説明

インスリン抵抗性改善薬を製造する方法およびその中間体化合物

本発明は、式(I)
[式中、RおよびRは、明細書および特許請求の範囲に定義するとおりである]
の化合物を製造し、そして場合により、式(I)の化合物を医薬的に許容できる塩に変換するための新規な方法に関するものである。式(I)の化合物および対応する塩、例えばナトリウム塩は、医薬的に活性な物質である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チアゾリジンジオン誘導体を製造するための新規な方法、とりわけ5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エトキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−7−イルメチル}2,4−チアゾリジンジオン、およびその塩の製造に関する。5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エトキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−7−イルメチル}2,4−チアゾリジンジオンおよびその塩、特にナトリウム塩は、医薬的に活性な化合物である。これらの化合物は、当技術分野において公知であり、例えば国際公開公報第94/27995号に記載されている。これらは、糖尿病I型およびII型の予防および/または治療にとりわけ有用である。
【0002】
5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エトキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−7−イルメチル}2,4−チアゾリジンジオンの製造方法は、例えば国際公開公報第94/27995号、国際公開公報第01/79202号、および欧州特許第1078923号に記載されている。しかしこれらの方法は、多数の個別反応段階を含む。更に、当技術分野において公知の方法は、低収率または他の短所を示し、それゆえに5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エトキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−7−イルメチル}2,4−チアゾリジンジオンの工業的大規模製造には不適切である。
【0003】
驚くべきことに、本発明の方法を用いることにより、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エトキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−7−イルメチル}2,4−チアゾリジンジオンを、より経済的に、より少ない工程段階数で、穏和な反応条件下に優れた収率で製造できることが見いだされた。更に、粗製中間生成物の大部分は、追加の精製段階を必要とすることなく、以降の反応段階に使用することができる。
【0004】
本発明は、式(I)
【化14】


の化合物を製造する方法であって、式(II)
【化15】


の化合物を式(III)
【化16】


の化合物と反応させて式(I)の化合物を生成し、そして場合により、式(I)の化合物を医薬的に許容できる塩に変換することを含む方法[式中、
は、アリールまたはヘテロアリールであり、
は、低級アルキルであり、
は、COORであり、
は、COORであり、
およびRは、互いに独立して低級アルキル、フルオロ低級アルキル、アリール、または−CH−アリールであり、
およびRは、互いに独立して低級アルキル、シクロアルキル、アリール、または−CH−アリールであるか、あるいは
およびRは、一緒になって−CH=CH−CH=CH−であって、それらが結合している炭素原子と一緒になってベンゼン環を形成し、そしてRおよびRは、一緒になって−CH=CH−CH=CH−であって、それらが結合している炭素原子と一緒になってベンゼン環を形成する]に関する。
【0005】
この方法は、式Iの化合物を製造するための効率のよい方法になる。当技術分野において公知の方法と比較して、本発明の方法は、高い収率、穏和な反応条件、および他の工業上重要な利点を示す。
【0006】
別段の表示がない限り、本発明を本明細書で説明するために用いられる様々な用語の意味および範囲を例示し、限定するために、以下の定義を記載する。
【0007】
本明細書において、用語「低級」は、1〜7個、好ましくは1〜4個の炭素原子からなる基を意味するために用いられる。
【0008】
用語「アルキル」は、炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜16の分岐鎖または直鎖一価飽和脂肪族炭化水素基を指す。
【0009】
用語「低級アルキル」は、炭素原子数1〜7、好ましくは炭素原子数1〜4の分岐鎖または直鎖一価アルキル基を指す。この用語は、更に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、t−ブチルなどの基によって例示され、メチルおよびエチルが好ましい。
【0010】
用語「フルオロ低級アルキル」は、フッ素で一置換または多置換された低級アルキル基を指す。フルオロ低級アルキル基の例は、例えばCF、CFCH、および(CFCHである。
【0011】
用語「アルコキシ」は、基:アルキル−O−を指し、用語「低級アルコキシ」は、基:低級アルキル−O−を指す。
【0012】
用語「シクロアルキル」は、炭素原子数3〜10、好ましくは炭素原子数3〜6の一価炭素環基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルなどを指す。
【0013】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、および臭素、好ましくは塩素および臭素、そしてより好ましくは臭素を指す。
【0014】
用語「1級アミン」、「2級アミン」、および「3級アミン」は、それぞれ基:NHR、NHR、およびNRを指し、ここに基:Rは、互いに独立して、例えば低級アルキルまたはアリール、好ましくは低級アルキルであることができる。好ましい3級アミンは、トリブチルアミンである。
【0015】
用語「アリール」は、フェニル基またはナフチル基、好ましくはフェニル基に関し、それらは場合により、例えば低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、CN、およびCFなどの置換基で一置換または多置換されていてもよい。
【0016】
用語「ヘテロアリール」は、窒素、酸素、または硫黄から選択される1個または2個の原子を含有することができる芳香族5員または6員環、例えばフリル、ピリジル、1,2−、1,3−、および1,4−ジアジニル、チオフェニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、またはイミダゾリルなどを指す。ヘテロアリール基は、用語「アリール」に関連して先に記載した置換パターンを持ちうる。
【0017】
用語「医薬的に許容できる塩」は、式(I)の化合物の、塩基との塩を指す。そのような塩の例は、アルカリ塩、アルカリ土類塩、およびアンモニウム塩、例えばNa塩、K塩、Ca塩、およびトリメチルアンモニウム塩などである。アルカリ塩、特にNa塩が好ましい。
【0018】
詳細には、本発明は、式(I)
【化17】


