説明

インスリン様成長因子融合タンパク質

本開示は、インスリン様成長因子融合ポリペプチド、上述のポリペプチドをコードする核酸分子、ならびに上述のポリペプチドを使用する治療の方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン様成長因子融合ポリペプチドおよび二量体、上述のポリペプチドをコードする核酸分子、ならびに上述のポリペプチド/二量体を使用する治療の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IGF−1は、7.6kDの分子量を有する70個のアミノ酸のポリペプチドである。IGF−1は、細胞の中でも、骨成長をもたらす軟骨細胞の増殖を刺激する。IGF−1はまた、筋肉発生にも関係する。IGF−1は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)スーパーファミリーのメンバーと相互作用するタンパク質リガンドの例である。約98%のIGF−1は、6つの結合タンパク質(IGF−BP)の1つと結合する。IGF−BP3は、最も多く、IGF−1結合の80%を占める。IGF−1は2種の受容体;IGF−1受容体(IGFR)およびインスリン受容体(IR)に結合する。このうちの前者は、より大きな親和性で結合する。IGF1Rに加えて、RTKスーパーファミリーの他のメンバーは、インスリン受容体(IR)、上皮成長因子受容体(EGFR、ErbB1としても知られている)および関連ErbB受容体、血管内皮成長因子受容体(VEGF)、ならびに神経成長因子(NGFR)を含む。細胞外ドメインは、それぞれ、免疫グロブリン様、システインリッチ、EGF様を含む、多種多様の異なる構造のいくつかのサブドメインから成る。サイトカイン受容体ファミリーのように、活性化は、リガンド媒介性のオリゴマー化を通して、ほとんどの場合、おそらく二量体化によって起こると考えられる。
【0003】
他のホルモン系は、IGF−1シグナル伝達と相互作用し得る。たとえば、ソマトトロピンとしても知られているヒト成長ホルモンは、約190個のアミノ酸のタンパク質ホルモン/サイトカインであり、下垂体前葉の細胞によって合成され、分泌される。それは、成長および代謝を含む、いくつかの複雑な生物学的プロセスをコントロールするために機能する。成長ホルモンは、応答細胞によって発現される成長ホルモン受容体への結合を通しての直接的効果およびインスリン様成長因子(IGF−1)によって主として媒介される間接的効果を有し得る。そのため、成長ホルモンの主な役割は、IGF−1を産生するための肝臓の刺激となる。
【0004】
IGF−1産生の欠如またはIGF−1非感受性に起因する病理は、当技術分野において知られている。重篤な原発性IGF−1欠乏症の例は、ラロン型小人症である。罹患者は、成長ホルモン受容体を発現しないので、この疾患は、成長ホルモン療法に応答しない。重篤な原発性IGF−1欠乏症の他の形態は、成長ホルモン受容体突然変異およびIGF−1またはIGFRにおける突然変異を持つ罹患者を含む。さらに、組換えIGF−1は、多くの状態、たとえばI型およびII型糖尿病、筋萎縮性側索硬化症、重篤な熱傷、ならびに筋緊張性筋ジストロフィー症の治療において評価されてきた。IGF−1は、腫瘍の維持において役割を有することもまた知られており、そのため、IGF−1アンタゴニストは、癌の治療における治療価値を有するだろう。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、薬物動態(PK)および活性が改善されたIGF−1組換え形態の同定に関する。新しいIGF−1分子は、生物学的活性を有し、二量体を形成し、安定性が改善されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1a】LR5A1の核酸配列を示す図である。
【図1b】LR5A1のアミノ酸配列を示す図である。
【図2a】LR5B1の核酸配列を示す図である。
【図2b】LR5B1のアミノ酸配列を示す図である。
【図3a】LR5C1の核酸配列を示す図である。
【図3b】LR5C1のアミノ酸配列を示す図である。
【図4a】LR5D1の核酸配列を示す図である。
【図4b】LR5D1のアミノ酸配列を示す図である。
【図5a】LR5E1の核酸配列を示す図である。
【図5b】LR5E1のアミノ酸配列を示す図である。
【図6a】LR5F1の核酸配列を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリン様成長因子受容体の少なくとも1つの結合ドメインに直接または間接的に連結されるインスリン様成長因子ポリペプチドを含む、インスリン様成長因子の活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子。
【請求項2】
インスリン様成長因子ポリペプチド受容体ポリペプチドの少なくとも1つのインスリン様成長因子ポリペプチド結合ドメインに直接または間接的に連結されるインスリン様成長因子ポリペプチドのアミノ酸配列またはその活性部分を含む融合ポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチド結合ドメインは、ロイシンリッチアミノ酸モチーフを含む、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項4】
前記ロイシンリッチアミノ酸モチーフは、配列番号14のアミノ酸31〜179を含む、請求項3に記載の融合ポリペプチド。
【請求項5】
前記ロイシンリッチアミノ酸モチーフは、配列番号14のアミノ酸229〜487を含む、請求項2または3に記載の融合ポリペプチド。
【請求項6】
少なくとも1つのフィブロネクチンIII結合ドメインを含む、請求項3から5のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項7】
好ましくは、前記ドメインは、配列番号14のアミノ酸残基494〜606を含む、請求項6に記載の融合ポリペプチド。
【請求項8】
インスリン様成長因子ポリペプチドは、ロイシンリッチ結合ドメインに連結され、前記インスリン様成長因子ポリペプチドは、前記融合ポリペプチドにおいて前記ロイシンリッチドメインのアミノ末端側に位置する、請求項2から7のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項9】
インスリン様成長因子ポリペプチドは、ロイシンリッチ結合ドメインに連結され、前記インスリン様成長因子ポリペプチドは、前記融合ポリペプチドにおいて前記ロイシンリッチドメインのカルボキシル末端側に位置する、請求項2から7のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項10】
インスリン様成長因子ポリペプチドは、フィブロネクチンIII結合ドメインに連結され、前記インスリン様成長因子ポリペプチドは、前記融合ポリペプチドにおいて前記フィブロネクチンIII結合ドメインのアミノ末端側に位置する、請求項2から9のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項11】
