #2300 STAT PLUS、Yellow Springs Instruments Co.、Ohio、USA)を用いて、全血のグルコースを測定した。この装置は、25 μlのサンプルアリコートを要し、5.55および8.33 mmol/L グルコース標準を用いて10サンプル毎に較正する。この分析機は、固定した酵素を含む三層膜が取り付けられたでプローブを利用する。ポリカーボネート セルロース膜上に固定されているグルコースオキシダーゼによってJ3-D-グルコースを酸化して、グルコノ-()-ラクトンおよび過酸化水素を形成する。次いで、白金陰極で過酸化水素を酸化して、電子を生成する。電子流は、定常状態の過酸化水素濃度、したがって、サンプル中のグルコースの濃度に直線的に比例する。ヘパリンコーティングチューブにおいて、血液サンプルの凝固後に得られた血漿中のインスリンレベルを測定した。市販の二重抗体ラジオイムノアッセイ(RIA)キット(Linco Research Inc.、USA)を用いて、血漿インスリン濃度を測定した。特異性の高い抗体における結合部位に対するインスリンと125-ヨウ素標識インスリンとの競合によって、血漿インスリンサンプルを測定した。手順において、50 μlの125-ヨウ素標識インスリン(トレーサー)および50 μlのモルモット抗インスリン抗体(第一抗体)に、20 μlの血漿サンプル(二通り)を加える。次いで、溶液を2時間インキュベートした後、1 mlのヒツジ抗モルモット抗体(第二抗体)を加え、室温にて30分間再度インキュベートする。次いで、3,500gで20分間の遠心分離(Beckman Centrifuge Model J6B、Beckman Instruments、Gladesville、オーストラリア)によって、結合したインスリンと遊離インスリンを受分離し、各サンプルを吸引した後、管の底にあるペレット状の結合インスリンを残した。次いで、ガンマカウンター(Minaxi g Auto-gamma 5000 series、Packard Instrument Company、IL、USA)で1分間計数して、固相ペレットの放射能を測定した。結果を表2-1に示す。
【0139】
表2-1におけるデータは、経口グルコース耐性試験における血漿グルコース曲線および血漿インスリン曲線下領域の減少によって測定されるように、クロルフェナミドによる処置が、糖尿病デブスナネズミのグルコース耐性を増加させることを明らかにした。
【0140】
表2-1:肥満デブスナネズミのグルコース耐性におけるジクロルフェナミドの効果


データは、グループ当たり6匹の動物の平均±SEを表す。* p<0.02
【実施例3】
【0141】
食餌誘発性肥満(DIO)マウス(ハツカネズミ)の空腹時血糖値におけるジクロルフェナミドの効果
10週間市販の高脂肪食餌(45%脂肪)を与えたC57BL/6J系統のマウスは、肥満(>20%体重の体脂肪)、軽度の高血糖(8-10 mMの血漿グルコース濃度)およびグルコース不耐性(> 1200 mM.分の腹腔内グルコース耐性試験の血漿グルコース曲線下領域)を発症する。この動物モデルである食餌誘発性肥満マウスモデル(DIO)は、環境要素が強い前糖尿病状態におけるインスリン抵抗性の研究にとって非常に有用である。このモデルにおけるインスリン抵抗性は、グルコースの腹腔内注入(IPGTT)の後の血糖曲線下領域の増加を特徴とし、化合物による処置の後のこの血糖曲線下領域の減少の程度が、動物のグルコース代謝の改善における化合物の効力の尺度と考えられる。
【0142】
化合物の製造および投与
被検物質の投与溶液:ジクロルフェナミド投与溶液は、投与日毎に新たに調製し、遮光して室温にて保管した。化合物は、滅菌生理食塩水で調剤した。
【0143】
動物
Animal Resources Centre(Canning Vale、Western オーストラリア)から、8週齢の雄性C57Bl/6Jマウスを得た。動物は、個別に飼育し、自由に行動させ、水および食物を随意に摂取させた。動物は、12時間の明期(6 am-6 pm)および12時間の暗期(6 pm-6 am)で維持した。動物は、毎日モニターした。1週間に3回、体重、食物および水の摂取を記録した。2週間順化させた後、総エネルギー密度4.7 kcal/gの高脂肪飼料(SF04-001、Specialty feeds、Glen Forrest、WA、オーストラリア。飼料のカロリー配分は、タンパク質20%、炭水化物35 %および脂肪45 %)をマウスに14週間与えた。
【0144】
処置
最後の2週間、Instech Solomon(Plymouth、USA)の栄養チューブ18ga(1.2mm)*38mmを用いる経口経管栄養(5 μl/体重g)によって、ビヒクルまたはビヒクル中のジクロルフェナミド20mg/kgで6匹1グループの動物を処置した。
【0145】
空腹時血漿グルコース(FPG)濃度
実験を開始する前および投与の第14日に、動物の空腹時血漿グルコースレベルを検査した。投与後、尾の切り傷から血液サンプルを採取する前の4時間動物を絶食させた。補酵素(PQQ)の存在下でのグルコース脱水素酵素による、サンプル中に存在するグルコースのグルコノラクトンへの変換をもたらす、血液滴が検査ストリップ上に染みを付ける場合に生成する電流に基づく市販のグルコメーター(Accuchek Advantage、Roche)を用いて、血糖値をモニターした。結果を表3-1に示す。
【0146】
表3-1におけるデータは、ジクロルフェナミドでの処置が、食餌誘発性肥満マウスの空腹時血漿グルコースレベルを低下させたことを明らかにする。
【0147】
表3-1:食餌誘発性肥満マウスの空腹時血糖値におけるジクロルフェナミドの効果


