説明

インスリン様成長因子I受容体に対する抗体

【課題】インスリン様成長因子I受容体(IGF-IR)、好ましくはヒトIGF-IRに特異的に結合する抗体、およびその抗原結合部分の提供。
【解決手段】キメラ抗体、二重特異性抗体、誘導体化抗体、一本鎖抗体、または融合タンパク質の部分を含む、ヒト抗IGF-IR抗体。抗IGF-IR抗体およびこのような分子をコードする核酸分子に由来する、単離された重鎖および軽鎖免疫グロブリン分子。抗IGF-IR抗体の作製、これらの抗体を含む薬学的組成物、ならびに抗体およびその組成物を診断および治療のために用いる。ヒト抗IGF-IR抗体を含む重鎖および/または軽鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子を用いる、遺伝子治療。該核酸を発現する非ヒトトランスジェニック動物。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリン様成長因子I受容体(IGF-IR)に特異的に結合する、ヒト化されたキメラ性の、またはヒトのモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項2】
IGF-IRがヒトのものである、請求項1記載の抗体またはその部分。
【請求項3】
以下からなる群より選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項1または2のいずれか一項記載の抗体またはその抗原結合部分:
a)マウス、ラット、イヌまたはウサギのIGF-IRに結合しない;
b)カニクイザルまたはアカゲザルのIGF-IRに結合するが、マーモセットIGF-IRには結合しない;
c)IGF-IまたはIGF-IIのIGF-IRへの結合を阻害する;
d)インスリン受容体に対する選択性よりも少なくとも50倍高い、IGF-IRに対する選択性を有する;
e)インビボで腫瘍成長を阻害する;
f)IGF-IRを発現している細胞と共にインキュベートすると、細胞表面からのIGF-IRの消失を引き起こす;
g)IGF-IR誘導性チロシンリン酸化を阻害する;
h)8×10-9Mまたはそれ未満のKdでIGF-IRに結合する;および
i)Koffが10-4またはそれ未満であるIGF-IRに対する解離速度を有する。
【請求項4】
特性のすべてを有する、請求項3記載の抗体またはその抗原結合部分。
【請求項5】
以下からなる群より選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項1または2のいずれか一項記載の抗体またはその抗原結合部分:
a)IGF-IRへの結合に関して、2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体と交差競合する;
b)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体と同じ、IGF-IRのエピトープに結合する;
c)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体が結合するのと同じ抗原に結合する;
d)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体と実質的に同じKdで、IGF-IRに結合する;ならびに
e)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体と実質的に同じ解離速度で、IGF-IRに結合する。
【請求項6】
特性のすべてを含む、請求項5記載の抗体またはその抗原結合部分。
【請求項7】
IGF-IRとIGF-IまたはIGF-IIとの結合を、100nM未満のIC50で阻害する、請求項1〜6のいずれか一項記載の抗体またはその抗原結合部分。
【請求項8】
抗体またはその抗原結合部分がκ軽鎖の可変領域を含み、該κ軽鎖の該可変領域の配列が、生殖系列VκA30、A27またはO12遺伝子によってコードされるアミノ酸配列からの10個以下のアミノ酸変化を含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の抗体またはその抗原結合部分。
【請求項9】
κ軽鎖の可変領域が、配列番号:2、配列番号:6、配列番号:10、配列番号:14、配列番号:18および配列番号:22のアミノ酸配列、またはそれらからの1〜10個のアミノ酸の挿入、欠失もしくは置換を有するアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項8記載の抗体またはその抗原結合部分。
【請求項10】
抗体またはその抗原結合部分が重鎖の可変領域を含み、該可変領域の配列が、生殖系列VH DP47、DP35、DP71またはVIV-4遺伝子によってコードされるアミノ酸配列からの8個以下のアミノ酸変化を含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の抗体またはその抗原結合部分。
【請求項11】
重鎖の可変領域が、配列番号:4、配列番号:8、配列番号:12、配列番号:16、配列番号:20および配列番号:24のアミノ酸配列、またはそれらからの1〜10個のアミノ酸の挿入、欠失もしくは置換を有するアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項10記載の抗体またはその抗原結合部分。