インスリン様成長因子ポリペプチドは、フィブロネクチンIII結合ドメインに連結され、前記インスリン様成長因子ポリペプチドは、前記融合ポリペプチドにおいて前記フィブロネクチンIII結合ドメインのカルボキシル末端側に位置する、請求項2から9のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項12】
インスリン様成長因子ポリペプチドは、ペプチドリンカーによって、インスリン様成長因子受容体ポリペプチドの前記結合ドメインに連結される、請求項2から11のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項13】
前記ペプチド連結分子は、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの少なくとも1コピーを含む、請求項12に記載の融合ポリペプチド。
【請求項14】
前記ペプチド連結分子は、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの2、3、4、5、6、7、8、9または10コピーを含む、請求項13に記載の融合ポリペプチド。
【請求項15】
ペプチド連結分子を含まず、インスリン様成長因子ポリペプチドおよびインスリン様成長因子受容体ポリペプチドの前記結合ドメインの直接的な融合物である、請求項2から11のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項16】
i)配列番号1で表される核酸配列、
ii)配列番号3で表される核酸配列、
iii)配列番号5で表される核酸配列、
iv)配列番号7で表される核酸配列、
v)配列番号9で表される核酸配列、
vi)配列番号11で表される核酸配列、
から選択される核酸配列を含む核酸分子、または
配列番号1、3、5、7、9または11とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし、インスリン様成長因子調節活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子。
【請求項17】
アゴニスト活性を有するポリペプチドをコードする、請求項16に記載の核酸分子。
【請求項18】
アンタゴニスト活性を有するポリペプチドをコードする、請求項16に記載の核酸分子。
【請求項19】
配列番号1で表される核酸配列を含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項20】
配列番号3で表される核酸配列を含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項21】
配列番号5で表される核酸配列を含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項22】
配列番号7で表される核酸配列を含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項23】
配列番号9で表される核酸配列を含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項24】
配列番号11で表される核酸配列を含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項25】
請求項1または16から24のいずれか一項に記載の核酸によってコードされるポリペプチド。
【請求項26】
配列番号2、4、6、8、10、12、15、16、17、18、19または20から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むまたはそれから成るポリペプチド。
【請求項27】
2つのポリペプチドから成るホモ二量体であって、前記ポリペプチドはそれぞれ、
i)インスリン様成長因子またはその受容体結合ドメインを含む第1の部分と、ペプチド連結分子によってそれと任意選択で連結される
ii)インスリン様成長因子受容体の少なくとも1つのインスリン様成長因子結合ドメインまたはその部分を含む第2の部分と
を含むホモ二量体。
【請求項28】
前記ホモ二量体は、配列番号2、4、6、8、10、12、15、16、17、18、19または20を含む2つのポリペプチドを含む、請求項27に記載のホモ二量体。
【請求項29】
請求項1または16から24のいずれか一項に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項30】
請求項1、16から24または29のいずれか一項に記載の核酸分子またはベクターを用いて形質移入または形質転換される細胞。
【請求項31】
真核細胞である、請求項30に記載の細胞。
【請求項32】
原核細胞である、請求項30に記載の細胞。
【請求項33】
賦形剤または担体を含む、請求項2から15、25または26のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む医薬組成物。
【請求項34】
さらなる治療薬と組み合わせられる、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
重篤な原発性インスリン様成長因子欠乏症に関連する疾患または状態に罹患しているヒト対象を治療するための方法であって、請求項2から15、25、または26のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリペプチドの有効量を投与するステップを含む方法。
【請求項36】
前記重篤な原発性欠乏症は、ラロン型小人症である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記疾患は、成長ホルモン療法に応答しない疾患である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記疾患は、I型糖尿病である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記疾患は、II型糖尿病である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記疾患は、筋萎縮性側索硬化症である、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記疾患は、筋緊張性筋ジストロフィー症である、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記状態は、重篤な熱傷である、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
癌に罹患しているヒト対象を治療するための方法であって、請求項2から15、25、または26のいずれか一項に記載のポリペプチドアンタゴニストの有効量を投与するステップを含む方法。
【請求項44】
前記ポリペプチドは、静脈内に投与される、請求項35から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記ポリペプチドは、皮下に投与される、請求項35から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記ポリペプチドは、2日間隔で投与される、請求項35から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記ポリペプチドは、1週間隔で投与される、請求項35から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記ポリペプチドは、2週間隔で投与される、請求項35から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記ポリペプチドは、1か月間隔で投与される、請求項35から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