の化合物を製造する方法であって、式(II)
【化18】


の化合物を式(III)
【化19】


の化合物と反応させて式(I)の化合物を生成し、そして場合により、式(I)の化合物を医薬的に許容できる塩に変換することを含む方法[式中、
は、アリールまたはヘテロアリールであり、
は、低級アルキルであり、
は、COORであり、
は、COORであり、
およびRは、互いに独立して低級アルキル、フルオロ低級アルキル、アリール、または−CH−アリールであり、
およびRは、互いに独立して低級アルキル、シクロアルキル、アリール、または−CH−アリールであるか、あるいは
およびRは、一緒になって−CH=CH−CH=CH−であって、それらが結合している炭素原子と一緒になってベンゼン環を形成し、そしてRおよびRは、一緒になって−CH=CH−CH=CH−であって、それらが結合している炭素原子と一緒になってベンゼン環を形成する]に関する。
【0019】
先に記載した本発明の好ましい実施態様では、Rは、フェニルまたはチエン−2−イル、より好ましくはフェニルである。
【0020】
別の好ましい実施態様は、Rがメチルである、先に定義した方法に関する。好ましくは、RはCOORであり、RはCOORであり、そしてRおよびRは先に定義したとおりである。更に、RがCOORであり、RがCOORであり、そしてRおよびRが互いに独立して低級アルキル、特にメチルである、先に定義した方法が、好ましい。
【0021】
好ましくは、RおよびRは、互いに独立して低級アルキル、特にメチルである。別の好ましい実施態様では、先に定義した方法を、100〜280℃の反応温度、より好ましくは160〜260℃の反応温度で行う。220〜250℃の反応温度で連続的に行なわれる先に定義した方法も、本発明の好ましい実施態様を構成する。
【0022】
好ましくは、先に定義した方法を、溶媒としての1,3,5−トリメチルベンゼン、ジフェニルエーテル、またはダウサームA(Dowtherm A)中で、特に1,3,5−トリメチルベンゼンまたはジフェニルエーテル中で、とりわけ1,3,5−トリメチルベンゼン中で、またはとりわけジフェニルエーテル中で行う。塩基の存在下で行なわれる先に定義した方法も好ましく、塩基がヒューニッヒ塩基、トリエチルアミン、またはトリブチルアミンである場合は、特に好ましい。
【0023】
式(I)の化合物をナトリウム塩に変換する先に定義した方法も好ましく、式(I)の化合物をTHF中で水酸化ナトリウムとの反応によってナトリウム塩に変換する場合は、更に好ましい。
【0024】
本発明の別の態様は、式IV
【化20】


の化合物を製造する方法であって、式V
【化21】


の化合物をグリオキシル酸と反応させて式(VI)
【化22】


の化合物を生成した後、式(VI)の化合物の酸化的脱炭酸を行なって式(IV)の化合物を取得することを含む方法に関する。
【0025】
好ましくは、先に定義した方法において、式(V)の化合物のグリオキシル酸との反応を、塩基の存在下に水性溶液中で行う。好ましい塩基は、NaOH、KOH、CsOH、Ca(OH)、テトラプロピル−NOH、トリメチル−ベンジル−NOH、KO(tert−ブチル)、DBU、トリブチルアミンであり、より好ましくはKOHである。更に、式(VI)の化合物を、1級、2級、または3級アミンとの塩に変換し、単離してから、酸化的脱炭酸を行う、先に定義した方法も好ましく、アミンが3級アミン、とりわけトリブチルアミンである場合は、特に好ましい。
【0026】
酸化的脱炭酸を、水と、CHCN、DMF、エタノール、イソプロパノール、アセトン、およびイソプロピルアセテートからなる群より選択される共溶媒との混合物中で、Fe(SOを使って行う、先に定義した方法も好ましい。式(VI)の化合物を先に記載したように塩に変換した場合、酸化的脱炭酸は、好ましくは酸の存在下で行なわれる。好ましい酸は、HClまたはHSOである。
【0027】
本発明の別の好ましい実施態様は、式(I)
【化23】