1 p=0.002 対応のあるt検定;2 p=0.005 対応のないt検定
データは、グループ当たり5-6匹の動物の平均±SEを表す
【実施例4】
【0148】
食餌誘発性肥満(DIO)マウス(ハツカネズミ)の空腹時血糖値におけるジクロルフェナミドの効果
化合物の調製および投与
被検物質の投与溶液:ジクロルフェナミド投与溶液は、投与日毎に新たに調製し、遮光して室温にて保管した。化合物は、滅菌生理食塩水で調剤した。
【0149】
動物
雄性C57Bl/6Jマウスに、実施例3と同様の処置を行った。
【0150】
処置
最後の3週間、Instech Solomon(Plymouth、USA)の栄養チューブ18ga(1.2mm)*38mmを用いる経口経管栄養(5 μl/体重g)によって、ビヒクルまたはビヒクル中のジクロルフェナミド20mg/kgまたは50mg/kgで6匹1グループの動物を処置した。
【0151】
空腹時血漿グルコース(FPG)濃度
実験を開始する前および投与の第19日に、動物の空腹時血漿グルコースレベルを検査した。投与後、尾の切り傷から血液サンプルを採取する前の4時間動物を絶食させた。補酵素(PQQ)の存在下でのグルコース脱水素酵素による、サンプル中に存在するグルコースのグルコノラクトンへの変換をもたらす、血液滴が検査ストリップ上に染みを付ける場合に生成する電流に基づく市販のグルコメーター(Accuchek Advantage、Roche)を用いて、血糖値をモニターした。結果を表4-1に示す。
【0152】
表4-1におけるデータは、ジクロルフェナミドでの処置が、食餌誘発性肥満マウスのグルコース耐性を改善したことを明らかにする。
【0153】
表4-1:DIOマウスのジクロルフェナミド処置後のipGTT