請求項2から15、25または26または27または28のいずれか一項に記載のポリペプチドまたは二量体に結合するモノクローナル抗体。
【請求項51】
ポリペプチドまたは二量体に結合するが、インスリン様成長因子またはインスリン様成長因子受容体にそれぞれ特異的に結合しない抗体である、請求項50に記載のモノクローナル抗体。
【請求項52】
本発明によるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を調製するための方法であって、
i)請求項2から15または25または26または27または28のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリペプチドまたは二量体を含む免疫原を用いて免疫応答性哺乳動物を免疫するステップ、
ii)免疫された免疫応答性哺乳動物のリンパ球を骨髄腫細胞と融合して、ハイブリドーマ細胞を形成するステップ、
iii)ステップ(ii)のハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体を、(i)のポリペプチドに対する結合活性についてスクリーニングするステップ、
iv)ハイブリドーマ細胞を培養して、前記モノクローナル抗体を量産および/または分泌するステップ、ならびに
v)培養上清からモノクローナル抗体を回収するステップを含む方法。
【請求項53】
前記免疫応答性哺乳動物は、マウスまたはラットである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
請求項52または53に記載の方法によって得られるまたは入手可能なハイブリドーマ細胞株。
【請求項55】
生体試料において、本発明によるポリペプチドを検出するための診断試験であって、
i)試験対象となる単離試料を提供するステップ、
ii)前記試料を、請求項2から15、25または26または27または28のいずれか一項に記載のポリペプチドまたは二量体に結合するリガンドと接触させるステップ、および
iii)前記試料において前記リガンドの結合を検出するステップを含む診断試験。
【請求項56】
前記リガンドは、抗体である、請求項55に記載の試験。
【請求項57】
前記抗体は、モノクローナル抗体である、請求項56に記載の試験。

【図1b】LR5F1のアミノ酸配列を示す図である。
【図7】ヒトIGF−1 Aのアミノ酸配列を示す図である。
【図8】ヒトIGF−1受容体のアミノ酸配列を示す図である。
【図9】PCRは、適した制限部位(プライマーR1〜4内に含有される)が側面に位置する、興味のある遺伝子から成るDNAを生成するために使用した。b)PCR産物は、リンカー領域の両側に、適したベクターの中にライゲーションした。c)構築物は、その後、適切なリンカーを導入するために修飾した。リンカーは、いかなる不要な配列(つまり非天然制限部位)も含有しなかった。
【図10】オリゴヌクレオチドは、特有のオーバーラップを有する部分的に二本鎖の領域を形成するように設計し、アニールし、処理した場合、リガンドおよび受容体にアニールするであろう隣接領域を有するリンカーをコードするであろう。b)PCRは、LR融合遺伝子を産生するために「メガプライマー」ならびに末端プライマー(R1およびR2)を使用して行った。R1およびR2プライマーは、標的ベクターの中へのライゲーションに有用な隣接制限部位を導入するように設計した。
【図11A】CHO細胞発現5A1のウェスタンブロットを示す図である。試料は、DTTの存在下において記載されるように調製した。レーン1:段階、レーン2:5A1(安定細胞株からの100×濃縮培地)、レーン3:5A1一時的形質移入(3:2のDNA:fugene6)、レーン4:5A1一時的形質移入(3:1のDNA:fugene6)、レーン5:5A1一時的形質移入(DNA+TransIT)、レーン6:−veコントロール(1B7stop安定細胞株からの100×濃縮培地)、レーン7:ポジティブコントロール、100ng rh−IGF−1。
【図11B】より長い曝露時間の5A1の再プローブしたウェスタンブロットを示す図である。レーン1:標準物、レーン2:5A1(安定細胞株からの100×濃縮培地)5A1は、75および40kDaの主な二重のバンドとして分離する。非グリコシル化MWは、約28.4kDaである。IGF−1コントロールタンパク質は、17kDaのMWを有する。
【図11C】非還元条件下で実行した5A1培地試料を示す図である。大多数の5A1は、250kDaマーカーを超えて流れ、分子が、ジスルフィド連結を介して結合している場合があることを示す。
【図12A】1%ウシ胎仔血清における成長3日後の、MG63細胞の酸性ホスファターゼ活性を刺激する際の組換えIGF−1の生物活性を示す図である。
【図12B】1%ウシ胎仔血清における成長4日後の、MG63細胞の酸性ホスファターゼ活性を刺激する際の組換えIGF−1の生物活性を示す図である。
【図12C】2mg/ml BSAにおける成長4日後の、MG63細胞の酸性ホスファターゼ活性を刺激する際の組換えIGF−1の生物活性を示す図である。
【図12D】1%ウシ胎仔血清における成長4日後の、NIH3T3細胞の酸性ホスファターゼ活性を刺激する際の組換えIGF−1の生物活性を示す図である。
【図13A】5A1を発現する細胞に由来し、階段希釈した培地との、5A1を発現しない細胞に由来するコントロール培地の比較および1%ウシ胎仔血清における成長3日後のMG63細胞の酸性ホスファターゼ活性に対するそれらの効果を示す図である。
【図13B】5A1を発現する細胞に由来し、階段希釈した培地との、5A1を発現しない細胞に由来するコントロール培地の比較および1%ウシ胎仔血清における成長4日後のMG63細胞の酸性ホスファターゼ活性に対するそれらの効果を示す図である。
【図13C】5A1を発現する細胞に由来し、階段希釈した培地との、5A1を発現しない細胞に由来するコントロール培地の比較および2mg/ml BSAにおける成長4日後のMG63細胞の酸性ホスファターゼ活性に対するそれらの効果を示す図である。
【図13D】5A1を発現する細胞に由来し、階段希釈した培地との、5A1を発現しない細胞に由来するコントロール培地の比較および1%ウシ胎仔血清における成長4日後のNIH3T3細胞の酸性ホスファターゼ活性に対するそれらの効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一態様によれば、インスリン様成長因子受容体の少なくとも1つの結合ドメインに直接または間接的に連結されるインスリン様成長因子ポリペプチドを含む、インスリン様成長因子の活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子が提供される。
本発明の一態様によれば、インスリン様成長因子ポリペプチド受容体ポリペプチドの少なくとも1つのインスリン様成長因子ポリペプチド結合ドメインに直接または間接的に連結されるインスリン様成長因子ポリペプチドのアミノ酸配列またはその活性部分を含む融合ポリペプチドが提供される。
