説明

インスリン様成長因子−1発現促進剤

【課題】優れたインスリン様成長因子−1(IGF−1)発現促進作用を有し、かつ、安全性の高いインスリン様成長因子−1発現促進剤及び/又はインスリン様成長因子−1の発現減少に起因する疾患の予防・治療剤を提供すること。
【解決手段】本発明のインスリン様成長因子−1発現促進剤及び/又はインスリン様成長因子−1の発現減少に起因する疾患の予防・治療剤は、イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、甘草、クマザサ、ジュウヤク、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、ダイダイ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を有効成分として含有せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物抽出物を有効成分として含有するインスリン様成長因子−1発現促進剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インスリン様成長因子−1(insulin−like growth factor−1;IGF−1)は、アミノ酸組成と生物学的作用がインスリンに似た70個のアミノ酸からなる一本鎖のポリペプチドで、3つのS−S結合を有する(非特許文献1参照)。IGF−1, IGF−2の2種類に分けられるが、両者ともその構造は類似している。IGFは生体内で中枢神経や筋を含む多くの組織で合成され、血漿中にも存在する。血中のIGFは90%以上が肝臓に由来し、その濃度は加齢とともに低下することが知られている。さらにIGFとその受容体の相互作用は、少なくとも6種類はあると考えられるIGF結合蛋白によって調節されている。IGFの組織分布は、神経系ではIGF−1 mRNAはヒトの中枢神経系の各部位に存在し、その量は胎児のほうが成人に比べて多い。IGF−1は、アポトーシスを抑制し、細胞の分化増殖作用を持つ重要な成長因子の1つで、骨密度上昇、筋肉細胞の増殖、蛋白同化、糖代謝改善、降圧、炎症抑制、認知機能改善、育毛、免疫機能活性化などの作用を示すことが知られている。また、特に皮膚のIGF−1は、皮膚中の線維芽細胞を活性化し、線維芽細胞の分化、増殖及び/又は機能を促進する。
【0003】
皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲン等の細胞外マトリックスにより構成されている。これら細胞外マトリックスであるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などは主に線維芽細胞から産生される。つまり、IGF−1によって活性化された線維芽細胞は増殖が活発であり、皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
【0004】
IGF−1は加齢により減少し、皮膚のツヤ・ハリ、柔軟性の低下、骨密度の減少、筋合成および筋分化能の低下、生理学的な加齢に伴う老化現象等の病状が引き起こされることが知られている。
【0005】
したがって、生体内細胞におけるIGF−1の発現を促進することにより、生体内のIGF−1濃度を上昇させることができれば、皮膚のツヤ・ハリ、柔軟性の回復、骨密度上昇、筋肉細胞の増殖、蛋白同化、糖代謝改善、降圧、炎症抑制、認知機能改善、育毛、免疫機能活性化に繋がり、生理学的な加齢に伴う老化現象等の病状の予防、治療又は改善が期待できると考えられる。
【0006】
このような考えに基づき、IGF−1分泌促進作用を有するものとして、カプサイシン(特許文献1参照)等が知られている。
【0007】
【特許文献1】特開2006−298944
【非特許文献1】グッドマン・ギルマン薬理書[下] 薬物治療の基礎と臨床−第10版−;第61章 インスリン、経口血糖降下薬と脾臓内分泌の薬理学 2003、p.2144 監訳:高折 修二、福田 英臣、赤池 昭紀 東京廣川書店発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、安全性の高い天然物の中からIGF−1発現促進作用を有するものを見出し、それを有効成分として含有するIGF−1発現促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1に、本発明のIGF−1発現促進剤は、イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ジュウヤク、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、ダイダイ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからなる群から群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
【0010】
第2に、本発明のIGF−1の発現低下に起因する疾患の予防・治療剤は、イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ジュウヤク、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、ダイダイ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからなる群から群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ジュウヤク、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、ダイダイ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからなる群からなる群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を有効成分として含有し、安全性に優れたIGF−1発現促進剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
(IGF−1発現促進剤)
本発明のIGF−1発現促進剤は、イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ジュウヤク、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、ダイダイ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからなる群からなる群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を有効成分として含有する。
【0013】