の化合物を製造するための、先に定義した方法であって、
a)先に定義した方法によって式(IV)
【化24】


の化合物を製造し、
b)式(IV)の化合物を式(VII)
【化25】


[式中、Xはハロゲンまたは−O−SO−Rであり、Rは低級アルキル、アリール、またはトリフルオロメチルである]
の化合物と反応させて式(VIII)
【化26】


の化合物を生成し、
c)式(VIII)の化合物をチアゾリジンジオンと反応させて式(II)
【化27】


の化合物を生成し、
d)先に定義した方法によって式(II)の化合物を式(I)の化合物に変換し、そして場合により、式(I)の化合物を医薬的に許容できる塩に変換すること
を含む方法[式中、RおよびRは、先に定義したとおりである]に関する。好ましくは、Xは、Cl、Br、I、−O−メシレート、または−O−トシレートである。
【0028】
5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオンを製造するための先に定義した方法の使用も、ナトリウム5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}2,4−チアゾリジンジオネートを製造するための先に定義した方法の使用と同様に、本発明の好ましい実施態様を構成する。
【0029】
本発明の別の好ましい実施態様は、先に記載した方法の中間体化合物に関し、特に化合物ヒドロキシ−(4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)アセテートおよびそれの1級、2級、または3級アミンとの塩に関する。化合物ヒドロキシ−(4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)アセテートおよびそれの3級アミンとの塩が好ましく、化合物ヒドロキシ−(4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)アセテートおよび/またはヒドロキシ−(4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)酢酸トリブチルアンモニウムが特に好ましい。
【0030】
本発明の更に別の好ましい実施態様は、式(IX)
【化28】