本発明の好ましい実施形態において、上述のポリペプチド結合ドメインは、ロイシンリッチアミノ酸モチーフを含むまたはそれから成る。
本発明の好ましい実施形態において、上述のロイシンリッチアミノ酸モチーフは、配列番号14のアミノ酸31〜179を含むまたはそれから成る。
本発明の代替の好ましい実施形態において、上述のロイシンリッチアミノ酸モチーフは、配列番号14のアミノ酸229〜487を含むまたはそれから成る。
本発明のさらなる好ましい実施形態において、上述のポリペプチドは、少なくとも1つのフィブロネクチンIII結合ドメインを含み、好ましくは上述のドメインは、配列番号14のアミノ酸残基494〜606を含むまたはそれから成る。
本発明の好ましい実施形態において、インスリン様成長因子ポリペプチドは、ロイシンリッチ結合ドメインに連結され、上述のインスリン様成長因子ポリペプチドは、上述の融合ポリペプチドにおいて上述のロイシンリッチドメインのアミノ末端側に位置する。
本発明の代替の好ましい実施形態において、インスリン様成長因子ポリペプチドは、ロイシンリッチ結合ドメインに連結され、上述のインスリン様成長因子ポリペプチドは、上述の融合ポリペプチドにおいて上述のロイシンリッチドメインのカルボキシル末端側に位置する。
本発明の好ましい実施形態において、インスリン様成長因子ポリペプチドは、フィブロネクチンIII結合ドメインに連結され、上述のインスリン様成長因子ポリペプチドは、上述の融合ポリペプチドにおいて上述のフィブロネクチンIII結合ドメインのアミノ末端側に位置する。
本発明の代替の好ましい実施形態において、インスリン様成長因子ポリペプチドは、フィブロネクチンIII結合ドメインに連結され、上述のインスリン様成長因子ポリペプチドは、上述の融合ポリペプチドにおいて上述のフィブロネクチンIII結合ドメインのカルボキシル末端側に位置する。
本発明の好ましい実施形態において、インスリン様成長因子ポリペプチドは、ペプチドリンカー、好ましくは柔軟なペプチドリンカーによって、インスリン様成長因子受容体ポリペプチドのロイシンリッチドメインに連結される。
本発明の好ましい実施形態において、上述のペプチド連結分子は、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの少なくとも1コピーを含む。
本発明の好ましい実施形態において、上述のペプチド連結分子は、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの2、3、4、5、6、7、8、9または10コピーを含む。
本発明の代替の実施形態において、上述のポリペプチドは、ペプチド連結分子を含まず、インスリン様成長因子ポリペプチドおよびインスリン様成長因子受容体ポリペプチドのロイシンリッチ結合ドメインの直接的な融合物である。
本発明の一態様によれば、
i)配列番号1で表される核酸配列、
ii)配列番号3で表される核酸配列、
iii)配列番号5で表される核酸配列、
iv)配列番号7で表される核酸配列、
v)配列番号9で表される核酸配列、
vi)配列番号11で表される核酸配列、
から選択される核酸配列を含む核酸分子、または
配列番号1、3、5、7、9または11とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし、インスリン様成長因子調節活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子が提供される。
本発明の好ましい実施形態において、上述の核酸分子は、アゴニスト活性を有するポリペプチドをコードする。
本発明の好ましい実施形態において、上述の核酸分子は、アンタゴニスト活性を有するポリペプチドをコードする。
核酸分子のハイブリダイゼーションは、2つの相補的な核酸分子が、互いに、かなりの量の水素結合を起こす場合に起こる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、核酸を取り囲む環境条件、ハイブリダイゼーション方法の性質、ならびに使用される核酸分子の組成および長さによって変動し得る。特定の程度のストリンジェンシーを達成するのに必要とされるハイブリダイゼーション条件に関する計算は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、2001)およびTijssen、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes 第I部、第2章(Elsevier、New York、1993)において説明される。Tは、核酸分子の所与の鎖の50%が、その相補鎖にハイブリダイズする温度である。以下は、ハイブリダイゼーション条件の例示的なセットであり、限定的なものではない。
非常に高度なストリンジェンシー(少なくとも90%の同一性を共有する配列がハイブリダイズすることを可能にする)
ハイブリダイゼーション:16時間、65℃で5×SSC
2度洗浄:それぞれ15分間、室温(RT)で2×SSC
2度洗浄:それぞれ20分間、65℃で0.5×SSC
高度なストリンジェンシー(少なくとも80%の同一性を共有する配列がハイブリダイズすることを可能にする)
ハイブリダイゼーション:16〜20時間、65℃〜70℃で5×〜6×SSC
2度洗浄:それぞれ5〜20分間、RTで2×SSC
2度洗浄:それぞれ30分間、55℃〜70℃で1×SSC
低度なストリンジェンシー(少なくとも50%の同一性を共有する配列がハイブリダイズすることを可能にする)
ハイブリダイゼーション:16〜20時間、RT〜55℃で6×SSC
少なくとも2度洗浄:それぞれ20〜30分間、RT〜55℃で2×〜3×SSC。
本発明の好ましい実施形態において、上述の核酸分子は、配列番号1で表される核酸配列を含むまたはそれから成る。
本発明の好ましい実施形態において、上述の核酸分子は、配列番号3で表される核酸配列を含むまたはそれから成る。
本発明の好ましい実施形態において、上述の核酸分子は、配列番号5で表される核酸配列を含むまたはそれから成る。
本発明の好ましい実施形態において、上述の核酸分子は、配列番号7で表される核酸配列を含むまたはそれから成る。
本発明の好ましい実施形態において、上述の核酸分子は、配列番号9で表される核酸配列を含むまたはそれから成る。
本発明の好ましい実施形態において、上述の核酸分子は、配列番号11で表される核酸配列を含むまたはそれから成る。
本発明の一態様によれば、本発明による核酸によってコードされるポリペプチドが提供される。
本発明のさらなる態様によれば、配列番号2、4、6、8、10、12、15、16、17、18、19または20から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むまたはそれから成るポリペプチドが提供される。
本発明の一態様によれば、2つのポリペプチドから成るホモ二量体であって、上述のポリペプチドはそれぞれ、
i)インスリン様成長因子またはその受容体結合ドメインを含む第1の部分と、ペプチド連結分子によってそれと任意選択で連結される
ii)インスリン様成長因子受容体の少なくとも1つのインスリン様成長因子結合ドメインまたはその部分を含む第2の部分と
を含むホモ二量体が提供される。
本発明の好ましい実施形態において、上述のホモ二量体は、配列番号2、4、6、8、10、12、15、16、17、18、19または20を含むまたはそれから成る2つのポリペプチドを含む。