【請求項12】
a)免疫グロブリンG(IgG)、IgM、IgE、IgAもしくはIgD分子であるか、またはそれらに由来する;または
b)Fab断片、F(ab')2断片、Fv断片、一本鎖抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体もしくは二重特異性抗体である、
請求項1〜11のいずれか一項記載の抗体またはその抗原結合部分。
【請求項13】
抗体またはその抗原結合部分が可変領域由来の少なくとも1つのCDR領域のアミノ酸配列を含み、該可変領域が以下からなる群より選択される、請求項1〜12のいずれか一項記載の抗体またはその抗原結合部分:
a)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体の軽鎖の可変領域;
b)配列番号:2、配列番号:6、配列番号:10、配列番号:14、配列番号:18および配列番号:22、またはそれらからの1〜10個のアミノ酸の挿入、欠失もしくは置換を有するアミノ酸配列から選択される、アミノ酸配列を含む軽鎖の可変領域;
c)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体の重鎖の可変領域;ならびに
d)配列番号:4、配列番号:8、配列番号:12、配列番号:16、配列番号:20および配列番号:24、またはそれらからの1〜10個のアミノ酸の挿入、欠失もしくは置換を有するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖の可変領域。
【請求項14】
抗体またはその抗原結合部分が可変領域のCDR領域のアミノ酸配列のすべてを含み、該可変領域が以下からなる群より選択される、請求項13記載の抗体またはその抗原結合部分:
a)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される、抗体の軽鎖の可変領域;
b)配列番号:2、配列番号:6、配列番号:10、配列番号:14、配列番号:18および配列番号:22、またはそれらからの1〜10個のアミノ酸の挿入、欠失もしくは置換を有するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖の可変領域;
c)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体の重鎖の可変領域;
d)配列番号:4、配列番号:8、配列番号:12、配列番号:16、配列番号:20および配列番号:24、またはそれらからの1〜10個のアミノ酸の挿入、欠失もしくは置換を有するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖の可変領域;ならびに
e)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体の、重鎖および軽鎖の可変領域。
【請求項15】
2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される、請求項1記載の抗体。
【請求項16】
抗体が重鎖および軽鎖を含み、軽鎖および重鎖のアミノ酸配列が以下からなる群より選択される、請求項1記載の抗体:
a)2.12.1の重鎖のアミノ酸配列および軽鎖のアミノ酸配列;
b)2.13.2の重鎖のアミノ酸配列および軽鎖のアミノ酸配列;;
c)配列番号:45のアミノ酸配列および配列番号:47のアミノ酸配列;ならびに
d)配列番号:49のアミノ酸配列および配列番号:51のアミノ酸配列。
【請求項17】
抗体2.12.1もしくは2.13.2のCDR、または5個以下の保存的アミノ酸変化を有する抗体のCDRの、アミノ酸配列を含むアミノ酸配列を有する、請求項1記載の抗体。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項記載の抗体またはその部分、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項19】
抗悪性腫瘍薬、化学療法薬または抗腫瘍薬をさらに含む、請求項18記載の薬学的組成物。
【請求項20】
IGF-IRに結合する抗体を作製するための工程であって、
a)動物のB細胞においてヒト抗体を発現しうる哺乳類である、非ヒト哺乳類を、IGF-IRを含む免疫原により免疫処置を行う段階;
b)哺乳類からB細胞を単離する段階;
c)IGF-IRに結合する抗体を産生する細胞系を同定するために、該B細胞またはそれに由来する細胞系をスクリーニングする段階;
d)IGF-IRに結合する抗体を発現する細胞系を培養する段階;および
e)IGF-IRに結合する抗体を細胞系から単離する段階
を含む工程。
【請求項21】
請求項1〜17のいずれか一項記載の抗体を産生する、単離された細胞系。
【請求項22】
2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体を産生するか、または抗体がそれらと同じアミノ酸配列を有する、請求項20記載の細胞系。
【請求項23】
それを必要とする対象におけるIGF-IR発現性腫瘍の存在または位置を診断する方法であって、
a)請求項1〜17のいずれか一項記載の抗体を対象に注入する段階、
b)抗体が結合した位置を突き止めることにより、対象におけるIGF-IRの発現を判定する段階、