の化合物を製造する方法であって、式(X)
【化29】


の化合物を臭素化した後、脂肪族アルコールの存在下でアミドRC(O)NHと縮合させて式(IX)の化合物を得ることを含む方法[式中、Rは先に定義したとおりであり、そしてR10は低級アルキルである]に関する。好ましくは、R10はメチルまたはエチルであり、そして脂肪族アルコールはメタノールまたはエタノールである。好ましくは、脂肪族アルコールは、低級アルキル基が好ましくはR10中の低級アルキルと同じであるような低級アルキルアルコールである。
【0031】
先に記載した式(II)の化合物の式(III)の化合物との反応は、当技術分野において公知の方法に従って、例えばメシチレン、トルエン、DMF、THF、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン、テトラメチル尿素、α,α,α−トリフルオロトルエン、ダウサームA、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、もしくはエチレングリコールジメチルエーテルなどの溶媒中で、またはそのような溶媒の混合物中で行なうことができる。反応を塩基の存在下で行なう場合、ヒューニッヒ塩基、トリエチルアミン、またはトリブチルアミンが、そのような塩基の好適な例である。塩基の量は、簡便には、反応物に対して0.1〜1.1当量、好ましくは0.3〜0.7当量の範囲で、選択することができる。
【0032】
式(II)の化合物の式(III)の化合物に対する比は、例えば1/1.5であることができる。反応はバッチ処理またはセミバッチ処理として行なうか、管型反応器で連続的に行なうことができる。バッチ処理またはセミバッチ処理は、100〜280℃、好ましくは160〜260℃の反応温度で、都合よく行なうことができる。反応を連続的に行なう場合は、220〜250℃の反応温度が、好都合である。連続反応では、反応物の95%以上、好ましくは99%以上、更に好ましくは99.5%以上が変換されるように、流速を選択する。実施例に記載の条件下で実施例に記載の装置を使った場合は、1〜10ml/分、好ましくは4〜5ml/分の流速を都合よく選択することができる。式(III)の化合物は、市販されているか、当技術分野において公知であるか、または当業者に公知の方法によって製造することができる。
【0033】
式(I)の化合物の医薬的に許容できる塩への変換は、当技術分野において公知の方法によって、または下記実施例と同様にして行なうことができる。
【0034】
先に記載した式(V)の化合物のグリオキシル酸との反応による式(VI)の化合物の生成は、例えば実施例に記載するように行なうことができる。反応は、HO、DMSO、THF、トルエン、またはそのような溶媒の混合物中で行なうことができ、好ましくはHO中で行なうことができる。反応は、例えばNaOH、KOH、CsOH、Ca(OH)、テトラプロピル−NOH、トリメチル−ベンジル−NOH、KO(tert−ブチル)、DBU、トリブチルアミンなどの塩基の存在下で、好ましくはKOHの存在下で、都合よく行なうことができる。塩基の存在量は、例えば式(V)の化合物に対して1.75〜2.4当量、好ましくは2.2当量であることができる。グリオキシル酸の存在量は式(V)の化合物に対して0.75〜1.4当量、好ましくは約1.2当量であることができ、例えば濃度約50%の水溶液として供給することができる。反応は、例えば−10〜25℃、好ましくは0〜5℃の温度で行なうことができる。
【0035】
所望であれば、式(VI)の化合物を1級、2級、または3級アミンとの塩、好ましくは、例えばトリブチルアミンなどの3級アミンとの塩に変換し、単離してから、以降の反応を行なうことができる。そのような塩を形成させる条件は、当技術分野において公知である。式(VI)の化合物または式(VI)の化合物の先に記載した塩は、酸化的脱炭酸によって式(IV)の化合物に変換することができる。そのような酸化的脱炭酸は、例えばHOなどの溶媒および例えばCHCN、DMF、エタノール、イソプロパノール、アセトン、またはイソプロピルアセテートなどの任意の共溶媒、好ましくはイソプロパノール中で、行なうことができる。酸化的脱炭酸は、例えばFe(SO、FeCl、Fe(SO/H、またはCuCl、好ましくはFe(SOなどの酸化剤を使って行なうことができる。反応混合物には、例えばHClまたはHSOなどの酸、好ましくはHSOを加えることができる。
【0036】
式(IV)の化合物と式(VII)の化合物との反応は、当業者に公知の方法によって、例えばDMFまたはHO/トルエンなどの溶媒中で、好ましくはDMF中で、行なうことができる。KCO、KO(tert−ブチル)、またはNaOH/テトラブチル−NHSOなどの塩基、好ましくはKCOが存在しうる。
【0037】
式(VIII)の化合物のチアゾリジンジオンとの反応は、例えばトルエンなどの芳香族溶媒中、酢酸、カプロン酸、または安息香酸などの酸、好ましくは安息香酸の存在下に、還流下で都合よく行なうことができる。例えばピペリジン、ジイソプロピルアミン、ジエチルアミン、イソブチルアミン、またはジ−n−ブチルアミンなどの塩基、好ましくはピペリジンを、更に反応混合物に加えることができる。
【0038】
式(X)の化合物の臭素化は、溶媒なしで、またはジクロロメタン、テトラクロロメタン、およびベンゾトリフルオリドなどのハロゲン化溶媒、好ましくはジクロロメタン中で、臭素との反応によって行なうことができる。その結果生じる臭化物を、その後、脂肪族アルコールの存在下にアミドRC(O)NHとの縮合反応で変換して、式(IX)の化合物を生成することができる。
【0039】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を例示するものであるが、本発明の範囲を限定しようとするものではない。出発物質は、市販されているか、当技術分野においては、例えば欧州特許第1078923号もしくは国際公開公報第01/79202号などから公知であるか、または当業者に周知の手法に従って製造することができる。
【実施例1】
【0040】
ヒドロキシ−(4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)−酢酸トリブチルアンモニウム