本発明のさらなる態様によれば、本発明による核酸分子を含むベクターが提供される。
本発明の好ましい実施形態において、上述のベクターは、本発明による核酸分子を発現するように適合された発現ベクターである。
本発明による(1つまたは複数の)核酸を含むベクターは、特に、ベクターが、安定した形質移入のための、ゲノムの中への組換えのために細胞の中に核酸を導入するために使用されることになっている場合、プロモーターまたは他の調節配列を含む必要はない。好ましくは、ベクターにおける核酸は、適切なプロモーターまたは宿主細胞における転写のための他の調節エレメントに作動可能に連結される。ベクターは、複数の宿主において機能する二機能性発現ベクターであってもよい。「プロモーター」によって、転写開始部位から上流の、転写に必要とされる調節領域をすべて含有するヌクレオチド配列が意味される。適したプロモーターは、真核細胞または原核細胞における発現のための構成的、組織特異的、誘発性、発生的、または他のプロモーターを含む。「作動可能に連結される」は、転写がプロモーターから開始されるように適切に位置し、配向する同じ核酸分子の一部としてつながれていることを意味する。プロモーターに作動可能に連結されるDNAは、プロモーターの「転写開始調節下に」ある。
好ましい実施形態において、プロモーターは、構成的、誘発性、または調節可能プロモーターである。
本発明のさらなる態様によれば、本発明による核酸分子またはベクターを用いて形質移入または形質転換される細胞が提供される。
好ましくは、上述の細胞は、真核細胞である。その代わりに、上述の細胞は、原核細胞である。
本発明の好ましい実施形態において、上述の細胞は、真菌細胞(たとえばピキア種、サッカロミセス種、アカパンカビ種)、昆虫細胞(たとえばスポドプテラ種)、哺乳動物細胞(たとえばCOS細胞、CHO細胞)、植物細胞から成る群から選択される。
本発明のさらなる態様によれば、賦形剤または担体を含む、本発明によるポリペプチドを含む医薬組成物が提供される。
本発明の好ましい実施形態において、上述の医薬組成物は、さらなる治療薬と組み合わせられる。
投与される場合、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容できる調製物で投与される。そのような調製物は、薬学的に許容できる濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、適合性の担体、および任意選択で他の治療薬を規定どおりに含有していてもよい。
本発明の医薬組成物は、注射を含む、任意の通常の経路によって投与することができる。投与および適用は、たとえば経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内、関節内、皮下、局所(目)、皮膚(たとえば皮膚または粘膜へのクリーム状の脂質可溶性挿入物)、経皮、鼻腔内であってもよい。
本発明の医薬組成物は、有効量で投与される。「有効量」は、単独でまたはさらなる薬もしくは共力性の薬剤と共に所望の応答をもたらす医薬品/組成物の量である。これは、一時的に疾患の進行を単に遅らせることを伴ってもよいが、より好ましくは、それは、持続的に疾患の進行を食い止めることを伴う。これは、ルーチン的な方法によってモニターすることができるまたは診断方法に従ってモニターすることができる。
対象に投与される医薬組成物の用量は、異なるパラメーターに従って、特に、使用される投与のモードおよび対象の状態(つまり年齢、性別)に従って選ぶことができる。投与される場合、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容できる量および薬学的に許容できる組成物で適用される。医薬で使用される場合、塩は、薬学的に許容できるはずであるが、薬学的に許容できない塩は、その薬学的に許容できる塩を調製するために好都合に使用されてもよく、本発明の範囲から除外されない。そのような薬理学的におよび薬学的に許容できる塩は、以下の酸から調製されるものを含むが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、およびその他同種のもの。さらに、薬学的に許容できる塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム塩などのようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類塩として調製することができる。
医薬組成物は、所望される場合、薬学的に許容できる担体と組み合わせられてもよい。本明細書において使用されるような用語「薬学的に許容できる担体」は、ヒトへの投与に適した1つまたは複数の適合性の固体または液体の増量剤、希釈剤、またはカプセル化する物質を意味する。用語「担体」は、適用を容易にするために有効成分が組み合わせられる天然または合成の有機または無機成分を示す。医薬組成物の構成成分はまた、所望の医薬品効力を実質的に損なうであろう相互作用がない方法で本発明の分子とおよび互いに混合することもできる。
医薬組成物は、塩中の酢酸、塩中のクエン酸、塩中のホウ酸、および塩中のリン酸を含む適した緩衝剤を含有していてもよい。
医薬組成物はまた、任意選択で、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベン、およびチメロサールなどのような適した防腐剤を含有していてもよい。
医薬組成物は、単位剤形で好都合に与えられてもよく、薬学の技術分野においてよく知られている方法のいずれかによって調製されてもよい。方法はすべて、活性作用物質を、1つまたは複数の補助成分を構成する担体と結合させるステップを含む。一般に、組成物は、活性化合物を、液体の担体、微粉化した固体の担体、またはその両方と均一におよび完全に結合させることならびにその後、必要であれば、産物を成形することによって調製される。
経口投与に適した組成物は、カプセル、錠剤、ロゼンジなどのように、別々の単位として与えられてもよく、それぞれが、所定の量の活性化合物を含有する。他の組成物は、シロップ剤、エリキシル剤、または乳剤などのような、水性の液体または非水系の液体中の懸濁剤を含む。
非経口投与に適した組成物は、好ましくは、レシピエントの血液と等張である滅菌した水性または非水系の調製物を好都合に含む。この調製物は、適した分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、知られている方法に従って製剤されてもよい。滅菌注射調製物はまた、たとえば1,3−ブタンジオール中の液剤のように、無毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶剤中の滅菌注射液剤または懸濁剤であってもよい。用いられてもよい許容できる溶剤の中には、水、リンガー溶液、および等張食塩水がある。さらに、滅菌した不揮発性油は、溶剤または懸濁化剤として慣習的に用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む任意の無刺激の不揮発性油が用いられてもよい。さらに、オレイン酸などのような脂肪酸は、注射剤の調製物において使用されてもよい。経口、皮下、静脈内、筋肉内などの投与に適した担体製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PAにおいて見つけることができる。