データは、グループ当たり5-6匹の動物の平均±SEを表す;1 p<0.01;2 p<0.001。
【実施例5】
【0154】
食餌誘発性肥満マウス(ハツカネズミ)の空腹時血糖値におけるメタゾラミドの効果
化合物の調製および投与
被検物質の投与溶液:メタゾラミド投与溶液は、投与日毎に新たに調製し、遮光して室温にて保管した。化合物は、滅菌ビヒクル:生理食塩水:PEG400 65:35 v/vで調剤した。
【0155】
動物
Animal Resources Centre(Canning Vale、Western オーストラリア)から、8週齢の雄性C57Bl/6Jマウスを得た。動物は、個別に飼育し、自由に行動させ、水および食物を随意に摂取させた。動物は、12時間の明期(6 am-6 pm)および12時間の暗期(6 pm-6 am)で維持した。動物は、毎日モニターした。1週間に3回、体重、食物および水の摂取を記録した。2週間順化させた後、総エネルギー密度4.7 kcal/gの高脂肪飼料(SF04-001、Specialty feeds、Glen Forrest、WA、オーストラリア。飼料のカロリー配分は、タンパク質20%、炭水化物35 %および脂肪45 %)をマウスに12週間与えた。
【0156】
処置
最後の2週間、Instech Solomon(Plymouth、USA)の栄養チューブ18ga(1.2mm)*38mmを用いる経口経管栄養(5 μl/体重g)によって、ビヒクル、ビヒクル中のメタゾラミド10mg/kg、20mg/kg、50mg/kg、100mg/kgから選ばれる投与量で6匹1グループの動物を処置した。
【0157】
空腹時血漿グルコース(FPG)濃度
実験を開始する前および投与の第13日に、動物の空腹時血漿グルコースレベルを検査した。投与後、尾の切り傷から血液サンプルを採取する前の4時間動物を絶食させた。補酵素(PQQ)の存在下でのグルコース脱水素酵素による、サンプル中に存在するグルコースのグルコノラクトンへの変換をもたらす、血液滴が検査ストリップ上に染みを付ける場合に生成する電流に基づく市販のグルコメーター(Accuchek Advantage、Roche)を用いて、血糖値をモニターした。結果を表5-1および表5-2に示す。
【0158】
表5-1におけるデータは、メタゾラミドでの処置が、食餌誘発性肥満マウスの空腹時血漿グルコースレベルを低下させることを明らかにした。
表5-2におけるデータは、メタゾラミドでの処置が、食餌誘発性肥満マウスのグルコース耐性を増加させることを明らかにした。
【0159】
体重
第0日または第13日のいずれかにおいて、各処置グループの間で、体重に差違はなく、このことは、グルコース代謝におけるメタゾラミドの効果が、体重の変化に続発するものではないことを示した。
【0160】
表5-1:DIOマウスのメタゾラミド処置中の空腹時血漿グルコース


1 p=0.01;2 p=0.001
データは、グループ当たり5-6匹の動物の平均±SEを表す。
【0161】
表5-2:DIOマウスのメタゾラミド処置後のipGTT


データは、グループ当たり5-6匹の動物の平均±SEを表す;1 p≦0.05;2 p=0.005
【実施例6】
【0162】
食餌誘発性肥満マウス(ハツカネズミ)の空腹時血糖値におけるクロルタリドンの効果
化合物の調製および投与
被検物質の投与溶液:クロルタリドン投与溶液は、投与日毎に新たに調製し、遮光して室温にて保管した。化合物は、滅菌ビヒクル:生理食塩水:PEG400 1:1 v/vで調剤した。
【0163】
動物
雄性C57Bl/6Jマウスに、実施例5と同様の処置を行った。
【0164】
処置
最後の2週間、Instech Solomon(Plymouth、USA)の栄養チューブ18ga(1.2mm)*38mmを用いる経口経管栄養(5 μl/体重g)によって、ビヒクル、ビヒクル中のクロルタリドン10mg/kg、20mg/kgおよび50mg/kgから選ばれる投与量で6匹1グループの動物を処置した。
【0165】
空腹時血漿グルコース(FPG)濃度
実施例5と同様に、実験を開始する前および投与の第13日に、動物の空腹時血漿グルコースレベルを検査した。結果を表6-1および表6-2に示す。結果は、クロルタリドンは、空腹時血漿グルコースまたはグルコース耐性において有利な効果をもたないことを示す。
【0166】
表6-1:DIOマウスのクロルタリドン処置中の空腹時血漿グルコース