ここで本発明において「抽出物」には、イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ジュウヤク、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、ダイダイ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからなる群からなる群より選ばれる1種又は2種以上の天然物を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
【0014】
本発明において使用する抽出原料は、イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ジュウヤク、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、ダイダイ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカである。
【0015】
イチョウ(学名:Ginkgo biloba)は、北海道、本州、四国、九州等に自生するイチョウ科イチョウ属に属する落葉高木であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、花部、根部、樹皮部、枝部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部である。
【0016】
ペパーミント(学名:Mentha piperita)は、ヨーロッパ、アメリカ等に分布しておりこれらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、花部、葉部、枝部、樹皮部等の地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部である。
【0017】
カワラヨモギ(学名:Artemisia capillaris)は、北海道、本州、四国、九州等に分布するキク科ヨモギ属に属する多年草であり、これらの地域から容易に入手することができる。また、カワラヨモギは、生薬名をインチンコウといい、従来、黄疸の治療、強壮薬等として使用されている。
【0018】
スギナ(Equisetum arvense)は、北半球の暖帯以北に広く分布しているトクサ科に属する夏緑多年生シダ植物であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、種子部、花部等の地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは全草である。
【0019】
アシタバ(学名:Angelica keiskei)は、房総半島、伊豆半島、伊豆諸島等に自生しているセリ科シシウド属に属する多年草であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、茎部、花部、蕾部、果実部、果皮部、果核部等の地上部、又はこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部、茎部である。
【0020】
レモンバーム(学名:Melissa officinalis)は、シソ科コオウスイハッカ属に属する多年生草本であり、別名としてメリッサ、コウスイハッカ等と呼ばれている。メリッサは、地中海沿岸地方にて自生し又は栽培されている。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、幹部、地上部、花部、果実部、種子部、根部、全草又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは全草である。
【0021】
ローズマリー(学名:Rosmarinus officinalis)は、ヨーロッパ、日本等に分布しているシソ科マンネンロウ属に属する常緑低木であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、種子部、花部等の地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは地上部である。
【0022】
キハダ(学名:Phellodendron amurense)は、北海道、本州、四国、九州等に分布しているミカン科キハダ属に属する落葉高木であり、これらの地域から容易に入手する事ができる。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、茎部、樹皮部等、又はこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは樹皮部である。また、キハダの樹皮部は、生薬名をオウバクといい、従来、消炎性収斂剤として、下半身の炎症や充血、黄疸、下痢等の症状に使用されている。
【0023】
アスパラガス(学名:Asparagus officinalis)は、南ヨーロッパ、地中海沿岸等に自生するユリ科アスパラガス属に属する多年生草本であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、茎部、根部、花部、地上部、又はこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは地上部である。
【0024】
ゲンノショウコ(学名:Granium thunbergii)は、フウロソウ科に属する多年草であり、北海道南部から本州、四国、九州等に自生しており、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、枝部、茎部等の地上部、根部、花部、果実、又はこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは地上部である。
【0025】
オトギリソウ(学名:Hypericum erectum、Hypericum perforatum)は、オトギリソウ科に属する多年草であり、本州、四国、九州等に自生しており、これらの地域から容易に入手することが出来る。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、茎部、根部、花部、地上部、又はこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは地上部または全草である。
【0026】
カンゾウは、マメ科カンゾウ属に属し、古代より薬用又は甘味料の原料として利用されている有用植物である。抽出原料として使用するカンゾウの種類は特に限定されるものではなく、例えば、グリチリーザ グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチリーザ インフラータ(Glychyrrhiza inflata)、グリチリーザ ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)、グリチリーザ アスペラ(Glychyrrhiza aspera)、グリチリーザ パリディフロラ(Glychyrrhiza pallidiflora)等を抽出原料として使用することが出来るが、好ましくはグリチリーザ グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチリーザ インフラータ(Glychyrrhiza inflata)、グリチリーザ ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)である。また、抽出原料として使用し得るカンゾウの構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、種子部、花部等の地上部、根部、根茎部又はこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部及び枝部である。