本発明のさらなる態様によれば、重篤な原発性インスリン様成長因子欠乏症に関連する疾患または状態に罹患しているヒト対象を治療するための方法であって、本発明による少なくとも1つのポリペプチドの有効量を投与するステップを含む方法が提供される。
本発明の好ましい方法において、上述の重篤な原発性欠乏症は、ラロン型小人症である。
本発明のさらなる好ましい方法において、上述の疾患は、成長ホルモン療法に応答しない疾患である。
本発明のさらなる好ましい方法において、上述の疾患は、I型糖尿病である。
本発明の代替の好ましい方法において、上述の疾患は、II型糖尿病である。
本発明のさらなる好ましい方法において、上述の疾患は、筋萎縮性側索硬化症である。
本発明のさらなる好ましい方法において、上述の疾患は、筋緊張性筋ジストロフィー症である。
本発明のさらなる好ましい方法において、上述の状態は、重篤な熱傷である。
本発明のさらなる態様によれば、癌に罹患しているヒト対象を治療するための方法であって、本発明によるポリペプチドアンタゴニストの有効量を投与するステップを含む方法が提供される。
本明細書において使用されるように、用語「癌」は、自律的増殖のための能力を有する細胞、つまり、異常な状態または急速に増殖する細胞の成長によって特徴づけられる状態を指す。用語は、組織病理学的タイプまたは侵襲性のステージに関係なく、すべてのタイプの癌成長もしくは発癌プロセス、転移組織、または悪性形質転換細胞、組織、もしくは器官を含むように意味される。用語「癌」は、たとえば、肺、乳房、甲状腺、リンパ、胃腸、および生殖泌尿器系に影響を与えるものなどのような、様々な器官系の悪性腫瘍ならびにほとんどの結腸癌、腎細胞癌、前立腺癌および/または精巣腫瘍、肺の非小細胞癌、小腸癌、ならびに食道癌などのような悪性腫瘍を含む腺癌を含む。用語「癌腫」は、当技術分野において認識されており、呼吸器系癌腫、胃腸系癌腫、泌尿生殖器系癌腫、精巣癌腫、乳房癌腫、前立腺癌腫、内分泌系癌腫、および黒色腫を含む、上皮組織または内分泌組織の悪性腫瘍を指す。例示的な癌腫は、頸部、肺、前立腺、乳房、頭頸部、結腸、および卵巣の組織から形成されるものを含む。用語「癌腫」はまた、癌肉腫をも含み、たとえば、これは、癌性および肉腫性組織から構成される悪性腫瘍を含む。「腺癌」は、腺組織に由来するまたは腫瘍細胞が認識可能な腺構造を形成する癌腫を指す。用語「肉腫」は、当技術分野において認識され、間葉由来の悪性腫瘍を指す。
本発明の好ましい方法において、上述のポリペプチドは、静脈内に投与される。
本発明の代替の好ましい方法において、上述のポリペプチドは、皮下に投与される。
本発明のさらなる好ましい方法において、上述のポリペプチドは、2日間隔で投与され、好ましくは、上述のポリペプチドは、1週、2週、または1か月間隔で投与される。
本発明のさらなる態様によれば、本発明によるポリペプチドまたは二量体に結合するモノクローナル抗体が提供される。
好ましくは、上述のモノクローナル抗体は、ポリペプチドまたは二量体に結合するが、インスリン様成長因子またはインスリン様成長因子受容体にそれぞれ特異的に結合しない抗体である。
モノクローナル抗体は、本発明のポリペプチドまたは本発明のポリペプチドを含む二量体のいずれかによって提示される立体構造抗原(conformational antigen)に結合する。
本発明のさらなる態様において、本発明によるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を調製するための方法であって、
i)本発明による少なくとも1つのポリペプチドまたはその断片を含む免疫原を用いて免疫応答性哺乳動物を免疫するステップ、ii)免疫された免疫応答性哺乳動物のリンパ球を骨髄腫細胞と融合して、ハイブリドーマ細胞を形成するステップ、
iii)ステップ(ii)のハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体を、(i)のポリペプチドに対する結合活性についてスクリーニングするステップ、
iv)ハイブリドーマ細胞を培養して、上述のモノクローナル抗体を量産および/または分泌するステップ、ならびに
v)培養上清からモノクローナル抗体を回収するステップを含む方法が提供される。
好ましくは、上述の免疫応答性哺乳動物は、マウスである。その代わりに、上述の免疫応答性哺乳動物は、ラットである。
ハイブリドーマ細胞を使用するモノクローナル抗体の産生は、当技術分野においてよく知られている。モノクローナル抗体を産生するために使用される方法は、Nature 256、495〜497ページ(1975)におけるKohlerおよびMilsteinならびにDonillardおよびHoffman、Compendium of Immunology V.II、Schwartz編、1981における「Basic Facts about Hybridomas」によって開示され、これらは、参照によって組み込まれる。
本発明のさらなる態様によれば、本発明による方法によって得られるまたは入手可能なハイブリドーマ細胞株が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、生体試料において、本発明によるポリペプチドを検出するための診断試験であって、
i)試験対象となる単離試料を提供するステップ、
ii)上述の試料を、本発明によるポリペプチドまたは二量体に結合するリガンドと接触させるステップ、および
iii)上述の試料において上述のリガンドの結合を検出するステップを含む診断試験が提供される。
本発明の好ましい実施形態において、上述のリガンドは、抗体、好ましくはモノクローナル抗体である。
本明細書の説明および請求項の全体にわたって、その用語「〜を含む(comprise)」および「〜を含有する(contain)」および用語の変化形、たとえば「〜を含む(comprising)」および「〜を含む(comprises)」は、「〜を含むが、これらに限定されない」を意味し、他の部分、添加剤、構成成分、整数、またはステップを除外することを意図しない(および除外しない)。
本明細書の説明および請求項の全体にわたって、文脈上、他の意味に解すべき場合を除き、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、明細書は、文脈上、他の意味に解すべき場合を除き、複数および単数を企図するものとして理解されたい。
本発明の特定の態様、実施形態、または実施例に関連して記載される特色、整数、特徴、化合物、化学的部分、または化学基は、矛盾しない限り、本明細書において記載される他の態様、実施形態、または実施例に適用可能であることが理解されたい。
本発明の実施形態は、ここで、単なる例示として、以下の図に関連して記載することとする。
表1は、タンパク質名称の概要を示す表である。
材料および方法
インビトロ試験
IGF−1の活性を検出し、評価するためのインビトロ試験は、当技術分野において知られている。たとえば、Pietrzkowskiら(Molecular and Cellular Biology(1992)第12巻、9号 3883〜3889ページ)は、BALB 3T3細胞におけるIGF−1受容体の発現およびIGF−1への曝露が、細胞増殖の刺激およびIGF−1受容体の自己リン酸化をもたらすことを記載している。アンタゴニストモノクローナル抗体を使用する、IGF−1によるIGF−1受容体活性化のブロッキングを記載するFlierら(PNAS(1986)83:664〜668ページ)もまた参照されたい。