データは、グループ当たり5-6匹の動物の平均±SEを表す。
【0167】
表6-2:DIOマウスのクロルタリドン処置後のipGTT


データは、グループ当たり5-6匹の動物の平均±SEを表す。
【実施例7】
【0168】
食餌誘発性肥満マウス(ハツカネズミ)の空腹時血糖値におけるフロセミドの効果
化合物の調製および投与
被検物質の投与溶液:フロセミド投与溶液は、投与日毎に新たに調製し、遮光して室温にて保管した。化合物は、滅菌ビヒクル:生理食塩水:PEG400 1:1 v/vで調剤した。
【0169】
動物
雄性C57Bl/6Jマウスに、実施例5と同様の処置を行った。
【0170】
処置
最後の2週間、Instech Solomon(Plymouth、USA)の栄養チューブ18ga(1.2mm)*38mmを用いる経口経管栄養(5 μl/体重g)によって、ビヒクル、ビヒクル中のフロセミド10mg/kg、20mg/kgおよび50mg/kgから選ばれる投与量で6匹1グループの動物を処置した。
【0171】
空腹時血漿グルコース(FPG)濃度
実施例5と同様に、実験を開始する前および投与の第13日に、動物の空腹時血漿グルコースレベルを検査した。結果を表7-1に示す。結果は、フロセミドは、空腹時血漿グルコースにおいて有利な効果をもたないことを示す。
【0172】
体重
フロセミドによる処置は、毒性効果と一致して、動物において実質的な体重減少をもたらした。100mg/kg/日で処置した動物は、5日間で〜6g減少し、安楽死させなければならなかった。10-50mg/kg/日で処置した動物は、実験を通して4〜6g減少した。
【0173】
表7-1:DIOマウスのフロセミド処置中の空腹時血漿グルコース


データは、グループ当たり5-6匹の動物の平均±SEを表す。
【実施例8】
【0174】
食餌誘発性肥満マウス(ハツカネズミ)の空腹時血糖値におけるメタゾラミド、メトホルミンおよびメタゾラミド/メトホルミンの効果
(「メトホルミン」への言及は、メトホルミン塩酸塩を意味する)
【0175】
化合物の調製および投与
被検物質の投与溶液:メタゾラミドおよびメトホルミンについての準最適空腹時血漿グルコース低下投与量は、あらかじめ決められた(それぞれ10mg/kgおよび300mg/kg)。メタゾラミド、メトホルミンおよびメタゾラミド/メトホルミンは、投与日毎に新たに調製し、遮光して室温にて保管した。化合物は、滅菌ビヒクル: NMP:PEG300:生理食塩水(1:2:17、v/v)で調剤した。NMP:PEG300(1:2、v/v)に化合物を溶解することによって原液を調製した。化合物を投与する前に、原液に生理食塩水を加えた。化合物の均質な懸濁液を確実にするために、ボルテックスすることによって溶液を混合した後、投与した。
【0176】
動物
雄性C57Bl/6Jマウスに、実施例5と同様の処置を行った。
【0177】
処置
最後の2週間、Instech Solomon(Plymouth、USA)の栄養チューブ18ga(1.2mm)*38mmを用いる経口経管栄養(5 μl/体重g)によって、ビヒクル、ビヒクル中のメタゾラミド10mg/kg、メトホルミン300mg/kg、メタゾラミド/メトホルミン10mg/kgおよび300mg/kgから選ばれる投与量で6匹1グループの動物を処置した。
【0178】
空腹時血漿グルコース(FPG)濃度
実施例5と同様に、実験を開始する前および投与の第13日に、動物の空腹時血漿グルコースレベルを検査した。結果を表8-1および表8-2に示す。
【0179】
表8-1におけるデータは、メトホルミン/メタゾラミド併用での処置が、食餌誘発性肥満マウスの空腹時血漿グルコースレベルを低下させることを明らかにし、この低下は、メトホルミンまたはメタゾラミドのいずれか単独の準最適投与量での処置によって達成されるものより大きかった。
【0180】
表8-2におけるデータは、メトホルミン/メタゾラミド併用での処置が、食餌誘発性肥満マウスのグルコース耐性を改善することを明らかにし、この改善は、メトホルミンまたはメタゾラミドのいずれか単独の準最適投与量での処置によって達成されるものより大きかった。
【0181】
表8-1:DIOマウスのメタゾラミド、メトホルミンまたはメタゾラミド/メトホルミン併用での処置中の空腹時血漿グルコース