c)パート(b)における発現を、正常な基準対象または標準のものと比較する段階、および
d)腫瘍の存在または位置を診断する段階
を含む方法。
【請求項24】
IGF-IRに特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分によってヒトにおける癌を治療する方法であって、該癌を治療するのに有効な量の抗体をヒトに投与する段階を含む方法。
【請求項25】
請求項1〜17のいずれか一項記載の抗体またはその抗原結合部分によって、それを必要とする罹患生物を治療する方法であって、抗体の有効量を罹患生物に投与する段階を含む方法。
【請求項26】
抗悪性腫瘍薬、抗腫瘍薬、抗脈管形成薬または化学療法薬を投与する段階をさらに含む、請求項24または25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜17のいずれか一項記載の抗体の重鎖もしくはその抗原結合部分、または軽鎖もしくはその抗原結合部分をコードする核酸配列を含む、単離された核酸分子。
【請求項28】
a)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体の重鎖由来の、少なくとも1つのCDR領域をコードする核酸配列;
b)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体の重鎖由来の3つのCDR領域をコードする核酸配列;
c)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される、抗体の重鎖またはその抗原結合部分のアミノ酸配列をコードする核酸配列;
d)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体の軽鎖由来の、少なくとも1つのCDR配列をコードする核酸配列;
e)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される抗体の重鎖由来の、3つのCDR配列をコードする核酸配列;
f)2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2および4.17.3からなる群より選択される、抗体の軽鎖またはその抗原結合部分のアミノ酸配列をコードする核酸配列;
g)配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20および22からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードする核酸配列;ならびに
h)配列番号:1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21および23からなる群より選択される核酸配列;
からなる群より選択される核酸配列を含み、
選択的に、配列番号:28または配列番号:26のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、請求項27記載の単離された核酸分子。
【請求項29】
請求項27または28のいずれか一項記載の核酸分子を含むベクターであって、選択的には、核酸分子と機能的に結合した発現制御配列を含む、ベクター。
【請求項30】
請求項29記載のベクター、または請求項27もしくは28のいずれか一項記載の核酸分子を含む、宿主細胞。
【請求項31】
抗IGF-IR抗体またはその抗原結合部分を作製する方法であって、請求項30記載の宿主細胞または請求項21記載の細胞系を適した条件下で培養する段階、および該抗体または抗原結合部分を回収する段階を含む方法。
【請求項32】
請求項27または28のいずれか一項記載の核酸を含み、該核酸を発現する非ヒトトランスジェニック動物。
【請求項33】
IGF-IRに特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分によって、それを必要とする対象を治療する方法であって、
(a)重鎖もしくはその抗原結合部分をコードする単離された核酸分子、軽鎖もしくはその抗原結合部分をコードする単離された核酸分子、または軽鎖および重鎖をコードする両方の核酸分子もしくはそれらの抗原結合部分の有効量を投与する段階;ならびに
(b)該核酸分子を発現させる段階
を含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【図19E】
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【公開番号】特開2009−297037(P2009−297037A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222178(P2009−222178)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【分割の表示】特願2008−267173(P2008−267173)の分割
【原出願日】平成13年12月20日(2001.12.20)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【出願人】(398005777)アムジェン フレモント インク. (40)
【Fターム(参考)】