メカニカルスターラー、温度計、滴下ロート、pH計に接続したセンサー、およびアルゴン注入口を装備した2L反応器に、アルゴン下で、4−ヒドロキシベンゾチオフェン76.2g(500mmol)および10%KOH水溶液617.1g(1100mmol)を投入した。その黒ずんだ溶液に0〜5℃で30分以内に50%グリオキシル酸水溶液約85.91g(580mmol)を加えた。必要ならば、添加終了時の溶液のpHが11.5になるように、グリオキシル酸を追加した。0〜5℃で3時間撹拌した後、tert−ブチルメチルエーテル200mlを反応混合物に加え、次に25%HCl水溶液約70mlを、pHが約7.0になるように加えた。その二相混合物をSpeedex越しに濾過した後、25%HCl水溶液約70mlを、pHが約2.0になるように、水相に加えた。tert−ブチルメチルエーテル450mlを加えた後、有機相を室温で分離し、そして水相をtert−ブチルメチルエーテルで洗浄した。合わせた有機相を体積約300mlまで濃縮し、そして残渣をtert−ブチルメチルエーテル50mlおよびアセトニトリル100mlで希釈した。得られた透明溶液に、生成物の結晶を入れて、tert−ブチルメチルエーテル(100ml)中にトリブチルアミン93.6g(500mmol)溶液を、20〜30℃で1時間以内に少しずつ加えた。得られた懸濁液を20〜30℃で終夜撹拌した後、濾別した。濾過ケーキをtert−ブチルメチルエーテル/アセトニトリル3:1 160mlで洗浄し、そして結晶を60℃/10mbarで終夜乾燥することにより、ヒドロキシ−(4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)−酢酸トリブチルアンモニウム108.9g(53.1%)を、融点約200℃(分解)の白色結晶として得た。
【実施例2】
【0041】
4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−カルボキシアルデヒドの合成
メカニカルスターラー、温度計、滴下ロート、およびアルゴン注入口を装備した750ml四口ガラスフラスコに、アルゴン下で、ヒドロキシ−(4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)酢酸トリブチルアンモニウム41.0g(100mmol)、硫酸鉄(III)60.5g(115mmol)ならびに乾燥エタノール60mlおよび0.4N硫酸水溶液300mlから調製した混合物を投入した。次に撹拌を開始し、反応混合物を55〜60℃に5時間加熱した。室温に冷却した後、酢酸イソプロピル300mlおよび水100mlを撹拌しながら加え、次に有機相を分離して、pH計を装備した500mlガラスフラスコに移した。水150mlを加えた後(pHは3.0だった)、2N水酸化ナトリウム水溶液約58mlを、pH12〜12.5に達するまで、20℃で滴下した。有機相を除去し、水相に硫酸の2N水溶液約54mlを、pH4〜4.5に達するまで、10〜15℃で滴下した。添加中に生成物が沈殿した。その懸濁液を室温で終夜および氷浴で1.2時間撹拌した後、濾過した。濾過ケーキを水で洗浄し、60℃/15mbarで乾燥することにより、4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−カルボキシアルデヒド17.23g(94%)を、融点204℃の白色結晶として得た。
【実施例3】
【0042】
4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−7−カルボキシアルデヒドの合成
温度計、スターラー、およびアルゴン注入口を装備した750mlガラスフラスコに、アルゴン下で、4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−カルボキシアルデヒド9.32g(50mmol)、炭酸カリウム7.60g(55mmol)、およびDMF 135mlを投入した。得られた懸濁液を撹拌しながら86℃に加熱した後、2−(5−メチル−2−フェニル)−4−オキサゾリル)エタノールメタンスルホニルエステル12.24g(50mmol)のDMF(75ml)溶液を、その温度で60分以内に加えた。反応混合物を同じ温度で6時間撹拌した後、温度を75℃より高く保ちながら、トルエン90ml、次いで水300mlを、15分以内に滴下した。水相を分離し、温かいトルエン30mlで抽出した。2つのトルエン相を合わせ、水で再抽出し、500mlガラスフラスコに移し、最後にメタノール180mlで処理した。得られた懸濁液を室温で終夜および−13℃で2時間撹拌した。次に、その懸濁液を濾過し、濾過ケーキをトルエン、冷メタノールで洗浄し、最後に60℃/10mbarで乾燥することにより、4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−7−カルボキシアルデヒド15.19g(83%)を、融点154℃の無色結晶として得た。
【実施例4】
【0043】
4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−7−カルバルデヒドの合成
メカニカルスターラー、温度計、冷却器、滴下ロート、およびアルゴン注入口を装備した2l四口ガラス反応器に、アルゴン下で、ヒドロキシ−(4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)−酢酸トリブチルアンモニウム103.2g(250mmol)、硫酸鉄(III)151.3g(287mmol)、イソプロパノール150ml、水750ml、および2N硫酸150mlの混合物を、順に投入した。反応混合物を撹拌しながら63〜65℃に2時間加熱した。室温に冷却した後、酢酸イソプロピル600mlを加え、その混合物を濾過した。濾液を水100mlで洗浄した後、有機相を濃縮した(50℃/150〜50mbarで約470mlを留去した)。DMF 625mlを添加した後、揮発性が高い溶媒の残りを50℃/150〜50mbarで完全に除去した。含水量は、この時点で0.4%未満だった。中間体4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−カルボキシアルデヒドを含有するこの懸濁液を、炭酸カリウム38.0gを投入しておいた4l反応器(上記2l反応器と同じ装備を持つもの)に、DMF 660mlを利用して移した。その黒ずんだ懸濁液に、86〜90℃で60分以内に、2−(5−メチル−2−フェニル)−4−オキサゾリル)エタノールメタンスルホニルエステル70.4g(250mmol)のDMF(275ml)溶液を加えた。反応混合物を同じ温度で6時間撹拌した後、温度を75℃より高く保ちながら、トルエン450ml、次いで水950mlを加えた。水相を分離し、温かいトルエン150mlで抽出した。2つのトルエン相を合わせ、水で再抽出し、最後に65〜40℃の温度で、メタノール900mlで処理した。得られた懸濁液を40℃で1時間撹拌し、−15℃に冷却し、−15℃で3時間撹拌した。最後に懸濁液を濾過し、濾過ケーキを冷(−15℃)トルエン/メタノール混合物100mlで洗浄し、60℃/10mbarで乾燥することにより、4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−7−カルバルデヒド76.8g(84.5%)を、融点154℃の無色結晶として得た。
【実施例5】
【0044】
5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]ベンゾ[b]チエン−7−イル]メチレン}−2,4−チアゾリジンジオンの合成