インビボ試験
IGF−1の様々な動物モデルは、IGF−1の活性を試験するために入手可能である。たとえば、Lemboら(J.Clinical Investigation(1999)98、2648〜2655ページ)は、野生型IGF−1レベルが30%低下しているが、成年期まで生存することができた、突然変異対立遺伝子を持つ突然変異IGF−1マウスを記載している。Liuら(Cell(1993)75:59〜72ページ)およびPowell−Braxtonら(Genes and Development(1993)7:2609〜2617ページ)は、重篤な胚および出生後の成長異常を示すホモ接合性マウスを記載している。
免疫試験
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体へのIGF−1の結合を測定するイムノアッセイは、当技術分野において知られている。市販で入手可能なIGF−1抗体は、試料におけるIGF−1を検出するためにおよびまた競合的阻害研究における使用のためにも入手可能である。たとえばhttp://www.abcam.com/index.html、Abcam PLCを参照されたい。
融合タンパク質の組換え産生
融合タンパク質の構成成分は、リガンドまたは受容体にアニールし、標的ベクターの中にクローニングするための適した制限部位を導入するように設計したプライマーを使用して、PCRによって生成した(図9a)。PCRのための鋳型は、標的遺伝子を含み、IMAGEクローン、cDNAライブラリー、または特注合成遺伝子から得た。適切な隣接制限部位を有するリガンドおよび受容体の遺伝子を合成したら、これらは、その後、標的ベクターにおけるリンカー領域の両側にライゲーションした(図9b)。構築物は、その後、リンカー領域の両側の2つの特有の制限部位の間への特注合成長のDNAの挿入によって、ssDNA修飾技術によるリンカー領域の変更によって、適した制限部位の間へのプライマーデュプレックス/マルチプレックスの挿入によって、またはPCR修飾によって、隣接制限部位を有していない適切なリンカーを含有するように修飾した(図9c)。
その代わりに、最適なリガンドまたは受容体のドメインにアニールするように設計した隣接配列を有するリンカーを、オリゴヌクレオチドデュプレックスを作製することによって、最初に合成し、これを、二本鎖のDNAを生成するように処理した(図10a)。その後、「メガプライマー」としてのリンカー配列、「メガプライマー」がアニールするリガンドおよび受容体の反対側の末端に対して設計したプライマーを使用し、鋳型としてのリガンドおよび受容体を用いてPCRを行った。末端プライマーは、最適な発現ベクターへのライゲーションに適した制限部位を用いて設計した(図10b)。
融合タンパク質の発現および精製
発現は、適した系(たとえば哺乳動物CHO細胞および大腸菌)において実行し、これは、LR融合遺伝子を生成したベクターに依存した。発現は、その後、1つまたは複数のSDS−PAGE、未変性PAGE、ウェスタンブロッティング、ELISAを含むことができる多種多様の方法を使用して分析した。
適したレベルの発現が達成されたら、LR融合物は、精製および後の分析のための十分なタンパク質を産生するためにより大規模で発現させた。精製は、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム沈殿、ゲル濾過、サイズ排除、および/またはアフィニティークロマトグラフィーなどのような1つまたは複数のクロマトグラフィー手順の適した組合せを使用して実行した(ニッケル/コバルト樹脂、抗体固定化樹脂、および/またはリガンド/受容体固定化樹脂を使用)。精製タンパク質は、1つまたは複数のブラッドフォードアッセイ、SDS−PAGE、未変性PAGE、ウェスタンブロッティング、ELISAを含むことができる、多種多様の方法を使用して分析した。
LR融合物の特徴づけ
変性PAGE、未変性PAGEゲル、およびウェスタンブロッティングは、融合ポリペプチドを分析するために使用し、ウェスタンブロッティングは、LR融合物に対して非立体構造感受性の抗体を用いて行った。未変性溶液状態の分子量情報は、SuperoseG200分析カラムを使用するサイズ排除クロマトグラフィーおよび分析超遠心法などのような技術から得ることができる。
統計
2つのグループは、それらの分散が正常に分布した場合、スチューデント検定を用いてまたは正常に分布しなかった場合、スチューデント−サタースウェイト検定(Student−Satterthwaite’s test)によって比較した。分布は、F検定を用いて試験した。一元配置ANOVAは、3つ以上のグループの平均値を比較するために使用し、有意水準がp<0.05であった場合、個々の比較はダネット検定を用いて行った。統計的検定はすべて、5%の有意水準で両側とし、欠測値に対するインピュテーションは行わなかった。
キメラクローンの構築
クローンはすべて、哺乳動物発現プラスミドpSecTag−linkの中に、制限酵素Nhe1/HindIIIを使用してライゲーションした。クローンは、細胞培地への効率的な分泌のためにヒトIGF−1の分泌シグナルに付着させた。5A1の全遺伝子は、遺伝子合成を使用してクローニングし、哺乳動物発現ベクターpSecTag−linkの中にクローニングして、pIGFsecTag−5A1を形成した。
哺乳動物安定発現
哺乳動物発現系は、InvitrogenベクターpSecTag−V5/FRT−Histの改良を使用して確立した。
InvitrogenのFlp−In系
この系は、高度な発現のための、宿主ゲノム内の特異的な部位への安定したクローンの迅速な生成を可能にする。これは、分泌または細胞質発現タンパク質で使用することができる。Flp−In宿主細胞株(flp−In CHO)は、転写活性ゲノム座に位置する単一のFlpリコンビナーゼ標的(FRT)部位を有する。安定細胞株は、Flp−In細胞株の中へのベクター(FRT標的部位を含有)およびpOG44(flpリコンビナーゼを一時的に発現するプラスミド)の同時形質移入によって生成する。選択はハイグロマイシンBを用いる。DNAの統合が指示されるので、クローン選択の必要はない。Flp−In細胞株の培養:基本的な細胞培養技術を使用するメーカーの指示に従う。
Fugene−6を使用するCHO Flp−In細胞の安定した形質移入
形質移入の前日、CHO Flp−In細胞を、10%(v/v)ウシ胎仔血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、および4mM L−グルタミンを含有する10mlのHamsF12培地の全容量で100mmペトリ皿当たり6×10E5で接種した。翌日、1.5mlポリプロピレンチューブに570μlの無血清培地(抗生物質を含有せず)を追加した。その後、30μlのfugene−6を追加し、緩やかな回転によって混合した。プラスミドの別個の混合物は、興味のある2μgプラスミドを18μg pOG44(プラスミドは、宿主ゲノムの中へのプラスミドの適切な統合に必要なリコンビナーゼ酵素を含有する)と組み合わせるそれぞれの形質移入のために準備した。コントロールプレートにはプラスミドを加えなかった。これは、緩やかな回転によってfugene−6と混合し、15分間、室温に置き、その後、F12培地+10%FC中にCHO Flp−In細胞を含有するそれぞれのペトリ皿の表面に液滴をかけた。プレートは、十分な混合を確実にするために穏やかに回転させ、37℃/5%CO2で24時間置いた。翌日、培地は、600ug/mlのハイグロマイシンBを含有する選択培地と交換した。細胞は、60%以下の培養密度にルーチン的に保った。コントロールプレート細胞(非形質移入細胞)が死滅する(つまり非ハイグロマイシン抵抗性)まで、細胞は、600ug/mlハイグロマイシンBの存在下に置いておいて、成長させた。