【0027】
クマザサ(学名:Sasa vetchii)は、近畿地方、中国地方、九州地方等に自生しているイネ科ササ属に属する植物であり、これらの地域から容易に入手することが出来る。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、茎部、又はこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部である。
【0028】
ドクダミ(学名:Houttuynia cordata)は、日本の陰湿地に多く野生するドクダミ科ドクダミ属に属する多年生草本であり生薬名をジュウヤクといい、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るドクダミの構成部位としては例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、種子部、花部等の地上部、根茎部又はこれらの部位の混合物が挙げられるが、好ましくは地上部である。
【0029】
ホップ(学名:Humulus luplus)は、ヨーロッパ、北米等で広く栽培されているアサ科カラハナソウ属に属する多年草であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るホップの構成部位としては、例えば、葉部、根部、花部、茎部雌花穂部等が挙げられるが、好ましくは雌花穂部である。
【0030】
温州ミカン(学名:Citrus unshiu)は、日本の中部、南部の暖地に広く栽培されているみかん科の常緑低木であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、茎部、果実部、果皮部等、又はこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは果皮部である。また、温州ミカンの果皮部は、生薬名を陳皮(チンピ)といい、食欲不振、吐き気、しゃっくり、胆石の治療又は予防に使用される。
【0031】
ヨモギ(学名:Artemisia priceps)は、日本全土に分布しているキク科ヨモギ属に属する多年生草本であり、これらの地域から容易に入手することが出来る。ヨモギは、生薬名をガイヨウといい、従来、婦人科領域の止血、流産防止、寒証の腹痛の予防等に使用されている。
【0032】
月桃(学名:Alpinia speciosa)は、ショウガ科ハナミョウガ属に属する多年生常緑草本であり、九州南部からインドまで分布しており、これらの地域から容易に入手することができる。月桃は、沖縄ではサンニンと呼ばれ、琉球王朝以来の伝統菓子であるムーチーに利用されるほか、ハーブとしても利用されている。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、幹部、地上部、花部、果実部、種子部、根部、全草又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部である。
【0033】
トウキンセンカ(Calendula officinalis)はキク科に属する植物で有り、地中海沿岸に分布しており、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、茎部、花(蕾)部、種子部、果実部、果皮部、果核部、地上部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは花部である。
【0034】
センブリ(学名:Swertia japonica)は、日本全土に分布しているリンドウ科センブリ属に属する2年草であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るセンブリの構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、種子部、花部等の地上部、根部又は全草等が挙げられるが、好ましくは全草である。
【0035】
ビワ(学名:Eriobotrya japonica)は、バラ科ビワ属に属する常緑高木であり、中国南西部原産であり、長崎、千葉、鹿児島等で栽培されており、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、幹部、枝部、花部、果実部、種子部、根部又はこれらの部位の混合物が挙げられるが、好ましくは葉部である。
【0036】
ラベンダー(学名:Lavandula vera)は、ヨーロッパ西部、大西洋諸島に分布しているシソ科ラベンダー属に属する多年生小低木であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るラベンダーの構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、種子部、花部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは花部である。
【0037】
オウレン(学名:Coptis japonica)は、北海道,本州,四国の山地等に分布しているキンポウゲ科オウレン属に属する多年草の植物であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るオウレンの構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、種子部、花部等の地上部、根茎部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは根茎部である。
【0038】
コガネバナ(学名:Scutellaria baicalensis)は、中国北部から東北部、モンゴル等に分布しているシソ科タツナミソウ属に属する多年草であり、これらの地域から容易に入手することができる。また、コガネバナの根は、生薬名をオウゴンといい、従来、健胃薬、抗アレルギー剤等として使用されている。
【0039】
サルビア(学名:Salvia officinalis)は、北米・南米・アジア等に分布しているシソ科に属する植物であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るサルビアの構成部位としては、例えば、葉部、茎部、根部、花部、全草、又はこれらの混合物などが挙げられるが、好ましくは葉部である。