データは、グループ当たり5-6匹の動物の平均±SEを表す;1 p=0.01;2 p=0.005
【0182】
表8-2:DIOマウスのメタゾラミド、メトホルミンまたはメタゾラミド/メトホルミン併用での処置中のipGTT


データは、グループ当たり5-6匹の動物の平均±SEを表す。
【実施例9】
【0183】
db/dbマウス(ハツカネズミ)の空腹時血糖値におけるメタゾラミド、メトホルミンおよびメタゾラミド/メトホルミンの効果
(「メトホルミン」への言及は、メトホルミン塩酸塩を意味する)
db/dbマウスモデルは、視床下部などにおけるレプチンシグナル伝達を切断するレプチン受容体遺伝子のホモ接合突然変異をもつマウスからなる。db/dbマウスモデルは、通例、肥満およびII型糖尿病の遺伝的および生理的メカニズムを研究するために用いられる。肥満およびインスリン抵抗性が高カロリーの食餌を与えることによって誘発されるとDIOマウスは異なり、db/dbマウスは、標準的実験動物用固形飼料を与える場合でさえも、自然発生的に、重篤な高血糖(>20 mM)、病的肥満(脂肪が体重の>35% )および糖尿病を発症する。レプチンは、食欲とエネルギー消費の両方を調節することによって全身のエネルギー恒常性をコントロールするために、レプチン受容体を通って作用する。レプチン受容体遺伝子の機能喪失は、過食と代謝の遅延化をもたらし、肥満、そして最終的には糖尿病へと導く。このモデルにおける糖尿病は、空腹時血漿グルコースレベル>20 mMを特徴とし、化合物で処置した後の空腹時血漿グルコース濃度の低下の程度は、動物のグルコース代謝を改善することにおけるその化合物の効力の尺度である。
【0184】
化合物の調製および投与
被検物質の投与溶液:メタゾラミド、メトホルミンおよびメタゾラミド/メトホルミンは、投与日毎に新たに調製し、遮光して室温にて保管した。化合物は、滅菌ビヒクル: NMP:PEG300:生理食塩水(1:2:17、v/v)で調剤した。NMP:PEG300(1:2、v/v)に化合物を溶解することによって原液を調製した。化合物を投与する前に、原液に生理食塩水を加えた。化合物の均質な懸濁液を確実にするために、ボルテックスすることによって溶液を混合した後、投与した。
【0185】
動物
Animal Resources Centre(Canning Vale、Western オーストラリア)から、10週齢のC57Bl/6J db/dbマウスを得た。動物は、個別に飼育し、自由に行動させ、水および食物を随意に摂取させた。動物は、12時間の明期(6 am-6 pm)および12時間の暗期(6 pm-6 am)で維持した。動物は、毎日モニターした。1週間に3回、体重、食物および水の摂取を記録した。マウスには、標準的固形飼料の食餌を与え、2週間の順化期間の後、使用した。
【0186】
処置
最後の2週間、Instech Solomon(Plymouth、USA)の栄養チューブ18ga(1.2mm)*38mmを用いる経口経管栄養(5 μl/体重g)によって、ビヒクル、ビヒクル中のメタゾラミド20mg/kg、メトホルミン300mg/kg、メタゾラミド/メトホルミン20mg/kgおよび300mg/kgから選ばれる投与量で6匹1グループの動物を処置した。
【0187】
空腹時血漿グルコース(FPG)濃度
実験を開始する前および投与期間中、3-4日毎に、動物の空腹時血漿グルコースレベルを検査した。投与後、尾の切り傷から血液サンプルを採取する前の4時間動物を絶食させた。補酵素(PQQ)の存在下でのグルコース脱水素酵素による、サンプル中に存在するグルコースのグルコノラクトンへの変換をもたらす、血液滴が検査ストリップ上に染みを付ける場合に生成する電流に基づく市販のグルコメーター(Accuchek Advantage、Roche)を用いて、血糖値をモニターした。結果を表9-1および表9-2に示す。
【0188】
表9-1におけるデータは、メタゾラミドでの処置が、処置の8日後、db/dbマウスの空腹時血漿グルコースレベルを低下させることを明らかにした。
表9-2におけるデータは、メタゾラミドでの処置が、処置の18日後、db/dbマウスの空腹時血漿グルコースレベルを低下させることを明らかにした。
【0189】
表9-1におけるデータは、メトホルミン/メタゾラミド併用での処置が、処置の8日後、db/dbマウスの空腹時血漿グルコースレベルを低下させることを明らかにし、この低下は、メトホルミンまたはメタゾラミドのいずれか単独の準最適投与量での処置によって達成されるものより大きかった。
【0190】
表9-2におけるデータは、メトホルミン/メタゾラミド併用での処置が、処置の18日後、db/dbマウスの空腹時血漿グルコースレベルを低下させることを明らかにし、この低下は、メトホルミンまたはメタゾラミドのいずれか単独の準最適投与量での処置によって達成されるものより大きかった。
【0191】
体重
第0日、第8日または第18日のいずれかにおいて、ビヒクル処置グループとメタゾラミド処置グループとの間で、体重に差違はなく、このことは、グルコース代謝におけるメタゾラミドの効果が、体重の変化に続発するものではないことを示した。
【0192】
第0日、第8日または第18日のいずれかにおいて、ビヒクル処置グループとメトホルミン/メタゾラミド併用処置グループとの間で、体重に差違はなく、このことは、グルコース代謝におけるメタゾラミドの効果が、体重の変化に続発するものではないことを示した。
【0193】
表9-1:db/dbマウモデルにおける第8日でのメタゾラミド、メトホルミンまたはメタゾラミド/メトホルミン併用処置中の空腹時血漿グルコース