メカニカルスターラー、温度計、冷却器、滴下ロート、水分離器、およびアルゴン注入口を装備した4l四口ガラス反応器に、アルゴン下で、4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−エトキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−7−カルバルデヒド115.0g(300mmol)、チアゾリジンジオン44.4g(375mmol)、安息香酸110.5g(900mmol)、およびトルエン2500mlを、順に投入した。ピペリジン39.1g(450mmol)を撹拌しながら加えた後、水を分離器に集めることによって除去しながら、その懸濁液を環流下に8時間撹拌した。懸濁液を撹拌しながら120分以内に0℃まで冷却し、その温度で終夜撹拌した。最後に懸濁液を濾過によって集め、濾過ケーキをトルエン500mlで洗浄し、60℃/10mbarで終夜乾燥することにより、5−[[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]ベンゾ[b]チエン−7−イル]メチレン]−2,4−チアゾリジンジオン133.7g(94.8%)を、融点249℃の黄橙色結晶性物質として得た。
【実施例6】
【0045】
5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオンの合成
メカニカルスターラー、温度計、冷却器、滴下ロート、およびアルゴン注入口を装備した2.5l四口ガラスフラスコに、アルゴン下で、5−[[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]ベンゾ[b]チエン−7−イル]−メチレン]−2,4−チアゾリジンジオン118.2g(250mmol)、3,5−ピリジンジカルボン酸,1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−,ジエチルエステル98.3g(375mmol)、メシチレン563ml、およびトリエチルアミン17.4ml(125mmol)を、順に投入した。その懸濁液を環流下(約167℃)で6時間撹拌した後、得られた溶液を50分以内に90℃に冷却し、最後にエタノール1560mlを10分以内に加えたところ、温度は40℃まで低下した。その懸濁液を0℃に冷却し、その温度で5時間撹拌した。最後に沈殿物を濾過によって単離し、濾過ケーキをエタノール700mlで洗浄し、60℃/10mbarで終夜乾燥することにより、5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]−チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオン101.1g(92.3%)を、融点208℃のオフホワイト結晶性物質として得た。
【実施例7】
【0046】
5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオンの合成
メカニカルスターラー、温度計、冷却器、およびアルゴン注入口を持つ1500ml四口ガラス反応器に、アルゴン下で、5−[[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]ベンゾ[b]チエン−7−イル]メチレン]−2,4−チアゾリジンジオン93.07g(200mmol)、およびジフェニルエーテル125mlを投入した。自動温度調整器に接続した二重壁外套ならびにメカニカルスターラー、温度計、冷却器、底部排出口、およびアルゴン注入口を持つ1000mlガラスフラスコに、アルゴン下で、3,5−ピリジンジカルボン酸,1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−,ジエチルエステル76.8g(280mmol)、およびジエフェニルエーテル200mlを投入した。両方のガラス容器を接続するために、底部排出口からテフロン(登録商標)移送ラインを取り付けた。1500mlガラス反応器の内容物をメタルバスで260℃に加熱すると共に、1000mlガラスフラスコの内容物を145℃に加熱した。3,5−ピリジンジカルボン酸,1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−,ジエチルエステルの溶液を、1〜2分以内に、撹拌した5−[[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]−ベンゾ[b]チエン−7−イル]メチレン]−2,4−チアゾリジンジオンの溶液に移した。温度が、220〜230℃に低下し、その混合物を再び260℃まで加熱した。10〜15分後に5−[[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]ベンゾ[b]チエン−7−イル]メチレン]−2,4−チアゾリジンジオンが、完全に変換され、メタルバスを除去した。反応混合物が、90℃に達したら、n−ヘプタンおよびエタノールの混合物(9:1)650mlを滴下ロートから10分以内に加えた。その混合物に5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオンを接種したところ、50℃で結晶化が始まった。その懸濁液を0℃に冷却し、その温度で5時間撹拌した。結晶を濾別し、エタノール各125mlで4回洗浄した。その湿潤物を140℃、10mbarで15時間乾燥することにより、HPLC分析によれば純度96.5%で92.5%の補正収率に相当する白色結晶性の5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオン89.1gを得た。
【実施例8】
【0047】
5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオンの合成
メカニカルスターラー、温度計、冷却器、滴下ロート、およびアルゴン注入口を装備した100ml四口ガラスフラスコに、アルゴン下で、5−[[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]ベンゾ[b]チエン−7−イル]−メチレン]−2,4−チアゾリジンジオン9.20g(19.6mmol)、3,5−ピリジンジカルボン酸,1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−,ジエチルエステル7.84g(29.4mmol)、およびメシチレン43mlを、順に投入した。その懸濁液を還流下(約167℃)で6時間撹拌した後、加熱浴を除去した。得られた懸濁液の温度が、約85℃になった時に、エタノール125mlを加えた。室温で2時間撹拌した後、沈殿物を濾過によって単離し、濾過ケーキをエタノール50mlで洗浄し、56℃/1marで2時間乾燥することにより、5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオン8.46g(92%)を、オフホワイトの結晶性物質として得た。HPLC分析によれば、これは純度99.3%だった。
【実施例9】
【0048】
5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオンの合成