【0040】
オニイチゴ(学名:Rubus ellipticus、別名:ヒマラヤンラズベリー、イエローヒマラヤンラズベリー)は、ヒマラヤから東南アジア、中国東南部で自生し又は栽培されているバラ科キイチゴ属に属する常緑低木であり、これらの地域から容易に入手することができる。オニイチゴの新鮮な果実は香りがあり、食用にされている。抽出原料として使用し得るオニイチゴの構成部位としては、例えば、葉部、幹部、地上部、花部、果実部、種子部、根部、全草又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは根部である。
【0041】
冬虫夏草(学名:Cordyceps sinensis)は、子嚢菌類バッカクキン目バッカクキン科に属する菌類である。冬虫夏草とは、昆虫又はその幼虫に寄生してその体内に菌核を形成し、宿主である昆虫又はその幼虫の体表面に形成される子実体のことをいう。冬虫夏草としては、蝶蛾類鱗翅目及び鞘翅目のコウモリ蛾(学名:Hepialus armoricanus)の幼虫に寄生してその体内に菌核を形成し、宿主であるコウモリ蛾の幼虫の体表面に形成される子実体が知られているが、これに限定されるものではない。冬虫夏草は、チベットや中国等に生育しており、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る冬虫夏草の構成部位としては、子実体及びその複合体を使用することが好ましい。
【0042】
アマチャ(学名:Hydrangea serrata)は、日本原産のユキノシタ科に属する落葉低木で、日本国内で広く栽培されており、これらの地域から容易に入手することが出来る。抽出原料として使用し得るアマチャの構成部位としては、例えば、葉部、幹部、枝部、地上部、花部、根部、全草又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部及び枝部である。
【0043】
ダイダイ(Citrus aurantium)は、インド、中国原産の日本で広く栽培されているみかん科の常緑低木であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、茎部、果実部、果皮部等、又はこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは果皮部である。ダイダイの果皮部は生薬名を橙皮(トウヒ)という。
【0044】
エンメイソウ(別名:ヒキオコシ)は、北海道から四国、九州にかけて分布している多年草であるシソ科ヤマハッカ属に属するエンメイソウ(学名:Isodon japonica)の全草であり、これらの地域から容易に入手することができる。エンメイソウは、従来、苦味健胃剤、胃痙攣解消剤、消化不良解消剤等として使用されている。
【0045】
ウスベニアオイ(学名:Malva sylvestris)は、ヨーロッパ原産のアジアやアメリカ等に分布しているアオイ科アオイ属に属する多年生草本であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るウスベニアオイの構成部位としては、例えば、葉部、幹部、枝部、地上部、花部、根部、全草又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは花部である。
【0046】
アロエフェロックス(学名:Aloe ferox)は、アフリカ南部等に分布しているアロエ科アロエ属に属する多肉植物であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るアロエフェロックスの構成部位としては、例えば、葉部、根部、花部、種子部等が挙げられるが、好ましくは葉部である。
【0047】
マグワ(学名:Morus alba)は、中国等に分布している落葉高木であるクワ科クワ属に属する植物であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るウスベニアオイの構成部位としては、例えば、葉部、幹部、枝部、地上部、花部、根部、根皮部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは根皮部である。マグワの根皮部は生薬名をソウハクヒといい、従来、消炎、利尿、解熱、鎮痛薬等として使用されている。
【0048】
ワイルドタイム(学名:Thymus serpyllum)は、アフガニスタンから中国、ヒマラヤ及び日本等に分布しているシソ科イブキジャコウソウ属に属する多年生の植物であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るワイルドタイムの構成部位としては、例えば、葉部、枝部、幹部、茎部、果実部、種子部、花部等の地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは地上部である。
【0049】
ショウブ(学名:Acorus calamus)は、北海道から九州および東アジア、インドに分布しているサトイモ科に属する植物であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得るショウブの構成部位としては、例えば、葉部、茎部、花部、根部、根茎、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも根茎が好ましい。
【0050】
キンギンカ(学名:Lonicera japonica 別名:スイカズラ)は、日本全土、東アジア一帯等に自生しているスイカズラ科スイカズラ属に属する常緑つる性木本であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては、例えば、葉部、茎部、花部、蕾部、果実部、果皮部、果核部、地上部、全草、又はこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部、茎部、花部、つぼみ部である。
【0051】
上記植物からの抽出物に含有されるIGF−1発現促進作用を有する物質の詳細は不明であるが、植物の抽出に一般に用いられている抽出方法によって、上記植物からIGF−1発現促進作用を有する抽出物を得ることができる。
【0052】
例えば、上記植物を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより、IGF−1発現促進作用を有する抽出物を得ることができる。この際、抽出原料の乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、上記植物は、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0053】
抽出溶媒としては、極性溶媒を用いるのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用するのが好ましい。抽出溶媒として使用し得る水には、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0054】