1 p=0.0005 対応のあるt検定;2 p=0.02 対応のあるt検定;3 p=0.0003 対応のあるt検定;4 p=0.01 対応のないt検定;5 p=0.0007 対応のないt検定
【0194】
表9-2:db/dbマウモデルにおける第18日でのメタゾラミド、メトホルミンまたはメタゾラミド/メトホルミン併用処置中の空腹時血漿グルコース


1 p=0.0009 対応のあるt検定;2 p=0.02 対応のあるt検定;3 p=0.003 対応のないt検定;4 p=0.009 対応のないt検定;5 p=0.00004 対応のないt検定
【実施例10】
【0195】
食餌誘発性肥満マウス(ハツカネズミ)の空腹時血糖値におけるアセタゾラミドの効果
化合物の調製および投与
被検物質の投与溶液:アセタゾラミド投与溶液は、投与日毎に新たに調製し、遮光して室温にて保管した。化合物は、滅菌ビヒクル:生理食塩水:PEG400 65:35 v/vで調剤した。
【0196】
動物
Animal Resources Centre(Canning Vale、Western オーストラリア)から、8週齢の雄性C57Bl/6Jマウスを得た。動物は、個別に飼育し、自由に行動させ、水および食物を随意に摂取させた。動物は、12時間の明期(6 am-6 pm)および12時間の暗期(6 pm-6 am)で維持した。動物は、毎日モニターした。1週間に3回、体重、食物および水の摂取を記録した。2週間順化させた後、総エネルギー密度4.7 kcal/gの高脂肪飼料(SF04-001、Specialty feeds、Glen Forrest、WA、オーストラリア。飼料のカロリー配分は、タンパク質20%、炭水化物35 %および脂肪45 %)をマウスに12週間与えた。
【0197】
処置
最後の2週間、Instech Solomon(Plymouth、USA)の栄養チューブ18ga(1.2mm)*38mmを用いる経口経管栄養(5 μl/体重g)によって、ビヒクル、ビヒクル中のアセタゾラミド10mg/kg、20mg/kg、50mg/kgから選ばれる投与量で6匹1グループの動物を1日2回(午前9時および午後4時)処置した。
【0198】
空腹時血漿グルコース(FPG)濃度
実験を開始する前および投与の第13日に、動物の空腹時血漿グルコースレベルを検査した。投与後、尾の切り傷から血液サンプルを採取する前の4時間動物を絶食させた。補酵素(PQQ)の存在下でのグルコース脱水素酵素による、サンプル中に存在するグルコースのグルコノラクトンへの変換をもたらす、血液滴が検査ストリップ上に染みを付ける場合に生成する電流に基づく市販のグルコメーター(Accuchek Advantage、Roche)を用いて、血糖値をモニターした。結果を表10-1および表10-2に示す。
【0199】
表10-1におけるデータは、アセタゾラミドでの処置が、食餌誘発性肥満マウスの空腹時血漿グルコースレベルを低下させることを明らかにした。
表10-2におけるデータは、アセタゾラミドでの処置が、食餌誘発性肥満マウスのグルコース耐性を増加させることを明らかにした。
【0200】
体重
第0日または第13日のいずれかにおいて、各処置グループの間で、体重に差違はなく、このことは、グルコース代謝におけるアセタゾラミドの効果が、体重の変化に続発するものではないことを示した。
【0201】
表10-1:DIOマウスのアセタゾラミド処置中の空腹時血漿グルコース