安定CHO細胞株からの発現の試験
興味のあるタンパク質を発現するコンフルエントなCHO Flp−In細胞株を、無血清培地において約3〜4日間、75cm2フラスコにおいて成長させ、この時点で、試料を採取し、アセトン沈殿を使用して濃縮した。試料を、25mM DTTの存在下または非存在下において等容量のlaemmliローディングバッファーと混合し、5分間、沸騰させた。試料は、SDS−PAGEによって分析し、PVDF膜に転写した。PBS−0.05%(v/v)Tween20中の5%(w/v)牛乳タンパク質中でブロックした後に、試料検出は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)抱合二次抗体と共に特異的抗IGF−1抗体を使用して実行した。視覚化は、HRP検出キットを使用する、写真用フィルム上での化学発光によるものとした。
一時的な形質移入からの発現の試験
CHO Flp−In細胞は、2ml培地(DMEM、F12、10%FCS+P/S+L−グルタミン+Zeocin)の全容量において6枚のウェルプレートのウェル当たり0.25×10E6細胞で接種した。細胞は、o/nで成長させた。その後、細胞は、表1に示す、指定した試薬比率でTransIT−CHO試薬(Mirus)またはfugene−6のいずれかを使用して形質移入した。コントロール形質移入は、1B7stop(GH含有キメラ分子)を使用して準備した。手短に言えば、TransIT試薬を使用する場合、200ulの無血清培地(OPTI MEM)を形質移入当たり1.5mlエッペンドルフに追加し、その後、2ug DNAを追加した。チューブは、室温で15分間、置いた。その後、1ulのCHO Mojo試薬を添加し、混合し、さらに15分間、置いた。培地を無血清に交換し、形質移入混合物は、適切なウェルの表面上に液滴でピペットで移した。手短に言えば、Fugene−6試薬を使用する場合、94ulの無血清培地(OPTI MEM)を形質移入当たり1.5mlエッペンドルフに追加し、その後、2ug DNAを追加した。チューブは、室温で15分間、置いた。形質移入混合物は、その後、無血清培地を含有する適切なウェルの表面上に液滴でピペットで移した。プレートはすべて、2〜3日間、37℃/5%CO2で置いた。
IGF−1生物活性アッセイ
アッセイ培地
MG63細胞:10%FCS、Pen/Strep、5mM L−グルタミン、非必須アミノ酸(NEAA)を補足したEMEM=完全EMEM NIH 3T3細胞:DMEM+グルタマックス(4.5g/L グルコース]+10%FCS、Pen/Strep、2mMピルビン酸ナトリウム、5mM L−グルタミン=完全DMEM。
MG63細胞:2mg/ml BSAまたは1%FCS、5mM L−グルタミン、Pen/Strep、NEAAを補足したEMEM[Gibco]。NIH 3T3細胞:DMEM+グルタマックス[Gibco;カタログ#61956、ロット#357700]+1%FCS(または2mg/ml BSA)、5mM L−グルタミン[Gibco]、Pen/Strep[Gibco]、2mMピルビン酸ナトリウム[Gibco]。
アッセイ方法
1.アッセイについて;細胞をTE処理し、数える。1%FCS(または2mg/ml BSA)を補足したDMEMにおいて50ul中、約5×10E3細胞(1ml当たり1×10E5細胞)に密度を調節する。96ウェルプレート上で平板培養する。
2.DMEM(1%FCSまたは2mg/ml BSAを有する)において一連のIGF−1希釈溶液を調製し、50ulのそれぞれの希釈溶液(0〜100ng/ウェル)を追加して、細胞を含有するウェルを分ける。培地試料について同じことを行う。
3.37℃/5%CO2で3および4日間、IGF−1または試験試料の存在下において細胞を成長させる。
4.アッセイするために、ウェルから培地を取り出し、200ul PBSバッファーを用いて一度、それぞれのウェルをすすぐ。
5.アッセイバッファー中でpNPPを使用する、アルカリホスファターゼのアッセイ:ウェル当たり100ulを追加する。
6.2時間、37℃でインキュベートする。
7.それぞれのウェルに10ulの1M NaOHを追加して、反応を停止させる。
8.5〜20分間、室温でプレートをインキュベートして、発色させる。
9.マイクロプレートリーダーにおいてそれぞれのウェルのA405nmを記録する。
コントロール
1.アッセイ培地および基質(生物活性因子なし):基質の非酵素的加水分解の量を決定する。これらの値をそれぞれの実験値から引く。
2.細胞のみおよび基質(生物活性因子なし):これは、細胞が、因子の非存在下においてどれくらい成長したかを表す。
実施例
細胞株MG63およびNIH 3T3がIGF−1またはキメラ(5A1)の存在下において増殖する能力を試験した。試験は、基質p−ニトロフェニルリン酸を使用する、内在性酸性ホスファターゼ活性のアッセイに基づく。MG63細胞(ヒト骨肉腫細胞株:カタログ#86051601、ロット#05F008、ECACC)NIH3T3細胞;マウス線維芽細胞株[Simon Smith、ARCBioserv、Sheffield Universityから得た:バイアル上の日付、1993年6月24日]。MG63およびNIH 3T3細胞の両方は、組換えIGF−1の存在に十分に応答し、好適な用量応答曲線が得られる。図12A、12B、12C、および12Dを参照されたい。これらのデータは、5A1培地の存在下において、細胞が増殖して、より低度な希釈溶液で軽度の用量応答をもたらすことを示す。5A1培地試料は、一貫して、コントロール培地よりも高度な程度の増殖をもたらす。図13A、13B、13C、または13Dを参照されたい。
【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A)】
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【図10B)】
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【図11A−11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【公表番号】特表2010−535490(P2010−535490A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519517(P2010−519517)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002655
【国際公開番号】WO2009/019465
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(502452978)アステリオン・リミテッド (13)
【Fターム(参考)】