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
【0055】
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90質量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40質量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して多価アルコール1〜90質量部を混合することが好ましい。
【0056】
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
【0057】
精製は、例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等により行うことができる。得られた抽出液はそのままでもIGF−1発現促進剤の有効成分として使用することができるが、濃縮物又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
【0058】
イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ドクダミ、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、オウゴン、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、トウヒ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからの各抽出物は、特有の匂いと味を有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、IGF−1発現促進剤に配合する場合には大量に使用するものでないから、未精製のままでも実用支障はない。なお、精製は具体的には、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0059】
以上のようにして得られるイチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ドクダミ、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、オウゴン、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、トウヒ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからの各抽出物は、IGF−1発現促進作用を有しているため、その作用を利用してIGF−1発現促進剤の有効成分として用いることができる。また、上記植物からの抽出物は、IGF−1発現促進作用を利用して、IGF−1の発現低下に起因する疾患の予防・治療剤の有効成分として用いることもできる。
【0060】
本発明のIGF−1発現促進剤は、イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ドクダミ、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、トウヒ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからの各抽出物のみからなるものであってもよいし、上記抽出物を製剤化したものであってもよい。
【0061】
イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ドクダミ、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、トウヒ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからの各抽出物は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化して提供することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯臭剤等を用いることができる。また、上記植物からの抽出物は、他の組成物に配合して使用できるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
【0062】
なお、本発明のIGF−1発現促進剤は、必要に応じてIGF−1発現促進作用を有する他の天然抽出物等を、上記植物からの抽出物とともに配合して有効成分として用いることができる。
【0063】
本発明のIGF−1発現促進剤の患者に対する投与方法としては、皮下組織内投与、筋肉内投与、静脈内投与、経口投与、経皮投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。また、本発明のIGF−1発現促進剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
【0064】
本発明のIGF−1発現促進剤は、イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ドクダミ、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、トウヒ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからの各抽出物が有するIGF−1発現促進作用を通じて、IGF−1の発現を促進することができ、これにより皮膚のツヤ・ハリ、柔軟性の回復、骨密度上昇、筋肉細胞の増殖、蛋白同化、糖代謝改善、降圧、炎症抑制、認知機能改善、育毛、免疫機能活性化に繋がり、生理学的な加齢に伴う老化現象等の病状の予防、治療又は改善することができる。ただし、本発明のIGF−1発現促進剤は、これらの用途以外にもIGF−1発現促進作用を発揮することに意義あるすべての用途に用いることができる。
【0065】
なお、本発明のIGF−1発現促進剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【実施例】
【0066】
以下、試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の試験例に何ら制限されるものではない。なお、本試験例においては、試料として表1に示す製品(全て丸善製薬社製)の凍結乾燥品を使用した(試料1〜36)。
【0067】
〔表1〕
試料 抽出原料 製品名
1 イチョウ葉 イチョウ葉抽出液
2 ペパーミント葉 ペパーミント抽出液
3 インチンコウ花 インチンコウ抽出液
4 スギナ全草 スギナ抽出液
5 アシタバ葉、茎 アシタバ抽出液
6 メリッサ全草 メリッサ抽出液
7 ローズマリー地上部 ローズマリー抽出液
8 キハダ樹皮 オウバク抽出液
9 アスパラガス地上部 アスパラガス抽出液