1 p<0.03、2 p=0.08
データは、グループ当たり5-6匹の動物の平均±SEを表す。
【0202】
表10-2:DIOマウスのアセタゾラミド処置後のipGTT


1 p<0.01、2 p<0.05、3 p= 0.068
データは、グループ当たり5-6匹の動物の平均±SEを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホンアミド(-SO2NH2)化合物もしくはそのイソスター、またはその医薬的に許容しうる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグである炭酸脱水酵素阻害剤化合物に細胞を接触させることを含む、細胞によるグルコース取り込みを増加させる方法;ただし、該スルホンアミド化合物は、ループ利尿薬でもチアジド利尿薬でもなく、さらに、トピラメートまたはゾニサミドではない。
【請求項2】
スルホンアミド(-SO2NH2)化合物もしくはそのイソスター、またはその医薬的に許容しうる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグである炭酸脱水酵素阻害剤化合物を患者に投与することを含む、それを必要とする患者において、上昇した血糖値を低下させるか、または正常な血糖値を維持する方法;ただし、該スルホンアミド化合物は、ループ利尿薬でもチアジド利尿薬でもなく、さらに、トピラメートまたはゾニサミドではない。
【請求項3】
スルホンアミド(-SO2NH2)化合物もしくはそのイソスター、またはその医薬的に許容しうる塩、溶媒和物もしくはプロドラッグである炭酸脱水酵素阻害剤化合物を患者に投与することを含む、それを必要とする患者において、インスリン抵抗性が関与する疾患もしくは状態、またはその症状を治療する方法;ただし、該スルホンアミド化合物は、ループ利尿薬でもチアジド利尿薬でもなく、さらに、トピラメートまたはゾニサミドではない。
【請求項4】
疾患もしくは状態が、II型糖尿病、妊娠性糖尿病、グルコース耐性障害、空腹時血糖値異常またはシンドロームXである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
炭酸脱水酵素阻害剤が、式(I):
A-W-X (I)
[式中、Xは、SONH2またはそのイソスターである;
Wは、AおよびXの間の直接結合であるか、または1〜5個の炭素原子からなるアルキレン鎖である(ここで、CH2基は、O、SまたはNHで置換されてもよい);
Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリルアルキルから選ばれる基であり、それぞれが任意に置換されてもよい]
で示される化合物である請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
Aが、フェニル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル 1,3,5-トリアジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピロリル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキシジアゾリル、1,2,4-オキシジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、テトラゾリル、ナフチル インダニル、インドリル、イソインドリル、インド(du)リニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、キノリニル、クマリン、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル、s-トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル、テオフィリニル、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、イミダゾ[2,1-b]チオフェニル、1,3,4-チアジアゾロ[3,2-a]ピリミジニル、1,3,4-チアジアゾロ[3,2-a]トリアジニル、チエノ[2,3-b]チオピラニル、チエノ[3,2-b]チオピラニル、チエノ[2,3-b]ピラニル、チエノピペリジニル、ジオキサニル、チエノ[2,3-b]ピロリル、チエノ[2,3-b]チオフェニル、チエノ[3,2-b]チオフェニル、チエノ[2,3-b]フリル、チエノ[2,3-b]チアジニル、1,3,4-チアジアゾロ[2,3-c][1,2,4]チアジアゾリル、イミダゾ[2,1-b]-1,3,4-チアジアゾリル、ベンズイミダゾ[1,2-c][1,2,3]チアジアゾリル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルから選ばれる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
Aが、