磁気撹拌子を装備した35mlステンレス鋼圧力釜に、アルゴン下で、5−[[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ]−ベンゾ[b]チエン−7−イル]メチレン]−2,4−チアゾリジンジオン1.18g(2.5mmol)、3,5−ピリジンジカルボン酸,1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−ジエチルエステル0.985g(3.75mmol)、ダウサームA 3.56gおよびトリエチルアミン0.18ml(1.25mmol)を投入した。圧力釜を閉じ、230℃の油浴に浸漬した。撹拌(800rpm)しながら反応を20分間進行させた後、圧力釜を水中で室温まで冷却し、開封し、その透明帯黄色溶液からHPLC分析用の試料を採取した(反応率は99.8%だった)。反応混合物を50ml丸底フラスコに移し、圧力釜をエタノール計16mlで濯いだ。エタノールを加えた直後に、結晶が形成し始めた。その帯黄色懸濁液を室温で1時間および氷浴(約2℃)で4時間撹拌した。沈殿物を吸引濾過し、濾過ケーキをエタノール計7mlで洗浄し、乾燥(60℃、2mbar、17時間)することにより、5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオン0.94g(77.3%)を、帯黄色固体として得た。定量HPLC分析(カラム:XTerra(商標)RP18、3.5mm、Waters品番:186000442、移動相:勾配付pH4.5緩衝液/アセトニトリル、流速1ml/分、UV検出、出発物質の保持時間:16.3分、生成物の保持時間:12.5分)によれば、これは純度95.5%だった。
【実施例10】
【0049】
5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオンの合成
メカニカルスターラーを装備した2.5L四口丸底フラスコ(略図中の懸濁液タンク)に、5−[[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−エトキシ]ベンゾ[b]チエン−7−イル]メチレン]−2,4−チアゾリジンジオン236.4g(0.5mol)、3,5−ピリジンジカルボン酸,1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−ジエチルエステル196.6g(0.75mol)、およびダウサームA 750g(20重量%、見かけ密度1.132g/ml)を投入した。この混合物を均一な懸濁液が形成されるまで、室温で約2時間撹拌した。管型反応器の温度を230℃に設定し、自動制御した。その温度に到達したら、反応物懸濁液のポンプ送出を流速4.8ml/分で開始した。流出液を、エタノール2300mlを含有する収集タンクに、撹拌しながら収集した。2時間後には、反応器を通過し終えた生成物溶液が661g(すなわち584ml)になり、これは5−[[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−エトキシ]ベンゾ[b]チエン−7−イル]メチレン]−2,4−チアゾリジンジオン132.2g(0.28mol)に相当した。収集タンクにおける生成物の結晶化は、流出液のエタノールへの添加が始まると、ほとんど直ちに起こった。最後に、懸濁液を室温で更に14時間、そして約2℃の氷浴で4時間撹拌した。沈殿物を吸引濾過し、濾過ケーキを冷(0℃)エタノール計1500mlで2回洗浄し、恒量になるまで乾燥(60℃、25mbar、17時間)することにより、5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオン124.9g(収率:95.9%、HPLCアッセイによれば純度99.9%)を、帯黄色固体として得た。
【実施例11】
【0050】
ナトリウム5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}2,4−チアゾリジンジオネートの合成
1000ml丸底ガラスフラスコに、アルゴン下で、5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオン46.62g(100mmol)およびTHF 600mlを投入した。その懸濁液を60℃に加熱し、濾過し、濾紙をTHF 50mlで洗浄した。その透明な溶液に、撹拌しながら、15%水酸化ナトリウム水溶液25.7g(97mmol)を加えた。その濁った混合物を加熱還流し、更にTHF 1050mlを滴下しながら、THF計1050mlを留去した。得られた懸濁液を0℃に冷却し、その温度で2時間撹拌した。次に、沈殿物を濾別し、濾過ケーキをTHF 200mlで洗浄し、60℃/10mbarで終夜乾燥することにより、ナトリウム5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}2,4−チアゾリジンジオネート46.78g(96.1%)を、融点>250℃の白色結晶性物質として得た。
【実施例12】
【0051】
5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−カルボン酸エチルエステルの合成
メカニカルスターラー、温度計、還流冷却器、滴下ロート、およびアルゴン注入口を装備した二重外套付き1Lガラス反応器に、アルゴン下で、3−オキソ−ペンタン酸メチルエステル84.4gおよびジクロロメタン263gを投入した。その溶液を10℃に冷却し、臭素102.1gのジクロロメタン(198g)溶液を40分以内に加えた。滴下ロートをジクロロメタン65で濯いだ後、外套温度を70℃に設定し、溶媒を完全に留去した。残渣にベンズアミド120.0g、トルエン564gおよびエタノール7.9gを加えた。外套温度を120℃に設定し、反応混合物にエタノール277gを連続的に12時間以内に添加した。反応中に揮発物を留去した。90℃に冷却した後、エタノール126gを加え、反応混合物を1時間撹拌した。溶媒を留去した後、反応混合物を25℃に冷却し、炭酸ナトリウム水溶液411gおよびtert−ブチルメチルエーテル521gを加えた。相を分離し、有機相を水310gで洗浄した。トルエン106gを加え、tert−ブチルメチルエーテルを留去した。0℃に冷却した後、残存ベンズアミドを結晶化させ、濾過によって除去した。濾過ケーキをトルエン75gで洗浄することにより、5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−カルボン酸エチルエステル286.8g(収率75%)のトルエン溶液を得た。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】装置の略図を図1に示す。懸濁液タンクは、2.5Lフラスコである。ソフトチューブポンプは、MCP−Processである。管型反応器は、128mlステンレス鋼管、直径4mm、長さ1020mmである。収集タンクは、3.5Lフラスコである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】