10 ゲンノショウコ地上部 ゲンノショウコ抽出液
11 オトギリソウ地上部 オトギリソウ抽出液
12 カンゾウ葉 甘草葉抽出液
13 クマザサ葉 クマザサ抽出液
14 ジュウヤク地上部 ジュウヤク抽出液
15 ホップ雌花穂部 ホップ抽出液
16 温州ミカン果皮 チンピ抽出液
17 ヨモギ葉 ガイヨウ抽出液
18 月桃葉 月桃葉抽出液
19 トウキンセンカ花 トウキンセンカ抽出液
20 センブリ全草 センブリ抽出液
21 ビワ葉 ビワ葉抽出液
22 ラベンダー花 ラベンダー抽出液
23 オウレン根茎 オウレン抽出液
24 コガネバナ根 オウゴン抽出液
25 サルビア葉 サルビア抽出液
26 オニイチゴ根 ヒマラヤンラズベリー抽出液
27 冬虫夏草子実体 冬虫夏草抽出液
28 アマチャ葉 アマチャ抽出液
29 ダイダイ果皮 トウヒ抽出液
30 エンメイソウ全草 エンメイソウ抽出液
31 ウスベニアオイ花 ウスベニアオイ抽出液
32 アロエフェロックス葉 アロエ抽出液
33 マグワ根皮 ソウハクヒ抽出液
34 ワイルドタイム地上部 ワイルドタイム抽出液
35 ショウブ根茎 ショウブ抽出液
36 キンギンカ蕾 キンギンカ抽出液
【0068】
〔試験例1〕IGF−1 mRNA発現促進作用試験
試料1〜36について、以下のようにしてIGF−1 mRNA発現促進作用を試験した。
(1)一本鎖DNAの調製
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を10%FBS含有α―MSH(GIBCO BLR社製品,pH7.2)により、60mm dishに播種し、37℃、5%CO-95%airの下にて24時間培養を行った。培養終了後、リン酸生理緩衝液1mLで洗浄し、無血清α−MEM 5mLに置き換え更に24時間培養した。その後無血清α−MEMで溶解した試料溶液を各シャーレに5mLずつ添加し、37℃、5%CO−95%airで24時間培養した。培養後、常法により総RNAを調製した。この総RNAを鋳型とし、IGF−1および内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置Smart Cycler (Cepheid社)を用いて、TaKaRa SYBR PrimeScript RT−PCR Kit(Perfect Real Time)(code No. RR063A)によるリアルタイム2 Step RT−PCR反応で行った。IGF−1のmRNAの発現量は、試料無添加および試料添加でそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求め、さらに試料無添加の補正値を100とした時の試料添加の補正値を算出した。
IGF−1 mRNA発現促進作用の計算方法は以下の通りである。
IGF−1 mRNA発現促進率(%)= A / B × 100
式中、Aは「試料添加時の補正値」を表し、Bは「試料無添加時の補正値」を表す。
【0069】
〔表2〕
試料 試料濃度 IGF−1 mRNA発現促進率(%)
1 5μg/mL 251.7
50μg/mL 784.7
2 5μg/mL 169.9
50μg/mL 603.9
3 5μg/mL 166.6
50μg/mL 553.1
4 5μg/mL 309.4
50μg/mL 520.6
5 5μg/mL 393.2
50μg/mL 489.0
6 50μg/mL 412.7
7 50μg/mL 380.3
8 5μg/mL 360.0
9 50μg/mL 315.4
10 50μg/mL 311.0
11 5μg/mL 293.9
50μg/mL 261.5
12 5μg/mL 284.3
13 50μg/mL 273.5
14 50μg/mL 257.5
15 50μg/mL 245.2
16 50μg/mL 243.4
50μg/mL 193.5
18 50μg/mL 228.1
19 50μg/mL 222.3
20 5μg/mL 171.8
50μg/mL 210.1
21 50μg/mL 209.0
22 50μg/mL 203.8
23 5μg/mL 198.3
24 5μg/mL 193.5
25 50μg/mL 191.9
26 5μg/mL 182.9
27 50μg/mL 174.2
28 5μg/mL 171.9
29 50μg/mL 171.1
30 50μg/mL 167.0
31 50μg/mL 162.1
32 5μg/mL 143.7
50μg/mL 161.9
33 50μg/mL 158.4
34 5μg/mL 147.2
50μg/mL 158.0
35 50μg/mL 151.7
36 50μg/mL 150.3
【0070】
表2に示すように、イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ジュウヤク、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、ダイダイ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカは、IGF−1 mRNAの発現を促進する作用を有することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のIGF−1発現促進剤は、皮膚のツヤ・ハリ、柔軟性の回復、骨密度上昇、筋肉細胞の増殖、蛋白同化、糖代謝改善、降圧、炎症抑制、認知機能改善、育毛、免疫機能活性化に繋がり、生理学的な加齢に伴う老化現象等の病状の予防、治療又は改善に有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ジュウヤク、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、ダイダイ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン様成長因子−1(IGF−1)発現促進剤。
【請求項2】
イチョウ、ペパーミント、カワラヨモギ、スギナ、アシタバ、メリッサ、ローズマリー、オウバク、アスパラガス、ゲンノショウコ、オトギリソウ、カンゾウ、クマザサ、ドクダミ、ホップ、温州ミカン、ヨモギ、月桃、トウキンセンカ、センブリ、ビワ、ラベンダー、オウレン、コガネバナ、サルビア、オニイチゴ、冬虫夏草、アマチャ、トウヒ、エンメイソウ、ウスベニアオイ、アロエフェロックス、クワ、ワイルドタイム、ショウブ及びキンギンカからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を有効成分として含有することを特徴とするインスリン様成長因子−1(IGF−1)の発現減少に起因する疾患の予防・治療剤。

【公開番号】特開2009−256270(P2009−256270A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109370(P2008−109370)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】