から選ばれる5員のヘテロシクリル基である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
炭酸脱水酵素阻害剤が、式(II):

[式中、
Xは、SONH2またはそのイソスターである;
Wは、AとXとの間の直接結合であるか、または1〜5個の炭素原子からなるアルキレン鎖である(ここで、CH2基は、O、SまたはNHで任意に置換されてよい);
A1は、SまたはOから選ばれる;

は、-CH、=C、=Nまたは-Nである;
A3は、CまたはNである;
R1は、

が、-Nである場合、水素、アルキル、アリールアルキルおよびアリールから選ばれ;または

が、-CHまたは=Cである場合、水素、アルキル、カルボシクリル、アリールアルキル、アリール、アミノ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、カルボシクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシおよびアミノアルキルから選ばれ;または

が、=Nである場合、不在である;
R2は、
A3が、Cである場合、水素、アルキル、カルボシクリル、アリールアルキル、アリール、アミノ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、カルボシクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシおよびアミノアルキルから選ばれ;または
A3が、Nである場合、不在である;

は、直接結合、C=、N=、CH-およびN-から選ばれるが、ただし、

が、=Cまたは=Nである場合、

は、C=またはN=ではない;
Y2は、NHまたはCH2から選ばれる;
R3は、
水素、アルキル、カルボシクリル、アリールアルキル、アリール、アミノ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、カルボシクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシおよびアミノアルキルから選ばれ;または

が、直接結合である場合、不在である;および
R4は、水素、アルキル、アリールアルキルおよびアリールから選ばれる]
で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩である請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
炭酸脱水酵素阻害剤が、式(III):

[式中、R1は、水素、C1-6アルキル、C(O)C1-6アルキルおよび(CH2)nフェニルから選ばれる(ここで、nは、1、2、3、4、5または6であり、フェニルは、C1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルから独立して選ばれる1つ以上の置換基で任意に置換されてよい);および
R5は、水素、C1-6アルキル、C(O)C1-6アルキルおよび(CH2)nフェニルから選ばれる、(ここで、nは、1、2、3、4、5または6であり、フェニルは、C1-6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、シアノ、ニトロ、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、NHC(O)C1-6アルキルおよびNC1-6アルキルC1-6アルキルから独立して選ばれる1つ以上の置換基で任意に置換されてよい)]
で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩である請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
化合物が、メタゾラミドである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項9に記載の化合物またはその医薬的に許容しうる塩、およびチアゾリジンジオン、メトホルミン、インスリン、スルホニルウレア、メグリチミド、α-グルコシダーゼ阻害剤、シタグリプチンなどのDPPIV阻害剤から選ばれる抗糖尿病性化合物を含む併用薬。
【請求項12】
メトホルミンまたはその医薬的に許容しうる塩、および請求項9に記載の式(II)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を含む併用薬。
【請求項13】
式(II)で示される化合物が、メタゾラミドである請求項11または12に記載の併用薬。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか1つに記載の併用薬の投与を含む、それを必要とする患者において血糖値を低下させる方法。
【請求項15】
請求項11〜13のいずれか1つに記載の併用薬の投与を含む、それを必要とする患者においてインスリン抵抗性を治療する方法。
【請求項16】
請求項11〜13のいずれか1つに記載の併用薬の投与を含む、インスリン抵抗性が関与する疾患もしくは状態、またはその症状を治療する方法。

【公表番号】特表2010−516711(P2010−516711A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546616(P2009−546616)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000089
【国際公開番号】WO2008/089521
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(509211011)バーバ・ファーマシューティカルズ・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】VERVA PHARMACEUTICALS LTD
【Fターム(参考)】