の化合物を製造する方法であって、式(II)
【化2】


の化合物を式(III)
【化3】


の化合物と反応させて式(I)の化合物を生成し、そして場合により、式(I)の化合物を医薬的に許容できる塩に変換することを含む方法[式中、
は、アリールまたはヘテロアリールであり、
は、低級アルキルであり、
は、COORであり、
は、COORであり、
およびRは、互いに独立して低級アルキル、フルオロ低級アルキル、アリール、または−CH−アリールであり、
およびRは、互いに独立して低級アルキル、シクロアルキル、アリール、または−CH−アリールであるか、あるいは
およびRは、一緒になって−CH=CH−CH=CH−であって、それらが結合している炭素原子と一緒にベンゼン環を形成し、そしてRおよびRは、一緒になって−CH=CH−CH=CH−であって、それらが結合している炭素原子と一緒にベンゼン環を形成する]。
【請求項2】
がフェニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がメチルである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
がCOORであり、RがCOORであり、そしてRおよびRが互いに独立して低級アルキルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
およびRがメチルである、請求項5に記載の方法。
【請求項6】
およびRが互いに独立して低級アルキルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
およびRがメチルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
100〜280℃の反応温度で行う、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
160〜260℃の反応温度で行う、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
220〜250℃の反応温度で連続的に行う、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
溶媒としての1,3,5−トリメチルベンゼン、ジフェニルエーテル、またはダウサームA中で行う、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
塩基の存在下で行う、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
塩基がヒューニッヒ塩基、トリエチルアミン、またはトリブチルアミンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式(I)の化合物をナトリウム塩に変換する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
THF中での水酸化ナトリウムとの反応によって、式(I)の化合物をナトリウム塩に変換する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式IV
【化4】


の化合物を製造する方法であって、式V
【化5】


の化合物をグリオキシル酸と反応させて式(VI)
【化6】


の化合物を生成した後、式(VI)の化合物の酸化的脱炭酸を行なって式(IV)の化合物を得ることを含む方法。
【請求項17】
式(V)の化合物のグリオキシル酸との反応を、塩基の存在下に水性溶液中で行う、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
式(VI)の化合物を、1級、2級、または3級アミンとの塩に変換し単離してから、酸化的脱炭酸を行う、請求項16または17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
アミンがトリブチルアミンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
酸化的脱炭酸を、水と、CHCN、DMF、エタノール、イソプロパノール、アセトン、およびイソプロピルアセテートからなる群より選択される共溶媒との混合物中で、Fe(SOを使って行う、請求項16〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
式(I)
【化7】


の化合物を製造するための請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法であって、
a)請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法によって式(IV)
【化8】


の化合物を製造し、
b)式(IV)の化合物を式(VII)
【化9】


[式中、Xはハロゲンまたは−O−SO−Rであり、Rは低級アルキル、アリール、またはトリフルオロメチルである]
の化合物と反応させて式(VIII)
【化10】


の化合物を生成し、
c)式(VIII)の化合物をチアゾリジンジオンと反応させて式(II)
【化11】


の化合物を生成し、
d)請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法によって式(II)の化合物を式(I)の化合物に変換し、そして場合により、式(I)の化合物を医薬的に許容できる塩に変換すること
を含む方法[式中、RおよびRは、請求項1〜3のいずれか一項に定義したとおりである]。
【請求項22】
XがCl、Br、I、−O−メシレート、または−O−トシレートである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}−2,4−チアゾリジンジオンを製造するための請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項24】
ナトリウム5−{[4−[2−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)エトキシ]ベンゾ[b]チオフェン−7−イル]メチル}2,4−チアゾリジンジオネートを製造するための請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項25】
化合物ヒドロキシ−(4−ヒドロキシ−ベンゾ[b]チオフェン−7−イル)アセテートおよびその1級、2級、または3級アミンとの塩。
【請求項26】
式(IX)
【化12】


の化合物を製造する方法であって、式(X)
【化13】


の化合物を臭素化した後、脂肪族アルコールの存在下でアミドRC(O)NHと縮合させて式(IX)の化合物を得ることを含む方法[式中、Rは請求項1または2で定義したとおりであり、そしてR10は低級アルキルである]。
【請求項27】
先に記載した発明。

【図1】
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【公表番号】特表2007−506671(P2007−506671A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516011(P2006−516011)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006676
【国際公開番号】WO2005/000844
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】